「All We Are」と一致するもの

YMO、プログレッシヴ・ロック、テクノ、ニューウェイヴ……
いま初めて明かされる、ゲーム音楽の知られざる背景

「この国が生んだもっともオリジナルで、もっとも世界的影響力のある音楽」とまでいわれる日本のゲーム音楽。
はたしてそれはいったいどのようなバックグラウンドから登場してきたのか?
数々の名曲・名作を生み出してきた作曲家たちは何を聴いて育ってきたのか?

プロのコンポーザーたちのリスナーとしての遍歴を掘り下げることで浮かび上がる、ゲーム音楽の源泉──

田中宏和/Hiro/古代祐三/細江慎治/小倉久佳音画制作所/TAMAYO/下村陽子/並木学/菊田裕樹/山岡晃/大山曜/岡素世/川田宏行/杉山圭一/竹ノ内裕治(TECHNOuchi)/中潟憲雄/山根ミチル/渡辺邦孝

四六判ソフトカバー/304頁

目次

序文 ゲーム音楽という名の群像劇 (田中 “hally” 治久)

第一部

Hiro×細江慎治 ゲーム音楽における「フュージョン感」の正体
中潟憲雄×大山曜×渡辺邦孝 プログレッシヴ・ロックは不治の病──世代を超えて伝わるその魅力
並木学×竹ノ内裕治(TECHNOuchi) 90年代、どうしようもなくテクノに魅せられた日々
山岡晃×杉山圭一 ニューウェイヴ、それははかないもの、それは人を驚かせるもの
下村陽子×山根ミチル クラシック育ちだからこその感性──演奏の挫折から作曲家の道へ

第二部

田中宏和 レゲエ・バンドの経験が「ポケットモンスター」の音楽を作るうえでも役立ちました
小倉久佳音画制作所 「筒美京平になりたい」と思っていました
川田宏行 ロック、ラウンジ、ブラック・ミュージックが大きな柱
TAMAYO YMO関連は片っ端から、コラボとか演奏参加とかそういうものも全部
岡素世 原体験はクラシカル、YMOとクイーンの青春からアシッド・ジャズ~トリップホップへ
古代祐三 YMOとアイアン・メイデンにハマり、LAでニュー・ジャック・スウィング~ヒップハウスを知る
菊田裕樹 広く浅く、70年代がまるごとひとつの体験

あとがき (糸田屯)

【著者プロフィール】
田中 “hally” 治久 (たなか・はりー・はるひさ)
ゲーム史/ゲーム音楽史研究家。2001年にライター活動を開始し、ゲーム音楽のルーツ研究に先鞭をつける。またチップチューンという言葉と概念を日本にもたらし、それを専門とする作編曲家としても活動する。主著/監修に『チップチューンのすべて』『ゲーム音楽ディスクガイド』『インディ・ゲーム名作選』『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド』など。

糸田屯 (いとだ・とん)
ライター/ゲーム音楽ディガー。物心がついたときからゲーム音楽とプログレッシヴ・ロックに魅了され、digにいそしむ日々を送る。『ゲーム音楽ディスクガイド』『新蒸気波要点ガイド ヴェイパーウェイヴ・アーカイブス2009-2019』『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』などに執筆参加。

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東京銭湯サウナガイド - ele-king

銭湯サウナの気楽なたのしみ

様々な設備を搭載した高級サウナや大自然の中のテントサウナなど、豪華な施設の開店も相次ぎますますとどまることを知らないサウナの大ブーム

しかし一方で忘れられないのが、生活空間と密着した「銭湯」のサウナです。

昭和の薫りを残す老舗から、リニューアルで新たな魅力を備えた新世代銭湯まで、サウナー視点でのおすすめ銭湯を徹底紹介!

銭湯ファンから熱い注目を浴びるデザイナー銭湯の先駆者、今井健太郎インタヴューも掲載!

目次

今井健太郎 インタヴュー
路線別おすすめ銭湯30選 31
サウナ女子(サ女子)が女性にオススメする銭湯10選
都内銭湯サウナリスト

※東京都の銭湯(公衆浴場)の入浴料は2023年3月現在、500円となっています。
 本書に記載されている「サウナ料金」は、サウナ利用に際して入浴料以外に追加で支払う料金を示します。
 その他、本書に記載の情報は基本的に2023年3月現在のものです。

●執筆者プロフィール

大木浩一
1972年生まれ。子供の頃から銭湯が好きで、数年前サウナの魅力に気付くも、スピリチュアルな方面は若干苦手な永遠のサウナ初心者。サ室のテレビでやっててうれしいのは大相撲か『秘密のケンミンSHOW』。好きな水風呂の温度は16度。

サウナーヨモギダ
北海道旭川市出身。サウナに救われたのをきっかけにサウナの普及活動を始める。サウナに関する執筆、講演、コンサルタント、イベントの主催、メディア出演などを主に行っている。著書に『熱波師の仕事の流儀』(ぱる出版)。

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Dirty Projectors + Björk - ele-king

 00年代ブルックリンを代表するバンド=ダーティ・プロジェクターズと、ビョークによるコラボEP「Mount Wittenberg Orca」が13年の時を経て蘇ることとなった。DPにとっては代表作『Bitte Orca』(2009)を出したころで、ノりにノっている時期。ビョークにとっては『Volta』(2007)と『Biophilia』(2011)のあいだのタイミングに当たる。巧みなコーラス・ワークを聴かせるDPとビョークの特異なヴォーカルがみごとに融合したポップかつ実験的な名作だが、新装版にはなんと20曲もの未発表音源が追加されるという。あの美しいハーモニーをもう一度、新しいかたちで楽しみたい。

Dirty Projectors + Bjork

ダーティー・プロジェクターズとビョークによる奇跡のコラボレーション作品が20曲の貴重な初出し音源を追加収録して新装盤『Mount Wittenberg Orca (Expanded Edition)』として4月28日にリリース決定!

09年4月にデイヴ・ロングストレス率いるダーティー・プロジェクターズとビョークがニューヨークで行ったチャリティ・コンサート用に書き下ろした7曲をスタジオ・ヴァージョンとして収録した奇跡のコラボレーション作品『Mount Wittenberg Orca』。2020年にデジタル配信され、2011年に〈Domino〉によってCD化された本作が、4月22日のレコード・ストア・デイに合わせて初LP化! また4月28日には日本限定で新装盤CDのリリースも決定! 新装盤には、20曲の貴重な初出し音源が追加収録される。

Dirty Projectors + Bjork - On and Ever Onward
https://youtu.be/qfLXxrJ0cZU

両者の交流は、2008年に発表されたビョークの2ndアルバム『ポスト』のトリビュート・アルバム『Enjoyed: A Tribute to Bjork's Post』にダーティー・プロジェクターズが参加し、ビョークがダーティー・プロジェクターズのヴォーカル・アレンジを気にいったことから始まったという。

オリジナル盤は、デイヴ・ロングストレスとビョークが、1500年代にオペラが生まれたイタリアの小劇場について話したことをきっかけに、マンハッタンの小さな書店「ハウジング・ワークス」にて、アンプなしでパフォーマンスをするために書き下ろされた7曲が収録されている。ドラムやギターは一切使用されず、ほとんど声だけで構成された本作は、どこか童話のようでもあり、不可思議な未来から届いた合唱曲のようでもある魅惑的な楽曲集であり、ダーティー・プロジェクターズのディスコグラフィーの中でも異彩を放つ名盤であると同時に、音楽家ビョークの底知れる才能を理解する上でも重要な作品と言える。ビョークの力強い歌声、デイヴ・ロングストレスのしゃがれたリード・ヴォーカル、ダーティー・プロジェクターズのメンバー、アンバー・コフマンとエンジェル・デラドゥーリアン、ヘイリー・デクルのコーラスが、驚くべきハーモニーを生み出している。3日間のリハーサルを経て、まるで50年代初期のロックンロールのようなシンプルかつダイレクトな形で録音され、オーバーダブはリードヴォーカルのみという特殊な制作方法も、本作に特別な魅力を加えている。

日本限定の新装盤CDには、オリジナルのスタジオ音源7曲に加え、2009年に「ハウジング・ワークス」にて披露された実際のライブ音源や、デモ音源、リハーサル音源などの全て初だしとなる未発表音源20曲を加えた全27曲収録の超豪華盤となる。今回の新装盤CDには、歌詞対訳と解説書が封入され、本作の魅力を最大限楽しめる内容となっている。

label: Domino
artist: Dirty Projectors + Bjork
title: Mount Wittenberg Orca (Expanded Edition)
国内盤CD release: 2023.04.28
輸入盤LP release: 2023.04.22 (RSD商品)

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13297

tracklist:
国内盤CD
01. Ocean
02. On And Ever Onward
03. When The World Comes To An End
04. Beautiful Mother
05. Sharing Orb
06. No Embrace
07. All We Are
08. Intro (Live from Housing Works, 2009)
09. Ocean (Live from Housing Works, 2009)
10. On and Ever Onward (Live from Housing Works, 2009)
11. When The World Comes To An End (Live from Housing Works, 2009)
12. Beautiful Mother (Live from Housing Works, 2009)
13. Sharing Orb (Live from Housing Works, 2009)
14. No Embrace (Live from Housing Works, 2009)
15. All We Are (Live from Housing Works, 2009)
16. Wave Invocation (Inverness Demo I)
17. Motherwhale Song (Inverness Demo II)
18. Whale Watcher Song (Inverness Demo III)
19. Fugal Swim (Inverness Demo IV)
20. First Duet (Inverness Demo V)
21. Migration (Unfinished Inverness Demo)
22. Jubilation (Inverness Demo VI)
23. Benediction (Inverness Demo VII)
24. When the World Comes To An End (Freewrite)
25. When the World Comes To An End (Vocalise Rehearsal Rough)
26. Beautiful Mother (Vocalise Rehearsal Rough)
27. On and Ever Onward (Full Rehearsal Rough)

逆転のトライアングル - ele-king

 いま流行っているのはシチュエーション・コメディである。それも、富裕層の人間たちがある場所に集まり、酷い目に遭ったのちに醜態を晒すものがやたらに多い。最大の成功例はジェシー・アームストロング制作のHBOのテレビシリーズ『SUCCESSION』(邦題はいろいろ変わったのちに現在は『メディア王~華麗なる一族~』)で、これはメディア・コングロマリットを牛耳る一族の家族間の争いをシェイクスピア劇とコメディを合体させつつ風刺するものだが、その後コメディ性を高めつつより戯画的なものが増えている。リゾートに集った富裕層たちがみっともない争いを繰り広げる様を笑うマイク・ホワイト制作のテレビシリーズ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート・ホテル』、あるレストランに集まった富裕層たちが狂ったシェフに復讐される様を笑うマーク・マイロッド監督作『ザ・メニュー』、プライヴェート・パーティに集まった富裕層たちが殺人事件で右往左往する様を笑うライアン・ジョンソン監督作『ナイブスアウト:グラスオニオン』。もちろんそれぞれでテイストや作劇は異なるが、要約すれば、「富裕層たちを笑う」、である。娯楽やアートは社会を映す窓でもある。これだけ格差が酷いことになってしまうと、とにかく富裕層が酷い目に遭う様を笑いたい……という欲望が世のなかに渦巻いていても仕方ない。
 そしてスウェーデンのリューベン・オストルンドは、なかでももっとも戯画的なコメディを発表してカンヌ映画祭のパルムドールを2作連続で獲ってしまった。ただしその映画、『逆転のトライアングル』が風刺しているのは富裕層たち以上に現代の資本主義社会が生み出す格差の構造そのものである。

 前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』がアート界を描いていたのに対し、本作でファッション界を取り上げているのは業界で仕事をしているパートナーから聞いた話にインスパイアされたからだという。いわく、男性モデルは一般的に女性モデルの3分の1しか稼ぐことができず、業界で力を持つゲイ男性たちからの誘いを断るのに苦労しているとのことで、つまり男性中心の社会で女性が置かれている立場を若い男性たちが経験している世界なのだ、と。これは僕がゲイだから書きやすいことなのかもしれないが、正直に言って思い当たることもある。要は、権力を持つ者と搾取される者が変わっても、誰かが誰かを搾取する構造自体は保持されると……それがまず、この映画の入口である。
 映画は3パートに分かれており、そういうわけで若くて綺麗な男性モデルが辛酸を舐める様がパート1では面白おかしく映される。バレンシアガの広告では偉そうに、H&Mの広告では媚を売った笑顔を……とオネエ感バリバリのディレクターに指導されるのは露骨過ぎて僕は笑えなかったが、ファッション界における「気候変動を止めよう」「すべての人種は平等」といったウォークなメッセージの空々しさをからかいたくなるのは、まあわかる。そんな空虚な業界に振り回されているモデルのカールは、自分より稼いでいるモデルでインフルエンサーのヤヤと高級レストランに行ってもどちらが支払いをするかで揉めてしまう……彼は世間的には「若くて見た目のいい白人男性」だが、様々な意味で権力を持てずにくすぶっている人物なのだ。
 パート2ではそんなカールとヤヤが(彼女のコネで無料で)金持ちばかりが乗る高級クルーズで過ごす様子が描かれるが、このパートがもっともシチュエーション・コメディ的だ。そこにはロシアの財閥オリガルヒ、イギリスの武器商人など世界的な富裕層が集まっており、スタッフたちは彼らの傲慢な要求にも笑顔で答えてみせる。だが様々な偶然が重なることで、金持ちたちは嵐のなかで痛んだディナーを食べることになり、嘔吐と下痢に襲われることになる。みんな、金持ちがゲロとクソまみれになるところが見たいだろう? とまあ、そんな身も蓋もなさで突っ切るのがこの映画のパワフルなところではある。
 だが自分はそこよりも、ウディ・ハレルソン演じる酔っぱらいの船長のキャラクターに笑わされてしまった。彼はマルクス主義者という設定で、金持ちや資本主義社会の構造自体を憎んでいるが、豪華客船で働くなかで正気を失ってしまっている。そのハチャメチャな振る舞いは、ヴェテラン俳優の達者ぶりを遺憾なく発揮させていて可笑しい。が、この現代社会でマルクス主義者は狂ってしまうしかないと言われているようで、僕は笑いながら泣きそうになった。インタヴューによればオストルンド監督の母親は共産主義者であるそうで、それは何やら奥ゆきのあるエピソードだが、少なくとも本作で監督は現代の左翼の行き場のなさをあっさりと差し出している。そして、この世で最後のマルキシストとばかりに船長は嵐の船で狂った演説をぶちかますが、そんなものは当然、金持ちたちの心に届くことはない……(彼がパート3でどうなっているかも皮肉めいた展開である)。
 そしてパート3、めでたく(?)金持ちたちを乗せた船は沈み一部の乗客やスタッフたちは無人島へ流れ着くが、サヴァイヴァル能力のない金持ちたちの代わりに船の清掃スタッフだったアビゲイルが力を持つようになっていく。カールはここでも権力を得ることができない。

(ここからパート3の展開にやや触れるのでお気をつけください)
 無人島という金銭が価値を持たない場所においても別の経済が発生し、権力構造は保持される。オストルンドがそう示したいのはわかる。わかるがしかし、アビゲイルがここでエッセンシャル・ワーカーを象徴するキャラクターを負わされていることを考えると、彼女が権力を得たとたん圧政を敷く様に自分は少し引っかかった。富裕層とエッセンシャル・ワーカーでは、これまで置かれてきた環境や得てきた経験がまるで違うものなのではないか? それを同質のものとして捉えていいのだろうか、と。『ザ・スクエア』にはヨーロッパの知的階層におけるエリート主義めいた態度への自己批判が強くあったし、愚かさも含め人間味のようなものがもう少しあったと思う。本作は冷笑的であることを自己目的化しすぎているきらいがある。
 だが逆に言えば、それくらいの絶望を反映させたコメディということなのだろう。権力を持つと誰もが、誰かを搾取する構図に取りこまれてしまう、という。そこに誰がいるかは重要ではなく、構造だけが強化されていく資本主義と格差社会。映画を観終わった僕はすっかりうなだれてしまって、街じゅうの広告を恨めしく思った。本作の原題は「Triangle of Sadness」で、ファッション業界などで使われる眉間の場所を示す言葉らしい――「悲しみの三角形」。含みのあるタイトルである。そして、無人島だと思っていた場所が何だったのか……は、本作の最大の皮肉だ。これは、どこに行っても資本主義から逃れられない現代を生きるわたしたちの悲しみについての映画なのだ。

予告編

奥深すぎるギャングスタラップの世界……

史上初!
ギャングスタラップカセット300本超を掲載したジャケット本!

暴力、エロ、金ピカ、ドラッグ、ヘタウマイラスト……
何でもありのGラップカセットジャケの目眩く世界を大紹介!
あのGラップのバイブル本 “GANGSTA LUV” 執筆陣によるコメント、コラム付きで読み応え見応え抜群!
ギャングスタラップに興味のなかった人でも絶対楽しめる一冊!
一度ハマったら抜けられない “Gラップ沼” の世界へようこそ……

CONTENTS
・ジャケット紹介300P以上
・執筆陣の選ぶベストジャケ
・自作ジャケ集
・カセットコラム、など

■収録アーチスト
Eightball & MJG, Three 6 Mafia, Tommy Wright, Playa G, Al Kapone, Skinny Pimp, Mack 10, Murder Inc., DJ Nite, Mac Dre, Too Short, Master P, Big Bur-Na, 他マイナーアーチスト多数

■執筆陣
Lil Ricky a.k.a. Da Mask Baby(D.M.F. Inc./Piranha Soldierz)
Gonzosta-T a.k.a. Da Mask Daddy(D.M.F. Inc.)
BIG-K(Piranha Soldierz)

■構成
Lil Ricky a.k.a. Da Mask Baby(D.M.F. Inc./Piranha Soldierz)

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SQUID - ele-king

 スクイッドのセカンド・アルバム『O Monolith』が6月9日にリリースされます。アルバムからは、まずは1曲、 “Swing (In A Dream)” が公開されました。

Squid - Swing (In a Dream) (Official Video)

 
 トータスのジョン・マッケンタイアがミキシングを担当した新作は、バンドのサウンドが格段に飛躍したことを証明しています。楽しみに待ちましょうね〜。もちろんインタヴューも掲載予定です!

SQUID
O Monolith

Warp/ワープ
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13267

国内盤CD
01. Intro *Bonus Track
02. Swing (In A Dream)
03. Devil’s Den
04. Siphon Song
05. Undergrowth
06. The Blades
07. After The Flash
08. Green Light
09. If You Had Seen The Bull’s Swimming Attempts You Would Have Stayed Awa

Sleaford Mods - ele-king

 3月に新作『UK GRIM』のリリースを控えたスリーフォード・モッズが、収録曲の “Force 10 From Navarone” のMVを公開した。これは、ドライ・クリーニングのフローレンス・ショウをフィーチャーした曲で、新作の目玉の1曲でもある。とにかくカッコいいので聴いてみて。

Sleaford Mods - Force 10 From Navarone

 ジェイソンいわく。「俺たちはドライ・クリーニングの大ファンで、フローレンスがこの曲にぴったりだとわかっていた。彼女は本物で、そのたった一言で全体のストーリーを伝える方法で俺がウータン・クランから受けるようなインスピレーションを呼び起こす」
 戦争から物価高、右翼に保守党、生活がめちゃくちゃにされた庶民の怒りを乗せたアルバムの発売は3月10日。なお、エレキングでは当然のことながらインタヴューを掲載します。こうご期待!

TechnoByobu - ele-king

 屏風と言えば狩野派、それはしかし江戸時代までのこと。21世紀の屏風界に新風吹きたるなり。君は「TechnoByobu(テクノ屏風)」を知っているか? それは音楽レーベルでもある〈ユーマ〉がこの度販売する、テクノのアートワークを洋金箔の上に施した屏風。第一弾となる「Electronic Fan Girl」は、アーティストのルー・ビーチ氏が、YMO世界デビュー時のワールドワイド版ファースト・アルバム『Yellow Magic Orchestra』のジャケットとして作成した有名なアートワークを、118年の歴史を持つ歴清社の技術により洋金箔(真鍮箔)の上に施したNFT証明書付き作品です。 
 
■オフィシャルムービー

 「2021年に設立20周年を迎えたユーマはTechnoByobuを同社の20周年記念プロジェクトと位置け、今後も国内外の著名なアーティスト、クリエイターによるアートを、日本の伝統の美および先端技術NFTと融合させ、テクノの精神を体現したアートピースを企画、販売していきます」とのことです。

Number:TB-01
Title:Electronic Fan Girl
Artist:Lou Beach
サイズ:五尺二曲(縦:約1500mm × 横:約1400mm)
重量:約4㎏
NFT証明書:Startrail PORT
価格:880,000円(税込)
販売数量:50隻
2023年3月3日よりWebサイト(https://technobyobu.jp/)にて受注販売を開始
また、販売を記念してTwitterキャンペーンも本日2月3日より行います。
Twitter

