「LV」と一致するもの

interview with I.JORDAN - ele-king

クラブ・ミュージックは労働者階級から生まれたものだから、そういう街にいたことが自分に影響を与えているんだと思う。

 ハウスかと思えばテクノへ、テクノかと思えばトランスへ、トランスかと思えばハーフ・テンポのビートへ、あるいはジャングル~ハードコア、ガラージ、フットワーク、ポップスへ。紙一重でグルーヴを保持しつつもDJセットのなかで絶えずジャンルを横断するようなプレイングはクラブ・ミュージックのスタンダード・スタイルとすら言い切れる。特定のジャンルやスタイルへと身を捧ぐ美学も依然としてクラブ・カルチャーに欠かせない重要な要素のひとつだけれど、私たちの普段のリスニング態度というのはもっと気ままに、さまざまなサウンドやビートをコラージュするようなものであることは間違いないし、その自由さをクラブに持ち込むということはごく自然な動きでもあるだろう。

 そして、多くの若い人びとがクラブ・ミュージックを横断的に聴く、ということを強く意識したのはコロナ禍の、あのクラブの扉に鍵がかかってしまった時期のことではないだろうか? ホーム・リスニングを強いられた時代を経て、私たちは配信プログラムやウェブ上のDJミックス、動画コンテンツ、あるいはストリーミング・サーヴィスに星の数ほど広がるプレイリストの数々を絶えず渡り歩いてきた。その蓄積はけっして無意味なものではなかったし、むしろダンス・ミュージック受容の可能性を拡張したのではないか、とも考えられる。そんな感覚を(時代の要請とは無関係に)持ち合わせているアーティストたちに、いま光が当たりはじめている気配がする。

 今回インタヴューをおこなった〈Ninja Tune〉所属のアイ・ジョーダンもそのひとりだろう。北イングランドの郊外、労働者の街ドンカスターで生まれ育ち、現在はロンドンを拠点とするノンバイナリーのアーティストだ。階級差別と静かに闘いつつ、物心がつくころから変わらないピュアな音楽愛をもとに多彩なジャンルを横断するプレイヤーで、約10年にわたるアンダーグラウンドでのDJ活動を経て、2019年以降〈Local Action〉からシングルをリリース、2020年にはヒット曲 “For You” を送り出している。のちにコラボするフレッド・アゲイン同様、パンデミック時代が生んだプロデューサーと言えるだろう。その後〈Ninja Tune〉と契約、21年の “Watch Out!” であらためてその存在感を見せつけたアイ・ジョーダンの、ファースト・アルバムがついに完成した。現在流行のトランシーな感覚を維持しつつも、さまざまなスタイルに挑むこの新星にUKダンス・ミュージックの現在地を訊く。

音楽業界には労働者階級の人はあまりいないから、成功するために自分の訛りをなるべく消すように努めてきたけど、歳を重ねたいまは自分がどこから来たのかってことにプライドを持てるようになったし、出自への感謝も湧いてきたんだ。

いまはロンドンが拠点なんですよね。育ったドンカスターという街はどんなところですか?

IJ:ドンカスターが日本でよく知られてないのは、そんなに素敵なところじゃないからかな(笑)。基本的には労働者階級の街で、わたしが好きな音楽のシーンはなかった。だから16歳のときにドンカスターを出たんだけど、あそこは自分にインスピレーションを与えてくれる場所でもあったんだ。クラブ・ミュージックは労働者階級から生まれたものだから、そういう街にいたことが自分に影響を与えているんだと思う。ドンカスターはベースラインが生まれたシェフィールドとそう遠くないしね。ドンカスター・ウェアハウスっていうヴェニューがあるんだけど、そこは90年代初頭のUKレイヴやハードコア・テクノのパーティにとって重要な場所だった。

労働者階級であるということは、音楽をやるうえでもご自身にとって大きいですか?

IJ:そうだね。イギリスっていうのはすごく階級意識の高い国で、たとえば自分にはヨークシャーや北イングランドあたりの訛りがあるんだけど、そうした要素から、その人の階級をすぐに判断されてしまうような風土があって。わたしは、そういったものと闘ってきたところもあるかな。音楽業界には労働者階級の人はあまりいないから、成功するために自分の訛りをなるべく消すように努めてきたけど、歳を重ねたいまは自分がどこから来たのかってことにプライドを持てるようになったし、出自への感謝も湧いてきたんだ。ただ、自分は労働者階級のダンス・ミュージックをつくっているし、そうしたものに影響を受けてはいるんだけど、やっぱり音楽をつくるにはお金も練習するための時間も必要で、でも労働者階級だとそうした余裕は持てない。実際、自分の家族のなかでドンカスターを出たのはわたしだけだしね。もちろん、音楽の道に進んでいったのも。

最初に音楽を聴くようになったのはいつごろで、どういうものに惹かれていましたか?

IJ:人生をとおしてずっと音楽に影響を受けつづけてるよ。最初にギターを手にしたのが3歳ぐらいのころで、母がジョージ・マイケルやプリンス、フィル・コリンズ、シンプリー・レッドとか、そういう音楽を聴いていたから影響を受けたかな。10歳のころには本格的にギターを練習するようになって、そのときはロックに夢中だった。16歳ごろから徐々にダンス・ミュージックに興味を持つようになって、トランスやミニストリー・オブ・サウンド、イビザ的なサウンドを聴くようになったんだ。そのあともっとハードな音を求めてペンデュラムやハッピー・ハードコア、ドラムンベースなんかを聴くようになった20歳ごろからDJをはじめて、テクノ、ハウス、ドラムンベース、ガラージ、そういったものをプレイするようになっていった。

ノスタルジアというか、郷愁のようなものをトランスに感じとっている人が多いんじゃないかな。

あなたの音楽の特徴のひとつに、トランシーな感覚があります。いまトランスが流行しているのはなぜだと思いますか?

IJ:UKだけじゃなく、いまヨーロッパ全体でトランス・ミュージックが流行っていると思う。とくに90年代から00年代初頭のサウンド、ユーロ・ダンスのようなトランスがね。わたしもその時期の音楽には影響を受けていて、デビューEPの「DNT STP MY LV」にもトランスを入れてる。トランスの浮遊感や多幸感に触れる体験が好きだから、自分もつくってるんだ。そして、いまはトランスと同時にテクノ・エディットしたものがブームになっていて、たとえば自分もつくった曲を違うヴァージョンでテクノ・エディットにしたりしてる。全体的にノスタルジアというか、郷愁のようなものをトランスに感じとっている人が多いんじゃないかな。

現在トランスを受容している層はおそらくリアルタイム世代ではないですよね。

IJ:当時流行ってたトランスは聴いてたよ。7歳ぐらいのころに(笑)。労働者階級の住む街、とくに北イングランドだと、子どものころからダンス・ミュージックに触れる機会がすごく多いんだ。昔は中古のトランスのコンピレーション・アルバムなんかが簡単に、安く手に入りやすかったし、海賊盤もたくさん売ってたから。

UKではいまやはりレイヴも勢いがあるのでしょうか。

IJ:レイヴやクラブはすごく流行っていると思う。というか、それらはイギリスの一部だから、流行りつづけていると言ったほうがいいかな。とくにコロナ以降はこういったものをみんなすごくありがたがっていると思うし。

スクウォット式のレイヴもいまだ根強い?

IJ:いまでもフリー・パーティやスクウォット・レイヴはけっこうあるよ。とくに夏場は野外でおこなわれるものが多くて、たとえばロンドンのハックニー・マーシーズって公園だと、昼も夜もそういったパーティをやってるかな。

あなたが躍進していったのはコロナ禍のタイミングでしたが、トランスやレイヴといったカルチャーが盛り上がるようになったのは、やはりパンデミックの影響だと思いますか?

IJ:そうだと思う。パンデミックがあったことで音楽の聴き方や音楽への向き合い方が人びとの間で大きく変わっていったと思うけど、パンデミックが終わって友だちと一緒にクラブで音楽を聴けるようになったことを祝うムードはすごく大きくなったと思う。同時に、ダンス・ミュージックというものが違った方向でも聴かれるようになったと思ってる。クラブが閉鎖されているからこそ、その枠を飛び越えるようなダンス・ミュージックの新たな可能性をロックダウンが示してくれたんじゃないかな。

ちょうどパンデミックの起こった2020年に、あなたの代表曲ともいえる “For You” がリリースされました。2023年の現時点から振り返ってみたとき、どういう印象を抱きますか?

IJ:3年経って、この曲のことを考えることはよくあるけど、いまクラブではプレイしてないかな。今回の東京や上海は初めてプレイする場所だったから今回はかけたけどね(註:取材は昨年12月、来日公演のタイミングでおこなわれた)。3年間で自分は大きく成長できたと思うし、そのなかでこの曲はたくさんプレイしてきたから。いまは “For You” のことを誇りに思っているよ。

当時流行ってたトランスは聴いてたよ。7歳ぐらいのころに(笑)。労働者階級の住む街、とくに北イングランドだと、子どものころからダンス・ミュージックに触れる機会がすごく多いんだ。

〈Local Action〉のあと、〈Ninja Tune〉と契約に至った経緯を教えてください。

IJ:“For You” をリリースしたあとオファーをもらって、2枚のEPと1枚のアルバムを出すという内容の契約を結んだんだ。〈Ninja Tune〉はすごくいいレーベルで、できれば条件を達成したあとも契約を更新していきたいなと思ってるよ。

移籍した2021年にEP「Watch Out!」をリリースしていますが、それまで以上にハードコアなブレイクビーツが披露されている印象を受けました。

IJ:いや、そういうわけではなくて、わたしはハードコアなサウンドをずっとつくりつづけているつもりなんだ。「Watch Out!」には2曲ぐらいハードコアが入っているけど、ディスコ・エディットのハウス・トラックがあったりするし。ハードコア・テクノは自分の一部だから、その時期はとくに熱中してつくってたかな。いまは少し変わってきてて、テクノやトランスを中心につくるようになった。アーティストとして、いろんなプロダクションにアプローチしていきたい気持ちが強くて、たとえばアルバムはテクノやトランスもあるし、ガラージや実験的な要素も含まれている。なるべく多くのジャンルを横断的につくっていきたいと思ってる。

ふだんの制作において、なにかコンセプトを考えたうえでつくることはありますか?

IJ:EPや曲単体にかんしては内省的で自分自身を見つめ直すようなものが多いんだけど、明確なコンセプトはないかな。ただ、やっぱりアルバムを制作するとなると客観的な視点やコンセプトが必要になってくるから、ある程度ぼんやりとは考えている。

現在制作中のアルバムはどのような内容になっているのか、教えてください。

IJ:このアルバムは、自分の人生のなかでいちばん重要なプロジェクトで、誇りに思える大切な作品になった。わたしの尊敬するアーティストや友人たちともたくさんコラボレーションしていて、UKのクラブ・ミュージックをベースにエクスペリメンタルやハウス、トランス、ドンク、ガラージのような多彩な方向性を持つ音楽が混ざりあった内容で。それぞれ違ったセッティングや環境でも楽しんで聴いてもらえるアルバムだと思うよ。

Tomeka Reid Quartet Japan Tour - ele-king

 シカゴの前衛ジャズ集団AACMの一員として頭角をあらわし、以降ニューヨークとシカゴを往復しつつさまざまなグループで活躍しているトミーカ・リードは、こんにちの前衛ジャズ・シーンにおける見過ごせないチェロ奏者のひとりだ。そんな彼女が率いるカルテット、つい最近新作『3+3』を発表したばかりの精鋭4名が来日ツアーを敢行する。自在にチェロを操るリードのほか、1月に〈Nonesuch〉から新作を出しているメアリー・ハルヴォーソン(ギター)、ジェイソン・レブキ(ベース)、トマ・フジワラ(ドラムス)ら強力な面々による演奏を体験する貴重な機会。ぜひ足を運びましょう。

Tomeka Reid Quartet Japan Tour - 公演情報(venues)

Tomeka Reid (トミーカ・リード) - cello | チェロ
Mary Halvorson (メアリー・ハルヴォーソン) - guitar | ギター
Jason Roebke (ジェイソン・レブキ) - bass | ベース
Tomas Fujiwara (トマ・フジワラ) - drums | ドラムス

■6/5(水)東京
18:30open 19:30start
@BAROOM
東京都港区南青山6-10-12 1F
前売¥5,000 当日¥5,500 *税込/全席指定/1ドリンク別
https://baroom.zaiko.io/item/363666

■6/7(金)名古屋
18:30open 19:30start
@TOKUZO -得三-
愛知県名古屋市千種区今池1-6-8ブルースタービル2F
予約¥5,000 当日¥5,500
https://www.tokuzo.com/2024Jun/20240607

■6/8(土)大阪
16:00open 17:00start
@スピニング・ミル
大阪府堺市堺区並松町45
予約¥5,000 当日¥5,500(全席自由)
https://www.keshiki.today/event-details/trq2024osaka

■6/10(月)岡山
18:30open 19:30start
@蔭凉寺
岡山県岡山市北区中央町10-28
予約¥5,000 当日¥5,500(全席自由)
https://omnicent.org/event/tomeka-reid-quartet-japan-tour-in-okayama

■6/13(木)福岡
18:30open 19:30start
@九州大学大橋キャンパス音響特殊棟
福岡県福岡市南区塩原4-9-1
一般¥5,000 25歳以下および九大教職員・学生¥3,000
https://peatix.com/group/11649039

■6/15(土)八女
18:00open 19:00start
@旧八女郡役所
福岡県八女市本町2-105
前売¥5,000 当日¥5,500
https://yame-ongaku.square.site/

CALVIN KEYS - ele-king

CYK & Friends 2024 - ele-king

 東京拠点のハウス・ミュージック・コレクティヴ、CYKのパーティ「CYK & Friends 2024」が4月12日(金)にCIRCUS Tokyoで催される。同企画はもともと2019年に神宮前bonoboにて開催されたパーティ・シリーズで、CYKの「Friends」と呼ぶべき国内外のゲストを招いたもの。
 ShioriyBradshawとFELINEによるB2B、〈PAL.Sounds〉のChanaz、Pee.J AndersonのJomniなど、5年ぶりの開催となる今回も魅力的な面子が集結、ホットな一夜になりそうだ。詳細は下記より。

昨年は香港『Shi Fu Miz Festival』、『森、道、市場』、『Metamorphose』等を初め、国内外の10本以上のフェスティバル出演を果たし、スコットランド出身のアップカミングなDJ、Wallaceの初来日を実現。そして来る3月22日はアムステルダムの気鋭、Kamma & MasaloとのWOMB Mainフロアでの2マンを予定している東京のハウスミュージック・コレクティヴCYKが、『CYK & Friends』の開催を約5年ぶりにアナウンス。

同パーティー・シリーズは’19年に豪州のPelvis、Torei、SEKITOVAといったCYKの「Friends」と呼ぶにふさわしいゲストを招き、神宮前bonoboにて4ヶ月連続で開催され、毎回のような高純度の'ハウス'の炸裂と、超満員で記憶にも記録にも残ったモンスター企画だ。

今回は、CYKのホームであるCIRCUS Tokyoでの開催となる。

「Hong Kong Community Radio」のレジテントも務め、3.29にはベルリンのコレクティヴEinhundertとの共同企画も控える、ジャンル&地域横断型DJのShioriyBradshawと、10年代以降のベースミュージック影響下にありつつも軽やかに垣根を跨ぎ八面六臂の活躍を魅せるFELINEのスペシャルなB2Bが実現。本パーティーでのエクスクルーシヴなオーダーを、彼女たちに依頼した。

