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森は生きている

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森は生きている

@渋谷WWW

Mar 20, 2014

野田努
photo : 小田部伶  
Mar 25,2014 UP
E王

 23:00、渋谷。昨年初めて見たときもたしかに良いバンドだとは思った、が、今回は正直……「正直、こみ上げてくるものがありましたね」と、一緒に行ったDJのGONNOくんは帰り道で言った。

 ラヴ&ピースの感覚がよみがえる。はっぴぃえんど×ザ・バンド×1970年頃のピンク・フロイド×初期カンタベリー×70年代のA&M×……などと、固有名詞を記号的にかけあわせたからといって、暗く冷たいインダストリアルな音響に耽っていた男の混沌とした内面から、いまさらラヴ&ピースなどという、こっぱずかしい言葉は出てこない。
 A&M系ソフト・ロックといえば20年前の渋谷系アイテムのひとつだったが、あの時代のセンスを競った消費のされ方とは明白に違っているのだ。情報としてアーカイヴされているという感じではない。この若いバンドには、ポスト・サイケデリック期のロックの素朴な叙情性が内面化されているように感じる。60年代を水で薄めたMORを弄んでいるというのではなく、彼らがいま持ち出すその平和的な響きは、冷酷な社会への彼らの態度表明にも思えるのだ。
 ライヴの余韻は、あり得ないほどピースだった。ファースト・アルバムが10だとしたらこの日のライヴは100だと言ってさしつかえないだろう。アンコールの、あの美しいアルペジオからはじまる“ロンド”も良かったが、なんといっても新曲が良かった。そう、いいじゃないか、彼女が幸せな気分に満たされているなら。

 森は生きているは現実逃避でも娯楽でもない。それは、我々は夢見ることを通してでしか前に進めないということだ。彼らの音楽から滲み出る一種の旅心、ボヘミアニズムが足を軽くする。そして無性に音楽が聴きたくなる。家に帰ったら何を聴こう。僕は電車に乗って、GONNO君は午前4時のDJのためにクラブへと向かった。

野田努