ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Adrian Sherwood UKダブの巨匠にダブについて教えてもらう | エイドリアン・シャーウッド、インタヴュー (interviews)
  2. Oneohtrix Point Never ──ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、新作『Again』を携えての来日公演が決定 (news)
  3. Lost New Wave 100% Vol.1 ——高木完が主催する日本のポスト・パンクのショーケース (news)
  4. 国葬の日 - (review)
  5. Columns 9月のジャズ Jazz in September 2023 (columns)
  6. interview with Loraine James 路上と夢想を往復する、「穏やかな対決」という名のアルバム | ロレイン・ジェイムス、インタヴュー (interviews)
  7. Kazuhiko Masumura ——さすらいのドラマー、増村和彦の初のソロ・アルバムがbandcampにアップ (news)
  8. Shin Sasakubo & Jamael Dean / Daniel Villarreal ──〈rings〉から新作2枚が同時リリース。笹久保伸&ジャメル・ディーンの共作に、ラテン・クルーヴあふれるダニエル・ヴィジャレアル (news)
  9. Ezra Collective ──エズラ・コレクティヴ、ジャズ・アーティストとして初めてマーキュリー・プライズを受賞 (news)
  10. Caterina Barbieri - Myuthafoo | カテリーナ・バルビエリ (review)
  11. Columns 創造の生命体 〜 KPTMとBZDとアートのはなし ② KLEPTOMANIACに起こったこと (columns)
  12. PACIFIC MODE 2023 ──川崎の野外で遊ぶパーティ、NYのクッシュ・ジョーンズ、初来日となるマリブーやウラらが出演 (news)
  13. talking about Aphex Twin エイフェックス・ツイン対談 vol.2 (interviews)
  14. Laurel Halo ──ローレル・ヘイロー、5年ぶりのアルバムがリリース (news)
  15. PAS TASTA - GOOD POP (review)
  16. 絵夢 〜 KITCHEN. LABEL 15 in Tokyo ──冥丁らが出演、シンガポールのレーベルによる15周年記念イヴェント (news)
  17. 10月開催の「AMBIENT KYOTO 2023」、坂本龍一、コーネリアスほか出展アーティストを発表。テリー・ライリーのライヴもあり (news)
  18. Christopher Willits & Chihei Hatakeyama ──クリストファー・ウィリッツ&畠山地平による、この秋注目のアンビエント公演 (news)
  19. world’s end girlfriend ──7年ぶりの新作『Resistance & The Blessing』がついにリリース (news)
  20. Soccer96 - Dopamine | サッカー69 (review)

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol. 68:変わりゆくウィリアムスバーグ

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol. 68:変わりゆくウィリアムスバーグ

沢井陽子 Dec 24,2014 UP

 年の終わりは、何かとバタバタする。たくさんのホリディ・パーティが催され、大量のギフトを交換し、飲んで食べて、この1年はどうだった? などと1年を振り返る。ランダムなパーティに行くと、最近会っていない知り合いに会ったり、ホリディだからとNYに遊びに来ている友だちがいたり、たくさんのサプライズがあるのも、NYと感じる。

 著者は、バンド活動他、アーティストの取材やアテンド、NYのガイドブックを作ったり、地道な執筆作業を続けた1年だった。そして、毎週欠かさず行っていたのがブルックリン•ナイト•バザー。今年から年中オープンしていたので、ショーもたくさん見た。ハイライトは、マック•デマルコ、メン、ザ•メン、ハニー、サイキックTV辺りだろうか。毎週行っているので、ヴェンダーにも知り合いがたくさんできた。先週見に行ったRatkingでは久しぶりに列に並んだ! Run The Jewels(El-P & Killer Mike)とツアーをした、いまブルックリンで大人気のヒップホップ集団である。
 著者は、ヒップホップには詳しくないので、大きなことは言えないが、Todd Pがサマー・スクリーンでブックしていたのを見たとき、これぞ新世代バンド! と目をつけていた。
 この日はヴェンダーもぎゅうぎゅうで、ホリディギフトショッピングが飛び交うなか、誘惑を潜り抜け、ステージ横へ。すごい人である。メンバー3人だったのが、サックスプレイヤーが入ったり、トータル5人ぐらいがステージをウロウロしていた。相変わらずカジュアルで、客からのサーフィンが起こっていた。面白かったのが客層。2/3は褐色男20代前半。外で並んでいるとき、隣にいた人たちと喋っていたら、ニュージャージーから来たやら、ブロンクスから来たなど、「ブルックリンに来たの初めて!」という感じの人たちばかり。「ウィリアムスバーグに15年住んでる」と言ったら、途端に尊敬の眼差しで見られ「ブルックリンはどんなところ?」とガンガン質問されてしまった。

 そうなのである。著者が遊んでいた層や世代は、いまはウィリアムスバーグにはほとんど残っていないのである。いるのは、最近コンドに引っ越してきたリッチキッズやヤッピー。まわりのレストランもハイエンドで、最近行った日本食レストランSalt + Charcoalやゼブロンの跡地に出来たThe Heywardはいまのウィリアムスバーグを象徴している。今年は1月から285 Kentがクローズする〜と大騒ぎし、デス・バイ・オーディオ、グラスランズ、スパイク・ヒルのクローズで閉められた、ウィリアムスバーガーにとっては辛い1年だった。

 著者のまわりは、すでに西海岸やクイーンズに引っ越し、新たなコミュニティと共存しはじめている。とは言っても、NY、ブルックリンは広い。人も多いし、若い世代が、いまも違う形で新しい物を作り出しているのだ。

 実は、住んでいる場所について考えることがある。こんなに劇的に変わってしまった近所だが、いまでも大好きである。マンハッタンに行くことを考えたら、ウィリアムスバーグというアクセスの良さに勝るものはない。が、地価の高騰ぶりは半端ないのが現実である。

 さて、ホリディは、ウィリアムスバーグに、一体どんな層が出歩いているのか。新しい発見があることを願って。

 最後に、2014年もお世話になりました。


Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS