「iLL」と一致するもの

CHART by JET SET 2010.06.07 - ele-king

Shop Chart


1

ALTZ VS DJ NOBU

ALTZ VS DJ NOBU MARIANA »COMMENT GET MUSIC
現行二大巨頭によるマスト・アイテム入荷致しました。遂に自身のレーベル"Altzmusica"を始動させた鬼才Altzによるサイケ・パーカッシヴ・トラック。加えてDJ Nobuによるトライバル・リミックスを収録した豪華コラボ・ワーク。さすがの完成度!!

2

ZACKY FORCE FUNK & KUTMAH

ZACKY FORCE FUNK & KUTMAH FUKK »COMMENT GET MUSIC
Zack Force Funk & Kutmahによる危険すぎるダーティー・ディスコ!オランダはCloneのサブ・レーベル、Clone Crownからの新シリーズ第2弾EPが登場!

3

MARBERT ROCEL

MARBERT ROCEL A PARROTS YELLIN »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆生音多用のレフトフィールド・ミニマル・ポップ・ハウス特大傑作!!HerbertとDani Sicilianoファンを即魅了した傑作"Beats Like Birds"でデビューを飾った当店直撃Compostトリオが絶好調Fenouから!!

4

DJ KOZE

DJ KOZE RUE BUMOUNT »COMMENT GET MUSIC
DJ Kozeが素晴らしいシングルをドロップ!!Dixon、Ellen Allien、Ryan Crosson、Michel Cleis、dOP,Ewan PearsonそしてBen Wattらがプレイ、サポート!!

5

SLUM VILLAGE

SLUM VILLAGE FANTASTIC VOL.2.10 »COMMENT GET MUSIC
ファン待望!"Fantastic Vol.2.10"がアナログ2LPでも登場です!"We Be Dim"、"We Be Dim Part.2"、"Get It Together"、と2.10版のみの収録曲もしっかり搭載しています! やはり彼らの音は2枚組でじっくりと聴きたかったです。

6

HEY-O-HANSEN - WE SO HORNY

HEY-O-HANSEN - WE SO HORNY SERIOUS PLEASURE RIDDIMS »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆ホーン全開のオリエンタル・レフトフィールド・ポップ大傑作!!ダブステップを消化して独自の奇形チャーミング・ポップへと到達した鬼才Hey-O-Hansenが、名門Pingipungからホーンを前面にfeat.した傑作アルバムをお届け~!!

7

TRENTEMOLLER

TRENTEMOLLER INTO THE GREAT WIDE YONDER »COMMENT GET MUSIC
■'10年ベスト・アルバム候補■グレーゾーンのポップ・センスを一手に引き受けた特大傑作!!デンマークのレフトフィールド・ポップ/ディスコ/ミニマル巨匠Trentemollerが、Pantha Du PrinceやFour Tetに呼応(+α)した特大傑作アルバムを完成!!!

8

V.A.

V.A. FUTURE DISCO CITY HEAT SAMPLER »COMMENT GET MUSIC
Just Be Good to Me待望のフル・ヴォーカル・ヴァージョンが遂にリリース!!Sean Brosnan監修のコンピレーション/ミックス・アルバム『Future Disco Vol.3 - City Heat』からのアナログ・サンプラー。人気沸騰のThe Revengeを筆頭に期待大のアクトが集う好内容!!

9

MUSHROOMS PROJECT

MUSHROOMS PROJECT TROPIKAL MUSHROOMS »COMMENT GET MUSIC
ファン必聴のMark E, Phoreskiによるリミックス収録です!!早くも第11弾のリリースとなったJisco Musicクルー手掛ける人気レーベル"Under The Shade"最新作。"Is It Blearic?"からのスプリットでも相当ヤバい楽曲を披露していたイタリアン・デュオ"Mushrooms Project"が登場!!

10

MOP

MOP FLY FIRE LTD EDITION »COMMENT GET MUSIC
ここ最近一番アツイ、ブーティー・ハウスメーカーMOPがまたもやってくれました!!ナント今回はあのBasement Jaxxの90"s大ヒット曲"Fly Life"をブーティー・ミックス!!Richie HawtinやRicardo Villalobosらもパワー・プレイ中のあのヴァージョンが遂に登場です!!

interview with DJ Nobu - ele-king

 ゼロ年代、地方のクラブ・シーンにエネルギーを注入したのは千葉の小さなパーティ〈フューチャー・テラー〉の首謀者、DJノブだった。アシッディなミニマルをかけようが、ソウルフルなハウスをミックスしようが、彼はつねに羽目を外すことを賞揚する。まさに「バカになれ」、そう言い続けているとも言える。そんな彼の評判はこの10年で広く知れ渡り、そして彼の「クレイジー」なプレイも相変わらず熱い支持を得ている。

 かれこれ2月以上前のことだ、DJノブがベルリンの〈ベルグハイン〉でまわすらしい、そのニュースはele-king内で素早く話題となり――といってもたったふたりのあいだでだが――よしそれじゃあ、DJノブが帰ってきたら話を訊こう、ということになった。律儀にも、千葉の男はその話を覚えていてくれた。我々はDOMMUNEの上のSUPER COREで会うことになった。

あのね、優しさとかいっさい出しちゃダメなんですよ。ホントにゴリゴリで、グルーヴでもっていって、何も起こらないなかで何を起こすのかっていう話なんですよ。

どうっすか、最近。

ノブ:最近、面白いっすよ(笑)。

面白い(笑)?

ノブ:テンポ良く遊べているというか、やりたいことができているというか。

ベルリンから戻ってきたのはいつ?

ノブ:4月28日ですね。

まわしたのは?

ノブ:24日。ベルリンを27日に出て28日に戻りましたね。実質三泊ですか。火山の影響で、最初に取っていたチケットがキャンセルになってしまって。4日前になってようやくチケットが取れた。

DJだけやってすぐ帰ってきたの?

ノブ:ちょっとは遊んだ。

ベルリンは?

ノブ:13年前に遊びで行って以来。もう全然違ってた(笑)。

浅沼優子さんの原稿読んでいると、ベルリンがいかにすごいかビシビシ伝わってくるんだけど(笑)。

ノブ:はははは、そうっすね。

で、〈ベルグハイン〉でのプレイはどうでしたか?

ノブ:まあ、自分なりに合格点かな。常連の人たちも褒めてくれたし。観光客もいるけど、ローカルな人たちに受けたのが良かった。やる前はちょっと心配だったから(笑)。

千葉とくらべてどうですか?

ノブ:はははは、それは全然違いますよ(笑)。そこは......日本であれやるの無理じゃないですか。やろうとおもってもできないから(笑)

行ったことないからわからないんだよね。

ノブ:あれは日本では100%不可能です。すべてにおいて。

アレックスは〈パノラマ・バー〉でライヴやったんだよね。「どうだった?」って訊いたら、目をまん丸くして「ホント、クレイジーだよ」って言ってた(笑)。もちろん褒め言葉なんだけど。

ノブ:クレイジーな世界だけど、ルールは守られているというか、お客さん同士でマナーは守られているというか。

ノブ君が〈ベルグハイン〉でまわすって決まったとき、エレキングの更新をやってくれている鎌倉君という子からすぐにメールが来てね、「すごい!」って。だから「よし、じゃあ、話を訊いてみるよ」って。

ノブ:だって電話くれるの早かったすよね。

〈フューチャー・テラー〉がついにインターナショナルな舞台に立つというね。素晴らしいですね。だってさ、ジェフ千葉がヘルタ・ベルリンとチャンピオンズ・リーグで試合をするような(笑)。

ノブ:はははは。たしかにそんな感じっすよね(笑)。

どのくらいまわしたの?

ノブ:3時間。最初は4時間って言われてたんだけどね。3日前に3時間にししょうってなった。

ふーん。その、アレックスいわく「クレイジー」なクラブ、ノブ君いわく「日本では絶対に実現不可能」なそのクラブって、ノブ君には肌にあったんじゃないかなと思うんだけど。

ノブ:合いますね。素晴らしいですね。いや、素晴らしいっていうか(笑)、まあ、あれは病みつきになっちゃいますよね。またすぐに行きたいと思ってますからね。

 

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そもそも何で〈ベルグハイン〉に行くことになったの?

ノブ:デットマン。マルセル・デットマンが初来日したときに〈フューチャー・テラー〉でやってくれて、それで千葉をすごく気に入ってくれて、去年のベスト・パーティにも挙げてくれたんですよ。浅沼さんもマルセルと仲が良いし、「やろうよ」みたいなことを言ってくれて、で、すぐに決まっちゃいましたね。マルセルのアルバム『Dettmann』のリリース・パーティだったんですよ。

まあ、ノブ君の場合は、より「クレイジー」な場所に行けば行くほど相性が良くなるような気がするし。

ノブ:そうですね。日本も「クレイジー」な部分を無くさないように、ちょっとがんばりたいですけどね。


この方がデットマンさんです。

でも、世界的に有名な〈ベルグハイン〉のレジデントやってるデットマンが千葉をそこまで理解したっていうのはいい話だね。

ノブ:そうなんですよね。ホントに気に入ってくれたみたいで。

さすがだね!

ノブ:いやいや、まだ勉強中ですよ。

はははは。

ノブ:そういえば先週、〈フューチャー・テラー〉が東京に初進出だったんですよ。

ああ、〈リキッド・ロフト〉で、〈フューチャー・テラー〉名義でやったんだ。

ノブ:そうなんです。けっこうやりたいことやりましたね。

でも、東京でやると〈フューチャー・テラー〉でなくなるっていうことはないの?

ノブ:それないっすね。だってもう、千葉だけで考えていてもしょーがない......っすよ、やっぱ、他の街でも千葉と同じような状況のところがあるし、そこはもうこだわらずにやろうと。千葉でやるのは基本だけど、もうどこでやってもいい。千葉だけで完結している場合ではないっていうか。

〈フューチャー・テラー〉のヴァイブレーションが他の場所でも充分に通用するってことで自信もあるだろうし。

ノブ:そうですね。そこはありますね。

さすがだね。

ノブ:まあ、だから呼んでくれる人もいるんだろうし。

ところでベルリンでの何か面白いエピソードない(笑)?

ノブ:いや、だから普通にセックスしている(笑)。

書いていいんですか(笑)?

ノブ:言っておくけど、オレじゃないですよ(笑)。

そうか(笑)。

ノブ:13年前はやっぱベルリンのゲイ・カルチャーを知らなかったから。

ああ、そうか。

ノブ:〈ベルグハイン〉は完全にゲイ・カルチャーなんですよ。ゲイじゃないとあそこまでのことできないと思うし。

よく「現代の〈パラダイス・ガラージ〉」って言うものね。

ノブ:そうそう。ゲイの人たちの瞬間の瞬間の快楽の追求のすごさって......、もうあれは完成型だと思うんですよ。

ほー。

ノブ:なおかつ白人文化の究極のカタチだと思うんですよ。テクノをファンクション・ワンで世界でいちばんすごい音で出している。「ここまでやっちゃうんだ」みたいな。やっぱすごいっすよ。

女性もいるんでしょ?

ノブ:女性もいますよ。でもやっぱ6~7割は男。門番の人もそこはコントロールしている。キャピキャピした女の子はまず入れない。

なるほど。で、何か面白いエピソードはないですか? 喋ってくださいよ。

ノブ:面白いエピソード(笑)。うーん、なんだろうな? なんかあったかなー。〈ハードワックス〉のダブステップのパーティに行ったんですけど、大阪のキラサン(・ムーヴメント)のサウンドシステム使っていて、面白かったですよ。そこで今回初めて、やっと黒人に会いましたね。ベルリンは黒人をあんま見かけないっすよね。

あれだけ黒人音楽好きがいるのにねー。デトロイトのバズ・ゴーリーなんかも移住してたわけでしょ。そういうコミュニティ感はやっぱあった?

ノブ:それはある。感じましたね。〈ハードワックス〉周辺の人たちとしか遊んでいないですけど、その辺の兄ちゃんの家に遊びに行ったときに、「オレの曲聴いてくれ」って、クオリティの高い曲を作っていたりするし。やっぱそこはすごい。

ちなみに〈ベルグハイン〉はどんなので盛りあがるの?

ノブ:あのね、優しさとかいっさい出しちゃダメなんですよ。ホントにゴリゴリで、グルーヴでもっていって、何も起こらないなかで何を起こすのかっていう話なんですよ。テクニックがめちゃくちゃ重要だし......、かなりベルリンを意識してやりましたね。

ハード・ゲイ的なの?

ノブ:超ハード・ゲイ。ハード過ぎます。〈ベルグハイン〉の常連の日本人の男の子の友だちができたんですけど、〈ベルグハイン〉でたまにやっているセックス・パーティがあるらしいんですよ。そのときは50人ぐらいが数珠繋がりになって......(笑)。

それはすごいねー(笑)。

ノブ:何か塊が見えると思ったら、数珠繋がりだったと。〈ベルグハイン〉の下の階にセックス・クラブがあって、そこに連れてってくれると言われたんですけど、ちょっと行けなかったです、やっぱ(笑)。

ダンス・カルチャーの発明家たちのほとんどがゲイだったというのは......。

ノブ:いや、もう、そこは絶対にある。そこはすごく思った。ゲイ・カルチャーはホントにすごいっす。それがいちばんの衝撃かな。快楽の追求の仕方がすごい。

 

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いや、あれはスキルのことを言っているのに、話がでかくなっちゃっただけで、オレは別にパソコン使ってても良いDJは良いと思っているし。オレもそのうちPCでDJやるかもしれないし。

話を変えましょうか? 最近はiLLとのコラボレーションをやったけど、他に何かあった?

ノブ:アルツのリミックスをやりましたね。自分の曲の12インチが神戸の〈グラス・ワックス〉というレーベルから出ます。〈グラス・ワックス〉っていうのは、K・アレクシーとか出しているレーベルなんですけど。すごく良い感じでできました。もうすぐ出ると思いますよ。あれは聴いて欲しい。誰もやってないことやったつもりだから。

おー。

ノブ:それが受けるかどうかは別として、挑戦したつもりです。

それは注目だね。

ノブ:あと......なんだろう。また余計なことを言うと面倒くさくなるけど、ベルリンはみんなレコードでしたね(笑)。

はははは、人から聞いたよ。例のPCの件だね。

ノブ:いや、あれはスキルのことを言っているのに、話がでかくなっちゃっただけで、オレは別にパソコン使ってても良いDJは良いと思っているし。オレもそのうちPCでDJやるかもしれないし。

だからデリック・メイと同じことを言ってるだけでしょ。

ノブ:そうそう。ただね、オレが言いたいのは、パソコンでピッチ合わせをやっても良いと思うんですよ。楽だし。サージョンがPC使ってDJしていたんですけど、それは素晴らしかったし、ヘンリック・シュワルツやDJソデヤマも良いし。ただオレは......いまはレコードやCDでないと自分が思う緊張感が作れないからそうやっているだけで。

でもベルリンって、いまどきヴァイナルなんだ?

ノブ:ホントにびっくりしましたね。〈ベルグハイン〉も〈パノラマ・バー〉も。

ブースにちゃんとターンテーブルがどんとある感じ。

ノブ:そうっすね。でも実際......ヴァイナルは音が本当にいいっすよ(笑)。

なんかね(笑)。

ノブ:あれは無くしちゃいけないと思うんですよ。

そうだね。

ノブ:もちろん新しいことも受け入れるし、だけど、古くて良いものを守るってことも大切だと思うんですよ。そこのバランスは絶対に大事でしょ。

CDJは使っているでしょ?

ノブ:使いますよ。でも、いまは7割がヴァイナル。自分なりにCDJを使いこなせるようになったらもっと使うかもしれないけど。

データで良い音源もあるからね。

ノブ:そうなんですよ。オレも1年前からビートポートでちょこちょこ買ってますけど、良いのはありますからね。でもマスタリングなどして工夫しないと音が良くない。

浅沼さんが最近やったダニエル・ベルのインタヴューで、彼が良いこと言ってたんだよね。90年代ですでにヴァイナルはカルトなものだったと。みんなCDに移行してたから、すでにヴァイナルは時代遅れだった。でも、それが逆に自分は特別な世界に関わっているという気持ちにさせたと。自分はこの文化の時代遅れのもので新しいものを生み出す側面が好きなんだと。

ノブ:そうっすね。ハーヴィーも最近のデジタル・カメラに喩えて良いこと言っていたよ。オートフォーカスのデジタル・カメラがいくら出回っても、プロは存在するって。そういうことをオレも言いたかったんですけど。でも、思い切り勘違いされて......。

やっぱ影響力が大きいから(笑)。

ノブ:オレ、頭悪いからうまく文章書けないし。

はははは。

ノブ:オレの戯言をそんなに気にする人がいるんだなって感じですよ(笑)。

 

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で、オレの今後5年間の目標は、そこにいかにもっと多くの若者を呼び込むかってことなんです(笑)。20代前半が来ないわけじゃないけど、もっともっと来て欲しいっすね。

いま、DJは月にどのくらい?

ノブ:6~8本っすね。疲れが取れないっすよ(苦笑)。

じゃ、毎週末どっかでやってるんだ。

ノブ:そうっすね。

今週末はユニットじゃなかった?

ノブ:ノーマン・ノッジと一緒にやります。彼も〈ベルグハイン〉のレジデントのひとりっすね。で、翌日が熊本。

週に2回ぐらい。

ノブ:来週は3回。土曜日に1回で、日曜日2回。

どうっすか、日本をまわって。

ノブ:いや、いいんじゃないっすか。こないだも大阪、平日まわしたけど、100人以上来たし、求めている人は求めているから。ぜんぜん良いのかなって思いますね。

それはDJノブだからでしょ。

ノブ:それはわからないっすけど。

でも、間違いなく地方を元気づけたじゃない。

ノブ:あ、それはよく言われる。それこそ熊本なんかめちゃくちゃハードコアっすよ。九州はホントに、「クレイジー」なシーンがある。福岡にもノブ君っていて、そいつもすごいがんばってる。

へー、じゃあノブ君の現場は元気なんだね。人によっては最近の日本のクラブは元気がないって言うからさ。

ノブ:ただ、さっき言った「クレイジー」な部分は少なくなっているように感じてますね。だからそれを〈リキッド・ロフト〉でやれたのは良かった(笑)。かなりめちゃくちゃだったけど、超まとまってた。オレとローカルDJだけで400人以上入ったし。あれは大成功だった。〈フューチャー・テラー〉の3人と名古屋のローカルでがんばってるヤツと、それだけで人が集まったから。

たいしたものだね。

ノブ:そういう意味では「クレイジー」なものを求めている連中もいるんですよ。で、オレの今後5年間の目標は、そこにいかにもっと多くの若者を呼び込むかってことなんです(笑)。20代前半が来ないわけじゃないけど、もっともっと来て欲しいっすね。元気がない20代前半にこの遊びの面白を広めたいっすよ。

でもいるでしょ、そういうヤツはいつの時代でも。

ノブ:若くてやんちゃなヤツ、もちろん〈フューチャー・テラー〉にもいるんですけど。でも、絶対に減っているように思いますよ。

そういう時期なだけなんじゃないの。今後増えるかもよ。

ノブ:そういえば、こないだハーヴィーの〈オッパーラ〉に遊びに行って、オレ、やらかしちゃんですね(笑)。

派手に遊んでしまった(笑)?

ノブ:そうなんすよー(笑)。

ノブ君は自分で踊るの好きだもんな。

ノブ:自分で踊らないDJは、DJがつまらないっすからね。遊んでないDJはダメっすね。オレはだって、フロアで踊る人のためにDJやってるから。やっぱね......。

はははは。

ノブ:はははは。

まあ、〈フューチャー・テラー〉が屈託が無さ過ぎるんだよ(笑)。

ノブ:はははは。でもまあ、やっぱベルリンでその原点を見たというか。

快楽への欲望の?

ノブ:浅沼さんと〈ベルグハイン〉で午後の3時まで踊ってましたからね。(注)

ひぇー、3時まで! それはオレには無理だ。

ノブ:はははは。

(注)浅沼優子さんいわく「3時まで踊ったけど、私は途中2時間くらい居眠りしましたよ(笑)。いちばん踊ってたのノブ君ですよ!」

 

DJ NOBU @ Berghain - ele-king


浅沼さんから送られてきたベルリンののどかな風景。

 「ノブ君を〈ベルグハイン〉にブッキングするまで帰って来ないから!」、ベルリンに引越す直前、ノブ君にそう言った。別にノブ君に頼まれたわけでも何でもなかったが、私は勝手にそれをひとつの目標としていた。〈ベルグハイン〉に初めて行ったときにから、「ここでDJノブが聴きたい」と思っていたし、私が知っている日本のDJでは、ノブ君以上にここにハマる人は他にいないと思った。

 私がベルリンに引越した最大の理由は〈ベルグハイン〉である、と言っても過言ではない。そんなことを言うとどんだけ頭のおかしい女かと思われるだろうが、それほど衝撃的なクラブだった。そのクラブに毎週通いたいからというわけではなく、こんなクラブが存在し得る街、こんなクラブを作り上げることができる人たちがいる街は魅力的な場所に違いないと思ったのだ。

 ひと言でいうと「完璧」なクラブ。理想のクラブかと問われれば、私の理想とは少し違う。音楽的な好みなども加味すると、個人的な理想はもっと別のところにあるように思う。ただ、実在しているクラブとしては「完璧」であり、完成された、ひとつの究極であることは間違いがない。

 客がフロアでセックスしているとか、「ダークルーム」ではもっとすごいことが繰り広げられているとか、そういうスキャンダラスな側面は正直、私にとってはどうでもいい。クラブの「怪しげ」な雰囲気を演出している要素でしかない。ただしそれは、このクラブ内独自の圧倒的な解放感、「各々が好きなように、好きなやり方で楽しめばいい」というアナーキーさの表れであり、それがこの場所の特別なところだ。

 自由奔放な雰囲気と、プロフェッショナリズムに徹した超ストイックな設備とスタッフと音楽。それがここまで高い次元で共存している場所は世界中見渡しても絶対に他にない。あり得ないと思う。

 ベルリンのクラブは、いまだにレジデントDJを大事にしているところが多い。それぞれのクラブには何人か「ハコ番」のDJがいて、彼らがそのクラブの雰囲気を代弁し、守っている。〈ベルグハイン〉はとくにそこにこだわっているクラブだ。マルセル・デットマン、ベン・クロックが現在もっとも高い人気を誇るツートップと言えるが、他にもレン・ファキ、アンドレ・ガルッツィ、DJピート、マルセル・フェングラー、ノーマン・ノッジ、シェッド、フィーデル、ボリス、アンディ・バウメカーといった面々のいずれかが、土曜日(日曜日)は必ずプレイし、パーティの運命を決める。

 〈ベルグハイン〉は基本的に、土曜~日曜にかけてはつねにハード・テクノが流れている(金曜日にはたまに少し趣向の違うパーティが開かれる。ダブステップのSub:stanceなど)。そこから大きくブレることはない。毎週豪華なゲストDJ/アーティストがブッキングされているが、ここで力を発揮する人と、クラブの個性の強さに負けてしまう人がいる。初めて行ったときにプレイしていたルーク・スレーターなどは、レジデント並みに場に馴染み、客をコントロールしていた。クリス・リービングも他では(私は)聴く気はしないが、ここでは輝く。逆にフランソワ・Kは彼のスタイルの持ち味が映えなかったし、デリック・メイも(私はプレイを聴いていないが)まったく合わなかったと自分で言っていた。というか、まったく彼の好みではなかったようだ。

 ......以上の話は全部ノブ君には事前に伝えていた。思っていたよりもずっと早く実現してしまったノブ君の〈ベルグハイン〉出演。私と、ノブ君を呼ぼうと言ってくれたマルセル・デットマンだけが、「ノブ君なら間違いない」と確信していたが、当然ベルグハイン関係者を含むベルリンの人は誰もDJ NOBUなんて名前すら聞いたこともなければ、彼がどんなスタイルのプレイをするのか、どの程度スキルがあるのか、どれだけ経験を積んでいるのか、全く知らなかった。それでもマルセルの「呼ぼう!」の一言でブッキングは決定。「マルセルが太鼓判を押すなら心配ない」、「リリースがあるかどうか、有名かどうかは全く関係がない。プレイがいいかどうか、ただそれだけ」と、当たり前のようにブッキング担当者は言った。

 この話もノブ君に伝えた。そう、プレイがすべて、本番がすべてだと。最高の舞台であると同時に、絶対に失敗できないチャンス。私は意識的にプレッシャーをかけまくった(笑)。本人には迷惑な話だが、私はノブ君がプレッシャーに強く、窮地に追い込まれたときに馬鹿力を発揮すると信じていたから! 〈ベルグハイン〉は、いちどのチャンスを掴まなければ、二度と呼ばれないと。ノブ君が日本人で初めてあそこでDJするんだから、日本のヤバさをベルリンの連中に見せつけてやってくれと。

 逆に「ハウスはかけないほうがいいか」、「こういう曲はかけてもいいか」等々、ノブ君からの相談にも乗った。なんせノブ君は〈ベルグハイン〉を見たこともなければ、フロアで踊ったこともない。ただ去年千葉の〈フューチャー・テラー〉で聴いたマルセルのプレイと、〈Ostgut-Ton〉や〈MDR〉のレコードの音から、来る日の夜をイメージしていたのだ。だから私はできる限り言葉であの独特のノリと雰囲気を説明した。(説明し切れないけども。)

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マルセルも「グレート!」を連発。ブース目の前に陣取ってるうるさ方の常連さんらもみんな笑顔。「後ろのほうまですごい盛り上がってるよ!」とノブ君に伝 えると、ガッツポーズ! 完全に「オン」になった! 

 アイスランドの火山灰騒動でノブ君のフライトがキャンセルになり、いちどは今回は諦めて何ヶ月後かに仕切り直した方がいいんじゃないかという話も出たほど、直前は大混乱となった。でも結局、ノブ君が少し自腹を切ってでも、航空券を買い直して今回のパーティに出たいというので、慌ててパーティ前日である金曜日に到着する便を手配することになった。本来はローディーも兼ねたふたりの友人と一緒に来るはずだったが、彼らのフライトもキャンセルになったのでノブ君ひとりで来ることになり、重量制限があるので3時間のプレイぎりぎりのレコードしか持って来れなくなってしまった。だから直前、ものすごく慎重に選曲をしてきたようだ。行ったこともないクラブで、他はシェッド、マルセル・デットマン、ベン・クロックというレジデントのみのパーティ。ノブ君は普段から、どんなパーティでもすごくその場所やお客さんのノリ、自分の出番や役割を考えて綿密に選曲をしていることを私は知っている。だから今回などは、本当にいろいろ考えと想像と妄想をめぐらせたに違いない。

 正直、私も不安がなかったわけではない。ノブ君の実力は誰よりも評価しているけど、「あそこ」でそれが発揮できるのかどうか、そしてそれがベルリンの客に伝わるのかどうか。日本全国いろんなパーティを経験したノブ君でも、ベルリンの客を相手にやった経験はない。日本でやっていることをそのままやっても、客が違うので伝わらないかもしれない。でも、逆にベルリンのノリを意識しすぎてノブ君の個性や持ち味が出せなかったら意味がない。そのバランスをどう取ればいいのか、私もわからなかった。ノブ君には、「あとは現場でお客さんの反応を見て判断して」としか言えなかった。

 パーティ当日の夜のノブ君は、いままで見たことがないほど緊張していた。呼ばれた出演者との夕食会も両脇にマルセルとベン、向かいに〈Ostgut-Ton〉のレーベル・マネージャーであり当日〈パノラマ・バー〉のほうでプレイすることになっていたニック・ホップナー、その隣にはレジデントDJでありブッキング・マネージャーであるアンディ・バウメカー、シェッドを含む〈ハードワックス〉のスタッフ、そんな彼らと個人的に仲がいいライアン・エリオット、〈Ostgut〉のブッキング・スタッフ、とイカツイ面子がずらりと揃っていて、私ですら緊張した(笑)。ノブ君の出演時間である3時よりもだいぶ早めに、1時頃には会場に入った。夕方じっくりサウンドチェックもしたが、やはり営業時間の雰囲気、音の鳴りはその場に行ってみないとわからない。

 トップバッターだったシェッドがプレイしていたが、フロアはがらがらだった。普段から客足は遅い方だが、それにしても人が少なかった。火山灰騒動で多くの格安航空便がキャンセルになり、観光客が少なかったからだと思われる。これほど人が少ないのは予想外。シェッドも淡々とウォームアップをしている感じ。ノブ君は緊張顔でソワソワ。ところが交代30分前くらいになって、シェッドがピッチもボリュームも上げ出して、いっきに客も踊りはじめた。そして急激にテンションを上げ切ったところでノブ君に交代。それでもガチガチに顔がこわばっているノブ君(あんな顔見たことない!)に、「いつものノブ君らしくやれば、絶対大丈夫だから!」と最後に言った。心なしか、お客さんもこの無名の日本人DJがどうくるのか、好奇心をもってこちらを見ているようだった。いつの間にかマルセルやその友だちの常連さんたちがブースの前に集合していた。

 ノブ君のプレイがはじまった。最初の30分は、恐る恐るという感じが伝わって来た。でも〈ベルグハイン〉の客にはなじみ深い〈Ostgut-Ton〉のレコードをノブ君のセンスでプレイし、お客さんも少し安心したようだった。明らかにフロアに人が増え、みんなが踊っていた。最初の30分が問題なく過ぎたので、ブースから出てフロアを偵察しに行った。バッチリ。後ろのほうのお立ち台上のマッチョのゲイたちもがっつり踊っている! この人たちを踊らせたら、〈ベルグハイン〉のフロアは制したも同然。ブース内のマルセルも踊りまくっている! 「みんな踊ってるよ!!」とノブ君に言いにいくと、少し緊張が解けたような笑顔になった。開始1時間で、このクラブの要領とお客さんのノリは掴んだようだった。さすが。

 〈ベルグハイン〉のノリは掴んだようだったけど、まだノブ君らしさは発揮されていなかった。まだ硬かった。いつもの伸び伸びとした感じがない。せっかく日本から来てるのに、「他の〈ベルグハイン〉のDJたち」と同じことをやっても仕方がない。〈ベルグハイン〉の世界観を理解しながら、そのなかでどれだけ自分らしく遊べるかどうか。そう考えるとやはりDJにとって難しいハコだと思う。しかし4時を過ぎた頃から、フロアは満員、がっつりと客がついてきている手応え。マルセルも「グレート!」を連発。ブース目の前に陣取ってるうるさ方の常連さんらもみんな笑顔。「後ろのほうまですごい盛り上がってるよ!」とノブ君に伝えると、ガッツポーズ! 完全に「オン」になった! そこで1回、「やったね」の硬い握手をしたのを覚えている。そこからは、いつものノブ君。とくに最後の1時間は本当に楽しそうにプレイしていたし、それがフロアにも伝わって最高潮の盛り上がりを見せた。一緒に夕食を食べた面々も、納得の表情。この夜の主賓であるマルセルがめちゃくちゃ楽しそうに踊っていたことが、何よりの証拠だった。

 後半はあっという間に過ぎて、気づけばもう6時。マルセルと交代の時間だ。交代前に、この日にリリースされた『Dettmann』アルバムの3枚組LPをマルセルが持って来てノブ君に渡した。そしてノブ君最後の1曲が終わるといちど音を止めて、お客さんに紹介するようにノブ君に拍手を送った。あっという間に、私のひとつの「夢」だった"DJ NOBU @ Berghain"は終わっていた。ぶっちゃけ、終わる頃には相当酔っぱらっていた(笑)。だから、その後のことはあまり覚えていない。後は遊んだだけ。ノブ君もめいっぱい遊んでいた。何人かが私のところに、「NOBUがすごく楽しそうにフロアで踊ってるよ!」と言いに来たほどだ。プレイを終えて初めて、ノブ君は〈ベルグハイン〉の客の感覚をフロアで味わっていた。最強のレジデント、マルセル・デットマンとベン・クロックのプレイを彼らのホームグラウンドで体験していた。

 さすがに昼くらいで帰るだろうと思っていたのだが、結局午後3時過ぎ、〈ベルグハイン〉の音が止まるまでいてしまった。上階の〈パノラマ・バー〉は、まだまだそこから夜中まで続くのだが、〈ベルグハイン〉を味わい尽くしたところでこの日は満足。ほとんど〈パノラマ・バー〉をチェックしにも行かなかったが、どうやら〈ベルグハイン〉のほうに客が集中していたようだ。昼くらいまでいた私の友人は、「NOBUのときがお客さんの入りも盛り上がりもピークだった」と言っていた。私はそれ以降の記憶があやふやなのでどうだったか判断できないが、ノブ君が「〈ベルグハイン〉のためのDJ NOBUセット」を絶妙なバランスでプレイし、それが読み通りの反応を得たことはたしかだと思う。ノブ君のセットの終盤、私は酔っぱらいながら「this is one of the happiest moments of my life!」といろんな人に言いまくっていたことも記憶している。本当に鼻が高かったから!

 ありがとう、ノブ君。
 そして、またやりましょう!

浅沼優子

DJ Nobu Current Chart

  • Juju & Jordash / Deep Blue Meanies / Dekmantel
  • Mirko Loko / Tahktok (Villalobos Hilery's Chant Remix - Edit) / Cadenza
  • Claro Intelecto / Back In The Day / Modern Love
  • Marcel Dettmann / Dettmann / Ostgut Ton
  • Mike Parker / GPH14 / Geophone
  • Dasha Rush / Sonic State / Sonic Groove
  • James Kumo / Kumomusic Vol.1 / Delsin
  • Crue-L Ground ohcestra / Endbeginning(NOBU'S DUB) / Crue-L
  • Peter Van Hoesen / Entropic Minus Six / Time To Express
  • ??? / Desperation / Do Not Resist Beat!

CHART by JETSET 2010.05.31 - ele-king

Shop Chart


1

WALTZ

WALTZ BLENDMIX - WALTZ EDIT VOL.3
»COMMENT GET MUSIC
毎回好評の「Waltz Edit」の第3弾が登場!カップリングにはHikaru(Blast Head)とタッグを組んだニュー・ユニット、Blendmix名義での作品を収録。

2

MADLIB

MADLIB MEDICINE SHOW VOL.5 - HISTORY OF THE LOOP DIGGA 1990-2000 (LIMITED DELUXE VERSION) »COMMENT GET MUSIC
あの頃君は若かった・・・でも、とてつもなくビートはドープ。まずは早い者勝ちのDX限定盤!Medicine Showシリーズ第5弾は、1990年から2000年までのMadlibの過去を紐解くデモ音源集全44曲(34曲+ボーナス10曲)!

3

SEAHAWKS

SEAHAWKS ASTRAL WINDS
»COMMENT GET MUSIC
素晴らしい。コズミックとシューゲイズが海の底で溶け合うトリッピン・シンセ・サウンドスケープ!!最高のリリースが続くStatic Caravanより。Fuck Buttons meets Washed Outな絶対注目の1枚!!7"とは別内容の7曲入りCDが封入された限定盤です。

4

RAAH PROJECT

RAAH PROJECT REMIXES
»COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆どこまで天才なんだBlue Daisy!!年間ベスト10"候補です。イタリアの新興レーベルから当店直撃のリミックス10"が。Gilles Petersonにフックアップされた新鋭ユニットをお馴染みBlue DaisyがリミックスしたA1が壮絶です!!

5

MARCUS PRICE & CARLI

MARCUS PRICE & CARLI MAT BIRA KVINNOR WEED EP
»COMMENT GET MUSIC
☆爆裂大推薦☆これが'10年型ダーティ・ビーツ x 新型UKG/ベース最強リミキシーズ!!ダーティ・ビーツ系US最強ブログが主宰する同名レーベルが遂にヴァイナル・リリースを始動。当店激推しNight Slugsポッセからも2組がリミキサー参戦しておりますっ!!

6

ALDO CADIZ

ALDO CADIZ SHE MOVED
»COMMENT GET MUSIC
Basti Gru主催、Hohenreglerからの新作!!同時期にDesolatからBasti Grubとのコラボ作品をリリースし注目を集めたチリアン・プロデューサー、Aldo Cadizによるソロ作品が登場!!

7

MICKEY MOONLIGHT

MICKEY MOONLIGHT LOVE PATTERN EP
»COMMENT GET MUSIC
無限大マスト★天才Mike Silverによるトロピカル・シンセ・ユニット、遂に2nd.シングル登場!!2008年の"Interplanetary Music"が未だ売れ続けるMickey Moonlight。待ちに待った第2作がEd Bangerから到着!!今回も絶対間違いなし、メチャクチャ最高です!!

8

TARAS 3000

TARAS 3000 GALAXIS
»COMMENT GET MUSIC
AN-2に続くロシアン・ニュー・ディスコ大推薦盤!!Move Dを皮切りに本作で3枚目のリリースとなるモスクワ発Shanti Records.今後はRick Wadeのリリースも予定されていたりと大変に楽しみなレーベルです。

9

RICCIO

RICCIO DESIRE EP
»COMMENT GET MUSIC
ますます目が離せなくなってきたBosconiのディスコ部門"Bosconi Extra Virgin"!!The Revengeがリミキサーに起用された前作Jaffa Surfa"Disko Z"に続くは、Super ValueおよびHidden Historyからのリリースで御馴染みのLTJ X-Perience一派Riccioという言うまでも無くゴキゲンな一枚!!

10

ALEX DOLBY & SANTOS

ALEX DOLBY & SANTOS SOUND TRAFFIC E.P.
»COMMENT GET MUSIC
フロアヒット確実のトライバル・テックハウス!!Adam Port & Santeによる"Own EP"で一気に注目を集めたRockets & Poniesからのニュー・シングルはtaloboyz, Dubfire, Paul Ritchもプレイ、サポートの強力パーカッシヴ・チューン!!

Shop Chart


1

NABOWA

NABOWA S.T. MOGIE / JPN / 2010/5/12 »COMMENT GET MUSIC
数々のライブを経験し、たくましく成長したNABOWAがお届けする渾身のセカンド・アルバム「NABOWA」が遂にリリース!いままで以上に表情が豊かになったヴァイオリンとバンド・サウンドのアンサンブルを軸に、大都会や街中から、海、空、草原、はたまた近所の河などの自然、更には過去から現在、そして素晴らしき未来まで期待させるような、場所と時間と感覚のミュージカル・ジャーニー。未発表ライブ映像を収録した特典DVDR付き!

2

DUFF DISCO

DUFF DISCO SHAKE THAT LEG EP DUFF DISCO / UK / 2010/5/27 »COMMENT GET MUSIC
絶好調DUFF DISCO第3弾!A面"GIMME SOME BUCKS"はJB'Sによる大クラシック"YOU CAN HAVE WATERGATE~"というドFUNKな一曲をお得意のファットなミッド・ブギー・トラックへとリエディットさせた、斬新な好ワークス!そしてB面にはファンク/ロック/ディスコ/レアグルーヴと幅広い層から人気を集めるUKカルト・ロック・バンドSTRETCHによる名曲""WHY DID YOU DO IT?"をこちらも極太ブギー・ロック/ディスコへと再構築!

3

MOODY a.k.a. MOODYMANN

MOODY a.k.a. MOODYMANN OL' DIRTY VINYL KDJ / US / 2010/5/9 »COMMENT GET MUSIC
「DET.ROIT」、「ANOTHER BLACK SUNDAY」に続くMOODY名義での第三弾!所々に出没するチリノイズ風(?)演出がアナログ感むき出しで◎なファンキー・ブラック・ハウス"OL' DIRTY VINYL"、90年代後期に制作された蔵出し音源となるジャズ/ソウル・ナンバー"WE DON'T CARE"、そしてキーボードにAMP FIDDLERを迎えロンドンで制作されたジャズ/ファンク・ハウス"IT'S 2 LATE 4 U AND ME"等、計5トラック収録!どれも格別の黒さ!やはり"ホンモノ"は違います!

4

BISON

BISON SOUP FICTION CLAREMONT 56 / UK / 2010/5/27 »COMMENT GET MUSIC
好調なリリースを重ねるPAUL MURPHYことMUDD主宰の<CLAREMONT 56>より、CANのHolger Czukay、シンガーのUrsa Major、そしてレーベル主宰Paul "Mudd" Murphy とSmith & MuddのBenjamin SmithによるNewユニットBISONによるセカンド・シングル!前作でも見せたマッドなロック・グルーヴ全開、さらに今回はLIQUID LIQUIDのオリジナルメンバーSAL Pをボーカルに起用、より強力でダーティなオブスキュア・スローモー・ロック・ディスコ傑作となってます!

5

ERDBEERSCHNITZEL

ERDBEERSCHNITZEL COTTON 3RD STRIKE / UK / 2010/5/27 »COMMENT GET MUSIC
ソロ・デビュー作となった新設レーベル<3RD STRIKE>からの前作「4 MONTHS」も大好評だったドイツの新鋭ERDBEERSCHNITZELによる新作が早くも登場!今作はブギー・ディスコ・テイスト強めな楽曲から KDJ/THEO PARRISH等にも通じるソウル/ジャズのエッセンスを散りばめたブラック・ハウス、そしてもちろん<JISCO>クルーのフックアップも頷ける極太ビートダウン・サウンドまで、ずば抜けたプロダクション・センスの光る漆黒トラック計4本収録!!

6

DJ NATURE

DJ NATURE THIS SIDE OF HEAVEN / IT'S OVER GOLF CHANNEL / US / 2010/5/19 »COMMENT GET MUSIC
リヴィング・レジェンド、DJ MILOによるダンスミュージック・ラインでの別名義プロジェクトDJ NATURE新作!こちらは二種同時リリースの第一弾!土着的なヴォイス・サンプルや鳴物を散りばめパーカッシヴ・ビートを主体としたミニマル・グルーヴで展開する"THIS SIDE OF HEAVEN"、ジャジーなリフレインが心地良く響き渡るビートダウン・トラック"IT'S OVER"とどちらも隙の無い完璧な仕上がり!!

7

DJ NATURE

DJ NATURE WIN LOSE AND DANCE / DESTINY REPRISE GOLF CHANNEL / US / 2010/5/19 »COMMENT GET MUSIC
リヴィング・レジェンド、DJ MILOによるダンスミュージック・ラインでの別名義プロジェクトDJ NATURE新作!こちらは二種同時リリースの第二弾!持前の黒さを発揮したジャジーなエレピ・リフに土着的グルーヴを織り交ぜ展開するビートダウン・トラック"WIN LOSE AND DANCE"、そしてソウルフルなヴォイス・サンプルを配しビルドアップしていくファンクネス度高めなブラック・ハウス"DESTINY REPRISE"と両面共にこちらも完璧!!!

8

NABOWA

NABOWA キッチンへようこそ / SUNPEKO MOGIE / JPN / 2010/5/12 »COMMENT GET MUSIC
インストルメンタル・バンド・シーンにおいて今年最大の話題作になるであろうNabowaのセカンド・アルバムより、限定7インチが到着!『悦びに咲く花』やDragon Ash『Grateful Days』の大ヒットで知られ、昨年より本格的に活動を再開したACOをヴォーカルに起用した会心のポップチューン『キッチンへようこそ』、軽快なバンド・アンサンブルに、表情豊かなヴァイオリンが高揚感を加速するNabowa流ポストロック・ナンバー『sunpeko』の2曲を収録!

9

MAXXI AND ZEUS

MAXXI AND ZEUS THE STRUGGLE / THE CELLl INTERNATIONAL FEEL / URY / 2010/5/22 »COMMENT GET MUSIC
毎度完売!人気レーベル<INTERNATIONAL FEEL>新作!ハードディガー/コレクターであるJOEL MARTINと世界で最も多忙なDJ/プロデューサーのひとりRADIO SLAVEことMATT EDWARDSによるユニットQUIET VILLAGEの別名義プロジェクト=MAXXI AND ZEUSでのディープ・チルアウト・トラック!ASHLEY BEEDLE、MIXMASTER MORRIS、GILES PETERSON、SOFT ROCKS等実に幅広いDJ/クリエイター陣からも大絶賛中の本盤、毎回ですが限定プレスのためお早めに~!

10

KENNETH BAGER EXPERIENCE

KENNETH BAGER EXPERIENCE THE KBE DUBS MUSIC FOR DREAMS AMERICA / US / 2010/5/25 »COMMENT GET MUSIC
A面には89年リリースのテクノ・クラシックDR.BAKER/KAOSのダビーなリミックスを収録!そして注目はやはりC/Wに収録の "FRAGMENT EIGHT (DJ DISCO DUB MIX)"で、レーベル・メイトでもあるDJ DISSEによる"FRAGMENT EIGHT"を激ダビーなディープ・トラックへとリミックスした逸品!レゲエ・サイドはもちろんディスコ、ブレイクビーツ・ファンにもオススメできる振り幅の広いナイス・トラックです!

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1

SHOES

SHOES Shoes Your Illusion Vol 1 & 2 SHOES / US / »COMMENT GET MUSIC
再入荷!MOODYMANN"SHADES OF JAE"を始め、JB、AL GREEN、MILES DAVIS、BILL WITHERSなど名だたるクラシックをRE-EDITしてきたSHOESが初のCDリリース!GARAGE系ならずとも、一度はフロアで聞き覚えのあるクラシックを料理してきた、CHICAGOのRE-EDITレーベル。12"で再発する予定はないので、2枚組でのCD化は嬉しい限り!

2

MAXXI AND ZEUS

MAXXI AND ZEUS Struggle/Cell INTERNATIONAL FEEL / BEL / »COMMENT GET MUSIC
絶好調!INTERNATIONAL FEELです!RADIO SLAVEも参加するQUIET VILLAGEの新プロジェクト"MAXXI AND ZEUS"による12"!60年代の野外でのフェスを思わせる、あまりにサイケ、あまりにドラッギーなブルースを鳴らすA面。コラージュ的な要素で圧倒的な世界観を作りこんだ極上のチルアウト・ナンバーのB面。PSY高すぎる一枚!

3

TODD TERJE

TODD TERJE Remaster Of The Universe PERMANENT VACATION / GER / »COMMENT GET MUSIC
切った張ったのRE-EDIT業界において今最も旬な男、TODD TERJEによる初のRE-EDIT集をリリース!初CD化音源のみ収録のDISC 2と、DJ MIXされたDISC 1の2枚組。SIMON BAKER、JOSE GONZALEZ、FELIX LABAND、DOLLE JOLLEなどヒットした音源が多数、CHAZ JANKELやM"POP MUZIK"などのクラシックも多く八方敵なし!

4

MASOMENOS

MASOMENOS Orange Balloon WELCOME TO MASOMENOS / GER / »COMMENT GET MUSIC
リリースラッシュの止まらないフランスを代表するアーティスト、MASOMENOSによる風船シリーズ「オレンジ」。GROOVE感重視のトラックに、様々な趣向をこらした個性的な4 TRACKS。コメントでは伝えづらいのですが、じっくりと聴けば、彼らのセンスが分かります。個人的にもオススメ!

5

REBOOT

REBOOT Rambon EP CADENZA / GER / »COMMENT GET MUSIC
間もなくリリースされる1STアルバムからの先行12"カット!LUCIANO REMIX!!!CADENZAのレーベルカラーを写し込んだような、美しい中域と細身のパーカッションは、レーベル50番を飾るに相応しい内容。LUCIANO REMIXは、肩の力が抜けた低音重視のドープなTECH MINIMAL。

6

TECHNASIA

TECHNASIA Espercance TECHNORIENT / HK / »COMMENT GET MUSIC
「POPSODA」以来4年ぶりとなるNEW ALBUM「CENTRAL」からの先行12"カット!とてもポジティヴでシンセの音色の「気持ちよさ」を表現した、まさに"TECHNASIA SOUND"と言えるテクノ・トラック!MINIMALや、DEEP HOUSEが主流となった現在のテクノシーンにおいて、CHARLESの作るストレートなテクノ・サウンドは一際魅力的に映るでしょう!

7

KUNIYUKI

KUNIYUKI Remixed Vol.2 MULE MUSIQ / JPN / »COMMENT GET MUSIC
RE-STOCK品入荷!北の至宝、KUNIYUKIの音源をCOBBLESTON JAZZとA MOUNTAIN OF ONEがREMIXしたオススメの一枚!COBBLESTONEらしい、エネルギッシュなベースラインと原曲のエレガントさを損なわないレベルでダンサブルにしたA面。アウトドアでナイトライフな、極上のチルアウトを約束するB面。A.M.O.O REMIXはNOBUさんもMIX CDに収録してました。

8

MARTINEZ

MARTINEZ Paradigm Shift MOON HARBOUR / GER / »COMMENT GET MUSIC
近年どこからのリリースでも、外れを引くことがなかったMARTINEZのサード。引き締まったリズム・トラックとアトモスフェリックなウワモノが絶妙にブレンドされた"Soralis"はじめ、ミニマルハウスがさらに洗練され、ディープハウスの最新形とも言えるサウンドへと昇華された傑作アルバム!

9

SLAM

SLAM Maffaking DRUMCODE / SWE / »COMMENT GET MUSIC
自身のレーベル・PARAGRAPHからのリリースに顕著に表れているダークでエクスペリメンタルなミニマル路線を突き詰めた一作。ブーストする低音、脳を揺さぶるドラッギーなシンセリフがたまらない極悪なトラック! B面はグルーヴを重視したバウンシーなミニマルで、こちらもフロアで威力を発揮するキラー・チューン!

10

JOAQUIN JOE CLAUSSELL

JOAQUIN JOE CLAUSSELL Sacred Rhythm Music and Cosmic Arts Promotional Sampler / »COMMENT GET MUSIC
7月リリースのレーベルコンピからの先行アナログカット。先日のBody&SOUL終盤でもプレイされた軽快なインストA1、イーノ的なピアノ・アンビエントB1、得意のドラムをバッチリ重ねドープなダブ処理が素晴らしいB2と異なったテイストの楽曲を3曲収録。限定500枚カラーヴァイナルでリリース。(Y)

CHART by STRADA RECORDS 2010.05.27 - ele-king

Shop Chart


1

MASSIVE ATTACK

MASSIVE ATTACK PARADISE CIRCUS-GUI BORATTO REMIX WHITE (US) / »COMMENT GET MUSIC
MASSIVE ATTACKのアルバム「Heligoland」収録曲を、KOMPAKTなどからのリリースでもお馴染みのブラジル生まれのクリエイターGui Borattoがリミックス!メランコリックなディープ・ハウス ・リミックスで、繊細なバック・トラックに可憐な女性ヴォーカルがグッとくる最上級の仕上がり!DOMMUNEでDJ AGEISHIさんがプレイしてました!

2

MAXXI AND ZEUS

MAXXI AND ZEUS THE STRUGGLE INTERNATIONAL FEEL(EU) / »COMMENT GET MUSIC
大人気レーベルINTERNATIONAL FEELからナントQUIET VILLAGEの変名MAXXI AND ZEUSが12インチをリリース!両面ともハイクオリティーなアンビエント系サウンドで、Chris Coco、Phil Mison、Prins Thomas、Pete Herbert、Mixmaster Morris、Mountain of One、Max Essaといったチルアウト~バレアリック系DJはもちろんAshley Beedle、Tom Middleton、Horse meat Disco、Jimpster、Soft Rocks、Brendon Moeller、Nick Chacona、DFAらも絶賛!

3

JEPHTE GUILLAUME

JEPHTE GUILLAUME DEJA VUE(feat.WILTRUD WEBER) TET KALE (US) / »COMMENT GET MUSIC
100枚限定のプロモも話題だったこの曲が遂に正規リリース!SPIRITUAL LIFEやIBADANからのリリースで知られるJEPHTE GUILLAUMEが久々に自分のレーベルから放つ強力盤で、彼らしいパーカッシヴなハウス・トラックに伸びやかな女性ヴォーカルがフィーチャーされたシリアス且つカッコイイ作品!

4

BAYARA CITIZENS(JOE CLAUSSELL etc)

BAYARA CITIZENS(JOE CLAUSSELL etc) SONG FOR AFRIKA SACRED RHYTHM (US) / »COMMENT GET MUSIC
ここ最近のJOE CLAUSSELLのプレイでも注目を集めていたこのアフロ・ハウスがようやくリリース!グルーヴィーなアフロ・パーカッションに浮遊感のあるシンセ・ソロがフィーチャーされたディープなインスト・チューン!

5

JOE CLAUSSELL

JOE CLAUSSELL THE SACRED RHYTHM MUSIC SAMPLER-FAR EAST SACRED RHYTHM (US) / »COMMENT GET MUSIC
SACRED RHYTHMからリリース予定のコンピレーションからの先行サンプラー・シングル!Mental Remedy名義での清々しいインスト・チューンをはじめ、アンビエント調のB1、アフロなドラムが炸裂するBayara Citizens名義のB2という充実の内容!

6

SLAM MODE

SLAM MODE APPAKETA-JEFF MILLS REMIXES SPIRITUAL LIFE (US) / »COMMENT GET MUSIC
休眠状態(?)だったSPIRITUAL LIFEから突如12インチがリリース!同レーベルからのコンピレーション「New Birth」に収録されていたJEFF MILLSによるリミックスを、更に今回JOE CLAUSSELLがオーヴァーダブを施した初お目見えの新ヴァージョン!JEFFらしいドラムにエスノなヴォーカルが舞うぶっ飛んだテック・ハウス!何かと使えるアカペラの収録も嬉しい!

7

TOMMY BONES

TOMMY BONES RAW BASICS EP WONDER WAX (US) / »COMMENT GET MUSIC
WAVE MUSICやREALTONE等からリリースしているTOMMY BONESがDJ SPINNAのレーベルWONDERWAXから12インチをリリース!ミニマルで図太いディープ・インスト・ハウスで、そのままプレイしてもロング・ミックスに使ってもバッチリな即戦力盤!DJ SPINNAによるミックスも収録!

8

FERDI BLANKENA

FERDI BLANKENA SEANCE WOLFSKUIL(EU) / »COMMENT GET MUSIC
Darko Esser等のリリースで知られるレーベルWolfskuilの限定シリーズ!小気味良いパーカッション・トラックにディープなシンセがジワジワと入ってくるカッコいいインスト・チューン!これはハマる!OsunladeやBrothers' Vibe、Luke Solomon、Michel Cleis、Marc Romboy、SIS、Laurent Garnierらもプレイ!

9

THE NATHANIEL X PROJECT

THE NATHANIEL X PROJECT THE RESURRXION E.P. MY LOVE IS UNDERGROUND(FR) / »COMMENT GET MUSIC
現代のものとは思えないこのサウンド・・・!しかしこれが新譜だから驚き!それもそのはず94年に懐かしのMUSIC STATIONレーベルからリリースした以来となる超久々の作品で、バリバリ90'sハウスな仕上り!タフなビートにバウンシーなベースが踊らせてくれます!

10

MAYNARD FERGUSON

MAYNARD FERGUSON PAGULIACCI-JOE CLAUSSELL REMIX COLUMBIA (US) / »COMMENT GET MUSIC
JOE CLAUSSELLはもちろんFRANCOIS K.らのプレイで人気の超絶ジャズ・ファンク系クラシック「PAGULIACCI」がJOE CLAUSSELLによる絶妙なエディットが施され12インチ・リリース!ちなみに滅多にお目にかかれないオリジナルUS12インチはプロモ・オンリーで中古市場でン万円で取引されています!以前JOEセレクトのコンピにもこの曲のエディットが収録されていましたが、今回は初お目見えのロング・ヴァージョン!これはマストです!

[House] #2 by Kazuhiro Abo - ele-king

1. Stacy Pullen / Alive | Black Flag

 永らく音信普通だった旧友とばったり再会したような......。面陳されたレコードのなかにこのシングルを発見したときには、そういう少し浮き足立った気分になってしまった。ステーシー・プレンの本作は、前作「ジ・エレクトリック・インスティトゥート・サンプラー(The Electric Institute Sampler)」から数えること5年、そして自身のレーベル〈ブラック・フラッグ〉からの作品としては実に8年ぶりとなるリリースである。その名も「アライヴ」ときたものだ。〈ブラック・フラッグ〉を復活させてのこのタイトル、否が応にも期待が高まる。

 ステイシー・プレンはカール・クレイグと並んでデトロイト・テクノの第二世代を代表するアーティストだ。彼のサウンドは、デリックメイ譲りのエモーショナルなコードワークとパーカッシヴなリズム隊が持ち味である。しかし、ロマンティシズムのなかに隠しきれない猛々しさを孕んでいるデリック・メイのサウンドに対し、ステイシーは、そう......、デューク・エリントンのそれにも通じる漆黒の気品のようなものを纏っている。扇情的でありながらも、どこか一歩引いたようなクールさとスマートさが彼にはある。

 今作は、そんな彼の一連の作品群の中でももっとも"熱い"部類に入る1作だ。彼の楽曲は浮遊感のあるシンセパッドを中心として構成されることが多い。しかし、今回楽曲の中心に据えられているのはソリッドで骨太なベースラインだ。2拍ループで突き進むベースラインにヒプノティックなシンセサイザーが絡み合うなか、「I'm back...」という彼の変調された声が響く。そこには彼独特のクールさはあまり感じられない。というか、ちょっと驚くほどストレートだ。サイドBに収録されたその名も"ハイテック・ソウル・ミックス"はアフロ・パーカッションがフィーチャーされたラフな作りになっており、さらにオールドスクールなデトロイトサウンドへの先祖がえりが進んでいるようにも思える。

 折りしも今年はデトロイト・テクノが誕生して25年目の年だ。3月にはフロリダで行われたWMCに於いて『D25』と題された記念パーティも催された。そんな節目の年にステーシープレンは〈ブラック・フラッグ〉を通して何を見せてくれるのか? これは注目せずにはいられない。

2. Aera / Infinite Space EP | Aleph Music

 E王
 前回紹介したアームやディクソンやヘンリック・シュワルツたち。いわゆる「ニュー・ハウス・ムーヴメントを牽引する〈インナーヴィジョンズ〉一派」の活躍を筆頭に、ゼロ年代から続くジャーマン・テック・ハウスの勢いはいまなおとどまることを知らない。そしてまた今月もドイツから非常にユニークなサウンドのEPが到着した。

 アエラは、ゴールドウィル(Goldwill)のメンバーとして〈ワズ・ノット・ワズ〉や〈リーベ・ディティール(Liebe Detail)〉といった人気レーベルから意欲的に作品をリリースしているラルフ・シュミッツ(Ralf Schmidt)のソロ・ユニットである。ゴールドウィルではパーカッシヴなヴォイス・サンプル使いが印象的だったが、今作ではそういったファンキーな持ち味は影を潜め、より内省的な方向性を打ち出している。

 サイドAに収録されている"フラワー・オン・ファイアー"は、ゆっくりと寄せては返す波のようなシークエンスと煌びやかなハープの音が織り成す音響世界がこの上なく美しいトラックだ。ヒプノスティックにこだまするシンセと、覚醒を促すかのようにときおり挿入されるノイズの配置も絶妙である。電気的でエッジーなサウンドと、フォーキーなチル感が共存している。そしてなにより、さじ加減ひとつ間違えると途端に土臭くなってしまうダブ処理を、トゥマッチになる一歩手前で優雅な側に留めているそのバランス感覚が素晴らしい。

 続くサイドB収録の"エレヴェーター・ピッチ"は、水滴を連想させる電子音のアルペジオが印象的なミニマル・トラックだ。メインで鳴っているアルペジオ・フレーズは3連のリズムを基調としている。そしてそこにときおりピッチを倍速にしたり、反復周期をずらした音をミックスすることで、ポリリズミックなグルーヴが生まれる。そのサウンドがさらにディレイで飛ばされ、音のレイヤーはさらに複雑に重なり合う。そうすることによって、少ないの音色ながらも万華鏡のなかのビーズのように絶えず姿を変えて聴く者を惹きこんでいく。

 アエラ、すなわちラテン語で「時代」を意味するそのユニット名に相応しく、今作はジャーマン・テック・ハウスのみならずビートダウンやニュー・ディスコ/コズミックといった、言わばモダンハウスの潮流そのものを飲み込もうかとしているかのようだ。個人的に2010年の上半期ベスト候補です!

3. Ian Simmonds / The Burgenland Reworked EP | Musik Krause

 梅雨時が近づいてくると暗いレコードを聴きたくなる。落ち着いた音楽、というよりも"暗い"音楽だ。自分の話でなんなのだが、どうも僕は人よりちょっとばかり季節ごとのテンションのアップダウンが激しいようで......。しかも、これまた恥ずかしながら結構ステレオタイプな方向に。大体毎年春先に浮かれていろいろとやらかしてしまい、梅雨が近づいてくる頃にはどっぷりと反省の海に肩まで浸かることになるのだ。そんなときにしっくり来るのは、やっぱり底抜けに明るいラテン・ハウスではないと思う。

 そんな前フリで紹介するのは、昨年なんと9年ぶりにオリジナル・フル・アルバム『ザ・バーゲンランド・ダブス』をリリースしたイアン・シモンズの作品だ。彼は90年代にはアシッド・ジャズ・シーンでカルトな支持を集め、トリップホップにも多大な影響を与えたバンド、サンダルズの一員としても知られている。そんな彼がアルバムをリリースするのに選んだのは、ジャズ・ルーツの良質なミニマル/クリックハウスをリリースしているドイツの〈ミュージック・クラウス〉だ。そして本作は、このレーベルの看板アーティストであるクラウス・デュオ(Krause Duo)を筆頭とした気鋭のアーティストたちによるリミックスEPである。

 まず1曲目に収録されているのはリミックスではなく、イアン・シモンズ自身の未発表曲"ルーサー・ストリート・ブルース"だ。沈鬱なノイズと深いエコーがかけられたトランペットが印象的なこのジャズ・ナンバーは、さながらコールタールの沼のなかで聴くトリオ・ジャズとでも言ったところだろうか。ひたすらにダウナーである。続いて収録されている"スピーク"のイーブントゥエル(Even Tuell)によるリミックスも、これまた暗い。ショート・ディレイによって金属的な響きに加工された電子音と、ピッチを低く落としたヴォイス・サンプルのリフレインは、シカゴハウスのなかでも突出してバッド・テイストだったバムバムの作品にも通じるバッド・トリップ感を醸し出している。

 この時期、こういったダウナーなレコードに手が伸びるっていうのは、たぶん、少数派ではないと思うんだよなぁ。収録されている4曲どれをとっても、浮ついた気分など一瞬でかき消してくれる素晴らしい薬効を持っている。ちょっと浮かれすぎた? と思ったときには、一度お試しあれ。

4. Bubble Club / Vioket Morning Moon | Bubble Club

  浮かれすぎたときに聴きたい1枚を紹介したのだから、今度は落ち込みすぎたときに聴きたい1枚を紹介するのが筋と言うもの。そこで紹介するのがバブル・クラブという聴きなれない名前のこのアーティストだ。実はこのバブル・クラブというのは、ロンドン在住のDJ/プロデューサーであるダン・キーリング(Dan Keeling)とエンジニアのロビン・トゥエルブトゥリー(Robin Twelftree)によるバレアリック・プロジェクトだ。ダン・キーリングといえば、カーク・ディジョージオとのユニット、クリティカル・フェーズの片割れと言うとピンと来る人もいるのではないだろうか?

 サイドAに収録されたオリジナルミックスは、BPM115くらいのゆったりとしたエレクトリック・ブギーだ。たっぷりと脈打つようなベースとアコースティックギターのアルペジオは、思わず「これがバレアリックだ!」と言いたくなるほどの夢心地。あげくはリバーブとディレイで飛ばされた口笛まで入ってきて、もう言うことなし! である。サイドBに収録されたエリック・ダンカンの変名プロジェクト、ドクター・ダンクスのリミックスは、極力原曲を保ちながらも上物をさらに厚くして、より深めの空間処理を施してあり、こちらも極上のチルアウトチューンに仕上がっている。

 実のところ僕は、わけあってこういうバレアリックな音にはちょっとした思い入れがある。それは遡ること10年、まだ僕が10代も半ばで地元に居た頃に端を発している。僕の地元は青森県は八戸市という本州の北端にあるちょっとした港町だ。お察しの通り、バレアリックとは程遠い。基本的に寒い。そこには田舎ながら一軒だけ、ダンス・ミュージックを専門に扱うレコード屋があった。昨年1月に閉店したその店は、名前を「リミックス・レコーズ」という。

 その店には「親方」と呼ばれる、サーフィンと夕日を愛する店員が働いていた。当時テクノ小僧だった僕は、必然的に毎日親方の世話になっていた。〈アクシス〉や〈トレゾア〉のバックカタログを血眼になって集めているような当時の僕に、「そんなんばっかじゃ色気が出ねーぞ」と親方が薦めてくるのは大体決まってバレアリック・チューンだった。「スエニョ・ラティーノ」あたりを入り口にして、当時のイビサ系プログレッシブからホセ・パディーヤの一連の仕事まで。「いま全部ピンとこなくても年取ればわかるさ」といつも親方は言っていた。たしかに当時はピンと来たものはそのなかの半分くらいだったかもしれないが、思えばおかげで随分音楽性を広げてもらった。感謝してもしきれない思いだ。

 話が大幅に逸れてしまった。要は、こういう黄昏が似合うような曲を聴くと暑い国への憧憬とともに毎日レコード屋の片隅で過ごした、ボンクラながらも楽しかった日々を思い出して少し元気になり、そして少しノスタルジックな気分になるのだ。

5. Choklate / The Tea | Reel People Music

 ジュラシック5のチャリ・ツナ(Chali 2na)やビタミンD(Vitamin D)とのコラボレートにより、ヒップホップやR&Bリスナーのあいだで話題となったシンガー・ソングライター、チョコレート。シアトルを中心に活動する彼女がウェスト・ロンドンのクラブ・ジャズ・ユニット、リール・ピープルと手を組み、彼らのレーベル〈リール・ピープル・ミュージック〉からシングルをリリースした。表題の"ザ・ティー"は、彼女が昨年発表したアルバム『トゥ・フーム・イット・メイ・コンサーン(To Whom It May Concern)』のなかの1曲だ。このアルバムは前述のビタミンDや、メアリー・J・ブライジも手がけるジェイク・ワン(Jake One)の手によるR&Bを昇華した生音のダウンビートが中心となっている。そのなかでもひときわディスコ・フィーリングに溢れ異彩を放っていたこの曲を、リール・ピープル人脈のアーティストたちがリプロダクトした本作は、――そう、言うなれば"ニュー・ソウル以降のブラック・ミュージックとしてのハウス"を好む人びとのハートを打ち抜くことうけあいだ。

 A1に収録されたリール・ピープルによるエディットは、原曲のサウンドをほぼそのまま用いて4分間の原曲を6分にエクステンドしたものだ。オリジナルを尊重した作りになってはいるが、控えめながらも要所要所にダブやエフェクトを加えてチョコレートのシルキーでありながら力強いヴォーカルと、そしてある意味ヴォーカル以上に歌っているファンキーなベースラインの魅力をより引き立てている。A2に収録のラヤバウツ(Layabouts)によるリミックスはパーカッションとサウダージ感溢れるガット・ギターのカッティングが、この曲のエモーショナルな面をよりいっそう盛り上げている。B1のマヌーによるリミックスは、硬めのアコースティック・ピアノとオルガンのコンビネーションという90'sハウスの記号が随所に散りばめられたオールドスクールな作りになっており、ハウス界の大々ベテラン、トニー・ハンフリーズが絶賛したというのもうなずける出来だ。エレクトリックでトリッピーなサウンドが隆盛な最近のハウス事情だが、ときにはこういうオーガニックなヴォーカル物でホッと一息つきつつ体を揺らすというのもまた、乙なものだ。

interview with Jeff Mills - ele-king

小野島 大小野島 大 / Dai Onojima
音楽評論家。隔月(奇数月)にジャンルレスなパーティ「bug III」を渋谷Lazy Worker's Barで開催。次回は5/21(金)。
詳細はhttps://onojima.txt-nifty.com/まで。
twitterはhttps://twitter.com/dai_onojima

 ジェフ・ミルズの新作『The Occurence』は、「宇宙」をテーマにしたここ最近の一連のコンセプト・ワークの集大成とも言うべき力作だ。前作『Sleeper Wakes』のストーリーから宇宙遊泳中に起こった出来事をモチーフとして展開する。また彼にとって6年ぶりのミックスCDでもある。手塚治虫『火の鳥』のカットをスリーヴに引用し、日本初の「ヴァイナル・ディスク」を使用するなど、このプロジェクトへの並々ならぬ力の入れようがよくわかる。そして音楽の内容もまた、いかにもジェフ・ミルズらしい、ジェフ・ミルズにしかできない、深遠にして唯一無二の硬質なテクノ美学が繰り広げられる。まさに宇宙空間を彷徨っているような謎めいた音像、どこまでも幻想的かつ覚醒したイメージ。そこには難解で思索的な世界観があるが、決して聴き手を排除するようなものではなく、むしろその音の波のなかでゆったりと遊ばせてくれるような懐の深さがある。まさに音による別世界旅行である。本作に先駆け、去る1月1日に東京・渋谷〈WOMB〉で開かれた「宇宙からの帰還」を祝うパーティでは、全曲新曲のみで6時間のセットを構成するという意欲的な試みもおこなっている。


Jeff Mills /
The Occurrence

Third Ear

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 だが、高度にコンセプチュアルで壮大な世界観をみっちりと組み上げることでますます孤高の念を強めつつある、このテクノの哲学者は、一方でダンス・フロアの最前線からは少し距離を置いているようにも見える。『Sleeper Wakes』でも本作でも、いわゆるフロア・コンシャスに展開するフィジカルなダンス・トラックはほとんどなく、リズミックな曲も、全体のスペース・シンフォニー的な超然とした流れの中での起伏がつけられるぐらい。クラブの現場ではハードでファンキーな楽曲も多くプレイされクラウドを熱狂させる場面もあるのに、リリースものにおいては、そうした側面を見せなくなってしまった。かって誰よりもハードでファンキーでフィジカルな、恐ろしいほど研ぎ澄まされたダンス・トラックを連発して世界中のフロアを熱狂させたこの男は、いま、なにを考えているのか。

テクノ自体、フューチャリスティックな面をもっていて、そこに向かって自由に想像力を働かせることができる音楽だということです。ですが現実的にはダンスフロアに止まってしまっている。

■新作を拝聴しました。このようなコンセプトのアルバムをいま作られた理由はなんだったんでしょうか?

ジェフ:今作は『Sleeper Wakes』からの抜粋で、『Sleeper Wakes』の物語のなかでももっとも重要だと思われる出来事(The Occurrence)をフィーチュアして焦点をあて、それをさらに広げたものを、アルバムという形で表現したいと思ったのです。今回のミックス・アルバムを作った目的のひとつは、『Sleeper Wakes』の曲(「Space Walk」)をいかに物語を語るように伝えるか、ということでした。スポークン・ワードのような効果を出すために、そういった曲を足してみるなどいろいろ工夫してみました。こうした試みは初めてだったので、とてもチャレンジングで、やり甲斐がありましたね。今後も、『Sleeper Wakes』のなかから別のパートをフィーチュアして新たなアルバムを作る可能性もあると思います。

■あなたは3年の間宇宙を旅して、2010年1月1日0時0分1秒に東京・渋谷〈WOMB〉のパーティに帰還した、という設定でコンセプトを進めてきたわけですが、その「帰還」の瞬間は、あなたにとってどんな体験でしたか?

ジェフ:3年という長いあいだ日本に戻っていなかったわけですからね。しかもその前まではかなり頻繁に日本を訪れていましたから。なのでちょっと緊張していました。でも、その瞬間に向けてかなり綿密な準備を重ねてきましたし、細かいディテールまで全部決め込んでいきましたから、そういう意味では自信を持ってチャレンジできました。セッティングなども自分にとっては新しいやり方を使ってのイヴェントでしたから、新しい体験をすることができました。でもその新しいチャレンジに対して日本のクラウドがどんな反応をするかは、予想もつきませんでした。

■実際にプレイしていかがでしたか? クラウドの反応も含めて。

ジェフ:ちょっといままでとは違っていましたね。3~4年(日本では)プレイしていなかったから、以前のクラウドとは多少違っていることは予想できましたが、今回はかけた曲がすべて新曲でしたから、お客さんにとっても初めて聴く曲ばかりだったわけです。なのでクラウドの共感を得るまで少し時間がかかったんですが、0時から6時までひと晩中ひとりでプレイしたので、じっくりと時間をかけて、最終的にはクラウドだけではなくクラブのスタッフなど、イベントに関わった人たちすべてとともに、なにかひとつの結論のようなものを見いだせたんじゃないかと思います。

■その「結論」とは?

ジェフ:4年以上かけて、〈WOMB〉のレジデンシーからこの『Sleeper Wakes』のプロジェクトまでの一連のコンセプトのシリーズにひとつ終止符を打つことができたこと。レジデンシーだったりアルバムだったり、いろんな側面からこのプロジェクトを完結させることができました。そしてお客さんの側も、新しいサウンドを受け入れる許容量が十分にあるという手応えを得ることができました。『Sleeper Wakes』のコンセプトにしても、これを日本のみならず世界中で進めることができるという確実な自信を得ることができました。実際、ヨーロッパなどいくつかの国で、同じようなコンセプトでいくつかパフォーマンスをやっています。そうした繋がり、自信めいたものを得て、このコンセプトを続けることができるという「結論」を得られて、少し安心しているところです。

■『Sleeper Wakes』のプロジェクトをやることで、あなたが得たものとは何だったんでしょうか?

ジェフ:いちばん大きいのは、つねに新しいサウンドを作り出していくということに、自分自身なにも抵抗を感じずにできるようになったし、お客さんもそれを受け入れてくれる、というたしかな自信を得たことでしょうね。とくに日本に関しては、あえて4年間のブランクを作って、自分はつねに新しいサウンドを作り、新しいものを探し求めているというメッセージを送り続け、実際に4年後にまったく新しいものを提供することができました。結果として今回のプロジェクトは成功したということで、これからは、レコードを出してツアーをやって......という手続きを経ずともオンタイムで新しいものをお客さんに伝えることが、当たり前のこととしてできるようになったということが、今回のいちばんの成果です。

■それまであなたの活動において、「新しいものをやる」ということの困難さを感じていたことがあったわけですか?

ジェフ:以前からセットのなかにいくつか新曲を組み込む実験はやっていたんですが、過去の経験では、まったくふだんと違うセットをやるときには、オーガナイザーから「そういうことは事前にお客さんに知らせて欲しい」と言われるんです。でもそんなのは馬鹿げている。お客さんはその日どんな体験をするかはわからないけれども、それを楽しみに来る、という環境を作りたかった。そのひと晩のためにテーラーメイドされた曲をプレイする、すべてはその日のための曲をかける。それがスペシャルなイヴェントではなくて、いつもそうであるような、そんな環境を作りたかったのです。

■パーティでのDJプレイというのは、ある種の芸能/エンタテイメントという側面もあると思います。お決まりの定番曲をかけてお客さんに喜んでもらう、というような。そうした部分に嫌気が差していたということもあるんでしょうか

ジェフ:そういうお決まりのダンス・イヴェントを否定するつもりはまったくありません。これだけテクノロジーの発達した現在、いろんなオプションがあってもいいのではないか、ということです。私はDJや音楽を作ることに関して、長いことプロフェッショナルとしてやってきました。なのでその両方を提供するというスタンスをとっていきたい。ほかのDJがどういうやり方をするにせよ、自分としてはその時その時のイヴェントのために曲を作り提供するというやり方を自分のスタイルとして作り上げていきたいのです。今回のプロジェクトが成功したことで、そうしたスタイルが日本のみならず受け入れられつつあると実感しています。

 

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テクノは今後ハードでフィジカルに訴えるものというよりも、もっとメンタルに働きかけるものが大きくなっていく。サイケデリックで、メンタルにトリッピーなものが主流になっていくような気がします。

■以前あなたは、もうミックス・アルバムは出さないと宣言し、実際に長いこと出していなかったわけですが、今回なぜあえてミックスCDという形で出したのでしょうか。

ジェフ:今回に関して言えば、ミックスは結果としてそうなったというだけです。いままでのものはクラウドを踊らせるためにスムーズに曲を繋げる、いわばディスコ・ミックスだったんですが、今回に関してはミックスというよりはトランスレーションですね。サイエンス・フィクションのシナリオを語っていくに過程で、結果的に曲がミックスされたということです。それというのも、物語のバックドロップとしてこの音楽が流れているというシナリオだから、必然的に曲と曲が繋がっていくんです。だから、今までのいわゆるDJミックスがディスコ・ミックスだとしたら、これは「ストーリー・ミックス」とでも言えるようなものと言えるでしょう。

■なるほど。さきほどあなたは、言葉を紡ぐようにストーリーを語った、とおっしゃいましたが、そういう物語的な表現にこだわる理由とは?

