ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. オールド・オーク - THE OLD OAK
  2. インディ・シーンに広がるヴァイラル・マーケティング
  3. Xylitol - Blumenfantasie | キシリトール
  4. Felix Kubin Japan Tour 2026 ——ドイツの音響ダダイスト、フェリックス・クビンが来日
  5. Wendell Harrison with the Tribe Jazz Ensemble ──スピリチュアル・ジャズの巨匠、〈Tribe〉のウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースを演奏する注目盤
  6. interview with Dolphin Hyperspace ジャズの時代、イルカの実験 | 話題のドルフィン・ハイパースペース、本邦初インタヴュー
  7. Cornelius ──コーネリアスが動き出した! 新シングル「夢寝見」がリリース
  8. heykazmaの融解日記 Vol.6:⁺˚⋆。°卯月⁺˚⋆。° No!! WAR
  9. KENNY DOPE JAPAN TOUR 2026 ——ケニー・ドープ、9年ぶりの来日決定です
  10. ボカロが世界に与えた衝撃 一億回再生の意外な背景
  11. Boards Of Canada ──ボーズ・オブ・カナダ、13年ぶりのアルバムがリリース
  12. Whitney Johnson, Lia Kohl & Macie Stewart - Body Sound
  13. R.I.P. Afrika Bambaataa 追悼:アフリカ・バンバータ
  14. Roedelius - Tape Archive Essence 1973-1978  | レデリウス
  15. Raja Kirik - Sengkala | ラジャ・キリック
  16. interview with Adrian Sherwood 愛とソウルと、そしてメロウなダブ・アルバム | エイドリアン・シャーウッド、インタヴュー
  17. Loraine James ──ロレイン・ジェイムズがニュー・アルバムをリリース
  18. ambient room ──岡田拓郎Sextet、maya ongaku、BudaMunk、Satomimagaeが出演するイベント
  19. Dolphin Hyperspace ──凄腕エレクトリック・ジャズの新星、ドルフィン・ハイパースペース
  20. 『わたしは、ダニエル・ブレイク』 -

Home >  Reviews >  Live Reviews > BADBADNOTGOOD- @渋谷 WWW X

BADBADNOTGOOD

BADBADNOTGOOD

@渋谷 WWW X

2016年11月18日

小林拓音  
写真:岩沢蘭   Dec 15,2016 UP

 去る11月18日におこなわれたバッドバッドノットグッド(以下、BBNG)の単独来日公演は、音楽性はまったく異なるけれど、先日のフローティング・ポインツの来日公演に次いで今年最も注目を集めたライヴだったのではないだろうか。BBNGという「ジャズ」・バンドが持つ最大の武器は、その飾り気のなさであり、あるいはその素朴さである。今回のかれらの公演は、そのことを証明するとても陽気なショウであった。

 学生ノリ、と言えばいいのだろうか。とにかく煽る、煽る。アレックス・ソウィンスキーはドラムをタカタカと叩きながら、折に触れて言葉を発していた。彼は何度も「スクリーム!」とスクリームし、最初は戸惑っていたオーディエンスも徐々にその意図を察して、「オー!」とレスポンスを返しはじめる。その後も彼は聴衆に手拍子を求めたりジャンプを求めたり、最後にはステージ上から会場のみんなと記念撮影をおこなったりと、ライヴはさながら学芸会の様相を呈していた。いや、たしかに事前に、一緒に行ったガースーこと菅澤捷太郎から「BBNGはライヴでけっこう煽るんですよ」という話は聞いていた。しかし、これほどとは……演奏が崩れる瞬間も何度かあったものの、バンドはそんなことなど一向に気にする気配もなく、ノリだけでずんずんずんずんショウを進めていく。

 一緒に行ったガースーもレヴューで書いていたように、BBNGの最新アルバム『IV』ではドラムのサウンドにきめ細やかな配慮が施されていた。しかし、実際に会場で耳にしたアレックス・ソウィンスキーのドラムは予想以上にロック系のそれで、シンプルな8ビートが刻まれることも多く、ときおりドラムンベース的なリズムが挿入される場面もありはしたものの、少なくともジャズ系のドラムではまったくなかったように思う。そのドラムが彼自身による煽りのMCと相乗効果を生んで、より一層今回のライヴの雰囲気を学芸会的なものに仕立て上げていたのではないだろうか。

 と、そんな風に僕は感じていたのだけれど、一緒に行ったガースーの感想は違った。「シンバルの扱いはたしかにロックだったけれど、基本的にはジャズ寄りの演奏だった」とガースーは言う。「たしかに盛り上げっぱなしでダイナミクスに欠けるライヴだったけど、ドラムの音色というか、その響かせ方は良かったと思う」。なるほど。「でも、リズムはやっぱり単調だったよね?」と問うてみると、「バスドラがリズム・キープを放棄してシンバルが代わりにそれをやる、という昨今のソリッドなドラム・スタイルではなく、きちんとバスドラが根幹にあるふくよかな演奏で、その上でタムを回して遊んでいたんじゃないか」との答えが返ってきた。だからぱっと聴いた感じは単調に聴こえてしまうんだそうで、でもそれはおそらくアレックス・ソウィンスキーが最近のドラマーではなく70年代のジャズ・ドラマーを手本にしているからなのではないか、と一緒に行ったガースーは分析していた。さすが、現役のドラマーである。

 ともあれ、ドラマーではない僕は終始アレックス・ソウィンスキーの叩くドラムと煽りに圧倒されていたわけだが、リーランド・ウッティーによるサックスはなかなかどうして、目を見張るものがあった。ライヴ序盤はあまりにも音量が埋もれていたので心配していたのだけれど、曲目が進むにつれ他のパートと遜色のない音量が出るようになり、ソロ・パートではとても興味深いリズムが吹き鳴らされていた。その豊かなサックスのリズムを「単調」なドラムが相殺してしまっているように聴こえる瞬間もあったけれど、そういう高音と低音の間のバトル=特別な揺らぎを発生させることこそがBBNGの狙いだったのだとしたら、今回のライヴは大成功だったと言えるだろう。『IV』からバンドに加入したリーランド・ウッティーこそがBBNGの未来を握っているのかもしれない。

小林拓音

RELATED

BADBADNOTGOOD- IV Innovative Leisure/ビート

Reviews Amazon

BADBADNOTGOOD- IV Innovative Leisure / ビート

Reviews Amazon