「OTO」と一致するもの

vol.49:ミネアポリスの思い出 - ele-king

 先週土曜日は、ミネアポリスのバンド、バースディ・スーツのライヴをローアー・イースト・サイドのピアノスに見に行った。
 https://www.facebook.com/birthdaysuits
 https://birthdaysuitsshows.tumblr.com
 https://www.pianosnyc.com

 ミネアポリスは、プリンスやリプレイスメンツなどのバンドを生み出した音楽の盛んなクリーンな都市で、10000以上の湖があるとも言われる湖の都市である。日本の茨城市とはシスター・シティである。

 この土曜日、会場ピアノスは、ブリッジ・アンド・トンネル(ニュージャージやロングアイランドなど、マンハッタンにブリッジやトンネルを使って来る人を指すスラング)が集うことで有名な場所。ヒップ・スターのいない人の群れを抜け、奥の会場へ。バースディ・スーツの前はエレクトロなバンドがプレイし、お客さんもそこそこ入っている。バースディ・スーツとは、生まれたままの姿、裸の男の子などの意味があるらしいのだが、今日のバースディ・スーツは日本人男子2人組、ギターとドラム。著者とは、2年前にハード・ニップスとSXSWで共演して以来である。
 パンクでバズなギターのディストーションと、癖のないヴォーカルの夢心地と対象に、ドラムの野生的ドラミング(+蛍光ピンクテープ)のパフォーマンスは、他のバンドの観客をグイグイ惹きつけていた。イギリスで活躍しているボー・ニンゲンやエッジの効いたジャパンドロイズにイメージが被る。

 著者は10年前ぐらい前にミネアポリスに滞在し、毎日のようにライヴに通って、バンドと交流を深め、ミネアポリスのコンピレーション『10,000 レイク・ストーリー』をリリースするなど、ミネアポリスは、思い入れのある都市である。会場では、懐かしい人に再会した。

 先手のミネアポリス・コンピレーションにも参加している、ハーマー・スーパースター。
 ハーマー・スーパースターことショーン・ティルマンは、セイントポール(ミネアポリスのツインシティ)出身で、バースディ・スーツとは地元友だち。現在はブルックリン在住で、ただいまツアー真っ最中だが、合間をぬって顔を出してくれた。彼は、ストロークスのジュリアン・カサブランカのレーベル、〈カルト・レコーズ〉から『Bye Bye 17』というアルバムを4月23日にリリースする。
 https://harmarsuperstar.com/
 https://www.cultrecords.com/

 もうひとり、田中ヒロくんは、ショーンと同じ頃にミネアポリスで出会って以来、10年ほど顔見知りで、最近はSXSWやLAで偶然遭遇していた。現在LA在住の彼は、全身一体ウエルカム! な、すばらしいキャラの持ち主で、カーシヴ、ロウレンス・アームス、マイナス・ザ・ベアなどのバンドとツアーをともにし、写真を撮って、最近〈アジアンマン・レコーズ〉から初の写真集『Dew Dew, Dew Its』を発売した。現在では、彼がまわるバンドのツアー会場と、東京のある美術館の売店で買えるそうだ。写真は自然な状態を、生々しく写している。そして、それらが人を警戒心を解き、瞬間を際立たせているが、そこは彼の才能。まったく素晴らしい。
 https://www.asianmanrecords.com/hiro/

 バースディ・スーツを見に行ったのだが、ミネアポリス繋がりで、バンドと人の新たな一面を発見できた。この後、みんなで飲みに行くのだが、誰ひとり最後まで帰らない。バースデー・スーツはこの後も休みなしでイースト・コースト~ミッド・ウエストと4月中旬まで旅を続ける。

Vol.7 『Dishonored』 - ele-king

 

 突然ですがみなさん、いま〈Looking Glass Studios〉が熱いです。と言っても何がなにやらわかりませんね。すみません、NaBaBaです。年度初めの今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 いきなりで失礼致しましたが、今回の連載は昨年から予告していた『Dishonored』のレヴューをついに行いたいと思います。〈Arkane Studios〉が開発したこのオリジナル新作は昨年遊んだ作品のなかでもとくに素晴らしいもので、ぜひ書こうと思いつつ延びに延びてこの時期になってしまいました。

 しかしいまこの時期となると、ゲーマーの間でいちばんの注目の的となっているのはやはり26日に発売された(国内では4月25日)『BioShock: Infinite』ではないでしょうか。現代のゲーム業界きっての名手、Ken Levine率いる〈Irrational Games〉が開発した同作の評判はすさまじいもので、海外ゲーム・レヴュー・サイト各所でも満点の続出で、「IGN」では「全てのジャンルを前に推し進める革新的な作品」と、異例の絶賛ぶりが披露されています。

 かくいう自分にとっても今年の一、二を争う期待作なのですが、じつはこの『BioShock: Infinite』と『Dishonored』はある種の兄弟関係にあることはご存知でしょうか。これら2作のそれぞれの開発スタジオは、どちらもあるひとつのスタジオから分離した会社なのです。

 その大元でいまや伝説となっているのが、冒頭で述べた〈Looking Glass Studios〉(以下LGS)。90年代に大活躍したこの技巧派のスタジオは、『Thief』や『System Shock 2』等のゲーム史に残る名作を数多く生み出し、後続に多大な影響を与えるとともに、多くの名クリエイターを輩出しました。

 たとえば連載第3回にご紹介した、『Deus Ex』を手掛けたWarren Spectorもそのひとりで、『Deus Ex』自体は〈Ion Storm〉という別スタジオが主導の作品ですが、『System Shock 2』のスタッフも多く出入りして開発されていたようで、〈LGS〉とは非常に深い関係にあったと言えるでしょう。

 しかしながら〈LGS〉は2000年に倒産しています。ではすでになきスタジオが何故いま熱いのか。それは〈LGS〉の遺伝子を受け継いだ人々が、近年各所で目覚ましい活躍を見せているからです。

 その先駆けとなったのが一昨年発売された『Deus Ex: Human Revolution』。開発した〈Eidos Montreal〉は〈LGS〉や初代『Deus Ex』の開発陣とは直接的な繋がりはありませんが、本作で確かな完成度を発揮し、シリーズのリブートを成功させました。

 また今年に入ってからは『BioShock』シリーズの前進である『System Shock 2』が、長きにわたる権利関係のゴタゴタによる販売凍結状態を乗り越え、遂に〈GOG.com〉で再販を果たし、さらに〈Eidos Montreal〉が今度は〈LGS〉のもうひとつの名作、『Thief』シリーズの9年ぶりの最新作を発表しています。

『System Shock 2』はKen Levineの実質デビュー作であり、後の〈LGS〉系作品の独特の自由度はこの作品で確立された。

 そしてもちろん忘れてはならないのが大本命の『BioShock: Infinite』と、今回主役の『Dishonored』です。〈Irrational Games〉と〈Arkane Studios〉はともに〈LGS〉から独立・派生したスタジオであり、比較的近い時期に両スタジオの作品が出揃ったのは、90年代来の洋ゲー・オタク的にはぐっと来るものがあるのです。熱い、これは熱いのですよ。

 こうした背景もあるので、当初は〈LGS〉を振り返りつつ、『Dishonored』と『BioShock: Infinite』の両方を同時にレヴューしようかとも思いましたが、ちょっと長くなりすぎるような気がしたのと、これを執筆している時点で『BioShock: Infinite』を遊ぶまでまだ少しかかりそうだったので、2回に分けて書いていきたいと思います。そういうわけで今回は『Dishonored』のレヴューです。

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■業界の異端児スタジオに多くの才能が集結した

 『Dishonored』はいまどきでは珍しい一人称視点のスニーク(隠密)アクション。女王殺害の冤罪を着せられた主人公が、自らを陥れた相手に復讐していくストーリーで、潜入からターゲットの暗殺に至るまでのアプローチの多彩さや、豊富なガジェットや特殊能力による自由度の高さが売りの作品です。

 開発した〈Arkane Studios〉は前述した通り〈LGS〉倒産後独立したスタジオのひとつで、これまで『Arx Fatalis』や『Dark Messiah: Might and Magic』等、〈LGS〉の名作『Ultima Underworld』の名残を感じさせるファンタジー作品を手掛けてきました。といっても両作品とも当時の主流からは外れたゲーム・デザインで、良く言えばユニーク、悪く言えば奇ゲーという評価が多数の、いまひとつマイナー・スタジオの域を出られていなかったように思えます。

 
『Dark Messiah: Might and Magic』は近接戦に力を入れたファンタジー作品で、そのノウハウは『Dishonored』にも生きている。

 『Dishonored』も、見た目やシステムの奇妙さがこれまでの〈Arkane Studios〉節を彷彿させ、発売直前まで一抹の不安があったのは事実です。しかし遊んでみると同スタジオらしさは良い方向に作用しているとともに、表面上の奇抜さに反して実際のゲーム・デザインは、〈LGS〉作品の持ち味をとても忠実に継承していると感じました。

 これは今回新たにプロジェクトに加わったViktor AntonovとHarvey Smith両氏の力が大きいのでしょう。

 Viktor Antonovは連載第1回でご紹介した『Half-Life 2』で特徴的なアートを手掛けた人物で、今回は氏の持ち味がさらに全面的に発揮されていますね。時代掛かったイギリス風の街並みに無機質な金属の構築物が埋め込まれたかのようなデザインは大変ユニークで、それに説得力をもたらす世界観の構築も非常に緻密。これまでの同スタジオの作品はもちろん、他の同時代のゲームも軽く凌駕するオリジナリティがある。ことアートワークに限って言えば、ここ4、5年でもトップクラスと断言出来ます。

 
骨組み剥き出しの建造物の数々が、作品に得も言われぬ威圧感を与えている。

 一方、本作のディレクターのHarvey Smithは、かつては〈LGS〉に在籍し、また『Deus Ex』ではプロデューサーを務めた人物で、本作のゲーム・デザインも彼の経歴がとても色濃く反映されています。
 それこそ遊んだときの第一印象、とりわけ問題解決のための手段の多さはすごく『Deus Ex』らしさを感じたし、豊富な超能力を駆使するところは『System Shock 2』や『BioShock』も想起させます。そしてダークな世界観や観視点でのスニーキングに主眼をおいたゲーム・デザインは『Thief』に通ずるものがある。

 実際のところ本作のゲーム・デザインの骨組みは、宝を盗むのがターゲットを暗殺することに替わっている以外は『Thief』にとても似通っています。むしろそうした骨子に適合する範囲で他の〈LGS〉系列のゲームのシステムや、その他諸々現代のトレンドを組み合わせたのが『Dishonored』とも言い換えられるでしょう。

■二つの方角から掘り下げられた自由度

 具体的に見ていくと、まずゲームはステージ性で、各ステージはターゲットの拠点とその周辺地域が舞台となり、その範囲内でプレイヤーは自由に歩きまわれるデザインです。ステージはとても複雑かつ立体的に構成されていて、主要な建物は内装がしっかり作りこまれている凝り具合。当然ターゲットのもとにたどり着くまでには無数のルートが存在し、どのように進めるかはプレイヤー次第となっています。

 このあたりの自由度はいかにも『Thief』や『Deus Ex』的と言え、自分の頭で考えて進むべき道を決めていけるのは楽しいし、ルートごとにしっかり差別化されつつゲームに破綻が生じないのは見事。『Deus Ex』のレヴューでも触れましたが、ゲームの自由度という点において即興性が重視されるようになった現代に、レベル・デザインの作り込みで遊ばせてくれる作品は希少です。

 逆に『Thief』や『Deus Ex』と違っていまどきのゲームらしいのは、ルートの多彩さが予めプレイヤーに開示されていることが多い点でしょう。どういうことかというと、本作では後述する特殊能力を駆使して屋根や屋上等高所を移動ルートとする機会が多いのですが、その高所は先の状況を一望できる絶好のポイントにもなるわけです。高所なら敵に見つかる心配がないので、安心してじっくり戦略を練ることができるというメリットもある。

 また市民の立ち話や拾った書類等に、秘密の部屋だとか警備が手薄な場所だとかの情報があると、自動的にジャーナルのリストに追加されます。いちいち覚えていなくてもジャーナルを見ればどんな攻め方が有効か一目瞭然で、これもまた選択肢をプレイヤーに開示している例のひとつでしょう。

 こういう親切設計はじつにいまどきのゲームらしく、『Deus Ex』当時ではあり得ないものですが、自由度の高さを楽しんでもらうための誘導としてよく機能しているシステムだと思います。

 
屋根に登って下を見下ろし、先へ進む戦略を考える。これが本作の基本だ。

 対してもうひとつの特徴である豊富なガジェットや超能力もよくできています。とりわけ超能力は『Deus Ex』のAugや『BioShock』のPlasmidを原型にしていると感じられますが、その種類は短い距離を瞬間移動するものから時を止めるもの、なかには周囲の小動物や人間に乗り移るもの等々、一見すると変てこなものも多いです。

 しかし実際に使ってみるとどの能力も意外なくらい使い勝手が良くて、たとえば瞬間移動は屋根から屋根、道なき道を進んでいく手段としてゲーム中もっとも重宝する他、敵の目前を気づかれずにすり抜けるのにも使えます。乗り移る能力であればネズミや魚に乗り移れば排水溝を伝って建物内に潜入できるし、ターゲットに乗り移れば人目のないところまで誘導してから暗殺するということも可能。

 
動物に乗り移れば不審がられることなく衛兵の横を通過できる。しかし足元に寄りすぎると踏まれるので注意。

 このように各能力は応用性が高く、プレイヤーの想像力次第でステルスから戦闘までいろいろな使い道が考えられます。これはレベル・デザインとは違いより即興的な自由度とも言え、その場の思いつきをその場で実験したくなる魅力がありますね。とくに戦闘時にこれは顕著で、瞬時の判断が求められる状況で創意工夫して敵を倒し弄ぶ楽しさは、『BioShock』もかくやと言わんばかり。

 こうした即興性は『Thief』や『Deus Ex』に欠けていた要素であり、逆に『BioShock』は即興性優先で、レベル・デザインの濃さは大分減退していました。『Dishonored』の優れているところはその両方を持っていることであり、〈LGS〉の系譜のさまざまな要素をまとめ上げた、これまでの総決算的な作品であると評価することが出できます。

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■「何でもできる」は良いことばかりではない

 さて、〈LGS〉の系譜の現代的復刻という点で思い出すのが『Deus Ex: Human Revolution』ですが、この作品と『Dishonored』は当然似ている部分がありつつも、根幹の方向性はやや異なっています。

 最大の違いは自由度の範囲で、『Deus Ex: Human Revolution』はオリジナルに比べ敵との戦闘に大きくフォーカスしていて、反面複雑・立体的なレベル・デザインは減退し、より直線的なゲーム進行になっていました。言ってしまえば普通のアクション・シューティングに近くなっていたと言えます。

 
『Deus Ex: Human Revolution』の戦闘重視のデザインは、これはこれでまた評価がわかれるところではある。

 対する『Dishonored』は自由度をかぎりなく拡張していく姿勢で作られており、その点をもって僕はこの作品は楽しめたわけですが、しかしこれは人によって評価が分かれるところだろうとも思うのです。

 本作はスニーク・アクションというジャンルではありますが、コソコソ隠れるだけでなく敵とガチンコで戦うことも可能で、なおかつその振れ幅も大きく、ひとりの敵にも見つからずにクリアすることができれば、正面玄関から殴りこんでの皆殺しも可能になっています。この手のゲームにしては主人公がかなり強いということもあり、本作のスニークというのは生存戦略上の必然というよりも、プレイヤーの好み次第という面が強いのです。

 しかし本作に限らずステルスも皆殺しも自由自在みたいなゲーム性は今世代のゲームではとてもよく聞く謳い文句のひとつなのですが、プレイ・スタイルをプレイヤーの好みに委ねている分、効率だけを追求されたら途端に味気ない遊びになる恐れや、どんなプレイ・スタイルでも遊べるということは、逆に何をやっても何とかなるという意味でもあり、全体的に緊張感が欠けてしまうという問題点が付きまとっています。

 本作もこの点を完全には払拭できていないのが残念なところで、無傷で手軽に進みたければ、屋上からペシペシ撃っていればそれでOKみたいな、身の蓋もない事態になる危険性は否定できません。自由度を高くしたがゆえの、楽勝な進め方が存在してしまっています。

 
ただ倒したいだけだったらピストルを何発も撃ちこめばいい。これもまた自由ではあるが味気ない。

 ただプレイヤー側が遊び方に明確な目的意識を持てば、それに見合った楽しさが返ってくるところに救いはある。敵にいちども見つからずに進めようと思ったらやはり相応の手応えは生じてくるし、なるべく多くの武器を使いこなして敵を殲滅してみようとすれば、こちらの戦術に柔軟に対応してくる敵の反応を見ることができるはずです。

 そういう意味では人を選ぶゲームであることには違いなく、おもしろさのポテンシャルは高いんですが、楽しみ方をわかってないとそれを十分に味わえない恐れがある。それに比べると『Deus Ex: Human Revolution』は、自由度が減退した分、遊び方は明快になっていて、どんな遊び方でも比較的一定のおもしろさや手応えが保障される面があるのは確か。

 だからと言ってどっちの方が優れているという話ではありませんが、少なくとも『Dishonored』を遊ぶ際は上記の点は予め留意しておいた方が、より楽しめるかと思います。

■まとめ

前述した〈LGS〉の系譜の総決算という言葉がふさわしい作品で、自由度の高さは近年では屈指のもの。〈LGS〉ファンはもちろん、自由度の高いゲームが好きな人や、ユニークな世界観が好きな人にピッタリの作品です。

逆にそれらが好きでない人には合わないゲームでもあり、また自由度が高いとは言え純粋なアクションやスニークと同等の面白さや緊張感を求めても期待外れになるでしょう。あくまでも自由度の高さを楽しみ、味わう作品だと思います。

THE OTOGIBANASHI'S - ele-king

 bim、in-d、PalBedStockの3人からなるTHE OTOGIBANASHI'S(以下、OTG)は、昨年YouTubeで発表した"Pool"で一気に好事家たちの話題をかっさらった。"Pool"はあらべぇという気鋭の若手プロデューサーが制作したナンバーで、BUNの『Adieu a X』に影響を受けたと語るその言葉通り、非常にエディット感/クリック感の強いトラックの上で3人が浮遊感というより、フワフワとしたラップを繰り広げるナンバーだった。しかしOTGがユニークだったのは、そのビデオクリップをただのPVとして仕上げるのではなく、自分たちのカルチャーをゲットー・ハリウッドイズムあふれるスタイルでぶち込んだことだろう。フォスター・ザ・ピープルにデヴィッド・ボウイ、SUPREME×Comme des Garcons SHIRTのキャップ、ピスト、スケートボード、代官山、カフェ......。ストリートのしがらみa.k.a.縦社会から完全に自由なOTGのスマートさ、というかボンボン感。それはついにRIP SLYMEの後継者が現れたことを感じさせた。

 今回リリースされるアルバム『TOY BOX』はPUNPEEの登場以降、徐々に声を上げはじめた文科系B-BOYというサイレント・マジョリティたちにとってはたまらない一枚と言えるだろう。内容は彼らが"Pool"のPVで見せた東京の(怖くないほうの)ストリート・カルチャーのごった煮感と、ディズニーのような寓話をミックスしたようなコンセプト・アルバムの体がとられている。リリックでも"Frozen Beer"では「NBの997でも履いてろ」、"kutibue"では「泥がオールデンに付いた / 味が出ると俺は許す」、"Fountain Mountain"では「映画館で観た映画が / 今の俺を作ってるとしたら / このTシャツもスナップバックもあいつの影響なのかな」などなど、露骨なまでに自分たちの嗜好を詳らかにしている。

 OTGはシングルやEPですら1枚もリリースしてないのに雑誌「POPEYE」や「WARP」などに登場しており、すでにファッション方面からも熱視線を注がれている。このあたりも、どんなに捻くれた作品をリリースしても、やたらとメジャー感だけは醸し出るRIP SLYMEに似ていると言えなくもない。前述の"Fountain Mountain"のトラックなどは明らかに"楽園ベイベー"へのオマージュを感じさせるし、OTGもRIP SLYMEのようにヒップホップセレブ化していってほしいものである。

 先週土曜は、ブシュウィックの会場シェ・スタジア(liveatsheastadium.com)で、インディ・ロックDIYのショーケースを見た。エド・シュレイダーを見に行ったのだが、結果見たすべてのバンドが面白かったのでひとつずつレポートします。日本のレコード店で見つけたらチェックしてみて!

■フリー・ブラッド:freeblood.bandcamp.com

 !!!のメンバーでもあったジョンがはじめたバンドで、昔、著者が働いていたカフェにメンバー、ふたりでよく来ていたので、ライヴを見にいっていたのだが、最近はご無沙汰していた。メンバーが、ふたりから4人になり、黒髪の女性から、金髪で赤い口紅、レザージャケットのLAっぽい女の子に変わっていた。サウンドは前と大きな変わりはなく、男女ツイン・ヴォーカルにギターとビートが乗ったエクスペリメンタル・ポップ・ソウル。ジョンはドラムを叩きながら歌い(片手にマイク、片手にスティック)、たまに鐘も鳴らす。前の女子メンバーが、お酒をステージに持ってきたりしていたので、関係は良好であるらしい。
 ショーの後に話したら、バンドは10年ぐらいやってるとか、日本ツアーも経験済み。

■ジャマイカン・クイーンズhttps://jamaicanqueens.com/

 今日の大発見! 男の子3ピースで、インディ・ポップと呼ぶには新しいので、サザン・ラップを取り入れたトラップ・ポップと呼んでみる。スタイルは、ウエィブスに近いかな?
 メンバーは、メインの男の子が、ギター、シンセを弾き、歌を歌い、ベースガイは、弾きながら、スティックを持ってエレキドラムを叩いたり、シンセを操作したり、ふたりともマルチ・プレイヤー。
 中盤で、メガネ、三つ編み、金髪、赤ニット、タイト黒パンツの可愛い女子が、1曲ゲストヴォーカルで登場する。ふわふわした高い声が裏返るところが、少しグライムスを思い起こさせる。2012年に結成されて、すでに全米ツアーも敢行する、2013年注目バンド。『Lマガジン』でも、このバンドを、なぜもっとみんなが注目しないのかと熱い思いが書かれている。
 
https://www.thelmagazine.com/...

■エド・シュレイダーズ・ミュージック・ビート:https://edschradersmusicbeat.blogspot.com

 何年か前にp.s1(クイーンズにある現代美術館)で彼らのプレイを偶然見て以来、もう1回見たいと思っていた。M.I.Aか本の展覧会を見に行って、帰ろうと、館内から外に出るときに、階段の踊り場でセットアップしていたのが彼らだった。ライトニングボルトに、ポップ・ソングを乗せた(+叫び系)と言ったらわかりやすいかな。

 2ピースで、ベースとフロア・タムそして歌、というシンプルなセット。ヴォーカル(エド)はフロア・タムを叩きながら、ライトのスイッチ(タムのなかから照らしている)を足でオン・オフしたり、Tシャツでタムを覆って音を調節したり(タムに直接ペンで演目が書いてある)、自分の家の鍵の束をタムに載せてジャラジャラ音を出しながらそのまま叩いたりの新世代感覚。普通、家の鍵をドラムに載せて音を出そうなんて発想は古典的なバンドには起こらないだろう。
 上半身裸で、タムにライトをチカチカさせ(下から照らすのでゴースト見たいに見える)、あまりに近くで見るので(ステージでなくフロア)、例えば、'I can't stop eating sugar'を言い続けているだけの歌なのに、訴えかけ方がハンパなく、がんがん心動かされる。
 すべての歌が短く、いきなり終わるし、後奏がないし、アカペラがあるし、ところどころで今日のバンドや会場、お客さんに感謝の念を忘れないし、とっちらかっているパワフルさがこのバンドの魅力。

 会場の都合で、共演バンドがバラバラなことが多く、目当てのバンドが終わるとさっさと帰ってしまうことも多いなか、今回は、最初から最後までいたお客さんが多かったように思う。共演バンドが、お互いを尊敬し合い、今日を「いままででいちばんのショー」、と思ってプレイするバンドの姿勢と気合が見えた。
 仲が良いので、一緒にツアーしているのかと思ったが、実際はバラバラで、フリー・ブラッドはプロヴィデンス、ジャマイカン・クイーンズはフィラデルフィア、エド・シュライダーは、フィラデルフィア(ジャマイカン・クイーンズとは違うショー)から別々に来たらしい。
 こんな貴重な瞬間に立ち会え、こんなバンドたちがいる限り、ショーに行くのはやめられない。オーガナイズをしたシェ・スタジアムに感謝しつつ、来週は誰が来るか、チェックしたら、ミネアポリスからハーマー・スーパースターの友だちの日本人男の子ふたり組が来るみたい。

interview with RITTO - ele-king

 沖縄に移り住んで2年になる。本島を南北に貫く主幹道路、国道58号線。観光地をつなぐ格好のドライヴルートは「わ」ナンバーで渋滞し、米軍占領時に整備された元軍道は、那覇軍港や普天間飛行場、嘉手納基地を結び、軍用車両と「Y」ナンバーが行き交う。沖縄県の面積の約10パーセントを占める米軍関連施設。道沿いに延々と続く米軍基地フェンス。柵に取り囲まれたかのような町並みや、その上空ぎりぎりを爆音で飛び去る軍用機に、いまだ慣れないでいる。
 たしかに沖縄は「リゾート」だ。カラッと晴れた日は本当に気持ちがいいし、その心地よさを楽しむ余裕だってある。でも、それだけじゃない。普天間基地移設問題が全国的に報じられるようになって以降は、どんなに沖縄に疎い人でも知るところだろう。
 かつての琉球王国はいま、日本という島国のなかの島でありながら、すぐ近くに米国があり、お隣中国からにらまれている。戦争と侵略......、多難の道を歩み続けてきた。過去を背負い続ける人の悲しみを、移住して初めて、肌で感じている。"すべての武器を楽器に"沖縄県の音楽家、喜名昌吉の歌詞だ。プリントされたステッカーが、県内のレコ屋や服屋に並べられていた。そして、地元の人はきっとこう言う。「沖縄に来て良かったね。最高でしょう?」と。ここには、決して絶望で終わらせない、底抜けのタフネスがあるように思えてならない。

 沖縄のラップ・シーンが盛り上がっている。牽引するのが、リット(RITTO)。石垣生まれ、那覇育ち、生粋の琉球人MCだ。2月に、ファースト・アルバムとなる『AKEBONO』を赤土レックよりリリース。発売からおよそ2週間で、初回プレス分が完売した。昨年のUMBで沖縄代表に選ばれ、3回戦で優勝者・R指定と対戦、惜しくも敗れたが、同大会のベスト・バトルとも称された。そんな経緯もあって、コアなヒップホップ・リスナーからは、すでに一目置かれていた。

ゆるさの中にあふれる闘志 具志堅用高 カンムリワシ 
適当なようで適当じゃない 目を見りゃわかる いかれたヴァイヴ
"ボツ空身"


RITTO
AKEBONO

AKAZUCHI REC.

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 バトルあがりのすきのない緊張感、研ぎ澄まされたリリシズムに、『イルマティック』の頃のナズを思わせると言った人がいた。矢継ぎ早に繰り出される言葉、強いパンチラインに、ウータン・クランのゴーストフェイス・キラーを思わせると言った人がいた。その一方で、レイドバックした中にある凄み、自由度の高いフロウと間に、MFドゥームを重ねる人もいた。あ、「南のボス・ザ・MC」と評する人もいたな。本人は恐縮していたけれど。ストイシズムを貫いてはいるが、安易にダークネスには陥らない。「極東」の「南」の情熱とソウルを注入する。「今日はほんとにいい天気っすね。気持ちいいな」チルした普段の姿は、とても穏やかだ。「ちゃす!」ライヴの合間にみせる別の顔は、ユーモラスで、お茶目でさえある。

 「お前の目、何でそんなにピュアなんだよ」MSCのMC漢が言ったそうだ。「俺らは毎日、東京で戦ってるのに......」。沖縄の人と音楽に魅せられ、ここを何度も尋ね、滞在するMCがいることを知っている。あるMCは「自分は沖縄に住むべきだ」とさえ言っていた。ビッグ・ジョーは今年、沖縄でのレギュラーイヴェントをスタートさせた。ここはいま、本当にアツい。まさに、沖縄で言うところの「ヤッケー」だ。まだ知らない人は是非、リアルな沖縄を体感してほしい。リットと、赤土レックの代表・トオルに話を訊いた。 

参加者:リット(赤土レック)、トオル(赤土レック)、DJカミカズ(クロックワイズ・レコーディングス)

リット:本土の人は、沖縄をリゾートだと思ってるから。
トオル:俺たちは真逆だもんね。
リット:そこに疑問を感じないかな? 沖縄の問題っていろいろあるじゃないですか。本土には、「沖縄は国からお金をいっぱいもらってるんだから」っていう考えもあると思うんですよ。

ラップをはじめた経緯は?

リット:「ヒップホップは、簡単にやったら殺される」って思ったんすよ。それはよく覚えてる。

なぜですか?

リット:わからん。インスピレーション受けましたね。これは危ない音楽だって。人も死ぬし。冷静に見てました。格好もすぐには入れなかったですね。歴史とか、色々勉強しました。それから、じょじょに入っていった感じですね。

きっかけは何だったんですか?

リット:高校時代に、カルチャーとして、自然と入ってくる感じでした。

高校はどちらだったんですか?

リット:宜野湾高校ですね。

トオル:俺らサッカーしてたんですよ。サッカーが強くて、誰でも入れるバカな学校でした(笑)。クラスの半分以上が他の高校を一次で落ちて、二次で受かって来たみたいな奴らで、不良が多かったですね(笑)。

 沖縄県宜野湾市は、沖縄本島の中南部に位置する地域。普天間飛行場やキャンプ瑞慶覧があり、基地の街でもある。

最初は、どんなヒップホップを聴いていたんですか?

リット:一番初めに聴いたのは、小学校の頃でしたね。アメリカに行く機会があって、そこで会った白人がクーリオを歌ってたんですよ。「何だろう?」ってずっと気になってて。日本に帰ってきて、じょじょに聴くようになりましたね。

何でアメリカに行ったんですか?

リット:家族旅行ですね。1ヶ月くらい行ってたんですけど。

そこからなんですね。

リット:MTVで、何気に聴いてはいましたね。

トオル:リットのお母さんがイケてるんですよ。

リット:「あんた、ラップしなさい!」みたいな。オカー(お母さん)が先に言いましたね。リットって本名なんですけど、ギタリストのリー・リトナーから来てるんですよ。おやじが元々ギター弾きで。クレイジーなんですけど(笑)、音楽のエンジニアやったり、現場に入ったりしてて。もう長いこと一緒には生活してないんですけど、影響は大きいですね。ロックは日頃から聴いてました。音楽はずっと生活の中にありましたね。

ご両親ともに石垣出身なんですか?

リット:そうですね。俺も石垣で生まれて、小学2年の頃に(沖縄本島に)移住して。

ご兄弟は?

リット:すげぇ姉ちゃんがいる。パンチがものすごい(笑)。姉ちゃんは流行りの音楽聴いてたよな。

トオル:リットのネエネエ(お姉さん)がリットに流行りの音楽を教えて、リットが同級生に教えて。

リット:モンパチ(MONGOL800)とか、インディーズが流行ってたな。

トオル:俺ら中学生の時、ちょうどピークで。

リット:中学までは、がっつりバンドだったな。ラップもちょくちょくやってましたよ。でも、「ああなりたい」みたいな人がいなかったですね。特に思い入れはなかった。

音源はどうやって手に入れてたんですか?

トオル:洋服屋ですね。DJが作ってるミックスCDとか。あとはクラブで。まだ高校生がクラブに入れる時代だったんで、高2くらいから行き始めて。

リット:毎週行ってたな。

那覇ですか?

トオル:沖縄市のコザが多かったっすね。もう今はそのクラブはないんですけど。

 沖縄県沖縄市に属し、通称「コザ」と呼ばれる地域。嘉手納基地に隣接している。かつては、米兵相手のサービスを提供する施設が立ち並ぶ歓楽街だった。今も当時の面影を色濃く残し、米兵が多く遊ぶエリアだ。

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フリースタイルを一緒にやってて、「何が?」って聞いたら、「ニガー」って聞こえたみたいで。あいつら、めっちゃデカいけど、俺らも、全然引く気がないから(笑)。バカだったな? 「なにー(怒)」みたいな感じでやってましたね。で、その後、友だちになって。

米軍基地で働く外国人もたくさん出入りしてたんですか?

リット:そうそう。

トオル:那覇のクラブも多かったですね。ギャングの兄ちゃんたちがいて、怖かったです。恐る恐る行ったっすね。

リット:体がデカかったよな。服もダボダボだろ。

地元でヒップホップをやっている人はいたんですか?

リット:DJターシーさんとか、DJの影響を受けて育ったっすね。MCだったら、ページ・ワン。

かかる音楽はヒップホップ?

リット:ばっかりですね。外国人も多かったし。

トオル:四つ打ちとか、聴いたことなかったよな? 

リット:イヴェントでマイク取りに行ったりもしました。県外のアーティストが来たら、フリースタイルしかけて、怒られて(笑)。やんちゃしてました。

洗礼受けました?

リット:かなり受けました。当時、俺らが一番年下だったから。今の奴らは、みんな礼儀正しくやるんですけど、あの時の俺らはもう「絶対、負けん」みたいな。

MCバトル系の大会は?

リット:初めて見たのは、米軍基地の外国人と沖縄のMCのローカルなバトル。外国人のバトルを生で見れて、面白かったですね。

DJカミカズ:サイファーとかも?

リット:ガンガンやってましたね。外国人の若い奴らが、ストリートでやってましたね。米軍基地の外国人のMCクルーがバトルで「レペゼン沖縄」って言っちゃったんですよ。そしたら、相当ブーイングくらって。「何で、こいつが"沖縄"って言ったら、ディスられるんだろ」って思ったのを覚えてますね。

トオル:危なかったな。

リット:外国人が多い分、沖縄は流行りの音楽が入ってくるのが早かったって聞いたこともありますね。

音楽的な土壌には恵まれてたとも言えるんですかね?

リット:10代の頃は、本土(本州)に行ったことがないから分からないですけど、先輩の話を聞くと、そうだったみたいで。知らない曲は、知り合いの外国人に聞くと教えてくれるし。

外国人とのトラブルはなかったんですか?

リット:フリースタイルを一緒にやってて、「何が?」って聞いたら、「ニガー」って聞こえたみたいで。あいつら、めっちゃデカいけど、俺らも、全然引く気がないから(笑)。バカだったな? 「なにー(怒)」みたいな感じでやってましたね。で、その後、友だちになって。

外国人MCとのバトルは日本語なんですか?

