「iLL」と一致するもの

East Man - ele-king

 ビッグ・ニュースが舞い込んできた。これまでイマジナリー・フォーシズとして活動し、近年はベイシック・リズム名義で尖った作品を発表し続けている鬼才、アントニー・ハートが、新たにイースト・マン(East Man)という名義でアルバムを用意していることが判明。同作はグライム、ダンスホール、ドラムンベース、テクノのハイブリッドとなっているそうで、ほとんどの曲にロンドンの若きMCがフィーチャーされている。タイトルは『Red, White & Zero』で、発売日は来年2月16日。
 そして驚くべきことに、同作は〈Planet Mu〉からリリースされる。さすがはマイク・パラディナス、目の付け所が違うというか、今回のアントニー・ハートとの契約は、これまで果敢にグライムやジューク/フットワークを世に送り出してきた〈Planet Mu〉の、新たなる態度表明と言っていいだろう。
 そしてさらに驚くべきことに、今回のアナウンスに際して、カルチュラル・スタディーズの大家たるポール・ギルロイが紹介文を寄せている。彼はそこで今日のロンドンの若者が置かれている情況について記述しており、曰く、かれらは排除され周縁化された存在だが、まさにかれらのエナジーと想像力こそがロンドンの文化を駆動させている、云々。なんでもギルロイはアントニー・ハートと友人関係にあるそうで、今回の新作のライナーノーツも執筆しているという。
 このように二重にびっくりな告知となった『Red, White & Zero』だけれど、リリースに先駆け収録曲の“Look & Listen”が先行公開されている。これがまたかっこいいのなんの。ベイシック・リズム改めイースト・マン、年明け最初の台風の目となること必至である。

アーティスト:East Man
タイトル:Red, White & Zero
レーベル:Planet Mu
品番:ZIQ395
リリース:2018年2月16日

[Tracklist]
01. East Man - East Man Theme
02. East Man & Saint P - Can't Tell Me Bout Nothing
03. East Man & Darkos Strife - Cruisin'
04. East Man & Killa P - Mission
05. East Man - Stratford
06. East Man & Irah - War
07. East Man - Drapesing
08. East Man & Eklipse - Safe
09. East Man & Lyrical Strally - Mmm
10. East Man & Kwam - Tear Down
11. East Man & Darkos Strife - Look & Listen
12. East Man - And What? (Blood Klaat Version)

more information:
https://planet.mu/releases/red-white-zero/

Nicola Cruz - ele-king

 〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉からのリリースで知られるニコラ・クルースが初来日、神戸Troop Cafeと東京・代官山Unitでライヴを行います。ニコラ・クルースは、ニコラス・ジャーのステージでフロント・アクトをつとめたり、彼の主宰レーベル〈クラウン&サンセット〉のコンピにその名を連ねたことをきっかけに注目を集めた南米エクアドルの首都キトを拠点とするエレクトロニック・プロデューサーです。〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉に加え、ニコ・デマスのワンダーホイールやエジプトのマジック・ムーヴメントにも楽曲やリミックスを残し、直近では、現在日本をツアー中のトーマッシュ主宰、ヴードーゥー・ホップのコンピ『Entropia Coletiva』のCD版にも新曲「Elephant」を提供しています。
 東京公演は野外フェスティバルRe:Birth主催のパーティで、ミニローグ、クニユキ・タカハシ、ミックスマスター・モリスも出演します。

■Nicola Cruz Japan Tour in Kobe

2017.11.23 THU

16:00 START - 23:00 CLOSE
Mail Resevation \2000(w/1D)Door \3000(w/1D)Under23 \1500(w/1D)

LINE UP :
Nicola Cruz -Live-
Shhhhh
KND -Live-
halptribe
FUKAMIDORI
職人
TAIPEIROD
KEYWON

SHOP :
DUMBO

FOOD :
tamu tamu cafe
Beinelmilel

COFFEE :
nomadika

https://troopcafe.jp/music-program/1388

■Nicola Cruz Japan Tour in Tokyo
Re:birth feat. El Folclore Paradox supported by Global Chillage

2017.11.24 FRI

OPEN : 23:00
START : 23:00
CHARGE :
ADV 3,000yen
DOOR 3,500yen
You must be 20 and older with photo ID

【UNIT】

LIVE :
Nicola Cruz
Marcus Henriksson aka Minilogue x Kuniyuki

DJ:
Shhhhh (El Folclore Paradox)
Kojiro (Re:birth)

【UNICE】

[new album "KiraKira" release special]
Mixmaster Morris
Peter Power (voodoohop)
Koss aka Kuniyuki
Hiyoshi (Labyrinth/Global Chillage)
7e

DECO:
聖紅 (seiko-nose.com)

LIGHTING:
Yamachang

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2017/11/24/171124_rebirth_featefp.php

【Nicola Cruz ~ニコラ・クルス~】
彼は自分のサウンドを”andez step”と定義するDJ / プロデューサー。南米はエクアドルの都市キト在住。パーカッショニストとしてキャリアをスタートし、次第にそのリズムの感性と興味はエレクトリック・ミュージックにも向かう。同時に自身のルーツである南米大陸の儀式や音楽現象への探求を開始。2015年にデジタル・クンビアのレーベルとして日本でも紹介されたZZK Recordsよりアルバム、"Prender el Alma"をリリース。Nicolas Jaarの前座に指名され、翌年のバルセロナのソナー・フェスティバルを始めとする、欧米から南米のビッグフェスやBoiler Room にも出演。2017年、モントリオールのレーベル、Multi CultiよりEPを数タイトルリリース、他にもsoundcloudやBandcampにて、クオリティの高いトラックをハイペースで発表し続けている。2018年には新アルバムをリリース予定。
2010年代中盤から南米を中心に勃発した、過去と未来、伝統とモダンを行き来する進行系の現象。ナチュラルでオーガニック、世界各地の土着性を吸収した、BPM控えめで、ミニマル、スローハウス、ラテン/クンビアらを通過した酩酊しトランスするダンス・ミュージック・ムーヴメント。その動きの中でも代表的なアーティストである。待望の初来日。

Taylor Deupree & Marcus Fischer - ele-king

 最近ではマーカス・フィッシャーの『Loss』など、順調に優良な作品のリリースを続けているブルックリンのレーベル、〈12k〉。その主宰者であり、坂本龍一や青葉市子とのコラボでも知られるサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリーが、マーカス・フィッシャーとともに急遽来日することが発表された。11月18日のTokyo Festival of Modular 2017を皮切りに、奈良、岡山、東京を巡回する。ILLUHA伊達伯欣の相棒を務めているコーリー・フラーらも参加。最終日の東京公演は、今年で20周年を迎える同レーベルの記念公演となっており、世界で唯一のアニヴァーサリー・イベントだそう。いやあ、これは行きたい。

坂本龍一や青葉市子とのコラボレーションも行なうサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリー主宰の電子音響レーベル〈12k〉が今年20周年を迎えます。

これまで数多くのアーティストを輩出した同レーベルは20年間の長きに渡り電子音楽界において多大なる功績を残してきました。 その主宰であるテイラー・デュプリーと所属アーティスト、マーカス・フィッシャーが来日し、Tokyo Festival of Modularを皮切りに、奈良、岡山、東京と4公演に出演します。奈良、岡山、東京公演には日本在住の〈12k〉アーティストCorey Fuller(ILLUHA)、Sawako、Moskitooらも出演し、最終日の東京公演は、世界で唯一の〈12k〉による20周年記念イベントが開催されます。すべてのアンビエント~実験音楽~電子音楽ファンに。絶対にお見逃しなく!

■Tokyo Festival of Modular 2017
日時:11月18日(土) 17:00~21:00
会場:渋谷contact (渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビルB2)
料金:1day Pass ¥3,000(当日券のみ)(※2day Passもあり。詳細はTokyo Festival of Modular公式ウェブサイトをご覧ください)
出演:Marcus Fischer & Taylor Deupree, Baseck, Sarah Davashi, Hataken featuring SUGIZO, Rodent, Hisashi Saito and more...

チケット・イベント詳細:Tokyo Festival of Modular
https://tfom.info/tfom-2017/

■岡山公演
日時:11月19日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:cafe moyau (岡山市北区出石町1−10−2)
料金:予約 ¥3,500 / 当日 ¥4,000(全席自由)
出演:Corey Fuller (ILLUHA), Taylor Deupree, Marcus Fischer, 松本一哉, nensow

◎メール予約:madronemu@gmail.com
※公演名・お名前・人数・連絡先をご明記のうえお申し込み下さい。
チケット取扱店:padang padang、cafe moyau、グリーンハウス倉敷店、グリーンハウ
ス岡山店、レコード屋、FOLKLORE
協力:全ド連 / padang padang / night cruising / moderado music / cafe moyau
詳細:moderado music
https://moderado.jugem.jp/?eid=360&PHPSESSID=rd5ok709t6gpb8romtglih3391

■奈良公演
日時:11月22日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:sonihouse (奈良市四条大路1-2-3)
参加費:¥3,600(1drink order)
出演:Corey Fuller (ILLUHA), Taylor Deupree, Marcus Fischer

◎メール予約:「11/22の参加予約」をタイトルに「お名前・人数・電話番号」を記載の
うえinfo@sonihouse.netまでご連絡ください。
*静寂を大切にした音楽のため、小学生未満のお子様のご来場はご遠慮いただいております。
詳細:sonihouse
https://www.sonihouse.net/journal/?p=8096

■東京公演 / 12k 20th anniversary in Tokyo
日時:11月25日(土) OPEN 16:30 / START 17:00
会場:光明寺 (港区虎ノ門3-25-1)
料金:予約 ¥2,500 / 当日 ¥3,000
出演:Taylor Deupree & Corey Fuller (Illuha), Marcus Fischer & Sawako, Moskitoo

◎ご予約:Peatixご予約受付ページ
https://12k20.peatix.com/
※Peatixへのご登録が必要となります。
※前売りが予定枚数に達した際は当日券の発売はございません。
主催・制作:cubic music
協力:Fly sound、誰そ彼、Inpartmaint Inc./ p*dis、安永哲郎事務室
詳細:cubic music
https://12k20th.cubicmusic.com/

Keith & Tex - ele-king

 ビースティ・ボーイズ『Paul's Boutique』の最後を飾るメドレー、“B-Boy Bouillabaisse”でサンプリングされていたロックステディの名曲“Stop That Train”をご存じでしょうか。あの名曲を歌うロックステディのレジェント2人組、キース&テックスが3年ぶりに日本に帰ってきます!
 前回の来日公演では、〈Rocksteady Legend〉でカールトン&ザ・シューズ、リロイ・シブルス、ストレンジャー・コールらと共演してきた日本が誇るジャマイカン・ヴィンテージ・ミュージック・バンド、マット・サウンズがバックを務めていましたが、今回もふたたびその共演が実現するとのこと。
 60~70年代のジャマイカ音楽愛好家のかたは必見ですよ~。

 前回の来日公演の模様は、以下のヴィデオをチェック。

Keith & Tex JAPAN TOUR 2017

【東京公演概要】
出演:Keith & Tex、Matt Sounds、Tommy Far East
日時:2017年12月10日(日) 開場 19:00 / 開演 20:00
会場:渋谷クラブクアトロ
INFO:OVERHEAT MUSIC(03-3406-8970)
特設サイト:https://www.overheat.com/keithandtex2017

前売りチケット:4,500円(+Drink Charge)
前売り【Tシャツ付限定割引】チケット(ローソンチケット):7,000円(+Drink Charge)
当日チケット:5,500円(+Drink Charge)

■チケット取扱店
Far East Records(042-705-3374)
HESHDAWGZ(03-3475-3475)
Dub Store(03-3364-5251)
Coco-isle(03-3770-1909)
JET SET 下北沢店(03-5452-2262)
HMV record shop 渋谷(03-5784-1390)
REDPOT(048-854-0930)
OR GLORY 神宮前店(03-3423-9368)

【Keith & Tex 他会場ツアー日程】
大阪公演 12月8日(金)SOCORE FACTORY


Keith & Tex(キース・アンド・テックス)
誰でも一度は聴いたことがある“Stop That Train”と“Tonight”という大ヒット曲を持つKeith & Tex。特に“Stop That Train”はジャマイカ最初の映画『The Harder They Come』でScottyの「Draw Your Brakes」名義で使用され、その後89 年にはBeastie Boysの“B-Boy Bouillabaisse: Stop That Train”で使われ、そのトラックは何度もリメイクされている超メジャー・チューン。他に“Let Me Be The One”などたくさんのヒットを持ち世界中のライヴで大合唱となる。現在もニュー・アルバムが完成しツアーを続ける現役バリバリのアーティスト。


Matt Sounds(マット・サウンズ)
今年4 月に1st アルバム『Matt Sounds』を発売、5 月にはBB シートンと東名阪ツアー、7 月にはフジロックフェスへの出演と順調に実力を発揮しているMatt。すでにジャマイカン・ヴィンテージ・ミュージックを演奏させたら世界でも右に出るものはいない? と噂されている。記念すべきキース&テックスのバックから始まり、カールトン&ザ・シューズ、リロイ・シブルス、ストレンジャー・コール、クリストファー・エリスらのバックを完璧に努め、彼らから「こんないいバンドがあったのか?」と驚嘆されてきた。それもそのはず直接ジャマイカン・レジェンドたちからリハと本番で細かく手ほどきを受け60 年代ジャマイカ音楽の黄金期を再現できる世界にも稀なバンドが誕生。Matt が遂にKeith & Texと3 年ぶりの再会。
https://www.mattsounds.tokyo

Oneohtrix Point Never - ele-king

 昨年同様オリジナル・アルバムのリリースはなかったものの、坂本龍一のリミックスイシュマイル・バトラーとのコラボなど、今年も何かと話題の尽きないワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン。夏には映画『グッド・タイム』のサウンドトラックを、そして先日はそのディレクターズ・カット版をリリースしたばかりの彼が、今度はUKの音楽メディア『FACT』の企画「FACT mix」の一貫として、新たなミックス音源を公開している。ジョルジオ・モロダーから幕を開けるそのミックスは、ロパティンが『グッド・タイム』の劇伴を制作するにあたって影響を受けた曲を集めたものとなっており、彼の音楽的なバックグラウンドの一部を探ることができる。しっかり芸能山城組も入っており、じつに興味の尽きないミックスである。

ONEOHTRIX POINT NEVER
話題の映画『グッド・タイム』のUKプレミアに合わせて
映画音楽制作のインスピレーションになった音源ばかりをフィーチャーした最新MIX音源を公開!

本年度のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、主演のロバート・パティンソンが彼のキャリア史上最高の演技を披露していると話題を呼んでいる映画『グッド・タイム』が、先週の日本公開に続き、11月17日(金)よりUKでも公開される。それに合わせ、音楽を手がけたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーが、本映画の音楽制作において、インスピレーションになったという音楽ばかりをフィーチャーした最新MIX音源を、『FACT』にて公開した。

FACT mix 627: Oneohtrix Point Never
https://www.factmag.com/2017/11/13/oneohtrix-point-never-fact-mix-good-time/

Giorgio Moroder – "Cacophony"
Bernard Szajner – "Welcome (To Death Row)"
Alan Parker – "Synchrotech"
Abigail Mead – "Ruins"
Brad Fiedel – "Tunnel Chase"
Daft Punk – "Television Rules The Nation"
Geinoh Yamashirogumi – "Requiem"
Dopplereffekt – "Z Boson"
Howard Shore – "01 – 9PM"
Harold Faltermeyer – "Main Title, Fight Escape"
Giorgio Moroder – "Chase"
Sick Le Lapin – "Flashcore Mix"
Heldon – "Le Retour Des Soucoupes Volantes"
Lewis – "Like To See You Again (OPN Remix)"
John Abercrombie – "Timeless"
Steve Hillage – "Palm Trees (Love Guitar)"

アメリカで8月に公開された際には、セレーナ・ゴメスやザ・ウィークエンドが大絶賛するなど注目を集めると同時に、音楽を手がけたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンが、本年度のカンヌ・サウンドトラック賞を受賞。映画のエンディング・テーマにもなっている“The Pure and the Damned”でイギー・ポップとコラボレートしたことも大きな話題となった。

同映画のサウンドトラック『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』は、8月のアメリカ公開に合わせてリリースされている。また日本公開時には、監督を務めたジョシュ・サフディの意向で、『グッド・タイム』の世界観をより深く理解するためのフォーマットとして、全曲フィルム・エディットで収録されたディレクターズ・カット版『Good Time... Raw』も日本限定でCD化されている。また対象店舗にて、『Good Time... Raw』、『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』のいずれかを購入すると、オリジナル・クリアファイルが先着でもらえるキャンペーンを実施中。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time... Raw
cat no.: BRC-561
release date: 2017/11/03 FRI ON SALE
国内限定盤CD: ジョシュ・サフディによるライナーノーツ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとジョシュ・サフディによるスペシャル対談封入
定価: ¥2,000+税

【ご予約はこちら】
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002199
amazon: https://amzn.asia/gxW5H63
tower records: https://tower.jp/item/4619899/Good-Time----Raw
hmv: https://www.hmv.co.jp/artist_Oneohtrix-Point-Never_000000000424647/item_Good-Time-Raw_8282459

【商品詳細はこちら】
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Oneohtrix-Point-Never/BRC-561

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time Original Motion Picture Soundtrack
cat no.: BRC-558
release date: 2017/08/11 FRI ON SALE
国内盤CD: ボーナストラック追加収録/解説書封入
定価: ¥2,200+税

【ご購入はこちら】
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002171
amazon: https://amzn.asia/6kMFQnV
iTunes Store: https://apple.co/2rMT8JI

【商品詳細はこちら】
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Oneohtrix-Point-Never/BRC-558

映画『グッド・タイム』
2017年11月3日(祝・金)公開
第70回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門選出作品

Good Time | Official Trailer HD | A24
https://youtu.be/AVyGCxHZ_Ko

東京国際映画祭グランプリ&監督賞のW受賞を『神様なんかくそくらえ』で成し遂げたジョシュア&ベニー・サフディ兄弟による最新作。

出演:ロバート・パティンソン(『トワイライト』、『ディーン、君がいた瞬間』)、ベニー・サフディ(監督兼任)、ジェニファー・ジェイソン・リー(『ヘイト・フルエイト』)、バーカッド・アブティ(『キャプテン・フィリップス』)
監督:ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟(『神様なんかくそくらえ』)

ニューヨークの最下層で生きるコニーと知的障がい者の弟ニック。
2人は銀行強盗を行うが、弟が捕まり投獄されてしまう。しかし獄中で暴れ病院へ送られると、それを聞いたコニーは病院へ忍び込み、警察が監視するなか弟ニックを取り返そうとするが……。

2017/アメリカ/カラー/英語/100分
(C) 2017 Hercules Film Investments, SARL

配給:ファインフィルムズ


RVNG Intl. - ele-king

 ヴィズィブル・クロークスにグレッグ・フォックスにスガイ・ケンにと、話題性とクオリティを兼ね備えた作品のリリースが続いているブルックリンのレーベル〈RVNG Intl.〉。同レーベルにとって初となるショウケース・ツアーが、ここ日本にて開催されます。レーベル主宰者のマット・ウェルス、ヴィズィブル・クロークス、スガイ・ケンらが東京、大阪、そして新潟を回ります。少しでも電子音楽に関心があるなら、これは見逃し厳禁でしょう。

RVNG Intl. Japan Showcase Tour 2017

本年を代表するアンビエントの大本命Visible Cloaks待望の初来日に加え、現代的な日本の“和”を世界へ広げるSUGAI KEN、そしてJulia Holter、Holly Herndon、Sun Araw、Maxmillion Dunbarなどを輩出、OPN主宰の〈Software〉も手がけた名ディレクターMatt Werthが帯同する、NYはブルックリンのオルタナ電子音楽の最重要レーベル〈RVNG Intl.〉がショーケースとなってジャパン・ツアーを開催。

最新アルバムが『Pitchfork』でBNMも獲得し、今年話題となったポートランドのVisible Cloaks、インディ、アヴァンギャルド、クラブ・シーンにまで及び、テン年代におけるオルナタティヴな電子音楽の傑作をコラボや再発含めリリースしてきたNYはブルックリンの最重要レーベル〈RVNG Intl.(リヴェンジ)〉主宰のMatt Werth、そしてコンテンポラリーな日本の“和”を世界へ広げ、同レーベルよりデビューを果たした注目のSUGAI KENが帯同する、レーベル初のショーケース・ツアーがレーベル関連のアーティストや国内外の多数のスペシャル・ゲストを迎え、東京はクラブ・ナイトとショーケースの2公演、大阪、新潟を巡る全4公演が開催。

Special Guests:

dip in the pool *Tokyo
Chee Shimizu *Tokyo
Ssaliva (Ekster) *Tokyo
SKY H1 (PAN) *Tokyo
食品まつり a.k.a foodman *Tokyo
Tomoyuki Fujii *Niigata
Phantom Kino Ballet (Lena Willikens + Sarah Szczesny) *Osaka
YPY *Osaka
7FO *Osaka
威力 *Osaka
etc

interview with doooo - ele-king

doooo ”Pain feat. 仙人掌”


doooo
PANIC

Pヴァイン

Hip Hop

Amazon Tower HMV

 「あのビデオに出てる高津のレゲエバーで飲んでるの?」そんな話題からゆっくりとインタヴューははじまった。ちなみにその店は台風で少し壊れたりもしたらしい。CREATIVE DRUG STOREに所属。昨年、ファースト・シングル「STREET VIEW feat. BIM & OMSB」をリリースしたdoooo。1年と少しの時間を経てファースト・アルバム『PANIC』は噂のMPCと共に世に公開された。dooooというアーティスト、そしてその音楽を知ることは「PANIC」という言葉の新しい意味を知ること。陽気な狂気の渦巻く世界へようこそ。


これは、普通に聴いた人をパニックにおとしいれたいという理由で。曲作ってる時に、作ってる自分もパニックになってしまったり。自分が「どうしようみたい」になったりもしたんで(笑)。自分もパニックになってるし、聴いてる人もパニックになって楽しんで欲しい。

doooo 君は出身は盛岡ですよね?

doooo ( 以下D ) : そうです。22まで盛岡にいて、大学卒業してこっちに来ました。

盛岡から出てすぐにいま住んでる川崎辺りに引っ越してきた感じですか?

D:はい。

それでCREATIVE DRUG STOREのメンバーと知り合っていく?

D:そうですね。最初にDJ のMIX をサウンドクラウドにあげてたんですけど、僕とBIMの共通の知り合いが気に入ってくれて、それでBIMにも彼が聞かせて気に入ってくれて。そこからですね。BIMと僕と家が500mくらいしか離れてなくて、それで、僕が「うちに遊びに来る?」って。BIMもフットワーク軽いからすぐに遊びに来て。デモを作ってるからビートを聴かせて欲しいという話をして、その時にMPCに入ってた曲がTHE OTOGIBANASHI`Sのファーストに入ってる“KEMURI”って曲ですね。

それで気がつけば一緒にやってるような感じ?今までにトラックを提供してるのはTHE OTOGIBANASHI’Sが多い?

D:圧倒的ですね。

ん。他のアーティストの作品への参加って何があります?

D:ほとんどないです。KANDYTOWNのRYOHUくんもラップしてたりするグループ、Aun Beatzのリミックスくらいですね。リリースされてるの。僕、インストで完結するビートがばっか作ってて。岩手時代それしか作ってない。リミックスを最初に作り出して、そこからオリジナルで作りたいって思うようになって、そういういいタイミングでBIMとかにも出会って作るようになった。そのときは本当に知り合いのラッパーがCREATIVE周りしかいなかったんですよ。インストの曲はたくさん作ってますね。

トラックメイクは盛岡のときからしてたんですね。

D:はい。曲も作ってましたけど、活動はDJばっかって感じですかね。

どういうDJっていう聞き方もなんか趣き無いですけど(笑)、どういうDJをしてたんですか? それと最近はビートライヴ以外のDJってしてますか?

D:最近はDJしてますけど、回数減りましたね。DJのときはソウルとかディスコからテクノとか、それこそ色々かけてます。盛岡がレコードが色んな種類あるんで。イベントも何でもかかるイベントばかりだったんで、自然にそうなりました。そのなかで、もちろんヒップホップかけるんですけどね。とにかく好きなものをなんでもかけるDJが多かったですね。

盛岡のときに制作したビートで発表してるものってありますか?

D:THE OTOGIBANASHI'Sの1stに入っている曲で“Froth On Beer”って曲があるんですけど、それが岩手で作ったビートですね。

DJはいつからはじめたんですか?

D:19ですね。高校出た時から始めました。

きっかけは?

D:兄ちゃんがいるんですけど、兄ちゃんが僕が13歳の時にターンテーブルを買って。ずっとICE CUBEが流れてたんですけど。ICE CUBEの“YOU CAN DO IT”だけずーっと(笑) 。それでかっけーってなって。その時まで知らなかったんですけど、それでかっこいいなってなりまして。俺もやりたいってずっと思っていて、高校出てターンテーブルを買って始めました。

ターンテーブルを買う前にレコードは買ってましたか?

D:レコードはたまに買ってて、ほとんどCDでしたね。ほとんどTSUTAYAでしたね。TSUTAYAで借りまくってました。

TSUTAYAで借りまくってた時代、俺もあります。渋谷のTSUTAYAって入れて欲しい作品リクエスト出来たんですよ。

D:僕いまでも渋谷のTSUTAYA結構行くんですよ。

音楽の聴き方の話なんですけど、自分の場合は、買うもの以外はストリーミングで聴く感じになってきてるんですよね。持っていたいもの以外はデータでもいらないやとか思ってきてしまっていて。

D:あー。僕はDJでかける用に借りてるのがほとんどなんで。レコードしか持っていないものであったりとか、昔持っていたけどどっかいってしまったものとかそういう作品を借りることがほとんどです。借り直してるものが多いですね。タイトルが揃ってるので、レコードで探すのが難しいものもあったりするじゃ無いですか。例えば和物のJAZZとか。そういうのも借りてますね。

なるほど。そう考えるとレンタルCDって確かに便利ですね。


 気づくとレンタルCDについて考える良い機会に恵まれてしまった。dooooはフットワークが軽く色々なとことに行くイメージの人物だ。目に見える選択肢の中から自由に選んで楽しむ。そんなイメージが浮かぶ。


今回のアルバムの話をさせてください。1曲目に収録されている“STREET VIEW”ですが、これはアルバムのなかでは一番最初に作った曲になるんですか?

D:1年前の夏ですね。そもそもが僕、最初に作る曲はG FUNKが作りたいってずっと思っていて。この曲のビデオ作って、レコード出したときに、どうせならアルバムを作りたいと思って。だからこの曲が軸になってますね。他にもやりたいことがたくさんあったなかで最初に作った曲で、その制作があってやりたいことを全部やろうって思うようになりました。

doooo "Street View feat. BIM,OMSB & DEEQUITE"

“STREET VIEW”でゲスト参加しているBIM、OMSBはどのように決めたの?

D:オムス君はこういうビートにすごく映えるラップをするイメージがあって最初に頼みました。どうせやるなら、もう1人はテイストの違うラッパーに頼みたくて、攻撃的じゃないラップがいいかなと思って、BIMに。意外なんだけど、バッチリハマるイメージあってそれ通りに出来ました。

そこからアルバムの制作で色々とゲストも参加してますが、イメージは?

