「DJ DON」と一致するもの

WWW & WWW X Anniversaries - ele-king

 渋谷を代表するヴェニューであり、精力的に尖ったイベントを開催し続けている WWW と WWW X が、今年もアニヴァーサリー企画《WWW & WWW X Anniversaries》を大展開。WWW はオープン9周年、WWW X のほうは3周年とのことで、相変わらず興味をひく公演ばかりです。
 9/20は《Local X5 World》としてツーシン(Tzusing)とキシ(Nkisi)待望の初来日公演が開催。9/23は D.A.N. の主催する《Timeless》にデンマークから Erika de Casier が参加。10/5は幾何学模様のライヴ、10/12はシカゴからジャミーラ・ウッズの来日公演。10/18は《Emotions》に KID FRESINO と釈迦坊主、そして先ほどミックステープのリリースがアナウンスされたばかりの Tohji が出演する。今年の秋も WWW と WWW X はすごい!

[8月29日追記]
 本日、情報公開第二弾として、新規公演と追加ラインナップが発表された。詳細は下記を。

「WWW & WWW X Anniversaries」追加ラインナップ
※太字が第二弾発表分

●9/20(金・深)「Local X5 World」@ WWW X
 出演:Tzusing / Nkisi / GAIKA / Fuyuki Yamakawa / Yousuke Yukimatsu / Mars89 / Mari Sakurai / speedy lee genesis
●9/23(月・祝)「Timeless #5」@ WWW X
 出演:D.A.N. / Guest Act: Erika de Casier (from Denmark)
●10/5(土)「Kikagaku Moyo JAPAN TOUR 2019」@ WWW X
 出演:幾何学模様 / Kikagaku Moyo / SPECIAL GUEST: OGRE YOU ASSHOLE
●10/12(土)「Jamila Woods」@ WWW X
 出演:Jamila Woods
10/14(月・祝)「In&Out」@ WWW
 出演:Deca Joins (from Taipei) and more
●10/18(金)「Emotions」@ WWW / WWW X / WWWβ
 出演:dodo / KID FRESINO / LEX / 釈迦坊主 / Tasho Ishi / Tohji / SPARTA / YamieZimmer & Friends / DJ: speedy lee genesis and more (A to Z)

 以下は、第一弾発表分です。

WWW & WWW X Anniversaries ページ
https://www-shibuya.jp/news/011281.php

熱狂のアジア&アフロ・ディアスポラ! ハードに燃え盛る中国地下の先鋭 Tzusing とコンゴ生まれ、ベルギー育ちのアフリカン・レイヴ/IDMなロンドンの新鋭 Nkisi (UIQ) を初来日で迎え、世界各地で沸き起こる“第3の力”をテーマとした WWW のシリーズ・パーティ〈Local World〉がアニバーサリーとして開催。圧倒的な“強さ”を誇る全8組のフル・ラインナップにも乞うご期待!

WWW & WWW X Anniversaries "Local X5 World - Third Force - "
日程:2019/9/20(金・深)
会場:WWW X
出演:Tzusing [Shanghai / Taipei] / Nkisi [UIQ / Arcola / London] / and more
時間:OPEN 24:00 / START 24:00
料金:Early Bird ¥1,800@RA *枚数限定 / limited | ADV ¥2,300@RA | DOOR ¥3,000 | U23 ¥2,000
チケット:https://www.residentadvisor.net/events/1298708

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011423.php
https://localworld.tokyo


毎回国内外の多彩なゲストを呼んで開催される、D.A.N. によるレギュラーイベント "TIMELESS"、#5 の開催が決定! 今回のゲストは、デンマークから初来日となる新星アーティスト・Erika de Casier。コペンハーゲンのハウス・シーンと密接に繋がる彼女のアディクティブなトラックと繊細でセンチメンタルなヴォーカルはコアな音楽ファンの間で大きな話題に。作品毎にチャレンジを続け進化するD.A.N. による、まさにダークホースなゲストを迎えた Timeless をお見逃しなく。

WWW & WWW X Anniversaries "Timeless #5"
日程:2019/9/23(月・祝)
会場:WWW X
出演:D.A.N. / Guest Act: Erika de Casier
時間:OPEN 17:00 / START 18:00
料金:ADV ¥3,800(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット:
■先行予約:受付期間:8/3(土)12:00~8/18(日)23:59 ※先着
https://eplus.jp/wwwx-timeless5/
■一般発売:8/24(土)10:00~
e+ / ローソンチケット / チケットぴあ / LINE Ticket / iFlyer

公演詳細: https://www-shibuya.jp/schedule/011417.php

世界各国でソールドアウト公演を連発する幾何学模様/Kikagaku Moyo の2年ぶりとなる日本ツアーが決定! 最新作『マサナ寺院群』は「Discogs で最も集められた日本産レコード 2018/2019前半」の首位を獲得し、今年はアメリカ最大級の音楽フェスティバル「Bonnaroo」、ヨーロッパ3大フェスの1つ「Roskilde」などへの出演に加え、King Gizzard & The Lizard Wizard や Khruanbin といった現在の欧米インディーシーンをけん引するアーティストたちとの交流も深く、まさに日本のサイケデリアを代表する存在となりつつある幾何学模様/Kikagaku Moyo。後日発表となるスペシャルゲストにもご期待ください!

WWW & WWW X Anniversaries "Kikagaku Moyo JAPAN TOUR 2019"
日程:2019/10/5(土)
会場:WWW X
出演:幾何学模様/Kikagaku Moyo + Special Guest: TBA
時間:OPEN 17:00 / START 18:00
料金:ADV¥4,000(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット:発売中
e+ / ローソンチケット[L:76545] / チケットぴあ [P:159-853] / iFLYER / WWW店頭

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011360.php

シカゴの知性“Jamila Woods”来日公演決定!
今年5月に絶大な評価を獲得した前作『Heavn』から約3年振りとなる待望の2ndアルバム『LEGACY! LEGACY!』をリリースし、自らのルーツやアイデンティティを深く掘り下げ、詩的に表現して、その評価を決定づけたシカゴのシンガー・詩人“Jamila Woods”の来日公演をお見逃しなく!

WWW & WWW X Anniversaries "Jamila Woods"
日程:2019/10/12(土)
会場:WWW X
出演:Jamila Woods
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:ADV ¥6,000 / DOOR ¥6,500 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット:
■先行予約:8/3(土)10:00~8/18(日)23:59 ※先着
https://eplus.jp/wwwx-jamilawoods/
■一般発売:8/24(土)10:00
e+ / ローソンチケット[L:72345] / チケットぴあ[P:161-087] / WWW店頭 / iFLYER

公演詳細: https://www-shibuya.jp/schedule/011424.php



WWW・WWW X・WWWβを舞台に様々な感情や価値観が集い、多様性豊かに彩るフライデーナイトパーティーシリースズ 「Emotions」。出演者第一弾はフリーフォームかつジャンルにとらわれない柔軟な活動が注目を集め、先日の FUJI ROCK FES でもヒップホップの可能性を拡張させるような圧倒的パフォーマンスを披露した“KID FRESINO”、耽美でサイケデリックな世界観を最新型のトラップミュージックとして表現し、自身が主催するイベント「TOKIO SHAMAN」は毎回超満員で狂信的人気を博す“釈迦坊主”、既成概念を軽々と更新し続ける圧倒的な存在感でユースを中心に熱狂的な支持を集め、本日同時に待望の1st Mixtape『angel』の8/7リリースが発表された“Tohji”がラインナップ!
後日発表となるジャンルレスな追加出演者にも乞うご期待!

WWW & WWW X Anniversaries "Emotions"
日程:2019/10/18(金)
会場:WWW / WWW X / WWWβ
出演:KID FRESINO / 釈迦坊主 / Tohji / and more (A to Z)

詳細後日発表

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011425.php

interview with Joe Armon-Jones - ele-king

 UKジャズの快進撃が止まらない。「UKジャズ」というワードに触れるキッカケは人それぞれだと思うが、僕にとっては2017年に〈Brownswood Recordings〉からリリースされたユセフ・カマール『Black Focus』の存在が大きい。このリリースを皮切りに、アルファ・ミストサンズ・オブ・ケメットモーゼス・ボイドなど約2年の間に次々と新しい作品やアーティストが登場してきた。広い目で見渡せば、もはや円熟味を増したカマシ・ワシントン(彼はアメリカのアーティストだがUKジャズのムーヴメントにも多大なる影響を与えたと思う)、日本の地上波に出演するまで成長したトム・ミッシュ、R&B方面で言えばジョルジャ・スミスなど「ジャズ」をキーワードにしたアーティストがここ日本でも旋風を巻き起こしている。いわゆる典型的なジャズに限らず、ダブやアフロ、ヒップホップ、ベース・ミュージック、そしてハウスなど1枚のアルバムの中にいろんな要素を詰め込むフュージョン感は、人種や性別を超えたボーダレスで今っぽいサウンドだし、ジョー・アーモン・ジョーンズが2017年に〈YAM Records〉からリリースしたマックスウェル・オーウィンとの共作『Idiom』も間違いなくブロークンビーツ、ハウスといったクラブ・ミュージックの解釈が強かった。そしてソロ・デビュー・アルバム『Starting Today』で一躍UKジャズ・シーンの顔になったピアニスト/ソングライター。ムーヴメントを築いてるアーティストの半数以上が彼と同じく南ロンドン出身、そしてこれだけの短期間で一気に頭角を現した彼のキャリアは何か特別な秘密があるに違いない……!!! と、思っていた矢先の来日、そしてインタヴューは本当に貴重だった。熱の篭ったステージ上でのパフォーマンスとはうって変わって、シャイで物静かな雰囲気だったが、アルバム制作秘話、南ロンドンのリアルなシーン、インタヴューから見えてくるUKジャズ快進撃の真の裏側をたっぷりと丁寧に語ってくれた。


ジャズのミュージシャンだからってジャズだけをやるって思われるのは残念なことだよね。自分も他の奴らに比べたらあんまり騒がない静かな方だから、周りから緩いジャズだけをやってるって思われてたかもしれないし。

先日終わったばかりの日本でのツアー公演はどうでしたか?(6/1 (土) FFKT、6/2 (日) ビルボードライブ東京にて公演)

ジョー・アーモン・ジョーンズ(Joe Armon-Jones、以下JAJ):良かったよ、とても良い雰囲気だったね。すごく楽しめたし、野外フェスとコンサートホールで2日とも違った空気感だった。日本に来る前は周りの人から「日本のオーディエンスはとても行儀が良くて、声も出さずに聴き入ってる……」なんて聞いてたけど、FFKT ではみんな踊ってくれたし、ビルボードの1stはチョット静かだったけど、2ndは歓声もたくさん聞こえた。ショーの最後はみんな立って手を叩いたり踊ってくれたからね。来てくれたみんなに本当に感謝してるし、とても良い経験になったよ。

日本とイギリスのオーディエンスで何か違いは感じましたか?

JAJ:大きな違いを感じたのは日本の方がもっと「音楽に感謝してる」って印象だね。もちろんイギリスの人たちも間違いなくそれはあるんだけど、音楽が溢れすぎてて甘やかされてるというか……。なんか慣れちゃってる感じもするからね。その点、日本はわざわざ遠くの海外からアーティストが来日してるってこともあって、もっと強い価値を感じてライヴを聴きにきてる感じがしたな。

日本に来たのは初めてですか?

JAJ:自分の名義としては初めてだけど、2017年にチャイナ・モーゼスの公演でキーボードとして参加して Blue Note で演ったんだ(https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/china-moses/)。彼女は素晴らしいシンガーで、あのときの公演も本当に楽しかったよ、良い思い出だね。

ではジョー・アーモン・ジョーンズがアーティストとしてデビューするまでの過程を聞きましょうか。ありきたりな質問かもしれませんが、いつから音楽をはじめたんでしょうか?

JAJ:母がジャズ・シンガーで、父もジャズ・ピアニストだったんだ。だから物心ついた頃から当たり前のようにピアノが目の前にあったし、親から影響を受けて自分も音楽を始めるのはまぁ普通な流れだよね。「子供の頃から音楽に没頭した!!」って程じゃないけど、自然にピアノは弾いてたし、その頃からなんとなくアドリブでやっていく癖もついてたのかも。ピアノのレッスンは7歳くらいからはじめたから、それが正式にスタートってことになるかな。

もちろん音楽学校にも通ったんですよね?

JAJ:ロンドンのグリニッジにある「Trinity College London」って学校に通いながら「Tomorrow's Warriors」っていう若いミュージシャンに向けたコミュニティでもよく演奏してたんだ。カリキュラムももちろんだけど、土曜日に若いミュージシャン同士で集まってプレイしたり、そこでの出会いや経験が自分にとって本当に大きかったと思う。

註:Tomorrow's Warriors はジャズ・ウォーリアーズのオリジナル・メンバーでもあるゲイリー・クロスビーによって1991年よって設立されたアーティスト育成プログラム。ジョー・アーモン・ジョーンズも所属するエズラ・コレクティヴも Tomorrow's Warriors のユースから生まれたプロジェクト。

 そこで、ジャズの要素が入ったヒップホップにすごいハマってJ・ディラとかロバート・グラスパーとかを聴きながらビートがどうなってるかとか、曲の構成についていろいろ学んでたね。で、自分でもビートを打ったり、曲を書いてるタイミングでエズラ・コレクティヴもはじまって、いまの仲間たちと一緒にプレイするようになったのかな。当時はいちばん多い時期で8つのバンドを同時に演ってたし、いろいろ違うジャンルもやって忙しくしてたよ。

8つも同時に抱えてたのはすごいですね……。その流れで自身のプロジェクトもスタートしたということですよね?

JAJ:そもそもジョー・アーモン・ジョーンズっていう名義でスタートしてまだ2~3年しか経ってないし、マックスウェル・オーウィンとやったアルバムも2年前のことだからね。それが自分の名前でリリースした最初の作品になるんだ。それから〈Brownswood Recordings〉とリリースの話になって、去年自分のソロ名義でのアルバムが出たという流れさ。

マックスウェル・オーウィンとはどうやって知り合ったんですか?

JAJ:5、6年前に共通の友人を通して知り合って、よく誰かしらの家で会ってたんだ。意気投合していまはふたりで家をシェアしてるし、スタジオもそこでセットアップして、曲も作ってるよ。

ということはふたりのアルバムもそこで創られたってことですよね?

JAJ:そう、まさしく家のリヴィングでね。

ふたりのアルバムは〈YAM Records〉というダンス・ミュージックが中心のレーベルからのリリースでしたよね。僕も仲のいいハウス/ブロークンビーツのDJやアーティストがふたりの楽曲をプレイしたり、チャートに入れてるのを見て初めて知ったのを覚えてます。で、そこからどんな作品が出るかなと思ったら……いきなり〈Brownswood〉からソロを出したのは驚きましたね。

JAJ:ジャズのミュージシャンだからってジャズだけをやるって思われるのは残念なことだよね。自分も他の奴らに比べたらあんまり騒がない静かな方だから、周りから緩いジャズだけをやってるって思われてたかもしれないし。そりゃジャズを聴いてるときは静かにしてたけど……(笑)。ヒップホップもダブも好きだからいろんなシーンの中で良い音楽だけを選んで一緒にするのがやりたかったのさ。ジャズ・ピアニストってことで他のジャンルをやるのも難しくないし、リリースした〈YAM Records〉もダンス・ミュージックの中で幅広い音楽をやってるから「ただのハウス・プロデューサー」とは思われなかったのは良かったのかもしれないね。

地元のサポートも大きかったと感じますか?

JAJ:もちろん。ロンドン、特にサウスロンドンのペッカムを拠点にしている〈YAM Records〉はレーベルとレコード屋もやってるし、同じアーケード街には Balamii Radio やアパレルストアもたくさんあって、みんなが集まってコラボレーションも頻繁におこなわれているんだ。マックスウェル・オーウィンも良い人脈を持ってたし、ここのエリアの雰囲気はいまでも良い影響をもたらしてくれるね。

そういえば〈YAM〉から出したアルバム、〈Brownswood〉からのソロ・アルバム、どちらもアートワークが最高ですよね。どちらも同じアーティストが担当したんですか? 

JAJ:〈YAM〉からリリースした「Idiom」はレーゴ・フットって奴が描いたんだ。4つのバラバラの絵を掛け合わせてできたアートワークで、4枚の絵はいまでも家の壁に飾ってあるよ。〈Brownswood〉から出した『Starting Today』はディヴィヤ・シアーロが担当してくれて、彼女は次にリリースするアルバムも描いてくれてるよ。ちょうど6月にアルバムに先駆けてニューシングル「Icy Roads (Stacked)」もリリースされて、そのアートワークもやってくれたんだ。

[[SplitPage]]

自分のリヴィングがスタジオだから、家でゆっくりしてたら誰かが急に入ってきて曲を作りはじめるってこともよくあるんだ。いつも誰かが曲を作ってるからインスピレーションは無限に湧くよ。

いまアルバムの話も出たので、次のリリースについて聞いてもいいですか? もし秘密でなければアルバムについても少し教えてください。

JAJ:次のアルバムはもう作り終えてるんだ。ちょうどこの後東京のスタジオでバンドのメンバーとでき上がったアルバムを聴く予定で、いまから本当に楽しみだ。

具体的に前のアルバムと比べてメンバーの構成や曲調など変わった部分はありますか?

JAJ:メンバーは前回と全く同じ。でも間違いなく違った雰囲気になってるよ、完璧に違うプロジェクトと思っていい。言葉で説明するのはいつも難しいんだけど、前回と違って長い6曲のトラックものが中心になってるよ。前作の『Starting Today』は1曲にそれぞれ違ったストーリーがあって、ヴォーカルも多くあったけど、新しいアルバムはよりアルバムとしての全体感がより強いのかもしれないね。

制作にはどれくらい時間を要したんですか?

JAJ:去年の8月からレコーディングをスタートさせて、編集とかマスタリングを終えたのは……それこそ日本に行く1週間前とかだよ。

制作するときはソングライティングもしっかりやるタイプですか?

JAJ:もちろん譜面に起こしたりとかもやるけれど、基本はスタジオでセッションして曲を作り上げるパターンが多いかな。ソロのアルバムを作ってるときはピアノの前に座って、思いついたアイデアを弾いたり、いろいろ試すんだ。ベースラインはすごく重要にしてて、ベース・プレイヤーによって曲の表情も大きく変わってくる。そこにドラムを加えて、聴いてるうちに良いメロディーが思いついて自分も弾いたりとかかな?
それに、2枚のアルバムともバンド・メンバーがそれぞれのプロジェクトで忙しかったからリハーサルを組んだりっていう時間がなかったんだ。だからある程度自分で譜面に起こして、後はそこから即興で作っていく。お互いのことをよく知ってたり、それぞれ技術がないとできないことだけど、最初にみんなで合わせるときの熱量やフレッシュさも大事にしたかったんだ。最悪、誰かが間違えた場合も別のテイクを取って良い部分を張り替えれば良いしね。

それはテクノロジーが助けてくれる部分でもありますよね。

JAJ:昔だったら録ったテープを本物のハサミで切って貼り付けてなんて……いまだにそのスタイルでやってる人もいるけれど、僕らは100%技術の進歩の恩恵も受けているよ。とはいえ、たまにドラムのテンポがズレてるってときもリズムを修正しないでそのまま残すこともある。それは曲の中のひとつの熱量と思ってキープするんだ。

アルバムの他にもいろいろなコンピレーションにも積極的に参加してますよね。この前もマーラとヌビア・ガルシアとの共作も話題になりました。どれくらいの頻度でスタジオに入っていますか? 最近はツアーもあって忙しいように見えますが……。

JAJ:まさしくいまツアーが増えてきて、自分の中で制作とギグのバランスを考えはじめてるところだよ。ツアーがないときは基本的にスタジオ、というか家にいるよね。自分のリヴィングがスタジオだから、家でゆっくりしてたら誰かが急に入ってきて曲を作りはじめるってこともよくあるんだ。他のプロデューサーみたいに「スタジオに行って働く」とかそういう感覚じゃないのかも。それこそマックスウェル・オーウィンが友だちを連れてきて四六時中ビートを作ってるってこともあるし、いつも誰かが曲を作ってるからインスピレーションは無限に湧くよ。

なかなかすごい環境ですね。そんな状況でゆっくり寝られたりできるんですか?

JAJ:いい質問だね(笑)。幸い僕は上の階だからあんまり音も漏れてこないんだよ。隣の近所がどう思ってるかは正直わからないけど、苦情もいまのところないから大丈夫なんだと思う。

それはイギリスやヨーロッパの国ならではな状況かもしれないすね。日本でそんなことは滅多にできないので……。

JAJ:本当に?? そういえば誰かが言ってたな。日本は楽器を大音量で練習できる家が少ないからヘッドホンとかでやってるって。

それから、たぶん日本は自分のプライヴァシーを守りたい人が多いかも?しれないですね、自分の家に知らないミュージシャンが毎日出たり入ったりっていう状況はあまり考えられない気がします。

JAJ:そうだね、たまに20人くらいのミュージシャンが一気に集まって「これから曲を作るんだ」ってこともあったりするよ。そのときは知らない同士でも、共通の仲間を通して知り合えばお互いにとってプラスになることが多い。自分はとにかくいろんなミュージシャンやアーティストとのコラボレーションがメインで活動してるからこのスタイルが好きなんだ。もちろん日本の礼儀正しい部分だったり、お互いをリスペクトする部分は理解できるから、文化の違いってことかもしれないね。

まだデビューしていなかったり、ローカル・レヴェルで是非チェックすべきというアーティストやミュージシャンはいますか?

JAJ:プロジェクト・カルナック、ブラザース・テスタメント、シュナージ、それからCYKADA辺りはいいね。どれも違ったサウンドやジャンルだよ。

それだけ多くのアーティストを知ってるならレーベルをやっても良いかもしれないですね。

JAJ:いや、止めておくよ。事務作業とかが多いと思うし、多分自分には向いてないと思うな(笑)。

日本でご存じのアーティストはいますか?

JAJ:Kyoto Jazz Massive は素晴らしいよね。それから SOIL & "PIMP" SESSIONS も知ってるよ。この前リーダーの社長と FFKT であったけど、ファッションもマジで最高だったな。

アルバムのリリースも控えてますが、今後の予定は決まってますか?

JAJ:まずはアルバムのリリースに向けて、しっかり準備。その後は何も決めてないな(笑)。たぶん日本にまた戻ってライヴがしたいね、ここは本当に素晴らしい場所だよ。最高だ。

BSC - ele-king

 世田谷を拠点にどんどんと活躍の場を広げていっている KANDYTOWN。総勢16名からなるこのクルーの中心メンバーのひとりであり、2016年のファースト・アルバム『KANDYTOWN』では“R.T.N”などの人気曲に参加、この2月にドロップされた最新EP「LOCAL SERVICE」でもリード曲の“Till I Die”で印象的なラップを披露していた BIG SANTA CLASSIC こと BSC が、7月24日にソロ・デビュー・アルバム『JAPINO』をリリースする。同作には IORyohu といったクルーの仲間たちが参加、2015年に亡くなった YUSHI とのコラボ曲も収録されるという。混血を表すタイトル含め、いったいどんな作品に仕上がっているのか、いまから楽しみだ。

世田谷をベースにする総勢16名によるクルー、KANDYTOWN のメンバー、BIG SANTA CLASSIC a.k.a. BSC のソロ・デビュー・アルバム『JAPINO』、リリース決定! IO や Ryohu、MUD、KIKUMARU、Holly Q、Neetz、故YUSHI ら、KANDYTOWN のメンバーも参加!!

◆ 世田谷をベースにする総勢16名によるクルー、KANDYTOWN のメンバーであり、故YUSHI、IO、Ryohu、DONY JOINT、DJ MASATO らとの伝説的なクルー、BANKROLL のメンバーでもあるラッパー、BIG SANTA CLASSIC a.k.a. BSC! KANDYTOWN のメジャー・デビュー・アルバム『KANDYTOWN』(2016年)ではリード曲である“R.T.N”や“Scent Of A Woman”、“Rainy Night”といった人気の高い楽曲に参加し、最新のデジタルEP「LOCAL SERVICE」でもリード曲“Till I Die”で印象に強く残るラップを披露。その IO や Ryohu、Neetz、KIKUMARU といったメンバーのソロ作品へも参加し、個人でも活発に活動している BSC が満を持して放つソロ・デビュー・アルバム『JAPINO』!

◆ KANDYTOWN から IO や Ryohu、MUD、KIKUMARU、Holly Q、Neetz が参加し、故YUSHI との幻のコラボ曲も収録! また福岡の注目すべきグループ、YELLADIGOS から PEAVIS と RIO が客演で、KANDYTOWN の最新EP「LOCAL SERVICE」でのビートメイクも話題となった K.E.M、唾奇作品でお馴染みな HOKUTO、SUNNOVA とのコラボ作のリリースも話題の 18 SCOTT らがプロデューサーとして参加!
◆ 本隊の KANDYTOWN としても並行して活動し、今秋には待望のセカンド・アルバムのリリースと ZEPP ツアーの開催がアナウンス!

【アルバム情報】
アーティスト: BSC (ビーエスシー)
タイトル: JAPINO (ジャピーノ)
レーベル: KANDYTOWN LIFE / P-VINE
品番: PCD-25279
発売日: 2019年7月24日(水)
税抜販売価格: 2,500円

プロフィール:
東京・世田谷育ち。BIG SANTA CLASSIC、BABY SANTA CLAUS、屍三太郎……と数々の異名を持つMC。中学時代に同級生である Ryohu と出会い、本格的にラップを始める。故YUSHI、IO、Ryohu、DONY JOINT、DJ MASATO らと BANKROLL を結成し、ソロと並行してクルーとしても活発に活動。その後には KANDYTOWN を結成し、2016年には〈ワーナー・ミュージック〉より『KANDYTOWN』でメジャー・デビュー。

* KANDYTOWN - R.T.N
https://youtu.be/kIXrGAaSZNo

* KANDYTOWN - Till I Die (RYOHU, MASATO, BSC)
https://youtu.be/eTOoRei4QXY

STOLEN - ele-king

 これは爆弾かもしれない。ダークなエレクトロニック・サウンドを響かせる中国四川省は成都の6人組、その名もストールン(秘密行動)が8月7日に日本デビュー・アルバム『Fragment』をリリースする。彼らの楽曲はニューウェイヴ~ゴシック~シンセ・ポップなど、間違いなく英米ロックから影響を受けているが(10月からはニュー・オーダーのツアーに同行することも決定しているそう)、音楽については保守的で厳しいという中国において、なぜこのようなバンドが登場するに至ったのか? ワーキングクラス出身のフロントマン、リャン・イーによれば、まず海賊盤でポーティスヘッドやジョイ・ディヴィジョンと出会い、その後ネット経由でさまざまな海外の音楽にアクセスしていったのだという。なかでもクラフトワークの存在は大きかったようで、借金までしてライヴを観に行ったのだとか(そのあたりの経緯はHEAPの記事に詳しい)。気になる点はまだまだ多いが、いまは続報を待とう。

[7月5日追記]
 本日、8月リリースのアルバムより収録曲“Chaos”が先行配信された。またなんと、同曲の石野卓球によるリミックスも公開、同氏からはコメントも届いている。「このダイナミックなトラックをリミックスできて光栄です。楽しくできました」とのこと。配信はこちらから。

STOLEN

ダークでミステリアスな、テクノとロックのミクスチャー・サウンドが、ヨーロッパのアンダーグラウンド・シーンで注目を集める、中国のインディーズ・バンド“STOLEN(ストールン)”が、今年8月、日本でデビュー・アルバム『Fragment(フラグメント)』をリリースすることが決定しました。

“STOLEN(漢字表記では“秘密行動”)”は、中国で今最も刺激的な音楽シーンのひとつとして知られる四川省の省都・成都(せいと)を拠点に活動する、平均年齢26歳の5人の中国人と1人のフランス人で構成されるバンドです。

STOLEN Trailer for Japan
https://youtu.be/eeEbvS1hsYY

プロデューサーは、イギリス、マンチェスター生まれの音楽プロデューサー、ミュージシャンである、Mark Reeder(マーク・リーダー)。

マーク・リーダーは、70年代当時、ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスや、マッドチェスター・ムーヴメントを巻き起こした〈ファクトリー・レコード〉のオーナーでナイトクラブ「Hacienda(ハシエンダ)」の創始者、トニー・ウィルソンと親交の厚かった人物。ニュー・オーダーにも多大な音楽的影響を与えており、マーク・リーダーの存在がなければ、ニュー・オーダーの名曲“Blue Monday”も生まれることはなかったと言われています。

また1990年にベルリンで立ち上げた音楽レーベル〈MFS〉は、ポール・ヴァン・ダイクや、エレン・エイリアンら世界的なスターDJを輩出した伝説的エレクトロニック・ミュージック・レーベルとして知られていますが、実は、電気グルーヴの作品を初めてヨーロッパへ向けてリリース(1995年のヒットシングル「虹」をリリース)したレーベルであり、マーク・リーダーは、電気グルーヴと石野卓球氏がその後ヨーロッパでのキャリアを築くきっかけを作った重要人物でもあります。

STOLEN を中国で見出したマーク・リーダーは「ニュー・オーダー以来の衝撃を受けた」と語り、2007年に活動を停止していた〈MFS〉レーベルを再び活性化することを決意、STOLEN のデビュー・アルバム『Fragment』をプロデューサーとして完成させました。

日本では今年8月に、アルバムをリリースすることが決定。マーク・リーダーと石野卓球氏のリミックス音源を含む全13曲を収録したアルバム『Fragment』を〈U/M/A/A〉よりリリースします。

また、STOLEN は10月にスタートする、ニュー・オーダーのライヴ・ツアーに、スペシャル・ゲストとして参加することも決定しています。アルバムのリリースに先駆け、先行配信なども行う予定。今後の動向にご注目ください。

【Stolen プロフィール】

中国で今最も刺激的な音楽シーンのひとつと言われる、四川省の省都・成都(せいと)を拠点にする平均年齢26歳の5人の中国人と1人のフランス人で構成される6人組のインディーズ・バンド。2011年結成。バンド名「STOLEN(ストールン、漢字表記は秘密行動)」は、神秘的、秘密主義、暗やみなどを意味する。

インディーズ・バンドとして中国国内での数多くのライヴ・ツアーを積み重ねた後、2016年に初めての海外ライヴとしてフランス《Trans Musicales Festival》に出演、2017年、フランス《SAKIFO Music Festival》に出演、2019年にはアメリカ SXSW に招かれるがビザの問題で入国することが許されなかった。

謎多き中国のインディーズ・シーンから全世界デビュー・アルバムとなる『Fragment(フラグメント)』はドイツ・ベルリンの伝説的レーベル〈MFS〉のオーナー Mark Reeder がプロデューサーとなり、成都にある彼らのホームスタジオとベルリンのスタジオでレコーディングされた。テクノやロックといったカルチャーを独自に吸収したそのサウンドやライヴ・ステージ、アートワークは、中国の若者から人気を集めるポストロック~ダークウェイヴの旗手として、その注目は世界中へと拡がっている。

【バンド・メンバー】
Vocals / Synth : Liangyi
Guitar / Keyboard / Samples / Vocals : Duanxuan
Guitar / Vocals : Fangde
Bass : Wu Junyang
Drums, Percussion : Yuan Yufeng
VJ : Formol

【Stolen SNS】
Weibo: https://www.weibo.com/mimixingdong
Instagram: https://www.instagram.com/stolen_official/
Facebook:https://www.facebook.com/strangeoldentertainment/

grooveman Spot - ele-king

 仙台を拠点に活動するDJ/プロデューサー、grooveman Spot によるビート・アルバム『Resynthesis』シリーズの第三弾である本作。ここ1年だけでも向井太一や iri といった人気シンガーや、ラッパーである ZORN のプロデュース、あるいは THE BLUE HEARTS のリミックス・アルバムなど、grooveman Spot はその幅広い音楽性を武器に様々なプロジェクトを手がけている。そして、ソロ・アーティストとしては、2014年にリリースされた『Supernatural』まで通算6枚のソロ・アルバムをリリースし、ヒップホップやR&Bだけでなく、ブギー、ファンク、ハウス、テクノ、アフリカなど、様々なダンス・ミュージックのスタイルをミックスさせ、自らのスタイルを作り上げてきた。その一方で、これまで『Resynthesis (Red)』(2016年)、『Resynthesis (Green)』(2018年)とリリースを重ねてきた、この『Resynthesis』シリーズに関しては、彼のルーツであるヒップホップに軸が置かれており、ソロ・アルバムとはまた別のカラーを持った、良い意味で非常に尖った作品になっている。

 これまでの『Resynthesis』シリーズと同様に、今回の『Resynthesis (Purple)』で表現しているサウンドは、個人的には90年代後半から2000年代にかけてのアンダーグラウンド・ヒップホップがときおり思い出される。しかも、それはどちらかと言えば、あの当時のアンダーグラウンド・ヒップホップの中でも亜流と言われるような、ダークでノイジーなヒップホップの中にエレクトロニカやブレイクビーツといった要素がミックスされたようなサウンドであり、日本で言えば、INDOPEPSYCHICS(インドープサイキックス)がやっていたようなことにも近い感触だ。ただ、それはこのアルバムにノスタルジーを感じているからというわけではなく、むしろその逆で、2000年以降の様々なスタイルのヒップホップを内包した上での、1歩も2歩も先を行く、未来のサウンドが本作には詰まっている。ちなみに“Pegasus”という曲に関しては、明らかにJ・ディラへのオマージュとして作られているのだが、もし、J・ディラがいまも生きていたら、あの名盤『Donuts』の続編として、こんなアルバムを作ったのでは?とも、勝手な想像さえも膨らんでしまう。

 もともと、grooveman Spot 自身がダンサー出身ということもあるだろうが、この『Resynthesis』シリーズはヒップホップ・ダンサーにも人気が高い。サンプリングだけでなく、おそらくヴィンテージのシンセサイザーなども駆使して、直感的でありながらも、実に複雑に絡んでいくエッジの効きまくったビートに、ダンスという表現方法が見事にピッタリとハマるのは納得できる。ただ、ないものねだりであるが、このスタイルのビートだけで構築された、ラッパーやシンガーをフィーチャーした作品も、個人的には聴いてみたいとも思ったりもする。ジャジスポさん、いかがでしょうか?

Lee Gamble × Renick Bell - ele-king

 さまざまなスタイルを解体しながら折衷し、独創的な音楽を創造するプロデューサーのリー・ギャンブル、この2月に〈Hyperdub〉より最新EP「In A Paraventral Scale」を発表したばかりの彼が、3年ぶりとなる東京公演を実施する。会場は渋谷 WWW X で、WWW のレジデント・パーティ《Local World》の一環としての開催だ。ズリキシにと、最近ノりにノっているギャンブル主宰の〈UIQ〉だけど、同レーベルからリリース経験のあるレニック・ベルが今回の共演相手を務めるとのことで、彼の「アルゴレイヴ」がいかなるものなのか確認する絶好の機会でもある。5月最終日は WWW X へゴー。

Local X3 World Lee Gamble

超越のハイパー・レイヴ! UKエレクトロニックの鬼才 Lee Gamble (UIQ) が〈Hyperdub〉移籍後、初の東京単独公演を WWW X にて開催。共演に自身のレーベル〈UIQ〉からリリースした Renick Bell が登場。追加ラインナップは後日発表。

ジャングル、レイヴ、テクノ、アンビエントを超越したハイパー・コンクレートな作風でサウンド・デザイナー、ジャングリスト、コンポーザー、DJとして活動、エレクトロニックの名門〈PAN〉や〈Hyperdub〉からのリリースを軸にアートとクラブ・シーンをまたぎながら着実なキャリアを重ね、また近年のエレクトロニック・ミュージックにおいて大きな潮流へと発展した“脱構築”のパイオニアとしても名高いロンドンの鬼才 Lee Gamble がコンテンポラリーなエレクトロニック/ダンス・ミュージックを探求する WWW のレジデント・パーティ Local World に登場。ローカルからプログラムをリアルタイムに書き換えながらアルゴリズミック・パフォーマンスを行うコンピューター・プログラマー/電子音楽家、日本在中の Renick Bell が出演し、アルゴリズムとレイヴの混合語「アルゴレイヴ」と自ら名付ける、アルゴリズムによって作られたリズミックな即興音楽を披露。90年代クラブ・ミュージックの解体と合成から生成されるハイパー・レイヴなクラブ・ナイトが実現する。追加ラインナップは後日発表。

Local X3 World Lee Gamble
2019/05/31 fri at WWW X

OPEN / START 24:00
ADV ¥1,800@RA | DOOR ¥2,500 | U23 ¥1,500

Lee Gamble [UIQ / Hyperdub / London]
Renick Bell [UIQ / Halcyon Veil / US/JP] - LIVE
+ more

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011107.php
前売:https://jp.residentadvisor.net/events/1258078


Lee Gamble [UIQ / Hyperdub / London]

英バーミンガム出身、現在はロンドンを拠点に活動する Lee Gamble。ジャングル、テクノ、レイヴ、アンビエントを超越し、サウンド・デザイナー、ジャングリスト、コンポーザー、DJとして抽象的で近未来的な作風で鬼才の名を恣にしている。ベルリン〈PAN〉からジャングルを解体した話題作『Diversions 1994-1996』や名作『KOTCH』含む3作を発表し、2017年に Kode9 の〈Hyperdub〉から『Mnestic Pressure』をリリース。複雑で抽象的な電子音楽プロデューサーとしてのみでなく、常に新鮮な楽曲をダンス・フロアに提供する傑出したDJとしてカルト的な地位を築いた。その後もビジュアル・コラボレーターの Dave Gaskarth とA/Vショー「Foldings」を行い、またロンドン現代オーケストラとの共演、これまでに ICA London,、Southbank Centre、MoMa PS1、Tate Modern、Sonar Festival、Berghain, WWW in Tokyo, MMCA Seoul、Fabric、Ministry of Sound、Sonar Festival、Unsound Festival、Oval Space、Village Underground、Mutek Festival、Old Granada Studios、Dimensions Festival and The Empty Gallery in Hong Kong 等様々な場所で活動の幅を広げている。近年、新しい才能を発掘すべく自身のレーベル〈UIQ〉をスタート。日本在中の Renick Bell、N1L、Lanark Artfax、Zuli、Nkisi 等、実験作品をリリース。最近では〈Hyperdub〉より3部作となるアルバム『In A Paraventral Scale』の第1部がリリースされる等、旺盛な活動が続いている。

https://soundcloud.com/leegamble

Renick Bell [UIQ / Halcyon Veil / US/JP]

アメリカ出身日本在住のプログラマー/電子音楽家。オープンソースのソフトウェアを使用してライブコーディング、即興演奏、およびアルゴリズムの合成を研究。Cask、Haskell やプログラミング言語を用いたライブコーディングによって演奏した作品やパフォーマンスを行い、これまでに〈UIQ〉、〈Halcyon Veil〉、〈Seagrave〉から実験的な作品をリリースしている。

https://soundcloud.com/renick

interview with Midori Aoyama, Masaki Tamura, Souta Raw - ele-king

 デトロイト・スウィンドルやレイ・ファーなど、数々のアーティストの来日を手がけるイベント〈Eureka!〉の主宰として、ハウス・ミュージック・シーンに確かな実績を残してきたMidori Aoyama。〈Eureka!〉がレーベルとしても好調ななか、Midoriが次に仕掛けたプロジェクトが、インターネットラジオ「TSUBAKI FM」だ。
 昨年の立ち上げ以降、毎週日曜にライヴ配信を行っている「TSUBAKI FM」だが、その特徴は〈Eureka!〉とは一線を画すラインナップにある。ロック・ステディ・クルーのスキーム・リチャーズからCMYKといった国内の若手クルーまで、ジャンルもキャリアも異なる様々なDJがこのネットラジオでプレイしてきた。とりわけ「TSUBAKI FM」が力を入れてピックアップしたのが、Masaki TamuraとSouta Rawだった。

 京都在住のMasaki Tamuraは、国内でも屈指のジャズイベント〈DoitJAZZ!〉を主宰し、ジャズDJの枠を広げるような活動を行なっている。近年では、ジャイルス・ピーターソンによる「Worldwide FM」の京都サテライトとしてスタートした「WWKYOTO」のDJにも抜擢された。Souta Rawは、サダー・バハーの国内ツアーなどでも知られる茶澤音學館に所属し、アンダーグラウンドなディスコを中心に、幅広いジャンルをかけるDJだ。Aoyama TUNNELで毎週火曜のレギュラーを務めている。

 Midori Aoyama、Masaki Tamura、Souta Raw。同世代ながら背景の異なる3人だが、今年2月には「TSUBAKI FM」として、東京、京都、広島、福岡の4箇所でツアーを行なった。各地を回ったあとで、彼らがDJとして見据えるものはなんだろうか。ネットラジオで日本全国を巡るというかつてないツアーを経験した3人に話を聞いた。

5年前にマッツにインタヴューしたときに、「自分がキャリアを続けられるのは、ハウス以外の音楽もやってて飽きないから」って言ってて。それ聞いたときは「何言ってるんだこのおっさん」くらいに思ったけど、だんだんわかってきた(笑)。──ミドリ

まず、「TSUBAKI FM」の設立経緯を教えてください。クラブ・シーンでは、Midoriくんといえば〈Eureka!〉の主宰者、という印象が強いと思います。パーティやレーベルとして〈Eureka!〉の運営も好調のように見えますが、なぜ新たにネットラジオを立ち上げたのでしょうか?

Midori Aoyama(以下、ミドリ):元々、曲を探すときにジャイルス・ピーターソンの番組とか聴いてたし、自分でもいつかラジオをやりたかったんだよ。それにいま、ネットラジオは戦国時代に突入してるよね。ヨーロッパでは「NTS Radio」や「Red Light Radio」、アメリカなら「The Lot Radio」とかがあるから。日本でも最近はいろんなネットラジオが出てきた。でも、自分たち好みな、4つ打ちから生音まで扱うネットラジオってあまりなかったからさ。日本にないんだったら作ろうってことで始めた。

〈Eureka!〉と「TSUBAKI FM」ではどのような違いを感じてますか?

ミドリ:ネットラジオの方がライフスタイルに近いかな。〈Eureka!〉は日常とかけ離れた空間を創造していくんだけど、「TSUBAKI FM」は普段の生活に音楽を持ち込むってところを意識してる。そこは大きな違いだと思う。やっぱり30代になるとクラブから卒業する人が多いんだよね。クラブに行けない人とか東京以外に住んでる人でも僕らのやってる音楽を聴きたい人がいるから、ラジオがあったほうがいいなって。あとはかける音楽が違うかな。〈Eureka!〉はハウスだし、「TSUBAKI FM」はもっと広いジャンルを扱ってる。自分も数年前までハウスしかかけてなかったけど、他のジャンルのDJにもネットラジオに出てもらって、いろんなものを吸収することができた。

ラジオではほぼ毎回、ミドリくんも新譜のジャズやソウルをかけてますよね。

ミドリ:自分でもずっとハウスをやっていきたいと思っていたけど、続けていくうちに変わってきた。その点、〈Eureka!〉にも出演したマッド・マッツの存在が大きいんだよね。5年前にマッツにインタヴューしたときに、「自分がキャリアを続けられるのは、ハウス以外の音楽もやってて飽きないから」って言ってて。それ聞いたときは「何言ってるんだこのおっさん」くらいに思ったけど、だんだんわかってきた(笑)。それに、他の音楽を吸収することによって、ハウスの新しい面白さも見えて来るんだよね。サンプリングのネタがわかるようになるし。

「TSUBAKI FM」ではこれまでにいろんなDJが出演してますが、とくにピックアップしてるのが、MasakiくんとSouta Rawくんですよね。この2人を選んだ理由やきっかけはありますか?

ミドリ:僕が探してないのもよくないんだけど、同世代で面白いDJってあんまり知らなかったんだよね。だから、「TSUBAKI FM」を立ち上げる前に新しいDJを見つけようと思って、ハウス以外の音楽がかかるクラブとかバーに積極的に遊びに行って探しはじめた。それで、ラジオをやって全国に発信するならまずは地方のDJがいいなって思って、沖野修也さんとかJazzy SportのMasaya Fantasistaさんとかに聞いたら、「京都にTamuraくんっていうジャズのDJがいるよ」って話になった。

Masaki Tamura(以下、マサキ):そうそう。それも最初のきっかけはマッド・マッツかな。ミドリくんがマッツのツアーをやるにあたってメールでやりとりした。僕は当日に別のイベントがあって結局出れなかったけど、ミドリくんが京都に来たときに喋って。それがラジオを立ち上げる1年前ぐらい。

Souta Rawくんについては?

ミドリ:カンマ&マサローのツアーをやってたときに、2人と一緒にAoyama TUNNELに遊びに行ったら、Souta Rawが回してた。2人が「このDJすごくいいから聴いた方がいいよ」って言ってて。それで、別の日にNTSレギュラーのナビア・イクバルと一緒にTUNNEL行ったときも、「このDJ本当にいいから、絶対「TSUBAKI FM」のラジオでやった方がいいわ」って言われた。外タレ2組に言われてたんだよ。それ絶対ヤバいでしょ。それで声かけたんだっけ?

Souta Raw(以下、ソウタロウ):そうだね。ミドリくんから話しかけられたんだと思う。

そうすると、3人ともお互いを知らなかったんですね。それは意外でした。

マサキ:だからまだ出会って1年ちょっとくらい。去年の2月に「TSUBAKI FM」のローンチ・パーティをThe Roomでやったときに、ソウタロウくんと初めて話した。

ソウタロウ:そうそう。「こういう人たちがいるんだ。面白いな」って思った。

ソウタロウくんは茶澤音學館に所属していて、ディスコのシーンに近いですよね。あと、昔から7インチでDJしてる印象があります。

ソウタロウ:島くんと出会ったときは、ちょうどケニー・ドープやDJスピナが、ヒップホップやハウス、ディスコとかファンクとかレゲエなんかのジャンルを、7インチ・オンリーで跨ぎながらやっていたんだよね。彼らに影響を受けて、7インチのパーティを毎週やっていたからそういう印象があるのかも。そのときに7インチでジャンルを跨ぐのって珍しかったし、今だと当たり前のように置いてあるハウスやヒップホップの7インチコーナーもあまりなかったから、集めるのに苦労したね。

なるほど。そうやってジャンルを横断するDJをやる前は、ディスコやハウスをかけてたんですか?

ソウタロウ:いまはAoyama TUNNELで毎週やらせてもらっているからディスコ・ハウスのイメージを持ってる人もいると思うけど、最初はレゲエばかりかけてたね。昔、六本木にRoots Nっていう小箱があって、そこでヴィンテージのジャマイカ音楽をかけるパーティをはじめた。そのお店のスタッフに「〈Coffe & Cigarettes〉ってパーティが面白いから」って誘われたら、そこでDJ Kenseiさんがやってたんだ。いろんなジャンルの音楽がかかっているし、そのかけ方と鳴りが最高で、いろんな音をかけたいと思うようになった。その後しばらくして、サダー・バハーのDJを聴く機会があって、そのグルーヴ感とみんなを笑顔にするあまりのハッピー感に感動して、ディスコやジャズ・ファンク、シカゴ・ハウスを集めはじめたんだよ。自分は生音から入ってハウスをかけるようになったけど、ミドリくんはハウスから入って生音をかけはじめた。逆なんだけどそれが面白かったね。

マサキくんは京都で〈DoitJAZZ!〉ってパーティをやっていて、ジャズDJのシーンにいますよね。

マサキ:そう、基本的には生音でやってて。でも、どっちかっていうと最近はハウスに寄っていってる。さっきも話に出たけど、ミドリくんがハウスから他のジャンルに近づいてるとしたら、僕らはもうずっとジャズをやってたのが、ハウス界隈とかディスコ界隈の方に行ってる感じがある。

ちょっと意地悪な質問をすると、変わっていったのは、やっぱりジャズを集めるのが大変というのもありますか?

マサキ:きましたね(笑)。最初ジャズをやろうと思ったときは、スタンダードにレア盤を買ってたけど、途中で絶対無理やって気づくじゃないですか。すごいコレクションの人も身近にいるけど、自分が同じようにはできない。だから、「ジャズDJが必ずしもジャズのレア盤をかけなあかんわけでもない。別の新しいものを提示していくのもジャズじゃないか」って勝手に解釈した。例えば、500円の日本人のフュージョンとか、そういう方向性でいったら結構楽になってきたかな。その延長で、フュージョンのアルバムとかやったらディスコっぽいのもあるし、「これは4つ打ちで混ぜれるやん」って。ジャズをやってるつもりがいつの間にかディスコになっていき、それがまたハウスにもつながる。そういうスタンスでやってます。もちろん勝ち負けじゃないけど、上の世代の人と同じことをやってると勝てない。

お互いの興味が徐々に近づいて行ったときに、3人でやり始めたのがいいですね。

ミドリ:近づいてはいるけど、お互いこれまでにこだわってきた自信のある部分と足りない部分があるんだよね。自分だったらハウスでは負けないし、新しい音楽をいち早く届けるってところに長けてるけど、ジャズとか7インチは2人に教えてもらうことが多い。ラジオだとそういう不得意なところを自分で補うんじゃなくて、誰かにやってもらえるのがいい。2人とはそういう価値観を共有できるし、「TSUBAKI FM」の可能性を広げてくれる存在だと思う。

マサキくんとソウタロウくんは、実際にネットラジオでDJしてみてどう感じましたか?

マサキ:クラブと選曲の仕方とかかけ方が少し変わるかな。あと、普段クラブに来ない人から反応があるのは嬉しい。

ソウタロウ:やっぱり知らない人から反応があるっていうのは一番面白いかな。TUNNELにたまたま来る海外の人でなぜか「TSUBAKI FM」でのDJをチェックしてて、「聴いてるから来たよ」って言われたり。それってびっくりするじゃん。とくに俺は、マイクで紹介してレコードをかけるっていうジャマイカのスタイルが好きだから、ラジオでDJする機会をミドリくんにもらってよかった。

海外の人がチェックしてる点も含めて、手応えは感じてますか?

ミドリ:それはもう超感じてる。世界中からメッセージが来るし、「自分もラジオでやりたい」って言ってくれる。

そうしたなかで、今回ツアーをやった理由はなんですか?

ミドリ:単純にラジオを東京でやってるだけじゃ、広がらないなっていうのがひとつ。やっぱり現場で人と出会って伝えるのが一番大事かなと。もうひとつは、僕らがやってることを日本中の人にちゃんと見てほしかった。「TSUBAKI FM」を紹介するときに、自分が面白いと思ってる2人を全国の人に紹介しなくちゃいけないっていう気持ちがあった。実際、ツアーをやってみると、「2人はすごい」ってみんな言うんだよ。そこはマジでやってよかった。

[[SplitPage]]

最初ジャズをやろうと思ったときは、スタンダードにレア盤を買ってたけど、途中で絶対無理やって気づくじゃないですか。すごいコレクションの人も身近にいるけど、自分が同じようにはできない。だから、「ジャズDJが必ずしもジャズのレア盤をかけなあかんわけでもない。別の新しいものを提示していくのもジャズじゃないか」って勝手に解釈した。──マサキ

ちょっと話を戻すと、ラジオをやって海外の人から連絡来たりといった反応はあるけど、国内的にはそこまで手応えを感じなかったんですか?

ミドリ:どっちかって言うと、広がってるのをもうちょっと肌で感じたかった。昔のラジオだったらラジオステーションがあって、そこに人が集まらないと放送できなかったけど、ネットラジオはネットと電源があればどこに行ってもできるから。全国津々浦々、場所を変えてやるのはすごい価値あるなと思ったし、「TSUBAKI FM」で1年間やってきたことを大きいパッケージにしたいなって思ったのが今回のツアーだね。

ツアーをして、「マサキくんとソウタロウくんがすごい」っていう反応があったという話でしたが、一方で、3人の目から見て地方のDJはどのように映りましたか?

マサキ:地方は地方で独自に発達してるというか。どのジャンルをかけてるっていうわけじゃないんだけど、自分の色をださはる人が多いというか。自分のスタイル、世界観でやってるなみたいな。

ソウタロウ:全然違うんだよね。「いまこれかけるんだ」みたいな、独特ですごい面白いし、向こうも同じように感じてるんじゃないかな。言い方悪いけど、東京の人だと似てくるじゃん。このシーンの人はこの感じって。だからツアーで回ってみて、みんな個性的だなって思ったし、それにすごく影響を受けた。

ミドリ:広島で24、5歳くらいの若いDJがいて、みんなよかった。しかもレコードでかけてるし。

ソウタロウ:まだ1年ぐらいとか言ってた人もいたもんね。俺は1年でこんなにできなかった(笑)。

ミドリ:HitomiちゃんっていうDJ。すごいセンスあったな。広島では7時半くらいまでやってたんだけど、その子は最後まで残ってて(笑)。僕らがツアーしたことで彼女に出会えたし、彼女にとってもいい経験になるといいな。5年後とか10年後、そういうDJが面白いことやってくれるんだったら、それだけでもやってる意味があると思う。

マサキくんは京都だけど、ジャズでDJやってると、京都が地方っていう感じはあまりないですよね。沖野修也さんと沖野好洋さんがよくイベントやってるし。

マサキ:たぶん、京都は東京の情報が結構入ってくるからそこまで変わりはない。でも、福岡とか広島とか、京都より西に行くと全然雰囲気が変わりますね。京都はちょっと中途半端かな(笑)。自分が京都だから分からへんけど。

ミドリ:それが今後効いてくると思うんだよね。だって、マサキくんは京都をベースにしてるわけだから、東京以外からも情報発信できる可能性があるわけじゃん。だから西で何かをやろうとしたときに、僕じゃなくて、彼を中心に西日本で面白いコンテンツをやるのはかなり大きいと思う。今回のツアーで、関西のDJと一緒に全国を回ったのはすごく大きい。

そういう役割は自覚してますか?

マサキ:フットワークが軽いのが自分のいいところ。東京は東京の人だけ、関西は関西の人だけでやっちゃうことが多いから、みんながもうちょっと自由に適当に動けるぐらいの方がいいのかなとは思う。もちろん他の人でもいると思うけど、僕みたいにリリースをしてないDJも、いろんな場所にいけるやんっていうのがあった方がええかなと。

やっぱり知らない人から反応があるっていうのは一番面白いかな。TUNNELにたまたま来る海外の人でなぜか「TSUBAKI FM」でのDJをチェックしてて、「聴いてるから来たよ」って言われたり。それってびっくりするじゃん。──ソウタロウ

では、これからいろんな場所で情報を発信するなかで、「TSUBAKI FM」ないし3人がとくに推したいものはありますか? ジャンルや曲だけでなく、DJでもいいのですが。

ミドリ:僕はまず、「TSUBAKI FM」でもDJしてもらったMayu Amanoを推したいね。彼女みたいな20代前半の若いDJって本当に育ってきてるけど、僕らの世代や上の世代はそれがあんまり見えてないよね。これから若いアーティストやDJがすごい勢いで出てきて、すごいスピードで追い抜いていくから。それは今回広島とか福岡に行ってみて感じた。そういう新しい世代を紹介したいし、一緒にやりたい。

ソウタロウ:ブラジルの〈ゴマ・グリンガ〉っていう、リイシューとブラジルの最新の音楽、どちらもピックアップしてるレーベルかな。ジャズとかファンクとかロックとか、いろんな要素が混ざってるバンドをリリースしてるんだけど、そのなかでもメタ・メタっていうバンドがかなり面白い。トニー・アレンも参加してるし、ノイズみたいな瞬間もあったり、でもブラジルっぽい美しさもあったり。普段かけるのとは違うけど、ラジオでかけれそうだし、尖った音楽を聴きたい人にはそのレーベルは面白いんじゃないかな。

マサキ:最近、日本人の80年代のニューエイジとかアンビエントにはまってますね。例えば、旧譜のアニメのサントラとかも、レアグルーヴ的な聴き方じゃなくて、ニューエイジ的な聞き方で聞いてみたい。シティポップとかも流行ってるけど、僕にはこっちの方が面白いな。安いし。

日本のアンビエントなジャズだと、濱瀬元彦さんの作品とかも最近リイシューされてますしね。

マサキ:ラジオをやってからその辺の聴き方を勉強して、「いけるやん」ってなって買ってる。あと、そういうビートないものとかかけてパーティ感が薄くなっても、逆に面白いかなっていうね。

ジャズといえば、「TSUBAKI FM」では最新のUKジャズも積極的に紹介していますよね。メディアを見るとUKジャズがかなり盛り上がってるように思えますが、ラジオではなくクラブのフロアではどうですか?

マサキ:いいんだけど、DJとしては何かが足りひんよね。

ミドリ:それディーゴも同じこと言ってた。

UKジャズの新譜はたくさん出てるのに、そこまで現場でかかってない気がします。次々と登場する新しいミュージシャンの名前は覚えるけど、曲の印象が薄いというか、DJ的にどれがいい曲かというのがあまり定まってない。フロアでクラシック化した曲って全然ないですよね。

ミドリ:わかる。リスナーに強く訴えるだけのエンジンが足りないのかも。この曲がアツいっていうのを刺しにいくようなパーティやラジオもそんなにないしさ。あと、日本のクラブに関して言えば、日本のアーティストだったりDJがそのシーンに行かないといけないんじゃないかな。やっぱり海外のものを単純に扱ってるだけだと刺さんないよね。例えば、Ryuhei The Manさんのレーベルから出たNAYUTAH「Girl」のMUROさんのエディットとかはすごくかかってるじゃん。ああいうのが今後大事だよね。純国産っていうところはキーワードだなって思う。将来、「TSUBAKI FM」でもレーベルをやりたいって思ってるし、日本人のコンピレーションもやりたい。ジャイルスがやったUKジャズコンピ『We Out Here』の日本人版みたいな。

国産音源だっていうのもわかりますが、メディアとは別の回路で、USジャズなりUKジャズなりの海外の作品を、クラブから独自にクラシック化させないとマズいと思ってます。自分もDJなので、クラシックをどう作るかってところは意識したいです。

ミドリ:逆だと思うんだよね。UKジャズがサウスロンドンから出たことで、今度はディーゴとか、ウエストロンドンのブロークンビーツがクラシックになったじゃん。新しいシーンができることによって、いままでやってたのがクラシック化されるっていうのもあるはずなんだよね。その流れの中で、ウエストロンドンのマーク・ド・クライヴ・ロウがジャズのアルバムを作るとか、さらに新しい動きがあるのも面白い。

そういった動きの紹介も含めて、新譜や旧譜に限らず、新しいクラブクラシックが3人の周りから出てくることを期待しています。では最後に、3人の今後について、展望や目標を教えてください。

ソウタロウ:毎週火曜日にAoyama TUNNELでやっている〈Tunnel Tuesday〉をもっと盛り上げたい。単純にもっと深く深くプレイを出来るようになりたくて、その為に毎週トライ&エラーを繰り返すのみだね。あと、なんとか時間を作って、今年こそはEDITモノなんかを作りたい。

マサキ:僕は地元が京都なので、もっと京都を面白くしたいというのが根底にあって。「TSUBAKI FM」含めていろんなことをやって地元に還元したいし、プラスにしていきたい。できれば、東京の人とかが「京都は東京よりも面白いことやってんな」って思ってもらいたい。最終的には、音楽だけじゃなくて街としてもっと面白くなったら、逆に音楽ももっとよくなるかなって。

ミドリ:やりたいことがめっちゃあるんだよね。全部やったら5年はかかるくらいあるんだけど、もちろん「TSUBAKI FM」は大きくしていきたい。違うな。もっと濃くして価値のあるものにしていきたい。結局さ、大きくしたいってなったら、数字とかSNSのフォロワーとかになっちゃうじゃん。「TSUBAKI FM」はそれだけを指標にしたくない。数字で見えないものにも価値をつけたいから。

数字で見えないものというのは?

ミドリ:具体的には2つあって。まずは日本をどうやって面白くしていくか。もっともっと東京以外にいるDJを探したいし、「TSUBAKI FM」でもプレイしてほしい。あとは若いアーティストだけじゃなく、ベテランでも、まだみんなに知られてないDJは紹介したい。もう1つは、今日本でやってることを海外に発信していくこと。自分も海外でツアーやってみて思ったけど、結局1人で頑張っても無理なんだよね。でも、「TSUBAKI FM」っていう器があることによって、新しいアーティストやDJを海外に紹介できると思った。2人にもガンガン海外でやってもらいたいし、やれるようにみんなで頑張りたい。ちゃんと海外のアーティストを日本に紹介していく作業と、日本のアーティストを海外に紹介していくって作業がうまいことできてくると、日本のシーンとカルチャーがもっと面白くなるんじゃないかな。

■Current Top 5

//Masaki Tamura//
Joe Cleen - Care While It Lasts
St Germain - Real Blues (Terry Laird & The Run Island mix Band Jazz mix)
Emma-Jean Thackray - Ley Lines
Jazzanova - Dance the Dance (Atjazz Remix)
Studio R - A+R feat.Capitol A (Llorca Remix)

//Souta Raw//
Frank Pisani - Please Don't Make It Funky
Special Touch - This Party Is Just For You
Joe Coleman - Get It Off The Ground
Kindred Spirit & Corina Flamma Sherman - Inner Languages
Manfredo Fest - Jungle Kitten

//Midori Aoyama//
14KT Presents IAMABEENIE - The Power Of Same ft Muhsinah
KOKOKO! - Malembe
Harvey Sutherland - Something In The Water ft. Jace XL
Wipe The Needle feat. Alex Lattimore - Enchanted (Original Mix)
Jaxx Madicine - Astral Changes


TSUBAKI FM

ABOUT

Tsubaki FM is a brand new platform for independent music, straight from the heart of Tokyo. We aim to bring new life to the underground music scene in Japan while also helping better connect artists and listeners worldwide. Get fresh tracks from diverse genres, music culture information, live broadcasts, and more.

東京発、インディペンデントミュージックを発信する新しい音楽プラットフォーム 『TSUBAKI FM』世界中から集まるクオリティの高いアーティストやリスナーをキュレーションしながら日本のシーンに対して新しい風を送ります。 様々なカルチャーや多彩な音楽そしてライブブロードキャストを中心に毎週日曜日 18:00~21:00 にしぶや道玄坂のウォーム・アップバー「しぶや花魁」から配信中

Web: https://tsubakifm.com
Facebook: https://www.facebook.com/tsubakifm/
Instagram: https://www.instagram.com/tsubaki.fm/
Mixcloud: https://www.mixcloud.com/tsubakifm/
Soundcloud: https://soundcloud.com/tsubakifm

Holly Herndon - ele-king

 人工知能、ほんとうにブームである。書店へ行けば「シンギュラリティ」という言葉を掲げた本をよく見かけるし、私たちも紙エレ最新号で「なぜ音楽はいま人間以外をテーマにするのか?」という特集を組んだけれど、渡辺信一郎の新作アニメの世界で音楽を作っているのはAIということになっているようだし、今月末にリリースされるカーリーンのデビュー作もAIとのコラボだ。そしてホーリー・ハーンダンもその波に乗ると。なんでも、彼女がニュー・アルバムで共作している相手は「Spawn」という名のAIの“赤子”なんだとか。はてさて、いったいどんなアルバムに仕上がっているのやら。発売は5月10日。

HOLLY HERNDON

海外主要メディア大絶賛! エレクトロニック・ミュージックと知性の融合。
ホーリー・ハーンダン、人工知能と共作した挑戦的な最新アルバム『PROTO』を5月10日に発売へ。

エレクトロニック・ミュージックとアヴァンギャルドなポップ・ミュージックを追求し続け、常識を突き崩す作品を世に出してきたホーリー・ハーンダンが、英名門インディーレーベル〈4AD〉から最新アルバム『PROTO』を5月10日にリリースすると発表した。人工知能(AI)とのコラボレーションによって生み出されたという前代未聞の作品となっている。今回発表に合わせて、新曲“Eternal”が公開された。

Holly Herndon – Eternal
https://www.youtube.com/watch?v=r4sROgbaeOs

ホーリー・ハーンダンは、米南部テネシー州出身。幼い頃は合唱団などに参加していたものの、ダンス・ミュージックやテクノの中心地として知られるベルリンへの交換留学プログラムに参加したことを機にベルリンのクラブで演奏経験を積むなど、クラブ・ミュージックに傾倒していった。米国に帰国してからは、カリフォルニア州のミルズカレッジでエレクトロ・ミュージックとレコーディング・メディアの博士号を取得。また The Elizabeth Mills Crothers Prize の最優秀作曲賞を受賞している。2012年にデビュー・アルバム『Movement』をリリースし、2015年には〈4AD〉から 2nd アルバム『Platform』を発表。米音楽メディア Pitchfork で10点中8.5点を獲得するなど各メディアから賞賛された。現在は米名門スタンフォード大学の博士課程に在籍し、Max/MSP などのプログラムを使用してエクスペリメンタル・ミュージックの可能性をさらなる高みへと突き詰めている。

最新アルバムは、「Spawn」と名付けられたホーリー自身のAIの“赤ちゃん”とのコラボレーションの中で生まれた。しかし、決して今作がAIについてが主要のテーマとなっている訳ではないという。テクノロジーの進歩と音楽を結び付けたスタンフォード大に在籍するホーリーならではの知性あふれるアプローチが取られた傑作となっている。

今回公開された新曲“Eternal”は、人間の精神をコンピューターなどの人工物に転送するという“マインド・アップローディング”を通じて転送された“永遠の愛”にインスピレーションを得ている。同時に解禁されたMVは、人間の顔を分析し探しているというAIの視点から映像を加工して作られたという。

最新アルバム『PROTO』は、5月10日(金)にリリース決定! 国内仕様盤には、歌詞対訳、ライナーノーツが封入される。現在 iTunes Store でアルバムを予約すると、公開されている“Eternal”と先にリリースされた“Godmother”がいち早くダウンロードできる。

Holly Herndon & Jlin (feat. Spawn) - Godmother
https://www.youtube.com/watch?v=sc9OjL6Mjqo

「AIの未来を形作っている」 ──CNN
「野心的」 ──FADER
「ハミングしたり、口ごもったりしているそれには、生々しい、新生の性質があり、それはまるでジリジリと音を立てて女王蜂を探している蜂の群のようだ。」 ──NPR(“Godmother”について)
「人間のインプットを、非人間的なタイミングでアウトプットした、多層からなるグリッチなビートボックス」 ──NY Times(“Godmother”について)

label: BEAT RECORDS / 4AD
artist: Holly Herndon
title: Proto
release date: 2019/05/10 FRI ON SALE
国内仕様盤CD 歌詞対訳/解説書封入
4AD0140CDJP ¥2,000+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10174

TRACKLISTING
01. Birth
02. Alienation
03. Canaan (Live Training)
04. Eternal
05. Crawler
06. Extreme Love (with Lily Anna Haynes and Jenna Sutela)
07. Frontier
08. Fear, Uncertainty, Doubt
09. SWIM
10. Evening Shades (Live Training)
11. Bridge (with Martine Syms)
12. Godmother (with Jlin)
13. Last Gasp

What’s the point of indie rock? - ele-king

 2019年になったいま、日本のなかで、あるいは世界の他の国々のなかで生まれている、もっとも刺激的で、また文化的な意義をもった音楽を思い浮かべてみるとき、ただちに気づくのは、どうやらそこにインディー・ロックのバンドは入ってきそうにないということだ。ヒップ・ホップやダンス・ミュージック、あるいはアイドル音楽でさえもがいま、定期的に、誰も予想していなかったような新しいアイデアを、この世界にたいしてはっきりと表明している。そのいっぽうでインディー・ロックは(あるいはより一般的にいってロック・ミュージック全般は)、刺激的で文化的な音楽の場から引きこもってしまい、ジャズに似たポジションを占めることになっている。つまりそれは、ニッチな世界のなかでは実験的な可能性を残しているものの、そうした世界を超えた先での影響は断片的なものにとどまり、より文化的な意義をもった音楽の形式によって、たいていの場合ノスタルジーに溢れた楽観的な雰囲気とともに参照されたりサンプリングされたりするという、そんなポジジョンに置かれているわけである。
 
 2018年におけるインディー・ロックのハイライトを振りかえってみるとそこには、1990年代の影が覆いかぶさっているのが、ありありと見てとれる。そこにはヨ・ラ・テンゴ、ザ・ブリーダーズ、ガイデッド・バイ・ヴォイシズ、クリスティン・ハーシュ、ロウ、ジェフ・トゥイーディー、そしてスティーヴン・マルクマスといった、いずれもその当時に高い評価を受けたアルバムをリリースしているバンドが登場してくるわけである。そうしたアーティストたちの多くは、ブライアン・イーノが「農夫たち farmers」と分類した者たちである。彼らは同じ土地の一角で何年も何年も仕事を続け、その土地を豊かで生産的なものに維持してはいる。だが彼らが新たな領域へ踏みこむことはけっして起こらない。インディー・ロック界には多くの農夫たちがいるが、カウボーイはごくわずかしかいないのである。
 
 このことは、そうしたアーティストたちが間違っているということを意味するわけではないし、まして彼らが、否定的な意味でノスタルジックだということ意味するわけでもない。彼らがいかにザ・フーやチープ・トリックや、その他の過去の古典的なロックを参照しているかを聴いてみればわかることだが、ガイデッド・バイ・ヴォイシズは、あからさまにノスタルジックなバンドである。だが彼らがそうした要素を操作するやり方は同時に、みずからを記念碑的な何かへと変えようとするロックのもつ傾向を、まったく意に介すことのないものだ。ガイデッド・バイ・ヴォイシズの素晴らしく多産なソングライターであるロバート・ポラードにとって、ロックはつねに動きつづけるものであり、そしてそのバンド名にもあるとおり、ひとりの「ガイド」としての彼がもっている理念は、まったくラディカルなものでありつづけている。すなわち、ロックの曲を生みだすことなど簡単なことであり、誰にだって可能なことなのだというわけだ。

 それじたい皮肉な話だが、ノスタルジックなものはまた、われわれが過去に夢見ていた未来のヴィジョンを想起させるものでもある。ヨ・ラ・テンゴの『ゼアズ・ア・ライオット・ゴーイング・オン』のいくつかの曲は、クラウトロックのもつ流れるようでモータリックな未来主義をふたたび取りあげていながら、しかしどこかで、物悲しい雰囲気に取り憑かれてもいる。クラウトロックのような音楽が当初われわれに約束していた未来に、いったい何が起こってしまったというのだろうか。やはり90年代からの難民のひとりである音楽プロデューサーのジェフ・バーロウも、ビークの『>>>』において、ヨ・ラ・テンゴと同じような領域を探求している。じっさいのところもはやロックとは見なせないほどに、進歩的で実験的なロックやエレクトロニカの領域へと進んでいるといいうるこのアルバムの特徴は、次のような重要な問いを喚起するものだ。すなわち、インディー・ロックがいままでとは異なった何かをやるとすぐに、別のカテゴリーに分類されてしまうのだとしたら、ではいったいどうやってそれは、いまより以上の何かに変化することを望んだらいいというのだろうか。 

 2018年のもっとも優れたインディー・ロックのアルバムであり、ことによればその年のベスト・アルバムともいえるものだったのは、ロウの『ダブル・ネガティヴ』だった。そのなかに集められた曲はどれも美しく、たがいに絡みあい、歪曲しあい、引き裂かれあっている。この作品は、いっぽうで幻惑的で、スリリングで、爆発的な斬新さをもつものでありながら、同時に、ロウのその長いキャリアのなかの他のどんな作品より、巧妙かつ控えめなものになりえている。われわれが習慣的に「ロック」と呼んでいるものからあまりにも遠ざかっているがゆえに、にわかには認めがたく、別の何かに分類したくもなるが、しかしにもかかわらず彼らの作品は、その核心部分においてひとつのロック・アルバムであり、ひじょうに洗練された美しいものとなっているのである。

 いったいどうすればインディー・ロックが、2019年において意義のあるものとなるのかを理解するためには、ここであらためて、それがどのようなものとして開始されたのかについて考えてみるべきだろう。おそらくそこには、それぞれに重要なものといいうる三つの点が存在している。

 第一に、インディー・ロックはメインストリームなポップ・カルチャーから距離を取り、そのなかに見られる強迫観念的で弱い者いじめ的な消費にたいするトップダウン式の命令から距離を取った空間を提供するものだ、という点が挙げられる。ポップ・カルチャーはひとを疲れさせるものである。それがかたちづくっている機械はすべてを飲みこみ、搾取して、その金属製の顎のなかに入ってくるありとあらゆるものを抜け殻に変えて吐きだしていく。そうしたものにたいし、1980年代におけるその誕生の時点でインディー・ロックは、(それじたい不完全で、多くの場合困難を抱えたものではあったわけだが)オルタナティヴなインフラや、理念や、美学をつくりだすことによって、パンクが中断してしまった空間をふたたび取りあげていたのわけである。

 そして第二に挙げられるのは、メインストリームなものから離れた世界は、これまでにないような魅力をもつオルタナティヴな存在でなくてはならない、という点である。インディー・ロックは、万人受けするようなやり方で物事を組織する必要はないのだということを示すものでなくてはならない。そしてだからこそ問題は、音楽さえあればそれだけでいいということにはならないわけだ。

 ミュージシャンたちがじっさいに演奏する音と同じくらいに、音以外の部分でのその表現や、それと分かるような目印がとなるものが、音楽にとって重要な要素となってくる。他のどんなミュージシャンよりもデヴィッド・ボウイが今日的な意義を保ったままであるその理由の大部分は、ジェンダー規範がことさらに保守的なものだった時代のなかにあって、男性性の再定義にたいし、彼がどれほど寄与したかという点にこそある。2018年の年末アンケートのなかで、多くの評者がソフィーやイヴ・トゥモアのようなジェンダーの揺らいだエレクトロニックなエイリアンの出現を賛美しているのを見ればわかるとおり、ボウイの遺産はいまやあきらかに、ロックというジャンルの範囲を超えて広がっている。

 インディー・ロックが1980年代に自立したものとなっていったのは、パンクのDIYという理念や、それがもっていた場所や時間についての現代的な感覚が、1960年代や70年代の音楽をノスタルジックなかたちでふたたびじぶんたちのものにすることと融合するなかでのことだった。ザ・スミスなどというバンド名のもつ、キッチンシンク派的な単調さと、モリッシーのグラジオラスの花にも例えられる波打つような派手な動きや、ジョニー・マーのリズミカルなギターの旋律との対比は、1980年代のマンチェスターにおける灰色をした郊外の団地の只中で、美しいものを熱望する憂鬱さをあらわしている。その音楽とイメージによって、それまで誰にも承認されることのないままに過ごしてきた者たちによってじっさいに生きられている現実と、彼らのもつロマンチックなものにたいする渇望を同時に表現することによって、ザ・スミスは、以上のような点をはっきりと象徴するバンドだったといえる。

 欧米では、ロックはだんだんと、白人による伝統的で文化的な庶民的表現にすぎないものとして、安易なかたちで見放されていくことになる。そんななかでインディー・ロックも、白人のミドルクラスによる庶民の表現という曖昧な役割を担っていくことになる。UKのエンド・オブ・ザ・ロードのようなフェスにひしめいている溢れるような白い顔の群れがはっきりと示しているように、こうしたジャンルの音楽は、だんだんと文化や人種が混淆したものになっている国家の多様性にたいして語りかける言葉をもってはいない。こうした問題は部分的に、有色人種のアーティストたちーーとくに黒人のアーティストたちーーが、インディー・ロックの分類の外に置かれ、「ブラック・ミュージック」として分類されるジャンルのなかに組みいれられているからだといえる。LAを拠点にしたシンガーソングライターであるモーゼス・サムニーの音楽はたとえば、両者からの影響によって特徴づけられるものであるにもかかわらず、ほとんどの場合インディー・ロックというよりソウルと呼ばれている。パンクの遺産を非白人アーティストのために解放することを目指したロンドンのデコロナイズ・フェスティヴァルによって、ロックの白人性にたいするバックラッシュは進んでいる。こうした傾向はやがて、トラッシュ・キットやビッグ・ジョニーのようなバンドを介して、インディー・ロックのなかにも広がっていくはずである。

 そのアルバム「ビー・ザ・カウボーイ」を多くのライターが2018年のベストにあげていた日系アメリカ人のシンガーソングライターであるミツキの人気は、彼女の音楽的才能だけではなく、そのアイデンティティーにも由来している。彼女のよくできたギター・ロックのなかには、ことさらにラディカルなところがあるわけではない。だがその音楽が、斬新でユーモアがありつつ、感情をさらけだすような正直さでじぶんじしんを表現するスキルをもった、非白人で女性のアーティストの視点から生みだされているという事実によって彼女は、いまのアメリカをかたちづくっているように見える攻撃的な白人男性たちからなる世界にうんざりしたオーディエンスに訴えかける声となっているのである。ミツキはじしんの弱さをさらけだして表現していくことを恐れないが、いっぽうでその歌詞は、ある意味でひとを元気づけるような、そんな世界観を提示するものでもある。クリスティン・ハーシュによる素晴らしいアルバム「ポッシブル・ダスト・クラウズ」のなかに聞かれる、自己を引き裂くような1990年代のジェネレーションXに特有のパニック発作のような調子と比べると、ミツキは、希望のかすかな光や慰めを提示している。そしてそうしたものこそが彼女の世界を、よりぞっとするような時代のなかで育ってきたファンたちにたいしてアピールする場所へと変えているわけである。

 根本的に白人的かつ男性的なものとしてのインディー・ロックにたいする批判は、たとえば日本のような、アジアの国の音楽を取りあげる場合、そのまま当てはまるものではない。もし西洋のオーディエンスが包括性や異種混淆性をいまよりももっと評価するようになっていけば、きっと日本は世界にたいして、多くのものを提示することができるようになるはずだ。だが、エレクトロニカやポップ・ミュージックの界隈では、じぶんたちが何をすべきなのかが自覚的に推し進められている傾向にある一方で、日本のインディー・ロックはいまだに多くの点で、イギリスやアメリカの音楽に頭の上がらない状態にあり、じぶんたちが崇める欧米のアイドルたちの美学を模倣し、それに適応することに夢中になっている。

 2018年の日本でリリースされたなかで、もっとも優れたインディー・ロックのアルバムはおそらく、ルビー・スパークスによるセルフタイトル・アルバムだろう。この作品は、まるで1995年のUKで製作されたかのような音を聴かせるものなのだが、いずれにしても美しく、魅力あるアルバムである。同様のことは、彼らと同じシーンにいる仲間たち、たとえば去年の夏にパンキッシュなシングル曲「バッド・キックス」をリリースした活きのいいバンドであるDYGLについても当てはまる。どちらも日本の音楽シーンにエキゾチックで斬新な何かをもたらしてはいるが、それは彼らがその音楽によって、当の欧米それじたいのなかでもはや失われてしまった欧米らしさを、わずかに漂わせているからだ。いっぽうで、インディー・ロックの周辺に位置しているクラン・アイリーンやクジャクのようなバンドは、サイケデリック・ロックやノイズ・ロックといった日本に固有の力強い伝統から多くの要素を引き出すことによって、Jポップのメインストリームにたいするオルタナティブを、よりはっきりと日本文化のなかに根づいたかたちで提示しているが、しかしそうしたバンドはいまだ、ニッチななかでもさらにニッチな場所に留まっている。

 インディー・ロックが日本のなかで、欧米の音楽と関係しないままでは立ち行かないような状態にある理由のひとつは、おそらく、それがもつ三つ目の価値に関連しているはずである。インディー・ロックがメインストリームから離れた空間を提供するものであり、そしてそうした場所が物事のあり方にたいする魅力的なオルタナティブをもたらすものなのだとしたら、定義上それは、いずれにしろ何かしらのレヴェルで、メインストリームなものと敵対するような関係のなかに入っていくことになる。いうまでもなく、日本のアーティストたちのなかで、あえてそうした関係のなかに入っていこうとする者たちは、ほとんど見られない。ルビー・スパークスやDYGLのようなバンドがやっているのは、Jポップ的なメインストリームなものに肩をすくめてみせることであり、そしてその上で、海外に慰めを求めることだ。だが、日本におけるインディー・ロックが、たんに「メジャーに行くほど有名ではないロック・ミュージック」以上の何かを意味するために必要なのは、お行儀のよさや寛容さを捨てさることであり、みずからを、支配的な自国内のポップ・カルチャーにたいするより明確な批判へと変えていくことなのである。

 より露骨にいっておこう。ロバート・ポラードがいっていることにもかかわらず、日本の場合であれ、他のどこかの場合であれ、インディー・ロックというものはもはや、わざわざそれを生みだそうと思うような音楽ではないのだ。いまの人々の生活のなかには、グループになって集まって曲を作ったり、練習したりするような自由な時間はない。みなリハーサルやレコーディングのために使う金をもっていないし、(とくに日本の場合に見られることだが)自腹を切ってライブをするのに使うような金をもっていない。いま現在でもっとも取っつきやすく、だからこそすぐに新たな才能を吸収していくことにもなる音楽は、じぶんの部屋のラップトップ上で、ひとりで聞くことのできるような音楽なのである。

 インディー・ロックはいま、1980年代や90年代におけるその全盛期にあったような意義を失ってしまっている。だが歴史にその身を委ねる必要などないのだ。アーティストたちがじぶんたちを取りまく世界に目覚め、そこに介入し、それに立ちむかい、それを批判して、その世界から疎外されている人々のありようを表現し、そして失われた過去の夢をふたたび取りあげることによって、あるいはじぶんたちじしんのまったく新しい何かを鍛えあげることによって、オルタナティヴなものを作りだすために動きだすことができるなら、インディー・ロックはきっと、人々との繋がりを保ちつづけ、彼らにたいし、ホームと呼べるような音楽的な空間をもたらすことになるはずである。 

What's the point of indie rock?

text : Ian F. Martin

The year is 2019. Try to think of the most exciting, culturally relevant music happening in Japan or the rest of the world is right now and the chances are it's not an indie rock band you're thinking of. Hip hop, dance music, pop, and even idol music regularly throw new and unexpected ideas out into the world. Meanwhile, indie rock (and rock music more generally) has retreated from the conversation and now occupies a position similar to jazz, where experimentation is possible within its niche, but its influence beyond that is fragmentary, referenced and sampled with what is often a wistful air of nostalgia by more culturally relevant musical forms.

Looking back over the indie rock highlights of 2018, the shadow of the 1990s looms long, with Yo La Tengo, The Breeders, Guided By Voices, Kristin Hersh, Low, Jeff Tweedy and Stephen Malkmus all releasing well-regarded albums. Many of these artists are what what Brian Eno would categorise as “farmers”, working the same patch of land year after year, keeping it fertile and productive but never really raiding new territory. Indie rock has many farmers and very few cowboys.

That doesn't make these artists wrong or even nostalgic in a negative sense. Guided By Voices are openly nostalgic in how they hearken back to The Who, Cheap Trick and other classic rock of the past, but the way they operate is also disdainful of rock's tendency to turn itself into a monument. Rock, for GBV's ridiculously prolific man songwriter Robert Pollard, is a constantly moving thing, and his guiding ethos remains a radical one: that writing rock songs is easy and anyone can do it.

It's ironic too, perhaps, but nostalgia can also remind us of future visions that we dreamed of in the past. Several tracks on Yo La Tengo's “There's A Riot Going On” revisit the sleek, motorik futurism of krautrock, but they're haunted by an air of melancholy. What happened to the future that this music originally promised us? Fellow '90s refugee Geoff Barrow explores similar territory on Beak's “>>>”, an album that some might argue pushes so far into the territory of progressive or experimental rock and electronica that it can't really be considered indie rock anymore. This raises the important question that if indie rock is immediately recategorised as soon as it does something different, how can it ever hope to become more than it is now?

The best indie rock album of 2018, and possibly the best album of the year full stop, was Low's “Double Negative” – an album that takes a collection of beautiful songs and twists, contorts and tears them apart. It manages to be as subtle and understated as anything Low have done in their long career, while at the same time dazzling, thrilling, explosively fresh. It's so far from what we conventionally think of as “rock” that it's tempting to discount or reclassify it, but it's nevertheless a rock album at its core, and it's an exquisitely beautiful one.

To understand how indie rock can be relevant in 2019, it's worth taking some time to think about what indie rock is for to begin with. There are perhaps three things it can do to be of value.

The first is that it provides a space away from mainstream pop culture and its obsessive, bullying, top-down dictates to consume. Pop culture is exhausting: it's a machine that eats up, grins down and spits out the empty husks of all who enter its metal jaws. At its birth in the 1980s, indie rock picked up where punk left off by building an alternative (albeit imperfect and often troublesome in its own way) infrastructure, ethos and aesthetic.

Secondly, this world away from the mainstream needs to be an attractive alternative. It needs to show that things don't have to be the way they are in a way that feels relevant to people, and for that, music alone isn't always going to be enough.

Music is just as much about representation and identification as it about the actual sunds the musicians are making. The reason David Bowie, more than any other rock musician, remains relevant is in large part because of how he helped redefine masculinity in an age where gender norms were particularly conservative. With 2018 year-end critics' polls lauding gender-fluid electronic alien visitations like Sophie and Yves Tumor, it's clear that in many ways Bowie's legacy has outrun the rock genre.

When indie rock began to come of age in the 1980s, it did so by wedding the DIY ethos and contempory sense of place and time of punk to a nostalgic reappropriation of the music of the 1960s and '70s. The contrast of the kitchen-sink drabness of a band name like The Smiths with Morrissey's gladioli-waving camp and Johnny Marr's chiming guitar lines expressed a melancholy longing for beauty amid the grey housing estates and suburbs of 1980s Manchester. The Smiths meant such a lot because the music and image articulated both the lived reality and the romantic aspirations of people who had never felt recognised before.

In the West, rock is increasingly easily dismissed as merely the traditional cultural folk expression of white people, with indie rock taking the even more dubious role of folk expression of the white middle classes. The sea of white faces that populates indie music events like the UK's End of the Road festival makes it clear that the music doesn't speak to the diversity of an increasingly culturally and racially heterogeneous nation. Part of the problem is that people of colour – especially black artists – are often classified out of indie rock and into genres coded as “black music”. The music of LA-based singer-songwriter Moses Sumney is more often described as soul than indie rock, despite being informed by influences of both. There has been a backlash to rock's whiteness, with London's Decolonise festival seeking to reclaim the legacy of punk for nonwhite artists, and this may yet spill over into indie rock via bands like Trash Kit and Big Joanie.

The popularity of Japanese-American singer-songwriter Mitski, whose album “Be the Cowboy” topped many writers' 2018 polls, owes as much to her identity as it does to her talent as a musician. While there's nothing particularly radical about her well-crafted guitar rock, the fact that her music comes from the perspetive of a nonwhite, female artist combined with her skill at articulating herself in a fresh, funny and emotionally honest way makes her a powerful voice for audiences tired of the aggressively white, male world America seems to have become. While she is unafraid of dwelling on her own frailties, Mitski's lyrics also offer a worldview that is on some level empowering. Compared with the self-lacerating, 1990s Generation X panic attack of Kristin Hersh's excellent “Possible Dust Clouds”, Mitski offers a glimmer of hope and comfort that makes her world an appealing place to fans growing up in these more frightening times.

The critique of indie rock as being something fundamentally white and male is less straightforward when we look at music in an Asian nation like Japan. If Western audiences are coming to value inclusiveness and heterogeneity more, Japan could have a lot to offer the world. However, electronic and pop-adjacent acts are still driving the agenda, while Japanese indie rock is still in many ways tied to the apron strings of British and American music, its artists hung up on trying to imitate and match the aesthetics of their Western idols.

Probably the best Japanese indie rock album of 2018 was Luby Sparks' self-titled debut album – a beautiful and charming record that nonetheless sounds like it could have been made in the UK in 1995. The same is true of fellow travellers like the effervescent DYGL, who dropped the punkish “Bad Kicks” single last summer. These are both bands who bring something exotic and fresh to the music scene in Japan, but at the expense of offering the West little musically that it doesn't already have in spades. Drawing more from Japan's own powerful tradition of psychedelia and noise-rock, bands on the fringes of indie rock like Klan Aileen and Qujaku offer an alternative to the J-Pop mainstream more recognisably rooted in Japanese music culture, but bands like these remain as yet very much a niche within a niche.

One reason indie rock might struggle in Japan without an umbilical relationship with Western music could be related the third aspect of indie rock's value. If indie rock is to offer a space away from the mainstream, and if that place is to offer an attractive alternative to the way things are, it is by definition entering into what is, at least on some level, an antagonistic relationship with the mainstream. Needless to say, this is something few artists in Japan seem willing to do. What the likes of Luby Sparks and DYGL do is shrug at the J-Pop mainstream and look for comfort overseas, but what indie rock in Japan needs if it is to ever mean anything more than simply “rock music that's not popular enough to be on a major” is to become less polite, more intolerant, and let itself become a more explicit critique of the dominant domestic pop culture.

More broadly, despite what someone like Robert Pollard says, indie rock in Japan and elsewhere is no longer a particularly accessible form of music to make. People's lives don't have the free time to gather as a group to write and practice. People don't have the money to spend on rehearsals, recording and (in Japan) pay-to-play live shows. The most accessible music, and therefore the kind that absorbs new talent most readily, is the music that you can make alone in your room on a laptop.

Indie rock is clearly not as relevant as it was in its heyday in the 1980s and '90s, but it needn't consign itself completely to history. If artists can wake up to the world around them, engage with it, confront it, criticise it, articulate people's alienation from it and work to build alternatives – whether reviving lost dreams from the past or forging fresh ones of their own – indie rock will continue to connect with people and give them a musical space they can call home.

AJ Tracey - ele-king

 「グライムの次世代」からオールラウンダーMCへ

 2014年以降のグライム“リヴァイヴァル” のなかで、SNSやインターネット・ラジオでは次世代のグライムMCが頭角を現してきた。ストームジーノヴェリストといった才能とともに注目を集めてきたのがエージェー・トレーシー(AJ Tracey)だ。2012年よりビッグ・ズー、ジェイ・アモらとクルーMTP(My Team Paid)を組み、ヒップホップやグライムのミックステープをリリースする一方、ソロ名義で2015年にリリースした2枚のEP「The Front」「Alex Moran」はグライム・シーンを釘付けにした。

初期のキャリアを決定づけたヒットチューン :
AJ Tracey - Naila

 その後2016年~2017年にはEP「Lil Tracey」「Secure the Bag!」でトラップ色の強いメロディックなトラックにも自在に乗りこなす幅を見せ、昨年にはUSのヒットメイカー、バウワー(Baauer)とのコラボレーションを実現。「AJ Tracey - Butterflies (ft. Not3s)」では、ミドルテンポのアフロビーツを乗りこなし大ヒット、夏のアンセムとしてYoutubeだけで2000万回以上の再生回数を記録した。

AJ Tracey - Butterflies (ft. Not3s)

 数多くの客演やコラボレーションを経て、2019年2月、子ヤギを抱えたジャケットでリリースさえたデビューアルバム「AJ Tracey」は、G.O.A.T (greatest of all time)であることを証明するようにその才能を存分に発揮している。彼がが他のMCと一線を画してきたのは、トラップ、アフロビーツに対応する柔軟なフローと、「グライムMC」であることに囚われないトピックの幅である。
 とくに今作に収録されている“Wifey Riddim”は彼のパーソナリティを示している。自分の元カノやWifey(妻のように真剣な関係な彼女のこと)とのトピックを扱ったこのシリーズは、彼のスピットする本人の経験談、ストーリーが魅力となっている。

  ロンドン、西ロンドン、キングスロード近くのチェルシー
  彼女はエリアの郵便番号に興味もないし、
  彼女が住んでる郵便番号なんて知りもしない
  エセックスの双子は知ってるけど、
  俺のことを求めすぎて無理になった
  言っておくが、俺はそういう人はwifeしない

   Yo, I've got this ting from London West London,
    Chelsea, near Kings Road
   She don't care about my area code
   She's about like she ain't aware of the road
   And I know twins from Essex
   But one of them wants me bad,
   I might dead it
   I don't wife these tings, I'll stress it

“Wifey Riddm” (EP『The Front』より)

 本作に収録されている“Wifey Riddim 3”でも、彼の女性に対する考え方や女性遍歴がスムーズなラップに載せて披露されている。

 これは“Wifey” Pt.3 、
 俺のグッチは「盲目的な愛」って言ってるけど見えないな
 きみは俺のWifeyにはなれないけど、ジーンズを脱いだ姿が見たいな
 これは“Wifey”Pt.3 、俺の携帯を鳴らしまくっても、
 おれは「読む」にしたままだ*
 友だちとはもう終わりだぜ、
 俺はプレイボーイ、いろんなシーンから女の子をゲットする

 *スマホの通知欄にあるメッセージを開かないという意味

 It's "Wifey" part three My Gucci says,
  "Blind for love," I can’t see, yeah
 My girl, you can't be
 But I wanna see you up and out of them jeans, yeah
 It's "Wifey" part three If you’re blowin' up my phone,
 I'll leave you on "Read," yeah
 I'm done with them fiends (Uh)
 I'm a playboy, babe, got girl from all scenes, yeah (Ayy, ayy)
   

“Wifey Riddim 3”

 こうしたトピックを披露するのは、男性らしさ、ハードコアさ、バトル性を追求することの多いUKラップ・シーンにおいて異色だ。比較的スラングの少なくわかりやすい言葉選びとメロディックなセンスは彼の音楽性を高めているが、さらに彼の見た目の醸し出す雰囲気には、父親がトリニダード出身であるというミックスルーツも関係しているかもしれない。彼自身、しばし南国のロケーションでミュージック・ヴィデオを撮影しているが、その姿には見応えがあって白々しく見えない。
 そして最近のラッパーと同じように、プラダやグッチ、バレンシアガ、フェンディといったラグジュアリー・ブランド、またヴィー・ロン(V LONE)やオフホワイト(Off-White)といったUSのストリート・ブランドを言及しているが、そうしたブランド名には引っ張られない存在感を放っている。

AJ Tracey - LO(V/S)ER

 アルバム前半をアフロビーツのミドルテンポな曲が占めるのに対して、アルバム後半にはハードで聴き応えのあるグライムトラックやクラブ映えするトラックが収録されている。
 とくにギグス(Giggs)を客演に迎えた“Nothing But Net”には耳を奪われた。

 奴らはフローについてペラペラ話してるけど
 俺が一番バッドで一番マッド、
 そういうラッパーは俺のつま先に及ばない
 キルしてカマす、あいつらは後ろに下がっとけ
 ラップしまくって、祈ってるって、
 お前は(自分のお葬式の)手向けの薔薇でも用意しときな

 Niggas chattin' and braggin' about flows (Uh?)
 I'm the baddest and maddest, I got these rappers on toes (Woah)
 Killin' and spillin', I hope these brothers lay low
 'Cause I'm sprayin' and prayin', you're gonna have to lay rose (Lay low)

AJ Tracey & Giggs“Nothing But Net”

 高速フローとそれをまったく無理なくはめ込む技量、さらに内容も自分のラップスキルについてラップしながらそのスキルを見せつけるという部分で非常にウィットに富んでいる。客演のギグスに対してもまったく引けを取っていない。  自分の出身地をタイトルにした“Ladbroke Grove”ではUKガラージ・スタイルのトラックのうえを往年のガラージMCスタイルでラップ、コーラスに参加しているJorja Smithのヴォーカルも素晴らしい。

 アフロビーツからクラブ・トラックまで、本作を手がけているトラックメイカーの人選も興味深い。以前UKラップ・プロデューサー特集で取り上げたナイジ(Nyge)やADP、スティール・バングルス(Steel Banglez)、カデンザ(Cadenza)といったUKラップのヒットメイカー、さらにリル・ウジ・バード(Lil Uzi Vert)を手がけてきたマーリー・ロー(Maaly Raw)、アップカミングなMCでもあるマリック・ナインティファイブ(Malik Ninety Five)、グライムのヒット曲をプロデュースしてきたサー・スパイロ(Sir Spyro)、スウェフタ・ビーター(Swifta Beater)、さらにUKガラージのDJ/プロデューサーとして知られるコンダクタ(Conducta)らが参加。幅を持ちつつもバランス感のある人選に彼の賢さが光る。

 前半ではトレンドのアフロビーツを自在に乗りこなし、後半ではグライム、トラップ、UKガラージといったUKクラブ・ミュージックをアップデートする。AJ Traceyのデビュー・アルバムはオールラウンドな才能が存分に発揮した作品となっている。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48