リット:そうですね。

トオル:ベース(基地)の人たちは、またすぐどこかに行っちゃうから、わざわざ日本語を覚えようとしないじゃないですか? かといって、俺らも英語を覚えるわけでもない。

リット:だから、身振り手振りで。

去年のUMBはどうでした?

リット:ベスト8だったんですけど、ひとりだけ超リラックスしてましたね。アルバムのことばっかり考えてて、バトル・モードになってなかったんですよ。

トオル:2006年のUMBにリットが沖縄代表で出場した時、初めてリットを知った人がいると思うんですよ。その後ずっと作品を出さないでいたから、周りはみんなまだバトルMCだって思ってたと思うんです。でも、リットの中では、バトルはもうだいぶ前から一線ひいてるところがあって。ただ、去年は沖縄予選の会場が〈ラヴ・ボール〉(トオルが運営する那覇のクラブ)だったんで、「だったら、俺らがとりにいこう!」って。で、出場したら、優勝して、全国大会行ったんですけど。

リット:全然ダメでした。でも、勝負事は好きなんで。1回戦の相手は山口代表の奴で、アツいんですよ。ヴァイヴスがヤバいって聞いてたから、俺もヴァイヴスで返して。楽しかったですね。2回戦の相手は長野代表の奴で、ソウルフルな人だったんですけど、だったら俺も絶対負けんし。3回戦の相手が大阪代表のR指定で、優勝した奴なんですけど。大阪はフリースタイルが上手な人が多いし、上手いし、実力もあって、俺より優れてるのはわかってるけど、負けるわけにはいかないんで。前は、沖縄代表っていうとオプション的な存在っていう感じだったんですけど、本気モードでぶつかってきてくれて。

2006年のUMBは?

リット:もうお祭りですね(笑)。「あんなヘコんでたのに、何で(沖縄予選で)優勝したば?」って。家のトラブルで借金があって、それを返さないといけないっていう使命があったんですよ。「俺、どうすればいいんだろう?」って、ラップもなよなよしてて。外をふらふら歩いてたときに「バトルあるよ」って言われて。髪の処理も何もしてなかったんで、頭ボーボーなんですよ(笑)。で、全国大会で初めて2、3千人の前でラップしたんですよ。東京に行ったのも、その時が初めてで。みんなでピクニック行くような気分でしたね。しかも、1回戦勝ってしまったんですよ。2回戦は記憶ないっすね。映像も見てない。恥ずかし過ぎて。「シーサー」とか言ってた(笑)。

フリースタイルする時と、作品作るときは、やっぱり違うんですよね?

リット:いまのフリースタイルはスポーツみたいですよね。だから、俺らのスタイルではなくなってきてる。ずっとバトルMCでいっちゃうと、ラッパーとしての作品が目立たなくなってしまうというか。高校生の頃、地元の同級生でガンガン面白いフリースタイルをやってる奴らがいて、俺も一緒にマイクジャックしてましたね。すごく楽しかったです。ステージに立てなくて、むしゃくしゃしてた頃、発散してました。そういう流れでフリースタイルを始めましたね。バトルとはまた違うんですけど。いまは、フリースタイルで曲作るみたいな。この間のカミカズさんとのセッションもそうですけど、フィーリング・フリースタイルっていうか。家でもそういう遊びをしてますね。

外国人を含むバトルやフリースタイルの経験が、ある種、日本人離れした独特のヴァイヴスにつながってるんですかね?

リット:初めて言われましたね。

DJカミカズ:内に向かうような「北」の感じとも違いますよね? 

内省的な感じ?

DJカミカズ:ジメッとしてないというか。

トオル:真逆ですよね(笑)。

カラっとしてるし、外に開いてる感じの部分もあるという。ライヴなんかもそうですよね。

DJカミカズ:オープンなだけかというと、そういうわけでもない。

リット:あ、それ最近思ってた。ストイックになった方がいいのかなって。アルバムを出して、自分を見つめ直さないとって。考えることは考えるんですけど、寝て、起きて、動くと、結局、いつもの調子なんですよね(笑)。

トオル:アルバム出した後に、「俺、ストイックにならんでもいい?」って。むしろ、ならんでって(笑)。

リット:普通に生活してます(笑)。もちろん、いろいろ考えてはいるんですけどね。

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家のトラブルで借金があって、それを返さないといけないっていう使命があったんですよ。「俺、どうすればいいんだろう?」って、ラップもなよなよしてて。外をふらふら歩いてたときに「バトルあるよ」って言われて。髪の処理も何もしてなかったんで、頭ボーボーなんですよ(笑)。


RITTO
AKEBONO

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アルバムはどうやって作られたんですか?

リット:最初は、トラック集めでしたね。

トオル:俺らの環境にトラックメーカーがいなかったからな。ゼロに近い。

時間がかかった?

リット:かかったっすね。スティルイチミヤと仲が良くて、田我流に「アルバム出したい」って言ったら、ヤングGがすぐに作ってくれて。「疾走感のある曲にしよう」って"風音"ができて。それが『AKEBONO』のはじまりですね。

トオル:田我流との出会いがキーポイントになってますね。山梨にいながらこれだけ作品出してる。東京に染まってないし、むしろ、俺らより田舎モンだし。実際に行ってみても、相当田舎だった。それでもできるんだっていう自信になりましたね。

田我流と知り合ったのはいつですか?

リット:5年前くらい。ポポ・ジョニーっていう大好きなレゲエ・アーティストが「山梨のラッパーがいるよ」って紹介してくれて。沖縄に自分探しの旅に来てたみたいで。そのとき、俺はイケイケだったんで、「何だ?」ってフリースタイルしかけたら、田我流もガンガン詰めてきて、ケンカになりそうなくらいアツくなっちゃって。それから友だちになりましたね。
 でも、最近まで田(でん)ちゃんとは連絡とってなくて。で、〈ラヴ・ボール〉にたまたま田我流のCDがあって、聴いたら「こいつ面白いね。呼ぼうぜ」ってなって。ポポ・ジョニーに「田我流ってわかるか?」って聞いたら、「お前、友だちよ。田ちゃんだよ」「え! 田ちゃんって田我流なの?」って。すぐに電話して(笑)。
 「覚えてる?」「覚えてるよ。どうしたの?」「お前のCD聴いた。良かったよ。沖縄来るか?」って言ったら、飛んで来てくれて。〈ドンタコス〉っていう自分のイヴェントに出てもらった。それが一昨年の7月。それ以来、本土との架け橋になってくれてる。勇気もらいましたね。

トオル:地元のこと歌ったり、YouTubeで山梨の案内したり、山梨のNHKに出たり、地元密着のあったかいアーティストだなと思って。それで、俺らも「自分たちでやろう」みたいな。

アルバムのタイトルにもなってる那覇市曙は、リットさんの地元の地名ですよね。港があって、倉庫が立ち並ぶような。 

リット:工業地帯。元々、石垣島とか宮古島とか、離島の人たちが多く住んでる場所で。ヤクザ屋さんの事務所も結構あって。変な人が多かったですね。

トオル:怪しいよな(笑)。ゲットーだよな? 潮風で車がすぐダメになるし、家賃も安いし。

リット:昼と夜でまったく違いますからね。車も道知ってる人しか通らないっすよ。

『AKEBONO』には日の出のような意味合いもあるんですか?

リット:ちっとあるっす。でも、盤面の太陽は夕日なんですよ(笑)。好きなんですよ。(沖縄本島の)西側に住んでるから。

イエスノー言える 玉を込める 引き金ひいて 腰動かして イク瞬間 呼吸合わせて イったらなぜか涙流れて やーのソウル わーに吸い込まれ わーのソウル やーに吸い込まれ ......
"ボツ空身"

"ボツ空身"は血生臭く、ハードボイルドですよね。冒頭、「2011年、波乱の年、人生かけて挑んだ年、あらかじめ言い訳なし、われ貫く意地、ここにあり」というリリックがあります。何があったんですか?

トオル:激動だったよな。みんなが腹決めた年ですね。リットは仕事しながら、音楽と両立させてたんですけど、「もう辞めよう」って。音楽を仕事にしないとスピード上がらんし、やりたいこともできん。俺も、この頃から本気でクラブをやって、クラブをライフスタイルにしようって思いましたね。

リット:「ラッパーにならんといけん」って決断した年でした(笑)。

「空身」って「身ひとつ」みたいなことですか?

リット:そうっす。適当っすよ(笑)。

でも、あの曲からは並々ならぬ緊張感が伝わってきますよね。トラックを手がけるDJコージョーはどんな人なんですか?

リット:北海道の人ですね。いまは、沖縄の伊是名島に住んで、さとうきびを作る仕事をしてます。ああいうトラックを作る人とは思えない感じで、のほほんとしてる。

9曲目"ボツ空身"から12曲目"女 -HITO-"への流れは凄まじいですよね? 身震いしました。

リット:アルバムができる過程で、やってて楽って思えたスタイルが、9曲目からラストなんですよね。そのなかに、オリーヴさん(オリーヴ・オイル)との出会いがあったりして。

オリーヴ・オイルとは、どういう出会いだったんですか?

トオル:自分たちがやってるイヴェントにエル・ニーニョで来たときですね。ヒカルさん(DJヒカル)に紹介してもらったっす。2011年ですね。このイヴェントから、オリーヴさんがめっちゃ沖縄に来るようになって、遊ぶようになって、音も制作するようになって。

リット:実は、だいぶ前に、オリーヴさんが沖縄でライヴやってるのを見たことがあって、その時からハマってました。「あのちっちゃい人、何?」って。

トオル:感覚も"島んちゅ(島人)"だし。

 〈オイルワークス〉のオリーヴ・オイルは、沖縄でじつによく見かけるアーティストのひとりだ。それはもちろん、赤土クルーをはじめ、彼の音を愛する人たちがイヴェントに招待しているからなのだけど、オリーヴ・オイルもまた、この地を気に入っているように思えてならない。
 現在、福岡を拠点に活動を続けるオリーヴ・オイルは、奄美諸島・徳之島出身だ。ちなみに、現在、沖縄在住で、赤土クルーの「パイセン」ことDJヒカルと同郷だ。思えば琉球王国は、奄美群島までもを統治していた時代があった。歴史的には複雑な背景もあるようだけど、文化や思想など、近しいところがあるのも事実。これは勝手な想像だけど、南国の楽園の設計を夢見る彼が、沖縄に親しみを覚えると同時に、何かしらの可能性を見ているのかもしれない。

ライヴでもオリーヴ・オイルのトラックをよく使ってますよね? 

リット:イメージが一番湧きやすい。言葉がフワッと出てくるんですよ。

DJカミカズ:優しさなんじゃないですか?

リット:そうそう、人的な。あの人、不思議だよな。

"NINGEN State Of Mind"の曲作りはどうやって進めたんですか?

リット:スタジオで、オリーヴさんのトラックのストックを聴いて、曲を選んで。でも結局、一番手こずりましたね。言葉がどんどん出てくるんですけど、最終的にそれをまとめる必要ないかもしれんって思っちゃう。初めての感覚でしたね。「曲に溺れる」って思いました。何回も録り直しました。オリーヴさんはデカかったな。有名人だと思ってましたけど、すんなり入り込めた。自分にとってプラスになる表現が見つかった感じでしたね。

年を重ねて今のストーリー居心地いい 大事な力抜きスッピンでハプニング (中略) 気持ちは走りドンピシャ 浮かび弾けたソウルはドープ閃きの和 揺れるマイフロウ
"NINGEN State Of Mind"

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田我流との出会いがキーポイントになってますね。山梨にいながらこれだけ作品出してる。東京に染まってないし、むしろ、俺らより田舎モンだし。実際に行ってみても、相当田舎だった。それでもできるんだっていう自信になりましたね。


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AKEBONO

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"女 -HITO-"は、どうやって作られたんですか?

リット:先にリリックがあって、オリーヴさんにプロデュースをお願いしたら、ああなって帰って来た。1回目聴いたときは「何じゃこりゃー」で、2回目で「あー」ってなった。「何この感じ? 初めて聴いた」って。

沖縄の人からすると特別な思い入れが?

リット:びっくりしました。

トオル:しかも、リットの曲を作るから、沖縄の音楽をディグったわけじゃないんですよ。奄美にいた頃から、聴いてたらしくて。

〈ラヴ・ボール〉のフロアで、オリーヴ・オイルがお酒を飲みながらずっと踊ってる姿が印象的ですよね。

トオル:愛されてますよね。毎回、延泊するし(笑)。

リット:オリーヴさんとは、いままた新しい作品を作ってます。何が起こるのかな?

ゆらゆら揺れる 情熱とフロウ ゆらゆら揺れる 景色とフロウ きらきら 音 お前とフロウ 抱き寄せた唇 お前のフロウ (中略) 吐き出すフロウ お前の色  
"女 -HITO-"

リットさん、女性好きですよね?

リット:好きですね(笑)。沖縄の女性も好きです。力強くて。黒髪も好きですね。

ラストの曲、印象的ですよね。これまでの世界の先にたどり着いた感があります。

トオル:このアルバムの罠だよね。1曲目から聴いていって、最後にあんな世界を見せられて、「こいつ、どうなってくんだろう?」って思ってほしいという思いを込めて、曲順を考えました。

リット:型にはまることなく、自由にやってますね。その分、「生きてきたのかな」って思います。日頃、見たり、考えたりしてることがオリーヴさんとの曲に写せたのかな。でも、「ふと」ですよね、ほんとに。流れっていうか。"G.O.D"は、トラックを作ってるアーロンさんがぶっ飛んでる人で。面識なかったんですけど、「ラップやってるんでしょう? ビート聴きに来ない?」って言うから「何だ?」って思いながら(笑)。人とのつながりでそのまま作っちゃったんですよね。

フィーチャーされているサイファーは誰ですか?

リット:俺の女です。ポエトリーやってるんですよ。

トオル:リットの3倍くらいぶっとんでるから(笑)。突然、〈ラヴ・ボール〉に来たんっすよ。いきなりマイク持ち出してしゃべりはじめて。「何してんの? あの人」って。この時期、いろいろな人に出会って、いろいろな音楽に出合って、そういうことが多かったですね。アルバム制作を通して、いい意味で、ヒップホップってこんなんだったなっていうのを確認できましたね。いる人でやって、ある物で作るっていう。

アルバム前半の多くのトラックを手がけるネクストはどういう方なんですか?

リット:沖縄の先輩ですね。沖縄には、トラックメーカーの歴史があまりないというか。若い連中は、何かあったらネクストみたいな。ネクストのところに行って、「ちゃす! 何かありますか?」(笑)。そんな感じですね。アルバム前半の作品は、けっこう早い段階でできてましたね。

そうなのかなって思いました。

トオル:聴いててわかるっすよね。(アルバム後半にいくにしたがって)オリジナリティが増してく。

"女 -HITO-"はボーナストラック的な意味合いがあるから別として、"ボツ空身"のリリックだけ歌詞カードに載せていないのは、意味があるんですか?

リット:30分くらいでできたんですよ。わりとすぐできちゃったんで、「別に」と思ってたんですよ。だけど、歌っていけばいくほど味があるなって。後から聴いたら、けっこう、自分の心理を歌ってるのかなと思って、好きになりましたね。アルバムに入る予定もなかったんです。

そうなんですか? 

リット:何気に書いたものだから。ちょうど、彼女と出会ったくらいの頃かな。あいつと出会って、いろいろ変わりましたね。面白いもんな(笑)。

いつの時代も困難 王朝からゲットー、今はリゾート 噛めば噛むほど味が消えるの...... 隠し味政府のスパイス オーマイゴッド オジーオバーの姿受け継ぐ気持ち崩さんさ オトーオカーの姿でかい気持ちをありがとな 
"ミライニナイ"

"ミライニナイ"は、「ニライカナイ」に由来するんですか?

リット:初めて気付いてくれた(笑)。

ほんとに?

トオル:逆に、うちなーんちゅ(沖縄県出身の人)は気付かないんだよな。

 "ミライニナイ"は「ニライカナイ」をもじったタイトルだ。「ニライカナイ」とは、沖縄県などに伝わる他界の概念で、いわゆる理想郷のこと。このままいけば「理想郷は未来にない」とうたっている。

リット:本土の人は、沖縄をリゾートだと思ってるから。

トオル:俺たちは真逆だもんね。

リット:そこに疑問を感じないかな? 沖縄の問題っていろいろあるじゃないですか。本土には、「沖縄は国からお金をいっぱいもらってるんだから」っていう考えもあると思うんですよ。それも分かった上で、もう1回確認ですね。沖縄のラッパーは、1曲は必ず沖縄について書くんですよ。何となくそういう流れがあって。沖縄の問題は、俺らにとって生まれつきみたいなもんですからね。

生まれる前からずっと続いてますよね。とくに沖縄は、先祖崇拝だし、代々伝わる思いや考えなど、本土の人間とは違うものがあると思います。

リット:島の文化とか歴史とかありますよね。これからが大事になってくると思うんですよ。基地問題もあるけど、10年後の沖縄はリトル・トーキョーになってるかもしれんし、もっと危ない状況になってるかもしれない。観光地化もさらに進んで、外国人がもっと増えてるかもしれないし。

トオル:いまもうすでにチャイニーズが増えてる。

リット:だから、ナイスなタイミングじゃないですか? この土地はこれからどうなるのかなって。

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実際、国のばらまきの金でみんな暮らしてきてるから、もし、基地がなくなったら食えん人もいっぱいいるし。掘り起こせば、戦争に負けて、アメリカがここに基地を作った時点で、アメリカに依存しようっていうのは、戦後からはじまってることで。いまさらどうしようと思っても、矛盾だらけで、もう回らないわけじゃないですか? 

普天間基地問題について、鳩山が首相としては初めて県外移転を取り上げた時、どう思いました?

トオル:絶対無理だと思ってましたよ。

リット:反対してもどうせダメだって。

トオル:反対派と賛成派が意見を交わせればいいですけど、賛成派は現れないから、結局、時間稼がれてるだけ。それに、「反対」って言ってない人は全員「賛成」だっていう無条件の票みたいなものがあって、それはおかしいだろって思うんです。原発問題もそうだと思うんですよ。「デモに何万人集まりました。すごいね」。でも、「東京都に何十万人もいる中の、デモに何万人って言われても別にたいしたことない」っていう感じじゃないですか? 基地問題も同じで。実際、国のばらまきの金でみんな暮らしてきてるから、もし、基地がなくなったら食えん人もいっぱいいるし。掘り起こせば、戦争に負けて、アメリカがここに基地を作った時点で、アメリカに依存しようっていうのは、戦後からはじまってることで。いまさらどうしようと思っても、矛盾だらけで、もう回らないわけじゃないですか? 

リット:最近思うのが、人種問題になってるってこと。基地のなかにいるアメリカ人が悪いわけじゃないし、中国人は「(尖閣諸島は)俺たちの土地だぞ」ってこっちをにらんでる。この島で人種がぶつかり合うようになったら、それこそ本当に良くないなって思って。だから、開き直るわけじゃないけど、沖縄には本当の平和があるからこそ、基地があるし、中国にもにらまれる。それを受け入れてあげようっていう、ピースな島なんだって考えることもありますね。薩摩に侵略された時も、武器を取り上げられて何もないなかで、空手だけで戦ったっていう歴史もある。この土地がそういう場所なのかな。平和について考えさせられる島っていうか。
 広島や長崎もあるのに、沖縄だけが「俺ら、かわいそうだろ?」っていうのも違うと思うし。だから、沖縄だけどうこうっていうのはもうやめようぜって思いますね。でも、この土地に生まれて良かったと思ってます。俺は誇りに思ってます。本土から来た人も沖縄に興味を持ってくれてるし、その分、胸張っていられるところもある。「俺らの島ってめっちゃいいよ」って言うんです。

世代によって、考え方は違いますか?

リット:かなり違いますね。本土でいじめられてた人たちもいるんで。

トオル:不動産屋で家借りられないとか。本土の人からすると、沖縄がまだ外国みたいな頃で、沖縄の人には家貸さないっていう時代があった。沖縄の出入りにはパスポートが必要だったし。本土に対する思いは、いまの若い人たちはだいぶくだけてきてると思うんですけど、俺らの親世代は、相当警戒してるっすね。

リット:何で「ナイチャー(本州の人)、ナイチャー」って言うのかも、俺たちにはわからないし。

トオル:いろいろあったんだろうなって。

リット:侵略されたり、裏切られたり。去年のオスプレイ(強行配備)のときに痛感しましたね。この歳になって、初めて実感でわかりました。(これまでデモが少なかった)那覇でもガンガンやって、あれだけ沖縄の人が頑張ったのに、「あー、本当に来ちゃうんだ」って。

 インタヴューは赤土レックのスタジオでおこなわれた。なかに入ると、壁に貼られた地元新聞の記事が目に入った。オスプレイ強行配備のニュースが、一面で大きく報じられていた。
 昨年10月、普天間飛行場に計12機のオスプレイが到着した。前月に、約10万3千人が参加した「オスプレイの配備に反対する県民大会」が行われるなど、地元の反発が強まる中でのできごとだった。

トオル:若者たちがネットを通じてデモの情報を知って、いままでよりたくさん集まるようになったと思うんですよ。それでも、全然無理だった。「もう決まってるから」っていう感じだったじゃないですか?

リット:2日間くらい立ち直れなかったですよ。オジー(おじいさん)たちが言ってたのは、こういうことだったのかって。小学生の頃に(米兵による少女)レイプ事件が起きて、いけないことが起きてることはわかったけど「どういうことなんだろう?」って思ってた。だから、オスプレイが目の当たりにした瞬間でしたね。

トオル:今後の沖縄について考えましたね。いまも、本当にそればっかり考えてる。現に、ずっと(オスプレイが)飛んでるじゃないですか?

リット:飛行禁止区域も飛んでますから。

トオル:県内には、オスプレイをプッシュしてる奴らもいるし、ファンクラブもある。逆に安全なんだよって。でも、どこの統計だよって思いますね。

おふたりとも本土での生活の経験がありますよね。沖縄に関するニュースの報道のされ方に温度差を感じませんでした?

トオル:向こうのテレビで(ニュースが)やってないことに驚きました。

沖縄の新聞やテレビでは、毎日、基地問題がピックアップされてますもんね。

リット:去年の12月に、オスプレイのサウンド・パレードに参加したんですよ。

トオル:10台くらい装甲車が走って。ヒカルさんも一緒で。

リット:俺らの目線で参加できて、意味があったと思いましたね。いままでと違う見方もできたし、考えることもできた。「デモ」ってやったら、響きが悪かったんじゃない?

トオル:俺の親は、こんなの嫌がるんですよね。どうせ無理だって。戦争に負けた俺らの親より上の世代は、死ぬつもりで戦ったのに、国が負けたって言っただけで、いきなり「負け」になったわけじゃないですか? 死んでもないのに。だからたぶん、(基地問題など国の政策に)反対し続けて、でも、勝てなくて。俺らの親は、そういう姿をずっと見てきたから、諦めてる世代なんですよね。今年の正月、親父に初めて「世界平和ってあるのかな?」って聞いたら、「お前が戦争して勝つしかないよ」って言われたんですよ。たぶん、その考えは間違ってるって思ってるんですけど、でも、それしかない。何してもかなわんから、本当にかなえたいんだったら、戦争して勝て。たとえ、殺し合いの戦争じゃなくても。

DJカミカズ:いまの話、そのまま"G.O.D"を聴いてるような感じがした。

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コージョーっていうラッパーからニューヨークの事情を聞いたら、基地のなかにいる奴らの多くはゲットー出身者で、若くて、まだ何もわからないときに、「金欲しいでしょう? だったら、軍に入りなよ」って言われて。奴らも国にハメられてるんだよって。

生まれたときから、代々引き継いでいる思いの深さや厚みのようなものがあって、それは他の土地の同世代の人間には、なかなかない感覚というか。

トオル:良くも悪くも、特別ですよね。

リット:いまはもう「戦争ってこうだったんだよ」っていうより、命の尊さが受け継がれてるように思うっすね。

いまの若い世代は、カルチャー的には米軍基地で働く外国人から影響を受けたりもしてますよね。友人もいるし。でも、基地問題は、政治絡みの問題だから、一概にいいとか悪いとか言えない、複雑な立場なのかなと思いますよね。

リット:最近も読谷で、米兵が中学生を暴行して逃げた事件があったけど、だからって「外国人は(みんな)ダメ」って言うのは、決して良くないこと。コージョーっていうラッパーからニューヨークの事情を聞いたら、基地のなかにいる奴らの多くはゲットー出身者で、若くて、まだ何もわからないときに、「金欲しいでしょう? だったら、軍に入りなよ」って言われて。奴らも国にハメられてるんだよって。

トオル:軍事に目を向けさせるために、貧困差を付ける。仕方ないよな。米兵が悪いわけじゃないし。

リット:ここ数年、見方が変わってきたよな? 昔の沖縄に黒人はいたのかと思って、タクシーの運転手に聞いたら、「いたよ」って。「黒人ってどうだったの?」「仲間だろ。あいつらは何もしないよ」って。俺らはブラック・ミュージックが大好きだから、黒人に親しみを感じるけど、当時からそういう目線で見てる人もいたんだと思って。

普天間基地移設問題については、移設先の辺野古の環境的な問題も指摘されてますよね?

リット:ジュゴンとか、珊瑚礁とか?

沖縄の人から見て、そういう視点からの問題はどう考えてますか?

リット:本土の人の方が熱心ですよね。旅行で沖縄に来て、見て、くらって、そのままずっと居続けるとか。科学者とか医者の人も多くて、沖縄の人はそういう人たちに助けられてますよ。いろいろな知識を分け与えてもらって。

トオル:最近よく昔の沖縄に関する本を読むんだけど、あの時代の本って内地(本州)の人が書いてるものばっかりな気がするんですよ。その世代の沖縄の人は、そういうことを表現したがらないんだと思うんですよ。

オリーヴ・オイル、イル・ボスティーノ、ビッグ・ジョーの"MISSION POSSIBLE"はどう思いましたか?

リット:聴いてなかったんですよ。

そうなんですか? 先日、〈ラヴ・ボール〉でおこなわれたビッグ・ジョー主催のイヴェント〈ユナイオン〉で一緒にやってましたよね?

リット:(笑)ジョージさんがライヴでやるってなったから、パンチラインだけでも覚えようと思って(笑)。でも、できないから、横でとんでるふり(笑)。あまりにも失礼だ。歌えんかったらヤッケーだし。でーじ(めっちゃ)緊張したんっすよ。フワフワしながらやってました。ジョージさんに「サビわかる?」って聞かれて、「はいはい。携帯でリリック見てます!」って(笑)。俺の友だちは聴いてましたよ。

沖縄では、賛否両論あったとも聞きました。

リット:それはあるだろうなと思ってやったんじゃないですかね。

ライヴでビッグ・ジョーは「沖縄のどのくらいの人がこの曲知ってるかな?」って言ってから、はじめましたよね?

リット:沖縄を訪れて、状況を見て、ヤバいことになってるって感じたことを書いてくれたと思うんですよ。他の奴がやってたら「バカヤロー」ってなると思うんですけど(笑)、嫌な気持ちにはならなかったですね。ビートもかっこいいしな?

〈ユナイオン〉は、レギュラーイヴェントになるんですか?

トオル:最低でも、年に1回はやりたいって言ってましたね。

ライヴ後に友人から聞いた話ですが、北海道だと、ビッグ・ジョーにフリースタイル挑んでくる人はもうあまりいないらしいのですが、沖縄はまったく違ったと。フロアで地元の若い子たちとやってましたよね。

トオル:(笑)楽しそうだったな。ずっとやってたよな? 

リット:フリースタイル・セッションみたいな。

北海道のフィーメールMCオナツも、沖縄のラップ・シーンがヤバすぎて帰れないでいるっていう話を友人から聞きました。

トオル:そうそう。

リット:あいつは〈ラヴ・ボール〉で、ほぼ毎週、くたばるまで飲んでます。

トオル:もう仲間っすね。

先日、リットさんが共演したオムスビはどうでした?

トオル:相当くらってたな。俺らがゲストを呼ぶ時はいつも、「絶対負けん」っていう気持ちで呼んでます。

リット:電話が来たっすね。「あ、『AKEBONO』聴きました」「何でかしこまってる?」って(笑)。

同じMCから見て、沖縄のラップ・シーンはヤッケーんだと思います。

リット:周りの反応にビックリしてます。欲が出て来ましたよね。次はどんなことやろう、みたいな。

"血と骨 生身の歴史が飾りない時空生み出した 吸い込む悲劇上の空 俺たちの気 囲む強さ"("NINGEN State Of Mind"より)

 沖縄の土は赤い。赤土だ。青い空の下、青い海を望み、地に足をつけ、踏みしめるのは、たくさんの悲しみが詰まった赤い土だ。服につくと、繊維の奥まで染み込み、酸化して、洗濯してもおちない。赤土クルーが放つヴァイヴスもまた、聴く者の魂に深く入り込み、じわじわと化学反応を起こして、心をつかんでくる。
 沖縄の地元MCが集う〈ラヴ・ボール〉。若いラッパーが次から次へと登場する。ハーコーな連中もわんさかいる。そして、ほとんどの人が叫ぶ。「ピース」と。彼らの体から沸き起こるこの言葉が、自然と胸に響く。熱く、厚い思いが、今夜も、「愛と平和がけんかする」この島のあちこちに、あたたかな輪を作っている。

輪になる笑い声をひとつに
癖になる笑い声に幸と価値
"風音"

 ひと息入れて、酒を浴び、うたい、踊る。何があっても「踊るときは笑顔だね」。ここの人たちは、楽しむ才能に長けている。

 まずは、リットの『AKEBONO』を聴いてほしい。願わくば、沖縄まで来て、〈ラヴ・ボール〉でライヴを体験してほしい。それがかなわないなら、せめて、近くの人はツアーに足を運んでほしい。

3/31 @ 沖縄県沖縄市 OTO-LAB https://otolabkoza.ti-da.net/
4/6 @ 沖縄県那覇市 Cyber-Box
4/7 @ 沖縄県沖縄市 喫茶カラーズ
4/12 @ 沖縄県那覇市 LOVEBALL https://loveball.ti-da.net/
4/13 @ 渋谷 LOUNGE NEO https://loungeneo.iflyer.jp/venue/
4/20 @ 町田 The Play House https://www.theplayhouse.jp/
4/26 @ 京都 BLACK BOXXX https://www.kyoto-blackboxxx.com/
4/27 @ 大阪 CONPASS https://conpass.jp/
5/3 @ 町田 flava https://www.machida-shi.com/S112523.html
5/5 @ 渋谷 NO STYLE https://dp43053767.lolipop.jp/
5/10 @ 池袋 bed https://www.ikebukurobed.com/
5/11 @ 吉祥寺 warp https://warp.rinky.info/

 毎年3月中旬になるとメディア関係のニューヨーカーは、暖かいテキサス州オースティンへと向かう。音楽見本市として知られるSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)は毎年ハイプになっていき、本来の意味(未開発インディ・バンドのショーケース)は、すっかり忘れ去られている。ハイテクや映画の見本市でもあるが(マイスペース、ツイッター、フォースクエアなどの電子ツールはここから注目を浴びた)、単にパーティを求めている人たちが集まる場でもある。
 今年は、スピンナショナル・パブリック・ラジオなどが、ショーケースのライヴ・ストリーミングをしたり、『ピッチフォーク』や『BKヴィーガン』などのメディアが、時間刻みで自分が推したいショーをウェブにアップデートする。フェイスブック、ツイッターなどにもあげてくれるので、媒体の好みに偏るが、まるで行ったような感覚に陥る。インターネットは便利だが人びとを動かなくする。

 ラジオ局NPRのショーケースでは、ニック・ケイヴ&バッド・シーズ、ヤーヤーヤーズ、イギー・アンド・ザ・ストゥージーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、プリンスなどの大物、クラウド・ナッシング、ヴァンパイア・ウイークエンド、ブレイズ、キャサリン・ハンナ、フレーミングリップスなどのインディ・フレンドリーまで、たくさんのバンドが集まった。目的がはっきりしているならSXSWは価値がある。ただ、バンドが1日3回ショーをすることも珍しくなく、DIIVもいうようにセットアップ5分、プレイ15分、サウンドシステムと、質は求められない。人気のあるショーは、長いラインに並ぶか、入れないことも多いし、フリードリンク、フリーフード、たくさんのバンドや新しいテックの誘惑で、週明け、パーティ疲れでげっそりした人たちがNYに戻ってきている。
 その週の土曜に、ブルックリンのカフェで食事していたら、その日の朝にSXSWから帰ってきたばかりマシュー・ディアのメンバーにばったり出会った。SXSWの感想を聞くと「すごく疲れた」とひと言。

 SXSW期間でも、NYではたんさんのショーが開催されている。そのときに見たひとつのバンドのヌード・ビーチを紹介。アザー・ミュージック(other music.com)から音源をリリースし、革ジャンにタイトパンツ、アフロヘア、ストロークスっぽくもあるが、サウンドはトム・ペティ、リプレイスメンツ風のハートランド・クラシック・ロック。スタイルは、ギターウルフ的であるが、あそこまで攻撃的ではない。何回かショーを見たが、1:人に媚びない。2:難しい事をしない。3:共演バンドが毎回違うジャンル......が彼らの特徴で、誰もがスンナリ入っていける許容範囲がある。見ていてスカッと気持ちが良い。いろんなミックス・ジャンルの音楽がはびこるなか、懐かしのストレート・クラシック・ロックが、戻って来ているのは何かの兆しなのか。
 今週はSXSW上がりの話題のバンドがNYを通過する。Savages、Sky Ferriera、Chvrches、Disclosure、Fear of Men......1週間遅れのSXSWがはじまる。


ヌード・ビーチ

HOUSE OF LIQUID presents WARM UP - ele-king

 足を素速く動かしましょう。冗談を理解しましょう。フットワーク/ジューク、ハウスとベース・ミュージックを楽しく聴きましょう。恵比寿のリキッドルーム2Fに行きましょう。入場料は1000円。大ベテランのムードマンも出ます。明日のために、大量の汗をかいてください。財布を落とさないように。

featuring
D.J.APRIL(Booty Tune)
Kent Alexander(PAN PACIFIC PLAYA/Paisley Parks)
1-DRINK
MOODMAN(HOUSE OF LIQUID/GODFATHER/SLOWMOTION)

2013.3.30 saturday night
at KATA[LIQUIDROOM 2F]

open/start 23:00
door only 1,000yen

*20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい。(You must be 20 and over with photo ID.)

info
KATA https://www.kata-gallery.net
LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

▼D.J.APRIL(Booty Tune)
Hardfloorでシカゴに目覚め、のらりくらりとシカゴ・ハウスを追いかけております。横浜で「Ruler's Back」というJukeをメインにしたっぽいイベントをオーガナイズ(現在休止中)させていただいたり、Jukeレーベル「Booty Tune」の広報などもしております。
https://www.bootytune.com

▼Kent Alexander(PAN PACIFIC PLAYA/Paisley Parks)
高校生の頃からパーティ地獄巡りを重ね、日本とアメリカ各地でDJ。昨年は自身が所属するjukeユニットPaisley Parks楽曲のみのdjセット等をjukeの本場シカゴのラジオで披露するなどの活躍を見せている。横浜Pan Pacific Playa所属。
https://www.panpacificplaya.jp/blog/

▼1-DRINK
BASSと非BASSの境界を彷徨いながら現在にいたる。ときどき街の片隅をにぎわせている。
https://soundcloud.com/1-drink

▼MOODMAN(HOUSE OF LIQUID / GODFATHER / SLOWMOTION)
日本でもっとも柔軟な選曲能力を持っているベテランDJ。近々、新しいミックスCDをエイヴェックスからリリース。
https://www.myspace.com/moodmanjp

Gold PandaとStar Slingerが春を運んでくる - ele-king

「とってもかわいらしいIDMスタイルですよ」「初期のマウス・オン・マーズと初期のエイフェックス・ツインが一緒にスタジオに入ったと想像してみてください」
(野田努 https://www.ele-king.net/review/album/001097/

 フル・アルバムをたった一枚リリースするばかり(2010年)なのだが、ゴールド・パンダには日本においてもしっかりとファンがついている印象がある。リリカルなメロディを持った彼のIDMにはそれほどの存在感があった。フォー・テットのファンからJディラのファンにまで快く迎えられているだろう。ダンス・フロアとベッドルームのはざまからじつにやわらかいエレクトロニカを届けてくれる。

 ゲストもまた注目である。CD、ヴァイナルともに日本でもよく売れたスプリット作『チームスvs スター・スリンガー』を手に取り、気になっていた方も多いはずだ。チームスは2011年にプロパーなリリースがあるが、スター・スリンガーは自主盤以外はリミキサーとしてさまざまなアーティストとの仕事の上にその名を見るばかりだ。洒脱にして繊細なエディット、心地よいドリーム感覚。彼の全貌があきらかになるとあれば、この機会を逃す手はない。

ゴールド・パンダの1年4ヶ月振りとなる来日公演が決定!
スペシャル・ゲストは現在題沸騰中のスター・スリンガー!!

傑作デビュー・アルバム『ラッキー・シャイナー』から2年半、海外ではヴァイナル/ デジタルのみで発売される『トラストEP』に未発表曲他を追加収録した日本企画盤CDを3月にリリースし、年内には待望のセカンド・アルバムのリリースもアナウンスされているゴールド・パンダの1年4ヶ月振りとなる来日公演が決定! 更にスペシャル・ゲストとしてゴールド・パンダを始めウォッシュト・アウト、ゴー! チームなどのリミックスを手掛け注目を集め、2011年にメキシカン・サマーよりリリースしたUSノックスビルのプロデューサー、チームスとのスプリット作『チームスvs スター・スリンガー』が日本でもコアなレコード店を中心に大ヒットを記録したスター・スリンガーが待望の初来日!!

次世代のエレクトロニック・ミュージックを担う2 アーティストのカップリング・ツアーにご期待下さい!!!

■GOLD PANDA JAPAN TOUR 2013 SPECIAL GUEST STAR SLINGER

[東京公演]
2013/04/12(FRI) 代官山UNIT
OPEN/START:23:00
ADVANCE:¥3,500 / DOOR:\4,000
出演:GOLD PANDA, STAR SLINGER AND MORE
*20歳未満の方はご入場できません。また入場時に写真付身分証の提示をお願いしています。

[大阪公演]
EXTRA~Gold Panda Japan tour 2013 special guest Star Slinger~
2013/4/13(SAT) LIVE SPACE CONPASS
OPEN:20:00 / START:20:30
ADVANCE:¥3,000 (D別) / DOOR:¥3,500(D別)
出演:GOLD PANDA, STAR SLINGER AND MORE

主催/ 企画/ 招聘 : 代官山UNIT 協力 : YOSHIMOTO R and C CO., LTD.
MORE INFORMATION : UNIT / TEL 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com


■GOLD PANDA (ゴールド・パンダ)

バイオグラフィー
英エセックスのチェルムズフォード出身で現在は独ベルリンに住むゴールド・パンダは、UKのインディ・レーベル、Wichitaがマネージメントとして手掛けるアーティストで、過去に日本に数年住んでいたこともあり、日本語の読み書きもできる。2009年に『Miyamae』『Quitters Raga』『Before』といったシングルをリリースし頭角を現し、2010年3月には初の来日公演を敢行、4月には先のシングルをまとめた日本オリジナル編集アルバム『コンパニオン』で日本デビューを果たした。2010年10月にはシミアン・モバイル・ディスコのジェイムス・ショーがミックスを担当したデビュー・アルバム『ラッキー・シャイナー』をリリース。彼の長年の活動が凝縮されたこのアルバムは大きな評価を獲得。年末には各媒体の年間ベスト・アルバムの1枚に選ばれ、英ガーディアン紙の「ガーディアン・ファースト・アルバム・アウォード2010」の獲得に至った。また同年10月には朝霧JAM 出演の為、再度の来日公演もおこなった。その後、ゴールド・パンダは世界中をツアー。2011年にはDJ Kicksのコンピレーションをリリース。同年9月にはメタモルフォーゼ2011に出演の為、来日。メタモルフォーゼは台風により中止となったが、札幌で単独公演をおこない、12月には東京/ 大阪で来日公演もおこなっている。

アーティスト・オフィシャル・サイト:https://www.iamgoldpanda.com/
ジャパン・オフィシャル・サイト:https://www.bignothing.net/goldpanda.html

 
■STAR SLINGER (スター・スリンガー)

バイオグラフィー
スター・スリンガーことダレン・ウィリアムスはマンチェスター出身のプロデューサー。2010年にビート集『Volume 1』をセルフ・リリースし、本作がピッチフォーク・メディア、スピン、デイズド&コンフューズドといったメディアから取り上げら注目を集める。2011年にはUSノックスヴィルのプロデューサーであるTEAMSと手を組んだ傑作スプリットEP『TEAMS vs. STAR SLINGER』をMexican Summerよりリリース。本作は限定プレスとの事もあり瞬く間にソールドアウトした。またスター・スリンガーはこれまでJuicy J、Project Pat、Lil B、Reggie BやTeki Latexとコラボレーションし、Gold Panda、Jessie Ware、Washed Out、Daedelus、The Go! Team、Broken Social Sceneといったアーティストのリミックスを手掛けている。

アーティスト・オフィシャル・サイト:https://starslinger.net/
ジャパン・オフィシャル・サイト:https://www.bignothing.net/starslinger.html

■新譜情報
ゴールド・パンダ『イン・シーケンス』
傑作デビュー・アルバム『ラッキー・シャイナー』から2年半、ゴールド・パンダの新しい作品が遂にCDリリース。
海外ではヴァイナル/デジタルのみで発売される『トラストEP』に未発表曲他を追加収録した日本企画盤(全9曲初CD化)。

2013.03.13 ON SALE
¥1,260(税込)
日本企画盤(海外発売の予定はなし)
■収録曲目
1. MPB / MPB
2. MOUNTAIN / マウンテン*
3. FINANCIAL DISTRICT / ファイナンシャル・ディストリクト*
4. TRUST INTRO / トラスト(イントロ)**
5. TRUST / トラスト**
6. BURNT-OUT CAR IN A FOREST / バーント・アウト・カー・イン・ア・フォレスト**
7. CASYAM_59#02 / カシャム59#02**
8. MORE TRUST 8 / モア・トラスト8
9. HEALTH TOUR / ヘルス・ツアー
*taken from 『Mountain/ Financial District』(7”)
**taken from 『Trust EP』

shinjuku LOFT presents SHIN-JUKE vol.2 - ele-king

 控えめに言っても野菜マシマシ。このイヴェントのヴォリュームは、近隣のラーメン二郎(歌舞伎町店)を遥かに超えた大きさだった。
 まず、会場は日本のジュークシーンを成さんとするひとたちの集大成。日本でジュークを着実に広めている〈ブーティー・チューン〉のひとたちはもちろんのこと、昨年の『ゲットー・ギャラクシー』が最高に笑かしてくれたペイズリー・パークス/『アブソルート・シットライフ』が発売したばかりの主役であるクレイジーケニー(CRZKNY)/ジュークスタイルの自作曲から選り抜きしたコンピレーション『AtoZ!!!!!AlphabetBusterS!!!!!』がリリースされたばかりでなぜか入手困難になっているサタニックポルノカルトショップ(Satanicpornocultshop)らミュージシャンをはじめ、ジュークのイヴェントでは必ず見かける若いフットワーカー(ダンサー)たちも踊っていた。
 それだけではない。このイヴェントの特徴は、ジューク勢だけでなくスタイルの異なる出演陣が混合している点にある。ザ・モーニングス/掟ポルシェ/どついたるねんといったライヴハウスでは名の知れたバンドをはじめ、炭酸を抜ききったコーラで踊り狂ってみる感じのディスコ・バンド=ハヴ・ア・ナイス・デイ!/ハイパーヨーヨ(hy4_4yh)という女性アイドル・ユニットまで混ぜこぜになって出演していた。

 開場から3時間も遅刻して僕が到着したすると、ホール・ステージでは〈Shinkaron〉のDJフルーティーがジュークの爆低音を唸らせている。そのままバー・ステージを覗いてみる。3人の女性が無味乾燥のギターロックに合わせて元気に歌って踊っている(註1)。おお.....訳が分からない。その2つの風景がクロスオーヴァ―もなにもなく分断していたのは明らかだったが、そこから先の心配は杞憂であった。

 程なくしてホール・ステージには、日本においてゴルジェ(#gorge)を先駆けたハナリがライヴを開始した。以前、六本木ではゴルジェ勢とジューク勢が訳もなく抗争を繰り広げていたことは本誌でも伝えたが、おなじくゴルジェの作家であり〈アナシー〉の主宰=ウッチェリーも今回駆けつけていたものの、今回ゴルジェの出演者はハナリのみ。
 ゴルジェを自称するルールのひとつとしてタムを用いるという条件があり、それがゴルジェというタグ概念をサウンドの面で特徴づけている。ハナリのサウンドも然り、体育館で大量のバスケットボールを一斉にドリブルしたかのようなタムの乱れ打ちは山岳や岸壁の険しさを表現しているといわれるが、そのゴツさと険しさはインダストリアルなノイズの延長線上で生まれた音にも聞こえる。
 ハナリが両手でMPCを叩き打ち、シンバルやSEが騒がしく響き渡る。一切の照明を消した暗闇の奥、何台ものデカいウーファー・スピーカーの向こう側でヘッドスコープを着用しているハナリは、洞窟のなかを進むように、ポスト・ダブステップ的なビートやジュークのテイストをそれとなく織り交ぜながら、ひたすらMPCでノイズを出し続けていた。そのコミカルさに、オーディエンスも呆れ半分、こういうものかと見守り始める雰囲気があった。
 思うに、デス・グリップスやレッド・ツェッペリンのドラムソロにまでゴルジェと言ってしまうくらい貪欲なタグなのだから、ジュークとしてタグ付けされプレイされる音楽のパターンがより多様性を得て、そのライヴやDJぼんやり見ている層まで惹きつけるようになったとき、ゴルジェはより予期しない方向に発展する.....かもしれない。ゴルジューク(Gorjuke)などいう試みは、踊れるという意味でも、そのよい例であるのではないだろうか。僕からすれば、ジャム・シティなんかとも遠からず共振する無機質な合成感がゴルジェにはあるのではと思う。

 DJヤーマンのドラムンベース/レゲエのあとには、どついたるねんがいつも通りといった感じの悪ノリでフロアの湿度を上げていた。途中、唐突にジュークタイムを2分ほど挟んでフロアを駆けずり暴れていたのはとても分かりやすく、つまりはジュークのサウンド/リズムエディットに悪ノリっぽさを見出し、幼稚な意匠として利用したということだ。と同時に、音楽的な味わいどころをまったく放棄して「俺の友達面白いっしょ!」と押しつけがましく暴れてるどついたるねんのステージのなか、ジュークが音楽としていかにフレッシュで刺激的であるかが浮き彫りになった瞬間にも見えた。

 DJクロキ・コウイチがニーナ・シモンの名曲"シンナーマン"のジューク・エディットなどでホール・フロアをクールに煽り、機材準備の完了したペイズリー・パークスにそのままの勢いでなだれ込んだ。
 MPCやルーパーでザクザクとジュークを料理していくライヴ・エディットを披露した。レコーディング音源にも共通していえることだが、ペイズリー・パークスのエディットは、高速のBPMでダンス・ミュージックとしてフィジカル(脚)を直接ダンスへ鼓舞するというよりも、ダークかつ扇動的なサウンドと、脳味噌を右左に揺さぶり方向感覚を失わせる不安定なエディットで、訳のわからないトランス感のなか脚をガタガタさせるような作用があり、いわば脊髄反射ではないという意味においてはヘッド・ミュージック的に楽しませるところがある。リスナーの脳をぶっ壊さんばかりのエディットは、トランス感とダンスへの昂揚を同時にオーディエンスに湧き立たせる。フロアの多くのひとが熱狂していたというのに、わずか10数分あまりで終わってしまったことが本当に惜しいが、そう欲しがりにさせるほど、ペイズリーのトラックは中毒性が高い。アルバムを制作中だというが、ガッチリ完成させて、一刻も早くリリースしてほしい。

 その後のサタポ、ステージ上に現れたのは5人。全員が仮面を終始被っており、名の通り、ややカルティックな気味の悪さを演出している。ジョークめいたラップと歌を披露する2人と、トラックマスター1人、ほかにステージ上をゆっくり動きまわりながら、突如ほかのメンバーをプロレスよろしく張り倒しはじめる2人(どうやらDJフルトノとクレイジーケニーだったらしい)。
 急に仰々しいバラードを熱唱し始めたり、ひよこのオモチャを弾きまくったり、練習中っぽいフットワークを披露したり、アンダーワールドの"ボーン・スリッピー"を堂々とジュークエディットしていたり、ちゃらんぽらんの英語で歌ったり、歌の途中、うろつくメンバーにいきなり張り倒されたり、チーズのお菓子を気まぐれに投げ始めたり、尻に貼っていた湿布を渡されたり(受け取ってしまったが、心の底から要らなかった).....およそ1時間、大阪弁のMCも含めとにかく笑わせてくれたし、音楽もしっかり聴かせる、素晴らしいショーケースだった。
 これはペイズリー・パークスにもすこし言えることだが、サタポがポップな諧謔性をジュークに見出しているのがよくわかった。まだまだフレッシュなジュークの音楽にのっかって、これからも多くの人にライヴで発見されていってほしい。あなたの街にサタポが来たら、とにかく腹筋のトレーニングだと思って観てほしい。

 オーディエンスも長丁場と連続する低音にかなり疲れていた様子のなか、ペイスリー・パークスのケントに煽られながらクレイジーケニーは登壇した、が、いきなり機材トラブルで音が出ない。酔っ払いながらここぞとばかりに本気出せよと捲くしたてるケント。広島弁のヤクザな態度で怒鳴り返すケニーは、愛嬌はありながらも、もしかしてマジでその筋から出てきた人なのではと思ってしまうほど恐かった。
 新譜のなかの"ナスティー・ティーチャー"に顕著だが、徹底的にロー(ベース)に腰を据えたサウンドは、この日の聴いた中で最もシブく逞しいものだった。一番むさかったとも言える。
 ローの熱く張り詰めた空気と中和するように、本人がイジラれキレる様子はとてもコミカル。サンプリングもユニークで、『キューピー3分クッキング』のテーマ曲がリズミカルに乗っかっていたり("3minute 2K13")、ヤクザ映画の言葉を織り交ぜたり("Midnight")、なかでも昨年の夏にツイッター上の何気ない提案から制作された"JUNJUKE"は最高に笑かしてくれた。稲川淳二の声がリズミカルにリピートされ、何重にも折り重なっていくさまは痛快だった。「ユウユウオワオワオワオワオワ」「ガタガタガタガタガタガタ」「ハアッハアッハアッハアッハアッハアッハアッハアッ」「ヒー! バババババババ」といった擬音がパーカッシヴに生かされ、ジュークのリズムをMADの枠組みとしてうまく活用している。
 サタポとおなじく、クレイジーケニーのセットにも笑いの解放感があった。

 クレイジーケニーが深々と頭を下げてイヴェントは終了した。
 特別にいくつもレンタルした低音スピーカー=ウーファーの片づけを会場に残っていたみんなで済ませ、競技を終えた体育祭のあとのような、わるくない疲労感に浸った。

 僕はこの日、気の向くままに踊り、と同時に大いに笑かされたことで、スカッとしたし、生きていてよかったなあとさえ思った。ダンスミュージックであるジュークを、笑いを生むリズムとして解釈して遊びきってしまう出演者たちの姿は、観ていて清々しいものがあった。ウーファーはいささかブーミー気味でもあったし、音響がベストだったとは思わないが、フットワーカーがよじ登り、そのスピーカーでさえステージとして活用していたのもカッコよかった。とにかく遊びきっていた。イヴェントのむさくるしさ(男臭さ)を笑う声もあったが、女性も少なくはなかったと思うし、フットワークを披露した女性もいるので、とくに気にすることもないだろう。
 それに第一、今回のイヴェントのもっとも有意義な点は、〈新宿ロフト〉というライヴハウスで、ふだんクラブに来ない人たちまでもがジューク&フットワークを目撃し体感したことだろう。どついたるねんのメンバーも、ハヴ・ア・ナイス・デイ!のメンバーも、ペイズリー・パークスやサタポのライヴ中、ジュークに感銘を受けたように踊っていたし、それこそがこのイヴェントのもっとも象徴的な画だったかもしれない。打ち込みの音楽とはいえ、バンドマンもといライヴハウスの人間を圧倒させる力がジュークには確かにある。笑って遊びきる感覚を武器に、ジュークにはこれからもどんどん広まっていってほしい。この思いきったイヴェントを主催した〈新宿ロフト〉の副店長=望月氏には拍手と感謝を送りたい。当日も現場で送ったが、まだ足りないくらいだ。

 最後に大事なことをひとつ。この日はフロアでも頻繁にフットワークのサークルができ、先に述べたように、スピーカーまでもがダンスのステージとして活用され、転換中、スクリーンにはフットワークのレッスン動画が流されるほど、フットワークへの注目が高まりつつある。
 ただし、この日フットワークを披露してい(るとこを僕は初めて観)たDJクロキ・コウイチ氏も言うように、ジュークのDJのなかでフットワークを踊るひとは少ないし、こうしてイヴェントに集まるフットワーカーもまだ多いとはいえない。筆者は、トラックスマン来日エレグラゴルジェとジュークの全面抗争につづいて、イヴェントでジュークを聴いたのは4回目。若いフットワーカーもイヴェントのたび増えている印象があるが、それでもまだ少ないダンサーが切羽詰まったローテーションで踊り、サークルの流れが途絶えてしまうのも事実。
 もちろん会場のみんなが踊れるべきだとまでは思わないけども、このジュークという音楽をすこしでも多くのひとがダンス・ミュージックとしてもエンジョイできたら、どんなに楽しいパーティになるだろうか。ダンスできる/できないの壁をどれだけ払拭していけるかが、ジュークのこれからを考えたとき、ひとつ大きなポイントであるのではないかと思う。
 
 ということで、レッスン会のようなものがないうちは、夏頃に開催されるだろう〈SHIN-JUKE vol.3〉に向けて、以下のレッスン動画でチャレンジしてみましょう。犬の声はサンプリング?
 ほかにいい動画や練習の集まりがあるぞーというひとはぜひ僕宛てに教えてください。

 

 
(註1)あのとき鳴っていたのはファンコット(FUNKOT)だったというご指摘をたくさんいただきました。筆者のまったく記憶違いでしたらまことに申し訳ありません。(斎藤辰也 3/12 13:12)

Chart - JET SET 2013.03.11 - ele-king

Shop Chart


1

Will Sessions Feat. Rickey Calloway - The Jump Back (Funk Night)
リリースする全ての作品が当店大ヒットを記録するWill Sessions。本作は再び、Rickey Callowayをフィーチャー!

2

O.s.t. - Django Unchained (-)
鬼才Quentin Tarantino手がける最新話題フィルムからのサントラがヴァイナル・カット!Rick RossやJohn Legend, Anthony Hamiltonのオリジナル楽曲に加え、James Brown Vs 2pacというナイスな組み合わせが実現したB-5、他映画からのフレーズも盛り込んだボリュームありの全23曲!

3

Skints - Part & Parcel (Soulbeats / Bomber Music)
Hollie Cookに匹敵のポップなセンスと、スカからラガまで取り込んだクロスオーバーなサウンド。Prince Fattyプロデュースの大傑作が入荷です!!

4

Gold Panda - Trust (Notown)
新世代エレクトロニカ最高の才能による新曲が待望のヴァイナル・リリース!!自身のレーベルNotownとGhostlyとの共同リリースによる限定12インチ。ダウンロード・コード封入!!

5

Tx Connect / Speculator - House Of Confusion (L.i.e.s.)
少量入荷につき即日ソールドアウトが続くus最深地下"L.i.e.s."発のリミテッド黒盤シリーズ最新作4番。Wt Records総師Willie Burns A.k.a. Speculator手掛けるカルト・エディッツ3楽曲を収録!!

6

Spinnerty - Gestures (Record Breakin)
John RobinsonやB.bravoを迎えた同レーベルからの前作も好評だった、ベイエリアのビートメイカー/DjのSpinnertの新作が登場! クロスオーバーにオススメなLil Dave, J-boogieのリミックスも必聴!

7

Space Dimension Controller - Welcome To Mikrosector - 50 (R&s)
デビュー12"『The Love Quadrant』がいきなりの当店爆裂ヒットを記録したのも記憶に新しいギャラクティック・ベース・ディスコ人気者S.d.c.が遂に待望の1st.アルバムを完成です!!

8

Lindstrom & Todd Terje - Lanzarote (Olsen)
昨年、Six Cups Of Rebel名義でのアルバムや、Smalltown Supersoundからの数々の12"でも不動の人気を魅せたLindstromと、'12年度、ディスコ/ハウス・シーンにおいて世界的なセールスを記録したと噂の絶えない大人気Todd Terjeがタッグを組んだ注目作品!

9

Four Tet - 181 (Text)
毎度即日完売する大人気レーベルTextから、主宰Four Tet自らによる3年振りの変則最新アルバムが登場。なんと'97年~'01年にかけての自作曲をメガミックスした長尺2曲を収録です!!

10

Third World All Stars - Rebel Rock (Pressure Sounds)
ジャジーなサックス、メロウなシンセ、ヘヴィなベース。Errol Dunkleyの名作『Sit And Cry Over You』を下敷きにした極上レゲエ・インストが再発!
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130