「iLL」と一致するもの

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Lindstrom - De Javu / No Release (Smalltown Supersound) /
Lindstromが今年の頭にリリースしたフルアルバム『Six Cups Of Rebel』からのリミックス・カット第2弾作品!アルバム中で最も強烈な存在感を放っていた"Deja Vu"をRub-N-Tugが更なる高みを望むアシッド・ディスコ・ダンサーへと昇華させた卒倒覚悟の衝撃作品!

2

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.2 (Stones Throw) /
Nyブルックリンのカルト・エレクトロ発掘レーベルMinimal Waveの音源をP.B.W.が監修した、例のコンピ・シリーズから派生したリミックス・シングル第2弾。

3

Onra - Deep In The Night (Fool's Gold) /
デジタルでの先行配信で既に盛り上がりを見せていたブツが、UsのFool's Goldより待望の12"リリース! 誰もが待ち望んでいた路線だけにファンならずとも要チェック!

4

Trinity (Sadat X, Ag & Dj Jab) - Sunshine (Fat Beats) /
これまに数々のクラシックを残してきたレジェンド=SadatxとA.G.、プロデューサー/DjのDj Jabの三つ巴ユニットがこのTrinity Project! とりあえずタイトル曲がヤバすぎます!

5

Teengirl Fantasy - Tracer (R&S) /
脱臼ベース鬼才Actressリミックスを搭載した前12"『Motif』で好調のベルジャン老舗R&Sへと電撃を果たしたレフトフィールド・ポップ・デュオがヘッズも驚愕の強力アルバムを完成です!!

6

Funkineven & Fatima - Phoneline (Eglo) /
『Follow You』も当店メガヒットしたスウェーデン出身のソウルSsw、Fatimaと、漆黒のドファンキー鬼才Funkinevenがガッツリ手を組みました! 極上のエレクトロ・フューチャー・ソウル!

7

Chris Coco - Freedom Street (Melodica) /
ロンドンのチルアウト職人Chris Cocoによる超絶品アルバム!!ゆったり柔らかいオーガニック・ダブ・サウンドに多彩なヴォーカルをフィーチャー。何もかもトロける特大傑作です!!

8

Adrian Sherwood - Survival & Resistance (On-U Sound) /
ソロとしては6年ぶりとなる3作目。ダブ~レゲエを下敷きに、ジャズやブラジル音楽、エレクトロニカの要素も取り込んだ極上のチルアウト・ベース・ミュージックが完成です!

9

Mala - Cuba Electronic (Brownswood) /
ダブステップのパイオニアDigital MystikzのMalaが、Gilles Petersonと共にキューバで制作した話題の新作『Mala In Cuba』からの先行12インチ・カット!!

10

Roland Tings - Milky Way (100% Silk) /
既に大変な反響を呼んでいる新鋭Roland TingsのデビューEp。100% Silkど真ん中のアーリー~アシッド・ハウス通過ベッドルーム・フロア・サウンド!!

Eternal Summers - ele-king

 イターナル・サマーズ――終わらない夏、永遠の夏、このバンド名が暗示するのは昔ながらのポップのユートピアである。永遠の夏はヴァージアニ州のロアノークを拠点とする女性ひとり+男性ひとりのふたり組、ノー・エイジやタッツィオのようなドラム&ギターのチームで、今年に入って2枚のアルバムを出している。『ザ・ドーン・オブ・イターナル・サマーズ(終わらない夏の夜明け)』は先に発表した1枚で、セカンド・アルバムらしい。
 この作品を言葉で説明するのは簡単だ。ファースト・アルバムの頃のザ・レインコーツがヴァイオリンを捨てて、ギターとドラムと歌だけでドリーム・ポップをやったような音楽。つまり、とても良い。
 あるライターは、イターナル・サマーズの音楽を「あらゆるニッチを埋める」と説明している。ビーチ・ハウスのすき間、シャロン・ヴァン・エッテンのすき間、ダム・ダム・ガールズのすき間、このバンドはそれらを埋める。なるほど。エフェクターを使わずギターアンプに直接シールドを差し込んだテレキャスターのコード弾きは、ペダルを多用する今日的なUSインディへの反論とも言えるが、逆らっているというよりも、おおらかさを感じる演奏だ。曲自体は実にシンプルに作られているが、メロディラインと歌声はキャッチーで、しっかりしている。ポスト・パンク的なアプローチを取りながら、聴き方によっては、ビーチ・ハウスのように、もしくはシャロン・ヴァン・エッテンのように聴こえる。ずば抜けた個性はないが、ギター・ポップにおけるカタルシスが何たるかを知っている。

 ......それにしても眠い。日本の女子サッカー代表は、調子が良いときは機械仕掛けのような素早いパス回しをする。あの連動性にはイターナル・サマーズのフリー・ダウンロード曲(サード・アルバムに収録の)"ユー・キル"がよく似合う。本作『ザ・ドーン・オブ・イターナル・サマーズ』に対して、サード・アルバム『コレクト・ビヘイヴィア』はよりスピーディーで、ディストーションが効いている。

 さて、我々は数日間、夏休みに入ります。毎年、川で泳ぎ、魚を釣って、焼いて食べる。それから大浜のプールに行く。完全にマンネリ化しつつも飽きないのは、夏という季節のマジックである。しかし、もしもこの国が常夏だったら、水遊びや釣りにこんなにもいちいちワクワクしないだろう。そういう意味では夏がイターナルでないことは悪いことではない。が、イターナル・サマーズ――終わらない夏、永遠の夏はとても良い。

DJ KAMATAN (PANGAEA) - ele-king

夏schedule
8/4 KNOT @ 福島会津若松 CLUB infinity
8/5 ひかり祭り @ 神奈川相模原市 旧牧郷小学校
8/10 DUB FRONTIR @ 仙台 PANGAEA
8/19 伊達祭 @仙台 勾当台公園
8/24 PANGAEA NIGHT DJ光 @ 仙台 PANGAEA
8/25,26 SUN MOON @ 岩手 千貫石キャンプ場
8/31 echo8 @ 仙台 PANGAEA 
9/1,2 龍岩祭 @ 山形 蔵王温泉
9/9 こころのヒダ @ 仙台 ADD
9/21,22,23 Chill Mountain @ 大阪 荒滝キャンプ場
9/28 未定 @ 沖縄 那覇
9/29 未定 @ 沖縄 那覇

仙台pangaea
https://pangaea-sendai.com
https://twitter.com/KAMATAN6


1
Carter Bros - Wild Cats EP - Black Catalogue

2
Alejandro Mosso - Mosso 001 - MOSSO

3
Ivano Tetelepta - Taksi - Fear Of Flying

4
DJ Jus Ed - I'm Comin - Underground Quarlity

5
Julien Bracht - Down Under EP - Inter Groove

6
Julio Bashmore - Ribble To Amazon - 3024

7
Bushmind - Good Days Comin' - P.vine

8
The Planty Herbs - Music is the world - Wax on

9
Strategy - Boxy Music - 100%Silk

10
Peaking Lights - Lucifer - Mexican Summer

Death And Vanilla - ele-king

 たしかにチルウェイヴには詳しくない。ちーとも知らない。必要があっても適当に書き飛ばしてきた。しかし、そのことを暴くために野田努は「3月」にリリースされた作品をいまさらのように持ち出してきた。半年近くも前にリリースされたアルバムだよ。ディスク・ユニオンには早くも中古盤が並んでいたデビュー作である。杜撰なのか、狡猾なのか。目的のためには手段を選ばない。そういうことであれば、僕も「3月」にリリ-スされたデビュー作から選ぶしかないではないか(なんで?)。スウェーデンから現れたイタロ・ディスコ・ヴァージョンのジェントル・ピープル。これがまた夏に合うんだな~。

 全曲試聴→https://soundcloud.com/kalligrammofon/sets/death-and-vanilla-st/

 わざとらしく不安を煽るようなオープニング。細野晴臣のようで細野晴臣ではないポップ・センスを張り巡らせ、チープでイミテイションな電子音が宙を舞う。どこまでも人工的で物悲しく彩られた曲の数々を聴いていると、野田努のやったことなどどうでもよくなってくる。必要なのは現実から目を逸らす想像力と人工着色料の見果てぬ夢。いかにも60年代っぽいエコー・サウンドが再現され、控えめな効果音にも心を奪われてしまう。ピーキング・ライツやトリ-アングル系へのアンサーとも言えなくはないだろうけれど、まー、言いたいやつには言わせておけという感じ(自分か)。"カル-デ-サック"はステレオラブがGSをカヴァーしているみたいだし、"ライブラリー・ゴブリン"は初期のピンク・フロイドをメランコリックに改造したというか。エンディングはどっしりと、そして、夢から覚めるように音楽も終わってしまう。えー、もう、終わり~。もっかい~。

『血と薔薇(Et mourir de plaisir)』という映画があったけれど、「死とヴァニラ」とは何のことだろう? わからない。教養がない。調べるヒマがない。テラノヴァを脱退したザビアー・ノーダシェアー(またノダだ!)が昨年、ソロでリリースしたデビュー作も「3月」に3枚組みでアナログ化された。これもイタロ・ディスコの波に乗った叙情派で、暑い夏にだらだらと聴くしかないユルユル・モード。催眠的なアルペジオを聴き続けていると、野田努のやったことなど......どんどんどうでもよくなってくる。ゆっくりと、ゆっくりと、曲の構成が移り変わり、宇宙を漂っているような気分からヘンな星まで流されてきて、あげくに血の気まで引いてくる。コズミックというのはトランスにダブをかませて、とにかく回転数を遅くしたものだと思えばいいだろうか。奇しくもマイ・キャット・イズ・アン・エイリアンが拠点とする魔女狩りの街「トリノの尺度」と題されたアルバムはトリップ・ミュージックとしてはなかなかの出来である(303が標準装備され、後半の擦過音が実にカッコいい"フォー・ア・フィストフル・オブ・アシッド"では例によってあれの説明が挿入され、"ルナー・ローヴァー"は日本語で歌われている)。

全曲試聴→https://soundcloud.com/supersoulrecs/sets/...


 で、「3月」には何をしていたんだっけ?(コメント欄で募集は......していません)

interview with Heiko Laux - ele-king

 ハイコ・ラウクスはジャーマン・テクノを体現するような人物だ。テクノ黎明期に多感な10代を過ごし、周囲の誰よりも早くシンセサイザーとドラムマシンで楽曲制作を開始。94年に地元ヘッセン州の小さな町でレーベル〈Kanzleramt〉を立ち上げた。それがスヴェン・フェイトの目に留まり、フランクフルトの伝説的クラブ、〈Omen〉のレジデントに抜擢される。99年にはテクノ・キャピタルとして勢いを増していたベルリンに拠点を移し、変わらぬ情熱と熟練のスキルで制作活動とDJ活動ともに精力的に続けている。

 数ヶ月前、宇川直宏氏に「今年もFREEDOMMUNE 0 <ZERO>やるから、いいテクノDJブッキングしてよ!」と言われて真っ先に思い浮かんだのが彼だった。実際に出演が決まり、〈eleven〉でのアフター・パーティと大阪〈Circus〉でもそのプレイを披露することになったハイコに、ベルリンで話を聞いた。テクノ・ファンならすでにお馴染みのベテラン・アーティストだが、3年ぶりの来日ツアーに先駆けて、これを読んでその素晴らしいプレイのイメージを膨らませて頂ければ幸いだ。


ドイツのテクノもデトロイトの影響を受けてはじまったようなものだからね。そのデトロイトの人たちはクラフトワークに影響を受けていたりするわけだけど。


初めまして。もうすぐFREEDOMMUNE 0 <ZERO>に出演のため来日されますが、私があなたをブッキングしたんですよ。その経緯から少し話させて下さい。実は、きっかけは今回共に出演するDVS1をEle-Kingのために昨年インタビューしたことだったんです。

ハイコ:へえ? どういうことかな?

彼が、90年代にあなたをミネアポリスに呼んだことがあって、その縁であなたに〈Tresor〉でDJする機会をもらったと言っていました。それが初めてベルリンでプレイした体験だったと。

ハイコ:ちょっと待って、いまもの凄い勢いで頭の中の記憶を呼び戻してるから... でもDVS1という人は知らないな。前は違う名前でやっていたのかな?

あれ? 覚えていないですか? それは意外ですね。ではその事実関係は日本で再会した際にDVS1本人と確認して頂きましょう。いずれにせよ、その話を聞いたのが昨年のちょうど同じ頃で、そのすぐ直後にあなたが〈Berghain〉に出演していたので、初めて聴きに行ったんです。

ハイコ:ああ(ニヤリ)、あの日あそこに居たのか。あれは......かなりいいセットだった。

めちゃくちゃ凄かったです(笑)。それで一発でヤラれてしまったんですよ。そのときに、「この人を日本にブッキングしよう」と思ったんです!

ハイコ:そうか、ありがとう。実はね、公にはしていないんだが、CLR Podcastに提供したミックスは、あの日のセットの中の2時間分なんだ。あそこのクラブは録音だの撮影だのに関してはとてもうるさいからね、ここだけの話だけど! うん、あれはかなりいいパーティだった。

2009年の〈WIRE〉に出演して以来、日本には行ってませんものね?

ハイコ:そうなんだよ、だからもの凄く楽しみにしている。そろそろ行きたいと思っていたところだよ。

それまでは、わりと定期的に来日してましたよね?

ハイコ:2000年か2001年くらいから、ほぼ1年おきには行っていたね。

これまでの来日体験はどうでしたか?

ハイコ:いい思い出しかないよ。日本は大好きだ。僕は食べるのが好きなんでね、食べたいものがあり過ぎて困るくらいだ(笑)。初めてスキヤキを食べたときなんて、発狂するかと思ったよ! ヤキニクとか、コウベビーフとか...... とにかく日本の食べ物のレヴェルの高さは凄い! もう6回くらい日本には行ってるけど、毎回驚きがあるね。

ちょっと音楽の話に戻しましょうか(笑)。実は私は90年代のテクノについてデトロイトのことはある程度知っているんですが、ドイツのことはほとんど知識がないので、ぜひその頃の話、そしてあなたがどのような体験をしてきたのか教えて頂きたいんです。

ハイコ:まあドイツのテクノもデトロイトの影響を受けてはじまったようなものだからね。そのデトロイトの人たちはクラフトワークに影響を受けていたりするわけだけど。

バイオグラフィーによれば、ファーリー・ジャックマスター・ファンクの「Love Can't Turn Around」に衝撃を受けて音楽をはじめたとのことですが?

ハイコ:そうだね、まああの曲は一例だけど、ああいうサウンド、いわゆるTR-909のドラムととてもシンプルなベースだけであれだけパンチのある曲は衝撃だった。ああいう音が部分的に使われている曲は聴いたことがあったけれど、シカゴハウスからはそれまで感じたことのない凝縮されたエネルギーを感じたんだ。「俺はこれをやりたい」と思ったんだよ。

それはラジオで聴いたんですか?

ハイコ:いや、クラブだよ。当時は兄がDJをしていたので、まわりの子たちよりも早くクラブに行くことが出来たし、家にそういうレコードがあった。シカゴ・ハウスやUKノアシッド・ハウスなどだね。それ以外はまだポップ・ミュージックしかなかったけれど、あの頃はポップ・ミュージックのシングルにもB面に風変わりなダブ・ミックスなどのインスト・ヴァージョンが入っていた。そういうシンプルなグルーヴの音楽を好んでいたね。特定のサウンドを上手く組み合わせれば、とても少ない音で凄い威力のある曲が出来上がるというところに魅了された。

かなり早い段階から自分の曲を制作することに興味を持っていたようですね?

ハイコ:ああ、もう10代半ばから。小さなバイクに乗れるようになった頃に、最初のキーボードを買いに行ったのを覚えているよ。14歳とかじゃないかな。

その歳ですでにクラブに行って、制作も始めていたんですね?

ハイコ:ああ、地元のバート・ナウハイムという小さな町から、兄の車に便乗してフランクフルトのクラブに出入りしていた。あの頃聴いたDJといえば、スナップ(Snap!)のプロデューサーのひとりだったミヒャエル・ミュンツィッヒなどだね。彼はいつも、ド派手な衣装で現れた。インディ・ジョーンズみたいな帽子を被ったり......毎週違う格好で(笑)。でも誰よりもクールな音楽をかけていた。彼はビートマッチ(曲のピッチを合わせる)だけでなく、ハーモニーをミックスしていたのが印象的だった。前の曲のブレイクのときに、例えばピアノのハーモニーが入っていたとしたら、次の曲のBPMの違うイントロのハーモニーと混ぜるんだ。そこから全然リズムが変わったり。それがとても新鮮だったね、「こういうことも出来るんだ」と思った。いまそういうやり方をする人は全然いない。でも僕は、いまでも選曲をするときにハーモニーで選んだりするよ。他に僕が体験したことと言えば、クラブ〈Omen〉の盛衰だけれど、それもバイオグラフィーに書いてあることだね。

当然、DJとしてスヴェン・フェイトからも大きな影響を受けていますよね?

ハイコ:完全に。スヴェンとの出会いは、僕のキャリアのターニング・ポイントになったから、特別な存在だね。あの頃は誰もが〈Omen〉でプレイすることを目標にしていた。だから僕も自分から「やらせて下さい」なんて野暮なことは聞かなかった。その代わり自分でレーベル(〈Kanzleramt〉)を始めて、曲を出すようになった。そしたら、96年にスヴェンがライヴをやらないかと誘ってくれたんだ。そしてライヴ出演したら、またやって欲しいと言われて、「実は僕はDJもやるんです」と言った。当時、金曜日がスヴェンの日で土曜日が外部のゲストDJがプレイしていた。その土曜日に何度かやったところ、「金曜日にお前の枠をやるから、好きな奴を呼んでパーティをやれ」と言われた。だからサージョンやニール・ランドストラムなどを呼んで一緒にやっていた。店が閉店するまで、それを続けたんだ。

ライヴもやっているんですね? それは知りませんでした。

ハイコ:実はそのときと、すぐ後に一度「POPKOMM」(かつては毎年開催されていたドイツ最大の音楽見本市)だけで、それ以来全然やっていないんだ。他のアーティストとコラボレーション、例えばテオ・シュルテと一緒にやっているオフショア・ファンクなどでは何度かやっているけど、ソロは全然やっていない。それも最後にやったのは2008年だ。その後はDJしかやっていないね。でも、今年のADE(Amsterdam Dance Event)で久々のライヴを披露する予定だよ。とても楽しみだけど、ライヴとなると途端にナーヴァスになる(笑)。

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僕はたしかにラップトップを使っているけど、間違いなくDJをしているからね、そこが違うんだと思う。僕はちゃんと曲を「触っている」。それが鍵なんだよ。こういうシステムを使うと、オートシンクも簡単に出来るけど、それをやってしまうとDJの醍醐味がなくなってしまう。

少し意外なのは、あなたがハウスから音楽の道に入ったということですね。テクノ一辺倒なのかと思っていたので。

ハイコ:というか、あの頃はテクノというものが存在していなかったんだよ。デトロイト・テクノもシカゴハウスの影響で出て来たものだからね。テクノへと加速していったのは90年代初頭のことだよ。

そういう流れのなかで、あなた自身もよりテクノに傾倒していったと?

ハイコ:そういうこと。だからテクノ・ブームがやって来る少し前に、すでにこういう音楽に脚を踏み入れていたのは、幸運だったと思う。周りがテクノに目覚めた頃には、すでにシンセサイザーやドラムマシンに親しんでいたからね。だからテクノが確立される前から、テクノをどうやって作るのかは分かっていた。ハウスを速くして、テクノのエネルギーを足せば良かったんだ。

そう考えると、あなたはドイツにおける第一世代のテクノ・アーティストと言えますね。

ハイコ:やはり僕よりも、スヴェン・フェイトやジェフ・ミルズやDJヘルの方が僕よりも先にやっていたけれどね。僕の出身の小さな町では輸入盤のレコードを売る店なんてなかったから、それほどたくさん聴けたわけではなかったし。アンダーグラウンドな音楽は、大都市に行かないとアクセスできなかった。僕がレコードを買っていた隣町の店なんて、半分が自転車屋で、店の半分がレコード・コーナーになっていたからね(笑)。レコードを売るだけでは、まだ商売にならなかったからだ。〈Omen〉の前身だった〈Vogue〉というクラブで、スヴェンを聴いたり、90年代に入ってからジェフ・ミルズやジョーイ・ベルトラムのプレイを聴いた。
 それでデトロイト・テクノに開眼して、「そうか、こんなことも出来るのか!」と思ったね。特に、ジェフ・ミルズを見たときは度肝を抜かれた。プレイしたレコードを次々と背後に投げ捨てながらプレイしていた(笑)。傷がつくとか、そういうことを気にせずにバンバン投げ捨ててたね......そういうクラブが身近にあって、本物のアーティストを間近で見て体験することが出来たのはとても幸運だったと思う。ジェフがヨーロッパで初めてやったのは〈Omen〉だったんじゃないかな。当時は、フランクフルトがドイツのダンス・キャピタルだったからね。ベルリンの壁が崩壊してからは、フランクフルトとベルリンのライヴァル関係がしばらく続いた。もちろん、その後ベルリンが勝つことになるわけだけども...... 90年代前半はほぼ同等のレヴェルだった。その競争意識が、音楽にもプラスに働いたと思う。

なるほど。そういう環境の中で、あなたのDJスタイルも築き上げられていったわけですね。あなたも当時のジェフのようにターンテーブル三台を操ることで知られていましたよね?

ハイコ:そうだね。かつては、三台使ってレコード1枚あたり2分くらいだけ使ってどんどんレイヤーしていくスタイルをやっていたけど、いま(のレコードで)同じことをやっても上手くいかない。ただテクニックを見せびらかすだけみたいになって、せわしなくて聴いている方は楽しめないと思うんだ。お客さんも世代交代しているからね。でも三台使ってプレイするのは楽しいから、またやろうと思っている。新しい使い方を考えているところだ。一時期は、なるべく展開や要素を削ってどこまでできるか、というプレイに挑戦していたんだけど、それも退屈になってしまって。だって、二台だけだと、あいだの5分間くらいやることがなくて(笑)。
 いまはSeratoを使ってプレイしているけど、Seratoが面白いのはレコードの好きな部分を好きなようにループできるところ。この機能を使うと、レコードとはかなり違ったことが出来る。また、Seratoの場合、曲の途中で停止しても、また好きな瞬間から狂いなく再生することができるから、曲の抜き差しが正確に、より自由に出来るようになった。レコードだと、ミュートできても曲の尺は変えられないから終わるまでに何とかしなければいけないというプレッシャーがある。でも、Seratoなら、好きなだけブレイクをホールドして、好きなタイミングで曲を戻すことが出来る。Seratoのおかげで、アレンジメントの幅が広がったと思うよ。
 いまはCDJ三台と、それぞれに効果音などを入れたUSBスティックも使ってさらに自由な組み合わせが出来るようにしている。だから単なるDJというよりは、サンプラーを取り入れているようなプレイだね。「遊び」の幅が広がった。今はブースで暇を持て余すこともなくなったよ(笑)。またDJすることが楽しくなっている。一時期は楽しめなくなっていたのも事実なんだけど、今は自分でも楽しめる新しいプレイの仕方を確立しつつある。

私は個人的にヴァイナルDJを好むことが多く、とくにテクノやハウスに関してはラップトップDJに感心することは滅多にないんですが、あなたのプレイは別格だと思いました。レコードでやっているようなライヴ感というか、臨場感がありましたし、長い経験を感じさせる確かなスキルがわかりました。

ハイコ:わかるよ、僕も同じだから。僕はたしかにラップトップを使っているけど、間違いなくDJをしているからね、そこが違うんだと思う。僕はちゃんと曲を「触っている」。それが鍵なんだよ。こういうシステムを使うと、オートシンク(自動的にピッチを合わせる機能)も簡単に出来るけど、それをやってしまうとDJの醍醐味がなくなってしまう。自分の手で合わせるからこそ、そこにエネルギーが生まれるんだ。ソフトウェアでプログラムされてしまっていると、そのエネルギーがない。完璧にシンクされた曲を次々と並べていくなんて、簡単過ぎるし何の面白味もない。やっている方もつまらない。その場の思いつきで新しいことを試していくことが面白いんだからさ。僕はフォーマットではなく音楽を重視するから、何を使ってプレイしているかはこだわらない。音源がCDでもラップトップでも別にいいと思う。それを使って何をするか、が問題なんだよ。いまはラップトップを使うのが面白いから、しばらく使ってみるつもりだ。

先ほどフランクフルトとベルリンがライヴァル関係にあって、いまはベルリンがその競争に勝ってテクノ・キャピタルになっているという話が出ましたが、その両方を見て来たあなたはベルリンの現状をどう受け止めていますか? ここ数年でテクノはさらにリヴァイヴァルした印象がありますけど?

ハイコ:とくに何とも思わないな(笑)。自分が幸運だとは思うけれどね。ごく自然なことだと思う。街やそのシーンの勢いというのは移り変わりがあり、より活気があるところに人が集まって来るのは自然なこと。テクノのシーンに関わりたいなら、ベルリンにはそういう仕事がたくさんあるし、その上観光客も大勢やってくる。ここにいればいろんな人に会えるし、活動の場を作っていける。レッド・ホット・チリ・ペッパーズからジョージ・クリントンまで、みんなやって来るから観ることが出来る。生活費も安いしね、これほど条件が整っていて、ニッチなアーティストにまで機会が与えられている街は他にない。これはテクノに限ったことではないし、他のジャンルも、演劇やアートに関しても同じだ。さらにベルリンはとてもリラックスしていて競争がない。周りを蹴落とそうとするような人はいない。そしてとてもリベラルだね。僕は99年にベルリンに移って来たけど、一度も後悔したことはないよ!

 

【来日出演情報】
8/11 FREEDOMMUNE 0 <ZERO> @ 幕張メッセ
8/17 AFTER FREEDOMMUNE +1<PLUS ONE> @ 東京eleven
8/18 CIRCUS SHOW CASE @ 大阪Circus

【リリース情報】
Jam & Spoon - Follow Me (Heiko Laux SloDub)
https://www.beatport.com/release/follow-me!-remixes-2012/924547
発売中

Sterac - Thera 1.0 (Newly Assembled by Heiko Laux) of "The Secret Life on Machines Remixes" on 100% Pure vinyl/digi with Ricardo Villalobos, Joris Voorn, Vince Watson, 2000 and One, Joel Mull, ...
2012年8月発売予定

Rocco Caine - Grouch (Heiko Laux & Diego Hostettlers 29 Mix) (12"/digi Drumcode)
近日発売予定

Heiko Laux & Diego Hostettler - Jack Up Girl (12"/digi on Christian Smith's Tronic TR89)
近日発売予定

Heiko Laux - Re-Televised Remixed (12"/digi on Thema Records NYC)
original and remixes by Lucy, Donor/Truss
近日発売予定

Heiko Laux & Luke - Bleek (on Sinister, 4-tracker V/A with P?r Grindvik, Jonas Kopp & Dustin Zahn)
2012年秋発売予定

Mark Broom & Mihalis Safras - Barabas (Heiko Laux Remix)
other remixers: Slam
近日発売予定

JAPONICA - ele-king

Shop Chart


1

Moody a.k.a. Moodymann - Why Do U Feel EP KDJ / US / 2012/8/1
推薦盤!<KDJ>42番!一連のMOODY名義での新作3トラックスEPが緊急リリース!瞬殺だったMO MOODY名義でのプロモ盤収録トラック"I GOT WERK"正規リリース、そして極上のソウルフルKDJハウス2トラックも!絶品でございます。

2

Idjut Boys - Cellar Door Smalltown Supersound / NOR / 2012/7/25
推薦盤!待望のLP入荷しました!ディスコ・ダブのパイオニアにして現行クラブ・シーンにおける最重要DJデュオIDJUT BOYS、約20年に及ぶキャリアの中で初となるオリジナル・フルアルバム!

3

DJ Dez a.k.a. Andres - New World / Brain Root Down / JPN / 2012/8/3
推薦盤!J DILLAの意思を継ぐデトロイトの至宝ANDRESによるDJ DEZ名義でのストレートなインスト・ヒップホップ7"!大阪のレコードショップ「ROOT DOWN RECORDS」レーベル第1弾。

4

Afro Latin Vintage Orchestra - Last Odyssey Ubiquity / US / 2012/7/23
推薦盤!フレンチ・アフロ・ファンク・バンドAFRO LATIN VINTAGE ORCHESTRAが名門<UBIQUITY>より待望のサード・アルバム!土着エッセンス薫る極上のラテン/アフロ/カリブ・ジャズファンク特上盤。

5

James Curd & Centrone - It's Hot Up In Hell EP G Swing / US / 2012/8/1
推薦盤!スウィング~ジャイヴな漆黒ジャズ・ハウス~ロービート!絶品です◎シカゴのベテランJAMES CURD主宰<GREENKEEPERS>傘下の<G-SWING>再始動後のリリース第6弾!

6

Derrick Harriott / Susdan Cadogan - Let It Whip / Juicy Fruit Ximeno / US / 2012/7/21
推薦盤!80'Sメロウ・ブギー/ソウルの絶品レア・レゲエ/ラヴァーズ・カヴァー!第1弾も最高すぎた、レゲエ・ジャーナリストDANNY HOLLOWAYによる再発専門レーベル<XIMENO>第2弾!

7

Cro-magnon - Riding The Storm (Idjut Boys Remixes) Jazzy Sport / JPN / 2012/7/25
推薦盤!IDJUT BOYSリミックス!今年一月に待望の復活を遂げたCRO-MAGNON、彼等のライブ定番にしてダンス・フロアを熱くする傑作"RIDING THE STORM"リミキシーズ12"!

8

The Rongetz Foundation - Gogo Soul feat. Gregory Porter Heavenly Sweetness / FRA / 2012/7/28
推薦盤!レーベル・イチオシの注目フレンチ・ビートメイカーGUTSリミックス収録!多国籍スピリチュアルジャズ・ユニット=THE RONGETZ FOUNDATION新作。feat. GREGORY PORTER!

9

Psychemagik - For Your Love Psychemagik / UK / 2012/8/1
ブラジリアン・クラシックJOYCE"ALDEIA DE OGUM"のダンス・グルーヴ・エディット!鉄板級のリリースが続くPSYCHEMAGIKオウン・エディット・ライン新作。夏を感じさせるグッド・エディット◎

10

Moodymann - Classics Vol.4 Unknown / UK / 2012/7/19
フリーDLアルバム「PICTURE THIS」収録トラック"PRAY 4 LOVE"がアンオフィシャルながらアナログ化!

 7/31火曜日の朝、突然やってきた知らせ。「オリヴィア・トレマ・コントロールのビル・ドスが逝去」
 アセンスのローカル新聞フラッグ・ポールのゲイブ・ヴォディッカがいち早くツイートすると、『ブルックリン・ヴィーガン』も「これが嘘であって欲しい」と祈りながら、アップデートをはじめた。
 そのツイートから数時間後、オリヴィア・トレマ・コントロールのオフィシャル・サイトが、「We are devastated by the loss of our brother Bill doss. We are at a loss for words.(僕達の兄弟分、ビル・ドスの逝去に打ちひしがれ、言葉を失っています)」とコメントを載せる。チャンクレットなど、他のサイトでも、どんどんアップデートがはじまり、真実として受け止めるしかなかった。

 私もその日は、何も手に付かなかったが、彼との思い出を少しでもシェア出来たらとここに書いて見る。

 オリヴィア・トレマ・コントロールを初めて知ったのは、私がLAにいた1996年のことだった。その頃、アップルズ・イン・ステレオの『ファン・トリック・ノイズメイカー』が日本のトラットリアからリリースされ、私も大好きで聴いていたので、彼らのショーに行った。そのときの対バンがミュージック・テープスとオリヴィア・トレマ・コントロールで、アップルズ・イン・ステレオを見に行ったにも関わらず、私はこのふたつの対バンにいままでにない感動を覚えた。これがきっかけで、日本ではまだ知られていない、こういった素敵なアメリカのインディ・バンドを紹介していこうとレコード・レーベルをはじめた。彼らとの出会いで、自分の進んで行く道を確認したのだ。

 彼らとたちまち友だちになった私は、彼らの住むアセンスに滞在することになる。いまでも1年にいちどは里帰りしている。

 私が住んでいたのは、ビルのバンド・メイトで、エレファント6の中心人物のウィルの家だった。そこでは毎日のようにオリヴィア・トレマ・コントロールの練習がおこなわれていた。ビルはリーダー的役割で、まわりに気を使い、心優しく、まだ英語もろくにしゃべれなかった私の面倒を見てくれた。オリヴィアにインタビューするときは彼が答えてくれた。初来日したときに、みんなで渋谷を散策したのが、つい最近のように思い出される。

 彼らは2010年再結成し、先月6月のノースサイド・フェスティヴァルでNYでプレイした。そのとき久々にビルと会って、これからのオリヴィアの活動などについて話した。「ヨーロッパは、すでに決まっているから、次は日本にも行きたいね。この(ノースサイド)次は、シカゴのピッチフォーク・フェスだから、来るなら言ってね。ゲストにいれるから」とウィンクされたのが、最後の会話になった。
 エレファント6に関する記事をまとめようと、彼用のインタヴューもすでに送り、会ったときに「インタヴュー返すの遅れてゴメン! ツアーから帰ったらすぐに返すよ」と言われたのに、返って来ないインタヴューになった。

 彼のお葬式は8/4(土曜日)アセンスの音楽会場である40ワットでおこなわれる。オリヴィアも良くプレイした馴染み深い場所だ。彼の家族は、地元の音楽家支援サイトに寄付ページ(nuci's place)を設けている。彼にお花、愛を贈りたい人は、こちらへ。 https://www.nuci.org/help/donate-online/

 ビルは、クリアな声でハーモニーを大事にする、素晴らしいシンガーだった。暫くはオリヴィア・トレマばかりを聴いてしまうんだろう。
https://m.pitchfork.com/features/afterword/8908-bill-doss/
(写真の下の文章の最後の"here"をクリックすると、ビルの素晴らしい作品集が聞ける)

 最初にアッタチした写真(01/02)は、1996年に彼らを始めてLAで見た時に撮った物。写真ケースに入れたら、くっついて離れずNYに移っても、ずっと私の部屋に飾られている。その他、アセンス時代の思い入れのある写真。書きかけのUS POP LIFE本を仕上げなければ。

 レスト・イン・ピース、ビル
 安らかにお眠り下さい。

 Rest in peace Bill Doss
 8/1/2012 Yoko Sawai

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

B-Lines Delight 2nd Anniversary Special!!!!!No.1ダブステップ・パーティ、Back To ChillよりGOTH-TRADとENAを迎えて開催します!

B-Lines Delight×BACK TO CHILL
2012.09.29(sat) @SOUND A BASE NEST
Special Guest:GOTH-TRAD [DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill] / ENA [IAI/Cylon/7even/HE:Digital/Horizons]
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/ https://club-nest.com/

DJ END REWIND CHART


1
Ryoichi Ueno - Blast - Dub
https://snd.sc/QLZlus

2
Kahn&Neek - Percy - Bandulu Records

3
Champion - Crystal Meth - Butterz

4
Djrum - Mountains Pt.1(Pedestrian's Pirate Radio Remix)/Turiya(Tessela Remix) - 2nd Drop

5
Alex Coulton - Bounce/Bounce(Pev Version) - 999YTIVIL

6
Bandshell - Dust March - Hessle Audio

7
Trusta - Feels So - Swamp81

8
Falty DL - Hardcourage - Ninja Tune

9
Kowton - Des Bisous - Pale Fire

10
Outboxx - Ep - Immerse

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Missing Linkx - So Happy (Philpot) /
SoulphictionとMkによるプロジェクトMissing Linkxによる最新作!Moodymannの作風に通ずるブラックネスを放つ"You Ain't Hip"が脳髄直撃!

2

Michel Cleis - Mir A Nero (Pampa) /
2012年サマーアンセム、最有力候補!Cadenza等から数々の傑作をリリースした事でもお馴染みスイスの気鋭プロデューサーMichel Cleisによる最新作!

3

Sunlightsquare - Heart's Desire (Sunlightsquare) /
超人気ラテン・バンドSunlightsquare、今回は、フリーソウルとしても再評価されたのあの曲です。B面はスピリチュアル・ジャズ・ファンク名曲カヴァー!!

4

Ondatropica - S.t. (Soundway) /
Flowering Inferno、Combo Barbaroでのアルバムや数々の過去音源発掘等でコロンビア~ラテン音楽の再評価を盛り上げてきたQuanticによる最終到達地点。

5

Large Professor - Professor @ Large (Fat Beats) /
Large Professorの新作が遂に全貌を現しました! 客演にはBusta, Lil Fame, Tragedy, Mic Geroinoのベテラン勢から、Action Bronson, Saigon, Roc Marcianoまで豪華メンツが参加!

6

Karriem Riggins - Alone (Stones Throw) /
プロデューサーとしてSlum VillageやErykah Baduの作品でも手腕を振るった氏のオール・インストゥルメンタル・アルバム!

7

Hazel - Lost Tapes (The Beat Down) /
Onra主宰レーベルからのデビュー12"が話題騒然となったクリエイターの新作アルバム!客演には若手筆頭株のDrakeや、Bbeからのリリースで知られるSlakah The Beatchildをフィーチャー!

