Home > Regulars > Random Access N.Y. > vol.114 : インディ・シーンはゲームへと向かう?- Good bye Secret Project Robot and Hello Wonderville
Apr 16,2019 UP
シークレット・プロジェクト・ロボット(SPR)は、20年前にはじまった。当初はマイティ・ロボットという名前だった。マイティ・ロボット場所であり、ヴィジュアル・グループであり、DJ、プロジェクトの名前だった。コンタクト・レコーズから彼らのショーやヴィジュアル作品などを収録したDVDをリリースした後、その精神を引き継ぐ次の冒険としてシークレット・プロジェクト・ロボットがはじまった。
NYに引っ越して来たばかりだった私は、マイティロボットを発見してからというもの毎日のように通った。彼らはブルックリン(ウィリアムスバーグ)のDIYバンド(ヤーヤーヤーズ、ライアーズ、アニマル・コレクティブ、!!!、オネイダなど)を積極的にブックした。フェスやパーティ、アートショーを開き、毎日のように人を集まる場を作った。
彼らがシークレット・プロジェクト・ロボットとなってからは、最初はウィリアムスバーグ、次にブッシュウィックと場所を移した。こうして彼らは20年間DIY精神を保持したまま、生き延びてきている。新しい場所に引っ越して1年、彼らはあらたな決断を持った。それは2019年4月末、いまの場所を別のビジネスに譲ることだった。
アートスペースからはじまった彼らは、ブッシュウィックに移ったときからアートスペースだけでやっていくのは厳しいと感じていた。しかしアートは売れなくてもアルコールは売れることに気付くと、彼らはバー、カフェを続けてオープンした。シークレットを維持することができたのはそのおかげだ。なので、新しいシークレットもアートギャラリー兼バーとしてオープンした。アンダーグラウンドなDIYギャラリーから合法的なバーとなったわけである。が、バーによって金はまわせるが、彼らは自分たちのやりたいことはこれではないと気づいた。で、今回の決断へと至ったのである。
現シークレット・プロジェクト・ロボットは閉店するが、同所はデス・バイ・オーディオ・アーケードというゲーム制作会社が、ワンダーヴィルと改名して引き継ぐことになった。キックスターターで資金を募り、目標金額を達成した(https://www.kickstarter.com/projects/markkleeb/wonderville-arcade)。ゲームやピンボールがあるヴェニューになる予定で、いままでジプシーのようにいろんなDIY会場を転々としていた彼らだが、ようやく自分の場所を見つけたというわけ。。
ライトニング・ボルトのブライアンGもゲームを作っているし、ブルックリンのDIYシーンはゲームへと向かっているって?
■シークレット・プロジェクト・ロボットの歴史:
1999年、マイティ・ロボットとしてスタート
NYポストパンク・シーンを作ったバンドがプレイ
バンドブッカーに定評あり
ウィリアムズバーグにDIYバンドのパイプを作る
2004-11
★シークレットプロジェクトロボットとしてモンスターアイランドというビルへ移動
Todd P DIY会場経営、DIYバンドブッカー
2011年、ビルが取り壊されるタイミングで大手紙にも取り上げられて一般への認知拡大
2011-2016
★ブシュウィックへ移動(シークレットプロジェクトロボット)、アルコール販売へ目をつける
「アートショーではお金は落とさないが、バーにはお金を落とす」
★ハッピーファンハイダウェイ(バー)
★フラワーズフォーオールオケージョンズ(カフェ)
▶︎ミュージシャンに仕事をあたえる
▶︎かつ、シークレットが閉まっている間の収入源にもなり、結果的にベニューをサステナブルにまわすための資金を生む土台になっている
2018ー
★現在のシークレットプロジェクトロボット
▶︎アートスペース・音楽会場
▶︎実質、お金を動かしているのはアートではなくアルコール
▶︎その仕組みをうまく利用してアーティストを育てる
2019年4月
閉店へ、元のDIYアートギャラリーとして生まれ変わる予定(移転先は未定)
DIYに関しての記事はこちらから:
DIY会場の危機:http://www.ele-king.net/columns/regulars/randomaccessny/005602/
RIP DIY:http://www.ele-king.net/columns/regulars/randomaccessny/004362/