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Damon & Naomi

Damon & Naomi

False Beats and True Hearts

20|20|20/Pヴァイン

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野田 努   May 19,2011 UP

 ビーチ・ハウスとヴェルヴェット・アンダーグラウンドとのあいだにいるバンドのひとつが、昨年〈ドミノ〉から3枚のアルバム(すべてが名作)が再発されたギャラクシー500である。
 80年代の後半、アメリカのハーバード大学の学生によって結成されたギャラクシー500は、ヴェルヴェッツとジョナサン・リッチマンからの影響を――あるいはジョイ・ディヴィジョンやヤング・マーブル・ジャイアンツ、あるいは小野洋子からの影響を――包み隠すことなく展開した(バンドは優秀なレコード・コレクションを有するカヴァー好きのバンドとしても知られている)。そうした彼らの態度がアメリカのインディ・シーンのアイデンティティをよりはっきりさせたことは明らかだったが、もっとも彼らのサイケデリックなフォーク・ロック・サウンドは、ヴェルヴェッツよりもさらに甘ったるい白昼夢の音楽だった。ギャラクシー500の1988年の"フラワーズ"(『トゥデイ』収録)は、USのインディ・ロックにおけるドリーム・ポップの早い時期の成果のひとつである。ギャラクシー500はセックス・ピストルズの25曲ほどのレパートリーにおいてもっとも神秘的な曲"サブミッション"をカヴァーしているが、それは彼らのパンク解釈をよく物語っていると言えるだろう。彼らのガレージ・ロックはダダイズムとシュールレアリズムのあいだを往復するのだ。

 デーモン&ナオミは、オフィシャルには3枚のアルバムを発表して、そして解散したそのバンドのリズムをになっていたふたり、デーモン・クルコフスキーとナオミ・ヤンによるバンドである。1992年から活動を続けているデーモン&ナオミによる8枚目のアルバムが、本作『フォールス・ビーツ・アンド・トゥルー・ハーツ』となる。
 〈ドミノ〉からギャラクシー500の3枚が再発されたこと――その背後にはもちろんディアハンターに代表されるような、あるいはチルウェイヴに象徴されるような、昨今のUSインディ・ロックにおけるサイケデリックの顕在化があるのだろう――を追い風にしたのが、このアルバムであることは間違いない。アコースティック・ギターやピアノによるギャラクシー500的な淡いテクスチャーは、この4年ぶりのアルバムでは充分に輝いている。それは敗北者の美しい叙情詩のようだ。ここには優雅なコーラスがあり、こわれやすい(フラジャイルな)ものの美しさがある。デーモン&ナオミのベテラン・リスナーにはお馴染みのザ・ゴーストの栗原道夫も参加しているが、気心の知れているであろう彼のギターがこの静かな音楽に時折アクセントを与えている。彼ららしい思慮深い歌詞は日本盤にある訳詞を参照もらうとしても、この音楽がいま、僕のようにリアルタイムで聴いていた世代のリスナーから、スローコアを好むダウナーなリスナーないしは二流のシューゲイザーになけなしの金を払っている若い世代、あるいはいまさらスローダイヴを探しているリスナーにいたるまで、幅広く受け入れられることはほとんど約束されている。

 そういえばルナ(ギャラクシー500のメイン・ソングライターだったディーン・ウェアラムが結成したバンド)が来日したときに演奏したイーノのカヴァー......素晴らしかったです。

野田 努