8

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.1 (Stones Throw) /
ミニマル・シンセ・リイシューレーベルMinimal WaveとStones Throwが強力タッグ!プロデューサーとしての資質も一級の彼が、90'sカルト・シンセサウンドを再構築。

9

Moody - Why Do U Feel Ep (Kdj) /
Kenny Dixon Jr. A.k.a. Moodymann手掛けるセルフ・レーベル"Kdj"からの話題新作が遂に解禁。Pv公開と共に話題を集めた昨年リリースの傑作「I Got Werk」も収録されています!!

10

Oddisee - People Hear What They See (Mello Music Group) /
客演には旧知のDiamond Districtの面々や、同郷ワシントンD.c.のソウルスター・Olivier Daysoul、Bullionとのスプリット盤でも話題を呼んだTranqill等が参加した全12曲。

石野卓球 - ele-king

 YMOとクラフトワークとアンディ・ウェザオールとパレ・シャンブルグを聴いた後、という非常にヘヴィな状況で、もう帰ろうと思っていたんだけど、石野卓球がDJをはじめた途端にどんどんひとがフロアから出て行くという滅多にない光景を見てしまったものだから、それまでのすし詰め状態から自由に踊るくらいの余裕ができたダンス・フロアのど真んなかにわざわざおりていったら、卓球の繰り出す魔術的なビートに絡めとられて、しばらく踊り念仏と化してしまった。以前はほんとにしょっちゅう聴いていた彼のDJだけど、最近は本当にごぶさたしていて、それでなのか懐かしいようなとてもフレッシュなような、いろんな感覚がぐるぐると渦巻いた。

 初回から昨年まで、13年分の〈WIRE〉コンピに収録された卓球の曲を古い順に並べた今回の企画盤は、たぶん初回からずっと〈WIRE〉に通い詰めているようなオールド・ファンに同じような感覚をもたらすんじゃないかと思う。本作に関連したインタヴューでもアルバム収録の本人解説でも語っているように、初期の頃にはこのフェスの顔になるような、アンセム的な曲をオーガナイザー自ら提供している感じで、実際会場でも何度も耳にしてすごく記憶に残っているトラックが多い。途中からそういう意識が変わって、〈WIRE〉でのプレイ中に使うわけでもない、コンピの中の一曲というものになったという。当然、後半にいくに従っていわゆるオオバコ映えする派手なトラックからBPMも下がって、地味で実験的な曲が増えていくんだが、だからといって卓球らしさというか、「味」みたいな部分が減退しているかというとそんなこともなくて、むしろ歳を取るにつれてそのひとの本性が顕わになるみたいなところもある。
 去年のコンピからの収録曲"Five Fingers"は5拍子で、イントロからしばらくは普通の4/4のストレートな曲からは感じえない妙なきもちわるさがある。だんだんと音数が増えるとその異物感も緩和されて、卓球の持ち味のひとつであるトランシーな上物が輝き出すと、あっという間にその世界に引き込まれる。去年、WIREコンピを入手した後すぐループで聴いていて、この曲がすごく耳に残ったのを覚えている。そのときは5拍子だからっていうのはパッとわからなかったけど、いっぽうで彼が昔Mijk Van Dijkと作ってヨーロッパ中でヒットしたUltra-Takkyu vs Mijk-O-Zilla名義のトラックとよく似たハマリ系のトランシーさを持っていて、ずっと変わらない本質的な快楽原則を追求した部分と、そのチャレンジングな冒険とがこんな具合にブレンドされるのはすげえなと思ったのだ。しかも、それ1回では飽きたらず、今年のWIREコンピでも、今度は7/4拍子というまたも「変」なリズムを探求するという筋金入りの変態っぷりを披露している。
 毎年欠かさず〈WIRE〉に遊びに行っているロートルとしては、当時小学生だったリアル・キッズがいまや成人して堂々とオールナイトで酒飲んで大暴れできる年齢になってると改めて考えると衝撃を受けるが、そういう人たちがこのアルバムで石野卓球の〈WIRE〉における変遷をはじめて振り返るとどういう風に聞こえるのかは結構興味がある。おじさんは、懐かしさもあるから初期の曲にはもちろんかなり思い入れもあるし、いまでも全然かっこいいと思うんだけど、いまの耳で聴くならこっちかなというのは07年の"St. Petersburg"とか09年の"Slaughter & Dog"とか、もしくはボーナス・ディスクに入ってる10年の"Carrie"あたり。でも、こないだShin Nishimuraくんと、若いクラバーは、パンチの効いた往年の"ザ・テクノ"みたいなノリはあまり体験してないから、そういうのが逆に新鮮なんじゃないかと話していて、実際彼が自分のパーティに石野をゲストに呼んで「クラシック」をテーマにオーガナイズした晩も、どう見ても20代前半の若いお客さんが、10~20年前の曲でガンガンに盛りあがっていた。たぶん、90年代に一般化した編集/DJ的な聴き方や、00年代のiPod的シャッフル感すら遠くの過去のものにする感性を、彼らはもっているに違いない。

 歌謡曲でもロックでも、購買力があって思い入れが強いのは中高年のファンだから、そういう人たちに向けて再結成や懐メロ的な展開して一稼ぎっていうのはもうどこでもあたりまえの光景になってしまったけど、年代的にもキャリア的にもそろそろそういう部類に入りそうな卓球が、こういう「思い出を振り返る1枚」みたいな装いの企画をこなしながらも実際はまったく明後日の方向へひょいひょいと走ってることは感動的ですらある。

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