「iLL」と一致するもの

interview with KANDYTOWN (Neetz & KEIJU) - ele-king


KANDYTOWN
LOCAL SERVICE 2

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LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION

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 東京・世田谷を拠点にするヒップホップ・コレクティヴ=KANDYTOWN。グループとしてはメジャーからこれまで2枚のアルバム(2016年『KANDYTOWN』、2019年『ADIVISORY』)をリリースし、さらにほとんどのメンバーがソロ作品をリリースする一方で、音楽のみならずファッションの分野でも様々なブランドとコラボレーションを行なうなど、実に多方面に活躍する彼ら。コロナ禍において、ほぼ全てのアーティストが活動を自粛せざるをえない状況であった2020年、彼らは『Stay Home Edition』と題したシリーズを自らの YouTube チャンネルにて開始して新曲を立て続けに発表し、多くのヒップホップ・ファン、音楽ファンへ勇気と活力を与えた。

 この『Stay Home Edition』で公開された3曲をブラッシュアップし、さらに3つの新曲を加えて2月14日にリリースされたEP「LOCAL SERVICE 2」。タイトルの通り、このEPは2年前の同日にリリースされた「LOCAL SERVICE」の続編であり、この2月14日という日付が KANDYTOWN のメンバーである YUSHI の命日ということを知っているファンも多いだろう。今回のインタヴューでは KANDYTOWN のメイン・プロデューサーである Neetz と昨年、アルバム『T.A.T.O.』にてメジャー・デビューを果たした KEIJU のふたりに参加してもらい、彼らにとって非常に大きな意味を持つ 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」がどのような過程で作られていったのかを訊いてみた。

注:これまで配信のみでリリースされていたEP「LOCAL SERVICE」と「LOCAL SERVICE 2」だが、今年4月に初めてCD化され、2枚組のCD『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』として〈ワーナー〉からリリースされる予定。

スタジオができたタイミングで緊急事態宣言が出て。こういう時期だから音楽を出してステイホームしている人に聴いてもらえたり、少しでも勇気づけられたらっていう感じで。それでみんなで集まって曲を作ったのがまず初めですね。(Neetz)

あの頃は人に全然会っていなかったので。みんなに会って「うわぁ楽しい!」ってなって〔……〕。浮かれちゃう自分に釘を刺すようなリリックをあそこで書いて、自分を引き留めたじゃないけど、いまだけを見て何か言ってもいいことないときもあるし。(KEIJU)

前回インタヴューさせていただいたのがアルバム『ADVISORY』のリリースのタイミングで。その後、コロナで大変なことになってしまったわけですが、やはり KANDYTOWN の活動への影響は大きかったですか?

KEIJU:NIKE AIR MAX 2090 にインスパイアされた楽曲の “PROGRESS” (2020年3月リリース)を作っていたときが、世の中が「やばい、やばい」ってなっていた時期で。自分たちも世間の皆様と同じように困ることもあったんですけど、人数が多いグループなので集まりづらいっていうのがいちばん大きくて。どうしても目立つ集団でもあるので、人目を気にして、外では会えなくなりました。けど、一昨年から、自分たち用のスタジオや事務所を用意するっていう動きをしていたのもあって。ちょうど去年の4月くらいに事務所とスタジオを借りて。それで音楽を作ろうってはじまったのが、今回出た「LOCAL SERVICE 2」にも繋がる『Stay Home Edition』で。

『Stay Home Edition』はどういったアイディアから来たものでしょうか?

Neetz:スタジオができたタイミングで緊急事態宣言が出て。こういう時期だから音楽を出してステイホームしている人に聴いてもらえたり、少しでも勇気づけられたらっていう感じで。それでみんなで集まって曲を作ったのがまず初めですね。

『Stay Home Edition』では結果的に3曲発表しましたが、あの順番で作られたんですか?

Neetz:そうですね。最初が “One More Dance” で、次が “Faithful”、“Dripsoul” という順で。

KEIJU:1ヵ月半とかのうちに全部曲を出し切って、それをEPとして完成させちゃおうって話になっていたところを〈ワーナー〉とも話をして。ちゃんと段取りをして、しっかりやろうっていうふうになったので(『Stay Home Edition』を)一旦止めて。

Neetz:どうせならちゃんとオリジナル・トラックで作って、まとめてEPとしてリリースにしようっていう話になって。

KEIJU:だから、ほんとは8月とかには曲もほぼできている状態だったんですよ。でも、〈ワーナー〉の人にも会えなくて、話し合いができなかったりもして。それにそのタイミングで出してもライヴもできないし。

では、リリースまでのタイミングまでにけっこう温めていた感じなんですね?

Neetz:そうですね。3月から5月にかけてレコーディングを全部終えて、そこから既に出ている3曲のトラックを差し替える作業をやって。ミキシングも自分のなかで時間がかかっちゃって。それで全部が終わったのが9月くらい。それなら「LOCAL SERVICE 2」として2・14に出そうっていうことになって。

いまおっしゃった通り、『Stay Home Edition』と今回のEPでは全く違うトラックになっていますが、『Stay Home Edition』のほうは Neetz くんのトラックだったのですか?

Neetz:ではなかった。だから、どうせなら全部変えてやろうっていう意気込みで俺独自の感じで作ったので、その色が強くなったのかなと思います。

改めて “One More Dance” がどのように作られていったのかを教えてください。

Neetz:IO が最初にオリジナルのトラックを持ってきて、フックを最初に入れて。Gottz と柊平(上杉柊平=Holly Q)がそのとき、スタジオにいたので、IO のフックを聴いて柊平と Gottz がそのフックのコンセプトに当てはめてリリックを書いていった感じですね。

KEIJU:自分が聞いた話では、IO くんと柊平が中目黒に新しい事務所の家具を買いに行った帰りにスタジオに寄って。「このまま曲を作ろうか?」って流れで作ったら Gottz が来て、それで3人で作ってったそうです。

完全にノリで作ったわけですね。

KEIJU:今回の『Stay Home Edition』はいちばん昔のノリに近かったかなってちょっと思ってて。突発的に「会って遊ぼうよ」から、なにかを残そうじゃないけど、ノリで「曲やろう!」ってなってできた感じだった。自分は結構「コロナ大変なことになってるな」と思っていましたし、自分のソロ・アルバムのこともあって、その時期はあんまりみんなに会わないようにしていたんですよ。だから、自分は客観的にみんなの動きを見てたんですけど、さっき LINE が飛び交っていたと思ったら、その5、6時間後には曲ができていたりして。そういうのが、すごく昔の感じだなって思いましたね。

Neetz:そうだね。KEIJU はみんなの動きを客観的に見てた側だったのかもしれない。

そういうこともあって、今回は KEIJU くんの参加曲が1曲なわけですね?

KEIJU:そうですね、参加曲が少ないのはそれが理由っすね。兄に子供ができたりもして、みんなとは会わないほうがいいと思って。

Neetz:KEIJU は KEIJU のスタンスを貫いてましたね。

KEIJU:みんなが新しい事務所に溜まっていて、自分は「いいなぁ、楽しそうだな」って感じで見てて。でもさすがに(EPを)出すっていうから、「参加したいです!」って言って参加させてもらった感じです。

ちなみに最初の3曲には IO くんと Holly Q が3曲とも参加していて、それってなかなか珍しいですよね? 特に IO くんは前回の「LOCAL SERVICE」には1曲も入ってなかったと思いますし。

KEIJU:最初の “One More Dance” を作った流れで自然と、その感じで2、3曲目も動けたんじゃないですかね。コロナのこのタイミングで出そうっていうイメージまでもって。

Neetz:それがみんなにも伝わったのがデカかった。

ちなみに『Stay Home Edition』で “One More Dance” の説明の欄にヘレン・ケラーの言葉が引用されていましたけど、あれは誰が考えたんでしょうか?

Neetz:あれも IO くんのチョイスですね。

曲自体はノリで作られたのかもしれないけど、そういう部分も含めてすごくメッセージ性がある曲だなと思いました。

KEIJU:作る過程で「こういう人に向けて、こういう曲を書いてみよう」みたいな話は若干あったんだと思います。

Neetz:“One More Dance” に関しては統一性がしっかり取れていて。より統一性を出すために、リリックを書き直してもらったりもしました。

たしかに『Stay Home Edition』とEPでは、若干リリックが違いましたよね。

Neetz:曖昧になっている部分を、曖昧にしないで具体的にしようかなって感じで柊平に直してもらって。

KEIJU:Neetz から言ったんだ? 柊平ってけっこう、自分の作ったものに対してのクオリティが保たれているかすごい気にするじゃん。「これで良いのかな?」って訊いてくるもんね。

Neetz:そういう人には言ってあげたほうが良いかなって。

『Stay Home Edition』のコメントを見ると Holly Q 人気が高いというか。あの3曲で改めて彼の評価が上がっていますよね。

KEIJU:“One More Dance” のラップも初めて聴いたとき、1個違うレベルというか、柊平の新しい面が見えたなって。いままでは全部出し切るっていう感じだったけど、ちょっと手前で止めるみたいな歌い方であったり。そういう新しさをすごく感じて。

俳優としてもすごく活躍されていて、テレビドラマとかにも出ていますけど、ちなみにメンバーはどういうふうに見ているんですか?

KEIJU:俺は率直にすごいと思うし、みんなそう思っていると思う。ポッと出ではないですし、19歳とかそのくらいからバイトをしながらモデルをやったり、事務所を変えたりっていう過程を見ているので。ただ、柊平が出ていると客観的に観れなくて、内容が入ってこなくなっちゃう(笑)。だから、あんまりがっつりは観ないんですけど、普通にできないことだなと思います。

Neetz:すごいなと思いますね。

その中で今回みたいにちゃんと曲にも参加しているのが凄いですね。

KEIJU:前回の『ADVISORY』のときも、柊平の撮影が忙しくて1ヵ月間いられなくなるってなって。けど、柊平が「入れないのは嫌だから」って言って、誰もまだリリックを書き出していない頃にひとりで書いて、3、4曲とか録って撮影に行ったんですよ。意欲が本当に凄くて。柊平のあのヴァイブスにみんなも感化されて、負けていられないから、自分もやろうってなったのは感じましたね。

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いつでも俺らは変わらないぜっていうのを示した曲になったと思います。KANDYTOWN のソウルフルで渋い感じの良さとか、昔ながらの感じを受け継いでいる、今回のEPの中でも唯一の曲だと思います。(Neetz)

「こうなりたい」とか「絶対こうあるべき」っていうのが自分たちにはなくて。とにかく自分たちが良いと思ったものとか、それに対する理由とかを、もっと深いところで話し合うことができたらなって思います。(KEIJU)


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EPの後半3曲は完全な新曲となるわけですけど、まず “Sunday Drive” は Ryohu くんがトラックを担当で。以前のインタヴューのときに KANDYTOWN の曲は基本 Neetz くんが作って、さらに Neetz くんが出していない部分を Ryohu くんが埋めるみたいなことは仰ってましたが、今回も同様に?

Neetz:そういう感じで作っていました。このEPの中の俺にはないような曲(“Sunday Drive”)を入れてきてくれたので、すごくバランスが良くなって。結果、Ryohu のビートがスパイスになっていますね。

“Sunday Drive” はおふたりともラップで参加していますが、トラックを聴いてどういう感じでリリックを書いたのでしょうか?

KEIJU:最初はもっとブーンバップというか、ベースが効いてるヒップホップなビートだったけど、最終的には最新っぽさも足されたものが返ってきて。ビートを聴かせてもらったときに、「これだったらいますぐリリックを書こうかな」って。そのとき、一緒にいたっけ?

Neetz:一緒にいたな。

KEIJU:リリックを一緒に書いて、「どうしようか?」ってなって。

Neetz:それで、KEIJU が伝説の2小節を入れて。

KEIJU:伝説の2小節からはじまったけど、タイトルが “Sunday Drive” になって「アレ?」ってなった(笑)。「俺の伝説の2小節は?」って。それでその2小節はやめて、新たにフックを書いて。

Neetz:まとまっていないようでまとまってる。いつもの俺らですね。

(笑)

KEIJU:俺はとにかく、あの頃は人に全然会っていなかったので。みんなに会って「うわぁ楽しい!」ってなって、その思いが全部出ているような恥ずかしい感じのリリックになっちゃって。サビも書いてって言われていたから、メロディーとかも考えながら、「ああじゃない、こうじゃない」を繰り返していて。高揚している自分と地に足付けるバランスの中で、あのリリックとフロウが出てきて。浮かれちゃう自分に釘を刺すようなリリックをあそこで書いて、自分を引き留めたじゃないけど、いまだけを見て何か言ってもいいことないときもあるし。でも、サビはすぐできたよね?

Neetz:そうだね。

KEIJU:4小節自分で書いたものを Dony(Joint)と Neetz、MASATO に歌ってもらって。

Neetz:結果、みんな自分に向かって書くようなリリックになって。

KEIJU:渋い曲になったよね。

ビートへのラップの乗せ方もすごく気持ち良いです。

Neetz:そうですね。EPのなかでいちばんリズミカルな感じになっていて。4曲目でそれが出てくることによって、すごく映えるようになってる。

あと曲の最後のほうに「届けるぜローカルなサービス」ってラインがありますが、この時点でタイトルを「LOCAL SERVICE 2」にするっていうのはあったんですか?

Neetz:まだですね。MASATO がたまたまそのワードを入れて。EPのタイトルは完全に後付けです。

次の “Coming Home” ですけど、これは Gottz&MUD のコンビを指名したんですか?

Neetz:本当は Gottz&MUD のアルバム用に作ったビートで、それに入る感じだったんだけど。コンセプト的にも今回のEPに入れたほうが良いかなってなって。MUD にワンヴァース目をやってもらって、Gottz も書いてくれたけども。(今回のEPに) KEIJU のヴァースが少なすぎるってなって、KEIJU も入れようと思ったけど……。

KEIJU:まあ、そういうことがあったんですけど、良い曲だなって。

あのふたり用に作った曲っていうのは伝わってくるようなトラックですよね。

KEIJU:それに、なんかあのふたりのセットを(ファンが)求めている流れもありますから。そういうこともあって自分は身を引こうと思って。

最後の曲の “Sky” ですが、リリックもトラックも KANDYTOWN そのものを表している感じがしますね。

Neetz:いつでも俺らは変わらないぜっていうのを示した曲になったと思います。KANDYTOWN のソウルフルで渋い感じの良さとか、昔ながらの感じを受け継いでいる、今回のEPの中でも唯一の曲だと思います。

この曲で言っていることがまさにいまの KANDYTOWN のスタンスにも感じますね。

Neetz:そうですね。変わらずあり続けるのもそうだし、この仲間とやっていくことがすごく大事だと思うし。そういうスタンスでこれからもやっていけたらなって思いますね。

ちなみに、客観的に見てどの曲が好きですか?

Neetz:トラック的に上手くできたのは3曲目(“Dripsoul”)。

KEIJU:俺はやっぱ、最初に聴いたときの “One More Dance” のインパクトが強くて。IO くんがああいうメロディーをつけるときのモードがあるじゃない?

Neetz:たしかに、たしかに。

KEIJU:そのメロディーが聴こえたからすごく印象に残っている。

覚悟みたいなものですかね?

KEIJU:そう、覚悟があるなって感じて。あと、好きな曲というと、自分が入っている曲(“Sunday Drive”)は制作現場にいて、みんなの雰囲気とかも含めてすごく良かったと思うし。それに対して自分はスムースで昔っぽさもある感じにできたので、“Sunday Drive” は良いなと思う。サビの掛け合いとかもしばらくはやっていなかったので、「一緒にリリックを書くのも良いよね」って話をしながらやったのも憶えているし、結構楽しかったよね。

Neetz:久々に楽しかった。

久々にみんなが会うというのは、やなり何か違うものがありますか?

KEIJU:それはもう、だいぶ違いましたね。あのときってみんな寂しくてとかじゃないけど、「うわぁ、浮足立つなぁ」って。言わなくてもいいことを言っちゃいそうだなみたいな。しかもそれをリリックに書いちゃいそうなくらい、普段は言わないことを言おうとしちゃう。それが嫌だなって部分もあったんですけど。

Neetz:若干どんよりしたというか。そういう雰囲気だった気もするけど。違う?

KEIJU:それもあったかもね。この先どうなるか分からないし。俺とか本当にコロナを気にしていたので、みんなに「手洗った?」ってすぐ訊くような勢いだったんで。

それだけ人数いれば、人によって考え方も全然違いますしね。

KEIJU:あの活動(『Stay Home Editon』)がはじまったときに、「はじまったそばから、すげぇやってるな?!」とか思いながら。俺は羨ましくもあり、みんなに会いてぇなっていうのもあったし。置いてけぼり感もすごくあった。いま思うとそんなに(以前と)変わりないと思うんだけど、久しぶりに会ったときは違ったね。

KANDYTOWN の次の作品に向けてもすでに始動していると思いますが、現時点でどのような感じになりそうでしょうか?

Neetz:とりあえず、ビート作りははじまっていて。このEPの音作りは俺独自で進めたので、次の作品に関してはもっとみんなの意見を取り入れたものを作れたらいいなと思ってます。あと、「KANDYTOWN に合うサウンドとは?」っていうのをめちゃくちゃ考えていて。「それって何だろう?」って考えてたときに、昔のソウルフルな感じであったり、1枚目(『KANDYTOWN』)の感じの音なのかなって思ったりもするし。まだ答えは分かってないんですけど。

KEIJU:さっきふたりで車の中で話をしていて。もっと幅を広げたり、Neetz の言うように昔のソウルフルなスタイルで続けていくのも良いよねって。やれる範囲で幅を広げていこうって話をしてはいて。ビートのチョイスもいままでやっていなかったこともやってみようって。

Neetz:結果的にそれが KANDYTOWN のサウンドになるので。

KEIJU:そう。自分たちのこれまでの活動の中でも、それまでやらなかったビートをチョイスしてやってきて、それでちょっとずつ進化している。昔、YouTube にもアップした “IT'z REVL” って曲とか、当時は自分たちの中ではすごく新しいチョイスで、新しい感覚だと思ってやってたし。少しずつ、そういう変化を上手く出せていけたらいいなって思う。あと、「こうなりたい」とか「絶対こうあるべき」っていうのが自分たちにはなくて。とにかく自分たちが良いと思ったものとか、それに対する理由とかを、もっと深いところで話し合うことができたらなって思います。そうやって、深い部分で切磋琢磨していけたら、新しいものが生まれるなって思っているので。

メンバー間のコミュニケーションの部分などで何か以前と変化はあったりしますか?

KEIJU:最近はコミュニケーションを高めていて。自分らは最近野球をやっているんですけど。(インタヴューに同行していた)DJの Minnesotah はバスケをやっていて。KANDYTOWN の中でもバスケと野球とサッカーってチームが分かれているんですけど、そういう感じで集まれる時間を増やしていこうよって話をしていて。それが音楽に直結するわけではないですけど、日々の言葉のキャッチボール的なことができればなと思ってて。そうすることで、これからの KANDYTOWN の作品が、もっと密なものになればいいなって思いますね。

KANDYTOWN
2nd EP「LOCAL SERVICE 2」より
“One More Dance” の MUSIC VIDEO 公開

国内屈指のヒップホップクルー KANDYTOWN が本日2月14日配信の 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」より、
先行配信トラック “One More Dance” の MUSIC VIDEO を公開。この映像は前作 “PROGRESS” に引き続き盟友:山田健人が手掛ける。楽曲に参加している IO、Gottz、Holly Q、Neetz に加えクルーから Ryohu、Minnesotah、KEIJU、Dony Joint、Weelow がカメオ出演。

2月14日より配信となった 2nd EP は2020年の4月・5月の Stay Home 期間中に公開された楽曲3曲を再度レコーディングしリアレンジしたものに新曲3曲を収録。楽曲のレコーディングやプロデュースをメンバーの Neetz が担当。海外作家との共作やアレンジャー起用して作られたトラックなど意欲作が並ぶ。

そして、4月21日には、配信リリースされていた2019年2月14日発売の 1st EP「LOCAL SERVICE」と2021年2月14日発売の 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」の両作品を2000枚限定で初CD化し1枚にコンパイル。
DISC 1 の「LOCAL SERVICE」は過去に限定でレコードのリリースはあったがCD化は初となる。

“One More Dance” MUSIC VIDEO
https://youtu.be/iY340Z3BTdA

2nd EP「LOCAL SERVICE 2」& 限定生産2CD EP『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』
https://kandytown.lnk.to/localsevice2

[MJSIC VIDEO CREDIT]
KANDYTOWN LIFE PRESENTS
FROM""LOCAL SERVICE 2""
『One More Dance』

Director : Kento Yamada
Director of Photography : Tomoyuki Kawakami
Camera Assistant : Kohei Shimazu
Steadicam Operator : Takuma Iwata

Lighting Director : Takuma Saeki
Light Assistant : Hajime Ogura

Production Design : Chihiro Matsumoto

Animal Production : SHONAN-ANIMAL

Editor & Title Design : Monaco

Colorlist : Masahiro Ishiyama

Producer : Taro Mikami, Keisuke Homan
Production Manager : Miki SaKurai、Rei Sakai、Shosuke Mori
Production Support: Wataru Watanabe, Yohei Fujii

Production: CEKAI / OVERA

STARRING
IO
Gottz
Holly Q

Ryohu
Minnesotah
KEIJU
Dony Joint
Neetz
Weelow
Kaz

[KANDYTOWN 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」作品情報]
title:「LOCAL SERVICE 2」
release date:2021.02.14
price:¥1,400 (without tax)

track list
1. Faithful (Lyric:IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN Music : Neetz)
2. One More Dance (Lyric:IO, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
3. Dripsoul (Lyric :IO, Ryohu, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric : Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO Music : Ryohu)
5. Coming Home (Lyric : MUD, Gottz Music : Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Sterling Sound 
Sound Produce: Neetz (M-1,2,3,5,6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

[限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」作品情報]
title:「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」
release date:2021.04.21
price:¥2,500 (without tax)

track list (DISC1)

「LOCAL SERVICE」
1. Prove (Lyric: Gottz, KEIJU, MUD Music: Neetz)
2. Till I Die (Lyric: Ryohu, MASATO, BSC Music: Neetz)
3. Explore (Lyric: Gottz, MUD, Holly Q Music: Neetz)
4. Regency (Lyric: MASATO, Ryohu, KIKUMARU Music: Neetz)
5. Fluxus (Lyric: Neetz, DIAN, Dony Joint Music: Neetz)
6. Kapital (Lyric: BSC, KIKUMARU, Dony Joint, DIAN, Ryohu Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi at RDS Toritsudai
Masterd by Rick Essig at REM Sound
Sound Produce: Neetz
Additional Arrange: KEM
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

track list (DISC2)
「LOCAL SERVICE 2」
1. Faithful (Lyric:IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN Music : Neetz)
2. One More Dance (Lyric:IO, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
3. Dripsoul (Lyric :IO, Ryohu, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric : Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO Music : Ryohu)
5. Coming Home (Lyric : MUD, Gottz Music : Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Stearing Sound
Sound Produce: Neetz (M-1,2,3,5,6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

 UKのレーベル、〈BBE〉がプロデューサー/DJを主役にして立ち上げたアルバム・シリーズ「The Beat Generation」。Madlib による『WLIB AM: King Of The Wigflip』まで通算11作がリリースされたこの人気シリーズの第一弾を飾ったのが、2001年に Jay Dee aka J Dilla 名義で発表された『Welcome 2 Detroit』であり、数々のヒップホップ・クラシックを残してきた故 J Dilla にとって初のソロ・アルバムとなった作品だ。そんな歴史的アルバムである『Welcome 2 Detroit』の20周年を祝ってリリースされたのが、本作『Welcome 2 Detroit - The 20th Anniversary Edition』である。

 90年代半ばから2000年前後にかけて Jay Dee 時代の彼は実に様々なプロジェクトに参加していた。Pharcyde や De La Soul など様々なアーティストのプロデュースを手がけ、その後、Q-Tip、Ali Shaheed と結成したプロダクション・チーム「The Ummah」や、The Roots の Questlove を中心としたヒップホップ/ソウル・コレクティヴ「Soulquarians」の一員としても活動。さらに自らのグループである Slum Village としてもアルバムをリリースしている。そんな多忙な状況の中、〈BBE〉の指名を受けて制作したのがこの『Welcome 2 Detroit』だ。タイトルが示している通り、彼の地元であるデトロイトのヒップホップ・シーンおよびデトロイト・サウンドのショウケースであり、J Dilla 自身のルーツを辿る作品でもある。


J-Dilla exclusive pictures by Paul Hampartsoumian

 Slum Village ではプロデューサー兼MCとして活動していた J Dilla だが、本作では自身のラップに加えて仲間であるデトロイトのラッパーを多数フィーチャー。J Dilla の脱退と同タイミングで Slum Village のメンバーとなる Elzhi など、世間的にはまだまだ知名度の低かった彼らの存在をヒップホップ・シーンに知らしめた。バウンシーなトラックに乗った Frank-N-Dank によるデトロイト賛歌 “Pause” や、シンプルなビートの質感が最高に気持ち良い “It's Like That” での Hodge Podge (Big Tone)と Lacks (のちの Ta'Raah)によるマイクリレーなど、J Dilla とデトロイトMCたちとの相性の良さは本当に素晴らしく、様々なタイプのトラックとラップの掛け算を堪能できる。タイトル通り Phat Kat の紹介曲である “Feat. Phat Kat” の印象的なサンプル・フレーズは、のちに Q-Tip が “Renaissance Rap” で再利用したり、本作にも参加している Karriem Riggins が自らの曲 “J Dilla the Greatest” で引用するなど、このアルバムの裏クラシック的な一曲と言えよう。

 本作には非ラップ曲やインスト曲もいくつか含まれており、それらが前述した「J Dilla 自身のルーツを辿る」曲だ。中でも至極の一曲と言えるのが、Donald Byrd の同名曲をカヴァーした “Think Twice” だろう。幼い頃からジャズを聞いて育ったという J Dilla だが、ここでは Mizell ブラザーズがプロデュースしたダンサブルなジャズ・チューンの原曲をジャズ+R&Bのテイストでアレンジし、ヴォーカルも自ら担当している。驚くのは、この曲がほぼ生楽器による演奏でレコーディングされているということだ。キーボードとトランペットを担当した Dwele と共に、この曲で J Dilla はドラム、ベース、ピアノ、パーカッションなどを演奏している。サンプリングの達人というイメージの強い J Dilla が、一方で楽器も使って曲作りをしていたことはいまでは広く知られているが、おそらく本作でもサンプリングに生楽器を重ねる手法が多数用いられている。そういった手法でトラックを作っていたヒップホップ・プロデューサーは、このアルバムがリリースされた2001年の時点では非常に稀だったはずで、そういう意味で本作は非常に前衛的な作品であった。『The 20th Anniversary Edition』収録の “Think Twice (DJ Muro’s KG Mix)” は、そんな J Dilla に対するリスペクト溢れるリミックスで、聞き手の心に深く染み込んでくる素晴らしい仕上がりだ。

 “Brazilian Groove (EWF)”も同様に生楽器を主体に作られているが、タイトルが示す通り Earth, Wind & Fire からインスパイアされ、名曲 “Brazilian Rhyme” のコーラスが引用されている。これは、J Dilla のルーツのひとつに70年代のソウル/R&Bがあることの証だ。そして、生楽器の使用と言う意味ではジャズボッサ曲 “Rico Suave Bossa Nova” も “Think Twice” と並ぶ最重要曲のひとつ。この曲は一部、既存の曲からフレーズの引用はあるものの、ほぼ J Dilla のオリジナル曲と言って差し支えないだろう。Pharcyde “Runnnin'” を筆頭に、早くからブラジル音楽をサンプリング・ネタとして取り入れてきたことでも知られる J Dilla であるが、自らの演奏でこれほど完成度の高い曲を作り上げることには恐れ入る。さらに、今回の『The 20th Anniversary Edition』には、ブラジル音楽の本家 Azymuth によるこの曲のカヴァーが収録されており、ブラジル音楽とヒップホップを強く結びつける非常に意義深い一曲だ。ちなみにこのカヴァー・ヴァージョンには、ドキュメンタリー映画『Brasilintime』を手がけたフォトグラファーの B+ と Eric Coleman がプロデューサーとしてクレジットされており、彼らがカヴァーを企画したと思われる。

 もうひとつ、最後に取り上げたいのが、Kraftwerk “Trans Europe Express” の J Dilla 流カヴァーとも言える “B.B.E. (Big Booty Express)” で、様々なシンセサイザーの電子音が飛び交う曲調は本作の中でも非常に異色である。ここで表現されているのはデトロイト・テクノからの影響だ。タイトルはストリップ・クラブの常連であった J Dilla らしいノリで付けられているが、遅めのBPMで、デトロイト・テクノにヒップホップのフレイヴァを加えたハイブリッドな仕上がりは実に中毒性が高い。非常に特殊な一曲ではあるものの、これもまたこの時代の J Dilla だからこそ作り上げることのできた一曲だろう。

 J Dilla は本作がリリースされた5年後に亡くなっている。その後も『Donuts』をはじめ様々な作品がリリースされているが、本作のように様々な要素が入り混じった作品はひとつも作られていない。もし、いまも彼が生きていて『Welcome 2 Detroit』の第二弾を作ったらどんな作品になっていただろうか? そんなことを想像しながら、この『The 20th Anniversary Edition』をさらに聴き込んでみたい。

文:大前至

アーティスト名: J DILLA
タイトル: WELCOME 2 DETROIT - THE 20TH ANNIVERSARY EDITION [7INCH × 12枚組 BOXSET]

バスタ・ライムスが名付けたという J・ディラ名義でリリースされた本作、彼の出身地デトロイトをリプリゼントすべくゲスト・ラッパー陣は全て地元のアーティストで固めており、フランクンダンクからエルジー、ファット・キャットが参加し、J・ディラがデトロイトで聴いて育ったクラフトワーク、アフリカン、ジャズ・ファンク/ボサノヴァ、そしてもちろんブーム・バップに至るあらゆる音楽をディラ流に仕上げたクラシックがズラリ……! 全てデジタル・リマスタリングを施し、さらにこのアルバムのセッション中にJ・ディラのプライベート・テープに残された未発表音源やアウト・テイクを追加収録、そして日本が誇るキング・オブ・ディギン、Muro による “Think Twice” のリミックス、クラシック “Rico Suave Bossa Nova” のアジムスによるカヴァーなどを収めた全46曲の脅威のヴォリュームで送るボックスセット! アンプ・フィドラーやマ・デュークスなど参加アーティストのインタビューなどを収録したブックレット(英語)も付属。

label: BBE
genre: HIPHOP
format: 7INCH × 12枚組 BOXSET
cat no.: BBEBG001SLP
barcode: 0195497389094
発売日: 2021.2.5
税抜卸価格: (オープン価格)

Tracklist:

Disc 01
A1. Y’all Ain’t Ready
A2. Think Twice (faded)
B1. Y’all Ain’t Ready (Instrumental)
B2. Think Twice (Instrumental ? faded)

Disc 02
C1. The Clapper feat. Blu
C2. Shake It Down
D1. The Clapper (Instrumental)
D2. Shake It Down (Instrumental)

Disc 03
E1. Come Get It feat. Elzhi (edit)
F1. Come Get It (Instrumental ? edit)

Disc 04
G1. Pause feat Frank ‘n’ Dank
G2. B.B.E. ? Big Booty Express
H1. Pause (Instrumental)
H2. B.B.E. ? Big Booty Express (Instrumental)

Disc 05
I1. Beej-N-Dem Pt.2 feat. Beej
J1. Beej-N-Dem Pt.2 (Instrumental)

Disc 06
K1. Brazilian Groove
K2. It’s Like That (Edit) feat. Hodge Podge, Lacks
L1. Brazilian Groove EWF (Instrumental)
L2. It’s Like That (Instrumental)

Disc 07
M1. Give It Up
N1. Give It Up (Instrumental)

Disc 08
O1. Rico Suave Bossa Nova
P1. Azymuth ? Rico Suave Bossa Nova (Vinyl Edit) ? Azymuth

Disc 09
Q1. Feat. Phat Kat
R1. Feat. Phat Kat (Instrumental)

Disc 10
S1. African Rhythms
S2. One
T1. African Rhythms (Instrumental)
T2. One (Instrumental)

Disc 11
U1. It’s Like That (Alternate Version)
U2. Beej-N-Dem (og) feat. Beej

Disc 12
V1. African Rhythms (No Drums)
V2. Brazilian Groove EWF (No Drums, No Vocal)
V3. Give It Up (Acapella)
W1. Think Twice (DJ Muro’s KG Mix)
X1. Think Twice (DJ Muro’s KG Mix Instrumental)

ECD - ele-king

 去る1月24日は、故ECDの3度目の命日だった。そのタイミングに合わせ、“ECDのジャスト ア フレンド” のMVが公開されている。2014年の『FJCD-015』に収録されていた曲で、リリース当時からMVの制作も進んでいたそうなのだけれど、諸事情により頓挫してしまっていたらしい。それがこのたび、7年越しに完成したという次第。

 なお、同時に他の3本のMVもあらためて公開されているので、そちらもチェックを。
 ECD WAS HERE.

故ECDが2014年に発表したアルバム『FJCD-015』収録の “ECDのジャスト ア フレンド” のミュージック・ビデオが3回目の命日に合わせて公開。同時に“憧れのニューエラ” 等、3つの映像作品も再公開。

 2018年1月24日に亡くなった故ECDが2014年に発表した通算16枚目となるアルバム『FJCD-015』に収録されている “ECDのジャスト ア フレンド” のミュージック・ビデオが、3回目の命日に合わせて公開。ECD自身とECD作品を多く手掛けている佐々木堅人氏と坂脇慶氏が中心となりリリース当時に撮影・制作を進めていたものの、諸般の事情により頓挫していたミュージック・ビデオが7年越しで完成し、公開する運びとなりました。さらに今回のために Illicit Tsuboi 氏が再ミックスとアレンジを加えてくださいました。
 合わせて YouTube の不具合により削除されていた “憧れのニューエラ” (『The Bridge - 明日に架ける橋』収録)、“LINK” (『Three wise monkey』収録)のミュージック・ビデオと “Lucky Man” (『Three wise monkey』収録)のリリック・ビデオを YouTube にて再度公開いたしました。

*ECD “ECD のジャスト ア フレンド” (Official Video)

https://youtu.be/iQVtst1jMRU

*ECD “憧れのニューエラ” (Official Video)

https://youtu.be/Zjx53fR3q58

*ECD “LINK” (Official Video)

https://youtu.be/XCo0uley_eE

*ECD “Lucky Man” (Lyric Video)

https://youtu.be/IB1TeX-F_wo

[作品情報]

アーティスト: ECD
タイトル: FJCD-015
レーベル: FINAL JUNKY / P-VINE, Inc.
発売日: 2014年6月4日
品番: FJCD-015
仕様: CD / デジタル
税抜販売価格: 2,500円

Minmoa - ele-king

 いつまでも聴いていたい魅力的な歌声に、なんとも繊細なバンド・アンサンブル──なるほど、結成から5年かけてつくりこんだという話も納得だ。ひとつひとつの音が丁寧に絡み合っている。おいしいはなしの今野嵩朗を中心に結成されたフォーク・ロック・バンド、ミンモアのファースト・アルバム『帰郷の日』が2月3日にリリースされている。どこか懐かしいのに現代的、寂しげなのになぜかあたたかい、絶妙なニュアンスが表現されています。ぜひチェックを。

微睡みを誘う柔らかな歌声にそこはかとなく漂う寂寥感……、ソフト~フォークロックからの源流を現代的なサウンドへと昇華した至高の音世界~ミンモア『帰郷の日』本日発売&MV解禁!

微睡みを誘うような柔らかなサウンドでありながらどことなく漂う寂寥感、そして独創的な世界観を “うた” で表現する女性ヴォーカルで東京インディー・シーン唯一無二の存在感を示すミンモア。Salt Water Taffy や Eternity’s Children、Millennium、さらには Fairport Convention や Virgin Insanity といったソフト&フォークロックからの源流を現代的に解釈したサウンドで高い評価を受けていた彼らが、結成から5年の月日をかけて作り込んだ待望の1stアルバム『帰郷の日』がいよいよ本日発売&収録曲 “深夜の定期便” MV解禁! ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザー、フルート、キーボードといった多様な編成による印象的なアンサンブルとレイドバックしたフィーリングによるソフトなサイケデリック感は、半世紀という長い年月をかけて紡がれてきたまさに至高の音世界です!

・ミンモア「深夜の定期便」(Official Music Video)
https://youtu.be/bt-cvdCtKps

推薦コメント(五十音順・敬称略)

●岡村詩野(音楽評論家/TURN編集長)

「ニッポン・フォークロア」そんな名前をつけたくなる作品だ。
ブラジルはミナスの音楽や、アパラチアン・フォークへのアプローチを感じさせつつも、どうしようもなく日本の情緒が言葉とメロディに刻まれていて胸が甘やかに締め付けられる。
あの頃の風景と、これからの生活とを繋ぐ魔法の扉のような、柔らかで穏やかだけど意志の強い歌。
リーダーのコンノくんとは「おいしいはなし」の頃からのつきあいで、その頃からちょっとヘンテコな曲を作るソングライターだなと思っていたけれど、今はこんなにも地に足のついたヒューマンなコンポーザーだ。
どの曲も素敵だけど、私は「帰郷の日」が特に好き。旋律もハーモニーもアレンジもパーフェクトです。

●柴崎祐二(音楽ディレクター/評論家)

前バンド〈おいしいはなし〉の頃から、リーダーの今野くんは常になにか胸中に思いを秘めたところのある人だと思っていた。
やりたいことをやりながらも、同時に本当にやりたいことを探している、そんな佇まい。
ミンモアという新しいバンドを始動させたという便りを聴いて以来、その「やりたいこと」をどのように熟成させていくのかを密かに期待していたのだけど、このアルバムはその期待に応えてくれる、というかそれ以上の成果を聴かせてくれる。

バンドという形態をもってこういう繊細なニュアンスに富んだ音楽をやること。「ひとり」で音楽をつくることが常態化してしまった今、それはかなり難しい道であると想像する。けれど、ここに結実した音楽は、いかにも軽やかで、センスフルだ。

豊かな余白が全体を包み、さまざまなコミュニケーションの色彩が織り込まれてもいる。
彼らも私も、長らくインディー・ポップに執心してきた同志であるという気持ちを再確認させる、みずみずしい「懐かしさ」。経年とともに新たに生成する、音楽の芳醇。
今、こういう音楽があってくれることが、とてもありがたい。

やりたいことを焼き付けながらも、その余白でやりたいことを更に想像させる音楽。
思えば、私はそういう健やかな野心が秘められた音楽をずっと聴いてきたし、これからも聴き続けるだろう。

●元山ツトム(ペダルスティール奏者、ゑでぃまぁこん)

待望のミンモアのフルアルバム。素晴らしいですね。抜けるようなフルートやグロッケン、巧みに構築されたコーラス。
この大きな作業をやり遂げた後のライブを早く見てみたいと思いました。きっと素敵に違いないことでしょう。
ボーカルのサエコさん、ちょっとやそっとじゃ動じない佇まいで、なにやら元々ハードコアな界隈に出入りしてたそう。
ガンガンにディストーションだった人達が作るソフトなロックってやっぱりちょっと違いますよ。
僕や僕の周りも割とそんな感じなのでまた一人仲間が増えたみたいで頼もしくもあります。
そしてお坊さんでもありサッカー選手でもあると聞いた。もう逆らえないですよ。笑

[アルバム情報]
アーティスト:ミンモア
タイトル:帰郷の日
レーベル:P-VINE
品番:PCD-25316
定価:¥2,500+税
発売日:2021年2月3日(水)

試聴/購入 https://smarturl.it/minmoa_kikyoNoHi

《収録曲》
1. 誰かが私を通り抜けた
2. 帰郷の日
3. 音信
4. 深夜の定期便
5. オオカミ
6. あこがれ
7. 草原

Minmoa(ミンモア)
2016年、ギターの今野嵩朗を中心に結成されたソフトサイケ~フォークロックバンド。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザー、フルート、キーボードといった多様な編成で都内を中心に精力的なライヴ活動を行い2018年にはゑでぃまぁこんの元山ツトムがマスタリングを手掛けた1st EP「Minmoa」を発表、60年代ソフト〜フォークロックを多彩なアンサンブルで現代的なサウンドへと昇華したスタイルで東京インディー・シーンにおいて唯一無二な存在感を示す。2021年2月に待望の1stフルアルバム『帰郷の日』を発売。

今野嵩朗(Guitar) / 沙恵子(Vocal, Synthesizer) / 古見千桜子(Drum,Chorus)

-Mimoa Official-
https://minmoaband.tumblr.com
https://twitter.com/minmoaband

The KLF - ele-king

 1990年2月5日にリリースされたザ・KLFの『Chill Out』は2021年2月4日に再編集されてリリースされた。そのタイトルは『Come Down Dawn』。
 言うまでもなく、ザ・KLFの『Chill Out』は歴史的なアルバムで、おそらく彼らの最高傑作。この“アンビエント作品”は、レイヴ・カルチャーの豊かさを補完する音楽だったが、と同時にサンプリング・ミュージックとしてのアンビエントの最初で最良の成果でもあった。もとよりザ・KLFは、アバからビートルズまで、他からのど派手な盗用(サンプリング)によって作品を作っていたが、『Chill Out』においても手法は同じだった。フリートウッド・マックの“アルバトロス”をこのアルバムで知った人間だって少なくない。しかしながら、今回の『Come Down Dawn』には、オリジナルにあったエルヴィス・プレスリーのサンプリングは削除されている。また、ほかにも修正点があるそうだ。以下は彼らのサイトからの転載。

「『Come Down Dawn』は2021年2月4日にリリースされた。『Come Down Dawn』はザ・ジャスティファイド・エンチェント・オブ・ムー・ムーによってドライヴされた。ドライヴは彼らをニューヨークのブルックリンにあるウェイド牧師の幕屋からメキシコシティ近郊のメソアメリカのピラミッドまで連れていった。ドライヴは43時間以上かかった。ドライヴは1990年2月4日の日曜日の夜明けのはじまりとともに終わった。ザ・ジャスティファイド・エンチェント・オブ・ムー・ムーによる『Come Down Dawn』は、1990年2月5日にリリースされたザ・KLFの『Chill Out』のプレ・ミックスでもある。『Come Down Dawn』は『Chill Out』から31年後の前日にリリースされた。すべての曲は1989年後半の、ザ・ジャスティファイド・エンチェント・オブ・ムー・ムーのトランセトラルにおけるライヴを録音したもの。ゲストとして、ペダル・スチール・ギターのEvil Graham Lee、喉歌には無名の犬羊飼い、スピリチュアル・ガイダンスとしてDoctor Wadeが参加している」

 というわけで、週末はCHILL OUT OR DIE!ですな。

Peel Dream Magazine - ele-king

 ニューヨークを拠点とするシューゲイズ/ドリーム・ポップ・バンドのピール・ドリーム・マガジンが2020年にリリースしたセカンド・アルバム『Agitprop Alterma』は、この時代のモダン・シューゲイズ・バンドらしく、ステレオラブなどの90年代的なインディ・ロック・サウンドを基底に、クラウトロックから60年代中期的なサイケデリック・ロックまでを臆することなく展開した見事なアルバムだった。リリースが米国インディ・レーベルの名門〈Slumberland Records〉ということも興味深い。

 ピール・ドリーム・マガジンは、ジョー・スティーヴンスのプロジェクトとしてスタートし、2018年にファースト・アルバム『Modern Meta Physic』を〈Slumberland Records〉からリリースした。この時点ですでにヴェルヴェッツ・チルドレン的な90年代リヴァイヴァルとでもいうべきインディ・ロックなのだが、そこには「60年代のリヴァイヴァルである90年代のインディ・ロックを10年代後半視点で再構成する」というような捻じれた感覚(つまりアルバム名にあるようなメタ)がある。おそらくいまの時代に90年代インディへの憧憬を示すということに批評性があるのではないか。
 それから2年を経てリリースされたセカンド・アルバムが『Agitprop Alterna』だ。ファーストの『Modern Meta Physic』ではジョー・スティーブンスの個人プロジェクトだったピール・ドリーム・マガジンだが、『Agitprop Alterna』ではよりバンド的な佇まいへと変化した。つまり参加したミュージシャンの存在感が重要になっているのである(メンバーの集合写真だったアーティスト写真にも表れている)。特にヴォーカルの Jo-Anne Hyun はツイン・ヴォーカルの重要な要である。彼女の声が重なることであのステレオラブを思わせるアンサンブルが生まれているのだから。さらにドラムスのブライアン・アルヴァレス(Brian Alvarez)とケリー・ウィンリック(Kelly Winrich)も、ときにクラウトロック的な曲も展開するピール・ドリーム・マガジンにおいて、その柱ともいえる重要なビートを鳴らしている。とうぜんジョー・スティーヴンスも、ギター、ヴォーカル、オルガン、ドラムマシンと曲・サウンド作りの中心として活躍だ。
 そんな新生ピール・ドリーム・マガジンが放つ『Agitprop Alterna』だが、なかでも1曲目 “Pill”、3曲目 “It's My Body”、9曲目 “The Bertolt Brecht Society”、11曲目 “Do It” などは格別の名曲だ。ツイン・ヴォーカルの妙、アナログ・シンセの音色、オルガン的な音色のドローン・バッキング、60年代サイケ・ロック的なサウンドなど『Emperor Tomato Ketchup』期のステレオラブやオリヴィア・トレマー・コントロールなどの90年代中期の米国インディ・レーベル〈エレファント6〉勢を思わせるエクスペリメンタル・ポップなバンド・サウンドを存分に展開していたのだ。

 そして『Agitprop Alterna』後にリリースされた「Moral Panics」にはさらに驚かされた。「Moral Panics」は2曲を追加したヴァイナル・エディションが2021年にリリースされているので、まさに今年の新譜でもある。
 「Moral Panics」は、特に1曲目 “New Culture” に打ち抜かれてしまった。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの “You Made Me Realise ”、もしくは『Isn't Anything』を思わせるシンプルにしてソリッド、かつ浮遊感のあるシューゲイズ的なサウンドなのだ。もしくはロケットシップが1996年にリリースした『A Certain Smile, A Certain Sadness』収録の “I Love You Like The Way That I Used To Do” が2020年初頭に転生したらこうなるのではないかと思わせるタイニー・シューゲイズ・サウンドだったとでもいうべきか。つまりこの曲には初期マイブラへのオマージュとして90年代のロケットシップ、00年代のザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートを継承する意志を感じてしまったのだ。むろん『A Certain Smile, A Certain Sadness』も『The Pains Of Being Pure At Heart』も、〈Slumberland Records〉からリリースされたアルバムなので、90年代以降のインディ・ロックの系譜を強く感じてしまうのは当然だろう。
 続く2曲目 “Verfremdungseffekt” はミニマル・シンプルな曲と演奏はどこかヴァセリンズを思わせる。そして3曲目 “Dialectrics” に至ってはジャングリーなステレオラブかといった趣の曲調で堪らない。ヴェルヴェッツ・チルドレン的な曲・演奏に90年代インディ・ロックへの憧憬すら感じる5曲目 “Life at the Movies” もいうまでもなく最高だ。さらにはコーネリアスの “Tone Twilight Zone” や “Blazil” をほんの少しだけ思わせる7曲目 “The Furthest Nearby Place” もチル&アンビエントなモンド・トラックで実に心地よい。

 サウンドの「凝り方」としてはアルバム『Agitprop Alterna』は実に作り込まれている。まさにモダン・インディな音だ。対して『Moral Panics』はサウンドや演奏の「風通しの良さ」「自由さ」「曲のよさ」という意味で群を抜いた魅力を放っている。また80年代~90年代以降のインディ・ロックとの継承を意識しているようにも思えた。要するに二作ともに2020年から2021年のインディペンデントなロック/ポップのありようを実にヴィヴィッドに聴かせてくれるアルバムなのだ。
 つまり二作、甲乙つけがたい。2021年には二作をまとめたデラックス・エディションも配信されている。まさに必聴の作品である。

KANDYTOWN - ele-king

 2019年、クルーとしてのセカンド『ADVISORY』を発表し、新たな一歩を踏み出した KANDYTOWN。来る2月14日、新作EP「LOCAL SERVICE 2」がリリースされる。
 これは、2019年2月に発売されたEP「LOCAL SERVICE」にはじまるシリーズの続編で、昨年の非常事態宣言の時期に公開されたものを再レコーディングした曲と、新曲3曲が収録される。おもなプロデュースを担当したのは Neetz。
 また、4月にはその両作をカップリングしたCD『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』もリリースされる。
 どこまでも走りつづける KANDYTOWN、2021年もかっ飛ばしてくれそうだ。

KANDYTOWN
2nd EP「LOCAL SERVICE 2」を2月14日にリリース決定。
本日24時より “One More Dance” 先行配信!
更に4月21日には「LOCAL SERVICE」シリーズ2タイトルを初CD化した
限定生産 2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」を発売。

国内屈指のヒップホップクルー KANDYTOWN が2月14日に 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」をリリースすることが発表となった。本日24時より “One More Dance” の先行配信がスタート。この楽曲は Neetz が手掛けたトラックに IO、Gottz、Holly Q が参加した楽曲。更に Official YouTube Channel には Neetz による収録曲をMIXした「SPOT LOCAL SERVICE 2」が公開されている。

この作品は2020年の4月・5月の Stay Home 期間中に公開された楽曲3曲を再度レコーディングしリアレンジしたものに新曲3曲を収録。楽曲のレコーディングやプロデュースをメンバーの Neetz が担当。海外作家との共作やアレンジャー起用して作られたトラックなど意欲作が並ぶ。

そして、4月21日には、配信リリースされていた2019年2月14日発売の 1st EP「LOCAL SERVICE」と2021年2月14日発売の 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」の両作品を2000枚限定で初CD化し1枚にコンパイル。
DISC 1 の「LOCAL SERVICE」は過去に限定でレコードのリリースはあったがCD化は初となる。

●2nd EP「SPOT LOCAL SERVICE 2」YouTube URL
https://youtu.be/MfKYBFHFR34

●2nd EP「LOCAL SERVICE 2」&限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」購入URL
https://kandytown.lnk.to/localsevice2

●KANDYTOWN 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」作品情報
title:LOCAL SERVICE 2
release date:2021.02.14
price:¥1,400(without tax)
track list
1. Faithful (Lyric: IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN, Music: Neetz)
2. One More Dance (Lyric: IO, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
3. Dripsoul (Lyric: IO, Ryohu, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric: Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO, Music: Ryohu)
5. Coming Home (Lyric: MUD, Gottz, Music: Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN, Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Stearing Sound 
Sound Produce: Neetz (M-1, 2, 3, 5, 6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

●限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」作品情報
title:LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION
release date:2021.04.21
price:¥2,500(without tax)

track list (DISC1)
「LOCAL SERVICE」
1. Prove (Lyric: Gottz, KEIJU, MUD, Music: Neetz)
2. Till I Die (Lyric: Ryohu, MASATO, BSC, Music: Neetz)
3. Explore (Lyric: Gottz, MUD, Holly Q, Music: Neetz)
4. Regency (Lyric: MASATO, Ryohu, KIKUMARU, Music: Neetz)
5. Fluxus (Lyric: Neetz, DIAN, Dony Joint, Music: Neetz)
6. Kapital (Lyric: BSC, KIKUMARU, Dony Joint, DIAN, Ryohu, Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi at RDS Toritsudai
Masterd by Rick Essig at REM Sound
Sound Produce: Neetz
Additional Arrange: KEM
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

track list (DISC2)
「LOCAL SERVICE 2」
1. Faithful (Lyric: IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN, Music: Neetz)
2. One More Dance (Lyric: IO, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
3. Dripsoul (Lyric: IO, Ryohu, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric: Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO, Music: Ryohu)
5. Coming Home (Lyric: MUD, Gottz, Music: Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN, Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Stearing Sound
Sound Produce: Neetz (M-1, 2, 3, 5, 6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

●KANDYTOWN PROFILE
東京出身のヒップホップ・クルー。
2014年 free mixtape 『KOLD TAPE』
2015年 street album 『BLAKK MOTEL』『Kruise』
2016年 major 1st full album 『KANDYTOWN』
2017年 digital single 『Few Colors』
2018年 digital single 『1TIME4EVER』
2019年 e.p. 『LOCAL SERVICE』, major 2nd full album『ADVISORY』
2020年 Digital single 『PROGRESS』
2021年 2nd EP『LOCAL SERVICE 2』, 2CD EP『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』

ZULI - ele-king

 高い評価を受けたファースト『Terminal』から2年強。近年台頭する新世代のなかでも飛びぬけている感のあるエレクトロニック・プロデューサー、カイロを拠点に活動するズリがフロア・オリエンテッドな新作12インチ「All Caps」を3月12日にリリースする。
 なぜこのタイミングでダンスものを? じつはこれには経緯がありまして……もともとはアルバムの数ヶ月後に発売予定だったそうなのだけれど、なんと機材が盗まれてしまい、録音もおじゃんに。かくして新たにつくりなおされたのがこのEPというわけ。ジャングルやフットワーク、グライムなどから影響を受けた6曲が収録されるそう(“Penicillin Duck” のみ、失われたデータから生き残ったトラックとのこと)。
 レーベルはリー・ギャンブルの〈UIQ〉、マスタリングはラシャド・ベッカー。今年の重要なシングルになりそうな予感。

ZULI
ALL CAPS

Format: 12” / Digital
Label: UIQ
Cat. No: UIQ0012
Release Date: March 12th, 2021
A1 / 01. Tany
A2 / 02. Bassous
A3 / 03. Where Do You Go
B1 / 04. Penicillin Duck
B2 / 05. Keen Demag
B3 / 06. Bro! (Love it)S

MULBE - ele-king

 バトルMCとして様々な大会で結果を残しながら、D.D.S とのラップ・デュオ、N.E.N としてもアルバムをリリースするなどアンダーグランド・シーンでその存在感を示してきたMULBE。一昨年(2019年)には NITRO MICROPHONE UNDERGROUND の MACKA-CHI がエグゼクティヴ・プロデューサーを務めるミックスCD『MOVE』にてソロ・デビューを果たし、そして、ついにリリースした 1st ソロ・アルバムが本作『FAST&SLOW』というわけだ。

 ラッパーとしての MULBE の最大の魅力であり、大きなアドバンテージとなっているのが、非常に特徴的な彼の声質だろう。喉の奥から絞り出すように発せられるその声は非常に荒々しくザラザラした感触で、一聴してそれと分かる存在感がある。90年代から2000年代にかけてのUSヒップホップと、さらに同時期の渋谷・宇田川町を中心とした日本語ラップシーンの流れなどが MULBE の音楽的な基盤となっていると思われるが、そういったソースを混在させながら作り上げる現行のブーンバップなスタイルのサウンドに、彼の声質は実に見事にマッチし、ガチガチに硬く韻を踏むリリックの世界観をよりドラマティックに演出する。

 ミックスCD『MOVE』と同様に、GRUNTERZ、MASS-HOLE、RUFF といった MULBE 自身とも繋がりの深いプロデューサー勢を中心に構成されている本作であるが、さらに今回が初共演という GRADIS NICE と DJ SCRATCH NICE の参加が作品により深い奥行きを与えている。GRADIS NICE がプロデュースを手がけた先行シングル曲 “STAY HERE” は、コロナによる自粛などがテーマとなっているが、ゲスト参加の MILES WORD (BLAHRMY)と共に世の中の閉塞感そのものをダークなトーンで表現しながら、どんな状況でも決して諦めない、強い不屈の姿勢を見せつける。一方、DJ SCRATCH NICE がプロデュースした “TAKE ME HIGHER” と “REPRESENT ME” はタイトルの通り自分自身が曲の中心にもなっているわけだが、サンプリングのネタ感が全面に出たプロダクションによってエモーショナルな部分がより引き出され、MULBE の特徴的な声質にまた別の彩りを与えている。

 フィーチャリング・ゲストも非常に魅力的なメンツが揃っている本作であるが、盟友 D.D.S (“WHAT WILL BE”)との相性の良さはもちろんのこと、メロウ・チューン “CAN'T KNOCK THE” での B.D. との共演も凄まじく格好良い。そして、AVE WORKS がプロデュースを手がける実にユニークでファンキーな “DO ORIGINOO” における、仙人掌とのコンビネーションは個人的にも本作のピークであり、サウンドとゲストとの組み合わせの絶妙さという意味でも突出している一曲だ。
 他にもイントロではじまり、ゲスト勢のシャウトを集めたスキットを挟んで最後はアウトロで締めるという、一昔前は当たり前であったようなアルバムの曲構成であったり、ときおり出てくるクラシック・チューンからのリリックの引用など、MULBE 本人の頑固なまでのこだわりが様々な箇所に詰まっており、そんな部分にもいちいちニヤリとさせられる。単なる日本語ラップ好きというよりも、ヒップホップが好きな人にこそぜひ聞いてほしいアルバムだ。

Cabaret Voltaire - ele-king

 未曾有の事態のなかでまずはサウンドとして強度のある、しっかりした音楽を生み出すこと、それはやはりそれなりに人生経験を積んだ者だからこそ為しえることなのかもしれない、と昨年、26年ぶりに放たれたキャブスのアルバム『Shadow Of Fear』を聴いて思った。じっさいリチャード・H・カークは下記のように、制作はコロナ禍によってさほど影響を受けなかった、と語っている。
 そのすばらしい快作につづいて、EP「Shadow Of Funk」が2月26日にリリースされる。さらに、3月26日と4月23日には2枚のドローン作品が控えているというのだから精力的だ。いずれも『Shadow Of Fear』と関連する作品だという。大ヴェテラン、リチャード・H・カークは止まらない。

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