ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Keiji Haino 灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第2回
  2. Beyoncé - Cowboy Carter | ビヨンセ
  3. Columns ♯5:いまブルース・スプリングスティーンを聴く
  4. 壊れかけのテープレコーダーズ - 楽園から遠く離れて | HALF-BROKEN TAPERECORDS
  5. interview with Keiji Haino 灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第1回  | 「エレクトリック・ピュアランドと水谷孝」そして「ダムハウス」について
  6. interview with Martin Terefe (London Brew) 『ビッチェズ・ブリュー』50周年を祝福するセッション | シャバカ・ハッチングス、ヌバイア・ガルシアら12名による白熱の再解釈
  7. Brian Eno, Holger Czukay & J. Peter Schwalm ──ブライアン・イーノ、ホルガー・シューカイ、J・ペーター・シュヴァルムによるコラボ音源がCD化
  8. tofubeats ──ハウスに振り切ったEP「NOBODY」がリリース
  9. Jlin - Akoma | ジェイリン
  10. Beyoncé - Renaissance
  11. Bingo Fury - Bats Feet For A Widow | ビンゴ・フューリー
  12. まだ名前のない、日本のポスト・クラウド・ラップの現在地 -
  13. 『成功したオタク』 -
  14. Ben Frost - Scope Neglect | ベン・フロスト
  15. Mars89 ──自身のレーベル〈Nocturnal Technology〉を始動、最初のリリースはSeekersInternationalとのコラボ作
  16. HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS - きみはぼくの めの「前」にいるのか すぐ「隣」にいるのか
  17. interview with Mount Kimbie ロック・バンドになったマウント・キンビーが踏み出す新たな一歩
  18. みんなのきもち ――アンビエントに特化したデイタイム・レイヴ〈Sommer Edition Vol.3〉が年始に開催
  19. exclusive JEFF MILLS ✖︎ JUN TOGAWA 「スパイラルというものに僕は関心があるんです。地球が回っているように、太陽系も回っているし、銀河系も回っているし……」  | 対談:ジェフ・ミルズ × 戸川純「THE TRIP -Enter The Black Hole- 」
  20. 三田 格

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.121 : 政治的野心を含んだディヴィッド・バーンのミュージカル- American Utopia by David Byrne at Hudson Theatre (シアターディストリクト)

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.121 : 政治的野心を含んだディヴィッド・バーンのミュージカル

American Utopia by David Byrne at Hudson Theatre (シアターディストリクト)

沢井陽子 Dec 16,2019 UP

 ディヴィッド・バーンが2018年のアルバム『アメリカン・ユートピア』リリース後、大ホールでのツアーを終えて、新しい形/インティメイトなスタイルでハドソンシアターにやって来た。
 ハドソンシアターは1903年にプレイハウスとしてはじまったブロードウェイのイーストサイドにある劇場で、2017年にリニューアル・オープンをしている、1000人弱を収容できる大型ヴェニューだ。
 私は、ディヴィッド・バーンがセント・ヴィンセントとコラボレイトしてからより注目するようになった。昔はトーキング・ヘッズもよく聞いたし、彼がやっている政治的なWEBサイトreasons to be cheerful(http://davidbyrne.com/explore/reasons-to-be-cheerful/about)(https://reasonstobecheerful.world)にも共感できるところがあるし、彼のイベントにもよく行った。そうえいば、数年前のセント・ヴィンセントのプロスペクトパークのショーに、ディヴィッド・バーンは彼のトレードマークである自転車で乗り付けていた。

 彼の新しい挑戦が、シアター・ヴァージョンの『アメリカン・ユートピア』だ。ディヴィッド・バーンとその仲間たち、12人のミュージシャンがシャンデリアカーテンのステージを使い、人間にできる究極のミュージカル・エンターテイメントを突き詰めるというもの。ステージにはワイヤーがなにもないので、ミュージシャンは自由にステージを動き回る。バーンはグレイのスーツに裸足、頭にはヘッドセットマイクをつけていた。そして一人きりでテーブルに座ると、人間の脳みそを持って歌いはじめる。
 すると同じスーツを着たダンサー、ミュージシャンたちが登場し、曲ごとにすべて違ったアプローチで演奏する。ときにはサークルにマーチ、ときには真っ暗のなあスポットライトのみの演出。
 バーンは曲間にオーディエンスに語りかける。政治的な内容も多かったが、このステージにおいて結局何が重要かなど人間についても語っていた。この公演でバーンは投票にいくことを呼びかけいたが、その場でレジスターもできる。

 曲ごとに演奏する楽器もライトアップも違い、ミュージシャンたちの演奏力や演技力のほか歌唱力も重要で、究極なところでは楽器を持たずアカペラだけで歌う場面もあった。ソプラノからアルト、テナーまでが交わり、さながら美しい天使の歌声が響く。『アメリカン・ユートピア』は優れたミュージカルでありながら、社会について考える貴重な空間である。

 この日は、ディヴィッド・バーンのソロ曲、トーキング・ヘッズの曲、ジャネール・モネイの曲などを含む21曲+アンコールが演奏された。10月からはじまったシアター・ヴァージョンの『アメリカン・ユートピア』だが、好評によって公演日は来年の2月までと引き延ばされている。

RELATED

David Byrne- American Utopia Nonesuch/ワーナーミュージック・ジャパン

Reviews Amazon

David Byrne & St.Vincent- Love This Giant 4AD/ホステス

Reviews Amazon iTunes

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS