「OTO」と一致するもの

トクマルシューゴ - ele-king

 ディー・ヴイ・ディー(d.v.d)もおもしろかった。なるほどそれは「みる音楽」であって、動画サイトで静止した画像を観ながら音楽を聴くというあの奇妙な「きく絵」体験と不思議な対照をなすように思われた。

 この日はトクマルシューゴのDVD作品『トノフォン・フェスティヴァル&ソロ2011』の発売を記念したライヴだった。ステージには2台のドラム・セットが左右に配置されていて、真ん中には大きなモニター(ドラムス・ヴィジュアルズ・ドラムス=d.v.d)。2台で構築するコンピュテーショナルなドラミングに連動して、プログラムされた映像が動いていく。映像は音と独立したものではなく、音に反応して展開するもので、一打されるたびにマルやサンカクが増えたり変形したりをくりかえしている。

 音の信号性を強調するようなそうした設計は、メカニカルなドラミングと協調しながらオーディエンスを別次元のライヴ空間へと導くかに思われた。モニターの向こうにあるマルやサンカクの世界へだ。あれだけ卓抜でビート感のあるドラミングであるにもかかわらずほとんど誰も踊っていないのは、われわれがほぼ全員でそのサイバーなフロアへと移動させられてしまったから、だろう。われわれはおそらく身体を置きざりにして、マルやサンカクの世界で踊っていたのである。そのフロアには終わりがなかった。
 そもそも抽象的にデザインされているから、出口・入口もなく、直線は伸びつづけ、波形はうねりつづけ、マルは増えつづけ、空間はひろがりつづける。それがすこしこわいようにも思われた。なんともいえない微量の不安がドライに砕かれ、顆粒状にふりまかれていると言えばいいだろうか。音もインフレーションしつづけるが、その先に当然迎えるはずの破滅をまるで感じないこと、そして当然破滅がやってこないこと、こうしたことがなにかおそろしいのである。エレクトロニックな上もの自体はとてもかわいらしい音だ。だがあの平板なピコピコ音には小児的で傲岸な無邪気さとともに、つめたい批評性が圧縮されているようでもある。「ほんとうは怖いにこにこぷん」、というか。家で聴くというわけにいかない。生演奏という価値のためではなく、インスタレーションであるからして会場に足を運ばざるをえない、不思議な種類の音楽である。DVDで観るのもいいだろうが、おそらくそこにはいま体験している即興性とは別のレヴェルの即興、別種の仕掛けがなされているはずだ。と思った。

 次号『ele-king』掲載の金田淳子氏を迎えた座談会の収録が終わったところだが、音楽には明るくないという氏にも教えてさしあげればよかった。ディー・ヴイ・ディーは音楽性の高さに比して非常にリスナーへの敷居が低いというか、アート的な文脈を持っているぶん音楽ファンにかぎらない広い層に受け入れられるプロジェクトではないかと思う。かつ、おそらくメンバー諸氏はイケメンと呼ばれる種類の人びとであり、ドラムとラップトップというストイックなフォルムをまとった電子男子として、多大な想像力の供給源となるのではないだろうか。MCも軽妙。噺家がせんすで話の間をとるように、しゃんとハットを鳴らしていたのがおもしろかった(ジマニカ氏)。

 トクマルシューゴはとても親密な空気のなかではじまった。ドラムス、その他パーカッション、アコーディオン、ベース、ギターと歌。"リンネ"のミュージック・ヴィデオ(https://www.youtube.com/watch?v=PfgB3bX0sLg)のつづきのように、楽器を持ってみんなでここまで歩ってきたといったふうのたたずまい、ステージという場所の異質さを中和するくだけた雰囲気がつくられている。それはオーディエンスにも確実に共有されていて、多くの人がとてもリラックスしながら、ほどよい緊張のなかで音を待っている。人の音楽を聴こうというときに、考えられるかぎりもっとも好意的なムードだ。なるほどこれがトクマルシューゴかと開始早々に敬服してしまった。みなビールさえ持っていない。

 しかし演奏じたいもややカジュアルであったというか、録音物としてのトクマルシューゴの緻密さはほとんど目指されていないように感じられた。全体にアコースティックなセットだったが、トクマル自身の演奏はやや埋もれがちで、セッションのダイナミズムを優先したということかもしれないが、もう少しくっきりと聴きたかったという思いがある。そもそもセッション(合奏、というほうが的確か)それじたいというより、それぞれの音の非常に繊細なつながり、行き届いたプロダクションがトクマルシューゴの魅力だ。それをライヴで再現するかどうかは考え方によるが、初めて観るものとして個人的には期待していた点ではあった。

 とはいえ、このがちゃがちゃとした合奏にはひとつの理想やテーマ性が織り込まれているのかもしれないとも思う。ひとりユニットや夫婦デュオなどが繚乱と生まれてくる一方で、3人以上のファミリーを形成することの意味は想外に大きい。もちろん単純に音数が必要だということもあるだろうが、それこそどのようにでもプログラミングは可能であって、人間が数人寄り集まって合奏をするというスタイル、とくに"リンネ"的なパーティのイメージは、ただ生音志向だという以上のなにかを持っているように思われる。ここに集まっているオーディエンスにも、アコースティックな合奏へのオーガニック幻想や一種のファミリー幻想が上質なフィクションとして機能しているのではないか。これを率いるのがギター弾きだというのがまたクリティカルである。「父」ではなく、しなやかにやせた青年の風貌が、ここで奇妙な説得力を持ってせまってくる。

 8分の6拍子で祝祭性を生み出すシーンも多かった。アニマル・コレクティヴのような、混沌として多幸的、どこの土地のものとも知れない架空的なフォークロアが奔出し、高揚感をあおる。ベイルートなどがやろうとしていることを日本で実践していると言いかえてもいいかもしれない。驚いたのは、幕間やアンコールを求めての拍手まで8分の6拍子になっていたことである。これは偶然ではなく、オーディエンスの側に明確にその手拍子を合わせ打つ意志があった。あれだけの会場でかなりの人数でそれを合わせることのむずかしさは、高校時代に応援団に従い、気ののらない3、3、7拍子を打った記憶のある人にならだれにでもわかるだろう。気持ちが重なり、いちリスナーを超えるファミリーのムードがあるからこそそれは可能であったと言える。

 またここに参加している人びとには、音楽の好みにも強い共通性があるようだ。イントロ・クイズのようなトクマルのギターの誘いに応じ、会場にはサケロックの合唱が起こったりしていた。ギターで人をその気にさせるのもうまい。筆者にはシンプルな弾き語りがとてもよかった。6月9日には町田の簗田寺にてソロでの出演を控えている(https://blog.shugotokumaru.com/)ようだが、ロケーションといい規模といい音響といい、かなりすばらしい演奏が聴けるのではないかと思う。

SonarSound Tokyo - ele-king

 まあそんなわけで大阪はすっかり深夜踊れない街になっているので、やってられるかと僕はバスで寝ながら東京に向かった......SonarSound Tokyoでしこたま踊るためである。ちなみに「オールナイトの イヴェントに行ったことがないから行ってみたい」というふたつ年下の友人を連れて行ったのだが、キャッチーな入り口がありつつ、現在のエレクトロニック・ミュージックの奥行きも感じられるラインアップになっているのはソナーならではだ。
 それだけ豪華なメンツになっていることもあり、今回に限ったことではないが全くの個人的なレポートになっていることをお許しいただきたい。ケン・イシイのプロジェクトの裏ではグローバル・コミュニケーションとアオ・イノウエがやっている......そんなイヴェントなのだ。

 会場は今年も新木場のアゲハ/スタジオコーストで4ステージ、しかしものすごい数のひとだ。これだけの人間が深夜に踊りたがっているのに、クラブを閉店に追いやって警察はいったい何がしたいんでしょうな......とグチりたくなりつつも、ステージをいくつかウロウロしてアルコールとビートを身体に馴染ませていく。外のステージであるSonarLabでは大阪出身の若いトラックメイカーのSeihoとAvec Avecが煌びやかな エレクトロニック・ミュージックで沸かせている......法律に関係なく、ダンス・ミュージックはただそこに存在して新しい世代を踊らせるのをやめていなかった。

 メイン・ステージであるSonarClubに向かうと、ドリアン・コンセプトが相当デカい音量で遠慮なくビートを投下している。テンポが変わるブレイクビーツと音程の揺れまくるキーボード・サウンド、とにかく情報量が多い。ヒップホップとエレクトロニカの感性がミックスされているという点では珍しくないけれど、コミカルにもシリアスにもなりきらず、ややこしい実験の袋小路にも向かわず、妙にあっけらかんとした開放感があるのがいい。
 SonarDomeと名づけられたテントはひとが溢れ、入場規制がかかった。グローバル・コミュニケーションのリユニオンだ! 「世界規模の、伝達」という例のサンプリング・ヴォイスからはじまり、トム・ミドルトンとマーク・プリチャードはスクリーンの向こう側からゆっくりと、ゆっくりとその脳の襞に染み込んでいくような和音を響かせていく。スクリーンには、『ナショナル・ジオグラフィック』か『Newton』の写真のような宇宙の映像が広がり、みるみるうちにサイケデリックな領域にオーディエンスを連れて行く。メイン・ステージに比べるとどうしても音量が小さくなってしまい即効性はなかったが、その分、後にアンビエントのクラシックとなった『76:14』の音響世界に耳を澄まして分け入っていくような体験を味わうことができた。映像の使い方にしても音にしても90年代のエレクトロニカの文法を外れるものではないが、それだけ過不足のない完成された型がそこにはあったように思う。とくに中盤に訪れた、足元から這い上がってくる恍惚には背中を撫でられているような気分になった。もちろんこのアンビエントは現代まで繋がって、さまざまなヴァリエーションに展開している。ラストにはミニマルなテクノでガシガシ踊らせもしたが、あの気の遠のくような音響がグローバル・コミュニケーションなのだと感じられた。

 すっかり上機嫌でテントの外に出た僕は、友人のOと合流した......のだが、持っていた財布が消えたらしく忙しそうだったので、邪魔するのも悪いのでOをそっとしておいてメイン・ステージに向かう。ちなみにこの友人Oは、去年のフジロックのレポートで酔いつぶれてその辺で寝ていた男と同一人物である。僕が知っているだけでも、Oは4回財布をなくしている。
 それはともかく、ここからメイン・ステージは〈ワープ〉のスターが続く。まずはクラークだ。彼のライヴは三度ほど観ているが、激変の新作『イラデルフィック』の直後とはいえ、これまでの内容と大きく変わるものではなかった。圧迫感のある強力なビートと狂気じみた電子音の交差が、次から次へと展開していき全く休む暇もない。エイフェックス・ツインの血筋はたしかにあって、僕にはクラークは〈ワープ〉の正統な第二世代だと思える。けれども、エイフェックスのような子どもじみた悪意はここにはあまり感じられないし、その狂気は陰湿なものではない。シンプルに「ぶっ飛んでいる」状態が様々なテンポで応酬する、そんな気のふれたアッパーさがクラークのライヴの醍醐味だろう。いくつかミスもあったが、それも気にさせない堂々たる内容だった。アンコールでは『イラデルフィック』収録の変拍子も聞かせてくれたが、基本的には新機軸よりも得意のやり方で会場をピークまで持っていった印象だ。
 
 ステージの後ろの方に行くと酔いつぶれてOが寝ている......。横にいた彼女に聞くと、財布は戻ってきたものの現金はなかったそうだ。酔いつぶれたい気持ちも分からなくもないが、友人として声をかける。「スクエアプッシャーはじまるで」。起きない。そっとしておくことにした。
 そんな人間以外はかなりのひとがステージに押し寄せる。スクエアプッシャーへの期待は相当なものだ。バックに大きなLEDのスクリーン、卓にもLED。そこにLEDスクリーンつきのヘルメットをかぶって現れた男は、本当にトム・ジェンキンソンだったのだろうか? というのも、これまでと印象がかなり違う。音に合わせてぶんぶん腕を振り回すような、サービスめいた煽りをするタイプだったか? が、新作『ユーファビュルム』からの楽曲を生楽器を使わずすべてエレクトロニックでやっているとは言え、音そのものはスクエアプッシャーらしい高速のドラムンベースやブレイクビーツとメランコリックかつエモーショナルなメロディ。その迫力と完成度は確かなもので、ジェンキンソンもまた、10年以上かけて作り上げた型を洗練させているように見えた。新鮮な驚きはなくとも、音と完全に同期した映像の手際の良さも含めてとても安定している。彼のキャリアも一周したということなのかもしれない。新世代がひしめくソナーのなかで、ヴェテランの意地を見せるようなライヴだった。
 その点、ラストのアフリカ・ハイテックはもっと粗野で横断的だ。その日二度目の登場のマーク・プリチャードは自在にビートをコントロールする――ヒップホップ、ドラムンベース、ダンスホール、ダブステップ、アフロ・ビート、それらのミックスと野太いベース音。そのハイブリッドな音はデタラメではなくて、プリチャードの長いキャリアで培われた審美眼によるものなのだろう。ビートは雑多でも、ダンスの機能性はまったく損なわれていない。スティーヴ・スペイセックはそこに時折歌を乗せ、自ら踊りながらオーディエンスを乗せる。僕もまんまと乗せられて、ひたすら足を止めることなく踊り続ける。ああ、明日絶対寝坊するな......マーク・プリチャード意外とかわいいな......とか朦朧とした頭で考えているうちに、あっという間に朝になっていた。

 2日目。野田ボスの「寝てた?」という電話で目が覚めて、「寝てました!」と元気良く答えたら苦笑されたのにもめげず、再び新木場へ。めげない友人O(1日目はほとんど寝ていたらしい)も行きたいと言うので連れて行く。野田さんはそのとき夢中のものの話しかしないから、今回はグルーパーの話をひたすらするんだろうなあ......と思いながら合流する。とても上機嫌そうだ。「いやあ木津くん、昨日のグルーパーは素晴らしかったよ」......。

 それはともかく、ボスにつられてすでに数杯目の酒を飲みながらラスティを観る。これがまた、声を上げて笑ってしまうぐらい面白かった。横にいた野田さんが「頭いいのかバカなのかわかんないね」と言うように......いややっぱり、ちょっと「バカ」寄りなんじゃないかと思えるほどに、無闇に壮大で突拍子のないドラマティック・シンセ・サウンドが展開される。無駄にトランシーな上モノはレイヴ感覚を茶化しているようにしか聞こえず、しかし一周して大真面目なんじゃないかと錯覚してしまいそうにもなる。そこにはガキの衒いのないギャグがあり、同時にシニカルな風刺があり、しかしそれらはやたらに強い音圧でもって「もう何でもいいや」という気分に取って代わられる。ダブステップ以降のビートを使って、こんなに無責任な跳躍を見せたのはラスティがいちばんではないか。とにかくエネルギッシュ、ファンキー、エクストリーム。こんなに笑えるダンス・ミュージックはいま、なかなか見当たらない。
 その後のマウント・キンビーは一転、思慮深い演奏でポスト・ダブステップのもっともメランコリックな場所へとガイドする。曲の断片が現れては消え、思った以上に複雑な音のレイヤーの絡み合いで聞かせる。まだライヴに慣れていないのか頼りない部分もあったが、エコーの響きの余韻に浸らせながらじっくりと自分たちの音に引き込んでいった。"カーボネイティッド"や"メイヤー"といった代表曲では冷たさのなかに熱がじわりと溶け出す瞬間のスリルが見られたので、もっと1曲1曲をじっくり広げるライヴも観てみたいと感じた。
 ヴィンセント・ギャロの姿を一瞬確認しつつも、SonarDomeへ。ハドソン・モホークもまたテントをいっぱいにして、不利な音条件のなか頑張っていた。とくに先のEPのトラックがひときわ光っていて、インタヴューでは本人にはやんわり否定されてしまったが、やはりレイヴィーな眩しさがそこでは反射していた。連発するカットアップには脈絡がなく痛快極まりないが、ラスティを観た後だときちんと考え抜かれているようにも聞こえるから不思議だ。とは言えグラスゴーのこのエネルギーがいま手をつけられないのは間違いなく、次の動きのひとつは間違いなくここから続くだろうと思わされる。終盤、ここぞというときにR&B調のブレイクビーツ"オーヴァーナイト"が投下され、オーディエンスを激しく縦に揺らしていた。プレステでひたすら作曲を続けていたような少年たちが、フロアを沸かせる時代がまさにいま訪れている。
 
 バスの時間があったため僕は途中までしか観られなかったが、ザ・シネマティック・オーケストラは最後にたっぷりとアーティスティックな時間を用意していた。ヨーロッパの古典映画などからの引用を編集で処理した白黒映像と、ストリングスを加えた叙情的なアンサンブル。ジャズとエレクトロニカを交えたオーケストラは、美しい映像に緩やかにシンクロしながらまさにシネマティックな物語を奏でていた。

 たしかにメンツが豪華だったSonarSoundだが、結局のところ僕が味わいたかったのはダンス・ミュージックの胎動し続ける力そのものだった。そしてそれはその2日間、まったく遠慮することなく放たれていたのだった。すっかりエネルギーを使い果たした僕は、バスで気絶しながら大阪に帰った。
 
 
木津的best 3
グローバル・コミュニケーション
ハドソン・モホーク
アフリカ・ハイテック

木津的worst 3
2日目のスタート時間の早さ
SonarDomeの音量
友人の金を盗んだ輩

野田的best 3
ラスティ(情報量の多さにびっくり)
マウント・キンビー(思ったよりも良かった)
ハドソン・モホーク(メインで聴きたかった)

野田的worst 3
ビールの値段(酒飲めないわ)
SonarDomeの音質(メンツが良いだけに......)
ヴィンセント・ギャロ(可もなく不可もなし)

Bear in heaven、Blouse、Doldrums @ Bowey ballroom may.8.2012

 最近のショーを見に行って感じるのがノスタルジック=懐かしさ。「音楽はもう最近見に行ってないんだ」と言っている30代後半の人でさえ、懐かしいバンドがプレイするとなれば、そこそこするチケットを買って、足を延ばして見に行く。
 1ヶ月ほど前に、『チックファクタ』というインディポップ・マガジンが20周年を迎え、当時活動していたバンドがこの日のためにリユニオンした。ブラック・タンバリン、アイラーズ・セット、スモール・ファクトリー、ジム・ルイーズ・グループ、ヴァーサス、スティーヴィー・ジャクソン(ベル・アンド・セバスチャン)、ソフティーズなど、好きな人にはたまらないラインナップである。パフォーマーも観客もほとんどが30~40歳代真っ只なか。仕事に疲れ、家庭にも疲れ(?)ている世代。でも、この瞬間はみんなとても活き活きする。笑顔がずーっと絶えない。
 そういえば、小沢健二も最近(3~4月)に復活コンサートを行った。かなりの競争率のチケット争奪戦を勝ち抜き、幸運にもチケットを手に入れた人は、さまざまな思いを胸に、それぞれの青春を取り戻していた。この話を知り合いにしたら、自分も最近クラフトワークが8日連続で毎日違うアルバムを演奏する(しかもミュージアムで)ライヴに、かなりの競争率のチケット争奪戦の末に行くことができたと、語っていた。入場者には3Dメガネが配られ、たくさんのファンと一緒にノスタルジッーをシェアしたと、キラキラした目で興奮しながら話してくれたのである。

 何だ! この、揃いも揃って昔を懐かしむ感は? いつも忙しいと言っている人でさえ、チケットの値段や日程も限定されているのに、時間を作ってこのために出かける。当時を経験している人たちだけの楽しみかと思えば、クラフトワークの彼は、オンタイムで経験していないが、このチケット取るのに最高級の力を注いだという。「懐かしさ」は人を動かすアドレナリンなのか?

 次から次へとバンドがクロスするニューヨークではいろんなショーが毎日やっていて、何を見に行くのかは自分にかかっている。私は自分の興味のあるライヴ、友だちが教えてくれて、自分も興味がありそうなライヴ、まったく調味はないが友だちが行くというのでついていくライヴ、いろいろあるが基本的に音楽が好きなので、どこに行ってもある程度楽しめるし、それぞれいろんな感想もある。最近のワッシュド・アウト、ヒア・ウィ・ゴー・マジックのショーの熱も冷めやらぬまま、今回はこの3組のショーに行った。ベア・イン・ヘヴン、ブラウス、ドルドラムス! まさにいまどきのメンツだ。


Bear in Heaven
Photo by Dan Catucci


Blouse


Doldrums
Photo by Amanda hatfield

 ベア・イン・ヘヴンは〈デッド・オーシャンズ〉という〈ジャグア・ジャグア〉傘下のレーベルと契約し、精力的ににツアーしている真っ最中。何だかんだと最近名前はよく耳にしていて、機会があれば見に行こうと思っていた。
 彼らを最初に見たのは5年ぐらい前のこと。プレフューズ73とツアーをしていた友だちから「友だちのバンドがガラパゴス(ノース6通りにあったアートギャラリー)でやるから見においで、ビア・イン・ヘヴンだよ」と言われた。ビア・イン・ヘブン? 天国にビール? ビール飲み放題? バンド名だとも知らず(しかも聞き間違ってる)、勝手に勘違いして行くと、ベア・イン・ヘヴン。天国にいるクマか? ビールじゃなかったのって。そのときはきちんとしたバンド体制で(たしか5人ぐらいメンバーがいた)、キーボードの印象が強いバンドだなと思っていた。

 さて、話を戻そう。オープニングのふたつのバンドは、この会場を上手にウォームアップした。どちらもうしろのプロジェクションを使い、うまい感じにこのノスタルジック感を演出していた。

 ドルドラムスはカナダ、トロント出身の3ピース。見た目はいかにもオール・セインツのモデルになりそうな、カーリーヘアのユニセックスな男の子。女の子のような、エンジェリックなヴォーカルはエキゾチックでトロピカル。かなりハイトーンなのに絶叫系。フロント2台のキーボードをくるくる変えながら横にあるドラムパッドを叩く。後ろにはフーディを深くかぶったドラマーがビートをキープし、バンドをまとめている。打楽器音が多いから音がトロピカルに聴こえたのか、いちばん面白かった。

 次に登場のブラウス(Blouse)は、ポートランド出身の80年代ノスタルジック・ポップ・バンド。ローキーな女の子のヴォーカルは、アイラーズ・セットとゾーイ・デシャネルを足して2で割ったような、コクトー・ツィンが現れた感じ。ダークでゴス、チルでセンチメンタル、そしてギターのディストーションがシューゲイザーしている。うしろに流される七色のプロジェクションが何ともアーティーで哀愁を誘う。これも一種チルウェイヴか?

 トリはベア・イン・ヘヴン。3人編成で、うしろにはピンクとブルーの蛍光レーザーライト&スモークマシンが何の遠慮もなく、がんがん施される。ジョンは主に歌とシンセ、そしてダンスと盛り上げ役だ。アダムはクールにギター、ドラマーのジョーはマイアミ・ヴァイス・スタイルのフィルをマシンガンのように叩き続ける。
 ちなみに、ドラマーのジョーは私の近所のバーのバーテンでもある。目つきが鋭いブレードランナーのような体力の持ち主で、ドリンクを作るのも早い。
 
 ベア・イン・ヘヴンの印象は、ノスタルジックでドラマチック。蛍光ライトにワッシュド・アウトを思い出し、究極に歌にのめり込んでいく姿は80年代の映画の世界......あるいは"ダンシング・クイーン"、『サタディ・ナイト・フィーヴァー』の世界(?)。見ている方がはらはらして体力を使い果たして、最後に抜け殻のようになってしまった。まわりを見ると楽しんでいる人と消耗している人両方いる。
 このバンドが、ブルックリンでどの位置にいるのかを説明するのは難しい。『ローリング・ストーン』にレビヴューが載っていたり、NPRにもフィーチャーされているので、少なくてもアンダーグラウンドではない。かといってデス・キャブ・フォー・キューティ、シンズなどのメジャーに近いインディというわけでもない。オーディエンスの層もミックスで、音楽マニアというよりは大衆音楽、ある程度の懐かしさを期待する、まったく新しい何かを求めているというよりは自分が安全で快適な音楽に浸りたい、オーヴァーグラウンドとアンダーグラウンドのすれすれの観客。今日の観客と次どこのショーですれ違うかは、興味のある所でもある。少なくとも、『ショーペーパー』は読んでいないかな......。

https://www.brooklynvegan.com/archives/2012/05/bear_in_heaven_12.html

YO.AN (HOLE AND HOLLAND / YOKOYOKO) - ele-king

たしかに 10


1
NIAMA MAKALOU ET AFRICAN SOUL BAND - KOGNOKOURA Daphni's Part 2 Edit - Sofrito Super Singles

2
YAKAZA ENSEMBLE - YAKAZA ENSEMBLE meets SYUNOVEN EP(J.A.K.A.M. RMX) - CROSSPOINT

3
RUMPLESTILTSKIN - RUMPLESTILTSKIN(YO.AN EDIT) - Unreleased

4
FUSHIMING - ALL SET TO GO(Fresh remix) - Hole and Holland Recordings

5
C90 - Everyday Edit - Soundbox Dynamic

6
Lee Van Dowski - 1977 - REKIDS

7
Lindstrom - Quiet Place To Live (Extended Disco Version) - Smalltown Supersound

8
Andreas Reihse - Romantic Comedy - M=Minimal

9
ATOM TM - WEIBES RAUSCHEN - RASTER-NOTON

10
CAPABLANCA & T. KEELER - No Hay Ritmo - Gomma

Mark McGuire - ele-king

 ステージに登場すると、マイクを持って「クリーヴランドから来たマーク・マッガイアと言います」とまずは自己紹介、プロモーターやレーベルへの謝礼、それからオーディエンスに向かって「楽しんでいってください」と言い終えると、よっこらしょとギターを肩にかけて、そしてショーがはじまった。なんだか礼儀正しい人だった。

 ライヴは、ダンス・ミュージックだった。ドラムがないのに......将来音楽からドラムはなくなるだろうと空想したのはアーサー・ラッセルだった。ディスコ・ダンス・ミュージックに情熱を燃やしながら、同時にドラムのない音楽こそが刺激的に思える時代がいつか来ると、彼は予言している。
 音楽によって、ビートは人の内部からスポンティニアスに生まれる、マーク・マッガイアがやったのはそれだった。人びとのざわめきからはじまり、マッガイアはループを重ねてうねりを創出する。いくつもの反復がシンコペーションしているので、リズムが生まる。そうしてでき上がった音の波のうねりの上をマッガイアは滑るようにギターを弾いている。
 ギターを肩からぶらせげて、彼自身も身体をリズミックに動かしながら演奏する。けっこう、ノリノリだ。アンビエント......というイメージからは遠く、良い意味で期待を裏切るようなマッガイアのリズミックな演奏に、オーディエンスの身体はじょじょに反応していく。時折歪ませ、激しさを見せながら、しっかりと起伏のある曲を展開する。曲の途中でベース・ギターに持ち替えて、ベースのループも加え、ふたたびギターを重ねるという芸まで披露した。瞬間的だが、彼はロバート・フリップやデイヴ・ギルモアといった領域にも接近したが、幸いなことにそれがミニマリズムから脱線することはなかった。
 気がつけば、彼は適度に埋まったユニットのフロア全体を桃源郷へと連れていっている。どこまでも連れて行く。気がつくと、もう1時間も経っている。
 そして、まだ20代半ばをまわったばかりの青年は、桃源郷からこの現実への着地までも、しっかりと、焦ることなく、ゆっくりとやった。これがマッガイアのライヴかと、我にかえったオーディエンスは、あらためて驚嘆を感じながら拍手した。アンコールがあった。1時間半ほどの演奏は終わった。終わって帰ろうかと思ったら、松村正人が入ってきた。

 マーク・マッガイアの前に演奏した青葉市子も素晴らしかった。彼女の静かな演奏においては、カウンターバーのあたりのお喋りがライヴ中に延々とステージ前方にまで聞こえていたので、いっしょに来た友人は少々不満を感じているようだったが、そこはまあ、ジョン・ケイジではないが、そうした周囲の雑音もまた音楽(ライヴ)のいち部ということで受け入れよう。日本のライヴでは、なかば信仰めいた感じで、客個人→ステージという図式が絶対化しているけれど、本来なら客同士の相互関係も同様にあってしかるべきだし(サッカーの試合ではある)、公共の場における猥雑さは全否定すべきではない。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのライヴ盤など、客のお喋りがその音楽のいち部になっている。
 その晩は、彼女は、ジョン・フェイヒィを彷彿させるテクニックもさることながら、ほとんど喋りなしで、長めの曲を4曲演奏した。それら楽曲は後方のお喋りがステージまで聞こえるほど静かだが、しかし気迫のこもった演奏だった。いちばん可哀想なのは、その目に前に素晴らしい音楽があるというのに、その晩の青葉市子の演奏を聴き逃している喋っていた連中だった。

 先日のグルーパーのライヴは、可能な限り音量を下げることで(空調のノイズよりも低い音量で)、その場の耳すべてを惹きつけた。マーク・マッガイアはスティーヴ・ライヒとインディ・ロックの溝を埋めるかのようなダイナミックな演奏をした。USアンダーグラウンドの新世代では確実に変化が起きている。その正体がこの日本で明かされた数週間だった。多くの若いリスナー、そして未来に関心のある多くのリスナーが集まった。我々は、いま、確実に、音楽の新しい場面に立ち会っている。

 というか、マーク・マッガイアの追加公演決まりました! 今週日曜日(5/20)、場所は新宿SOUPです!!!!! 行けなかった人はこれを見逃さないように! (DJもやるようですよ)
https://ochiaisoup.tumblr.com/#22780951997


 ※ちなみに、まったくの蛇足ながら、メタモルフォーゼのG2Gのライヴもさすがだった。あれはむしろ、ドラムがないことが考えられない音楽だった。

DJ Doppelgenger - ele-king

 「高校生の時に初めて会ったけど当時からめちゃくちゃコスリが上手くて埼玉ではかなり名の知れたDJだったなー。俺らがサンプラー叩いてライブやってた時はスクラッチで参加してもらってたし、JAR-BEATのコンピやキリコのハクレンでもコスってもらった。破天荒な奴で......」と書かれているフラグメントのKussyのブログを発見。DJドッペルゲンガーは、15歳のときに見た「さんぴんキャンプ」を契機に、日本のヒップホップを好きになって、DJになっている。20歳になってからはバックパックを背負って世界旅行。そして、4~5年前、ゴス・トラッドを通じてダブステップを知って、すっかりベース・ミュージックに魅せられてしまったようだ。先月、彼はデビュー・アルバム『パラダイム・シフト』を自主制作でリリースしたばかり。
 さて、DJクラッシュ~ゴス・トラッドという流れのなかで登場したDJが、いったいどんな音を作るのかは興味深い話である。それは90年代から2010年代へと繋がるホットラインとも言える。もっとも、DJクラッシュの全盛期とはくらべものにならないくらい時代はハードだが、DJドッペルゲンガーのアルバムには、彼なりの時代との向き合い方が刻まれている。真面目な、良いアルバムである。

 ダブステップへと向かった理由が、その音の強度、破壊力だったと言うだけあって、ダイナミックな音が展開されている。と同時に、ベッドルームで作ったというよりも旅して作ったという感覚がリズミックな音に出ている。ダブステップ......とは言うものの、ビートはポリリズミックで、メロディからは東南アジア、ときにはカリブ海も感じるが、ある種の無国籍なフィーリングが全体を貫いている。そうした漂泊している感覚は、このアルバムの魅力となっている。
 まあ、破壊力......とはいえ、全体的に荒々しく、ハードなわけではなく、繊細な曲もちらほらある。"bashon island"を聴いているとアシッド・ハウスを聴きながらミクロネシアの島々の上をボートで走っているような気分になる。"core"のようなアンビエントにも可能性を感じるが、他方では、1曲目の"in the world"なんかはゴス・トラッドへのオマージュかとも思えるほど似たものを感じる。

 DJドッペルゲンガーは、大宮を拠点に日本全国を横断している。「自分がダブステップDJをやりはじめて4年ぐらいなんですけど、それだけでも全然変わってきてますよ」と、彼はここ数年の日本のシーンについてこう語る。「その当時、ダブステップのパーティなんて〈Drum&Bass Sessions〉か〈Back to chill〉ぐらいしかなかったですし、DJも全然少なかった。いまでは小さい規模でもダブステップのパーティが各地で出あるし、リスナーも増えてますし、シーンは確実に認知されてきていると思います。地方もどんどん盛り上がってきてますし、地方でも自分で曲を作ってそれを中心にDJ、パーティしているカッコいいクルーが出てきたりで、これから先もっと面白いシーンができてくると思います」
 地元の大宮では彼は、2年以上、〈MAMMOTH DUB(マンモスダブ)〉という名のパーティを継続中。「東京から電車で30分、近いですけど東京とは全然違うんですよ」と、彼は地元の魅力について言う。「良い意味で地方的っていうか、パーティを楽しもうっていう特別意識と、地元ならではの結束がリンクして、それが良いグルーヴを作るんですよね。制約やルールもないからいいですね。勝手にTシャツ作ってきたり、ステッカー作ったり、デコ作ったり、ブログ作ったり、みんなが参加しながら楽しくひとつのパーティを作っていくってスタイルが......」
 以下、彼の6月までのスケジュール。お、6/9は〈ラジシャン〉だね!
 
 5月19日(土) MAFALi cafe (沖縄)
 5月25日(金) The Dark Room (福岡)
 5月26日(土) Cheerz (小倉)
 5月27日(日) 2110 (熊本)
 6月2日(土)  JUNGAL(富山)
 6月9日(土)  Rajishan(静岡)
 6月15日(金) JIGSOW(熊谷)
 6月30日(土) 444 quad(大宮)

satol (cold dark / madberlin) - ele-king

cold dark : https://www.colddark.info/
madberlin : https://madberlin.com/
soundcloud : https://soundcloud.com/colddarkmadberlin
beatport : https://www.beatport.com/artist/satol/140790

be dead gone


1
Nujabes - Blessing It - Hydeout Production & Tribe

2
Uyama Hiroto - Stratus - Hydeout Production & Tribe

3
Dj Krush - Kemuri - Mo Wax

4
The Blue Herb - 時代は変わる - THA BLUE HERB RECORDINGS

5
Goth Trad - Sublimation - Deep Medi Musik

6
FaltyDL - Regret - Hotflush Recordings

7
Satol - Biocritical - Cold Dark

8
Satol - Impressionable - Cold Dark

9
Satol - You Know Where - Cold Dark

10
Satol - Isla De Pascua - Cold Dark

YAMADAtheGIANT (STTH / Mesopelagic) - ele-king

Chart


1
Sai - Flash Back - Pan Records

2
Warren Suicide - Moving Close (Apparat Remix) - Shitkatapult

3
Private Taste - First - Automatic

4
Hartmut Kiss - Water Games (Eelke Klejin Remix) - Definition

5
Dapayk & Padberg - Fluffy Cloud - Stil Vor Talent

6
Kresy - Lords of Percussion - HVN011

7
Jerome Moussion - Artman - Resyonator

8
ITSNOTOVER - Late at Night - Itsnotover

9
Roland Klinkenberg - Down South - Dieb Audio

10
Fumikazu kobayashi - Drink Psychedelic Session - Groove Life Records

Jesse Ruins, Mop Of Head, Teeth - ele-king

 4月27日、この日は久しぶりのオールナイトのイヴェントにそなえ、夕方に起床。野田さんとの打ち合わせを終えた後、急いでタワーレコード新宿店に向かい、タワーレコード新宿で行われた、平賀さち枝さんの公開レコーディングに参加。最後までいたかったのだが、時間が来たので再度渋谷に移動。小雨が降るなか、渋谷から代々木公園に向かい、突き当たりの通りを右に曲がったところに本日のお目当ての会場、〈UNDER DEER LOUNGE〉はティースのメンバーが意気揚々と談笑をしていて、主催者やイヴェント・スタッフが忙しなく事前の打ち合わせをしいるのが見えた。200人くらいは入るであろう会場の内装はとてもお洒落で、会場スタッフの多田さんにお話を伺ったところ、普段はジャズやファンク、R&Bなどのアーティストをブッキングしているとのこと。「でもジャンルに縛られないで、気軽にいろんな方が来れる空間になればと思ってます」と多田さんは語る。本日は「STYLE BAND TOKYO」と「TOKYO INDIE」というふたつのイベヴェントが合同で企画したもので、アーティストやDJを見る限り、ダンス系のアクトが多いため、これは面白い空間になりそうだなあと期待が膨らむ。少しくつろいでいるとティースのメンバーが僕のところにやって来たので挨拶をして、いくつか気になっていた質問をしてみた。


さっそくですが、日本に来るのは初めてですか?

TEETH:うん、ずっと来たかったから私たち自身すごくエキサイトしてるよ。

すでに大阪や名古屋をツアーしてきて、本日が東京ですが、日本のシーンにはどういう印象を持ちましたか?

TEETH:私たちみんなジェシー・ルインズが大好きなんだよね。あと大阪のHappyってバンドも良かったし、あと、あの名前が凄く長い......えーっと......

Psysalia Psysalis Psycheですか?

TEETH:そう! Psysalia Psysalis Psyche! 彼らも良いよね! 私がすごく思ったのはイギリスのインディから影響を受けてるイメージがあって、ジョイ・ディヴィジョンとかザ・リバティーンズとか、音楽だけじゃなくって、ファッションからも影響を受けてる印象があるかな。

STYLE BAND TOKYOやTOKYO INDIEはこれまでいろんなアーティストを海外から招聘してるんですが、こういうイヴェントについてはどう思いますか?

TEETH:面白いと思うよ、東京は本当にエネルギッシュだし、今回はバンドにとっても良いチャンスや経験になると思うね。

Bichesのブレイクが「いまのイギリスのシーンには何もない」とSXSWで僕と話している時に言っていたのですが、TEETHの方々は現在のイギリスのシーンについてはどう考えていますか?

TEETH:実は私たちも去年アメリカに拠点を移したんだよね。私たちの場合はそこまでネガティヴなものじゃないんだけど、実際イギリスのバンドがアメリカや他の国に移るケースは増えていて、元々いた場所に属さなくなってきてはいると思う。

それは単純にアメリカのシーンや、他の場所に新しい価値を見いだしているからなんでしょうか?

TEETH:イギリスのシーンというよりか、問題はレーベルにあると私は思っていて、イギリスのレーヴベルってインディ、インディ、しすぎてるっていうか、難しいんだけど、アメリカのレーベはイギリスまで縛られていないし、シーン自体も解放的なのは否めないかな。

でも細かい部分にフォーカスすればたくさん良いバンドやアーティストもいますよね。

TEETH:それは間違いなくそうで、それがひとつのシーンとしてうまくまとまれなくて、いまは難しい状況が続いてるんじゃないかな。

TEETHの方々が現在共感できるバンドとやアーティストはいますか?

TEETH:(僕のメモ帳を奪って必死に書き出す) Gross Magic 、Astrid Monroe 、Unicorn Kid 、Curtis Vodka 、Bottoms 、Extreme Animals
 ......あたりかな。イギリスだったら以前一緒にやったFactory Floorとか最高だね。ユウキはBo Ningenとも知り合いなんでしょう? 私はギターのコウヘイと仲が良いし、彼らも好きだよ!

最後にTEETHのバンド名の由来を教えて貰っていいですか?

TEETH:ノーリーズンだよ(笑)

ありがとうございます、ライヴ楽しみにしてます!


 会場の準備も整いはじめ、オープンの時間になり、お客さんも入ってきた。夜中の1時少し前、いちばん最初のアクト、ジェシー・ルインズが登場する。演奏がはじめる前、ジェシー・ルインズのメンバーも認めていたが、正直な感想を言うと、演奏を含め、ライヴ・パフォーマンス自体にはまだ未完な部分がたくさん垣間見れたライヴだったように思える。それでもメロディーセンスは間違いなくたしかなもので、エフェクトを抑えたヴォーカルも効果的で、かつシンセサイザーの音のなかに顔を覗かせる甘いヴォーカルが素敵だ。
 サウンド自体もどこかノスタルジーを感じさせるラインが至るところに散りばめられ、ドリーミーでかつロマンスに溢れている。会場も息を飲んで彼らを見つめる様子がとても印象的だった。ジェシー・ルインズはアメリカで僕が現地のリスナーに質問されたり、いろんなところで注目されているのも事実で、今後いろんな方法をライヴで試して、形にしていって欲しいと強く思った。

 ジェシー・ルインズが終わり、転換DJが会場を盛り上げるなか、次に登場したのは2年連続でFUJI ROCK出演を決めたモップ・オブ・ヘッド。小刻みにグルーヴを創出するギターとドラムが会場に鳴り響き、それに加わるようにシンセサイザーの重いビートが押寄せる。展開の速い演奏に僕はすっかり踊らされ、とても興奮した。会場全体も熱気に包まれていく。
 バンドの基盤にはダブステップやドラムンベースをからの影響もうかがえるが、ロックやポップなどいろんな角度からのアプローチも面白い。サウンドだけでなく、ブラーの「Song 2」のギターのリフを曲の途中に入れたり、遊び心のある。とにかく、彼らのエネルギッシュなパフォーマンスには好感が持てた。
 というわけで、この日のベスト・アクトはモップ・オブ・ヘッド。彼らの言葉によれば「人間が限界の状況で奏でるループが生み出す歪み、そこから生まれる快感」を追求すべく、ライヴではPCに頼らない演奏をする。今後が楽しみなアーティストだ。

 本日のトリ、ティースが会場に現れる。モップ・オブ・ヘッドの上をいく爆音ビート。そしてエフェクトをかけまくったヴェロニカの攻撃的なヴォーカルが炸裂し、ストロボが会場をより一層刺激的な風景に変貌させる。メンバーの衣装もタイツやチャイナドレスなど奇抜で、どこかスライ・ベルズを彷彿とさせた。
 インタヴュー後に彼らのパフォーマンスについて触れたとき、ヴォーカルのヴェロニカは「どんな会場でも楽しいステージになればそれでいい」と言っていたのを思い出した。ライヴ終盤、オーディエンスをたくさんステージに上げて楽しそうに歌う彼女を見て何か僕まで嬉しくなった。

 今回のような、人気のある〈もしもしレコーズ〉からのバンドと日本のバンドとの共演は、海外のインディ好きな子たちと日本のオルタナティヴなシーンとが出会う場所になる。未来を感じる素晴らしい企画だと思うので、「STYLE BAND TOKYO」や「TOKYO INDIE」にはこれからもどんどんやって欲しい。
 この日のオーディエンスは若い層が大半を占めていた。外国人も目立っているなか、最終的にみんなで盛上がった。その様子がとても微笑ましかった。すべての演奏が終わり、落ち着きを取り戻す会場で、僕は、Craft SpellsやBeach Fossilsなどが出演していたSXSWでの一夜を思い出していた。その日の渋谷でのライヴは、僕をあの広大な場所に連れ戻し、不完全のまま終わってしまったあのときを埋めてくれた。それぐらい興奮した夜だった。

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