「LV」と一致するもの

ele-kingの読者の皆さまこんにちは。わたくしNaBaBaという者です。先日はインタヴュー記事を特集していただき、記憶に新しい方も多いかと思います。突然ですがなんと、今回からこちらで連載記事を書かせていただくことになりました。しかもテーマは海外ゲーム・レヴュー! このele-kingで! いったいどういうことなのでしょうか!?

ひとまず改めて自己紹介させていただくと、わたくしNaBaBaは本業はゲームのデザイナーとして働くかたわら、個人で絵画制作も行っており、ネットとリアル双方で活動をしております。まだまだ駆け出しの身の上ですが、先日はカイカイキキにて「A Nightmare Is A Dream Come True: Anime Expressionist Painting AKA:悪夢のドリカム」というグループ展にも参加させていただいておりました。その経緯からこちらでインタヴューをさせていただくことにもなったのです。

インタヴューでも触れていますが、僕は海外ゲームの大ファンであります。一時は年間60本くらいのペースで遊ぶこともありました。こうした趣味が昂じてゲーム会社に就職を決めたほか、自身のHPでもゲームのレヴューを書いたりもしていました。もっともここ数年はHPの方はだいぶご無沙汰していたのですが。

かつてゲーム大国と呼ばれた日本ですが、海外ゲームは日本ではとても馴染みが薄いものです。世界では300万本や400万本売れている作品が、日本では10万本にも届かないということもよくあります。それを文化の違いと一蹴するのは簡単ですが、やはり数百万本という数字を叩き出すのはそれなりの理由がある。

いち開発者としてはそういうところを学び取らなければという思いで遊んできましたし、自分以外の人たちへは向こうのゲームのパワフルさを知り、楽しんでもらいたいという思いで今まで地道に紹介をしてきました。

ここele-kingはインディーズのミュージック・シーンを紹介されるサイトです。マスほどの知名度はないけれども、そこにある価値を信じて紹介されているサイトであると思います。このお互いが見ているシーンへの思い、そこの意気投合から今回の連載をさせていただくことになったのでした。

ele-kingは現在は音楽ひとすじのようですが、これから徐々に音楽以外のジャンルも取り扱っていくときいています。その先駆けとして僕のこの連載、題して『NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義』をお送りしていきたいと思います。みなさまよろしくお願い致します!

ご挨拶はこれくらいにして、さっそく本題に入ってまいりましょう。このレヴューの趣旨としては毎回1本の作品をテーマに、なるべくわかりやすく、しかし突っ込むところは突っ込んで、できるならそれを元に海外ゲーム全体のトレンドとかムーヴメントもご紹介していきたいです。みなさまの理解を深める一助になればと思います。

そういうことで記念すべき連載第1回を飾るのにふさわしい作品は、ズバリ『Half-Life 2』を差し置いて他にないでしょう。現代の海外ゲーム、特にFPSにおいてはその多くがこの作品が指し示した方向性の延長線上に立脚していると言っても過言ではありません。また僕個人にとっても思春期に直撃した作品として、後々のゲーム観に多大な影響を与えました。そんな多くの意味で後のゲームの先駆けとなった『Half-Life 2』。今回はこのゲームをご紹介していきたいと思います。

■04年の衝撃、現代FPSの先駆者、『Half-Life 2』

『Half-Life 2』は04年に〈Valve〉から開発・発売されたPCゲームで、SF的世界観のFPS。98年に発売された初代『Half-Life』の続編で、前作以来エイリアンや人間が混然一体となった近未来を舞台に、主人公のGordon Freemanが仲間とともに、圧政に立ち向かっていくストーリーです。

『Half-Life 2』が発売されてからもう8年も経つわけですが、この作品が出た当時は業界全体がものすごい衝撃を受けていたと記憶しています。ゲームはテクノロジーと強い因果関係を持つメディアで、新しい技術が開発されるたび、それを取り入れた新しい遊びを提示する。その繰り返しで進化してきています。

そういう観点で見ると、『Half-Life 2』はまさに従来にはなかった新技術をふんだんに使い、それまでのゲームでは不可能だった様々な表現の可能性を提示した、ブレイクスルーそのものでした。

フォトレアリスティックなグラフィックス、物理エンジンを利用した物体の高度な物理的挙動の再現、キャラクターのリアルなフェイシャル・アニメーション......専門用語をつらつらと並べてしまいましたが、要は現代では当たり前になっているいわゆる「リアル」な表現を、現代の作品へと続くクオリティで初めて提示したのが『Half-Life 2』だったのです。


リアルな表情を見せるキャラクターとのドラマ。それまでのゲームでは考えられないことだった。

しかし上記の技術的ブレイクスルーのみが本作の特徴だったとしたら、後年にいたるまで絶対的な影響力を放つ作品にはなりえていなかったでしょう。『Half-Life 2』の同年に発売された〈id Software〉の『DOOM 3』がまさにそういう作品でした。

〈id Software〉といえばFPSというジャンルを始めて世に確立せしめた『DOOM』を生み出した、老舗にして業界トップの開発会社でした。圧倒的技術力を誇る同社が当時開発していた『DOOM 3』もまた『Half-Life 2』と同じく最新技術のショーケースで、当時は二大FPSの巨人の頂上決戦と、前にも後にもこれ以上無いんじゃないかというくらい盛り上がったものです。


こちらはDOOM 3。FPSの始祖の最新作。Half-Life 2と二分する、04年のもうひとりの主役だった。

最終的にどちらが勝利したかというと、それは今回主役の『Half-Life 2』でした。本作の勝利は歴史が如実に語っており、後続のゲームは『DOOM 3』の作風ではなく、『Half-Life 2』の影響を受けていったように見えます。

どちらも技術的には最先端を走っていたはずなのに、いったいどこで差が出たのか。いまから思えば『DOOM 3』は確かに最先端の技術を搭載はしていましたが、ゲームとしての遊び自体は従来の方法論の延長線上にあるに過ぎなかったのでしょう。べつの言い方をするなら、見た目はすごくリアルになったけれども、正直、昔のままのリアルじゃない見た目だったとしても、ゲームとしてのおもしろさはそこまで変わらないのではないか、とか。

その点が『Half-Life 2』はちがいました。最先端の技術と、その裏づけなくしては表現しえない「没入感」があったのです。ちなみに「没入感」は僕がゲームを遊ぶ上で最重要視している要素のひとつ。『Half-Life 2』には他にも語れる点はたくさんあるのですが、今回は後続へ与えた影響も鑑みて、『Half-Life 2』の持つ「没入感」に話題を絞って解説していきましょう。

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■没入感の追求とは

さて、「没入感」といってもゲームを普段遊ばれない人はピンとこないと思います。実際これはゲーム特有の感覚で、言語化するのがなかなか難しいのですが、しいて言うなれば「ゲームと自分という一歩引いた距離感を取り払い、自分がまるでゲームの主人公になりきり、ゲーム内で起きたことを我が身に起きたことのようにありありと感じられる状態」、でしょうか。

これはゲームに「熱中」している状態とは一見同じようでまったくちがいます。「熱中」というのは、たとえばテトリスを遊んでいたとして、どんどんブロックの落ちる速度が速くなり、それに対応してミスすることなく消しまくっている状態がそれです。言いかえるなら徹底的な効率化であり、まるで機械になったかのようにミスなく特定の操作を繰り返していく状態のことを指します。

『Half-Life 2』はまさにいま示した「没入感」の方を追求した作品。ゲームをより良いスコアでクリアしたり、高い難易度をミスなくクリアすることを目的とするのではなく、ゲーム内の出来事をありありと感じ入ることを優先的に考えた作品でした。しかしありありと感じるためには、それに耐えるだけの説得力、リアリティが必要です。そのために本作は先ほど挙げたフォトレアリスティックなグラフィックスだとかという、数々の最新技術を必要としたわけです。

しかし広く捉えれば、「没入感」を重視したゲームは『Half-Life 2』以前にも無かったわけではありません。本作が旧来の「没入感」志向のゲームの中でもひときわ革新的と評価されたのは、ゲームのはじめから終わりまで一貫して主人公の一人称視点で展開されること、どんなときでもプレイヤーの自由操作を奪いきらないこと、そして最も重要なのが、それでいてシネマティックな演出あふれる展開を描いたことの3点があったからです。

『Half-Life 2』、というよりも『Half-Life』シリーズにはカット・シーンというものがありません。カット・シーンというのはつまりゲームの合間にストーリー進行的な意味あいで挿入される映像のことですね。ゲーム・プレイだけでは追えないストーリーの複雑な部分を説明できるので、多くのゲームが使う手なわけですが、遊び手としてはそこを操作させろ! と思うこともよくあるわけです。

その点『Half-Life』シリーズはどんな時でも一人称視点のままゲームが進行する、つまりすべてを自分自身の視野で目の当たりにすることになるわけです。しかも基本的に自由操作が奪われない。仮に動けなくても、その時は拘束されているとかハッキリとした理由があり、そういう状況でも視点を動かすことはできる。見たくなければ目をそらしてもいい。

等身大の視点で強引な束縛を受けずに、事態を体感することができる。こうした作りが、従来のゲームのやらされている感や、見せられているだけ感を払拭し、自らの意志で立ち会っている感、ひいては自らなりにありありと感じる「没入感」を表現しえたのです。


主観視点に徹する作品はFPSのなかでも実は珍しい。Half-Lifeシリーズはそのようなゲームの代表格だ。

■初代『Half-Life』と『Half-Life 2』のちがい

ただこの一貫した一人称視点と自由操作の2点は、実は先程“『Half-Life』シリーズ”と呼んだように、そもそもは98年の初代『Half-Life』の発明なのです。しかしそれで『Half-Life 2』の評価を下げるのは早計ですよ。前述したように、そこにシネマティックな演出を共存させたことこそが『Half-Life 2』の革新性なわけですから。

先に初代『Half-Life』ついて少し触れてみましょう。この作品は先の2点を発明した、いわばゲーム内世界を等身大に感じさせることに注力した初めての作品だと言えます。むしろこの2点以外にもゲームのあらゆる要素が等身大であることに強くこだわっていたとも言えるでしょう。

たとえばプレイヤーの分身となる主人公のGordon Freemanは、屈強な兵士でも魔法使いでもなく、ただの科学者という設定。舞台も地味な科学研究所。実験失敗から異世界への扉が開き、研究所内をエイリアンが跋扈するというストーリーはセンセーショナルですが、かといってそれを誇張するわけではなく、ただ事実を積み重ねていくだけのように、その後の研究所の様子を淡々と描いていくことに終始します。ただしその淡々とした様子自体はしっかり描ききる。