CYKのKotsuが拠点を置く京都からは、Rainbow Disco Club 2024に出演予定である若手筆頭レーベル[PAL.Sounds]構成員のChanazを招聘。同じく京都拠点で、フローティンでエモーショナルなハウス・ライヴに定評があるPee.J Andersonの片割れJomniは、CYK TOKYO RADIOに提供した、自身やレーベルメイトの未発表曲を含むMixがカルトヒット中。

ラウンジフロアを固めるメンバーも、エポックな『Nyege Nyege Music Festival 2022』へのTYO GQMとしての出演以降、『Keep Hush Kyoto』や自身のパーティー『Gravity Bongo』でのプレイで、東京地下と現行アフリカ音楽に根差しアップデートを続けるK8を筆頭に、CYKのメンバーと夜を明かしてきた近しい間柄のアップカミングなDJが顔を揃えた。

本パーティーのラインナップのMixは、CYK TOKYO RADIOに掲載されており(もしくは掲載予定)、ぜひSoundcloudをチェックしてほしい。


2024.4.12(FRI)
CIRCUS Tokyo:

Open: 23:00
Door: ¥2,000 *Door only
Over 20 only・Photo ID required

Line Up (A to Z):
B1F Main:
Chanaz (PAL.Sounds / from Kyoto)
ShioriyBradshaw B2B FELINE
Jomni (NC4K / Pee.J Anderson / From Kyoto)

CYK (Kotsu,Nari,Naoki Takebayashi,DNG)
Decoration: manato itsubo

1F Lounge:
Andy (ISM)
K8 (TYO GQOM)
r1ku
TSUZAKI

More Info: https://circus-tokyo.jp/
+81-(0)3-6419-7520 / info@circus-tokyo.jp

▼CYK TOKYO▼

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SOUNDCLOUD 

About

It was a natural thing that CYK came to be — when some of Tokyo’s house freaks came together to throw their own party.
Not only a platform for showcasing international guests,
CYK is also a collective of DJs, organizers, promoters.
We don’t propose any lofty aims as a crew — we simply love to keep representing proper grooviness and to draw partygoers into exciting and immersive dance spaces.
Keep your eyes open! More info will be coming soon.
-member-

Nari / Kotsu / DJ No Guarantee / Naoki Takebayashi

RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec - ele-king

 ルーマニアから凄腕のエレクトロニック・ミュージック三人衆、RPR SOUNDSYSTEMが来日する。5年前の公演でも、ミニマル通たちを唸らせた東欧テクノのいまも体験しよう。嬉しいことに、DJ KENSEIがリキッド上でオープンから最後までDJでサポート。刺激を求めて夜に待機だ。

RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec VJ @LIQUIDROOM

■日時
2024年4月5日 (金) 23:30 OPEN/START

■会場
LIQUIDROOM 03-5464-0800
http://www.liquidroom.net

■出演者
ー 1F LIQUIDROOM ー
RPR SOUNDSYSTEM (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh / [a:rpia:r])
Dreamrec VJ

ー 2F LIQUID LOFT ー
DJ KENSEI -Open to Last-

この日本に、あの奇跡の夜を再び! 世界のミニマルアンダーグラウンドシーンの最高峰
RPR SOUNDSYSTEM (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh / [a:rpia:r]) がLIQUIDROOMに帰還する。

オフィシャルVJであるDreamrecの同行も決定!
「音+映像」 究極の完全体による世界最高水準のパフォーマンスが実現。
最高という言葉では言い尽くせなかったあの夢のような夜。コロナ禍を経て新しくこの音楽、シーンの虜になったニュージェネレーションを始めとする全国の熱いファンのみんなと再び体験できる日を、私たちも心から待ちわびていた。新しく歴史が動く瞬間を共に目撃しよう!
2F LIQUID LOFTは、以前から温められていた構想がついにお目見えする。満を持してDJ KENSEIがOpen to Lastで登場。必見!

■BIOGRAPHY

ー RPR SOUNDSYSTEM (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh) ー 世界のアンダーグラウンドミュージックを席巻するルーマニアン・シーンのトップ、Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh。 現行のワールド・シーンにおけるキングの一人として全世界に君臨し、ルーマニアシーンの事実上 のボスであるRhadoo、卓越したプレイはもとよりその生み出される作品群が世界最高レベルのクオリティーの評価を獲得している唯一無二のアーティストPetre Inspirescu、3人の中でも特にメ ジャ・ーシーンにおいても抜群の名声を確立しているRareshの3人による、最重要レーベル・そして アーティスト集団がこの [a:rpia:r] (アーピアー)である。 そして、その3人による別名義のスペシャル・ユニット『RPR SOUNDSYSTEM』の名で出演するイベ ントは、バルセロナ『OFF SONAR Festival』やロンドンの名門クラブ『Fabric』などと言った、世界で も彼らにより選ばれたトップ・イベント・フェスのみとされ、年にごく数回しか実現する事はない。東 京LIQUIDROOMのパーティは、その選ばれた数少ないなかのひとつである。

■MOVIE


Rhadoo, Petre Inspirescu with Dreamrec VJ @Chinois, Ibiza 2023.09.23 https://youtu.be/LVEi99Nij7U


clubberia TV - Event Report (アフタームービー)
RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec VJ @LIQUIDROOM 2017.04.01 https://www.clubberia.com/ja/videos/748094-Party-Report-RPR-SOUNDSYSTEM-with-Dreamr ec-VJ-2017-04-01-at-Liquidroom/


■料金

・前売 - Standard Advance / STAGE 2 ¥6,000
・グループ割 - Group Ticket(4p) ¥22,000 (Limited)
ZAIKO https://clubberia.zaiko.io/item/361619
e-plus https://eplus.jp/sf/detail/4019970001

・ U-23 ¥4,000 (50 Limited)
ZAIKO https://clubberia.zaiko.io/item/361619

・当日 - Door ¥7,000


Total Information:
https://linktr.ee/rpr2024tokyo
Produced by Beat In Me

Royel Otis - ele-king

 想像の世界への扉がある。現実を反映した、かつてこうであって欲しいと願ったような理想の世界、それが地続きであって欲しいと思う隣の世界、時にポップ・ミュージックはいともたやすくその世界の扉を開く。
 ロイエル・オーティスのこのデビュー・アルバムの音楽を聞くと胸が騒いで仕方がない。2010年代前半の〈キャプチャード・トラックス〉のバンドたちのようなサーフ・ポップ/インディ・ポップの要素に、そこから離れた10年代後半のサウス・ロンドンのインディ・シーンの感性をプラスしたかのようなオーストラリア出身のバンド、ロイエル・マデルとオーティス・パヴロヴィッチのふたりが組んだバンドだからロイエル・オーティス。この単純な組み合わせ、最小のユニットのなかにギター・ミュージックのロマンがこれでもかというくらいに詰まっている。

 ドキドキとワクワク、手のひらのなかにある再生ボタンを押した瞬間に輝くモノクロの青春映画の世界にあっという間に心がつながる。高い位置を推移するベースラインは現実よりも重力をほんの少し軽くさせ、フワフワと落ち着かない心を作り出し刺激のない現実を理想の世界に変えていく。重ねられるサーフ・ロックみたいなギターのフレーズに、シンセのわずかなサイケデリア、そしてドラムが心を急かす。そうしてその声。オープニング・トラック “Adored” で聞かれるオーティス・パヴロヴィッチの歌声は高く柔らかく、ポップになり過ぎないラインで絶妙なフックを繰り出す。電気を消した部屋、流しっぱなしのビデオ、光で青くなっていく視界、頭のなか、個人と世界との関わり方、下世話な真理、僕にはこの曲がインディ・ギターの “Orgasm Addict” に感じられる。衝動と万能感を持った若者の無敵の心、だけどもそこにはいつだって不安が同居している。青春映画のようなこのアルバムのオープニングにこれ以上ふさわしい曲があるだろうか。

 ギター・バンドが再び勢いをとり戻し、世界各地にその熱が伝播していたような時期、2019年にロイエル・オーティスはシドニーで結成された。インターネットを通じて興奮が広がり、刺激を受けてまた次の動きがはじまる。そうやってどんどんどんどん音楽は変わりそれに伴い人びとの感覚も変わっていく。世界には同じような感覚を持っている人たちがいて自然とローカルなシーンができ上がり、物理的な距離は離れていても、その感覚を受け取った人たちがまた自分たちで新しいことをやってみようと試みる、シカゴで、アムステルダムで、東京で。ここ数年感じていて興奮していたような音楽シーンの動きがついに次世代に入ったような感覚がある(つまりは新たな場所からのアタックだ。ロイエル・オーティスと同じオーストラリア出身のデュオでロンドンに拠点を移したハイスクールの動きにもそれを感じる)。全ては相互に作用して同じであり続けることはなく、心の動きが現れた音楽は次のチャプターへと進んでいく。ロイエル・オーティスはオーストラリアから飛び出し、23年の初頭、ここ数年のインディ・シーンで中心的な存在になっていたサウス・ロンドンのダン・キャリーのホーム・スタジオでこのアルバムのレコーディングをおこなった。タイトルになっている『Pratts & Pain』というのはダン・キャリーのスタジオの近くにあったパブの名前をもじったものでそこでショットを数杯飲んで歌詞を書いたと彼らは言う。

 ダン・キャリーの影響がどれほどあったのかはわからないが、これまでリリースされた3枚のEPと比べてこのアルバムではシンセサイザーの使い方がより巧みになったような印象を受ける。シンセのリフで組み立てられる “Heading For The Door” はもとより、MGMTマナーの “Foam”、ギターがジャングリーに胸を躍らせる “Daisy Chain” といった楽曲でも隙間にそっと入り込むように音が重ねられ、それが現実感をぼやけさし、現実と理想の世界の境目を曖昧にさせているのだ。その少しのアクセントがこの心をかき乱す音楽に浮遊感を与えている。
 ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの “White Light / White Heat” の影響を感じるタイトルがそのものずばりの “Velvet” も白眉の出来で、叩きつけられるピアノと膨らんだ不穏なベースが大言壮語に突き抜ける見栄の切り方を見せ、このアルバムにさらなる奥行きを与えている。そしてこれまでのEPでは見られなかったような陰鬱さを持った “Molly” のような曲もある。遠くで聞こえる呪詛のようにサウンド・エフェクトがうっすらと聞こえてきて、きらめくギターの輝きは消えうせ、まるで抜け出せない憂鬱のなかの波のように聞こえてくる。しかし新味だという風には思えない。この曲だけではなくアルバムに収められた音楽が無敵の勢いとともにどれもほんの少しだけ不安の色が混ぜられているからだ。それが余計にこの音楽を特別にする。現在が失われるのが未来であるかのように、あるいはこんな日々は長くは続かないとわかっているかのように。

 だがこのアルバムのイメージはやはり “Sonic Blue” や “Fried Rice” のような曲に集約されているのかもしれない。ジャングリー・ギターのやさぐれ燃え尽きていくインディ・ポップ。ロイエル・オーティスの音楽はただひとり口ずさむ孤独のアンセムのような音楽だ。みんなのなかに自分はいなく、だからシンガロングまでは至らない。まるで DIIV の『Oshin』を初めて聞いたときみたいな心境でこの享楽のなかにある孤独に身を置いている。できすぎた安っぽい思い出は、だからこそいともたやすく想像の世界への扉を開く。この暗く輝く青春は繰り返しのなかで何度だって胸をドキドキさせてくれるのだ。

Janett Silvera - When I Need You - ele-king

Os Paralamas Do Sucesso - Selvagem? - ele-king

VMO a.k.a Violent Magic Orchestra - ele-king

 「アート・ブラックメタル・テクノ・プロジェクト」、VMOことViolent Magic Orchestraが8年ぶりのアルバムを発表する。題して『DEATH RAVE』、ブラック・メタル、ハードコア、ガバ、ノイズなどがミックスされたサウンドに仕上がっているようだ(3/13リリース)。Vampilliaのメンバーはじめ、メイヘムやSunn O)))での仕事で知られるアッティラ・チハーら多くの面々が集結しており、Kentaro Hayashi、CRZKNYなども参加。新代田FEVERおよび東心斎橋CONPASSでのリリース・ライヴも決定している。詳しくは下記より。

VMOが8年ぶりのセカンドアルバム「DEATH RAVE」をベルリンのNEVER SLEEPより3月13日に発売決定。併せてリリース記念ライブの詳細も発表。

VMO a.k.a Violent Magic Orchestraが約8年ぶり、ザスターがボーカルを務める新体制後、初となるアルバム「DEATH RAVE」をベルリンのGabber Eleganza率いるレイヴ、ハードコアシーンの総本山 NEVER SLEEPよりリリースする。今作は世界中のメタル、テクノ、アートなどあらゆるジャンルのフェスに出演したVMOの経験とスタジオでの実験が爆発的な化学反応をおこしDEATH RAVEと呼ぶに相応しい作品が完成した。anoのちゅ、多様性を作詞/作曲したエンペラーaka真部脩一らVampilliaメンバーはもちろん、紅一点のボーカルザスター、ブラックメタルの伝説メイヘムのAttila Csihar、現代エクストリームハードコアの雄FULL OF HELLよりDylan Walker、アイスランドの新しい神秘Kælan Mikla、レーベルのボスGabber Eleganza、ビョークの最新作に参加したインドネシアのガムランガバユニットGabber Modus OperandiのIcan Harem、テクノの聖地TRESORからリリースするminimal violenceのinfinity devisionら海外勢に加え、アルセストことKentaro Hayashi、リヴァイアサンことCRZKNY、そしてMASF/ENDONのTaro Aikoら国内勢も参加したブラックメタル、テクノ、ハードコア、GABBER、ノイズがDEATH RAVEの名の下にネクストレベルで完成した。

そして、このアルバムを引っ提げて行われる5月末から7月頭までスペインのSONAR、北欧最大の野外フェスROSKILDEなど巨大フェスを含むリリースワールドツアーの前に、作品の世界を再現するDEATH RAVEを東京と大阪で開催。このリリースライブにはインドネシアより今作にも参加するGMOのIcan Haremも来日。ブラックメタルの暴力性とRAVEの快楽主義が奇跡的に融合する VMOのアルバムとライブを是非お楽しみください。

VMO presents
『DEATH RAVE リリース♾️メモリアル DEATH RAVE』

東京編
@新代田FEVER

2024/03/19 (火)
18:30open 19:00start
3500yen
4000yen
チケットURL
https://eplus.jp/vmo/

【ACT】
VMO
【special guest 】
Ican Harem from Gabber Modus Operandi
Jun Inagawa

大阪編
@東心斎橋CONPASS

2024/03/22 (金)
18:30open 19:00start
3500yen
4000yen
チケットURL
https://eplus.jp/sf/detail/4045710001-P0030001

【ACT】
VMO
【special guest 】
Ican Harem from Gabber Modus Operandi
KNOSIS(DJ set)


VMO a.k.a Violent Magic Orchestra「DEATH RAVE」
2024.03.13 Release | NSR014/VBR-VMO202403 |
Released by NEVERSLEEP (Japanese distribution by Virgin Babylon Records)
各種サブスクリクション同時配信
https://sq.lnk.to/NSR014_
アナログLP版発売日未定

Track List
1. PLANET HELVETECH
2. WARP
3. The Destroyer electric utilities version
4. Choking Persuasion
5. Kokka
6. Welcome to DEATH RAVE feat. Ican Harem - Gabber Modus Operandi
7. Satanic Violence Device feat. Dylan Walker - Full of Hell
8. MARTELLO MOSH PIT feat. Gabber Eleganza
9. VENOM
10. Abyss feat. Kælan Mikla
11. Ecsedi Báthory Erzsébet
12. SUPERGAZE
13. FYRE feat. Infinity Division
14. Song for the moon feat. Attila Csihar - MAYHEM
15. Flapping Dragon Wings


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Sylver Lee Cole - ele-king

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