「OTO」と一致するもの

Pray for Nujabes - ele-king

 去る2月26日。その日はちょうど10周忌だった。ロウファイ・ヒップホップから舐達麻まで、いまなお多大な影響を与え続けている不世出のトラックメイカー、故 Nujabes に捧げる映像作品「Pray for Nujabes」が、渋谷の大型ヴィジョンに映し出されたのである。彼の作風をなぞるかのようにセンティメンタルに仕上げられた同映像は、現在 YouTube でも公開中。

Nujabes10周忌に
渋谷・スクランブル交差点で追悼映像放映!

2020年2月26日19時30分、東京・渋谷のスクランブル交差点の大型ビジョン6面で、10周忌を迎えた今なお世界中で愛されてやまない日本を代表するトラックメイカー、Nujabes に捧ぐ映像作品「Pray for Nujabes」が音楽ストリーミングサービス Spotify の協力を得て、3分間にわたって同時放映されました。

心にしみるメロウ&スピリチュアルな Nujabes のビートが渋谷の街に響きわたり、突然の出来事に信号待ちの人々が、その音楽に身を委ねたり、スマートフォンをかざす姿も多く見られました。

また Spotify では同日、生前の Nujabes が師と仰いだ 橋本徹(SUBURBIA)の選曲による Nujabes 10周忌オフィシャル・プレイリスト「Pray for Nujabes」と、「This Is Nujabes」の2本のプレイリストも公開されました。

Nujabes の音楽は没後10年を経てなお、国内外の音楽ファンに愛されており、世界で2億4,800万人以上が利用する Spotify では、並みいる現役アーティストを抑えて2018年に「世界で最も再生された国内アーティスト」の第3位にランクされています。Nujabes のリスナーは、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、日本の順に多く、ブラジルやメキシコなどの中南米でも多く聴かれています。また10周忌に合わせ、Spotify から過去10年に最も聴かれた Nujabes の楽曲ランキングも発表されました。

[当日の模様]



[放映された映像]
「Pray for Nujabes」(Supported by Spotify)
映像URL:https://youtu.be/-_bx7O3cQD4
音楽:Nujabes「Luv (Sic.) Pt2」~「Luv (Sic.) Pt3」〜「Reflection Eternal」
映像制作:Hydeout Productions
映像協力:haruka nakamura「Lamp」
クリエイティブ・ディレクター:Toru Hashimoto (SUBURBIA)
プロデューサー:Daisuke Matsushita

[公開されたプレイリスト]
「Pray for Nujabes」 https://spoti.fi/PrayforNujabes
「This Is Nujabes」 https://spoti.fi/ThisIsNujabes

[過去10年にSpotifyで最も聴かれたNujabesの楽曲ランキング]
1. Akin, Cise Star, Nujabes - Feather (feat. Cise Starr & Akin from CYNE)
2. Nujabes, Shing02 - Luv(sic.) pt3 (feat. Shing02)
3. Cise Starr, Nujabes - Lady Brown (feat. Cise Starr from CYNE)
4. Nujabes - reflection eternal
5. Nujabes, Uyama Hiroto - Spiritual State (feat. Uyama Hiroto)

[Nujabesプロフィール]
今なお世界中で愛されてやまない日本を代表するトラックメイカー、音楽プロデューサーである瀬葉淳(1974 - 2010)のアーティスト名。〈Hydeout Productions〉を主宰して数多くの心にしみる人気作品を発表するとともに、コムデギャルソンのパリ・コレクションの音楽や渡辺信一郎監督のアニメ『サムライチャンプルー』のサウンドトラックなども手がけていた。2018年に Spotify が発表した「海外で最も再生された国内アーティスト」3位。名作の誉れ高い代表アルバム『Modal Soul』のアナログ盤も2月26日にリリースされたばかり。(公式サイト:www.hydeout.net

FaltyDL - ele-king

 USにおいていちはやくUK発祥のダブステップを導入したプロデューサーのフォルティDLことドリュー・ラストマン、さまざまなサウンドを折衷し、〈Ninja Tune〉や〈Planet Mu〉といった名だたるレーベルから作品をリリース、またみずからも〈Blueberry〉の主宰者として新しい才能(たとえばダシキラとか)を発掘してきた彼が、きたる3月7日、表参道の VENT でプレイを披露する。これは行かねば!


interview with OTO - ele-king

 江戸アケミの言葉に意味があるように、じゃがたらのサウンドにも意味がある。新作『虹色のファンファーレ』には新曲がふたつある。“みんなたちのファンファーレ”と“れいわナンのこっちゃい音頭”のことだが、これらの曲のリズムやフレーズは、なんとなくノリで生まれたのではない、確固たる理由があった。
 じゃがたらと言えば日本のアフロ・ファンク・バンドという、自動的にそんなタグ付けがされてしまいがちだが、正確に言えば「アフロ・ファンクもやっていた」であって、バンドの音楽性は雑多だった。江戸アケミが他界する直前には、クラブ・ミュージックの時代に接続したブレイクビーツ(「それそれ」)もやっているが、しかし死によってそれ以降の発展は絶たれたままになっていた。
 とはいえこの30年という月日のなかで、サウンド面のリーダーであるOTOは、たとえ熊本の農園で働くようになったとしてもサウンドを鳴らし続けている。その過程において、とくにサヨコオトナラの活動のなかで、OTOは中断していたサウンドの探求を再開させ、そこでの成果をJagatara2020に注入させてもいる。
 サウンドには意味があり、その意味は江戸アケミが書き残した言葉から来ている。
 以下、OTOが音の背後に広がる壮大なヴィジョンについて語ってくれた。

“みんなたちのファンファーレ”におけるバジャンの応用については、話せば長いです(笑)。曲のベースにしたのが、インドのバジャンでした。インドのバジャンは、ロマにも受け継がれて、アフリカ大陸の北部に入って……しかし、インドから仏教が伝来してきたチベット、中国、韓国、日本の経路ではバジャンがあんまり入ってきていない。

『虹色のファンファーレ』の制作背景についてお話を聞ければと思います。

OTO:ぼく自身4曲のものでフル・アルバムができそうだったらやろうかなという構想はあったんです。みんなと話をして、他のプロジェクトも自分の仕事もあったりで時間的に難しいねとなって、今回は2曲が精一杯だなと思いました。そのうちの1曲はインドのバジャン(Bhajan)のスタイルから来ています。

“みんなたちのファンファーレ”のことですね。

OTO:もうひとつはアケミが歌っていた、“へいせいナンのこっちゃい音頭”のアップデート版です。歌詞に「なんのこっちゃい」という部分がありますが、30年経ってさらに世界がひどい状況になっているので、いまこのタイミングで“ナンのこっちゃい音頭”をやりたいと思いました。また、2020年のいま“ナンのこっちゃい音頭”を演るにあたって、アケミとミチロウさんへのオマージュというところもあります。そこは音頭のリズムへぼくも興味があって、音頭には分断を超えるリズムがあるんじゃないかと思っているからです。ミチロウさんもそこに着目していたし、ぼくもそれを引き継ぎたいという気持ちがありました。
 “みんなたちのファンファーレ”におけるバジャンの応用については、話せば長いです(笑)。アケミが亡くなったあと30年生きてきたなかで、ぼくはスウェットロッジ(※ネイティヴ・アメリカンの儀式のための小屋)に入ったことがあったんですね。スウェットロッジにはだいたい10人前後入って、真ん中にチーフがいる。そのサークルのなかでいろんなことを話しました。チーフがクエスチョンを出してそれにみんなが答えていくということをやるんです。何巡目かするときに、「みんなが知っている祈りの歌を歌いませんか?」と言われるんですよね。何回か経験していくなかで、日本人は神ではなくても天に祈る歌をみんな知らない。苦肉の策で“上を向いて歩こう”とかそんな歌を歌ったり。天に祈る歌というものが、日本では現代においてあまり作られていないんだなということに気がついたんです。じゃがたらでまずそれを作りたいなという気持ちがすごくありました。

なるほど。

OTO:で、その曲のベースにしたのが、インドのバジャンでした。インドのバジャンは、ロマにも受け継がれて、だから地中海を回って、アフリカ大陸の北部に入って、その北部の最後あたりにマリの北側のトゥアレグ族という人たちのなかにもバジャンのひとつはあったんです。しかし、インドから仏教が伝来してきたチベット、中国、韓国、日本に来るような経路ではバジャンがあんまり入ってきていない。

バジャンは何年くらい?

OTO:バジャンはかなり古いと思います。3000年前じゃないですか。

中国にも伝わってないんですね?

OTO:中国に行っているかどうかはわからないんですが、たとえば、ウイグルのほうにあるかもしれない。アフガニスタンのほうにまで来ているかも。アフガニスタンはインドに近いからそっちの直流のかたちではあるけど。東南アジアのマレーシアとかカンボジアとかそのあたりを経由はしてきていないんですよね。そのあたりの経由はインドネシア。バリのほうにヒンズー教は行っているので、もしかしたらバリのほうのかたちにはバジャンは行っていると思うんです。

ロマのなかにバジャンがあるんですね?

OTO:ロマのなかにはバジャンがあります。

では、3000年前のワールド・ミュージックですね。

OTO:本当にそう。もしかしたら日本にバジャンが来たときは念仏踊りというかたちで入っているのかも。

“みんなたちのファンファーレ”を初めて聴いたとき、なんてピースフルな音楽だろうと思ったんです。すごく平和な響きですよね。その感覚の理由は、いまの話を聞いてだいぶわかってきましたが、ぼくはこの曲を聞いたとき、この平和な響きの根拠を自分なりに推測してみたんですね。まず、OTOさんがアケミさんと最後に作った“そらそれ”はOTOさんのなかでは満足いかなかった。アケミが離れてしまっている状態がそのまま曲に出ていると言ってましたよね。それと最後のアルバム『ごくつぶし』の最後の曲は“MUSIC MUSIC”ですが、あれはすごくあと味が悪い曲です(笑)。だからじゃがたらのは、なんかもやもやした感じを残して永久保存された。だからOTOさんは、じゃがたらという物語の最後にひとつの区切りをもういちど付ける必要があったんじゃないかと思ったんです。

OTO:過去のことはいま言われたとおり。あと味が悪い部分がぼく的にはあったし、“MUSIC MUSIC”をああいうかたちで『ごくつぶし』のなかに入れてもアケミだってそんなに爽快さがなかったと思うんです。

“れいわナンのこっちゃい音頭”も

OTO:今回の“れいわナンのこっちゃい音頭”は、じゃがたらが音頭を手掛けるとしたらというテーマがまずあった。で、アフリカのハチロクだったり、12/8という言い方をしたりするけど、そういうリズムと音頭との融合を考えたんです。それを考えたのは、音頭は音頭のノリとかスウィング感とかシャッフルリズムに固定されたものがあるんだけど、ぼくはその音頭のシャッフルというリズムにロックされた部分を外して、もっとリズムを自由に変化できるものにしたかった。そうしたら世界中の人が音頭にアクセスできるような入り口にもなるんじゃないかと思った。
 実はその形式に関しては、サヨコオトナラというグループで活動するなかで試みていました。そのバンドの2枚目のアルバム『トキソラ』の“アワ”は阿波踊りの“阿波”だし、日本の「国産み」がはじまったという謂われもある“阿波”、「あいうえお」の「あ」と、「わいうえを」の「わ」で“あわ”のはじめと終わりで陰陽も表したりする。その阿波のエネルギーを文字って、ジャンベの奈良大介さんがマリのヤンカディというリズムをミックスして、それをアフリカのジャンベ・チームとサヨコオトナラと阿波踊りの阿波チームとでミックスして、何年か前に四国の阿波踊りの現場でやったことがあるんです。そのときに良いリアクションがあって、このリズムはいけるなと思った。

OTOさんにとっては今回が初めてではなかったんですね。

OTO:アフリカのハチロクと日本の音頭をミックスすることは今回が初めてではないんです。ただ、今回のほうがよりアフリカ寄りのアレンジで、ホーンもいるので、メロディがもっと生かせる。じゃがたら的なブラスのメロディをミックスした曲にしたいというデザインは最初からあったんです。また、この曲を歌うのにふさわしいのは、TURTLE ISLANDの愛樹(ヨシキ)だろうということも迷わなかった。
 愛樹もじゃがたらのドラムのテイユウもハチロクのリズムがなかなか掴めなくて。シャッフルはできるけど、ハチロクのリズムができなかった。昔のぼくだったら何がなんでも練習してもらって、できるようになるまでやっていたけど、今回は時間の制限もあるし、みんなできる範囲の技術で、できる部分だけやろうとフレーズを簡素化したり、愛樹には愛樹の歌えるリズムで歌ってもらった。ぼくが書いたメロディとは滑らかさが実は違っている。でも江戸アケミだってそれくらい不器用だったし、愛樹の不器用さがアケミとすごく重なって見えました。
 歌入れは、ネットで映像を観ながら豊田のスタジオで録音しました。豊田で愛樹と歌入れをやっていたエンジニアがいて、ぼくは熊本でその歌入れの様子を見て、指示をしたり感想を言ったりして進めていったんです。なんか橋渡しの儀式をしているかのようだったね。ぼくのなかではアケミもこのくらい苦手なところがあったよなと思いながら、愛樹もうまく歌えないと狂ったように「うわー!!」とかなっているし(笑)。

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今回の“れいわナンのこっちゃい音頭”は、じゃがたらが音頭を手掛けるとしたらというテーマがまずあった。で、アフリカのハチロクだったり、12/8という言い方をしたりするけど、そういうリズムと音頭との融合を考えたんです。

いまのお話を聞いて、新曲2曲のなかにはすごくいろんなものが集約されているんだなと思いました。メッセージもそうだし、サウンド的なところもそう。そのサウンド自体がひとつのメッセージになっていることも改めてわかりました。“ナンのこっちゃい音頭”で言うと、アフリカのハチロクと日本の音頭をミックスする。そこはOTOさんがずっと追求しているリズムの実験がいまも継続されているってことですよね。新曲の2曲を聴いてぼくが良いと思ったのは、曲がまったくノスタルジックじゃないってことなんです。たとえば昔のファンが好きそうなアフロ・ファンクやもっと泥臭いファンクを繰り返すのではなく、進化した姿をちゃんと見せている。これはすごいことだと思います。とくに世界のいろんな土着性をどうやって他の文化とミックスして、発展させていくかということは、いまの音楽シーンではグローバル・ビーツという括りで活況を見せています。

OTO:大石始さんが制作した音頭的なものを集めたコンピレーション(『DISCOVER NEW JAPAN 民謡ニューウェーブ VOL.1』)にサヨコオトナラの“アワ”を入れさせてくれないかという依頼があって入ったんです。そのCDでいろんなバンドが音頭にまつわるミクスチャーを作っているんだけど、音頭の跳ねたリズムにウワモノとして和的なものがのっかったり、あるいはそうじゃないものがのっかったりしているぐらいのミックスで、それだと踊りが新しい踊りにならないんです。腰から下は相変わらずただの日本的なリズム感で、ひどく言うと凡庸な音頭感。上だけ好きなように手振りしているような感じで、下半身があまり変わらない。つまり、1曲のなかで腰とステップが変わるようなリズムになっていかないんですよね。自由度がなく、腰から下はずいぶん固定された感じになっていた。だから音頭のミクスチャーはまだまだやり切れていないんじゃないかと思います。