D:全体のイメージは、本当に好きなこと全部やってやろうと思うって。ビートメイカーですけど、DJとしての自分も出してやろうって思って。自分の全部入ってるものにしたくて。

色んなゾーンが散りばめられていて流れもあって、濃いけど聴きやすいアルバムだと感じました。

D:やりたい曲を作りつつ。DJとしての自分も出したかったので曲順はすごくこだわりました。フューチャリング陣もこういうアーティストが自分は好きなんだぜっていうのも見せてくて。

HUNGERはやっぱり東北地方で元々つながりがあったんですか? この曲すごく印象に残りますよね。

D:HUNGERさんは僕がすごく好きで。ライヴとかに行きまくって追っかけて、向こうも「また来たんだ」みたいな感じで(笑)、それで参加してもらいました。

MONY HORSEの参加はすごく意外な気がしました。

D:MONY君も大好きだったのですが元々は面識が無くて、JUNKMANさんが繋げてくれて(JUNKMANは青森出身) 。MONY君のいままでの曲も聴いていて、それで、自分のビートでやったら面白いかなと思って頼みました。

うん。面白いですね。そして、このアルバムはゲストが出てくるたびに、新鮮な面白さを感じます。

D:それはプロデューサーとしては嬉しい意見ですね。

過度に尖った音作りにはしてないように感じます。

D:そうですね。普段のライヴ用の音源は攻撃的なものを作っちゃったりするんですけど、アルバムは長く聞いて欲しかったのでそこは気をつけてますね。あとはTSUBOIさん( ILLICIT TSUBOI ) がうまくバランスを整えてくれてますね。

曲順はどのように決めたんですか?

D:最初にやりたい曲をだーっと作って、ある程度揃った時に選んでいきました。最初から全体の構想があったというよりは出来た曲を並べて作っていった感じです。

アルバムの曲にもありますけどdoooo君は酒のイメージがあります。

D:最初に、仙人掌と会ったときにすごく飲んでしまって、その印象ですよね。今回参加してもらった曲でもその話がリリックに出てきていて嬉しかったです。

個人的にも、そのエピソード仙人掌から聞いてたので、あのリリックは凄く面白かったです。ビールのなくなり方がおかしいっていう。俺もたまに言われるんですけどね。スタジオに買ってきたビール全部飲んでしまったりとか。ちなみに酒って作業の時のみますか?

D:そうですね。飲むとめちゃくちゃはかどりますね。

没頭できる感じですよね?文章書くとき夜中に酒ずっと飲んでることあります(笑)。

D:昼間っから酒飲むことありますね。本当、24時間近く飲み続けることとか。

家で?

D:はい。

どれくらい家にストックしてますか?

D:いま、家にASAHIの350が20本くらいありますね。

それ凄いね。

D:困らないくらいの量が。

前に仙人掌とERAとCREATIVEのメンバーと飲んだことがあって、そのときはdooo君いなかったんだけど、その後、仙人掌のツアーで会って、いまがあるのってなんか面白いですね。

D:そういうリンク、岩手で見てて憧れてたんで嬉しいですね。

こういうリンクを繋げていけたら面白いですよね。

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 仙人掌のアルバム『VOICE』のリリースに伴いおこなわれた「BACK 2 MAC TOUR」の東北場所の盛岡MAD DISCOで、dooooというアーティストに初めて出会った。凄まじいテンションでの最高なビートライヴと、ファニーな人柄がとても印象的だった。その後、聴かせてもらったビートはdooooという人間そのものを感じた。

機材巡りが好きで、ハードオフ行って使い方わからないけど面白そうな機材を買ったり。レコード8円 ~ 108円で売ってるんですけど、そういうの買うのが好きですね。それみんなで聞いたりとか。それこそ、仙人掌君とのPVにも出てくるんですけど、赤白の線差すのが両方にあるだけの箱。使い方はわかりません。


doooo
PANIC

Pヴァイン

Hip Hop

Amazon Tower HMV

アルバム作ってみて、次にやってみたいこととかって生まれました?

D:もう次のを作りたいです。いまある曲のなかでも続きを勝手に考えてるものがあるし。それはAru-2とモンキー君とやってるビートメーカーだけで作った曲があるんだけど、そこにもっと色んな人に参加してもらって、ビートメーカーのマイクリレーみたいなものを作ってみたい。ビートだけで成立するビートメーカーって意外にいない気がしていて。そういうビートメーカーを集めて曲やったら面白いなと思っていて。

それ面白そう。ぜひ聴きたいです。

D:スピードは遅いですけどやってきたいです。

ビートメーカーの作る音源でなかなか再現難しいと思うんですよ。ゲストが入ると。そこでどういう風にライヴをやりたいとかってありますか?この音源を聴いてdoooo君を知った人は、この音源のイメージを持ってdoooo君のライヴに来ると思うんです。

D:ライヴのときは、自分という人間を見て欲しいという形で。一番好きなものはDOPEな感じというか、ぶっ飛んでる感を凝縮したくて、それがアルバムなんですけど。和物で気持ちい良いミックスも作ってるんで、そういうこともやってるんだよっていうのも知って欲しいし、とにかく色んな自分を見に来て欲しいですね。

アルバム・タイトルの『PANIC』を決めた理由は?

D:これは、普通に聴いた人をパニックにおとしいれたいという理由で。曲作ってる時に、作ってる自分もパニックになってしまったり。自分が「どうしようみたい」になったりもしたんで(笑)。自分もパニックになってるし、聴いてる人もパニックになって楽しんで欲しい。

いいパニックですよね。遊園地みたいな、色々あるけどパニック。

D:CREATIVE DRUG STOREで活動してるので、聴いてる人がヒップホップのファンが多いと思うんですが、ヒップホップ以外の音楽も入れて作ったと思ってます。こういう音楽もあるんだよっていう、驚きを与えられたらなって。上から目線みたいな意見になっちゃってるかもしれないですけど、そんな気持ちで作りました。

たしかにいままでとテイストがかなり違いますもんね。そして作品のなかでも変わっていく。

D:今回の作品は、参加してもらう人によって変えたのもあるので、それはあるかもしれません。それもDJとしての自分を見て欲しいっていうのがあって、このラッパーならこのビートが合うなとか。ビート決まった後に、展開を変えたりして。そいういのでまた変わるってったかもしれない。

アルバムはれくらいの期間で作ったビート?

D:制作期間は1年半くらいですかね。それぞれの長さはバラバラですね、1曲1週間かかったのもあれば、1日でできたものもありますし。

この作品がリリースされたことによってdoooo君の謎が解き明かされますね。

D:それは嬉しいですね。

OMSBとかdoooo君は狂ってるっていつも嬉しそうに言ってますね。

D:オムスくんとは人肉MPCの事とか楽しく話せて嬉しいです。

このMPCライヴで使って欲しいですけどね。

D:渋谷音楽祭で飾ったときもみんなめっちゃ写真で撮ってくれて嬉しかったです。本当に気持ち悪いんで、笑っていない人も多くて。写真だと洒落た感じだけど、(といってdooooのinstagramにある全体像の動画を見せる)この端の部分いつか触って欲しいんですけど。気持ち悪いんですよ。端っこが。何回もやり直して作ってもらいました。

総制作費は……?

D:結構お金はかけました(笑)。だから触ってほしくて。一番長く使ってたのがMPC 2000XLなんですけど、だから。僕っぽさも出したくて、マッド・サイエンティスト感を。で、人肉にして。仙人掌さんとのビデオでHEIYUUの肉にして。

トラックメーカーのアルバムのジャケットって機材が出てるもの多いけど、これは新しいですよね。そうだ、ホラー映画ってどういうのが好きですか?

D:生々しいというか、ヒューマン・ドラマというか。『オールナイトロング』っていう映画があるんですけど。かなりトラウマ系ですね。上手に人を嫌な気持ちにさせる。女の子がアキレス健を切られる描写とかがすごく上手いというか。

俺、日本のホラー苦手なんですよ。やな気分になるやつ。ホラーとかそういうの以外でライフワーク的に好きなもの何があります?

