ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Cornelius ──コーネリアスがさらなる新曲“Twisting & Glistening”を公開
  2. FUTURE FREQUENCIES FESTIVAL 2026 ──新たなフェスティヴァルが始動、ジョイ・オービソンやザ・セイバーズ・オブ・パラダイス、ノウワーらが出演
  3. DJ Stingray 313 ──来日直前特別インタヴュー、エレクトロの醍醐味から現在制作中の新作まで
  4. Beatrice M. - Sinking | ベアトリス・M
  5. Cornelius ——コーネリアス、ニュー・アルバム『REFRACTIONS』の詳細を発表
  6. Visible Cloaks - Paradessence | ヴィジブル・クロークス
  7. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  8. Columns #16:ワールドカップ2026 ──時代は変わった(日本代表のことではない)
  9. Tadekui ──北海道出身の期待のバンド、タデクイのファースト・アルバムが全国流通開始&LPもリリース
  10. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  11. DJ Stingray 313 ──デトロイト・エレクトロの至宝、DJスティングレイが来日
  12. 巻紗葉インタヴュー・マラソン ロールシャッハ・ノート #4 eastern youth 吉野寿 前編  | イースタン・ユース
  13. Fumiya Tanaka ──Fumiya Tanaka主催パーティ〈CHAOS〉東京編、ゲストはStones TaroとLomax
  14. YHWH Nailgun - Magazine | ヤハウェ・ネイルガン
  15. interview with Loraine James ロレイン・ジェイムズの“ポップ”な冒険 | ——来日直前インタヴュー
  16. Columns 〈FUTURE FREQUENCIES FESTIVAL 2026〉出演者解説 ──ジョイ・オービソン、セイバーズ・オブ・パラダイス、ノサッジ・シング×真鍋大度、ロレイン・ジェイムズほか
  17. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50
  18. interview with Mouse on Mars 僕たちはダブを、ジャンルではなく社会的なものとして捉えたい | ——リー・ペリーとの共作を発表したマウス・オン・マーズ、インタヴュー
  19. Loraine James ──ロレイン・ジェイムズがニュー・アルバムをリリース
  20. Cornelius ——コーネリアスがアルバム『Refractions』のリリースと新曲“Aeons”の配信開始を発表

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.83:NYが失っていくもの──Other musicよ永遠に

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.83:NYが失っていくもの──Other musicよ永遠に

  photos:brooklynvegan.com Jun 27,2016 UP

 イーストヴィレッジにあるアザー・ミュージックは、私がNYで一番通ったレコード屋である。NYに引っ越す前から、NYに来たらまず最初に行く場所だったし、イースト・ヴィレッジに引っ越してきてからは毎日通った。ウィリアムスバーグに引っ越してからも、週に3日は通ったし、自分のレーベルや友だちのレコードなどを置かせてもらった。インディ・シーンにいる人たちにフレンドリーなレコード屋さんだった。スタッフもアニマル・コレクティブ、ジャー・ディヴィジョン、ヌード・ビーチなどのメンバーで、みんなバンドをやっている。
 

 2016年5月、アザー・ミュージック(http://www.othermusic.com)が6月に閉店するというニュースが流れた。アザー・ミュージックは、1995年にタワーレコードの向かいに、タワーにない「他の=other」ミュージックを扱うという名目でオープンした。
 2006年にタワーレコードがクローズした後も、アザー・ミュージックは、独自のインディ・セレクションで、世界中の音楽ファンに支えられていたのである。行くたびに、たくさんお客さんが居た。スタッフと長々雑談し、CDを片手に抱えきれないほど持っている人も珍しくなく、インストア・イヴェントとなるとじつにたくさん人が入った。いわば私たちの拠点だった。

 アザー・ミュージックの閉店日と同じ日6月25に、これまた老舗のNYのレコード屋、ウエスト・ヴィレッジのレベル・レベルも閉店した。レベル・レベルはUKの輸入盤が多いレコード屋で、ディヴィッド・ボウイの曲から店名をとっている。28年の歴史に幕を下ろす原因は、NYのとんでもない家賃の値上がりである。

 2016年という年は、もう何が起こってもおかしくない気もするが、このニュースは、音楽業界の変化、個人店経営、消費者のお金の使い方を、現実的に受け止める良い機会となった。コアなファンの貢献だけでは、個人経営店のNYの家賃は賄えないのだろう。
 同じことがNYのDIY音楽会場にも言える。シークレット・プロジェクト・ロボット、アクロン、グランド・ヴィクトリー、そしてパリセイドまでが閉店、もしくは引っ越しを迫られている。もちろん、何処かでパーティは引き継がれるのだけど。

 自分のレーベル、コンタクト・レコーズの一番最初のコンピレーションにアザー・ミュージックのミラーをジャケットに使わせて貰ったなー(1998年)、と思いを馳せながら、かくいう本人も、15年住んでいるウィリアムスバーグのアパートメントを今月末に追い出される。気がつけば周りはコンド(※新築マンション)だらけ、ヒップな近所になったが、もうここは、アーティストや個人店には厳しい。リーズナブルな家賃を求めて、もっと東、北、南へ動くしかないのだ。ああ、NY。

http://www.othermusic.com

http://www.recordstoreday.com/Venue/5664

http://www.brooklynvegan.com/other-music-closed-for-good-rebel-rebel-too

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS