Shop Chart
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GHISLAIN POIRIER
SOCA SOUND SYSTEM
NINJA TUNE / UK /
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BAOBINGA
RIDDIM TEAM EP
STEAK HOUSE / UK /
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GRIEVOUS ANGEL feat. RUBI DAN
MOVE DOWN LOW
SOUL JAZZ / UK /
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BAOBINGA & I.D
TONGUE RIDDIM
BUILD / UK /
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HANUMAN / ATKI2 & DUB BOY
BOLA / TIGERFLOWER
IDLE HANDS / UK /
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KU BO
REMIX EP
MAN RECORDINGS / GE /
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ROSSI B & LUCA
E10 RIDDIM / POLICE AR COME RUN feat. KILLA P
PLANET MU / UK /
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MJ COLE
THE RIDDIM EP
PROLIFIC / UK /
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C156
OINK
DISBOOT / SP /
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AFRICA HITECH
BLEN
WARP / UK /
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7月に入りニューヨークは猛暑。100°Fを越える日もあり、厳しいx2暑さが続いている。ストリートの消火栓は随時開けられ、水がすごい勢いで流れ出ている。子供が遊んだり、通りすがりの車が洗浄されたり、たんに水の無駄遣いだったりしながら、いまもどんどん水が流れ出ている。それがニューヨークの風物詩といっても過言ではないが、風物詩といえば、7月4日は独立記念日、恒例のメイシーズの花火大会が開催された。
去年から、イーストリヴァー(ブルックリンとマンハッタンを挟む川)で花火はあがらなくなり、ハドソン川(ニュージャージーとマンハッタンを挟む川)のみになり、ちょっと寂しいブルックリン側。2年前までは、花火が終わった後、ブルックリン(ウィリアムスバーグ)の川岸は人がもりもり盛りだくさんで、うちのカフェ〈スーパーコア〉にも、花火大会の帰りに、普段来ないような観光客でごった返した記憶がある。が、去年は、みんなハドソン側に行ってしまったのか、とても静かな1日だった。
そんな記憶を辿りながら、今年のイーストリヴァーで花火があがらないと聞き、カフェをクローズ。スタッフのみなさんも、思いがけないお休みをそれぞれ過ごした。私は、休みでもカフェの近くを通りかかったのだが、花火がどんどんあがっているではないですか......といっても、カフェのある道の4つ角で、誰かが、どんどん花火に火をつけては、走って逃げていく。それが、一秒後などに、空にどかーんとあがるのである。実はニューヨークでは、個人でやる花火は違法。花火はニューヨークには売っていないし、一体どうやって手に入れたのか、わからないのだが、そこかしこで、どんどんやっている。いちおう花火があがった後に警察はやってくるのだが、この日ばかりは警察もお手上げ、といった感じ。だって、いろんな所で花火があがり、ハドソン川側に行かなくても、よく見える。もちろんメイシーズの花火よりはおちますが。
〈Shea Stadium〉のDIYパーティ |
私はこの日は、〈Shea Stadium〉というDIY場所で1日BBQ+バンド大会。今回のトリは、Future Island,、The So So Glos。いまいちばん活きのいいふたつのバンド。〈Shea Stadium〉という野球場と同じ名前なのでよく間違われるが、ここは第二のウィリアムスバーグ化している、ブッシュウィックにある。最近クローズしたマーケットホテルに続くヒップな会場になりつつある。
この日もかなり暑い、もちろんエアコンなどない会場。面白いが、日本のように夏はキンキンに冷えた場所、というのがニューヨークではあまりない。エアコンは究極にがんばってもそこまで冷えない。いや、キンキンに冷えた場所はあるにはあるが(地下鉄、バス、オフィスなど)、アパートにはまだエアコンがない......という人も多い。最近ではさすがに少なくなったが......。たぶんアメリカ人は、適度、という言葉を知らないのだ、とたまに思う。冷やしすぎるか暑すぎなのだから。
さて、〈Shea Stadium〉に戻り、この日は、ベランダではBBQ、なかではライヴがおこなわれている。ビールを飲んでも、滝のように汗をかくので、いっこうに酔っぱらわない。ハンバーガーや、ホットドッグを食べつついろんなバンドを鑑賞。The So So Glosは、かなりヤバい、知り合いは、ステージに上がり、勝手にマイクをつかんで叫んでいたり......。ブルックリンは新しいバンドがたくさん出て来ているが、とくに、ブッシュウィックは、こんな風に新世代のバンドが見れるのでおすすめである。
そしていわばCMJのブルックリン・ヴァージョン――ブッシュウィックも範囲にはいっているノース・サイド・フェスティヴァルが、6月24日から6月27日の4日間開催された。毎年秋におこなわれてる、ニューヨークでのインディ音楽の祭典だ。CMJはほとんどがマンハッタンだが、ノース・サイド・フェスティヴァルはその名通り、ブルックリンのノース・サイドで開かれる。2年前からはじまり、300以上のバンドがこの4日間で演奏した。
会場と出演者は以下の通り......。
会場:ブルックリンボール、ミュージック・ホール・オブ・ウィリアムスバーグ、ニッテイング・ファクトリー、ワルシャワ等、インディ系では、ブルアー・ファールズ、グラスランズ、ユニオンプール、マッチレス、カメオ・ギャラリー、チャールストン、ココ66、クラブ・ヨーロッパ、パブリック・アセンブリー、シェア・スタディアムBK......等々。
出演バンド:ライアーズ、レ・サヴィ・ファヴ、ファックド・アップ、ハイプレィシーズ、チタス・アンドロニカス、ウェイヴス、アメージング・ベイビー、オウ・レヴォア・シモーヌ、Aa、リアル・エステイト、ソ・ソ・グロス、PCワークショップ、メモリー・ティプス、タオ・アンド・ミラ・ウイズ・ザ・モスト・オブ・オール、ウィア・カントリー・マイス、ウッズ......等々。
ノース・サイド・フェスティヴァルの案内 |
このフェスティヴァルの目的は、商業的になりすぎているCMJに対抗しているのか、今回のショーでは、かなりのインディー・バンド(友だちの友だちから)から、そこそこ名前の知られているバンドまで、幅の広いラインナップ。
主催は、フリー・マガジンを毎週発行している『Lマガジン』、ついでに『Lマガジン』は同じ期間にウィリアムスバーグ・ウォークスというイヴェントも開催している。
さらにこの期間には、クリエイターズ・プロジェクトというイヴェントも開催され、音楽系ではM.I.A. マーク・ロンソン、インターポール、ギャング・ギャング・ダンス、ディ・アントウールド、アート系ではスパイク・ジョーンズ、ニック・ジナー等々が主演した。
他にも世界中のさまざまなアーティストに会えるコレ→(https://www.thecreatorsproject.
com/creators)も面白い。ちなみに日本人でクリエイターとして、このサイトに載っている人はまだいないが、中国や韓国のクリエイターはすでに何人か載っている。
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すでに1ヶ月以上も前になってしまうが、トーク・ノーマルというブルックリンのバンドの日本ツアーに同行したので、ダイアリー的に書いてみる。
Talk Normal Japan Tour 20106/9(wed) | SHIBUYA O-NEST w/ Oorutaichi, 空間現代 |
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6/11(fri) | SHIMOKITAZAWA SHELTER(Dum-Dum ALL NGHT EVENT) with Loves. DJ codomo |
6/13(sun) | KYOTO METRO w/ iLL, Outatbero |
6/14(mon) | OSAKA FANDANGO w/ iLL, Pika from AFRIRAMPO |
6/15(tue) | SHINDAITA FEVER w/ iLL, Tabito Nanao |
素晴らしいライヴを披露してくれた、トーク・ノーマルのサラ(G)とアンドリア(D)。 |
■6月8日(火)
成田到着。そのままホテルへ直行し、荷物を降ろした後、〈スーパーコア〉カフェに行く。うちのカフェ、〈スーパーコア〉はニューヨークが発信だが、昨年12月に広尾に東京支店をオープンしたのだ。スタッフに挨拶をし、最初の日本での食事。ギターのサラと今回サポート・メンバーでベースのクリスティーナは、何でもOKなので問題はないが、ドラマーのアンドリアは、ベジタリアンなので食べる物に困るが、魚は大丈夫という事で、お寿司を食べにいく。時差ぼけもあり、早めにホテルに戻る。
■6月9日(水)@ SHIBUYA O-NEST w/ Oorutaichi, 空間現代
O-nestに到着。日本最初のショーなので、セッティングに30分以上かかり、サウンドチェックを終える。共演は、空間現代、おおるたいち。どちらのバンドにも興味津々なメンバー。本番は、少し緊張美味だったが、滞りなく最初のショーを終える。終わった後打ち上げに......と色々場所を探すが、アンドリアの、ベジタリアンぶりを考えて、ホテル飲みに落ち着く。最初のショーお疲れさま!
6/9(wed) @ SHIBUYA O-NEST
Transmission Lost
Xo
In a Strangeland
Mosquito
Lemonade
33
River's Edge
In every dream home a Heartache
■6月10日(木) off
〈スーパーコア〉カフェでミーティング。カフェのフードを気に入ったらしく,アンドリアも全部きれいに平らげる。カフェでは、E*rockというポートランドのアーティスト兼ミュージシャンの作品を展示中。とてもカフェにもなじみ、すばらしい作品だと思うう。その後、渋谷のディスクユニオンに出かけ、ele-kingの野田努さんと会う。4Fのロックフロアでは自分たちのレコードが面だしされているのを見て、大はしゃぎのメンバー。その後は、来日アーティスト(とくにヴィーガン)、がよく行くとい〈うなぎ食堂〉で友だちと落ちあってディナー。
■6月11日(金)SHIMOKITAZAWA SHELTER(Dum-Dum ALL NGHT EVENT)with Loves. DJ codomo
アンドリアが行きたいというビーガン・レストラン〈momonoki house〉に行く。日本ではあまり何も食べられないアンドリアが、とてもおいしそうに食べてるのを見て一安心。レストランの雰囲気もとても良い。橋元優歩さんのインタヴューをそこで敢行。かなり突っ込んだ質問内容だったが、ひとつずつ理解しようとするメンバーたち。
その後、原宿竹下通りなどをショッピング。サラは,かわいいジャンプ・スーツやパンツを試着し、アンドリアは、ファニーパックや小物類などを,楽しそうにショッピング。
今日はレイト・ショー、〈シェルター〉に10時頃到着。共演のLoves.の後本番。今日は30分の短いセット。お客さんもそこそこで、グッズを買ったお客さんがサインを求めるという場面もあり。
6/11(fri) SHIMOKITAZAWA SHELTER
River's Edge
Xo
Transmission Lost
In a Strangeland
Lemonade
33
■6月12日(土)移動日
明日の京都に備え移動。初めての新幹線。サラは、富士山がみえるかみえるかと聞くが、あっという間に通過してしまう。京都駅につき、早速観光、清水寺へ。週末、修学旅行生などが重なり、たくさんの人。バスで清水寺へ行くが、かなりの日差しに途中でダウン。坂の途中の喫茶店に入り、かき氷や冷やしうどんを食べる。そこのオーナーのおじさんがかなり面白い人で、かき氷の食べ方のレクチャーをはじめる。気を取り直し、清水寺へ上り、お参りし、胎内巡りをし記念撮影。
帰りも休み休み下りていき、京都駅で休憩。空港のようなキレイな駅にみんなびっくりで一番上まで登る。京都から大阪に移動。今日は私の家に宿泊。
■6月13日(日)KYOTO METRO w/ iLL, Outatbero
サウンドチェックを終え、ご飯を食べに、メトロの姉妹店の〈unshine cafe〉Sに行く。来日アーティストもよく来るとかで、ヴェジタリアン料理を色々作ってくれ、みんな満足。今回はなかった名古屋から友達も来てくれたり、京都はとても良い雰囲気。私もたまにショーをオーガナイズするが、京都は全般的に人の入りも良いし、なんだが落ち着いた良い雰囲気。
6/13(sun) KYOTO METRO
Hot Song
Xo
Transmission Lost
In a Strangeland
Lemonade
Uniforms
33
River's Edge
In every dream home a Heartache
■6月14日(月) OSAKA FANDANGO w/ iLL, Pika from AFRIRAMPO
ニューヨークでも共演したことのある、あふりらんぽのピカが対バンということで、みんな会えるのがうれしそう。大阪なので、やっぱりお好み焼き、とヴェジのアンドリアには、申しわけないが、自分のご飯持参してもらって連れて行く。お店のおじさんは「こんなケースは初めて」、と顔をしかめていたが、他のふたりがおいしい、といって食べるのを見て、最後には笑顔。
大阪は、人の入りは悪かったが、来ていたお客さんは大阪らしい個性を持っていて、盛り上がる。あふりらんぽのメンバーのオニの代わりにオニのお母さんが来てくれた。大阪のお母さんという感じで、ノリがよく、しきりに後で焼き肉に行こう、と誘われる。
6/14(mon) OSAKA FANDANGO
Hot Song
Xo
Transmission Lost
Lemonade
33
River's Edge
In every dream home a Heartache
In a Strangeland
■6月15日(火)SHINDAITA FEVER w/ iLL, Tabito Nanao
朝の7時に大阪を出発、8人乗りの大きなバンで東京に向かう。メンバーはサーヴィス・エリアのトイレがきれいすぎて感動し写真を撮ったり、UFOキャッチャーをしたり、途中で見えた富士山に興奮したり、つかの間の日本を楽しむ。
〈Fever〉に到着し、最後のサウンドチェック。その後は隣のアートギャラリー兼レストランの〈OPO〉Pでご飯。ココは私の知り合いのユメちゃんのお店。ヴェジなわがままを色々聞いてくれ、説明をつけてくれ、いつも本当にありがとう。
この日はDOMMUNEのスタジオを抜けて、初めての生放送ということで、宇川さんも準備万端。最初の七尾旅人くんは、〈HEARTFAST〉がきっかけで、ニューヨークに来たときに一緒に川辺に行ったり、遊んだりしたので面識はあったが、ショーを見るのははじめて。お客さんとのコミュニケーション含め、手慣れたショーが素敵。
iLLもホームタウンということで、メンバーの息もぴったりでリラックスした様子。ショー前に、Sarahがまた同じ服を着ようとしていたので、私の着物風の洋服を着せてみた。以外に似合って、本人も気に入ってうれしそうだった。ショーは、旅人君のメンバーとして参加していたサックスの方に飛び入りで参加してもらうなど、最後にふさわしいショーだった。
皆さん、本当にありがとう。お疲れさまでした!
6/15(tue) SHINDAITA FEVER
Hot Song
Xo
Transmission Lost
Uniforms
Lemonade
33
River's Edge
In every dream home a Heartache
In a Strangeland
Outside
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Bold
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M.I.A. - Born Free - XL Recordings |
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2 | James Blake - CMYK - R&S Records |
3 | Oneohtrix Point Never - Returnal -Editions Mego |
4 | 砂原良徳- Sublimenal - Ki/oon |
5 |
Zs - New Slaves - The Social Registry |
6 |
七尾旅人 - Billion Voices - Felicity |
7 |
Rockasen - Welcom Home - Assasin Of Youth |
8 | Budamonky & S.l.a.c.k. - Bud Space - Dogear Records |
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Buffalo Daughter - The Weapons Of Math Destruction - Buffalo Ranch |
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Ariel Pink's Haunted Graffiti - Before Today -4A |
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今年、初めての休みに三軒茶屋まで散歩して...とはいえ、やはり仕事がらみで浜田淳に会った。入稿し終えたばかりの『裏アンビエント・ミュージック 1960-2010』(INFAS)にどうしても差し替えたい盤があり、彼にミッキー・ハートのCDを売ってもらったのである。本来ならば振込みを確認してから送ってもらうというシステムに従うべきなんだろうけれど、校了までのわずかな時間に入手しなければ間に合わないので、直接会って売ってもらうことにしたのである。そのついでにどっちがどれだけワールドカップについて知らないかを確認し合い(多分、僕の勝ち)、くだらない話題のオン・パレードで時間は過ぎていった。あまり時間を気にせず、人と話をしたのが久しぶりだったので「休んだー」という実感が残った1日だった。
浜田淳 (著) ジョニー・B・グッジョブ 音楽を仕事にする人々 カンゼン |
その時、浜ちゃんが『ジョニー・B・グッジョブ』(カンゼン)という本をくれた。「いつの間に書いたの?」「1年かかりましたよー」とかなんとか。借金を返すために夜も昼も働いていたことは知っていたので、その合間を縫って完成させたことは本当に感心してしまう。「音楽を仕事にする人々」という副題からもわかる通り、音楽業界で働く無名の人ばかりを対象にしたインタヴュー集である(要はスタッズ・ターケル×猪瀬直樹)。その時は装丁が湯村輝彦だということに嫉妬を覚え、デザインについての話も弾んだ。僕なら湯村輝彦には「乾き」を求めるけれど、浜ちゃんのそれは違っていた。彼が求めたのは「説明がいらない」だった。なるほどなー。
それからしばらく校了作業が続き、ようやく『ジョニー・B・グッジョブ』を開くことができた。そして、あっという間に閉じてしまった。読み終わってから500P以上あったことに気がついた。どうやら夢中で読んでしまったらしい。音楽業界というところには、とにかく多種多様な仕事があって、その人たちがどういう仕事をどうやってやっているのか、そういうことがまずは面白かったんだと思う。商業音楽だけでなく、音楽教師やブラック・ビジネスにも範囲は延びている。まえがきに実用書だと書いてあったのもなんとなくわかったような気がした。あくまでも個人の体験談として語られているので、自分がそこに身を置けるかどうかというシミュレイションができるような気がするからである。いままでより近くしか感じられた仕事もあるし、逆に遠のいて感じられた例もある。サックスのリペアマンがいまだにサックスを理解できないというくだりや、ステージの袖にいるととにかく落ち着かないと話す舞台監督など「たたき上げ」と題された章がとりわけ個人的には共感するところが多かった。PAの人も含めて自分の性格がこの辺りの仕事に向いているのだろうか? この章に入れてもおかしくないプロデューサーという人がいたら読んでみたかったなと思う。
公式版 すばらしいフィッシュマンズの本 INFASパブリケーションズ |
「音楽を仕事にする人々」とするなら、しかし、僕はもっと有名な人や、ここで基調をなしている「儲かっていない人」ばかりにする必要はなかったと思う。儲かることもあるから「仕事」なんだし、成功している人の話から浜田淳が何も引き出せなかったとは思わないからである。そういう人たちの話はたしかにつまらないことが多いし、この本ではそうではないから吐き出される言葉にリアリティがあるということもわかる。だけど、それによって描き出されるのは彼が何度も強調しているように「声なき声」ではあっても、けして「仕事」ということではない。たとえば『すばらしいフィッシュマンズの本』(INFAS)でZAKのインタヴューを読むと、こんな人にはとうてい太刀打ちできないということがよくわかる。自分がそこに身を置くべきではないというシミュレイションも可能になる。ZAKのインタヴューを「仕事」の話として読むのは無茶かもしれないけれど、そこから「態度」を読み取ることは容易なことである。たとえば『ジョニー・B・グッジョブ』には「自分が誰かの役に立っているのなら......」という考え方が何度か出てくる。それは、僕にはその仕事をしながらどこかで崩壊していく自分もあり、それを食い止めるために自分自身を支える言葉として使われているというニュアンスも少なからずは含まれているように感じられる。ZAKの言葉にはそのような含みはいっさいない。「仕事」にはそのような無限の広がりもある。そこを切り捨ててしまったのは、やはり惜しいことだと僕は思う。「音楽業界における声なき声」。正しい副題をつけるとするならば、こうではなかっただろうか。せっかく曽我部恵一にミュージシャンとしてではなく無名のレーベル経営者として語らせ、それこそ自分を保つのに必死になっているとしか読めない元レコードショップ店員まで載せたのだから。
クラムボンのマネジメントをやることになる豊岡歩とデ・デ・マウスのマネジメントはできないと判断する永田一直の対比、ムダなことばっかりやってると楽しそうに話すレーベル経営の松谷健とムダなことは極力やらないと話すプロデューサー、又場聡の対比など、どちらの気持ちも理解できると思える時、この本はとても輝きを増して感じられる。どんな仕事をどういう風にやりたいのかということがあまりにもリアルに、あるいは自分自身への選択肢として迫ってくるようで、「なに、この本、ゲームにできるんじゃないの?」と思うぐらいである。仕事とアイデンティティを切り離そうとした小泉・竹中政権の余韻はまだ残っているかもしれないけれど、近代的自我と仕事を一致させようとしている人はまた増えているとも聞く。本書はどう考えても後者の感覚を補強するものであり、そうではない方向へと誘う人の言葉は1行も出て来ない。ブラック・ビジネスの人は微妙だけど、いずれにしろ著者がそれ以外の可能性に思い至っていないことは確かだろう。音楽だけではなく、どの分野に行っても誰かの奴隷にならなければ成功はできない国にいて、その通りにするか、それを飛び越すか、あるいは......。
CD関係
■DJヨーグルト&コヤス『Chill Out』 (サード・イヤー)*企画
■ロマンポルシェ『盗んだバイクで天城越え』 (ミュージック・マイン)*コント出演(初回DVD)
■イルリメ『360°サウンド』 (カクバリズム)*ライナー
■パトリック・パルシンガー『インパッシヴ・スカイズ』 (ミュージック・マイン)*ライナー
■V.A.『クリックス&カッツ 5』 (ミル・プラトー/ディスクユニオン)*ライナー
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いま流行のチルウェイヴにおいて興味深いのは、すでにいろんなところで指摘されているように、これが史上初めてネット上で起きたムーヴメントであるということだ。つまりチルウェイヴとは、トロ・イ・モイが拠点とする南カリフォルニアでも、ウォッシュト・アウトが生まれたジョージア州のペリーで起きているムーヴメントでもない。ネオン・インディアンのテキスサスでもなければ、〈カーパーク〉や〈メキシカン・サマー〉が中心になっているわけでもない、地理的な"場"を持たないムーヴメントなのだ。
ネット時代におけるこの新しいムーヴメントに対して、アメリカの『ピッチフォーク』がわりと手放しに褒めているのに対して『ガーディアン』がどちらかといえばシニカルにかまえているのが面白い。ザ・ビートルズを生んだマージー・ビートにはじまり、ハッピー・マンデーズを生んだマッドチェスター、マッシヴ・アタックを生んだブリストルといったローカルという地場におけるムーヴメントの重要性をよく知る国においては、アメリカにおいてもシアトルのグランジ、ブロンクスのヒップホップ、デトロイトのテクノのような"地元"コミュニティを基盤としたムーヴメントを賞揚してきた。まあ、イギリスにおけるローカリズムへの強い気持ちはフットーボールのそれを見ていてもよくわかる。地元への愛情と中央集権的な権力へのいらだちが隅々まで大衆化されているのだろう。それがローカル・シーンを育て、ユニークな音楽を輩出する基盤となっている。ゆえに『ガーディアン』がチルウェイヴに対して「インターネットはローカル・ミュージック・シーンを殺すのか?」と問い質したくなる気持ちもわからないではない。
が、僕は日本と呼ばれる国の地方出身者なので、この議論に関してはアンビヴァレンツな感情を持っている。まず地方の人間とは、地元に愛情を注いでいる人間とそうでない人間の二種類に分かれる。地方のダンスものを扱うインディ系のレコード店に入って、地元のDJのミックスCDが置いてない場合は、よほどの合法主義者か、たいていの場合"孤立"している。孤立した人間にとってネットほど頼りになる救世主はいない。地元との交流がなくても、ネットで何100キロ離れた人たちとお互いの趣味を確認し合って、交流できる。下高井戸のトラスムンドのように人の出入りがあって地元に愛されている店はいまでもネットを必要としない、というかあの店の場合は商売への意欲を欠いているだけなのかもしれない......が、しかし、間違ってもイギリスのようになれないこの国において、そんな情緒的な"音楽の場"はクラブ系でもない限りは数えるほどしかないだろう。
チルウェイヴ・ムーヴメントを聴いていると、その享楽性の背後からより手に負えなくなっている孤独を感じる。この音楽の特性はシューゲイザーと80年代的ディスコ・ビートという組み合わせにある。ディスコとはコミュニティ音楽だが、それがインディ・キッズの孤独なトリップを志向するシューゲイザーと結びついている。この倒錯性こそがチルウェイヴの妙味であり、その説得力なのだ。音楽性という観点で言えばナカコーのiLLはチルウェイヴの先駆的ないち例であるが、このムーヴメントに関してのもうひとつの特徴はベッドルームで作られたローファイ音楽であるという点にある。あくまで自宅で録音されているのであって、彼らの窓の外には無味乾燥で小綺麗な郊外の風景が広がっているのかもしれない。ネット世界のほうがより人間的に感じるのかもしれない。手放しに幸福な環境とは思えないが、過酷な新自由主義のなかでそうなってしまったのだ。
多かれ少なかれ、日本だって同じだ。拡大するシャッター商店街のように、ローカルというものの風景は着実に変えられるつつある。地方のラッパーやJリーグのサポーターは、こうした事態に反射的に抵抗しているのかもしれないが、そのいっぽうで七尾旅人が指摘するようにネットで救われた人間は少なくないだろうし、ネット時代のムーヴメントは起こるべきして起きたと言える。幸福な状況とは思えないが、われわれは『ガーディアン』のようにこのムーヴメントを「身体的音楽のゆっくりとした死」などと切り捨てることができないのだ(だいたいあの国はダブステップとかグライムとか、いまだぜんぶ"地元")。
ニューヨーク州のロングアイランドのベッドルームから登場したふたり組、スモール・ブラックはチルウェイヴの類に属するバンドで、ウォッシュト・アウトとのスプリット7インチも発表している。現在はニュージャージーに隣接するデラウェアに暮らしているというが、このバンドの場合はウォッシュト・アウトほどディスコめいているわけではなく、むしろスペースメン3やマイ・ブラッディ・ヴァレンタインへの隠しようのない共感が滲み出ている。何の情報もインプットすることなく音だけ聴いたら、UKのインディ・ロック・バンドだと思ってしまう人も少なくないだろう。
サイケデリックであっても、ドラッグ臭さがないのもチルウェイヴの特徴だ。これもまた大いなる逃避主義時代を象徴するジャンルだろうが、アトラス・サウンドのように壊れているわけではないのだ。だからジュリアン・コープのような人は不満足かもしれないけれど(『ジャップロックサンプラー』参照)、とりあえず音楽はアトモスフェリックで、ある一定のムード――エフェクトが深くかけられたヴォーカルとギター、シンバルは使わないモーリン・タッカー風のドラムによる例のあの感じ――を伝えている。楽曲自体の完成度は高く、ガールズやザ・ドラムスのようにもっと純然たるポップスを書ける才能もあると思うのだが、スモール・ブラックはむしろバンド全体の"音"にこだわりを見せている。曇りガラスの向こうから見える万華鏡のようなそれは、若い頃にあの時代のUKインディ・ロックを追いかけてきたお父さんにとっては親近感の湧くサウンドである。
『ピッチフォーク』が評価しているワイルド・ナッシングのアルバムを聴いたら、プライマル・スクリームのファースト・アルバムそのものだったので驚いたが、ひょっとしていまアメリカの"孤独"は(橋元優歩さんが主張する「チェックのシャツに着替えろ」のグランジ復活説ようなものではなく)、80年代末のUKインディに向かっているのだとしたらどうだろう。だとしたら......サマー・オブ・ラヴはすぐそこじゃないか! だが、こんどのそれは初のネット上で起きるサマー・オブ・ラヴになるのだ。しかし......いったいどうやって?
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