「iLL」と一致するもの

 スローイング・スノーがついに初来日公演を行う。

 スローイング・スノーことロス・トーンズ。90年代のブリストル・サウンドを今日的に蘇生させるにとどまらず、自らもレーベル運営を行ってその新しい価値観を提示し、他のフックアップにも余念ないこの男は、まさにいまUKのクラブ・カルチャーの突端を走ろうとしている才能のひとつだ。
 Pitchfork、Guardian、Dazed、Fact、Resident Advisor、XLR8Rなど大手メディアが早くからその動きを追いかけ、マッシヴ・アタックとジェイムス・ブレイクをつなぐUKの超大型ルーキーとして注目してきたその姿を、われわれはついに初来日公演でうかがうことができる。新世代のトリップホップが列島に木霊する瞬間を見逃すことなかれ!

■UNIT / root & branch presents
- Special Showcase in Tokyo -
THROWING SNOW (Houndstooth)

Pitchfork, Guardian, Dazed, Fact, Resident Advisor, XLR8Rなど大手メディアが早くからその動きを追いかけ、マッシヴ・アタック~ビヨーク~ジェイムス・ブレイクといったイギリス音楽の系譜に続く超大型ルーキー、全世界が注目する逸材スローイング・スノーの初来日公演決定! これぞ新世代のトリップホップ!

Live: THROWING SNOW (Houndstooth)
Guest Live: agraph, mergrim (moph records, PROGRESSIVE FOrM, liquidnote), submerse (Project: Mooncircle)
DJ: Ametsub

2014.09.26 (FRI) @ 代官山 UNIT
Open/ Start 24:00 ¥3,000 (Advance), ¥3,500 (Door)
Information: 03-5459-8630 (UNIT) www.unit-tokyo.com
Supported by P-VINE RECORDS
You must be 20 and over with photo ID.

Ticket Outlets: ぴあ(P: 242-392), ローソン (L: 72714), e+ (eplus.jp), Clubberia (www.clubberia.com/ja/store/), diskunion Club Music Shop (渋谷, 新宿, 下北沢), diskunion 吉祥寺, TECHNIQUE, DISC SHOP ZERO, JET SET TOKYO and UNIT
*ローソン/e+(8.30 発売)、ぴあ(9.3 発売)

■THROWING SNOW (Houndstooth)
ロンドンを拠点にスローイング・スノーの名前で活動するロス・トーンズ。彼はダブステップ、UKガラージ、ハウスからフォーク、パンク、ハードコア、メタル、そしてレゲエなど様々な音楽を聞いて影響を受けてきた。彼の音楽には心地の良い温かさと、光沢感のある冷たさが共存している。2010年にHo Tepレーベルからデヴュー・シングルをリリースし、その後はゴールド・パンダなどのリミックスを手がけてきた。ジャイルス・ピーターソンやベンジBの強力なサポートもあり、多くのラジオ番組にも出演してきた。 2011年にはDominoやNinja Tuneのような大手レーベルからリミックスの依頼が来るようになった。リリースもSuperやSneaker Social Club、Local Actionなどから続けてきた。2012年には大手音楽サイトのXLR8Rにポッドキャスト用のDJミックスを提供。2013年にはニューヨークで開催されたRed Bull Music Academyへの参加も好評だった。インターネット上でDJのプレイを生中継する人気サイトBoiler Roomにも何度も出演を果たし、ボノボ、アトモス・フォー・ピース、ジョン・ホプキンスなどの前座を務めてきた。またレーベル・オーナーとしても他のアーティストのリリースに協力している。Left Blank(レフト・ブランク)とA Future Without(ア・フューチャー・ウィズアウト)の共同オーナーでもあり、Vessel, Wife, Visionist, Lorca, Memotone, Young Echoなどが駆け出しの頃のリリースを手掛けていた。ヴォーカリストAugustus Ghostとの別プロジェクト、Snow Ghostsもここか
らリリースもしている。2014年には待望のアルバム『モザイク』に先駆けて『Pathfinder EP』を先にリリース。イギリスの現代のミュージシャンの中で最もユニークなアーティストとの一人としてデヴュー・アルバム『モザイク』は数多くの大手メディアから大絶賛された。
www.facebook.com/throwingsnow www.throwingsnow.co.uk

■agraph
牛尾憲輔のソロ・ユニット。2003年からテクニカル・エンジニア、プロダクション・アシスタントとして電気グルーヴ、石野卓球をはじめ、様々なアーティストの制作、ライブをサポート。ソロ・アーティストとして、2007年に石野卓球のレーベル "PLATIK" よりリリースしたコンビレーション・アルバム『GATHERING TRAXX VOL.1』に参加。2008年12月にソロユニット "agraph" としてデビュー・アルバム『a day, phases』をリリース。石野卓球をして「デビュー作にしてマスターピース」と言わしめたほどクオリティの高いチルアウト・ミュージックとして各方面に評価を得る。2010年11月3日、前作で高く評価された静謐な響きそのままに、より深く緻密に進化したセカンド・アルバム『equal』をリリース。同年のUNDERWORLDの来日公演(10/7 Zepp Tokyo)でオープニング・アクトに抜擢され、翌2011年には国内最大の屋内テクノ・フェスティバル「WIRE11」、2013年には「SonarSound Tokyo 2013」にライブ・アクトとして出演を果たした。一方、2011年以降は "agraph" と並行して、ナカコー(iLL / ex. supercar)、フルカワミキ(ex. supercar)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers / toddle)との新バンド、LAMAのメンバーとしても活動。2014年4月よりスタートしたTVアニメ「ピンポン」では、劇伴を担当。その他、REMIX、アレンジワークをはじめ、CM音楽も多数手掛けるなど多岐にわたる活動を行っている。
www.agraph.jp

■Ametsub
東京を拠点に活動。昨年は山口の野田神社で、霧のインスタレーションを交えながら坂本龍一と即興セッション。TAICOCLUBの渋谷路上イベントにてパフォーマンス。Tim HeckerやBvdubといったアーティストの来日ツアーをサポート。夏にはFLUSSI(イタリア)、STROM(デンマーク)、MIND CAMP(オランダ)といった大型フェスへ招聘される。アルバム『The Nothings of The North』が世界中の幅広いリスナーから大きな評価を獲得し、坂本龍一「2009年のベストディスク」にも選出されるなど、現在のシーンに揺るぎない地位を決定付ける。スペインのL.E.V. Festivalに招かれ、Apparat, Johann Johannson, Jon Hopkinsらと共演し大きな話題を呼ぶ。最新作『All is Silence』は、新宿タワーレコードでSigur Rosやマイブラなどと並び、洋楽チャート5位に入り込むなど、大きなセールスを記録。FujiRock Festival '12への出演も果たし、ウクライナやベトナム、 バルセロナのMiRA FestivalへActressやLoneと共に出演。今年はTychoの新作をリミックス、Plaidと共にスペイン発、Lapsusのコンピに参加。秋にはArovaneやLoscilらの日本ツアーをサポート予定。北極圏など、極地への探究に尽きることのない愛情を注ぐバックパッカーでもある。

■mergrim (moph records, PROGRESSIVE FOrM, liquidnote)
兵庫県出身の音楽家、光森貴久によるソロ・プロジェクト。電子音楽レーベルmoph records主宰。これまでにアルバムをソロ/ユニット/ライブ・リミックス盤などで4枚リリース。downy、川本真琴、miaou、smoug等のリミックスの他、YMOのカバー集「YMOREWAKE」、またXperia™アプリ "Movie Creator" やGRAN TURISMO 6に楽曲提供。また、Sound & Recording MagazineにてCubase記事を短期連載やムック本への執筆なども行う。ライブも都内を中心に精力的に活動。SonarSound Tokyo, DOMMUNE, EMAF TOKYOなどにも出演。打楽器奏者Kazuya Matsumotoとのパフォーマンスは電子音楽の域を越えていると評判。海外ツアーも2011上海、北京、2012ベルリン、ロッテルダム、ミュンヘンなどを敢行。最新作はPROGRESSIVE FOrM x mophより ”Hyper Fleeting Vision” をリリース。7月にはそのリリース・パーティを13人の演奏家を迎え行い、成功を収めた。そこで出会った仲間とともに ”THE MERGRIM GROUP” を結成。更なる躍進へ望む。
www.mergrim.net www.mophrec.net

■submerse (Project: Mooncircle)
イギリス出身のsubmerseは超個人的な影響を独自のセンスで消化し、ビートミュージック、ヒップホップ、エレクトロニカを縦横無尽に横断するユニークなスタイルを持つDJ/ビートメーカーとして知られている。これまでにベルリンの老舗レーベルProject: Mooncircleなどから作品をリリースしSonarSound Tokyo 2013、Boiler Room、Low End Theoryなどに出演。また、英Tru Thoughtsや仏Cascade Recordsなどのヒップホップ・レーベルのリミックス・ワークも手がける。2014年には待望のデビュー・アルバム "Slow Waves" がProject: Mooncircleとflauよりリリースされる。また、Pitchfork, FACT Magazine, XLR8R, BBCといった影響力のあるメディアから高い評価を受ける。
twitter.com/submerse soundcloud.com/submerse facebook.com/submerse submerse.bandcamp.com YouTube.com/djsubmerse

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2014/09/26/140926_throwing_snow.php




TOMOKI A HE-ART - ele-king

MetroJuiceRecords、SoundChannel を経て、2014年、日本独自の突き抜けた才能を世界に発信していくレーベル、iro music を立ち上げた。国籍やジャンルの垣根を超えて、音楽を通してダイレクトに繋がることを目指し、オープンマインドにパーティ道を突き進んでいる。

TOMOKI A HE-ART classic chart 10


1
unless+w-moon / entry plug ep / MetroJuiceRecords

2
TOMOKI A HE-ART feat. V.A. / oneness ep / iro music

3
MODEL 500 / DEEP SPACE / R&S Records

4
massive attack / protection / circa records

5
jepte guillaume / voyage of dreams / Spiritual Life Music

6
moodyMANN / silentintroduction / planet e

7
A Guy Called Gerald / black secret technology / JUICE BOX

8
SADE / Lover's Rock

9
one dove / why don't you teke me

10
M / M4 / M

interview with Jun Miyake - ele-king

 ここ数年の三宅純の想像のひろがりはとどまるところを知らない。ボサノヴァやサンバやジャズや弦楽曲とシャンソンとブルガリアン・ヴォイスにジャズ、形式を異にする音楽が矛盾なく同居しまるでとけあうような、猥雑なのに遠目からはきわめて滑らかな音の織物とでも呼びたくなる彼の音楽は2007年の『Stolen from strangers』、昨年出した『Lost Memory Theatre act-1』で「Lost Memory Theatre」なるコンセプトを得てまさに水を得た魚になった。


三宅純
Lost Memory Theatre act-2

Pヴァイン

Tower HMV Amazon

 というのは慣用句ですけれども、ある枠組みを設け、それを水にひたせば、水は枠組みのなかに還流する。マドレーヌと紅茶の関係をもちだすまでもなく、記憶はささいなきっかけで呼びさまされるが、作品のかたちをとるには虚構のフレームが必要であり、三宅純はそれを劇場になぞらえる。その一幕目(『act-1』)ではアート・リンゼイからニナ・ハーゲンまでが記憶のよりしろとなった。はやくも登場した『act-2』はサティを思わせるピアノ曲“the locked room”で、部屋の扉に後ろ手で鍵をかけられたかのように、幕が開いてしまえば、終曲の“across the ice”まで、エレガントなのにときにリンチ的(あるいはバダラメンティ的)な迷宮の回廊沿いの小部屋を覗いてまわらねばなるまい。なぜなら、そこにはフロイトのいう夢のヘソのような、カフカを論じてガタリのいう抗いがたいものが働いている気がしてならない。

 インタヴューは私鉄の駅からすこし歩いた先の、側面いっぱいに窓をとった三宅さんの部屋で行った。取材を終えて、帰ろうと思ったとき、一時間前にやってきた道筋があやふやになり、帰り道を教えてもらった。
 なんのことはない一本道だった。
 記憶が還流してしまったのだろうか。

■三宅純 / Jun Miyake
日野皓正に見出され、バークリー音楽大学に学び、ジャズトランペッターとして活動開始、時代の盲点を突いたアーティスト活動の傍ら作曲家としても頭角を現し、CM、映画、アニメ、ドキュメンタリー、コンテンポラリーダンス等多くの作品に関わる。3000作を優に超えるCM作品の中にはカンヌ国際広告映画祭、デジタルメディア・グランプリ等での受賞作も多数。05年秋よりパリにも拠点を設け、精力的に活動中。アルバム”Stolen from strangers”はフランス、ドイツの音楽誌で「年間ベストアルバム」「音楽批評家大賞」などを受賞。ギャラリーラファイエット・オムの「2009年の男」に選出され、同年5月にはパリの街を三宅純のポスターが埋め尽くした。主要楽曲を提供したヴィム・ヴェンダース監督作品「ピナ/踊り続けるいのち」はEuropean film award 2011 でベスト・ドキュメンタリー賞受賞。またアカデミー賞2012年ドキュメンタリー部門、および英国アカデミー賞2012年外国語映画部門にノミネートされた。


このテーマこそ、自分のずっとやってきたことなんだと思います。言葉で言うのはやさしいけど、音楽にするのは至難で、ようやく年も食ってきて、記憶の蓄積も、失われた記憶もある。そういう状態になったんですね。

(刷り上がったばかりの『Lost Memory Thatre act-2』のジャケット・デザインを見ながら)三宅さんはデザインの指示もされるんですか?

三宅:ええ、好みははっきりしているので。ジャン=ポール・グードのグラフィック・デザインをすべてやっているヤン・スティーヴさんという方がいらして、彼と結託して、ジャン=ポール・グードの作品から気に入ったものを選んでプロトタイプを仕上げ、こういう感じになったのですが許して頂けますでしょうか、と。

事後承諾ですね(笑)。

三宅:むこうも最近用心しているみたいですね(笑)。『Stolen from strangers』でも彼の写真を使っているんですが、けっこう変えちゃったので一ヶ月くらい口をきいてもらえなかった。

ジャケットは『act-1』と『act-2』で白と黒といった対称性を出そうということでしょうか?

三宅:対称性は意識していません。ジャン=ポールの作品を使いたいとは思っていたんですが、アルバムの構想が固まってから選びはじめたんです。

最後にうかがおうと思っていたんですが、『act 3』も当然考えておられるんですよね。

三宅:考えています。いままでこういうつくり方をしたことがなかったんですけど、『act-2』はあくまで一幕と三幕があっての二幕目の立ち位置だと僕は思っているんです。

そのように私も感じました。

三宅:いままでは一枚ごと「どうだ!?」って感じで出してきたんですけど、そういう意味ではちょっと性格がちがうんですよね。

『act-1』は、聴いたことがないのにどこかそれを喚起するような音楽に誘われて、記憶の劇場に足を踏み入れたような、『act-2』は迷宮のなかにいくつかの小部屋があって、そこにある扉をのぞいてまわるような印象を受けました。たとえば“across the ice”の余韻のあとになにかが訪れるのではないかという期待をおぼえたんですね。『Lost Memory Theatre』シリーズは三宅さんのライフ・ワークというか、このテーマは三宅さんの作風にぴったりだと思いました。

三宅:このテーマこそ、自分のずっとやってきたことなんだと思います。言葉で言うのはやさしいけど、音楽にするのは至難で、ようやく年も食ってきて、記憶の蓄積も、失われた記憶もある。そういう状態になったんですね。

失われてしまった記憶があるからこそ、『Lost Memory Theatre』が成り立つんですね。

三宅:そうです。そのなかには強制終了した記憶もあるんですけど。

強制終了するというのは具体的にどういう意味ですか?

三宅:個人的な記憶も含めて、憶えていたくない記憶ですね。

そういうものも――

三宅:なくはない(笑)。『act-1』に参加してくれたメヒチルド・グロスマンというピナ・バウシュとも仕事をしていた女優さんがいるんですけれど、彼女とのレコーディング(“Ich Bin Schon”『act-1』収録)でロスト・メモリーとはなにかという話になったとき、「失われたということは、あなたが消したんでしょ?」と釘を刺されたんですが、「うーん、必ずしもそうではないな」と思ったんです。ライナーにも書いたように、場所と結びついた記憶はなくなってしまうものでもあるし、津波なども含めればかならずしも彼女がいうとおりではないんですが、彼女が言っている意味もわかる。たとえば彼女とピナ・バウシュとの記憶はいったん消さないと痛みが強すぎて耐えられないものではあったと思うんです。

ロスト・メモリーとはなにかという話になったとき、「失われたということは、あなたが消したんでしょ?」と釘を刺されたんですが、「うーん、必ずしもそうではないな」と思ったんです。

ピナ・バウシュもそうですが、亡くなることで失われてしまうことも、人とのつきあいにおいてはありますからね。

三宅:僕はピナにかんしては、亡くなって存在が消滅したのではなく、圧倒的に不在していると感じています。徹底的に不在している、と。作品もまだ生きていて彼女の存在はあるのだけど、その席が空いちゃっているということですね。

アルバムの話を順番にうかがっていきますが、前作から今作まで1年かかっています。『act-1』を録り終えてすぐ『act-2』の制作にとりかかられたのでしょうか?

三宅:もっと前からです。目的もなく録っている曲もけっこうあって、そういう半分手のついていた曲もたくさんありましたし、『act-2』のうちの8曲くらいは過去の舞台作品で使ったものなんです。白井晃さんの作品ばかりなんですけれど、舞台作品というのはサントラが出るような珍しいケースもありますが、そうでない場合はひとびとの記憶のなかにしか残らない。その意味でまさに“Lost Memory Theatre”なんですね。そのなかで自分が気に入っていたものがいくつかあったので――ピアノ曲が多いのですが――それが今回キーになると思ったんです。
 僕は『act-1』については、劇場に人を呼び込み、そこではかぎりなく失われた記憶を喚起する曲が流れているけれども、それは過去に聴いた音楽そのものではない、というのを目指していました。今回はむしろ、個人の小さな部屋を開けるとそこに詰まっている匂い、温度、湿度があって、場合によっては慌てて閉めて出てしまう、そういうイメージなんです。でもそれはもちろん聴く方の自由なので、限定をするつもりはないんですけれど。

ピアノを使った曲が中心になったのは、ピアノは記憶に働きかける機能が強いということですか?

三宅:そういうわけではないです。どの楽器もそういう要素があるとは思いますけれど、たまたまそういう舞台のためにつくった曲がそういう曲調だったんですね。

CD化された『中国の不思議な役人』とか『Woyzeck(ヴォイツェック)』ともちがう舞台ですか?

三宅:そうです。ポール・オースター原作だったり、フィリップ・リドリー原作の舞台です。

収録するにあたってアレンジし直しましたか?

三宅:曲によって手を入れたものもあれば、そのまま使っているものもあります。

今回は前作よりもインストの比重が大きくなっているのもピアノの影響でしょうか?

三宅:今回はインスト中心でいこうという気持ちが最初からあって。やっぱりその小部屋のイメージが自分にはあったので。歌が入ると部屋がだんだんと大きくなっていっちゃうんです(笑)。

[[SplitPage]]

音楽なんて、最初から理論はないわけだから。イノヴェイターがいて、「これはどうなってるんだろう」って、理論はあとづけなんですよ。それなのに、音楽学校は逆に教えちゃうので型にはまった人が出てきちゃう。


三宅純
Lost Memory Theatre act-2

Pヴァイン

Tower HMV Amazon

『act-1』には“Eden-1”が入っていて、『act-2』には“Eden-3”“Eden-4”と収録されていますが、“Eden-2”はどこにいってしまったんでしょう?

三宅:“Eden”シリーズは20年くらい前に書いた曲なんです。とあるプロデューサーと話していたときに「レーベルをやらないか」みたいなお誘いを受けて、そのとき考えたコンセプトが今回の『Lost Memory Theatre』に近かったんですね。ただ、当時はまだ30代の若造ですから、そういったテーマを立ててみても、たんにノスタルジックになってしまったり、ひとりよがりになってしまうおそれがあったんですが、それをいまふりかえり、楽曲自体は時間の風雪に耐えられると思い、出すことにしました。曲名は仮のタイトルが残ってしまっているだけで、名前をつけ替えればそういう疑問は残らなかったかもしれませんけど、20年前の曲としてそのまま使っているんですね。“Eden-2”がどうなったかはデータを見直さなきゃわからないですが、もしかしたらそれだけ別個に世に出ている可能性もあります。

なるほど、CMなどで耳にしているかもしれませんね。三宅さんはCMや舞台のような、依頼される仕事のほかにつねにご自分のアルバムを同時並行で制作されているんですか?

三宅:つねに同時並行です。以前レコード会社にまだ体力がある頃は、〆切も与えられて期限付きでそれだけに集中するようなこともあり得ましたが、いまはそういう時代でもありません。自発的にやる場合はある程度思いついたときにやっておかないと、かたちになっていきませんし。

話はそれますけれど、音楽をとりまく現状を三宅さんはどう思われますか?

三宅:違法ダウンロードみたいなものにかんしては、憤りを感じないわけではないですけれど、どうしようもないレベルにまでいっちゃっているから、パッケージを買うだけの熱意とリスペクトがある方に買っていただければいいという気持ちです。でも音楽自体が必要とされていないという感じはしていないんです。昔から極北の音楽をやっていますから、ファンの方に向けてつくるというよりは、そのつど欠落している自分の部分を埋めようとしているので、制作へのモチヴェーションにも変わりはありません。もちろん音楽産業がさかんであればよいのにな、とは思います。

欠落しているというのは、ご自身が聴きたい音楽がないからつくらざるをえないということもあるのでしょうか?

三宅:それはありますね。おもに流通している音楽のなかに、ということかもしれませんが。もちろんいまはあらゆる種類の音楽が飽和していますから、発掘していけばそういった音楽もあるかもしれませんが、僕の作品のようにハイブリッドな音楽は少ないかもしれません。

三宅さんは、たとえばジャズでもサンバでもボサノヴァでもいいですが、あるジャンルの音楽をご自分のなかに取りこむとき、形式そのものを援用するのでしょうか? あるいはその音楽が表象する感覚を先に考えますか?

三宅:大きくわけると後者にちかくて、エッセンスのようなものをとりこもうと考えています。これはほとんどフィジカルなプロセスなんですけれども、昔は聴いたこともないような音楽をサンプルに、明日までにこういう曲をつくってくれみたいなことがCMではよくあったんですよ。

明日ですか!?

三宅:バブルの時期はよくありました。そんな時も、理論的に分析して作れば似たものはできるかもしれないんですけど、おもしろくもなんともないんですよ。ある音楽が奏でられる地方があって、その地方の人たち、その音楽が暮らしのなかにある人たちはなにを聴いたらうれしくなるだろう? 彼らの体がよろこぶ感じをいつも心がけていたんですね。そうすると、意外と現地の方が聴いたときに「これって昔からあったような曲だね」といってくれたりするんです。『Innocent Bossa in the mirror』(2000年)をつくったときも、ボサノヴァは名曲が多くて一種のアンタッチャブルな領域だと思ったんですけれど、そこで100年前からあったような曲をつくってみようと大それたことを考えて、珍しくピアノだけで主要曲をつくりました。

三宅さんにとって音楽はロジカルなものではないということでしょうか?

三宅:ロジカルな側面は当然ありますけれど、それはあとからとってつけた理論なんですね。音楽なんて、最初から理論はないわけだから。イノヴェイターがいて、「これはどうなってるんだろう」って、理論はあとづけなんですよ。それなのに、音楽学校は逆に教えちゃうので型にはまった人が出てきちゃう。

でも三宅さんも学校ではそういうふうに教わったんですよね?

三宅:幸か不幸か僕は即興演奏だけを目指して学校に入り、必須の作曲の科目以外はけっこうドロップしちゃっていたんです。基礎的なところはわかりますし、あとからは勉強しましたけれど、即興演奏って、つまりその場で作曲することじゃないですか? 作曲なんてやるやつはゆっくりしか即興ができないんだと、当時僕はそう思っていました。ほんとうはまちがっているんですけど。理論は自分でダメだなって思ったときにやればいいと思っていたんですよ。

さっさと学校を出て活動したかったということですね。

三宅:入ったときから外で演奏していました。

僕はずっと移動しているせいか、生きている間は旅だと思っているんです。

三宅さんはアメリカで活動され、いまはパリを拠点にされていますが、ローカリティが音楽そのものに働きかける部分は大きいと思いますか?

三宅:もちろん居住環境が変わったり国が変わることで意識せざるリフレクションはあると思いますが、基本的なメンタリティは変わらないですよ。そんなことをいえば、今日ここにいらっしゃるまでに歩いた道とか乗った交通機関とかでみなさんもそれなりの影響を受けているわけで。僕はずっと移動しているせいか、生きている間は旅だと思っているんです。そのなかのどこを切りとるかということですよね。

移動しつづけるなかで、伝統のようなものから遠ざかってしまうのではないかという危惧はないですか? たとえば日本的なものから。

三宅:それは日本の音楽教育システムが悪すぎるせいなんですよ(笑)。つまり、文明開化のときに新しい西洋の音楽の教育システムをつくってしまって、伝統音楽に対して一回切っちゃったでしょ? だから僕の世代でも(伝統的なものは)ないし、もっと上の方でもすでにない人が多い。皆さんの世代もきっとそうでしょう。ただ、そんなに聴いたことがなくても血の中にお祭りの太鼓とか能の間のとり方とかが入っていると思うんです。というのは、僕は白井さんの舞台で泉鏡花の『天守物語』という演目をやったことがあって、能管とか琴とか三味線とかを使って、はじめて和ものにがっぷり挑戦したんですね。そのときに和の旋律というのはあえて聴かなくても、「あっ、そうか。こういう感じか」とつづきが出てきちゃうことがわかったんです。和の感覚を僕はそんなに肯定してこなかったのに。けっこう怖いなとは思いました。で、答えに戻ると、日本から離れたからといって日本の伝統と切れるという気はしていません。なぜかというと、日本では伝統自体が切れているから(笑)。

逆に、海外で日本的なものを期待されることはありませんか?

三宅:それはあります。つらいんですね。その場合は、僕たちは伝統から切られているんだと。きっとあなたたちが聴いているのと同じか、あるいはもっと雑食的にいろんなものを聴いて育っている、と答えますね。

たしかに、日本の国土は自分たちでも気づかないくらい雑多なものでできているかもしれないですね。

三宅:僕がやっていることもそういうことだと思うんです。だから、そういう意味でこれは日本的な音楽だと僕は思っています(笑)。

話は戻りますが、『Lost Memory Theatre』における記憶とはどのような種類のものでしょう?

三宅:通過してきたありとあらゆる記憶のレイヤーです。

東京だと昨日まであった建物が壊されて更地になったあと、そこにかつてなにがあったかまったく思い出せないことがありますよね。東京とパリを較べてどう思われますか?

三宅:パリは街の美観を維持することが法律で決まっているんですよ。変えてはいけない地域があって、エアコンの室外機も付けられない。1階のお店の入れ替わりとかはありますけど、建物の外観は変えられないんですね。日本だと築40年の建物は古いですが、パリには三百年四百年の建物はざらにあって、それを直しながら使っているわけで、その感覚はすごくちがいますよね。

記憶のあり方もちがう気がしますね。

三宅:ちがうと思います。パリも中心部はそうだとしても、郊外は近代化しているので一概にはいえませんけどね。

でもどちらが正しいということではなくて、それぞれの都市のありようだとは思いますが。

三宅:もちろんどちらが正しいということではないんですが、さっきの教育の分断と同じように、フランスの人たちは何百年、何千年という流れが途切れていないとは思います。つまり、昔から何代も暮らしてきたところに自分も暮らしていて、営みが昔から脈々とある。そこはいまの日本にあまりないところだと思うんです。とくに東京なんかだと。

電車に乗っても、どの駅に着いたのかパッと見はわからないですからね。

三宅:あれはちょっと問題ですよね。アレックス・カーさんという著述家が日本の美についていろいろ書かれていますけど非常に共感したんです。彼は京都に庵があって、そこで古美術品などを集めたりしていたんですが、それを入手する手段が開発とともに変わってきてしまった。あるいは、彼は四国の山村にも別の庵があるんですが、その村自体が過疎化してダムができちゃうとか。

そういう現実がいたるところで進行していますよね。

三宅:田中角栄の『列島改造論』あたりからもうよくなかったのかもしれないね。たとえ改造するのであっても、この美しい国土をどうやったら美しいまま発展できるかって考えればよかったと思うんですけどね。

日本的な美しさは往々にして外から発見されますね。

三宅:この小さな島の中だけで価値観がまわっているからそうなるんでしょうね。どうせなら鎖国していればよかったのかもしれない(笑)。

急に極論が(笑)。でも三宅さんは閉塞した日本が息苦しくてフランスでの活動を選ばれたんじゃないですか?

三宅:それもありますが、もし鎖国していたら出なかったかもしれないですよ(笑)。そのなかにきれいなものはいっぱいあるんだから、それを極めればいいと思っていたかもしれない。さっきの教育システムの話にまた戻ってしまうかもしれないけれど、他の国のおもしろいものを知ってしまったから、彼らとコラボレーションするためには日本は地理的に遠い、その点がいちばん大きいです。

[[SplitPage]]

コラボレーションでもなんでもそうですが、最初からうまくいくことは非常に稀なので、なんらかのコミュニケーションで埋めなくてはならなかったり、たがいに思っていた音の方向がちがうとかそういうことはいくらでもあります。

三宅さんはこれまで数え切れないほど仕事をしてきたと思いますが、いままでのキャリアで迎えた最大とピンチというと何を思い浮かべますか?

三宅:つねに臨戦態勢なので、マズいという感じがあたりまえなんですよね(笑)。コラボレーションでもなんでもそうですが、最初からうまくいくことは非常に稀なので、なんらかのコミュニケーションで埋めなくてはならなかったり、たがいに思っていた音の方向がちがうとかそういうことはいくらでもあります。僕は締切に遅れることはないので、言われたけどできないみたいなピンチはないんです。

較べるのもおこがましいですが、私も仮にも締切のある仕事をしていますけれども、三宅さんのように自信をもって遅れないとはいいきれないです(笑)。

三宅:瞬間湯沸かし的にやっちゃうんですよ(笑)。

壁に突きあたったりしませんか?

三宅:曲を完成させることにかんしていうと、頭の中できちんと音が聴こえていれば、そこにむかって走るだけなんです。まあ曲をつくっている最中に話かけられるとなにするかわかりませんけど(笑)。

CMの曲をつくるのでも、舞台でも映画のサウンド・トラックでも同じことですか?

三宅:同じです。デモを完成させてオーケストレーションするまで、だいたい3時間くらいなんですね。たまに「今日はこのくらいにして、つづきは明日やると楽しいかも」と思ってわざとやめるときもたまにあります。そうじゃないときは早く出しちゃわないと落ち着かないから。

出して自分の頭の中のスペースを空けるみたいな感じですか?

三宅:キャパは狭いけど、べつに音楽のことばかり考えているわけじゃないですよ。もっとほかによくないことも考えてますし(笑)、でもつくっているときは音楽に異常に集中しています。曲をつくるまではそういうプロセスなんですけれども、実際それをおのおののミュージシャンを呼んで、録って、そしてひとり増えるごとにプリ・ミックスしていくにはものすごく時間がかかります。なので、1曲3時間で書いたとしても、アルバムとして出すのに5年とか7年かかるんですね。青写真は短期間で出せたとしても、それは自分の頭のなかのものだけであって、人に会って、この人だと思う方に参加してもうらうたびに、その人なりの奥行が出てくる。それを微調整しながら、思いどおりにいかない場合は「どうしようかな」というのがいつもあるんです。

その録る環境そのものが楽音だと思うんです。僕は人肌、環境が集まったときにひとつの音楽になる、と考えます。だから無音のアイソレートされた、めちゃくちゃデッドな部屋で録る楽器の音はそんなに好きじゃない。

いまだとPCのシミュレーションでかなりリアルなサウンドができますが、それでもやはり誰かといっしょに音楽をつくりあげたいという気持ちが強いですか?

三宅:どんなに機械が進化しても人肌とはまるでちがいます。楽音というのは、たとえばサンプリング・サウンドはそこで録った環境も含めての音ですけど、(三宅氏の住居の階上から音が聞こえる)いま上で工事の音がしている、これも音楽の一部じゃないですか? その録る環境そのものが楽音だと思うんです。僕は人肌、環境が集まったときにひとつの音楽になる、と考えます。だから無音のアイソレートされた、めちゃくちゃデッドな部屋で録る楽器の音はそんなに好きじゃない。それなりの響きがあるところ、ふさわしい響きがあるところで録りたいと思いますね。


三宅純
Lost Memory Theatre act-2

Pヴァイン

Tower HMV Amazon

『act-2』も、階層化した音が奥行を感じさせますが、三宅さんの音楽は音響までふくめて成り立っているんですね。

三宅:それはもちろん。たとえば、自宅でストリングスを録ろうとなって、予算の都合でひとりしか呼べなくて、でも30人分の音がほしいときには、ただ30回音を重ねるのではなくて、椅子を少しずらしていったりとか、マイクを途中で変えてみたりとかそういうことは自分でやります。最終的にはエンジニアの腕にかかってきます。

サンプリングの小さなノイズを曲のなかにとりいれていますよね。そういった音は漫然と聴いたら聞こえないかもしれない。そういう音ものも含めての音楽だと考えていらっしゃるのでしょうか? あるいは記憶を音楽で表すには瑕(ノイズ)が必要なのでしょうか?

三宅:目的もなく好きだから入れています。というのは、いま解像度という意味では、テクノロジーの発達でクリーン過ぎる音の領域にまで入ってきているんです。デジタルでクリーンな状態は音が冷たい。だからものすごくクリーンな音を録っておいて、それを汚す音を入れないと僕は落ち着かないんです。

その判断はプレイ・バックしながらそのつど考えていく?

三宅:はい、そうです。音をひとつ足しただけでも全部のバランスを繰り返しとり直します。エンジニアに渡すときはほぼ完成形に近くなっているので、「バランスはこれね!」と指定して、音響処理だけをお願いするんです。プリ・ミックスにはすごく時間をかけます。

バランスが崩れるとまったくちがうものになってしまうんですね。

三宅:すべてバランスだと思います。シンプルなディレイとかリヴァーヴとほんのすこしコンプレッサーをかけることはありますが、お化粧でやるのはあまり好きじゃないです。

そう考えると、構想とか楽想とかがあったとしてもレコードのかたちになるまでには時間がかかりますね。

三宅:非常にかかりますし、そこの段階ではいろいろな迷いも生じます。レコードにするには反復に耐えうる普遍性ももたせなければならないので。

だから三宅さんの音楽は古びないんですね。

三宅:だとうれしいですけどね。そうあってほしいと思っていますけれど。

[[SplitPage]]

──三宅さんが現在の三宅さんになった、つまり納得できた最初の作品はどこからですか?

『永遠之掌(とこしえのてのひら)』(88年)から『星ノ玉ノ緒』(93年)に移るこの2作かな。

録音にもトレンドがありますから、たとえば80年代のゲート・リヴァーヴが強くかかった作品などは、いま聴いたらちょっと大仰かもしれませんが、それでも三宅さんの作品は初期から一貫して残っていくものだという気が私はします。

三宅:それを目指していますけれども。やっぱり、ゲート・リヴァーヴもそうだけど、当時の最先端だったシンセの音とか、やっぱ恥ずかしいよね(笑)。自分のアルバムではそんなに使っていないと思うけど、CMでは使っているんですよね。

先日森美術館のアンディ・ウォーホール展へ行ったんですけど、最後のほうでウォーホルのテレビCMが流れていたんですよ。そういえば、この曲は三宅さんだったなと思い出しました。あれは最初のアルバムですよね?

三宅:そうですね。

〈TDK〉から出された──

三宅:よく知ってますね(笑)。

いや、私、もってますよ(笑)。

三宅:ほんとに!? いくつなの(笑)?

四〇代です(笑)。ウォーホルもインパクトありましたが、曲も気になったんですね。CMで使ったのは“I Knew I Was”ですよね。あのアルバムは再発されないんですか?

三宅:〈TDK〉の2枚は、自分にとって、あっ、あれは一種のピンチだね(笑)。僕はそれまでは「どジャズ」をやっていて、当時はフュージョン真っ盛りで、会社の意向もあったんです。それを全部飲んじゃうとほんとうにフュージョンになってしまうので、せめてブラコン止まりにしよう思っていたんですね。自分なりにベストを尽くしたんですが、2枚録ったあとで「レコード会社のいうことを聞きすぎると、自分の作品としてあとで反省することが多いな」と思って、こういう極北の音楽をやりはじめた気がします。

三宅さんが現在の三宅さんになった、つまり納得できた最初の作品はどこからですか?

三宅:『永遠之掌(とこしえのてのひら)』(88年)から『星ノ玉ノ緒』(93年)に移るこの2作かな。『永遠之掌』は80年代的に生の割合と機械の割合がイーヴンくらいになっていて、いま聴くとここは生にすればいいのにというのはいくらでもありますけれど、コンセプトとしては自分のやりたかったものではあった。ハル・ウィルナーとやった『星ノ玉ノ緒』はいま聴いても大丈夫かなと思いますね。

『星ノ玉ノ緒』は初期の代表作だと思います。スブリームさんとはこのころからのおつきあいですものね。スブリームさんとのアルバム『リュディック』を再発することにしたというのは、どういう理由からでしょう?

三宅:ライセンス期間が前のところときれたから(笑)。

もっとメロウなことをおっしゃっていただいた方がいい気がしますが(笑)。

三宅:そうだね。そういうトークができればいいんだけど(笑)。僕だけの意志ではないので。でもこれは彼女にとってこれは大きなアルバムだと思うので、マーケットからなくなってしまうのはいけないと思うんですね。

お見舞いに行ったら、「ジュン、この保険金でアルバムをつくろう!」と(笑)。すごい人だなと思いました。

三宅さんがフランスへ行かれて、東京を拠点とするスブリームさんがクロスフェードするようなかたちで制作されたアルバムですからね。

三宅:このアルバムをつくる前、彼女は大きな交通事故に遭ったんです。事故のかなり前から、アルバムをやってほしいとはいっていたんですけど、レコードディールがなかったので「機が熟したら」ととりあえずいっていたんですが、お見舞いに行ったら、「ジュン、この保険金でアルバムをつくろう!」と(笑)。すごい人だなと思いました。そういう思いが詰まっているのでこの作品をマーケットから消してはいけないとも思ったんですね。

『リュディック』の“Chinchilla”を聴いていたときに、私は娘がいるんですが、彼女が「このひと誰?」と聞いてきたので『ぜんまいざむらい』のひとだよ、と答えたときに、すごく納得していたおぼえがあります。

三宅:あぁ、少しイントロが似てるかもね。さらに補足するなら“Chinchilla”はレクサスのCMでした。節操なくてすみません(笑)。

いえ、三宅さんの音楽を耳にする機会が多く、強く記憶に残るものだからだと思うんですね。なので『Lost Memory Theatre』もどんどんアクトを重ねていっていただければと思います。

三宅:『act-3』でいったんきって、次に行きたい気持ちもありますけれど(笑)。『act-3』に関してはまだまっさらな状態なんですね。

そういえば、『act-1』の“A Dream Is A Wish Your Heart Makes”、『act-2』の“Que Sera Sera”ともに映画にまつわるカヴァー曲が入っています。どちらもアルバムの中間部に位置していますが、アルバムの構成に共通点をもたせる意味でそうされたんですか?

三宅:あっ、ほんとうに?

意図的ではないんですか?

三宅:曲順はこういう世界をつくるのにいちばん悩むとこで。ピンチは曲順でやってくるのかもしれない(笑)。アルバムというのは曲順でまるっきり変わってしまいます。同じ曲を収録していても曲順が変わるだけで流れもちがうし聴こえ方もちがう。「1曲目はこれだな」と決めたところから(曲順を考える作業が)はじまるんですけれど、真ん中にもってこようという意図はなかったですね。ここまでこうきたらこれかなと。

作品としてシンメトリックな構造を通底させたのかと思っていました。『act-1』は“Assimetrica”からはじまりますし。

三宅:そういうことをいえばかっこよかった(笑)。

(笑)最初にも申しあげましたが、『Act-2』は次を予兆させる作品だったので、いちファンとしてもぜひケジメをつけていただきたいと思っています。

三宅:ありがとうございます。たくさん聴いていただいてうれしいです。

jjj & febb - ele-king

 みんな知っていると思うけど、新風を巻き起こす、テン年代のヒップホップ・シーンの最大のインパクト=Fla$hBackS。とにかく、格好いいよね! 最近では、中島哲也監督による話題の映画、『渇き。」への楽曲提供など、活動の場も広がりつつある。
 そのメンバーのjjjとfebb、それぞれのソロ・アルバム発売を記念してのWリリース・パーティが今週末日曜の渋谷で開かれる。

 febbと言えば早い時期から噂が噂を呼んでいた、今年1月リリースのファースト・アルバム『THE SEASON』が記憶に新しい。アルバムを一聴したD.L氏が「ここ10年で最高の邦楽ヒップホップ・アルバムである」と発言するなど、識者からの賛辞の声も後を絶たないけれど、新世代の勢いを感じる1枚であることは間違いないので、まだ聴いてない人はぜひチェックを。
 で、jjj。彼も12インチ・シングルが春にリリースされたことで、アルバムへの期待感は日増しに強まっている。今週末には、いち早くアルバム曲も聴けるかもしれない!

 豪華な出演者もヘッズにはたまらない。B.DやONE-LAW、ERA、ISSUGI、KNZZといった東京ストリートの一角・池袋bedホームボーイたち、名古屋からはアルバム『VIVID』が評判のCAMPANELLA、YUKSTA-ILLによるTOKYO ILL METHOD SET、MARINやPRIMALの名前もある。
 DJ49、DJ HIGHSCHOOLによるエクスクルーシヴ・セットは必聴だし、DJ BUSHMINDはより幅の広い選曲で、普段ヒップホップの現場に行かないオーディエンスさえも虜にするだろう。
 そして、この日のメンツには、FILLMOREやKZA、PUNPEEの名前もクレジットされていて、ここまでくると“真夏の白昼夢"とでも言いたくなる。フードコーナーやスペシャル・マーチャンダイズの販売も予定されている。昼過ぎ15時スタートっていうのも良いね。年齢制限なしのオープンなパーティの気概を感じる。

 さらに、8/21(木)には、DOMMUNEにて「Road to "LEGIT SUMMER"」と題した前哨戦プログラムの放送も決定。こちらは〈WDsounds〉よりLIL MERCY、そしてシンガーのMARINをMCに迎え、当日出演者による生ライヴやスペシャル音源のOAも予定されている。是非チェックして、日曜日の当日に備えていただきたい。

イベントトレイラー映像


『jjj & febb solo album W release party LEGIT SUMMER』

日程:2014.8.24 (sun)
会場:SOUND MUSEUM VISION
Open / Start 15:00
Advance:2,800yen+1d
Door:3,500yen+1d

release live : jjj / febb

LIVE : B.D. / CAMPANELLA / DJ HIGHSCHOOL (Exclusive SET) / DJ ONE-LAW
(Chronic SET) / ERA / ISSUGI / KNZZ / MARIN / MEDULLA / PRIMAL /
YUKSTA-ILL(TOKYO ILL METHOD SET)

DJ : BUSHMIND / DJ49 / DJ BEERT / FILLMORE / GRINGOOSE / KZA /
MASS-HOLE /MS-DOS / PUNPEE / RYUJIN

FOOD : BEARS FOOD / GINZA SUKIBAR

■前売りチケット好評発売中
プレイガイド:
チケットぴあ:Pコード:235-703
ローソンチケット:Lコード:72791
e+(イープラス)

取扱店舗:
Disk Union
TRASMUNDO
Jazzy Sport
FEEVER BUG
SKARFACE

主催:AWDR/LR2 / SPACE SHOWER NETWORKS INC.
協力:WDsounds / P-VINE, Inc.
協賛 : TANNUS / NIXON / Us Versus Them
問い合わせ先:Global Hearts (03-6415-6231)

https://www.vision-tokyo.com


■DOMMUNEでも特番あり!

『2014/08/21 (木)JAPANESE HIPHOP STYLE WARS / Presented by P-VINE』
19:00~21:00 「Road to "LEGIT SUMMER"/ BROADJ♯1392」
TALK & LIVE:febb、CAMPANELLA、ERA、DJ HIGH SCHOOL and more... 司会:MARIN、Lil MERCY

DOMMUNE>>>https://www.dommune.com/reserve/2014/0821/

ENA - ele-king

 2012年のとある木曜日の深夜、初めて行ったバック・トゥ・チルでのこと。ダブトロ、100mado、そして中心人物ゴス・トラッドによる硬派なダブステップに続いたENAのステージは、まさに異色そのものだった。音が溶け出しているかのような抽象的なリズムと、緩やかに跳ね上げるベースライン。期待していた「いわゆる」ダブステップは流れなかったものの、素晴らしいミュージシャンを発見した喜びで僕は包まれていた。
 2006年にログ・エージェント名義で参加した〈FenomENA〉から出された日本のドラムンベース・コンピレーション『Tokyo Rockers: The Best of Japanese Drum & Bass Vol.1』がENAの公式なデビューになる。翌年には自身のレーベル〈イアイ・レコーディングス〉を立ち上げ、7インチ・シングル「アダウチ/ カントリー・ダブ」をリリースした。現在のENAのスタイルとは違ったものだが、和太鼓の音色や空間使いに見いだされる自由さと奇抜さは今日まで受け継がれている。
 フェイスブックやサウンドクラウドによってパソコン一台で世界と繋がれる時代だが、ENAは早い段階から海外のシーンとも交流を持っていた。ロンドン、ベルリン、さらにはイスタンブールまでその交遊域は広がり、それは2011年にフランスの〈セヴン・レコーディング〉からのリリース「サイン/インスティンクティヴ」へと結実する。“サイン”で虚ろに響くヴォイス・サンプリングや切り刻まれた低音は多くのコアなリスナーを引きつけた。その後も〈セヴン〉からのリリースを続け、2013年にはそれまでの総括でもあるかのような傑作『バイラテラル』を世に送り出した。今年の3月には新天地の〈サムライ・ホロ〉から「バクテリウム EP」を発表。現在は10月に同レーベルから出されるアルバムに向けて準備を進めている。
 ユニークであり続けることはアーティストのある種の宿命だが、ENAは自身の活動でそれを体現してきた。ベース・ミュージック界隈で頭角を表し、やバック・トゥ・チルのレジデントDJとしても認知されるが、果たしてそれが彼のすべてなのだろうか? 彼が何を考え、これからどこへ向かうのか。ENAは存分に語ってくれた。
(高橋勇人)

90年代に音楽を聴いているとドラムンベースもやっぱり逃げられないものでしたね。アンダーグラウンドにもヒット・チャートにもあったし。

野田:DJは何年くらいやっているんですか?

ENA(以下、E):何年くらいかな。まぁ、でも俺は10代からDJをやっているわけじゃないんですよ。今年34歳なんですけど、10年くらいじゃないですかね?

野田:ちなみにジャングルやドラムンベースから入ったと聞いていますが、本当のところはどうですか?

E:もともとの始まりは70年代とかのロックで、DJカルチャーはヒップホップで入りましたね。世代的に90年代ってどんな音楽を聴いていてもヒップホップって避けられないじゃないですか? ビギーとかD.I.T.C.とかモロでしたね。

野田:なるほど。90年代中期のギャング・スターが全盛期のときですね。

E:特にD.I.T.C.が好きだったんですよ。音がすごくダークだったし。あの頃はウェスト・サイドもちゃんとブラック・ミュージックに根ざしたパーティ・ミュージックでしたからね。そのあとチャラくなってからのはちゃんと聴いてないんですけどね。
 それでヒップホップに入ったきっかけは、はっきりとはしてないんですけど、コーンとかレイジとか。さらに言えばアンスラックスとかパブリック・エネミーとかのミクスチャーだと思います。

野田:“ブリング・ザ・ノイズ”とかリアル・タイムですか?

E:10代で一気に掘ったせいもあって、何がリアル・タイムなのかわからないんですよね。あの時代はなんでもかっこ良かったですよね。

野田:MTVですごかったですよね。

E:もう録画しまくってましたね(笑)。

野田:その頃はもう音楽活動はされてたんですよね?

E:そのころはバンドでジャミロクワイみたいなアシッド・ジャズをやってましたね。それが高校から20歳くらいまでかな。そのもとには自分のジミ・ヘンドリックス好きがあって、ブートとかも集めまくってたくさん持ってるんですよ。

野田:それはENAさん世代にしては変わっていますね。

E:完全に頭おかしかったっすよ。友だちいなかったっすもん(笑)。

野田:そりゃ話が合わないでしょ(笑)。

E:その代わり、友だちの親父とすごく話が合ったんですよね。

一同:(笑)

E:ジミヘンからって色々派生するじゃないですか? アシッド・ジャズにもファンクにも、マイルス・デイヴィスにも繋がったし。中学のときはもうマイルスを聴いていましたね。ジミヘンはプリンスとも繋がるから、それで80年代のとかもたくさん知りましたね。結果的に10代のうちで全方向に進んだ感じがします(笑)。

野田:そこからDJミュージックへはどうやっていくんですか?

E:ヒップホップからDJクラッシュにいくんですよ。歌ものだけではなくてインストものも結構好きだったんですよね。それでヒップホップっていうと、クラッシュ、シャドウ、カムの3人とかヴァディムとかってなるじゃないですか?
 クラッシュさんの周りを聴いていると、マイルスのビル・ラズウェルが監修しているやつとかでドック・スコットがリミックスしていたりして、ドラムンベースにも広がっていくんですよ。
 90年代に音楽を聴いているとドラムンベースもやっぱり逃げられないものでしたね。アンダーグラウンドにもヒット・チャートにもあったし。

高橋:否応なくドラムンベースが流れるなかでそれを率直に好きになれましたか?

E:やっぱりインパクトが強かったですからね。エイフェックスやスクエア・プッシャーは当時ドラムンベースとは呼ばれていなかった。だけど、何もない所にそれがやってくるとかっこよかった。それが結局ドラムンベースの入り口になってますね。で、例のごとくDBSがある。リキッド・ルームでDBSに行ってドラムンベースを聴けば、そりゃ好きになるでしょ(笑)。

野田:一番最初に行ったDBSって覚えてます?

E:いやー、覚えてないですね。10代の終わりか20歳くらいだったと思うけど。

野田:その頃にはターンテーブルは揃えてましたか?

E:俺はバンドをやっていたせいもあってスクラッチがやりたかったんですよね。だから1台だけ持っていました。

野田:ヒップホップの人は最初1台だけ買って練習しますもんね。

E:そうですね(笑)。金がないのもあったんですけど、それで練習してました。その辺のタイミングを覚えてないのは、やっぱりその頃に一気に聴きすぎたからですね。

野田:ちなみに生まれは東京ですか?

E:そうですね、某多摩地区です。レゲエの街ですね。レコード屋さんも多かったです。
 うちはクラシック一家だったんですけど、親の世代は60年代のロックを通っているので、そのレコード・コレクションを聴いていたのもデカいと思います。コレクションにはビートルズもクリームもドアーズもありましたね。

野田:それを子供の頃に聴いていたんですね。

E:聴いていましたね。YMOとかもあったんですけど、俺はあんまり入れ込みませんでした。

野田:親がそういうのが好きだったりすると反発しませんでしたか?

E:いや、なかったですね。やっぱりドアーズとか普通にかっこよかったですからね。例えば、俺が10代のときは小室とかが全盛だったと思うんですけど、あれが好きになれなくて。それで、ドアーズとかを聴いたらこっちの方がいいじゃんってなりますよね。そう思う中学生もどうかと思うんですけどね(笑)。

高橋:一方で小室はジャングルやドラムンベースを取り込んでいったりもしてましたよね。

E:あれでドラムンベースは殺されたっていう人もいるけど、まぁ、何とも言えないですね。

野田:そういった意味でも世代的にはドラムンベース直撃なんですね。

E:そうですね。でも結局マーラとかピンチも同じじゃないですか。〈メタル・ヘッズ〉直撃世代で。〈コールド・レコーディングス〉も〈メタル・ヘッズ〉を130BPMでやっているニュアンスがあるし。
 だから、アブストラクト・ヒップホップからジャングルにいくって王道と言えば王道なんですよ。なぜかテクノにはいかなかったんですけどね。

野田:最近の作風はテクノっぽいと思いますよ。最新作の「バクテリウム EP」なんか、テクノが好きな人は絶対に好きな音だもん。

E:テクノにはまったのはここ3、4年なんですよ。それまではヒップホップの人にありがちなキックを4つ打つとつまらないっていう感じでしたね。ドラムンベースは違ったからはまったっていうのはありますね。テクノのイーヴン・キックは強いなって思いますけど、それ以外のリズムのほうが好きですね。

野田:アブストラクトな感じからは、ベーシック・チャンネルとか好きだと思ってました。

E:たぶんディープなドラムンベースを作りはじめて、「テクノっていろいろあるんだ」って気付いた部分はあります。もちろんベーシック・チャンネルは知ってましたけど、良さをあらためて再認識した感じですね。
 最近は自分の曲がテクノの層に受け入れられてるっていう実感も少しあります。この前、ルーラルに出ていたアブデュール・ラシムに「俺は一度もドラムンベースにはまったことがないけど、お前の音楽は好きだ」って言われて嬉しかったです。自分はドラムンベース以外のところで支持されるのかもしれない(笑)。
 自分みたいな音楽って隙間じゃないですか? フェリックス・Kみたいな人もいるけど、数は少ないし。まだまだ可能性はあると思います。

野田:最初がアブストラクト・ヒップホップのDJっていうところがゴス・トラッドと近いですね。

E:そうですね。ゴス・トラッドは俺のひとつ上だから聴いている音楽は多少違えど、被っている部分は多いですね。

野田:彼はテクノ・アニマルの方へいきましたよね。

E:俺はそっちじゃなかったんですよ。俺が10代の終わりから 20代のころ一緒にやってたのが、この前〈サミット〉から出たBLYYの連中なんですよ。あいつらもアブストラクトが好きで、D.I.T.C.みたいに音響系をサンプリグしたトラックを作ってましたね。

[[SplitPage]]

シャドウとかもレア・グルーヴのほうへいったし、カムはよくわからなくなったし。その中でクラッシュさんだけ我が道を行く感じだったじゃないですか? だから一番好きでしたね。

野田:人前でDJをやるようになったのはいつ頃からなんですか?

E:さっき忘れたとか言ってたけど、ちょうどその頃だから20歳くらいですかね。池袋のマダム・カラスとかに出てました。あのホント怪しいとこで(笑)。BLYYのパーティとかで DJ してましたね。

野田:ENAさんは本質的にダンス・ミュージックのDJというイメージがあるんですが、ダンス・ミュージックにのめり込んでいったきっかけは?

E:うーん、まずバンドってひとりじゃできないじゃないですか? 人が必要だから、それが嫌になってひとりで完結するものをやりたかったんです。その頃はラップトップでライヴをするっていうのいが一般的ではなくて、DJがそれに取って代わる表現方法だった。最初から自分のトラックをかけたりしてました。

野田:曲を作るのとDJをはじめたのが同時期ですか?

E:俺の場合は曲を作りはじめた方が先ですね。

野田:ちなみに最初はやっぱりサンプラーから?

E:そうですね。DJクラッシュが使ってたからアカイのS1000とかですね(笑)。まだ持ってますよ。いろいろ高かったな。メモリが8メガで10万しましたからね。いまはパソコンだけで作ってます。

高橋:それで最初のリリースが2006年になるわけですね。ドラムンベースの作品でした。

E:そうですね。〈FenomENA〉から出た、SoiのDxさんが母体のコンピレーション『Tokyo Rockers: The Best of Japanese Drum & Bass Vol.1』に参加しました。それにはマコトさんも入ってたし、レーベルからはブンさんとかも出してましたね。
 そのころカーズとかと出会ってログ・エージェント名義で出したりしてたかな。

野田:そのころ目標にしていたDJとかはいますか?

E:それはやっぱりクラッシュさんですよ。結局あのあとに続いた人ってだれもいなかったじゃないですか? シャドウとかもレアグルーヴのほうへいったし、カムはよくわからなくなったし。そのなかでクラッシュさんだけ我が道を行く感じだったじゃないですか? だから一番好きでしたね。

野田:ちなみクラッシュさんの作品で一番好きなのは?

E:うーん、やっぱりセカンド(『ストリクトリー・ターンテーブライズド』94年)ですかね。

野田:当時のクラッシュさんですごいと思ったのが、“ケムリ”みたいな遅い曲をセットのクライマックスに持ってくるところですよね。

E:リキッドみたいなキャパのあるハコでもあれでピークが作れるのがすごいですよね。

野田:テクノやハウスのDJにはパーティをサポートするっていう意識が多かれ少なかれあると思いますが、クラッシュさんはそうじゃなくてDJを自分の表現だと捉えていました。

E:だから正式にはDJじゃないかもしれないけど、あのスタイルでレコードを使って表現するっていうことからのインパクが強かったんですよ。

野田:ENAさんの目指すべき方向はいまでもそこにありますか?

E:いまもパーティの一部でDJをしているかって言われるとそうでもないですね。たぶん、いま認知のされ方が好き勝手やる人って思われている節があると思う。

曲を作る人なら誰しもそうだと思うけど、人と違うものを作ろうっていうのが基本のスタンスだと思うから、いわゆるダブステップを作ることはしなかったんですよ。

野田:自分のDJスタイルはダブステップによってできあがったと思いますか?

E:そう思います。ダブステップのダブプレート・カルチャーだったりとか、そこで一気にのめり込んだ感じです。ただ、ダブステップがピークの2008、9年とかも俺は普通にドラムンベースをやっていました。ドラムンベースをやめた時期ってないんですよ。だから、自分のスタイルができつつあったときにダブステップが出てきた印象です。
 去年の『バイラテラル』とか140BPMのダブステップ的なことをしてるけど、その頃もドラムンベースを継続的にリリースしていますね。〈サムライ・ホロ〉から出たEPもドラムンベースのアプローチで作ってます。

野田:自分のスタイルが確立しはじめたのはいつですか?

E:たぶん、〈7even Recordings〉から出しはじめたときからですかね。でもその前にロキシーとかと仲良くなりはじめてから徐々に変わりはじめました。「これって多分、だれもやってないよな」って思うようになったのは2010年くらいです。コンスタントにDJをするようになったのもそのくらいです。

野田:ENAさんは海外にも積極的に出向く数少ないミュージシャンですが、初の海外はいつですか?

E:2008年とかですね。当時はただ行こうっていう感じでした。DMZのアニヴァーサリーとかでハコの前の公演を2周くらいまわって人が並ぶとか、そういう情報だけがネットで入ってくる状態だったからそれを見なきゃダメでしょって思ったんですよ。子供の頃に旅行とかはしましたけど、音楽目的で行ったのは2008年ですね。とにかく現場はすごかったです。コイツらアホだって思いました(笑)。

野田:(笑)。どのへんがですか?

E:やっぱり人のパワーですよね。ディープなものをかけてもベースが入った瞬間のフロアは、はっきり言って狂ってた。それでゴス・トラッドがそこでやっていたりするわけだし。サージェント・ポークスがMCしないで酒ばっかり作ってるとか(笑)。その頃はもうネットで海外と交流もあったから行きやすかったですね。

野田:最初に気に入ったダブステップのプロデューサーは誰ですか?

E:誰ですかね……。エレメンタルとかはずっと好きでした。もちろんスクリームやデジタル・ミスティックズといった定番とされるアーティストも聴いていました。

野田:作っている曲にも表れているように、そういったアーティストの曲にはあまり入れ込んでいない印象でした。

E:曲を作る人なら誰しもそうだと思うけど、人と違うものを作ろうっていうのが基本のスタンスだと思うから、いわゆるダブステップを作ることはしなかったんですよ。ゴス・トラッドも自分が作ったものがダブステップになったわけだし、自分の音楽をやっているという感じですよね。〈サムライ・ホロ〉みたいなディープなドラムンベースも、もちろんオートノミックみたいなものもあったけど俺は前から勝手に作っていて、それがいまシーンから出てきているだけなんですよ。ブームに乗って曲を作ったことはないですね。

野田:ドラムンベースでは誰が好きなの?

E:俺はロキシーがずっと好きですね。DJとしても、プロデューサーとしても。

野田:UKガラージはどうでした?

E:俺はあんまりなんですよね。

野田:ギャングスタ・ラップが好きだったらワイリーみたなのもOKなのかと。

E:もちろん聴くには聴くんですけど、そんなにはまってないんですよね。インストになってからのほうが好きです。アブストラクトが好きだったから、やっぱり音響っぽさを求めてたんですよ。だからピンチやムーヴィング・ニンジャとか初期の〈テクトニック〉が好きです。UKガラージになってくると、音響っぽさがなくなってくるじゃないですか? 

野田:中学時代に聴いていたジミヘンやドアーズから、歌ものとかでなくて音で表現する方向へいってるのはどうしてですか?

E:うーん、全ては話せるわけではないけど、俺は仕事でJポップとかTVCMを作っていたりするんですよ。大物と言われるような人のアレンジとかも担当してます。だからENAとしての活動では歌ものをやりたくないんですよね。
 そういうのもあってギターだったり楽器の音は使い尽くされているって思いはじめて、これは自分が追求する音ではないかなって思ったのもありました。いまのプロダクションの基本スタンスとして、現存する楽器っぽい音を使わないようにしてるんですよ。わかりやすい音を使うのにちょっと抵抗がありますね。

野田:そういうパーソナルなことを抜きにして、能動的にアブストラクトなものが好きだというのもあると思うんですが、アンダーグラウンド・ミュージックはどこがいいんだと思いますか?

E: 音が単純に好きっていうのもありますが、アーティストがコントロールできる部分が多いことにも共感しますね。自分でレーベルをやっているやつもいるし、リリースまでの流れがダイレクトで早いじゃないですか? 

野田:ちなみにDBSに行って踊っていたほうですか?

E:あー、全然踊ってましたよ。汗かいてました(笑)。

一同:(笑)

高橋:想像できないな(笑)。ENAさんといったらいつもフロアの後方で腕を組んで音を聴いているイメージです。

E:もう10年くらい酒は飲んでないんですけど、その前は結構な飲んべえでしたからね。いまは酒もタバコもやらないです。

野田:それは音楽がその代わりになってるってことですか?

E:基本的に音楽がいいときって何もいらないですよね。また個人的な話ですけど、俺はフリーランスなんで急ぎの仕事に対応できるかって重要なんですよ。これをストイックと取るか、急ぎの仕事は割りがいいと取るかはお任せしますけれども(笑)。

[[SplitPage]]

もちろん、表現するっていう意味で自分の音楽もパーソナルだとは思うけれど、ダンス・ミュージックの範疇で実験的なことをやってもグルーヴが存在している限り受け入られやすいっていうのがあります。

野田:すごいですね(笑)。なぜダンス・ミュージックっていう点は?

E:ノイズのような実験的なものも好きなんですけど、そういう音楽はパーソナル過ぎる面があるじゃないですか? もちろん、表現するっていう意味で自分の音楽もパーソナルだとは思うけれど、ダンス・ミュージックの範疇で実験的なことをやってもグルーヴが存在している限り受け入られやすいっていうのがあります。だから、音響的よりもグルーヴを優先して作ってます。グルーヴがあってDJで使えるっていうのが前提ですね。
 あと、俺はライヴはやらないんですよ。音響っぽいやつを作っていると「なんでライヴやんないの?」って聞かれるんですけど、ライヴってダンス・ミュージックから離れやすいんですよね。DJをやっているとBPMも限定されるし、選択肢が少なくなるじゃないですか? だからあくまでダンス・ミュージックのためにDJ用の曲を作っているっていうのもあります。
 まあ、とはいえ踊りやすいとは思わないですけどね(笑)。

野田:踊りやすいとは思います。〈7even〉から出したときはレーベルのディレクションはありましたか?

E:何もないです。自由にやってくれって言われました。

イスタンブールにはフラット・ライナーズの紹介で呼ばれて行ったんですよ。2年くらい前かな? DJしてたらモニター・スピーカーが落ちてきて、荷物を置く台がぶっ壊れたりして面白かったです(笑)。

野田:2010年にダブステップが日本でも脚光を集めました。そのときにゴス・トラッドと共にシーンの先頭をきっていたこともあるじゃないですか? そうなるとシーンのことも気にせずにはいられなかったと察しますが。

E:そこまで気にしていたわけではないですけどね。もちろん、シーンができて根付くのが一番いいんだろうけど、難しいだろうなとも思ってました。あと、2010年の段階で東京もそこまで悪くはないと思ってました。

野田:UKのダブステップのピークが2008年だとしたら、それを境にジェイムズ・ブレイクとかが出てきてアンダーグラウンドだったものが知れ渡って、シーンの中心にいた人たちが抜けていくってことがありました。ここ数年のシーンの移り変わりはどう思いますか?

E:こういうときはいずれ来るだろうなって予想してたのもあります。ドラムンベースが十数年でやったことをダブステップは5、6年でやってしまっただけじゃないですか? 小室とジェイムズ・ブレイクは違うけど、歌ものになってメジャーになって終わるっていうのはドラムンベースも経験しましたからね。
 だから、割と冷静に移り変わりをみてました。ジェイムズ・ブレイクは普通にかっこいいと思って聴いていたし(笑)。

野田:次号の紙ele-kingは、「コールド」という言葉で現在のシーンを括って特集を組む予定で、アクトレス、ミリー&アンドレア、テセラ……それからアコードやENAさんみたいな音楽が入ると思います。ジャングルとテクノが混ざっていて、なんか、盛り上がるようで盛り上がらないというのがよいとされている感じがあります。EDMへの反動からきているのかなと思う部分も。

E:ディープなドラムンベースのプロデューサーにはペンデュラムみたいなものにうんざりしているやつも多いですよ。反動はやっぱりあると思います。

高橋:ENAさんはやっぱりディープな流れと同調していますよね。フェリックス・Kの〈ヒドゥン・ハワイ〉からリリースされた943っていうアーティストは別名儀のプロジェクトなんですよね?

E:そうですね。フェリックス・Kとのコラボレーションで2曲参加してます。

高橋:定期的に海外とコラボしていてすごいと思います。ベルリンやイスタンブールにも行ってますもんね。

E:イスタンブールにはフラット・ライナーズの紹介で呼ばれて行ったんですよ。2年くらい前かな? DJしてたらモニター・スピーカーが落ちてきて、荷物を置く台がぶっ壊れたりして面白かったです(笑)。ちっちゃなハコでしたけどみんな踊ってましたね。たまたまフラット・ライナーズやガンツがいるだけでベース・ミュージックのシーンとかはないみたいですけどね。レゲエのシーンはあって、友だちがザイオン・トレインを呼んで野外で千人くらい来たって言ってました。それがダブステップとリンクはしていないみたいです。

野田:トルコは政治的にはEUに加盟させてもらえないけど、〈ディープ・メディ〉がガンツをフック・アップすると大ヒットして、アンダーグラウンドは外へ外へと開けているなと思いました。日本の、サウンド的にウチにウチに向かうポップスとは逆ですよね。中東やアフリカ、南米とか、民主化されていない外側へとアプローチしている。ガンツなんか、エイフェックス・ツインもDJでかけているし。

E:やっぱりガンツはインパクトありましたからね。去年くらいから三連系のダブステップがたくさん出てきたけど、それを最初にやったのはガンツなわけだし。前から曲をもらってたけど、リズムに対して光るものがありましたね。

野田:ダブステップに限らず、オマール・スレイマンが脚光を浴びたりとかアラブ圏内のビートが人気な流れがアンダーグラウンドにはあるじゃないですか? 彼らのなかにはリズムに対するそういう文化があると思いますか?

E:パーカッション的なところではあると思います。トルコの民族音楽のリミックスもあったりしますからね。

野田:TPPみたいなものとは逆の、いわばアンダーグラウンドにおけるグローバリゼーションの流れには可能性を感じますか?

E:それがやっぱりアンダーグラウンドの面白いところじゃないですか? 新しい国のアーティストをリリースする事によって、その国でブッキングされるかもって邪な考えもあるかもしれないけど、〈ディープ・メディ〉がガンツをフック・アップしたのは、単純に音が良かったからだし。音が良ければ国を越えて繋がって作品が出せるのは利点ですよね。これが大きな会社だとそうも言っていられないわけじゃないですか。

野田:どのくらいの頻度で海外へはDJで行っていますか?

E:毎年行っていますね。多分2009年からやってます。今年は9月末からツアーの予定です。〈サムライ・ホロ〉から10月に出るアルバムが出るんですが、そのリリース・パーティを兼ねたイベントにも出ます。ロンドン、パリ、ベルリン、マンチェスターやブリストルにも行きますね。今年は場所が多いです。

高橋:マンチェスターの知り合いが、ENAさんが出るイベントには人がたくさん来るって言ってましたよ。

E:ケース・バイ・ケースですけどね。ベルリンではDJがやりやすいです。セットでピークを作らなくていいんですよ。ゆっくり盛り上げて、波で引っぱれる。これがイギリスになると、ドーンって一発やらないといけないんですよ(笑)。ゴス・トラッドはUKのほうが合ってるって言ってましたけど。

サンプリングもしません。自分のコピーもしません。それは自分のキャリアを殺すことになっちゃうんですよ。

高橋:ENAさんは現在もヴァイナルをリリースしているわけですが、ヴァイナルについてどう思いますか?

E:賛否両論色々あるけれど、ヴァイナルを出さないとキャリアになっていかない感じがありますね。デジタルだけだとサラッと終わっちゃうというか。
 いまはCDJをメインで使っているけど、家ではヴァイナルでも聴くし、もちろん物自体も好きっていうのもあります。現場でレコードを使わないのは、デジタル向けにハコがセッティングされていることが多いので、ハウリングの問題もデカいです。レコードでハウリングを起こす低域も現場では出したいんですよ。だから音を優先してデジタルでやっているのが現状です。
 レコードでDJするほうがかっこ好いのは間違いないですけどね(笑)。

野田:DJやトラックメイカーとしての信念みたいなものはありますか?

E:そんなにすごい信念があるわけではないんですけど、好きな音楽をやるってことですかね。ものすごくお金になるわけじゃないのに、どうして好きじゃない音楽をやるのかっていう裏返しみたいなものですけど。
 プロダクション面に関しては、聴いたことあるような曲は作らない。気をつけている程度のことですけどね。さっきも言った仕事の反動かもしれないです。
 数年前にあったJハウスの流れもそうですけど、コピーする能力ってJポップの職業作家ってすごいんですよ。みんな職人なんですよね。そうやってコピーされる音楽は消費されるわけです。それで、そういう職人たちがアンダーグラウンドの曲をお金をかけて作ると、アンダーの人たちが食われちゃうんですよ。新興のインディ・レーベルがふたを開けてみたら、メジャーの会社がお金をかけてやってたりなんてこともありました。そういうのを踏まえて、コピーされ難い音楽かなと思っています。
 あと、自分のシグネイチャー・サウンドができると、その音を使い回す人も多いんですよ。型ができた結果、それはコピーされる音楽になってしまうわけです。ダブステップのハーフ・ステップとかもそうだった。だから、俺は毎回全てのサウンドをゼロから作ってます。サンプリングもしません。自分のコピーもしません。それは自分のキャリアを殺すことになっちゃうんですよ。
 そういうことをする反面、わかりづらくなっているのかもしれないけど、そこはリスナーが頑張ってくれって感じです(笑)。

高橋:容易にマネされない音楽だからこそ、ENAさんの音楽は多くの人に聴いてもらいたいっていうのはあります。ジャンルを越えてリスナーに届く音楽を作っているとも思いますし。

E:さっきも言ったけど、ルーラルにこの前出演させてもらったことは本当に嬉しかったです。あのメンツの中で周りはテクノやハウスの人たちで、ベース系のミュージシャンは俺だけでしたからね。それでアブデュール・ラシムみたいな土壌が違うアーティストが気に入ってくれたりしたわけで。自分のことを評価してくれる層がどんどん広がっていけばいいなと思ってます。

高橋:将来の構想はあったりしますか? 

E:ひたすら精度を高めるだけですかね。それ以外は邪な考えを持たないようにしてます(笑)。あんまり良い結果にはならないと思うから。
 強いて言えば、自分を刺激してくれるようなプロデューサーがたくさん出てきてくれたら嬉しいですね。日本にはいいDJはたくさんいるけれど、プロデューサーはあんまりいないんですよ。マコトさんやゴス・トラッドはさすがなんですけれど、なかなか次に繋がらないのが現状です。テクノ界隈ではすごいと思える人が多いんですけどね。
 あとはとくにないです。海外に比べて東京の音楽シーンそのものが悪いとは思わないんですよ。海外だとイベントにもよるけど、オーディエンスの要求が強かったりする。だけど日本のアンダーグラウンドの人たちは俺の音楽を理解しようとしてくれるんです。日本はいいところですよ(笑)。

ENA
BIRATERAL

7even Recordings/Pヴァイン

Tower HMV Amazon


ENA-All Time Favorite Chart

01.Jimi hendrix - Red House (live at Winterlnad) - Polygram

02.King Crimson - Red - Island

03.Allan Holdsworth - Home - Enigma

04.BB King - How Blue can youget?(Live in Cook County Jail) - MCA

05.Black Sabbath - Children of the grave - Vertigo

06.Company Flow - The Fire In Which You Burn - Rawkus

07.DJ Krush- Escapee - Sony

09.Showbiz & AG - Next Level (DJ Premier remix) - PayDay

10.DJ Vadim - Headz Still Ain't Ready - Ninja Tune

11.Savath + Savalas - Paths In Soft Focus - Hefty Records

DJまほうつかい - ele-king

 みんな大好き西島大介、音楽をやるときはDJまほうつかい、が、「All those moments will be lost in time EP」以来の1年ぶりとなるEP「Ghosts in the Forest EP」をリリースする。8月13日発売だから、お盆中のリリース。
 ここに貼り付けたYoutubeに「おや」と思った方は、聴いてみましょう。サックス奏者の吉田隆一、弱冠19歳の椎名もた、Moe and ghostsのラッパー、MOEも参加。

DJまほうつかい「Ghosts in the Forest」(short version)
アニメーション:西島大介×子犬


DJまほうつかい 「All those moments will be lost in time」featuring 吉田隆一(blacksheep)& MOE(Moe and ghosts)from“Sound and Vision”(Live at SuperDeluxe)
監督:西島大介×たけうちんぐ
撮影:竹内道宏


西島大介(にしじま・だいすけ):
 
1974年東京都生まれ、広島県在住。2004年に描き下ろし長編コミック『凹村戦争』でデビュー。同作は平成16年度第8回文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品となり、またこの年の星雲賞アート部門を受賞。代表作に『世界の終わりの魔法使い』、『ディエンビエンフー』などがある。2012年に刊行した『すべてがちょっとずつ優しい世界』で第三回広島本大賞を受賞、第17回文化庁メディア芸術祭推薦作に選出。装幀画を多く手掛け、「DJ まほうつかい」名義で音楽活動も行うなど、活動は多岐に渡る。
 
最新刊は宝島社より8月27日刊行される初の画集・作品集『くらやみ村のこどもたち』。8月31日からワタリウム美術館オンサンデーズにて「くらやみ村のこどもたち」展を、広島READAN DEATにて「くらやみ村のこどもたち展mini」を同時開催。

DJまほうつかい:

DJまほうつかいはターンテーブルを持っていないDJです。まほうのちからで音楽を作ります。MIX CD『世界の終わりmix』(2005)や自作のサントラ盤『ディエンビエンフー・サウンドトラック』(2007)、ヘヴィ・メタルをエレクトロニカの文法で再構築した『Metaltronica』(2011)など、その音楽性は常に変化。相対性理論presents「実践III」や、フリー・ジャズの聖地、新宿PIT INNなどで演奏を行い、アイドル・プロデュース、サウンド・インスタレーション、CM音楽までを手掛ける異端の音楽家。最新のプロジェクトはシンプルなピアノ曲の譜面による作曲と生演奏。2013年HEADZよりピアノ曲集『All those moments will be lost in time EP』をリリース。2015年にはピアノ曲だけを集めた初めてのフル・アルバム『Last Summer』をリリース予定。


HP:https://simasima.jp/
Twitter:https://twitter.com/DBP65
Soundcloud:https://soundcloud.com/djmahoutsukai

 世界中で静かな盛り上がりを見せているコールドウェイヴ/ミニマルシンセ・シーン。とくにカナダにはさまざまなレーベルが存在し、イヴェントも多彩、独自の発展を築いている。とりわけ〈Visage Musique(ヴィサージュ・ムジーク)〉がリリースするシンセ・ウェイヴ・ポップ・デュオ、Violence(ヴァイオレンス)は、音楽ブログ「Weird Canada」や「Silent Shout」などで特集が組まれたり、NYの老舗イヴェント〈Weird Party〉の後継である〈Nothing Change〉への出演などによって注目を集める存在だ。

 そんなViolenceが初めて日本にやって来る。おもに楽曲を担当するエリックと、どこか懐かしいメロディを耽美でキュートなウィスパー・ボーカルでなぞるジュリー。ふたりの来日を記念して、話をきいた。

文:寺尾拓也
翻訳:高橋美佳

Violenceはどうやって結成されましたか。

エリック:2010年頃、カナダのモントリオールからイギリスのオックスフォードに移った。ジュリーはオックスフォード大学でポスドクの職を得ることができたんだ。
 海外でたくさんの自由な時間と少しのシンセサイザーがあったということは、音楽を制作するという意味で、結果的にはとてもクリエイティヴで生産的な時間を与えてくれたんだ。そんな頃、家族や友だちに会いにカナダに帰った際に、僕らの初めてのコンサートをロフト・パーティで行った。
 自分たちの美学は当然として、そういった音楽や芸術、パフォーマンスやダンスのイヴェントが僕らの音楽を形づくった。Violenceは、そういったやりとりやフレンドシップの中で成長してきたし、いまだコンスタントにこのときの友だちやアーティストからフィードバックをもらったり交流することで成り立っているんだ。
 たぶん共通の知り合いからかな、どういった経緯か詳しくは知らないんだけど、〈Visage Musique〉の人たちが僕らの作品を聴いて、いっしょにやらないかと言ってきたんだ。

「Silent Shout」で“EP of the Year”に選ばれたり、「Weird Canada」で特集されたり、とても順調に思えます。

エリック:音楽のことをキャリアという視点で考えることはまずないんだけど、専門のブログにいいことを書かれるのは気持ちがいいね。このプロジェクトをはじめてから、とても興味深い人たちに出会えたし、素晴らしいアーティスト集団とステージを共有したり、見知らぬ人とアートや音楽について興味深い議論をすることになったんだよね。

どういった音楽に影響を受けましたか。また、最近気になっているバンドやミュージシャンはいますか。

エリック:作曲するときは無意識に影響を受けるのが好きなんだ。でなければ、単に自分を訓練する文体練習(※1)になってしまう。
 僕はグルックやバッハ、ロッシーニといった、クラシックやバロック音楽が本当に好きなんだ。現代の音楽だと、最近は90年代初期のテクノやハウスをたくさん聴いているよ。

※1 フランスの小説家、レーモン・クノーによる一つの物語を99通りの文体で書いた作品

最近よく聴いている5曲はなんですか。

ジュリー:わたしはつねに5曲以上好きな曲があるの。でも最近ではAutomelodi(オートメロディ)(※2)のLPをよく聴いているわ。

※2同じくカナダのダーク・シンセポップ・バンド。〈Wired Records〉などからのリリースがある

どんな音楽を聴いて育ちましたか。最初に影響を受けた曲は何ですか。

エリック:最初の音楽の記憶は、おじいちゃんが弾いてくれた自作のフォークかな。そのあと5歳の誕生日にレコード・プレーヤーをプレゼントにもらったんだ。ちょうどその頃、ディスコが終焉を迎えて恥ずかしくなった僕のおばさんたちが、その当時流行ってたディスコのレコードを100枚近くくれたんだ!
 僕とイタロ・ディスコの親和性は、絶対そこから来ていると思うんだよね。あとは、フランスのコメディやイタリアの映画、日本のアニメの音楽を楽しんでいた覚えがあるな。

ジュリー:わたしがまだ小さかったとき、叔父がピアノを勉強していて、バッハやモーツァルトみたいな有名なクラシックの曲を、ジャズにアレンジして弾いてくれたのにとても感動したし、何よりうれしかったのを覚えているわ。
 自分でかけた最初のレコードは、Angèle Arsenault(アンジェレ・アルセノ)の『Libre(リブレ)』。

機材は何を使っていますか。作曲はどのように行いますか。

エリック:80年代と90年代初期の、アナログ・シンセとデジタル・シンセを合わせて使っているよ。最近は僕たちがいままでに持っていたシンセサイザーの中で、プログラムの可能性という意味ではもっとも複雑なRoland MKS 80を買ったよ。
 僕らはゼロから自分たちの音を作るのが好きなんだ。普通どうやって曲を作りはじめるかっていうと、シンセサイザーのパッチを組むとその音が自分たちの気分を決めてくれるんだ。それを作り込んでからレイヤーと歌詞を足していく。僕らは普段、タッグを組んでいっしょに作曲している。

〈Visage Musique〉やレーベルメイトについて教えてください。カナダには〈Visage Musique〉や〈Electoric Voice〉、〈Pretty Pletty〉などのシンセ系のレーベルがいくつかありますが、最近のカナダの音楽業界についてどう思いますか。

ジュリー:創造を広めるための道具が増えて、生産を縮小できるという事実は好きよ。わたし個人としては〈Visage Musique〉のように、人をベースとした環境の中でともに創り上げて行くっていうやり方がうまくいくの。彼らは長年にわたって成長してきたし、世界中にいるわたしたちのアートを理解してくれているだろう人にどんどん近づいているのよ。これってこれまでの音楽業界と比べて、すごくいまっぽいことよね。

他の国にもアンダーグラウンドなシンセ・シーンがありますが、他の国のバンドに興味はありますか。影響を受けていますか。

エリック:もちろん興味があるし、海外の音楽シーンにも触れようとしているよ。僕はその出所よりも音により注意がいくから、どんな言語で歌われた歌を聴くのも楽しいんだ。

どういったファッションが好きですか。カナダのお勧めの店を教えてください。

ジュリー:たまに意外なとこですごく素敵なモノを見つけたりするけど、アクセサリーだけは「Missy Industry」っていう友だちがやってるお店で買うわ。あとはAmélie Lavoie っていうとてもおもしろいパターンを描く友人がいるんだけど、その子の作るシャツが本当に最高なの。

東京に来たらどこに行きたいですか。またなぜ東京に来ようと思ったのですか。

ジュリー:地元のアーティストがインスピレーションを受けている場所や、若い人たちが、自分を出せたり、実験できたり、生きてるなあって感じられるような……というのもわたしは専門的に都市にいるハシブトガラスを観察することにも興味があって、どうやって鳥が都市に適応するか、特別に賢い鳥が人間と同じように自然環境無しにどうやって餌を食べることができるのかというようなことをとても興味深く見ているの。(※3)

※3 ジュリーはオタワ大学の助教授で認知学の研究をしている

エリック:東京の代表的な建築物とか、インディ・レコード・ショップ、あとは中古の楽器屋でシンセが見たいかな。

東京でライヴをするのは楽しみですか。

ジュリー:待ちきれないわ! ライヴをはじめたときから、いつか東京でやりたいって思ってたの。モントリオールやロンドン、ニューヨークみたいな都市が好きだから、東京には一度も行ったことがないけれど、きっと東京も一瞬で好きになっちゃうわ。

いっしょに出演するJesse RuinsとNaliza Mooはどう思いますか。

エリック:つい最近彼らを見つけたんだけど、僕らの聴いたものは好きだよ。彼らといっしょにライヴするのが楽しみだ!

質問に答えてくれてありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

エリックとジュリー:わたしたちといっしょに踊りに来て!


Violence来日公演

■The Invention of Solitude - Chapter 4
8月24日 日曜日 18:00 at 渋谷HOME
Charge: ADV. 1,500 / DOOR 2,000 (+1D)
LIVE: Violence (from Canada), Jesse Ruins, Naliza Moo
DJ: Yanagiszawa, Tack Terror, Naohiro

来日公演に先立ち DOMMUNEでのライヴ配信も決定
■The Invention of Solitude - Chapter 3.141592
8月20日 水曜日 21:00 at DOMMUNE
Live: Violence (from Canada), Jesse Ruins, Naliza Moo
DJ: Naohiro Nishikawa

 来日公演を記念して、海外のインディ・シーンともリンクする東京のアーティストによるViolenceのリミックステープのリリースが決定。リミキサーは初来日公演でもプレイするJesse Ruins、Naliza Mooに加えリミックスワークは初めてとなるギーク系轟音ギターバンドSlowmarico。都会の孤独に翻弄された一人シンセバンドLSTNGTの計4組。そこにViolenceの未発表曲、その名も『Violence』を加えた計5曲。タイトルはViolenceのエリックの入力によるGoogle翻訳を駆使したViolenceの日本語訳「すさまじさ」のローマ字表記で『Susamajisa』。東京の新レーベルSolitude Solutionよりリリース。

『Susamajisa - Violence Remixes』
A-1 Dernier Cri - Slowmarico Remix
A-2 Halo - Jesse Ruins Remix
A-3 Violence - Violence feat. William Crop
B-1 The Curse of Dimensionality - Naliza Moo Remix
B-2 Disappearances - LSTNGT Remix
Solitude Solition - KDK-1
価格: 1,000円(限定77本)
8月20日発売予定
soundcloud: https://soundcloud.com/solitudesolutions

Violence プロフィール
 カナダで活動するシンセ・ウェイヴ・ポップ・男女デュオ。男エリックによるミニマルでダークウェイヴでありつつも時折ディスコに接近するシンセサウンドに乗るどこか懐かしささえ覚える美メロを唄う女ジュリーの冷淡でありながら耽美でキュートなウィスパー・ヴォーカルが魅力。地元カナダのVISAGE MUSIQUEよりEP『VIOLENCE EP』と LP『ERLEBNIS』とをリリース済み。
bandcamp: https://violence.bandcamp.com/
soundcloud: https://soundcloud.com/violence-2/


RHYDA (VITAL) - ele-king

都内を中心に活動するサウンドフリーク集団「VITAL」のMC。B-BOY文学でありながらパンクとも形容されるLIVEは唯一無二!必見です!
吉祥寺WARPにて「You gonna PUFF?」を不定期開催中。
今回のチャートは暑い真夏のショートブレイク!って感じのHIPHOP!汗拭いてChillin!

8/14(木)渋谷Lamafa
8//22(金) 中野Heavysick
8/31(日) COSMOS CAFÉ
9/2(火) 吉祥寺CHEEKY
9/6(土) 銀座GL
9/15(月)渋谷NEO
9/20(土) 吉祥寺WARP
9/21(日) 中目黒SOLFA

真夏のHAVE A BREAK 8/7


1
Freddie Gibbs & Madlib - High - Madlib Invazion

2
Rapsody ft. BJ The Chicago Kid - Good Good Love - Jamla

3
Ka - Every... - Iron Works Records

4
The Pharcyde - She Said (Jay Dee Remix) - Delicious

5
VOLO&KECHA ft. SunademusAnts - Ants - Vlutent Records

6
Problem Feat. T.I. & Snoop Dogg - Roll Up - HR

7
Outkast - Funky Ride - LaFace Records

8
Snoop Dogg & The Eastsidaz - Payday - DatPiff

9
ScienZe ft. Melodi J - Mid Summer Night Dream - ScienZe

10
Wiz Khalifa - Pure - Atlantic Records

 やれやれ、編集部に怪文書が届いてしまった。
 薄気味悪くもどこかやんちゃな頼もしさをのぞかせるこの謎文体の声明文(……告知……なのか?)を、仕方がないから全文掲載いたしましょう! 四の五のいわずにパーティに来い、盤を買え、俺たちのパーティは最高だと、つまりはそういうことが書かれているようだ。先日はついに七尾旅人まで登場し、「最高のパーティのかたち」を模索して展開をつづけているジューク・パーティ〈SHIN-JUKE〉、今秋には同イヴェントのコンピレーション・アルバムもリリースされるようだ。大人とメディアが褒めるのを彼らはいやがるだろうから、ちやほやは致しません! テニヲハは直しておいてやったぜ。

 RAW LIFEの熱狂から何年経つのだろうか。

 目つきの悪い細身の男は言った。
「ついに俺たちに挑戦権が回ってきたわけだ。派手に暴れてやろうぜ」

 恰幅のいい金髪の男は言った。
「いまの東京のバンドなんて100組中100組はクソだ」

 同じく恰幅のいいモジャ毛の男は言った。
「ライヴハウスは全部エントランス・フリー/チャージ・フリーにすればいい」

 目つきの悪い男がつけ加える。
「自作のゴリラステップというダンスを見てくれ」

──彼らこそは、今秋リリースされる、ある刺激的なオムニバス・アルバムの監修者である。

 恰幅のいい金髪の男は、新宿ロフトの副店主・望月慎之輔。
──東京のJUKE/BASSシーンを牽引するパーティー〈SHIN-JUKE〉を主催。

 恰幅のいいモジャ毛の男は、〈音楽前夜社〉主宰・スガナミユウ。
──新宿〈ロフト〉にて行っている完全無料のフリー・パーティー〈歌舞伎町Forever Free!!!〉の首謀者。

 そして目つきの悪い細身の男は、Have a nice day! のリーダー・浅見北斗。
──オルタナティヴとHIP HOP・BASSミュージックをつなぐ〈SCUM PARK〉というオルタナティヴ・パーティを主催。

 先達へのコンプレックスなんて捨てて、俺たちのモッシュピットの中に真実を見つけようぜ。そう誓い合った3人は、さるレコード・レーベルに話を持ちかけた。

 このコンピレーションには、ビッグネームも大金も、大人たちによる思惑は何も収められていないけれど、LIVE SCENE・CLUB SCENE・NET CULTUREの、まさに東京のいまの空気が閉じ込められている。

 いいパーティーの条件って何だろう?
話題のアーティストが出ていること? 人がいっぱい入っていること? ドリンクがいっぱい出ていること?
 ――そのどれもが正しいようで、本質は別にある。話題のアーティストがいなかろうが、人が入っていなかろうが、最高のパーティってあるよ。
 ヴェルヴェッツの初期のライヴには人が入らなかったみたいだけど、その場に居合わせた客のほとんどが音楽をはじめたというように、記録として残らないだけで、多くの歴史は毎夜いろんな場所で生まれている。
 最高にスカムでトラッシー、その一瞬のために駆ける星のごとく輝きを放ちながら、表舞台にいっさい出ることなく活動を終えるアーティストを俺たちは知っている。パーティの最中はいつだって夢中で、あとになってあの日は特別だったんだと気づかされることばかりだ。

 FRESH EVIL DEAD、
 新鮮な死霊のはらわた。
 新しい血を巡らそう、俺たちは生まれ変わった新鮮なゾンビラーさ。

 目つきの悪い細身の男は今日も言う、
「ついに挑戦権が回ってきたわけだ。俺たちのパーティーをはじめようぜ」



NATURE DANGER GANG、SOCCERBOY、§✝§(サス)などを収録した「テン年代の新しいミュージックシーン・パーティーのいま」を捉えるオムニバス、『FRESH EVIL DEAD』が9/17に発売。8/3には七尾旅人を迎えSHIN-JUKEを開催!

■アルバム情報

V.A.
『FRESH EVIL DEAD』
2014年9月17日発売
全21曲/2000円(税抜)
P-VINE RECORDS
PCD-20345

トラックリスト
1. Laugh Song (Laugh Gorge Laugh Song by Takaakirah Ishii with Gorge Clooney) / Fat Fox Fanclub

2. Legacy Horns (JINNIKUMAN JUKE EDIT) by Nature Danger Gang / DJ Torch

3. Dentapride / §✝§

4. super sale out (double price hihgtension remix) / mirrorball inferno

5. 聖リY音ND愛FEEる/ MMEEGG!!!

6. It's Hot to See Your Face / GORO GOLO

7. Sunctuary / RAP BRAINS

8. Dive to The Bass (remix) feat. Y.I.M & Have a Nice Day! / Gnyonpix

9. BIG BOOTY BITCH / NATURE DANGER GANG

10. J.E.F.F. / Harley&Quin

11. skit

12. わんにゃんパーク / チミドロ

13. CASCADE (pro.poivre) / ALchinBond

14. Message in a Battle (DJ MAYAKU Remix) / SOCCERBOY

15. Kill Me Tonight Remix (Feat. EQ Why) / Have A Nice Day!

16. Burning Up / Ascalypso & MC RyN (Glocal Pussys)

17. Big Hip (Dubb Parade mix) / Fat Fox Fanclub

18. 干す取り込む / Y.I.M

19. フォーエバーヤング / Have A Nice Day!

20. SUMMER HITS Boogie Mann Remix / GORO GOLO

21. outro


■LIVE情報

2014年8月25日(月)
『歌舞伎町Forever Free!!!』
新宿LOFT
19:00-24:00
完全無料!!!!!

Have a nice day!
GORO GOLO
NATURE DANGER GANG
脳性麻痺号
GLOCAL PUSSYS
Y.I.M
BOOL
D.J.APRIL
DJ ののの


ICHI-LOW (Caribbean Dandy) - ele-king

9/11 原宿UCでA-1 LOUNGEに出ます。

来日間近のMORGAN HERITAGE 関連のフェイバリット


1
Perfect Lave Song - MORGAN HERITAGE

2
Jah Seed - MORGAN HERITAGE

3
Call to Me - MORGAN HERITAGE

4
DOWN BY THE RIVER - MORGAN HERITAGE

5
SWEET WATA - PETER MORGAN

6
Let it Fly - IRIE LOVE ft. PETER MORGAN

7
She's Still Loving Me - MORGAN HERITAGE

8
WASH THE TEARS - GRAMPS MORGAN

9
Rescue Me - Duane Stephenson and Gramps Morgan

10
One In A Million - GRAMPS MORGAN


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196