いっぽうで“みんなたちのファンファーレ”はスピリチュアルな曲とも言えますよね。

OTO:さっきバジャンのことを話したけど、やっぱりロマの音楽でも人間界のことを歌う歌はあるけど、バジャンはもともと神に向かって祈る歌なので、インドだと神様の名前をコールするだけのシンプルなものもあるし、もっと長く意識的なバジャンでスロウなドローンから入って、瞑想的な時間を15分から20分くらい経て、そこからじょじょに自分の思いを神様に天に近づけていく、捧げていくというバジャンもある。そこでは踊りと歌がミックスされる。いろんな形式があるんです。
 去年、東京ソイソースに出演した時に、南はすごく頼もしくセンターを仕切ってくれました。彼女の資質はもちろん女性だし、江戸アケミの存在とは違いますが、じゃがたらの音楽のセンターになっていました。南は南なりにアケミが亡くなって以来30年間アケミの気持ちと対話して、朝起きたらアケミの写真と話をしてから1日の仕事をはじめるということをやってきた。これはもう立派なバジャンだと思う。自分のやっていることが良いかどうかとか、困ったときもあれば苦しんだときもあれば救いを求めたときもあるだろうし、いろんな思いで南はアケミと対話をしてきたんだなと思います。
 そんな頼もしい南がじゃがたらを自分のバンドだと言えるように “みんなたちのファンファーレ” は最初からじゃがたらのフロントマンに捧げるつもりで作りました。南が歌うキーで南に合う歌いやすいかたちで、メロディを作ったんです。南も詞を書くときにバジャンだからといって、神に祈るとかそういうことを歌う必要もないし、でも今回こういうタイミングで出すから、南が毎日アケミと会話してきたその日々のそのままを描いたんだと思います。
 バジャンはその対象である神の存在に対しての愛を表すことなのですが、そもそも人間には祈るということが大事なんだと思うんです。宗教に入っている人だったら、神様に祈るということをするだろうし、家に仏壇がある信心深いおばあちゃんだったら毎日手を合わせてご先祖様だったり、亡くなった夫と会話したりしてきているんだと思います。南には、彼女がこれまで祈ってきた会話してきた思いそのままでいいんだと伝えました。メッセージを向ける先は、世俗の人たちではなくて、生きている人も含め、亡くなった人も含めて、そこに生かされていることを感謝するつもりで天に歌う気持ちの歌にしたいんだと言ったんです。そこがバジャンの本質だから、天に歌うということを条件に詩を書いてとリクエストしました。すごく悩んでいたけど(笑)。

それだけ言われて悩まないほうが(笑)。

OTO:「たとえばどういうこと?」とか言われて(笑)。「南は毎日そういうふうに過ごしてきたでしょ?」って。そのときの自分の気持ちだったり、毎朝アケミの写真と会おうとするときの気持ちとか、その気持ちそのままでいいんだよと言ったらすぐに書いてきてくれました。

メロディがじゃがたらにしてはすごくわかりやすい。みんなが口ずさめるような。それはあえてそうしたんですよね?

OTO:バジャンはみんなが歌えるようなシンプルで歌いやすいメロディーが特徴です。その形式自体もともと音頭取りみたいなもので、ひとりが歌ったら次は同じ歌を全員で繰り返すんです。トゥアレグの人たちの歌もそうだし、インドもロマの人たちの音楽も通常の形式は8小節のAメロディ、8小節のBメロディがあったら、8小節を2回繰り返して、Bメロの8小節を2回繰り返して、1番ができる。2番があるものもあるけど、1番だけのものが多いですね。歌い手が1番を歌ったら、次はそれを全員が合唱で歌うという感じ。1番をひとりが歌って2番を全員で歌って、また2番をひとりで歌って、2番を全員が歌ってという繰り返し。全員が歌うときはなるべくシンプルで聴きやすいメロディがいいので。

このモザイクレインボーは水戦争を民主運動で戦ったヴェオリアたちに勝利したボリビアのコチャバンバの旗なんです。水戦争があちこちで起きて、インドでも水戦争があるし、南米ではとくにチャベス以降は激化している。日本も麻生が国民には相談しないで勝手に水道を民営化することを決めてしまった。

曲名を“みんなたち”にしたのはなぜですか? そして“ファンファーレ”にしたのは?

OTO:ファンファーレはもともと83年の“日本株式会社”という『家族百景』のカップリングで出たアナログ盤のB面の曲なんです。その曲はちょっと講談風と言いますか、そんな語り口調で、ベタな和風ファンクを弥次喜多道中的なおもしろさのあるコミカルなファンクでやっています。それは株式会社ともいえるような経済繁栄だけが目的の日本をちょっとおちょくった感じです。最後にはアケミの「虹色のファンファーレが聞こえるかい、それがご機嫌の合図だ」という叫びがあるんですよね。それがすごくぼくにとって印象的だった。
 アケミのメッセージはだいたいかりそめの日本及び日本人に対してですよね。外国からいろんな条件を与えられて、その属国になってしまっているかのような、支配されているかのようなシステム。しかもそのなかで、悲しいかな、人びとは一度は過去に反対とかして抵抗しているのだけど、じょじょに染まっていってしまう。システムのなかにどんどんはめ込まれてしまう暮らしに対して違和感もなくしてしまった日本、とくに80年代のバブルに無防備に劣ってしまって。そのことに対して、アケミはそんなわけにはいかないぞ、そんなことが続くわけないじゃないかという警告をよく発していた。「虹色のファンファーレが聞こえるかい、それがご機嫌の合図だ」というのはそういうことに染まらないで、アケミ的に言うと毒されないで、自分の魂にもっと正直になって自由に生きていく道があるよということが言いたかったと思うんです。そのヴィジョンからの呼びかけのサインを“ファンファーレ”という言い方でアケミは言ったんだろうし、それがご機嫌の合図だというのもそのシステムのなかで埋没させられてしまう世界ではなくて、それらからエクソダスして自分の力で脱出したところで、もっとひとりひとりがご機嫌にいこうぜということを言葉は少しずつ変わりつつも彼はずっと言っていた。それは彼の一貫したメッセージだったと思うんだよね。
 ぼくは「虹色のファンファーレ」というのをいつか使おうかなと思っていたんです。13回忌のときまでは「業をとれ30:07」というのがキーワードだったり、“クニナマシェ”というのをタイトルにしていたりしたんだけど、13回忌が終わった時点で、自分の心のなかではじゃがたらの仕事はここで整理が終わりましたというかたちにさせてくださいと。そこから自分自身のことをやらなきゃと思った。でも30回忌にもしも自分が何かできるような状態だったら、「虹色のファンファーレ」でやろうと決めていました。

“虹色”をなぜ“みんなたち”に変えたんですか?

OTO:そこは鍵だね。ぼくはいま奥山で森に入る暮らしをしている。ライヴの本編のいちばん最後にやった“夢の海”の最後のリフレインは「雨が上がれば日はまた昇る」というんだけど、その前は「飛び出そう緑の町へ」というんだよね。江戸アケミのバトンを受け取ったぼくなりのキーワードが「緑の町へ飛び出そう」なんです。ぼくの場合は町ではなくて山のドンツキだし、森の方に入っていった。そして、森のなかの農園の暮らしで、自分のエゴを取るというか、みうらじゅん的に言うと「自分なくし」というコンセプトがありました。
 自分、自分というような考え方って、この世の成功報酬が神への愛の証しだというある種プロテスタンティズムな考え方でもあって、そのトリックが経済繁栄というトリックに繋がっていく。もっと豊かな生活、自己実現しようという、それがエサみたいになって巨大な支配を望む。そういうパラダイムをぼくは甘い罠だったなと思った。じゃがたら的に言うと「ちょっとの甘い罠なら」というところだね。
 じゃあ、それに代わる次のパラダイムは何かなと考えると、いまの社会が強制する働かざる者食うべからず的な自分というものを取ったもの。それともうひとつ、ヒエラルキーの社会構造から外れているものたち。たとえばベスト10の世界。勝ち残る、競争をさせて経済効果を上げるというシステムのなかで、ベスト10に入らないものは落ちこぼれだというような切り捨てをするんですけど、ベスト10やベスト100よりも面白いものがあるという、ロングテール的な存在を認める多様性のある価値観も良いと思う。だから“ファンファーレ”は誰か特定の個人ではなく、“みんなたち”であり、共存していくフォーメーションがぼくはすごく大事だと思っていたんだよね。競争でないし、ヒエラルキーのなかの自己を探すのでもない、輪になっていくお互いが共存しあっていける関係性が大事。お互いがエクステンションになれる存在。人と張り合う必要がなくなる、比べる必要がないコミュニケーション。そういうのを目指していた。

すごくユートピア的なものですね。OTOさんはアケミさんのメッセージについて、エクソダスというキーワードを昔から言っていましたよね。

OTO:“みちくさ”のうたはもろそれだから。飛び出せって “ゴーグル、それをしろ”にもあるし。
 今回の新曲でもうひとつ重要なことは、たまたま南が農園にひょっこり遊びに来たんです。それがやっぱり大きなきっかけだった。ぼくは、いままで話したように、自分だけが変なところにパラダイムシフトを求めて、みんなから外れて変なことをしはじめているんだろうなと思っていた。理解されないだろうと思っていたところに南がひょっと現れて。南はどういう理由で農園までいきなり来たのかわからないけれども、OTOをちょっと脅かしにいこうとか思って、無邪気な笑顔でぼくの誕生日に現れたんですよね。
 このことがぼくには大きくて……わざわざ来るのは大きな意味があったんだと思う。宇宙的なレベルではどんな意味なんだろう、何が南をこうさせているんだろうと思って、久々に顔を合わせてからはずっと考えた。晩御飯を食べて、夜お酒を飲みながら南と話をすると、「私はいままで自分の踊りを作りたい、自分の踊りを完成させたいとか、そういう自分のやり方でかたちづくりたいと思っていたんだけど、3日前くらいに、もう自分というものはいらないんだな、自分の踊りの「自分」はもういらないなということに気がついた」とかいきなり話はじめたんですよ。自分なしの、自分というものがない踊り。つまり宇宙的レベルの踊りなんだよね。そのことを南が言ったときに、あぁ宇宙的レベルの意志はこのセリフだと思った。ぼくはその南の意識に共振して、ぼくは南と新たに出会っているんだって彼女にも言ったんだよね。今日のこれは新たな出会いだと。ぼくはそれまでバンドではひとりきりだと思っていた。ぼくはひとりだし、30回忌は大変だなと思っていたの。でも意識がずれた人とやりたくないし。意識が同じ人でなるべくやりたいけど、そのときは果たしてじゃがたらのメンバーかなという思いもよぎっていたんです。でも南が訪ねてくれたときにこれで30回忌は少なくとも南とは一緒にできると思った。そして南にぼくは背中を押されたような感じで、じゃがたらのメンバーとやろうと思ったんだよね。
 もともとインドでは、宇宙の創始のエネルギーのブラフマンに対しての祈りがバジャン。そのときに自分というものはないんですね。エゴを取って、地上で肉体を持って生かされていることに、宇宙からのエネルギーに感謝する思いがバジャンだから、「みんなたち」なんです。南の場合は直接ブラフマンということを意識してないし、宗教ということではなく、信仰心というものかもしれませんが、それはあっていいとぼくは思っているから。

じゃがたらは、みなさん個性があってバラバラですよね(笑)。南さんが言っていたけど、まとめるのが本当に大変って。同じタイプの人間ばかりが集まる集合体ではなくて、いろんなやつがいていいんだというところもじゃがたらなんですよね。だからまさにカオスであり、それも含めてのみんなたちであり、天に対する祈りであり。すごくいろんな意味がある。この曲を聴いたときに平和的で、でも薄っぺらな曲ではなくて、すごく不思議なパワーがあると感じました。じゃがたらにしては耳障りがシンプルだし、歌いやすい。これは深い曲なんだと思っていたんですけど、いまのお話を聞いてすごくよくわかりました。
 これはスタジオでOTOさんに教えてもらったことですが、ギターはマリのトゥアレグのフレーズから来ているんですよね。あれは反政府のゲリラ兵士の音楽ですよね。

OTO:そうそう、ウォリアーズです。もちろんそれも意識しています。ティナリウェン(https://www.ele-king.net/review/album/005558/)もそうだし。タミクレストたちもそうだし、みんなグローバリズムに対しての反発で、それをメッセージにしたくて、戦いのために立ち上がっている。そのアフリカ産のファンクにアメリカ産のプリンスのファンクをミックスしています。EBBYのギターのカッティングとテイユウのハイハットはプリンスの曲”kiss”のリズムです。少しハネているファンクです。このスウィング感がポイントです。

リアルな戦士ですよね。

OTO:ぼくはギターをクワに変えた(笑)。向こうはシリアスに銃ですよね。ギターと銃が同じレベル。厳しい現実です。
 ちなみに今回のジャケットのアートワークは、エンドウソウメイ君の絵を使っていますが、この絵は“ナンのこっちゃい音頭”の歌を歌っているアケミなんです。今回の作品名が「ナンのこっちゃい音頭」だったらぴったりだったんだけど、タイトルを『虹色のファンファーレ』にしたので、アートワークにもう一工夫必要になった。そこでモザイクレインボーを入れたんです。
 このモザイクレインボーは水戦争を民主運動で戦ったヴェオリアたちに勝利したボリビアのコチャバンバの旗なんです。水戦争があちこちで起きて、インドでも水戦争があるし、南米ではとくにチャベス以降は激化している。日本も麻生が国民には相談しないで勝手に水道を民営化することを決めてしまった。水の民営化は、10年以上も前に南米を襲っていて、そのときにプリペイドカードを持たないやつは水なんか飲むなってヴェオリアが言っているんですよね。たぶん日本もこれからそうなる。麻生たちが利権をすでに手にしてこれから大搾取が起きてくる。
 それで、コチャバンバは闘争のこの旗を持って、ボリビアの帽子とマントをかぶって、大デモをやって勝利を収めたんです。『虹色のファンファーレ』のジャケットは、厳しいことがこれから日本で起きるから、そのときはみんなの力で戦っていこうという願いです。

Five Deez - ele-king

 これは絶妙なタイミングである。昨今大いに注目を集める「ロウファイ・ヒップホップ」だけれど、その源流としても位置づけられる00年代ジャジー・ヒップホップの名盤、ファイヴ・ディーズの2作が本日2月19日、同時にリイシューされている。とくに前者収録の代表曲 “Latitude” の Nujabes によるリミックス・ヴァージョンは、昨年の舐達麻のヒット曲 “FLOATIN’” でサンプリングされ話題となったばかり。まさにタイムリーな再発といえよう。
 また、その Nujabes の10周忌追悼イヴェントが今週末から東京・大阪・福岡の3都市で開催され、ファイヴ・ディーズ、ファット・ジョン、ペース・ロックが来日、さらに〈Hydeout〉の黄金期を支えた DJ Ryow a.k.a. Smooth Current などの国内アーティストたちも集結する。こんな機会なかなかないので、合わせてチェックしておこう。

TSUBAKI FM - ele-king

 先日お伝えしたように、いよいよ TSUBAKI FM のアニヴァーサリー・ツアーがはじまる。とくにすごいのはツアー・ファイナルにあたる3月7日~8日で、なんと24時間連続のイヴェントとなっている。30組以上が出演、青山蜂~Red Bar~Tunnel~COMMUNE 表参道にて開催。チケットも安いし、これは行くしかないでしょ!

DJ Marcelle & Kampire (Nyege Nyege) - ele-king

 これまで20回以上開催されてきた WWW のレジデント・パーティ《Local World》ですが、今年もやる気満々です。今回は、これまで都内のクラブで開催されてきた YELLOWUHURU 主宰の《FLATTOP》と Celter 主宰の《Eclipse》との共同パーティで、話題のウガンダのフェス/コレクティヴ〈Nyege Nyege〉主宰の Kampire と、そのレジデントでもあるアムステルダムの DJ Marcelle を初来日で迎えます(Marcelle は大阪公演も)。これまたすごい一夜になりそうです。

Local XX2 World FLATTOP x Eclipse - Super Freedom -

新しい伝統と自由への狂騒。アフリカからダンス・ミュージックの未来を切り開くウガンダの新興フェスティバル/コレクティブ〈Nyege Nyege〉主宰の Kampire と、そのレジデントでもあり、今最も “越境する” 奇矯のアーティストとして話題の DJ Marcelle を初来日で迎え、Local World、FLATTOP、Eclipse によるハイブリッド共同パーティ “Super Freedom” が開催。

Local XX2 World FLATTOP x Eclipse - Super Freedom -
2019/03/28 sat at WWW / WWWβ
OPEN / START 23:30
Early Bird @RA ¥1,800
ADV ¥2,300@RA | DOOR ¥3,000 | U23 ¥2,000

【詳細】https://www-shibuya.jp/schedule/012322.php
【前売】https://www.residentadvisor.net/events/1386693

DJ Marcelle / Another Nice Mess [Netherlands]
Kampire [Nyege Nyege / Uganda]
YELLOWUHURU [FLATTOP / GHPD]
Celter [Eclipse]

+ many more

※ You must be 20 or over with Photo ID to enter

【DJ Marcelle 大阪公演】

AltPass feat. DJ MARCELLE
2020.3.27.fri. 22:00-7:00 at Club Daphnia
ADV ¥2,500 | DOOR ¥3,000

GUEST DJ:
DJ MARCELLE / ANOTHER NICE MESS
(JAHMONI) from Nederland

DJ:
Toshio Bing Kajiwara
7e
Gyoku
Gunilla
KA4U

LIVE:
USK

Visual Effect:
catchpulse

and more act.

FOOD: カカト飯店

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Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Nídia & Howie Lee
Local X1 World DJ Marfox
Local X2 World 南蛮渡来 w/ coucou chloe & shygirl
Local X3 World Lee Gamble
Local X4 World 南蛮渡来 - 外伝 -
Local X5 World Tzusing & Nkisi
Local X6 World Lotic - halloween nuts -
Local X7 World Discwoman
Local X8 World Rian Treanor VS TYO GQOM
Local X9 World Hyperdub 15th
Local XX World Neoplasia3 w/ Yves Tumor Local XX1 World AI2X2X w/ ???


■DJ Marcelle / Another Nice Mess [Netherlands]

「異なるカルチャーに対してオープンでありながらも、そこのオーディエンスや自分の期待感に意識を向けすぎないこと。自分の道を進むためにね」@RA https://jp.residentadvisor.net/podcast-episode.aspx?id=679

アムステルダムを拠点にDJ、プロデューサー、ラジオ放送、ミュージシャンと多岐に渡って活動を続けるベテランDJ Marcelle / Another Nice Mess。

サプライズ、アドベンチャー、エンターテイメント、教育:オランダのDJ/プロデューサーの DJ Marcelle / Another Nice Mess を説明するためによく使用される4つのキーワードであり、ライブ(およびスタジオ内)では3つのターンテーブルとレコードを使用して、ミックスの可能性を高みに引き上げる稀有なDJであり、またそれ以上のミュージシャンでもある。 2016年以降、ドイツのレーベル〈Jahmoni〉から「In The Wrong Direction」、「Too」、「Psalm Tree」、「For」(Mark. E. Smith へのオマージュ)の一連のEPリリースを経て、昨年最新LP『One Place For The First Time』をリリース。2008年から2014年の間には、ドイツの〈Klangbad〉から伝説のクラウトロック・バンド Faust の創設メンバーである Hans-Joachim Irmler によってセットアップされた4枚のダブル・バイナルのアルバムをリリースしている。

異なるスタイルの音楽を異なるコンテキストに配置することにより、個々のスタイル変化させ、他に類を見ない音楽スタイルを融合し、3つのターンテーブルと膨大なコレクションであるレコードを使いながらオーディエンスに3つの同時演奏ではなく1つのトラックであると感じさせる。そのスタイルは環境音、アバンギャルド・ノイズ、動物の音、レフトフィールド・テクノ、フリージャズ、奇妙なヒップホップ、最先端のエレクトロニカ、新しいアフリカのダンス・ミュージック、ダブステップ、ダンス・ホールなどと組み合わせれている。

独創的で熟練したミキサーであり、独自のスタイルを持ち、ほとんどのDJのクリシエやこれまでのルールを回避し、フラクサス、ダダなどのアバンギャルドな芸術運動やモンティパイソンの不条理な現実に触発されるように、ダブ、ポスト・パンク、最新のエレクトロニック/ダンス・ミュージックの進化など、常に、非常に、密接に、音楽の発展を追い続け、革新的な “新しい” サウンドに耳を傾けている。創造と発展の芸術性と高まりを強く信じ、約2万枚のレコードと数えきれないほどの膨大なレコード・コレクションは過去と現代のアンダーグラウンド・ミュージックに関する強力な歴史的知識を体現している。

ステージにおいてはマルセルは開放と自由を超越し、しばしば「圧倒的な豊かさ」、「真の耳を開ける人」、「真の開拓者」と表現されている。ヨーロッパ中のクラブ、美術館、ギャラリーを回りながら、ウィーン、ベルリン、ミュンヘン、バーゼル、チューリッヒなど、多くの都市のレジデントDJ、 2015年と2016年には Barcelona circus / performance group のライブDJを務め、ウガンダの Nyege Nyege フェステイバルでは「ライフタイムのレジデントDJ」として任命され、最近では欧州の Dekmantel、Unsound、USの Sustain Release 等のフェステイバルに出演しワールドワイドな活躍を展開。

また Red Light Radio、FSK、DFM など、ヨーロッパのさまざまなラジオ局向けにウィークリーおよびマンスリーのラジオ番組も開催し、インターネット上の John Peel ディスカッション・グループでは「best post-Peel DJ」と評される。マルセルにとって、何らかの緊急性や固定する必要がない限り、音楽形式は意味をなさない。分類が難しいことでブッカー、ジャーナリスト、オーディエンスを最初は混乱させられる。もしマルセルを適切な言葉で説明するのであれば「アバンギャルド・エスノ・ベース」と言えるだろう。

https://soundcloud.com/marcelle


■Kampire [Nyege Nyege / Uganda]

「私が望むのは、ジェンダーや性的指向に関わらず、その人となりの本質をしっかり見極め、誰もが平等にチャンスを得られるようになること」@i-d https://i-d.vice.com/jp/article/kzvn4v/uganda-dj-kampire-interview

東アフリカで最もエキサイティングなDJであり、ウガンダはカンパラの Nyege Nyege コレクティブのコアメンバーであるKampire。活気に満ち溢れたそのサウンドは世界中のクラブやフェスティバルへの出演を呼ぶ。Mixmag 2018年のトップ10のブレイクスルーDJに選出され、Nyege Nyege フェスティバルでの Boiler Room での放送は合法的な「インターネットの瞬間」であり、SNSで何千ものシェアをされ、オンラインで視聴している世界中の電子音楽ファンからフォローされる。

Kampire のDJミックスは Resident Advisor、Dekmantel、Fact Magazine で紹介され、Pitchfork & Fact の年末のリストで2019年のベスト・ミックスにも選出。Rinse FM ラジオのレジデンシーは、Hibotep、Faisal Mostrixx、Catu Diosis など、東アフリカのDJやアーティストにフォーカスしている。

2019年には4大陸でツアーを行い、ヨーロッパ全土のすべての有力フェスティバルに出演、ニューヨークの Redbull Music Festival の Nyege Nyege のショーケースでアメリカでデビューを果たし、Best friend & Nyege Nyege day one Decay と共に2020年の夏には、彼らのショー「Bunu Bop」でヨーロッパのフェスティバル・ステージにウガンダの最高のパーティー・カルチャーをもたらすであろう。

科学、文化、芸術として “黒髪” を探求するアート・インスタレーション「Salooni」の共同設立者であり、その体験プロジェクトは La Ba Arts Festival、ウガンダ、ガーナ、Chale Wote Street Art Festival、East African Soul Train (E.A.S.T) のレジデンシー、ケニア、Africa Utopia、ロンドン、キガリ、ルワンダ、 Women’s day、Burkina Faso and N’GOLÁ Biennial、São Tomé e Príncipe などで展開されている。

https://soundcloud.com/kkaybie


■YELLOWUHURU [FLATTOP / GHPD]

棍底にHOUSEを抱えながら電子音と生音を有機的に混ぜる男。

https://soundcloud.com/yellowuhuru


■Celter [Eclipse]

2019年2月より自身の主宰するイベント “Eclipse” をCONTACTにて始動。エクスペリメンタル、アバンギャルドを軸としたプレイを得意とする。

https://soundcloud.com/cel_ter

Random Access NY vol. 122 - ele-king

 2020年になった。私は21年目のニューヨーク生活に突入したのだけれど、いまだにやることはあまり変わっていない。バンドを見に行って、音楽に関する記事を書いて、人と人を繋げていく。毎日のように出かけているといろんな人に会うし、あらためて面白いことをやっている人がたくさんいるんだなと思うけれど、刺々しい感じなんか全くなく、みんな自然に、自分のライフワークのように好きなことをやっている。
 私はブルックリンのミードバーでたこ焼きイベントを毎月オーガナイズしているのだけれど、今回はフラワーズ・フォー・オール・オケージョンズというカフェバー出張たこ焼きナイトを開催した。

Tim (les savy fav)+ Debbie (Glitterlimes) たこ焼き食べに来てくれました

 で、そこ、いま注目の“双子のライトニング・ボルト”と言われるVenus Twinなるバンドが出演した。
 ヴィーナス・ツインは、ジェイクとマットの双子によるプロジェクトで、双子だからそっくりなのは当たり前だが、それにしても似すぎてて、私はいつもジェイクに向かって「マット」と声をかけてしまう。
 2人はいつも一生懸命で、フットワークも軽く、機材も自分たちでしっかり運んでくれるし、オーガナイザーからしてもありがたい存在だったいする。友だちも多く、そのほとんどが20代前半の男の子。ツアーにもよく出てるし、日本に行ったら受けるだろうな、と思うこの頃。


Venus Twin

 この夜は、Peseudo Animal(ペセウド・アニマル)とEl Venado Azorao (エル・ヴェナド・アゾラオ)、JuiceとAdam Autryとのノイズ・デュオも登場した。


Juice + Adam Autry

 ペセウド・アニマルは、ギター、ベース、キーボード、ドラムというノイズ・フル・バンド(最近では珍しい)で、エル・ヴェナド・アゾラオは、トロピカル・フレーバード・ノイズといったところ。Olneyville Sound System(オルネイヴィル・サウンド・システム)のドラマーでもあるAdam Autryが最後の曲にドラムで参加していた。JuiceとAdamのデュオはシンセを操り、2人の創造力がひとつになり、耳にこだまする独特な音が創出される。
 狭いフラワーズは溢れるばかりの人で、たこ焼きもよく売れたけれど、バーにも人が群がって、大変なことになっていた。


Peseudo Animal

 Gustafは、ジェニファーバニラ(Ava lunaのBecca のプロジェクト)を観に行ったときに、アルファヴィルで見たことがある。奇妙なパフォーマンスなフロントの女の子とギタリストの男の子が歌う、女子男子混合の5人組で、ブッシュ・テトラス見たいな、パンク姿勢のあるバンドだ。まだリリースは何もないが、ツアーもしているし、一本ネジが外れたブルックリンっぽい音楽だと思う。


Gustaf

 そしてAaron Waldman、彼はニッティングフ・ァクトリーで偶然に見たのだが、懐かしいライヴ・パフォーマンスに釘付けになった。昔のボブ・ディランを思い起こさせる、パンクでファンキーなストレートなシンガーソングライタータイプだ。革ジャンで、ギターをかき鳴らし、ときには客を煽り、ときには目隠しして、ステージの端を練り歩く(最後にはフロアに落ちる!)。今時こんなストレートなバンドがいるのかと思う、久しぶりのヒットだった。


Aaron Waldman

 この日はAaron とJames Beerの2バンドを見たのだが、メンバーがほとんど被っていた。昔のエレファント6のコミュニティのように、楽しそうに演奏している感じも良い。練習風景まで目に浮かぶような感じ。

 月曜日の夜というのに満員で、ブルックリンの音楽シーンは、まだまだ活発です。DIYスペースも減ってるとはいえ、最近はレストランやバーで、ショーをブックし、ハウスパーティも増えてきた。何だかんだでいまでは口コミがいちばん信じれる。それを生かし、良いバンドがたくさん見れそうな予感の2020年である。

Daniel Avery - ele-king

 アシッドびしびしのダンス・レコードから『A.I.』シリーズのごときリスニング体験へ──その歴史をたどりなおすかのような音楽性で昨今の90年代リヴァイヴァルの筆頭にのしあがったともいえるイギリスのDJ/プロデューサー、ダニエル・エイヴリーがふたたび日本にやってくる。4月17日、会場は VENT。きっとまたすばらしい夜を演出してくれることだろう。詳細は下記。

Andrew Weatherall をはじめ、世界中のメディアが称賛する
トップ・テクノDJ、Daniel Avery が再び VENT にやってくる

Andrew Weatherall が大絶賛し、世界中のメディアが手放しで褒め称えた2枚の傑作アルバム『Song For Alpha』と『Drone Logic』。2010年以降のテクノ・シーンを駆け上がるようにスターダムにのし上がった Daniel Avery (ダニエル・エイヴリー)が4月17日の VENT に再びやってくる!

イギリスのテクノ・シーンの系譜を受け継ぐ Daniel Avery は、Andrew Weatherall の強力なフックアップを受けたあと、2012年にはロンドンの名門クラブ Fabric による人気ミックス・シリーズのコンパイラーとして選出された。その後 Erol Alkan のレーベル〈Phantasy Sound〉から2013年にデビュー・アルバム『Drone Logic』をリリース。また Fabric でも自身のレジデント・パーティーを始めイギリスだけでなくヨーロッパを代表するトップ・アクトの仲間入りを果たした。

2014年には BBC の人気番組『Essential Mix』、2016年には『DJ-Kicks』のミックス作品を手掛け、人気DJが辿ってきた道を順当に歩んできたと言えるだろう。そして2018年にはセカンド・アルバム『Song For Alpha』をリリースし、その人気はまさにワールドワイドで不動なものになったのだ。Four Tet や Jon Hopkins などによるリミックス作品もリリースされ、日本のレコードショップでも話題になっていた。

昨年には VENT での待望の初ギグを披露し、満員御礼のオーディエンスを狂喜乱舞させたことも記憶に新しい。「音楽は世界の全ての戯言からあなたを連れ去る力があり、暗闇の中で光を照らしてくれる。愛は世界を前進させ続けてくれるものなんだ。私にとってそれが最大のインスピレーションなんだ」という Daniel Avery の最新DJセットを再び VENT のフロアで直に体験してほしい!

[イベント概要]
- Daniel Avery -

DATE : 04/17 (FRI)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥3,600 / FB discount : ¥3,100
ADVANCED TICKET : ¥2,750
https://jp.residentadvisor.net/events/1385980

=ROOM1=
Daniel Avery

And more

VENT:https://vent-tokyo.net/schedule/daniel-avery-2020/
Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/192869298754685/

※ VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case. Thank you for your
cooperation.

Jagatara2020 - ele-king

 会場には余裕をもって到着した。私には異例のことである。なんとなれば原稿をご依頼いただいた野田さんが、けっこう出した前売りも完売したみたいよ、とおっしゃる。リポートする身には人垣で舞台がみえないのもこまりものである。それもあって、ふだんなら開演時間ぎりぎりに会場にやってくるものをこの日にかぎっては早めの行動をこころがけた。ところが平日だというのに渋谷のクラブクアトロでは4階のエントランスに向かうエレベーターホールにもすでに二十名以上のお客さんが列をなしている。年恰好からコンサートのお客さんにちがいない、エレベーターは令和の世にそぐわないほどのんびりしており昇ったきりなかなか降りてこない、会場に早く入りたいお客さんはじれてくる、そのうち並んでいる列のなかに牽制と連帯がいりまじった奇妙な空気が漂いはじめる。あんた彼らのことどれだけ知ってんの的な、そもそもライヴみたことあんの的な。私の目の前の妙齢の女性の背中が私にそう語りかける。私はアケミさん追悼イベントとかには足を運んだことはありますが80年代は……と妄想のなかで口ごもると、女性の背中はじゃあ去年の「TOKYO SOY SOURCE 2019」は? そもそもあんた芝浦にいったことあんのとかなんとか、矢継ぎ早にたたみかける、そのようにひとり上手に時間をついやしながら、ようやく4階にたどりつけば、そこにも入場を待つ長蛇の列が。蜿蜿とつづく人波をかきわけ、物販のセクションに後ろ髪をひかれながら5階にたどりつくと、フロアもすでにあらかた埋まってしまっている。みわたすと、中高年が目につくのは当然だとしても、彼らのひとまわり下、さらにその下の世代も散見するのは、生き馬の目を抜くことにばかりかまける現代で、彼らの音楽が30年もの風雪にたえてきたことの証である。

 この日、2020年1月27日月曜日で、じゃがたらのヴォーカリスト江戸アケミが1990年の同日世を去ってからまる30年がすぎた。年忌法要でいえば33回忌は再来年ということになろうが、弔いあげにあたる30年のときを経てもなお、江戸アケミの、じゃがたらの歌や演奏がこれだけ多くのひとたちの心の支えとまでは私には断言できないとはいえ、傷のようなものとして残っているのがまちがいないのは、さっきから会場にながれている旧作音源が開演時間をすこしすぎて “もうがまんできない” にさしかかったとき、BGMにあわせて万感の思いを押し殺し呟くような合唱が方々で自然に起こったのでもわかった。

 トップバッターは吹越満だった。いまや映画やドラマ、舞台でもひっぱりだこの名バイプレイヤーとなった吹越はこの日はタキシード姿で口にくわえた細長いビニール袋を膨らませるパフォーマンスを披露、静と動のあわいにひそむ真空に似た狂気を表現するに長けた、ワハハ時代を彷彿するパフォーマンスに、私なぞはそれだけで感動したが、ここにじゃがたらのトロンボーン奏者村田陽一が加わり、儀式空間は不意に祝祭の色を帯びる──と袖からじゃがたらの面々が登場。先頭には「うた」と、この日の司会進行役も担った南流石が、つづいてギターの OTO と EBBY、ドラムスの中村ていゆうにヤヒロトモヒロ(Perc)とエマーソン北村(Key)、ホーンでは先述の村田陽一と吉田哲治(Tp)ら、じゃがたらのバイオグラフィを網羅したメンバーに、ベースの宮田岳と打楽器とコーラスで関根真理を加えた布陣が2020年、令和二年のじゃがたら、すなわち「Jagatara2020」の基本形となる、その足まわりをたしかめるように本編は EBBY がヴォーカルをとる “裸の王様” で幕をおとした。おそらく愛好者の数だけじゃがたらには代表曲があり、おのおのの胸のうちでアケミの歌が象る世界にも差異はあろうが「いまにもこぼれそうな傾きかけた街」を描くこの歌の惹起する影像ほど、それを歌うものが幻視者であることをあらわすものはない。リズムもひきしまっているしホーンもよく鳴っている。Jagatara2020 名義も渋谷クアトロもはじめてではないとはいえ、きょうは単独ライヴであり、さきのMCで南流石が宣言したとおり長丁場でもある。ハナからフルスロットルで大丈夫なのかという思いが頭をかすめるが、ゲスト・ヴォーカルを迎えた2曲目以降も出し惜しみはいっさいなし。田口トモロヲは “でも・デモ・DEMO” で天にツバするパンクの本懐をつきつけたし、大槻ケンヂの “タンゴ” は四半世紀にわたってこの曲を歌いつづけてきた大槻みずからMCで述べたとおり、持ち歌と見紛うばかりの堂々たる歌いっぷりだった(この曲で大槻は町田康や巻上公一に、歌がうまくなったと褒められたそうです)。田口と大槻のパフォーマンスはじゃがたらという巨大な多面体のパンクでポップな側面をひきうけるかのようであり、会場の熱気もいや増しに増したが、何度か(も)版を革めた “タンゴ” が EBBY の手で Jagatara2020 ヴァージョンに生まれ変わっていたのが私には印象的だった。いくぶん(ハード)ロックよりだったのは大槻の歌唱との相性を考えたのかどうかはわからないが、ノスタルジーに終始しないじゃがたらの矜持はおくれてきたリスナーである私にもわかった。

 その姿勢をゲストも意気に感じたのか。つづく鮎川誠、Nobu (桑原延享)、さらに町田康が客演した “Black Joke” ~ “Fade Out” ~ “アジテーション” の3曲はサブスクなんかだと通のためのプレイリストに入りそうな選曲だが、ロックンロール、ダブ、サイケデリックあるいはファンクの形式の骨組みとなるシンコペーションとポリリズム、反復のグルーヴがゲストの存在感と一体化し会場の空気をひきしめていた。メンバーではおそらく最年少の宮田岳のベースがナベの演奏の旨味をひきついでいたのも特記すべきであろう。他方でゲストの最年少、平成元年生まれの折坂悠太から昭和もなかばごろに生まれたこだま和文にマイクがわたった “中産階級ハーレム” ~ “ある平凡な男の一日” は語り部=江戸アケミに焦点をあてた選曲というべきか、あるいは中産階級という令和のニッポンが廃棄した物語が、江戸アケミの身体がまだこの世にあったころ、すなわち折坂が生をうけた平成のはじめまでは健在だったことの傍証とすべきか。「大丈夫マイフレンド」といって演奏を〆た折坂につづき舞台にあらわれたこだまが「大丈夫じゃないぜ、マイフレンド」と呼応したのはこの日もっとも印象にのこったことのひとつだった。こだまの発言はだれにもおびやかされてはならない日々の暮らしが、しかしそのようになっていないこの世界における人々の声なき声、サイレントマジョリティなる広告的な分類学にも統計学的な数値にも回収できない顔のある声を代弁するかのようであり、それはそのままこの日の最初に披露した新曲 “れいわナンのこっちゃい音頭” の主題へとつながっていく。タートルアイランドの永山愛樹をヴォーカルに、ロンサム・ストリングス~ストラーダの桜井芳樹(Gt)が加わった布陣は1990年につみのこした課題がいまも古びていないどころか喫緊の課題であることをしめすかのようであり、リリースしたばかりの新曲の演奏が有名曲とならべても見劣りしないのは散発的な活動をふまえると驚異的というべきである。たしか最後のほうのMCで OTO はこの日のライヴを紅白歌合戦になぞらえており、ラインナップもふくめ総花的なのもそのとおりなのだが、その真ん中に音楽があり、それが脈打っているかぎりは大丈夫だぜ、マイフレンド。などと安請け合いする私はうっかり書きもらしたが、永山+桜井の両ヨシキの前にはマツリスタジオからやってきた向井秀徳がその無二の異物感を “つながった世界” で注入していたのも明記すべきである。その後の七尾旅人と、田口トモロヲとのガガーリンからフェダーインを経て渋さ知らズを率いる不破大輔が参加した “都市生活者の夜” の深々としたグルーヴと、ビルのように屹立する向井の “つながった世界” は好対照というべきものだったが、この時点で演奏開始からほぼ2時間半。1曲が長いうえに曲数も多いため、待ち時間のあいだに不破大輔はすっかりできあがっていたかにみえたが、「そんなことは少しも問題じゃない」と七尾旅人が歌いあげる。この “都市生活者” しかり、つづく “みちくさ” しかり、束になった管のフレーズが印象的な曲を後半に堪能できたのも、私はうれしかったが、それを奏でるホーンセクションにはサックスの ko2rock、渋さ知らズの北陽一郎(は左隣の吉田哲治とうりふたつだった)が加わり最終的に総勢4名になった。

 山でいえば八号目といったところだろうか。高田エージ、いとうせいこう、近田春夫といった腕達者な面々の参加をえた “みちくさ” はコール&レスポンスにうってつけの曲調もあいまって、山頂までの道のりを九十九折りにうねらせはじめる。きょう登場した歌手のなかでも、声と唱法と関係性で、とびぬけてアケミにちかい高田の歌唱にいとうのラップと近田のパフォーマンスとくれば、場が沸かないはずもなく、この日最長尺の演奏にもかかわらず、グルーヴに弛みとてなく、完走した瞬間の観客の歓声は地というより心の底からわきあがるものに思えた。

 本編の掉尾を飾ったのは “夢の海” だった。『ロビンソンの庭』が収めるこの曲を、Jagatara2020 は江戸アケミのヴォーカル・トラックにナマで演奏をつける逆カラオケに仕立てた。みなさんご存じのあの軽快な前奏にのせた南流石の口上につづき、アケミの声がながれた瞬間の、目の前に遮るもののない風景が広がるような恬淡とした祝祭性はこのイベントの幕引きにふさわしい。ピンスポットが照らす舞台中央の不在は存在が作品だった江戸アケミそのひとを逆説的にあらわすかのようでもあった。そして30年という時間はその存在がもたらした音楽の大きさをかみしめるに十分な長さだった。“夢の海” の遠いこだまのようにアンコール1曲目に演奏したもうひとつの新曲 “みんなたちのファンファーレ” から “クニナマシェ”、最後にはフロアに降りた南流石と出演者と会場の全員で合唱した “もうがまんできない” の、古びるどころか切迫感をますばかりの音の渦に揉まれながらじゃがたらはやっぱりすごいバンドだと、私は現在形で思ったのだった。
 気づけば3時間20分がすぎていた。観客の年齢層からいって立ちっぱなしでは厳しい長さだったが、会場をあとにするお客さんのうしろ姿に疲労の色はみえなかった。だって1987年のパルコパート3のじゃがたらは4時間もやったのよ──とひとごみでごったがえすエントランスの向こうに消えていく女性の背中が語りかけてくる気がした。その翌々日、私は疲労が腰にきた。

セットリスト
曲名 (収録アルバム) ゲスト・ヴォーカルほか

オープニング 吹越満+村田陽一
01 裸の王様 (裸の王様) EBBY
02 でも・デモ・DEMO (南蛮渡来) 田口トモロヲ
03 タンゴ (君と踊りあかそう日の出を見るまで) 大槻ケンヂ
04 BLACK JOKE~気の利いたセリフ (南蛮渡来) 鮎川誠
05 FADE OUT (南蛮渡来) NOBU
06 アジテーション (南蛮渡来) 町田康
07 中産階級ハーレム~故ジョン・レノンと全フォーク・ミュージシャンに捧ぐ~ (それから) 折坂悠太
08 ある平凡な男の一日 A DAY IN THE LIFE OF A MAN (それから) こだま和文
09 つながった世界 (それから) 向井秀徳
10 れいわナンのこっちゃい音頭 (虹色のファンファーレ) 永山愛樹+桜井芳樹
11 都市生活者の夜 (ニセ予言者ども) 不和大輔+七尾旅人
12 みちくさ (ニセ予言者ども) 高田エージ+いとうせいこう+近田春夫
13 夢の海 (ロビンソンの庭) 江戸アケミ

E1 みんなたちのファンファーレ (虹色のファンファーレ) 南流石
E2 クニナマシェ (南蛮渡来) OTO、南流石、EBBY
E2 もうがまんできない (裸の王様) 全員

MOMENT 2 - ele-king

 日本のエレクトロニック・ミュージックを支えるレーベルのひとつ、〈PROGRESSIVE FOrM〉が新たにコンピレーション盤をリリースする。同コンピは2015年にリリースされた『MOMENTS』の第2弾にあたるもので、エレクトロニックありアコースティックありの多彩なサウンドを堪能することができるようだ。Anemone、Fugenn & The White Elephants、網守将平、VOQ (オルガノラウンジ)、LASTorder、M-Koda、fraqsea、Smany、Utae など多数のアーティストが参加しているとのことで、現在の同レーベルの方向性を確認する良いチャンスにもなるだろう。本日2月5日(水)から、Ototoy にて一週間先行で 24bit ハイレゾ先行配信が開始。詳細は下記より。

Various Artists "MOMENT 2" PFCD95 2020.2.12 release
https://www.progressiveform.com

発売日: 2020年2月12日(水曜日)
アーティスト: Various Artists (バリアスアーティスト)
タイトル: MOMENT 2 (モーメントツー)
発売元: PROGRESSIVE FOrM
販売元: ULTRA-VYBE, INC.
規格番号: PFCD95
価格(CD): 税抜本体価格¥2,000
収録曲数: 17曲
JAN: 4526180510567

◆Tracklisting

01. Anemone - Killing Me Softly
02. Yuichi Nagao - Harmonia feat. Makoto
03. Shohei Amimori – Kuzira with Satoko SHibata
04. Fugenn & The White Elephants - State Of Mind feat. KURO from iLU
05. VOQ - Ĉielarko
06. Satohyoh - Sukimakaze To Mikansei Na Uta
07. Fraqsea - Always With U
08. Super Magic Hats - Sleepless
09. Guitarsisyo - Redo feat. KURO from iLU
10. Abirdwhale - I Never Know
11. Nu:Gravity - Dorime
12. M-Koda - I Need Run Ahead feat. Mon
13. iLU - Today
14. Soejima Takuma - Coelacanth feat. Smany
15. LASTorder - Clockwork feat. Utae
16. Ninomiya Tatsuki - Regret
17. Kita Kouhei - I Can Not Remember Blue

◆【MOMENT 2】紹介文

時をかける調べ、永遠に続く響き

Fugenn & The White Elephants、網守将平、VOQ (オルガノラウンジ)、LASTorder、M-Koda、fraqsea、Smany、Utae をはじめとした多数アーティストが参加した必聴コンピ!

2015年12月にリリースされた『MOMENTS』の第二弾となる本作では、エレクトロニックやアコースティックをベースにした多様なサウンドにボーカルが溶け込み、それぞれの要素が美しく重なり合った至高の楽曲群より構成されています。
様々な季節やシチュエーションで多くの人が心地よくまた味わい深く堪能出来るアルバムです。

また本作収録17曲(約76分)中12曲にはオリジナルのミュージックビデオもあり、視覚の面からもお楽しみ頂ける内容になっています。

ハイ・クオリティーな音の魔法箱であり、多くの方に長く聴いて頂けるアルバムです。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130