ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Loraine James 路上と夢想を往復する、「穏やかな対決」という名のアルバム | ロレイン・ジェイムス、インタヴュー (interviews)
  2. Theo Parrish Japan Tour 2023 ──セオ・パリッシュが来日 (news)
  3. Caterina Barbieri - Myuthafoo | カテリーナ・バルビエリ (review)
  4. SUGIURUMN ──ベテランDJ、気合いMAX。スギウラムが新曲を発表 (news)
  5. 10月開催の「AMBIENT KYOTO 2023」、坂本龍一、コーネリアスほか出展アーティストを発表。テリー・ライリーのライヴもあり (news)
  6. Natalie Beridze - Of Which One Knows | ナタリー・ベリツェ (review)
  7. Laurel Halo ──ローレル・ヘイロー、5年ぶりのアルバムがリリース (news)
  8. talking about Aphex Twin エイフェックス・ツイン対談 vol.2 (interviews)
  9. Fabiano do Nascimento ──ブラジル音楽とLAシーンをつなぐギタリスト、ファビアーノ・ド・ナシメントの来日公演 (news)
  10. Snow Strippers - April Mixtape 3 | スノウ・ストリッパーズ (review)
  11. King Krule - Space Heavy | キング・クルール (review)
  12. 野外のアンビエント・フェスティヴァル、Off-Tone 2023は面白そうだ (news)
  13. Throbbing Gristle - Greatest Hits - Entertainment Through Pain (review)
  14. Theo Parrish & Maurissa Rose - Free Myself | セオ・パリッシュ、モーリサ・ローズ (review)
  15. Tirzah ──2023年の絶対に聴き逃せない1枚、ティルザのサード・アルバムが登場 (news)
  16. 7038634357 - Neo Seven | ネオ・ギブソン (review)
  17. Caterina Barbieri - Ecstatic Computation | カテリーナ・バルビエリ (review)
  18. Lusine - Sensorimotor (review)
  19. Columns 「ハウスは、ディスコの復讐なんだよ」 ──フランキー・ナックルズの功績、そしてハウス・ミュージックは文化をいかに変えたか | R.I.P. Frankie Knuckles (columns)
  20. Creation Rebel ──クリエイション・レベルが新作をリリース、エイドリアン・シャーウッドのサイン会も (news)

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.123 NYシャットダウン

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.123 NYシャットダウン

沢井陽子 Mar 23,2020 UP

 コロナヴァイラスが世界的に流行している。NYでは、3月4日に10人ぐらいが感染していると発表があった後、瞬く間に1000人を超える大流行となった(3/21現在)。中国からイタリアへと大流行しているのを受け、3月11日水曜日、トランプ大統領は「13日の金曜日からヨーロッパからの飛行機を制限する」と発表した。3月末にポルトガル行きを予定していた私はヨーロッパ行けなくなるかもと、能天気に考えていたが、とんでもない、そこから事態はさらに加速した。

 3月13日金曜日、たくさんの観光客で賑わうチェルシーマーケットが閉まった。500人以上のショーが中止になったと思ったら、10人以上の集まりも禁止され、15日日曜日までにNYのレストラン、バーがシャットダウン警告を出され、17日火曜日までにテイクアウトとデリバリーのみになった。コスメティック・ブランドのセフォラは全店閉鎖、リテイルストアも閉鎖、空いているのはスーパーマーケットと銀行ぐらいで、NYは完全に真っ暗である。
 オフィスも閉鎖され、自宅勤務にシフト。ホスピタル業、サービス業、人と人が会う仕事はすべてアウト。メトロポリタンオペラは全員クビ、フェスティヴァルやショーはすべてが延期かキャンセル、地下鉄もほとんど人がいない。マスク、手袋をして、お互い6フィート以上離れるソーシャル・ディスタンスをとることを推奨している。「家で待機」が合言葉で、「必要な外出以外はダメ」という状況である。


リテイルストアは全て閉鎖

 私は、突然降ってきたヴァケーションを取り、友だちの家に行ったり、ビーチに行ったり、滝を見に行ったり、毎日気を紛らわそうとしているが、仕事がないことや、家に篭りっきりは本当に辛い。スーパーに行くとトイレットペーパーが売り切れているし、冷凍食品、缶詰、パスタあたりがまったくなかったり、みんなの不安も感じる。13日の金曜日に日本から来たミュージシャンと一緒に共演する予定だったのだが、そのショーもキャンセル、そし彼らはいま何もないオースティンにいる。本来なら、いちばん人が多い時期のオースティン。SXSWが中止になったいま、NYと同じようにゴーストダウンらしい。

 私は、3月の頭にオースティンに行って、ピーランダーZと、たこ焼きイベントをしてきたばかりだったが、NYの窮屈さと、アメリカでいちばん感染者の多さもあり、少しNYを離れ、オースティンに行くことにした。

 空港がいままでにないほどガラガラで、飛行機も5人ぐらいしか乗ってなかった。こんなにのスムーズに、セキュリティを通れたのは初めて。


地下鉄の風景

 オースティンに着いた翌日、NYが22日日曜日からロックダウンされると聞いた。NYに帰れないかもしれない。家に居るしかない生活が平常だが、オースティンのカラッとした天候に少し元気付けられた。日本から来ている人のなかにはフライトがキャンセルになり、「帰れないかも」という人もいる。

 NYの人たちは、ライヴストリーミングをはじめたり、仕事がなくなったレストラン、ナイトライフワーカーのためにファンドレイザーを立ち上げたり、クリエイティヴなことをはじめたり、家を改造しはじめたり、この状況で、少しずつ出来る何かをやろうとしている。国民に$1000支給されるとか、家賃やモーゲージが免除されるとか、いろんな噂が飛び交うが、この状況でも生きていかなければならない。サヴァイヴァル能力が養われるNY。毎日状況が変わるが、この原稿を書いている3月21日はマヤ暦で最後の日らしい。


コロナセルツァー、いまハードサイダー、ハードコンブチャなどビール以外のアルコール飲料が大流行。みんな買いだめしてます


オースティンのサボテンソーダ

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS