「OTO」と一致するもの

Mika Vainio + Ryoji Ikeda + Alva Noto - ele-king

 2002年9月23日。英国のニューキャッスルにあるバルティック・センター・フォー・コンテンポラリー・アーツにて、ミカ・ヴァイニオ、池田亮司、アルヴァ・ノト(カールステン・ニコライ)らによる最初で最後の競演が行われた。今から16年も前の出来事である。しかし、その音響は明らかに「未来」のサウンドだ。今、『Live 2002』としてアルバムとなったこの3人の競演を聴くと、思わずそう断言してしまいたくもなる。
 この『Live 2002』には、音響の強度、運動、構築、逸脱、生成、そのすべてがある。11のトラックに分けられた計45分間に及ぶ3人のパフォーマンスを聴いていると、00年代初頭のグリッチ・ノイズ/パルスを取り入れた電子音響は、この時点である種の到達点に至っていたと理解できる。強靭なサウンドで聴き手の聴覚を支配しつつも、無重力空間へと解放するかのような音響が高密度に放出されているからだ。このアルバムのミニマル・エレクトロニック・サウンドは、00年代初頭の電子音響・グリッチ・ムーヴメントの最良の瞬間である。
 2002年といえばカールステン・ニコライはアルヴァ・ノト名義で『Transform』を2001年にリリースし、いわゆる「アルヴァ・ノト的なサウンド」を確立した直後のこと。池田亮司も2001年に『Matrix』をリリースしそれまでのサウンドを総括し、翌2002年には弦楽器を導入した革新的アルバム『op.』を発表した時期だ。ミカ・ヴァイニオも Ø 名義で2001年にアルヴァ・ノトとの競演盤『Wohltemperiert』を、ソロ名義で2002年にフェネスとの競演盤『Invisible Architecture #2』を、パン・ソニックとしてもバリー・アダムソンとの共作『Motorlab #3』、翌2003年にはメルツバウとの共作『V』もリリースしており、コラボレーションを多く重ねていた。
 つまり彼らは、これまでの活動の実績を踏まえ、大きく跳躍しようとしていた時代だったのではないか。逆に言えばそのサウンドの強度/個性はすでに完成の域に至っていた。そう考えると『Live 2002』の充実度も分かってくる。3人の最初の絶頂期において、その音が奇跡のように融合したときの記録なのだ。この種の「スーパーグループ」は単なる顔合わせに終わってしまうか、今ひとつ個性がかみ合わないまま終わってしまう場合が多い。しかし本音源・演奏はそうではない。以前から3人が競作していたようなノイズ/サウンドを発しているのだ。

 とはいえ3人揃っての競作・競演はないものの、カールステン・ニコライと池田亮司はCyclo.としてファースト・アルバムを2001年にリリースしていたし、ミカもカールステン・ニコライ=アルヴァ・ノトと共作『Wohltemperiert』を2001年にリリースしているのだから、すでに充実したコラボレーションは(部分的にとはいえ)実現していた。
 ゆえに私はこの『Live 2002』の充実は、才能豊かなアーティストである3人がただ揃っただけという理由ではないと考える。そうではなく2002年という時代、つまりはグリッチ以降の電子音響が、もっとも新しく、先端で、音楽の未来を象徴していた時代だからこそ成しえた融合の奇跡だったのではないか、と。
 むろん『Live 2002』を聴いてみると、このパルスは池田亮司か、このノイズはミカ・ヴァイニオか、このリズミックな音はアルヴァ・ノトか、それともCyclo.からの流用だろうか、などと3人のうちの誰かと聴き取れる音も鳴ってはいる(M4、M5、M6、M10など、リズミック/ミニマルなトラックにその傾向がある)。
 しかし同時にまったく誰の音か分からないノイズも鳴っており(クリスタル・ドローンなM7、強烈な轟音ノイズにして終曲のM11など)、いわばいくつもの電子音の渦が、署名と匿名のあいだに生成しているのである。それは3人が音を合わせたというより、この時代に鳴らされた「新世代サウンド、ノイズ」ゆえの奇跡だったのではないか。グリッチ電子音響時代の結晶としての『Live 2002』。

 90年代中期以降に世界中に現れたグリッチ的な電子音響音楽は、グリッチの活用による衝撃というデジタル・パンクといった側面が強かったが(キム・カスコーン「失敗の美学」)、00年代初頭以降は、それを「手法」として取り込みつつ、電子「音楽」をアップデートさせる意志が強くなってきたように思える。つまり電子音響が、大きくアップデートされつつある時期だったのだ。彼ら3人の音もまたそのような時代の熱量(音はクールだが)の影響を十二分に受けていた。先に描いたようにちょうどこの時期の3人のソロ活動からその変化の兆しを聴きとることもできるのだ。
 膨大化するハードディスクを内蔵したラップトップ・コンピューターや独自のマシンによって生成された電子音響/音楽/ノイズは、和声や旋律、周期的なリズムなど「音楽」的な要素を持たなくとも、その多層レイヤー・ノイズやクリッキーに刻まれるリズムによって聴き手の聴覚を拡張し、音楽生成・聴取の方法までも拡張した。90年代以降の電子音響は、21世紀最初の「新しい音楽」であったのだ。
 そのもっとも充実した時期の記録が本作『Live 2002』なのである。このアルバムは2017年に亡くなったミカ・ヴァイニオへの追悼盤ともいわれているが、〈ラスター・ノートン〉からの「分裂」(という言い方は正しくはないかもしれない)以降、カールステン・ニコライが主宰する新レーベル〈ノートン〉のファースト・リリースでもある以上、単に過去を振り返るモードでもないだろう。「追悼と未来」のふたつを、21世紀の最初の新しい音響/音楽に託して示しているように思える。
 じっさい『Live 2002』を聴いていると、そのノイズ音響は明晰で、強靭で、もはや2018年のエクスペリメンタル・ミュージックにしか思えない瞬間が多々ある。2002年という「00年代電子音響の最初の充実期」において、ミカ・ヴァイニオ、池田亮司、カールステン・ニコライの3人は2018年に直結する刺激と破格のノイズを鳴らしていた。16年の月日を感じさせないほどに刺激的な録音である。

 2002年、電子音楽には未来のノイズが鳴っていた。そして2018年、その過去との交錯から今、電子音楽/音響の歴史が、また始まるのだ。


GEIST - ele-king

 昨年出た YPY 名義のアルバムも記憶に新しい日野浩志郎。バンド goat の牽引者でもある彼が2015年より続けている大所帯のオーケストラ・プロジェクトをさらに発展させた公演が、3月17日と18日、大阪の名村造船所 BLACK CHAMBER にて開催される。イベント名は《GEIST(ガイスト)》。マルチチャンネルを用いた音響により、空間全体を使って曲を体験できる公演となるそうだ。ローレル・ヘイロー最新作への参加も話題となったイーライ・ケスラー、カフカ鼾などでの活動で知られる山本達久らも出演。詳細はこちらから。

GEIST

Virginal Variations で電子音と生楽器の新たなあり方を提示した日野浩志郎(goat、YPY)の新プロジェクトは、自然音と人工音がいっそう響き合い光と音が呼応、多スピーカー採用により観客を未知なる音楽体験へと導く全身聴取ライヴ……字は“Geist

島根の実家は自然豊かな場所にあって、いまは、雨が降っている。その一粒一粒が地面を叩く音をそれぞれ聞き分けることはもちろんできないから、広がりのある「サー」という音を茫と聞く。やがて雨があがり陽が射すと、鳥や虫の声が聞こえてくる。家の前の、山に繋がる小さな道を登っていけば、キリキリキリ、コンコン、と虫の音がはっきりしてくる。好奇心をそそられ、ある葉叢に近づくと音のディテイルがより明瞭に分かる。さらに、たくさんのほかの虫の声や頭上の風巻き、鳥の声、葉擦れ衣擦れなどを耳で遊弋し、小さな音を愛でる自分の〈繊細な感覚〉に満足、俄然興が乗り吟行でもせんかな、いや、ふと我に返る。と、それまで別々に聞いていた音が渾然となって耳朶を打っていることに気づきなおしてぼう然する。小さな音が合わさって、急に山鳴りのように感じる。……。「〈繊細な感覚〉なんてずいぶんいい加減なものだ」と醒めて、ぬかるんだ山道で踵を返す。きっと、あの時すでに“Geist”に肩を叩かれていたのだ――。

【日時】
2018年 3月17日(土)
昼公演 開場:13:30 開演:14:00
夜公演 開場:19:00 開演:19:30

2018年 3月18日(日)
昼公演 開場:13:30 開演:14:00
夜公演 開場:19:00 開演:19:30

【会場】
クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地) BLACK CHAMBER
〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
大阪市営地下鉄四つ橋線 北加賀屋駅4番出口より徒歩10 分
https://www.namura.cc

【料金】
前売り2500円 当⽇3000円

【ウェブサイト】
https://www.hino-projects.com/geist

【作曲】
日野浩志郎

【出演者】
Eli Keszler
山本達久
川端稔 (*17日のみ出演)
中川裕貴
安藤暁彦
島田孝之
中尾眞佐子
石原只寛
亀井奈穂子
淸造理英子
横山祥子
大谷滉
荒木優光

【スタッフ】
舞台監督 大鹿展明
照明 筆谷亮也
美術 OLEO
音響 西川文章
プロデューサー 山崎なし
制作 吉岡友里

【助成】
おおさか創造千島財団

【予約方法】
お名前、メールアドレス、希望公演、人数を記載したメールを hino-projects@gmail.com まで送信ください。またはホームページ上のご予約フォームからも承っております。

【プロフィール】

日野浩志郎
1985年生まれ島根出身。カセットテープ・レーベル〈birdFriend〉主宰。弦楽器も打楽器としてみなし、複合的なリズムの探求を行う goat、bonanzas というバンドのコンポーザー兼プレイヤーとしての活動や、YPY 名義での実験的電子音楽のソロ活動を行う。ヨーロッパを中心に年に数度の海外ツアーを行っており、国内外から様々な作品をリリースをしている。近年では、クラシック楽器や電子音を融合させたハイブリッドな大編成プロジェクト「Virginal Variations」を開始。

Eli Keszler
Eli Keszler(イーライ・ケスラー)はニューヨークを拠点とするアーティスト/作曲家/パーカッション奏者。音楽作品のみならず、インスタレーションやビジュアルアート作品を手がける彼の多岐に渡る活動は、これまでに Lincoln Center や The Kitchen、MoMa PS1、Victoria & Albert Museum など主に欧米で発表され、注目を浴びてきた。〈Empty Editions〉や〈ESP Disk〉、〈PAN〉、そして自身のレーベル〈REL records〉からソロ作品をリリース。ニューイングランド音楽院を卒業し、オーケストラから依頼を受け楽曲を提供するなど作曲家としても高い評価を得る一方で、最近では Rashad Becker や Laurel Halo とのコラボレーションも記憶に新しく、奏者としても独自の色を放ち続けている。

山本達久
1982年10月25日生。2007年まで地元⼭⼝県防府市 bar 印度洋を拠点に、様々な音楽活動と並行して様々なイベントのオーガナイズをするなど精⼒的に活動し、基本となる音楽観、人生観などの礎を築く。現在では、ソロや即興演奏を軸に、Jim O'Rourke/石橋英子/須藤俊明との様々な活動をはじめ、カフカ鼾、石橋英子ともう死んだ⼈たち、坂田明と梵人譚、プラマイゼロ、オハナミ、NATSUMEN、石原洋withFRIENDS などのバンド活動多数。ex. 芸害。青葉市子、UA、カヒミ・カリィ、木村カエラ、柴田聡子、七尾旅人、長谷川健⼀、phew、前野健太、ヤマジカズヒデ、山本精⼀、Gofish など歌手の録音、ライヴ・サポート多数。演劇の生伴奏・音楽担当として、SWANNY、マームとジプシーなど、主に都内を中心に活動。2011 年、ロンドンのバービカン・センターにソロ・パフォーマンスとして招聘されるなど、海外公演、録音物も多数。


Event details - English -

Following “Virginal Variations”, a project which explored a new way of merging electronic and acoustic sounds, Koshiro Hino (from goat and YPY) presents his latest composition, titled “Geist”. Set in an immersive environment with interacting sounds and lightings, “Geist” invites audience to a new world of live music experience which people listen sounds with their whole body.

My home in Shimane is located in a nature-rich environment, and now, it’s raining outside. Needless to say, I cannot hear each of the raindrops hitting the ground, so I hear the rain’s “zaaaaa” sound that spreads in space. Soon after, the rains stopped and sunshine began to pour, and I started to hear the sounds of birds and insects. As I walk up the small path that connects from my home to the mountain, those insects’ buzzing and creaking sounds became more clear. As I get closer to the trees, the sound details became more distinct. With my ears, I observed closely a myriad of sounds from other insects, the wind blowing above, birds, rustling leaves and my own clothing. I enjoyed my ‘delicate sensibility’ that appreciates those little sounds, thinking, “Maybe I suddenly get excited and start composing a poem…” But soon later, I came back to myself. And suddenly, I got stunned, realizing that the sounds I heard separately now forms a harmonious whole and hits my ears. Those little sounds became one, and I hear it as if the mountain is rumbling... “The ‘delicate sensibility’ is so unreliable. “ I recalled myself and walked back the muddy path. — And by then, I now believe that I had already made my encounter with “Geist”.

[Date / Time]
Saturday, March 17, 2018
Day time performance Open: 13:30 Start: 14:00
Night time performance Open: 19:00 Start: 19:30

Sunday, March 18, 2018
Day time performance Open: 13:30 Start: 14:00
Night time performance Open: 19:00 Start: 19:30

[Venue]
Creative Center Osaka (Old Namura Ship Yard) BLACK CHAMBER
4-1-55, Kitakagaya, Suminoe Ward, Osaka City, Osaka 559-0011
https://www.namura.cc

[Price]
Advanced ¥2500 Door ¥3000

[Website]
https://www.hino-projects.com/geist

[Composed by]
Koshiro Hino

[Performers]
Eli Keszler
Tatsuhisa Yamamoto
Minoru Kawabata (*only on the 17th)
Yuuki Nakagawa
Akihiko Ando
Takayuki Shimada
Masako Nakao
Tadahiro Ishihara
Nahoko Kamei
Rieko Seizo
Shoko Yokoyama
Koh Otani
Masamitsu Araki

[Staff]
Stage direction - Nobuaki Oshika
Lighting design - Ryoya Fudetani
Stage art - OLEO
Sound engineering - Bunsho Nishikawa
Co-direction - Nashi Yamazaki
Production - Yuri Yoshioka

[Supported by]
Chishima Foundation for Creative Osaka

[Reservation]
To reserve your seat(s), please send an email to hino-projects@gmail.com with your name, your contact, number of people, and the performance date you wish to visit.

 おかげさまで大好評の『バンドやめようぜ!』。そのリリース・パーティが決定しました。2月5日下北沢THREE、入場料は無料! 
 なので、ぜひ、ぜひ、イアン・マーティン推薦のインディ・バンドの演奏とDJをお楽しみください!
 

■Call And Response Indie Disco presents:
『バンドやめようぜ!』リリース・パーティ

PLACE: 下北沢THREE
DATE: 2/5(月)
TIME: 19:30 open/start
CHARGE: FREE
LIVE:
・The Fadeaways
・(m)otocompo
・JEBIOTTO
DJs:
・Fumie (Bang The Noise)
+ more

interview with Kojoe - ele-king


KOJOE - here
Pヴァイン

RapHip-Hop

Amazon Tower HMV iTunes

 Keep on movin’、動きつづけることで存在を証明していく。曲をつくりウェブにアップし、CDやレコードというフィジカルを制作し、ライヴをこなす。とにかく動きつづけていないとあっという間に忘れられてしまう。特にいまのヒップホップの世界は目まぐるしい。そんなシビアな世界でKojoeはエネルギッシュに動き、自身の表現を更新しつづけてきたアーティストのひとりだ。そして、今年の11月に最新作『here』を完成させた。

 Kojoeについて少し説明しておきたい。彼はラッパーであると同時にシンガーであり、ビートもつくる。プロデューサーでもある。そんな彼は10代のころにNYクイーンズにわたり、2007年にアジア人としてはじめてNYのインディ・レーベル〈ローカス〉と契約を交わしている。2009年に帰国後は日本を拠点に活動を展開してきた。SEEDAとともに参加した、5lack(当時はS.L.A.C.K.)『我時想う愛』収録の“東京23時”で彼をはじめて知った人も多いかもしれないが、タリブ・クウェリやスタイルズ・P、レイクウォンらとの共演曲も発表している。その後、『MIXED IDENTITIES 2.0』、『51st State』といったソロ・アルバムをリリースする一方で、OLIVE OILAaron Choulaiとの共作も制作してきた。

 日本語ラップとブラック・ミュージックとしてのヒップホップをいかに折衷するか。『here』には、そんな問いへのKojoeなりの現在の答えがあると僕は感じた。日本とアメリカというふたつのホームに引き裂かれていたアイデンティティを統合した結果が『here』ではないか、というのはあくまでも僕の解釈だが、多彩なゲストで構成された全18曲にはハードコアでソウルフルでエモーショナルなKojoeの多面的な魅力があふれている。

 このインタヴューは、Kojoeがホストを務める番組「Joe’s Kitchen」(〈Abema TV / FRESH!〉で毎週木曜に放送)の放送後に、その日のゲストであるPUNPEE、GAPPER、WATTERらが見守るなか、彼のスタジオ〈J STUDIO〉でおこなわれた。Kojoeはすでに2時間しゃべりっぱなしだ。だが、まだまだいける。Keep on movin’、彼の体力を舐めてはいけない。




俺は俺のようにしか歌えないという気持ちで良い意味で力抜いてる。本気なんだけど本気出してないから本気が出せた、みたいな。それを今回見つけた。


『blacknote』(2014年)リリースのときのAmebreakのインタヴューで次のように語っていましたね。「例えば向こうのヤツに聴かせて『スゲェ良い』って言われるような、ブラック・ミュージックとして認められるようなモノが、逆に日本では全然分かってくれなかったりとか、そういうフラストレーションはスゲェあるよね」。僕なりに要約すると、日本語ラップとブラック・ミュージックとしてのヒップホップのあいだで葛藤していた、ということかなと思います。そして、日本に移り住んでから数年間の経験を経て、『here』でKojoeさんなりのいまの答えを見つけたのかなという感想を持ちました。

Kojoe(以下、K):作っているときにそれをねらったり意識していたわけではなくて、それよりも意識したことのひとつは、俺の経験や葛藤を歌ったり、メッセージを訴えることはいままでやってきたから、このアルバムではこういう曲をこういう面子でやったら聴く人が喜ぶだろうなとかブチ上がるだろうなとか、いたずらを仕掛ける子供のような視点で作ったね。だから、日本語ラップとブラック・ミュージックの両方を良いバランスに混ぜてみようとかは考えていなかった。いま言われて逆にうれしいっていうか、そういう風に受け取られるんだって実感してきてる。

ゲストのラッパーやシンガーも多いですよね。たとえば“Prodigy”というフックなしのマイクリレーの曲がありますけど、このラッパーたち(OMSB, PETZ, YUKSTA-ILL, SOCKS, Miles Word, BES)のマイクリレーは他では聴けないですよね。

K:うん。TR-808でビートを鳴らして、ベースも強いトラップはやっぱり魅力があって人の心をつかむと思う。いまのヒップホップの流行のひとつのトラップを俺も好きだし、そういうモノと90年代のサンプリング・ヒップホップを合わせたらかっこいいんじゃないかって思ってこの曲を作った。BPMも90ぐらいだから、ブーム・バップが得意なラッパーはいつも通りフロウすればいいしね。MilesとかYUKSTA-ILL、BESくんとか、こういうビートで歌わなさそうなラッパーと、いまのトラップでもラップするPETZやSOCKSにマイクリレーしてもらったら面白いと思った。混ざらなさそうで、結果的に混ざったよね。

それと、これだけ充実した、制作/録音環境が整った〈J STUDIO〉ができたのも、ゲストが多数参加する『here』を作る上で大きそうですね。多くのラッパーがここで録音しましたか?

K:それはいろいろだね。ただ、このスタジオができたのはデカいよ。1月から作りはじめて3月ぐらいに完成した。それからAaronとの自主制作のやつ(ピアニスト/作曲家/ビート・メイカーのAaron Choulaiとの共作『ERY DAY FLO』)をスタジオのテストランも兼ねて作って、「ここで録れるな」と確認した。で、今回のアルバムを作りはじめた。ここに常に人が集まるようになったから、作っている途中で俺以外の人の耳に聴かせて反応を見たりできるようになった。いろんなヤツに「これどう?」って聴かせて感想をきいたりしてた。それもけっこう大事だった。

18曲と曲数も多いですし、ヴァリエーションも豊富ですよね。ハードコアな“KING SONG”からはじまり、“Prodigy”のようなマイクリレーがあり、またKojoeさんがラップだけじゃなく歌も歌う“PPP”のようなソウルフルな曲も際立っています。

K:良い意味で力を抜けた結果だと思う。運動するときも力が入っている状態だと動きって鈍いじゃん。それと似てるんじゃないかな。『51st State』に入ってる“無性に”みたいな曲は「歌手にも負けねぇぐらいに歌いてぇ!」という気持ちで歌い上げていた。もちろん今回もそういう情熱がないわけじゃない。ただ俺は当然、アンダーソン・パックやBJ・ザ・シカゴ・キッド、ダニー・ハサウェイのようには歌えない。だから、たとえば“PPP”とか“Cross Color”とかのソウルフルな曲も、俺は俺のようにしか歌えないという気持ちで良い意味で力抜いてる。本気なんだけど本気出してないから本気が出せた、みたいな。それを今回見つけた。そういう力の抜き方でヒントをもらったのはそれこそ(インタヴューの場にいたPUNPEEに視線をやりながら)PUNPEEや5lackだよね。あいつらには、「わざと力抜くのかっこよくないすか?」みたいな感じがあるじゃん。PSGとかも歌のメロディがすっげぇイケてるけど、いい感じに力が抜けてる。それが逆に研ぎ澄まされて、すごいソウルフルに聴こえる。

そうですね。わかります。

K:ある程度スキルを求めて動いたヤツにしかたぶんできないことなんだろうけどさ。俺も自分にたいしてそうやって楽しみな、みたいな気持ちになれたんだろうね。

Kojoe“Cross Color feat. Daichi Yamamoto”

俺がどの土地にいて、どこに立っていようと、音楽でつながっている場所が俺の居場所だって気づいた。音が居場所なんだって。だから、『here』というタイトルになったんだよね。

そういう力の抜き方によってソウルフルに歌うというのをPUNPEEや5lackから受け取ったのは面白いですね。ラッパー、シンガーという側面だけでなく、ビート・メイカー、プロデューサーとしてのKojoeさんの個性がより際立っているようにも感じました。

K:そこはちょっと意識したかもしれない。ただ、曲順に関してはそこまで深く考えず、ここ以外は置く場所はないっていうところに曲を入れていった。序盤はゲストのラッパーがたくさんいて、スピットしまくってるラップを並べて、途中で女性について歌う“Mayaku”とか“PPP”なんかを持ってくる。そうやってセクションを分けて、最後は自分について歌って終わる。そういう構成になってるね。ビート・メイキングは、ニューヨークにいた17年前ぐらいにMPC2000XLを手に入れてはじめた。ちゃんとしたビート・メイカーみたいにコンスタントに作り続けてきたわけじゃないけど、ずっと好きだったからいままでに3、400曲ぐらいは作ってると思う。前の嫁がラッパーだったからさ。

アパニー・Bですよね。

K:うん。彼女がプレミアとか俺の超憧れのいろんなビート・メイカーからビートをもらってて。そういうビートを横で聴いていたから自分のビートがダサ過ぎると思ってたね。でもこのスタジオを作ったときに、2000年ぐらいから作っていた自分のビートのCDがいっぱい出てきて久々に聴き直したら、「あれ?! けっこうイケてんじゃん!」って。2周ぐらいしてMPCで作ってたイナたいビートがすごいいいなあって。いちばん最後のRITTOとやってる“Everything”で11、2年前ぐらいに作ったビートを使ってる。

レゲエ・シンガーのAKANEと今年大躍進したラッパーのAwichを客演にむかえた“BoSS RuN DeM”(12月11日に5lack, RUDEBWOY FACE ,kZmが参加したリミックスがYouTubeにアップされた)もKojoeさんがビートを作ってますよね。この曲は突き抜けていますね。かなりの自信作なんじゃないですか?

K:超好きだね。ヒップホップよりヒップホップで、トラップよりトラップで、レゲエよりレゲエで、いろんなジャンルの人が「おわ~!」とブチ上がってくれるんじゃないかな。クラブのソファで女にセクシーな格好をさせて、男が彼女たちをはべらかしてる、みたいなMVは日本のヒップホップにも多いよね。でも俺は強い女のほうが色気があると思うし、そういう強い女性を見せたかった。“ボスって”、頭張ってやってる男と女を両方鼓舞するような歌にしたかった。「みんなボスれー!」って。そういうコンセプトはできていて俺が先にサビも録っていた。で、俺がいまいちばんイケてる女性で、俺が一緒に曲をやりたいと思うAKANEちゃんとAwichに声をかけた。イケイケなAKANEちゃんを見られたし、Awichもすごいハマってくれた。

Kojoe“BoSS RuN DeM Feat. AKANE, Awich”

Kojoe“BoSS RuN DeM -Remix- Feat.5lack, RUDEBWOY FACE, kZm”

[[SplitPage]]


世界でも日本人の英語のラップがかっこいいって言われる時代が絶対来るってことなんだよね。たとえばジャマイカのパトワみたいに日本人の発音の英語がかっこいいって50年後ぐらいにはなると思う。









KOJOE - here


Pヴァイン

RapHip-Hop



Amazon
Tower
HMV
iTunes

このアルバムで大フィーチャーされていると言えば、18曲中6曲のビートを作っているillmoreですね。どういう方ですか?

K:こいつはもともと大分の人間で、OLIVEくんがすごい薦めてくれたビート・メイカーなんだ。〈OILWORKS〉のイベントか何かでいっしょの現場になって、ビートが超ヤバかった。他の若いビート・メイカーもいたけど、illmoreは突出していた。超真面目なくせにドープな音も作るし、耳がすごく良くて器用でどんなタイプの曲でも作れちゃう。EDMもトラップもブーム・バップも作るし、超オシャレなジャジーな曲も作れる。ゴリゴリの“KING SONG”みたいなビートも作れるからさ。あと、ベースの乗せ方が上手い。BUPPONとやってる“Road”のネタはMFドゥームも使ってるから(MFドゥームとマッドリブが組んだマッドヴィレインのある曲と同ネタ)、そこってビート・メイカーにとって勝負どころじゃん。他のビート・メイカーと同じネタ使っているからにはフリップしたり工夫しないといけない。その上でこのビートはすげぇ良かった。

“Cross Color”に参加しているDaichi Yamamotoさんはどういう方ですか?

K:京都生まれのジャマイカ人のお母さんと日本人のお父さんがいて京都で育ったヤツで、大学のあいだ3年半から4年ぐらいUKに行ってたんだけど、最近また日本に戻ってきた。いまAaronともいろいろ作ってるし、JJJとやったり、水面下でいろんなヤツとつながってるね。


フックアップの意識はあったりしますか?

K:そういうのはない。俺、フックアップは絶対しないもん。瞬発的に良いタイミングに出くわしてノリが良かったからやっちゃうっていうのはあるとしてもヤバいと思うヤツとしかやりたくない。illmoreは仕事がすごいできてビートが超かっこよかったし、Daichi Yamamotoもそう。俺はイケてりゃ何でもいいかなって思う。

なるほど。ところで、『here』っていうアルバムのタイトルに込められた想いについても語ってもらえますか。

K:俺はガキのころからずっと転校とか多かった。で、10代でニューヨークのクイーンズに行ったから俺の人生でクイーンズがいちばん長くいた場所なんだ。だからニューヨークのクイーンズが地元っていう感覚もあったけど、こっちに戻ってきて7年ぐらい経つから、もちろんいままで自分がいた場所はレペゼンしていきたいけど、クイーンズをレペゼンするのもちょっとナンセンスだなって思うところがあった。居場所を探していたのもあったし、日本に戻ってきて『MIXED IDENTITIES 2.0』(2012年)を出したときは、「ここはけっきょくアメリカじゃねぇかよ!」って文句を言ってみたりもしていた。

自分のアイデンティティについての葛藤みたいのがあったということなんですね。

K:うん。そうだろうね。無意識に苛立ちがあったのかもしれない。そういうのが落ち着いてきたから、『here』というタイトルにした。俺がどの土地にいて、どこに立っていようと、音楽でつながっている場所が俺の居場所だって気づいた。音が居場所なんだって。だから、『here』というタイトルになったんだよね。

やっぱりそれは、5lackやOLIVE OIL、Aaron、このアルバムに参加しているラッパーやビート・メイカー、アーティストたちとの出会いも大きかったのかなって感じます。

K:デカい、デカい。面白いヤツは世の中にはいっぱいいるけれど、そいつの音楽をリスペクトできて、さらに人間も面白いヤツとなると少なくなるよね。俺は運良く素晴らしいアーティストたちに出会って、そういう人間が周りにいてくれるから、多少、自分が開けた部分は絶対あるよね。

最初の僕の感想に戻してしまうんですけど、Kojoeさんが日本のラップ、ヒップホップとニューヨーク、クイーンズで体験してきたブラック・ミュージックとしてのヒップホップのあいだで産み落とした作品なのかなという気がします。

K:俺が10年以上前から言っているのは、世界でも日本人の英語のラップがかっこいいって言われる時代が絶対来るってことなんだよね。たとえばジャマイカのパトワみたいに日本人の発音の英語がかっこいいって50年後ぐらいにはなると思う。日本人の発音のままフロウやリズムに関してはケンドリックだったり、(ブルーノ・)マーズだったり、レイクウォンみたいにできるようになっていく時代が来ると思う。いつになるかわかんないけど、最近の10代とか20代前半のヤツのほうがやっぱ敏感で、昔の日本語ラップみたいにこうじゃなくちゃいけないみたいなのがなくなってきて、日本語と英語が混ざったりしててもオッケーみたいな世代がやっぱり出て来てるから。そういうヤツらが逆に俺の音楽を聴いて、「ヤベェ!」って思ってくれたら面白いと思ってる。若いヤツの耳も脳みそも進化してるよね。受け皿が広いというか、柔軟というかさ。いずれにせよ、世界中のヤツらが日本のヒップホップがヤベェっていう時代はいつになるかわからないけど来ると思うよ。

『here』はとにかくオープンな、開けたアルバムだなって今日の話を聞いてさらに感じましたね。

マサトさん(KojoeのA&R/JAZZY SPORT):この作品はKojoeくんが日本のシーンにたいしてフラットでいられる環境で作れたのがいちばんデカいと僕は思います。日本に帰ってきてから数年は周りからの“英語を使う日本人のラッパー”という先入観も強かっただろうし、いろんな意味でコンプレックスもあったと思う。ここ数年は徐々に変わってきてるけど、日本語だけじゃないとサポートされない土壌が日本にはあったと思うので。それがいろんなアーティストとの出会いを通じてKojoeくんがフラットになってきたのがやっぱり大きい。

なるほど。それは僕も感じました。今後の予定はどうですか?

K:うん。とりあえず、来年1月13日の安比高原でやる〈APPI JAZZY SPORT〉でのライヴを皮切りに、1月後半、2月ぐらいからがっつりツアーをはじめようと思ってる。来年はツアー以外でもできるだけライヴはやっていこうと思ってるね。こんな感じで大丈夫?

はい、番組のあとで疲れてるでしょうし、ばっちりです。

K:俺の体力ディスってんの?

いや、ははは。それ、使わせてもらいます(笑)。今後のライヴ、楽しみにしてます!


[イベント情報]

J presents 『bla9 marke2 #4』
日程:12/29 (Fri)
会場:中野heavysick ZERO
OPEN:23:00
¥2,000+1D
W.F ¥1,500+1D
24:00まで ¥1,000+1D


SUMMIT Presents. AVALANCHE 8
日程:12/30 (Sat)
会場:代官山UNIT
OPEN:23:30 / START:23:30
ADV ¥3,000
Diagonal & AVALANCHE 8通し券 ¥4,800
DOOR ¥3,500


DJ Nigga Fox - ele-king

 きました! これは嬉しいニュースです。リスボンから世界中にポリリズミックなアフロ・ゲットー・サウンドを発信している〈プリンシペ〉から、なんとDJニガ・フォックスが来日します! 〈プリンシペ〉のドンであるDJマルフォックスはすでに来日を果たしていましたが、かのシーン随一の異端児が初めてこの極東の地でプレイするとなれば、これはもう足を運ばないわけにはいきません。2018年1月26日に渋谷WWWβにて開催される今回のパーティは、《南蛮渡来》と《Local World》とのコラボレイションとなっており、東京のThe Chopstick Killahz(Mars89 & min)と〈Do Hits〉/〈UnderU〉のVeeekyも参加、さらにKΣITOがゴムのセットを披露する予定とのこと。いやはや、これは年明けから一気にテンションぶち上がりそうです。ドゥ・ノット・ミス・イット!

Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox

リスボンのゲットーからアフロ新時代を切り開く〈Príncipe〉の異端児DJ Nigga Foxが初来日! 加えて中国の新星Howie Lee率いる北京拠点の〈Do Hits〉からVeeekyと目下テクノウルフでも活躍するKΣITOが暗黒の南ア・ハウスGqom(ゴム)のライヴ・セットで参加、The Chopstick Killahzによるポスト・トライバルな《南蛮渡来》と世界各国のローカルの躍動を伝える《Local World》のコラボレーション・パーティにて開催。

ジャマイカからダンスホールの突然変異Equiknoxx、ナイジェリアの血を引くアフロ・ディアスポラの前衛Chino Amobi、シカゴ・フットワークの始祖RP Boo、アイマラ族の子孫でありトランス・ウーマンの実験音楽家Elysia Cramptonをゲストに迎え開催、インターネットを経由し急速な拡散と融合を見せながら、多様化するジェンダーとともに新たなる感性と背景が構築される現代の電子音楽における“ローカル”の躍動を伝えるパーティ《Local World》。その第5弾は“ポスト・トライバル”を掲げ、新種のベース・ミュージックを軸にエキゾチックなグルーヴを追い求める東京拠点の若手Mars89とminのDJユニットによるパーティ《南蛮渡来》をフィーチャー。ゲストにリスボンの都市から隔離された移民のゲットー・コミュニティでアフリカ各都市の土着のサウンドと交じり合いながら独自のグルーヴを形成、DJ Marfox、Nídia Minaj、シーンをまとめたコンピレーション・アルバム『Mambos Levis D'Outro Mundo』のリリースや〈Warp〉からのEPシリーズ「Cargaa」を経由し、国際的な活動へと発展したアフロ新時代を切り開くリスボンのレーベル〈Príncipe〉からアシッディーなサウンドで異彩を放つシーンの異端児DJ Nigga Foxが初来日、さらには中国の新星Howie Lee率いる北京拠点の〈Do Hits〉のヴィジュアルを手がけ、地元台北で世界各地のベース・ミュージックに感化され独自のローカル・サウンドを創り出すコレクティヴ〈UnderU〉のコア・メンバーVeeekyが登場。国内からは目下テクノウルフのメンバーとして活躍する傍ら、ジューク、ヒップホップ、ゴムなど先鋭的なビートを常に取り入れ、サンプラーを叩き続けるKΣITOがゴムのライヴ・セットで参加。ポップス、アンダーグランド、土着が“何でもあり”なポストの領域で入り乱れる現行のエクスペリメンタル・クラブ・シーンでも注目のバイレファンキやレゲトン、メインストリームとなったトラップ含めいつも“サウス”から更新される最新のビートが混じり合う逸脱のクラブ・ナイト。

Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
2018/01/26 fri at WWWβ

OPEN / START 24:00
ADV ¥1,500 @RA / DOOR ¥2,000 / U23 ¥1,000

DJ:
DJ Nigga Fox [Príncipe - Lisbon]
The Chopstick Killahz [南蛮渡来]
Veeeky [Do Hits - Beijing / UnderU - Taipei]

LIVE:
KΣITO *Gqom Live Set*

※20 and Over only. Photo ID Required.

https://www-shibuya.jp/schedule/008652.php

【記事】
リスボンのゲットー・サウンド@Resident Advisor
リスボンの都市から隔離されたゲットーのベッドルームでは、アフリカの音楽を取り入れた刺激的で新しい音楽が、10年ほど前から密かに鳴っていた。しかし今、〈Príncipe〉という草分け的レーベルの活動を通し、この音楽が徐々に国境を越え、世界で鳴り響き始めている。
https://jp.residentadvisor.net/features/2070

【動画】
リスボンのアンダーグラウンド・シーン@Native Instruments
ここ数年、リスボン郊外を拠点とするプロデューサーやDJの小さなグループが、未来のサウンドを創造しています。彼らはアンゴラ、カーボベルデ、サントメ、プリンシペなどのポルトガル語公用語アフリカ諸国出身で、彼らの作り上げた音楽には、激しい切迫感、荒削りなビート、恍惚感のあるグルーヴ、そして浮遊感が集約され、その結果アフリカのポリリズムにテクノ、ベース、ハウス・ミュージックを組み合わせた唯一無二のハイブリッドなサウンドが誕生している。

■DJ Nigga Fox [Príncipe - Lisbon]

アンゴラ出身、リスボンを拠点とするプロデゥーサー/DJ。2013年にリリースされた12" 「O Meu Estilo」でデビュー、ポルトガル郊外のゲットー・コミュニティで育まれた特異なサウンドをリスボンから発信するレーベル〈Príncipe〉の一員としてアフロ・ハウスの新しい波を世界へと広めている。続く2015年の12" 「Noite e Dia」は『Resident Advisor』、『FACT』、『Tiny Mix Tapes』といった電子音楽の主要メディアに取り上げられ、同年〈Warp〉からリリースされたシーンのパイオニアと若手をコンパイルしたEPシリーズ「Cargaa」にも収録され、国際的な認知を高めながら《Sonar》、《CTM》、《Unsound》といった有力な電子音楽フェスティヴァルにも出演、Arcaのブレイクで浮かび上がったエクスペリメンタル・クラブの文脈の中で、同性代の土着のローカル・サウンドを打ち出した〈N.A.F.F.I.〉、〈NON Worldwide〉、〈Gqom Oh!〉といったレーベルやコレクティヴとともにシーンのキーとなる存在へと発展。2016年の〈Príncipe〉のレーベル・コンピレーション『Mambos Levis D'Outro Mundo』と最新作「15 Barras」はアシッドなサウンドを強め、これまでのクドゥーロのアフリカン・スタイルを飛躍させ、よりハイブリッドで強烈なサウンドとグルーヴを披露、他ジャンルとの交流や融合を交え新時代のアフロ・ハウスの拡散と拡張に大きな貢献を果たしている。

https://soundcloud.com/dj-nigga-fox-lx-monke

■The Chopstick Killahz (Mars89 & Min) [南蛮渡来]

ポスト・トライバルを掲げ、奇妙なグルーヴと無国籍感を放つパーティー《南蛮渡来》のMars89とminによる東京拠点のDJユニット。

https://soundcloud.com/thechopstickkillahz

■Veeeky [Do Hits - Beijing / UnderU - Taipei]

現代社会の問題をテーマとし、ヴィジュアル・アートや音楽で伝える台北拠点のアーティスト。Howie Lee率いる北京の〈Do Hits〉と台北の〈UnderU〉のコア・メンバーとして活動。現代社会で起こっている問題に多くの関心を持ち、これらのテーマをヴィジュアル・アートや音楽に伝え、微妙な文化のシンボルや物語、デジタル/オフライン作品のコラージュを用い、コンピュータ・アートに加工した鮮やかなヴィジュアル・パフォーマンスを披露し、〈Do Hits〉ではヴィジュアル担当として、レーベルのユニークなヴィジュアル言語を作り出している。主に北京と台北の異なる場所の文化/音楽シーンを行き来しながら、ソロでは2017年末に台北にある洞窟のギャラリーで『sustainable data 1.0』展示会を開催、最新のアートワークとヴィデオを発表する。来年にはクリエイターの友人とともに、社会主義の真の価値とその調和を世界へ広げることを目指した、新しい服のブランドを立ち上げ、アジアの各都市でポップ・アップ・ショップの展開を予定している。

https://www.veeeky.com

■KΣITO

トラックメーカー/DJ。2013年に初のEP「JUKE SHIT」をリリース。ジューク/フットワークの高速かつ複雑なビートをAKAIのパッドを叩いて演奏するスタイルでシーンに知られるようになる。2016年、HiBiKi MaMeShiBa、ナパーム片岡などとともにレーベル〈CML〉を立ち上げ、Takuya NishiyamaとのスプリットEP「A / un」をリリース。ソロ活動に加えテクノウルフ、Color Me Blood Black、幡ヶ谷ちっちゃいものクラブなど、複数のユニットに参加、様々なミュージシャンとのセッションを重ねている。

https://keitosuzuki.com

Satoshi & Makoto - ele-king

 ele-kingに寄稿したCHAI『PINK』のレヴューで、「いま、80年代のカルチャーが注目されている」と書いたが、それはエレクトロニック・ミュージックも例外ではない。なかでも特筆したいのは、ヴェロニカ・ヴァッシカが主宰する〈Minimal Wave〉の活動だ。〈Minimal Wave〉は、2000年代半ばから現在まで、チープで味わい深い電子音が映える80年代のミニマル・シンセやニュー・ウェイヴを数多くリイシューしてきたレーベル。いまでこそ、80年代の作品を発掘する流れはブームと言えるほど盛りあがっているが、そんな流れの先駆けという意味でも重要な存在だ。

 そうしたブームは、日本で生まれた音楽を再評価する動きにも繋がっている。この動きに先鞭をつけた作品といえば、ヴィジブル・クロークスが2010年に発表したミックス、『Fairlights, Mallets And Bamboo ― Fourth-World Japan, Years 1980-1986』だろう。細野晴臣やムクワジュ・アンサンブルなどの曲を繋ぎあわせたそれは、ここではない想像上の風景を示すレトロ・フューチャーな雰囲気が漂うもので、時間という概念から解き放たれた自由を感じさせる。
 その雰囲気はさまざまな人たちに伝染した。アムステルダムの〈Rush Hour〉は、パーカッショニストの橋田正人がペッカー名義で残した作品をはじめ、坂本龍一、吉田美奈子、大野えりといったアーティストの作品を再発して大いに注目された。さらに先述の〈Minimal Wave〉も、トモ・アキカワバヤが80年代に残した珠玉のミニマル・シンセが収められた、『The Invitation Of The Dead』をリリースしている。
 変わり種でいえば、ストックホルムを拠点とするナットリア・トゥナーも見逃せない。2016年にウクライナのウェブマガジン『Krossfingers』へ提供したミックスで彼は、アドバルーンス、比企理恵、インプル加工など、80年代のポップスやインディーものを繋いでみせたのだ。彼もまた、〈Rush Hour〉や〈Minimal Wave〉とは違う角度から、80年代の日本の音楽を再評価した1人と言える。

 そして2017年、またひとつ日本のアーティストに注目した作品が生まれた。サトシ&マコトの『CZ-5000 Sounds & Sequences』である。本作は、1986年から日本で活動してきた2人のアーカイヴ音源をまとめたアルバムで、全曲カシオのCZ-5000というシンセサイザーで制作されたそうだ。リリース元の〈Safe Trip〉が選曲し、マスタリングに至るまでの過程もサポートするなど、かなり熱烈なバックアップを受けている。〈Safe Trip〉を主宰するヤング・マルコが、YouTubeにアップされた音源を聴いてサトシ&マコトに連絡したのがリリースのキッカケという物語も、非常にドラマチックだ。
 こうした背景をふまえて聴くと、確かにヤング・マルコが好みそうな音だと感じた。彼はイタロ・ハウス好きとしても知られ、それが高じて『Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93)』というコンピを〈Safe Trip〉からリリースしている。このコンピは、リスナーの心を飛ばすトリッピーなサウンドが印象的で、それは本作にも見られるものだ。さらに本作は、ジ・オーブやYMOを引きあいに語られることも多い。確かに80年代から90年代前半のエレクトロニック・ミュージックの要素が随所で見られ、インターフェロンやフロム・タイム・トゥ・タイムといった、日本テクノ・シーンの礎を築いたアーティストたちの音が一瞬脳裏に浮かんだりもする。

 一方で本作は、2010年代以降の音楽とも共振可能だ。たとえば、本作を覆う夢見心地な音像は、チルウェイヴ以降に一般的となったドリーミーなインディー・ポップとも重なる。エレクトロニック・ミュージックに馴染みがない者でも、サファイア・スロウズや『Visions』期のグライムスなどを通過した耳なら、本作にもコミットできるだろう。
 もちろん、本作は過去の音源を集めた作品だから、現在の潮流を意識して作られたものではない。だが、その過去が時を越えて現在と深く繋がるのは非常に面白い。そこに筆者は、“表現”という行為のロマンと、それを残すことの尊さを見いだしてしまう。

Nicola Cruz - ele-king

 〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉からのリリースで知られるニコラ・クルースが初来日、神戸Troop Cafeと東京・代官山Unitでライヴを行います。ニコラ・クルースは、ニコラス・ジャーのステージでフロント・アクトをつとめたり、彼の主宰レーベル〈クラウン&サンセット〉のコンピにその名を連ねたことをきっかけに注目を集めた南米エクアドルの首都キトを拠点とするエレクトロニック・プロデューサーです。〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉に加え、ニコ・デマスのワンダーホイールやエジプトのマジック・ムーヴメントにも楽曲やリミックスを残し、直近では、現在日本をツアー中のトーマッシュ主宰、ヴードーゥー・ホップのコンピ『Entropia Coletiva』のCD版にも新曲「Elephant」を提供しています。
 東京公演は野外フェスティバルRe:Birth主催のパーティで、ミニローグ、クニユキ・タカハシ、ミックスマスター・モリスも出演します。

■Nicola Cruz Japan Tour in Kobe

2017.11.23 THU

16:00 START - 23:00 CLOSE
Mail Resevation \2000(w/1D)Door \3000(w/1D)Under23 \1500(w/1D)

LINE UP :
Nicola Cruz -Live-
Shhhhh
KND -Live-
halptribe
FUKAMIDORI
職人
TAIPEIROD
KEYWON

SHOP :
DUMBO

FOOD :
tamu tamu cafe
Beinelmilel

COFFEE :
nomadika

https://troopcafe.jp/music-program/1388

■Nicola Cruz Japan Tour in Tokyo
Re:birth feat. El Folclore Paradox supported by Global Chillage

2017.11.24 FRI

OPEN : 23:00
START : 23:00
CHARGE :
ADV 3,000yen
DOOR 3,500yen
You must be 20 and older with photo ID

【UNIT】

LIVE :
Nicola Cruz
Marcus Henriksson aka Minilogue x Kuniyuki

DJ:
Shhhhh (El Folclore Paradox)
Kojiro (Re:birth)

【UNICE】

[new album "KiraKira" release special]
Mixmaster Morris
Peter Power (voodoohop)
Koss aka Kuniyuki
Hiyoshi (Labyrinth/Global Chillage)
7e

DECO:
聖紅 (seiko-nose.com)

LIGHTING:
Yamachang

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2017/11/24/171124_rebirth_featefp.php

【Nicola Cruz ~ニコラ・クルス~】
彼は自分のサウンドを”andez step”と定義するDJ / プロデューサー。南米はエクアドルの都市キト在住。パーカッショニストとしてキャリアをスタートし、次第にそのリズムの感性と興味はエレクトリック・ミュージックにも向かう。同時に自身のルーツである南米大陸の儀式や音楽現象への探求を開始。2015年にデジタル・クンビアのレーベルとして日本でも紹介されたZZK Recordsよりアルバム、"Prender el Alma"をリリース。Nicolas Jaarの前座に指名され、翌年のバルセロナのソナー・フェスティバルを始めとする、欧米から南米のビッグフェスやBoiler Room にも出演。2017年、モントリオールのレーベル、Multi CultiよりEPを数タイトルリリース、他にもsoundcloudやBandcampにて、クオリティの高いトラックをハイペースで発表し続けている。2018年には新アルバムをリリース予定。
2010年代中盤から南米を中心に勃発した、過去と未来、伝統とモダンを行き来する進行系の現象。ナチュラルでオーガニック、世界各地の土着性を吸収した、BPM控えめで、ミニマル、スローハウス、ラテン/クンビアらを通過した酩酊しトランスするダンス・ミュージック・ムーヴメント。その動きの中でも代表的なアーティストである。待望の初来日。

Taylor Deupree & Marcus Fischer - ele-king

 最近ではマーカス・フィッシャーの『Loss』など、順調に優良な作品のリリースを続けているブルックリンのレーベル、〈12k〉。その主宰者であり、坂本龍一や青葉市子とのコラボでも知られるサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリーが、マーカス・フィッシャーとともに急遽来日することが発表された。11月18日のTokyo Festival of Modular 2017を皮切りに、奈良、岡山、東京を巡回する。ILLUHA伊達伯欣の相棒を務めているコーリー・フラーらも参加。最終日の東京公演は、今年で20周年を迎える同レーベルの記念公演となっており、世界で唯一のアニヴァーサリー・イベントだそう。いやあ、これは行きたい。

坂本龍一や青葉市子とのコラボレーションも行なうサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリー主宰の電子音響レーベル〈12k〉が今年20周年を迎えます。

これまで数多くのアーティストを輩出した同レーベルは20年間の長きに渡り電子音楽界において多大なる功績を残してきました。 その主宰であるテイラー・デュプリーと所属アーティスト、マーカス・フィッシャーが来日し、Tokyo Festival of Modularを皮切りに、奈良、岡山、東京と4公演に出演します。奈良、岡山、東京公演には日本在住の〈12k〉アーティストCorey Fuller(ILLUHA)、Sawako、Moskitooらも出演し、最終日の東京公演は、世界で唯一の〈12k〉による20周年記念イベントが開催されます。すべてのアンビエント~実験音楽~電子音楽ファンに。絶対にお見逃しなく!

■Tokyo Festival of Modular 2017
日時:11月18日(土) 17:00~21:00
会場:渋谷contact (渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビルB2)
料金:1day Pass ¥3,000(当日券のみ)(※2day Passもあり。詳細はTokyo Festival of Modular公式ウェブサイトをご覧ください)
出演:Marcus Fischer & Taylor Deupree, Baseck, Sarah Davashi, Hataken featuring SUGIZO, Rodent, Hisashi Saito and more...

チケット・イベント詳細:Tokyo Festival of Modular
https://tfom.info/tfom-2017/

■岡山公演
日時:11月19日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:cafe moyau (岡山市北区出石町1−10−2)
料金:予約 ¥3,500 / 当日 ¥4,000(全席自由)
出演:Corey Fuller (ILLUHA), Taylor Deupree, Marcus Fischer, 松本一哉, nensow

◎メール予約:madronemu@gmail.com
※公演名・お名前・人数・連絡先をご明記のうえお申し込み下さい。
チケット取扱店:padang padang、cafe moyau、グリーンハウス倉敷店、グリーンハウ
ス岡山店、レコード屋、FOLKLORE
協力:全ド連 / padang padang / night cruising / moderado music / cafe moyau
詳細:moderado music
https://moderado.jugem.jp/?eid=360&PHPSESSID=rd5ok709t6gpb8romtglih3391

■奈良公演
日時:11月22日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:sonihouse (奈良市四条大路1-2-3)
参加費:¥3,600(1drink order)
出演:Corey Fuller (ILLUHA), Taylor Deupree, Marcus Fischer

◎メール予約:「11/22の参加予約」をタイトルに「お名前・人数・電話番号」を記載の
うえinfo@sonihouse.netまでご連絡ください。
*静寂を大切にした音楽のため、小学生未満のお子様のご来場はご遠慮いただいております。
詳細:sonihouse
https://www.sonihouse.net/journal/?p=8096

■東京公演 / 12k 20th anniversary in Tokyo
日時:11月25日(土) OPEN 16:30 / START 17:00
会場:光明寺 (港区虎ノ門3-25-1)
料金:予約 ¥2,500 / 当日 ¥3,000
出演:Taylor Deupree & Corey Fuller (Illuha), Marcus Fischer & Sawako, Moskitoo

◎ご予約:Peatixご予約受付ページ
https://12k20.peatix.com/
※Peatixへのご登録が必要となります。
※前売りが予定枚数に達した際は当日券の発売はございません。
主催・制作:cubic music
協力:Fly sound、誰そ彼、Inpartmaint Inc./ p*dis、安永哲郎事務室
詳細:cubic music
https://12k20th.cubicmusic.com/

日本では否定的なレヴューがタブーとなっているのはなぜか?

松田聖子から渋谷系、ナンバーガールからAKB48まで
英国人ジャーナリストによる日本のロック/ポップスおよび文化批評

日本に住んで13年、イアン・マーティンが描いた、日本のオーヴァーグラウンド/アンダーグラウンドの大衆音楽史、アイドルにおけるセクシャル・ポリティクスと後期資本主義、音楽メディアや公共性、伝統の問題……。

「日本メディアの側が自分たちの国をなんとも不思議な四つの季節を持ち、使うのがややこしい食器の数々を備えた神秘の地として描写したがるのと同じくらい、西洋側メディアも喜んでそのお返しとして奇妙でカラフルで派手やか、突飛なものなら何でも強調した東洋風な日本報道をおこなっている。こんな風にして日本の音楽は西側においては主に歪んだレンズを通して認知されることになるのだし、僕がイギリスで大きくなる中で抱いていた日本の音楽に対するイメージもまたこの点に大いに影響されたものだった。」(本書より)

BBCから取材され、The Quietusで記事が組まれ、Crack Magazineが「今年読むべき本」のNo.1に選んだ、イギリス人ジャーナリストによる噂の日本ロック/ポップス批評、ついに翻訳刊行!


■目次

パート1:僕はどんな風に日本の音楽シーンにたどり着いたのか、
そしてそこで僕が発見したのは何だったか

'97の世代
日本の音楽について書くということ

パート2:総合的かつ完全に正確きわまりない
日本のポピュラー・ミュージック通史

日本のポピュラー・ミュージックの初期展開
ロックンロール、日本上陸
ニュー・ロック
ロックンロールとガソリンの臭い
薬物不法所持逮捕からニューミュージックまで
成熟を迎えたポップと演歌の硬直化
パンク
ニュー・ウェイヴ
アイドルと歌謡曲の死
J-ポップと現代日本音楽の誕生
渋谷系、そしてインディを発見した日本
日本音楽の歴史の終わりと永遠のナウの誕生

パート3:ライヴ・アクトたちを見舞う経済的、政治的、そして実際的な
危険の数々、もしくはバンドをやめずに続けるにはどうしたらいいか

高円寺、東京にて
海外へ
日本の音楽は海外でどう受け取られているのか
日本音楽の海外進出作戦
愛のためでも金のためでもなく――ライヴ・ハウス事情
シーン内の政治をさばくには
シーンにある制約を克服するということ
レーベルはくたばれ
言い分は分かるけど、なんでCDの話になるの?
言語と日本人らしさ
すべてのアートは政治的である
サブカルとアイドル
おがくずの詰まった操り人形、音を出す操り人形:――“夢見るシャンソン人形”
ピンクのギター
何だって好きなことを言うのも、何も言わないのも同じこと
とは言っても、結局は……

ほか


●著者紹介
イアン・F・マーティン Ian F. Martin
イアン・マーティンが執筆した日本の音楽に関する文章は『ジャパンタイムズ』、『CNNトラヴェル』、『ザ・ガーディアン』他が掲載してきた。マーティンは東京を拠点に活動しており、そのかたわら〈コール・アンド・レスポンス・レコーズ〉も運営中。

●訳者紹介
坂本麻里子 Mariko Sakamoto
1970年(昭和45年)、東京生まれ。日本芸術大学映画学科卒業。『ロッキング・オン』を中心にライター/通訳として活動。本書が初の書籍翻訳。

interview with doooo - ele-king

doooo ”Pain feat. 仙人掌”


doooo
PANIC

Pヴァイン

Hip Hop

Amazon Tower HMV

 「あのビデオに出てる高津のレゲエバーで飲んでるの?」そんな話題からゆっくりとインタヴューははじまった。ちなみにその店は台風で少し壊れたりもしたらしい。CREATIVE DRUG STOREに所属。昨年、ファースト・シングル「STREET VIEW feat. BIM & OMSB」をリリースしたdoooo。1年と少しの時間を経てファースト・アルバム『PANIC』は噂のMPCと共に世に公開された。dooooというアーティスト、そしてその音楽を知ることは「PANIC」という言葉の新しい意味を知ること。陽気な狂気の渦巻く世界へようこそ。


これは、普通に聴いた人をパニックにおとしいれたいという理由で。曲作ってる時に、作ってる自分もパニックになってしまったり。自分が「どうしようみたい」になったりもしたんで(笑)。自分もパニックになってるし、聴いてる人もパニックになって楽しんで欲しい。

doooo 君は出身は盛岡ですよね?

doooo ( 以下D ) : そうです。22まで盛岡にいて、大学卒業してこっちに来ました。

盛岡から出てすぐにいま住んでる川崎辺りに引っ越してきた感じですか?

D:はい。

それでCREATIVE DRUG STOREのメンバーと知り合っていく?

D:そうですね。最初にDJ のMIX をサウンドクラウドにあげてたんですけど、僕とBIMの共通の知り合いが気に入ってくれて、それでBIMにも彼が聞かせて気に入ってくれて。そこからですね。BIMと僕と家が500mくらいしか離れてなくて、それで、僕が「うちに遊びに来る?」って。BIMもフットワーク軽いからすぐに遊びに来て。デモを作ってるからビートを聴かせて欲しいという話をして、その時にMPCに入ってた曲がTHE OTOGIBANASHI`Sのファーストに入ってる“KEMURI”って曲ですね。

それで気がつけば一緒にやってるような感じ?今までにトラックを提供してるのはTHE OTOGIBANASHI’Sが多い?

D:圧倒的ですね。

ん。他のアーティストの作品への参加って何があります?

D:ほとんどないです。KANDYTOWNのRYOHUくんもラップしてたりするグループ、Aun Beatzのリミックスくらいですね。リリースされてるの。僕、インストで完結するビートがばっか作ってて。岩手時代それしか作ってない。リミックスを最初に作り出して、そこからオリジナルで作りたいって思うようになって、そういういいタイミングでBIMとかにも出会って作るようになった。そのときは本当に知り合いのラッパーがCREATIVE周りしかいなかったんですよ。インストの曲はたくさん作ってますね。

トラックメイクは盛岡のときからしてたんですね。

D:はい。曲も作ってましたけど、活動はDJばっかって感じですかね。

どういうDJっていう聞き方もなんか趣き無いですけど(笑)、どういうDJをしてたんですか? それと最近はビートライヴ以外のDJってしてますか?

D:最近はDJしてますけど、回数減りましたね。DJのときはソウルとかディスコからテクノとか、それこそ色々かけてます。盛岡がレコードが色んな種類あるんで。イベントも何でもかかるイベントばかりだったんで、自然にそうなりました。そのなかで、もちろんヒップホップかけるんですけどね。とにかく好きなものをなんでもかけるDJが多かったですね。

盛岡のときに制作したビートで発表してるものってありますか?

D:THE OTOGIBANASHI'Sの1stに入っている曲で“Froth On Beer”って曲があるんですけど、それが岩手で作ったビートですね。

DJはいつからはじめたんですか?

D:19ですね。高校出た時から始めました。

きっかけは?

D:兄ちゃんがいるんですけど、兄ちゃんが僕が13歳の時にターンテーブルを買って。ずっとICE CUBEが流れてたんですけど。ICE CUBEの“YOU CAN DO IT”だけずーっと(笑) 。それでかっけーってなって。その時まで知らなかったんですけど、それでかっこいいなってなりまして。俺もやりたいってずっと思っていて、高校出てターンテーブルを買って始めました。

ターンテーブルを買う前にレコードは買ってましたか?

D:レコードはたまに買ってて、ほとんどCDでしたね。ほとんどTSUTAYAでしたね。TSUTAYAで借りまくってました。

TSUTAYAで借りまくってた時代、俺もあります。渋谷のTSUTAYAって入れて欲しい作品リクエスト出来たんですよ。

D:僕いまでも渋谷のTSUTAYA結構行くんですよ。

音楽の聴き方の話なんですけど、自分の場合は、買うもの以外はストリーミングで聴く感じになってきてるんですよね。持っていたいもの以外はデータでもいらないやとか思ってきてしまっていて。

D:あー。僕はDJでかける用に借りてるのがほとんどなんで。レコードしか持っていないものであったりとか、昔持っていたけどどっかいってしまったものとかそういう作品を借りることがほとんどです。借り直してるものが多いですね。タイトルが揃ってるので、レコードで探すのが難しいものもあったりするじゃ無いですか。例えば和物のJAZZとか。そういうのも借りてますね。

なるほど。そう考えるとレンタルCDって確かに便利ですね。


 気づくとレンタルCDについて考える良い機会に恵まれてしまった。dooooはフットワークが軽く色々なとことに行くイメージの人物だ。目に見える選択肢の中から自由に選んで楽しむ。そんなイメージが浮かぶ。


今回のアルバムの話をさせてください。1曲目に収録されている“STREET VIEW”ですが、これはアルバムのなかでは一番最初に作った曲になるんですか?

D:1年前の夏ですね。そもそもが僕、最初に作る曲はG FUNKが作りたいってずっと思っていて。この曲のビデオ作って、レコード出したときに、どうせならアルバムを作りたいと思って。だからこの曲が軸になってますね。他にもやりたいことがたくさんあったなかで最初に作った曲で、その制作があってやりたいことを全部やろうって思うようになりました。

doooo "Street View feat. BIM,OMSB & DEEQUITE"

“STREET VIEW”でゲスト参加しているBIM、OMSBはどのように決めたの?

D:オムス君はこういうビートにすごく映えるラップをするイメージがあって最初に頼みました。どうせやるなら、もう1人はテイストの違うラッパーに頼みたくて、攻撃的じゃないラップがいいかなと思って、BIMに。意外なんだけど、バッチリハマるイメージあってそれ通りに出来ました。

そこからアルバムの制作で色々とゲストも参加してますが、イメージは?

D:全体のイメージは、本当に好きなこと全部やってやろうと思うって。ビートメイカーですけど、DJとしての自分も出してやろうって思って。自分の全部入ってるものにしたくて。

色んなゾーンが散りばめられていて流れもあって、濃いけど聴きやすいアルバムだと感じました。

D:やりたい曲を作りつつ。DJとしての自分も出したかったので曲順はすごくこだわりました。フューチャリング陣もこういうアーティストが自分は好きなんだぜっていうのも見せてくて。

HUNGERはやっぱり東北地方で元々つながりがあったんですか? この曲すごく印象に残りますよね。

D:HUNGERさんは僕がすごく好きで。ライヴとかに行きまくって追っかけて、向こうも「また来たんだ」みたいな感じで(笑)、それで参加してもらいました。

MONY HORSEの参加はすごく意外な気がしました。

D:MONY君も大好きだったのですが元々は面識が無くて、JUNKMANさんが繋げてくれて(JUNKMANは青森出身) 。MONY君のいままでの曲も聴いていて、それで、自分のビートでやったら面白いかなと思って頼みました。

うん。面白いですね。そして、このアルバムはゲストが出てくるたびに、新鮮な面白さを感じます。

D:それはプロデューサーとしては嬉しい意見ですね。

過度に尖った音作りにはしてないように感じます。

D:そうですね。普段のライヴ用の音源は攻撃的なものを作っちゃったりするんですけど、アルバムは長く聞いて欲しかったのでそこは気をつけてますね。あとはTSUBOIさん( ILLICIT TSUBOI ) がうまくバランスを整えてくれてますね。

曲順はどのように決めたんですか?

D:最初にやりたい曲をだーっと作って、ある程度揃った時に選んでいきました。最初から全体の構想があったというよりは出来た曲を並べて作っていった感じです。

アルバムの曲にもありますけどdoooo君は酒のイメージがあります。

D:最初に、仙人掌と会ったときにすごく飲んでしまって、その印象ですよね。今回参加してもらった曲でもその話がリリックに出てきていて嬉しかったです。

個人的にも、そのエピソード仙人掌から聞いてたので、あのリリックは凄く面白かったです。ビールのなくなり方がおかしいっていう。俺もたまに言われるんですけどね。スタジオに買ってきたビール全部飲んでしまったりとか。ちなみに酒って作業の時のみますか?

D:そうですね。飲むとめちゃくちゃはかどりますね。

没頭できる感じですよね?文章書くとき夜中に酒ずっと飲んでることあります(笑)。

D:昼間っから酒飲むことありますね。本当、24時間近く飲み続けることとか。

家で?

D:はい。

どれくらい家にストックしてますか?

D:いま、家にASAHIの350が20本くらいありますね。

それ凄いね。

D:困らないくらいの量が。

前に仙人掌とERAとCREATIVEのメンバーと飲んだことがあって、そのときはdooo君いなかったんだけど、その後、仙人掌のツアーで会って、いまがあるのってなんか面白いですね。

D:そういうリンク、岩手で見てて憧れてたんで嬉しいですね。

こういうリンクを繋げていけたら面白いですよね。

[[SplitPage]]

 仙人掌のアルバム『VOICE』のリリースに伴いおこなわれた「BACK 2 MAC TOUR」の東北場所の盛岡MAD DISCOで、dooooというアーティストに初めて出会った。凄まじいテンションでの最高なビートライヴと、ファニーな人柄がとても印象的だった。その後、聴かせてもらったビートはdooooという人間そのものを感じた。

機材巡りが好きで、ハードオフ行って使い方わからないけど面白そうな機材を買ったり。レコード8円 ~ 108円で売ってるんですけど、そういうの買うのが好きですね。それみんなで聞いたりとか。それこそ、仙人掌君とのPVにも出てくるんですけど、赤白の線差すのが両方にあるだけの箱。使い方はわかりません。


doooo
PANIC

Pヴァイン

Hip Hop

Amazon Tower HMV

アルバム作ってみて、次にやってみたいこととかって生まれました?

D:もう次のを作りたいです。いまある曲のなかでも続きを勝手に考えてるものがあるし。それはAru-2とモンキー君とやってるビートメーカーだけで作った曲があるんだけど、そこにもっと色んな人に参加してもらって、ビートメーカーのマイクリレーみたいなものを作ってみたい。ビートだけで成立するビートメーカーって意外にいない気がしていて。そういうビートメーカーを集めて曲やったら面白いなと思っていて。

それ面白そう。ぜひ聴きたいです。

D:スピードは遅いですけどやってきたいです。

ビートメーカーの作る音源でなかなか再現難しいと思うんですよ。ゲストが入ると。そこでどういう風にライヴをやりたいとかってありますか?この音源を聴いてdoooo君を知った人は、この音源のイメージを持ってdoooo君のライヴに来ると思うんです。

D:ライヴのときは、自分という人間を見て欲しいという形で。一番好きなものはDOPEな感じというか、ぶっ飛んでる感を凝縮したくて、それがアルバムなんですけど。和物で気持ちい良いミックスも作ってるんで、そういうこともやってるんだよっていうのも知って欲しいし、とにかく色んな自分を見に来て欲しいですね。

アルバム・タイトルの『PANIC』を決めた理由は?

D:これは、普通に聴いた人をパニックにおとしいれたいという理由で。曲作ってる時に、作ってる自分もパニックになってしまったり。自分が「どうしようみたい」になったりもしたんで(笑)。自分もパニックになってるし、聴いてる人もパニックになって楽しんで欲しい。

いいパニックですよね。遊園地みたいな、色々あるけどパニック。

D:CREATIVE DRUG STOREで活動してるので、聴いてる人がヒップホップのファンが多いと思うんですが、ヒップホップ以外の音楽も入れて作ったと思ってます。こういう音楽もあるんだよっていう、驚きを与えられたらなって。上から目線みたいな意見になっちゃってるかもしれないですけど、そんな気持ちで作りました。

たしかにいままでとテイストがかなり違いますもんね。そして作品のなかでも変わっていく。

D:今回の作品は、参加してもらう人によって変えたのもあるので、それはあるかもしれません。それもDJとしての自分を見て欲しいっていうのがあって、このラッパーならこのビートが合うなとか。ビート決まった後に、展開を変えたりして。そいういのでまた変わるってったかもしれない。

アルバムはれくらいの期間で作ったビート?

D:制作期間は1年半くらいですかね。それぞれの長さはバラバラですね、1曲1週間かかったのもあれば、1日でできたものもありますし。

この作品がリリースされたことによってdoooo君の謎が解き明かされますね。

D:それは嬉しいですね。

OMSBとかdoooo君は狂ってるっていつも嬉しそうに言ってますね。

D:オムスくんとは人肉MPCの事とか楽しく話せて嬉しいです。

このMPCライヴで使って欲しいですけどね。

D:渋谷音楽祭で飾ったときもみんなめっちゃ写真で撮ってくれて嬉しかったです。本当に気持ち悪いんで、笑っていない人も多くて。写真だと洒落た感じだけど、(といってdooooのinstagramにある全体像の動画を見せる)この端の部分いつか触って欲しいんですけど。気持ち悪いんですよ。端っこが。何回もやり直して作ってもらいました。

総制作費は……?

D:結構お金はかけました(笑)。だから触ってほしくて。一番長く使ってたのがMPC 2000XLなんですけど、だから。僕っぽさも出したくて、マッド・サイエンティスト感を。で、人肉にして。仙人掌さんとのビデオでHEIYUUの肉にして。

トラックメーカーのアルバムのジャケットって機材が出てるもの多いけど、これは新しいですよね。そうだ、ホラー映画ってどういうのが好きですか?

D:生々しいというか、ヒューマン・ドラマというか。『オールナイトロング』っていう映画があるんですけど。かなりトラウマ系ですね。上手に人を嫌な気持ちにさせる。女の子がアキレス健を切られる描写とかがすごく上手いというか。

俺、日本のホラー苦手なんですよ。やな気分になるやつ。ホラーとかそういうの以外でライフワーク的に好きなもの何があります?

D:コミックですね。曲作るきっかけも漫画とか映画とか音楽以外のものが多い。こういうの作りたいっていう。

そう思う時って頭の中に曲の設計図があるんですか?

D:最初は感覚でこういう。日野日出志の「日野日出志の地獄変」って漫画を読んだときに、漫画の世界観、地獄絵図みたいな曲を作りたいって思って、その段階ではあまり考えてないんですけど、音を入れていくなかでヒップホップにしようとか、まあ、感覚ですね。

日野日出志。苦手だったけど、ここ1年くらいで結構はまってきて。

D:おどろおどろしい絵いいですよね。

おどろおどろしいけどファニーですよね。

D:おどろおどろしいだけじゃなくて、そういうさじ加減が良いんですよね。ただただ気持ち悪いんじゃなくて、ちょっとファニーさもあるのに惹かれるんですよね。それこそ、曲も、怖いなかにファニーな感じ。仙人掌の曲でもそういうのも意識していて。

たしかにそうですね。リリックも含めてそういう印象がある。

D:怖そうなテンションのわりに、面白いですよね。そして、なんというか、僕のことをわかりやすく言ってくれて。めっちゃ嬉しかったです。

ラッパーがトラックメーカーを紹介してる構成も面白いと思う。

D:アルバムの曲で僕のことをここまで歌ってるのこの曲だけですね。

この曲でdoooo君のことはわかりますよね。酒の情報とか余計な情報はあるけど。それありきでdooo君を見ると面白い気がします。

D : 笑。


 まだ発表できない予定の話を聞いて、テープを一度止めて。気がつくと機材の話をしてた。ジャンクというよりは何かの塊というような。なんだか禍々しい話。でもdooooとの会話には禍々しさよりも、なんだかファンシーなイメージ。


D:機材巡りが好きで、ハードオフ行って使い方わからないけど面白そうな機材を買ったり。レコード8円 ~ 108円で売ってるんですけど、そういうの買うのが好きですね。それみんなで聞いたりとか。それこそ、仙人掌君とのPVにも出てくるんですけど、赤白の線差すのが両方にあるだけの箱。使い方はわかりません。

それはいくらだったの?

D:108円でしたね。形がかっこいいから買いました。いまも何かわからないですね

アルバムでそういう面白い機材制作に使ったものあります?

D:ありますね。ノイズとかそういう音が出るだけですけど。本当に気づかれないくらいのノイズだけなるシンセの音をサンプリングしていじって入れてますね。

dooo君が制作するコクピットはどうなってるの?

D:台所に機材とかレコードとかの物置があるんですけど、ガラクタが積んであるみたいな。そこに人肉MPCもあるんですけど。

それおぞましいですね(笑)。メカ的なのも好きですよね!? ギーガー好きだよね?

D:ギーガー!! 重厚感がありますね。

ギーガーもえぐさありますよね。バイオメカ。

D:いかついですよね。ゴツい。エイリアンもそうなんですけど重厚感があるものに影響を受けてて、そういう。

金属音とか?

D:影響を受けてますね。

バイオMPC。

 dooooの作り出す空間はやはりどこか歪んでるような気がする、だけれど心地よい、遊んでいて心地よいような空間だ。余計なものがたくさんあるけど、それで遊べる。説明とか書いてない。その感覚って音楽のひとつの魅力なんじゃないかなって思った。そんな感覚を持って『PANIC』を楽しくパニックしてください。ちょっとまだ公開しちゃいけないinfoが多かったのですが、今後もdooooのまわりは楽しそうだ。

D:ゲストを呼んだリリース・ライヴをいくつか考えていて。全員呼んだパーティもやりたいと思ってます。来年またアルバムからビデオを公開する予定です。

doooo 『PANIC』 Teaser

(了)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114