Home > Regulars > Random Access N.Y. > vol. 105:アートブック・フェアでNYの秋ははじまる- NY art book fair 2018
9月になり、すでに肌寒くなったNYの週末。ロング・アイランド・シティのMoMA PS1で、アートブック・フェア(http://nyartbookfair.com/)が行われた。
チェルシーの本屋プリンテット・マターがキュレートするこのフェアは、今年で13回めを迎える。さまざまな流通によるアート出版を祝うもので、独立系アート出版社のもの、学校、本屋、アートギャラリー、スクリーンプリント系などずらり大量の展示があった。アート本、写真集、ポスターからジン、Tシャツ、トートバッグ、ピンバッチ、工作類などのギフト系まで場内は様々なグッズで溢れかえっていた。
サイン会、本関係者のパネル・ディスカッション(漫画は本なのか、コミュニティを実行するための風がわりな出版、散らばったコミュニティを運営する方法など)、対話式ワークショップなどの催し物もある。部屋から部屋へ移動するたびに違うテーマが現れ、圧倒され、酸欠になりかけるほどの中身の濃さ。ひと息入れようとコートヤードに出ると、ビールやワインが飛ぶように売れている。DJやパフォーマンスマンスもあるので、そこでしばらくまったりするのが正解。今年は、Miho Hatori, Lee Bertucci, Jaimie Branch, Lori Scacco, Greg Foxなどがプレイした。
この2018年アートブック・フェアは盛況だった。目当てのブースで、アーティストと話しながら本を購入するのはフェアの醍醐味である。フェア中でなくとも、PS1の入り口にはブックショップも構えるので、いつ行ってもキュレートされた書物たちに出会えるんだけど。
ブックフェアは秋のはじまりの祝いと言ったところだろう。普段は、ネットでことを済ませる若者たちも、この日ばかりはひとつひとつブースを見て回り、本に触れ、アーティストの顔を見ながら話している。最近は会わない知り合いにも会えるのもフェアの良さ。このフェアが、世界中を回っているのは納得。本は世界を繋ぐし、これからも変わらない。