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最近になってジュークにスタイルを改めた大阪の中堅グループ、サタニックポルノカルトショップ周辺からグリッチ・タイプによる本人名義の1作目(これまでに自主レーベル=ネジやドイツのエレクトロトンなどからCDRをリリース)。アン-ジェイムス・シャトンを思わせるリーディングのカット・アップを皮切りに、オフ・ビートでスウィングし続ける変り種(最後まで地に足がつかないというか、延々と惑星探査船とかで低空飛行しているような気分)。ひとつの方法論から様々なヴァリエイションを生み出しているという意味ではデザイン的な発想なんだけど、その方法論がはっきりいって、ものスゴくオリジナルといえる(説明のしようがない)。
エラー構造とデジタル・ノイズを軸とした、
電子音楽のシュルレアリスム。
京都在住のアーティスト樋口鋭太朗が、2005年にshrine.jpからリリースした同名CD-R作品(SRCDR016)の再発盤。shrine.jpからは、他に2枚組CD-R作品『E-D-/K+I+』(SRCDR020/SRCDR021)をリリースしている。またdagshenma名義でも活動しており、これまでに大阪のレーベルnunulaxnulan/nejiなどから多数のCD-R作品を発表してきた。
本名名義の作品はリアルタイム音響合成とアルゴリズミック・コンポジションに特化した、オブジェクト指向型のプログラミング環境SuperColliderにより作曲している。Max/MSPのようなGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)型ではなく、言語型プログラミングなので、直感的でない分アクシデンタルな効果を誘発しやすい。
本作でも全編を通して、Autechreの流れを汲むようなエラー構造、グリッジなどのデジタル・ノイズを軸としたシュルレアリスティックな電子音楽を展開している。
樋口はdagshenma名義でもshrine.jpからアルバムをリリースしている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
三田 格