ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Kode9 〈ハイパーダブ〉15周年記念 (interviews)
  2. KODAMA AND THE DUB STATION BAND - かすかな きぼう (review)
  3. 羊とオオカミの恋と殺人 - (review)
  4. interview with FINAL SPANK HAPPY メンヘラ退場、青春カムバック。 (interviews)
  5. Columns 元ちとせ 反転する海、シマ唄からアンビエントへ (columns)
  6. interview with Kazufumi Kodama 不自由のなかの自由 (interviews)
  7. Jagatara2020 ──80年代バブル期の日本に抗い、駆け抜けた伝説のバンド、じゃがたらが復活! (news)
  8. Gang Starr - One Of The Best Yet (review)
  9. interview with Fat White Family 彼らはインディ・ロックの救世主か? (interviews)
  10. BUSHMIND ──ニューエイジ/アンビエントのミックスCDをリリース (news)
  11. Burial ──ベリアルの新曲が公開、〈Hyperdub〉の新コンピもリリース (news)
  12. Fat White Family ──次世代のスリーフォード・モッズ!? ファット・ホワイト・ファミリーが〈Domino〉から新作をリリース (news)
  13. ジョーカー - (review)
  14. interview with Battles (Ian Williams) 素敵な事故が起こるまで (interviews)
  15. ブラック校則 - (review)
  16. Stereolab ──ステレオラブが10年ぶりに再始動、過去タイトルも順次リイシュー (news)
  17. DC/PRG ──結成20周年を記念し、デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデンの初期3作が再発売中 (news)
  18. Columns NYクラブ・ミュージックの新たな波動 前編:10年代のブルックリンの軌跡 (columns)
  19. Jon Casey - Flora & Fauna (review)
  20. Noah - Thirty (review)

Home >  Reviews > Rexikom- Gelaute der Stille

Rexikom

Rexikom

Gelaute der Stille

SRCD031 / shrine.jp

Amazon

橋元優歩   Feb 26,2013 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 立体的に構築された音響、そこに人と人のたてる物音のようなノイズがゴーストのように貼り付いている。ヘッドホンで聴くと何度か後ろを振り向くことになるだろう。プライヴェートな生活音ではなく、どこかしら公共空間からのサンプリングを思わせるそれは、硬質なサウンド・デザインとも相俟って、本作のインスピレーションの根源ともなったというゲオルグ・トラークルの欝や「世界苦」を現代的に解釈しているのではないかと想像させる。

電子音楽が内包する本来的な文学性をまとった フロア仕様のテクノ・サウンド。

Masahiko Takeda、Naohiro Tomisawa(Pain For Girls)、Takashi Himeoka(Etwas)の3人で構成される、京都の電子音響ユニットRexikom(レキシコン)初のCD作品。2011年の活動開始以降、電子音楽レーベルIl y a Records(イリヤ・レコード)を主宰したり、ライブ・インスタレーションを中心とするイベントIl y aを主催するなど幅広い活動を展開。それぞれがソロ・アーティストとしても活動している。 タイトルのGeläute der Stille(ドイツ語で静寂の響き) は、ハイデガーが詩人ゲオルグ・トラークルの詩を評した際に用いた言葉。アルバムはドイツ表現主義を代表するトラークルの詩世界を媒介として制作されたという。 "Grodek"や"Alton"は、テクノ・ビートに神秘的で不穏なシンセ音がのる、いわゆる黎明期のテクノ・サウンドを彷彿とさせる楽曲だ。テクノとSFの関係性など、電子音楽と20世紀の文学が切り離せない関係にあることは周知の事実だが、回帰的であるが故に、デトロイト・ディープ・サイドのアイコンDrexciyaに通底するようなテクノ特有の文学性を獲得することに成功。それがそのまま同世代のアーティストにないオリジナリティーとなっている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

橋元優歩