「OTO」と一致するもの

Jimi Tenor - ele-king

 ジミ・テナーは毎年コンスタントにアルバムを発表していて、最新作は昨年リリースの『アウロス』となる。2000年代よりジミはアフリカ音楽に傾倒し、アフロ・バンドのカブ・カブやトニー・アレンとも共演してきた。トニー・アレンとはその晩年までセッションを続け、『OTOライヴ・シリーズ』(2018年)という実験的な電子アフロビート・アルバムをリリースしている。近年のジミのソロ・アルバムは、そうしたアフロにジャズ、ソウル、ファンクなどがミックスされ、さらにサイケやプログレ、クラウト・ロック、エクスペリメンタル・ミュージックの要素も散りばめられたものが多い。『アウロス』もそうした作品だ。

 一方、配信のみのリリースとなった『メタモルファ』(2020年)はテクノやハウスなどエレクトロニック・ミュージック寄りのもので、モーリス・フルトンと共演している。1990年代のジミはこうした作品が多く、〈Warp〉時代の彼にはエレクトロニック・サウンドのプロデューサーというイメージを持つ人も多いのではないだろうか。ただ、『メタモルファ』のトラックは実質的にモーリス・フルトンによるもので、ジミ自身はフルートやサックス演奏などミュージシャンの立ち位置となっている。
 2010年代のジミは特に即興演奏家としての色を強め、フィンランドを代表するビッグ・バンドのUMOジャズ・オーケストラやドイツのビッグバンド・ダッハウなどと共演し、それらでは作曲家・編曲家としての才能も披露している。2000年よりインポスト・オーケストラという名義で実験的なエレクトリック・ジャズもやっているが、これなどはフリー・インプロヴァイザー/コンポーザー/アレンジャーとしてのジミが結集されたものだ。ジミは1998年にフィンランドのフリー・ジャズ~インプロヴィゼイション界の大家であるエドワード・ヴェサラと組んで、シティ・オブ・ウーマンというプロジェクトをやったことがある。前衛音楽家としてのジミは既にこの頃から輝きを放っていたのだ。

 この度、『ディープ・サウンド・ラーニング』というジミの未発表音源集が発表された。1993年から2000年にかけてレコーディングされたもので、1997年から2000年まで在籍した〈Warp〉と、それ以前に作品をリリースしていたフィンランドの〈サーコ〉傘下の〈PUU〉時代の未発表作品となる。
 この〈PUU〉と〈Warp〉時代、ジミはデビュー・アルバムの『サーコミーズ』(1994年)を皮切りに、『ヨーロッパ』(1995年)、『インターヴィジョン』(1997年)、『オーガニズム』(1999年)、『アウト・オブ・ノーホェア』(2000年)と5枚のアルバムをリリースしている。テクノやミニマルにジャズを融合し、フューチャー・ジャズという新たな世界の先駆けとなった『サーコミーズ』、ジャズにソウルやファンクなどを導入した現在のジミの作品の原型と言える『オーガニズム』『アウト・オブ・ノーホェア』というラインナップだが、中でもジミの名前を一気に広めたのが『ヨーロッパ』と『インターヴィジョン』である。
 『ヨーロッパ』の “テイク・ザ・S・トレイン” と『インターヴィジョン』の “キャラヴァン” は、それぞれ誰もが知っているようなジャズの古典をモチーフに、モンドでアヴァンギャルドな電子音楽家ジミ・テナーの世界を確立した。『ディープ・サウンド・ラーニング』は、そうしたジミ・テナー・ワールドを満喫できるものだ。

 ソウルフルでジャジーなディープ・ハウス “エキゾティック・ハウス・オブ・ザ・ビラヴド”、初期シカゴ・ハウスの流れを汲むような “ベイビー・イット・ハーツ”、アシッド・ハウスのマナーに基づく “アンナ・メンナ” のようなダンス・サウンドの一方で、エレクトロとジャズ・ファンクを融合した “ヘイノーラ” や “ジェイムソン” のようにピコピコした風変わりな音楽があるのがジミらしい。“ヘイノーラ” や “ジェイムソン” あたりは、ジャン・ジャック・ペレイ、ガーション・キングスレイ、ピエール・アンリなど1960年代に活躍した電子音楽家たちを現在にアップデートしたような楽曲と言える。
 ウネウネした TR-808 が次第にその唸り声をあげる “スーパー・ビート” は、ジミ流のアシッド・ハウスという見方もできるが、それよりもジャズから前衛電子音楽に進んだディック・ハイマンが、ジェイムズ・ブラウンをミニ・モーグでカヴァーしたことを想起させる楽曲だ。ビッグ・バンド・ジャズとエレクトロやニューウェイヴが出会ったような “ウォーキー・トーキー” からは、ピッグバッグやリキッド・リキッドなどに通じる世界が見えてくる。パーカッシヴなアフロ・サンバの “サンバコントゥ” は、前述した “テイク・ザ・S・トレイン” や “キャラヴァン” に準じるようなアプローチで、未来のエキゾ・サウンドとでも言うべき世界を作り上げている。“ダブ・デ・パブロ” はノスタルジックなラテンと実験的な電化ダブ・サウンドの融合。こうした取り合わせの妙がジミの音楽にある。

 演奏家としてのジミはフルートをもっとも得意とするのだが、スペース・エイジ・ジャズ的な “アナザー・スペース・トラヴェル” ではそんなフルート演奏が幻想的な世界を作り出す。“エスポー” は土着的なフルートの即興演奏を繰り広げる小曲。テナー・サックスを演奏する “ダウンタウン” は、短い曲ではあるが比較的に即興演奏家として姿を垣間見せるもので、またオーケストラ風のサウンドを指向する点も後のジミの活動を暗示している。“プラン・ナイン” もサックスの即興演奏とフィリーフォームなシンセが独特のムードを生み出す。
 また、この時期はオルガン演奏も数多く取り入れており、アフロ・ジャズ風味の “サロ” ではチープとも言えるオルガンの音色が独特の味を出している。エロティックなジャズ・ファンクの “オー・セックス” もそうで、時計仕掛けのようなオルガンと疑似ビッグ・バンド風のブラス・サウンドがアクセントとなったキッチュな楽曲。
 そしてドリーミーなソウル調の “ドゥーイン・オールライト” は、1990年代に広まったラウンジ・ミュージックの概念を映し出すような楽曲。この曲やムーディー・ジャズの “マイ・ウーマン” ではジミのヘタウマなヴォーカルが聴ける。抽象的な電子音にはじまる “トラヴェラーズ・ケイプ” は、ハウスとエキゾ・サウンドやスペース・エイジ・ジャズが一緒になったような不思議な世界。どこかノスタルジックな中に近未来を想起させ、一歩間違えれば極モノとなりそうな微妙な匙加減がこの頃のジミ・テナーの魅力だったと言える。

Matthew Herbert - ele-king

 2年前、ブレグジットに触発されたビッグ・バンド作品を送り出したマシュー・ハーバート。彼のソロ名義による新たなハウス・アルバム『Musca』が10月22日にリリースされる。レーベルはいつもの〈Accidental〉。
 同作は昨年のロックダウン中に録音されたそうで、これまで一緒にやったことのない8人のヴォーカリストがフィーチャーされているとのこと。
 ハーバート自身のコメントによれば、新型コロナウイルス感染症のみならず、政治的暴力の増加、フェイスブックと親和的なファシズム、白人至上主義、気候変動などがテーマになっているようだ。現在リード・トラック“The Way”が公開中。


PDP III - ele-king

 PDP III はブリットン・パウエル、ルーシー・レールトン、ブライアン・リーズ (ホアコ・エス)の三人のユニットである。いまや絶好調ともいえるフランスのエクスペリメンタル・レーベルの〈Shelter Press〉からアルバム『Pilled Up on a Couple of Doves』がリリースされた。

 本作は、この三人の個性的なアーティストのコラボレーション作品として話題を呼んでいるが、制作工程としてはまずブリットン・パウエルがベースとなるトラックを作り、それをルーシー・レールトンとホアコ・エスのふたりが音を重ねてコンポジションしていったようだ。その意味でブリットン・パウエルを中心としたプロジェクトといってもいいだろう。
 アルバムには全5曲収録され、どのトラックも全リスニングへの没入度を高めるように入念に編集がなされている。電子音、環境音、ノイズなどがときに瞑想的に、ときにノイジーに展開し、硬質でありながらも、豊穣かつ複雑なサウンド・テクスチャーが圧倒的であり、実に濃密な音響作品である。

 ここで三人の経歴を簡単に説明しておこう。まずイギリスのルーシー・レールトン。レールトンはチェロ奏者であり、その音響を駆使したエクペリメンタルな音響作品で知られる。〈Modern Love〉からのファースト・アルバム『Paradise 94』(2018)でその名を知らしめ、〈PAN〉からリリースされた Peter Zinovieff との共作『RFG Inventions for Cello and Computer』(2020)や、 〈Portraits GRM〉からリリースされたマックス・アイルバッハーとのスプリット盤『Forma / Metabolist Meter (Foster, Cottin, Caetani And A Fly)』(2020)でもマニアたちの耳を唸らせた。2020年はオリヴィエ・メシアンの曲を演奏した『Louange à L’Éternité de Jésus』(〈Modern Love〉)もリリースした。

 ホアコ・エスはテン年代アンダーグラウンド・アンビエントの最重要人物である。2012年に〈Opal Tapes〉からリリースされた『Untitled』、2013年にワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(ダニエル・ロパティン)が運営していたレーベル〈Software〉からリリースされた『Colonial Patterns』、2016年にニューヨークのカセット・レーベル〈Quiet Time Tapes〉からリリースされた『Quiet Time』、そして同年2016年にアンソニー・ネイプルズ主宰のニューヨークのレーベル〈Proibito〉からリリースされた『For Those Of You Who Have Never (And Also Those Who Have)』など、どの作品もテン年代のアンダーグラウンド・アンビエントを代表するアルバムといっても過言ではない傑作ばかりだ。特に『For Those Of You Who Have Never (And Also Those Who Have)』は、アンビエント・マニアであれば名盤として聴き続けているような作品である。その意味でアンビエント・音響マニアからもっとも新作を期待されているアーティストのひとりといえる。とはいえ先に挙げたアルバム数からも分かるように非常に寡作な作家でもある。よって PDP III 『Pilled Up on a Couple of Doves』に参加していることは、本作の重要なトピックなのである。

 PDPⅢ の要ともいえるのがニューヨークのサウンド・アーティスト、ブリットン・パウエルだ。NYの〈Catch Wave〉から2020年にリリースされた『If Anything Is』は物音系・コンクレート作品として素晴らしい出来だった。パウエルのサイトに記された一文によると(https://www.britton-powell.com/About.html)、「エレクトロニクス、ビデオ、パーカッションを用いて、音響心理学的現象、ミニマリズム、非西洋音楽の伝統を探求している」音響作家である。インスタレーション作品でもあった「If Anything Is」は、「ハイパーリアリティと資本主義のテーマを、サウンドとマルチ・チャンネル・ビデオのためにデザインされたミクストメディア環境で表現したもの」らしい。加えて「If Anything Is」は、「急速に進むメディアと商業の世界に直面して、経験の恍惚とした交換を探求している」ともいう。「テクノロジー、儀式、都市の景観の交差点についての瞑想であること」をテーマとしているようだ。私見だがこの「儀式、都市の景観の交差点についての瞑想」は、そのまま PDP III 『Pilled Up on a Couple of Doves』にも通じるテーゼのように思える。

 PDP III 『Pilled Up on a Couple of Doves』には全5曲のトラックが収録されている。どの曲も電子音のテクスチャーが複雑にレイヤーされている。それもそのはずで、パウエルが2年の歳月をかけて編集に編集を重ねて完成させたのだ。なかでも3曲目 “Walls of Kyoto” から4曲目 “49 Days” のサウンドの変化がアルバム中でもクライマックスともいえるほどにドラマチックに展開する。
 ます “Walls of Kyoto” では瞑想的なサウンドが次第にノイジーな音響空間へと変化する。京都という古都/都市のなかにひそむ音と音が、次第にズームアップされていくかのような圧倒的なサウンドスケープだ。そして “49 Days” ではルーシー・レールトンのチェロと硬質な持続音が真夜中のざわめきのようにひっそりと変化を遂げていく。この曲もまた瞑想的であると同時に不安を引きだすような白昼夢のムードを放っている。実に濃密な16分間の音響空間を生みだしている。

 全5曲、すべてのサウンドが、まるで聴き手の聴覚を拡張するかのように進行する。その意味では非常にサイケデリックなアルバムともいえる。アートワークにニューヨークの詩人・写真家・映画作家アイラ・コーエンによるサイケデリックなイメージの1967年作品「Alien Intelligence」が用いられていることもその証左になるのではないか。
 都市の景観、都市の儀式、都市の瞑想、都市のノイズ。そこから生まれる意識の拡張。そう、『Pilled Up on a Couple of Doves』は、21世紀の都市に生きるわれわれの精神的な瞑想と拡張のために存在するような常備薬のような音響音楽である。2021年という不安な年だからこそ何度もそのシンセティックでノイジーなアンビエンスなサイケデリックな音響空間に没入したいものだ。自己と世界の関係性を音によって再考するかのように。

interview with Satomimagae - ele-king


Satomimagae
Hanazono

RVNG Intl. / PLANCHA

FolkAmbient

 サトミマガエの新作『花園』を聴いていると、まだマンションが乱立する前の、昔の古い世田谷の迷路のような小道に迷い込んで、偶然いままで知らなかった小さな空き地に出たときに感じた嬉しさのようなものを感じる。そこにはやはり小さな草花が風に吹かれているのだ。
 サトミマガエをぼくに教えたのは畠山地平だった。彼のレーベル〈White Paddy Mountain〉からリリースされた『Koko』があり、『Kemri』があった。畠山のイベントに出演した彼女のライヴにも行った。高円寺のとあるお店の地下スペースで、10人にも満たない人たちを前に、彼女はアルバムで聴いた印象の通りの静的な佇まいをもって、抑揚のない独自の歌い方と魅力的なギターを披露した。おそらくその週末の東京のいたるところで演奏されたどの音楽よりも、そこは静かだったはずだ。

 彼女の新作『花園』が〈RVNG Intl.〉を通してインターナショナル・リリースされるのは、楽しみというほかない。アンビエント・フィーリングを持った彼女の作品は、ひとつのサウンドとしての面白さが充分にある。物静かで音数は少ないが、細かいアレンジが行き届いており、ギターと歌以外の小さな音がほかにもこの小さな世界に共鳴している。そこから見える景色は、モノクロームではない。アルバムのアートワークのようにカラフルでもある。
 今回は初めての取材なので、ものすごく基本的なところから質問している。日本から登場したこの異色のアーティストにひとりでも多く興味を持ってもらえたら幸いだ。

いろんな感情を中和するものを作りたいなと思って。刺激のある音楽の間に挟んで聞くような休憩の音楽、でもそういう音楽が大事なときもあるなと思ったんですよね。

生まれと育ちはどちらなのでしょうか。

サトミマガエ:茨城県です。

ギターに興味をもたれたきっかけは?

サトミマガエ:中学生くらいのときにあった選択音楽という授業でギターを選びました。家にギターがあったので弾けたら面白いかな程度でやってみたということです。少し弾いてみたら楽しくなりすぐにのめり込みました。最初は学校で発表するという名目でやっていたので、当時流行っていたJポップなんかをやって。

お父さんがアメリカで買ってきたブルースのレコードが好きだったという話を聞きましたが。

サトミマガエ:家族で2年間アメリカに住んでいたんです。アメリカでも父親が友だちに紹介してもらった古いブルースを聴いていたし、それを日本に帰ってきてからも車とかでかけたりして。当時は好きというわけではなかったけれどよく耳にはしていましたね。

自分で能動的に音楽を聴いたり、あるいは演奏をするようなきっかけであったりとか、そういうのは別にありましたか?

サトミマガエ:小学生の高学年くらいからクラブ活動でトランペットを吹きはじめたんですよね。演奏より合奏がそのときは楽しいと思っていて、中学生でも吹奏楽部に入ってトランペットをやっていましたね。

トランペット吹くのって小学生には難易度が高くないですか?

サトミマガエ:そうですね。

じゃあいまでもけっこう吹ける?

サトミマガエ:いまはあんまり吹けないですけど(笑)過去の曲で何回か吹いています。それで中学生の終わりころにコンクールの練習で、先生がいないときに指揮台に立って各楽器に指示をだしながら曲をまとめていく役割を任されたことがあってそれぞれの楽器をコントロールしてひとつの曲にするという、そういう合奏の楽しさをそこで感じました。

じゃあポピュラー・ミュージックといったものにはあまり縁がなかったですか?

サトミマガエ:聴いてはいたけど夢中になるような感じではなかったですね。

でもどこかで夢中になったことが……

サトミマガエ:高校にはいったときに友だちがいわゆる洋楽を教えてくれて、そこからですね。そのとき友だちが教えてくれたのはニルヴァーナとレッド・ホット・チリ・ペッパーズでした。

そこからどのように発展していったのですか?

サトミマガエ:バンドでベースを弾いてと頼まれベースを聴くようになったんですよね。それでずっとレッド・ホット・チリ・ペッパーズを聴いて練習していました(笑)。あとはレディオヘッドとか、ナンバーガールとかみんな聴いていたものを聴いて。そのあと大学に進んでベースをバンドで弾きたいと思って軽音部に入りました。理系の工学部のほうにあった軽音部だったので、電気とか機材に詳しい人が多くて音楽機材のことをたくさん学びました。

分子生物学を専攻していたと。

サトミマガエ:そうです。そこでもうすこしマニアックな音楽、いわゆるもっとデジタルな音楽に出会って。さらにそのあと美術系に進んでいた姉のお手伝いで現代アートと関わる機会があって、そうするとまたまた知らなかった音楽に出会って、現代音楽や実験音楽のフィールドも知りはじめて。けっこう衝撃で本とかも読んだりしました。出会った音楽はぜんぶ歴史を調べながらというか、「すごいなぁ」と夢中になりながらいろいろ聴いてきましたね、古いフォークとかも一時期聴いてみたり。

とくに好きだったのは?

サトミマガエ:とくに大好きというのはいなかったですね。エイフェックス・ツインやフアナ・モリーナとか、いまも新しいリリースをフォローしているアーティストは何人もいるんですけど。軽音部にいたときに、電子音楽に興味が湧いて古いものからエレクトロニカ、テクノをたくさん聴きました。友だちにクラブ行ったりDAWやってる人も少しいて、クラークを敬愛してる人がいたり、電子音楽はその頃からずっと憧れの音楽という感じで今も好きです。
その後、さきほどお話ししたように現代アートと触れる機会があり、より実験的な音楽に興味を持って 『音の海』(デイヴィッドトゥープ著)という本を読んだんですけど、それが当時自分にとって知らない世界が開けたようで衝撃でしたね。
その後学生が終わった後に出会った中東やアフリカ、インドの音楽もそれと同様の衝撃がありました。知らない音楽はたくさんあるのに見えてないだけなんだな、と。

いま創作活動をやっているなかで大きかったと思えるようなアーティストであったり作品であったりはありますか?

サトミマガエ:(すこし考えて)いろいろあって難しいな(笑)。

サトミさんの場合はスタイルがあるというか、ひとりでギターの弾き語りというのがベースにありますよね。なぜそういうスタイルになったのでしょうか。

サトミマガエ:ギターは自分が唯一コントロールできている楽器という気がします。いまだに発見があるから、まだできそうなことがあるなと。ピアノとかも試したけどやっぱりうまくいかなくて、私はけっきょくギターで作曲することしかできないのかなって。ギターマニアとかコレクターというわけではないですけど。

例えば好きなギタリストがいたりとかは?

サトミマガエ:ニック・ドレイクを聴いたときは、いままで聞いたことがない感じがしました。耳コピでちょっと練習しましたね。ほかに、ホセ・ゴンザレスも最初に聴いたときに普通のフォークとは違う響きやリズムがあってハマりました。ときどき、いわゆるデルタ・ブルースというか、ライトニン・ホプキンスじゃないけど古いブルース・ギターの弾き語りを動画で見たりすると、あらためてかっこいいスタイルだなと感じます。

ブルースのどんなところがサトミさんに引っかかりましたか?

サトミマガエ:足りない感じがしないところですかね。足したくなる感じがなくてギターと声だけで完結している、声と一緒にギターがほぼ歌ってますよね。あとリズムも好きですね。

いわゆる弾き語りで歌いはじめたときの歌の部分、というのはどういうふうにご自身のなかで発展していったのですか? もともと歌っていたんですか?

サトミマガエ:中学生くらいから歌ってはいましたけど、綺麗な声じゃないし地声に自信もなかったのでぜんぶ裏声、みたいな。とにかく自分の声の嫌な部分をごまかして歌う方法を探っていました。シンガーとしてはぜんぜん自信はなかったんですけど、とにかく自分の声で成り立つ音楽を作ろうという感じでした。

人前で歌いはじめたのはいつごろですか?

サトミマガエ:ちょうど20歳くらいですね。

場所は東京でした?

サトミマガエ:東京です。

大学で東京に来られた?

サトミマガエ:はい。

そのときはもちろんひとりで?

サトミマガエ:バンドに1回はいっていたのでそこでヴォーカルをやっていたこともあります。そのあと自分の音楽をやりたくなったから自分でもやっていたけどソロではやってなかったですね、人にはいってもらったりしてやっていました。

バンドで歌っていたということは、つまりサトミさんのバンドがあったんですね。

サトミマガエ:そこのヴォーカルが抜けちゃったからはいって、みたいな感じでしたね。

なるほど、じゃあ別にサトミさんが作ったバンドというよりも……

サトミマガエ:ぜんぜん違います(笑)。あとはベースを弾いていたので基本的にずっとバンドでやっていましたね。ほとんど軽音部でやっていたからコピーバンドだったんですけど。

20歳くらいからライヴハウスにでて歌おうと思った理由はなんですか?

サトミマガエ:やっぱりどこかでずっと音楽を作っていきたいと思っていたので……、人に知ってもらおうとなったら、ライヴをしなきゃならないのかなと感じて。

月に1回くらいとか?

サトミマガエ:いや、もっとやっていたと思います。

けっこう積極的にやられていたんですね。畠山地平くんがたまたまライヴで聴いて、彼のレーベル〈White Paddy Mountain〉からださないか声をかけたという話を彼から聞いたのですけど、ああいう畠山くんみたいなアンビエントやドローンであったりとかはサトミさん自身はどうでした? 

サトミマガエ:アンビエント・ミュージックにはよく触れていたし興味はあったんですけど、そんなに自分の普段聴く音楽として聴いてはいませんでしたね。畠山さんのレーベルからお誘いをうけて見てみたら、全体の美学がかっこいいレーベルだなと思って、リリースがぜんぶアンビエントやドローン・ミュージックだけではなくて、いくつかポップなユニットとかもあったりして。レーベルを探してみたこともあったんですけど、ぜんぜん自分に合うレーベルがわからないし、まずそんなにレーベルを知らなくて。畠山さんに誘っていただいて調べてみたらすごくしっくりきたというのは憶えていますね。

ちなみに畠山くんからグルーパーというアーティストの作品を聴かされたりしませんでしたか(笑)。

サトミマガエ:聴かされてはなかったですけど、そういうふうに形容されているのはよくみて、自分は予想外でした。後からアルバムを1枚持っているのを思い出して、あぁなるほど、と思って。

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"Numa" という曲では「爽やかな諦念」がテーマです(笑)。鬱々したものではなくて、その身を任せている変化の流れ、風のような流れを楽しんでる様子を書きたかったです。

ヴォーカリストで影響を受けた人とかいますか?

サトミマガエ:女の人のヴォーカルがずっと苦手で好きじゃなかったんですけど『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を高校生で観て、そこで歌っているビョークの歌声で初めて女性の声もいいんだなと思いましたね。叫んでいるんだけど柔らかいというか、そういう女の人のヴォーカルにはじめて出会って。

しかしサトミさんの歌い方はビョークのように感情を露わにしないことが特徴だと思います。感情をあらわにしないこと、あるいは言葉をはっきり歌わないこと、それ自体がサトミさんのひとつの表現になっているように思ったんですけど、どうでしょうか。

サトミマガエ:日本語が聴き取れないとはよく言われるんですけど、じつはあまり意識したことはないんですよね。日本語ってすごくカクカクしていて、言葉が飛び出てくるというか、日本語はすごく言葉が強いと思うんですよね、強く歌うと詩だけがはいってきてしまう感じがある。そういう詩を聴いているだけのような音楽は、私は説教されているような感覚になることが多くて。言葉も音楽と一体になっていてほしいというのがいつもあって。たぶんそのせいで、そういう歌いかたになっているのだと思います。

サトミさんにとって歌詞というのはどういうふうに考えていますか?

サトミマガエ: まえのアルバムにいけばいくほどなにを言おうとしているのか完全に理解されたくない、というのは強いと思いますね。歌詞に関しては。

理解されたくない?

サトミマガエ:正直に言うと、自分の書こうとしている歌詞がはっきりと浅はかだってバレて曲を台無しにしてしまうのがいやなので(笑)。

そんなことはないでしょう(笑)。ちなみに好きな本とか作家はいますか?

サトミマガエ:最近はあまり読めていませんが、昔は日本の純文学をずっと読んでいましたね、川端康成とか谷崎潤一郎とか。

めちゃくちゃ純文学ですね。

サトミマガエ:とにかく綺麗な日本語を勉強しようと思って。

谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」はサトミさんの世界観にあるかも(笑)。

サトミマガエ:昔の本ってけっこう難しいんですよね。いつの間になにか起きているけど注意して読まないとそれがわからない、みたいな。大きなドラマがあるわけではなくて、ただ細かい文章だけから映像を想像していくというところが少し癖になっていました。

今回のアルバムが〈RVNG Intl.〉からでることになった経緯というのはなにがあったんでしょうか。


Satomimagae
Hanazono

RVNG Intl. / PLANCHA

FolkAmbient

サトミマガエ:海外のレーベルに詳しい知り合いに、かっこいいレーベルを教えて欲しいと頼んだらそのなかに〈RVNG Intl.〉がはいっていました。それで自分でも調べたら、FloristというバンドのヴォーカルのEmily A. Spragueがソロプロジェクトでバンドとは違った音楽をリリースしているのをそこで発見したりして、おもしろそうと。デモを送ってみました。でも実はRVNGのまえに〈Guruguru Brain〉が返事をくれて、今回はCo-Releaseで〈Guruguru Brain〉からも同時にリリースしてもらえることになりました。

今回のアルバム・タイトル『花園』というのはどこからきているのでしょうか。

サトミマガエ:いままでに比べてオープンでフラットにすることをすこし意識していて。

すごくカラフルですよね、いままでの作品より。

サトミマガエ:そうそう、そういうイメージです。だけどまだ少し閉じているというか、家の外ではあるし、外の世界と繋がっているけれどあくまでプライベートな空間というか、そういうイメージです。それと子供らしさ……、曲を書いていた時期に子供のニュースをよく見かけまして、あまりよくないニュースですけど。音楽のなかにそういうテーマもはいりこんできましたね。なんかね、『花園』っていうと……華やかで、一生懸命手入れするのに別に人に見せないという、それが子供らしさというか、ピュアな創造という感じに繋がるんですね。

子供たちにとってのユートピアみたいな。

サトミマガエ:うーん、そうですね、楽園……現実逃避ではないんですけど、広い世界がみえていないというかね。それって子供もそうだけど、ときどき大人もそうだなと。そういう感じだけれど内向的な暗さはなく、社会と繋がっているしあくまで外にあるというイメージで『花園』がしっくりくる。

なぜ外に向けて開けきらないんですか?

サトミマガエ:それは私がまだ開けきらないなって思ったからで(笑)。

でも閉じた感じというのがサトミさんの作品の魅力ではあると思いますよ。

サトミマガエ:そうですね。前のふたつの作品とか、というかいままでの作品はぜんぶそうだったと思います。

『Hanazono』は音の細部が丁寧に作り込まれていますよね、サブベースのような音があったり、フィールド・レコーディング的なものもあったり、あるいはすごく小さな音量で別のメロディが鳴っていたりとか。注意深く集中して聴くといろいろな音が聴こえるような音作りになっていて、むしろ広がりがあると思いました。

サトミマガエ:ありがとうございます。BGMだけれどただ退屈に流れているだけの音楽ではなくて、ちゃんと鳴っている音楽、というのを目指していました。プレーンな感じ……、いろんな感情を中和するものを作りたいなと思って。刺激のある音楽の間に挟んで聞くような休憩の音楽、でもそういう音楽が大事なときもあるなと思ったんですよね。

レコーディングのやりかたもいままでとは違っていると思いますが、どのように進めたのでしょうか?

サトミマガエ:作っている段階ではレーベルが決まっていなかったのもあって、とくに誰かの期待に応えるようなかたちで作っていなかったのもあったのかもしれません。ほとんど家で録っているんですよね。

あんまりいままでと作りかたは変わらなかったと?

サトミマガエ:あ、でも前回のふたつはスタジオでちゃんと録音していたので。

今回は家の中でぜんぶ作ったと。

サトミマガエ:ほぼそうですね。浦和さんがいれたもの以外は家で作りました。

それじゃ家に小さいベットルーム・スタジオみたいなものがあるんですか。

サトミマガエ:いまいる部屋なんですけど、この狭い部屋で(笑)。だからけっこう外の音とかはいっちゃっている曲もあるんですよ。

最後の“Uchu”にもはいってますもんね。あとボーナストラックにフィールド・レコーディングっぽい音がはいっている。

サトミマガエ:あれは散歩して録ったやつですね。

なるほど。じゃあけっこう時間をかけて作った感じですか?

サトミマガエ:かかりました。2018年くらいに曲自体は書き終わっていたので、そこから2019年の間はデモにするためにミックスやレコーディングをして、それで去年はずっと仕上げをしていました。

ギターの弦の音とかすごく綺麗になっていて、曲によってはギターとかを重ね録りしているんですか?

サトミマガエ:曲によってはしています。でもなかには一発録りのもあって。スタジオでやるっていうのがなかったから、できたらすぐ録るというのも可能だったんですよね。一番最初が一番良いテイクということもあるので。
■サトミさんのスタイルってすごく独特だし世界観ができあがっているから、逆にアルバムのなかで曲ごとのヴァリエーションはどういうふうに考えてらっしゃいますか?

サトミマガエ:今回はヴァリエーションというか、ひとつのアルバムが一気に流れていくような作品にしたいということはいままでではいちばん意識してました。曲ごとのカラーをけっこうがらっと変えながら、全体としてはひとつの空間にまとまっているような。

今回は英語の歌詞が半分で日本語の歌詞が半分ですか?

サトミマガエ:そうですね。

英語と日本語で半々にしたのはインターナショナル・リリースということがあったからですか?

サトミマガエ:いままでは日本語で歌うというのは自分の音楽の特徴のひとつに捉えていたんです。『Potopo』という自主制作のEPではじめて全部英語の曲をひとつ書いてみたら、別に英語で歌っても自分の曲らしいまま書けるなと思って。今回はオープンにしたいというものあって日本語にこだわらず書いてみたという感じです。

先ほど子供の話をしていただきましたけど、ご自身はこの作品を通じて何を伝えたいと考えてらっしゃいますか?

サトミマガエ:メッセージかはわからないですが、今回のアルバムの“花園"を作ってたときにテーマとして出てきたのは 自分の中や外で大きく起こる変容を受け入れる、身を任せる、ということでした。"Numa" という曲では「爽やかな諦念」がテーマです(笑)。鬱々したものではなくて、その身を任せている変化の流れ、風のような流れを楽しんでる様子を書きたかったです。歌詞がいつもパーソナルになってしまうんですけど、さっき言ったような中和する音楽を目指していたので、今回は日記のようにならないよう曲ごとにまずありふれたモチーフを思い浮かべてみたんですね。石とか風とか海とか。それに投影するかたちで曲をもう少し普遍的なものにしたいと思って。

なるほどね、わかりました。ありがとうございました。またライヴでお会いできることを楽しみにしております。ありがとうございました。

サトミマガエ:ありがとうございます。

(4月22日、ZOOMにて)

Vladislav Delay - ele-king

 年末のサウンドパトロールでも書いたが、サス・リパッティ(1976-)ことヴラディスラフ・ディレイはバンドキャンプ上でのサブスクリプションを通して、自身の過去作の大部分と、新曲を毎月発表している。そこから見えてくる彼の経歴は実にユニークだ。VD名義の出世作となったベーシック・チャンネルの〈Chain Reaction〉から出した一連のシングルとその収集版である『Multila』(2000)や〈Mille Plateaux〉の『Anima』(2001)など、ダブ・テクノやグリッチ/アンビエント史の重要作は今日においてもその輝きを失っていない。2018年に出たコード9とベリアルの『Fabriclive 100』のミックスでも象徴的にプレイされていた “Otan Osaa” が入った『Demo(n) Tracks』(2004)を聴いてみても、サンプリング、グリッチ、低音そしてそこにダブを投入する才能が20代でここまで爆発していたのかと驚く。
 グリッチやアンビエントに加え、リパッティの探求においてリズムもひとつの鍵である。彼はテクノよりもジャングルやD&Bを愛し、ルオモ名義で取り組んだハウスよりもUKGの2ステップを愛する男である(リズム&サウンドの “Truly” リミックス(2006)が良い例だろう)。彼はもともとジャズ・ドラマーで生粋のリズム・コンシャスであり、その腕はモーリッツ・フォン・オズワルドにも買われ、彼のトリオにも一時期参加することにもなり、近年では自らの即興演奏カルテットでもドラムを叩いている。このリズムへの好奇心はシカゴにも接続され、リパッティ名義でのフットワーク作も生まれた。三田格が言うようにポーター・リックスマイク・インクらと並び、リパッティはベーシック・チャンネルの影響を抜け出してオリジナルをやった少数派のひとりであり、このリズムをめぐる変遷がそのことを証明している。
 研ぎ澄まされた感覚が10年代の〈Rastor-Noton〉からの諸作を生み、さらにはスライ&ロビーとの『Nordub』(2018)と去年の『500-Push-Up』に繋がっていく。これは彼の歴史のごく一部だが、そのキャリアを聴きまくった末にこうして昨年『Rakka』の続編である今作『Rakka II』が届けられたのだから、僕はこうして筆を取らないわけにはいかなかった。リリース元は引き続き、シェイプトノイズの〈Cosmo Rhythmatic〉。6月には絶好調の〈Planet Mu〉から、リパッティ名義でのアルバムもリリースされる。

 デンシノオトが前作のレヴューで書いているように、『Rakka』シリーズはライフスタイルと多くの機材を売り払ったことによる転換を迎えて生まれたものだ。多くの人間がそうであるように、リパッティの人生は変化に溢れている。20代に多用していたドラッグをきっぱりとやめ、パートナーの電子音楽詩人 AGF と結婚し、子供ができ、2008年に拠点としていたベルリンを離れフィンランド北部に位置する人口約1000人のハイルオト島に移住。自分で木を切りスタジオまで建てている。そのなかでも音楽生活の比重を自然散策にずらすことによって生じた影響が重要だと本人は語っている。プレスリリースは、ここには彼がフィンランドの自然環境が持つ音楽構造によって制限されることのない、力(フォース)の描写があると予想している。ここにはスピリチュアルな解釈も可能かもしれないが、リパッティの言葉によれば、彼が身をおく環境は風が唸る音が非常に轟音で、それに耳が慣れた影響が『Rakka』にはあるだろうとも語っていた。
 たしかに『Rakka』はラウドな音楽である。『II』を例にとれば一曲目の “Rakkn” は、吹雪のように細かいディストーションがかけられたドローンが両耳の聴覚を覆い、そこに左チャンネルのさらに歪んだノイズが定期的に回転し、高音域の反復がサイレンの警戒音のごとく聞き手の情動に作用。そのすぐ後に低音域のドローンがなだれ込んでくる。その後も多種多様なマテリアルが左右のスピーカーを飛び交っていき、轟音と音像にと圧倒されつつ、中盤からさらにキックの連打が打ち鳴らされる。いわゆるテクノ・マナーなど皆無で、音像は近年のSFのサウンドトラックのようでもある。とにかく、最小限かつマキシマムにエネルギーが解放されていく。
 『I』と同様の機材セットアップで作られているため、『II』も前作に似た歪んだヴァイオレントなテクスチャーを部分として持っている。彼の重低音を支えてきたモーグシンセを売り払い、DAWのロジックをメインにし、同ソフトウェアに初期装備されている EXS24 サンプラーを多用した、と彼は答えている(ロジックは去年サンプラーのインターフェイスを刷新して、いまのヴァージョンはかなり見やすいのだが、リパッティが使用しているのはその前世代のものだろう)。ラップトップに取り込まれた音は、ラットやビッグマフといったギター・エフェクターに送り込まれる(彼はフィンランド人らしくメタルの影響も受けている。『Rakka』のラウドな縦ノリ感はそこにも通じる?)。生々しい歪みたちは、彼のスタジオのエコロジーの産物だ。マッシヴなサウンドだけではなく、“Rakas” のような穏やかな曲においても、そのテクスチャーは独自のナラティヴを持っている。
 先ほど、彼のリズム・コンシャスについても触れたが、『Rakka』二部作もその延長線上にある。視界が開けた二曲目 “Raaa” において、太陽光のようなドローンを区切るようにキックはポリリズミックに鳴り、それと呼応するように、シンセの反復音は定期的にトリガーされる。ここにある言語は、間違いなくリズムだ。このリズムの迷宮は6曲の “Ranno” においてピークに達する。冒頭から断続するノイズの反復が時に遅延と揺らぎを含みつつ、ふたたびポリリズミックなキックが空間に介入していく。もちろんノイズやトーンの揺れは彼が愛するジャズのように即興的で詩的であるものの、このリズム構築は恐ろしいほどまでに細部までコントロールされている。
 これらが自然環境における人間の制約から無縁のフォースを『Rakka』で描写していく。いわゆるジェネラティヴ・ミュージックは、音楽構造のパターン化をアルゴリズムの生成によって偶発的に乗り越えていく。また、ランダムに発信するLFOによってシーケンサーやフレーズを規則性がないかのように構築する手法もある。リパッティはそのようなランダム性による「開放」の描写を目指すのではなく、徹底的にコントロールされた複雑なリズムを経由して自由/自然の輪郭を炙り出そうとしている。気象や地質的な非人間的アクター、そしてそれを感じる人間が織りなすエコロジカルな連鎖反応ものとしても映る。トレッキング・シューズに覆われた旅人の足が、地図をロジカルにたどり、非ロジカルに広がる岩の上を進んでいく身体性。そこにもリズムはたしかにある。

 『II』の表ジャケットは『I』の裏ジャケットを鏡写に反転させたもので、前作のピンク色に染められた入江は今作で緑に変わっている(入江の写真はリパッティの娘が撮影したもの)。この色彩と虚像関係の意図は不明だが、少なくとも、ここにはことなるモーメントがはたらいているようである。プレスリリースにあるリパッティの説明によれば、『II』は「希望とオプティミズムに満ちたロマンティックな夏のヴィジョン。一作目のブルータリストのヴァイブスのあと、嵐は過ぎ去り、空は晴れはじめている」とある。たしかに『I』の “Rakkine” で見られた視界を遮られた奈落の暴風雨のようなサウンドというよりは、『II』には終曲の “Rapine” のように、決して晴天ではないものの、彼方の空が晴れていくような感覚を覚えなくもない。いたずらに称賛される主体から切り離された対象ではなく、そこに参加することによって感じとられる恐怖にも希望にも転じる曖昧なグラデーションを保つアンビエンス。卓越したスタジオ・サイエンスを通して、ヴラディスラフ・ディレイが今日の我々に提示するのは、そのような自然像である。

食品まつり a.k.a foodman が〈Hyperdub〉と契約!! - ele-king

 これはビッグ・ニュースだ。サン・アロウの〈Sun Ark〉から名作『Aru Otoko No Densetsu』がリリースされ、すでに2年半ほどが過ぎている。次のアルバムはいったいいつ……と期待を募らせていたリスナーも多いだろう。フットワークに触発されながらその後、文字どおり唯一無二のエレクトロニック・ダンス・ミュージックをつくりつづけてきた文字どおりの異才、食品まつり a.k.a foodman が、なんと、〈Hyperdub〉と契約。7月9日に新作『Yasuragi Land』をリリースする。これは、ビッグ・ニュースだ。
 現在、新曲 “星くず展望台” が公開中。曲名どおりロマンティックな要素を持ち合わせつつも、彼らしい独特のリズムが盛大に炸裂している。この夏の必聴盤、確定でしょう。

食品まつり a.k.a foodman

名古屋在住のエレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、
食品まつり a.k.a foodman
Pitchfork の年間ベストにも選出されるなど、
ワールドワイドな活動を続ける彼が、
レフトフィールド・ミュージックにおけるUKの最重要レーベル、
〈Hyperdub〉と契約!
最新作『Yasuragi Land』を7月9日にリリース決定!
新曲 “Hoshikuzu Tenboudai” がMVと共に解禁!

名古屋在住のエレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、食品まつり a.k.a foodman。これまでに Pitchfork、FACT Magazine、Tiny Mix Tapes などの海外メディアで年間ベストに選出され、Unsound、Boiler Room、Low End Theory といったシーンの重要パーティーへの出演も果たしワールドワイドな活動を広げる彼が、レフトフィールド・ミュージックにおける最重要レーベル の一つ、〈Hyperdub〉と契約、最新作『Yasuragi Land』を7月9日にリリースすることが発表された。併せて新曲 “Hoshikuzu Tenboudai” のMVが現在公開中となっている。

Foodman, Hoshikuzu Tenboudai
https://youtu.be/5qUCYUI1IqA

食品まつり a.k.a foodman こと樋口貴英(ひぐちたかひで)は、名古屋市出身で、現在も名古屋を拠点に活動をしている。アーティストとしては2010年代初頭に台頭したジュークやフットワークに大きな衝撃を受け、その後の自身の音楽形成に影響を与えたという。彼が伝えているのは、ジュークやフットワークの精神と感覚であり、彼の型破りなスタイルはそれに由来するとも言える。また、他のアーティストのプロデュースも行っており、アルバムにゲスト参加している Bo Ningen の Taigen Kawabe とタッグを組んで Kiseki というデュオでの活動も行なっている。

十代の頃から人前でのパフォーマンスを続ける彼は、人と集まってジャム・セッションしていたことがこのアルバムのインスピレーションになったという。それは一人で行う制作からは得られないものであり、そこから着想を得たサウンドとフィーリングをつなげて完成したのが本作『Yasuragi Land』の核心である。

また、アーティスト名やアルバムのアートワークから想像できるように、彼は食への大きな関心を持っており、アルバムに収録したトラックタイトルにもそれが反映されている。さらに、サウナ好きでも知られる彼が定期的に通う地元の銭湯や、道の駅、パーキングエリアの食堂でのささやかな楽しみにインスパイアされた楽曲も収録されている。

ああいう所に行ったら、その場の雰囲気を楽しむことができます。自分が作りたいと思ったのは、ギターとパーカッションのサウンドを、先が見えないながらも今感じられる穏やかな社会の感覚と組み合わせた真摯なアルバム。『Yasuragi Land』はそんな ‘平穏’ な場所なんです。 ──食品まつり a.k.a foodman

今回のアルバムは〈Hyperdub〉としては珍しくベースが使用されておらず、それによって『Yasuragi Land』は爽やかで洗練された印象を与える。このハイパー・リズミック・ミュージックとも形容できる作品は、2、3のシンプルなツールを用いて制作され、リスナーに脳内でのダンス体験をもたらす。“Yasuragi” や “Parking Area” は、まるで丁寧に分解されたアコースティック・ジャズのようで、“Ari Ari” はマンガに登場するしゃっくりが飛び散ったようなディープ・ハウスだ。“Hoshikuzu Tenboudai” と “Shiboritate” はライヒのようなミニマル・ミュージックのトランス的な要素がアップデートされポリリズム化した楽曲とも表現できる。“Food Court” には機械的なリズムと素朴なメロディが入り組み、“Galley Café” ではキュートな木笛のメロディとマイクロエディットされた木製ドラムが対になっている。ヴォーカル・トラック2曲のうち、Taigen の “Michi No Eki” では、Magma の楽曲のような複雑なロックをカジュアルでデジタルに描き、“Sanbashi ft. Cotto Center” は80年代のR&Bを彷彿とさせる。アルバムを締めくくる “Minsyuku” には、ダフトパンクのトラックから拝借したようなギターが聞こえ、隙間なくもつれ合ったドラムに織り込まれている。

彼の鬼才ぶりが発揮された待望の最新作『Yasuragi Land』は〈Hyperdub〉より7月9日にリリース! 国内盤CDにはボーナストラック “Super Real Sentou” が収録され解説が付属する他、輸入盤CD、デジタルと各種フォーマットで発売される。また、輸入盤LPは8月中旬に発売される予定となっている。

label: BEAT RECORDS / Hyperdub
artist: 食品まつり a.k.a foodman
title: Yasuragi Land
release date: 2021/07/09 ON SALE
* 輸入盤LPは8月中旬発売

国内盤特典:ボーナストラック追加収録 / 解説書封入
CD予約: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11814
LP予約: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11815

tracklist:
01. Omiyage
02. Yasuragi
03. Michi No Eki ft Taigen Kawabe
04. Ari Ari
05. Shiboritate
06. Hoshikuzu Tenboudai
07. Shikaku No Sekai
08. Food Court
09. Gallery Cafe
10. Numachi
11. Parking Area
12. Iriguchi
13. Aji Fly
14. Sanbashi ft Cotto Center
15. Minsyuku
16. Super Real Sentou (Bonus Track) [国内盤CDにのみ収録]

MYSTICS - ele-king

 スウェーデンのマーカス・ヘンリクソン、札幌の Kuniyuki Takahashi、そして昨年『ASTRAL DUB WORX』を発表したした東京の J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY) によるコラボ・プロジェクト、MYSTICS がアルバムをリリースする。
 なんでも、「共通する神秘主義的な思考、センスが音楽の中で爆発し、化学変化が起こ」ったそうで、ハウスを基礎にしつつ、尺八や箏、アラビック・ヴァイオリンなどをフィーチャーしたディープな一作に仕上がっているようだ。ダブミックスは内田直之。神秘的な音楽旅行を体験しよう。

3 久しぶりにCDを買った。 - ele-king

 先日久しぶりにCDを買いました。

 自分でCD買ったのは中学1年生のときのThe Strypes以来。Blue Collar Jane。懐かしい。 雑貨屋さんで良さげな音楽がかかっていて、売ってるものも可愛いし、いい店だなと思いながら見ているとCDが売っていてどうやら店内でかかっているのもそのCD。手に取ってみる と自作で小さい字でタイトルと曲名とアーティスト名がプリントされたシールが貼ってあるだけ。情報量の少なさが俄然興味をそそる。お店の方の話を聞くと店員さんの同居人が作っ たそう。ミステリアスで益々気になる。

1. Tomoya Ino - Phantasmagoria

 帰ってきて、埃のかぶったCD読み込むやつを探し出しダウンロード。17曲入りで全部良い。適当に買ったのにこんなに良いのってくらい良い。

 ほとんどインスト曲だけどギターの曲、ピアノの曲、padぽいシンセのアンビエントなどなど、バラエティ豊かだけど雑多で無く、派手すぎず地味すぎず、ちょうど良い。基本Lo-fiだけど飽きてきた頃にカオティックなノイズが出てきたり。こういうオールラウンドな“ちょうど良さ”を見つける感覚って貴重。

 残念ながら僕の買ったアルバムはネットには上がっておらず、アルバムの中の数曲が soundcloudとBandcampで聴けるようです。

 ネット上になかった僕のお気に入りの''Good morning''という曲はSteve Hiett, The Durutti Columnライクなメロディアスなギターの曲。ヴィニよりもバレアリック、チルアウト、 Lo-fi寄りなのが現代っぽい。

 最近僕はこういうまだほとんど世に知られていない音楽やミステリアスなアーティストに心惹かれる気持ちをより大切に思っていて。検索すればわりとマイナーなアーティストでもインタヴューの1、2本は出てくるし、TwitterやらInstagramで本人のつぶやきや私生活が見れる人もいるからネット上に情報が少ない人って好奇心をくすぐられる。 いままで貴重で興味深いものだったアーティストの私生活が、インターネットの発達とSNSの普及によって価値が薄れていってるのは社会全体でもあるんじゃないか。

2. Daft Punk

 さらばDaft Punk、the most enigmatic superstars in pop。いまさらダフト・パンクについてレヴューすることもないのですが、いざ解散すると言われると彼らについて話したくなる。僕は小学生のときipodに入れてもらってよく聴いていたので、たぶん僕のダンス・ミュージックの原体験はDaft Punk。自分がダンス好きって気付く前にポップ・ミュージックとしてDaft Punkを聴いてた人、若い世代だと多いのではないのでしょうか。

 久しぶりに“One More Time”なんか聴いたら、月並みですが、本当に体が勝手に踊り出す。“One More Time”の歌詞なんか気にしたことなかったけど、「We're gonna celeblate, don't stop dancing」ってダンス・ミュージックの歌詞としてこれ以上ないんじゃないかとちょっと感動。幼少期の記憶と結びついてる空っていうのもあるけど、開放と祝祭性の濃度が高すぎてパソコンの前で聴いてるだけなのにお腹がくすぐったくなる。

3. Zongamin - O! Versions

 カナダ・モントリオールの〈Multi Culti〉から2018年リリースの「O!」のリワーク版、「O! Versions」。 Mukai Susumuさんという日本生まれイギリス在住のアーティスト。Funk、Disco、House、Post Punkなど要素が多くて形容しがたいけど、怪しくオリエンタルな雰囲気で統一されて いる。自身で手掛けているジャケットのイラストも変で良い。

 KEXPでのFloating Pointsのライヴ映像でベースひいてたり意外なところで見かける。Mukai さんがメンバーのVanishing Twinというサイケバンドも◎。

4. ​Heisei No Oto - Japanese Left-field Pop From The CD Age (1989-1996)​- Various Artists

 アムステルダム、〈MUSIC FROM MEMORY〉から日本が最高潮で微妙な時代の珍妙なポップス。 僕はこの時代の邦楽全然聴いていないし、生まれてもいないので時代感もいまいちわからないのでJ-popというよりどこか近くの別の国の音楽に聞こえる。僕と同世代には新しいジャンルの音楽かも。

 細野晴臣アレンジの井上陽水「Pi Po Pa」は’90年NTTのイメージソングだったらしいですが、電話ランデブーって笑。いかにもバブリーな語感でウケる。
 シティポップ旋風もそろそろ下火かなと思ってたけどまだまだ掘り下げるようです。 そのうち“うっせぇわ”や“夜に駆ける”がどこかの国でヴァイナルとして再発されることでしょう。

Bowler Room R4 - ele-king

 ボウリングとエレクトロニック・ミュージックを組み合わせた異色のイベントが、3年ぶりに開催される。
 渡英後国内では1年以上ぶりのプレイとなる CHANGSIE や、まもなく新作を送り出す Mars89 による初のライヴ・セット、D.A.N. の Daigo Sakuragi と Kishiohno によるテクノ・ユニット Unmoutin やベテランの COMPUMA、ビート・プロデューサー Miii によるソフィーのトリビュート・セットなど、注目の出演が盛りだくさん。さらに玉名ラーメン、okadada、E.O.U、noripi、ykah と、計10組が入り乱れます。
 感染対策に気を配りつつ、ふだんは味わうことのできないボウリングとパーティを楽しみましょう。

Bowler Room R4

ボウリングとエレクトロニック・ミュージックが織りなす異色のパーティBowler Roomが3年ぶりにカムバック! ハイパーポップ含む20年代のエレクトロニック・ダンス・ミュージックへ切り込む、渾身のレイヴ・クラッシュ!!

第4回は時間が20時から朝までに拡張され、サウンドシステムが幡ヶ谷Forestlimitによりパワーアップ。渡英後国内では1年以上ぶりのプレイとなるCHANGSIE、〈Bokeh Versions〉からリリースのアルバムを下地にしたMars89の初ライブ・セット、主宰の1人Daigo Sakuragi (D.A.N.)とKishiohnoによるテクノ・ユニットUnmountin、竹久圏とのアルバムをリリースしたベテランCOMPUMA (悪魔の沼)、静なるハイパーポップな玉名ラーメン、オール・ミックスを体現し、様々なフィールドで活躍を続けるokadada、京都からゲトーなテイストもあるエレクトロニクスで新しいテキスチャを醸し出すE.O.U、〈Maltine〉でも馴染み深い、レーベルの新しいコンピにも収録のビート・プロデューサーMiiiによる故SOPHIEのトリビュート・セット、新旧入り乱れるレイヴ・クラッシャーnoripi、ダブステップを軸としながらサイケな質感もみせるykah、計10人がラインナップ。VJにForestlimitの名物パーティKato Massacreを起点にVRやAR等を駆使した作品や配信で3D表現を模索するJACKSON Kaki、アートワークに"ハイパー"な新世代を象徴する新興コレクティブ〈ether〉のsudden starが参加します。

ダブ/テクノ、ダブステップ/ダンスホール、 ハイパーポップ/ディコンストラクティッド、ブレイクコア/レイヴ、ハウス/ベース等の様々な文脈がビジュアルと相交わり波となり、地層となっては、また波となり、ゆっくりと流動しながら更新されるエレクトロニック・ダンス・ミュージックの新たなる交流へと踏み出す2021年のファースト・ステップ・パーティ!

Bowler Room R4

2021/03/13 sat at Sasazuka Bowl
20:00 - 05:00 powered by Forestlimit
Early Bird/早割 ¥2,500@RA *LTD50
1GAME+shoes ¥700

CHANGSIE
Mars89 - New Dawn Live set -
okadada
COMPUMA
Unmountin
Miii - SOPHIE Tribute set -
noripi
玉名ラーメン
E.O.U - Hybrid set -
ykah

VJ: JACKSON kaki
artwork: sudden star [ether]

※本イベントが3/13に再延期となったため、残念ながらセーラーかんな子は都合が合わずキャンセルとなりました。楽しみにされていた方申し訳ございません。

前売リンク:https://jp.residentadvisor.net/events/1434740

Bowler Roomとは?

投げるもよし、踊るもよし、しゃべるもよし、飲むもよし、まずはみんなでボウリング! 何故なら貴方の投げるボウルによって倒れるピンの音が本イベントにおける一番の参加なのです。そしてその高揚感とダンス・ミュージックを通じて、踊ることだけでなく、空間として、状況として、体験として、新しい “音の楽しみ方” を試みるアートであり、ボウリングとクラブを掛け合わせた楽しいパーティーであり、また音響、照明、装飾にも拘り、ボウリング場の環境音とミニマルなダンス・ミュージックのビートを混ぜ合わせた空間的な実験音楽への試みでもある、Bowler Roomはこの3つのレイヤーによって構成された新感覚のクラブ・イベントです。melting botとDaigo Sakuragi (D.A.N.)が主宰となって笹塚ボウルにて過去3回開催され、これまでにSeiho、食品まつり、Kazumichi Komatsu、YPY、MOODMAN、ERICA等が出演。

https://meltingbot.net/event/bowler-room-r1/
https://meltingbot.net/event/bowler-room-r2/
https://meltingbot.net/event/bowler-room-r3/

- 注意書 / NOTE

※200人限定。入場を確保されたい方は必ず前売り券をお買い求め下さい。
Limited to 200 people. ADV ticket is available for those wanting to ensure the admission.

※ボウリングの際には無料の専用シューズを必ず着用して下さい。
Please put bowling shoes on when you do bowling. The shoes are available for free at reception.

※ボウリングはマストではありませんが、本イベントの主旨でもありますので、1ゲームでもご参加下さい。
Bowling is not must to do but that’s the point of this event so please take part in even one game.

- 下記会場の新型コロナウィルス感染拡大予防対策に必ず従うよう、皆様のご協力よろしくお願い致します。
Please follow the bellow COVID-19 protocol at the venue

・体調がすぐれない方はご来店をお控えください。
・咳が出る場合はご来店をお控えください。
・来店時は手洗い、アルコール消毒をお願いいたします。
・マスクを着用の上ご来店ください。
・ご来店時の検温と健康チェックシートへのご記入をお願いいたします。
・状況に応じて入場制限する場合がございますので、ご了承ください。

- プロフィール

CHANGSIE

1988年千葉県銚子市生まれ。2010年頃にDubstepにハマり、本格的にDJ活動を開始。UKのベースミュージックをメインにHouseやTechnoを織り交ぜプレイ。2020年よりロンドンに拠点を移し活動中。NTS Radioでマンスリー番組を担当している。
https://soundcloud.com/changsie

Mars89

Mars89は現在東京を拠点に活動しているDJ/Composerである。 2018年にBokeh Versionsからリリースされた12インチ“End Of The Death”は、主要メディアで高く評価され、あらゆるラジオで繰り返しプレイされた。翌年にはUNDERCOVER 2019A/WのShowの音楽を手がけ、同年末その音源とThom YorkeらによるRemixをコンパイルし、UNDERCOVER RECORDSより12インチでリリース。田名網敬一のドキュメンタリーフィルム、Louis VuittonやAdidasの広告映像、豊田利晃監督の映画『破壊の日』の楽曲を手がける。 Bristol拠点のラジオ局Noods Radioではレジデントをつとめている。
https://soundcloud.com/mars89

okadada

DJ/producer。東京、関西に限らず全国各地、多岐にわたるパーティーでDJとして出演し、ネットレーベル「maltine records」やbandcampで楽曲をリリース。大規模な都内のクラブや「lost decade」「LESS」「AUDIO TWO」「now romantic」といったレギュラーパーティーから、大小、場所問わず野外フェスからコアなパーティーへの出演等、前例に無い幅広さで活動し各所に存在。2018年末には代官山UNITでの単独ロングセットを成功に収め、19年にはFUJIROCK FESTIVALにも出演。その他各種コンピレーションやRed Bullへの楽曲提供、各種のRemixワーク、雑誌ユースカへの執筆、スペシャの番組でカラオケ等、様々に活動。
https://soundcloud.com/okadada

COMPUMA

ADS(アステロイド・デザート・ソングス)、スマーフ男組での活動を経て、DJとしては国内外の数多くのアーチストDJ達との共演やサポートを経ながら、日本全国の個性溢れる様々な場所で日々フレッシュでユニークなジャンルを横断したイマジナリーな音楽世界を探求している。自身のプロジェクトSOMETHING ABOUTよりMIXCDの新たな提案を試みたサウンドスケープなミックス「SOMETHING IN THE AIR」シリーズ、悪魔の沼での活動などDJミックスを中心にオリジナル楽曲、リミックスなど意欲作も多数。一方で、長年にわたるレコードCDバイヤーとして培った経験から、BGMをテーマにした選曲コンピレーションCD「Soup Stock Tokyoの音楽」など、ショップBGM、フェス、ショーの選曲等、アート・ファッション、音と音楽にまつわる様々な空間で幅広く活動している。Berlin Atonal 2017、Meakusma Festival 2018への出演、ヨーロッパ海外ラジオ局へのミックス提供など、近年は国内外でも精力的に活動の幅を広げている。2020年には、OGRE YOU ASSHOLE「朝(悪魔の沼 remix)」、YPY「Cool Do!(COMPUMA remix)」を手掛け、5年ぶりの新作アルバム、COMPUMA & 竹久圏「Reflection」をリリースした。
https://compuma.blogspot.jp

Unmountin

2020年8月に結成。Daigo SakuragiとKishiohnoによるテクノユニット。様々なハードウェアを操り、チャラ渋いを探求する。
https://soundcloud.com/user-333547485-611565896

Miii

東京を拠点に活動するサウンドアーティスト・DJ。日本のネットレーベルの黎明期から活動を続け、Maltine Records、Murder Channelなどから作品集を多数リリース。2018年1月には長編アルバム『Plateau』、同年8月にはベースミュージックに接近したEP『Mythology』を発表、以後も精力的に活動を続けている。
https://soundcloud.com/miii

noripi

https://soundcloud.com/no_repeat1993

玉名ラーメン / Tamanaramen

2001年生まれのプロデューサー/アーティスト。 トラップからアンビエント、ハウスまでをも内包したアブストラクトなトラックにポエ ティックなつぶやきが融合したオリジナルな音楽性はUK名門レーベルからの注目も集め る。 様々なジャンルやシーンを超えてボーダレスに自然と混ざり合う今の感性を全面に感じる 楽曲を制作している。
https://youtu.be/QSBfXU_mCiw
https://soundcloud.com/user-tamanaramen

E.O.U

2000年愛知県岡崎市生まれ。空間のためのミュージックを楽曲、DJ、Live Setを通して表現する。京都市在住。
https://soundcloud.com/eoumuse

ykah

2020年4月、SoundCloudにMixをアップしたところから活動開始。Dubを中心に潜るサウンドを追求している。
https://soundcloud.com/hkcrlive/tragic-rave-w-ykah-08022021

JACKSON kaki

DJ / アーティスト。 3DCGを用いたVR/AR/映像表現を行う。 学部生時代は社会学を専攻し、また自身の音楽活動によって培われた経験が、表象の根幹を なしている。主な展覧会に「P.O.N.D.」(PARCO MUSEUM TOKYO、2020年) / DIO C'E' (Ultra Studio, PESCARA、2020年)
https://soundcloud.com/user-562335903/20191210new

Mika Vainio - ele-king

 パンソニックはノイズ=音響を変えた。テクノや電子音楽とノイズを結びつけたのだ。ノイズとテクノの拡張でもあった。90年代末期はテクノイズ系、グリッチもしくは接触不良音楽などと呼ばれたが、それらの音響的な交錯の果てに現在の「エクスペリメンタル・ミュージック」があると私は考える。つまり10年代以降のエクスペリメンタル・ミュージックは、パンソニック、そしてアルヴァ・ノト、ピタ、ファマーズ・マニュアル、池田亮司などのグリッチ・電子音響派第一世代を継承しているのだ。
 たとえばノイズとエレクトロニック・ミュージックを交錯させて、10年代以降のエクスペリメンタル・ミュージックの立役者になったベルリンのレーベル〈PAN〉のような存在は、かつてパンソニックらグリッチ・電子音響派第一世代が切り開いた領域の延長線上にあると考えてみるとどうだろうか。
 じっさい、現行エクスペリメンタル・ミュージックの世界において「電子音響派第一世代」の影響は世代を超えて今なお健在に思える。だからこそパンソニックのひとりであるミカ・ヴァイニオが2017年に亡くなったとき、多くのアーティストやレーベルが深い哀しみと敬意と追悼の念を示したのだろう。そう今や「ミカ・ヴァイニオ」の名はエクスペリメンタル・ミュージックの世界において神話的ともいえる響きを放っている。じじつ彼の未発表音源は死後もなお多くリリースされた。

 2021年、故ミカ・ヴァイニオの「新作」アルバム『Last Live』がリリースされた。没後4年。今なお電子音響音楽の世界に多大な影響を与え続ける巨星の知られざる音源が聴ける。それだけでも僥倖といえる。
 同時にこの『Last Live』は没後にリリースされた『Lydspor One & Two』(2018)、『Psychopomp For Mika Tapio Vainio (M.T.V. 15.05.63 ~ 12.04.2017)』(2020)、Mika Vainio + Ryoji Ikeda + Alva Noto『 Live 2002』(2018)、Mika Vainio & Franck Vigroux『Ignis』(2018)、Joséphine Michel/Mika Vainio『The Heat Equation』(2019)、Charlemagne Palestine, Mika Vainio, Eric Thielemans『P V T』(2020)などいくつもの作品がリリースされているが、そのどれとも趣が違っている。まず共作でもないし、そしてアーカイヴ音源でもない。 このアルバムには2017年2月2日にスイスのジュネーブにある「Cave12」において披露されたミカ・ヴァイニオの最後のライヴ演奏が収録されているのだ。ミカは2017年4月12日に亡くなったので、まさに彼がこの世を去る直前の演奏の記録である。つまり亡くなる2カ月前のミカのサウンドを聴くことができるわけである。
 この事実をもって本作を彼の「遺作」ということは可能だろうか?元はライヴ演奏でもあるので、そう断言して良いのかは分からない面もある。はたしてミカが存命ならばこの演奏をリリースしたのだろうか。
 だがである。『Last Live』を虚心に聴いてみるとミカ・ヴァイニオが至った音響的な境地がはっきりと分かってくることも事実だ。まるで透明な電子音=ノイズが、それらを超えた新しい音響体に結晶していくようなノイズ・サウンドが展開されているのだ。この美しいノイズの奔流には本当にため息すら出てしまいそうなほどだ。
 死後にリリースされた音楽ののなかでも『Last Live』は群を抜いて素晴らしいサウンドを展開している。なぜか。ここには「2017年2月」における彼の現在進行形のサウンドが横溢しているからだ。逆にいえばこのアルバムが「ライヴ録音」である事実は、彼の音響=音楽=ノイズが、このような領域にまで至っていたことの証左になる。

 リリースは〈Edition Mego〉と〈Cave12〉だ。リリース・レーベルは2020年6月にミカとコラボレ-ターでもあったダンサーのシンディ・コラボレーションと本公演の音源を聴き、そのリリースの必要性を確信したという。残された音源を編集しアルバムに仕上げたのは、スティーブン・オマリーとカール・マイケル・ハウスヴォルフの二人の音響巨人だ。そして彼らが編集を行ったのはストックホルムの名門EMSスタジオ。しかもマスタリングを描けたのはベテランのデニス・ブラックハムなのである。まさに最良かつ最強の布陣で制作されたアルバムといえよう。私見では本作こそ〈Editions Mego〉からミカ・ヴァイニオへの「追悼」でないかと思ってしまった。そのリリースに足掛け4年の歳月が必要だったことに強く心を揺さぶられてしまう。いずれにせよ『Last Live』は、間違いなく特別なアルバムだ。

 アルバムは“Movement 1”から“Movement 4”まで全4トラックに分かれている。ノン・コンピュータでミニマムなモジュラー・シンセのシステムで演奏されたサウンドにはどこか崇高ともいえるノイズ・サウンドスケープが横溢していた。激しいノイズと細やかなミニマリズムが、どこか秘めやかな音響的持続の中で交錯し、まるで一筆書きの文字のように自然に、しかし大胆に変化を遂げているのだ。思わずパンソニックからソロまで含めて彼の最良の音響がここに結晶していると言いたくもなってくるほどである。
 まず“Movement 1”は無色透明な電子音がノイジーなサウンドへと変化していくさまが鳴らされる。繊細かつ大胆なサウンド・コントロールは「圧巻」のひとこと。続く“Movement 2”は細やかなリズムと持続音によるインダストリアルなサウンドで幕を開ける。それもすぐにノンビートのノイズへと変化し、やがて暴発するような強烈な電子音が炸裂する。
 アルバム後半の“Movement 3”と“Movement 4”では電子ノイズ・サウンドが断続的に接続し安易な反復を拒むようなノイズの奔流が生まれている。特に“Movement 4”の終わり近くに放たれる咆哮のようなノイズには、どこか徹底的な孤独さを感じもした。
 これら4トラックを聴くと強烈なノイズ、リズム/ビートと静謐な持続音が交錯する構成になっていたことに気が付くだろう。持続と接続の断片的なコンポジションは、まさにミカ・ヴァイニオのサウンドだ。同時にかつての彼のソロ作品と比べて非反復的な断片性が希薄になり(特に前半2曲にその傾向がある)、永遠に続くかのような持続性が増していた。そのせいかどこかミカのもうひとつの名義「Ø」と共通するような「静謐さの気配」をサウンドの隅々から感じ取れたのだ。本作で展開されるノイズ/サウンドは孤独と隣り合わせの音響のように鳴っているのである。Øの透明かつ静謐な音響と同じく、たったひとりでフィンランドの満天の星空を見上げるような感覚があるとでもいうべきか。

 2017年2月の段階でミカ・ヴァイニオの音響は、そのような境地へと至っていた。孤独の、孤高の、個のノイズ音響。その生成と炸裂と消失は、まるで星空のノイズのようである。私は『Last Live』とØ『Konstellaatio』をこれからもずっと聴き続けるだろう。不安定と永遠。持続と断片。永遠と有限。音響と瞬き。ここには電子音響音楽の過去と未来が内包されている。私にはそう思えてならないのだ。

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