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vol.61:ウィリアムスバーグの終焉

沢井陽子 Jan 07,2014 UP

再オープンしたサイレント・バーン
再オープンしたサイレント・バーン

 気分も新たな2014年。本年もよろしくお願いします。
 NY(アメリカ)のお正月はあっという間に過ぎ、2日から通常営業。年の初めだし初心に戻り、またトッドPからはじめたい。2年前、2012年初めに、NYのDIYシーンの未来を語ってくれたトッドPである。
 この時から状況は変化しているが、ブルックリンのDIY音楽シーンを支える彼のコンセプトは変わっていない。彼が引き続き、2014年の重要な鍵を握っていることは間違いない。ここ数年の彼は表立ったブッキングよりも、複数のプロジェクトを進めてきている。
 彼がどれくらい忙しいかというと……以下が同時進行しているプロジェクト。
1. 285 ケント::オールエイジのパフォーマンス・スペースの経営。(ウィリアムスバーグ、ブルックリン)
2. トランス-ペコス(旧サイレント・バーン) :: オールエイジの会場、アートスペースの経営。(ブシュウィック/リッジウッド、ブルックリン)
3. オトラス・オブラス ::アートギャラリーの経営。(トゥワナ、メキシコ)http://otrasobras.mx
4. ショーペーパー ::オールエイジを対象にしたNYエリアのショーリスティングの新聞の幹部。フルカラーのアートは毎回変わる。2週間に1回発行。http://showpaper.info
5. マーケット・ホテル:: 長い間閉まっているコンサート/アートスペース。再オープンに向けて。(ブシュウィック、ブルックリン)
 その他、ブシュウィックに、リハーサルスタジオ、多目的アートスタジオ、オフィス・スペースなどを貸している。http://toddpnyc.com

 2013年12月に、#1のトランス・ペコス(元サイレント・バーン)が約2年半の歳月をかけオープン。喜んだその1週間後の12月19日には、定番のDIY会場、#2の285ケントがクローズ。NYのメディアもすぐ反応している。
 http://gothamist.com/2013/12/19/is_285_kent_closing_tonight.php
 http://blogs.villagevoice.com/music/2013/12/...
 http://www.imposemagazine.com/bytes/285-kent-closes

トランス-ペコス
トランス-ペコス

 まずふたつのサイレント・バーンについて説明。
 元々のサイレント・バーン(951 wyckoff ave)は、2011年8月に強制撤退させられている。そして、2013年1月に新しいスペース(603 bushwick ave)で再オープンし現在に至る。その旧スペース(915 wyckoff ave)に、#1のトランス・ペコスが、2013年12月にオープン。旧サイレントバーン:603 bushwick ave(ブシュウィック) 新サイレントバーン(トランス・ペコス):951 wyckoff ave(ブシュウィック/リッジウッド)
 トランス・ペコスは、違法だった場所を合法に変え、ライヴを見に来る目的だけでなく、飲みに来たり、ハングアウトできる多目的場所にしたいという、トッドPの新たな挑戦だ。トランス・ペコスのオープンに辺り、トッドPは12月10日に声明をリリースしている。トランス・ペコスをこれからどのような場所にしていきたいかなど、彼の情熱が伺える。著者は、12月18日に現在ほとんどのブッキングを担当するノーザン・スパイ・レコーズのショーケースで、サン・ワッチャーズ(From Nymph)、ピーター・カーリン8、プラティナム・ヴィジョンなどのバンドを見た。地下やバックヤードも改装され、トッドPの思惑通り「ゼブロン、トニックなどの、NYの伝統的な音楽スペースのように、広い範囲での「新しい」音楽ジャンルの場所」に一歩近付いている。ここに希望を感じたが、次の日が285 ケントの閉店とは誰が予想しただろう。

オトラス・オブラス
オトラス・オブラス

 この285 ケントの終幕が、トランス・ペコスのオープンとどう関連するのかは謎だが、ウィリアムスバーグの重要なDIY会場を失ったのは事実だ。285 ケントの終わりは、ウィリアムスバーグの終幕を決定づけたとも言える。285ケントの最後のアクトとなったエストニアンのエクスペリメンタル・シンガー、100%シルクのアーティスト、マリア・ミネルヴァもパフォーマンスの最中、観客に向かって「私たちはいまここで、ウィリアムスバーグの最後を見届けている。個人的にも、この場所(285ケント)以外には行く必要はないと思っている」と言い放った。

285ケントの最後のアクトとなったマリア・ミネルヴァのライヴ
285ケントの最後のアクトとなったマリア・ミネルヴァのライヴ

 その他、ブルックリンの音楽ニュースは:
 最近ウィリアムスバーグに鳴り物入りでオープンしたラフ・トレードは、騒音問題のため暫くライヴは中止。
 現サイレント・バーンは、現在資金集めのためキック・スターターを展開。
 多目的会場、ブルックリン・ナイト・バザーに、12月27日~28日と、サイキックTV(最高!)を2日連続で見にいった。人はたくさん入っていたが、クリスマスの後だったためか、ガクッとヴェンダーの数が減っていた。
 11月22日からトッドPのウエブサイトのアップデートは停止している。

 これらが何を意味するのか、変化の速度は速く、新たな時代に入っていることには違いない。2014年、何が起きても動揺しない精神の強さ(これ大事)で観察を続けたい。みなさんと共有できたら幸いである。

ブルックリンでのサイキックTV
ブルックリンでのサイキックTV

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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