「OTO」と一致するもの

Marihiko Hara - ele-king

 ミニマルな展開、典雅なビート感覚といった、端正なIDMの顔と、ポスト・クラシカル勢にも接続するようなシネマティックな叙情性とを、アルカイックな微笑みのもとに統合してしまう......クリーンでナイーヴで、しかしそうであることを客観的にとらえてもいる2010年代のフィーリングが、ここに発露されているのではないか。いたずらっぽく茶目っ気のあるサウンド・コラージュや、イタリア語ラップのユーモラスな用い方も心愉しい快作。

動物から受けたインスピレーションが基柱となった、ユーモア溢れるコンセプト・アルバム。

京都を中心に活動する音楽家原摩利彦のCDリリースとしては2作目となるソロ・アルバム。普段は電子音楽イベントnight cruisingを中心にライブを行っており、『セイジ-陸の魚-』(監督:伊勢谷友介、音楽監督:渋谷慶一郎)サウンドトラックへの参加や、高谷史郎(ダムタイプ)の作品にて音響を担当するなど、映像作品や舞台にも関わる。また柳本奈都子とのユニットrimaconaとしても活動している。 本作はアルバム名のFAUNA(動物相=一地方又は一時代における全動物の種類)をコンセプトに制作された、原のイメージを裏切るカラフルな作品に仕上がっている。 例えば"Megafauna"では、象のような大型動物の鳴き声、動作、生態、身体的特徴(柄や色)を表現。その他の楽曲でも動物の特性を落とし込むというアナリティカルなプロセスが採用されている。
また「スーパー銭湯にある精算機の小銭が落ちる音」「ある田舎町の5時を伝えるサイレン」など、日常の環境音を収集及び加工した素材を使用したり、"fauna v"ではフィレンツェ在住のイタリア人ラッパーMillelemmiによる脱力系ラップをフューチャーするなど、様々なユーモアが込められている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

Rexikom - ele-king

 立体的に構築された音響、そこに人と人のたてる物音のようなノイズがゴーストのように貼り付いている。ヘッドホンで聴くと何度か後ろを振り向くことになるだろう。プライヴェートな生活音ではなく、どこかしら公共空間からのサンプリングを思わせるそれは、硬質なサウンド・デザインとも相俟って、本作のインスピレーションの根源ともなったというゲオルグ・トラークルの欝や「世界苦」を現代的に解釈しているのではないかと想像させる。

電子音楽が内包する本来的な文学性をまとった フロア仕様のテクノ・サウンド。

Masahiko Takeda、Naohiro Tomisawa(Pain For Girls)、Takashi Himeoka(Etwas)の3人で構成される、京都の電子音響ユニットRexikom(レキシコン)初のCD作品。2011年の活動開始以降、電子音楽レーベルIl y a Records(イリヤ・レコード)を主宰したり、ライブ・インスタレーションを中心とするイベントIl y aを主催するなど幅広い活動を展開。それぞれがソロ・アーティストとしても活動している。 タイトルのGeläute der Stille(ドイツ語で静寂の響き) は、ハイデガーが詩人ゲオルグ・トラークルの詩を評した際に用いた言葉。アルバムはドイツ表現主義を代表するトラークルの詩世界を媒介として制作されたという。 "Grodek"や"Alton"は、テクノ・ビートに神秘的で不穏なシンセ音がのる、いわゆる黎明期のテクノ・サウンドを彷彿とさせる楽曲だ。テクノとSFの関係性など、電子音楽と20世紀の文学が切り離せない関係にあることは周知の事実だが、回帰的であるが故に、デトロイト・ディープ・サイドのアイコンDrexciyaに通底するようなテクノ特有の文学性を獲得することに成功。それがそのまま同世代のアーティストにないオリジナリティーとなっている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

genseiichi - ele-king

 92~93年のベッドルーム・テクノとも似た、いまでは珍しい楽天性と実験生の華麗な結実。思ってもいなかった人に出会ったような嬉しい驚きとでもいうか、温かい電子音は、フワフワと軽く、僕の心に忍び込み、微笑みをもって平穏を醸成する。このレーベルの作品全般に言えることだが、立体的な録音それ自体も心地よく、音のマッサージである。乾いたドラムマシンの音、ノイズ、合成音、すべてが愛おしい。

軽快さと歪みの共存。アヴァンポップに通じるような遊び心溢れる電子音楽作品。

genseiichiは京都在住のミュージシャン、舞台音響家。2006年に5人組インプロヴィゼーション・ユニットa snore.のメンバーとして音楽活動をスタート、2010年からソロ活動を開始した。これまでに京都の劇団夕暮れ社弱男ユニットや、同じく京都を中心に活動するダンサー倉田翠の作品にて音響を務めている。楽曲制作はすべてハードウェアのみで行っており、テープコンプなどのローファイな音響効果も採用している。 ファースト・アルバムとなる本作では、古くは旧西ドイツのNEU、近年ではフランスのJulien Locquet(a.k.a. Gel:)などのサウンドに聴くことのできる、軽快さと歪みの共存がアイデアの主軸となっている。全編を通してアヴァンポップ/トイポップに通じる、おもちゃ箱をひっくり返したようなイメージが渦巻く。 "funny game"や"agony of photographer"ではエフェクトによって極端なまでにトラックを破綻させることで、カオティックなイメージを作り出しており、"confused hop"では、目まぐるしく変化するエフェクトとポリリズムが奔放さを演出する。波の音、鳥の鳴き声など、ジャングルの奥地を想起させる環境音とドローンを組み合わせた"penhaligon's endymion"は、異世界に迷い込んだような不安と懐かしさを同時に感じさせる不思議なヴィジョンをもつ楽曲となっている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

HIRAMATSU TOSHIYUKI - ele-king

 『CHASM』はグリッチを基調にしているが、本作のノイズはかならずしも制御不能なエラーを志向するのではなく、マッシヴなビートやアンビエントな電子音、サブリミナルな効果を生むヴォイス・サンプルといったいくつかのエレメントのなかにそれを配置し、多面的に構成(コンポーズ)することで、HIRAMATSU TOSHIYUKIは古典的なIDMの方法論(というより、IDMそのもの)のアップデイトをはかるかのようである。ビートの波間をノイズがただよう点描的な"Chasm"、グリッチ・アンビエントの"Old Soil"とそれを反転させたかのような不定形のビートと音響による"Mass"、つづく"N_V_H"のコラージュ感覚、さらにビートメイカーとしての非凡さをうかがわせる "Let's Dance"、そのベースにはヒップホップからなにから、同時代のエレクトロニック・ミュージックを血肉化した身体が見え隠れするので、私は次作はもっと長尺の作品にじっくり浸りたいと思った。

オブスキュアな音像、 卓越した展開力で聴かせる上質なエレクトロニカ。

HIRAMATSU TOSHIYUKIは滋賀出身、京都在住のアーティスト。関西を拠点としており、音響だけでなく、映像を含めたライブやVJも行う。また滋賀の山中や、琵琶湖に浮かぶ離島にて音楽イベントを共同開催するなど、地域に根差した活動も展開している。楽曲制作の軸にはMax/MSPによるプログラミングがあり、パッチ式のシンセNord Modularを外部音源で使用している。 本アルバムはCDフォーマットではキャリア初リリースとなる。光る霧に包まれる中ゆっくりと歩いていくような、淡い音像を持つタイトル曲"CHASM"、William Basinskiの『The Disintegration Loops』を思わせるシンセの不安定なループとグリッジ・ノイズの重なりが、オブスキュアな空間性を作り出す"Old soil"と、冒頭アンビエント・マナーの2曲が続く。
リズムとノイズの境界線を破壊するカオティックな"Mass"以降は、一転してダンスフロア仕様のエレクトロニカへシフト。デジタル・ノイズとアンビエントを基軸としながら、巧みに変転する展開力が素晴らしい。最後にテープ・コラージュ的なループ音とダビーなエフェクトが幻想的な"Walk"でアルバムが終わる余韻も心地良い。 アートワークは関西を中心に活躍するフォトグラファーの久田元太が手掛けた。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

dagshenma - ele-king

 脳内を蠢きまわる音の群れ、その持続と切断と生成......。"dagshenma"は京都市在住higuchi eitaroによるプロジェクトである。80年代的なインダストリアルなノイズ&ピザールな音響と、90年代的なジャンクな音の坩堝を、ゼロ年代以降のエレクトロニカ/電子音響的なステレオフォニックな音響によって再生成していく「実験」がアルバムに一枚に見事に凝縮されている。精密かつ最先端のプログラミングと、ジャンクでスカムな音の運動の共存/融合。そして、その「実験」は、純粋な耳の快楽のためにあるようにも思えた。レーベル再活発化、最初のリリース作品。

ダークサイド・エレクトロニカの新鋭による、 21世紀型インダストリアル・ミュージック。

dagshenma(ダグシェンマ)は樋口鋭太朗による電子音楽プロジェクト。アーティストとしてだけでなく、ノイズ専門レーベルUNNOISELESSを共同運営し、2012年に全58曲入りのノイズ・コンピレーションをリリース。京都のライブハウスBlue Eyesで電子音楽イベントPARANOIAを不定期的に開催するなど、一貫してアヴァンギャルド・スピリットに根差した活動を行っている。
dagshenma名義での初CDリリースとなる本作では、フランスのMlada FlontaやイギリスのNurse With Woundといった、インダストリアルの流れを汲むヨーロッパの前衛たちにルーツをみるような退廃的エレクトロニカを展開。デカダンなイメージと、アルバム全体を通して鳴り響く高周波、デジタル独自のザラついたノイズがサウンドの個性を形作っている。 ハイライトは重厚なマシン・ビートが脈打つ"offthelight"、カットアップされた弦楽器の旋律が生み出す病的なドラマティシズムが印象的な"cream"(PsysExとの共作)、チベットの宗教儀式をサンプリングした"hIll"(dagshenmaは宗教色の強い素材をしばしば引用する)。 なお "zaumi2012"はドイツの電子音楽レーベルelectrotonから発表したCD-R作品『zaumi』に収録されたタイトル曲の続編的楽曲となっている。 dagshenmaはhiguchi eitaro名義でもshrine.jpからアルバムをリリースしている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

Hakobune - ele-king

 トーマス・ケナーを彷彿させるアンビエント・ドローンだが、作品には、ボーズ・オブ・カナダのような、温かい郷愁が広がっている。そして、クラウトロックが好きなリスナーにも聴かせたくなるような、電子音に対するある種のフェティッシュな感性もあるように感じる。最後の曲では、パルス音めいたビートが入っている。異次元から飛来したようなこのミニマルがまた良い。2007から膨大な作品を出し続けているTakahiro Yorifujiによるハコブネによる4作目。

澄み切った夜明けの空気を連想させる、ジオメトリックな持続音。
大らかに広がっていく美しいドローン。


Hakobuneは兵庫出身、東京在住のTakahiro Yorifujiによるソロ・プロジェクト(活動を始めた頃は京都を拠点としていた)。ラップトップやギターを用い、様々な手法でドローン作品を制作している。多作家であり、これまでに世界各国のレーベルから30タイトルを超える作品を発表している。またレーベルTobira Recordsを主宰し、京都を拠点とするドローン・アーティストNobuto Sudaの作品などをリリース。ライブ活動も積極的に行っており、2011年には北米ツアーを敢行した。 本作は2008年にTobira Recordsより少部数でリリースされた、同名カセットテープ作品(現在では廃盤)に、未発表音源2曲を加えたアルバム。未発表音源のうち1曲はキャリア初のミニマル・ビートを用いた楽曲となっている。 プロセッシングされたアタック音のないギターの持続音のみで全体を構成しており、ジオメトリックな持続音が広がっていくイメージは、澄み切った仄白い夜明けの空気を連想させる。2011年にhibernate recordingsからリリースされた『Away From The Lunar Waters』のような、ドローンにギターのフレーズを重ねた作品に比べ、より純粋なドローン作品に仕上がっている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

Nomura Kenji - ele-king

 普段こういった音楽をほとんど聴かない小生は、先ほどから頭を内部から爪でカリカリされている気がしてならない。各サウンドのテクスチャーとその間を駆け巡る旋律は驚くほど色鮮やかな展開を見せている。それはあたかもモノクロームの写真作品で構成されるジャケットに写されていない色彩を聴者というそれぞれのパレットを用いて彩色するべくうながされているような感覚である。

水と光が織りなす情景をイメージさせる、 内省的なエレクトロニカ。

Nomura Kenjiは京都出身、大阪在住のアーティスト。これまで関西を中心にイラスト、造形、絵画、写真などの分野で創作活動を行ってきた。2011年よりrace tone tortoise名義で音楽制作を開始、本作がキャリア初リリースとなる。 水面に落ちる水滴のような澄んだピアノのハイトーンが印象的な"Rythmic Canal"、夜の湖に映る街灯りを連想させる"Blue Jay"、波の音と鳥のさえずりがサンプリングされた"Teach"など、水と光が織りなす情景をイメージさせる美しい楽曲が並ぶ。"Teach"ではアフリカン・パーカッション、"Just"ではエチュード風のピアノ、"Rain Drop"では金属打楽器の音が楽曲の最後に配置されているが、環境音、楽器の音色、電子音が調和する中、あえて違和感の残るレイアウトを選択する手法も作曲の特長となっている。 全体を内省的な印象が覆っているが、アルバムを制作する際には室内や、自然を歩きながらのリスニングを想定し、一曲一曲をコンパクトに仕上げたという。また全トラックに共通する独特の間は、京都の街から受けたインスピレーションが反映されているそうだ。 アートワークは野村本人のモノクロ写真作品を採用。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

SónarSound Tokyo 2013、出演情報第3弾が発表 - ele-king

 エイドリアン・シャーウッドとピンチという大御所から、ロンドン・オリンピック開会式においてもあらためて大きな存在感を見せつけたカール・ハイド、そしてアクトレスやニコラスジャー、ダークスターといった俊英までをきっちり押さえるソナー・サウンド・トーキョー2013。第3弾となる今回の出演者発表ではLFOやジョン・タラボットに加え、日本勢においてもトーフビーツやサファイア・スロウズらが名前を連ね、じつにかゆいところに手の届いたラインナップを見せつけてくれている。今後も映像上映や展示、トークショーなど続報が段階的に発表されるとのことだ。目が離せない!

SónarSound Tokyo 2013 :: 4/6 & 4/7 ::
at ageHa | Studio Coast

ミュージック+アート+テクノロジーの祭典、
SónarSound Tokyo 2013 第3弾出演者発表!

LFO、Shiro Takatani、John Talabot、Toe... 一挙16組の追加アーティストを発表!
そしてRed Bull Music Academyがキュレーションする"SonarDôme"の出演者も明らかに!
そして大阪公演『A Taste of Sonar』開催決定!

一昨年、昨年と二年連続で入場制限までかかるほどの大人気を博した" SonarDôme "今年もRed Bull Music Academyがキュレーションを務めることが決定!

今回もRed Bull Music Academyの卒業後も確実に実力と可能性を拡げながら、精力的に世界中で活躍しているアーティストたちをラインアップ。

日本からは、アキコ・キヤマ、ダイスケ・タナベ、ヒロアキ・オオバ、sauce81、ヨシ・ホリカワが出演。さらに、現在ベルリンを拠点に活動し、サイケでムーディでベースへヴィーなビートミュージックで知られ、昨年<Ninja Tune>との契約が話題となったテクノ・プロデューサー、イルム・スフィア、ロンドンで活動するエレクトロニック・ミュージックのプロデューサー/DJ、OM Unit、UKよりエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーxxxy、そしてアカデミーが縁で生まれたダイスケ・タナベとのユニット、キッドスケより、UKのキッドカネヴィルが来日。世界で4,000通を超える応募者の中から狭き門をくぐりアカデミーへと選ばれた才能が、SonarDômeで炸裂します。Red Bull Music Academyが誇る、最先端の音楽を堪能してください。また、追加ラインナップ等も近日発表しますので、ご期待ください。

*Red Bull Music Academyより特典として、SonarDômeに出演するキッドスケのエクスクルーシブ・トラック「Mighty」が以下URLよりフリーダウンロード!
【2月22日(金) 日本時間 19時より】
https://www.redbullmusicacademy.com/magazine/kidsuke-mighty-premiere


今後も驚くべきハイクオリティなラインナップを続々発表予定。
また映像上映や、メディア・アート作品の展示、トーク・セッションなどなど、今後の発表にも注目!

SónarSound Tokyo 2012 の初日はソールドアウトし、残念ながら会場に行けなかった方もおりますので、お早めにチケットをお買い求め下さい!

■日時
4/6 sat
Open/Start 21:00
LFO NEW
Sherwood & Pinch
Boys Noize DJ Set
Actress
John Talabot NEW
Submerse NEW
Sapphire Slows NEW
and much more...
4/7 sun
Open/Start 14:00
Karl Hyde
Nicolas Jaar
Darkstar
Shiro Takatani:CHROMA NEW
Toe NEW
Green Butter NEW
Tofubeats NEW
and much more...
Red Bull Music Academy presents SonarDôme NEW
Akiko Kiyama, Hiroaki OBA, ILLUM SPHERE, Kidsuke, Om Unit, sauce81, xxxy, Yosi Horikawa and more...

Produced by: Advanced Music / Beatink


■チケット詳細

[前売チケット]
1Day チケット: ¥7,750
2Day チケット: ¥14,500

[当日チケット]
1 Day チケット: ¥8,500

*2DAY チケットは、BEATINKオフィシャルショップとe+、チケットぴあのみでの販売。
*4月6日(土)の1DAYチケット及び2DAYチケットは、20歳以上の方のみ購入可

■前売チケット取扱い
BEATINK On-line Shop “beatkart” (shop.beatink.com)
チケットぴあ(P:189-692) t.pia.jp, ローソンチケット(L:74641) l-tike.com, e+ (eplus.jp),
イベントアテンド (atnd.org) *Eチケット

■注意事項
4月6日(土)は、20歳未満入場不可となり、入場時に年齢確認のためのIDチェックを行います。運転免許証・パスポート・顔写真付き住基カード・外国人登録証のいずれか(全てコピー不可)を ご持参ください。
You Must Be Over 20 Years Old With Photo ID To Enter for 6 Apr (sat) show!

■MoreInformation
BEATINK www.beatink.com 03-5768-1277
www.sonarsound.jp www.sonar.es


■大阪公演決定!!!
バルセロナ発、今や世界的に高い評価を集める最先端のフェスが遂に大阪に上陸!そして2日間のイベントとして開催が決定!日本初となる今回のA Taste of Sónarは、SónarSound Tokyo 2013の出演アーティストの中から特に強力なラインナップを選出し、二つの異なる会場で行われる。
1日目はニコラス・ジャー、シャーウッド&ピンチ、アクトレスはじめ、過去ソナーに出演経験のある日本人アーティスト達が出演。
2日目は、ソロ・アルバムをリリースすることで話題のアンダーワールドのカール・ハイドがバンドと共に出演する他、ダークスター、日本からはアルツが出演。

A Taste of Sónar in Osaka
Day1 4/5 Fri

Universe
open/start 18:00 ticket: tbc
Nicolas Jaar
Sherwood & Pinch
Actress
and more...
Day2 4/8 Mon
Umeda Club Quattro
open/start 18:00 ticket: ¥5,800 Adv.
Karl Hyde
Darkstar
ALTZ

A Taste of Sónar
ソナーのサテライト・イベントとして、これまでロンドンなどでも開催されてきたA Taste of Sónar(テイスト・オブ・ソナー)。本家ソナーのDNAを受け継ぐイベントは、今回の大阪開催が日本初となる。



 なぜ日本ではレコード・ストア・デイがもう少し一般化しないのだろうか? 2008年からはじまった、フィジカル・リリースとそのインディペンデントな流通を盛り上げるための祝祭は、途切れることなくしかも規模を拡大して今年も開催されるようだ。

 そもそもは限定盤の店頭流通によって近所の小さなレコード・ショップなど小規模(で良心的)なお店を活性化させようといったコンセプトがあったわけだが、アーティストも積極的にこの機会を活用したらいいのにと常々思う。「レコード・ストア・デイ限定」として、CD-RでもカセットでもMDでも、余裕があるならヴァイナルをプレスして、カジュアルにリリースするのは楽しいことである。

 海外では、ほとんど名前をきかないようなアーティストから大御所まで、リリース数は年々増えている。日本のショップだと早々に完売する商品すら珍しくない。だが日本のアーティストの作品はとても少ない。キャリアは関係ないのだ。音源をフィジカルでリリースしたことのない人も、レコード・ストア・デイ・デビューとして、この機会を活用してはいかがだろうか。

 坂本慎太郎が前回にひきつづき今回も「レコード・ストア・デイ限定」を打ち出しているのは、心強いことである。しかも彼の作品のうち、完全にリミキサーの手に委ねるかたちでのリミックスはこれまでリリースされたことがないということだから、コーネリアスと石原洋、ふたりが聴かせてくれる内容も非常に楽しみである。

坂本慎太郎remix 7inch vinyl『幽霊の気分で (コーネリアスMIX) & 悲しみのない世界 (石原洋MIX) 』発売決定!

1月11日にシングル『まともがわからない』、2月15日に同7インチ・ヴァイナルをリリースした、坂本慎太郎のリミックス7インチの発売が決定しました。
 
昨年、雑誌『Sound & Recording Magazine』の企画で付録CDとして発表され話題になった、『幽霊の気分で (cornerius mix)』が待望のアナログ化です。
アルバム『幻とのつきあい方』収録のオリジナル・ヴァージョンが、コーネリアスこと小山田圭吾の手により、完璧なコーネリアス・サウンドに。
そして今回新たに、ゆらゆら帝国のプロデューサーである石原洋が、最新シングル収録の(TX系『まほろ駅前番外地』OST曲)“悲しみのない世界”をリミックス。
音数を最小限に削ぎ落とした、石原にしかできない深淵でメロウなミックスに。
どちらも坂本と縁の深いアーティストによる、好対照で素晴らしいミックスが収録された、両A面7インチ・シングルに仕上がりました。

今回は両曲とも、バンド時代から数多の坂本作品にコーラスとして参加している、Fuko Nakamuraのヴォーカルが前面にフィーチャーされており、「坂本慎太郎 feat. Fuko Nakamura」名義でのリリースになります。

坂本本人が完全に他人に委ねたリミックス・ヴァージョンのリリースは初になります。 

また、今回「レコード・ストア・デイ2013」の限定7インチとして、店頭のみの販売になります(各店web/予約販売は行いません)。

https://www.recordstoreday.jp/index.html#a1

世界的にも再びアナログ盤が重要メディアになってきているいま、まさにこの春の最重要7インチ・ヴァイナル! 今回も特殊二つ折りジャケットで、全国のレコードショップ店頭にて4月20日(土)発売予定です! 

■発売日
2013年4月20日 (土) zelone recordsより
■タイトル・詳細
坂本慎太郎 feat. Fuko Nakamura
Shintaro Sakamoto feat. Fuko Nakamura 
A: 幽霊の気分で / In A Phantom Mood  (Cornelius Mix)
AA: 悲しみのない世界 / World Without Sadness (You Ishihara Mix)
All Songs Written by Shintaro Sakamoto

A: Remixed by Cornelius
Additional Instruments: Keigo Oyamada
Recording, Programming & Mixing: Toyoaki Mishima

AA: Remixed by You Ishihara
Additional Instruments:
Piano: Fuko Nakamura
Guitar: Soichiro Nakamura
Guitar & Bass: You Ishihara
Recording & Mixing: Soichiro Nakamura at Peace Music

Mastered by Soichiro Nakamura at Peace Music, Tokyo Japan  2013

■品番
zel-009 (7inch vinyl)

■価格
¥1,050 (税込) 

■関連サイト
official HP: www.zelonerecords.com
official twitter: https://twitter.com/zelonerecords
official face book: https://www.facebook.com/zelonerecords
distribution: Jet Set Record : https://www.jetsetrecords.net/

■Cornelius (コーネリアス / 小山田圭吾) 
1969年東京都生まれ。'89年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。
バンド解散後 '93年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで5枚のオリジナルアルバムをリリース。
自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやREMIX。プロデュースなど 幅広く活動中。
https://www.cornelius-sound.com/

■石原洋(イシハラヨウ)
ミュージシャン、サウンド・プロデューサー。
80年代半ばよりWhite Heaven, その後The Starsを主宰。2008年The Stars解散後はソロ名義で不定期に活動。
96年の「Are you ra?」以降、最終作「空洞です」までのゆらゆら帝国の全作品やOgre You Assholeの近年の作品などのブレインとしてサウンド・プロデュース、アレンジ、リミックスを手がける。
他に朝生愛、Borisなどプロデュース、リミックス作品多数。

■RECORD STORE DAY
RECORD STORE DAYはCHRIS BROWNが発案し、ERIC LEVIN、MICHAEL KURTZ、CARRIE COLLITON、AMY DORFMAN、DON VAN CLEAVEとBRIAN POEHNERによって創始された、全米の700を超え、海外に数百を数えるレコードショップとアーティストが一体となって近所のレコードショップに行 き、CDやアナログレコードを手にする面白さや音楽の楽しさを共有する、年に一度の祭典です。限定盤のアナログレコードやCD、グッズなどが リリースされ、多くのアーティストが全米各地、各国でライブを行ったり ファンと交流する日です。
2008年4月19日にはMETALLICAがサンフランシスコのラスプーチン・ミュージックでオフィシャルにキックオフをし、以降は毎年 4月の第3土曜日にRECORD STORE DAYが開催される運びとなりました。
https://www.recordstoreday.jp/index.html#a1

■坂本慎太郎
1967年9月9日大阪生まれ。
1989年: ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。21年間で、3本のカセットテープ、 10枚のスタジオアルバム、1枚のスタジオミニアルバム、2枚のライヴアルバム、1枚のリミックスアルバム、2枚組のベストアルバムを発表。
2006年: アートワーク集「SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006」発表。
2010年: ゆらゆら帝国解散。解散後、2編のDVDBOXを発表。
2011年: salyu×salyu「s(o)un(d)beams」に3曲作詞で参加。自身のレーベル、zelone recordsにてソロ活動をスタート、1stソロアルバム「幻とのつきあい方」を発表。
2012年: 以前から交流のあるYO LA TENGOのジェームズ・マクニューのソロ・プロジェクト”DUMP”の”NYC Tonight"にREMIXで参加。
NYのOther MusicとFat Possum Recordsの新レーベル”Other Music Recording Co" から、「幻とのつきあい方」がUSリリース。
2013年: 1月11日Newシングル「まともがわからない」リリース。



interview with DIVORCE Music (Darcy Spidle) - ele-king

「モントリオールは不正な行政の不正な都市であり、多くの狂った計画と同時に、しかし、多くのマイナーな奇跡がある美しく腐った町だ」と、GY!BEは語っているが、その「多くのマイナーな奇跡」は、モントリオールからずっと東の小さな小さな町、日本人のほとんどが記憶にないであろう、ハリファックスでも起きている。その小さな小さな町からさら東に離れた、北大西洋沿いの小さな小さな小さな村のシェゼットコックには、20年以上も続いているレーベルがある。名前は〈ダイヴァース〉、昨年末リリースされたユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・へヴンのデビュー・アルバムが都内のレコード店で話題となったことで、ささやかながら注目を集めている。

 〈ダイヴァース〉のレコードを手にして、鼻を近づければ、潮のにおいがするかもしれない。いや、気のせいだろう。だが、レーベルを主宰するダーシー・スパイドルが、近場の海でサーフィンをやりながら、作品を出していることは本当だ。その合間に彼は、地元のライヴやフェスティヴァルに協力している。
 それにしても、ウェットスーツを着たごつい男が、ティム・ヘッカーやグルーパーを愛聴するというライフスタイルは、趣味の良い日本人からすると奇妙に見えるかもしれない。波に乗ったあと部屋に戻って、マイ・キャット・イズ・アン・エイリアンを聴くなんて。
 しかし、波の音とドローンはミックスされ、北海道よりも緯度が高い場所で暮らしながら、サーフボードはエレクトロニック・ミュージックの海を浮かび、レイドバック音楽を背後に、ピエール・バスタインやエイメン・デューンズを聴いている。それは、インターネットが普及したとんに、わざわざ限定のアナログ盤やカセットのリリースが拡大したこととも関連しているだろう。つまり、「多くのマイナーな奇跡」が起きたことで切り崩され、創出された。それがいま我々が接しているDIY文化、いわゆるアンダーグラウンド(インディではない)・シーンなのだ。

多くの、そして小さなレーベルがカナダにはある。それらレーベルはこの国に、強いシーンを育てようとしている。君が知っているようなカナダのアーティストは、最初はみんなカナダの小さなレーベルからデビューしている。この数年で、カナダの音楽シーンはとんでもない成長を遂げている。

あなたのバックボーンについて教えてください。

D:もともとは、自分の音楽を発表するために〈ダイヴァース〉をはじめた。僕はまだ若く、地元の音楽産業をちょっと経験したぐらいだった。でも、産業は僕のものではなかった。僕の求めているものではなかったんだ。そのとき、僕は、音楽ビジネスの怖さを覚えたと言っていい。
 僕は自分の作品を出して、それをひとりでやりたかった。最初はCDRのリリースからはじめた。初期のリリースは、まったくの手作りだった。リリースのスケジュールを守るために、ずいぶんと労力を要したものさ。
 やがて、僕はディストリビューターや製造業者と付き合うようになった。そして、自分以外のアーティストの作品のリリースもはじめる。だけど、基本は変わっていない。僕は、ブラック・フラッグの〈SST〉から大きな影響を受けている。80年代前半、アメリカのパンク・ロックは、北米におけるインディペンデント・レーベル文化の基礎を築いた。その流れで生まれたモンリオールの〈エイリアン8〉というレーベルからもインスピレーションを受けた。日本のメルツバウ、マゾンナ、中嶋昭文など、素晴らしい実験的な音楽をたくさん出していたからね。

レーベルは何故〈ダイヴァース〉(別離/離婚)と名付けられたのでしょう?

D:僕がメインストリームの音楽産業から離れたかったからだ。僕は、本当に産業を嫌悪した。〈ダイヴァース〉は、絶対的な「別離」の試みだった。レーベルをはじめたばかりの週末のことだった。僕は自分の住んでいる町のポストにこんなフライヤーを投函してまわった。「音楽はゴミだ。音楽と絶縁せよ(Music is Garbage.DIVORCE Music)」。ずいぶん愚だったけれど、それがそのときの僕だった。


シェゼットコックにあるこの家で暮らしながら、レーベルを続けている

この10年、カナダのアンダーグラウンド・シーンは他国との交流も盛んで、とてもたくさんの成果を生んでいると思います。

D:まさにその通り。この10年はカナダの音楽にとってとても重要な時期だった。大きな都市のシーンはそれぞれ特徴を持って発展している。また、インターネットによって、アンダーグラウンドの音楽家たちは10年前より自由な活動をなしえるようになった。また、ここカナダには、若干とはいえ、適切なアート資金提供プログラムがある。カナダの才能ある人がアーティストでいられることは現実的なオプションのひとつなんだ。
 といっても、それは簡単なことではない。ライヴ・シーンは、アンダーグラウンド・ミュージックをサポートするにはまだ小さい。本当に成功するためには、アメリカとヨーロッパに進出しなければならない。いくつかの実務業務と財政のため、それは多くのカナダのアーティストにとって大きなタスクとなっている。

あなたは、レーベル活動のため、音楽が盛んなモントリオールに引っ越しませんでしたよね?

D:モントリオールはたしかにカナダでもっとも栄えた音楽都市だ。多くの友人、バンド仲間もモントリオールに移住している。しかし、僕はモントリオールに行かなかった。ノヴァスコシアに留まって、ここを離れるつもりはない。

ハリファックスがもっとも近い地方都市ですが、そこには音楽シーンがありますか?

D:ハリファックスには、強い音楽シーンがつねにある。ホントに小さな町だけれど、そこには、何百ものバンドとアーティストがいる。アンビエント、エレクトロニック、それからハードコア・パンクまで、あらゆるジャンルがある。
 レーベルもいくつもある。たとえば〈Electric Voice〉〈Snapped in Half〉なんか。しかも、たくさんの国際的なフェスティヴァルもある。「Halifax Pop Explosion」、我々が関わっている「OBEY Convention」。いろいろある。
 僕たちの町は小さいから、カナダの大都市からもアメリカからも孤立しがちになる。そこからバンドを連れてくるのも難しい。だからこそ逆に、地元のオーディエンスとバンドは互いに深くインスピレーションを与え、支え合っていると言える。それが音楽コミュニティの形成に役立っているんだ。


USのフリー・ジャズ・ドラマー、Jerry Granelliも〈ダイヴァース〉から作品を出している。
ハリファックスでの演奏 (photo by Pierre Richardson)


アルバムを控えているJfm@OBEY Convention 5 in Halifax (photo by Pierre Richardson)


Darcy and Courtney@Electric Voice in Halifax

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大量生産の果てに生まれたCDは、いまや無限に複製されるデジタル音楽となっている。ゆえに、アナログ盤とカセットが限定盤(有限)としてリリースされることには意義がある。リスナーにとっても、100個しか作られないカセットのひとつを買うことは、急進的で、冒険的な行為なんだ。

グルーパー、USガールズ、ゲイリー・ウォーなどといった僕らの大好きな実験的なアーティストと〈ダイヴァース〉はとても友好的な関係にあるようですね。

D:僕はハリファックスでその人たちがやるときはいつもサポートしている。その人たちの演奏を聴いたときは、本当にぶっ飛ばされた。彼らはすでに世界的クラスのアーティストだった。
 僕が彼らの音楽を好きな理由は、音楽のなかで自分の本当の感情を伝えるために実験的な手法を取っているというところにある。進歩的な考えと感情との組み合わせが、僕は彼らの音楽のなかでもっとも惹きつけられる点だ。

いままでどのくらいリリースしているんですか?

D:正確な数はもう憶えていない。カタログ上では、いま52枚リリースしたことになっている。そこには、2~3のデジタル・リリース、アナログ盤、カセット、それからジンも含まれる。あともうすぐ発表される『Lowlife』という映画との関連作品もある。


映画『Lowlife』から

インターネットの普及がいろいろなものを破壊的なまでに変えてしまいました。カナダはいかがでしょうか?

D:カナダも日本と同じだと思う。ほとんどの音楽はネット上にある。音楽リスナーにとっては良い時代だと言えるだろう。アーティストにとっても自分の露出が増えたわけだから、ポジティヴな効果もあると言えばある。だが、供給は増え、需要は減少している。しかも、多くのリスナーは、アルバムが商品だった時代にくらべて、音楽にありがたみを感じていないかもしれない。
 とはいえ、こうしたなかで前向きな活路を見いだしているアーティストもいる。たとえばティム・ヘッカー。ツアーをして、限定盤を発表する。グルーパーもそういうタイプだ。彼らは実験的なやり方で生計を立てている。10年前、彼らのような規格外のアーティストが世界的な支持を得ていたとは思えない。これは、自分たちが本当に尊重したいアーティストとレーベルを自分たち自身でサポートするという、リスナーの純粋な気持ちがもたらしている事態だ。実際、多くのリスナーはその選択を選んでいるし、ますますそのようになると僕は思っている。

オンライン・マガジンの『Weird Canada』を見ると、多くのレーベルやアーティスト、たくさんのカセットのリリースも見つけることができます。カナダのアンダーグラウンド・シーンは健康な状態だと言えますか?

D:そう思う。多くの、そして小さなレーベルがカナダにはある。それらレーベルはこの国に、強いシーンを育てようとしている。君が知っているようなカナダのアーティストは、最初はみんなカナダの小さなレーベルからデビューしている。『Weird Canada』は、アンダーグラウンド・コミュニティを育て、そして繋ぐ役割をしている。この数年で、カナダの音楽シーンはとんでもない成長を遂げている。

今日、アンダーグラウンド・シーンでは、アナログ盤とカセットでのリリースが主流になっています。こうした傾向に対するあなたの意見を聞かせてください。

D:デジタルの飽和状態が続くなか、アナログ盤のリリースは有益だと思う。単純な話、音楽リスナーにとって本当に好きな盤であるなら、手元に置きたいと思うだろう。そして、アナログ盤があって欲しいと願うと思う。大量生産の果てに生まれたCDは、いまやデジタル音楽として無限に複製されている。ゆえに、アナログ盤とカセットが限定盤(有限)としてリリースされることには意義がある。リスナーにとっても、100個しか作られないカセットのひとつを買うことは、急進的で、冒険的な行為なんだ。
 作品とリスナーとの関与の仕方についても、こうしたリリースには考えさせられるものがあるんじゃないかな。デジタルに複製され、ばらまかれたものを「黙って買え」と言われるより、よほど身体的な関係性が生まれるわけだから。

あなたが昨年出したYou'll Never Get To Heavenのデビュー・アルバムがとても気に入りました。あなたは彼らのどこが好きなんですか?

D:YNGTHは、その実験性と感情へのアクセスがスムーズなところが良いと思う。実に珍しい混合の仕方をしている。初めて聴いたとき、瞬く間にその世界にハマってしまった。従来のポップス構造の範囲内で、彼らのような合成の仕方でアンビエントの組成物を利用することは、珍しいと思っているんだ。彼らは大きなバンドだと思っている。この先、将来、彼らといっしょに何かできると良いと思っている。

この先の予定について教えてください。

D:4月は、トロント電子音楽とヴィジュアル・アーティスト、JfmのためのLPを控えている。そして我々は、ベルリン/トロント作曲家エイダン・ベーカーによるとびきり重たいドローンのLPも出すよ。



最後に、あなたのオールタイム・トップ10を教えてください。

D:それはタフな質問だ。以下、大きな影響をもらった作品を挙げておく。これらの作品はつねに聴いている音楽ではない。しかし、明らかに自分が取り憑かれたように聴いた作品だ。僕に新しい世界の扉を開けてくれた作品なんだ。

Alice Coltrane - Journey in Satchidananda
Kraftwerk - Radio Activity
Ornette Coleman - The Shape of Jazz to Come
John Fahey - Days Have Gone By Vol. 6
Black Flag - In My Head
Pharoah Sanders - Karma
The Boredoms - Vision Creation Newsun
Merzbow - Pulse Demon
Discharge - Hear Nothing See Nothing Say Nothing
Peter Brötzmann - Machine Gun


ダーシー・スパイドル

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