「夏が来た、路上で踊るには良い季節」......こう歌ったのは1960年代のマーサ&ザ・ヴァンデラスでした。彼女たちがデトロイト市内のホールでこの曲を歌っているときに、町では暴動が起きていたという話は有名です。
さて、梅雨が明けて、夏到来です。スタンダード・ナンバーの"サマータイム"にたくさんの名カヴァーがあるように(ジャニス・ジョップリン、ニーナ・シモン、ブッカー・T&ザ・MG'S、サム・クック......)、この世界には夏をテーマにした名曲がたくさんあります。ビーチ・ボーイズは夏だらけだし、マーサ&ザ・ヴァンデラスには他にも"ヒートウェイヴ"があります、エレクトロニカ/IDMには『エンドレス・サマー』があるし、ハウス・ミュージックにもベースメント・ジャックスの「サマー・デイズEP」があり、チルウェイヴにはウォッシュト・アウトの「ライフ・オブ・レイジャー」があります。あるいはドナ・サマーやメキシカン・サマー......芸名やレーベル名が"夏"であるケースもあります。
夏の音楽は多くの場合ロマンティックですが、セックス・ピストルズの"ホリデー・イン・ザ・サン"を聴いたら怒りがこみ上がってきて、ザ・ドアーズの"サマーズ・オールモスト・ゴーン"を聴いたら夏が終わってしまった気持ちになるかもしれません。そしてジミ・ヘンドリクスの"ロング・ホット・サマー・ナイト"を聴けば、あたり一面は燃え上がるでしょう。
MFSBの『サマータイム』のアートワークに使われている写真も素敵ですね。熱波で焼けた路上でひとりの女性が水浴びしている姿にグッと来ます。
日本の音楽にも多くの夏の曲があります。曽我部恵一"Summer '71"、フィッシュマンズの"夏の思い出"や"Sunny Blue"......RCサクセションなどはホントに多くの夏の曲を作っています。
以下のチャートを見て、自分の「Favorite Summer Song」が入ってないじゃないかという方は、コメント欄に書いてください!
1 |
Martha And The Vandellas - Dancing In The Street |
---|---|
2 |
Miles Davis - Summertime |
3 |
Jimi Hendrix - Long Hot Summer Night |
4 |
Fennesz - Endless Summer |
5 |
Sex Pistols - Holiday in the Sun |
6 |
The Associates- Fire To Ice |
7 |
The Ramones - Rockaway Beach |
8 |
RCサクセション - 海辺のワインディイングロード |
9 |
Alice Cooper - School's Out |
10 |
The Beatles - Mr. Moonlight |
11 |
RCサクセション - 楽しい夕に |
12 |
Eddie Cochrane - Summertime Blues |
13 |
The Style Council - Long Hot Summer |
14 |
Best Coast - Summer Mood |
15 |
The Doors - Summer's Almost Gone |
16 |
Sly And The Family Stone - Hot Fun In The Summertime |
17 |
The Drums - Saddest Summer |
18 |
Pub - Summer Pt 1 |
19 |
MFSB - Summertime |
20 |
The Beach Boys - All Summer Long |
21 |
RC サクセション - サマータイムブルース |
22 |
Girls - Summertime |
23 |
Yo La Tengo - Beach Party Tonight |
24 |
Bruce Springsteen - Backstreets |
25 |
Pink Floyd -Summer '68 |
沢井陽子
The Beach Boys - Endless Summer
サマーソングといえば、いまのタイミング的にも真っ先にビーチ・ボーイズ。イメージが先行しているのですが、こちらは、1966年前のヒットソングのコレクションで、初心者も十分楽しめる内容。ロスアンジェルスにいた頃、ジョニー・ロケットというレトロなハンバーガー・チェーン店に行って、ハンバーガーとフライズを食べながら、ジューク・ボックスに"サーフィンU.S.A."を入れて、パーフェクトな夏を満喫した思い出があるので、曲も素敵だが、そのときのイメージも多々影響。楽しい出来事ばかりでなく"イン・マイ・ルーム"で、もの悲しい夏の残骸を胸に抱え、自分の心の中にグッとしまっても、最後に"グッド・ヴァイブレーション"が流れると、ドラマチックな夏物語を「まあ、いいか」とまるく収めてくれる。全体が、夏のさまざまなシチュエーションに当てはまり、イメージが膨らむが、サマーソングって、結局それが楽しいのです。
DJ Yogurt(Upset Rec)
RCサクセション - サマータイム・ブルース
"サマー・マッドネス"、"サマー・イン・ザ・シティー"、"サマー・ミーンズ・ファン"、etc...
いろいろな曲が頭に浮かんだけど、2012年の日本の夏にハマっているのは、エディ・コクラン作の名曲に、いまは亡き清志郎が日本語の歌詞をのせた"サマータイム・ブルース"ではないかと。「電力は余ってる、いらねー、欲しくねーー」。
大久保潤 aka junne(メディア総合研究所/大甲子園/Filth)
SxOxB - "レッツ・ゴー・ビーチ"("ドント・ビー・スウィンドル")
ハードコア・パンクはナパーム・デスなどにより"速さ"という点において90年前後にネクスト・ステージに進み、90年代半ばにはファストコアとかパワー・バイオレンスとか呼ばれる激速なバンド群がシーンを席巻した(あの頃はそういうバンドの7インチが毎週のようにリリースされて本当に楽しかったなー)わけだが、そのルーツのひとつが初期S.O.Bである。大阪ハードコア・シーンから現れた彼らは「世界最速」と謳われ、日本にとどまらず世界のハードコアに多大な影響を与えた。
そんな彼らの初期の代表曲のひとつが"Let's Go Beach"で、歌詞はただ「Hot Summe soon comes again.
Let's Go Beach. Let's Go Surfin」だけ。ハードコア・パンクとサーフィンという組み合わせ(当時はまだ日本ではハードコアとスケートの関係もあまり一般的じゃなかったはず)、そしてファスト・パートから後半はキャッチーなシンガロング(♪レッツゴサマービ~~~チ!)に移行するポップなセンスもおそらく当時は斬新だったろうし影響力もデカかったんじゃないかな。ポップに始まって一転して激速! みたいなのって90年代には(たぶん今も)本当にたくさんありましたからね。
この曲と、ハノイ・ロックスの"Malibu Beach Nightmare"とラモーンズの"ロッカウェイ・ビーチ"を「新・三大ビーチソング」とさせていただきます!(全然新しくないけど)
DJ Hakka-K (Luv&Dub Paradise)
Baiser - Summer Breeze
夏といえばレゲエやその他大好きな曲はたくさんあるのですが、僕がいちばん最初に影響を受けたDJ Soneが夏になると必ずかけてたのが、83年に発表されたこの曲。いまでも夏になるとレコード・バッグに入れておく想い出がたくさん詰まったDISCOの隠れた名曲です。
山田蓉子
ピーナッツ - 恋のバカンス
言わずと知れた昭和歌謡の大名曲。中学生の頃からカラオケで必ず歌っているのだが、気持ちよくハモりながらひたすら「そっかーバカンスってのは、金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋をするのねー。素敵」と思い続けてきた。全国民が一年中バカンスのことばっかり考えて暮らしているフランスで生活するようになったのも、そんな刷り込みのせいなのだろうか。でもまだ金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋なんかしたことない。バカンスのために生き続ければいつかできるんだろうか...。
合掌。
why sheep?
私見ですが、夏は24,25と2日で勝負のクリスマスと違って日本人にも長丁場ですので、一曲に絞るのはむずかしいのです。
というわけで、アルバム単位で失礼します。これは、僕のサマー・ソングのオールタイム・フェイバリットで、オールタイムというからには理由があって、日本がどの季節であっても、暑くてビーチのあるところになら、僕が必ず持っていくアルバムだからでもあります。実家のある茅ヶ崎に帰郷する際はどんな季節であっても必ずです。
ちなみにわたくし、渋谷区神宮前生まれ、現住所湘南というプレミアムな、昔なら免許証だけでナンパできると言わましたがそれは昔の話で、もし免許証に写真を載せなくて良かったら、人生は今とずいぶん違ったことでしょう。さて、
閑話休題、
神奈川県茅ケ崎市の出身であればだれもが知ってることですが、
茅ヶ崎市民=サザン・オールスターズ・ファン
というのが公理となります。
茅ヶ崎市民≒サザン・オールスターズ・ファン
は許されませんし、
茅ヶ崎市民なのに≠サザンオールスターズ・ファン
はばれたらその場で公開処刑されます。
しかし、どんなところにも反逆者はいるもので、江戸時代の隠れキリシタンのように
そんな中でサザンを崇拝しなかったのがこの私です。もちろんサザンの曲も大好きですが、神宮前の生まれの私にはあまりにも野暮ったすぎました。
長くなるとあれなので順不同ということで三枚選ばせていただきますと、
●Boz scaggs - Down To Then Left
もちろんbozの名盤といえばsilk degreesですし、一枚後のmiddle manは東海岸AORあげての名盤ですが、その中庸にあるこのアルバムなぜか期待されていたほどに売れませんでした。だからこそぜひ聴いてみてください。超ゴールド・ディスクのsilk・degreesの直後になんでこんなアルバム作ったのかと俄ファンは首をかしげたかもしれまえんが、ルーツと言えばパンクと忌野氏の話しかしない三田格が即座にこのアルバムの名前を言えるということだけお伝えすれば、ele king読者は気持ちは動くことでしょう。三田さんが好きかどうかは知りませんが。
●Bobby Caldwell - Carry On
アルバムのすべての曲が珠玉としか言いようががありません!
邦題は原題とまったく関係ない「センチメンタル・シーサイド」と付けられてましたが、その心は当たらずとも遠からず。。
1980年代、日本のサマーリゾートの代表である湘南は傍目はアメリカ西海岸、(実情はサザン=茅ヶ崎駅南口)だったのですが、桑田圭祐もその音楽的ホームグラウンドであるという茅ヶ崎の現存するレコード屋さん「CHIYAMA」(桑田さんが青学に通ってる頃厨房の私が通っていた)につつましげに張ってあったポスターが忘れられません。
「マイアミの蒼い風」
そこにはそう書いてありました。
当時の日本の理想とするカリフォルニアでもなく、はたまた湘南の実情ださいヤンキー文化でもない、架空のビーチがあった!そこはマイアミ(本当のマイアミは行ったことないので知りません。。)
あぁ...哀れなるかなbobby caldwell。3枚目にして自身のもてるすべてを注ぎ込んだ、そして当時のレコード会社も起死回生を図って宣伝したこのアルバム、期待ほど売れませんでした。当然です。日本人はカリフォルニアしか頭になかったのですから。
長々と前節書きましたが、この感傷性の至高とも言えるアルバム。アラサー独身男子の方ならきっと理解してもらえることでしょう。はまっちゃったら一生結婚できないこと請け合いです。
さて最後、
●J.D.Souther - You're Only Lonely
あぁ、このメロディーにこの歌詞に極め付けのこの声。同胞のイーグルスのほうが100倍有名ですが、彼はイーグルスの第五(第六だったかな?)のメンバーと言われるほどイーグルスに貢献したソロ・シンガー・ソングライターです。(名曲"New Kid In Town"は彼の曲)
一聴したら単なるアメリカの野暮ったいカントリー&ウエスタンの歌手と間違える人もいるかもしれませんが、よく聴いてくださいこの声。
現代音楽の大家メシアンは音を色に例え、詩人ランボーは言葉を色に例えたそうですが、わたしに言わせればJ.Dの声は「いぶし銀の声」と呼んでいます。
それをもっとも感じるのはこの前のアルバムの『Black Rose』収録の"Silver Blue"ですが、夏の間聴くべきはこのアルバムです。
とくに一押しは彼の出世曲の"You're Only Lonely"ではなく!!!!"If You Don't Want My Love"、このモラトリアムから抜け切れないガキっぽい歌詞が胸をえぐります。しかしなんといっても必聴すべきは、彼の声もさることながらハモンド・オルガンB3の旋律というかその音色!!!
はっきり言って"Let It Be"のBilly Prestonを軽やかに凌駕しています。その名はJai Winding。ちょっと調べた限りでは往時の人気スタジオ・ミュージシャンということですが、実際のところよくわかりません。"My Funny Valentine"のときのJimmy.Smithぐらい良い!!!知ってる人いたら情報求む!!!
それでもどうしてもと野田努に一曲選べと言われたらこの曲、
佐野元春
『Heartbeat』収録 "Interlude"~"Heartbeat"
↑ここには私の少年ゆえの切ない恋愛体験がすべて詰まっております。くれぐれも("Interlude"から聴いてください)
他にも山下達郎の"Big Wave"(口が裂けても『Beach Boys』の"Pet Sounds"とか言いたくない)とかあるんだけど、この企画が来年も続いたらその時にでも。
おやすみなさい。みなさん家のエアコン止めてビーチでセンチメンタル・シーサイドしようぜ!
summer, 2012
why sheep?
三田格(e-Busters...)
Wham! - Club Tropicana
なんてな
竹内正太郎
□□□ - 渚のシンデレラ
夏、夏か、、、。この、永遠に思わせぶりで無責任な季節は、これからもギリギリのところで前向きな予感たりえてくれるのだろうか? いや、しかしこうも明らかな異常気象が続き、つい先日も日本国内の最高気温都市の上位三位を独占したような場所に住んでいる身としては、サマー・ソングを悠長にセレクトするにも体力を使って仕方がない。しかし橋元優歩に催促され、限られた時間内に直感で選ぶとしたら、("真夏のラストチューン"も捨てがたいが)やはりこの曲になるだろう。クチロロがバンド編成時代に残したきらきらのクラシック。超多層構造のトラックをハイパーなまでに軽く聴かせるその手さばきは、今なお並々ならぬセンスを見せつけている。それはもう、嫌らしいほどに。ヴォーカル/大木美佐子の安定しない高音域もいい。夏は楽しく充実しているべきか? この疑問自体、広告業的な価値観に刷り込まれたちゃちな不安でしかないわけだが、優れたサマー・ポップは何度だってその空虚さを上塗りする。とても鮮やかに。パルコの広告にほだされ、私は今年も嫌々と海に出掛けるのだろう。一年に一度くらい、まったく見当違いの恋をしてみるのもいいものだ。それがどれほど軽薄なものであっても。「ここから物語は続く/忘れたものもあの角を曲がればきっと思い出すさ」!!
松村正人
XTC - Summer's Cauldron
私は夏が大好きなので、好きな曲はビーチの砂の数ほどありますが、そのなかでもこの曲は、陽がのぼるとすぐにうだるようで、退屈で、楽しくないので、どこかに逃げたいがまわりは海ばかりで、しょうがないと諦めつつ、それもそう悪くないかと思いはじめたころ、暑気がひけて、虫や鳥の声が際だちはじめた、島に住んでいたころの夏の日の宵の記憶をくすぐるようでとても甘美だ。
水越真紀
戸川純 - 隣りの印度人(玉姫様)
21世紀の日本の夏、80年代に比べて湿度は低くなった。絶対なったと思うのだ。数年前、そのことを示すグラフをネットで見つけたのだけど、二度と出会えないでいる。
ともあれ、目の前の暑さをどうにかして「涼しぃ?」と断言する、言いくるめる、歌い上げる姿勢に私は共感するのである。ポストモダンな感じがする。人間の知恵、つー感じだ。しかし、現実逃避の知恵ばかり身につけてしまうのもどうかとも思う。
私は冷房を使っていない。本当に暑いには空気がゆらゆら揺れているのが見える。汗が吹き出しては乾いて皮膚を冷やす。
去年の夏は2時間置きに猫を冷やす保冷剤を取り替えていた。濡れたタオルで拭いてやり、耳を氷で冷やしたりした。今年こそ冷房を入れてやらねばと思っていたが、それを待たずに彼女は逝った。今年、冷房を入れる理由はなにひとつなくなった。
橋元優歩(e-Busters...)
Animal Collective - Fireworks
Photodisco - 盆踊り
わたしも夏が大好きです。黄色といったときに山吹からレモンとかまでいろいろあるように、夏というのもいろいろあって、お盆とかかなり好きです。"Fireworks"は詞に夏が明示されているわけではないのですが、わたしには幻想的なお盆メンタル・ソングとしか考えられません。海外にお盆はないでしょうが。
木津毅
R.E.M. - Nightswimming
昔から自分が惹かれてきたのは、夏の盛りよりも夏の終わりの歌でした。それは青春そのものよりも終わっていく若さ、すなわち中年に惹かれるのと似ている......かもしれません。真夏を謳歌するのと同じくらい、夏を無駄にした......という感覚をポップ・ソングは拾ってきたようにも思えます。
R.E.M.のこのナンバーは彼らの代表曲のひとつで、もう去ってしまった誰かのことを思いながら、晩夏の夜にひとりで月に焦がれながらプールで泳いでいるという、「夏を無駄にした」度では抜きん出た名曲です。リリカルな風景描写はマイケル・スタイプの詩人としての才能を見せつけ、それ以上にこのポップ・ソングに美しいフォルムを与えています。「君のことを、僕は知っていると思っていた」......悲しすぎますが、それがとても穏やかに歌われることで、夏の終わりの感傷が許されるようでもあります。「9月がじきにやって来る」......。
國枝志郎
Chapterhouse - Summer Chill
俺と言えばシューゲイザー、シューゲイザーと言えば俺(反論上等)なんで。チャプターハウスが1stアルバム『Whirlpool』と2nd『Blood Music』の間に発表した神シングル「Mesmerise」(俺的にはスロウダイヴのシングル「5 ep」と並ぶ究極ロッキン・チルアウト)収録の1曲。2ndアルバムにはもうひとつサマーネタで「Summer's Gone」というナンバーもあるけどやっぱりこっちでしょう。タイトルも最高!!!!!!!!!! あーチルりたい。
Photodisco
H Jungle with t - GOING GOING HOME
夏といえば、やっぱりこの曲ですね。お盆に帰省した際、実家でビールを飲みながら聴きこうと思います。
オノマトペ大臣(Maltine Record/TJNY)
Phillis Dyllon - Nice Time
夏になるたびに学生時代を思い出します。
白い太陽、青い海、赤く日焼けしたあの子の細い腕
楽しいはずなのに何故だか寂しい、いつか終わってしまう刹那的な煌めく青春の夏。。。
どこかの誰かが過ごしているそんな極彩色の夏を尻目に、マジで永遠に続くんじゃないかと思うような怠惰な余暇を、クーラーガンガンの部屋でカーテンを閉め切り、ゴローンと横になって手に持った黒い文字の羅列を追うことでやり過ごしていたしょっぱい夏。
ベッド横に置かれたローテーブル上に、氷が沢山入った透明なグラスが置かれ、カナダドライのジンジャーエールがパチパチとはじけると、西宮の六畳間にも、にわかに夏の気配が漂います。
近所の外資系CDショップで買ってきた3枚組3000円ちょっとのTrojanのCalypso Box Setをミニコンポにセットすると、いよいよ目の前に常夏のトリニダードトバゴが広がるのでした。
内容の薄っぺらい新書を読み進め、40ページぐらい行ったところでPhillis Dyllonの歌声が響き渡ると、心は完全に夏の夢の中。
新書をベランダから捨て去って、背中の羽をパタパタとして舞い上がり、ヤシの木の上の方に座り心地よく揺られたものでした。
それから4年が過ぎた、2012年の夏。
永遠に続きそうだった怠惰な夏は、心のアルバムの中で色褪せるどころか、それなりに輝いて見えます。
今年の夏はどのように過ごそうか、とりあえずPhillis Dyllonを聞いて、西宮のトリニダードトバゴで考えようと思っております。
(最近サンクラに上がってたCoconuts Beat Clubによるmoombahton editもすごく好きです。https://soundcloud.com/coconuts-beat-club/nice-time-coconuts-beat-club )
赤塚りえ子
Brian Jones Presents the Pipes of Pan at Joujouka
44年前の7月29日、ブライアン・ジョーンズは真夏のジャジューカ(モロッコ)に行きMaster Musicians of Joujoukaの演奏を現地で録音した。
彼の死の二年後にリリースされたこのアルバムでは、ブライアン・ジョーンズというフィルターを通したジャジューカを体験できる。
今年6月、ついにそのMaster Musicians of Joujoukaの生演奏を現地で体験してきた。
全身にものすごいグルーヴ浴びて、何本もの生ガイタ音が立体的に脳を直撃、そのまままっすぐに脳ミソを突き抜けた。
ブライアン・ジョーンズがなぜジャジューカにハマったのか?一瞬にして体でわかった。
来年の夏もまたジャジューカで、4000年のダンスミュージックで踊りまくってくるゼィ!
Yuji Oda (The Beauty/Cuz Me Pain)
No Joy - Negaverse
カナダの男女3人組バンドNo Joyが送り出す12インチシングル。
全てが正しいと思わせるオルタナギターと儚いボーカルが夏の荒野を駆け抜け交差する疾走シューゲイズ。
2012年の夏はこれ。
YYOKKE (White Wear/Jesse Ruins/Cuz Me Pain)
Junei - You Must Go On
夏はこんな涼しげな曲を何も考えずにずっと聴いていたいです。
Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins/Cuz Me Pain)
Prurient - There Are Still Secrets
夏に熱いものを食べる的な感じで暑苦しい曲も聴きたくなります。
寺尾紗穂
サニーデイ・サービス -"海岸行き"
saigenji - El Sur
夏の終わりを歌う以下の二曲が好きですが、youtubeにはあがっていないようです。
サニーデイ・サービス「海岸行き」
サニーデイの曾我部さんのさらりとした感触の歌詞は自分にはなかなか書けないもので、よく羨ましく思います。いつかカヴァーしたい曲。
saigenji「El Sur」
「El Sur」はサイゲンジさんと歌ったことがありますがもう一度歌いたいです。
「南へ帰るなら僕のさみしさもその翼に乗せていっておくれ」とツバメに語りかける歌詞が切ないです。サイゲンジさんのライブというとアップテンポの曲でノセたりアゲたりしてくれるイメージがありますがスロウで穏やかな曲にも名曲が多いです。
洋楽で好きなJudee Sillの歌詞を読み直したら「Jesus Was A Cross Maker」がちょっと夏の気配でしたので挙げておこうかと思います。
クラシック的な手法を織り込むというのは色んな人がやっていることなのだろうと思うのですがこの人の場合、その織り込み方がとても大胆で生き生きとしていていつ聞いても新鮮な感じを受けます。