JeffMills
Jeff Mills /
The Occurrence

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ジェフ:ひとつに、プロダクション的な面。音楽をストーリー・テリングのように使うことで、より良いプロダクションの結果が得られ、自分のプロダクション能力も上げることができる。そうしたことを常に意識し努力することで、音楽で何かを語ることが可能になっていくと思います。もうひとつは、もともとテクノ自体、フューチャリスティックな面をもっていて、そこに向かって自由に想像力を働かせることができる音楽だということです。ですが現実的にはダンスフロアに止まってしまっている。なので私は人びとの気持ちを刺激してイマジネーションを喚起して、自分たちの現実からはなかなか届かない別世界に引き込むような、そういうテクノ本来の世界を表現していきたいと思ったのです。現代社会ではあらゆることが目まぐるしく起きていて、なかなか現実の能力だけではすべてを理解しきれない。そのために想像力が必要なんですが、テクノはその一助になるということを再認識させたいのでです。

■サイエンス・フィクションという言葉が出ましたが、あなたは宇宙に限らず、「タイムマシーン」や「メトロポリス」など、SF的なモチーフにこだわってきました。あなたにとってサイエンス・フィクションとはどういう魅力があるんでしょう?

ジェフ:テクノとサイエンス・フィクションは切っても切り離せない存在じゃないかと思います。SFのBGMとしていちばんマッチするのがテクノじゃないでしょうか。というのも、テクノの、構成があってないようなオブスキュアな感じというのが、SFのなかで表現される、現実ではないような想像を超えたストーリーとうまく合致するんです。もちろん私だけではなく、ホアン・アトキンスとかケニー・ラーキンといった多くのテクノのプロデューサーがそうしたことを意識して曲を作っています。テクノの素晴らしさを一般にアピールするには、SFと関連づけるのがいちばんわかりやすいのではないでしょうか。

■今作のアート・ワークに手塚治虫の「火の鳥」を使ってますね。

ジェフ:テクノとサイエンス・フィクションというふたつのアート・フォームを結びつけるためのステップとして、今回手塚さんの絵を使わせてもらえることになったのはラッキーでした。もともとのコンセプトは同じようなもので、彼はヴィジュアルで表現しているし、私の場合は音楽で表現している。根本にあるものは同じだと思うし共感しています。

■さきほど「ダンスフロアに止まらないテクノ本来の魅力」ということをおっしゃいましたが、あなたはここ最近ダンス・フロア向けのシングルをほとんど出していません。それはダンス・トラックスだけではないテクノを追求していきたいという意欲のあらわれなんでしょうか

ジェフ:アナログ12インチのシングルは出していますが、ダンス・ミュージックという観点であまり考えてないことはたしかです。リリースするものに関しては、リスナーが何かを感じ取って、それが頭の片隅に残って、またなにか新しいものを聴きたいと思ってくれればいい。あとは、この音がどういう風に作られたのか、この先どういう風に発展していくのか、まったく予想ができないようなものを作っています。

■ふむ。あなたのクラブでのプレイではかなりハードでファンキーな面も出ているのに、リリースされるものでは、今回のCDも含めそうした面はほとんど出てきません。これは現場でのプレイと録音物を分けて考えているということですか。

ジェフ:たしかに意図的に分けて考えています。ダンスフロアで人びとが踊りたがっているいるのに、それなりの曲をかけないわけにはいかないでしょう。ハードな曲やファンキーな曲をかけて、その場のクラウドが肉体的になにかを分かち合って一体感を生むことを、ことダンスフロアにおいてDJはひとつの目的にしていますからね。そこで初めて自分のプレイを自分の表現したいものへと発展させていくことができるようになる。でもアルバムに関してはお客さんが目の前にいるわけではないので、もう少しフリーな気持ちで自由に表現できるし、アルバムを聴いてくれるリスナーは踊るというより、聴くという環境で接してくれていると思うので、音にさまざまなヴァリエーションを加えることができると考えます。

■なるほど。しかし個人的な要望なんですが、もう少しハードでファンキーな曲もアルバムで聴きたいと思います。

ジェフ:(笑)なるほど。これは個人的に感じているんですが、テクノが今後どうなっていくか考えると、日本だけじゃなく世界的に、ハードでフィジカルに訴えるものというよりも、もっとメンタルに働きかけるようなものが大きくなっていくんじゃないでしょうか。サイケデリックで、メンタルにトリッピーなものが主流になっていくような気がします。なので、これからハードとかソフトとか、そういうジャンル分けはなくなってくると思います。クラブの現場ではDJとして、その夜の流れを作っていくなかで、どこかのタイミングでクラウドをプッシュする必要があってハードな曲もかけますが、アルバムでもストーリーテリングのために、ダンスフロアほどハードでなくても、そういった強弱やメリハリはつけているつもりです。

■最後の質問です。メタモルフォーゼでX-102として来日されるということでいまから楽しみなんですが、どんな内容になりそうでしょうか。また今後X-102としてレコードを作る予定がありますか?

ジェフ:それは言えません(笑)。もともとX-102は「土星の輪(ring of saturn)」をテーマにしているプロジェクトなので、そういうテーマのライヴになると思います。それ以外は、残念ながらシークレットだ(笑)。

 スカイプ越しに聴いたジェフの声は、こちらの挑発的な質問にもあくまでも冷静であり知的であり、静かな自信に溢れていた。たんなるダンスフロアの道具としてのテクノを拒絶し、あくまでもアート・フォームとしてのテクノを厳しく追求しながら、電子音楽の可能性と未来を提示しようとする。彼によってテクノはただの快楽装置ではなく、何事かを語りメッセージを投げかけるだけの幅と深みを得るに至った。そしてその作業はさらに深度を増しながら、いまだ終わる気配がない。

 8月のメタモルフォーゼに先駆け、5月30日には、2012年5月21日(月)午前7時34分、東京にて観測される金環日食にむけてのカウントダウン・イヴェント〈SOLAR FREQUENCY〉にも出演が決定している。いまこそその姿を確認せよ。

 

CHART by JET SET 2010.05.24 - ele-king

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MAXXI & ZEUS

MAXXI & ZEUS THE STRUGGLE / THE CELL »COMMENT GET MUSIC
もはやレーベル買いするしかないInternational Feelの第5弾はQuiet Villageの変名リリース!!筋金入りのハードコア・ディガーJoel Martinと、ご存知Radio SlaveことMatt EdwardsによるQuiet Villageタッグ、久々の新作はMaxxi & Zeus名義でのウルトラ・ディープ・チルアウト。

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GIRL UNIT

GIRL UNIT I.R.L. EP »COMMENT GET MUSIC
■'10年年間ベスト候補■変幻自在の進化形UKG歴史的傑作がこちら。凄過ぎます!!L-Vis 1990とBok Bok率いる当店激推しポスト・UKファンキー/UKGレーベルNight Slugsから、巨大新星Girl Unitの特大傑作1st.12"が登場!!

3

AERA

AERA INFINITE SPACE EP »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆Joy Orbison x Pantha Du Princeな美麗スロー音響ハウス大傑作!!ダブステップ/UKGの新潮流として当店も激烈プッシュ中のスロー・アーバン美麗ミニマル/テック・サウンドに呼応した特大傑作が到着しました!!

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SECONDO I THINK I'M GONNA LIKE »COMMENT GET MUSIC
ニューディスコ・セットにも完璧にフィットするスロー音響ディスコ傑作!!エディットの嵐による脱臼ドファンキー・グルーヴで当店お馴染みのUK天才Secondo。自ら率いるDreckから、メロウで端正な2トラックスをお届けします~!!

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MOS DEF MOS DUB »COMMENT GET MUSIC
遂にMos Defの楽曲もレゲエのクラシック音源とマッシュ・アップ!"Ms.Fat Booty"、"Travellin Man"、をはじめとするMos Defの代表曲と、Desmond Dekker、Lee Perry等レジェンド達のオケとを心地良く、そしてドープに溶け合わせた極上の全10曲!

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V.A. SOUNDS SUPERB VOL.7 »COMMENT GET MUSIC
エグみが人気のIn Flagranti監修グレイト・リエディット・シリーズ第7弾!!毎回必ず光るトラックが収録されてる人気シリーズも早くもVol.7。今回は"Finders Keepers"な辺境深掘り最新事情にリンクした感がナイス!!

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JUAN MACLEAN SCION A/V REMIX »COMMENT GET MUSIC
House of House, Shit Robotを筆頭にDFA馴染みのヒット・メイカーが集合!!先日リリースされたばかりの『DJ Kicks』も大好評のThe Juan Macleanによる、データ配信が先行していたアルバム収録曲リミクシーズが待望のアナログ化。お見逃し無く!!

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REBOOT

REBOOT RAMBON EP (LUCIANO REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Lucianoによるリミックスをフィーチャー!!間もなくリリースが予定されているRebootのアルバム『Shunyata』から先行シングル・カット作品!!Luciano率いるCadenzaの記念すべき50作品目がこちらです。

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JAMAICA

JAMAICA I THINK I LIKE U 2 »COMMENT GET MUSIC
遂にPhoenixを超えるか!!グラマラス&スウィートなフレンチ・ディスコ・ロック爆裂キラー!!JusticeのXavierの後輩バンド、Poney Poneyが、名前をJamaicaに改めUKメジャー・デビュー!!Breakbot Remixもメチャクチャ最高です★

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TANLINES

TANLINES SETTINGS »COMMENT GET MUSIC
トロピカルでドリーミーなインディ・シンセ・ポップ超最高峰★2010年スーパー・マスト盤です!!ブルックリン・シンセ・インディ新世代No.1、Tanlines。US/True Pantherからのリリースとなった2nd.シングル!!2010年の夏に聴きたい全ての音がここに詰まってます。
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