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Random Access N.Y.

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vol.121 : 政治的野心を含んだディヴィッド・バーンのミュージカル

American Utopia by David Byrne at Hudson Theatre (シアターディストリクト)

沢井陽子 Dec 16,2019 UP

 ディヴィッド・バーンが2018年のアルバム『アメリカン・ユートピア』リリース後、大ホールでのツアーを終えて、新しい形/インティメイトなスタイルでハドソンシアターにやって来た。
 ハドソンシアターは1903年にプレイハウスとしてはじまったブロードウェイのイーストサイドにある劇場で、2017年にリニューアル・オープンをしている、1000人弱を収容できる大型ヴェニューだ。
 私は、ディヴィッド・バーンがセント・ヴィンセントとコラボレイトしてからより注目するようになった。昔はトーキング・ヘッズもよく聞いたし、彼がやっている政治的なWEBサイトreasons to be cheerful(http://davidbyrne.com/explore/reasons-to-be-cheerful/about)(https://reasonstobecheerful.world)にも共感できるところがあるし、彼のイベントにもよく行った。そうえいば、数年前のセント・ヴィンセントのプロスペクトパークのショーに、ディヴィッド・バーンは彼のトレードマークである自転車で乗り付けていた。

 彼の新しい挑戦が、シアター・ヴァージョンの『アメリカン・ユートピア』だ。ディヴィッド・バーンとその仲間たち、12人のミュージシャンがシャンデリアカーテンのステージを使い、人間にできる究極のミュージカル・エンターテイメントを突き詰めるというもの。ステージにはワイヤーがなにもないので、ミュージシャンは自由にステージを動き回る。バーンはグレイのスーツに裸足、頭にはヘッドセットマイクをつけていた。そして一人きりでテーブルに座ると、人間の脳みそを持って歌いはじめる。
 すると同じスーツを着たダンサー、ミュージシャンたちが登場し、曲ごとにすべて違ったアプローチで演奏する。ときにはサークルにマーチ、ときには真っ暗のなあスポットライトのみの演出。
 バーンは曲間にオーディエンスに語りかける。政治的な内容も多かったが、このステージにおいて結局何が重要かなど人間についても語っていた。この公演でバーンは投票にいくことを呼びかけいたが、その場でレジスターもできる。

 曲ごとに演奏する楽器もライトアップも違い、ミュージシャンたちの演奏力や演技力のほか歌唱力も重要で、究極なところでは楽器を持たずアカペラだけで歌う場面もあった。ソプラノからアルト、テナーまでが交わり、さながら美しい天使の歌声が響く。『アメリカン・ユートピア』は優れたミュージカルでありながら、社会について考える貴重な空間である。

 この日は、ディヴィッド・バーンのソロ曲、トーキング・ヘッズの曲、ジャネール・モネイの曲などを含む21曲+アンコールが演奏された。10月からはじまったシアター・ヴァージョンの『アメリカン・ユートピア』だが、好評によって公演日は来年の2月までと引き延ばされている。

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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