ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Jane Remover - Revengeseekerz | ジェーン・リムーヴァー
  2. rural 2025 ──テクノ、ハウス、実験音楽を横断する野外フェスが今年も開催
  3. Columns Electronica Classics ──いま聴き返したいエレクトロニカ・クラシックス10枚  | Alva noto、Fennesz、Jim O'Rourke
  4. caroline ──まもなく2枚目のリリースを控えるキャロライン、ついに初来日が決定
  5. Columns ♯13:声に羽が生えたなら——ジュリー・クルーズとコクトー・ツインズ、ドリーム・ポップの故郷
  6. Ami Taf Ra ──新たに〈Brainfeeder〉に加わったアミ・タフ・ラ、新曲はカマシ・ワシントンがプロデュース
  7. 別冊ele-king 渡辺信一郎のめくるめく世界
  8. interview with aya 口のなかのミミズの意味 | 新作を発表したアヤに話を訊く
  9. Hüma Utku - Dracones | フーマ・ウツク
  10. Shuta Hasunuma ──蓮沼執太フィルがブルーノート東京での2年ぶりとなるコンサートを発表
  11. interview with IR::Indigenous Resistance 「ダブ」とは、タフなこの世界の美しきB面 | ウガンダのインディジェナス・レジスタンス(IR)、本邦初インタヴュー
  12. Mark Stewart ——マーク・スチュワートの遺作がリリースされる
  13. interview with Louis Cole お待たせ、今度のルイス・コールはファンクなオーケストラ作品
  14. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか
  15. Stereolab ——日本でもっとも誤解され続けてきたインディ・ロック・バンド、ステレオラブが15年ぶりに復活
  16. Mark Turner - We Raise Them To Lift Their Heads | マーク・ターナー
  17. 野田 努
  18. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  19. interview with Mark Pritchard トム・ヨークとの共作を完成させたマーク・プリチャードに話を聞く
  20. 青葉市子 - Luminescent Creatures

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.123 NYシャットダウン

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.123 NYシャットダウン

沢井陽子 Mar 23,2020 UP

 コロナヴァイラスが世界的に流行している。NYでは、3月4日に10人ぐらいが感染していると発表があった後、瞬く間に1000人を超える大流行となった(3/21現在)。中国からイタリアへと大流行しているのを受け、3月11日水曜日、トランプ大統領は「13日の金曜日からヨーロッパからの飛行機を制限する」と発表した。3月末にポルトガル行きを予定していた私はヨーロッパ行けなくなるかもと、能天気に考えていたが、とんでもない、そこから事態はさらに加速した。

 3月13日金曜日、たくさんの観光客で賑わうチェルシーマーケットが閉まった。500人以上のショーが中止になったと思ったら、10人以上の集まりも禁止され、15日日曜日までにNYのレストラン、バーがシャットダウン警告を出され、17日火曜日までにテイクアウトとデリバリーのみになった。コスメティック・ブランドのセフォラは全店閉鎖、リテイルストアも閉鎖、空いているのはスーパーマーケットと銀行ぐらいで、NYは完全に真っ暗である。
 オフィスも閉鎖され、自宅勤務にシフト。ホスピタル業、サービス業、人と人が会う仕事はすべてアウト。メトロポリタンオペラは全員クビ、フェスティヴァルやショーはすべてが延期かキャンセル、地下鉄もほとんど人がいない。マスク、手袋をして、お互い6フィート以上離れるソーシャル・ディスタンスをとることを推奨している。「家で待機」が合言葉で、「必要な外出以外はダメ」という状況である。


リテイルストアは全て閉鎖

 私は、突然降ってきたヴァケーションを取り、友だちの家に行ったり、ビーチに行ったり、滝を見に行ったり、毎日気を紛らわそうとしているが、仕事がないことや、家に篭りっきりは本当に辛い。スーパーに行くとトイレットペーパーが売り切れているし、冷凍食品、缶詰、パスタあたりがまったくなかったり、みんなの不安も感じる。13日の金曜日に日本から来たミュージシャンと一緒に共演する予定だったのだが、そのショーもキャンセル、そし彼らはいま何もないオースティンにいる。本来なら、いちばん人が多い時期のオースティン。SXSWが中止になったいま、NYと同じようにゴーストダウンらしい。

 私は、3月の頭にオースティンに行って、ピーランダーZと、たこ焼きイベントをしてきたばかりだったが、NYの窮屈さと、アメリカでいちばん感染者の多さもあり、少しNYを離れ、オースティンに行くことにした。

 空港がいままでにないほどガラガラで、飛行機も5人ぐらいしか乗ってなかった。こんなにのスムーズに、セキュリティを通れたのは初めて。


地下鉄の風景

 オースティンに着いた翌日、NYが22日日曜日からロックダウンされると聞いた。NYに帰れないかもしれない。家に居るしかない生活が平常だが、オースティンのカラッとした天候に少し元気付けられた。日本から来ている人のなかにはフライトがキャンセルになり、「帰れないかも」という人もいる。

 NYの人たちは、ライヴストリーミングをはじめたり、仕事がなくなったレストラン、ナイトライフワーカーのためにファンドレイザーを立ち上げたり、クリエイティヴなことをはじめたり、家を改造しはじめたり、この状況で、少しずつ出来る何かをやろうとしている。国民に$1000支給されるとか、家賃やモーゲージが免除されるとか、いろんな噂が飛び交うが、この状況でも生きていかなければならない。サヴァイヴァル能力が養われるNY。毎日状況が変わるが、この原稿を書いている3月21日はマヤ暦で最後の日らしい。


コロナセルツァー、いまハードサイダー、ハードコンブチャなどビール以外のアルコール飲料が大流行。みんな買いだめしてます


オースティンのサボテンソーダ

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS