「OTO」と一致するもの

1月のジャズ - ele-king

 2024年1回目のコラムだが、1月は年初でリリースが少なく、紹介すべきものがこれといってない。そこで、2023年を振り返ってリイシューや未発表作品からピックアップしたい。特にアフリカや南米のアーティストで目につく作品が多かった。



Vusi Mahlasela & Norman Zulu, & Jive Connection
Face To Face

Strut

 『フェイス・トゥ・フェイス』は1994年に録音された未発表作品で、スウェーデンの音楽プロデューサーのトルステン・ラーションのアーカイヴから発見された。アフリカ南部のバントゥー系民族であるソト族のフォーク・シンガーのヴーシ・マハラセラ、南アフリカのシンガー・ソングライターのノーマン・ズールーと、スウェーデンのジャズ~ソウル集団のジャイヴ・コネクションが共演した記録である。ちなみにジャイヴ・コネクションにはリトル・ドラゴンのドラマーのエリック・ボディンや、スウェーデン民謡グループのデン・フールなどで演奏するベーシストのステファン・バーグマンらが在籍した。

 スウェーデンは昔からジャズが盛んで、ドン・チェリーらアメリカから移住したジャズ・ミュージシャンも少なくない。南アフリカでは元ブルーノーツのジョニー・ディアニが移住している。ジョニー・ディアニなどのジャズ・ミュージシャンはアパルトヘイトから逃れるために他国へ移住したのだが、そうした反アパルトヘイト運動を支援した国のひとつがスウェーデンで、政府はアフリカ民族会議への資金援助をおこなっている。そのANC議長だったネルソン・マンデラが反逆罪で投獄された後、出所して初めて訪れた国がスウェーデンである。1994年のマンデラ大統領就任式で歌を披露したのがヴーシ・マハラセラで、ノーマン・ズールーを含めて彼らと交流を深めていたジャイヴ・コネクションが一緒に録音したのが『フェイス・トゥ・フェイス』である。

 ヴーシの歌は自由を求めての闘争に彩られており、南アフリカの伝統的な寓話に基づく『プロディガル・サン(放蕩息子)』や、児童虐待に対する嘆きを歌った『フェイスレス・ピープル』などを力強く歌う。音楽的にはジャズやアフリカ民謡だけでなく、レゲエやダブ、ファンク、ポスト・パンクなどの要素を交えたものとなっており、実に興味深い。“フェイスレス・ピープル” はカーティス・メイフィールド風のニュー・ソウル的な歌や演奏にダビーなエフェクトを交え、まるでガラージ・クラシックと言ってもおかしくないようなものだ。ニューウェイヴとアフロ・ディスコが融合した “プッシュ” はピッグバッグを彷彿とさせ、強烈なダブ・サウンドの “フェイス・トゥ・フェイス” や “ルーツ” はデニス・ボーヴェルがミックスしているかのよう。アフロ・ジャズの “ウマザラ” にしても、楽器の録音やミックスなどダブやレゲエを意識したものとなっている。



Orchestre Poly-Rythmo De Cotonou Dahomey
Le Sato 2

Acid Jazz

 オルケストル・ポリリトモ・デ・コトヌー・ダホメイ(別名T・P・オルケストル・ポリリトモ)は西アフリカにあるベナン共和国のコトヌー出身の楽団で、1968年にシンガー兼ギタリストのメロメ・クレマンによって創設され、1980年代の終わりまで活動した。アフリカ民謡、アフロビート、ハイライフ、アフロ・キューバン・ジャズ、サイケデリック・ファンクなどが融合した音楽を演奏し、地元のヴードゥー教にも繋がりを持つ存在だった。欧米諸国などでは長らく知られざるバンドであったが、2000年代に彼らの音源がUKの〈サウンドウェイ〉から紹介されて広まり、ガーディアン紙は「西アフリカで最高のダンス・バンドのひとつ」と評価している。そうした再評価を受けて2009年にバンドは再結成され、2枚の新録アルバムの発表とワールド・ツアーもおこなうが、創始者のメロメは2012年に亡くなった。

 アルバム・リリースは数十枚に及び、原盤はどれもが入手困難なものだが、〈アナログ・アフリカ〉ほか欧米のレーベルもリイシューを手掛けている。1974年作の『レ・サト』は2021年にUKの〈アシッド・ジャズ〉からリイシューされ、その第2弾として同年に録音された『オルケストル・ポリリトモ・デ・ラ・アトランティーク・コトヌー・ダホメイ』が『レ・サト・2』としてリリースされた。原盤は『レ・サト』と全く同じレコード・スリーヴで販売されており、裏面に第1弾と異なるカタログ番号が記載されるという体裁だったため、長らく謎のレコードとされてきたもので、彼らの作中でももっともレアな1枚である。原初的な歌と催眠的なファンク・グルーヴに包まれた10分を超す “ジェネラル・ゴウォン” はじめ、伝統的なヴードゥーの儀式とパーカッションによるポリリズムが結びついた独特の世界を作り出している。



The Yoruba Singers
Ojinga’s Own

Soundway

 ヨルバ・シンガーズは1971年に結成された南米のガイアナ共和国のバンドで、アルバムは1974年の『オジナズ・オウン』、1981年の『ファイティング・フォー・サヴァイヴァル』のほか、リーダーのエズ・ロックライフとヨルバ・シンガーズ名義による2009年作『アー・ウィ・ライク・デム・ソング・ディス』などがある。隣国のトリニダード・トバゴのカリプソやスティールパン演奏の影響を受け、ほかにジャマイカから流れてくるロックステディやルーツ・レゲエ、ガイアナ住民の祖先であるアフリカの伝統的な民謡などを育み、プロテスト・ミュージックへと昇華したのがヨルバ・シンガーズの音楽である。ヨルバというアフリカのナイジェリア南西部に住む部族をグループ名に冠している点で、彼らのルーツ的なところが見えてくる。欧米では全く知られた存在ではなかった彼らだが、2018年に『ファイティング・フォー・サヴァイヴァル』がUSの〈カルチャーズ・オブ・ソウル〉からリイシューされ、陽の目を見ることになる。そして2023年には『オジナズ・オウン』がUKの〈サウンドウェイ〉からリイシューされた。

 彼らの初期のレパートリーは、農園での労働の合間に歌ったり、または宗教儀式の場で歌われるといったもので、『オジナズ・オウン』はそうした彼らの姿をとらえた素朴な作品集である。演奏は原初的な打楽器やギター、フルートなどによるシンプルなもので、10名ほどのコーラス隊が合唱するというスタイル。“オジナズ・オウン” や “アンコンプレヘンシデンシブル・レディオマティック・ウーマン” など、ガイアナの自然や大地、生活や宗教と密着したプリミティヴな作品集である。



Terri Lyn Carrington
TLC And Friends

Candid / BSMF

 現在のUSジャズ界のトップ女性ドラマーであるテリ・リン・キャリントン。1965年生まれの彼女は、ウェイン・ショーターの1988年作『ジョイ・ライダー』への参加で名を上げ、1989年のリーダー・アルバム『リアル・ライフ・ストーリー』でグラミー賞にノミネートされるなど、着実にキャリアを重ねていった。女性アーティストのみで結成されたモザイク・プロジェクトを興すなど、ジャズ界における女性演奏家の地位向上を謳うリーダー的な存在でもある。父親のソニー・キャリントンがサックス奏者だったこともあり、7歳のときからドラムをはじめた彼女は、11歳でバークリー音楽院に奨学金を受けて入学した天才児で、在学中にさまざまなプロ・ミュージシャンとのセッションをはじめ、16歳のときの1981年に自主制作でアルバムを作ってしまった。それが『TLC・アンド・フレンズ』である。一般的に『リアル・ライフ・ストーリー』がファースト・アルバムとされる彼女だが、実は『TLC・アンド・フレンズ』が正真正銘の幻のデビュー・アルバムなのである。

 この度リイシューされた『TLC・アンド・フレンズ』は、ケニー・バロン(ピアノ)、バスター・ウィリアムズ(ベース)、ジョージ・コールマン(サックス)という、1960年代より活躍してきた名手たちとの共演となっている。そして、父親のソニー・キャリントンもゲスト参加して1曲サックスを吹いている。バップを中心としたオーソドックスな演奏だが、アレンジも自身でおこなうなどすでに神童ぶりを発揮するものだ。楽曲はコール・ポーターの “恋とはどんなものかしら”、マイルス・デイヴィスの “セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン”、ソニー・ロリンズの “セント・トーマス” と “ソニー・ムーン・フォー・トゥー” など大半がカヴァー曲で、ビリー・ジョエルの “素顔のままで” もやっている。そうしたなか、唯一の自作曲の “ラ・ボニータ” がラテン・タッチのモーダル・ジャズとなっており、とても16歳とは思えない奥深く豊かな表現力を見せる。

Terry Riley - ele-king

 「Ambient Kyoto」でお馴染みの〈Traffic Inc.〉運営のフリースペース、「しばし」(sibasi)(https://sibasi.jp/)にて、テリー・ライリーのラーガ教室と、フィールドレコーディングのワークショップが開催される。鎌倉にて、月1回のラーガ教室を開いているテリー・ライリーだが、京都で初。3月〜4月の土日に計8回の開催。
 なお2月には同所で、フィールド・レコーディングのワークショップも。著書『フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う』が第1回音楽本大賞「大賞」&「読者賞」を受賞した柳沢英輔、サウンドエンジニアの東岳志がガイド役。

◉テリー・ライリーのラーガ・レッスン
KIRANA EAST in KYOTO

[日時]
3月
23日(土)、24日(日)、30日(土)、31日(日)
4月
6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)

・受講回数に制限はありません。

[タイムテーブル]
土曜日のクラス(共通)
16時~   受付開始 
16時半~  弟子のSARAによる基礎知識の説明及びウォーミングアップ
17時~   テリー・ライリーによる【ラーガ】レッスン(約1時間)
日曜日のクラス(共通)
11時半~  受付開始 
12時~   弟子のSARAによる基礎知識の説明及びウォーミングアップ
12時半~  テリー・ライリーによる【ラーガ】レッスン(約1時間)

※ 参加者全員受付時に抗原検査と体温測定を受けて頂きます。
抗原検査で陽性、もしくは【風邪の症状、】体温が37.5度以上の場合はレッスン受講はできません。
受講料は半額お返しいたします。ご了承ください。

[開催場所] しばし(京都市左京区岡崎)
※詳細は、お申し込み後にお伝えします。
[参加費]1回8,000円
[申込受付定員]各回15名限定
[申込受付開始日時]
3月開催クラス:2024年2月3日 正午より受付開始
4月開催クラスの受付については、後日改めて告知します。
[申込受付サイト]
https://peatix.com/group/15152856

[備考]
・テリー・ライリーによる指導内容は、毎回異なることが予想されます。
 →テリー・ライリーによるラーガレッスンは、カリキュラムはなく一回完結形式で行われます。
  歌うラーガは、当日テリー・ライリーの判断で決まります。その為、毎回異なることが予想されます。
・何時から参加しても料金は一律です。
・お客様都合のキャンセルや日程変更は受け付けておりません。
 ご了承の上、お申し込みください。

◉フィールドレコーディングのワークショップ
The View Up Field Recording


[日時] 2024/2/11(日)14:00-18:00
[参加料金] 4,000円
[ガイド] 柳沢英輔、東岳志
[予約フォーム] https://forms.gle/WPSaNMUtLYzx8dhb8

しばしでは、日常の中に潜む豊かな世界を、様々な角度から見つけていき、他の分野に繋げていくワークショップを企画しています。

フィールドレコーディングは野外録音の側面だけでなく、
聴くという行為を通して、目の前にある言葉にならない出来事を
どう捉えていくかの道筋を作ってくれそうです。

この数年、身の回りにあるものに目を向けることが見直されつつあります。
日常では聞こえてこない音のレイヤーを意識することで新たな視点の発見があります。

今回はフィールドレコーディング的な感覚とは何か、座学の後、近所へ散歩に出かけ、実際に録音機材や耳を使って、小さな音、遠くの音、水中の音などを聴きながら、聴覚体験を深めたいと思います。
散歩でお貸しできる機材もありますが、有線のヘッドホン(イヤフォン)は各自お持ちください。
もちろんマイクやレコーダーなど録音機材をお持ちの方はご持参ください。

[ガイドプロフィール]


柳沢英輔
東京都生まれ。音文化研究者、フィールド録音作家。京都大学大学院アジア·アフリカ地域研究研究科修了。博士(地域研究)。主な研究対象はベトナム中部高原の少数民族が継承する金属打楽器ゴングをめぐる音の文化。フィールドのさまざまな音に焦点を当てた録音·映像作品を制作し、国内外のレーベルや映画祭などで作品を発表している。主な著書に『ベトナムの大地にゴングが響く』(灯光舎、2019年、第37回田邉尚雄賞)、『フィールド·レコーディング入門―響きのなかで世界と出会う』(フィルムアート社、2022年、第1回音楽本大賞·読者賞)など。
https://www.eisukeyanagisawa.com/


東岳志
奈良県生まれ。サウンドエンジニア。
2000年にフィールドレコーディングを始め、その手法で音楽の録音に従事。身体に関する知識を深め、食の領域にも活動を広げる。京都で「山食音」を立ち上げ、自然、食、音楽の融合する場を提供する。現在はサウンドインスタレーション製作やフィールドレコーディング音源の提供、ライブ録音などを行う。AMBIENT KYOTOでは音響担当。
https://takeshiazuma.com/

YOTO - ele-king

 最近、どこで読んだのか忘れたけれど、RCサクセション “自由” に対するコメントで「頭が悪そうに見える言葉のチョイスがうまい」といった書き込みがあった。「頭が悪そうに見える」というのは「頭が悪い」とは正反対で、「頭がいい」からできることであり、そのような創作の態度は “自由” だけでなく、忌野清志郎の表現全体に認められることではないかと考えさせられた。普段の清志郎は基本的に議論好きだったし、デビュー・アルバムのためにつくった “あそび” などは論理のすり替えを題材にしていて、当時のモラルに抵触したために16年間もお蔵入りしてしまったけれど、常識とされる行動に疑問を挟んでいく歌詞の展開はそれこそ「頭が良く」なければ書けるものではない。「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」といってすぐに「この世は金さ」と見方を変えてしまう視点の移動や無数のダブル・ミーニングも同じくで、清志郎の歌詞は確かによく考えられているのに、そうとは感じさせない言葉のチョイスが巧みだし、それが彼の芸風にもなっていた。

 清志郎とは知り合ってすぐに「頭がいい」という表現について深く考えさせられることがあった。具体的には省略するけれど、清志郎にとっては必ずしも褒め言葉ではなく、「頭がいい」という言葉が持つ多義性について考えざるを得なくなってしまったというか。「頭がいい」というのは、資本主義においては「生き延びる」と同義であり、他人の能力と比較することを前提にした価値観である以上、清志郎にとっては手放しで肯定できる感覚ではなかったのだろうというようなことを考えた。ストリートで「頭がいい」とされることと学業などで「頭がいい」とされることはどちらも腕力で支配される世界から距離を取るための手段であり、文明の程度が低いとか高いに関係なく、「頭がいい」を極めていけば人を支配することも不可能ではないという目的のようなものがどうしても頭をもたげてくる。「頭が悪そうに見える言葉のチョイスがうまい」というのは、「頭が悪そうに見える言葉」を選ぶことで、同時に「支配者になりたいわけではない」ということも表していて、「誰の言うことも聞かねえ」とか「俺は法律を破るぜ」といった傍若無人なことを歌っているようでいて、それが上から目線にはならず、リスナーと同じ目線で共感を呼ぶことができるのだろう。

「言葉のチョイス」を「音のチョイス」に変えれば、音だけでも同じことはできるだろう。重厚長大な音が威圧感を与えることと正反対の効果を期待して「頭が悪そうに聞こえる音」を巧みに組み合わせ、あらかじめ競争原理からずり落ちる。フライング・リザーズやドクター・ロキットはそのようにしてロックやテクノにエア・ポケットを生み出した。古くはピエール・アンリからレジデンツ、ジェド・フェアやオル・ダーティ・バスタードなど、いつの時代にもそうしたテクニシャンたちはいて、それぞれの時代に落とし穴を掘っていった。最近だとメリディアン・ブラザーズやロス・モアネスなどクンビアにその手が集中していた感があり、そうはいっても最低限の様式性は保たれていたコロンビアと違ってアルゼンチンに飛び火したクンビアは10年代もなかばを過ぎるともはや原形をとどめず、片鱗を聞き取ることさえ危うい。思い返せばグオ・チェン(Guo Cheng)あたりからおかしくなり始めた。〈Orange Milk〉から『Walden』をリリースしたアイル(aylu)がスラップスティックの壁を飛び越えてネジを最大限まで緩め、ヴィック・バン(Vic Bang)『Lira』はこれをマウス・オン・マースに寄せた感じ。そして、彼女たちを追ってヨトのサード・アルバム『ルビュール』が「とうとう出たね。。。」。

 アニメではなく現実の世界でチェーンソーを振り回して大統領となったハビエル・ミレイが率いる国である。これぐらいのことで驚いてはいけないのかもしれない。19年のミニ・アルバム『プレタ』ではドタバタが少し空回りしている感じもあった。映像用に書いた曲のコンピレーションで聞けるのは暴力温泉芸者が〈Principe〉に移籍したような感じか。ここから4年置いてのリリースとなった『ルビュール(酵母)』は、パン屋を題材におとぎ話のような音が乱舞し続け、レーベルはこれを「ハイパー・フォーク・ブリコラージュ」と称している(なるほどスラップスティックなフォークトロニカである)。緩やかな導入の “Entrada a La Panadería(パン屋の入り口)” から唐突に奇天烈な “Parmigiano Reggiano(*チーズの商品名)” へ。華やかな乱れ打ちというのか、ぐちゃぐちゃなパーカッションの “Una Docena De Vigilantes(12人の自警団)” を経て少し落ち着いたかと思ったら、これだけはビートが主役になる “Amasar Y Celebrar(こねて祝う)” 。 “Fermentación(発酵)” はブラック・ダイスを思わせるポスト・ロックの残骸といったところ。浮かれまくった “Hojaldre(パイ生地)” と沈んだ展開の “Merienda Melancoholica(メランコリックなおやつ)” を経て細かな音を無数に組み合わせた “Especias(スパイス)” と珍しく民族音楽のかけらを張り合わせた “Microdosis Y Las Frutas Del Mercado(微妙なさじ加減と市場の果物)” へ。 “Se Rebalsó El Taper(吹きこぼれ)” はいかにも緊急事態といった感じで最後に音が波打つ “Atracón De Cañoncitos(谷間で暴飲暴食)” でしっかりと幕が閉じられる。小さな子どもが20年経ってもガチャガチャとお皿を叩き続けていたらこんな音楽になっているかもしれないという感じでしょうか。

第2回目:テイラー・スウィフト考  - ele-king

 彼女はすぐにショウを完売させて、チケットの販売窓口のプラットホームを圧倒する。彼女はファン文化を変えたと高く評価されている。そして、2023年――戦争、経済不安や地政学的不安に見舞われた12カ月間――『タイム』誌は彼女をパーソン・オブ・ザ・イヤーに選出した
 個人的な好みはさておき、私はいまだに混乱している。テイラー・スウィフトの何がそれほど革新的なのか? 誤解はしないでほしいのだが、彼女の人気が唖然とするほどとんでもないことはわかっている。その需要は非常に高く、Erasツアーでのチケット収入は一晩で1300万米ドルを超えたと推定されている。増殖しつつあるテイラー・スウィフトの研究者コホートを含む多くの専門家が、このスターの経済的な威力が彼女の文化遺産を証明するものだと指摘している。「彼女のErasツアーがもたらした経済効果は……前例のないものだ。彼女は文化的アイコンであるだけでなく、グローバル・エコノミー(世界経済)である」と、バージニア工科大学の学生担当副学部長、アリアナ・ワイアットは書いている
 が、しかし私がここで提言したいのは、テイラー・スウィフトの人気は彼女の持ち前のスター性を示しているものではなく、彼女が現代のメディア文化そのものであるのに加え、さらには彼女がメディアと適合してきた結果として人気を得ているのではないかということだ。つまり、ミュージシャンとして、そして現象としてのテイラー・スウィフトは、メディアとしてのポップへの畏敬の念が音楽としてのポップを凌駕していることを示していると。

I そう、私たちはメディアへの関心を、以前の主体への関心に変える必要がある。 これは、メディアが自分たちを旧来の世界の代替物にしてしまっていることへの論理的な答えなのだ!*1

 私たちは大好きなミュージシャンについて語られる無数のインタヴュー、ヴィデオやメッセージの掲示板に、タップするだけでアクセスできる時代(era)に生きている。私たちの誰もがそうであるように、メディアによって飽和状態になったイメージは、音楽ファンにとっては音楽そのものと同程度に(あるいはそれ以上に)重要になっている。そしてスウィフトは、ブロンドの髪で青い目をしたカントリー歌手からポップスに転向して成功した神童が、カニエ・ウェストのようないじめっ子体質の男や裏切り者の元カレのオンパレードに苛まれるという〝アメリカの恋人(American Sweetheart)〟の典型を呼び起こすことでパワフルなイメージを作り上げた。*2  彼女が楽器を演奏し、自分で曲を書く(あるいは共作する)ことも、真新しさという点において長年にわたって彼女の役に立っている。
 〝音楽〟という概念が〝ブランド〟の概念と結びついてしまったことで、ファンの消費パターンはより経済的にホリスティック(全体論的)なものとなった――とくにスウィフティーズにとっては、TSが創り出すすべてに対する彼らの熱狂が実際に〝ミクロ経済学ブーム〟を生み出している。最近の『ニューヨーク・タイムズ』の記事では、タフィー・ブロデッサー・アクナーが、テイラー・スウィフトの悪名高いファン集団の一員であるということには、どのようなことが伴われるのかを明らかにしている。

  最高レベルのスウィフティーであるということは、すべてのエネルギーを費やし、すべてを吸収するエヴイデンスと言う名の帝国へのアクセスが可能になることを意味する。それは、あらゆる質問への答えを持ち、謎が解決し、興奮して賢くなった気分になり、自分自身より大きなものに関わっていることを、スマホから顔を上げることなく感じることが可能になるということだ。

 つまり、基本的にファンであるということは、もはや音楽が好きということだけではない。スウィフティーズにとってそれは崇拝に近い。記事の著者は、彼女のライヴ・パフォーマンスについて下記のように述べている。

  厳粛なムードが漂っていた――スピリチュアル、と言ってもいい。私は夜明けに神殿の丘で祈りを捧げたことがある。聖書の祖先の墓で、震える嘆願者たちの中に立ったことも。身震いするほどの静寂の中、バチカンの奥深くの、さらに先の至聖所まで歩いたこともある。これは、(会場にいた)女の子たちの存在を除けば、まさにそのようなものだった。*3

 だからといってスウィフトの社会的な(かつ文字通りの)資本は、世界的な影響力の証拠なのだろうか。あるいは、過剰なメディアがポップ・スターをあらゆるレベルで崇拝できる神へと変えてしまったのか? おそらく両方の要素が少量ずつ含まれているのだろう。彼女の魅力のひとつは、『タイム』が「パーソン・オブ・ザ・イヤー」特集において「驚異的」とまで評したそのストーリー・テリングの才能にある。私もそれには同意する――そのストーリーが彼女のメディア上のペルソナである限りは。スウィフトが元友人や恋人(ケイティ・ペリー、ジョー・ジョナス、カルヴィン・ハリス、ジョン・メイヤー……)を暴露した音楽カタログの膨大さは有名だ。彼女は恋人に振られた話ばかりを歌っているわけではないが、その他の曲も大部分が自己を反映したもので、とくにメディアからの不当な描写について言及されることが多い。

 “Shake it Off”がすぐに思い浮かぶ。

  私は夜遅くまで出歩いている
  私の脳みそは空っぽ
  みんながそう言うの……
  私がデートばかりしている
  なのに誰とも長くは続かない
  みんながそう言うの……

 そして、“Mean”も。

  あなたは、寝返って
  ものすごい嘘と屈辱的な態度で
  私の欠点をあげつらった
  まるで私が気付いていないみたいに
  あなたをブロックするために下を向いて歩く
  もう二度とあなたを楽しませるつもりはないし
  私はもう一度、大丈夫な自分に戻りたいだけ

 彼女はまず主要なターゲットとなる聴衆を10代の苦悩を歌った曲で引き込んでから、尽きることのない自伝的な、ドラマティックな話題を提供して聴衆を虜にしてきた。そのようにして彼女は負け犬であると同時に女王としての地位を確立した。これは“Anti-Hero”の歌で見事に描写されている。

  私よ、ハーイ! 問題児の私だよ
  お茶の時間にみんなが同意するように
  私は太陽を直視できるのに、鏡を見ることはできない
  いつもアンチ・ヒーローを応援するのは、すごく疲れるだろうね

 説得力のある負け犬の物語でオーディエンスの情(パトス)に訴えかけると、皆が彼女を自分ごととして共感し始める! なんと賢いビジネス戦略なのだろう。これにより、スウィフトは両方のいいとこ取りができるようになった。彼女は〝誤解されている〟ものの、間違いなく今日生きている最大のポップ・スターであり、スタジアムでのショウの合間にフットボール・スターの彼氏のもとへプライベート・ジェット機で飛んでいく普通の女の子(エヴリーガール)だ。*4 ゴシップをめぐってのインタヴューにおける "信頼問題 "を抱えたスター、今回は誰のことを歌っているのかについてのジューシーな手がかりは、彼女のアルバムのために彼女が復活させたとされるヴァイナル上でも購入できる。*5
 いまではクリエイターが自伝からインスピレーションを得るのは普通のことだ(回顧録の筆者として自分も例外ではない)。これは、個人的なことが普遍的であるという逆説的な真実を表している。だが、テイラー・スウィフトの生活の特殊性は、我々庶民には決して親近感が持てるようなものではない。彼女が金持ちの出であることはよく知られており、家族は彼女の思春期に、音楽業界へ入るのに有利になるようナッシュヴィルに移住した。前出の『ニューヨーク・タイムズ』の記事によれば、その頃、彼女の友人たちが彼女抜きでショッピングモールに出かけていたという、〝少し死んでしまった〟出来事をきっかけに、急激に芽生えた彼女のアイデンティティーが結晶化し始めたという。銀のスプーンを持って生まれ、あきらかに有利なスタートを切った20年にもおよぶキャリアにおいて、その事件やいくつかの安っぽい失恋がリヴェンジの材料となっているのだろう。
 はっきり言うが、良い音楽を作るためにトラウマを持つ必要はないし、テイラー・スウィフトが不当な経験をしていないと言うつもりはない。メディアで活躍する女性として、彼女が男性であれば気にもされないようなことをいちいち詮索されてきたのは想像に難くない。*6 とはいえ、たとえばカニエ・ウェストがMTVアワードのスピーチで邪魔をしたとか、スーパーモデルのカーリー・クロスが彼女とはもうBFF(Best Friend Forever =ズッ友)ではいたくないと言ったことなどについて、私は限定的にしか共感できない。そもそもこのような問題を抱えること自体がじつに大きな特権なのだ。そして、私がスウィフトのカタログに欠けていると思うものは、そういうところからきている。つまり、真の才能から生まれたセンスと想像力で技巧を研ぎ澄まし、人生における残酷さで鍛え上げた鋼鉄のように洗練されたサウンドというような唯一無二のものが欠けている。それはルイ・アームストロングの、「私たちが演奏するのは人生そのものだ」という言葉が意味しているものだ。

II 情報過多に直面する私たちには、代替となるパターン認識が存在しない。*7

 さて、そろそろ音楽の話をしよう。正直に告白すると最初にテイラー・スウィフトの音楽を聴いたときの感想は、もしもチャットGPTに「Gapのコマーシャル・ソング用のサウンドトラックを作って」との指示を与えたら、できあがってきそうな曲、というものだった。それ以降、かなり真剣に時間を費やしてリサーチのために彼女のカタログを聴き込んだが、驚くことに、(いや、そうでもないか)私の印象は変わらなかった。
 スウィフトが全曲自作のアルバム(『Speak Now』 のように)をリリースしていることは称賛に値するし、彼女の音楽が〝キャッチー〟であることは認める。だが、メロディがおおむねモノトーン=単調音で(少し複雑な曲では、スリー・ノート)構成され、耳にこびりついて離れなくなり、頭から抜けなくなる(私は「You Need To Calm Down」を一度だけ、半分まで聴いただけで頭から消すことができなくなった)。彼女の曲の多くが瞬時に覚えられるほどシンプルで、いつまでも深く脳裏に焼き付いてしまい、彼女が何十年もの間、音楽を形成していくだろうと評価されるのも不思議ではない。
 だとしても、アルゴリズム的なメロディのセンスというものが音楽家の才能として称賛されるべきものなのだろうか? 真面目な話、私が聴いた限りでは(彼女のカタログの大部分ではあるが、網羅したというほどではない*8 )、ほとんどが1音から3音によるフックから成るものばかりだった。たとえば“Enchanted”では、メジャー・トライアド(長3和音)を上がっていき、コーラスで5度まで上がるだけ。“Cruel Summer”はほとんどがモノトーンで、文字通り1音でできており、コーラスでわずかにメロディックな企みが加えられている。“Welcome to New York”も“Blank Space”、“Maroon”他と同様にほとんどがモノトーンだ。ここには明らかに方程式が存在する。
 もういちど尋ねる。彼女は史上最高のソングライターの一人なのだろうか?  
 もちろん、いくつかの興味深い瞬間が味わえる作品もある。たとえば『Red』 でポップに転向したあとやそれ以前のギター演奏など。『Reputation』 と『Lover』、『Midnights』 といったアルバムにはそれぞれ独特の雰囲気があり、スタジオでの巧なプロデュースにより達成されたムードを醸し出している。ただ、古臭いと言われるかもしれないが、プロダクションの技術と音楽の革新性は別物だと思っている。だがその一方で、ことによったら私が他のポピュラー・ミュージックの達人たちを聴きすぎているだけかもしれない(ジャクソン5、大貫妙子、それから、伝統主義者だと思われるリスクを覚悟の上でいえば、ビートルズなど)。さらに、信頼できる語り手となるために、ここにカントリー・ミュージックのウィリー・ネルソン、ドリー・パートンにマール・ハガードの名も挙げておこう。
 私が言えるのは彼女の歌にはヒプノティックな性質があって、私などは狼狽させられるということだ。彼女の世界にいとも簡単に吸い込まれてしまう。これにはスウィフティーズも同意してくれるだろう。

III どのようなメディアにおいても、感覚を拡張して世界を満たすことによって、その領域に催眠術を施すような条件が作り出される。このことが、そのメディアが全体に及ぼす影響に、いかなる文化が過去を遡ってさえ、気付いていないことを証明している。*9 

 考えてもみてほしい。テイラー・スウィフトが人びとに喜びをもたらすのであれば、それは素晴らしいことだ。しかも、彼女の人気は、他のアーティストから何かを奪い取るものではなく、むしろ、彼女のSpotifyとの闘いは立派なもので、自分の地位を善のために使う完璧なやり方だった。私がここで強調したいのは、クリエイティヴの仕事というのは、本来、サイドビジネスであくせく働くことなく、その仕事を全うできるようになるということ。シングルマザーのもと、バーモント州の崩れ落ちそうな農家で、暖房費も稼げず、凍ったシャンプーを3分間のシャワーで解凍するような環境で育ち、ニューヨークでクリエイティヴなキャリアをスタートさせるのに狂ったように働く身としては、有名であることがいかに難しいかを、億万長者(おそらく)に一本調子のアンセムで愚痴られても、興味が持てないのだ。
 私はさらに、テイラー・スウィフトのブランドがある種の知的なチェックメイト[相手を打つ手がない状況に追い込む]のようになっていることを指摘しておきたい。もしテイラー・スウィフトの音楽を批判しようものなら、彼女自身を攻撃しているように捉えられる。もし、テイラー・スウィフト自身を攻撃するなら、その人はスウィフティーズが容赦なく攻撃するいじめっ子たち(meanies)の一人にされてしまうのだ。*10 どうやら、中立的な批評家になることは許されず、彼女の味方か敵かの、二択しかないようだ。この二分化が世界的なものかどうかはさておき、テイラー・スウィフトのブランドは「我々 対 彼ら」という音楽環境を作りだした。だが、率直に言って、いまの世のなかに必要なのが白か黒かの思考を増やすことだとは思えない。
 それにもっとも重要なのは、私がスウィフティーズではない人たちを認めるためにこれを書いていること。そう(イエス)、彼女のスーパー・スターダムは少なくともメディア漬けの現代を部分的には反映している。いや(ノ−)、しかしあなたがスウィフティーダムから外れたからといって、精神的なエクスタシーを逃しているわけではない。そして、そう(イエス)、――善の神さま、イエス――他の種類の音楽を好きでいることになんの問題はないのだ。挑戦的な音楽、真に革命的な音楽、現状を打破し、人びとを繋ぐことのできるサウンド。いち個人としての自分自身を発見させてくれる音楽——マーシャル・マクルーハン(本記事の、セクションごとの見出しの背景にいるメディア理論家)が命名した「電子情報環境における画一的な集団」の一人でも、 あるいは私なら「スワイフィー(Swifie)」と呼ぶかもしれないものの一員としてでもなく。

◆注

  • 1 マーシャル・マクルーハン :『カウンターブラスト』(ロンドン:Rapp&Whiting, 1969), 133
  • 2 スウィフトの自己プロデュースによるドキュメンタリーのタイトルでさえ、『ミス・アメリカーナ』と命名されている。
  • 3 私はこれには憤りを感じる。
  • 4 スウィフトは、自身が使用しない時は、プライベート・ジェットを頻繁に貸し出しているにも関わらず、データ報告書が歪められていると主張し、効果の怪しげな“カーボン・クレジット”を購入して自身の旅行数を相殺しているが、ここ数年で、もっとも二酸化炭素を排出するセレブだとされている。
  • 5 彼女のインスタグラムのコメントのタイム誌の記事へのリンクより引用。
  • 6 男性ミュージシャンが、露骨な女遊びでとがめられること、もしくは、あからさまには賞賛されないことがどれほどあるだろう?
  • 7 マーシャル・マクルーハン,前掲, 132
  • 8 彼女の多作家ぶりは尊敬する。
  • 9 マクルーハン, 前掲, 23
  • 10 公平を期すために。スウィフトはたまに、スウィフティーたちの悪行を注意する。元カレのジョン・メイヤーを攻撃しないように、などと。
  • 11 マクルーハン, 前掲, 142



Contextualizing Taylor Swift: A Gentle Reminder to Think For Yourself
By Jillian Marshall, PhD

She sells out shows so quickly it overwhelms ticket platforms; she’s credited with changing fan culture. And, in 2023 — twelve months marked by war, economic precarity, and geopolitical unrest — Time magazine named her Person of the Year.

Personal tastes aside, I’m still confused: what’s so revolutionary about Taylor Swift?

Don’t get me wrong— Swift’s popularity is awesome, in the literal, mind-boggling sense of the term. This woman is so in-demand that her estimated ticket revenue on the Eras tour surpassed thirteen million USD in sales per night. And many experts, including a growing cohort of Taylor Swift scholars, point to the star’s economic prowess as proof of her cultural legacy. “The economic impact that her Eras Tour… is unprecedented. She is not only a cultural icon, but also a global economy,” writes Ariana Wyatt, associate Dean of student engagement at
Virginia Tech University.

But I’m here to propose that Taylor Swift’s popularity isn’t indicative of her inherent star power; instead, Taylor Swift may be popular because of contemporary media culture itself, and the way she’s interfaced with it. In other words, Taylor Swift — as a musician and as a phenomenon — demonstrates how reverence for pop as medium has eclipsed pop as music.

I. Yes, we must substitute an interest in the media for the previous interest in subjects. This is the logical answer to the fact that the media have substituted themselves for the older world.1

We live in an era (pun intended) when countless interviews, videos, and message boards discussing the musicians we love are a tap away. Saturated by media as we are, image has become equally (if not more) important to music fans than music itself. And Swift has built a powerful one by invoking an American Sweetheart archetype2: young, blonde-haired and blue-eyed countryturned-pop music wunderkind bullied by meanies like Kanye West and a parade of backstabbing ex-boyfriends. That she played a musical instrument and wrote (or co-wrote) her own songs is also a novelty that’s served her well over the years.

With ideas of “music” now intertwined with the concept of a “brand,” fans’ consumption patterns have become more economically holistic— particularly for Swifties, as their fervor for all things TS actually creates “microeconomic booms.” In a recent piece for the New York Times,
Taffy Brodesser-Akner illuminates what membership in Taylor Swift’s notorious fan collective
entails:

Being a Swiftie at the highest level means access to an all-consuming, all-absorbing empire of evidence, where all the questions have answers, all the mysteries are solved, where you get to feel excited and smart and involved with something bigger than yourself without ever looking up from your phone.

So basically, being a fan isn’t just about liking music anymore; for Swifties, it’s closer to worship.
The author concurs when describing a live performance:

The mood was solemn — spiritual, even. I have prayed at dawn at the Temple Mount. I have stood among quivering supplicants at the graves of biblical forefathers. I have walked in trembling silence as I entered farther and farther into the inner sanctums of the Vatican. This was like that, except for girls.3

But is Swift’s social (and literal) capital evidence of universal appeal, or is it that media overload
has morphed pop stars into gods that we can worship on all levels?

Perhaps it’s a little bit of both. One aspect of her charm is her prodigious story-telling; in
their Person of the Year feature, Time magazine even called her penchant for it “extraordinary.”
I agree— so long as the story we’re talking about is her media persona. Swift’s musical catalog
exposing ex-friends and lovers (Katy Perry, Joe Jonas, Calvin Harris, John Mayor…) is famously
enormous. But while she doesn’t exclusively sing about jilted relationships, the bulk of her other
songs remain self-referential as well, particularly with regard to her unfair media portrayal.
“Shake it Off ” comes to mind:

I stay out too late
Got nothin’ in my brain
That’s what people say…
I go on too many dates
But I can’t make ‘em stay
That’s what people say…

Then there’s “Mean”:

You, with your switching sides
And your wildfire lies and your humiliation
You have pointed out my flaws again
As if I don’t already see them
I walk with my head down, trying to block you out
Cause I’ll never impress you
I just wanna feel OK again

So, after reeling in her target audience with songs about teenage angst, Swift has kept
them hooked with the never-ending drama of her autobiographical hot take. In doing so, she has
managed to establish herself as both an underdog and a queen. This is brilliantly portrayed on
“Anti-Hero,” where she sings:

It’s me, hi, I’m the problem, it’s me
At teatime, everybody agrees
I’ll stare directly at the sun, but never in the mirror
It must be exhausting always rooting for the anti-hero

What a clever business strategy: pull at your audience’s pathos with an underdog narrative so persuading that listeners begin to identify with identifying with you! This has enabled Swift has to enjoy the best of both worlds: she’s “misunderstood,” yet arguably biggest pop star alive today;
an everygirl who jets to her football star boyfriend between stadium shows4; a star with “trust
issues” about interviews who saves the best T — with juicy clues about who’s she singing about this time around — for her albums, which you can purchase on the vinyl she’s credited with reviving.5

Now, it’s normal for creatives to draw from autobiography for inspiration (as a memoirist, I’m no exception); it illustrates the paradoxical truth of the personal being universal. But the particularities of Taylor Swift’s life aren’t exactly relatable to us plebeians. It’s well-known that she comes from money, and that her family uprooted to Nashville during her adolescence to help her break into the music industry. It was around that time when, according to the aforementioned New York Times piece, Swift’s burgeoning identity began to crystallize after an incident when she “died a little”: her friends hung out at a mall without her.

Born with a silver spoon, I suppose that and some crappy breakups would constitute two decades of revenge fodder in a career kicked off with an indisputable head start.
To be clear, a person needn’t be traumatized to produce good music; I also don’t mean to say that Taylor Swift hasn’t experienced injustice. God knows that as a woman in media, she’s been scrutinized for things men get away with without mention.6 But my empathy is limited for, say, Kanye West interrupting an MTV awards speech or supermodel Karlie Kloss not wanting to be BFFs anymore. To have such problems is a mighty privilege indeed. And that’s what I find missing from Swift’s catalog: a sense of imagination, born of true grit, that sharpens craft and cultivates sound — tempered like steel the face of life’s brutality — that’s utterly unique.

What Louis Armstrong meant when he said, “What we play is life.”

II. Faced with information overload, we have no alternative but patternrecognition.7

Now let’s talk music.
I’ll come clean: my initial impression of Taylor Swift’s music was that it sounds like what ChatGPT might spit out if tasked with producing “soundtrack for a Gap commercial.” I have since clocked some serious time listening to her catalog in the spirit of research, but (un)surprisingly, my impression hasn’t changed.

I admire that Swift has released albums written entirely by herself (ala Speak Now), and I’ll acquiesce: her music is “catchy.” But with melodies more or less comprised of monotone (or, on more complex tracks, three-note) earworms, of course they get stuck in your head (I couldn’t turn “You Need To Calm Down” off in my mind after only listening to half the song one time). Many of her songs are so simple that they’re instantly memorizable, and get lodged in your brain so deeply so quickly that it’s no wonder she’s credited with shaping decades of music.

But is algorithmic melodic sensibility what were lauding as musicianship these days?

Seriously: from what I’ve listened to (a substantial portion of her catalog, but by no means exhaustive ), I really did hear mostly one to three note hooks. “ 8 Enchanted,” for example, just steps up a major triad, going up to a fifth for the chorus. “Cruel Summer” is mostly monotone — literally, one note — with some slight melodic intrigue added into the chorus.“Welcome to New York” is also almost entirely monotone, as is “Blank Space,” “Maroon,” and surely others: there’s clearly a formula here.

I ask again: one of the greatest song-writers of all time?

There are some interesting production moments that we can hear, though, particularly after she went pop with Red— and before that, of course, we got to hear her play guitar. The albums Reputation, Lover, and Midnights each have a distinct feel to them: moods achieved by clever production in the studio. Call me old fashioned, though, but production techniques are not the same thing as musical innovation. On the other hand, who knows? Maybe I’ve just listened to too many other masters of popular music (The Jackson 5, Taeko Ohnuki, and, at the risk of sounding like a traditionalist, the Beatles) — and country, for that matter, like Willie Nelson, Dolly Parton, and Merle Haggard — to serve as a reliable narrator here.

What I do know is that there’s a hypnotic quality her songs that I, for one, find unnerving. It’s a little too easy to get to sucked into her universe. Surely Swifties would agree with me there.

III. Any medium, by dilating sense to fill the whole field, creates the necessary conditions of hypnosis in that area. This explains why at no time has any culture bee aware of the effect of its media on its overall association, not even retrospectively.9

Look: if Taylor Swift brings people joy, that’s great. Plus, it’s not like her popularity takes away from other artists; in fact, I think her fight with Spotify was a noble one, and a perfect use of wielding her status for good. But I am here to emphasize that the creative’s work is never the work itself— it’s getting to the point where you’re able to do that work without toiling away at side hustles. So, as someone who grew up thawing frozen shampoo in three-minute showers (lest the well water ran out) because my single mom couldn’t afford to heat our ramshackle Vermont farmhouse — and hustling like a maniac in New York as I get my creative career off the ground — I’m not particularly interested in listening to some (estimated) billionaire complain in monotone anthems about how hard it is to be famous.

I’m also here to point out that Taylor Swift’s brand amounts to a kind of intellectual checkmate: if you criticize her music, then you’re attacking her. And if you’re attacking Taylor Swift, you’re one of those meanies who whom the Swifties will pile on, mercilessly.10 It seems that you can’t be a neutral critic; you’re either for her or against her. Whether this bifurcation was intentional or not is beside the point that Taylor Swift’s brand has created a musical environment of Us versus Them— and, frankly, the last thing our world needs right now is more black and white thinking.

Most importantly, I’m here to validate people who aren’t Swifties. Yes, her superstardom is at least partially reflective of our media-soaked times; no, you’re not missing out on spiritual ecstasy by opting out of Swiftiedom; and yes— good God, YES — it’s OK to like other kinds of music. Music that’s challenging, that’s truly revolutionary: sounds that challenge the status quo and brings people together. Music that makes you discover who you are as an individual— not as a member of what Marshall McLuhan (the media theorist behind these cool section headers) called “the uniform sphere of the electronic information environment” 11… or what I might call a “Swifie.”

1 McLuhan, 133.

2 Her self-produced documentary is even called Miss Americana.

3 I resent this.

4 Despite claiming that she frequently loans out her private jet, thereby skewing data reports, and offsets her own trips by buying dubiously effective “carbon credits,” Swift is thought to be the most carbon-polluting celebrity for years.

5 As quoted from her Instagram comment linking to the Time article.

6 How often are male musicians called out — or not overtly celebrated, for that matter — for blatant womanizing?

7 Marshall McLuhan, Counterblast (London: Rapp & Whiting, 1969), 132.

8 I admire her prolificness.

9 McLuhan, 23

10 To be fair, Swift will occasionally call out bad Swiftie behavior, like asking them to stop harassing her ex, John Mayor.

Jeff Mills - ele-king

 4月1日公演だからといってこれはエイプリル・フールではないですよ。来る4月1日(月)、新宿のZEROTOKYOにてジェフ・ミルズ総指揮の舞台作品『THE TRIP -Enter The Black Hole-』の公演が決定した。しかも戸川純が出演するという、これは驚きです。
 『THE TRIP』は、COSMIC LABと共同制作によるライヴ・オーディオ・ヴィジュアル作品で、音楽、映像、ライティング、そして歌とコンテンポラリーダンス、衣装デザインからなる、とにかく壮大な舞台アートらしい。じっさい、その場に行くとブラックホールに吸い込まれる感覚も味わえるとか。詳しくは以下のプレス資料を読んでください。

本公演は音楽、映像、ライティング、そして歌とコンテンポラリーダンス、衣装デザイン、すべてにおいてジェフ・ミルズ総指揮のもと各分野のコラボレーターを迎え入れ、5つの理論的なシナリオで宇宙の神秘に迫ります。

総合演出、脚本、音楽はジェフ・ミルズ。その宇宙観/思考をCOSMIC LABが映像演出で拡張します。また、音楽シーンにおいて圧倒的な存在感を放つ戸川純がシンガーとして参加するほか、コレオグラファー(振付)にはコンテンポラリーダンス〜デジタルアートと領域横断的な表現で世界的評価の高い梅田宏明、各出演アーティストの舞台衣装は日本を代表するブランド〈FACETASM〉のデザイナー落合宏理が手がけます。

もし私たちがブラックホールの中に入ることができたらどうなるのか? ブラックホールの反対側には何があるのだろうか? ジェフ・ミルズは今回の舞台芸術作品を通して、さまざまな理論的可能性の中で、宇宙とブラックホールの疑問について探究します。

これまで誰も体験したことのない聴覚と視覚に訴えかけるパフォーマンスは、ステージ上だけでなく会場全体を宇宙として捉え、観客を音と光の演出で包み込み、ブラックホールへと導きます。DJでもライブでもなく、ジェフ・ミルズとCOSMIC LABによる宇宙を題材とした総合舞台芸術、世界初のコズミックオペラです。

『THE TRIP』は、2008年にフランス・パリで初めてのパフォーマンスが行われ、日本では2016年に東京・浜離宮朝日ホールにてCOSMIC LABの映像演出によって作品が拡張されました。今回はブラックホールをテーマにした全く新しい作品となり、今後数年にわたって進化を遂げる壮大なプロジェクトの始まりとなります。

ブラックホールに向けての宇宙の旅で何が起こるのか、
そのテーマを探求できることをとても楽しみにしている。
テクノが創造された本当の理由がここにある。
——ジェフ・ミルズ

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開 催 概 要
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名 称:COSMIC LAB presents
JEFF MILLS『THE TRIP -Enter The Black Hole-』

会 場:ZEROTOKYO(新宿)

日 程:2024年4月1日(月)
第1部公演: 開場 17:30 / 開演 18:30 / 終演 20:00
第2部公演: 開場 21:00 / 開演 21:45 / 終演 23:15 ※第2部受付は20:30

出 演:
Sounds: JEFF MILLS
Visuals: C.O.L.O(COSMIC LAB)
Singer: 戸川純
Choreographer: 梅田宏明
Costume Designer: 落合宏理(FACETASM)
Dancer: 中村優希 / 鈴木夢生 / SHIon / 大西優里亜

料 金:
【1月26日(金)発売開始 ※枚数限定】
Early Bird入場券 7,000円
スタンディング優先入場券 11,000円
U25入場券 6,500円

【1月29日(月)発売開始 ※枚数限定】
ローチケ先行前売り入場券 9,000円

【3月1日(金)発売開始】
一般前売り入場券 11,000円

主 催:COSMIC LAB

企画制作:Axis Records、COSMIC LAB、Underground Gallery、DEGICO/CENTER

プロジェクトパートナーズ(AtoZ):FACETASM、株式会社フェイス・プロパティー、日本アイ・ビー・エム株式会社、一般社団法人ナイトタイムエコノミー推進協議会、株式会社TSTエンタテイメント

オフィシャルサイト:https://www.thetrip.jp

interview with Zaine Griff - ele-king

ひとつには2016年に亡くなったデヴィッド(・ボウイ)へのトリビュートという意味がある。ぼくなりのリスペクトをデヴィッドに示したかったんだ。

 ザイン・グリフのニュー・アルバムが完成した。前作『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』から1年という短いインターバルで登場した本作は、1980年代と現代が交差する複層的な構造を持った異色作となっている。
 前作『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』も、1980年代に完成間近にもかかわらず日の目を見なかった作品をザインが一から作り直したという1980年代と2020年代が折り重なる作品だった。『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』の経緯とザイン・グリフの経歴については昨年の記事を参照してほしい

 この『ダブル・ライフ』もまた、1980年代の縁がきっかけで誕生したアルバムだ。
 ザイン・グリフもその中心にいた1980年代初頭のニュー・ロマンティックス/フューチュアリストの代表的なユニットが、スティーヴ・ストレンジ、ラスティ・イーガン、ミッジ・ユーロらによるヴィサージだった。
 ザインはスティーヴ・ストレンジと同じ事務所に在籍していたこともあり、ヴィサージ周辺とは親密だった。
 1980年代以降も断続的に続いていたヴィサージは2015年のスティーヴ・ストレンジの死とともに活動を停止したが、2020年にラスティ・イーガンはスティーヴ・ストレンジに替わるヴォーカリストとしてザイン・グリフを迎えてヴィサージの復活を計画した。
 まずヨーロッパのフェスでライヴをおこない、新しいスタジオ・アルバムも制作する。ヴィサージの1980年の大ヒット曲 “フェイド・トゥ・グレイ” の共同作曲者であるクリス・ペインも新しいヴィサージの一員で、ザインとクリスはヴィサージのための曲作りに取りかかった。

「そう、あれがすべてのはじまりだった。まずはヴォーカリストとして参加してほしいとアプローチされたんだけど、その後曲も書いてくれという話になって、クリスと一緒に曲を書いたんだ。だから当初はヴィサージのためという意識があって、この曲をミッジ・ユーロやスティーヴ・ストレンジだったらどういうふうに歌うだろうかということも考えながら作っていたんだ」

 メンバーと仲がよかった上にヴィサージの音楽も気に入っていたため新しいヴィサージへの参加はうれしかったという。

「彼らの曲ではとくに “マインド・オブ・ア・トイ” が好きだった。メロディもリズムも最高だし、ミッジがあの曲を書いたときの思考プロセスも素晴らしい」

 しかし世界を襲ったコロナ禍によりニュージーランドに住むザインはヨーロッパへの渡航の手段がなくなり、新しいヴィサージのプロジェクトはフェード・アウトすることになってしまった。

「ヴィサージへの参加がお蔵入りになってしまった後もクリスとは曲を書き続けた。それがいま『ダブル・ライフ』になったというわけだ。ずっとクリスとの共同プロジェクトという認識だったけど、最終的にクリスが “これは君のプロジェクトだ” と言ってくれた。でも彼はこのアルバムのものすごく強力な部分を占めているよ。クリスがいなかったらこのアルバムはあり得ない」

 プロデューサーはこれまで多くの大物を手掛けてきたヒラリー・ベルコヴィッチ。

「当初、クリスと一緒にこのアルバムのための曲を作っていて、途中でクリスがプロデュースをヒラリーに頼むのはどうかと提案してくれたんだ。彼がいままで手がけてきたのはスティーヴィー・ワンダーやチャカ・カーン、ジャスティン・ティンバーレイク、マドンナ、ボビー・コールドウェルといった偉大なアーティストで、そんな彼がぼくのアルバムに興味を持ってくれるか半信半疑だった。でも、クリスはロスアンジェルスを拠点としているヒラリーとは映画音楽の仕事を通して面識があって、とにかくいまできているものを送ってみようと。するとすぐに “ぼくもぜひこのプロジェクトに参加したいけどいいかい? すばらしい内容だ” と返信があったんだ」

 このアルバムのための新曲は、ひとつのつながりを持つ連作小説や映画のようだ。

「最初にクリスと “トリップ、スタンブル・アンド・フォール” を作ったときに、短編映画みたいな世界だなと話して、それにつながる世界を持った “メリー・ゴー・ラウンド” や “ウォーキング・イン・ザ・レイン” に続いていった。それでアルバムの方向性が定まったんだ。曲調はちがっていても一貫したストーリー・ラインがあり、どの曲も映画のスコアのようなドラマテックな展開があると思う」

ユキヒロとリューイチ、そしてYMOへの敬意をこめてレコーディングした。いろいろありがとう、という気持ちの表れとしてね。もちろん、なかでもユキヒロは特別だ。

 前作の『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』も架空の映画のサウンドトラックという設定の作品だったが、今回は実際に映画音楽も手掛けているクリス・ペインとヒラリー・ベルコヴィッチが加わって、よりその傾向が高まった。

「そうだね。『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』では音楽的にたくさんのことを学んで、それが今回生かされていると思う。実際、このアルバムの制作と『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイ』は一時期同時進行でもあったし。今回、ヒラリーが短編映画の音楽的なイメージのコンセプトを手助けしてくれた。ヴィジュアルのコンセプトもよくメールで送ってくれたよ」

 この新作アルバム『ダブル・ライフ』は1980年代の楽曲のカヴァー(+セルフ・カヴァー)と2020年代の新曲がバランスよく並んでいる。ふたつの時代が交叉したようなタイトルもそこから来ている。

「そう、新旧のブレンドだね。バランスから来ているんだ。現在、過去、それから未来のね。ふたつの人生……昔の人生と、新しい人生」

 新曲と並ぶカヴァー作品のうち、最初に登場するのがデヴィッド・ボウイの “ブルー・ジーン” (1984)。1979年に共演したことのあるボウイをこのアルバムでカヴァーしようと思った理由と、その選曲が “ブルー・ジーン” という1984年の曲になった理由を訊いた。

「ひとつには2016年に亡くなったデヴィッドへのトリビュートという意味がある。ぼくなりのリスペクトをデヴィッドに示したかったんだ。もともとはこのアルバムをプロデュースしたヒラリー・ベルコヴィッチが候補曲として “ブルー・ジーン” を送ってきてくれた。すぐにこの曲をカヴァーしようと決めたよ。ぼくにとってはこの曲がデヴィッドを体現しているんだ。なによりロック感がすばらしいし、明るくポップだ。ファンタスティックなエネルギーに満ちてもいる。デヴィッドの最高曲のひとつだとぼくは思っているんだ。結果としてすごくいい出来栄えになったと思う。どこかの時点でぜひシングルとして出したいね」

 さらにセルフ・カヴァーで1982年のアルバム『フィギュアーズ』に収録されていた “フラワーズ”。

「もともとはヒラリー・ベルコヴィッチのアイデアだった。彼はむかしからこの曲が大好きだったそうで、今回一緒にやることになって、ぼくにこの曲のことをリマインドしようとしたんだね(笑)。彼が独自のアレンジで再構築して、自分で仮歌まで入れてぼくのところに送ってきたんだよ!(笑) 最初はずいぶん妙に聴こえたけれど、聴き込むうちに次第に気に入ってきて、あらためて彼とふたりで作業を続けて完成させた」

 この曲の1982年のオリジナル・ヴァージョンはケイト・ブッシュとのデュエットとなっていた。ケイト・ブッシュとザインはボウイもかつて学んだパントマイマーのリンゼイ・ケンプの劇団で同期であり、その縁でのデュエットだったが、今回、オリジナルのトラックからケイト・ブッシュのヴォーカルを抽出し、ザインが新しく吹き込んだヴォーカルとの再デュエットという形になっている。1980年代と2020年代の両者の共演ということになる。まさに “ダブル・ライフ” だ。

 そしてゲイリー・ニューマンの大ヒット曲 “カーズ” (1979)のカヴァー。このアルバムのコラボレーターであるクリス・ペインはかつてゲイリー・ニューマンのバンドのキーボディストでもあった。聴きどころはなんといっても、時間をトリップしたかのようなクリス・ペインによるシンセサイザーの音色作りだろう。1979年のオリジナルのままのアープ・オデッセイのサウンドが2020年代のザインのヴォーカルと融合することで、ここでもふたつの時代の生がクロスしている。
 1980年代と2020年代のふたつの人生。

「40年前にはいまこんな人生を送っているなんて想像したこともなかったよ」

 成功の道半ばでさまざまなトラブルでロンドンを離れ、故郷のニュージーランドに戻らざるをえなかったザインは、しかし2000年代にミュージシャン〜アーティストとして復活したいまとロンドン在住の当時とはしっかりとした連続性があると感じてもいる。

「とくに音楽的には当時ととても馴染みがある。今回使った80年代当時のヴィンテージ・シンセサイザーやサウンドスケープがこのアルバムを作る上でとてもしっくりきたんだ。あの頃やっていたことと似ているからね。そう、ニュー・ロマンティックス的な」

 この『ダブル・ライフ』はまさにニュー・ロマンティックスのムーヴメントと地続きになったアルバムだという思いもある。

「いまぼくやクリス、そしてラスティ・イーガンらがやっている音楽はニュー・ロマンティックスの部類に入ると思う。ニュー・ニュー・ロマンティックと言えるかな(笑)。実際、この40年間、つねにニュー・ロマンティックス的な音楽が消えたことはないし、こういうサウンドが大好きという若い人が増えているんだ」

 21世紀に入ってのネット上のアーカイヴの充実でかつてのニュー・ロマンティックスの音楽が若者たちに再発見されているという実感があるという。

「すごいことだよ。YouTubeでぼくの『灰とダイヤモンド』(79年のデビュー・アルバム)を見つけた人たちが、それをきっかけに検索して、さらにあの時代の音楽に惚れ込んでくれているんだ」

 もちろん、いま60代となったザインの生活は当時とは一変している。

「ぼく自身のライフスタイルはまったく違う。ロンドンにはたまに行っているけど住んでいないしね。ロンドンに住んでいた頃のぼくは、若くて野心に溢れていた。と、同時につねに不安に苛まれてもいた。成功しなかったらどうしようとね。いまも野心がないわけじゃないけど、若い頃みたいに何でも手に入れたいという感じではないんだ。もっとリラックスして、不安のない人生を送っているよ。むかしは想像できなかったような」

 もし、いまの彼が野心に溢れていた若きザインに会ったら、どんなアドバイスをするだろうか?

「若かりし頃のぼくか。……もっとがんばれとハッパをかけるだろうな。それと身の回りのスタッフやチームはかけがえのないものだ、大事にしろと言い聞かせるだろうね。そして、もし夢を持っているなら、その夢の人生を生きるために実現の可能性を想像しようよと」

 そして、もうひとつ大事なアドバイスもある。

「CD時代になってもアナログ・レコードは手放さないほうがいいというのは言っておきたい。ぼくはニュージーランドを離れるとき、ロンドンを離れるとき、それぞれレコードを手放して、同じものを三度買い直すことになったからね(笑)」

 また、この40年間でもっとも印象深い音楽的な出来事は、やはりDTMやネットの発達によるファイル交換での音楽制作の実現だという。

「そう、ぼくにとっていちばん大きかったのはプロダクション、レコーディングのクリエイションの方法。むかしは人間がスタジオで一緒に作業していたのに、ベッドルームでProToolsなどのプログラムを使って曲を作れるようになった。そうすることによって、人間的な要素が欠けるようになってしまった。だから今回、ぼくとクリスはDTMを使いながらも、なるべく人間的な要素を取り入れているんだ。本物のドラムスを使うし、ヴォーカルも生声だ。ギターもキーボードも本物」

 アルバム『ダブル・ライフ』は基本的にすべてリモートで制作されている。ニュージーランド在住のザインとコラボレーターのクリス・ペイン(フランス在住)、プロデューサーのヒラリー・ベルコヴィッチ(アメリカ在住)、そしてイギリスやバルバドスに住む複数のミュージシャンたちは誰とも顔を合わせずに個々にレコーディングの作業を行なった。全員がひとつのスタジオに集まり、何週間も顔を突き合わせてアルバムを作っていたあの頃とは大きくちがう。
 もしこのアルバムが昔のように全員でどこかに集まってレコーディングされていたら同じアルバムでもムードは大きく変わったのだろうか?

「あまりにすばらしい質問で答えられないよ!(笑) 本当にいい質問だ。みんながひとつの部屋に集まって、しゃべりながら曲をプレイしていたらどうなるかって? ぼくには答えがわからない。今回、ぼくたちはリモートですばらしいアルバムを作ることができたけど、そうだね、いつかはまたみんなで一か所に集まってアルバム作りをすることができればいいね」

自分史上最高傑作だと思っているよ。ぼく自身のあらゆる面を網羅していると思う。

 そしてこの『ダブル・ライフ』には3曲のボーナス・トラックが付け加えられている。
 ひとつは1982年の高橋幸宏のアルバム『What Me Worry?』にザインが提供した “ディス・ストレンジ・オブセッション” のセルフ・カヴァー。もちろん、昨年1月に逝去した高橋幸宏への追悼の思いをこめたものだ。

「訃報を聞いたときから、彼と仕事したときのことをひたすら思い出していたよ。あれは素晴らしい経験だったなと振り返った。そして、何かをお返ししたいと思った。それで “ディス・ストレンジ・オブセッション” をアルバムでセルフ・カヴァーしようと決めたんだ。とにかくなにかをやらずにはいられなかった」

 さらに3月には坂本龍一も亡くなった。

「そう。それもショックだった。彼にはYMOのロンドン公演のときに一度会ったきりだったけれど、音楽はずっと聴いていた。今回カヴァーした “以心電信” も発表された当時に聴いて、それ以来ずっとお気に入りの1曲だった。そこで今回、ユキヒロとリューイチへの追悼を込めてこの曲をカヴァーしようと、友人に英訳を頼んで歌ってみたんだ。この曲はユキヒロとリューイチ、そしてYMOへの敬意をこめてレコーディングした。いろいろありがとう、という気持ちの表れとしてね。もちろん、なかでもユキヒロは特別だ。1982年にお互いのアルバムに参加して、当時彼が借りていたロンドンのフラットでディナーをご馳走してもらったことも覚えている。ずっと一緒に過ごしてお互いをよく知るようになったんだ」

 もう1曲2ヴァージョンのボーナス・トラックである “トリップ、スタンブル・アンド・フォール” のリミックスを手掛けたのはヘヴン17のマーティン・ウェア。ザインと同時期にデビューし、現在も精力的な活動を続けているいわば同窓生とのコラボレートだ。

「もともとは『ザ・ヘルデン・プロジェクト//スパイズ』を発表したときにマーティンが彼のラジオ番組でインタヴューしてくれたんだ。インタヴューが終わった後もずっと話していて、彼に “他に何かやっているの?” と訊かれてクリス・ペインと一緒に仕事をしていて、実は “トリップ、スタンブル・アンド・フォール” という曲を作ったばかりだと話したら、“わたしにそのリミックスをさせてくれるかい?” と申し出てくれたんだ。それでファイルをマーティンに送ってリミックスを作ってくれんだけど、インストゥルメンタル・ヴァージョンまで一緒に送られてきた(笑)。ありがたいから両方入れることにした」

 この『ダブル・ライフ』はおそらくザイン・グリフの作品のなかで、もっともエネルギッシュであると同時に深い思索を伴い、なおかつポップなものとなった。本人としても大きな手応えを感じている。

「もちろん、自分史上最高傑作だと思っているよ。ぼく自身のあらゆる面を網羅していると思う。『ダブル・ライフ』の醸し出す雰囲気は、聴いたオーディエンスがそれぞれまったく違うストーリーを自分自身のものとして脳裏でヴィジュアル的に思い描かせると思う。それこそがこのアルバムの醍醐味だと思うね。音楽的であると同時にヴィジュアル的でもあるんだ」

 この自信作とともに、今年は精力的にライヴ活動をおこなう予定だ。

「まず7月19日に、ここニュージーランドのオークランドでショウがブッキングされている。この『ダブル・ライフ』と『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』の曲を中心にシアトリカルなのライヴになると思う。その中にはがユキヒロと一緒にやった “ディス・ストレンジ・オブセッション” や “使いすてハート” も含めて、ぼくの代表作を網羅したものにするつもりだよ。日本にもぜひ行きたいと思っている。日本のみなさん、今年はぜひ会いましょう!」

ザイン・グリフ オリジナル・アルバム・ディスコグラフィー


『灰とダイアモンド(Ashes and Diamonds)』1980年


『フィギュアーズ(Figures)』1982年


『Child Who Want the Moon』2011年(日本未発売)


『ザ・ヴィジター(The Visitor)』2013年


『ムード・スウィングス(Mood Swings)』2016年


『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』2022年


『ダブル・ライフ』2024年

bod[包家巷] - ele-king

 DJ/オーガナイザーのSoya Ito (dj woahhaus)が主催するパーティーシリーズ〈Mana〉が、ベルリンを拠点とする電子音楽家・bod[包家巷] を迎え、渋谷WWWにて1月27日に開催される。

 中国にルーツを持ち、アメリカで育ったのちベルリンに移動したbod[包家巷]は、出自に基づくオリエンタルな美学をノイジーに昇華させたサウンドスケープが魅力のアーティスト。グライム~ダブステップ以降の脱構築的なベース・ミュージックを通過したアンビエントの発信者としても知られ、ヤング・リーンやドレイン・ギャングなど2010年代以降の新たなクラウド・ラップを牽引するストックホルムのレーベル〈YEAR0001〉などからのリリースと謎めいたスタイルがカルト的な支持を集めている。

 そんなbod[包家巷]の初来日ツアーの東京編をサポートするのは、ドイツ・ベルリンへの長期留学を経て東京へ帰還した新鋭・Soya Ito。昨年夏にはベルリンでも開催された新世代ユースの実験的パーティー〈Mana〉にて孤高の電子音楽家を迎える。

 bod[包家巷]に加えベルリンからレーベル〈Transatlantic〉を主催するDJ・official freestyler、日本に出自を持ち現在はドイツを拠点とするYUI、ルーマニアのA/Vアーティスト・carmen、リベリアの美術家・naptalimを招聘。ローカルアクトにはange、E.O.U、荒井優作、saifa 砕破、dj woahhaus、illequal、itachi、munéoと次世代のエッジーな電子音楽家がラインナップされている。メイン・ステージのWWWを耽美的かつ実験的なリスニングの場とし、サブ・フロアのWWWβをオルタナティヴな2020年代型レイヴ/クラブ志向の場として切り分けていることも特徴的だ。

 音楽だけでなくステージングにも注力し、ハイブリッドなクラブ体験を提供する姿勢はまさしくパンデミック以降の潮流だろう。主役のbod[包家巷]はもちろん、2024年のいま東京のアンダーグラウンドなクラブ・シーンで起きているムーヴメントを肌で感じる機会にもなる一夜をぜひ体験してほしい。

〈Mana〉
2024/01/27 SAT 23:30 at WWW & WWWβ
U23 / Early Bird(早割) ¥2,300 | ADV(前売り) ¥2,800
(Over 20 only・Photo ID required)
Ticket: https://t.livepocket.jp/e/arx8e

[WWW]
ange
bod[包家巷][DE]
E.O.U
naptalim[LR]
Yusaku Arai
saifa 砕破

Staging: yoh murata

[WWWβ]
dj woahhaus
illequal
itachi
munéo
official freestyler[DE]
Prius Missile
YUI អ”[RO]
Staging: condo

Lounge Exhibiton: naptalim [LR], 素手喧嘩 sudegenka
Flyer : Shine of Ugly Jewel

〈Mana〉

music for Gaza : パレスチナを考える - ele-king

 パレスチナ問題にまつわる痛ましいニュースが日々目に飛び込む2023年、今年は暗澹たる気持ちを抱えたまま年を越すことになりそうだ。それでも、ガザ地区への連帯を示し少しでも行動しようとするのであれば、バンドキャンプなどでリリースされているいくつかのドネーションを目的としたコンピレーション・アルバムに耳を傾けてみてはいかがだろうか。
 2023年12月6日に〈naru records〉よりリリースされたコンピレーション・アルバム『A Better Tomorrow For Palestine』は、日本人もしくは日本を拠点に活動するアーティストの協力のもと制作された。SUGAI KEN、Mars89、食品まつり a.k.a Foodman、Prettybwoyなど錚々たる面々が参加し、若手からは〈PAL. Sounds〉を主宰するE.O.U、〈みんなのきもち〉の中核的存在Ichiro Tanimotoも連帯を示している。また、オンライン上でDJミックスやポッドキャストなどを展開するプラットフォーム・radio.syg.maによる『IN SOLIDARITY WITH PALESTINE』には愛知のエクスペリメンタル・デュオNOISECONCRETEx3CHI5が参加。ここ日本でも、たしかにパレスチナの惨状に寄り添う試みが広がっているようだ。
 ほかにも、フランスのアーティストを中心に立ち上げられたコンピレーション・アルバム『Free Palestine VA01』、イタリアのアーティストを中心に結成された〈International Artists For Gaza〉によるシリーズ『IAFG - Vol. 1, 2』など、DIYでの営みのなか自然に育まれてきた世界中のバンドキャンプ・コミュニティでこのような支援の形を発見できる。ぜひ一度目を通してほしい。

naru records『A Better Tomorrow For Palestine』(日本)

2023年12月6日リリース
https://narurecords.bandcamp.com/album/a-better-tomorrow-for-palestine

SARAB | سراب『IN SOLIDARITY WITH PALESTINE』

2023年12月19日リリース
https://radiosygma.bandcamp.com/album/in-solidarity-with-palestine

V.A『Free Palestine VA01』(フランス)

2023年12月11日リリース
https://freepalestineva.bandcamp.com/album/free-palestine-va01

International Artists For Gaza『IAFG - Vol. 1』『Vol. 2』(イタリア)


2023年11月30日、12月20日リリース
https://iafg.bandcamp.com/album/iafg-vol-1
https://iafg.bandcamp.com/album/iafg-vol-2

みんなのきもち - ele-king

 東京の若きトランス・パーティー・クルー〈みんなのきもち〉が、環境音楽とアンビエントに特化したレイヴ・シリーズ〈Sommer Edition〉の第三弾を新年1月3日に東京・新木場某所の倉庫を舞台に開催する。

 〈Boiler Room Tokyo: Tohji Presents u-ha〉への出演も話題となったが、活動の主軸は完全自主で不定期開催するレイヴである。匿名通話アプリを用いたシークレット開催(〈Sommer Edition〉のような特定の催し以外、今後の開催は地下化するともアナウンスされている)や、今回のようなアンビエント・レイヴなど、その内容は決して「ハイパー」という惹句ではひとくくりにできない2020年代以降の電子音楽の可能性を提示するものだ。

 〈Sommer Edition〉はトランス、ヒップホップ、ポスト・クラブ(デコンストラクテッド・クラブ以降の脱構築的・実験的なクラブ・ミュージック群)など様々なジャンルをアンビエント/環境音楽というフォーマットに落とし込む実験的なレイヴ・パーティー。クラシックのコンサートから着想を得て、ダンス・ミュージックやクラブという文脈から離れた場で新たな音楽鑑賞のスタイルを提案することを目指しているとのこと。寝ても座ってもいいし、踊ってもいい。個々人がサウンドスケープの膜に包まれながら、気ままに過ごせる集いの場を日の入り/日の出の時間にあわせて提供する。現在ベルギーより来日中のポスト・クラブ・アーティストBugasmurf(f.k.a buga)のほか、ヘッドライナーとなるアーティストの出演もアナウンスされている(こちらは1月1日に追加解禁)。

 目まぐるしいスピードで移り変わり続ける世の中だからこそ、速度のベクトルには回収されない音楽が自然と求められる。ユースの熱意と感性が新たに掴み取ったアンビエント・ユートピアに興味を抱いた方は、新年のはじまりを彼らに委ねてみてはいかがだろうか?

〈みんなのきもち〉Sommer Edition Vol.3
Wednesday January 3rd, 2024 3PM
東京都江東区新木場3-4-7 / 3-4-7 Shinkiba, Koto-ku, Tokyo-to, Japan
ADV ¥3,000 / DOOR ¥4,000
Ticket link: https://0103se3.peatix.com

Lineup (A to Z)

Secret Guest (1月1日公開)
ast midori
Bugasmurf (BE)
botsu vs nul
gpu Angel Nyx
堀池ゆめぁ
LSTNGT
Shu Tamiya
VIO-SSS

※このイベントは違法に、またはその可能性がある上で開催されるものではありません。安心して参加してください。
※開催後の中断/中止があった場合の返金対応はいたしません。ご了承ください。開催前の中止については返金対応を行います。
※薬物、その他違法性のあるものの持ち込み禁止。見つけ次第警察に通報します。
※会場、および周辺での事故、事件には責任を負いかねます。
※未成年の入場可。

〈みんなのきもち〉

東京を拠点に活動するレイヴ・クルー。実験音楽からヒップホップ、ボーカロイドまでをもルーツに持ち、トランス・ミュージックを主軸としたさまざまな要素を取り入れ新しいスタイルを確立。イベント・オーガナイズの他に、DJや照明演出も手掛ける。2021年の発足以来、ブリュッセルやベルリンのインディペンデント・レーベルとのコラボ・ショーケースや、シンガー・松永拓馬のリリース・パーティーなどを開催。またDJユニットとしても様々なイベントに出演し、〈Boiler Room〉からアンダーグラウンドのパーティーまで幅広い場所に出演。

Kiyoshi Sugimoto - Our Time - ele-king

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