「iLL」と一致するもの

あるいは単純に、UKセレブの面白人物伝かもしれないが、それは、左翼がサヨクになったこの国で、いまあらためて「左翼」を考える契機かもしれない。それは、ガチガチに固く、真面目にしか政治を語れないことへの刺激剤かもしれない。それは、政治家に舐められている我々への励ましの言葉かもしれない。「ザ・レフト──UK左翼列伝」の刊行を記念して、紙エレキングでも人気の、ブレイディみかこと水越真紀の筆談をお届けしよう。

日本を含め、左翼が衰退したすべての国で言われていることだと思いますが、左翼は往々にしてほかの左翼に対して心が狭い。自分こそが正しい左翼なんだと分裂を繰り返し、弱体化してきました。──水越真紀


ブレイディみかこ
ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝

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水越真紀 『ザ・レフト──UK左翼列伝』、一言で言うと、めちゃめちゃ面白かったです。ケン・ローチやダニー・ボイルなど日本人もよく知る正統派の「左翼」から意外性のあるミスター・ビーンやハリボタの作者J・K・ローリング、それに日本から見ていると右派左派理解の難しいモリッシーやジュリー・バーチル、ハチャメチャな元ハッピー・マンデーズのベズ(好きだな、この人)やフットボール選手のジャスティン・ファシャヌのような非正統派など多岐にわたる「左翼」たちを、UKの歴史や現実を踏まえた分析でそのレフト性を浮き彫りにしていますね。
 たとえばスコットランド独立に対する意見にしても移民政策やナショナリズムの考え方にしてもここに登場する人たちの考え方はそれぞれに違う。違うけれど、たしかに全員が「レフト」なんだと読み解かれてていく。日本を含め、左翼が衰退したすべての国で言われていることだと思いますが、左翼は往々にしてほかの左翼に対して心が狭い。自分こそが正しい左翼なんだと分裂を繰り返し、弱体化してきました。日本でもイラク戦争や原発事故などがあると、左翼の結集が試みられますが、持続した力にはなっていません。なんてことを思いながら読むと、どの人物の言動にもぶれずに、なおかつ寄り添うブレイディさんの視線はとても示唆的でした。このラインナップはすぐに決まったんですか?

ブレイディみかこ そう言ってくださると救われます……。わたしはずっとウェブで書いて来たので書き下ろしって初めてで、書いたらすぐ人前に出せるウェブとは違い、一人で闇夜を延々と自転車こいでるような感じでしたから。
 ラインアップは、最初はケン・ローチでというのは決めてました。今年は個人的に彼の『ザ・スピリット・オブ・45』を見たというのが大きくて、あれで英国への疑問が一気に解けた感じがありました。安倍氏が「戦後レジームからの脱却」と言ってますが、英国の戦後の起点は「どレフト」だったという。そしてサッチャーが「戦後スピリットからの脱却」をはじめていまのブロークン・ブリテンに至っている様がばーっと綺麗に繋がった気がしたんです。左派の分裂と弱体化についても、「レフト・ユニティー」という彼の政党の名はいかにも象徴的なので、そこからはじめたいと思っていました。
 それ以外の人選は行き当たりばったり。というか、今年の時事問題や自分が考えていたことの遍歴になってる気がします。たとえばUKIPの台頭が騒がれるとモリッシーを思い出したり、スコットランド独立投票が近くなるとJ・K・ローリングを思い出したり。「左翼とはこういう人だ!」が書きたかったわけではなく、どちらかといえばそういうのを揺るがすような人選にしたいと思ってました。左翼本って「こうでなくてはいけない」になりがちな印象がありますから。エレキングなんで本当はもっとミュージシャンがいたら良かったんでしょうが、アーティストはレフトで当たり前みたいなところもあるし、やっぱ闇夜の自転車こぎですから、自分で書いてて退屈しない人というのが最優先でした。

水越 へえ! 行き当たりばったりとは思えないですね。でもそう思えないというのは実は、こんなにバラエティに富んだ「レフト」の生き方、考え方があるという「現実の当然さ」と私の「左翼」への先入観のギャップから生まれる印象なのかもしれないですね。その多様な人たちへのブレイディさんの一貫した共感的な視線は、移民という立場ならではの冷静さによるのかなとも思いました。生まれる国は選べないけど、暮らす国は選ぶことも出来る。その選び続ける視線であることの温かさと冷静さに、日本で生まれてそこに住み続け、日本を見ているる私の視線が批評されているようにも感じました。生まれた場所にその後も住むことを“選んでいる”と意識するのは難しいことですね。
 この「レフト」たちの考え方に共通して通底している階級意識へのブレイディさんの共感が説得力になっています。格差が問題になっているこの数年の日本では、よく「格差は悪いことではなく、悪いのはそれが世代を超えて固定することだ」と言われます。また、ブレア時代に「イギリスの階級社会はもうほとんどないといってもいい。階級間の出入りはそれほど簡単になっている」と書いたものを読んだこともありました。どちらも格差、階層を否定するものではなく、努力次第で上昇できるかが重要なのだという考え方ですが、「階級(格差)社会である」ということが資本主義社会の動かぬ前提であるとするなら、その社会で(上昇しない)アンダークラスも人間らしい暮らしが出来ることが重要だという考え方だってあることを私はつい忘れちゃう。女は、というか男女雇用均等法が施行された80年代日本の“女の時代”フェミニズムは男たちより一足早く新自由主義的競争社会を「要求させられて来た」ようなところがあるし……。
 ブレイディさんが英国で暮らしてから20年くらい? 日本にいる頃からパンク少女だったということだから、移住前から知識はあったでしょうが、実際に暮らす間に「階級社会」への感じ方、見方に変化はありましたか? 

ブレイディ 96年に英国に出直して来て、最初の数年はロンドンの日系企業で働いて所謂ジャパニーズ・サークルのなかで生きていましたから、その頃は階級とかそういうのは新聞のなかで読むことでした。海外在住邦人って、よく「日本人は階級の外」って言うんですよね。実際、あの日系サークルのなかで暮らしているとそういう錯覚に陥るのはわかる。それは「私たちは度外視されてる」という意識なのか、「私たちは特別」という意識なのか、たぶん両方なんですが、多くの日本人はすごいコンプレックスと優越感を両方持ってる。国民としてナルシスティックなのかもしれないですね。だから安……、いや、ここではやめときます。
 で、わたしが自分も階級の一部だと実感するようになったのは地方に引っ込んでからです。日本人からアジア系移民になったというか。いろんなタイプの英国人を知るようになったのもそれからですし。
 英国は政治もなんだかんだ言ってずっと2大政党制で、「右 & 金持ち層」の保守党 vs「左&労働者層」の労働党というわかりやすい構図なので、レフト or ライトの観念と階級は切り離せません。どこの階級にいるか(またはどこの階級に優しい政治を志向するか)が政治のコアにある。これは日本人のわたしには新鮮でした。あと、貧乏なのは自分の責任。という所謂サッチャー的アイディアは英国ではどうも広まりきれないというか、ちゃんと働いている自分が貧乏なのは社会の責任だろ。みたいな主張を堂々とする気質が庶民には根強くあって、貧乏だから恥ずかしいというより、そっちの方が先に来る。なんでだろうなあ? と思っていたんですが、それも『ザ・スピリット・オブ・45』で解けました。あれが起点ですから、そらそうなるだろうと。
 たとえば、ブライトンは超リベラルと言われている街で、英国で唯一みどりの党の国会議員を輩出し、市議会もみどり一色なんですが、彼らの支配がはじまって住民税がめっちゃ上がってる。環境に優しい政策は金がかかりますから。下層民はそれに苦しめられていて、左翼グループがみどりの党の選挙運動にカウンターをかけたりしていている。レフトというのは理想論を唱える人ではなく、貧民に寄り添う人という考え方が古典的にあるんだと思います。やっぱディケンズの国というか。
 わたしは貧乏な家庭の子供でしたが、貧乏なのは親のせいだと思っていたし、母親は「力のない親でごめんね」といつも謝ってました。けれども日本の政治の冨の分配の仕方が違ったら異なるシナリオもあり得たんだと気づいたのは、「庶民が真面目に働いても貧乏なのは政治のせいだ」と高らかに言える人びとがいる英国に来てからです。だから今回の本でもそこら辺は根底にあります。それはいまの日本にも大事なことに思えましたし。

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「大義なさすぎ解散」なのに、日本の人びとは「しゃーないなー」と受け入れてる印象を受けます。「英国社会はぶっ壊れているけどみんな『しゃーないなー』と許容して生きている」と前作でわたしは書きましたが、英国では権力者に舐めきられているときの「しゃーないなー」はない気がします。 ──ブレイディみかこ

水越 そうですね。日本にもとても大事なことだと思います。日本では再配分後に母子家庭などで貧困率が上がるとか、生活保護の支給捕捉率は2割と言われていたり、最低賃金は先進国最低だったり、「一億層中流」が前提の政策が長らく続いて来た結果、貧困対策というものがわけわからなくなっているんです。一方で、性別や世代間の利害格差は顕著で、とくに世代間格差についてはこの数年、それこそ階級闘争の様相を呈しています。たしかに全体には世代間の経済格差は開いていますが、貧しい若者が高齢の生活保護受給者を攻撃したりするのは、そこは対立するところじゃないだろうと……。自分が社会のなかでどんな存在なのかを考える指標のようなものが、階級意識なんて持ちようのない若者にも、総中流幻想が抜けない老人にもない。それから、昔から言われていることですが、日本の勤労層が自ら選んで、闘い取ったものがない。皆保険も生活保護も、社会党ではなく、自民党政権が整備して来たわけで、両党の支持層も経済的階層で分かれていたわけでもないですし。というように、英国と日本では環境はずいぶん違うのですが、この本はそうした違いを越えたところで考えさせられることがたくさんありました。
 たとえばミスター・ビーンことロワン・アトキンソンの侮辱する権利、ヘイト表現に関する考え方や、ビリー・ブラッグのナショナリズムについての主張、それからケン・ローチがあえて“極左”政党を立ち上げる理由なんかも、いま日本にある問題を考えるヒントになると思います。モリッシーの揺らいでいるように見えるスタンスの根っこが謎解きのように明らかにされているところは本書の圧巻かと思いますが、最近、政治にあまり興味のない若い人たちに自分のことを「どちらかと言えば右かな」と言う人がけっこういるんですね。少なくとも昔はそんなこと言う若者には会ったことありませんでした。でもいろいろ話してみると、「どこが“どちらかと言えば右”なわけ?」だったりする。モリッシーとは正反対だけど、ジュリー・バーチルやベズも併せて、「自分は誰?」ということを考えるにはとてもいい列伝ですね。
 これを読んで思い出したのですが、92年くらいにプライマル・スクリームのボビー・ギレスピーにインタヴューしたとき、彼は「僕はマルキストだ」と言ってました。彼の父親が炭坑労組の活動家でマルキストだったようですが、ソ連崩壊の翌年、世界の左翼が脱力しているさなかにきっぱりと「僕はマルキスト」と言われてちょっとひるみましたよ。その後もすごく昔ながらの左翼的なことを言う英国や欧州の若者に何人か出会って、あっちの若者は素朴だなー、なんでこんなにまっすぐにそういうこと言えるんだ? なんて思ってた時期もありました。この本を読むと、その解答にも出会えましたね。とはいえ、UKでもいまではそういう若者は少ないんじゃないですか?

ブレイディ 炭鉱、労働者、マルクスみたいなレフトは、やっぱサッチャーをリアルで経験した世代で、トニー・ブレアの時代がレフトをへろへろにした(労働党も含めて)ので、サッチャーを知らない若い世代はまた違う。と思ってたんですけど、どうもここ近年、保守党政権の政治が酷いですから、サッチャー世代のレフトのような考えが戻って来てます。若い世代がそれを発見している。オーウェン・ジョーンズというライターがいて、よくテレビにも出てる著名人ですけど、彼なんかは30歳ですが(ベビーフェイスで15歳ぐらいに見えるとっつぁん坊やですが)頭のなかは「70歳の労働党員」と言われるぐらいクラシックな左翼で、すごく本が売れてて人気があります。ああいう若者が、必要とされる時代にぽんっと出て来るのを見ると、たとえブランクがあっても脈々と流れて来たものは途絶えてないんだなあと思います。
 モリッシーは発言だけを読むともう滅茶苦茶(笑)なので、一生懸命解説しました。でも、ああいう方向での解説は、英国に住んでいなければわたしにはできなかったと思います。ビリー・ブラッグは、実はスコットランド独立投票があったときに「民族的ナショナリズムと市民的ナショナリズム」という記事をYahoo!ニュースの個人ページに上げたことがあって、こんなの英国在住者しか読まんだろうと思っていたら、日本からのPVが多くて驚いたことがありました。だから、その辺は日本の人びとのヒントになればと思いながら書きました。聖ジョージが中東から来た人だったというのはとてもディープだし。
 そういえば、スコットランドに関して言えば、独立反対派が勝ったのは高齢者が反対票を入れたからという後日談もあって、やっぱ「大義より年金」という切実な想いがあったようで、高齢化の進む社会ではもう何かが大きく変わることはあり得ないのか。みたいな議論もありました。日本の世代間の対立と通じるものがあるかもですね。
 ポリティクスには大義が必要。というのも実はこの本のテーマで、選んだ人たちもみんな方向は違うにしろ大義がある(モリッシーみたいにあり過ぎて滅茶苦茶になる人もいますが)。折しも日本では「大義なき解散」とか言われているので、出た出た出たと思ってました。「大義なさすぎ解散」なのに、日本の人びとは「しゃーないなー」と受け入れてる印象を受けます。「英国社会はぶっ壊れているけどみんな『しゃーないなー』と許容して生きている」と前作でわたしは書きましたが、英国では権力者に舐めきられているときの「しゃーないなー」はない気がします。

水越 2001年のデータなのでちょっと古いですが、イギリスの若年層投票率は日本よりさらに低いようですね。90年代の終わり頃、実際の選挙時に模擬投票をするというイギリスでの小学校教育を紹介したテレビ番組を見たことがあります。ちょうど、卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱に反対する埼玉の県立高校生たちの運動が「子どもを政治に利用している」というような文脈で批判されていた時期で、子どもを政治から隔離しようとする日本社会の論調とは対極にあるなあと思ったんでした。日本の高校でも60年代には制服廃止運動などが成果を上げたこともあったのに、というか、そうした運動を契機にしてということでしょうが、未成年者が政治に関わることを悪とする社会的認識が広まってきた。でも、政治的な問題意識や感覚って、大人になったからって自然に身に付くものではないですよね。
 ところで「大義」って、多くの日本人はあんまり好きじゃないんじゃないかな。大東和共栄圏なる大義のためと言われた戦争が、負けてみれば侵略の言い換えみたいなものだったというのが、いわば日本における「1945年の精神」ですから。大義が国を滅ぼすことを身を以て体験した“記憶”が途切れたところに、大義でっかちな右翼が出て来て、さらに大義アレルギーが進みそうかも。 今回の選挙の「大義のなさ」批判はメディアが言ってるだけで、それこそブレイディさんの視線の根っこともいえる「地べた」辺りでは「大義なんて恥ずかしい」くらいの感覚のように思います。でもこういうのを「しゃーないなー」と許しちゃう感覚は自民党派閥全盛時代終焉以降から次第に減退していて、いまはもうすっかり白けきっています。テレビでの選挙関連番組もこの15年で最低ということですし。白けと「しゃーないなー」という許容は、同じ帰結になるわけですが。白けにしろ諦めにしろ、日本社会の場合、ポスト大東和共栄圏時代の大義や正義についてとかそのための闘い方とか、政治のあらゆることから遠ざけられて育った世代がもうかれこれ50歳、ということがあると思うんです。ただ、こういうのは心の深いところで「継承」されるものがおおきいので、「大義」に裏切られた恨みが深い元軍国少年の子どもたち世代より、団塊ジュニアが言論界でも存在感を持つようになって来たことで変わることもあるかもしれないとも思っています。

ブレイディ 若者の投票率って、たしか前回の2010年の総選挙で50%だったと言ってたよなーと思いつつ国会の資料を見てみました。18歳から24歳で51.8%ですね。わたしはこれでも相当高いと思ってるんですが(笑)、資料を見るとブレアの時代はどんどん落ちて30%台まで行ってたんですね。英国はいまの日本みたいにしょっちゅう総選挙してるわけじゃないんで、2010年の次は2015年になるわけですが、今度はUKIP効果もあってたぶん上がると思います。
 若い層で投票してないのはやっぱうちの近所にいるような子たちで、彼らは選挙なんてどこでやってるか知らないと思います。アンダークラスってのはそうなるように国から製造されたようなところもありますから。以前どっかのシンクタンクの調査結果で、若年層の選挙に行っていない人びとのグループ(要するにうちの近所にいるような若者たち)が、金銭換算するともっとも保守党の緊縮財政の影響を被っている額が多いってのがあって、18歳から24歳の層が投票するのは法的義務にするべきだという意見を言ってた人もいました。英国も若者の政治に対する「白け」というか、こっちはよくdisillusionedとか言いますけど、それは史上最高と言われています。でも、ぼんやり幻滅している君たちこそが一番ひどい目に合わされる層なんだよということを若者に言ってる大人たちはいますし、日本の安……、というのはやはりここではやめておきます。
 実はさっきまでBBCでディベート番組を見てまして、UKIPのナイジェル・ファラージ党首とラッセル・ブランドが対決してて面白かったんですけど、ラッセルについては『ザ・レフト』でも書いてますし、今回のWEBエレキングの連載でも書いてるようにREVOLUTION系の人なので、やっぱちょっと発言が過激になったりして他の政治家とか観客とかに呆れたような顔をされてたんです、「やっぱお話にならないわ、コメディアンだし」みたいな感じで。そしたら客席に座っていた白髪頭の短髪のおばあさんが、「いやラッセルが言ってるのは……」とか言って理路整然と彼のエクストリームな主張を昔ながらのクラシックなレフトの論理に翻訳してみせたんです。見てて何かちょっと感動してしまって、ラッセル・ブランドも目を潤ませて拍手してましたけど、ひょっとして英国では若い世代と老齢者こそが通じ合う時代になってんじゃないかなと思って。ケン・ローチの世代は婆ちゃんもただ者じゃない(笑)。
 英国も来年は選挙なんですけども、今度のは「イデオロギーの戦い」になるって番組中でも政治家や観客たちが盛んに言ってましたね。スコットランドの後なんで。ってのもあると思います。けど、やっぱ英国の人ってイデオロギーとかそういうのが基本的に好きなのかもしれないですね。どんなに幻滅しても、大義アレルギーはない。というかむしろいまこそそれを求めてるんだと思います。

以下、後編につづく

vol. 67:私的USインディの年間ベスト10 - ele-king

1. St. Vincent “St. Vincent” Loma Vista

今年、一番よく聴いたアルバム。アニー嬢の最新作は、まさに階段を駆け上がる素晴らしさ。ジャジーなプログレロックなギターは革新的で、デジタル社会を嘲笑うかのような風刺。アートワークの良さはもちろん、脚を大きく開いてギターを弾く、近未来のカルトリーダーを象徴したセルフタイトル。2014年は女性の活躍が目立ったが、彼女はその代表。
https://ilovestvincent.com

2. Dum Dum Girls “Too True” Sub Pop

Dee Deeの作品はどれも、定番ポップがどうあるべきかを理解している。歌詞から彼女の世界観を想像し、どのような思いを乗せているか考えてしまう。一山越えた感がある3枚目は、痛さ的には落ち着いたが、ライブでは、トリプルギターになり、更に音の厚さを増している。もっとこだわり続けそうな予感。
https://www.subpop.com/releases/dum_dum_girls/too_true

3.Mac Demarco “Salad Days” Captured Tracks

前作の“2”や “Rock and Roll Night Club”に続く、2枚目アルバムもレイドバックな細っこいマック節のギターチューン全開。4/1リリースのアルバムだけあって、ラブソング&ジョークが、成熟した感がある。アルバム・プレビューも然り、ヴィデオも然り、ワクワクさせられっぱなし。
https://www.capturedtracks.com/shop/_ct-release/ct-193-mac-demarco-salad-days-lpcd/

4. Unknown Mortal Orchestra  “ⅱ” Jagjaguwar

'Swim and Sleep (like a shark)'
'So Good at Being in Trouble'

この2曲をアイスランド・エアウエイヴスで聞いたときは鳥肌立った。丁寧にクラフトされた、スムースなローファイ・ソウル・サイケ・チューン。メインガイ、ルーベンのグルーヴィーなナチュラルさと、ドラマーのジンジャー・ベイカー(クリーム)のごとしのパフォーマンスに圧巻される。今更ながら良盤太鼓判。
https://unknownmortalorchestra.com

5. TV on the Radio "Seed" Harvest Records

2014年は、ストロークス、ライアーズ、ヤーヤーヤーズなどの00年代NYロッカーの名前を聞くことが多かった。その中の一つ、TVOTRの6枚目のアルバムは、LAに引っ越した事もあるのか、ボーカルTundeの声が軽やかに若返り、全体的にドライヴィンで軽快な曲が続く。「Young Liars」が与えたインパクトのように、このアルバムには何か希望、新しい時代の始まりのようにも感じる。ウィリアムスバーグを諦めた同志としては目が離せない。
https://www.tvontheradioband.com

6. Real Estate “Atlas Domino

既にベテラン行きに達した感のあるニュージャージーバンド。おかえり、と手を差し伸べるような、ノスタルジックなサバービアンロックな3枚目。マック・デマルコをもっと大人にして洗練させたような、空、地平線、サイドウォーク、ランドスケープなどの言葉を繰り返し、永遠の少年、ビタースウィートな物語が繰り返される。一息つきたい時に、最高の一枚。
https://realestateus.dominorecordco.com/realestateus/albums/13-01-14/atlas/

7. Cibo Matto “Hotel Valentine” Chrimera

10年以上の沈黙を経てリリースされたNY在住日本人女子デュオのニューアルバム。再結成が大ブームで、大抵はがっかりさせられる中、この作品は最高傑作だと思う。ゴーストのいるホテルをテーマに作られた10曲は、「チェックイン」から始まり「チェックアウト」で終わる。ロック、ヒップホップ、ラップ、ブラジリアンなどから影響を受けたサウンドを、彼女達の色に変換し、何でもできるゴーストという主人公の中に、2014年の世の中に対するアンチテーゼを見ることが出来る。
https://www.amazon.com/Hotel-Valentine-Cibo-Matto/dp/B00H7NN19U

8. Sonny and the Sunset “Antenna to the Afterworld” Polyvinyl

‘Dark Corners’(名曲!)は今年の初めぐらいに良く聴いていた。来年新しいアルバムも出るが、こちらをリストに加えたい。のっぽさんような雰囲気で、話すように歌うソニー・スミス。仲の良い友達が殺された事をきっかけに、死後の世界をテーマにに作ったアルバム。カントリー、A&Mなどの影響を感じさせつつ、科学の実験のような不思議な音を加える。歌っているより断然話している方が長い、そんな彼のキャラクターが突出したアルバム。
https://www.pastemagazine.com/articles/2013/06/sonny-and-the-sunsets-antenna-to-the-afterworld.html

9. Death Vessel “Island Intervals” Sub Pop

プロヴィデンス出身(現NYと行ったり来たり)のシンガーソングライター (元ストリング・ビルダー)、ジョエル・シボドーによるニューアルバムは、アイスランドで、シガーロスのヨンシーのパートナーであるアレックス・ソマーズがプロデュース。彼の独特のハイトーンヴォイスとフォーキーで澄み切ったサウンドは、穏やかで、忙しい現代社会をほど遠く感じさせるユートピア。
https://www.subpop.com/releases/death_vessel/island_intervals

10. Music Blues “Things Haven't Gone Well” Thrill Jockey

‘Hopelessness and Worthlessness’、‘Trying and Giving up’、‘Great Depression’、‘Death March’などなどタイトルだけでも、何処まで落ちるねーん! と突っ込みたくなるが、その通り!基本全曲ヘビーノイズで、聞けば聞くほど落ちる。今年、物事が嫌になった時よく聞いた。ハーヴェイミルクのベーシストの初ソロ。ライブは、楽しそうにやっていてホッとした。因みに彼も、ウィリアムスバーグ在住。
https://www.thrilljockey.com/thrill/Music-Blues/Things-Havent-Gone-Well

番外編でうちらのバンドもEPを出したので記述しておきます。
Hard Nips “Uncommon Animal” Self Release

NY女子バンドの最新作はモンスターをテーマにした4曲。この世の生き物でないものが、森の中をさまよい、メンバーを追いかけている感じ。前作までの男性プロデューサーから、女性に変わり全てメイドバイ女子。CDリリースはなくMP3リリースにスリーブが付く。
https://hardnipsbrooklyn.com

DRUNKEN STEIN (Some Song Teachers @ OATH) - ele-king

合法ダンス元年を迎えるにあたり抑えておきたい10のダンス 2014/11/25

丘ダンサーのドランケンです。
青山のOATHでSome Song Teachersってパーティーやってます。隔月第4土曜日です。
https://somesong.jp

RHYDA (VITAL) - ele-king

テーマ:よい気持ちに12/5

しわっす!
年末、12/30は吉祥寺のWARP,CHEEKY,BAOBAB共同開催の"弁天DANCE"
CHEEKYにLIVEで参加します!
あとEP作ってます!いい感じです!
2014食べ残すな!
more info https://vitality-blog.blogspot.jp/

 2014年は本当にたくさんのアーティストが日本にやってきましたが、最後にここ一番のビッグ・ネームがやってきます。年末にはUKダブの重鎮であり、数々のラヴァーズ・ロックのアンセムを世に送り込んで来たマッド・プロフェッサーが来日決定。今回の来日でマッド教授がプレイするのは今回だけなので、お見逃しなく。

 サウンド・スラッガーは2008年に代々木公演でスタートしたベース・カルチャーを体現したパーティで、「低音」をキーワードに、ダブ、ジャングル、ダブステップ、フットワークなどなど様々なジャンルを紹介してきたイベントです。数年前にスター・ラウンジに会場を移し、今回は代官山ユニットで開催です。

 当日はユニット内の3つの各フロアにサウンドシステムを追加し、日本からはPART2STYLE SOUND、1945 a.k.a KURANAKA、LEF!!!CREW!!といった日本のベース・カルチャーを語る上でかかせないメンツがマッド教授をお出迎え。

 もちろん、当日はアーティストのセッションやサウンド・クラッシュも開催決定。メイン・フロアで行なわれるEASS SPECIAL SESSIONでは、DJブースがなんとダンス・フロアに設置され、3組のDJたちはこの日のために用意された特製ヘッドフォンで現場に望みます。

 一体当日は何が起こるのか? 合い言葉は……
Let the bassline thump you in your chest (貴様の胸に低音をかませ)!!

SOUND SLUGGER feat. MAD PROFESSOR (LONDON, UK) 
日程 2014年12月26日
会場 代官山UNIT
開場 / 開演 23:00
料金 3.500円(advance)/ 4,000円(Door)
Information: 03-5459-8630 (UNIT)  www.unit-tokyo.com
イベント特設サイト  https://part2style.wix.com/ss1226

前売りチケット:
ぴあ (P: 249-779), ローソン (L: 73139), e+ (eplus.jp), disk union CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿, 下北沢), disk union (吉祥寺), TECHNIQUE, GLOCAL RECORDS, DISC SHOP ZERO, JET SET TOKYO, DUB STORE RECORD MART, 新宿ドゥースラー and UNIT

出演
Room1 @UNIT + EASTAUDIO SOUNDSYSTEM
MAD PROFESSOR (ARIWA UK)
PART2STYLE SOUND
1945 a.k.a KURANAKA
Reggaelation Independance
KEN2D SPECIAL feat. JA-GE&RUMI
LEF!!! CREW!!!
-EASS SPECIAL SESSION-
feat. BIM ONE PRODUCTION × HABANERO POSSE × SKYFISH

Room2 @UNICE + Nichi Soundsystem
Booty Tune
Broken Haze + Kan Takahiko
XLII (XXX$$$)
Nichi
SHINKARON
ExcaliBoys
Trekkie Trax
-JUNGLE Clash-
HAYATO 6GO vs JUNGLE ROCK vs TAKARADA MICHINOBU

Room3 @SALOON + STONEDVIBES SOUNDSYSTEM
DJ DRAGON (Dubway from BANGKOK)
SP the Stonedvibes
DX (Soi Productions)
DON (Duusraa)
VΔR$VS(GOODWEATHER)
MIDNIGHT ROCK vs Myojin Crew
Portal + JAQWA
International SOUND
-dub fi dub-
feat. MIDNIGHT ROCK × Myojin Crew × PART2STYLE SOUND  × SP THE STONEDVIBES and ???

Food 虎子食堂 / 新宿ドゥースラー

MAD PROFESSOR  (ARIWA SOUNDS, UK)  

 泣く子も黙るダブ・サイエンティスト、マッド・プロフェッサーは1979年にレーベル&スタジオ「アリワ」設立以来、UKレゲエ・ダブ・シーンの第一人者として、四半世紀以上に渡り最前線で活躍を続ける世界屈指のプロデューサー/アーティストである。彼の影響力は全てのダンス・ミュージックに及んでいると言っても過言ではない。その信者達は音楽ジャンルや国境を問わず、常にマッド教授の手腕を求め続けている。なかでもマッシヴ・アタックのセカンド・アルバムを全編ダブ・ミックスした『No Protection』は余りにも有名である。伝説のリズム・ユニット、スライ&ロビーとホーン・プレイヤー、ディーン・フレーザーをフィーチャーして制作された『The Dub Revolutionaries』は、2005年度グラミー賞にノミネイトされ話題となった。まだまだ快進撃中、止まることを知らないマッド教授である。ここ近年だけでも、伝説的なベテラン・シンガー、マックス・ロメオ、レゲエDJの始祖ユー・ロイ、レゲエ界の生き神様リー・ペリーに見出されたラヴァーズ・ロックの女王スーザン・カドガン、UKダンスホール・レゲエのベテラン・アーティスト、マッカBのニュー・アルバムをプロデュースしている。 自身のアルバムも『Bitter Sweet Dub』『Audio Illusions of Dub』『Roots of Dubstep』『Dubbing with Anansi』などをコンスタントにリリース。プロデュース作品は、リー・ペリーの手に依る金字塔アルバム『Heart of The Congos』で知られるThe CongosのCedric Mytonとのコラボ・アルバム『Cedric Congo meets Mad Professor』、カリスマ的ラスタ・シンガー LucianoとのDub Showcase『Deliverance』を制作、相変わらずのワーカホリックぶりを発揮している。最新テクノロジーと超絶ミキシング・テクニックを駆使して行われる、超重低音を轟かせる圧巻のダブ・ショーで存分にブッ飛ばされて下さい。

PART2STYLE SOUND

 日本人にしてヨーロッパのシーンをリードするベースミュージック・クルー!! PART2STYLE SOUND!!! ダンスホール・レゲエのサウンドシステム・スタイルを軸に、ジャングル、グライム、ダブステップ、トラップ等 ベース・ミュージック全般を幅広くプレイ。独自のセンスでチョイスし録られたスペシャル・ダブプレートや、エクスクルーシブな楽曲によるプレイも 特徴のひとつである。2011年より、海外のシーンを焦点にサウンドとしての活動を開始、ヨーロッパにおける数々の最重要ダンスはもちろん、世界最大のベース・ミュージック・フェス【OUTLOOK FESTIVAL】やヨーロッパのレゲエ・フェスで1位2位を争う【ROTOTOM SUNSPLASH】、【UPRISING REGGAE FESTIVAL】等ビッグ・フェスティバルでの活躍がきっかけとなり、ヨーロッパ・シーンで最も注目をあびる存在のひとつとなっている。【JAHTARI】、【MAFFI】、【DREAD SQUAD】等ヨーロッパ・レーベルからのリリースに続き、2012年秋に自身にて立ち上げた新レーベル”FUTURE RAGGA”の楽曲は、ヨーロッパ各地で話題沸騰、数々のビッグ・サウンドやラジオでヘビープレイされている。2013年には、日本初のGRIMEプロデューサー オンライン サウンド・クラッシュ【War Dub Japan Cup 2013】に、MaL × Nisi-p名義で参加。見事優勝を勝ち取り、国内においてもその存在感を示した。 毎月第1,3月曜20:00~21:00のPART2STYLE RADIO (BLOCK.FM)も必聴!!


Kevin Reynolds × Bushmind - ele-king

 DJを見るっていうんじゃなくて、がっつり踊りたいので、本気でアンダーグラウンドなパーティに行きたいんだよなー。このところ、ずっとそう思っていたところに朗報。最近は、トーフビーツの12インチ「Tofu Recipes -tofubeats Remix Ep」のリミキサーに抜擢されたり、小島麻由美の7インチ「泡になった恋」のリミキサーに抜擢されたりと、J-POPを陶酔のビートに変換しているブッシュマインドが、デトロイトからケヴィン・レイノルズを招いてのイベントを開く。
 ケヴィン・レイノルズは、一時期はデリック・メイのトランスマットでも働いていたほど、古くからデトロイトのシーンに関わってきたひとり。ブッシュマインドも、おそらく、ディープ・ハウス&ファンキーなアシッド・ハウスでその晩を盛り上げてくれるでしょう!

■Information
 先日発売されたKAKU『Live at Detroit2000』も好評な中、デトロイトよりKAKUの盟友でもありプロデューサー/ライヴ・パフォーマー のKevin Reynoldsgが12月に初来日決定!!
 日程は、12/20(土)東京en-sof、12/22(月・翌祝日)千葉 sound bar mui、12/27(土)大阪 compufunkの3公演。
 過去にResident AdvisorからDetroit Electronic Music Festival Movementのハイライトとも賞された彼のパフォーマンスを、体験できる 貴重な一夜であり、パーティを共に作り上げるDJ陣もhimcastならではの組み合わせに。 レジデントであるBushmindを筆頭に、blacksheep×himcastでもフロアを熱狂させた1-DRINK、seminishukeiよりオールラウンダーの Overall、blacksheepより安定のDJプレイを魅せるJyotaroが東京公演を。千葉では、説明不要だが海外トップDJのサポートを経験もある RYOSUKE、千葉の次世代をリードするパーティspotseekよりWada YosukeとBushmind。大阪はBushmindと大阪在住のOoshima Shigeru による「2×4」。会場となるレコード店兼クラブの店長であるDJ COMPUFUNKと、千葉に続きRYOSUKEがサポートを務める。

■Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA)  デトロイトのプロデューサー/ライヴ・パフォーマー、ケヴィン・レイノルズ。 アイルランド系の自動車工場労働者と公民権活動家の間に生まれる。大学在学中に電子音楽の制作を覚え、卒業後はDerrick Mayの Transmat Recordsて働き始める。当初はエンジニアとしての契約だったが、後にレーベルにおける音響面の製作全てを担うようになる。
 その後、自身のレーベルTodhchaiを創立。2006年、1stシングル「Afrik」をリリース。Gilles Peterson、Osundale、Jazzanova、DJ Karizma、Masters At Work等からの支持を受け、BBC Radio Oneは彼の音楽を「the new sound of Detroit.」と称している。
 2001年、 2004年、2009年とDetroit Electronic Music Festival Movementでライヴを行い、2009年のライヴはResident Advisorによりフェスティバルのハイライトと評される。
 去年、今年とMike Huckaby、Osunlade、Patrice Scott、Aril Brikha等とともにヨーロッパツアーを行い、ベルリンのPanorama BarではNsydeからリリースしたシングル曲「Liaisons」のパフォーマンスでクラウドを熱狂させている。

■東京公演
2014/12/20 (sat)
[himcast]
at EN-SOF TOKYO 23:00 start
charge 2500yen(w/1d ) w/f 2000yen(w/1d )
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA )
DJ:1-DRINK
Overall (seminishukei )
Jyotaro (BLACKSHEEP / LOCUS) Bushmind (himcast / 2x4 / seminishukei )

■千葉公演
2014/12/22 (mon)
[Lobust]
at sound bar mui 23:00 start charge 2000yen
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA)
DJ:Bushmind (himcast / 2x4 / seminishukei) RYOSUKE
Wada Yosuke

■大阪公演
2014/12/27(Sat)
[2×4]
at Compufunk Records Backroom Open/Start 23:00 fee/2500(w/ 1Drink)
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA )
Guest DJ:RYOSUKE (lobust / so gut ) DJ COMPUFUNK
DJ:Bushmind (himcast / seminishukei) Ooshima Shigeru
SOUND:YORI
floor2
Young Animal (WASTELAND / DEUZEBRA) ECIV_TAKIZUMI (SPASH!)
hisa (Jimmy)
GLT (Jimmy)


Blacksmoker - ele-king

 KILLER-BONGの久しぶりの都市dubシリーズ、『Brooklyn Dub』が話題の〈ブラックスモーカー〉がこの12月大暴れする。
 12月4日(木)から7日(日)までの4日間は、リキッドルーム2Fの〈KATA〉にて、毎年恒例となっている「BLACKGALLERY」。耳(音楽)と視覚(アート)の両方から、レーベルの魅力が展開される。
 入場無料(ただし、7時からのライヴ時には、ドリンク代1000円)。ライヴ・ペインティング、KILLER-BONGの作品をはじめとする、13人のアーティストの作品を展示。展示アーティスト×BSRとのコラボレーションTシャツも販売している。早い者勝ちのKILLER-BONGのアート本、超希少限定3冊もあり!
 ほか、KILLER-BONGとJUBEを交えたトークショーもあり、DJもかなり良いメンツが揃っています。今年、完成度の高いアルバムをリリースしたINNER SCIENCEとか、Fumitake Tamura(BUN)とか、金曜にはLAからDADDY KEVとか、間違いないメンツでしょう!

 さらに、12月22日(休日前)には、クラブ・エイジアにて、二木が力んで「急進的なラップ×ジャズ」だと紹介している「JAZZNINO」もあります! こちらもすごいメンツが揃っている。フライング・ロータスとか言っている人は、ぜひ、遊びに行きましょう。

■BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS 「BLACKGALLERY」

2014. 12. 4. thu ~ 12. 7. sun
at KATA (LIQUIDROOM 2F)
OPEN : 15:00 SHOW TIME : 19:00
ENTRANCE FREE!
SHOW TIME ist DRINk charge 1000 yen(includ music charge)

12.4 thursday『THINK TALK pt.20』
LIVE PAINT:KLEPTOMANIAC
DJ:DJ BAKU, INNER SCIENCE, Q a.k.a Insideman, VIZZA
TALK:KILLER-BONG, JUBE, 神長(WENOD)
Talk guest:DJ BAKU & INNER SCIENCE and mo...

12.5 friday『BLACK AMBIENT』
ART PERFORMANCE:メチクロ, 河村康輔
SOUND COLLAGE:shhhhh
VJ:ROKAPENIS
GUEST DJ:DADDY KEV*
DJ:KILLER-BONG, Fumitake Tamura(BUN)

12.6 saturday『THINK TALK pt.21』
LIVE PAINT:BAKIBAKI, STONE63
DJ:OMSB, 田我流, KILLER-BONG, YAZI
TALK:KILLER-BONG, JUBE, 二木信
Talk guest 田我流 and mo...

12.7 sunday『BLACK OIL』
LIVE PAINT:POPYOIL
DJ:L?K?O, RUMI, LIL' MOFO, BLUE BERRY

BLACK WORKS:ALL DAYS 16:00-20:00
https://www.kata-gallery.net/events/black_gallery_2014/
https://www.blacksmoker.net/blackgallery/



■BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS 「JAZZNINO」
2014.12.22.mon.
at club asia
https://asia.iflyer.jp/venue/flyer/215771

ずらりと並んだ強者の出演者を見れば予測がつくだろう。ラップ×ジャズ、ELNINOじゃなくJAZZNINO。ここで言うラップとジャズは音楽的形式を意味しない。楽理やイディオムではない。詩と4ビートの出会いではない。ましてやジャンルではない。それは、自由を意味する。BLACKOPERAという総合芸術の経験が、舞台演出にも活かされるにちがいない。ジャズが現在のクラブ・ミュージックやヒップホップ、R&Bにおける重要なキーワードとして浮上する時代に、出演者たちは2014年の急進的なラップ×ジャズを体現するだろう。恐ろしくフリーキーで、クレイジーな態度で……(二木信)

open 23:00
DOOR:3000yen
ADV:2000yen
with flyer 500yen off

main floor
LIVE:
鈴木勲×タブゾンビ×KILLER-BONG
菊地成孔×大谷能生 ×OMSB
伊東篤宏×BABA×FORTUNE D
山川冬樹×JUBE
DANCE:東野祥子
DJ:
OLIVEOIL
YAZI
MASA aka Conomark
VISUAL:ROKAPENIS
ART:R領域

2F lounge
TANISHQ presents
"HABIBI TWIST♪...and tigers twist in the BLACK SMOKER
DJ:
MASAAKI HARA
INSIDEMAN a.k.a. Q
L?K?O
サラーム海上
BELLYDANCE:
TANiSHQ
SQUARE CUTZ(AYANO, MASAYO, SAKI) feat. MEGUMI& TANiSHQ
aai×EMI×NATSUMI
VJ:IROHA
SHOP:
HE?XION!
Tribal Antique

1F lounge
DJ:
ヤマベケイジ
K.E.I
JOMO
VIZZA


vol.66 Death of Williamsburg──RIP Death by Audio - ele-king

 「ウイリアムズバーグは死んだ」と言われて数年経つ。2014年のはじめもこの話題のレポートをした

 2013年に、モンスター・アイランド、ゼブロン、285 ケントがクローズしたときに「もう終わり」と言われ、スターバックス、アーバン・アウト・フィッターズ、Jクルーなどのコーポレート会社が現れて、2014年末にとうとうというか、最愛のDIY会場、デス・バイ・オーディオ、そしてグラスランズが追い打ちをかけるようにクローズする。
 11月22日にクローズするデス・バイ・オーディオは、2週間前あたりから毎回スペシャル・ゲストが出演している。レ・サヴィ・ファヴ、ディア・フーフ、ウッズ、スクリーミング・フィメールズ、テッド・レオ、スピーディ・オーティズ、ダーティ・オン・パーパス、パーケット・コーツ、ジェフ・ザ・ブラッドフッド、タイ・シーガル、ダン・ディーコン、ア・プレイス・トゥ・バリー・ストレンジャーズなど。11月18日から11月22日までは、 あっと驚くシークレット・ラインナップになっているので、毎日のように「昨日のゲスト誰だった?」が合い言葉になっている。これも、ミュージシャンのデス・バイ・オーディオに対する愛。ちなみに昨日18日のゲストはフューチャー・アイランド。1週間前はアイスランド・エアウエイブスに出演していたな。

 デス・バイ・オーディオは、DIYバンドを平等に扱い、良い音楽を評価し、ツアーバンドを受け入れ、安いアルコールを売り、7年間生き延びてきた会場である。会場の壁中、アーティストによるペインティングが定期的に変わり、会場の別部屋ではギターペダルを売る店があり(ア・プレイス・トゥ・バリー・ストレンジャーズのメンバーによる)、来るといつも何かがある、ミーティングの場所だった。この一角には、グラスランズ、285ケントがあり、よくこの3会場を行き来したものだった。

 その他にもデス・バイ・オーディオに関してたくさんの記事が出回っている。
https://www.imposemagazine.com/features/death-by-audio-tribute
https://landladyband.tumblr.com/post/102964618834/death-by-audio-is-closing-and-what-happened-next-may

 これはグラスランズでのお葬式パーティ。
https://freewilliamsburg.com/dance-party-funeral-for-williamsburg-coming-to-glasslands/

 噂によると、この一角はVICEのビルが入ることになっているらしいが、詳細は定かではない。ウイリアムスバーグが終わったなら、次はどこか……だが、ブシュウィックは既にハイプがピークに達しているし、ベッドスタイも地価がどんどん上がっている。NYを諦め違う都市に引っ越す人もいれば、ブルッリンとクイーンズとの境目のリッジウッドに移動する人もいる。ギャラリーの場所を探していた知り合いによると、いまではマンハッタンのローワーサイドの方がウィリアムスバーグより安かった、とのこと。

 著者も、使っていたスタジオが立ち退きになったり、家を追い出されそうになったりで、ウィリアムスバーグから遠のきそうな勢いだ。とは言っても、これに対して諦めや文句を言う気にはなれない。困難が立ちはだかってこそ強くなっていくものもあるから。
 イーストビレッジがだめならウィリアムスバーグなど、いままでもアーティストはそうした危機を乗り越えるように、場所を変えて、面白い文化を形成してきた。事実、ウイリアムスバーグの住人も文句を言いつつも、次のアイデアを考えはじめている。ここNYには、何かを表現したい人、何かを変えたい人、何かをしたい人、熱意のある人たちが集まっている。いろんな悪巧みが、ビジネスになったり、イベントになったり、いまだからこそ出来る何かがあるのだろう。
 事実、グリーンポイントには新しい会場、AvivとGood Roomがオープン(11/19情報)、ブシュウィックには、多くのDIY会場が散らばっている。こういった会場は1~2年サイクルで変わるので、頻繁にチェックしなくてはならないが、リースの問題もあり、DBAのように長く続かせるにはかなりの根気が必要だろう。ミュージシャン/オーディエンスからのサポートが重要なのは言うまでもない。

 スターバックスが隣に位置するウイリアムスバーグのカフェでこれを書いているのだが、人が次から次へと入っている。黙々とコンピュータに向かう人、ミーティングをしている人、リラックスして本を読んでいる人、がっつりご飯を食べている人、外の庭で煙草を吸っている人、水曜日の朝がこんな感じなのである。お客さんは男率70%、30~50代。ここ1年でまわりにはおしゃれな床屋やカフェ、本格的な日本定食屋、オーガニック・スーパーマーケットがオープンして、風景はがらりと変わった。外に出てスターバックスの前を通ると店内は混んでいる。あらためてウィリアムスバーグの散策をはじめてみる。さよなら、そしてまた新しい時代のウイリアムスバーグへ。

https://www.entertainment4every1.net/shows/

https://www.theglasslands.com

死の黒は春の黒へ - ele-king

 現〈アンチコン〉を代表するビートメイカー、バスが、今年発表したEP『オーシャン・デス』でみせた意外な展開──ダークでミニマルなテクノ──は、音楽のモードばかりでなくもうひとつの“モード”にも接続した。〈ディオール・オム〉2015年春のビデオ・ルックブックのサウンドに、そのタイトル・トラックである“オーシャン・デス”が起用されたのだ。
 デイデラスの寵愛を受けるLAビート・シーンの鬼っ子、といった説明はすでに過去のものになっているが、当時もいまも、「どこか」のジャンルに繰り入れられることなく、アーティに、かつポップに、そしてオリジナルなフォームのもとに独自の世界をひらいてきたバスが、ファッションとの交差においてするどい緊張感をはらみながら魅せる音の色は、『オブシディアン』(2013)から引き継ぐ黒。3人の男たちのまとうディオールからは、そのつややかな黒をやぶって萌えいづる春の色がのぞいている。パリのクリエイティヴ・ユニットM/M (Paris)によるデザインが完璧なフレームを提供する、この欠けるところなきヴィデオをご覧あれ。



 Dior Homme 2015年春ビデオルックブックのサウンドに、Baths「Ocean Death」が起用されました!!

 ビデオに登場する、モデル達が佇むモジュラー式シーティングのデザインはビョークやカニエ・ウェスト、そして数多くのビッグメゾンとコラボレーションをした、パリを拠点に活動するクリエイティヴ・ユニットM/M (Paris)(エムエムパリス)によるもの。

 コレクションの世界を象徴するBathsの曲“Ocean Death”のエネルギッシュなビートにのって映像ははじまります。

■詳細
https://www.dior.com/magazine/jp_jp/News/アーバン-ミックス

■Baths『Ocean Death』

リード楽曲


ライヴ映像 (収録曲「Ocean Death」パフォーマンスは12分50秒から)



Baths
Ocean Death EP

Anticon / Tugboat

TowerHMVAmazon

作品詳細

https://www.tugboatrecords.jp/4912

・発売日:2014年07月16日発売
・価格:¥1,380+tax
・発売元: Tugboat Records Inc.
・品番:TUGR-015
・歌詞・対訳・対訳付き

■Baths
 LA在住、Will WiesenfeldことBathsは現在25歳。音楽キャリアのスタートは、両親にピアノ教室に入れてもらった4歳まで遡る。13歳の頃にはすでにMIDIキーボードでレコーディングをするようになっていた。あるとき、Björkの音楽に出会い衝撃を受けた彼は、すぐにヴィオラ、コントラバス、そしてギターを習得し、新たな独自性を開花させていった。大傑作ファースト・アルバム『Cerulean』は、LAのanticonよりリリースされインディ・ロック~ヒップホップリスナーまで巻き込んだ。満を持して2013年にリリースしたセカンド・アルバム『Obsidian』はPitchforkをはじめ各メディアから高い評価を得た。いまもっとも目が離せないアーティストと言ってもけっして過言ではない。


 ジェフ・ミルズの『Man From Tomorrow』は、今年2月2日、パリのルーブル美術館オーディトリアムでのワールド・プレミア上映において、入れない人が続出するほどの盛況を博したという。電子音楽ファンにとっては興味津々の上映だっただろう。そのアート・ドキュメンタリー・フィルムが、限定でリリースすることが発表された。

 昨年は日本科学未来館館長の毛利衛氏(宇宙飛行士)の依頼で同館のシンボルゾーンに設置された地球ディスプレイをとりまく音を作成したり(毛利氏とは同時にコラボレーション・アルバムも制作している)、それを記念したトーク・セッションの折には、フリッツ・ラング『メトロポリス』に生DJで新たなサウンド・トラックを提供するなど、映像めぐる作品や活動がますます活発になっていることは、ここ日本における取り組みやイヴェントからもはっきりとうかがわれる。

 このたびリリースされる『Man From Tomorrow』は英文+和訳の解説もついており、日本盤にはサイン入りポスターも付属。アート・フィルムとして、またファンとしてもぜひ蒐集しておきたいアイテムだ。

『MAN FROM TOMORROW』トレーラー

 近年、音楽だけにとどまらず近代アートとのコラボレーションを積極的に行い、フリッツ・ラング『メトロポリス』への新たなサウンド・トラックや、パリ、ポンピドゥーセンターにおけるフューチャリズム展に唯一の生存アーティストとして作品を提供するJeff Mills(ジェフ・ミルズ)。

 テクノ/エレクトロニック・ミュージックによる音楽表現の可能性を拡大しつづける彼が、John CageからRichie Hawtinにいたる現代ミニマル・ミュージックに造詣が深く、デトロイトのElectrifying Mojoのドキュメンタリー作品『The Colours of the Prism, the Mechanics of Time』でも知られるフランス人映像作家、Jacqueline Caux(ジャクリーヌ・コー)とタッグを組んで今年発表した映像作品『Man From Tomorrow』(Axis Records / U/M/A/A)を、12月17日にDVD+CDの2枚組、日本500枚限定でリリースされることが決定した。

 アーティスティックでエクスペリメンタルなこの映像の中には、Jeff Millsの考えるテクノのあり方、音楽制作の過程、彼の想像する未来、また、大観衆の前でプレイする際に感じる不思議な孤独感(「One Man Spaceship」で表現しようとした宇宙における孤独感に通じるものでもある)などのすべてが凝縮されると同時に、テクノ・ミュージックの醍醐味を、DJイヴェントとは異なったスタイルで表現する試みで制作された作品。まさにJeff Millsの創造性・実験的精神をあますところなく体現する作品だ。

 今年2月にパリのルーブル美術館オーディトリアムでワールド・プレミアを行った後、ニューヨーク(Studio Museum of Harlem)、ベルリン(Hackesche Hofe Kino)、ロンドン(ICA)と上映を重ね、その後、京都、東京でも上映された本映像作品を、Jeff Millsによるサウンドトラック(16曲中12曲が未発表曲)を収録したCDとともにパッケージ。日本限定特典としてJeff Millsによるサイン入りポスターも封入される。

『Man From TomorrowなぜJeff Millsが音楽を作るのか、テクノとは何のために存在するのかという疑問の答えを解き明かす映像による旅路。エクスペリメンタルな映像美に彩られた斬新なスタイルのアート・ドキュメンタリー・フィルム作品を手にされてみてはいかだろうか。

Jeff Mills
https://www.axisrecords.com/jp/

Jacqueline Caux
https://www.jacquelinecaux.com/


■JEFF MILLS
『MAN FROM TOMORROW』(DVD+CD)生産枚数限定日本仕様

(日本オリジナル特典: JEFF MILLSサイン入りポスター)

品番:XECD-1132
価格:¥3,900(+税)
発売日:2014年12月17日

[DVD]
ドキュメンタリー映画(40分)
オーディオ:英語 / 
字幕:日本語、フランス語、イタリア語
ブックレット: 解説:門井隆盛/
ジャックリーヌ・コー(英文+和訳)

Produced by Axis Records & Jacqueline Caux
Starring Jeff Mills
Directed by Jacqueline Caux
Original Music by Jeff Mills

[CD]
1. The Occurrence
2. Multi-Dimensional Freedom *
3. The Event Horizon *
4. Gravity Drive *
5. Star Marked *
6. Us And Them *
7. Sirius *
8. The Man Who Wanted Stars *
9. The Source Directive
10. Actual
11. The Watchers Of People *
12. Searching *
13. The Warning *
14. Light-like Illusions *
15. Star People *
16. Utopia
(合計:71分)
* 未発表曲


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