そのどこまでも等身大であることに徹底したことが、まるで記録映像のようなリアリティ、もといただの人間=プレイヤーが突然渦中に放り込まれてしまった感がすごく出ていました。当時のゲームはどれも宇宙海兵隊だとか地獄の使者だとか、フィクション性が強く、またストーリーはあってないような作品ばかりだったこともあり、いままでにないストーリーと、それを体感させる仕組を編み出した名作という評価につながったのです。


Half-Lifeはモノレールに乗って出勤するシーンから始まる。記録映像的な本作を象徴する場面だ。

しかしこれはべつの見方をすると、初代『Half-Life』の表現は、リアリティある体験を描きたいのだが、当時の技術ではどうあがいても宇宙海兵隊にリアリティを持たせることはできない、というところからの逆説だったとも捉えられます。嘘だとバレやすいフィクション性や演出を徹底的に排除していって、結果として記録映像的な展開に行き着いたというような。

ところが続編の『Half-Life 2』ではそれが一転します。主人公のGordon Freemanは前作の事件の生き残りとして英雄視され、舞台のCity 17もスチーム・パンク的なケレン味が増しています。ゲームの目的も前作のただ生き残ることから圧政へのレジスタンス活動へと変わり、仲間とのヒューマン・ドラマあり、戦闘ヘリを相手に激しいカー・チェイスを繰り広げる場面もありと、とにかくすべてがシネマティックな方向性へと変わりました。

ある意味この変化は初代がこだわった等身大からの脱却です。みなから尊敬される英雄で、激しいアクションで敵をなぎ倒していく様子はもはや以前のしがない科学者とは思えません。嫌味な言い方をするなら、かつて初代で否定した宇宙海兵隊と同じではないか。しかし驚くべきことは、そんな設定や演出でも没入できるわけですよ。最新技術を駆使した随所のリアリティの向上によって!

先ほども少し触れたとおり、ゲームはもともと複雑なストーリーを描くことが苦手です。少なくともアニメや映画といった従来のメディアと比べるとすごく苦手。ゲームとはプレイヤーが自分の意志で気ままに操作するものですから、強固なストーリー・ラインを構築するのが難しい。がちがちにストーリーを決めて、主人公がやることなすこと全部決めてしまっては、逆にプレイヤーがわざわざ操作する意味がなくなってしまいます。

こういったジレンマに、多くのゲームはカット・シーンの挿入という安易な方法にはしったり、荒いポリゴンの感情移入しきれない寸劇に甘んじたり、初代『Half-Life』は記録映像的な変化球で対応した。そんななか『Half-Life 2』は、真正面からゲーム・プレイそのもののなかに劇的な演出を混在させ、それをリアリティと感じられる水準まで作りこんだ、初めての作品と言えるでしょう。

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■『Half-Life 2』以後のゲーム

この『Half-Life 2』の登場以降、業界全体のグラフィックス技術の大幅な上昇により、技術向上の恩恵を受けやすいFPSの一大ブームとなり、没入感重視のゲームもいっきに増えました。

ゲームの発売には周期性があるのがおもしろいもので、だいたい1本のゲームを開発するには、現代では2年から4年ほどかかると言われています。だから04年に発売した『Half-Life 2』の影響を受けたゲームが世に登場するのはだいたい07年くらい。

実際その年には『Call of Duty 4: Modern Warfare』や『Bioshock』等といった、『Half-Life 2』のコンセプトを独自解釈・発展させたかのような作品が多数登場するにいたっています。これらの作品も、後々この連載で取り上げていくことになるかもしれません。

一方で『Half-Life 2』の後続への悪しき影響についても触れておきましょうか。「没入感」という点では非常に秀でたものを持っていた本作でしたが、ゲーム・システムそのものの完成度であるとか、駆け引きの面白さはいまひとつな出来となっています。

ひと言で表すなら散漫なんですね。各チャプターごとでステージごとのコンセプトがころころ変わる。そこまでは体験のバリエーションが多いってことなのでべつにいいのですが、おもしろさまでころころ変わって出来不出来の差が激しいのは問題。

純粋なゲーム性のおもしろさを求めた人からはこの点が不満としてあがりがちで、またそういう人たちにとっては本作の人間ドラマだ演出だってのは不要なものという意見も多かった。いいからはやく銃を撃たせろよ! ってことですね。そういった求めるもののちがいにより当時から賛否両論を招く作品でもありました。


ゲーム中2回登場する乗り物によるチェイス・シーンは退屈だとする意見が多い。

そしてこの『Half-Life 2』の登場以降、演出重視でゲーム性イマイチみたいな作品を見ることが多くなっていきましたね。作品として勝負する点が変わってしまったということです。

これは本作の影響のみならず、2006年末に発売されたPlayStation 3により口火を切ったいま世代の家庭用ゲーム機の登場、それによるゲームのより広いユーザーへの浸透や、そのなかでより遊んでもらうための訴求性の追求だとか、もっとマーケット全体の傾向からの結果でもあります。しかしその先駆けだったのは『Half-Life 2』。それはまちがいありません。

■まとめ

というわけで今回は『Half-Life 2』というゲームを、良きにつけ悪しきにつけ今日のFPSに多大な影響を与えた歴史的意義の深い作品として、連載第1回目にご紹介させていただきました。

今回初回ということもあり、概要の説明もまじえてかなり長文となってしまいましたが、みなさまいかがでしたでしょうか。『Half-Life 2』は今回取り上げた以外にもまだまだネタのつきない作品で、というよりも開発元の〈Valve〉自体がゲーム業界の異端児かつ先行者といった感じで、本当に話題に事欠きません。というよりもむしろ台風の目のようにつねに話題の中心にいるような会社です。

おそらく今後の連載でも何度もその名前を見ることになるでしょう。その意味でもそんな〈Valve〉の代表作の『Half-Life 2』はぜひ取り上げようと思いました。

さて次回は、視点を変えて今年発売された最新のゲームのなかからひとつ紹介させていただきたいと思います。最後までご拝読ありがとうございました。それではまた会いましょう。



Your Favorite Summer Song - ele-king

 「夏が来た、路上で踊るには良い季節」......こう歌ったのは1960年代のマーサ&ザ・ヴァンデラスでした。彼女たちがデトロイト市内のホールでこの曲を歌っているときに、町では暴動が起きていたという話は有名です。
 さて、梅雨が明けて、夏到来です。スタンダード・ナンバーの"サマータイム"にたくさんの名カヴァーがあるように(ジャニス・ジョップリン、ニーナ・シモン、ブッカー・T&ザ・MG'S、サム・クック......)、この世界には夏をテーマにした名曲がたくさんあります。ビーチ・ボーイズは夏だらけだし、マーサ&ザ・ヴァンデラスには他にも"ヒートウェイヴ"があります、エレクトロニカ/IDMには『エンドレス・サマー』があるし、ハウス・ミュージックにもベースメント・ジャックスの「サマー・デイズEP」があり、チルウェイヴにはウォッシュト・アウトの「ライフ・オブ・レイジャー」があります。あるいはドナ・サマーやメキシカン・サマー......芸名やレーベル名が"夏"であるケースもあります。
 
 夏の音楽は多くの場合ロマンティックですが、セックス・ピストルズの"ホリデー・イン・ザ・サン"を聴いたら怒りがこみ上がってきて、ザ・ドアーズの"サマーズ・オールモスト・ゴーン"を聴いたら夏が終わってしまった気持ちになるかもしれません。そしてジミ・ヘンドリクスの"ロング・ホット・サマー・ナイト"を聴けば、あたり一面は燃え上がるでしょう。
 MFSBの『サマータイム』のアートワークに使われている写真も素敵ですね。熱波で焼けた路上でひとりの女性が水浴びしている姿にグッと来ます。
 日本の音楽にも多くの夏の曲があります。曽我部恵一"Summer '71"、フィッシュマンズの"夏の思い出"や"Sunny Blue"......RCサクセションなどはホントに多くの夏の曲を作っています。
 
 以下のチャートを見て、自分の「Favorite Summer Song」が入ってないじゃないかという方は、コメント欄に書いてください!


1
Martha And The Vandellas - Dancing In The Street

2
Miles Davis - Summertime

3
Jimi Hendrix - Long Hot Summer Night

4
Fennesz - Endless Summer

5
Sex Pistols - Holiday in the Sun

6
The Associates- Fire To Ice

7
The Ramones - Rockaway Beach

8
RCサクセション - 海辺のワインディイングロード

9
Alice Cooper - School's Out

10
The Beatles - Mr. Moonlight

11
RCサクセション - 楽しい夕に

12
Eddie Cochrane - Summertime Blues

13
The Style Council - Long Hot Summer

14
Best Coast - Summer Mood

15
The Doors - Summer's Almost Gone

16
Sly And The Family Stone - Hot Fun In The Summertime

17
The Drums - Saddest Summer

18
Pub - Summer Pt 1

19
MFSB - Summertime

20
The Beach Boys - All Summer Long

21
RC サクセション - サマータイムブルース

22
Girls - Summertime

23
Yo La Tengo - Beach Party Tonight

24
Bruce Springsteen - Backstreets

25
Pink Floyd -Summer '68

沢井陽子

The Beach Boys - Endless Summer

サマーソングといえば、いまのタイミング的にも真っ先にビーチ・ボーイズ。イメージが先行しているのですが、こちらは、1966年前のヒットソングのコレクションで、初心者も十分楽しめる内容。ロスアンジェルスにいた頃、ジョニー・ロケットというレトロなハンバーガー・チェーン店に行って、ハンバーガーとフライズを食べながら、ジューク・ボックスに"サーフィンU.S.A."を入れて、パーフェクトな夏を満喫した思い出があるので、曲も素敵だが、そのときのイメージも多々影響。楽しい出来事ばかりでなく"イン・マイ・ルーム"で、もの悲しい夏の残骸を胸に抱え、自分の心の中にグッとしまっても、最後に"グッド・ヴァイブレーション"が流れると、ドラマチックな夏物語を「まあ、いいか」とまるく収めてくれる。全体が、夏のさまざまなシチュエーションに当てはまり、イメージが膨らむが、サマーソングって、結局それが楽しいのです。

DJ Yogurt(Upset Rec)

RCサクセション - サマータイム・ブルース

"サマー・マッドネス"、"サマー・イン・ザ・シティー"、"サマー・ミーンズ・ファン"、etc...
いろいろな曲が頭に浮かんだけど、2012年の日本の夏にハマっているのは、エディ・コクラン作の名曲に、いまは亡き清志郎が日本語の歌詞をのせた"サマータイム・ブルース"ではないかと。「電力は余ってる、いらねー、欲しくねーー」。

大久保潤 aka junne(メディア総合研究所/大甲子園/Filth)

SxOxB - "レッツ・ゴー・ビーチ"("ドント・ビー・スウィンドル")

ハードコア・パンクはナパーム・デスなどにより"速さ"という点において90年前後にネクスト・ステージに進み、90年代半ばにはファストコアとかパワー・バイオレンスとか呼ばれる激速なバンド群がシーンを席巻した(あの頃はそういうバンドの7インチが毎週のようにリリースされて本当に楽しかったなー)わけだが、そのルーツのひとつが初期S.O.Bである。大阪ハードコア・シーンから現れた彼らは「世界最速」と謳われ、日本にとどまらず世界のハードコアに多大な影響を与えた。
そんな彼らの初期の代表曲のひとつが"Let's Go Beach"で、歌詞はただ「Hot Summe soon comes again.
Let's Go Beach. Let's Go Surfin」だけ。ハードコア・パンクとサーフィンという組み合わせ(当時はまだ日本ではハードコアとスケートの関係もあまり一般的じゃなかったはず)、そしてファスト・パートから後半はキャッチーなシンガロング(♪レッツゴサマービ~~~チ!)に移行するポップなセンスもおそらく当時は斬新だったろうし影響力もデカかったんじゃないかな。ポップに始まって一転して激速! みたいなのって90年代には(たぶん今も)本当にたくさんありましたからね。
この曲と、ハノイ・ロックスの"Malibu Beach Nightmare"とラモーンズの"ロッカウェイ・ビーチ"を「新・三大ビーチソング」とさせていただきます!(全然新しくないけど)

DJ Hakka-K (Luv&Dub Paradise)

Baiser - Summer Breeze

夏といえばレゲエやその他大好きな曲はたくさんあるのですが、僕がいちばん最初に影響を受けたDJ Soneが夏になると必ずかけてたのが、83年に発表されたこの曲。いまでも夏になるとレコード・バッグに入れておく想い出がたくさん詰まったDISCOの隠れた名曲です。

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山田蓉子

ピーナッツ - 恋のバカンス

言わずと知れた昭和歌謡の大名曲。中学生の頃からカラオケで必ず歌っているのだが、気持ちよくハモりながらひたすら「そっかーバカンスってのは、金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋をするのねー。素敵」と思い続けてきた。全国民が一年中バカンスのことばっかり考えて暮らしているフランスで生活するようになったのも、そんな刷り込みのせいなのだろうか。でもまだ金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋なんかしたことない。バカンスのために生き続ければいつかできるんだろうか...。
合掌。

why sheep?

私見ですが、夏は24,25と2日で勝負のクリスマスと違って日本人にも長丁場ですので、一曲に絞るのはむずかしいのです。

というわけで、アルバム単位で失礼します。これは、僕のサマー・ソングのオールタイム・フェイバリットで、オールタイムというからには理由があって、日本がどの季節であっても、暑くてビーチのあるところになら、僕が必ず持っていくアルバムだからでもあります。実家のある茅ヶ崎に帰郷する際はどんな季節であっても必ずです。

ちなみにわたくし、渋谷区神宮前生まれ、現住所湘南というプレミアムな、昔なら免許証だけでナンパできると言わましたがそれは昔の話で、もし免許証に写真を載せなくて良かったら、人生は今とずいぶん違ったことでしょう。さて、

閑話休題、

神奈川県茅ケ崎市の出身であればだれもが知ってることですが、
茅ヶ崎市民=サザン・オールスターズ・ファン
というのが公理となります。
茅ヶ崎市民≒サザン・オールスターズ・ファン
は許されませんし、
茅ヶ崎市民なのに≠サザンオールスターズ・ファン
はばれたらその場で公開処刑されます。

しかし、どんなところにも反逆者はいるもので、江戸時代の隠れキリシタンのように
そんな中でサザンを崇拝しなかったのがこの私です。もちろんサザンの曲も大好きですが、神宮前の生まれの私にはあまりにも野暮ったすぎました。

長くなるとあれなので順不同ということで三枚選ばせていただきますと、

Boz scaggs - Down To Then Left

もちろんbozの名盤といえばsilk degreesですし、一枚後のmiddle manは東海岸AORあげての名盤ですが、その中庸にあるこのアルバムなぜか期待されていたほどに売れませんでした。だからこそぜひ聴いてみてください。超ゴールド・ディスクのsilk・degreesの直後になんでこんなアルバム作ったのかと俄ファンは首をかしげたかもしれまえんが、ルーツと言えばパンクと忌野氏の話しかしない三田格が即座にこのアルバムの名前を言えるということだけお伝えすれば、ele king読者は気持ちは動くことでしょう。三田さんが好きかどうかは知りませんが。

Bobby Caldwell - Carry On

アルバムのすべての曲が珠玉としか言いようががありません!
邦題は原題とまったく関係ない「センチメンタル・シーサイド」と付けられてましたが、その心は当たらずとも遠からず。。
1980年代、日本のサマーリゾートの代表である湘南は傍目はアメリカ西海岸、(実情はサザン=茅ヶ崎駅南口)だったのですが、桑田圭祐もその音楽的ホームグラウンドであるという茅ヶ崎の現存するレコード屋さん「CHIYAMA」(桑田さんが青学に通ってる頃厨房の私が通っていた)につつましげに張ってあったポスターが忘れられません。
「マイアミの蒼い風」
そこにはそう書いてありました。
当時の日本の理想とするカリフォルニアでもなく、はたまた湘南の実情ださいヤンキー文化でもない、架空のビーチがあった!そこはマイアミ(本当のマイアミは行ったことないので知りません。。)
あぁ...哀れなるかなbobby caldwell。3枚目にして自身のもてるすべてを注ぎ込んだ、そして当時のレコード会社も起死回生を図って宣伝したこのアルバム、期待ほど売れませんでした。当然です。日本人はカリフォルニアしか頭になかったのですから。

長々と前節書きましたが、この感傷性の至高とも言えるアルバム。アラサー独身男子の方ならきっと理解してもらえることでしょう。はまっちゃったら一生結婚できないこと請け合いです。

さて最後、

J.D.Souther - You're Only Lonely

あぁ、このメロディーにこの歌詞に極め付けのこの声。同胞のイーグルスのほうが100倍有名ですが、彼はイーグルスの第五(第六だったかな?)のメンバーと言われるほどイーグルスに貢献したソロ・シンガー・ソングライターです。(名曲"New Kid In Town"は彼の曲)
一聴したら単なるアメリカの野暮ったいカントリー&ウエスタンの歌手と間違える人もいるかもしれませんが、よく聴いてくださいこの声。
現代音楽の大家メシアンは音を色に例え、詩人ランボーは言葉を色に例えたそうですが、わたしに言わせればJ.Dの声は「いぶし銀の声」と呼んでいます。
それをもっとも感じるのはこの前のアルバムの『Black Rose』収録の"Silver Blue"ですが、夏の間聴くべきはこのアルバムです。
とくに一押しは彼の出世曲の"You're Only Lonely"ではなく!!!!"If You Don't Want My Love"、このモラトリアムから抜け切れないガキっぽい歌詞が胸をえぐります。しかしなんといっても必聴すべきは、彼の声もさることながらハモンド・オルガンB3の旋律というかその音色!!!
はっきり言って"Let It Be"のBilly Prestonを軽やかに凌駕しています。その名はJai Winding。ちょっと調べた限りでは往時の人気スタジオ・ミュージシャンということですが、実際のところよくわかりません。"My Funny Valentine"のときのJimmy.Smithぐらい良い!!!知ってる人いたら情報求む!!!

それでもどうしてもと野田努に一曲選べと言われたらこの曲、

佐野元春
Heartbeat』収録 "Interlude"~"Heartbeat"
↑ここには私の少年ゆえの切ない恋愛体験がすべて詰まっております。くれぐれも("Interlude"から聴いてください)

他にも山下達郎の"Big Wave"(口が裂けても『Beach Boys』の"Pet Sounds"とか言いたくない)とかあるんだけど、この企画が来年も続いたらその時にでも。

おやすみなさい。みなさん家のエアコン止めてビーチでセンチメンタル・シーサイドしようぜ!

summer, 2012
why sheep?

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三田格(e-Busters...)

Wham! - Club Tropicana

なんてな

竹内正太郎

□□□ - 渚のシンデレラ

夏、夏か、、、。この、永遠に思わせぶりで無責任な季節は、これからもギリギリのところで前向きな予感たりえてくれるのだろうか? いや、しかしこうも明らかな異常気象が続き、つい先日も日本国内の最高気温都市の上位三位を独占したような場所に住んでいる身としては、サマー・ソングを悠長にセレクトするにも体力を使って仕方がない。しかし橋元優歩に催促され、限られた時間内に直感で選ぶとしたら、("真夏のラストチューン"も捨てがたいが)やはりこの曲になるだろう。クチロロがバンド編成時代に残したきらきらのクラシック。超多層構造のトラックをハイパーなまでに軽く聴かせるその手さばきは、今なお並々ならぬセンスを見せつけている。それはもう、嫌らしいほどに。ヴォーカル/大木美佐子の安定しない高音域もいい。夏は楽しく充実しているべきか? この疑問自体、広告業的な価値観に刷り込まれたちゃちな不安でしかないわけだが、優れたサマー・ポップは何度だってその空虚さを上塗りする。とても鮮やかに。パルコの広告にほだされ、私は今年も嫌々と海に出掛けるのだろう。一年に一度くらい、まったく見当違いの恋をしてみるのもいいものだ。それがどれほど軽薄なものであっても。「ここから物語は続く/忘れたものもあの角を曲がればきっと思い出すさ」!!

松村正人

XTC - Summer's Cauldron

私は夏が大好きなので、好きな曲はビーチの砂の数ほどありますが、そのなかでもこの曲は、陽がのぼるとすぐにうだるようで、退屈で、楽しくないので、どこかに逃げたいがまわりは海ばかりで、しょうがないと諦めつつ、それもそう悪くないかと思いはじめたころ、暑気がひけて、虫や鳥の声が際だちはじめた、島に住んでいたころの夏の日の宵の記憶をくすぐるようでとても甘美だ。

水越真紀

戸川純 - 隣りの印度人(玉姫様)

21世紀の日本の夏、80年代に比べて湿度は低くなった。絶対なったと思うのだ。数年前、そのことを示すグラフをネットで見つけたのだけど、二度と出会えないでいる。
ともあれ、目の前の暑さをどうにかして「涼しぃ?」と断言する、言いくるめる、歌い上げる姿勢に私は共感するのである。ポストモダンな感じがする。人間の知恵、つー感じだ。しかし、現実逃避の知恵ばかり身につけてしまうのもどうかとも思う。
私は冷房を使っていない。本当に暑いには空気がゆらゆら揺れているのが見える。汗が吹き出しては乾いて皮膚を冷やす。
去年の夏は2時間置きに猫を冷やす保冷剤を取り替えていた。濡れたタオルで拭いてやり、耳を氷で冷やしたりした。今年こそ冷房を入れてやらねばと思っていたが、それを待たずに彼女は逝った。今年、冷房を入れる理由はなにひとつなくなった。

橋元優歩(e-Busters...)