D:コミックですね。曲作るきっかけも漫画とか映画とか音楽以外のものが多い。こういうの作りたいっていう。

そう思う時って頭の中に曲の設計図があるんですか?

D:最初は感覚でこういう。日野日出志の「日野日出志の地獄変」って漫画を読んだときに、漫画の世界観、地獄絵図みたいな曲を作りたいって思って、その段階ではあまり考えてないんですけど、音を入れていくなかでヒップホップにしようとか、まあ、感覚ですね。

日野日出志。苦手だったけど、ここ1年くらいで結構はまってきて。

D:おどろおどろしい絵いいですよね。

おどろおどろしいけどファニーですよね。

D:おどろおどろしいだけじゃなくて、そういうさじ加減が良いんですよね。ただただ気持ち悪いんじゃなくて、ちょっとファニーさもあるのに惹かれるんですよね。それこそ、曲も、怖いなかにファニーな感じ。仙人掌の曲でもそういうのも意識していて。

たしかにそうですね。リリックも含めてそういう印象がある。

D:怖そうなテンションのわりに、面白いですよね。そして、なんというか、僕のことをわかりやすく言ってくれて。めっちゃ嬉しかったです。

ラッパーがトラックメーカーを紹介してる構成も面白いと思う。

D:アルバムの曲で僕のことをここまで歌ってるのこの曲だけですね。

この曲でdoooo君のことはわかりますよね。酒の情報とか余計な情報はあるけど。それありきでdooo君を見ると面白い気がします。

D : 笑。


 まだ発表できない予定の話を聞いて、テープを一度止めて。気がつくと機材の話をしてた。ジャンクというよりは何かの塊というような。なんだか禍々しい話。でもdooooとの会話には禍々しさよりも、なんだかファンシーなイメージ。


D:機材巡りが好きで、ハードオフ行って使い方わからないけど面白そうな機材を買ったり。レコード8円 ~ 108円で売ってるんですけど、そういうの買うのが好きですね。それみんなで聞いたりとか。それこそ、仙人掌君とのPVにも出てくるんですけど、赤白の線差すのが両方にあるだけの箱。使い方はわかりません。

それはいくらだったの?

D:108円でしたね。形がかっこいいから買いました。いまも何かわからないですね

アルバムでそういう面白い機材制作に使ったものあります?

D:ありますね。ノイズとかそういう音が出るだけですけど。本当に気づかれないくらいのノイズだけなるシンセの音をサンプリングしていじって入れてますね。

dooo君が制作するコクピットはどうなってるの?

D:台所に機材とかレコードとかの物置があるんですけど、ガラクタが積んであるみたいな。そこに人肉MPCもあるんですけど。

それおぞましいですね(笑)。メカ的なのも好きですよね!? ギーガー好きだよね?

D:ギーガー!! 重厚感がありますね。

ギーガーもえぐさありますよね。バイオメカ。

D:いかついですよね。ゴツい。エイリアンもそうなんですけど重厚感があるものに影響を受けてて、そういう。

金属音とか?

D:影響を受けてますね。

バイオMPC。

 dooooの作り出す空間はやはりどこか歪んでるような気がする、だけれど心地よい、遊んでいて心地よいような空間だ。余計なものがたくさんあるけど、それで遊べる。説明とか書いてない。その感覚って音楽のひとつの魅力なんじゃないかなって思った。そんな感覚を持って『PANIC』を楽しくパニックしてください。ちょっとまだ公開しちゃいけないinfoが多かったのですが、今後もdooooのまわりは楽しそうだ。

D:ゲストを呼んだリリース・ライヴをいくつか考えていて。全員呼んだパーティもやりたいと思ってます。来年またアルバムからビデオを公開する予定です。

doooo 『PANIC』 Teaser

(了)

Andrés Japan Tour 2017 - ele-king

 日本だとみんなJディラ、Jディラっていうんだけど、デトロイトだとスラム・ヴィレッジなんだよね。それだけスラム・ヴィレッジという存在がでかかってことなんだろうけど、DJ Dezとしてその楽曲制作やツアーDJとしても関わり、また、Andrés(アンドレス)としてムーディーマン率いるMahogani Music所属する男、アンドレスが通算4枚目となるアルバム『Andrés Ⅳ』のリリースを間近に控え、来日が決定! 
 日本各地のフライヤーとともに紹介しましょー。

■ツアー日程

Andrés Japan Tour 2017

11.22(水) 東京 @Contact
11.24(金) 岡山 @YEBISU YA PRO
11.25(土) 小倉 @HIVE
11.26(日) 大阪 @SOCORE FACTORY
12.1(金) 金沢 @MANIER
12.2(土) 名古屋 @Club Mago

■Andrés (aka DJ DEZ / Mahogani Music, LA VIDA) from Detroit
Andrés(アンドレス)は、Moodymann主宰のレーベル、KDJ Recordsから1997年デビュー。
ムーディーマン率いるMahogani Musicに所属し、マホガニー・ミュージックからアルバム『Andrés』(2003年)、『Andrés Ⅱ 』(2009年)、『Andrés Ⅲ』(2011年) を発表している。DJ Dezという名前でも活動し、デトロイトのHip Hopチーム、Slum Villageのアルバム『Trinity』や『Dirty District』ではスクラッチを担当し、Slum VillageのツアーDJとしても活動歴あり。Underground Resistance傘下のレーベル、Hipnotechからも作品を発表しており、その才能は今だ未知数である。
2012年、 Andrés自身のレーベル、LA VIDAを始動。レーベル第1弾リリース『New For U』は、Resident Advisor Top 50 tracks of 2012の第1位に選ばれた。
2014年、DJ Butterとのアルバム、DJ Dez & DJ Butter‎ 『A Piece Of The Action』をリリース。
パーカッショニストである父、Humberto ”Nengue” Hernandezからアフロキューバンリズムを継承し、Moodymann Live Bandツアーに参加したり、Erykah Baduの “Didn’t Cha Know”(produced by Jay Dilla)ではパーカッションで参加している。
Red Bull Radioにてマンスリーレギュラー『Andrés presents New For U』を2017年10月からスタート。
通算4枚目となるアルバム『Andrés Ⅳ』のリリースを間近に控えたAndrésの来日が決定!

■ツアー詳細
Andrés Japan Tour 2017


11.22(水) 東京 @Contact

Studio: - Soultry -
Andrés (aka DJ DEZ | Mahogani Music | LA VIDA | Detroit)
DJ Kensei
DJ MAS aka SENJU-FRESH! (EDMATIC)

Contact: -Soul Matters-
Guest: KZA (FORCE OF NATURE)
Shima, JINI, kent niszw, kurozumi

OPEN 22:00 BEFORE 11PM ¥1000 UNDER 23 ¥2000 GH S MEMBER ¥2500 W/F ¥3000 DOOR ¥3500

Info: Contact https://www.contacttokyo.com
東京都渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビル4号館B2F TEL 03-6427-8107
You must be 20 and over with ID.

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11.24(金) 岡山 @YEBISU YA PRO
- Supported by BANANA SKIT -

Guest DJ: Andrés

Support DJ: DJ JUN, TETSUO, TANSHO, Duty.sf, KODAI, DJ YORK (ETERNITY)

BANANA GALS: AIMI, MAIKA, MOMOKA, ASUKA

Open 22:00
ADV 3000yen DOOR 4000yen ※ドリンク代別途要
L-code 61430

Info: Yebisu Ya Pro https://yebisuyapro.jp

岡山市北区中山下1丁目10番30号 福武ジョリービルB2F TEL 086-222-1015

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11.25(土) 小倉 @HIVE
- Wonder X Wonder -

Special Guest: Andrés

Special Unit: DIRTY FINGERS MUSIC MACHINE

Wonder DJ’s: MAMORU (POUR), KENTA (MONTAGE)

Flyer Designed by. 描生 @byouki_artworks.jp

Open 22:00
ADV. 3000yen
With Flyer 3500yen
Door 4000yen

Info: HIVE https://djbarhivekokura.tumblr.com
北九州市小倉北区古船場町2-10 ターウィンビル205

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11.26(日) 大阪 @SOCORE FACTORY
Andrés Japan Tour 2017 in Osaka - AHB Production & HOOFIT present -

Special Guest DJ: Andrés

Guest DJ: DJ TOSHIBO (KOKURA Pro.)

DJs:
KAZIKIYO (HOOFIT/ROOT DOWN)
QUESTA (HOOFIT/BMS)
KJ
MAMORU (ROOT DOWN)

VJ: catchpulse

FOOD & COFFEE: COFFEEBIKE EDENICO, INC & SONS

Open 17:00 - Close 24:00
ADV : 2500yen with 1Drink
ADM : 3000yen with 1Drink

Info: SOCORE FACTORY https://socorefactory.com
大阪市西区南堀江2-13-26 TEL 06-6567-9852

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12.1(金) 金沢 @MANIER
- new town feat Andrés -

GUEST DJ: Andrés

DJ: Yoshimitsu, PPTV, RINA, J-ONE, PANDY

BEAT LIVE: highwest collective

Open 21:00
with Flyer 30000yen (No Drink)
Door 3500yen (No Drink)

Info: MANIER https://www.manier.co.jp
金沢市片町1-6-10 ブラザービル4F TEL 076-263-3913
Mail:manier[@]mairo.com

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12.2(土) 名古屋 @Club Mago
- audi. feat Andrés -

Guest DJ: Andrés
DJ: SONIC WEAPON. JAGUAR P.
LIGHTING: KATOKEN.

Open 21:00
ADV 2500yen
Door 3000yen

Info: Club Mago https://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F TEL 052-243-1818

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Robert Aiki Aubrey Lowe - ele-king

 インテリア・デザイナー/彫刻家であり、音響彫刻作家でもあるハリー・ベルトイア(Harry Bertoia)。彼は1970年代に巨大な金属のオブジェによって生成される「金属の擦れ」の音響/残響による「Sonambient」という音響作品を11作品ほど遺している。近年、そんなベルトイアの音楽/音響の再評価が続く。
 まず昨年、2016年に〈インポータント・レコード(Important Records)〉から10枚組という音響モノリスのようなボックス・セット『Complete Sonambient Collection』がリリースされた。同年、先のボックス・セットを補完するように1971年と1973年に録音された『Clear Sounds/Perfetta』も発売。くわえて2016年には彼の功績をふりかえるエキシヴィジョン「Atmosphere for Enjoyment」もニューヨーク・アートミュージアムで開催されている。さらには2017年にリリースされた坂本龍一のニュー・アルバム『async』においても、ベルトイアの音響彫刻がもちいられるなど多方面から彼の音響空間の現代性が証明されつつある。響きの「現前性」と、マテリアルな「モノ性」と、「非同期の」融解といった点からか。
 デムダイク・ステアが運営するレーベル〈DDS〉からリリースされたロバート・アイキ・オーブリー・ロウ(Robert Aiki Aubrey Lowe)『Levitation Praxis Pt. 4』もまた、そんなハリー・ベルトイアのサウンドを現代に蘇生する試みのひとつだ。『Levitation Praxis Pt. 4』は、さきに書いたエキシヴィジョン「Atmosphere for Enjoyment」にて、ロバート・ロウによるベルトイアの「Sonambient」彫刻を用いておこなわれた「演奏」の記録である。アルバムにはA面とB面で長尺1曲ずつ収録しているのだが、「Sonambient」彫刻とロバート・ロウの特徴的なヴォイス/音響が溶けあい、まさにベルトイアのサウンドを継承するようなサウンドスケープを実現している。マスタリングを手掛けたのは名匠マット・コルトン(Matt Colton)。

 ここでロバート・アイキ・オーブリー・ロウについて述べておきたい。1975年生まれの彼はもともと〈サザン・レコード(Southern Records)〉から2000年代初頭にリリースされていた90デイ・メン(90 Day Men)のベース/ヴォーカルであった。ドゥーム/ストーナー・バンドOMに参加していたことでもしられる(2012年には〈ドラッグ・シティ(Drag City)〉からリリースされたアルバム『Advaitic Songs』に参加し、特徴的なヴォイス/ヴォーカル・スタイルを披露している)。
 電子音響作家としてはライカンズ(Lichens)名義で2005年に〈クランキー(Kranky)〉からアルバム『The Psychic Nature Of Being』を発表。この時点で今に至る電子音とヴォイスによるドローン的サウンドの基本形はすでに完成していた。2007年には同〈クランキー〉からアルバム『Omns』をリリース。00年代後半から10年代初頭にかけては自主レーベルや〈Biesentales Records〉、〈Morc Records〉などからアルバムを発表する。
 一方、ロバート・アイキ・オーブリー・ロウ名義では、2010年に〈スリル・ジョッキー(Thrill Jockey)〉から出たローズ・ラザール(Rose Lazar)との共作『Eclipses』をリリースし、声やドローンの要素を基底にしつつ、リズミックなエクスペリメンタル・テクノを展開。そして2012年には傑作『Timon Irnok Manta』を〈タイプ(Type)〉から発表した。2015年には伝説的なニューエイジ・シンセストとして近年再評価も著しいアリエル・カルマ(Ariel Kalma)との共作『We Know Each Other Somehow』を、〈リヴィング・インターナショナル〉(Rvng Intl.)からリリースし、現行ニューエイジ・リヴァイヴァル・シーンにも接近し話題をよんだ。
 また、2015年にはポスト・クラシカル(現在では映画音楽の大家とでもいうべきか)のヨハン・ヨハンソン(Jóhann Jóhannsson)の『End Of Summer』〈Sonic Pieces〉に Hildur Guðnadóttirと共に参加した。ちなみにヨハンソンが音楽を手掛けたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』にロバート・ロウはヴォイスで参加している。映画を観た方なら、だれもがつよい印象をのこしているはずの、あの音響の「声」だ。そのせいか映画体験後に『Levitation Praxis Pt. 4』を聴くとまるで『メッセージ』のサウンドのような錯覚をおぼえてしまうから不思議である(ちなみに『メッセージ』は、現代的SF映画であるのみならず、優れた「音響映画」でもある)。
 以上、ドゥーム、電子音響、ニューエイジ、ポスト・クラシカルなどジャンルを超えていくロバート・アイキ・オーブリー・ロウのアーティストとしての歩みは、ひとことでは掴みきれない独特の遊動性・浮遊性がある。そこに私などは安住を拒否するボヘミアン的な彷徨性を感じてしまう。なにかひとつのイメージを拒否し続けるような歩み、とでもいうべきか。

 そんなロバート・アイキ・オーブリー・ロウが、本年2017年にリリースしたもうひとつのアルバムが『Two Orb Reel』である。このアルバムもまた同時期にリリースされた『Levitation Praxis Pt. 4』とは異なるサウンドを展開する。『Timon Irnok Manta』的なエクスペリメンタル・テクノの雰囲気を一掃されているし、あえていえばアリエル・カルマとの『We Know Each Other Somehow』の系譜にあるニューエイジ/コスミックなシンセ音楽の系譜にあるアルバムといえるが、瞑想性がもたらすトリッピーな感覚は希薄である。どちらかといえば冷めた作風で彼のシンセストの側面を展開する電子音楽の室内楽・小品集(全14曲にして39分)といった趣なのだ。『Levitation Praxis Pt. 4』がすばらしいのは大前提としてもこれはこれで悪くない。
 オリエンタルにして人工的な旋律が魅力的な1曲め“Yawneb Pt.1”からして奇妙な作品世界にひきこまれる。2曲め“The Crystal World”以降は、飛びはねるようなチープなシンセ・サウンドの短い尺のトラックが展開し、6曲め“The Dead Past”のような心ここにあらずの夢の中の夢のようなシンセ・アンビエントへと至る。B面1曲め“Nabta Playa”以降は、テリー・ライリー的なミニマリズムをシンセ音楽に置きかえたようなトラックが続くのだが、同時にYMO結成直前に発表された『コチンの月』(あのジム・オルークも愛聴盤・名盤に掲げている傑作シンセ・アルバム)の頃の細野晴臣を思わせもする。

 『Levitation Praxis Pt. 4』と『Two Orb Reel』。この二作は、ロバート・アイキ・オーブリー・ロウという才能ゆたかな音楽家が抱えこんでいるふたつの側面(サウンド・アーティストとシンセスト)を満喫できるアルバムである。それは「実験」と「ポップ」の両極が進行している電子音楽/エクスペリメンタル・ミュージックの「現在」を体現してもいるといえよう。

Kaitlyn Aurelia Smith - ele-king

 これは電子音楽で鳴らされる21世紀のフォークロア・ミュージックではないか。このアルバムには、シンセサイザーによる幻想的なトラディショナルなムードが横溢している。見知らぬ地のコドモたちの祝祭の音楽のようでもあるし、16世紀の画家、ヒエロニムス・ボスの絵画のようでもある。

 米国はワシントンの北西部にあるオーカス島出身の電子音楽家ケイトリン・オーレリア・スミスの最新作『ザ・キッド』は、これまでどおり「ブックラ100」(Buchla)などのヴィンデージ・シンセサイザーを駆使したサウンドでありながら、その音楽性はさらに色彩豊かに変貌をとげている。
 2016年にリリースされた前作『イヤーズ』(『EARS』)もエクスペリメンタル・ミュージック/電子音楽の領域で高い評価を獲得したが、本作はそれをもこえる完成度といえよう。マーク・プリチャード(Mark Pritchard)のリミックスやアニマル・コレクティヴ(Animal Collective)との競演でも知られているケイトリンだが、本作においてはより広範囲なリスナーを獲得することになるのではないか。ようするに傑作なのだ。

 アナログな電子楽器によるサウンドスケープはこれまでどおりだが、「声」を多用したポップ・ミュージック的なコンポジションも、さらにさえわたっている。ニューエイジ・リヴァイヴァルと交錯しつつも、独自のファンタジック/オーガニックな電子音楽を展開するのだ。シンセサイザーの魅力が横溢した電子音楽もあれば、アンビエントなサウンドもある。ヴォイスとリズムが絡み合うトラックもある。カラフルでドリーミーな絵画を観ているような電子音楽集なのである。民族音楽的なトライバルなリズムとシンセサイザー・サウンドを融合させ、「OPN以降の現代の音楽」を成立させている点は、ローレル・ヘイロー(Laurel Halo)の新作『ダスト』(『Dust』)にもつうじる。

 オープニングの“アイ・アム・ア・ソート(I Am A Thought)”のスペイシーな電子音楽を経由し、エスニックな旋律のヴォーカル・トラック“アン・インテンション(An Intention)”が始まったとき、これまでの彼女のアルバムとはどこか一線を画すポップネスを感じたものだ。
 さらに3曲め“ア・キッド(A Kid)”のトライバルなリズムは、たんなるポップ・ミュージックには収まらない自由な感性の発露にも思われた。つづく鳥の鳴き声のようなイントロからトラディショナルなヴォーカル・メロディへと移行する“イン・ザ・ワールド(In The World)”をへて、アルバムは中盤から後半にかけて、その世界感は、次第にディープになってくる。別世界へのサイケデリック・トラベルのように。
 ラスト2曲“アイ・ウィル・メイク・ルーム・フォー・ユー(I Will Make Room For You)”と“トゥー・フィール・ユア・ベスト(To Feel Your Best)”において、「声」と「アンビエンス」の交錯は、さらに深遠な領域にいたる。声が電子音の波をよびよせ、電子音が声と身体と世界の深いところで響きあう、とでもいうべきか。感覚的で、オーガニックな電子音の横溢である。しかも、音楽自体にむずしさはない。ジョイフルであり、創意工夫にとんでおり、聴きやすくポップである。

 まさに「ポップさ」と「オーガニックさ」にふりきった本作だが、この変貌には、ケイトリンが2016年にリリースした1970年代から活動する電子音楽家スザンヌ・チアーニ(Suzanne Ciani)とのコラボレーション・アルバム『サナジー』の影響もあるのではないか。

 むろん『ザ・キッド』と、ロングトラックなニューエイジ・電子音アンビエント『サナジー』では音楽性は異なる。しかし、『サナジー』で展開した世界の神羅万象をナチュラルかつオーガニックに受け入れていく姿勢は、『ザ・キッド』(『The Kid』)のオープンな音楽の精神(形式ではない)へと大きなフィードバックを与えているような気がしてならない。この『ザ・キッド』でケイトリンの素晴らしい電子音楽に初めて触れた方は、ぜひともソロ『ユークリッド』(『Euclid』)(2015)、『イヤーズ』だけでなく、『サナジー』も聴いていただきたい。現代的ナチュラル/オーガニックな電子音楽(それはフェイクであってもいい。そもそもわれわれ現代人自体はすでにフェイクなのだから……)が、世代を超えて継承されていくさまが、より深く伝わってくるはずである。

 今、という時代においては、電子音楽もまた「継承」され、「受け継がれていく」フォークロア・ミュージックとしての歴史を積み重ねつつある。本作『ザ・キッド』も、その「継承」の成果ではないか。ジョイフルで、エクスペリメンタルで、伝統的で、ストレンジ。そのうえ不思議とナチュアルで、奇妙にオーガニック。そう、心と体に「効く」電子音楽なのだ。

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