「OTO」と一致するもの

Chart by JAPONICA music store&cafe bar 2011.11.14 - ele-king

Shop Chart


1

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA KEEP BELIEVING (CAN YOU FEEL IT) REMIXES FAR OUT / UK / 2011/11/6 »COMMENT GET MUSIC
<FAR OUT>レーベル所縁の面々によるスペシャル・ユニット=FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRAシングル第6弾。この度遂にTHEO PARRISH登場です!聴けば分かるTHEO節炸裂の生音ドラムのコンビネーションに、フュージョン・タッチなジャジー・リフが絡む極上メロウ・ビート ダウン・リミックス、そしてC/Wには新鋭KOMPLEKSによるこちらも流麗なピアノ・フレーズが美しく響くファットなスロー・ディスコ・リ ミックスを収録!

2

J. ROCC

J. ROCC STAY FRESH STONES THROW / US / 2011/11/7 »COMMENT GET MUSIC
どす黒く野太いファンク・ビートが叩きつける"STAY FRESH"の長尺エディット・ヴァージョン(!)を筆頭に、同路線でこちらもまさにJ.ROCC節炸裂の"THRU THE TULIPS"ニュー・リミックス・ヴァージョン、そしてアルバム未収録のダウンビート・トラック"PNK"、"MATTS BAND"、最後にディスコ/ブギー感覚の"STAR (LATIN REMIX)"を収録と、超充実てんこ盛り内容・・!

3

CANTOMA

CANTOMA NORTH SHORE LENG / UK / 2011/10/26 »COMMENT GET MUSIC
PHIL MISONによるソロ・プロジェクトCANTOMAによるリミックスCDアルバム「OUT OF TOWN REMIXES」から美味しい2トラックがアナログ・カット!A面には様々な多数リリースを重ねるプロデューサーMAX ESSAによる、多幸感溢れるシンセ・トラックに爽やかなヴォーカルを絡めた"NORTH SHORE"リミックスを、そしてB面には<BICHES BREW>主宰DJ COSMOによるレゲエ/ダブ感を注入した"DIX VERTES"の極上トロピカル・リミックスを収録。

4

KINGDOM☆AFROCKS

KINGDOM☆AFROCKS FANFARE PLANET GROOVE / JPN / 2011/11/9 »COMMENT GET MUSIC
出ました!2LP!!アフロビート・レジェンドTONY ALLEN(本作にも参加!)も太鼓判を捺す国内屈指のアフロ・バンド=KINGDOM☆AFROCKS、昨今のアフロ・リヴァイバルも相まりクラブ・ シーンでも俄然注目度を上げる中、遂に初となるスタジオレコーディング・アルバムをリリース!

5

NOCOW

NOCOW IN A WAY EP ETHEREAL [RUS] / ES 014 »COMMENT GET MUSIC
グッド・リリース連発の<ETHEREAL SOUND>から遅れていたレーベル第14弾がようやく到着!当レーベル拠点のロシアからの新たな刺客NOCOWによるグレイテスト・ダウンビート集。J DILLA以降のビート感に、現行ベース・ミュージック・シーンにもなぞったコズミック感覚、そして首領ANTON ZAPPが惚れ込んだ確かなダンス・ミュージック・センスとが渾然一体となり織り成すアブストラクトなニュータイプ・サウンドを展開。

6

COYOTE feat. GAVIN GORDON

COYOTE feat. GAVIN GORDON MINAMOTO IS IT BALEARIC? / UK / 2011/11/6 »COMMENT GET MUSIC
マドリードのシンガーソングライターGAVIN GORDONをフィーチャーしたヴォーカル・バレアリック・ディスコ"MINAMOTO"オリジナルをはじめ、各クリエイターがリミックス仕上げた3ト ラック、そして傑作アルバム「HALF MAN HALF COYOTE」からのアウトテイク的アコースティックなアンビエンシー・トラック"EL SUENOOSCURO"を収録。

7

THEO PARRISH / BURNT FRIEDMAN

THEO PARRISH / BURNT FRIEDMAN MEETS MANCINGELANI AND ZINJA HLUNGWANI HONEST JONS / UK / 2011/10/25 »COMMENT GET MUSIC
レコード回転数を一瞬疑ってしまいそうなTHEO PARRISHによる高速ピッチでの奇天烈エレクトロ・リミックスが強烈スギですが、ここはやはりC/W収録のBURNT FRIEDMANリミックスを推し!パーカッション/チャント・サウンドがくっきりと浮き出たクリアなミッド・ファンク・ブレイクでダブワイズを随所で絡 めつつオーガニックなアフロ・ファンク調にて見事リコンストラクトした激最高すぎる仕上がり◎

8

SEAHAWKS & AUTRE NE VEUT

SEAHAWKS & AUTRE NE VEUT DON'S RAINBOW OCEAN MOON / UK / 2011/10/30 »COMMENT GET MUSIC
7"+CDという特殊形態でのアルバム・リリースも話題を集めた次世代バレアリック・シーンきっての注目株SEAHAWKSとUS産80'Sシン セ・ポップ期待の星AUTRE NE VEUTによるタッグ・リリース7"。クリスタルなシンセの煌きに独特のバレアリック経由なレイドバック感、そしてクラシカルなファルセット・ヴォーカルとが渾然一体となり繰り出される極上チルウェイブ・トラック"DON'S RAINBOW"。

9

DJ DUCT feat. THE REGIMENT

DJ DUCT feat. THE REGIMENT BACKYARD EDIT PT.6 -DETROIT RE-SESSION- THINKREC. / JPN / 2011/10/18 »COMMENT GET MUSIC
URコーディネートによるDJ DUCTとデトロイトMC'S=THE REGIMENTとのコラボ・プロジェクト="DETROIT SESSION"豪華陣容によるリミックスEPでます!DJ KENSEI、OBRIGARRD、9dw、DJ SHINYAリミックス!「BACKYARD EDIT」シリーズ〆は多彩な顔ぶれで送る"DETROIT SESSION"リミックスEP!

10

TURN ON THE SUNLIGHT

TURN ON THE SUNLIGHT REMIXES / COLLABORATIONS DISQUES CORDE / JPN / 2011/11/9 »COMMENT GET MUSIC
西海岸の天才肌DEADELUS、オーケストラ編成でのJ DILLA追悼プロジェクト「SUITE FOR MA DUKES」の中心人物でもあるMIGUEL ARTWOOD-FERGUSON、そして日本から竹村延和、COFFEE & CIGARETTES BAND等がリミックス/コラボレーション参加!オリジナル・アルバムの空気感はしっかりと踏襲しつつも、そんな個性溢れる各クリエイターの色添えにより 引き出されたTOTSの味わい深い魅力を新たに堪能できる全8曲収録。

DBS 15th Anniversary - ele-king

 音が好きな若者たち、クラブに行きましょう。音楽を大音量で踊りながら聴くってことは、音好きにとっては気持ち良い以外の何モノでもないですよ。

 さて、今週はベース・ミュージックで東西が揺れる。ジェームス・ブレイクの東京公演のアンコールで彼は、予定になかった"ANTI DUB WAR"を歌ったわけだが、そのときの会場の静まり方が傑作だった。いったい何人のオーディエンスがそのオリジナルを聞いているというのだろう(名古屋は"ANTI DUB WAR"で大盛り上がりだったという。名古屋、偉いぞ!)。
 そして、そこで"ANTI DUB WAR"を歌うブレイクが、何をオーディエンスに問うていたかは知る人にとって用意に想像できる。「僕はここから来たんだよ。そしてその最良の出発点にいるひとりがマーラなんだ」、そんなところだ。ダブステップの歴史はいま、DMZとコード9といったアンダーグラウンドの活動家を出発点とするものとして書き換えられている。

 その"ANTI DUB WAR"の作者、マーラがドラムンベース・セッション15周年のゲストとして、そして大阪のベースの祝祭拠点、Zettai-Mu16周年のためにやってくる。マーラだけじゃない、ベテランのカリバー、ゴス・トラッドやマコトといった連中が東京で迎えれば、大阪(いまもっともクラブ・カルチャーが抑圧されている町)では、不屈の精神を持つ男KURANAKAが、なんと深夜営業なしの2デイズとして、これまた濃い連中をオーガナイズする。DJノブとかこだま和文とかクワイエットストームとかONOとか......。というか、いまこの時期だからこそZETTAI-MUを盛り上げないと。

 なお、11月24日、DOMMUNEでは7時から9時まで、「ドラムンベース・セッションこの15年」特集をやります。どうか、現場まで足を運んでトークに参加してください!!


feat. MALA - DIGITAL MYSTIKZ

■2011.11.26 (SAT) at UNIT
feat. MALA - DIGITAL MYSTIKZ

 CALIBRE
 GOTH-TRAD
 MAKOTO
 YAMA a.k.a SAHIB

vj/laser: SO IN THE HOUSE

B3/SALOON: DX, TETSUJI TANAKA, DJ MIYU, DOPPELGENGER, DUBTRO , OSAM "GREEN GIANT"

open/start 23:30
adv. ¥3500 door ¥4000

info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.dbs-tokyo.com

★UKアンダーグラウンド・サウンズのリアル・ヴァイブスを伝えるべく1996年11月にスタートしたDBS (DRUM & BASS SESSIONS)が15周年を迎える。この15年間でドラム&ベース音楽は遺伝子となり、絶えることはない。そしてダブステップの潮流も同様、ベースミュージックと包括されつつも未来へ繋がって行くことだろう。DBSにとって節目となる今回の"DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ"は、深遠なる独自の音宇宙を創るCALIBREとMALAの3度目の競演が実現!そして日本から世界に羽ばたくMAKOTO、GOTH-TRAD、YAMA a.k.a SAHIBらの参戦も決定!

MALA - DIGITAL MYSTIKZ (DMZ, Deep Medi Musik, UK)
MALA ダブステップ・シーンのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、一躍脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとMALAの知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年に自己のレーベル、Deep Medi Musikを設立して以来、自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。そして昨'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』をアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールで自己の音宇宙を明示する。MALAの才能はMARY ANNE HOBBS、FRANCOIS K、ADRIAN SHERWOOD、ROB SMITH、GILLES PETERSONらからも絶賛され、世界各地からDJのオファーは絶えない。今回の来日公演もダブステップの真髄を体感させてくれるに違いない。"Come meditate on bass weight!"
https://www.dmzuk.com/
https://deepmedi.com/
https://www.myspace.com/malamystikz

CALIBRE (Signature Records, UK)
CALIBRE 北アイルランド、ベルファスト出身のCALIBREは、幼少からレゲエやロックを聞き育ち、10代で様々な楽器を習得、ジャズ~パンクまでバンド活動を送る。美術を専攻した大学時代はJOHN CAGEに影響を受ける。やがてデトロイト・テクノ、ハウス、アンビエントに親しみ、エレクトロニック・ミュージックの制作を開始、'97年頃からドラム&ベースの制作に着手する。'00年にFABIOのCreative Sourceから発表された"Mystic/Feelin'"は彼の存在をシーンに知らしめ、'01年には1st.アルバム『MUSIQUE CONCRETE』を発表、絶賛を浴びる。その後、MARCUS INTALEX ら交流し、Soul:rを中心に精力的なリリースを展開、'03年には自己のレーベル、Signatureを立ち上げ、数々のビッグ・チューンを連発する。'05年には2nd.アルバム『SECOND SUN』をリリース、オリジナリティ溢れるディープなサウンドでトップ・プロデューサーの地位を確立する。'07年のアルバム『SHELFLIFE』に続き'08年にはヴィンテージ作品として話題を集めたアルバム『OVERFLOW』を発表。そして'09年『SHELF LIFE VOL.2』、また'08年のMALAとの来日共演が契機となり、Deep Mediからダブステップのリリースを開始、さらには本名のDOMINICK MARTIN名義のアルバム『SHINE A LIGHT』をSignatureから発表し、ドラム&ベースの枠を越えた自身の広大な音楽観を披露する。彼の創作意欲は途絶える事なく、'10年には"Judgement Day EP"、アルバム『EVEN IF...』、そして本'11年には"Hummer EP"を始めとするシングルに続き、通算8作目となる最新アルバム『CONDITION』を発表、デビューから13年の現在、CALIBREの音楽は輝き続けている。
https://www.facebook.com/signaturerecordings

Ticket outlets: NOW ON SALE !
PIA (0570-02-9999/P-code: 153-041)、 LAWSON (L-code: 76190 )
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、
TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/Bonjour Records (5458-6020)
恵比寿/WE NOD(5458-6232)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
warszawa(3467-1997)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、
Dub Store Record Mart(3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011

【重要!】 会場の変更のお知らせ

再び、緊急のお知らせとなります。
先日「開催期間/時間の変更」をお知らせ致しました、Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 ですが、再度、会場であるCCOクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)より、夕方公演でも会場の貸し出しを行わないと決断したとの連絡を昨日(11/12)受けました。

時間の変更に前向きに考えて頂いてるお客様、23日なら行けるとの声や、励ましのメールなど頂き、DAY TIME &2DAYS に向かって準備を進めている矢先でした。

そして、再び、開催の中止も視野に、慎重に検討を重ねた結果、やはり今回の様な奇跡的なラインナップを再集結させる事は不可能と判断し、本イベントを大阪湾の神戸側に位置する深江浜・芦屋の湾岸にある倉庫を使用した多目的スペース『ZINK』に場所を移し、予定通りの日程 11月22日(祝前日-火)11月23日(祝日-水) (※22日のみオープン時間を変更)で
2 DAYS 行う事を決断致しました。
ご迷惑をお掛けすることとなった皆様、またチケットをご購入済みのお客様には心よりお詫び申し上げるとともに2度に渡る変更に快く対応して頂いた出演者並びに関係者の皆様、また急なお話に真摯に対応して頂いたZINKの皆様には心より感謝申し上げます。

両日の出演者情報(出演者の日程の変更はありません)(近日中にタイムテーブルの発表も出来ると存じます)
また、チケットの払い戻し等については下記【イベント情報】【チケット内容のお知らせ】および、オフィシャルサイトをご参照 ください。

また、22日・23日の両日《難波⇔会場へのシャトルバス》を運行致します(すぐにでも時間等の詳細はお知らせ出来ると存じ ます)。
名村造船所までの交通をお考え頂いていたお客様、大阪在住のお客様は是非ご利用下さいますようお願い申し上げます。

2転3転、大変ご迷惑ご面倒をお掛けしていると存じます、
集まって頂いた皆様と、良い未来を創造出来るような2日にしたいと願っています。
ZETTAI-MU スタッフ一同

ZINK - 会場マップ&アクセス
特設サイト - NEWS "会場の変更のお知らせ"
ZETTAI-MU TWITTER

【会場/時間変更の詳細】
会場:
CCOクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)→ ZINK(深江浜-湾岸倉庫)
時間:
11月22日(火-祝前)16:00~23:30 → 11月22日(火-祝前)20:00 to LATE
11月23日(水-祝日)時間変更はありません。



■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 "DAY 1"

CALIBRE

日時:11月22日 (火 - Before holiday)
時間:20:00 to LATE
会場:ZINK(深江浜-湾岸倉庫)

MALA (Digital Mysticz, DEEP MEDi, DMZ, UK)
Mouse On The Keys
DJ NOBU (FUTURE TERROR)
O.N.O a.k.a Machine Live (THA BLUE HERB)
RUMI & SKYFISH
LITE
KURANAKA 1945 (ZETTAI-MU)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi)
最高音響 SOUND SYSTEM
COLO (BetaLand)
若野 桂
ekran+friends
ONA

■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 "DAY 2"

日時:11月23日 (水 - Holiday)
時間:OPEN 15:00 / START 15:30 / CLOSE 22:30
会場:ZINK(深江浜-湾岸倉庫)

DRY&HEAVY with NUMB
EYE (BOREDOMS/VOREDOMS)
MIYAKE YOHEI & Peace-K
KODAMA KAZUFUMI
SOFT
QUIETSTORM (中目黒薬局/TIGHT)
KURANAKA 1945 (ZETTAI-MU)
最高音響 SOUND SYSTEM
COLO (BetaLand)
若野 桂
ekran+friends
ONA

※ 両日共、PARTITAの常設サウンドシステムに最高音響サウンドシステムを追加。

【チケット料金の変更のお知らせ】

● 前売 1 DAY Ticket ¥3,000 (11/10頃発売開始) (11/22、11/23共に250名限定)
● 前売 2 DAY Ticket ¥5,500
● 前売 『 いい夫婦券 』1 DAY Ticket (2枚組) ¥ 5,500 (11/10頃発売開始) (11/22、11/23共に100組限定)
● 前売 手拭い付き 2 DAY Ticket ¥6,000 (16th特設サイトのみで発売)
● 当日 ¥3,300 (両日) (ドリンク代不要)

(旧)前売 Ticket ¥5,000
→ ※ そのまま 【前売 2 DAY Ticket ¥5,500】 としてご使用頂けます。
(旧)前売 手拭い付き Ticket ¥5,500
→ ※ そのまま 【前売 手拭い付き 2 DAY Ticket ¥6,000】 としてご使用頂けます。
(旧)前売 4P Groop Ticket ¥18,000 → 4P Groop 2 DAYS Ticket
→ ※ そのまま 【前売 2 DAY Ticket (4枚組)】としてご使用頂けます。

★特設サイトでは 11月9日(水)よりチケットの販売を再開(予約受付を開始)致します★  https://www.zettai-mu.net/16th/

【 チケットの払い戻しのご案内 】
オフィシャルサイト をご参照お願い致します。

★ 各種プレイガイド、コンビニ、協力店舗にて11/10~11頃より発売開始!!
《 プレイガイド・コンビニ 》
◎ オフィシャルサイト - https://www.zettai-mu.net/16th/
◎ チケットぴあ(P:CODE: 未定 )- https://t.pia.jp/
◎ ローソンチケット(L:CODE : 未定 )- https://l-tike.com/
◎ イープラス(e+) - https://eplus.jp

《 大阪 》
◎ Newtone records / TEL. 06-6281-0403 / WEB.
◎ club NOON / TEL. 06-6373-4919 / WEB.
◎ digmeout cafe / TEL. 06-6213-1007 / WEB.
◎ TIME BOMB Records / TEL.06-6213-5079 / WEB.
◎ Buttah / TEL. 06-6241-5273 / WEB.
◎ アララギ / TEL. 06-6764-1238 / WEB.
◎ SC WORLD+ / TEL. 06-6599-8948 WEB.

《 京都 》
◎ JAPONICA / TEL. 075-211-8580 / WEB.
◎ JET SET / TEL. 075-211-8580 / WEB.
◎ Strictly Vibes / TEL. 075-212-0719 / WEB.
◎ 民族楽器コイズミ / TEL. 075-231-3052 / WEB.
◎ レストアの森 / TEL. 075-212-7756 / WEB.

《 神戸 》
◎ studio Bapple / TEL. 078-261-8644 / WEB.

《 ZETTAI-MU.NET 》
https://www.zettai-mu.net/16th/ticket.html

vol.19:キャスリン・ディ・マライス - ele-king

11/2(wed) Caithlin De Marrais @ Union Hall
W/yellow birds, Lindsay Sullivan

 ハロウィン・ウイークに積雪があったニューヨークでは、スカーフ、手袋が手放せなくなってきた。11月に入っても毎日のようにショーに出かけている。11月1日は〈ミュージック・ホール〉にSBTRKTを見に行ったらソールドアウトで入ることができず、隣の〈パブリック・アセンブリー〉でやっていた映画の上映会に行くとサイキック・イルズ、エンドレス・ブギーのショーをやっていた。
 サイキック・イルズ......何年やっていても、相変わらずドローンでサイケデリックで、ベースのリズはかわいくて......と印象は変わらない。エンドレス・ブギーはちょっと時代を間違えたかなと思けれど、かなり上手い。ロングヘアのおじさんたちがいまだにサイケデリック、ロックンロールを現役でやっている。さらにその晩のショーに一緒に行った友だち(アメリカ人男子、Cとしておこう)は〈ウエブスター・ホール〉にバトルスとにせんねんもんだいを見に行ったのだが、「日本の女の子のバンド、かなり良かった!」と興奮して話してくれた。今日もまた別の場所であるのでショーが終わったら行こうかと、話した。

 今日のショーは元キラメキ青春エモ・ポップ・バンド、レイナー・マリアの紅一点、キャスリン・ディ・マライス。場所は〈ユニオンホール〉。
 私がレイナー・マリアを見たのは1998~99年あたりだろうか、たぶんミネアポリスの学校かどこかの講堂だったと思う。誰かについて行ったらそこでバンドがプレイしていた。ウィスコンシン州のマディソン出身。マディソンと言えば、¥私のなかでは、〈ポリヴァイナル〉――レイナー・マリアをリリースしていたレコード・レーベル。現在はオブ・モントリオール、アソビ・セクス、オーウェンなどを出している――なのだが、マディソンといえばその頃、エモ・ロックがブームになっていて、ジョン・オブ・アークやペレ、サンディズ・ベストなどが出てきた都市だと記憶されている。
 その講堂でみたレイナー・マリアはとってもあどけない、学生バンドという印象だったが、キャスリン(ヴォーカル、ベース)の容姿淡麗、清潔感漂う雰囲気とカイル(ギター・ヴォーカル)のおちゃらけキャラ、どこまでもプレイヤーなステージ・パフォーマンスが見ていてとても楽しく、そのふたりを後ろであたたかく構えるビル(ドラム)という編成のこのバンドにとても高感度が湧いた。ショーのあと、ほとんど誰もいなかったので世間話をして、それがきっかけで仲良くなり、私がやっていた〈コンタクト・レコーズ〉のコンピレーションの参加してもらったこともあった。その後、彼らも私もブルックリンに引っ越した。ブルックリンといっても彼らが住んでいるのは、パークスロープ周辺(東京でいう吉祥寺、三鷹?)、私はウィリアムスバーグ(東京でいう下北沢?)なので偶然会うこともなかった。

 レイナー・マリアは2006年に終結し、メンバーはそれぞれ新しいバンドをはじめ、ドラムのビルは、2006あたりにプロサイクスというバンドをやっていて(マタドールからレコードがリリースされている)、私がよくいくマイティ・ロボット/シークレット・プロジェクト・ロボット(今月11月より正式にブシュウィックに引っ越した)周辺でよくプレイしていた。ビルとはそこで会うと、「以前、レイナー・マリアをやっていたよね」など話しをよくしていたが、キャスリンとカイルには会わなかった。聞くと、そのあいだに彼らは自分たちのレコード・レーベル、〈エンド・アップ・レコーズ〉を立ち上げ、自分たちや友だちのバンドを音源をリリースしている。さらに、キャスリンはママになり、ヨガの先生になっていた。

 レイナー・マリア解散以来、自分のなかでは過去のバンドになっていたし、他のバンドの気を取られて忘れていたので、今回またキャスリンを見るのは特別な気分だった。

 というのも、会場の〈ユニオン・ホール〉に来たのは、ニューヨークに10年住んでいるが実は初めてのことだ。パークスロープはウィリアムスバーグにいると、なかなか行かないエリアなのだ。だいたいツアー・バンドはパーク・スロープでショーをするとウィリアムスバーグ、もしくはブシュウィックでもう一本ショーをするし、シングルが多いウィリアムスバーグにくらべてカップルや家族が住む高級エリアなのだ。

 一歩会場にはいると、雰囲気がとてもファミリー的で、安全、優しい感じがする。ウィリアムバーグのように汚かったり、荒んでいたり、パンク色だったり、危険な要素がまったくない。入ると右側にバーがあり、そのうしろにはゆったりしたソファーとテーブルがカフェっぽく置いてある。なんならその後ろには、図書館のように本の棚がずらっと並んで、静かにコーヒーを飲みながら読書している人もいる。ベレー帽率高し......だ。えっと、ここライヴ会場ですよね? さらにバーにある飲み物はシックス・ポイントなどのファンシー系ビール($6~)やリカー系。ウィリアムスバーグやイーストヴィレッジなどのチープなバーに置いているような、カンのPBR($2~)はない。でもここのビールおいしい。Cはビールのあてにコーンドッグを注文していたけれど、納得できる。奥には、左にボッセ(Bocce)と言うゲームのレーンがふたつあって、みんな一生懸命プレイしている。ビリヤード、ボウリング、サッカーの中間ぐらいのゲーム(https://en.wikipedia.org/wiki/Bocce)。ここはこれで有名らしい。
 右にはバックヤードに続くドアがあり、寒くてみていないが、煙草も吸えるらしい。やっと地下の会場にたどり着いた。知らなかったら普通にバーとして使っていそうな場所だ。上が居心地良いので、油断していると見たいバンドを見逃してしまいそうだ(現にCは前のバンドを見逃していた。知り合いだったというのに......)。
 下は適度な水曜日の夜の空気が流れていた。混んではないが、適度な入りだ。キャスリンも友だちと談笑したり、うろうろしている。ドアにいたのが、かわいらしい知的な女の子だったのだが、Cが彼女が集めたお金(チケット代)を堂々と開けっ放しにしているのを見て、「ダメだよ、レジを開けっぱなしにしちゃ!」とあわてて注意していたのが面白かった。Cはよくフリーマーケットで物を売っているので、その辺にはとても敏感なのだ。女の子はきょとんとしていた。だってそこは安全なところなんだからね。
 今日のバンドは、ギターのジョシュ、ドラム(名前がわからない)とキャスリンの3人体制。リリース・パーティなので、ニュー・アルバムからの曲がほとんど(セットリスト参照)。11月8日に「マジックシティ」に続くソロ第二弾、「レッド・コーツ」が発売される。彼女いわく、全て自分で手作業で作ったらしい。 https://endup.org/artists/caithlindemarrais/

 彼女の声はとても深く、どこか悲しげで、訴えかける力、雰囲気がある。楽曲のせいかと思ったが、彼女が歌うとどの曲もそうなってしまうのかもしれない。レイナー・マリア時代から彼女の声は印象的だったが、子供を産んでか、声により深みがましたように思える。先生に向いているなとか(実際ヨガの先生らしいです)、悲しい経験がたくさんあったのかななど、雰囲気がどこから来ているのか......、考えを巡らせたが、結局これが彼女のキャラクターなのだろう。
 この日は彼女のお母さん出身でもあるニュージャージーから古い友だちが来ていたらしいが、"City Girl"を歌う前に、"シティ・ガール"と"ジャージー・ガール"を少し皮肉っていた所が面白かった。シティ(=ニューヨーク)とジャージー(=ニュージャージー)には、東京と大阪みたいな変な対立感覚があるのだ。

 2曲目の"Bird"にはヴィデオもあって、むかし何度みても映画みたいに思ったが、今日のショーも全体的に、スローモーションで映画を見ているようだった。3人がときどき顔を合わせて、にこっと笑って合図したり、グルーヴ感、言葉にできないつながりがあった。さらには共演のイエローバード(Cが見逃したバンドね)のサムとアニーがゲスト登場して、1曲を披露。決してきらびやかなショーではないし、テクニックを披露するわけでもない。自分の歌を忠実に表現するのみで、そしてそれだけでお客さんを惹き付けるのはすばらしいことだと思う。来ているお客さんは友だちばかりだったかもしれないけれど、彼女が好きでサポートしたいという気持ちが見えた。女性客が多かった。終わったあとには良い映画を見終わったような心地よい充実感があった。
 話しかると彼女もびっくり、「久しぶり!」と。相変わらず容姿端麗、美しい。誠実そうで一本気、そんな彼女の人間性にみんなが微笑んでいるのだろう。

vol.16 : メルト・バナナ in NY! - ele-king

 アメリカで活躍する日本のバンドというと、メルト・バナナ、ボアダムス、少年ナイフ、アシッド・マザー・テンプル、灰野敬二、最近では、ボリス......今日は、1993年に結成され、10月29日の土曜日、 今年で、18年目を迎えるメルト・バナナのライブを見にいった。今回は、10月1日から11月29日まで、休みはほとんどなしの、2ヶ月間の怒濤なるツアーだという。オレゴン州から入り、ミッドウエスト、カナダ、東海岸、南部を通り、そして西海岸に入るという経路である。ニューヨークは、ツアーのちょうど中間あたりで、〈サントス・パーティ・ハウス〉というマンハッタンのダウンダウンにある、Andrew WKが経営する会場でおこなわれた。ちなみに共演は、Tera Melos、Unstoppable Death Machines。早めに着いたつもりが、「次がメルト・バナナだよ」と言われる。まだ9時だというのに。

 客層は男の子中心で、革ジャン、パンク系が目立ち、ガタイはでかい。ハロウィン・コスチュームな人もいた。CMJのハイライト・ショーに行ったような人は見られない......。
その日のニューヨークでは大雪が降った。10月にしては珍しい、というか私が記憶している限りでは初。サンクス・ギビング・デー辺りを目安に大雪が降るのはよく覚えているが、ハロウィン辺りというのはここ10年記憶にない。異常気象。
それでも、いい感じにお客さんは入っていた。ほとんどどが昔からのコアなファンなのだろう。曲がはじまるごとに、「オーーーー」といううなり声。ちょっと怖かったが、このバンドに対する期待感の大きさだ。 電撃的なキンキン、バリバリ、ヒリヒリしたパンク・ノイズ・サウンド......という表現が適切なのか、とにかく、絶妙なテンポで、曲をどんどん展開していく。ベースは女の子、ドラムは男の子。そしてギターのAgataさん、ヴォーカルのやこさんの4人編成。やこさんは、トレードマークのショートヘア、白の長袖トップにジーンズ、底の高いラバースニーカー。中間にはショート・ソング(たぶん1曲5秒、10秒とか)を8曲連続で披露。野郎の声援にまた力が入る。
セットにヴァラエティがあって楽しいし、それに対応できるヴォーカル力はさすがだ。キャリアの長さを感じさせる貫禄ある演奏で、とくに今回のメンバーのバンド・サウンドはスキがなく、怒涛のように演奏し、曲が終わるたびに、思わず拍手した。
やこさんの拙い英語がある種のヴァーチャル感をだすのか、あのアニメ声で「マーチ(物販)があるよ」などと言われるともう大変。ショーが終わったあとは、階段にながーい行列ができていた(なぜか今日はマーチ・テーブルが階段のいちばん上にあった)。しかもその列はまったく動く様子なし。たぶんひとりひとりと話しているので長くなるのだろう。こんな行列は,少年ナイフのジャパン・ソサエティのショー以来かもしれない。
先述した海外で活躍する日本のバンドは、いちど地位を得たらファンは根強く、ずっと付いて来てくれる。もっともこの傾向は10年選手バンドばかりで(私が知る限り)、残念ながら最近のバンドには見られない。イコール、若い子にそこまで音楽やバンドに対して情熱がないのか、そこまで夢中にサポートしたいバンドに出会ってないのか、単に見逃しているのか、最近のバンドがよくないのか......時代が違うといえばそれまでだけど、ライヴの醍醐味はいつもレコードで聴いているアーティストが目の前でプレイしていて、直接話しが出来る。そのリアリティにある。そうしたライヴの熱さも、今日のマーチに並ぶファンの図を見るとまだまだ捨てたものではないと少し感動した。この感覚を次世代につなぐことができたらもっといいのにね。

 実際、最近まわりで人気のあるバンドは、まるっきり新しいことをやっているわけでなく(私が知っているまわりのバンド限定ですいません)、最近見たダム・ダム・ガールズしかり、ターミナル5(!)でのショーが決まったガールズしかり、彼らは古い歌がどれだけ良くて、自分たちが影響を受けて、この曲が存在していることを意識している。いいと思うものを自分が思った通りに表現できるのは素晴らしいことで、それが実際受け入れられている。いまは情報が氾濫していて、どれが本当でどれを信じるべきでさらに自分が何が好きかを惑わせるツールがたくさんある。便利なようで、それがことをややこしくしている。

 とまれ。今日、ライヴを見て思ったことは、長く続けられるインディ・バンドには根強いファンがいて、実際、彼らをがっかりさせないライヴを毎回やっている。前回、私が見たとき(たぶん自分が企画した2002年のライトニング・ボルトのジャパン・ツアーでの共演時)と勢い、見た目もまったく変わっていない。さらに18年やっているのだけど色はまったく褪せていない。でもそれがファンの期待を裏切らない......ということなんだろう。素晴らしいことだと思う。今日の時点で、後(ツアーは)40本残ってると、MCで言った。18年間、こんな感じでずっとやっている。繰り返すけど、まわりの大きな男の子たちが「オーーーー」と唸っているのをみると、元気付けられる。夢中になれるものがあるということは、ホントにいいことだと思った。

 外は大雪だったが〈サントス・パーティ・ハウス〉は熱気に包まれていた。ショーは終わったけど、ひと息つきたくてドリンクを頼もうとしたら、バーテンダーが先ほどの穏やかな可愛い女の子からゲイのふたりに変わっていた。しかも水着とレオタード! そして、気が付いたら「外に出ろ」と警備員のおじさんに追いやられていた。外に出ると、ずらーっと、また行列(......雪降ってます)。しかも牛や鹿の着ぐるみ、ティンカーベル、魔女、ゾンビ......変なコスチューム。なるほど、ハロウィン・パーティがこのあと開催されるのかー。土曜日の夜、ハロウィン・ウイークエンド、当然当然。パーティー・ハウスですから。

interview with Photodisco - ele-king


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言葉の泡

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(フォトディスコとは誰なのかというと、普通の青年である。それはウォッシュト・アウトが普通の青年であるということと変わらない......)。
ついにフォトディスコの公式版デビュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『言葉の泡』。年初にいち部の専門店で委託販売され、まったくの無名ながら短期間に異例の枚数を売り切った自主盤『フォトディスコ』から5曲を再ミックスして残し、新録5曲を加えた内容だが、結果的に自主盤からは大きく表情を変えることとなった。筆者は以前「チルウェイヴ」としてフォトディスコを紹介し、レヴューや今作ライナーノーツでも彼らが携える時代的な意味や成果についてマクロな考察を加えている。だが今作後半の数曲は、より狭義のチルウェイヴ――要はウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワやネオン・インディアンらが体現する音だ――を意識していることがはっきりとうかがわれるだろう。"ミッドナイト"、"アイ"、"サケ"、"イエス"などローファイでリヴァービーなシンセ・ウェイヴの一連は、トレンドとしてのチルウェイヴと向き合ったトラック群だ。そしてフォトディスコ一流の叙情性が、このムーヴメントの勢いに埋没しない、とてもオリジナルなテクスチャーを生み出している。広義にチルウェイヴであった彼が狭義のチルウェイヴを目指したのはなぜか。インタヴュー中、フォトディスコは「気持ちいい」ということに繰り返し言及している。それはディスコ的な「快楽」ではなく「快適」のニュアンスに近い。「快適さ」を目標に設定する彼が、その最適解としてチルウェイヴを選んだことはおもしろい。時代のなせる業とも言えるだろう。インターネットによってベッドルームが世界に直結するこの時代、多くのベッドルーム・ポッパーたちが自らの部屋と世界との臨界点に、その摩擦を軽減し、快適さを保つため、緩衝材のようにめぐらせた音がまさにチルウェイヴであるから......。

ではフォトディスコの応答に耳をかたむけてみよう。言葉では多くを語らない人柄であるが、以下には飾らず涼やかな、そしてどこか頑固なアーティスト像がたちあがっている。今作について付言すれば、表題曲や"盆踊り"といったエレクトロ・アコースティックな曲が、一般に単調になりがちなチルウェイヴ作品に物語と陰影を与えていることに気づく。地域性の揚棄がチルウェイヴの特徴ではあるが、フォトディスコの音楽に非常に日本的な展開が示されていることも重要だ。ぜひともこの風土に眠る才能たち、そして日本の多くのベッドルームを揺さぶる存在になってもらいたい。

僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

自主盤の方が完全に廃盤になったということで、どうですか。

フォトディスコ:本当にうれしい限りです。廃盤になるって、まったく思いませんでしたから。400枚作ったので、それを買ってくれた400名の方々と、僕の音楽をプッシュして下さった販売店の方々に感謝しております。

公式1STとともに自主盤を生かしておく選択肢もあったと思うんですが?

フォトディスコ:いえ、まったく考えなかったですね。

ははは。どうしてですか?

フォトディスコ:ええと......出していただけるレーベルが決まったときにはもうどんどん新しい曲ができあがってたんです。それで、CD-R(自主盤)の方を買ってくれた人に、その新しい曲を聴いてほしいなって思って。せっかく全国流通になるから、CD-Rのなかからさらにいいものを選んで、新しいものも加えたいなと思いました。

では、自主盤の方にとくにアルバムとしての崩したくないコンセプトがあったというわけではないんですね。

フォトディスコ:そうですね。CDRの容量700MB、限界まで曲を詰め込んだアルバムです。曲順は、全体通しで聴いて気持ちのよい曲順に心掛けました。

自主盤から外したものに基準はありますか?

フォトディスコ:僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

そうなんですよねー。

フォトディスコ:それで、なんとなくわかったので、じゃあ僕のこの自主盤の中でいちばんチルウェイヴなものはなんだろうって考えて5曲選びました。

私の個人的な感覚だと、よりアコースティックで、よりJポップ的な情緒のあるものが選ばれてるのかなと思ったんですが。でも、わりとはっきりチルウェイヴということを意識したと。

フォトディスコ:意識しましたね。

やっぱりいま意識せざるを得ないところではありますよね。何から聴きました?

フォトディスコ:トロ・イ・モワです。

ああそうなんですか。ウォッシュト・アウトからじゃないんですね。トロ・イ・モワの何ですか?

フォトディスコ:ファーストですね。緑のやつです。

聴いてどうでした?

フォトディスコ:聴いたことのない音楽だなって思いました。

はは! シンプルな感想ですね。チルウェイヴって、認識としては「シンセ・ポップのリヴァイヴァルの一形態だ」というのが一般的かなと思いますが......新しかったですか。

フォトディスコ:新しかったです。

はは! 私もそう思います。

フォトディスコ:でも、コンプレッサーをいじればできるな、と思いました。

自分にもできるな、ってですか(笑)。

フォトディスコ:はい。

テクニカルな話だと、要はどういうことになるんですか、チルウェイヴって。私いろんなこと書いてますけど、技術的にどうだっていうことは作る側の人間ではないので詳しくわからないんです。こうしたらチルウェイヴになるぜっていう調理法があるわけですか?

フォトディスコ:あります。

企業秘密ですか?

フォトディスコ:いや、秘密じゃなくてみんな知ってると思います。ちょっと宅録とかやる人でしたら。

ははあ。

フォトディスコ:僕は感覚でコンプレッサーかけてるんで、あまり専門的なことは言えないのですが、要は、音を押しつぶせばいいんですよ。過剰に。そしたら、音圧出ますが、不自然な感じになります。

タームが出てくるとなんとなくしか理解できないんですが、素朴に音のことだけを考えると、わりと誰にでも作れるものだってことですね。

フォトディスコ:はい。そう思います。

もちろん、いま現在はチルウェイヴといってもすごく裾野が広がっていて、スタイルも方法も様々ではあるんですが、ローファイで、もこもこして、リヴァービーで......っていうあたりは基本要素かなとは思います。

フォトディスコ:そうですね。僕は一夜漬けで勉強しました。

あはは、末恐ろしい。機材的にはどうなんですか?このトピックで引っぱって恐縮なんですが、やっぱりチルウェイヴってことで、そんなにスゴイものは使ってないってシナリオにしたいんですが(笑)。

フォトディスコ:それはもうほんとに、大したことないですね。『サンレコ』(『サウンド&レコーディング・マガジン』)とかだと、ミュージシャンの人がほんとにいい機材ばっか使ってるじゃないですか。ヴィンテージの。こんな機材......いいなあ! って思うんですけど、やっぱり自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

やっぱりそうなんですか。お金があったら増強したい設備って何系のものです?

フォトディスコ:ヴィンテージのコンプレッサーとか......

野田:ははは! やっぱりそこ行くかっていう。でも、最先端の音楽を開拓してる子たちの多くは持たざる者だからね。グライムなんてサンプリング・ソースがユーチューブだったり、プレステだからね!

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自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

ユーチューブって持たざる極みですね。では、フォトディスコはガレバンの魔術師、ということで! フォトディスコとしての活動についてお訊きしますが、ほんとにいち度もライヴをすることもなく......

フォトディスコ:はい。

露出というか、楽曲を発表する場はマイスペのみということになりますか?

フォトディスコ:はい。

とくに日本だとライヴの有無がそのアーティストの知名度に決定的に関わるように見えるんですが、日本のシーンはわりとどうでもよくて、はじめから世界が視野に入っていたとか......?

フォトディスコ:まったくそれはないですね。

野田:ははは!

(笑)愚問でしたか。いや、世界のほうが日本より上、という意味ではなくて、日本の主たる音楽シーン――それはメジャー/インディを問わずですけど――に対して疎外感があるのかなと。

フォトディスコ:うーん......

野田:ははは!

すみません。ちょっと私すべってますね。ええと、あんまりそんなことには頓着していないんですね。

フォトディスコ:僕は......とにかく休みのたびにどんどん音ができるんで、それをどんどんマイスペにアップしていたというだけです。

とくに多くの人に聴いてもらいたいというようなつもりもなく?

フォトディスコ:そうですね。とりあえず(作った音源が)たまってたまって。

じゃあマイスペがなかったら、ただ作ってるだけの人ですね。

フォトディスコ:(笑)そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。

でも、その休みのたびに曲を作ってたっていうモチベーションはなんなんでしょう。いつか何かになるという確信みたいなものがあったとかですか?

フォトディスコ:うーん......作るのが大好きで。

何曲ぐらいになってるんですか?

フォトディスコ:ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。

音楽はいつぐらいから作りはじめたんでしょう?

フォトディスコ:それはもう高校時代ですね。友だちとバンドみたいなことをやってて......思い出作りにMTRを買って。ヤマハのMT400っていう、いちばん安いやつなんですけど。

どんなバンドですか? そのころはどんなアーティストが好きだったんですか?

フォトディスコ:スーパーカーとか。90年代というのが僕にとってすごく素晴らしい音楽の時代だったので......かっこいいバンドは全部コピーしました。

そのかっこよさというのは何ですか?

フォトディスコ:飾り気のなさというか、媚ない感じですかね。あと、アルバムごとに違う表情をみせるふところの広さですかね。

スーパーカーが好きなのは何でですか?

フォトディスコ:僕はデビュー作から聴いてるんですけど、高校の頃、実家がスペース・シャワーTV入ってたんで、それで......"クリーム・ソーダ"が流れた瞬間、「うわ、すげえ、なんだこれ」って。こんなバンドが日本にいて、メジャーでデビューできるんだって思いました。

デビュー曲ですね。

フォトディスコ:はい、デビュー曲で。あとは"プラネット"とかオアシスみたいだなって。日本とか関係ない感じでかっこよかった。高校くらいから20代前半は僕がいちばん音楽を聴いてたときです。ペイヴメントとかいわゆるUSインディからエモとかもすごく好きだったし、洋楽とか邦楽とかなくて、僕だけじゃなくみんな全部並列で聴けてたときだと思います。

ああ、本当に音楽が輝かしい時代だったんだというイメージがあります。

フォトディスコ:HMVのホームページははやくから「これを買った人はこれも買っています」というやつがあって、しらみつぶしに見てました。

では、ウォッシュト・アウトとかとやっぱり似ていますね。彼もヨ・ラ・テンゴとかが好きで、とくにテクノやエレクトロニック・ミュージックとか、ダンス音楽で育った人ではない。インプットがUSインディとかハード・ロックとかふつうのチャート音楽で、それがベッドルームを通って、アウトプットがシンセ・ポップとかエレクトロニックになるんです。

フォトディスコ:まあ、僕も就職失敗してるんで。

ははは。たしかにそこもウォッシュト・アウトと同じかもしれないですけど、なんでシンセとかになっちゃうんですかね?

フォトディスコ:うーん、なんでですかね。実際はギターの音を加工してる部分も多いんですけどね。

野田:90年代までラップトップ・ミュージックを率先してやってきた人たちっていうのは、クラブ・カルチャー寄りの人たちだったんですよね。それがこの10年で、インディ・ロックをやってた人たちにまで波及したんだなと実感しますね。

それは本当にそう思いますね。時代が時代ならずっとバンド組んでやってただろう人が、環境が整ってラップトップの方に流れ込んだ......。いまのフォトディスコのひな形になるような音はいつ生まれたんですか?

フォトディスコ:高校の後、映像系の学校に入ったので、そこで、何か映像と合う音が作れないかなと思ったときですかね。

映像というのは大きいコンセプトだったんですね。フォトディスコってそういうことですか?

フォトディスコ:いや、雰囲気です。単語を足していったら、響きがいいな~と思って。

映像の道には進まなかったんですね。

フォトディスコ:就職失敗して、田舎に帰って(笑)。

野田:田舎帰ったんだ(笑)。

フォトディスコ:はい。それからバイトしてお金貯めて、上京してきました。

(笑)お金貯めてわざわざ上京したってことは、それなりに野心があったってことですよね。音楽以外の目的ですか?

フォトディスコ:いや、ミュージシャンになるために。

ははは。そのわりにぜんぜんガツガツしてないじゃないですか! マイスペに音源アップするだけって(笑)。

野田:それが音にも出てるよねー。

フォトディスコ:なははは......(汗)。

誰に届いてほしいとか、誰が聴いているとか、リスナー像や顔が思い浮かびますか?

フォトディスコ:うーん......最初のリスナーは僕ですね。僕がよければ、その音はいいんです。

このへんの人たちに投げようとか、そういうのないですか?

フォトディスコ:やっぱり、作っているときは単純に楽しくて、あんまりそういうことは考えられないですね。

そうですか。私自身は書くことがけっこう苦痛なタイプで、どうやって誰に伝えたらいいんだろうということばかり考えているので......

フォトディスコ:それはだめですよ。楽しんで書かないと、人に伝わりませんよ。

ああ、そうですかね......そうですね......

野田:俺なんて、20歳になるまでは日記ばっかり書いてたけどね。

ええっ。

野田:ノートに。日記の場合はブログと違って人には読まれないことを前提で書くけどね。

ほんとそういう芯から作り手な人には、羨望がありますよ。では、今回の公式デビュー作となる『言葉の泡』についてですが、これはレーベルもついてミックス等も他の人間が関与するというところで前回とはまた異なった達成感があったのではないかと思うのですが。

フォトディスコ:いえ、まったく同じですね。

野田:はははは!

フォトディスコ:チルウェイヴっていうのはこういうものかっていう勉強があって、それを好きに使って楽しんだというのが今回のアルバムです。

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そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。作るのが大好きで。ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。


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言葉の泡

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制作過程として、前回とはいろいろ異なる部分があったんじゃないですか?

フォトディスコ:はい。ミックスやマスタリングの方もいますし、全然音が変わりました。この前出したやつはもろ宅録なんで、音圧がほんとしょぼくて。基本的には自分の音楽はヘッドホンで聴く音楽だと思うんですが、スピーカーで出したときにやっぱりすごく差が出てしまうので気になってたんです。今回エンジニアの方とやらせてもらって、そのへんをいじってもらったことで、市販されているような、ほんと基準の音圧や音量を手にした感じなんで、けっこうテンション上がりましたね。

エンジニアの方とのやりとりのなかで、心に残ったことはありますか?よくミックスも解釈だっていいますが。

フォトディスコ:やっぱりミキシングとかは、多少他の人が絡むことで自分が思っていたのと違う音になっちゃって、はじめはそれがすごく嫌だったんです。でも予算内でけっこう時間をかけて直しながら聴いているうちに、ああ、こういうのもアリかなって思えるようになって、自分のなかにないものが許せるようになりました。だから、今回のももちろん自分の作品ですが、自分にないものも入ってます。自分ひとりではできないものにもなってると思います。

野田:僕も訊きたいことがあるんですが、"言葉の泡"ってどういうことですか? どこからきたの? "盆踊り"とかさ、"サケ"とか、どういうところからそんなタイトルが浮かんだのかなって。

フォトディスコ:言葉の泡ですか......うーん、何ですかね......(笑)。やっぱり、言葉っていうのは......普段、いろいろな言葉を話すじゃないですか。それが、消えていく感じがするんですよね......。

文字通り、消えていく感じがするってことですか?

野田:意味というより音声として?

フォトディスコ:そうですね、なんか.....1日に話す言葉っていっぱいあって......それが聴覚的に泡のようにきこえるっていう感じです。

"言葉の泡"がいちばんいい曲ですか?

フォトディスコ:作ったときはそうでもなかったんですけど、いろんな人がいいって言ってくれて......僕は"盆踊り"がいちばんいい曲だと思います。

野田:僕も同感です。

ああ。"盆踊り"はどういうふうにできたんですか?

フォトディスコ:あれは、バイトやめたときに、次の仕事見つけるまでちょっと休もうと思って田舎帰ったことがあったんです。ちょうどそれが夏の終わり頃で、写真が好きなんで実家で写真とか撮ったりしてたら曲が作りたくなったんです。アコギでやりたいなってその時は思いました。

アコースティックな曲に漢字のタイトルがついてるように見えますが?

フォトディスコ:そうですね。

え? あ、そうなんですか?......いや、なんか、英語のタイトルのものと日本語のタイトルのもので何か使い分けがあるのかなって思って。

フォトディスコ:ああ、それはありますね。たぶん僕が日本語のタイトルをつける曲は、気持ちがめちゃくちゃこもってますね。

ははは!

野田:じゃ"サケ"(表記は"SAKE")は?

ははっ。中間ですか?

フォトディスコ:中間ですね(笑)。マーティン・デニーの"サケロック"みたいな雰囲気の曲を作ろうと思って作りました。あとはジャッキー・チェンの酔拳のイメージもありましたね。ちなみに、ほんとに酒飲みながら作ってました。

ほんとに酒なんだ(笑)

野田:エレクトロニック・ミュージックって酒飲みながらでも作れるところがいいよね! ところで曲を作るときっていうのは、どういう感情に動かされるの? フォトディスコってなんか......むやみに力んでないっていうか。

フォトディスコ:そうですね......まず、作りたいという感情と、僕も第三者にとっても気持ちのいい音にしたいっていう目的で作っています。

何にこだわりますか? とくに大事にすることとか。

フォトディスコ:とりあえず中域を出すことです。

それは......気持ちがいいから?

フォトディスコ:......まろやかになります。

ははは! まろやかが目的ですか。

フォトディスコ:外歩いてて聴こえてくる音って、いまはすごくキンキンしてますから。聴いててずっと聴ける音楽って、まろやかなものだと思うんです。

ああ、ずっと聴ける音楽っていうのが大事なんですね。とくに新しく入った曲には、アコギではなしに、チルウェイヴ的な方法で「まろやかさ」が演出されているのかなと思います。新しい曲群ではどれが好きですか?

フォトディスコ:それは"ミッドナイト"ですね。

ああ、そうですか! "ミッドナイト"いいですね!どうしてですか?

フォトディスコ:気持ちいいからです。

野田:ははは!

気持ちいいから、っていうのはもう哲学なんですね。

フォトディスコ:気持ちいいのはすごく大事ですね。いちばんです。

野田:『エレキング』のシンセ・ポップの特集でチャートを挙げてもらったときに、「いまのシンセ・ポップにロックを感じる」って書いてあったでしょう? フォトディスコにとってロックっていうのはどういうものなんですか?

フォトディスコ:それは......新しいものを作っていくってことですね。リヴァイヴァルだって言うけど、僕はトロ・イ・モワとか聴いたとき、ほんとに聴いたことないものだって思いました。あとは、ガチガチに決めないっていうことですかね。ヨレがある方が人間味が出るというか、新しいものに柔軟でいられる......

ではフォトディスコの次の音、ということでお訊きしますが、たとえばもっとしっかりとヴォーカルの入った歌ものとかは作ったりしないんですか?

フォトディスコ:歌ものは......僕、歌に自信がなくて。作ったことはあるんですけどね。

自分は歌では音以上に人を気持ちよくさせられない、とか感じてたりするんですか?がちっとした日本語詞の曲がないですが、音ではなく詞や言葉で表現したいことってあまりない......?

フォトディスコ:日本語だとほとんど音に乗らなくて。曲の雰囲気を崩さずにやるのは難しいですね。

やっぱり音ありきですよね。もし無理矢理先に詞だけ作れってことになったら、何か書けますか?その......詞や詩というものを言葉で生む人なのかどうかっていう疑問なんですけど。

フォトディスコ:いや、作れなさそうですね。やってみたこともなくて......。

もし、がっちり言葉で曲を作れってなったら、何をテーマにします?

フォトディスコ:うーん......年金問題とかですかね......

(笑)チルウェイヴで年金問題ですか。

フォトディスコ:でも、やるなら日本語ではやりたいと思います。

今回DJユニットのメタンによる"言葉の泡"リミックスが収録されてますね。すごくゴーストリーな音像で、あの曲をリミックスしたらこうなるか?っていう、とてもユニークなものに仕上がってますけど、あれは「言葉の泡」というより「言葉の霊」って感じで、歌ものとは別の形で言葉を強調したものになっていると思いました。

フォトディスコ:聴いていて、気持ちの良いリミックスです。今回、リミックスを初めてやってもらったんですが、自分の曲が違う曲になって面白かったです。

ウォッシュト・アウトもネオン・インディアンもトロ・イ・モワもメモリー・テープスも今年セカンド・アルバムを出しましたよね。4様の道を進んでいますけど、フォトディスコの音楽には今作ではまだ出きっていない隠れた芽がいくつもありそうですので、飛躍のセカンドも楽しみに待ちたいと思います。

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 チルウェイヴ、ポスト・ロック、ネオアコ、エレクトロ、シューゲイザーとJ-POP......そういったものがフォトディスコの音楽には混在している。今年の初めにリリースされ、渋谷の某レコード店でベストセラーになったというCDR作を経ての本作『言葉の泡』は、公式では最初のアルバムとなる。日本のポップ史学的な見地から言えば、これは思春期をスーパーカーとともに過ごした世代による最良のベッドルーム・ポップ集のひとつで、UMA UMAの胸がすくような叙情性、エレクトロの下世話さ、そして中村弘二の物静かな幻覚との奇妙な融合と喩えられるだろう。
 アルバムにおいてもっとも印象的な曲のひとつに"盆踊り"という曲がある。ビートはゆっくりと時間を刻み、音数少ないメロウなギターの反復には"間(沈黙)"がある。その"間"にはフィールド・レコーディングによる虫の声がミックスされる。ここで聴ける叙情性、"盆踊り"が表すところは、とりあえず生きていると毎年この時期に感じてしまうあの切ない感覚だ。こうした生活のなかの陶酔感がフォトディスコの音楽の根幹にはある。それがたまたまアメリカのチルウェイヴの初期衝動と近かったという話で、スクリュー(サンプリング)を用いているわけではないし、音楽の方法論としてはまた別物だ。が、フォトディスコは現代のベッドルーム・ポップ・ムーヴメントにおける日本からのアクションのひとつではある。タイトル曲の"言葉の泡"は切ないラヴ・ソングだが、言葉少なく、説明も情念もない。ネオアコのチルウェイヴ的展開とも言えるこの曲は、そして生活のなかの陶酔感を極限にまで引き延ばそうとする。これがフォトディスコの、いまのところの最高の魅力で、そしてその感性において彼の音楽のポップとしての高みがある。

 "フェイク・ショー"や"ゴースト"、あるいは"ミッドナイト"のようなメランコリーとディスコ・ビートを擁する曲、いわばチルウェイヴィな曲もある。ネオンライトのなかを4/4のキックドラムが脈打つ"トーキョー・ナイト"、ダフト・パンクがアンビエントをやったような"アイ"、メロウなギター・ポップをディスコに落とし込んだような"サケ"といった曲も面白い。ポリゴン・ウィンドウの『サーフィン・オン・サイン・ウェイヴ』からアシッド・ハウスを差し引いて、代わりにここ数年のシンセ・ポップ(トロ・イ・モワからウォッシュト・アウト、ジェームス・ブレイクなど)からの影響を注いだような感じというか......。
 もしこの『言葉の泡』を『サーフィン・オン・サイン・ウェイヴ』に喩えられるなら、"Quino-phec"の蜃気楼のようなアンビエントに相当するのは"言葉の泡"のメタン(DJメタルとタンゴによるユニット)によるヘリウム・ミックスだ。8分以上にもおよぼドローンはリスナーを恐ろしく虚無な眠りへと連れて行くだろう(そしてこのリミックスを聴けば、なぜメタルがもう原稿を書けないのか、読者はよく理解できるに違いない)。

■10/20(thu) CMJ 3日目

Tom Tom Magazine CMJ Fest @ woods
9:15 pm The Suzan
8:30 pm TEEN
7:45 pm Coasting
7:00 pm Hard Nips
6:15 pm Pearl And The Beard
5:30 pm Brute Heart (Minneapolis)
4:45 pm Satellite Sky(LA)
4:00 pm Baybee Teeth

 ......というわけで、CMJレポート第二弾はここからスタート。
『トム・トム・マガジン』ショーケース。女の子のドラマーというコンセプトで、定期的にショーも開催している(一号前はビヨンセにドラマーの特集だった)。主催がドラマー雑誌ということで、どのバンドもかなりレベルが高く(ドラマーはもちろん、バンドも)、主催者ミンディのバンドを見る目、CMJでは今回初めてのヴェニューでオフィシャル・ショーケースを開催してしまうという、その度胸が素晴らしい。
 彼女自身もテクニカルなドラマーだが、今回の共同主催者であるヴィヴィアン・ガールズのドラマー、フィオナもすごい。彼女のバンド、コースティングは2ピースでドラムとギター、技術があるだけあって見ていても安心感がある。
 女の子のドラマーというコンセプトなので、ジャンルやスタイルはさまざまだった。コーラス重視で歌を聞かせるグループ、ストリングスをいれたクラシカルなバンドなど、普段は見ることのないバンドも少なくない。全体的にローキーではあるが、面白いコンセプトのショーケースだと思う。
 ニューヨークで活躍する、日本人女の子バンド、ザ・スーザンとハードニップスも、このショーケースで一緒にプレイしたので、緊急特別企画、インタヴューをお届けしましょう。話してくれたのはドラマーのおふたり。NICO(スーザン)、エミ・ニップス(ハード・ニップス)です。


特別対談、ザ・スーザン×ハード・ニップス

どちらもニューヨークをベースにし音楽活動を行っている日本人のガールズバンドですが、何があなたたちをニューヨークに引き連れたのでしょうか。

NICO:ニューヨークに引き連れた......というほどの理由はなく、ただたんにブルックリンのレーベル〈Fool's Gold〉からのアルバムのリリースが決まったので、「んじゃニューヨーク行きますか」という感じで来ました。

エミ・ニップス:「ニューヨークとはやはり世界に通じるミュージシャンの集まるところで~」とかカッコイイこと言ってみたいですが、単純にアメリカのなか(世界中?)でいちばん好きなことができる都市だからです。東京のほうがより大きな都市だと思いますが、私にとっては東京の堅苦しいなかの便利さよりも、ニューヨークの「何でもアリ」の環境で柔軟にやりたいように生きる形が好きです。

最初にこちらに来た印象は? 最初にプレイしたヴェニューはどこですか? また、ショーに対して、どんな印象でしたか?

NICO:ニューヨークをメインに活動をはじめて、実はまだ1年も経っていません。でも7年前くらいからちょこちょこ海外活動はしていたので、最初にニューヨークでギグをしたのはたしか5~6年前の冬......。〈Pianos〉や旧〈CBGB〉、旧〈Knitting Factory〉などでやりました。お客さんは3人くらいしかいませんでした。その頃はヨーロッパの活動のほうを多くしていたので、ロンドンやパリ、ベルリンと比べてなんだかバンド文化が大人しいなあと感じたのを覚えています。その頃はUKロックが流行っていたからかな。

エミ・ニップス:私はアメリカ生まれなので、何度も遊びに来たことはあったのですが、移り住んだばかりのときはすべてが本当にキラキラした印象で、楽しくてしょうがなかったです。引っ越した後、初めて遊びに出た夜の小さなライヴハウスで、スマッシング・パンプキンスのジェイムス・イーハに会ったりして、これぞニューヨークでしょと思いました。ハード・ニップスで最初にプレーしたヴェニューは〈Death by Audio〉。私は以前にも他にもバンドをやっていたので、このヴェニューも初めてではなかったのですが、まだ結成して間もないニップスとよちよちドラマーの私はワン・セット切り抜けられるのか気が気じゃなかったです。初ライヴということで来てくれたたくさんの友だちに助けられて、とても楽しかったです。

バンドは何年活動していますか? 目標とするバンドは?

NICO:バンドは約8年だと思います。目標とするバンドはいません。型にはまらず自由にやっていきたいです。

エミ・ニップス:もうすぐ3年経ちます。目標はクイーン・オブ・ザ・ストーン・エイジ、目指せAC/DC!

今回の『トム・トム・マガジン』ショーケースですが、主催者のミンディとはどのように知り合ったにでしょうか?

NICO:今年の2月にあった『トム・トム・マガジン』のリリース・パーティに、友人のMNDRが出演することになっていたので、メンバーみんなで遊びに行こうとしました。でも、なんだかライヴがしたくなったので、どうせ遊びに行くならライヴさせてもらおうと思って、イヴェントの前夜にミンディーに直接「ライヴさせてください」とメールしました。どうせだめだろうと思ってたのですが、ミンディーから「いいよーやりなよー」的な乗り気なメールが返ってきて、結局当日ちゃっかりライヴさせてもらいました。それがミンディーとの出会いでした。

エミ・ニップス:ブルックリンで活動するもの同士の友だちです。『トム・トム・マガジン』は私もお手伝いをしていて、ボアダムズのヨシミさん、ブン・ブン・サテライツの福田洋子さん、MI-GUのあらきゆうこちゃん、元あふりらんぽのPIKA☆のインタヴュー記事を書かせてもらいました。

いままでどのくらい彼女のショーケースでプレイしていますか?

NICO:4~5回だと思います。

何か好きな点でなにが悪い点ですか? 今日のショーケースはいかがでしたか?

NICO:好きな点は、美しくかっこいい女たちがうじゃうじゃしているところ。悪い点は、美しくかっこいい女たちばかりで自分が霞んでしまうところ。今日のショーケースは、ザ・スーザンが最後にプレイさせていただいてうれしかったです。『トム・トム・マガジン』のショーケースのトリを務めたらもう何も怖いものありませんわ。

エミ・ニップス:ブルックリンでも、SXSWでも、ほぼ毎回のショーケースに参加させてもらっています。好きな点は、知らない素晴らしい女子ドラマーといっぱい知り合えること。悪い点は、「女子ドラマー」という枠によって、逆にレズビアン以外のストレートな女子に広まりにくいこと。今日のショーケースはいろんなたくさんの人が来てくれたことと、すべてのバンドがすごく上手いミュージシャンだったので、いままででいちばん良い『トム・トム・マガジン』のショーでした。

今回CMJでは他にどのショーケースでプレイしますか?

NICO:オンリー『トムトム』です!

エミ・ニップス:Moves Gallery というブルックリンデザイナーの服屋のギャラリー・スペースで、そこのファンキーな服を着てライヴします。

また今回CMJでぜひ見たいアーティストは誰ですか?

NICO:とくににありません。

エミ・ニップス:あらきゆうこさんがドラムを叩くチボマットが見たかったのですが、私たちのライヴと重なって行けませんでした。後は、ナッシュヴィルから来てる、Turbo Fruits。

ザ・スーザンにお聞きしますアメリカに来た最大の理由は? 日本での活動はどんな感じだったのでしょうか? 日本のレーベルはどこだったのでしょう? 彼らにアメリカで活動する理解はありましたか?

NICO:アメリカに来たいちばん理由は、レーベルが〈Fool's Gold〉だったからです。もしこれがイギリスやスウェーデンなどのレーベルだったらそこに行っていたと思います。でもニューヨークに来て良かった。ここには世界最大の成功をつかむチャンスがゴロゴロしてますからね。日本での活動は本当にアンダーグラウンドでした。日本では曽我部恵一さんのレーベル、〈Rose Records〉からCDは出していますが、とくに所属はしていません。どこにも所属せず、すべて自力でやってました。自力で海外ヴェニューとのコンタクトをとってツアーを組んでました。USでのリリースが決まってからは日本でも国内盤を出すにあたって〈Hostess〉にお世話になっていました。アルバムが出てからジャパン・ツアーをして、サイン会やインストア・ギグやレコード店まわりなどを初めてして、なんだかアイドルみたいな気分になりました。ま、ほんの一瞬でしたけど......。結局、バンドをはじめるときから海外で活動することが私たちの活動ベースだったので、私たちがニューヨークをベースに活動することに対してはとくに誰も気にしないというかなんというか......止められるようなことはいっさいありませんでした。

いまのレーベル、〈Fool's Gold〉とはどのように知り合ったのでしょう?

NICO:私たちのプロデューサーであるPeter Bjorn & JohnのBjornの紹介です。まだUSの音楽業界についてなにも知らない私たちを、いきなりめちゃHIP HOPなレーベルに投げ込んだんです。おかげで普通のバンドには経験できないようなことも経験できてると思います。

実際来て見て、日本にいるときより何か違うモノを得られていますか。だとしたらそれはなんでしょうか? 逆に日本でなければ得られなかったことは?

NICO:やはり海外で生活している誰もが感じることだと思いますが、日本にいるときとは比べ物にならないほど視野が広がりました。よって目標も大きくなりますし、やる気もでます。日本でなければえられなかったこと......? ストレスかな。ストレス大国日本ですわ。

ニューヨーク以外のアメリカにいったことがありますか? エピソードがあれば簡単に教えて下さい。

NICO:ツアーでちょこちょこ回りました。今年の2月にあったChromeoとのツアーでは3週間くらいアメリカ中を回りました。カナダにも行きました。Chromeoパイセンのレヴェルになると、ヴェニューの規模が2000人~3000人で、バックステージの豪華さがハンパなかったです。また、毎日2000人のお客さんと向き合うことで、ずいぶん度胸もつけさせてもらいました。

これから先、音楽業界はさらに厳しくなって行く感じです。それぞれ音楽が好きで、いまのことをやっていると思うのですが、最初に音楽にはまったきっかけ、またどのようにこのメンバーがあつまったのか教えてください。

NICO:ザ・スーザンの結成は、キーボードのRIEとヴォーカルのSaoriのデモ作りからはじまりました。彼女たちが自宅の和室で作ったデモ音源がそのままRose Records〉からリリースされ、必然的にライヴをしなくてはいけない状況に追い込まれ、急遽当時暇そうだった友人たちをかき集めてバンドを編成したのが初期ザ・スーザンです。私もドラムなんて触ったことも見たこともなかったのに、ただたんに「力があってリズム感があって暇そうだから」という理由で任命されました。初ライヴはベルリンでした。

エミ・ニップス:ニップスの場合は、みんなそれぞれ音楽は大好きですが、それ以上に一緒にいて楽しかったのがきっかけです。グーチ(b)とマリコ(g)とは、バーバラという洋服のデザイナーの友だちを通してお互いを知り合い、日本人同士「せっかくですので、ご飯でも」的なことから急速に仲良くなり、マリコがもうひとり面白いのがいるよと、ヨーコ(v) を連れてきて、何となくいつでも一緒にいるようになった。あまりにもしょっちゅう一緒にいるため、他の友だちにバンドでもやれば? と言われて、それは楽しそうだ! とはじめた。

一緒にいるときは、おもにどんな会話をしているのでしょうか?

NICO:もうお互い家族同然なので、とくに大した会話もしません。スーパーのお得情報交換や、1日にあったできごとをサラッと、あと1日に1回は絶対に全員で練習しています。

エミ・ニップス:1、男の話。2、美味しいものの話。3、新しい面白いことの話。

影響を受けたアーティストをそれぞれ教えてください。

NICO:マリリン・マンソン。

エミ・ニップス:Sebastian Paulson ブルックリン在住のドラマー。表現力豊かで見ていて惚れ惚れする。ブン・ブン・サテライツの福田洋子さん。私はテクノも好きなので、彼女のような永遠なるリズムを叩けることを夢見る。PIKA☆ 。いい音を伝えることを学ぶ。さらに、Liturgy のGreg Foxのメタルドラム・テクニック、Soft Circle のHisham Bharoochaのドラムに対する精神、Call of the Wild のAllison Busch のピュアな格好良さ。

曲作りについて。どのように曲や歌詞を作り上げていっていますか? 中心になる人はいますか。

NICO:曲作りはRIE、SAORIがやっています。

エミ・ニップス:曲によって変わりますが、大体は全員で作る感じです。Sebastian Paulson やその他の別格ミュージシャンの友だちが多いので、表現やトランジションなど大いに助けてもらいもします。

どのように楽器や歌を習っていったのでしょうか?

NICO:習わなくちゃいけないなあと思いつつ、7年たってしまいました。誰からも何も教わったことがなくて、いまでも自分のドラミングには自信がありません。ドラムの機材についても何も知らないし、自分のドラムセットも持ってません。

エミ・ニップス:これも、初めはさっき言ったミュージシャン友だちにいちから教わりました。そこからは練習するのみです。でも「音楽を演奏したい」という気持ちをサポートする、本当にすてきなミュージシャン友だちに恵まれていると思います。

この先はまだアメリカに滞在予定ですか?

NICO:しばらくは滞在予定です。

エミ・ニップス:はい

お互い日本人の女の子バンドですが、こちらで活躍するにあたり良い点,悪い点。お互いのバンドの批評をお願いします。

NICO:あまり女の子バンドととして扱ってもらってことが無いのでなんとも......。きっと可愛いガールズ・バンドは取り巻きのメンズたちが「あ、オレ持つよ」とかいって機材を運んでくれるんでしょうけど、私は毎回自力で全部運んでます。バスドラとか片手で持てます。あ、でも『トム・トム・マガジン』のような、日本にはあまりない感じの女性たちの独特なフィールドにちょこちょこ顔を出させてもらえるのはうれしいです。

エミ・ニップス:良い点は、やはり日本人の女の子4人のバンドというのは、白人4人などに比べても、それだけで面白いし、違う味を持っているので、それを存分に活躍させられるとより良いと思う。悪い点は、上手なバンドはたくさんいるので、バンドとしてのパフォーマンス力をどんどん上げていかないとそういったギミック部分しか評価されない。スーザンはハーレムに住んでるので、遠すぎ! と思います。若いロック・ミュージシャンの多くが住んでいるブルックリンは、毎日の生活のなかでミュージシャン同士の付き合いも多く、バーでやライヴに行く機会も自然と増えるので、その分バンドへの刺激が増すと思う。

さらに、こちらで活躍する女の子の日本人バンドで尊敬するバンドはいますか? よくつるんでいる仲の良いバンドは?

NICO:つるんだことはありませんが、HARD NIPSパイセン。

エミ・ニップス:こちら在住の「女の子の日本人バンド」は他に知らないです。あげるとしたら、昨日もCMJのライブを見たのですが、少年ナイフのライヴはつねにタイトで、人もたくさん呼べて、かっこいいです。あとはチボマットの羽鳥ミホさんは人としてもミュージシャンとしても素敵だと思うし、そのチボのライヴでドラムを叩いた、MI-GUのあらきゆうこちゃん(ヨーコ・オノ・プラスティック・オノ・バンドのドラマーでもある)のプロフェッショナル・ドラマーとしての生き方はドラマーの神のようです。仲良いバンドは、Cheeseburger とCall of the Wildと、Peelander-Z。

自分がかなり日本人だなと思う瞬間、またかなりアメリカナイズされてるなと思う瞬間。

NICO:毎日白いご飯を食べたくなるとき、あー日本人だねと思います。毎晩でっかいアイスクリームをボックスのまま抱えて食べているとき、アメリカナイズされたなと思います。

エミ・ニップス:日本人だと思うのは、ツアーなどに行ってもどうにも米が食いたいとき。と、日本の笑いが面白いとき。私はアメリカの生活のほうが長いので、通常はどちらかと言うとアメリカンだと思う。

ショーが入っていない普通の日の1日の流れを教えてください。

NICO:朝起きてバイトに行って、夜帰ってきて即練習。メールやネットのチェックなどもろもろの用事をすませてシャワー浴びてなんだかんだで3時くらいに寝ます。

エミ・ニップス:仕事してますよ! フリーランスでのウェブや翻訳の仕事のうえに、バンドのブッキングからオンラインのプロモ作業、ドラムの練習、等々を済ませて、夜はライヴか飲みへゴー。

これから先、具体的に2011年の終わりまでの予定を教えてください。

NICO:11月は、ギグが数本。いま、私たちはちょうど次のアルバムの制作をしているので、そのリハーサルやレコーディングもあります。12月もそんな感じ......だと思います。

エミ・ニップス:仕上がったばかりのニュー・アルバムを出してくれるレーベルを見つけるために、いろんな人に聴いてもらいので、ライヴの本数と人に会う機会を増やします。11月14日は、St. Vitus とライヴ、11月18日は少年ナイフとライヴ。年末か年明けにヨーロッパに行けるかもしれない? いや、行きたいぞという予定。

共演してみたいバンド。また乗ってみたいレーベルをそれぞれ教えてください。

NICO:TurboNegro。レーベル......よくわかりませんが、韓国のYG entやJYP、SM entに興味本位で入ってみたい☆

エミ・ニップス:バンドはCerebral Ballzy、Endless Boogie、Pampers、レーベルは、Adult Swim、True Panther、National Geographic。

最近見た感動したバンドは?

NICO:Hilly Eye、Amy from Titus Andronicusとは古い友人なのですが、彼女のギター・プレイはいつみても感動的。

エミ・ニップス:Com Truise。エレクトロ系だけど、生ドラマーが叩いてて上手いしセンスが良い!

お互いへのメッセージ。

NICO:エミパイセン、ディープなクラブ連れて行って下さい。あと何かドラムの機材でいらなくなったものあったらください。

エミ・ニップス:日本人だからいっしょに楽しめること、そうじゃなくても音楽を通していっしょに楽しめることの両方をこれからも分かち合って、ニューヨーク・ライフをより楽しくして行こうぜい!

言い忘れたこと。つけたしておきたいこと。

NICO:よく間違われますが、スーザンズではなくザ・スーザンです!

エミ・ニップス:ザ・スーザンが、初めて一緒にやったときよりずっと打ち解けてくれてウレシイ。ライヴもいい意味でほぐれてて、パワーアップしてる!!

どうもありがとうございました!!!

NICO of THE SUZAN thesuzan.com

EMI NIPS of HARD NIPS hardnipsbrooklyn.com [[SplitPage]]

■10/21(fri) CMJ 4日目

 ミッドタウンのオシャレホテル、エイスホテルで、シアトルのカレッジラジオkexpが、公開ライブをCMJの期間中やっているというので、どんな様子か見に行ってみる。
 ちなみにこれまでのラインナップは以下。
▼10/19(wed)
10:30 Zola Jesus
12:30 we are Augustine
2:30 Portugal , The Man
4:30 Clap Your Hands Say Yeah
▼10/20(thu)
10:30 Widowspeak
12:30 Givers
2:30 Dum Dum Girls
4:30 The Lonely Forest

見たいバンドが多いのに、見れていない。スポンサーはトヨタ。そして今日金曜日のラインナップは以下。

Kexp Seattle collage radio day party @ Ace hotel
10:30 Waters
12:30 EMA
2:30 Caveman
4:30 Atlas Sound

人はいるが、かなり普通のお客さんが多い(普段ここに来る人はヒップスターばかり)。ポスターを配っていたおじさんに聞くと、Cavemenがちょうど終わり、アトラス・サウンズがはじまる1時間半前とのこと。タイム・オーガナイズが出来てない!レコードマットとシルクスクリーンのビッグポスターだけをもらって退散。

Sub pop CMJ showcase @Bowery ballroom
12:00 am Dum Dum girls
11:00 pm Crocodiles
10:00 pm Royal Baths
9:00 pm popstrangers
polica

 夜はダム・ダム・ガールズを〈バワリー・ボール・ルーム〉に見に行く。ディ・ディの旦那のバンド、クロコダイルズが前なので、間に合うように10時ぐらいに到着。ダム・ダム・ガールズは、昨日はマーキュリー・ラウンジ、その前はスマート・ラウンジ、エイス・ホテルなど、CMJ期間内でもっともプレイしたバンドのNo.5には入る。今日のショーはソールド・アウトで、さらにアフターパーティが〈リット〉であるという。着くとロイヤル・バスというバンドがプレイしている。4ピースの〈Woodsist〉レーベルの若いバンドで、メランコリーなヴェルヴェット・アンダー・グラウンドという感じ。ギター2本(ツインボーカル)、ベース、ドラム編成。

 クロコダイルズは、「地元に帰って来て嬉しい」とMCしていたが、たしか、サンディエゴ出身? エクスペリメンタル・ノイズにブルージー・スワッガー、ちょっとシューゲイズよりでもある、オールド・ロックに新しい血を注入しようという姿勢があるが、キーボーディストとドラムが可愛い、かっこよい女の子という印象以外は、あまり記憶に残らなかった(すいません!)。
 ツインギターとベースの5人編成。映像アーティストが、白黒、カラーを織り交ぜ、ファンシーな照明を演出。中盤でこの日は、ギターのチャールスの誕生日だったらしく、バースデーケーキが登場。ブランドン(クロコダイルズのメイン・ガイで、ダム・ダム・ガールズのディ・ディの旦那)&ダムダム女子総出でハッピー・バースデー・ソングを合唱。ディ・ディは、登場ついでに(?)、そのままヴォーカル・ゲストで、クロコダイルズに1曲参加。

 今回、ダム・ダム・ガールズにはセット・アップをするローディー(2,3人)がいた。以前、半年ぐらい前に〈ブルワー・フォールズ〉というブルックリンの会場で見たときはいなかった(クロコダイルズは自分たちでしていた)。 セッティングに15分ぐらい要し、ダム・ダムは登場した。
 クロコダイルズのライヴは2階席から見ていて快適だったので、いちどステージ前に行ってから戻ろうとすると、すでに前にも後ろにも動けない状態になっていた。いちばん前で見ることになる。
 オープニングはニュー・アルバムの1曲目でもある"Always Looking"。毎日のツアーで鍛えられたのか、バンドのチームワークはかなりタイト。ディ・ディの歌は聞いているのがちょっとつらくなるほど感情がこもっている。古い曲、新しく曲を平等にミックスし、全部で15曲、プラス、アンコール1曲。ハイライトは"hold your hand ""waisted away""in my head"、ラストの"There is a light"あたりで、演奏中はとくにMCをしない。ディディが「私の旦那、 ブランドンへ」と前置きして歌った"in my head"では会場から声援が飛んでいた。個人的に好きな"caught in one"をやらなかったのが残念だが、あらためてディ・ディの歌唱力に脱帽、似た曲も多いが、それでも何だかんだ聞き入ってしまう。
 全体を通して、アルバム内容もあるが、何か辛そうな印象をうけた。演出なのか本当なのか。アンコールの"Coming Down"は、納得のエンディングだった。 彼女たちは翌日の22日はDCへ、そして23日はフィリーへ。24日のホーボーケンでひとまずUSツアーは終了で、11月3日からヨーロッパツアーがスタートする。

 今日ほかに行きたかったショーは......

Caithlin De marrais @ littlefield
元レイナーマリアのベーシストのソロ。
11月にもういちどショーがあるので、そちらに行くつもり。

Brooklyn Vegan showcase @ music hall of williamsburg
10:00 Braids
9:00 Active Child
11:00 Weekend
8:00 Pepper Rabbit
こちらも間に合わずだったが、明日のパーテーに参加予定。明日で最後!

■10/22(sat) CMJ 5日目 最終日

CMJ最終日は、昼からAAMと『ブルックリン・ヴィーガン』のパーティにでかける。

AAM day party @knitting factory
Vacationer
Casiokids
Memoryhouse
1,2,3
dom

ここについたのが、1時半ぐらい。バンドはまだで、セットアップ中だった。速足で次のヴェニューへむかう。

brooklyn vegan CMJ day party @ public assembly
2:30 Friends
2:30 Stepkids

 毎年この辺にはお世話になっているが、いつもスポンサーがPOPチップ、エナジーバー、リカー系(今回はスパイス・ラムだった)で、今回も昼間から、たくさんの人で賑わっていた。
 今回のCMJではここ、パブリック・アセンブリーにお世話になった。昼も夜もパーティ続きに加え、何と言ってもアクセスがよい。こうなったらこの辺のヴェニューを集めて、ここを本部にして、ミニチュアCMJでも開催するべきかも。
 バンドは、ステップキッズとフレンズを観る(フロントルーム,バックルーム)。

@ Move Brooklyn
7:00 Hard nips
6:00 Eola
5:00 Punks on mars
4:00 Guardian alien
3:00 Prince Rama

 その後、プリンス・ラマとガーディアン・エイリアンを見にMoves brooklyngへ。彼らは、過去にレポートして居る、ウィリアムスバーグ・ファッション・ウィークエンドでもショーをしていて、カラフルな色使い、斬新なデザインとコンセプトで注目を浴びている。キャラクター的にダウンタウン・アーティストである、ガーラン・ジーンズとかぶるところがあるが、どちらも現在を引っ張るカッティングエッジなアーティスト/デザイナーだと思う。

CSS, MEN, EMA @Webster hall

 そして、ハイライト(?)、アルファベット3文字組み合わせが面白かったので、これに行くことにラスト・ミニッツで決めた。
 10時頃つくと、何だかノリが違う......。イケイケ・パーティ・モードのクラウドで賑わってる? 何と、アーリー・ショーで、すでに終了していた(6時からはじまったらしい)。この場所は、私達が見たいバンドがプレイしているインディ会場と思いきや、有名なダンス・クラブでもあるのだ。週末の夜は、イケイケ・ヒップホップ、ギャング・パーティの定番となり、ギラギラしたボーイズ&ガールズで賑わっている。CMJ期間内でもこれは譲れなかったらしい。仕方が無いので、ブルックリンにとんぼ返り。パナシェ・パーティに乗り込む。昼間と同じ場所だけど......。

Panache booking & Bruise Cruise showcase @ public Assembly
(Front)
12:30 Shonen Knife
11:30 David Liebe Hart
10:30 White Fence

(Back)
12:00 am Vockah Redu
11:00 pm Turbo Fruits
10:00 pm Jacuzi Boys

 着いたら、変な海賊ハットをかぶったパフォーマーがプレイして居る。ステージで見たと思ったら、次の瞬間にはフォトブースでお客さんと記念撮影をしていた。もしかしてショーケースの単なる余興? そう言えば、ここは、パナシェ&ブルーズ・クルーズのショーケースだった。ブルーズ・クルーズ、彼らはバハマに向かう船のなかでショーを開催する海賊(輩)なのだ(ブッキングはいつもパナシェ)。次の航海は2月。寒中のニューヨークを抜け出して、バンドと一緒にビーチでマルガリータなど飲んだりして、遊び放題。何から何まですべてエンターテイン。彼らにすべて委ねればもう安心。ただ、このクルーズに参加すると帰って現実に戻れないので注意。
 そんなショーケースで、見たかったターボ・フルーツは見逃したが,少年ナイフがはじまった。なんと今年でバンド結成30周年なのだそう。それにしても相変わらず、なんてピュアで可愛いんでしょう。プレイしている曲も、新旧ミックスで、お客さんの心をわしづかみしている。
 今回のCMJでは女の子バンドを見た率が多く、思い出しても、ワイルド・フラッグ,エレノア・フレイドバーガー、ダム・ダム・ガールズ、ザ・スーザン、少年ナイフ、プリンス・ラマ......それぞれ個性もあって、つくづく女の子が台頭している時代なんだろう。
 そんなことを思いながら怒涛のCMJ期間が終了。カバンからはバッヂをピックアップしたところでもらったレッドブルが出てきた。家に帰ろう。

vol.15 : CMJ 2011 (1) - ele-king

今年で17回目を迎えたCMJ(カッレジ・ミュージック・ジャーナル)。大学のラジオ(カレッジ・ラジオ)から発生したこの音楽見本市は、本来目的としていたインディ・バンドのショーケースするという領域を越えて、すでに有名なバンド、世界中のインディ(メジャーもあり)バンドをこれでもか、というぐらい見れる4日間という、いわば、お祭り騒ぎになっている(もちろん、名の知れないインディ・バンドがプレイするヴェニューもあるが、とって付けたような扱いとなっている)。
昼間はパネル(モデレーターとパネリストがいろんな課題、例えば、これからのカレッジ・ラジオはどうなるか、音楽イヴェントを成功させるには......などについて、5人ぐらいで白熱論議をする)&ディパーティ(ほとんどフリーショーで、さらにスポンサーがついて、ビーガンのブリトー、ビールなどがふるまわれる)、夜は公式のショーケース、夜中は朝までダンス・パーティ、さらには公式とはまったく関係ない場所で、それに乗っかったショーケース(アンオフィシャル)も加わり、まったく寝る間がない音楽漬けの4日間(火曜日から土曜日)となる。いわゆる音楽がらみの自分のビジネスを宣伝する場所ということもあり、いろんなフリーのアイテムが手に入る。スポンサーがレッドブルというのも納得だが、みんなレッドブルを飲みながらショーに参加する様子はスポンサーの効果大......というか、これこそお手本にすべき宣伝効果とも言える。
 それでは、はじまり。


CMJの本部になっているニューヨーク大学へ

■10/17(月)
Oh my rockness CMJ kick off party @ pianos
 Jonquil
 Ski Lodge
 The Hairs
 Gross Relations
 Sea Monsters

 何故かまだ月曜日なのにプレCMJキック・オフ・パーティが、オー・マイ・ロックネスというバンド・リスト・サイトがスポンサーで開催された。バンド自体は、ルタード・ゾーン(『ピッチフォーク』がスポンサーをしているエレクトロ・サイト)がらみのバンドもいて、そこそこ人も入っていてよい感じ。ただ、これからの長いイヴェントを考えると、今日はそこそこにして切り上げる。明日からの怒濤の日を祝う。

■10/18(火)
 朝いちで、CMJバッジをピックアップにニューヨーク・ユニヴァーシティ内のジャドソン・メモリアル・チャーチに出向く。ここがCMJの本部になっている。大学のイヴェントなので、講堂みたいなところでバッジをピックアップする。
 バッジを無事ピックアップしたあとはギフト・バッグをもらいに( というかそれは文句で、スポンサーのショーケースに向かわされる)、隣のキメル・センターへと急ぐ。大学の校舎の各階では、CMJのいろんなパネルがおこなわれている。
 スポンサーには、チャンピオン(洋服ブランド)、ソニック・ビッズ(インディ・ミュージックをサポートするサイト)、サウンド・エクスチェンジ(インディバンドの権利を守る機関)、フーチューン(新しい音楽のデジタル・サイト)、チャック(マーケティング・カンパニー)、ファンフリー(ペーパーレス・チケットのアンチ機関)、アスキャップ(音楽権利機関)、サウンドタップ(カレッジ・ラジオを選べるサイト)、ヴォリ(ライトヴォッカ)などから、国際的な国を代表したテーブル(彼らはそれぞれの国ごとにショーケースを持つ)、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、フランス、スウェーデン、台湾、カナダ、(日本はなかった)が所狭しと並んでいた。

火曜日に行く予定だったショーは以下。

Merge records showcase @ bowery ballroom
 11:00 Wild Flag
 10:00 Eleanor Friedberger
 9:00 Hospitality

school night NY showcase with East village radio & MFG @ bowery hotel 335 bowery @ great jones
 Duke Sprit (DJ)
 11:00 Drop the Lime (DJ)
 10:30 U.S. Royalty
 9:30 The Silent comedy
 8:30 Duke Sprit

9:30 pm Zola Jesus @knitting factory

Carpark CMJ showcase @ public Assembly (front)
 1:00 Class Actress
 12:00 Dent May
 11:00 Cloud Nothing
 10:00 Young Magic
 9:00 Adventure

Mexican Summer CMJ showcase @ public Assembly (back)
 12:00 Light Asylum
 11:30 Radio people
 10:15 Date Palms
 9:30 Quilt
 8:45 Home Blitz
 8:00 Xander Duell

Afro-punk presents "Death to Hiphop" A CMJ showcase @ music hall of williamsburg
 Death
 Cerebral Ballzy
 Ninjasonik

 まずは〈バワリー・ボールルーム〉へ。最初に登場したバンド、ホスピタリティーは若い感じだったが、そんなに印象には残らなかった。早くはじまったので、そのあいだに数ブロック離れたバワリーホテルで友だちのUS ロイヤリティのショーを見に行く。
 が、......彼らはまだその後だったらしく、代わりにデューク・スピリットというロンドン出身のバンドを見た。ケイト・モスによく似た女の子がフロントにいるパワフルなサウンドで、パフォーマンス的に好きだったが、これもそこまで印象に残らず、フェアリー・ファーナシスのエレノア・フレイドバーガーを見に〈バワリー・ボールルーム〉に戻る。あわよくば少し見てUS ロイヤリティに帰って来れるかなと思いながら......。この時点で〈ミュージック・ホール〉のセレブラル・ボルジーは諦めた。
 〈バワリー・ボールルーム〉ではちょうどエレノア・フレイドバーガーが始まったばかりだった。からし色の前あきシャツをからし色のコーデュロイのパンツ(リーバイス)にタックインし、ウエスタン・ブーツを履いているのが上からでもわかる。その上に星マークの紺色のカーディガン。メンバーはギター(パンチ・パーマ、もしかして、もじゃもじゃしているだけかも)、タータン・チェックのシャツにジージャン)、ベース(天然パーマ、白の前あきシャツにジーンズ)、ドラム(彼だけサングラスにオールバックとちょっと浮いていた)......外見だけ見ると、とてもじゃないが現在のバンドと思えない、レトロ感に満ち溢れているバンドだ。が、エレノア・フレイドバーガーは予想よりも素晴らしかった。MCで「地元に帰ってきて嬉しい」と言っていたのでツアー中だったのだろう、メンバーの息はぴったりで、とても快適にプレイしている。特別なことをしていないのに良い。トイレに行きたかったのに行けなかったほどに......ショーのあとの物販は、きちんと本人たちがしていた。

素晴らしいライヴのEleanor Friedberger (photos : Brooklyn Vegan)

 今回のCMJでもっとも注目されているのがワイルド・フラッグだ。このバンドは、スリーター・キニー(キャリー、ジャネット)、ヘリウム(メアリー)、マインダーズの(レベッカ)メンバーで結成された、いわばスーパー・ガールズ・バンド。この日のメインでもある。
 実は、本来はパブリック・アセンブリーに〈メキシカン・サマー〉と〈カーパーク〉のショーケースを見に行こうと考えていてたので、ワイルド・フラッグに関してはとりあえず見てみようと思っていたのだが、まだ初日というのに、おそらく今回のショーでいちばん良いショーになった。演奏が上手いのはもちろん、音楽、パフォーマンス、メンバーの動き、衣装、タイミング、すべのバランス最高で完璧。格好いいガールズ・バンドはたくさんいるが、ここまでオーディエンスの印象に残るようなバンドはレアだ。オーディエンスがほとんど女の子というのも納得。最前列は女の子で溢れかえっていたし、黄色い声がガンガン飛んでた。私は背が小さいので、いつもなら難なく前に入れてもらえるのだが、今回ばかりはガッツり断られてしまった!
 メアリー・ティモニー(ギター)とキャリー・ブラウンスタイン(ギター)がツイン・ボーカルで、交互に歌うのだが,メアリーは女の子よりの歌い方で、スパンコールのトップにタイト・スカートにアミタイツにフラット・シューズ。キャリーは、サーモン・ピンクのリボン付きノースリーブにピタピタの黒のパンツ、ブーツ・カットの黒ハイヒールでキリッと男前でカッコ良い。ジャネット・ワイス(ドラム)はピンクのスパンコールが胸のところにあしらわれたチューブ・トップにジーンズ、レベッカ・コール(キーボード)は黒のスパンコール・タンクトップにジーンズ。みんな光りものが好きなのか......。バックコーラスも完璧で、最後のアンコールには、ビールを客席にけり上げて終了。最後にまわりの人たちと「最高だったね~」と言いながら、家路についた。パブリックアセンブリーには興奮していけなかった。あ、ゾラ・ジーザスも......。

デビュー・アルバムのリリースも控えている、Wild Flagの圧倒的なライヴ (photos : Brooklyn Vegan)

■10/19(水)
True panther & popgun presents CMJ showcase @ glasslands (9-3am)
 Trash Talk
 Tanlines
 King Krule
 Little Red
 Teengirl Fantasy
 Lemonade

noisey.com,SUPRA NYC showcase @Santos party house
 TWIN SHADOW
 MAIN ATTRAKIONZ
 BLEACHED
 CAVEMAN
 INC
 PUJOL
 FIDLAR

Jagjaguwar/secretly canadian/dead oceans CMJ showcase @ union pool
 A place to bury strangers
 Gauntlet Hair
 Parts & labour
 Porcelain Raft
 Exitmusic

The Fixed CMJ Freakout! @ public Assembly (9-4 am)
 Teengirl Fantasy
 Still Corners
 CFCF (DJ)
 Warm Ghost
 Chad Valley
 Radio people
 Lemonade (DJ)
 JDH and Dave P

 昨日行けなかったパブリック・アセンブリーに行くとまだはじまっていない。よく考えるとグラスランズとメンツが被っているので、そういうことかー、と思いグラスランズに移動。ちょうどティーンエイジ・ファンタジーの真っ最中。CMJは同じバンドが同じ日にいろんな場所でやるので時間配分がとても難しい。CMJのオフィシャル・サイトには時間まで載っていないこともあるので、ある意味賭けなのである。例えば、ブルックリンとマンハッタンをはしごする場合、もう帰って来れない、という危機感がつきまとうが、ブルックリン内、マンハッタン内では、行ったり来たりするのが、CMJの定番。実際歩いているとパスをかけた物同士が、道ばたで「~はいま行くと良いよ」、など情報交換している場面に遭遇する。実際私もパスをかけている人に「~に行くんだけどいまどんな感じ?」と聞いたり、友だちになったりもする。


CMJ #2 (10/20-10/22)に続く。

vol.14 : N.Y. these days - ele-king

 ニューヨークでは毎日いろんなところでさまざまなショーがおこなわれている。行かなければそれで終わり。すべては自分次第。自分がどうこのシーンに関わりたいか......である。
 私はベッドフォードとS 1stという便利なロケーションで仕事をしているので、ショーにはアクセスしやすい。例えば、先週の日曜日(10/2)は、トーク・ノーマル、イレース・イラッタのショーが〈グラスランズ〉であり、友だちのソフィア・カップのショーが〈カメオ・ギャラリー〉であった。
 〈グラスランズ〉はうちのオフィスから2~3ブロックのところにあり、〈カメオ・ギャラリー〉は6ブロックぐらい先にある。歩いてもたぶん10分ぐらいなので、気軽に往復できる。〈グラスランズ〉の隣には285 kent aveという別のヴェニューがあり、ぐるっと角を回った先には〈デス・バイ・オーディオ〉というまた別のヴェニューがある。〈グラスランズ〉では、その前の日曜日には、ザ・スーザン、ハード・ニップス、ロストボーイのショー、今週はエクストラ・ライフ、ミック・バー、GFDX (リタジーのグレッグ)のショーがあった。いつ行っても何かやっているので、ついついふらっと立ち寄ってしまう。

 先週の日曜日(10/2)のトーク・ノーマルとイレース・イラッタのショーは、どちらも久しぶりのライヴだった。イレース・イラッタにいたってはおよそ5年ぶりかもしれない。
 オープニングは元エル・グアッポというバンド、エディ・セドウィックほか2バンド。日曜日にしてはお客さんもきっちり入っている。
 最初はソフィアを聴きに〈カメオ・ギャラリー〉に向かう。それはラヴィン・カップ・カフェのバックルームにあり、初めてここに来たときカナダのポップ・バンドのモンタグをみたことを覚えている。カフェではビールが1ドルと激安なので、よくハングアウトしている場所でもある。
 その晩の共演はロバート・ロウのLichenというバンドだった。彼は、以前は90 デイ・メンというバンドでもプレイしていて、ソフト・サークルのヒシャムとよくショーをおこなっている。ソフィアは、元ライツというバンドでプレイしている。いまはソロで、〈ドラッグ・シティ〉のアーティストとして活躍している。10月はレジデンシーとして毎週日曜日演奏しているが、毎回違う編成でプレイするという。その晩はソフィアがアコースティックギターで、もうひとり(男の子)のメンバーがキーボードで参加していた。
 ソフィアと似たアーティストとしては、シャロン・ヴァン・エッテンの名が挙げられる。彼女は最近〈ジャグジャグア〉と契約している。どちらも日本ではまだまだ名の知られていない女の子のシンガー・ソング・ライターである。


力強くも美しい歌を響かせるSophia

 ソフィアが終わり、〈グラスランズ〉に戻ると、ちょうどトーク・ノーマルのライヴの真っ最中だった。トーク・ノーマルのサラは、少し前まで〈グラスランズ〉の隣の285ケントに住んでいて、(当時はウエスト・ナイルという名前だった)、私はそのショーによく行っていたので、彼女とは普通に家でハング・アウトしているような感じで道ばたでよく顔を合わせていた。いまは少し南のほうに引越し、元ダム・ダム・ガールズ、ヴィヴィアン・ガールズのフランキー・ローズ(現フランキー・アンド・ジ・アウツ)やシンダーズのストなどと、7人ぐらいでロフトに住んでいるらしい。去年日本にも来日したこともあって、いまの日本の状況に関する気になるいろんな話をした。ドラムのアンドレアは、その日は偶然というか、日の丸タンクトップを着ていたし、もともと彼女は日本が大好きで、よくうちのカフェでハングアウトしては、本を片手に、いろんな質問をしてくる。もちろん飲み物はソイ・グリーンティ・ラテ(豆乳入り抹茶)を愛飲。ライヴは、少し新曲も披露していた。最近はレコーディングをしていて、ライヴする量を減らしているそうだが、来週のCMJでは、フランキー・ローズとトーク・ノーマルが共演する。


激しいノイズ、Talk Normalのライヴ

 イレース・イラッタは、4人編成で、メンバーはみんな、白ベースのTシャツに幾何学模様のレギンス・スタイル。ドラムの女の子とキーボードの女の子が新しい......と思ったらキーボードは、トーク・ノーマルの来日でベースを弾いていたクリスティーナだった。彼女はイレース・イラッタなどのレコードのエンジニア兼プロデューサーでもある。
 そしてこの日曜日は、リタジーのグレック・フォックスのバンドやミックバーが〈グラスランズ〉で、その次の日、月曜日は、〈ニッティング・ファクトリー〉で、DMBQ、ボアダムスの増子慎二のソロ、ソフト・サークル、マン・フォーエヴァー、リタジーがプレイ。月曜日から盛りだくさんだ。
 マン・フォーエヴァーは、キッドがオネイダで〈オール・トゥモローズ・パーティーズ〉でプレイしていて、飛行機が間に合わず、代わりにヒシャムが指揮を取っていた。今日出演したメンバーは、ほとんどマン・フォーエヴァーに参加していたのだが、リタジーのグレッグは、ここ何日間かウォール・ストリートのライヴラリー・パークに立てこもり、その様子を事細かに報告してくれた。たくさんのミュージシャンがウォール・ストリートに現れては、ゲリラ・ライヴを繰り広げているが、グレッグはベネフィット・ショー、その様子をレコーディングしてアルバムを作る企画をしている。


USインディ・シーンに長年活動を続けるErase Errata

 そう言えば2週間前に、PS1(クイーンズにあるミュージアム)にプリンテッド・マター主宰のアート・ブック・フェアを見にいったのだが、たくさんのアート・ジンが庭の一角にテントを張って所狭し出店し(シンダーズももちろんいた)、自分たちでバスを持ち込んでブースにしていたり、建物のなかにはいるとミュージアムで売られているような、きちんとしたアート本があり、その上にはショーペーパー、サップなどの音楽系の媒体のブースもあり盛りだくさんだった。階段の踊り場では、バンドがプレイしていて、私が見たのはリタジーとも良く共演しているバルチモアのバンド、エド・シュレイダーだった。ドラムとギターのふたり編成で、ドラムはスネアのみ、下からライトを照らし、Tシャツを上からかけて演奏していた。キャラ的にもなかなか良くて、聞けば本人はコメディアンでもあるらしい。


ユーモラスなアヴァン・ポップを演奏するEd Schrader

 3日続いたこのアート・ブックフェア、ソフト・サークルやグレッグの別バンド、ガーディアン・エイリアン、プリンス・ラマなど、私がよく見に行くバンドもプレイしていた。行くところに行くと同じ人が集まって同じテイストの人がいる。日本からはジーンズ・ メイト(zines mate)が参加していて、オノ・ヨーコの本などを売っているのを見た。そういえば、トム・トム・マガジンという女の子のドラマーばかりを扱うマガジンの子たちもいて、日本の女の子のドラマーを特集したいので教えてとせがまれた。すでにあふりらんぽのピカチュー、ボアダムスのよしみちゃん、mi-guのゆうこさん、ブン・ブン・サテライツのようこさんは紹介済みですが、誰か知ってますか?

 ニューヨークのインディペンデント音楽シーンのひとこま。毎日動き、人びとが中心になり、つながり、作り上げている。来週は怒涛のCMJ週間をレポートします。

Alva Noto & Blixa Bargeld - ele-king

 およそ1週間前にマシュー・ハーバートの"ワン・ピッグ"ライヴを観ている。その同じ会場で、もっとも先鋭的なドイツの電子音楽家(アルヴァ・ノト=カールステン・ニコライ、坂本龍一との共演者としても知られる)と......ポスト・パンクの時代にチェインソーを金属に斬りつけるノイズを音源として、くず鉄を打楽器としたバンド、つまり、いわゆる既存の楽器のすべてを放棄したバンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの中心人物にしてヴォーカリスト、ブリクサ・バーゲルトとのプロジェクト、ANBBのライヴである。破壊に憑かれ、ダダイズムに深く共振し、そして実験音楽に人生のすべてを捧げていると自ら語るアーティストの久しぶりの来日だ。オーディエンスの数は......意外なほど少なかったが、しかしそのライヴは耳と心にこってりと焼き付くものだった。

 フロント・アクトのNHKyxは、大阪とベルリンを往復する国際派の電子音楽家で、〈スカム〉〈ラスター・ノートン〉、あるいはセンセーショナル(元ジャングル・ブラザースのぶっ飛んだラッパー)との共作を〈ワードサウンド〉から......とにかくいろんなレーベルからたくさんの作品を出しているプロデューサーである。インダストリアルなビートを操作しながら、ノイズをかき鳴らし、IDMとハードコアなダンス・ミュージックの溝を埋めるような、インパクトのあるステージを披露した。続いて登場した伊藤篤宏のウルトラ・ファンクターは、蛍光灯のノイズを音源としながら、NHKyxの冷たいグルーヴをバトンタッチするかのように、彼の白い熱を展開した。昔、あるオーガニック系の人物から、家では絶対に蛍光灯は使わないと言われたことがある。ウルトラ・ファンクターはそうしたハイソなエコ人間へのアンチテーゼでもあろう。
 そうした強力なフロントアクトを経て、ステージに登場したふたりのベルリナーは、それまでの騒音とは真逆で、曲のなかには多くの静寂があった。ライヴは......ノイバウテンのリスナーにとってはお馴染みのバーゲルトのヴォーカリゼーション、あの水蒸気のような声(口笛のような音)ではじまった。

 黒いスーツでめかし込んで、もみあげを尖らせ、髪の毛をしっかりと整えてマイクの前に立っているバーゲルトは、ある意味古風な"ヨーロッパ主義"を強く感じさせるものだった。それはいまとなってはレトロ趣味のひとつとも言えるし、1920年代のベルリンのナイトクラブと2011年のIDMとの交流会という点では新鮮にも思える。
 ライティングは、すべてバウハウス的なデザインだ。直角で、そして色彩は2色に制限される。黒と赤、黒と緑、青と黒、そうした組み合わせで構成される。それは、かつてグラム・ロック/パンク・ロック/ポスト・パンクが、アメリカ的な経済繁栄への強烈な反撃として持ち上げたドイツ的な美学(非人間性や灰色の頽廃美、終末や衰退への陶酔、人工美、表現主義などなど)を表しているように思えた。
 "ワンス・アゲイン"~"ワン"~"ミミクリー"~"エレクトリシティ・イズ"......アルバム『ミミクリー』ではオウテカ(もしくはメルツバウ)を彷彿させるような情け無用の冷酷なエレクトロニック・ミュージックに思えたような曲も、ニコライの間(沈黙)を効果的に用いたIDM、そしてバーゲルトの呼吸まで聴こえそうなライヴではむしろエロティックに聴こえる。ジャック・ブレル(まあ、彼はドイツ人ではないが)のラップトップ・ヴァージョン――そんな言葉が脳裏をよぎる。「昆虫としてのあなた(You as an insect)/あなた自身を擬態する(Mimic yourself)」......バーゲルトは"ミミクリー"における最初の英詩をゆっくりと喋ってからはじめる。アルバムのスリーヴアートには、目を奪うような、女が昆虫のように町を這っている写真が使われているが、これは1967年の映画『欲望』にも出演しているドイツ人のスーパー・モデル、ヴェルシューカの写真である。
 アンコールの"フォール"(アルバムの1曲目)にいたってはさすがというほかない。周波数を手品師のように操作するニコライは、最初鼓膜の近くでさざ波を起こし、それをいつの間にか気が狂いそうなほどのノイズとして突き刺す(アルバムでは耳をつんざくノイズに思えたそれは、より展開のある楽曲となっていた)。そして静寂とピアノ、バーゲルトの歌......。最後の"ホール・イン・ザ・グラウンド"は、僕にはファーストの頃のスーサイド風、まあ、要するにロカビリー+ノイズに聴こえた(オリジナルではそうは感じなかった)。
 先週同じ会場で観たハーバートの、英国人らしい社会風刺のライヴ・パフォーマンスとはまったく別の興奮を覚えた。それは実験音楽に人生を捧げたと自負する人間による、現代における新古典主義とも喩えられるような、しばらくのあいだ家に帰りたくなるほど感動的で美しい時間帯だった。

なお、raster-notonジャパンツアーは今週も続きます!

【R-N EXPRESS】(東京公演)
■日時:2011年10月9日(日)23:00開場 /開演
■会場:渋谷WOMB
■出演:Alva Noto / Byetone / Vladislav Delay / Luomo / Aoki Takamasa /Anne-James Chaton / AGF / NIBO / Atsuhiro Ito
■raster-notonジャパンツアー特設HP:<https://www.raster-noton.net/japantour>

また、東京馬喰町にある現代美術ギャラリー、Motus Fort(モータス・フォート)では、11月5日までブリクサ・バーゲルトの展覧会をしています。
https://www.motusfort.com/exhibition.html

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