Animal Collective - Fireworks
Photodisco - 盆踊り

わたしも夏が大好きです。黄色といったときに山吹からレモンとかまでいろいろあるように、夏というのもいろいろあって、お盆とかかなり好きです。"Fireworks"は詞に夏が明示されているわけではないのですが、わたしには幻想的なお盆メンタル・ソングとしか考えられません。海外にお盆はないでしょうが。

木津毅

R.E.M. - Nightswimming

 昔から自分が惹かれてきたのは、夏の盛りよりも夏の終わりの歌でした。それは青春そのものよりも終わっていく若さ、すなわち中年に惹かれるのと似ている......かもしれません。真夏を謳歌するのと同じくらい、夏を無駄にした......という感覚をポップ・ソングは拾ってきたようにも思えます。
 R.E.M.のこのナンバーは彼らの代表曲のひとつで、もう去ってしまった誰かのことを思いながら、晩夏の夜にひとりで月に焦がれながらプールで泳いでいるという、「夏を無駄にした」度では抜きん出た名曲です。リリカルな風景描写はマイケル・スタイプの詩人としての才能を見せつけ、それ以上にこのポップ・ソングに美しいフォルムを与えています。「君のことを、僕は知っていると思っていた」......悲しすぎますが、それがとても穏やかに歌われることで、夏の終わりの感傷が許されるようでもあります。「9月がじきにやって来る」......。

國枝志郎

Chapterhouse - Summer Chill

俺と言えばシューゲイザー、シューゲイザーと言えば俺(反論上等)なんで。チャプターハウスが1stアルバム『Whirlpool』と2nd『Blood Music』の間に発表した神シングル「Mesmerise」(俺的にはスロウダイヴのシングル「5 ep」と並ぶ究極ロッキン・チルアウト)収録の1曲。2ndアルバムにはもうひとつサマーネタで「Summer's Gone」というナンバーもあるけどやっぱりこっちでしょう。タイトルも最高!!!!!!!!!! あーチルりたい。

Photodisco

H Jungle with t - GOING GOING HOME


夏といえば、やっぱりこの曲ですね。お盆に帰省した際、実家でビールを飲みながら聴きこうと思います。

オノマトペ大臣(Maltine Record/TJNY)

Phillis Dyllon - Nice Time

夏になるたびに学生時代を思い出します。

白い太陽、青い海、赤く日焼けしたあの子の細い腕
楽しいはずなのに何故だか寂しい、いつか終わってしまう刹那的な煌めく青春の夏。。。

どこかの誰かが過ごしているそんな極彩色の夏を尻目に、マジで永遠に続くんじゃないかと思うような怠惰な余暇を、クーラーガンガンの部屋でカーテンを閉め切り、ゴローンと横になって手に持った黒い文字の羅列を追うことでやり過ごしていたしょっぱい夏。
ベッド横に置かれたローテーブル上に、氷が沢山入った透明なグラスが置かれ、カナダドライのジンジャーエールがパチパチとはじけると、西宮の六畳間にも、にわかに夏の気配が漂います。
近所の外資系CDショップで買ってきた3枚組3000円ちょっとのTrojanのCalypso Box Setをミニコンポにセットすると、いよいよ目の前に常夏のトリニダードトバゴが広がるのでした。
内容の薄っぺらい新書を読み進め、40ページぐらい行ったところでPhillis Dyllonの歌声が響き渡ると、心は完全に夏の夢の中。
新書をベランダから捨て去って、背中の羽をパタパタとして舞い上がり、ヤシの木の上の方に座り心地よく揺られたものでした。

それから4年が過ぎた、2012年の夏。
永遠に続きそうだった怠惰な夏は、心のアルバムの中で色褪せるどころか、それなりに輝いて見えます。

今年の夏はどのように過ごそうか、とりあえずPhillis Dyllonを聞いて、西宮のトリニダードトバゴで考えようと思っております。

(最近サンクラに上がってたCoconuts Beat Clubによるmoombahton editもすごく好きです。https://soundcloud.com/coconuts-beat-club/nice-time-coconuts-beat-club )

赤塚りえ子

Brian Jones Presents the Pipes of Pan at Joujouka

44年前の7月29日、ブライアン・ジョーンズは真夏のジャジューカ(モロッコ)に行きMaster Musicians of Joujoukaの演奏を現地で録音した。
彼の死の二年後にリリースされたこのアルバムでは、ブライアン・ジョーンズというフィルターを通したジャジューカを体験できる。
今年6月、ついにそのMaster Musicians of Joujoukaの生演奏を現地で体験してきた。
全身にものすごいグルーヴ浴びて、何本もの生ガイタ音が立体的に脳を直撃、そのまままっすぐに脳ミソを突き抜けた。
ブライアン・ジョーンズがなぜジャジューカにハマったのか?一瞬にして体でわかった。
来年の夏もまたジャジューカで、4000年のダンスミュージックで踊りまくってくるゼィ!

Yuji Oda (The Beauty/Cuz Me Pain)

No Joy - Negaverse

カナダの男女3人組バンドNo Joyが送り出す12インチシングル。
全てが正しいと思わせるオルタナギターと儚いボーカルが夏の荒野を駆け抜け交差する疾走シューゲイズ。
2012年の夏はこれ。

YYOKKE (White Wear/Jesse Ruins/Cuz Me Pain)

Junei - You Must Go On

夏はこんな涼しげな曲を何も考えずにずっと聴いていたいです。

Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins/Cuz Me Pain)

Prurient - There Are Still Secrets

夏に熱いものを食べる的な感じで暑苦しい曲も聴きたくなります。

寺尾紗穂

サニーデイ・サービス -"海岸行き"
saigenji - El Sur

夏の終わりを歌う以下の二曲が好きですが、youtubeにはあがっていないようです。

サニーデイ・サービス「海岸行き」
サニーデイの曾我部さんのさらりとした感触の歌詞は自分にはなかなか書けないもので、よく羨ましく思います。いつかカヴァーしたい曲。

saigenji「El Sur」
「El Sur」はサイゲンジさんと歌ったことがありますがもう一度歌いたいです。
「南へ帰るなら僕のさみしさもその翼に乗せていっておくれ」とツバメに語りかける歌詞が切ないです。サイゲンジさんのライブというとアップテンポの曲でノセたりアゲたりしてくれるイメージがありますがスロウで穏やかな曲にも名曲が多いです。

洋楽で好きなJudee Sillの歌詞を読み直したら「Jesus Was A Cross Maker」がちょっと夏の気配でしたので挙げておこうかと思います。
クラシック的な手法を織り込むというのは色んな人がやっていることなのだろうと思うのですがこの人の場合、その織り込み方がとても大胆で生き生きとしていていつ聞いても新鮮な感じを受けます。


Chart by JET SET 2012.07.09 - ele-king

Shop Chart


1

Locussolus - Berghain / Telephone International Feel /
ウルグアイを拠点に構えるバレアリック・トップ・レーベル"International Feel"からリリースされた過去作全てがカルト・ヒットを記録しているDj Harveyを中心とした新プロジェクトLocussolusによる待望の新作2トラックス。

2

Marter - Comfort "Kuniyuki Takahashi Rmx" Jazzy Sport /
国内はもちろんのこと海外でも高い評価を獲得する、Marterがビート・ダウン~ハウス・シーンで多くの支持を獲得すること必至な強力盤をリリース!

3

Little Tempo - Golden Deluxe - The Best Of Little Tempo Sunshine /
説明不要のジャパニーズ・ダブ・バンド最高峰、リトルテンポ。結成20周年を記念した自身の選曲によるベスト・アルバムが登場!!なんと、Cd3枚組全45曲、豪華箱入りデジパック仕様。限定店舗のみとなるノベルティ・7インチ特典付きます。

4

Cornershop - Solid Gold Aniligital /
ごぞんじCornershopの最新アルバム『Urban Turban』収録のキラー・ディスコ・トラックが、ラメ入りゴールド・ディスクで完全限定ヴァイナル・カット!!

5

Major Lazer - Get Free Mad Decent /
説明不要の黄金タッグ、DiploとSwitchによる衝撃のミラクル・ポップ・ソング。Bonde Do Roleのリミックスをカップリングしたナンバリング入り完全限定盤!!

6

Almunia - Pulsar / The Magician Claremont 56 /
Ukバレアリック人気レーベル"Claremont 56"から、Leonardo Ceccanti & Gianluca Salvadoriのイタリアン・デュオ、Almuniaによるシングル第二弾が到着!!

7

James Mason - Rhythm Of Life Shout Productions /
レア・グルーヴ、ジャズ・ファンク、ディスコ・ブギー...Theo ParrishからMuroまで、ジャンルを超えDj/アーティスト達にも愛され続ける『Rhythm Of Life』が再発。

8

J Rocc & Rhettmatic - Beat Junkies 45 Series Volume 1 Fat Beats /
J Roccの呼びかけにより1992年Caにて結成。凄腕ターンテーブリスト集団として確固たる地位を築き上げ、ヒップホップをネクスト・レベルへ押し上げたレジェンダリー・クルー=Beat Junkiesから、7"シリーズがリリース!

9

Haruka - Easy Listening - /
Future TerrorのHarukaによる、アンビエント・ミックスが到着。アンビエント~ドローン~電子音楽~フィールド・レコーディング音源などをもとにミックス。アート・ワークは河野未彩さんが担当。

10

V.A. (Compiled, Edited And Mixed By The Idjut Boys) - 5 Years Of Claremont 56 Claremont 56 /
Paul Murphy手掛けるバレアリック~ニューディスコ系人気レーベル"Claremont 56"の設立5周年を記念した豪華3枚組アルバムが登場!!

