ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Jeff Mills × Jun Togawa ──ジェフ・ミルズと戸川純によるコラボ曲がリリース
  2. Lost Souls Of Saturn - Reality | ロスト・ソウルズ・オブ・サターン
  3. interview with Martin Terefe (London Brew) 『ビッチェズ・ブリュー』50周年を祝福するセッション | シャバカ・ハッチングス、ヌバイア・ガルシアら12名による白熱の再解釈
  4. Squarepusher ──スクエアプッシャー4年ぶりの新作はストリーミングでは聴くことができない
  5. レコード蒐集家訪問記 第⼀回 ピンク・フロイド『夜明けの⼝笛吹き』を60枚以上持つ漢
  6. Bonobo presents OUTLIER ──ダウンテンポの達人、ボノボがキュレートするイベントにソフィア・コルテシス、真鍋大度、食品まつりが出演
  7. Jeff Mills ——ジェフ・ミルズと戸川純が共演、コズミック・オペラ『THE TRIP』公演決定
  8. Kali Malone - All Life Long
  9. Cowboy Sadness - Selected Jambient Works Vol. 1 | カウボーイ・サッドネス
  10. Columns 2月のジャズ Jazz in February 2024
  11. Oneohtrix Point Never - Again
  12. sugar plant ──90年代日本における重要バンドの一組、シュガー・プラントの2作がカセットでリイシュー
  13. interview with Tei Tei & Arow 松島、パーティしようぜ
  14. Oneohtrix Point Never ──ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、新作『Again』を携えての来日公演が決定
  15. Columns 誰がために音楽は鳴る
  16. interview with Kode9 〈ハイパーダブ〉20周年 | 主宰者コード9が語る、レーベルのこれまでとこれから
  17. R.I.P. Damo Suzuki 追悼:ダモ鈴木
  18. Columns ♯3:ピッチフォーク買収騒ぎについて
  19. interview with Oneohtrix Point Never(Daniel Lopatin) OPNはいかにして生まれ、そして新作mOPNへと繫がったのか | ダニエル・ロパティン
  20. Don Letts ──パンキー・レゲエ・パーティDJの創始者、ドン・レッツが来日

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.83:NYが失っていくもの──Other musicよ永遠に

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.83:NYが失っていくもの──Other musicよ永遠に

  photos:brooklynvegan.com Jun 27,2016 UP

 イーストヴィレッジにあるアザー・ミュージックは、私がNYで一番通ったレコード屋である。NYに引っ越す前から、NYに来たらまず最初に行く場所だったし、イースト・ヴィレッジに引っ越してきてからは毎日通った。ウィリアムスバーグに引っ越してからも、週に3日は通ったし、自分のレーベルや友だちのレコードなどを置かせてもらった。インディ・シーンにいる人たちにフレンドリーなレコード屋さんだった。スタッフもアニマル・コレクティブ、ジャー・ディヴィジョン、ヌード・ビーチなどのメンバーで、みんなバンドをやっている。
 

 2016年5月、アザー・ミュージック(http://www.othermusic.com)が6月に閉店するというニュースが流れた。アザー・ミュージックは、1995年にタワーレコードの向かいに、タワーにない「他の=other」ミュージックを扱うという名目でオープンした。
 2006年にタワーレコードがクローズした後も、アザー・ミュージックは、独自のインディ・セレクションで、世界中の音楽ファンに支えられていたのである。行くたびに、たくさんお客さんが居た。スタッフと長々雑談し、CDを片手に抱えきれないほど持っている人も珍しくなく、インストア・イヴェントとなるとじつにたくさん人が入った。いわば私たちの拠点だった。

 アザー・ミュージックの閉店日と同じ日6月25に、これまた老舗のNYのレコード屋、ウエスト・ヴィレッジのレベル・レベルも閉店した。レベル・レベルはUKの輸入盤が多いレコード屋で、ディヴィッド・ボウイの曲から店名をとっている。28年の歴史に幕を下ろす原因は、NYのとんでもない家賃の値上がりである。

 2016年という年は、もう何が起こってもおかしくない気もするが、このニュースは、音楽業界の変化、個人店経営、消費者のお金の使い方を、現実的に受け止める良い機会となった。コアなファンの貢献だけでは、個人経営店のNYの家賃は賄えないのだろう。
 同じことがNYのDIY音楽会場にも言える。シークレット・プロジェクト・ロボット、アクロン、グランド・ヴィクトリー、そしてパリセイドまでが閉店、もしくは引っ越しを迫られている。もちろん、何処かでパーティは引き継がれるのだけど。

 自分のレーベル、コンタクト・レコーズの一番最初のコンピレーションにアザー・ミュージックのミラーをジャケットに使わせて貰ったなー(1998年)、と思いを馳せながら、かくいう本人も、15年住んでいるウィリアムスバーグのアパートメントを今月末に追い出される。気がつけば周りはコンド(※新築マンション)だらけ、ヒップな近所になったが、もうここは、アーティストや個人店には厳しい。リーズナブルな家賃を求めて、もっと東、北、南へ動くしかないのだ。ああ、NY。

http://www.othermusic.com

http://www.recordstoreday.com/Venue/5664

http://www.brooklynvegan.com/other-music-closed-for-good-rebel-rebel-too

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS