ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Moritz Von Oswald Trio - Dissent (review)
  2. Lucrecia Dalt & Aaron Dilloway - Lucy & Aaron (review)
  3. Autechre × Humanoid ──オウテカがヒューマノイドのレイヴ・アンセムをリミックス (news)
  4. interview with Lucy Railton 〈モダーン・ラヴ〉からデビューした革新的チェリストの現在 (interviews)
  5. Abstract Mindstate - Dreams Still Inspire (review)
  6. interview with Jeff Mills + Rafael Leafar 我らは駆け抜ける、ジャズとテクノの向こう側へ (interviews)
  7. Marisa Anderson / William Tyler - Lost Futures (review)
  8. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第6回 笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊 (columns)
  9. Cleo Sol - Mother (review)
  10. 地点×空間現代 ——ゴーリキーやドストエフスキー、ブレヒトや太宰の作品を連続上映 (news)
  11. Tirzah - Colourgrade (review)
  12. Juan Atkins & Moritz von Oswald - Borderland / Moritz von Oswald Trio - Blue (review)
  13. interview with Joy Orbison ダンス・ミュージックは反エリート、万人のためにある (interviews)
  14. Lawrence English - Observation Of Breath (review)
  15. Moritz von Oswald & Ordo Sakhna - Moritz Von Oswald & Ordo Sakhna (review)
  16. House music - (review)
  17. P-VINE & PRKS9 Presents The Nexxxt ──ヒップホップの次世代を担う才能にフォーカスしたコンピがリリース (news)
  18. DJ TASAKA - KICK ON (review)
  19. Little Simz - Sometimes I Might Be Introvert (review)
  20. Nav Katze ──メジャー・デビュー30周年を迎えるナーヴ・カッツェ、全作品が配信開始 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > James Pants- Seven Seals

James Pants

James Pants

Seven Seals

Stones Throw

Amazon iTunes

三田 格   Dec 23,2009 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 なんですかね。出世作となったセカンド・アルバム『ウエルカム』は同時期のオリヴィエ・デイ・ソウル(ハドスン・モーホーク)や北欧のナイキ・ソングになったキッセイ・アスプルンド「シルヴァー・レイク」(ドリアン・コンセプト)と同じくアシッドな傾向を持つR&B群のなかではやや物足りない雰囲気のものになっていたと思っていたのに、それ以前と同様、その後もアルバムを出すごとにキャラクターを変化させ、ここへ来てあっさりとモンドに様変わりしてしまいました。マンネリ大魔王と化しているエンペラー・マシーンとはジャケットも含めてほとんど同じか、もしくは全体にパーカッシヴな音が強くなっているだけ......とはさすがにいわないけれど。

 ナッシュヴィルで、しかもパンツを名乗っていながら、インナーには神秘主義にかぶれたらしき黄金分割や数秘術らしき「説明」がびっしりと書かれ、これが演出だとしたら、このイカガワしさはかなりのもの(深入りしないで雰囲気だけを楽しむのが現代人の知恵というやつです)。「時を超えて」「卵のなかに暮らし」「空は警告する」などイメージの広げ方にも工夫があるといいたいところだけど、後半に入って「私はウソをついたと約束する」という曲があるのはどういうことだろう? ......わからない。思い出すのはやはりモンドとポップの架け橋になっていたモルト・ガーソンが60年代後半に人類と宇宙のつながりを理解するために制作したゾディアック・シリーズなんだけど、エレクトロをベースにガーソンがやろうとしていたことをコンピュータ時代に再現しようとしたものなのかどうか。「すべてのものには終わりがあり、それが運命。もう一度、ひとつになろう」って、やっぱり本気のようだなー。リチャード・バックは何度でも蘇る......。『ターミネイター』のように......。

 たまたま今年は70年代のラテン・ファンクと同じく北欧電子音楽がイージー・リスニングを接点にどのように結びついているかという辺りを重点的に聴いていたので、同じモンド文脈でもそれらと共有するところがあるようでいて、やはり、ビートが決定的に強く、『ウエルカム』同様どこかプリンスを思わせるところが大きな差として伝わってくる。そういうところはこの40年まったく変わっていないのかもしれない。リズムを第1に考えているということは(プリンスが神秘主義に走ったらこうなるのかなという想像も含めて楽しめます、はい)。

三田 格