「iLL」と一致するもの

新しい宇宙が見えるかもしれない - ele-king

 ジェフ・ミルズ×毛利衛。思えば意外な組み合わせではないのかもしれない。昨年ふたりは初めて対面し、お台場の日本科学未来館ではトーク・セッションも行われたが、ジェフが宇宙に寄せるあまりにも一途で純粋な思いは、彼の質問や、毛利の回答に目を輝かせる様子からもありありと伝わってきた。また一方で、毛利の宇宙観も近年では「ユニバソロジ」という科学者としてはいっぷう変わった概念へと結実していて、その広がりのなかに今回のようなコラボレーションが生まれたことは不思議ではない。

 トーク・セッションで印象に残った話のひとつに、光(闇)の体験談がある。それは「宇宙の黒を知っていますか」――言い回しに異同はあるかもしれないが――というような問いかけからはじまる。われわれが普段「黒」と認識している色は、光の反射によって認識されている「黒色」だ。ざっくりと言えば、光が黒いものに当たり、それが反射され、われわれの目に「黒」という色が映っている。だが宇宙の黒は違う。宇宙では光が返ってこない。光は行ったきり戻ってこず、そこに存在するのは、何の反射でもない、まさに無の光(闇)。あの真っ暗さは黒とは明らかに違うのだ......。
 『ホエア・ライト・エンズ』というタイトルからは、思わずこの話が思い出された。光が終わるところとは宇宙なのか、それとも。

 毛利衛によるオリジナル・ストーリーと、それをもとに制作されたというジェフ・ミルズの最新音源を収めた『ホエア・ライト・エンズ』。これは貴重なコラボレーションであるばかりでなく、新しい宇宙のイメージが歴史に書き重ねられる瞬間であるかもしれない。アルバム収録は初だというリミックス音源も期待される。

ジェフ・ミルズの新作『Where Light Ends』は日本科学未来館館長・宇宙飛行士 毛利衛氏とのコラボ!!

テクノシーンを代表するDJ/プロデューサーであるJEFF MILLS(ジェフミルズ)。伝説的なテクノ・ユニット、Underground Resistanceの一員として活動していた活動初期、そしてソロとして活動を開始してから現在に至るまで、“宇宙”というテーマにこだわり続け、多くの作品の中で表現し続けてきたアーティストだ。

昨年、自ら主宰する音楽レーベル〈Axis Records〉が創立20周年を迎え、その活動の集大成として20周年記念盤『SEQUENCE』をリリースし、同時に新章へと向けた展開を開始、その第一弾となる作品はなんと、1992年、スペースシャトル、エンデバーに日本人として初めて搭乗した毛利衛氏とのコラボ作品だ。

現在、日本科学未来館館長を務める毛利衛氏とJEFF MILLSは昨年2012年に初対面。様々な意見が交換されると同時に、毛利氏はJEFF MILLSに未来館の「Geo-Cosmos」(1000万画素を超える高解像度で、宇宙に輝く地球の姿を映し出す有機ELパネルを使った世界初の地球ディスプレイ。日本科学未来館のシンボル展示)が展示されるシンボルゾーンで流れる音楽の制作を依頼(これまでは坂本龍一氏によるオリジナル音楽が流れていた)、またJEFF MILLSは、エレクトロニック・ミュージックとスペーストラベルを毛利氏とミックスしていくというアイデアを提案、毛利氏が快諾したことにより、2つの音楽プロジェクトが始動することになった。

JEFF MILLSが音楽を製作するにあたり、実際に宇宙空間に身をおいた毛利氏の宇宙観を共有するため、毛利氏がオリジナル・ストーリーを作成、これを元にジェフ・ミルズは最新作『Where Light Ends』を制作したということで、2人の出会いによって誰も想像し得なかったコラボレーション作品が誕生することになる。

なお、この作品は2CDとなっており、DISC2には日本人リミキサー陣による作品が収録される予定。過去、JEFF MILLSの作品をリミックスしたのは、KEN ISHIIとBEN SIMSの2人のみで、これらの楽曲も数量限定の12インチアナログとして発売されたのみ。JEFF MILLSの楽曲のリミックス作品が収録されるのは今回が初めてとなるということなので、そのラインナップが気になるところだ。

JEFF MILLSの新作「Where Light Ends」は3月27日にU/M/A/Aより発売される。

【商品情報】
テクノシーンを代表するDJ/プロデューサー ジェフミルズと日本科学未来館館長・宇宙飛行士 毛利衛による最強宇宙コラボ!

JEFF MILLS
「Where Light Ends」

2013.3.27 release


Cat No.:UMA-1015-1016
価格:¥2,580 (税抜 ¥2,457)
仕様: 2CD / ブックレット / ジュエルケース

[DISC 1] "Where Light Ends" オリジナルアルバム
1. T-Minus And Holding
2. STS-47; Up Into The Beyond
3. Light Of Electric Energy
4. Black Cosmic Space
5. Earth And The Geo-Cosmos
6. Life Support
7. Centerless
8. The Inhabitants
9. Deadly Rays (Of A Hot White Sun)
10. Extra Solar Planets (WASP 17b)
11. Way Back

[DISC 2]リミックス集
日本人アーティスト達によるリミックス曲を収録。

[ブックレット]
毛利衛(日本科学未来館館長・宇宙飛行士) によるオリジナルストーリーを収録したブックレットを封入、Jeff Millsによる作品解説、各リミキサーによる作品解説収録予定。

Chart - JET SET 2013.02.18 - ele-king

Shop Chart


1

坂本慎太郎 - まともがわからない (Zelone)
1stソロ・アルバム『幻とのつきあい方』から約一年。坂本慎太郎待望の新作7インチがリリース。坂本慎太郎が劇中音楽を担当するテレビ東京ドラマ24「まほろ駅前番外地」のエンディング・テーマの為に書き下ろした新曲「まともがわからない」。そして、カップリングにも新曲「死者より」を収録!!

2

Med, Blu & Madlib - Burgundy Ep (Bang Ya Head)
Med、Blu、そしてMadlibという注目タレントのトライアングルが放つ全9トラック収録Epが、新興レーベルBang Ya Headからリリース! Georgia Anne MuldrowやDj Romesも参加した話題盤!

3

V.A. - Soul Spectrum Records Vol.1 (Jazzman)
既に廃盤となっている人気曲も多数収録。しかもAshley BeedleとTom Nobleによるリエディット収録でボーナス7"まで付いた超強力コンピ!!

4

Asphodells - Ruled By Passion, Destroyed By Lust (Rotters Golf Club)
クラブ・ミュージックとサイケデリック・ロックを誰よりも鋭く高次元で融合させたインディ・ダンス・オリジネイター、Andrew Weatherallの最新ユニットによる待望のニューアルバム!

5

Kh - The Track I've Been Playing That People Keep Asking About And That Joy Used In His Ra Mix And Daphni Played On Boiler Room (Text)
もちろん今回も即完売必至。凄まじく長いタイトルで届けられた、タイトル通りJiaolong主宰Daphniもプレイしまくりで話題のトライバル・ミニマル完全限定プロモがこちらです!!

6

Dj Fett Burger & Dj Grillo Wiener - Disco Tre & Disco Fire (Sex Tags Ufo)
Sony Norgから、Annieとのミックス作品をリリースすることでも知られる、Dj Fett Burgerと、Dj Grillo Wienerによるスプリットシングル!

7

V - 13th District Ep (Nuearth Kitchen)
シアトルを拠点とする先鋭レーベルNuearth Kitchenからの登場となるのは、ファンクやジャズへの傾倒著しいエクスぺリメンタルなハウス作品を披露するVakulaの新プロジェクト"V"名義でのフル・アルバムが待望の入荷!

8

Lucas Arruda - Sambadi (Favorite)
Azymthを彷彿とさせる超絶品。Favoriteからのメロウ・ブラジリアン・フュージョン・グルーヴ!ブラジル・リオ出身の新鋭クリエイター、Lucas Arruda。おなじみFavoriteから、Andre Solomko Meets Azymthなデビュー・7インチ!

9

Oh No - Disrupted Ads (Kashroc Entertainment)
『Ohnomite』,『Dr. No's Kali Tornado Funk』を経てリリースされるドス黒最新アルバム!ゲスト陣はBlu、Med、Gangreneといったお馴染の面々に加え、Chali2naとRoc 'c'によるコンビ=Ron ArtisteやGeorgia Anne Muldrow、Souls Of Mischief、9th Wonderの秘蔵っ娘Rapsodyらが参加!

10

Angeline Morrison - The Feeling Sublime Ep (Freestyle)
4曲とも凄いソウルフル・ポップ・ヴォーカル驚異の新人!Lack Of AfroやFrootfulの作品にフィーチャーされていた白人女性歌手Angeline Morrisonのソロ・デビュー7インチ!

Pick Up -shrine.jp - ele-king



97年に設立され、ひとつの哲学のもとに独自のIDMを模索しつづける国内レーベル、〈シュラインドットジェイピー〉をele-kingの視点でご紹介しよう。注目するのは、2011年よりほぼ毎月のペースでリリースされてきた21タイトル。主宰である糸魚健一のブレない音響観やアート・ワーク、繚乱と展開される各アーティストのサウンド・デザインを楽しみたい。国産のエレクトロニカやIDMの水準をしっかりと感じ取ることができるだろう。

Thee Oh Sees - ele-king

 ジ・オー・シーズは、USのライヴハウス・シーンではもっぱら愛され続けているバンドで、どのくらい愛されているかというのは、沢井陽子さんのレポートを読んでください
 ポジティヴな意味で、アメリカらしい足を使って、汗を流しているバンドである。東京公演には、ゲラーズ、そしてザ・ノーヴェンバーズも出るし、来週の月曜は渋谷〈O-nest〉、火曜日は名古屋〈KD JAPON 〉、そして、水曜日は大阪〈Conpass 〉で騒ごう。



[いいにおいのするThee Oh Sees JAPAN TOUR2013]

サンフランシスコ発世界中で大ブレイク中のアヴァンギャルドでpopなガレージ・サイケ・バンド、 Thee Oh Sees 、遂に日本に降臨!
なんと、大阪公演には、西宮の狂犬・KING BROTHERS(キングブラザーズ)が、東京公演には、トクマルシューゴ含むGellers、いまをときめくTHE NOVEMBERSが出演!

東京編 2/18@O-nest
Open/18:00 Start/19:00
adv/3.000 door/3,500
■Pコード:【191-065】,
■Lコード:【76462】,
e+
【出演】
Thee Oh Sees
Gellers
THE NOVEMBERS
Vampillia

名古屋編 2/19@KD JAPON
Open/18:00 Start/19:00
adv/2.500 door/3.000(+1drink )
■Pコード:【191-065】 ,
■Lコード:【46947】,
e+
【出演】
Thee Oh Sees
MILK
Nicfit
Vampillia

大阪編 2/20@Conpass
Open/18:00 Start/19:00
adv/3.000 door/3.500(+1drink )
■Pコード:191-314 ,
■Lコード:54081 ,
■e+
【出演】
Thee Oh Sees
KING BROTHERS
Vampillia


■Thee Oh Sees
Thee Oh Sees は、John Dwyer (Coachwhips, Pink and Brown, Landed, Yikes, Burmese, The Hospitals, Zeigenbock Kopf) の、インスト・エクスペリンタルな宅録作品をリリースするためのプロジェクトとして開始された。
その後、いくつかの作品を経て、フルバンドへと進化を遂げたのである。彼らのサイケデリックな作風は、一見するとレトロなものとして、とらえられるかもしれない。
だが、彼らは、数々の最先端のアレンジを細部に施すことで、サイケデリックでありながらもしつこさを感じさせない、スタイリッシュでキレの良い全く新しい音楽として、リスナーに強く印象づけているのである。
その作品群はPithforkをはじめとする数々のレビューサイト、音楽雑誌で軒並み高評価を獲得している。
だが、数々のメンバーたちと共に録音されたこれら作品群だけでなく、常軌を逸したエネルギッシュなライブパフォーマンスこそが、ライトニングボルトと同じベクトルにある彼らの本質ともいえる。

ツアー詳細:https://iinioi.com/news.html



My Bloody Fuckin' Valentine Mixtape - ele-king

 1937年にリチャード・ロジャース&ロレンツ・ハートが作曲した"マイ・ファニー・ヴァレンタイン"は、チェット・ベイカーやフランク・シナトラからエルヴィス・コステロにいたるまで、幅広く歌われています。また、ザ・ビートルズは「僕が64歳になってもヴァレンタインにチョコをくれる?」と歌いました。
 というわけで、ヴァレンタインに乗りましょう。好きな人に捧げたい、ヴァレンタイン用DJミックステープ! 読んでくださっているみなさんも、どうぞリストをお送りください!


■木津 毅

1 尾崎紀世彦 - ラブ・ミー・トゥナイト
2 Rhye - The Fall
3 Antony and the Johnsons - Crazy in Love
4 Kylie Minogue - The One
5 Pet Shop Boys - Love Comes Quickly
6 Matmos - Semen Song For James Bidgood
7 Gayngs - Cry
8 Perfume Genius - Hood
9 The National - Slow Show
10 Wilco - On and On and On

■斎藤辰也(パブリック娘。)

1 Taken By Trees - My Boy
2 トクマルシューゴ - Decorate
3 Emitt Rhodes - Fresh As A Daisy
4 Knock Note Alien - 雪をとかして
5 Hot Chip - We're Looking For A Lot Of Love
6 AJICO - メリーゴーランド
7 Enon - Kanon
8 About Group - Plastic Man
9 About Group - Married To The Sea (b)
10 Syreeta - Cause We've Ended As Lovers

シークレット
11 The Beach Boys - Time To Get Alone (Acapella)

■中里 友

1 Outkast - Happy Valentine's Day
2 R.Kelly - Step In The Name Of Love(Remix)
3 D'Angelo - Lady (Remix) feat. AZ
4 Drake - Best I Ever Had
5 Breakbot - Baby I'm Yours
6 Best Coast & Wavves - Got Something For You
7 clammbon - sweet swinging
8 s.l.a.c.k. - I Can Take It (Bitchになった気分だぜ)
9 前野健太 - 病 (Yah! My Blues)
10 奇妙礼太郎 - オー・シャンゼリゼ

■野田 努

1 Carl Craig - Goodbye World
2 Chet Baker - My Funny Valentine
3 Beach House - Zebra
4 Ramones - Needles And Pins
5 The Velvet Underground and Nico - I'll Be Your Mirror
6 Scritti Politti - The Sweetest Girl
7 Massive Attack - Protection
8 Marcia Griffiths - The First Time I Saw Your Love
9 The Simths - I Want The One I Can't Have
10 RCサクセション - よごれた顔でこんにちわ
11 The Stylistics - You Make Me Feel Brand New
12 Nina Simone - My Baby Just Cares For Me
13 The Beatles - Here There and Everywhere
14 The Righteous Brothers ? You've Lost That Lovin' Feelin'
15 The Slits- Love and Romance

■橋元優歩

1 Baths - Apologetic Shoulder Blades
2 Airiel - Sugar Crystals
3 Clap Your Hands Say Yeah ? Let the Cool Goddess Rust Away
4 Atlas Sound - Shelia
5 Daedelus - LA Nocturn
6 Grouper - Heavy Water / I'd Rather Be Sleeping
7 Evangelicals - Midnight Vignette
8 Cloud Nothings - Strummin Whadya Wanna Know
9 Me Succeeds - The Screws Holding It Together
10 Our Brother The Native - Well Bred
11 How To Dress Well - Date of Birth
12 Twinsistermoon - Ghost That Was Your Life
13 Rehanna - S & M
14 Sleep ∞ Over - Romantic Streams
15 Jesse Harris - Pixote
16 Candy Claws - In The Deep Time

■DJ MAAR

1 The xx - Sun set
2 Herbert - I miss you
3 Francis Harris - Plays I play
4 Jesse Ware - Swan song
5 Frank Ocean - Thinking about you
6 Lil' Louis - Do you love me
7 Stevie Wonder - As
8 Grace Jones - La vie en rose
9 Edith Piaf - Hymne a l'mour
10 Louis Armstrong - What a wonderful world

■松村正人

A面

1 Barry White's Love Unlimited Orchestra - Love's Theme
2 Dan Penn - The Dark End Of The Street
3 Kevin Ayers - When Your Parents Go To Sleep
4 Red Crayola With Art & Language - If She Loves You
5 Frank Zappa - Harder Than Your Husband
6 Mayo Thompson - Fortune
7 Frank Zappa - Keep It Greasy
8 ゆらゆら帝国 - 貫通

B面

1 The Bryan Ferry Orchestra - Slave To Love
2 林直人 & MA-BOU - Can't Help Falling In Love
3 ZZ Top - Over You
4 Aaron Neville - My True Story
5 勝新太郎 - ヒゲ
6 Serge Gainsbourg - 手切れ(Je suis venu te dire que je m'en vais)
7 割礼 - こめんね女の子
8 Leonard Cohen - Hallelujah
9 Prince - I Wish U Heaven

interview with Michael Gira - ele-king


Swans
The Seer

Young God Records

Amazon iTunes

 およそ22年ぶりの来日となるので、よほどのベテラン・リスナーでもないかぎり、スワンズの来日公演を観た方は、とくにele-kingの若い読者におかれましては、すくないだろう。一介のオッサンである私でさえそうなのだから。
 あのときスワンズは過渡期にあった。82年の結成以来、『Filth』『Cop』の初期作でノーウェイヴと共振し、ジャンク・ロックの旗頭として、ひしゃげた音塊を打ち鳴らし、押しも押されもせぬアンダーグラウンドの王の地位にあったスワンズは『Greed』(86年)以降、しだいにその殺伐とした音響をスローにひきのばし音の伽藍を築くにいたった。その空間で上演する音楽は儀式というより反・祝祭としての祝祭を思わせる昏い輝きを帯びていた。スワンズの名に、いまでも多くのリスナーが抱くイメージはそれだろう。しかしながらスワンズは不変ではなかった。一貫しながら変わり続けた。80年代の終わり、ビル・ラズウェルのプロデュースでメジャーから出した『The Burning World』など、賛否両論ある作品もあるが、それにしても、彼らが音楽を前に進めようとしてきたことの証にほかならない。やがて90年代に入り、スワンズはスローさに拍車がかかり、ブレーキをかけた機関車が重い車体を引きずるように、97年には活動も停止したが、そのとき表舞台にいたのは80年代末のニューヨークのインディ・シーンで彼らと表裏の関係だったソニック・ユースだった。それから10年あまり、スワンズは、というか、マイケル・ジラは眠っていたわけではなかった。エンジェルズ・オブ・ライトとしてスワンズで未消化だった歌もの路線を探求し、〈Young God〉のオーナーとして、デヴェンドラ・バンハート、アクロン/ファミリーからジェームス・ブラックショウといった、フリーフォークないしはウィアード(weird)な、そしてこの閉塞的な世界で反転した反・祝祭とさえなり得る音楽を送り出してきた。
 それらをひとつに集約するように、スワンズは2010年、『My Father Will Guide Me Up A Rope To The Sky』でふたたび活動を開始したが、2011年3月に予定していた来日公演は東日本大震災で中止になった。今回は2年越しの待望の再来日となるが、その間にスワンズは畢竟の大作『The Seer』をリリースしている。「予言者」「先見者」と題したこの黙示録的なアルバムをひっさげ、一夜かぎり(しかも400人限定!)のステージで何をみせるか、このインタヴューがその先触れとなれば。

スワンズの演奏はどこかスピリチュアルな面での影響力があると僕たちは思うし、同じように感じるひとも観客の中にはいるようだね。例えばタントラ・セックスのように、緊張と開放、つまり自己を失うと同時に発見する感覚なんだ。

復活したスワンズは2年前の3月に22年ぶりの来日公演を予定していいましたが、東日本大震災で延期になりました。そのニュースを耳にされたとき、あなたは最初、どう思われましたか?

マイケル・ジラ:誰もがそうであったと思うけれど、ひどくショックを受けた。悲しく、忘れられないできごとだった。僕たちはそのとき、オーストラリアにいて、ちょうど日本へ出発しようとしていたんだ。それでも行きたいとみな思ったけれど、プロモーターからそれはムリだと説明があった。しかもそのときは災害の規模がどれほどのものであったかを知る前だったしね。そう、ニュースを聞いてとても悲しかったよ。いまの日本の状況はどう? 復興作業は進んでいる?

表面的にはいくらかは進んだのでしょうけど、福島の原発の問題をふくめ、復興というにはほど遠いうえに、それを置き去りにして経済を優先することにしたらしいです。ところで、そのとき、私たちには復活したスワンズの音としては『My Father Will Guide Me Up A Rope To The Sky』だけでしたが、昨年の『The Seer』を聴いて、スワンズの音がさらに進化/深化していることに驚きました。この2作の間にバンドに訪れたもっと顕著な変化は何だったのでしょう?

マイケル・ジラ:それは一年間のツアーを経験したことだね。ライヴでの演奏を通して、音が変わっていったんだ。『The Seer』の曲も、演奏を繰り返すうちにずいぶん変化した。

自然に変化していったということですね。

マイケル・ジラ:そう、行ったり来たり。試行錯誤で、僕の場合メンバーをなだめながらやっていく必要もあった。良くも悪くも僕はバンド・リーダーだからね。ときには喜びと怒りでバンドに大声を出すことだってある。まさにライヴの作業だ。そうやって奮闘しているうちに少なくとも僕たちにとっては最高だと感じられるものができて、そのときやっと頂点に辿り着いたと実感できるんだ。

僕はミュージシャンとして正式な訓練を受けたわけでもないし作曲家でもないから、すべて直感で仕事をしている。そして何ごとも恐れず、ひとつの映画を制作するまでの映画作家のように試行錯誤しながら作業をする。

前作『My Father Will Guide Me Up A Rope To The Sky』もそうですが、『The Seer』には何らかの宗教的な主題が込められていると思われます。私たち日本人はからずしもすべての人間がそうであるとはかぎりませんが、宗教的に「曖昧」であり、スワンズの言葉の信仰的および背徳的な面がわかりにくいところもあります。今回、あたなは『The Seer』にどのようなコンセプトをもたせたのか、詳しく教えてください。

マイケル・ジラ:日本人にとって特別わかりがたいとは思わない。僕はあまり言葉のコンテンツについて語るのは好きじゃない。なぜなら誰もが自由にそれぞれの想像力を働かせ、何かを経験する機会を持つべきだと思うから。曲のコンテンツについて語ってしまうと、まるで大学の試験にでも答えるかのように終わってしまう。そういう意味ですべてを解放したままでいたい。音楽のスピリチュアルな面については、僕は特定の宗教に属しているわけではない。けれど、スワンズの演奏はどこかスピリチュアルな面での影響力があると僕たちは思うし、同じように感じるひとも観客の中にはいるようだね。例えばタントラ・セックスのように、緊張と開放、つまり自己を失うと同時に発見する感覚なんだ。それが僕たちが興味をもっていることのひとつ。日本の仏教の禅宗や瞑想にも通じるところがあるんじゃないかな? 自己を深く認識するのと同時に、すべてを解き放す感覚なんだ。

『The Seer』は2枚組2時間におよぶ大作(DVD付き3枚組もある)ですが、音楽作品のトレンドがLPサイズになってきている思しき昨今、このような作品をリリースすることに、レーベル・オーナーとしても、ためらいはありませんでしたか? 私は『The Seer』には一瞬たりとも退屈は瞬間はないと思いましたが。

マイケル・ジラ:(キッパリと)ためらいはまったくなかった。なぜなら僕はもうそういうことを気にしていないから。ひとがどう思おうが関係ないんだ。もちろん僕だって生きていくためにはレコードを売らなくてはいけないけど、僕と僕の仲間は音楽が導くところに迷いなく進もうと決めていた。このレコードの制作を始めたときも色々と録音し、僕がそれらを膨らませたり、アレンジしたりするうちに最初に録音したものが成長していったんだ。その時は4枚くらいのCDで4時間くらいの長さになるかと思っていたよ。結果的に2時間に収まったけれど、別に特別なフォーマットに収めようとムリしたのではなく、たまたま3枚のCD、2つのLPであったということ。とりあえずサウンドが誘導するところへ進んでいき、どうやってリスナーにそれを提供するかは後で考える。すでにもう一枚アルバムを制作できるくらいの素材があるけれど、それがどんな形になるかはまったくわからない。

『The Seer』の"The Seer""A Piece Of The Sky""Apostate"などは組曲的な構成ですが、これらの曲はどのような構想のもと生まれたのでしょう? またレコーディングでは、これらの曲は即興的な要素も含むライヴな手法で録音されたのでしょうか? スコア的なものに基づき、厳密に構成されているのでしょうか?

マイケル・ジラ:直感で構成していく。ほとんどがまずアコーステックギターから始まる。"The Seer" のように規模の大きい、長い曲もそう。バンド・メンバーと仕事をしていくうちに、だんだん成長し、新しい姿が形成されていく。誰かが僕をワクワクさせることをやった瞬間にはそれを追究してみて、それが新しいセクションになったりね。反対に誰かが僕の気に入らないことをすれば、それはカットしようと話す。すべてがそんな感じに育成されていくんだ。核となるミュージシャンたちと基本的な録音が終わった時点で、僕のいわゆるレコード・プロデユーサーという役割がはじまる。曲に何が必要かを想像して、たとえば曲そのものだけではなく、イントロダクションが必要だと判断したりする。"A Piece of the Sky" はまさにそうだった。曲の前半は僕と僕の友人たちが自然に曲を形成、そしてレコーディングして、後半部分に実際のバンド・メンバーが加わったんだ。僕はミュージシャンとして正式な訓練を受けたわけでもないし作曲家でもないから、すべて直感で仕事をしている。そして何ごとも恐れず、ひとつの映画を制作するまでの映画作家のように試行錯誤しながら作業をする。

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もちろんいまも昔もドローンやトーン・クラスターなどに惹かれるけれど、僕にとにかくコード チェンジは気が散ってしょうがないんだ。正直なところ、コードを一回チェンジするのだって気が散ることがある。


Swans
The Seer

Young God Records

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サウンド面についてお訊きします。新生スワンズは通常のロック・バンドのスタイルに加え、ハンマー・ダルシマーやオーケストラ・ベル、ラップ・スティール、そのほか多楽器主義的な編成になっています。スワンズがこのようなスタイルをもつに至った経緯を教えてください。

マイケル・ジラ:友人たちがたまたま演奏している楽器だから取り入れたまでだよ(笑)。でも、特にハンマー・ダルシマーは、開放的な余韻がとても気に入っているし、ベルも同じだよ。どのようにレコードを編成していくかについては、スワンズの基本的なメンバーが演奏を終了してから、その曲が何を必要としているかを想像して、メンバーに声をかけるんだ。ときには楽器ではなくある特定の人物を思い描くこともある。この曲はビル(Bill Rieflin/ビル・リーフリン Honorary Swanとクレジットされているサイド・メンバー。元ミニストリーのマルチ・インストゥルメンタリスト)が必要だ、とかね。僕の親友のビルはこのレコードでおよそ十はくだらない楽器を演奏している。まだ彼がなにも聴いていないうちにスタジオへ飛行機できてもらって、そのときあるがままの曲を聴かせてどう思うかと訪ねてみた。すると彼はじゃあここはピアノの演奏を入れようとか、ここはベースを入れようとか何かしら提案するんだ。でも、すばらしい感受性を持っている彼の存在自体が大切で、僕は彼がどのように演奏しようとかまわなかった。ときには歌ってもくれたしね。

2000年代にアメリカのアンダーグラウンドで盛り上がったドローンはスワンズを雛形にしている部分があると思いました。この意見についてどう思われますか? またドローン、あるいはトーン・クラスター的な音響手法はスワンズにとって重要なものでしょうか?

マイケル・ジラ:たしかに雛形になっている部分はあるかもしれないけれど、審美的、または知的な意味では違う。もちろんいまも昔もドローンやトーン・クラスターなどに惹かれるけれど、僕にとにかくコード チェンジは気が散ってしょうがないんだ。正直なところ、コードを一回チェンジするのだって気が散ることがある。でも、きみが気づいてくれているようにひとつのサウンドは沢山のニュアンスと無限の可能性を秘めている。だからひとつの音をただ持続させているのではなく、僕たちのサウンドには常に動きがある。それは様々な楽器や、モジュレーションを駆使しているからだ。いつも何かが変化している。リズムが変化している。そういう方法をとったほうが効果的に波にのることができると思うんだ。

私はあなたが「The Quietus」というサイトに発表した、13枚のお気に入りのアルバムを拝見しました。ストゥージズ、ドアーズ、ボブ・ディラン、マイルス・デイヴィスらの作品に混じって、そのなかに、ヘンリク・グレツキ、アルヴォ・ペルトというふたりの作曲家の作品をみつけましたが、彼らがともに東欧系であるのは偶然でしょうか? あるいは、たとえば、バルトーク・ベラのような東欧的な作風に何か惹かれるポイントがあるのでしょうか?

マイケル・ジラ:ああ、あれは良いウェブ・サイトだね。そうだな、たぶん惹かれるところがあるんだと思う。昨夜ペンデレツキを聴いていたんだけれど、あれはとてつもない。ああいった感情に極限的なインパクトを与える音楽を好む傾向があるんだろうね。ひとはそれを音楽の暗い面というかもしれないけれど、僕はちっとも暗いと思はない。ただただ感動的だと思う。グレツキの"交響曲第2番"をはじめて聴いたとき、スワンズのサウンドにそっくりだと思ったんだ。でも彼は作曲家だから、もっとサウンドにバリエーションがある。それにあの曲はグレツキの作品の多くがそうであるように、最初はまるで世界の終わりを思い起こさせるようだけど、次第にとても穏やかで美しいものへと流れていく。彼の"交響曲第3番"を聴いたことがあるなら、とても美しい曲だとわかるだろう。あれはなぜか80年代に彼のポップ・ヒットとでもいえるようなものになっていたよね。とにかく、そういったサウンドに惹かれるのはたしかだ。

イスラエルに滞在していたとき、僕のヒッピー仲間が相当な量のハシシを残していった。バカでナイーブだった僕はエルサレムの地元のホステルでそれを売ろうとして、そこを現行犯で警察に捕まって、結果的に3ヶ月半拘留された。

スワンズ、エンジェルズ・オブ・ライト、あなたのソロ名義や〈Young God〉のヴィジュアル・アートワークは印象に残るものが多いのですが、『The Seer』のジャケットを手がけたサイモン・ヘンウッドや過去の作品の多くを手がけたデーリック・トーマスなど、彼らペインターとの関係性と作品に対する思い、またアート・ディレクターとしてのあなたのヴィジュアル・アートワークに対するこだわりを教えてください。

マイケル・ジラ:彼らは僕の友人。サイモンのアートは大好きだよ。ここ数年彼の作品はものすごく成長しているけれど、あらためてなんといったらいいかは......わからないな(笑)。僕は近日行われる彼の結婚式でベストマン(花婿の付添人)を務めるんだから。彼は僕の友人で、彼の仕事が僕は大好きだ。デーリックも僕の良い友だちだけれど、サイモンほどは親しくないかな。彼はちょっとしたアウトサイダーなんだ。アーテイストとして訓練も受けているけれど、アートの世界にはまったく従事していない。彼はブロードモア精神病院で患者にアートを教えているんだ。僕にとって彼はウォルト・デイズニーとヒエロニムス・ボスを組み合わせたような人間だね。

アートワークについてのこだわりはどうでしょう?

マイケル・ジラ:特にこだわりはないよ。でも、良いセンスは持っていると思う。通常イコン的な画像を探すけど、シニカルなことをいうとその作業も一種のブランド化だからね。明確かつ簡潔、即時に目がいくような画像をとにかく中央に配置するようにしている。レーベルとスワンズ両方にとってしっくりくる画像を探すんだ。

ウロおぼえなので勘違いであればお許しください。その昔、あなたのインタヴューで読んだ気がするのですが、あなたがローティーンの頃にヨーロッパをヒッチハイカーとして旅していて最終的にイスラエルでハシシを売った罪で半年も拘留されていたというのは本当ですか? この場をかりてあなたの少年時代の話を是非ともおききしたいです。

マイケル・ジラ:ほぼ本当だよ。子どもころ、家出したんだ。14~15歳だったかな。そのとき僕はドイツにいた。ヒッチハイクしながらヨーロッパを横断し、ユーゴスロビアからギリシャ、そこからトルコに渡った。イスタンブールに何週間か滞在していたんだけれど、お金が底をついてきて、そのころ僕と僕のヒッピー仲間たちが仕事を見つけられるようなところといったらイスラエルだったんだ。だからイスラエルへ彼らと行き、そこでしばらくいっしょに過ごした後、彼らが去って行くときに相当な量のハシシを僕に残していった。バカでナイーブだった僕はエルサレムの地元のホステルでそれを売ろうとして、そこを現行犯で警察に捕まって、結果的に3ヶ月半拘留された。でもイスラエルはトルコと違うし、もちろん恐ろしいことも目撃したし自分の世界観が変わるようなできごともあったけれど、それでもまあイスタンブール刑務所にいれられていたわけじゃないからまだ良かった。拘留されているときに学んだこともある。ひとの行き来が多少あったので独房とまではいかなかったけど、ひとりでいる時間がかなりあって時間というものの大切さと必要性について考えるようになったんだ。機械的な賃金奴隷のような生活に屈服せず、いかに自分の時間を想像力豊かな方法で活用することが大切か分かったんだ。もちろん、僕を含むどんなひとにとってもそうすることが難しいのはある程度は仕方がない。刑務所にいるときは刺激というものがとても制限されるから、とにかくその部屋にいる自分の体に意識が集中して、ときにはためになり、ときには気が狂ってしまいそうだった。ひとつよかったのはたくさん本を読むようになったこと。そういう意味で僕を助けてくれた経験でもあるね。

エンジェルズ・オブ・ライトのリリックはわりと物語的なのに対してスワンズは過去も現在も非常にシンプルな散文詩を唄っているように思われます。その象徴的な言葉を使いはスワンズの名を冠して活動することに対しての重要な要素でしょうか? また、そうであれば過去と現在のスワンズではリリックを書き上げるインスピレーションはどのように変化していますか?

マイケル・ジラ:正直なところ、まだ曲を書けること自体がありがたい。たくさんの曲を書いてきたからかもしれないけど、昔に比べて曲を書くのが難しくなってきた。それにとても忙しくて、刺激になるようなことに費やす時間がない。本を読んだり、映画をみたり、イマジネーションを活性化させる時間がないんだ。でも、スワンズの言葉がどう違うかといえば、断定的ではなくあくまでも一般的に、音楽が襲いかかるように盛り上がってしだいに強くなっていくとき、物語的なリリックを導入するとなんだかがっかりするし、音楽が小さく聴こえてしまうだろう? そういったリリックはなぜか歌い手が中心となってしまうしね。そうではなく、音楽にもう一層積み重ね、聴き手が抱く疑問に答えなくともイマジネーションを活性化させるイメージやフレーズを探すんだ。大きな曲の上に物語を語ろうとすると、音楽が小さく聴こえてしまう。そういう意味でゴスペル音楽に共感するところがある。ゴスペル音楽がどんどん登り詰めていき、最後には同じフレーズを連呼するあの感覚。あれに似たアプローチなんだ。

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もう昔のスワンズの形態には戻りたくないんだ。この新しい形で進んでいきたい。


Swans
The Seer

Young God Records

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私は〈Young God〉Recordsの多くのリリースに魅了されてきたのですが、あなたのプロジェクト以外で今後も新たなバンドのリリースは予定しているでしょうか?

マイケル・ジラ:今のところないな。しばらくはないと思う。スワンズの活動で忙しいから、レーベルの他のアーテイストに時間を費やすことができないし、音楽業界の経済状勢もご存知の通りだからね。残念だけど、あまり有利な仕事とはもういえないかもしれないね。

デヴェンドラ・バンハート、アクロン/ファミリーなどのアーティストから、あなたが影響を受けたことがあるとすれば、それは何ですか?

マイケル・ジラ:特にないな。でも、いろんな意味でインスピレーションを受けた。おもに彼らの魔法のような独創力、それに彼らの若さとやる気にね。いまは彼らも年を取ってしまったからそうでもないかもしれないけれど(笑)、シニカルなところが一切なく、音楽をつくってレコーディングすることを心から愛しているひとたちと仕事をすることは当時とてもインスピレーションを受けた。もちろん、いまあげたアーテイストたちは非常に才能があったし賢い人たちだったから、とても価値ある経験だったよ。

『The Seer』には、前作にひきつづき参加したマーキュリー・レヴのグラスホッパーのほかにも、ヤー・ヤー・ヤーズのカレン・O、ロウのアラン・スパーホウクとミミ・パーカーなどが参加しています。彼らが参加した経緯を教えてください。またスワンズの子どもたちともいえるミュージシャンが活躍する現状を、結成から30年経ったいま、あらためてふりかえって、どう思われますか?

マイケル・ジラ:先ほど話した通り、僕はレコード プロデユーサーなので音楽を客観的に見るように心がけているんだ。自分の作品だからうまくいってないかもしれないけど。スワンズの基本メンバーと僕以外の人材が必要だと思ったときは、彼らを招くようにしている。例えば、僕は"Song For A Warrior"を歌っているとき、自分の声がひどいと思ったんだよ。曲にまったく合っていない。良い曲だと思ったけれど、僕の声ではダメだった。この曲はある意味、僕の6歳半の幼い娘に向けたラヴレターであって、つまり僕が死んだ後娘に聴いてほしい曲なんだ。だから他のひと、あるいはどこか母性的な声の持ち主に歌ってほしかった。ソロで歌っているときのカレンの声は本当に温かくセンシュアル、セクシーではなくてセンシュアルな歌声だと思うんだよ。彼女ならぴったりだと思ったから歌うのをOKしてくれたときはとてもうれしかった。アランやミミもいうまでもなくすばらしい。彼らは造物主との直接的な繋がりがあるんじゃないかと思うほどだよ。アランは何年も知り合いだし、彼は僕が住んでいるここニューヨーク州北部の近所に住んでいるんだ。スワンズの子どもたちについては、彼らが心から愛していることを仕事にし、生活できているのを見るのはとても幸せだよ。おかしいけど、デヴェンドラに初めて逢ったとき、彼は文無しだったんだ。家もない状態だったけれど、一年、一年半経たないうちにミュージシャンとしてある程度の生活を維持できるようになって、それを見ているのはとてもうれしいことだったよ。

ジャーボーは『The Seer』にゲスト参加していますが、ライヴで共演することはないのでしょうか?

マイケル・ジラ:たぶんないな。ゲスト参加してくれたのはうれしかったけれど、もう昔のスワンズの形態には戻りたくないんだ。この新しい形で進んでいきたい。

ジャーボーといって思いだしたのですが、あたなと彼女はかつてスキンというユニットをやってましたよね? 「スキン」というのは、あなたの作品に頻出する単語でもあります。これはある種の身体と境界を意味すると思いますが、あなたはこの言葉に何を託されていますか?

マイケル・ジラ:フハハハ。僕は、Skin は脱ぎさる(脱皮する)ものだと強く信じているんだ。

現在のアメリカ政府の社会保障政策、とくに医療保険改革、銃規制に、あたなは賛成ですか反対ですか?

マイケル・ジラ:僕は(U2の)ボノではないから演説する気はいっさいないけど、個人的な意見としては、われわれは北欧をモデルとした社会主義を目指すべきだと思う。より穏健な世界へ繋がる道は、一種のリベラルな社会主義であると思う。この場でたしかなことはいえないが、(アメリカには)たぶん希望は持てないだろう。われわれは彼らほど聡明でないし、確実に国としての統一性(団結)もないからね。

オリジナルメンバーであるハリー・クロスビー氏に、心よりご冥福をお祈りいたします。何か彼との印象的な思い出があればお聞かせください。

マイケル・ジラ:ハリーには20年もの間逢っていなかったけれど、印象的な思い出といえばこの間ジャーボーも話していたことがある。ハリーはスワンズが活動しはじめたころはものすごい酒飲みで、メンバー全員そうだったけど彼はとくに過激でたくましい人間だった。80年代マンハッタンのアルファベット・シテイと呼ばれていた地域のアパートにいっしょに住んでいたころの話。ジャーボーと僕はベッド・ルームにいたんだけれど、廊下からものすごい音がしたと思うと、ドアが閉まって何かがぶつかる音がしたんだ。そのころ、近所には焼き尽くされた車があちらこちら路上に乗り捨てられていて、酔っぱらったハリーは笑いながら車の前方を取り外し、頭の上に持ち上げたままそれをアパートに持ってきて自分の部屋に放り投げたんだ。その後彼は酔いつぶれて、次の日目が覚めると「あれはなんだ?」と。ハリーは怪力だったから、なんだかムシャクシャしていたのかわからないけれど、あるとき酔っぱらって道路のマンホールカバーを持ち上げて窓に放り投げたこともあったよ。しかし同時に彼はとても知的なヤツで、賢いとても頭が切れて話し上手だった。よく移動中のバンの中でみんなでワード・ゲームをしたんだけれど、いつも彼が勝ってたのを憶えているよ。

あたながいまもっとも大切だと思うもの/ことは何ですか?

マイケル・ジラ:それはちょっと個人的な質問だけど、もちろん音楽と僕の子どもたちだよ。

2月19日の日本公演を楽しみにしております。来日公演にかける意気込みをお聞かせください。

マイケル・ジラ:日本に行くのがとても楽しみだ。最後に訪れたのはたしか20年前だったかな? ショウは独自の命をもっているから、あえて日本に合わせられるかはわからないけど、演奏する僕らと同じように、観客のみんなも純粋に心を動かされるショウになることを願っているよ。(了)

工藤キキのTHE EVE - ele-king

 「ニューヨークはみんなが半分遊んでいる街だよ......」と言ってくれた長くNYに住む友だちの言葉で、人生はじめての大きな引っ越しの不安は多少和らいだと思う。世界はインターネットでつながっていて、さほどどの都市も変らないともいわれているけど、実際に住んでみるといままでとは別次元を生きている感じで、言語も習慣も違うと、寂しい、不安だ、英語わかんない、などにマジメに向き合えないほど、とにかく驚いてばかりの日々も1年が過ぎた。だけど良かったと思うのは、大人になってから来たので、すでに自分の好きなものを知っているから闇雲に何にでも手を出さなくてもいい。だって、あれもこれも、というぐらいNYは月曜から日曜まで毎日どこかでパーティがある。
 そんななかでもハーレム育ちのドミニカン・フィメールDJ(......というかアーティストと言った方がいいかも)のVenus Xと'HOOD BY AIR'というファッション・ブランドのデザイナーでもあり彼女の幼なじみの$HAYNEでオーガナイズしているパーティGHE20G0TH1K(ゲトーゴシック)は、フリークドアウトできるパーティのひとつだ。

 ダウンタウンやブルックリンのヤング・ジェネレーションが集まるパーティには案外ミュージック・ナードが少ない。サウンドシステムにうるさい人もあまりいない。'グッドミュージック'を楽しもうとするよりも、ウイード吸ってハイになって、MDMAやマッシュルームでどれだけ踊り狂えるか、フリークドアウトできるのか......というような音楽の楽しみ方をしている若い子が多いと思う。だからほんとストレス発散には最高だし、そして最近のMDMAは翌日のディプレスもない......!  
 とはいえ、GHE20G0TH1Kにはもちろんグッド・ミュージックで踊るために行っているんだけど、そのパワフルな動きを一緒につくっているのが、FADE TO MINDのKingdomやNguzunguzu、MikeQ、Fatima Al QadiriそしてPhysical Therapy、Dutch E Germ、 Brenmar、Total Freedom(この人は最高!)など、同時代にタイミングよくメンツが揃っているのも、このシーンを強いものにしていると思う。

 フロアでかっている曲は、シカゴのジュークやグライム、レゲトンやラテン・ハウス、ハード・ハウス、ローカル・アンダーグラウンドや南部のゴス・ラップ、テクノ、R&Bにアルジャジーラの放送や、メイクアップに倒錯したアメリカのティーンのYoutubeをかぶせたり、ニルバーナの"スメルズ・ライク・ティーン・スピリット"を激重くチョップド&スクリュードしたり......さらに初音ミク的なものも。そうだ、ゲストに元Three 6 MafiaのGangsta Booや地元ハーレムの仲間としてA$APも登場したこともある、かなりラジカルでクレイジーなパーティ。
 客層もゲイ・ピープル、フェミニスト、アーティスト、ミュージシャン(というかNYで出会った人の80%はアーティストまたはミュージシャンと名乗る人ばかりだけど......)。ファッション系はNYのオールドスクール「V」や「W」 ではなく、まさにGHE20G0TH1Kと同時期にスタートした、ニュースクールのファッション・サイト『DIS MAGAZINE』や、そのフォロアー。
 ハッキリ言ってNYの若い子は東京やロンドンに比べたら全員がとびきりオシャレではない、と思う。パーティに集まる若い子も、90'Sのレイヴの独自の解釈? Tumbler的なインターネットに転がっているゴミをかき混ぜたような......ファッショントレンドというよりも、DIYで混ぜこぜにしたイメージを楽しんでいる。そして、どれだけパーティのブッ飛び要素になれるか......。

 GHE20G0TH1Kも最初は小さいバーからスタートして、2010年にはそれを面白いと思ったMoMA PS1のキュレーターが毎夏開催しているWarm UpというシリーズのパーティにGHE20G0TH1Kを抜擢、その後はブッシュウイックのトルティーヤ工場などのウエアハウスのパーティで知られるようになって、2011年には『NY Magazine』や『Village Voice』のベスト・パーティに選ばれ、さらに2012年にはガゴシアン・ギャラリーでのダミアン・ハースト展のアフター・パーティ、Gang Gang Danceのフロント・アクトとして一緒にツアーを周り、ファッションウイークのDJ、そしてマイアミのアートバーゼルにも呼ばれてと......。'アメリカンドリーム'じゃないけど、新しい動きには必ずフックアップする人たちがいて'次へのステップ'が用意されているのも興味深い。しかも、そういったヤングのアンダーグラウンドのトレンドをファッションよりもアートが先に眼を付けるのが、アートマーケットが確立しているNYならではだ。
 GHE20G0TH1Kって名前もそうだけど、NYはヴェルヴェット・アンダーグラウンドしかりヒップホップしかり昔から、ラリー・レヴァンさながらダンス・ミュージックを'言葉'でつなぐようなリリカルなものに反応するDNAがある街だと思う。Venusたちにもパーティのフライヤーには'Mind Fuck'や、いつもアナーキーなパンチラインがあり、それこそエジプトのデモがあった時のアルジャジーラの放送をビートにのせるような、わけのわからないサウンドを生み出しているけど、それが狂乱の夜にがっちりとハマる。まさに言葉で煽るというNYのダンス・ミュージックの伝統を継承しているニュースクールだ。
 最初は一緒にパーティに行く友だちも少なくて、あのパーティ行ってみたいけど......ひとりだと嫌だなーと見逃したこともたくさんあったけど、開き直ってひとりでも遊びに行くうちにだんだん、いつものメンツがいたりして、東京にいた時もそう思っていたけど、一緒に酔っぱらったり踊っているうちに仲良くなるって世界共通なんだよね

 ありそうでなかった。とはこういうときの言葉だ。フリーペーパーにライヴハウスのスケジュールが並んでいるのは目にするけれど、ライヴハウスに行こうというときにフリーペーパーを開いていることはあまりないだろう。だいたい、そういったフリーペーパーをパラっと開くときはだいたいがライヴハウスにいるときだし、持ち帰らないし......。
 「DIY/ALTERNATIVE TEAM(組合)」を標榜する〈DUM-DUM LLP〉が、「LIVEHOUSE N.O.W.」の正式版を2月8日(金)に開設する! ベータ版である厳選された数か所のライヴハウスの週毎のスケジュールを集約し、一覧にしてとても見やすく紹介してくれている。点在したライヴ情報を集約しているので、「ライヴハウスにでも行こうかと思うけど、今週はどこでなにが観れるかな」という気分のときに重宝できるだろう。実際、そうした気分を掬ってくれるサービスとして貴重なものだ。

 2月8日の正式版オープンを記念したイヴェントが、同日夜の18:00から渋谷クアトロで開催される。
 出演者は、デビュー・アルバムも噂されているTHE OTOGIBANASHI'Sから、トイプードル(岡村靖幸)とのタッグOL KILLERでも知られる=DJ WILDPARTY、快速東京のフロントマン・福田哲丸がギターを弾いているらしいカタコト、最近たて続けにアルバムをリリースをしたどついたるねん、奇をてらいながらボトムも頼もしい演奏をするFat Fox Fanclubなどなど。ヒップホップ色のあるユニークなメンツだ。

■LIVEHOUSE N.O.W. | DUM-DUM MAGAZINE
https://magazine.dum-dum.tv/livehouse-n-o-w

■DUM-DUM LLP weblog - DUM-DUM通信 LIVEHOUSE N.O.W.正式版完成(2/8 Open)
https://dum-dum.tv/blog/?p=852


今回DUM-DUM LLP監修のライブハウス情報一覧サイト「LIVEHOUSE N.O.W!」の正式版完成記念してライブハウス自由化計画イベント開催します!

ポップミュージックの世界では再結成の流れも顕著で元気な大人が人気ですが、これは若者の椅子が次々とられていく流れでも確かにある。

若者は若者らしく、 先人を敬わず、大人はわかってくれない、或いはDon't trust over 30のスタンスで、形骸化したこの業界に切り込んで欲しいと切に願います。

大人が眉をひそめ、躊躇することを若者が本能的に平然とやってのける!その瞬間に私たちは痺れています!

「N.O.W!-Don't trust over 30-」
2013年2月8日(金)@渋谷クラブクアトロ
OPEN/START:18:00
Charge :Free !!!!(Drink charge 別)
Lineup :
THE OTOGIBANASHI'S
told
DJ WILDPARTY(Maltine Records)
アンダーボーイズ
どついたるねん
カタコト
GAGAOSA(GAGAKIRISE+MARUOSA)
POLTA
Fat Fox Fanclub

司会進行:キクリン(ele-king / DUM-DUM)×210yen(ele-king / パブリック娘。)

問い合わせ:
LIVEHOUSE N.O.W.
https://magazine.dum-dum.tv/livehouse-n-o-w

Chart - JET SET 2013.01.28 - ele-king

Shop Chart


1

Lindstrom - Vos-sako-rv - Todd Terje Edit (Smalltown Supersound)
ノルウェーのディスコ帝王Lindstromによる2012年最新アルバム収録2作品を同郷マエストロTodd Terjeがリエディット。既に話題となっているOlsen発のコラボレートEpに先駆けた注目の一作です!

2

Nicholas - Beat Down (Mahogani Music)
大好評を博した『Dillatroit』に続くMoodymann率いるMahoganiからの新作は、前作にも参加していたNick SpeedがNicholas名義でのヴァイナル・リリース。ExプロデューサーにはもちろんKdj!

3

Jose James - No Beginning, No End (Blue Note)
客演にはレーベルメイトのRobert Glasperや、R&bシンガーのEmily King、フランス育ちのシンガー・ソングライターHindi Zahra、Amp Fiddlerらが参加。ジャズ~ソウル~R&bを往来した最先端サウンド!

4

Toro Y Moi - Anything In Return (Carpark)
南カリフォルニアの天才Chaz Bundick = Toro Y Moi。名作『Underneath The Pine』に続く約2年ぶり通算3枚目のフル・アルバム!

5

A$ap Rocky - Long.Live.A$ap Deluxe Color Vinyl (Rca)
A$ap Mobの中心人物であり、ハーレム出身のラッパー兼ミュージック・ビデオ・ディレクター=A$ap Rockyが、メジャーRcaより世界待望のアルバムをドロップ! 見開きジャケット仕様の限定盤。

6

Secret Circuit - Afterlife (Beats In Space)
実験音楽家の父を持つことでも知られ、Rub-n-tugのThomas BullockとのプロジェクトLaughing Light Of Plenty等でも活動を繰り広げる、LaのベテランEddie Ruschaによるプロジェクト"Secret Circuit"最新作品!

7

Kenny Cox - Clap Clap! The Joyful Noise (180 Proof)
UsのKing Of Diggin'ことKon & AmirのAmirが設立したレーベル180 Proofの第1弾は、ピアニストKenny Coxの幻の名作!!

8

Jesse Boykins lll & Melo-x - Perfect Blues Remixes (Ninja Tune)
ブルックリン在住のネオソウルSsw Jesse Boykins lllと、Maxwellも絶賛のNyc出身Mc/Jj/プロデューサーMelo-xがタッグ名義で放った傑作『Zulu Guru』からの強力&限定リミックス・カット!

9

Francesco Tristano - Ground Bass (Deutsche Grammophon)
衝撃の"Strings Of Life"カヴァーでデビューを飾ったクラシック界の異端児ピアニストFrancesco Tristanoの新曲を、Brandt Brauer FrickとKirk Degiorgioがリミックスした超話題盤!!

10

Robbie M - Let's Groove (Peoples Potential Unlimited / Ronea)
以前Ppuが再発し大ヒットとなったMidnight Express Show Bandのリーダー、Robbie Mが復活。話題だった先行シングル曲も収録した待望のフル・アルバムです!!

Holly Herndon - ele-king

 ジュアナ・バーウィックとフェネスあたりとの溝を埋めるのが、ブルックリンの〈リヴェンジ〉レーベルから昨年末にデビュー・アルバム『ムーヴメント』を発表した、女性プロデューサー、ホリー・ハードンだ。彼女の「声」ネタのアルバムは、いろいろな意味で、──サイバー・フェミニズムの点からも「声」ネタの点からもアンビエント/ドローンの点かも──面白い。グルーパーとローレル・ヘイローとメデリン・マーキーの3人が好きな人にはぜひ聴いてもらいたいアルバムだ。
 さて、ホリー・ハードンの『ムーヴメント』からこの度シングルが切られることになったのだが、そのリミキサーがNHK'Koyxenときた。ふたりはロンドンで知り合ったそうだが、NHKは最近の彼の作風のように、ダンス・ミュージックへと再構築している。ゆがんだルーピングと不規則な反復を活かした展開に惹かれる。
 〈リヴェンジ〉も不思議なレーベルで、昨年のサン・アロウとコンゴスの共作が記憶に新しいが、最近はマルコム・ムーニー(CANのオリジナル・ヴォーカリスト)のソロを出したかと思えば、もうすぐリリースされるであろうマックスミリオン・ダンバー(Maxmillion Dunbar)は、初期のデリック・メイよろしく透き通ったデトロイティッシュ・サウンドだったりする。
 このレーベルの独創性というか、ジュリア・ホルターやジュリアナ・バーウィックを出したかと思えば、ホアン・アトキンスをリミキサーに起用してみたり、ジェフ・ミルズやアンソニー・ムーア(スラップ・ハッピー)なんかまで出したりとか、そのリリースのセンスには非凡さを感じる。

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