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Random Access N.Y.

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vol.93:ブルックリンのインディ・ロックは死なず

Pill, Bambara, Weeping icon, Hubble @Alphaville 7/15/2017

沢井陽子 Jul 21,2017 UP

 NYの最近の音楽の話題といえば……、LCDサウンドシステムの再結成だろうか。6月にできた大会場、ブルックリン・スティールでこけら落とし、6日間連続ショーを敢行。夏はあらゆるフェスティヴァルに出演、秋には北アメリカツアー、12月にはブルックリン・スティールで10日間連続のショーを追加。
 えー、それから……Jay-Zがショッキングなパーソナル・アルバムを出し、1枚も売らないうちに(ストリームのみ)プレミアムになり、ビヨンセが待望の双子を出産し、Rケリーがセクシャル・ハラスメントで訴えられ……いやいや音楽メディアを賑わせるのは、ここブルックリンのインディ・バンドのはず。活きの良いバンドが集まり、ぴちぴちしながらシーンを形成していることを、知っているだろうか。同じ日にあった 〈Out in the Street〉フェスティヴァルよりも、ラインナップの濃い、現在のブルックリンを代表するバンドが集まったショーは、アルファヴィルという、ブッシュウィックのレストランで。リル・ヨッティを知らなくても、彼らは知っていたほうが良い。(http://www.alphavillebk.com/)


 最初は、元the MenのBen GreenbergのプロジェクトのHubble。
(https://www.facebook.com/pg/missionhubble/)

 彼はユニフォーム(http://www.unifuckingform.com/)というとハードコア・バンドもやっていて(sacred bonesから作品をリリース)、ハーヴェイ・ミルクなどのヘヴィーな音楽に影響されている。アヴァンギャルドなフィンガー・タッピング・ギターのなかに、メタル、パンク、ブルース的要素を取り入れた、実験的音楽が紡がれる。体がホワーンと上がる、ダウンタウンのミニマリズムとブルックリンの攻撃的要素が交わる。


 ブルックリンの女子4人組のウィーピング・アイコンは、みんなロングヘアで、見た目がほとんど同じで、ローファイなウォー・ペイントという印象。ダークで、サイケで唸るようなパンクなチューンを、実験的にかき鳴らしし、最後にはキーボード(コンピュータの)を引っ張りだし、ガチャガチャ打ちつつ、轟く音を残した。(https://www.facebook.com/weepingiconbk/)


 そしてクール過ぎる、男前バンドのバンバラの後が、今夜のメイン、サックス・ドライヴィン・バンドのピル。ニューEP「Aggressive Advertising」は、パーケット・コートのメンバーのレーベル、ドゥル・トゥールからのリリース。
 リディア・ランチやティーンエイジ・ジーサス・アンド・ザ・ジャークスなどのノーウエイヴ、ポストパンク組に分類されがちだが、サーフ・ロックからフリー・ジャズまでを網羅し、フェミニズム、政治、抗議などについて歌う。サックスを中心に、鋭く攻撃的な音がリボンのようにあちこちに飛び回り、感情を掻き立てられるのだが、歌い方は至って冷静。ちょい艶やかなダウンタウン・ボーイズともいえる。ステージでのエネルギーの放ち方が半端なく、オーディエンスもそれをがっちり受け止める。客層は若く、ゲイが多い、いかにもブルックリンな感じ。最近は、ディアハンター、ゲリラ・トス、サン・ウォッチャーズ、ウッズなどなど、サックスを取り入れるバンドが多いのは、たまたまの偶然なのだろうか。
(https://www.facebook.com/PILLTHEBAND/)

 会場もバンドに優しく、バーテンダーはみんなバンドマンで(ホンヂュラスのヴォーカルもいた)、オーナーもバンドを見て盛り上がっている。ドリンクは、12種類ほどのドラフトビール他フルバーで、フードはハンバーガー、ナゲット、マック・アンド・チーズなど豊富。ショーが終わった後もみんなナゲットを摘みながら長々とハングアウト。そして、そのまま別のバーに流れ、朝まで飲み……と、まあ、そこでとんでもないアイディアが生まれるというわけなのだ。

Yoko Sawai
7/17/2017

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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