ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  2. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  3. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  4. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  5. Loraine James ——ロレイン・ジェイムズの新作、突如のリリース(しかも無料DL)
  6. Brian Eno ──ブライアン・イーノがレーベル〈Opal〉を再始動、あわせて00年代の2作品がリイシュー
  7. Future Sound of Jazz ——蘇る「フューチャー・ジャズ」、ドイツの〈Compost〉の人気シリーズが16作目
  8. R.I.P. 鷲巣功
  9. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  10. Fatima Al Qadiri ──ファティマ・アル・カディリが〈Hyperdub〉より新作EPをリリース
  11. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum
  12. Kim Doeon - SLAPSTICK | キム・ドオン
  13. interview with Kinnara : Desi La 「アートによって、私は世界に満足できるようになりました。アートが、私の孤独の多くを壊してくれたのです」 | ──緊那羅:デジ・ラ、インタヴュー
  14. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  15. Tohji - angel
  16. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  17. Haruomi Hosono ──細野晴臣のドキュメンタリー映画が公開
  18. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  19. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  20. Cornelius - Refractions | コーネリアス

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.94:ライアーズはやっぱりライアーズなのだ

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.94:ライアーズはやっぱりライアーズなのだ

沢井陽子 Aug 31,2017 UP

 ライアーズがニュー・アルバム『TFCF(Theme From Crying Fountain)』をリリースした。アーロン、ジュリアンが抜け、アンガス一人になった今作は、抑圧ヴァージョンだが、明らかにライアーズである。何作もライアーズを聴き続けているが、ライアーズはいつも違って、いつも同じなのだ。あまりにも独特で、いまだにファンを惹きつけている。

 初期2000年代のアート・パンク/ノイズ・パンクから、そしてグリッジー、そしてダンサブルな変態エレクトロ・ポップを経ての今作は、ある意味ライアーズ史において一番おとなしい。とはいってもライアーズなので、1、2曲聴いただけでは全体の物語はつかめない。まずはライアーズのお得意の、急き立てられるダーク・エレクトロあるいはフォーキーなサイドが耳に入る。

 8月最終月曜日の夜に、グリーンポイントのブルックリン・ナイト・バザーで、『TFCF』のリスニング・パーティがあった。アルバムのカヴァー・アートのテーマを踏襲して、会場は赤白の風船とウエディング・ケーキ、白鳥の花瓶などが飾られていた。アンガス自らがフロントで、ウエディングドレスとベールを着てのDJをはじめる。

 アンガスのセットはハイパーな折衷主義で、キンクス、クリス・クロス、ファクトリー・フロア、グレゴリアン・チャンターズ・エニグマ、ジョン・ホプキンズなどをプレイ。自分の曲もかけていたが、DJ中は真剣な顔で画面に向かい、ニコリともせず、そして10時ぴったりに最後の曲を終えると、何も言わず会場を去った。
 お客さんは、フロアで踊っている人もいたが、ほとんどがウエディングドレス姿のアンガスを、ウエディング・ケーキのお裾分けを食べながら凝視しているという、なんとも奇妙な光景だった。招かれざるウエディング・パーティに足を踏み込んだ感じで、その居心地の悪さがじつにライアーズらしい、と笑ってしまった。会場には、今回のツアー・バッキング・バンドであるバンバラのメンバーや音楽ブログのエディターなどが勢ぞろいしていたが、みんなこの奇妙な状況を面白がった。いかにもいまの時代らしいね、と。

 ライアーズは、数週間前(ヨーロッパツアーの前)にアルファヴィルという小さな会場でシークレット・ショーをしたばかり(その時は満員!)。この後は、アメリカを周り、ブルックリンには9/21に帰ってくる。会場のワルシャワは、以前アンガスが怪我をして、座りながらショーをした事も記憶にあるが、ライアーズにはお馴染みの会場である。新メンバーでどういったショーを見せてくれるか、いまから楽しみである。

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS