大阪とベルリンの往復生活がはじまって早12年、僕にとってベルリンと大阪の距離感は確実に縮まってきている。今年3 月におこなったUKミニマル電子音楽ユニット、SNDと僕の別名義、NHKとの日本7箇所ツアーが終わり、4月にベ ルリンに帰ってきた。
ここ数ヶ月はライヴとツアーの合間、時間のあるときに時間を気にしながらベルリンのレーベル〈PAN〉への「Dance Classics」12インチ・シリーズ、ロンドンの〈Mute〉レコードが新しくはじめたレーベル〈Liberation Technologies〉のためのデモ制作、自分の描いているペン絵の画集が出るので、そのレイアウトのチェック等、もろもろのリリースの準備に追われ続けている。
そんななか、2年前、マンチェスターの〈SKAM〉レコードからアルバムを出したとき、レヴューを書いてくれたのをきっかけに連絡を取るようになった野田努さんから、「今年こそなんか書いてよ!」とメールが来たので嬉しくなって、気分転換にもなるのだろうし、何か書いてみようと思い立ち書いてみる。「こそ」っていうのが嬉しかった、突然の話だったので(の筈)。
何を書こうか考えた結果、ヨーロッパ、ベルリンでのこと、国内外ツアーのこと、知り合いの作家たちのこと、聴いている音楽のこと、大阪で仲良くして貰っている音楽家で写真家のアオキ・タカマサさんとの散歩記録、シルクスクリーンのT-シャツ制作(https://t-shirts-records.com/)について等々を、日本の仲間との短歌を時折挟みながら書いていきたなーと思っていて、今回は今年の3月頃~現在7月初頭にかけてのことをサササ~と書いてみます(サササ~とか言いつつ、書いた文章を野田さんに読でもらい、もうちょっと自分のプラスになるような文章を書きなよーと言われ、固有名詞を増やしたりして何度か書き直したのだが、プラスになったのかは不明)。
■テクノ散歩1
4年ほど前、ベルリンのテーゲル空港で当時ベルリンに住んでいたアオキ君を見かけ僕が声を掛けたのがきっかけで僕らは仲良しになった。お互い〈raster-noton〉というレーベルからリリースしているし、名前は昔から知っていたけど、僕らはなかなか 会うことが無かったが、いまでは大阪にいるときはアオキくんと散歩をするのが恒例になっている。 (写真: アオキタカマサ)
大阪難波、御堂筋と千日前筋の交差点で待ち合わせ、共通お気に入り饂飩店「今井」へ。僕はざるうどん、アオキ君は鴨うどんを食べる。最近アオキ君は木の香りに凝っているらしく、iPhoneカバーの檜の香りをやたら嗅がせてくるが、流石アオッキー。良い匂い。そして「今井」の饂飩はいつも美味しい。

散歩再開、御堂筋を北上、船場センター街を通り抜け、NHK大阪支社に行ってみる。
歩いている最中、ふたりではじめようとしているテクノ・ユニット、YKKDISCOの曲が思いつく。その曲構成とリズムを口ずさみつつ歩く、BPM123かな、たわいもないことを一向に話し続ける、そして毎回5~6時間歩き続けるのがこの散歩。それだけなのだけど、すごく楽しい。そしてNHK大阪に到着、なかに入ってみる。


これ、どうなんだろうか、、アオキ君は大喜びでシャッターを切りまくっている、終始興奮気味なので、焦るが面白い、それを見ていると僕も上ル。NHK大阪の横の難波の宮を通り抜け、玉造駅からJR環状線にのってアオキ君の家に行くことになった。アオキ君の家で、豪華な天ぷら料理を食べ終わりまた散歩再開、フラフラと心斎橋へ、心斎橋商店街をあるいていると「Zettai-Mu」の武くんが前から歩いてくる、「今日、鰻谷SUNSUI閉店イヴェントしているんで」ということでふたりでフラフラ行ってみる。



〈SUNSUI〉内は人だらけ、Solmaniaの克己さん、CorruptedのChewさん、DJ Tuttleさん、そして昔、一緒にMouという名前で音楽作っていたのDJクラナカ1945等々の顔見知りがいっぱい、久々の面々に嬉しくなる。そして、なんだか、良くわからない展開になってきたので、ちょっと気が抜けてきたが、イヴェントは大盛り上がり(現在〈SUNSUI〉の場所は〈Conpass〉という名前に変わり営業を続けている)。そのイヴェント会場を横目にアオキ君の御薦めのビル屋上へ......、人気のないビル、階段をひた上がり屋上。
んー......、なんか開放的だなー屋上ってのは......と、時間を気にすると、終電が間近、今日はこれで散歩終了。
■テクノ散歩2
4月に入りすごい良い気候、この時期日本にいることがあんまりないので吃驚し、またしてもアオキ君に電話、散歩することにした。アメリカ村の友だちがマスターをしているカフェ前で待ち合わせ、こんな日は散歩しないで何をする。
ということで、桜を求めてフラフラと散歩をスタート、桜、綺麗だな~っと、ブラブラ本町にある靭公園へ行ってみる、サラリーマンが花見の場所取りをしている。

桜を仰ぎ見つつお酒を飲む文化、桜が綺麗なので嬉しくて皆でその気持ちを分かち合おうとする心意気、なんなんだろうこの文化、突出している気がしてならない......
素晴らしい文化、日本。
アッパレ。
その後梅田まで歩き、アオキ君が好きなF1の模型を見に行った。
高精密なF1の模型は驚くほどクオリティが高い、それを見ている青木君が中学生のように見えた。
また、ふらふら歩き淀屋橋辺で喫茶店へ。

今日はここで終了。
[[SplitPage]]■センセーショナルとのヨーロッパ・ツアー
そんな日本を後に4月末~5月半ばに掛けて14都市を回ったヨーロッパツアーは、元ジャングル・ブラザーズでアンダーグラウンドヒップホップ界一の成り上がりラッパーことセン セーショナルと、EUで結婚して(おめでとう!)日本に帰国するのを怖がっているのでは? と僕が個人的に疑っているDjスコッチ・エッグ AKA Djスコッチ・ボネットことシゲル君と僕の3人でおこなわれた。
センセーショナルとヨーロッパでツアーするのは3度目。
彼との出会いは2002年におこなった日本ツアー以来の付き合いになる。僕らのファースト・アルバムはブルックリン/バルチモアを拠点するカレー料理の達人で、Hip Hopのバイブルとも評されるNEW BEATの著者でもあるスキッズ・フェルナンドことスペクター、ベーシストでプロデューサーのビル・ラズウェルにより設立されたレーベル、〈Wordsound〉からオウテカによるリミックスとともにリリースされた。セカンド・アルバムはボーズ・オブ・カナダやオウテカのホーム・レーベルとしてもしられるマンチェスターの〈SKAM〉レコードからリリースされた。
セカンド・アルバムに対し、オウテカのショーン・ブース氏がレコメン文を書いてくれたので紹介させて頂きます。
Sensational meets Koyxen

www.skam.co.uk
Fucking ill!/あるべき「率直さ」と「歪み」を備えたレコード。/自分はこれを、もっとも重要なアーティストによる/もっとも重要な仕事のひとつだと思っている。(オウテカ/ショーン・ブース)
恐縮!

ツアーフライヤー
朝、ノイケルン地区にあるシゲル宅でドライバーのチャビと3人で待ち合わせ、ケルンに向かう、平均時速180km。車でのツ アーの度に毎回、死を覚悟しなくてはならない。マジで焦る。死を意識していまを生きるは好きなので楽しいのだと思い込んでいたりしているうちに、難なくケルンに到着。センセーショナル対面。
彼と会うのは一昨年にNew YorkのIssue Projectでのライヴで会った振りだったが、相変らずな印象で取り合えず安心。
そして、ツアー初日のライヴはシュトックハウゼンも使っていたWDRのスタジオがあるケルン、ヘンリ・ショパン追悼番組があったさいに仕事をさせて頂いたWDR(国営)のラジオ番組はコンテンポラリーな音楽を放送する番組等もあるのが素晴らしい......と、ライヴはサクッとこなした。
ライヴは14日とも盛況で全て大盛り上がりだった。流石センセーショナルww
2日目はハンブルグ。大物IDMアーティストもプレイすることで有名な老舗クラブ〈Golden Pudel〉でのライヴ。昨年NHK名義でもライヴさせて貰ったのだが、高音が上手く抑えられていて且つ音が硬くセンターもしっかり取れているのでライヴしやすい。ドイツ特有のインダストリアルなパンク・カルチャーをモロに体現している感じのここのオーナーのラルフの髪型がお洒落すぎて関心する。この日は音楽仲間のFelix Kubinも来てくれていて嬉しかった。

ここのフライヤーはいつも素敵だなー
良い箱なので、お勧め。
3日目はデンマーク、コペンハーゲン。フェリーに車ごと乗って国境越え。

ライヴも盛り上がったけど、楽屋でみんなでしたセッションが素晴らしかった。


(この楽屋でのセッション音源を7月7日~8月11日まで東京G/Pギャラリーで行われる写真展"漂流"の音楽パートとして一部しようしました。興味のある方は是非!)
4日目はスイス、バーゼル。
朝にコペンハーゲンからフライト、スイスらしくスクワットでのライヴ。
ライヴは盛り上がったが、会場内にあったサンドバックをキックしたシゲルは老化のためか、脹脛の筋肉を切断。なんでやねん状態。
この日以降シゲル氏は松葉杖を使用しなくては歩けなくなった(ちなみに現在は回復)。超迷惑だったけどウケた......、ウケちゃ駄目なのはわかっているのだけど、なんか面白かった......。バーゼルのオーガナイザーは市内でレコード店「Plattfon Record」を運営しているミッヒさん。お勧め店。
2日間オフで、ライヴ5日目はフランクフルト。
SNDやAlva Noto、Oval、Alec Empair等を発掘し、90年代なかば~2000年初頭に掛けて音響派を牽引してきたばかりでなく、10代だった僕のファースト・アルバムまで出してくれたレーベル、〈ミル・プラトー〉。そのレーベルのスタッフでギリシャ人のライキさんがオーガナイズしてくれた。

フランクフルトは各国の銀行が集中しているためか他のドイツの街に比べて圧倒的にスーツ姿の人が多い。というか、ベルリンでスーツ姿の人を見かけるのは安易なことではなかったりもするのだが......。
会場はフランクフルトの若者カルチャー・センター的な場所だった。ツアーにも慣れて、さくっとライヴを終わらせる。
6日目はオランダ、ロッテルダム。
この街にはデ・スティルを代表する建物、カフェ・デ・ユニ(J.J.P. アウトの設計)がある。レム・コールハウスを筆頭に現代オランダ建築の立体感とその歪さが僕は好きだ。しょっちゅうお世話になっている会場のWORMはライヴ会場の他、レコードや本などを販売するお店でもあり、ミニシアターの施設まである。お勧め店。
7日目は鶏、猫、犬、ロバの音楽隊で有名なブレーメン。会場は船、MS Stubnitz。実はここも良くライヴさせて貰っているお気に入りの会場のひとつ。コペンハーゲン、ハンブルグ、ブレーメン、アムステルダムを主な拠点港としている。毎年ロンドンで開催されているBlocフェスティバルの会場にもなったりしている。

ここも良い音。お勧め、船だし。
8日目はパリ。 あー、パリパリパリ、パリッパリ。 パーリパリパリパリッパリ。パリは、やっぱいつ来てもいいなー、国際感溢れるパリの狭いメトロが大好き、道路とかは汚いけど......一緒に出演していた(C_c_)は仲良しのひとり、NHKの影響を受けていると言っているその曲は初期のゲオメトリコとムスリムガーゼを足したような感じで良い感じになってきたなーと、関心。
9日目はフランス・ナント。
ナントに来たのは、なんと初めて! 記憶少......焦......。

10日目はマルセイユ。
朝ナントからパリに車で戻ってマルセイユへフライト。 太陽との距離が縮まったかの錯覚を起こす南フランスのマルセイユも大好きな街のひとつ、古くからの港町で、やはり魚介類が美味しい。会場の〈L'embobineuse〉も良くライヴさせて貰っている箱。フランスで有名なシルクスクリーン・アーティスト、バキトさんがフライヤーを偶に手掛けたりしている。
11日目はベルギー・ブリュッセル。
ブリュッセルは第二のベルリンになるかもしれないんだと、主催者のHip Hopチーム、L.E.Gは言う。
んー......たしかに良い感じ、でも、歩んできた歴史が違うような気が。

つーか、ベルギー最近まで無政府状態だったのでは......。そのせいもあり、毎回ベルギーはゆるくて良い。
12日目はジャンヌダルクで有名なオルレアン。

会場、半野外だった。盛り上がった......。ライヴの動画があったので添付。
13日目はラ・ストラスブルグ・パーカッション・グループで個人的に有名なストラスブルグ、ドイツとの国境近くの街。初めて行った街だった。リハーサルに遅れ、サウンドチェックの最中から客がいた......しかもノリノリだった、会場は元々シアターだったという。
14日目、最終日はベルリン。地元だけに気合が入る。会場はフェストサール クロイツベルグ。昨年、大阪の国立国際美術館でちょっと仕事手伝わせてもらったアンリ・サラさんも見に来てくれた。
動画ではイマイチ盛り上がりの様子が伝わらないかも知れないが、盛り上がった。
そしてなんなくツアー終了。
[[SplitPage]]■その後、5月、6月のNHKソロ・ライヴ
NHK'Koyxen名義でのライヴをベルリンx2回、ダブリンx1回、ロンドンx1回、オランダのヘーレンx1回、チューリッヒx2回とやった。
このベルリンでのライヴ1回目とロンドンでのライヴは僕の作品リリースもしている〈PAN〉主催。このレーベルはデザインも面白いのでお勧め!
ダブリン・アイルランドに行ったのは今回が初めてだった。

イギリスによる植民地化を確認せざるを得ないランドスケープ。そして、みんな優しいという......。ライヴは大盛況。
チューリッヒとヘーレンはまたしてもDjスコッチ・ボネットも参加。チューリッヒの会場も仲良くして貰っている人たち。
Naparm Death、SxOxBとならんで評されるスイスのグラインドコア・バンド、Fear Of GodのDave Phillipsがライヴを見に来てくれた。オランダのヘーレンは田舎町、ギャラリーを運営している知人が時折招いてくれる。

この日は大きな自転車レース開かれていた、そんな日、僕とシゲルは鉄板焼きと寿司のバイキングという有り得ない組み合わせのレストランで食事した、もちろんシゲルは食いまくっていた。毎回焦っているのを彼は知っているのだろうか......。
最近のロンドンでのソロ・ライヴのショートカット。
ロンドン。 この日も汗だくだった。
今後は、9月にセンセーショナルとの日本ツアー企画中。
10月、11月はUKのスーパーソニック・フェスティヴァル(Small but hard showcase)、TUSKフェスティヴァル、オーストリアのエレベート・フェスティヴァル等に出演予定。 + ヨーロッパ ミニツアー。
12月はオーストリアの電子音響・コンテンポラリー・ミュージックのカリスマ、〈MEGO〉のHecker、そしてベルリンのDubplate&MasteringのRashad Beckerとの日本ツアーを企画中。
つづく......
KOYXEИ MATTSUNAGNEN : https://koyxen.blogspot.com





『アタック・ザ・ブロック』





























