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Random Access N.Y.

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Vol.112:北欧SXSW――ノルウェイ、ミュージック・フェスティバル 第3回 ――By:Larm

沢井陽子 Mar 19,2019 UP

ここ5年ほど、アイスランドや北欧のフェスティバルに積極的に参加している、アイスランド・エアウェイブスhttps://icelandairwaves.is。2013年から数えて5回アイスランドや北欧のフェスティバルに参加し、バルセロナのプリマヴェーラhttps://www.primaverasound.es/には2回、ノルウェイのフェスには最近参加し始めた。

私がNYのインディ・オンライン・ストアの〈インサウンド〉insound.comで働いていた1999年頃、同僚がノルウェイのオスロで開催されるフェスティバル、Øya(オイヤ)https://oyafestivalen.noについて話していたのを覚えている。当時、創業したばかりのインサウンドとØyaは、同じようなアーティストを扱っていた。ノルウェイなんて遠い異国だと思っていたが、NYからは約7時間、時差も6時間で、時差ボケも酷くない。


会場への道

私は2017年に初めてオスロのØyaに参加し、2018年には同じくノルウェイのトロントヘイムで開催されるPstereo(ぺステレオ)https://pstereo.noに参加した。
Øyaは1999年にスタートし、ソニック・ユース、イギー・ポップ、アークティック・モンキーズ、ベックなど、ピッチフォーク系のバンドが出演することを売りにしている。一方、Pstereoは2007年にスタートし、クラフトワーク、モグワイ、ロイクソップ、スロウダイブなど、エレクトロニカ、ポップ、ロックなどのバンドが主に出演している。2019年のØyaのヘッドライナーは、キュア、ロビン、テーム・インパラ、ジェイムス・ブレイク。同じ年、ぺステレオには、ホイットニー、イェーセイアー、ブロック・パーティ、ビッグバンなどが出演した。



コンファレンス

コンファレンス会場


今年2019年は、オスロのBy:Larm(ビ・ラーム)https://bylarm.noに参加した。By:Larmでは音楽フェスと一緒にコンファレンスも行われ、SXSWの北欧版と言える。3日間(今年は2/28-3/2)講義、セミナー、ネットワーキングが昼間に行われ、夜は18の会場で、350ものコンサートが開かれる。By:Larmは北欧の音楽と海外の音楽の出会いの場である。

1998年に始まったBy:larmはスタート当初、バーゲン、トロントへイム、トロムソ、クリスチャンサンドなど毎年異なるノルウェイ内の都市で行われていたが、参加者が増え続けたために大きな会場やホテルが必要になり、2008年からはオスロを拠点としている。

今年のレクチャー内容は、「デジタルミュージックの世の中でアーティストが侵す10の間違い、それを避ける方法。」、「デジタル革新の世の中でアーティストとレーベルはどうやってインパクトを与えるか。」、「ストリーミングの技術は熟したが、収入が公平になるディストリビューション問題。ユーザー中心の世の中でどのように音楽経済を変えることが出来るか。」、「ブランドやスポンサーが古臭さや妥協なくどのように音楽業界に新しい内容を提供出来るか。アーティストは信頼性を損なわず収益を上げるため、スポンサーを利用できるか。」、「自分のバンドはホット。では次は。」、など興味あるトピックが続く。〈シークレットリー・カナディアン〉や〈モ・ワックス〉のA&Rの話や、マネージャー、エージェントからも直接話を訊けて音楽業界で働く人には気になる話題が満載である。



Girl in red

Kelly Moran

ショーケースされるバンドは北欧のバンドが殆どで、2日間で30ほどを駆け足で観た。ノルウェイのマック・デマルコと言われているBrenn.(ブレン)は、演奏は下手だし何がしたいのか分からなかったのだが、とにかく音を掻き鳴らしていて「やってやる!」という姿勢も伝わってきたし、期待のホープに思えた。青とピンクの色違いのジャンプスーツも可愛かった。〈ベラ・ユニオン〉のPom Poko(ポンポコ)は、柔道着風ツナギとバスケットボールのユニフォームというよくわからないアウトフィットだったが、元気一杯エナジー爆発で、ガール・イン・レッドと同じくオーディエンスにダイブしたり、ファンのサポートも熱かった。スウェーデンのMeidavale(メイダヴェール)は、ウォーペイントとワォー・オン・ドラッグスを足したようなサイケデリックな浮遊感が漂うバンドで、黄色のジャンプスーツが可愛かった。〈DFA〉からも作品をリリースするアバンギャルドアーティストの、Nils bech(ニルス・ベック)はストリングス隊をバックに歌い、同時に会場の外に3Dマッピングをしていて、現代的なアートのようなパフォーマンスを見せた。


Selma Judith

Maidavale

土曜日は、Torggata通りで行われるTorggatafestというフリーショーが3時から7時まで8つのお店や会場で行われ、50ほどのバンドがプレイした。さらにアン・オフィシャルパーティが近くで行われ、ビール、アップルサイダー、ビーツ・スープ(!)などが振る舞われた。

SXSWと同じで知り合いが出来ると数珠繋ぎにどんどん人を紹介され、見たいバンドを見逃すという事態に陥るが、ネットワーキングを目的に来る人が殆どである。アジア人は全く見なかったが、中国からのジャーナリスト、DJが来ていた。その他は北欧の違う都市から訪れていた音楽業界の人々だった。彼らはSXSWにも行くらしく、月に一回はNYに行くという人も居て、世界中を飛び回ってるのだなあと。オスロは、レイキャビックやコペンハーゲンと同じく、Wi-Fiや充電場所が何処にでもあり、水道水も飲めるが、アルコールは外では飲めない。日曜日にはフリーマーケットがあったり、少し散歩も出来る、小さいがとても便利なオスロを体験出来た。

大満喫した次の日NYに戻ろうとすると、フライトが悪天候のためキャンセルに。何故かロンドンに行く事になった。旅もフェスも予測出来ないという事で、初のロンドンを楽しむ事にする。


Yoko Sawai
3/4/2019

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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