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vol.124 NYシャットダウン#2

沢井陽子 Apr 02,2020 UP

 4月に入った。3/11からコロナヴァイラス・パンデミック=非常事態に陥り、NYはあっという間に、世界中で一番のコロナヴァイラス(COVID 19)感染地帯となった。
 4/1現在、NY州の感染者7万人を超え、死者は2千人、NY市内では5万人の感染者、千人の死者、どれだけNY市内に感染者が多いかわかるだろう。アメリカの感染者は20万人で、すでに中国やイタリアを抜いている

 そんな中で問題は仕事がなくなり、レントが払えない人が続出。レントを一時停止する法案に投票を促されたり、ナイトワーカーやフリーランスの人にアンケートを取ってどれくらいの被害が出ているかモニターしたりウィリアムスバーグの家主は、4月のレントを免除するなど、色んな動きが出ている。
 みんなに会えないので電話したり、ビデオチャットで会話する時間が長くなった。うちらバンドも3日に一度ほど、ビデオチャットで現状報告をしている。夜も家にいることがほとんどなので、インスタライヴやライヴストリームでエンターテインしたり、プレイリストを作るミュージシャンがたくさん出てきた。

 アメリカン・ユートピアの再公演も決まった(9月より)、ディヴィッド・バーンは、彼のウエブサイトに、nothing is normal anymore (普通なものはなにもない)と、エッセイを寄稿している。「世界が変わるなら我々も変わろう」、ということである。

 どちらにしても、この状況はまだまだ続くと言われている(5月末?、夏まで?)、またNYの40~80%の人が感染すると言われている。つまりNYに居たらほとんどが感染するということだ。事態は深刻だが、昨日セントラルパークに行ったら意外にもたくさんの人がジョギングしていたり、歩いたり、日光浴をしていた。ずっと家に居て食べてばかりだと身体が鈍るのもわかる。が、今日4/1にNYの遊び場は閉鎖されることになった。公園は開いてるとのことだが、閉鎖されるのも時間の問題か。
 グローサリーショッピングに行っても入れる人数が決まってるので、30分~1時間ほど待ってようやく入れる。ソーシャル・ディスタンスを取らなければいけないので(6フィート=2m弱)、列がとても長くなる。流通は動いているので、一時無くなったストックもいまは再ストックされている。

 この状況になって半月が経ったが、私はほとんどNYに居ず、違う州にいた。自然と戯れているとこの状況を忘れることもできたが、話題はこれからどうしようか。これを書いているいま現在はNYに一時帰って来ているが、数日前から他州がNYの人を受け入れなくなった。NYナンバーの車はチェックされ、ホテルなどに2週間監禁されるらしい。NYでこれから過ごさなくてはならないのだが、この状況で後何ヶ月持つだろうか。収入は途絶え、やることもなく、不安で一杯なのだがいちおう失業保険があり、(先日の連邦議会上院によれば)タックスを払っている人に$1200支給され、さらに1099(フリーランサー)の人は週に$600が加算されるとか。となると、私が普通に働いているより収入が多くなるのだが(笑)。

 4月にピークが来ると言われている。いまより悪くなるのかと心細いが、私は大阪で阪神大震災、NYで9.11と大停電を経験している。家を追い出されそうにもなっているし(5回裁判所に行った)、貴重品をすべて持って行かれたこともあり、ちょっとやそっとでは驚かなくなっている。とは言っても、この状況は初めて。NYにこんなに人が居なくて、人が手袋、マスクをしている風景などは見たことがない。歴史的な状況にニューヨーカーがどのように立ち向かうのか、そしてNYなら何か奇跡が起こるのではと、思っている。


ラウンドでエクササイズする人

フードカートは閉鎖され、ほったらかしメッツミュージアム前も誰も居ない

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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