Techno Walk - ele-king

 大阪とベルリンの往復生活がはじまって早12年、僕にとってベルリンと大阪の距離感は確実に縮まってきている。今年3 月におこなったUKミニマル電子音楽ユニット、SNDと僕の別名義、NHKとの日本7箇所ツアーが終わり、4月にベ ルリンに帰ってきた。
 ここ数ヶ月はライヴとツアーの合間、時間のあるときに時間を気にしながらベルリンのレーベル〈PAN〉への「Dance Classics」12インチ・シリーズ、ロンドンの〈Mute〉レコードが新しくはじめたレーベル〈Liberation Technologies〉のためのデモ制作、自分の描いているペン絵の画集が出るので、そのレイアウトのチェック等、もろもろのリリースの準備に追われ続けている。
 そんななか、2年前、マンチェスターの〈SKAM〉レコードからアルバムを出したとき、レヴューを書いてくれたのをきっかけに連絡を取るようになった野田努さんから、「今年こそなんか書いてよ!」とメールが来たので嬉しくなって、気分転換にもなるのだろうし、何か書いてみようと思い立ち書いてみる。「こそ」っていうのが嬉しかった、突然の話だったので(の筈)。
 何を書こうか考えた結果、ヨーロッパ、ベルリンでのこと、国内外ツアーのこと、知り合いの作家たちのこと、聴いている音楽のこと、大阪で仲良くして貰っている音楽家で写真家のアオキ・タカマサさんとの散歩記録、シルクスクリーンのT-シャツ制作(https://t-shirts-records.com/)について等々を、日本の仲間との短歌を時折挟みながら書いていきたなーと思っていて、今回は今年の3月頃~現在7月初頭にかけてのことをサササ~と書いてみます(サササ~とか言いつつ、書いた文章を野田さんに読でもらい、もうちょっと自分のプラスになるような文章を書きなよーと言われ、固有名詞を増やしたりして何度か書き直したのだが、プラスになったのかは不明)。

■テクノ散歩1

 4年ほど前、ベルリンのテーゲル空港で当時ベルリンに住んでいたアオキ君を見かけ僕が声を掛けたのがきっかけで僕らは仲良しになった。お互い〈raster-noton〉というレーベルからリリースしているし、名前は昔から知っていたけど、僕らはなかなか 会うことが無かったが、いまでは大阪にいるときはアオキくんと散歩をするのが恒例になっている。 (写真: アオキタカマサ)

 大阪難波、御堂筋と千日前筋の交差点で待ち合わせ、共通お気に入り饂飩店「今井」へ。僕はざるうどん、アオキ君は鴨うどんを食べる。最近アオキ君は木の香りに凝っているらしく、iPhoneカバーの檜の香りをやたら嗅がせてくるが、流石アオッキー。良い匂い。そして「今井」の饂飩はいつも美味しい。

 散歩再開、御堂筋を北上、船場センター街を通り抜け、NHK大阪支社に行ってみる。
 歩いている最中、ふたりではじめようとしているテクノ・ユニット、YKKDISCOの曲が思いつく。その曲構成とリズムを口ずさみつつ歩く、BPM123かな、たわいもないことを一向に話し続ける、そして毎回5~6時間歩き続けるのがこの散歩。それだけなのだけど、すごく楽しい。そしてNHK大阪に到着、なかに入ってみる。



 これ、どうなんだろうか、、アオキ君は大喜びでシャッターを切りまくっている、終始興奮気味なので、焦るが面白い、それを見ていると僕も上ル。NHK大阪の横の難波の宮を通り抜け、玉造駅からJR環状線にのってアオキ君の家に行くことになった。アオキ君の家で、豪華な天ぷら料理を食べ終わりまた散歩再開、フラフラと心斎橋へ、心斎橋商店街をあるいていると「Zettai-Mu」の武くんが前から歩いてくる、「今日、鰻谷SUNSUI閉店イヴェントしているんで」ということでふたりでフラフラ行ってみる。





 〈SUNSUI〉内は人だらけ、Solmaniaの克己さん、CorruptedのChewさん、DJ Tuttleさん、そして昔、一緒にMouという名前で音楽作っていたのDJクラナカ1945等々の顔見知りがいっぱい、久々の面々に嬉しくなる。そして、なんだか、良くわからない展開になってきたので、ちょっと気が抜けてきたが、イヴェントは大盛り上がり(現在〈SUNSUI〉の場所は〈Conpass〉という名前に変わり営業を続けている)。そのイヴェント会場を横目にアオキ君の御薦めのビル屋上へ......、人気のないビル、階段をひた上がり屋上。
 んー......、なんか開放的だなー屋上ってのは......と、時間を気にすると、終電が間近、今日はこれで散歩終了。

■テクノ散歩2

 4月に入りすごい良い気候、この時期日本にいることがあんまりないので吃驚し、またしてもアオキ君に電話、散歩することにした。アメリカ村の友だちがマスターをしているカフェ前で待ち合わせ、こんな日は散歩しないで何をする。
 ということで、桜を求めてフラフラと散歩をスタート、桜、綺麗だな~っと、ブラブラ本町にある靭公園へ行ってみる、サラリーマンが花見の場所取りをしている。

 桜を仰ぎ見つつお酒を飲む文化、桜が綺麗なので嬉しくて皆でその気持ちを分かち合おうとする心意気、なんなんだろうこの文化、突出している気がしてならない......

 素晴らしい文化、日本。
 アッパレ。

 その後梅田まで歩き、アオキ君が好きなF1の模型を見に行った。
 高精密なF1の模型は驚くほどクオリティが高い、それを見ている青木君が中学生のように見えた。
 また、ふらふら歩き淀屋橋辺で喫茶店へ。 

今日はここで終了。

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■センセーショナルとのヨーロッパ・ツアー

 そんな日本を後に4月末~5月半ばに掛けて14都市を回ったヨーロッパツアーは、元ジャングル・ブラザーズでアンダーグラウンドヒップホップ界一の成り上がりラッパーことセン セーショナルと、EUで結婚して(おめでとう!)日本に帰国するのを怖がっているのでは? と僕が個人的に疑っているDjスコッチ・エッグ AKA Djスコッチ・ボネットことシゲル君と僕の3人でおこなわれた。
 センセーショナルとヨーロッパでツアーするのは3度目。
 彼との出会いは2002年におこなった日本ツアー以来の付き合いになる。僕らのファースト・アルバムはブルックリン/バルチモアを拠点するカレー料理の達人で、Hip Hopのバイブルとも評されるNEW BEATの著者でもあるスキッズ・フェルナンドことスペクター、ベーシストでプロデューサーのビル・ラズウェルにより設立されたレーベル、〈Wordsound〉からオウテカによるリミックスとともにリリースされた。セカンド・アルバムはボーズ・オブ・カナダやオウテカのホーム・レーベルとしてもしられるマンチェスターの〈SKAM〉レコードからリリースされた。
 
 セカンド・アルバムに対し、オウテカのショーン・ブース氏がレコメン文を書いてくれたので紹介させて頂きます。

 Sensational meets Koyxen

www.skam.co.uk
 Fucking ill!/あるべき「率直さ」と「歪み」を備えたレコード。/自分はこれを、もっとも重要なアーティストによる/もっとも重要な仕事のひとつだと思っている。(オウテカ/ショーン・ブース)

 恐縮!


ツアーフライヤー

 朝、ノイケルン地区にあるシゲル宅でドライバーのチャビと3人で待ち合わせ、ケルンに向かう、平均時速180km。車でのツ アーの度に毎回、死を覚悟しなくてはならない。マジで焦る。死を意識していまを生きるは好きなので楽しいのだと思い込んでいたりしているうちに、難なくケルンに到着。センセーショナル対面。
 彼と会うのは一昨年にNew YorkのIssue Projectでのライヴで会った振りだったが、相変らずな印象で取り合えず安心。
 そして、ツアー初日のライヴはシュトックハウゼンも使っていたWDRのスタジオがあるケルン、ヘンリ・ショパン追悼番組があったさいに仕事をさせて頂いたWDR(国営)のラジオ番組はコンテンポラリーな音楽を放送する番組等もあるのが素晴らしい......と、ライヴはサクッとこなした。



 ライヴは14日とも盛況で全て大盛り上がりだった。流石センセーショナルww
 2日目はハンブルグ。大物IDMアーティストもプレイすることで有名な老舗クラブ〈Golden Pudel〉でのライヴ。昨年NHK名義でもライヴさせて貰ったのだが、高音が上手く抑えられていて且つ音が硬くセンターもしっかり取れているのでライヴしやすい。ドイツ特有のインダストリアルなパンク・カルチャーをモロに体現している感じのここのオーナーのラルフの髪型がお洒落すぎて関心する。この日は音楽仲間のFelix Kubinも来てくれていて嬉しかった。


ここのフライヤーはいつも素敵だなー
良い箱なので、お勧め。

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 3日目はデンマーク、コペンハーゲン。フェリーに車ごと乗って国境越え。

 ライヴも盛り上がったけど、楽屋でみんなでしたセッションが素晴らしかった。




(この楽屋でのセッション音源を7月7日~8月11日まで東京G/Pギャラリーで行われる写真展"漂流"の音楽パートとして一部しようしました。興味のある方は是非!)

 4日目はスイス、バーゼル。
 朝にコペンハーゲンからフライト、スイスらしくスクワットでのライヴ。
 ライヴは盛り上がったが、会場内にあったサンドバックをキックしたシゲルは老化のためか、脹脛の筋肉を切断。なんでやねん状態。
 この日以降シゲル氏は松葉杖を使用しなくては歩けなくなった(ちなみに現在は回復)。超迷惑だったけどウケた......、ウケちゃ駄目なのはわかっているのだけど、なんか面白かった......。バーゼルのオーガナイザーは市内でレコード店「Plattfon Record」を運営しているミッヒさん。お勧め店。

 2日間オフで、ライヴ5日目はフランクフルト。
 SNDやAlva Noto、Oval、Alec Empair等を発掘し、90年代なかば~2000年初頭に掛けて音響派を牽引してきたばかりでなく、10代だった僕のファースト・アルバムまで出してくれたレーベル、〈ミル・プラトー〉。そのレーベルのスタッフでギリシャ人のライキさんがオーガナイズしてくれた。

 フランクフルトは各国の銀行が集中しているためか他のドイツの街に比べて圧倒的にスーツ姿の人が多い。というか、ベルリンでスーツ姿の人を見かけるのは安易なことではなかったりもするのだが......。
 会場はフランクフルトの若者カルチャー・センター的な場所だった。ツアーにも慣れて、さくっとライヴを終わらせる。

 6日目はオランダ、ロッテルダム。
 この街にはデ・スティルを代表する建物、カフェ・デ・ユニ(J.J.P. アウトの設計)がある。レム・コールハウスを筆頭に現代オランダ建築の立体感とその歪さが僕は好きだ。しょっちゅうお世話になっている会場のWORMはライヴ会場の他、レコードや本などを販売するお店でもあり、ミニシアターの施設まである。お勧め店。

 7日目は鶏、猫、犬、ロバの音楽隊で有名なブレーメン。会場は船、MS Stubnitz。実はここも良くライヴさせて貰っているお気に入りの会場のひとつ。コペンハーゲン、ハンブルグ、ブレーメン、アムステルダムを主な拠点港としている。毎年ロンドンで開催されているBlocフェスティバルの会場にもなったりしている。

 ここも良い音。お勧め、船だし。

 8日目はパリ。 あー、パリパリパリ、パリッパリ。 パーリパリパリパリッパリ。パリは、やっぱいつ来てもいいなー、国際感溢れるパリの狭いメトロが大好き、道路とかは汚いけど......一緒に出演していた(C_c_)は仲良しのひとり、NHKの影響を受けていると言っているその曲は初期のゲオメトリコとムスリムガーゼを足したような感じで良い感じになってきたなーと、関心。

 9日目はフランス・ナント。
 ナントに来たのは、なんと初めて! 記憶少......焦......。

 10日目はマルセイユ。
 朝ナントからパリに車で戻ってマルセイユへフライト。 太陽との距離が縮まったかの錯覚を起こす南フランスのマルセイユも大好きな街のひとつ、古くからの港町で、やはり魚介類が美味しい。会場の〈L'embobineuse〉も良くライヴさせて貰っている箱。フランスで有名なシルクスクリーン・アーティスト、バキトさんがフライヤーを偶に手掛けたりしている。

 11日目はベルギー・ブリュッセル。
 ブリュッセルは第二のベルリンになるかもしれないんだと、主催者のHip Hopチーム、L.E.Gは言う。
 んー......たしかに良い感じ、でも、歩んできた歴史が違うような気が。

 つーか、ベルギー最近まで無政府状態だったのでは......。そのせいもあり、毎回ベルギーはゆるくて良い。
 12日目はジャンヌダルクで有名なオルレアン。

 会場、半野外だった。盛り上がった......。ライヴの動画があったので添付。



 13日目はラ・ストラスブルグ・パーカッション・グループで個人的に有名なストラスブルグ、ドイツとの国境近くの街。初めて行った街だった。リハーサルに遅れ、サウンドチェックの最中から客がいた......しかもノリノリだった、会場は元々シアターだったという。

 14日目、最終日はベルリン。地元だけに気合が入る。会場はフェストサール クロイツベルグ。昨年、大阪の国立国際美術館でちょっと仕事手伝わせてもらったアンリ・サラさんも見に来てくれた。



 動画ではイマイチ盛り上がりの様子が伝わらないかも知れないが、盛り上がった。

 そしてなんなくツアー終了。

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■その後、5月、6月のNHKソロ・ライヴ

 NHK'Koyxen名義でのライヴをベルリンx2回、ダブリンx1回、ロンドンx1回、オランダのヘーレンx1回、チューリッヒx2回とやった。
 このベルリンでのライヴ1回目とロンドンでのライヴは僕の作品リリースもしている〈PAN〉主催。このレーベルはデザインも面白いのでお勧め!
 ダブリン・アイルランドに行ったのは今回が初めてだった。

 イギリスによる植民地化を確認せざるを得ないランドスケープ。そして、みんな優しいという......。ライヴは大盛況。
 チューリッヒとヘーレンはまたしてもDjスコッチ・ボネットも参加。チューリッヒの会場も仲良くして貰っている人たち。
 Naparm Death、SxOxBとならんで評されるスイスのグラインドコア・バンド、Fear Of GodのDave Phillipsがライヴを見に来てくれた。オランダのヘーレンは田舎町、ギャラリーを運営している知人が時折招いてくれる。

 この日は大きな自転車レース開かれていた、そんな日、僕とシゲルは鉄板焼きと寿司のバイキングという有り得ない組み合わせのレストランで食事した、もちろんシゲルは食いまくっていた。毎回焦っているのを彼は知っているのだろうか......。

 最近のロンドンでのソロ・ライヴのショートカット。



 ロンドン。 この日も汗だくだった。
 今後は、9月にセンセーショナルとの日本ツアー企画中。
 10月、11月はUKのスーパーソニック・フェスティヴァル(Small but hard showcase)、TUSKフェスティヴァル、オーストリアのエレベート・フェスティヴァル等に出演予定。 + ヨーロッパ ミニツアー。
 12月はオーストリアの電子音響・コンテンポラリー・ミュージックのカリスマ、〈MEGO〉のHecker、そしてベルリンのDubplate&MasteringのRashad Beckerとの日本ツアーを企画中。

 つづく......


KOYXEИ MATTSUNAGNEN : https://koyxen.blogspot.com


 6月に入り、ニューヨークはイヴェントで目白押し。





 まずはいま、ブルックリンでいちばん面白いアート・エリア、ブシュウィックで、「ブシュウィック・オープン・スタジオ」が、6月第一週末に開催された。
 アーティストのスタジオを、その週末だけ一般開放して、スタジオを見学をするイヴェントである。ブシュウィックには数えきれないほどのアーティストがスタジオを構えているので、場所によってはミュージック・ショーがあったり、ヴィデオ上映会があったり、ライヴ・ペインティングがあったり、盛りだくさんなのである。
 たくさんあるので、案内所として、いくつかのハブ・スタジオがあり、そこで地図やインフォをもらい、オススメを教えてもらえる。駅でいうと、3、4離れて固まっているので、プランをたてて行動するのが良い。デタラメに行っても、そこそこ面白いものが見れる。みんなフレンドリーで、アーティストと触れ合えるし、フリードリンク、フード、見る物満載、楽しい週末イヴェントである。
 私がチェックしたのは、デカルブ・アベニューとブロードウェイの角にある「ロード・サインズ」。道の角に、大きなサインが作られていて、サインの先には、このサインを作ったアーティスト(スコット・グッドマン、サキ・サトウ)も含む10人ぐらいのアーティストのスタジオ「1100broadway」があり、その近所の「ブルックリン・ウェイ・フェアーズ」にもお邪魔した。友だちの家に来たかのようで、スナックなどが持ち寄り。アーティストの作品は、ドローイング、ペインティング、彫刻、クリスタル、ボトル、ヴィデオ......などなど。作者は、気軽に作品について説明してくれる。

 同じ週末には、「ブルックリン・フィルム・フェスティヴァル」のキックオフ。ニューヨークでは、次々とフィルムフェスティヴァルが開催されるが、有名所では「トライベッカ・フィルム・フェスティヴァル」がある。私が個人的に好きなのは、監督の顔が見える、インディ感漂うフェスティヴァルで、「Res fest」(レス・フェスト)、「ニューヨークUFF」(ニューヨーク・アンダーグラウンド・フィルム・フェスティヴァル)、「BFF」(バイスクル・フィルム・フェスティヴァル)などが印象に残っている。
 今回のブルックリン・フィルム・フェスティヴァルも、私の心を動かすインディ・フェスティヴァルである。アメリカ、ロシア、イタリア、トルコ、スペイン、ドイツなどの映画が集まっているのだが、監督やロケ地、ストーリーなどが、ブルックリンに関連していて、ブルックリンが映画の中心であることをアピールし、インディの映画制作、アーティストの素晴らしさ、アーティストの創造の自由を促進している、ブルックリンから世界に発信するフェスティヴァルだ。

 こちらがトレーラー。






 このなかからひとつ、「lefty loosey righty tighty (レフティ・ルージー・ライティ・タイティ)」をピックアップする。
私が昔働いていた音楽オンラインショップで、現在働いていて、私のレーベルの物もいつも扱ってくれるパトリックが脚本を書いたというので、個人的にも親近感をもっていた。
 ストーリーは彼と同世代の典型的なアメリカ人30代男の生活、その恋愛模様が描かれている。3人の友だちが、これまでのバブルの崩壊を悟り、歳を取るごとに直面する自分自身や生活の変化のなかでドラマは繰り広げられる。
 撮影場所はブルックリンのパークスロープ。ここは、ブシュウィックとは対象的な、家族が住む地域で、ストローラーを押したお母さんを良く見かける。エッジさはないが、別面のブルックリンという感じが伝わる。
 ブルックリンと言っても、とても広く、インディ・ロック界でいうブルックリンはウィリアムスバーグ、ブシュウィック、グリーンポイント辺りなので、機会があれば、他の地域も紹介していきたい。例えば、どこに住んでいるの? と聞いてブシュウィックというと、「ああ、ミュージシャンかアーティストなのね」と、パークスロープと言うと、「ああ、落ち着いてるのね。子供がいるの?」などと、会話がはじまる。地域ごとに「顔」がある。

 さて、席は100席もなかったが、ほとんど埋まっていた。監督が言うには、DIYでどこまでできるかがテーマで、脚本家、俳優、映画音楽(ミュージシャン)、いやいや、お客さんもほとんどが彼の友だちだったかもしれない。見に来ている人は登場人物が経験していることを自分と照らし合わせ「ああ、わかるわー」という、共感を楽しんでいるように思えた。
 日本人の私から見ると、30代の微妙なお歳頃のアメリカ人が作った、ローカル感満載の映画で、「まったくアメリカ人はルーズでイージー(良い意味で)」と、表面的に思えるのだが、そのなかに見える登場人物の、微妙な心の動きや葛藤には、共感できるものがある。
 結局この映画で伝えたかったメッセージは、特異性を越え、生活を混乱させ、壮大で恐ろしい現実に自分の心を開いていくことだろう。ちなみに映画の最初に出てくる制作者のクレジットが、デリのサインを使って表され(つまり、かなりニューヨーク的)、オーディエンスにもしっかり受けてたが(拍手まで起こった)、ただこれは、アメリカの地方に住んでいる人にも理解し難いかもしれない。日本で言うと、町の商店街のサインを使って、名前を載せるという感覚なのだが、そのユーモアのセンスが、ここにいるからわかるという限定的なもの。笑いは、世界共通で有りながらツボは違う。上映後の監督への質問には、これでもか、というぐらい質問する(的外れな質問でもお構いなし)。

 もうひとつ見た映画は、「Cat Scratch Fever(キャット・スクラッチ・フィヴァー)」。こちらはルームメイトで親友のふたりの女の子が主人公、彼女たちは自分たちの生活を別次元の世界で見れることを発見する。そう、現在の生活とテクノロジーの数えきれない可能性の暗喩でもある。 こちらも、ストーリーからロケーションからとてもDIYで親近感を感じた。いずれせによ、これもまた、今日的なテーマである。

 話しは飛ぶが、たまたま見つけたこのプロモ・ヴィデオ(https://news.aol.jp/2012/06/04/italian-supermarket-lip-dub_n_1537380/)、イタリアの生協のスタッフが、オープン記念で作っているのだが、素人でここまでできるのは、イタリア人の血筋(ジェスチャーに長けている国民)なのか!

interview with Jimmy Edgar - ele-king


Jimmy Edgar
Majenta

Hotflush Recordings/Pヴァイン

Amazon iTunes

 ジミー・エドガーの名前を検索していくつかのページを見ていると、三田格が2006年に書いた『スタジオ・ヴォイス』の記事のアーカイヴを発見した(https://archive.studiovoice.jp/369/2810)。それは〈ワープ〉がショウケースを日本で行ったときのもので、このイヴェントには僕も行った。そうたしか、エレクトロニカとヒップホップにジャズを織り交ぜつつ鮮やかな手さばきで調理する神童という触れ込みで、キッチュなエレクトロをやっていたジャクソン・アンド・ヒズ・コンピューター・バンド(懐かしい!)とともに〈ワープ〉の期待の新人としてプッシュされていたはずだ。ただ、記憶を辿ると、ここに三田格が書いているように、ジミー・エドガーのライヴはその夜の〈ワープ〉のラインアップのなかでもとくにガシガシ踊れたように思う。
 記事では〈ワープ〉主宰のスティーヴ・ベケットがヴァリアス・プロダクションと契約したいと話しているが、まさにダブステップもこの時期から本格的に盛り上がりはじめている。ジミー・エドガーがそれから6年を経て、新作をスキューバが主宰でありマウント・キンビーやアントールドを紹介している〈ホットフラッシュ〉からリリースをすることは意外ではあるけれども、現在のシーンにおけるフロア・ミュージックという意味で、ポスト・ダブステップのレーベルとジミー・エドガーの邂逅が成り立ったと考えられるだろう。

 そう、ジミー・エドガーの新作『マジェンタ』は、おそらく我々が彼のことを神童だと見なしていたとき以上に、この若きヴェテラン・プロデューサーのフロアへの情熱を見出せる1枚だ。新作を特徴づけているのはオールドスクールにも遡るエレクトロで、音は整頓されて機能的な作りになっている。クウェズのリミックスを収録したシングル"ディス・ワンズ・フォーザ・チルドレン"のキャッチーなリフレインにしても、イーヴン・キックの"レット・ユアセルフ・ビー"のスペイシーな響きにしても、ごく真っ当にダンサブルなテクノ・トラックとして身体を揺らすことができる。あるいは、シンセでふざけてファンクをやっているような"タッチ・ユア・ボディライン"やヒップホップのビート感覚が健在の"アイ・ニード・ユア・コントロール"、そしてエフェクト・ヴォイスが愛を歌うR&Bの"イン・ディープ"では、ブラック・ミュージックのユーモラスな導入も聞ける。そしてもちろん、デトロイト・テクノの正統な血筋も変わらず流れている。それらがフロアの暗がりへと持ち込まれ、吐息交じりのヴォーカルが行き来しながらエロティックに妖しく光る。

 以下のインタヴューでJ.G.バラードや来世の愛、人間性、銀河の周波数に至るまで語るジミー・エドガーは、『マジェンタ』にスピリチュアルな要素をたっぷり持ち込んでいるようだ。〈ワープ〉時代に"アイ・ワナ・ユア・STD"――「俺はお前のSTDになりたい」と言っていた彼は、その独自の濃密でシュールな愛とセックスをこのフロア・ミュージックに託している。

「この曲はデトロイト・サウンドにするべきだ」と考えてから曲作りをはじめたことはいちどもないんです。なぜだかデトロイト・サウンドが好きなんですよ。ただ、いまっぽい感じの拡張された新しいデトロイト・サウンドを作ってきたとは思っています。

いまもベルリンに住んでいるんですよね? ベルリンはあなたにとっていまも刺激的な街だと言えますか?

JE:いまでもたいていはベルリンにいます。とても住みやすい街なんですよ。冬よりも夏が楽しいんですが、いつもスタジオに篭って仕事をしているので関係ないんですけどね。

あなたはデトロイトで10代から活動していて、ホアン・アトキンスやカール・クレイグ、デリック・メイらと共演していたことがよく挙げられますが、いまでも彼らと交流はあるんでしょうか? 

JE:その3人はいまでもデトロイトに住んでいますが、もちろんいまでも交流はありますよ。ホアンとはしばらく話してないのですが、カールとデリックは世界中のいろんなところで会ったり、連絡を取ったりしています。たまにデトロイトに戻ったときも会いますよ。みんな、素晴らしい友人関係なんです。

前作『XXX』から、リスナーとして好んで聴いていた音楽はどのようなものでしたか?

JE:R&Bばかりですね。80年代、90年代、そして2000年以降から現在までのR&Bのなかでもダンサブルなものですね。それから音楽理論をかなり真剣に学んでいます。一連の規則を学べば、そのルールを壊すこともできると思っていました。これは私の個人的なトレーニングのテーマなのですが、規則を学べば自分で新しいものを創り出すことができると思っています。

では、新作『マジェンタ』について聞かせてください。まず何より、スキューバの〈ホットフラッシュ〉からのリリースというのに驚かされたのですが、これはどういった経緯だったのでしょうか?

JE:友人からポール(スキューバ)に会うように勧められたんです。その際に音を聴かせました。想像とは違うかもしれませんが、直接会って話したんです。メールでのやり取りもかなりしてきました。ポールは私のコンセプトに共感してくれたんです。〈ホットフラッシュ〉は私のクリエイティヴに対して自由を与えてくれました。これは私にとって重要なことなのです。

〈ホットフラッシュ〉のリリース、そのスキューバやマウント・キンビーの音楽についてはどんな印象を持っていましたか?

JE:正直に言うと、リミックスをしたことがあったので、ポールやセパルキュアの音楽は少しは知っていました。最初はダブステップに寄りすぎている感じがしていたんですけど、最終的にはたくさん聴かせてもらって納得できました。友人のアンティウスがLando Kalという名義で『リズム・セクション』という作品を〈ホットフラッシュ〉からリリースしたのですが、けっこう売れているみたいですね。

その〈ホットフラッシュ〉からのリリースとは言え、ダブステップやその流れを受けたポスト・ダブステップと呼ばれるものとは、あなたの新作は別のところにあります。今回はこれまでのジミー・エドガー名義の作品よりもエレクトロ色がかなり増したように思うのですが、それは意識的でしたか?

JE:たまたまです。そんなに深くは意識していませんでした。すべてのものは「ポスト~」となります。私にとっては意味のない定義付けですけどね。自分自身を「ポスト~」のように定義したくはないです。たしかに多くのものから影響を受けてきましたが、広いジャンルに渡るものからなのです。

本作の音楽的なインスピレーションは具体的にありますか? 

JE:『XXX』の直後からこのアルバムに取り掛かりました。『XXX』のフューチャリスティックなヴァージョンという感じですね。でき上がってみたらもっとロウな感じになっていて別物になってましたけどね。これは旅の続きなんです。次の作品はこの旅から完全に切り離して、新しい何かをはじめると思います。リズムをもっと変える必要があると感じています。

それから、エフェクト・ヴォーカルを使ったファンキーなヴォーカル・トラックが多いことから、これまでのダークなムードよりも明るさ、それにユーモアを強く感じます。このような変化に理由は思い当たりますか?

JE:自分のユーモアのセンスがまともじゃないんですよ。

シンセはアナログですか? 今回もあまりコンピュータは使っていないんでしょうか?

JE:シンセはアナログではないですね。デジタル機材とモジュールよりもコンピューターを多用しています。賛否両論あるでしょうね。私は使えるものならなんでも使います。

シングルの"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"や"レット・ユアセルフ・ビー"などを聴くと、シーケンスやシンセの音色など、やはりデトロイト・テクノに通じるものを感じるのですが、ご自身を「デトロイトが出自のエレクトロニック・アーティストだ」と強く意識することはありますか?

JE:「この曲はデトロイト・サウンドにするべきだ」と考えてから曲作りをはじめたことはいちどもないんです。なぜだかデトロイト・サウンドが好きなんですよ。ただ、いまっぽい感じの拡張された新しいデトロイト・サウンドを作ってきたとは思っていて、デトロイト出身のエレクトロニック音楽のプロデューサーのなかで成功している数少ない人間のひとりだと思っています。だからこそ単純明白に自分のことを「デトロイトの新しいサウンド」だと主張しています。否が応でもそうだと思っています。だけど、私の音楽すべてがデトロイトに影響されているわけではありません。

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私はいま28歳です。インターネットがなければ私のことが知られることもなかったかもしれません。これは諸刃の剣ですが、私は変化に対してオープンなのです。そろそろみんなもそうならなくてはいけませんね。


Jimmy Edgar
Majenta

Hotflush Recordings/Pヴァイン

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リリックについてなんですが、本作ではリード・シングルとなった"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"の言葉がタイトルも含めて特に気になります。"We don't like television"や"We don't like Celebrities"というのはイメージしやすいのですが、"We don't like New Wave"というのはどういった意味合いが込められていますか? 音楽としてのニューウェイヴでしょうか?

JE:ハハハ。私のユーモアのセンスが垣間見えましたね(笑)。

"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"(「これは子どもたちのために」)というタイトルはメッセージだと考えていいのでしょうか?

JE:まさしくそうです。これは潜在意識のメッセージで、自分自身の人生をコントロールするように、何かの一部分であることを感じるように、そして自信を持つようにといったコマンド的なものが含まれているのです。人間には愛が必要だったり、団結してひとつになることが必要だったりだという意味もあります。そうでもしなければ、人は最後まで自分たちを殺し続けるのです。

そして"I can make you dance"という不敵な言葉に、ダンス・ミュージックとしてのあなたの自信を感じるのですが、あなたにとってダンスフロアの音楽であることはどの程度重要ですか?

JE:とても重要です。人びとをコントロールしたいと思うこともあって、踊っていることを見ることで私の音楽が視覚的にも完成するのです。

では、本作でも"テイク・ミー・オン・セックス・ドライヴ"など、明らかにセクシャルなモチーフがあります。あなたのなかで、それ(セクシャルなモチーフ)が繰り返し現れるのはどうしてでしょうか?

JE:J.G.バラードの『クラッシュ』というSF小説にからインスピレーションを得ています。私と私の前の彼女とで暗がりのなかにいたときに、彼女のために「Lets crash this car and not survive」という詩を書きました。もちろんお気に入りの曲の一つです。もしかしたらザ・ノーマルの"ウォーム・レザレット"へのオマージュと見られるかもしれません。何らかのお返しをしなくてはいけないかもしれませんね。

今回もファンクの要素が強いことからも、あなたの音楽にとってセクシーさは非常に重要なものだと思えます。あなたにとっての、音楽のセクシーさとは何かを定義していただけますか?

JE:セクシーさは多くの意味を孕んでいます。厳しかったりルーズだったり。大きいものから柔らかいものだったり。いろんな意味です。態度だったり雰囲気だったり。セクシーさは意識すべきもので、偶然ではだめで、強くコントロールすべきものです。人びとがセクシーと呼ぶものは曖昧なもので、人によって意味がバラバラです。自信を持つということがふさわしいかもしれません。私は常に自信を持ってスタジオに入っています。

プリンスからの直接的な影響はありますか? 音楽的なものでも、思想的なものでも。

JE:彼のアティチュードは好きです。彼もきっと自信を持ってスタジオに入っているんじゃないかと思います。

"イン・ディープ"はアルバムのなかでも特にディープでスムースですが、ジミー・エドガー流のラヴ・ソングと解釈してもいいでしょうか?

JE:そうですね。音と詞のなかにたくさんの情熱が込められています。とてもディープな曲です。すごく複雑な作業だったのですが、聴いてもらえればわかると思います。

タイトルを『マジェンタ』とした理由を教えてください。

JE:これは銀河の真んなかからくる新しい周波数のことを意味しています。赤紫色の「マゼンタ」と似ていますが違うものです。ほとんど目には見えない紫外線のスペクトルのなかにあります。この色は私たちの周波数と意識から現れるものです。この2、3年のあいだはまだ世のなかでは認識されないでしょう。時間は年々早くなっています。我々はそれに順応し学ぶべきなのです。

アートワークもなかなかインパクトが強く、これまでと違うムードを感じますが、可能であれば説明していただきたいのですが。「彼女」は誰?

JE:彼女は人間性を表す女性であって、起源を表す子どもでもあり、寛容を表す女性、あなたと私であり、わたしとあなたでもあるのです。私たちの持つポテンシャルを多くの人びとが気づきはじめたという変化、この変化の育成の象徴です。心のなかで願うものはなんでも創造できると気づくため、そしていままではこのホログラフィックな生活の中で創りあげてきた全てのものを見るためです。今世でも来世でも、愛を自制することは大きな痛みを伴います。

あなたはまだ十分お若いですが、すでにキャリアとしてはかなり長いです。10代でミュージシャンとして活動をはじめたころから、もっとも変わった部分と変わっていない部分は何だと思いますか?

JE:そうですね、かつては多くのCDを作って来ました。いまでは当時の約10%になっています。ほとんど同じことがレコードに関しても言えますね。工場で働く人にも影響しています。
 私はいま28歳です。もし11年前にいまの私がいたとすれば、まったく別の世界になっていたでしょう。デジタル音楽の変遷も見てきました。だけど私のようにデジタル音楽に関してオープンなプロデューサーもいます。なぜならインターネットがなければ私のことが知られることもなかったかもしれません。これは諸刃の剣ですが、私は変化に対してオープンなのです。そろそろみんなもそうならなくてはいけませんね。

 ありがとう。永遠の愛を。

DJ DYE (THA BLUE HERB / Oplusd.) - ele-king

春アルバム


1
Aphex Twin - Drukqs - Rhino/Wea

2
Moog - The Electric Eclectics of Dick Hyman - ABC Records

3
Heatsic - Intersex - Pan

4
Donato Dozzy - K - Further Records

5
Marumari - The Wolves Hollow - Carpark

6
Stewart Walker - Stabiles - Force Inc.

7
Billy Cobham - Crosswinds - Atlantic Recording

8
Moodymann - Forevernevermore - Peacefrog Records

9
Apparat - The Devil's Walk - Mute

10
Maino - Day After Tommorow - Atlantic Recording

MAMAZU (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

schedule
5/14 スケボー音楽倶楽部@DOMMUNE (
6/2 BUENA SUERTE Anniversary! @ AGEHA
RIDE MUSIC EP Release Tour↓ (
6/8 SUPER X@渋谷SECOBAR
6/16 SUPER X@仙台PANGAEA
6/29 SUPER X @ 神戸TROOP CAFE (
6/30 THIRD CULTURE @ 静岡EIGHT & TEN

Chart


1
Cortney Tidwell - Palace(Micbel Cleis is Too Late remix)- Simple Records

2
Fausto massina - boungaville - Diyamic Music

3
Daniel Steinberg - SIlvertune - Supdub

4
Dapayk&Midnight - emergency - mo`s ferry

5
Sante&Sascha Sibler - Ce Loca - Be chosen

6
Tenjoe - Jibli - Unreleased

7
Terry Laird - Kibontemps(Ethnic mix)- Justhouse

8
Abacus - Idrum this djemebe - NDATL

9
EDO KANPACHI - Tokonoma ずっとここに - Unreleased

10
Petter - Everyday Balloon - Extremamusic

Current top 10 2012.4.29


1
Shifted - Colour Of The Fall - Mote Evolver

2
IORI - Moon - Phonica White

3
Morphosis - Silent Screamer - Delsin

4
DB1 - Vanguard - Hidden Hawaii

5
Demdike Stare - Demdike Stare Meets Shangaan Electro - Honest Jons

6
IORI - Spread - Phonica White

7
Magic Mountain High - Untitled - Workshop

8
MM/KM - 6 Track Mini - The Trilogy Tapes

9
Architectual - Looking Ahead - Semantica

10
Madteo - Very Sweaty Palms (Kassem Mosse Remix) - Meakusma

Annapurna illusion - ele-king

 アマゾン出身の謎の覆面ミュージシャンという当初のコンセプトは、やっぱり覆面着けてライブするのは面倒だからという理由でいつの間にか何処へやら。ハイウルフ(High Wolf)ことマックス・プリモルトとは一昨年、昨年と(そしておそらく今年も......)何の因果か、ツアーの日々を共ともに過ごしているので、近年の彼のライヴ・パフォーマンスにおける成長は誰よりも近くで(近過ぎるよ)見てきた。2010年に彼が日本に訪れた際、サポート・バンドとして借りだたされ、多くのジャムを楽しんだものの、果たしてハイウルフはこれでいいのだろうかと疑問が残った。
 2011年のアメリカ・ツアーを一緒にやったとき、ロスのランドスライドという高台にあるスケート・パークで僕らの前に彼が当時サン・アロー・バンドのメンバーであったバーレットとディープ・マジックのアレックスという同じような即席バンド・セットで演奏しているのを見て、その疑問は確信へと変わった。こりゃダメだ。演奏終了後に近隣住民からの騒音の苦情により駆けつけたロス市警により主催者が罰金を課せられたため、トリであった僕のバンドの演奏は中止、僕のやり場のない怒りはマックスへ向けられた。毎回、サポート・メンバーの演奏に振り回されているハイウルフは見るに耐えない、ハイウルフとしてのオリジナリティがまったく出ていないじゃないかと言う僕にマックスはしかめっ面していた。
 〈NNF〉周辺の多くのベッドルーム・ミュージシャンはときにライヴ・パフォーマンスが得意ではない。かつてはヒップホップに傾倒していたマックスもトラックメイカーとしての優れたバックグラウンドを持つものの、ライヴではいまだ発展途上であることを自覚していたのか、このときの僕の八つ当たりを彼はシリアスに受け止めたようで、残りのスケジュールでのライブヴをすべてソロ・セットに変更した。僕はまったく意図していなかったが、これは吉と出て、それはなかなか素晴らしいものだった。もちろん、僕も新たな仲間とのセッションは格別である事は充分承知しているが、それがオーディエンスと共有できるとは限らない。本来それは優れたスキルと百戦錬磨の経験に裏打ちされるものであることが多い。

 アナプルナ・イリュージョン(Annapurna illusion)はハイウルフの無国籍ハルモニア・ロックとは異なるマックスのダークサイドであり、彼が愛して止まない初期アース(Earth)等などの影響を受けたサウンドはアマゾンの密林で夜を過ごす探検家の悪夢だ。余談だが、ロスからテキサスまでの地獄のドライブ中、ジョイントはなくとも永遠変わらぬ砂漠の風景、トラッカーズ・ピルと不味いコーヒーで無理矢理覚醒状態にしている疲労困憊な僕の状態と最高のシチュエーションで一緒に聴いたアースの3rdはマジで危なかった(運転が)。
 この音源のハイライトは、昨年のハイウルフのヨーロッパ・ツアーで彼がベルギーを訪れた際、僕らの共通の友人でもあるシルヴェスター・アンファングII(Sylvester Anfang II)としても活動するヘルヴェット(Hellvete)ことグレンとのコラボレーション、『アナプルナ・ヘルヴィジョン』だ。お気づきの方のいらっしゃるだろうが"ヘルヴェット"はメイヘムのユーロニモスが営んでいたデス・ライク・サイレンスの拠点であるレコード・ショップから拝借しているのだろう(本当はHelveteである)。同じくシルヴェスター・アンファングIIのウィリアムが、マーチテーブルでネクロ・ブラック・メタルだと勘違いして僕らの音源を買っていく連中が家に帰ってから失望するのを想像すると可笑しくって溜まらないと言っていたが、僕はそんな彼らの最高に捻くれたセンスが大好きだ。
 ヘルヴェットは近年、よりミニマルなドローンに傾倒しているらしく、クラーク(KRAAK)よりリリースされていたレコードで聴ける彼の素晴らしいバンジョーがないのは少々残念でもあるが、そのラーガ調のドローンでマックスの描く悪夢をより禍々しいものに仕立てあげている。
 マックスはあれ以来、ライヴはソロ・セットでこなしているようで、おそらくこの音源はレコーディングという大義名分をかざしグレンの家にしばらく転がり込んでいたのだろう。絶対マックスにたかられたであろうグレンには同情するよ。でも不思議に、マックスは何処か絶対憎めないキャラで、これこそが彼の本当の才能であり、ゆえにロクに金を持たずとも世界中を放浪出来るのである。より多くのツアーを経て成長した彼の演奏を見るのが楽しみだ。

 以前、〈グループ・タイテナー(Group Tightener)〉からリリースされたアナプルナ・イリュージョン/ハイウルフのレコードのアートワークを手掛けた際に、これはどう考えてもスプリットじゃないだろう、両方お前じゃねーかという僕の意見に断固これはスプリットであると言い張っていた。マックス、お前マジで最高だよ。

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