■Lou Beach(ルー・ビーチ)
マドンナ、ポリスなどのアルバムアートワークを手掛け、70〜80年代に大活躍したアメリカのコラージュアーティスト。「Electronic Fan Girl(TB-01)」のイラストは、1979年に日本が誇るテクノポップ・バンド、Yellow Magic Orchestra(細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏)のワールドワイド版ファースト・アルバムのジャケットとして描かれた作品です。
世界30か国以上で発売されたこのアルバムは世界各国で熱狂的に愛されましたが、それにはルー・ビーチ氏によるこのイラストレーションも大きく寄与しました。1979年当時、フジヤマ・ゲイシャというイメージだった日本は、同時に、ハイテクやハイファッションの国に変わりつつありました。ルー・ビーチ氏のこのイラストレーションは、そんな伝統と未来が同居する日本の新しいイメージを、YMOの楽曲とともに広めたのです。
2011年、YMOがおよそ30年ぶりのアメリカ・ツアーを行ったとき、このイラストレーションのタトゥーを入れたアメリカ人ファンを目にしてメンバーが驚いたという逸話は有名です。それほど熱狂的に愛されるイラストレーションを纏ったTechnoByobuは、日本のみならずインターナショナルでも熱く愛されるに違いありません。
URL:https://loubeach.com/
Twitter:https://twitter.com/XActo11

■ユーマ株式会社 U/M/A/A Inc. (United Music And Arts)(企画・製作・販売)
国内外の音楽とアート(メディアアート、ファッション、アニメ、ゲーム、マンガ、ガジェット等)をUniteしていく新しいカタチのレコード会社です。クラブ / エレクトロニック・ミュージックからインターネット発ボーカロイド/アニメソング・プロデューサーまで、クオリティー・ミュージックをジャンルレスに展開しています。1970年代末に日本が世界に誇るイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の音楽を生み出したアルファレコードに勤務していた創業者が、YMOのテクノ・ポップの先進性とユニークネスを現代に継承する会社として設立したのがユーマであり、今回その精神を持って企画したのがTechnoByobuとなります。YMOメンバーによるユニット、Sketch Show(2003)、HAS(2004)のヨーロッパ公演や、YMOのトリビュートバンド『Yellow Magic Children #01』(2019)のリリース等、YMOに関連する事業も行っています。

■歴清社(屏風)
https://rekiseisha.com/
広島で118年の歴史を持つ「歴清社」。特許をもつ洋金箔押紙の製造方法は海外でも認められる唯一無二の伝統技術。帝国ホテル、宮内庁、西本願寺はもとより、CHANEL、GUCCIなどの高級ファッションブランドまで、その製造方法により生み出された様々な箔製品のクオリティーは国内のみならず、世界で評価を得ています。

■Startrail PORT(NFT証明書)
https://startrail.io/
TechnoByobuには、NFT(Non-Fungible Token)を活用したアート証明書「Startrail PORT」が実装されています。作品に埋め込まれたチップをスマートフォンで読み込むことでNFT証明書を確認できます。TechnoByobuの一隻一隻には固有のNFT証明書アドレスが割り振られており、作品の真性が保証されるとともに来歴も明らかになり、従来難しかったセキュアな証明書管理や2次取引から作家、ライセンスホルダーへの収益還元等の実験的なエコシステムを創出しま

■立花ハジメ(ロゴデザイン)
このTechnoByobuのロゴは音楽家、アーティストとしてYMOとならび1970年代末からテクノを実践してきた立花ハジメ氏(ソロのほか、プラスチックス、Hmなど)によるものです。立花ハジメ氏は1970年代からグラフィック・デザイナーとしても活躍されていて、これまで多くのグラフィック作品、舞台美術、ロゴ・デザインを手がけています。

■発売記念Twitterキャンペーン開催
発売を記念してTwitterキャンペーンを開催します(2023年2月3日〜2月23日)。
・参加者全員に非売品のTechnoByobu Compact Repli-card (1/8スケール)をプレゼント。
・さらに2/13以降に配送される“TechnoByobu Compact Repri-card“の写真を撮ってツイートしてくれた方の中から優秀賞に選ばれた10名様を、3月3日に都内で開催予定の“TechnoByobuお披露目イベント”へご招待。
<参加方法>
◆2/3〜2/12
1.TechnoByobuのTwitterアカウント(https://twitter.com/TechnoByobu)をフォローし、キャンペーンのツイートをRT
2.ツイートに記載されたリンクよりフォームに回答
◆2/13〜2/23
3.2/13以降に発送される“TechnoByobu Compact Repri-card“の写真を撮って写真にメンション@TechnoByobuを付けてツイート

 

Joesef - ele-king

ぼくは18歳だった
叫びながら、すべてを感じようとしていた
(“Joe”)

 僕はもう、18歳のときに自分が何を感じていたかなんて忘れてしまった。けれどもスコットランド出身のシンガーであるジョーセフはよく覚えていて、そのときの悲しみと悦びを心地良いソウル・ポップに乗せて歌ってみせる。「きみが呼ぶのが聞こえる/ジョー、ジョー、ジョー/行かないでくれ」……なんでも元彼とシャワーを浴びながらセックスをしていた記憶から、ひとりでシャワーを浴びているときですら彼の声を思い出してしまう……という歌らしいが、ティーンエイジャーの風景としては大人びているし、キャッチーなラヴ・ソングとしては妙な生々しさもある。ミュージック・ヴィデオでは男の子同士の恋愛模様がリリカルに描かれ、その瑞々しさと切なさを強調している。そして僕は思う……クィアのリアルな性愛を歌うポップスが、こんなにもオープンでナチュラルな時代になったんだと。

 ジョーセフはあらかじめ官能的で魅惑的な声を持ったシンガーで、ファースト・シングル “Limbo”(2019年)の時点で歌の表現力、その完成度の高さが注目されていた存在だ。オーセンティックなソウルに軸を置きつつ、適度にモダンなR&Bやジャズ、インディ・ポップを混ぜるスタイルはトレンディでもあった。けれど僕がとくに気になったのは、彼がバイセクシュアルであることをカミングアウトしていて、「そのことを完全に心地良く感じている」と語っていたことだ。似たようなことを話していたのはサーペントウィズフィートで、自分にとってクィアであることは当たり前のことであり、取り立てて強調するほどのことでもない、と。ポップ・ミュージックは長らくゲイやレズビアン、バイセクシュアルやトランスジェンダーの表現者がクィアであることの痛みを様々な形で解放する場になってきたが、この10年ほどの社会の変容を経て、ずいぶん軽やかなものが増えてきている。いやもちろん、アルカイヴ・トゥモアのように異形性を強調し先鋭化するアーティスト陣も根強くいるが(実験的なエレクトロニック・ミュージックに多い。ハイパーポップが一種のクィア表現と分析されているのも遠くない現象だと思う)、たとえば慎ましやかなジャズ・ソウルで高く評価されたアーロ・パークス(バイセクシュアルであることをカミングアウトしている)がごくパーソナルな心象を柔らかく提示することで多くの若者の共感を得たことを思えば、僕が18歳のとき──20年ほど前──と彼らがいま見ている風景はまったく違うのだろう。それはもちろん、性的マイノリティが置かれる政治状況が変化したことも背景にあるが、その上流にある文化の力によるところが大きい。とくにソウルやR&B周辺のポップ・ミュージシャンたち……フランク・オーシャンジ・インターネットシドスティーヴ・レイシーブラッド・オレンジなどなど……による功績はたしかで、つまり彼らがパーソナルな官能を普遍性を伴うものとして解き放ったことの恩恵を受けて、いま伸び伸びと歌っているのがジョーセフというわけだ。典型的な「男らしさ」からかけ離れたその艶やかな歌声はアノーニアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズとして登場したときのことを彷彿させる瞬間もあるが、ジョーセフのデビュー作『Permanent Damage』には『I Am A Bird Now』に漂っていた悲愴感は存在しない。
 ジョーセフの初のEPが「Play Me Something Nice(何か素敵な曲を再生して)」というタイトルだったことにもよく表れているが、失恋の痛みを歌にして集めたという『Permanent Damage(永遠の傷痕)』もまた、とことんスウィートでリラックスしたソウル・チューンが詰まった一枚だ。恋愛における傷痕もまた喜びの証であることが示されている。シンセやパーカッションがエレガントに出入りしてゆるやかなファンクネスを生み出す “It's Been a Little Heavy Lately”、アコースティックな響きを大切にしながらとろけるような時間を演出する “Just Come Home with Me Tonight” と、聴き手を穏やかな気持ちにさせることに衒いがない。ギターの音が80年代のU2をちょっと思い出させるような “East End Coast” のきらびやかさには面食らうところもあるし、初作なんだからもっと冒険してもよかったのではとも思うが、抑制された演奏の緩急と歌唱のコントロールだけでエモーションの深さを見事に表現する “Blue Car” を聴くと、ジョーセフは奇抜なやり方で気を引きたいタイプではないことがわかる。ここでは弱さや傷つきやすさが本人によって自然に受容されていて、そのことが音楽的な気持ち良さに結実しているのである。
 やはり爽快な70年代風ソウル・チューン “All Good” でジョーセフは「すべて順調だよ、簡単なことなど何もないけどね/約束するよ」と歌い、アルバムは幕を閉じる。それはロマンスの終わりを迎えた自分に言い聞かせていることでもあるのだろうが、僕にはクィアの若者たちに向けた言葉であるように聞こえる。いま彼らが自身のセクシュアリティを心地よく受け入れ、その感覚がまっすぐに表現されたポップなラヴ・ソングを楽しめるのは、心温まることだと感じるのだ。ジョーセフの歌声を聴いていると、18歳のときひそかに抱いていた恋心だってダイレクトに取り戻せそうな気がしてくる。

 ‟ガールズ・バンド ” という概念は、元来不条理なものだ。
 勿論、ガールズ・グループに対してボーイズ・バンドという言葉も存在する。これは最近では、おおむね作りこまれたポップな商品であることを意味する。この業界のある側面は、しばしば搾取的であり、このようなアーティストたちはあきらかにメンバーの性的な魅力を利用して売り出されていることも、すべての加担者が基本的に理解していることだ。しかし、ロックの分野では “ガールズ・バンド ” という言葉は通常、外部から押し付けられたものであり、女性の芸術形式を男性の規定値から分離し、女性たちの作品が何を伝えようとしているかに関わらず、性別というレンズを通した型にはめてしまうのだ。私が東京で時々一緒に仕事をしている、女性がリードする素晴らしいポスト・パンク・バンド、P-iPLEは、Twitterのプロフィールに素っ気ない調子で「私たちはガールズ・バンドではない」と記している。
 もうひとつ、明らかにガールズ・バンドではない男性ばかりから成るアイルランドのノイズ・パンクスであるガール・バンドは、最近バンド名をギラ・バンドに改名した。10年前に元のバンド名を採用したのは、まさにその不条理さにこそあり、多くの人にとっては今でもどちらかというと無害な皮肉ぐらいに捉えられるのは、名前に込められたジョークがあきらかにバンド自身のことを指しているからだ。それでも彼らには絶え間ない反発が寄せられ、何年も前に馬鹿々々しいジョークとしてつけたバンド名を使い続ける利点よりも、最終的にはこの言葉が人を不快にする、あるいはノン・インクルーシヴ(非包括的)であると受け取られるリスクの方が高いと判断したようだ。

 社会の生々しい部分を指摘する人たちへの無責任な対応は、何も新しいことではなく、激しい対立や整合性のない指摘は、リスナーに音響的な不快感を与えようとする音楽と密接に結びついている。スティーヴ・アルビニが1980年代にビッグ・ブラックやレイプマン時代に放った過激な挑発の数々は、ガール・バンドという間抜けなバンド名のユーモアと比較するのは必ずしも有効とは言えないが、アルビニが当時について語ったことから、このような問題やそれを指摘する人への対応の背景にある暗示などの興味深い洞察を得ることができる。
 それは、大雑把でリベラルであるアーティスティックなバブルのなかで生活をしていると、自分が属する社会集団の規範が、必ずしも外の世界と共有されていないことを忘れがちになることに起因する。アルビニは「自分自身、そして多くの仲間たちは思い違いをしていた。人びとの平等とインクルーシヴネス(包括性)の獲得への戦いはすでに勝利で終わり、やがては社会においてもそれが発現し、私たちが対立や衝撃、嘲りや皮肉で何かを害することはないと思っていた」と総括している。

 4人組の男が “ガールズ・バンド ” というような馬鹿げた発想で遊ぶのは、性差別に打ち勝った勝利のダンスをしているように見えるかもしれない。だが、音楽の世界で活動する女性たちがあらゆる障害に直面し続けることを考えると、このジョークはもはや同じようには通用しないし、ミュージック・シーンでハラスメントや差別を経験した女性たちは、それらの問題を顔面に突き付けられたように感じるかもしれないのだ。
 バンド名の変更は、ほんの数文字を変える小さなもので、バンド自身は軽視していたもの確かだ(彼らは私がここで問題提起しているよりもずっと小さなこととして扱った)。だが私にとって興味深いのは、彼らの芸術がオーディエンスにますます敬意を持って受け入れられている様であり、それこそがギラ・バンドのニュー・アルバム『Most Normal』の素晴らしさの鍵となるかもしれないということだ。

 ノイズ・ロックは元来、不条理な音楽だ。
 それは、聴く者に居心地の悪さを与えようとする音楽だ。メロディやハーモニー、そして従来の心地よさや満足感をもたらす全てのツールを意図的に除去するかわりに、ディストーション、騒音や断片的なリズムを武器としている。それはまた、ある種の子供じみた音楽でもあり、物を壊してかき混ぜ、そこに出現するカオスや混乱、悪臭などに喜びを見出す。
 だがそれは同時に遊び心があり、好奇心をそそる音楽でもある。思いがけない音のテクスチュアに、厳格なロックの伝統の外側にあるものを感じ、再発見する喜びに没頭できるのだ。この分野で活動するバンドが3枚目のアルバムを作る際、冒険心を失わずに成長するにはどうすればいいのだろうか?
 ひとつの方法は、鳴り響く金属的な不協和音や、吹き出す紙やすりのようなディストーション、そして対立するリズムの一つひとつがどのように着地するのかに注意を払うことだ。どの混乱した音が痺れるようなものに変化するのか、どこで喜びと痛みの間に走る緊張感を保つのか、そしていつそのバランスを、酔ったようなよろめきで一方向に傾かせるのかに敏感になることだ。

 『Most Normal』は、1トンの爆発物のような着地を見せるが、バンドの過去2作のアルバムと比較して、その分野に対しての高まり続けるインテリジェンスや自覚に導かれている。オープニング・トラックの ‟The Gum“ の金切り声のようなディストーションを強調するように反復するディスコ・パルスは、バンドがエレメントのバランスを取ることに確信を深めているのが分かり、2曲目の ‟Eight Fivers” を際立たせる轟音の爆発は、拳を突き上げるような高ぶりからEDMのビート・ドロップに着地する。アルバムを通して、ギラ・バンドはサウンドをこれまでにないほどの挑戦的な極限へと押しやり、ほとんどメロディを落ち着かせることはないながらも、それぞれのエレメントの、オーディエンスへの作用を敏感に感じ取り、恍惚とした残酷さでリスナーの感覚を操っている。
 微かな旋律の気配が漏れ出る最後から2曲目の ‟Pratfall” では、Lowの前2作のアルバムの特徴であった素早く走るようなディストーションに引き裂かれ、ふるいにかけられる。他でも同様に、アルバムがタイトでまばらなビートと吐くようなノイズの発作の間を飛び火する様は、リスナーを、その忍耐力の限界までプッシュすることを存分に意識した内部のリズムによって作られている。

 ギラ・バンドが改名についての説明をする際に、あまり深く考えずに決めたことで、「この選択を正当化したり、説明したりすることは不可能だとわかった」と言及している。この、説明できないということこそが、彼らが名前を変えたことが正しかった理由であり、『Most Normal』の音楽が、不快感を享受しながらより鮮明な音楽的な理由でもって、それを証明している。それは未だに馬鹿げた、生意気なパンク的な面白さだが、薄っぺらに着想されたものでも気まぐれなものでもない。いまやすべての要素が、なぜそこにあるのかを正確に把握しているようだ。


Gilla Band – Most Normal
Rough Trade /ビート

 

Gilla Band, girl bands, and musical discomfortby Ian F. Martin

The idea of a “girl band” is essentially an absurd one.

Of course the term boy band exists too, as the alliterative counterpart to the girl group: nowadays meaning a more or less manufactured pop product. Exploitative as this side of the industry often is, it’s basically understood by all participants that these acts are being sold explicitly on the gendered appeal of the members. In the rock arena, though, the term “girl band” is typically imposed from the outside, segregating women’s art from the implicitly male default, framing their work through the lens of their gender regardless of what they intend to communicate. One band I sometimes work with in Tokyo, the wonderful female-led post-punk band P-iPLE, put it bluntly on their Twitter bio: “We are not girls band.”

Another band who are definitely not a girl band are all-male Irish noise-punks Girl Band, who recently renamed themselves Gilla Band. The absurdity of the term was at the heart of their adoption of it as their band name ten years ago, and to a lot of people it probably still seems like a more or less harmless bit of irony, where the joke is clearly on the band themselves. Still, they received a steady stream of pushback over it and eventually seem to have decided that the potential for it to be read as mocking or non-inclusive outweighed the benefits of sticking with a name they clearly came up with as a silly joke years ago.

This sort of playing fast and loose with signifiers that poke at raw spots in society is nothing new, with harsh juxtapositions and mismatched signifiers going hand in hand with music that seeks to sonically provoke discomfort in the listener. The extremeness of the provocations Steve Albini unleashed via Big Black and Rapeman in the 1980s mean they’re not necessarily a very useful comparison with the goofy humour of a band name like Girl Band, but Albini’s subsequent discussion of that time does offer some interesting insights into the thinking behind and implications of playing with these issues and signifiers.

Partly, it comes down to how life in a broadly liberal artistic bubble makes it easy to forget that the norms of your social group aren’t always shared by the world outside. Albini summarises, “For myself and many of my peers, we miscalculated. We thought the major battles over equality and inclusiveness had been won, and society would eventually express that, so we were not harming anything with contrarianism, shock, sarcasm or irony.”

So four guys playing with a patently absurd idea like the notion of a “girl band” might feel like a victory dance over defeated sexism. However, once you consider that women in music continue to face all manner of obstacles, the joke doesn’t work in the same way, and to women who have faced harassment or discrimination in the music scene, it could feel like having those troubles thrown in their face.

It’s true that the name switch was a small change, of just a couple of letters, and one the band themselves downplayed (they made it far less of a deal than I’m making of it here). What interests me, though, is that it shows a growing respect fot how their art lands with its audience, and this maybe offers a key to what’s so fantastic about the new Gilla Band album “Most Normal”.

Noise-rock is essentially absurd music.

It’s music that wants to make you uncomfortable, It deliberately strips songs of their melody, harmony and all the conventional tools to trigger comfort and satisfaction, instead reaching for distortion, discord and fractured rhythms as its weapons. It can be a childish sort of music too, that breaks things and stirs the shit just to delight in the chaos, mess and bad smells that emerge.

But it’s also playful and curious music. It delights in the unexpected, in the texture of sound, it’s steeped in a sense of rediscovery outside the rigours of rock tradition. For a band in this general arena making their third album, how do you mature without losing that sense of adventure?

One key way is to pay attention to how every piece of clanging dissonance, blown-out sandpaper distortion and rhythmical confrontation lands — to be conscious of which fucked-up sounds resolve into something electrifying, when to hold the tension between pleasure and pain and when to let the balance lurch drunkenly one way or the other.

“Most Normal” lands like a tonne of explosives, but it’s guided with a growing intelligence or awareness of its terrain compared to the band’s previous two albums. The repetitive disco pulse that underscores the screeching distortion of opening track “The Gum” offers an immediate sense of the band’s growing assurance in how they balance their elements, while the bursts of thundering noise that punctuate second track “Eight Fivers” land with the fist-pumping heart-surge of an EDM beat drop. Throughout the album, Gilla Band push sounds to ever more challenging extremes, hardly ever reaching for the comfort of melody, but somehow applying each element with a keen sense of how it’s working on the audience, puppeteering the listener’s senses with ecstatic cruelty.

Where the hint of a tune does filter through, on penultimate track “Pratfall”, it’s ripped apart and filtered through the sort of skittering distortion that characterised Low’s last couple of albums. Elsewhere, the way the album ricochets between tight, sparse beats and convulsions of vomiting noise happens according to an internal rhythm that’s aware of the limits of the listener’s patience just enough to push them.

When explaining their change of name, Gilla Band noted that they had chosen it without much thought and increasingly “found it impossible to justify or explain this choice.” This inability to explain is the most important reason why they were right to change it, and the music on “Most Normal” in its own way proves the point, revelling in discomfort but with an increasingly clear musical reason. It’s still silly, snotty punk fun, but it’s not flimsily conceived or whimsical: every element now seems to know exactly why it’s there.

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