「iLL」と一致するもの

My Bloody Valentine - ele-king

 先日、ストリーミングの解禁とLP&CDのリイシューで大いに話題を集めたマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。彼らは今度、NTS Radio のキュレイターを務めることになった。同ラジオの10周年を祝う企画で、放送は4月19日。アルカやドップラーエフェクト、ミカ・レヴィやセオ・パリッシュに混じってのキュレイトというのは興味深い。聴き逃し厳禁案件です。


マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン
待望のサブスク解禁が話題沸騰中!
4月19日には NTS Radio にて
特別放送をキュレーション!
5月21日には新装盤CDとLPが再発!

3月31日に、突如『Isn’t Anything』『loveless』『m b v』のアルバム3作、そして4枚のEP作品とレアトラックをまとめた『ep’s 1988-1991 and rare tracks』のストリーミング配信およびダウンロード販売を一挙に解禁したマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。世界中の音楽ファンが熱狂する中、日本でも Spotify の「バイラルトップ50」の1位となるなど、大きな話題となった。

ストリーミング、CD/LP予約リンク
https://fanlink.to/mbv2021

5月21日には新装盤CDとLPの発売も控える中、英ロンドンの人気ネットラジオ局 NTS Radio の10周年を記念し、スペシャルゲストがキュレーターを務める特別企画『NTS 10』にマイ・ブラッディ・ヴァレンタインが登場することが発表された。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインは、初日となる4月19日(月)の放送でキュレーターを務める。なお、この企画は、世界の食糧資源の統合と分配の改善、食品の浪費の減少、食糧不足に悩む国と地域への協力を目的として創立されたグローバル・フードバンキング・ネットワーク(Global Foodbanking Network)への寄付を募るチャリティ放送となっている。キュレーターにはその他、アルカやミカ・レヴィ、ローリー・アンダーソン、セオ・パリッシュらが名を連ねている。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの新装盤CDとLPは5月21日に世界同時リリース!
各作品の発売形態は以下の通り。

Isn't Anything
・国内盤CD(高音質UHQCD仕様/解説書付/リマスター音源)輸入盤CD
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/オリジナル1/4インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/オリジナル1/4インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・スタンダード・エディションLP
・国内盤CD+TシャツセットのTシャツ・デザインには『Feed Me With Your Kiss』EPのアートワークを採用(『m b v』のTシャツセットのデザインとは異なります)

loveless
・国内盤2枚組CD(高音質UHQCD仕様/解説書付/CD1にリマスター音源、CD2には1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録)
・輸入盤2枚組CD
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・スタンダード・エディションLP
・国内盤CD+TシャツセットのTシャツ・デザインには、アルバムのアートワークを採用

m b v
・国内盤CD(高音質UHQCD仕様/解説書付)
・輸入盤CD
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・スタンダード・エディションLP
・国内盤CD+Tシャツセット用のTシャツ・デザインには『Feed Me With Your Kiss』EPのアートワークを採用(『Isn't Anything』のTシャツセットのデザインとは異なります)
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP+Tシャツセット用のTシャツ・デザインには『Glider』EPのアートワークを採用

ep’s 1988-1991 and rare tracks
・国内盤2枚組CD(高音質UHQCD仕様/解説書付/リマスター音源)
・輸入盤2枚組CD
・国内盤CD+TシャツセットのTシャツ・デザインには『You Made Me Realise』EPのアートワークを採用

UHQCD (Ultimate High Quality CD):
CD規格に準拠しており、既存のプレーヤーで再生可能。
新しく開発された製法により、従来の高音質ディスクよりさらに原盤に忠実な音を再現。


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: Isn't Anything
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-666 ¥2,300+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-666T ¥6,800+税

帯付き盤デラックスエディションLP (解説書付き)
BRDWGLP158X
帯付き盤デラックスエディションLP+Tシャツセット
BRDWGLP158XT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11779


Tシャツセット


帯付きデラックスエディションLP

[CD TRACKLISTING]
01. Soft As Snow (But Warm Inside)
02. Lose My Breath
03. Cupid Come
04. (When You Wake) You’re Still In A Dream
05. No More Sorry
06. All I Need
07. Feed Me With Your Kiss
08. Sueisfine
09. Several Girls Galore
10. You Never Should
11. Nothing Much To Lose
12. I Can See It (But I Can’t Feel It)

[LP TRACKLISTING]
SIDE ONE
01. Soft As Snow (But Warm Inside)
02. Lose My Breath
03. Cupid Come
04. (When You Wake) You’re Still In A Dream
05. No More Sorry
06. All I Need
SIDE TWO
01. Feed Me With Your Kiss
02. Sueisfine
03. Several Girls Galore
04. You Never Should
05. Nothing Much To Lose
06. I Can See It (But I Can’t Feel It)


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: Loveless
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤2CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-667 ¥2,500+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-667T ¥7,000+税

帯付き盤デラックスエディションLP (解説書付き)
BRDWGLP159X
帯付き盤デラックスエディションLP+Tシャツセット
BRDWGLP159XT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11780


Tシャツセット


帯付きデラックスエディションLP

[CD TRACKLISTING]
CD 1: remastered from original 1630 tape
01. Only Shallow
02. Loomer
03. Touched
04. To Here Knows When
05. When You Sleep
06. I Only Said
07. Come in Alone
08. Sometimes
09. Blown a Wish
10. What You Want
11. Soon
CD 2: mastered from original 1/2 inch analogue tapes
01. Only Shallow
02. Loomer
03. Touched
04. To Here Knows When
05. When You Sleep
06. I Only Said
07. Come in Alone
08. Sometimes
09. Blown a Wish
10. What You Want
11. Soon

[LP TRACKLISTING]
A Side
01. Only Shallow
02. Loomer
03. Touched
04. To Here Knows When
05. When You Sleep
06. I Only Said
B side
01. Come in Alone
02. Sometimes
03. Blown a Wish
04. What You Want
05. Soon


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: m b v
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-668 ¥2,300+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-668T ¥6,800+税

帯付き盤デラックスエディションLP (解説書付き)
BRDWGLP160X
帯付き盤デラックスエディションLP+Tシャツセット
BRDWGLP160XT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11781


CD Tシャツセット


LP Tシャツセット


帯付きデラックスエディションLP

[CD TRACKLISTING]
01. she found now
02. only tomorrow
03. who sees you
04. is this and yes
05. if i am
06. new you
07. in another way
08. nothing is
09. wonder 2

[LP TRACKLISTING]
side a
01. she found now
02. only tomorrow
03. who sees you
04. is this and yes
side b
01. if i am
02. new you
03. in another way
04. nothing is
05. wonder 2


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: ep's 1988-1991 and rare tracks
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤2CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-669 ¥2,500+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-669T ¥7,000+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11782


Tシャツセット

[CD TRACKLISTING]
CD 1
01. you made me realise
02. slow
03. thorn
04. cigarette in your bed
05. drive it all over me
06. feed me with your kiss
07. i believe
08. emptiness inside
09. i need no trust
10. soon
11. glider
12. don’t ask why
13. off your face

CD 2
01. to here knows when
02. swallow
03. honey power
04. moon song
05. instrumental no. 2
06. instrumental no. 1
07. glider (full length version)
08. sugar
09. angel
10. good for you
11. how do you do it

Scotch Rolex - ele-king

 90年代シーフィール作品のリイシューがアナウンスされたばかりだけれど、10年代シーフィールのメンバーであるブライトンのシゲル・イシハラは、もともとノイズ・ミュージシャンであり、DJスコッチ・エッグの名ではチップチューンのアーティストとして知られている(『ゲーム音楽ディスクガイド』監修の hally 氏とも交流あり)。近年はワクワク・キングダムの一員としても活躍中だ。
 その彼がなんと、いまもっとも注目すべきウガンダのレーベル〈Nyege Nyege Tapes〉傘下の〈Hakuna Kulala〉から新作をリリースする(名義もスコッチ・ロレックスへと進化)。同作にはケニアのメタル・デュオ、デュマ2020年のベスト・アルバム30選出)のロード・スパイクハートも参加しているとのことで、これは聴き逃せない。超チェックです。

artist: Scotch Rolex
title: Tewari
label: Hakuna Kulala
release: April 30, 2021

tracklist:
01. UGA262000113 - Omuzira (feat. MC Yallah)
02. Success (feat. Lord Spikeheart)
03. Cheza (feat. Chrisman)
04. Nfulula Biswa (feat. Swordman Kitala)
05. Afro Samurai (feat. Don Zilla)
06. Tewari
07. Juice (feat. MC Yallah)
08. U.T.B. 88
09. Sniper (feat. Lord Spikeheart)
10. Wa kalebule
11. Lapis Lazuli (feat. Lord Spikeheart)

https://hakunakulala.bandcamp.com/album/tewari

MYSTICS - ele-king

 スウェーデンのマーカス・ヘンリクソン、札幌の Kuniyuki Takahashi、そして昨年『ASTRAL DUB WORX』を発表したした東京の J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY) によるコラボ・プロジェクト、MYSTICS がアルバムをリリースする。
 なんでも、「共通する神秘主義的な思考、センスが音楽の中で爆発し、化学変化が起こ」ったそうで、ハウスを基礎にしつつ、尺八や箏、アラビック・ヴァイオリンなどをフィーチャーしたディープな一作に仕上がっているようだ。ダブミックスは内田直之。神秘的な音楽旅行を体験しよう。

Bobby Gillespie & Jehnny Beth - ele-king

 昨年は BO NINGEN の新作に客演、今年の秋には自伝『Tenement Kid』の出版を控えるボビー・ギレスピー。彼とサヴェージズのジェニー・べスによる共作がリリースされる。タイトルは『Utopian Ashes』で、7月2日発売。
 2015年のスーサイドの公演で知り合ったというふたりだが、同作にはアンドリュー・イネスやマーティン・ダフィといったプライマル・スクリームの面々に加え、ベスの長年のコラボレイターであるジョニー・ホスタイルも参加しているとのこと。
 古典的なカントリー・ソウルのデュエットからインスパイアされたという同作について、ベスは「小説の登場人物を創造するように、キャラクターをつくったんだ」と発言している。「そしてそこに自分を置いてみる。人間の現状を理解するためにね。だから歌はオーセンティックじゃなきゃいけなかった」。他方ギレスピーは「曲を書くときは虚構の人物と結婚して、アートをつくるんだ」とつけ加えている。「音楽に痛みを取り戻したかったんだ」「最近のロックじゃ聴けないからね」とも。
 現在、同作より “愛し合っていたころを覚えてる(Remember We Were Lovers)” が公開中。うーん、しみます。


My Bloody Valentine - ele-king

 これまでなかったのか。そう、これまでなかったのだ。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが残した3枚のオリジナル・アルバムとEP集、計4タイトルが、ついにストリーミングにて解禁される。さらに5月21日には、同4タイトルがCDとLPで再発される!
 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインといえば、今年で30周年を迎える『ラヴレス』が出た当時、かのブライアン・イーノが「アンビエント」と呼んで絶賛したほどで、後のロックにおける音響実験に多大なる影響を与えたバンドだ。初めて聴く方にはまたとない絶好のチャンス、長年のファンもこれを機にあらためて彼らの音を浴びてみよう。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン
超待望のサブスク/デジタル解禁
至福の轟音が一挙リリース!
5月21日には新装盤CDとLPの再発売も決定!
数量限定のTシャツセットや各種特典も見逃せない!

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが、〈DOMINO〉との電撃契約を発表し、本日より、1988年の1stアルバム『Isn’t Anything』、1991年の2ndアルバム『loveless』、2013年の3rdアルバム『m b v』、そして4枚のEP作品とレアトラックをまとめた『ep’s 1988-1991 and rare tracks』の4作すべてがストリーミング配信およびダウンロード販売が初解禁! さらに、音源からパッケージに至るまで、バンドのこだわりが詰まった新装盤のCDとLPフォーマットで5月21日に待望の発売も決定! 国内盤CDは、高音質UHQCD仕様 (全てのCDプレーヤーで再生可能)となる。それぞれ数量限定のTシャツセットや、レコードショップ別の特典など、すべての音楽ファンにとって見逃せないアイテム満載の再発キャンペーンがスタートする。

LISTEN TO MY BLOODY VALENTINE ON SPOTIFY HERE >>>
LISTEN TO MY BLOODY VALENTINE ON APPLE MUSIC HERE >>>
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過去40年の音楽史において、最も革新的かつ影響力の大きいバンドの一つとして君臨し、音楽作品の素晴らしさはもちろん、大音量で演奏する轟音ライヴ、世代を超えたカルチャーへの影響などから、多大なる尊敬を集めるマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。ビリンダ・ブッチャー、ケヴィン・シールズ、デビー・グッギ、コルム・オコーサクが生み出した独創的なサウンドは、同時代のギター・バンドとは、一線を画しただけでなく、それまでの常識を根底から覆し、未来を予感させるものだった。

1988年にリリースされたデビュー・アルバム『Isn’t Anything』によって、彼らはオルタナティブ・ミュージックに革命を起こし、その後のギター・ミュージックに新しいアプローチをもたらした。そのサウンドは、数多のサブジャンルの雛形となり、ギター・ミュージックとスタジオ制作における画期的手法を提示した。同声域で歌うことで完璧に溶け合うジェンダーレスなケヴィン・シールズとビリンダ・ブッチャーのヴォーカルは、シールズのギターが奏でる眩暈がするような強烈な音を補完するもう一つのメロディックなレイヤーとして機能している。このアルバムは、激しく推進的なものから静かで不穏なものまで、収録曲の多くに存在する不気味な空間感覚によって特徴付けられている。

1991年の2ndアルバム『loveless』は、まず音楽的に、当時発表されたどの作品よりも先進的で予想を超えるものだった。ケヴィン・シールズとバンドは、純粋な感覚に基づくサウンドを徹底的に追い求め、聴く者の五感を圧倒する作品を完成させた。1990年を代表する本作は、スタジオ録音の可能性を極限まで追求した完全無欠の傑作として評価され、ザ・ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』やマイルス・デイヴィスの『In A Silent Way』、スティーヴィー・ワンダーの『Innervisions』とも肩を並べる金字塔として賞賛されている。

バンドは、1988年のデビュー・アルバム『Isn’t Anything』がリリースされる前に、『You Made Me Realise』と『Feed Me With Your Kiss』という2枚のEP作品を連続して発表しており、『Isn’t Anything』 と1991年発売の2ndアルバム『loveless』の間にも、同じくEP作品の『Glider』と『Tremolo』の2枚をリリースしている。それら、熱心なリスナーに愛される4枚のEP作品とレア楽曲を一つにまとめた『ep’s 1988-1991 and rare tracks』は、名曲がたくさん詰まったファン必携盤だ。

20年間の潜伏期間を経て、2013年に突如発表された3rdアルバム『m b v』は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインにとって最も実験的であると同時に、最もメロディックで即効性のある作品であり、改革に対する彼らの飽くなき意欲を証明したものだった。音楽とジャンルの概念をさらに押し広げた驚異的な作品として高く評価され、これまでにはなかったタイプの楽曲も収録されている。別世界の音のようであり、親しみやすくもあり、直感的に聴くこともできる本作は、それまで知られていたMBVの代名詞的サウンドが、驚くほど美しく変貌を遂げた新時代の傑作である。アルバムの最後に収録されている “Wonder 2” は、その証明であり、シールズの催眠的なギター・サウンドとドラムンベースが混ざり合ったサウンドは、多くを驚嘆させた。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの新装盤CDとLPは5月21日に世界同時リリース!
各作品の発売形態は以下の通り。

Isn't Anything
・国内盤CD(高音質UHQCD仕様/解説書付/リマスター音源)輸入盤CD
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/オリジナル1/4インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/オリジナル1/4インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・スタンダード・エディションLP
・国内盤CD+TシャツセットのTシャツ・デザインには『Feed Me With Your Kiss』EPのアートワークを採用(『m b v』のTシャツセットのデザインとは異なります)

loveless
・国内盤2枚組CD(高音質UHQCD仕様/解説書付/CD1にリマスター音源、CD2には1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録)
・輸入盤2枚組CD
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・スタンダード・エディションLP
・国内盤CD+TシャツセットのTシャツ・デザインには、アルバムのアートワークを採用

m b v
・国内盤CD(高音質UHQCD仕様/解説書付)
・輸入盤CD
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・デラックス・エディションLP(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)
・スタンダード・エディションLP
・国内盤CD+Tシャツセット用のTシャツ・デザインには『Feed Me With Your Kiss』EPのアートワークを採用(『Isn't Anything』のTシャツセットのデザインとは異なります)
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP+Tシャツセット用のTシャツ・デザインには『Glider』EPのアートワークを採用

ep’s 1988-1991 and rare tracks
・国内盤2枚組CD(高音質UHQCD仕様/解説書付/リマスター音源)
・輸入盤2枚組CD
・国内盤CD+TシャツセットのTシャツ・デザインには『You Made Me Realise』EPのアートワークを採用

UHQCD (Ultimate High Quality CD):
CD規格に準拠しており、既存のプレーヤーで再生可能。
新しく開発された製法により、従来の高音質ディスクよりさらに原盤に忠実な音を再現。


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: Isn't Anything
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-666 ¥2,300+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-666T ¥6,800+税

帯付き盤デラックスエディションLP (解説書付き)
BRDWGLP158X
帯付き盤デラックスエディションLP+Tシャツセット
BRDWGLP158XT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11779


Tシャツセット


帯付きデラックスエディションLP

[CD TRACKLISTING]
01. Soft As Snow (But Warm Inside)
02. Lose My Breath
03. Cupid Come
04. (When You Wake) You’re Still In A Dream
05. No More Sorry
06. All I Need
07. Feed Me With Your Kiss
08. Sueisfine
09. Several Girls Galore
10. You Never Should
11. Nothing Much To Lose
12. I Can See It (But I Can’t Feel It)

[LP TRACKLISTING]
SIDE ONE
01. Soft As Snow (But Warm Inside)
02. Lose My Breath
03. Cupid Come
04. (When You Wake) You’re Still In A Dream
05. No More Sorry
06. All I Need
SIDE TWO
01. Feed Me With Your Kiss
02. Sueisfine
03. Several Girls Galore
04. You Never Should
05. Nothing Much To Lose
06. I Can See It (But I Can’t Feel It)


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: Loveless
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤2CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-667 ¥2,500+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-667T ¥7,000+税

帯付き盤デラックスエディションLP (解説書付き)
BRDWGLP159X
帯付き盤デラックスエディションLP+Tシャツセット
BRDWGLP159XT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11780


Tシャツセット


帯付きデラックスエディションLP

[CD TRACKLISTING]
CD 1: remastered from original 1630 tape
01. Only Shallow
02. Loomer
03. Touched
04. To Here Knows When
05. When You Sleep
06. I Only Said
07. Come in Alone
08. Sometimes
09. Blown a Wish
10. What You Want
11. Soon
CD 2: mastered from original 1/2 inch analogue tapes
01. Only Shallow
02. Loomer
03. Touched
04. To Here Knows When
05. When You Sleep
06. I Only Said
07. Come in Alone
08. Sometimes
09. Blown a Wish
10. What You Want
11. Soon

[LP TRACKLISTING]
A Side
01. Only Shallow
02. Loomer
03. Touched
04. To Here Knows When
05. When You Sleep
06. I Only Said
B side
01. Come in Alone
02. Sometimes
03. Blown a Wish
04. What You Want
05. Soon


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: m b v
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-668 ¥2,300+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-668T ¥6,800+税

帯付き盤デラックスエディションLP (解説書付き)
BRDWGLP160X
帯付き盤デラックスエディションLP+Tシャツセット
BRDWGLP160XT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11781


CD Tシャツセット


LP Tシャツセット


帯付きデラックスエディションLP

[CD TRACKLISTING]
01. she found now
02. only tomorrow
03. who sees you
04. is this and yes
05. if i am
06. new you
07. in another way
08. nothing is
09. wonder 2

[LP TRACKLISTING]
side a
01. she found now
02. only tomorrow
03. who sees you
04. is this and yes
side b
01. if i am
02. new you
03. in another way
04. nothing is
05. wonder 2


label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: My Bloody Valentine
title: ep's 1988-1991 and rare tracks
release date: 2021/05/21 FRI ON SALE

国内盤2CD (高音質UHQ仕様 / 帯解説書付き / リマスター音源)
BRC-669 ¥2,500+税
国内盤CD+Tシャツセット:BRC-669T ¥7,000+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11782


Tシャツセット

[CD TRACKLISTING]
CD 1
01. you made me realise
02. slow
03. thorn
04. cigarette in your bed
05. drive it all over me
06. feed me with your kiss
07. i believe
08. emptiness inside
09. i need no trust
10. soon
11. glider
12. don’t ask why
13. off your face

CD 2
01. to here knows when
02. swallow
03. honey power
04. moon song
05. instrumental no. 2
06. instrumental no. 1
07. glider (full length version)
08. sugar
09. angel
10. good for you
11. how do you do it

Innode - ele-king

 2010年代初頭において音響と音楽の実験とは何だったのか。グリッチ? インダストリアル? ノイズ? ドローン? ミュジーク・コンクレート? それらは自ずと00年代以降の「音楽の尖端とはなんだったのか」「音楽のノイズとは何だったのか」という問題に行きつく。その問いの答えを示す作品のひとつが2013年にリリースされたインノードのファースト・アルバム『Gridshifter』だったと仮定してみたい。
 『Gridshifter』は、90年代以降におけるグリッチ美学の応用による電子音響作品が定着してきた00年代~10年代初期において、「音響/音楽の先端/進化とは何か」という命題を「演奏」と電子音の「生成」の両極から追求した極めて重要なアルバムだった。『Gridshifter』にあるのはサウンドをエディットし、別の方法でノイズと音楽を交錯させていくという音響実験と音響実践である。となればつまるところ00年代~10年代の先端的な音響とは「ノイズ」の新しい活用方法を実践したムーヴメントだったといえるはずである。
 インノードの中心人物であるステファン・ネメスは、あのラディアンのメンバーでもあったので、オーストリアの音響派系譜の中で重要な人物である。ゆえにこの「ノイズと音楽の新しい方法論」の問題に行くつくことは当然のことかもしれない。私見だが〈Thrill Jockey〉のラディアンに対して、〈Editions Mego〉のインノードを重要な二本の柱として置いてみるとオーストリアの、ひいては00年代中盤以降のエクスペリメンタル・音響派の豊穣さが分かってくるような気もする。
 そのような電子音、ノイズ、音楽、音響、演奏、解体、再構成。これらの要素を分解しミニマルな素材として蘇生し、それをコンポジションに用いるように音楽/音響へと変換していくような「ノイズの新しい方法論」は、ファースト・アルバムから8年の月日を経てリリースされたセカンド・アルバム『Syn』でも変わらず継承されていた。いや、そのコンポジションの手腕はさらに研ぎ澄まされていたとでもいうべきだろう。
 電子ノイズの嵐のような炸裂を経て、瀟洒でミニマルなサウンドへとギアチェンジするような1曲め “Odessa” からして凄まじいのだが、アルバムの本領が全面化するのが続く2曲め “I/O” からだ。硬質なドラムの音色が空間を切り裂くように炸裂し、ワンコードで刻みつけるベースに強烈な電子音・ノイズが冷徹に蠢く。3曲め “BBSH” と4曲め “Moon” でも同様に鉄のようなドラム/ビートとノイズがミニマルに、かつ強靭に交錯し、聴覚がどんどん覚醒していくかのような透明にしてハードな音響空間を生みだしていくのだ。
 そして静寂と炸裂を交互に繋げるような複雑なコンポジションである “Rote Wueste” ではリズムとノイズという本作の(インノードの)のコンセプトを突き詰めたようなサウンドを構築する。この曲に限らないが本作は硬質なビートに対してメタリックなノイズ・サウンドがまったく引けを取っていないことが重要なポイントに思える。
 そのノイズ・コンポジションが本アルバム中、もっとも結晶しているのがアルバムの最終曲 “L” だ。アルバム中、もっとも静謐なムードの曲だがミニマルなリズムに微かなノイズがレイヤーされていくトラックの精度と密度はアルバム中随一といえる。途中から展開するトライバルなムードのリズム展開も含めて、まるでトーマス・ブリンクマンによるミニマル・テクノといった趣の緊張感に満ちた持続を実現しているのだ。

 全7曲、このアルバムのすべての曲は、リズムに対するノイズの位置付けを問い直し、リズムの位置付けをノイズの側から問い直すような緊張感がみなぎっている。前作からリリースが8年ほどの歳月を必要としたことも、そのサウンドとノイズの緊張関係を維持したまま、作品に落とし込むために必要な時間だったのだろう。ステファン・ネメスは、本作によって、自身が2020年代においても重要な音響作家であることを見事に証明してみせたのである。

interview with Tune-Yards - ele-king

E王
Tune-Yards
sketchy

4AD/ビート
※日本盤には歌詞対訳あり。

Indie RockElectronicPolitical PopSoul

 どうしたらこの社会はよくなるのだろう。こんな身も蓋もない言葉の前には、いつだってシニシズムが現れる。関係ねー、そう思ったほうが楽だろう。だが、好むと好まざるとに関わらず、ステージ上でドラムを叩きながらダンスし歌うことで知られるチューン・ヤーズのメリル・ガーバスは、そんなことを真面目に考えているインディ系のミュージシャンとして知られている。しかもその音楽はこの10年、いろんな国のメディアやリスナーから支持され続けている。チューン・ヤーズのような音楽があること自体、我々にとって幸福なことなのだから。
 チューン・ヤーズの主題は、白人至上主義、人種差別、気候変動、フェミニズム、資本主義の欠陥や都市の再開発などであって、恋愛やドラッグの話ではない。そして彼女の明瞭なオピニオンと思考の痕跡は、たいていの場合リズム主導のダンサブルな音楽とともにある。5枚目のアルバムとなる本作『sketchy』も例外ではない。前作以上に内省的な一面があるとはいえ、それでもパワフルだし、聡明で、知的で、喜ばしくもあり、ときにはアジってもいる。

 さて、メディアや芸能界、あるいはポップ音楽やアニメの世界には、おうおうにして男社会が望むであろう女が描かれている。こうした女性像、お決まりのジェンダーを破壊したのが、パンク〜ポスト・パンクの女性たちだった。ぼくの思春期は、彼女たちに教育されたと言っていいだろう(出来は悪いが、アイドルに熱をあげることもなかった)。チューン・ヤーズのメリル・ガーバスもそうした、世界が押しつける性から解放されている女性のひとりで、この話はじつはBLMにも繫がっている。

 BLMを紐解けば、その発端には奴隷貿易があり、その背後には植民地主義がある。植民地主義とは人種差別だけの問題ではない。子供から大人になる過程の青年期における教育と深く関わっている。ヨーロッパから教育を輸入した日本も同じで、それは、男はこうあるべきで女はこうあるべきだという設定のことでもある。本来ロックとはその設定を破壊する音楽であり、じっさいその役目を果たしてきた。だから過去に戻りたい人がいるいっぽうで、チューン・ヤーズのように内面化された設定を破壊して未来に進みたい人はいまもいる。

 チューン・ヤーズはしかも、軽やかなスリーヴデザインや彼らの明るい写真とは裏腹に、深い。政治をテーマにしつつ、正しいと思っていることの背後に自分を隠さない。例えば白人の特権についての考察など困難なテーマにも、真摯に向き合っている。そのことは以下のインタヴューを読んでもらえればわかるだろう。
 もうひとつ重要なのは、チューン・ヤーズは言うなれば左翼で、一貫して“ポリティカル”ではあるが、その音楽はじつにポップでもあるということだ。もう少しサウンドについて訊けば良かったと思わないわけではないが、やはりこの人たちには、BLMやトランプ、あるいはアリエル・ピンクついて訊かないわけにはいかなかった。そしてチューン・ヤーズを構成するふたり、メリル・ガーバスと彼女のパートナーのネイト・ブレナーは、彼らの葛藤もふくめ、しっかりと質問に答えてくれた。

わたしたちは「自分の近辺にトランプ支持者はいない、彼らからはかけ離れている」、そう思っているわけだけど、じつはトランプは多くの意味で真実を語っているんじゃないかと。
もちろん、ここで言うのは注意書きつきの「真実」だけどね、彼は嘘八百だし。

今日はお時間いただきありがとうございます。

メリル・ガーバス&ネイト・ブレナー:こちらこそ!

さて──(カウチに並んで座っているふたりの膝の上にペットの子犬が割り込んできてじゃれる)お、こんにちは! あなたは誰? 男の子かな、女の子かな?

メリル・ガーバス(以下メリル):(笑)女の子。

めちゃくちゃ可愛いですねー。

メリル:フフフッ!

以前にも増してパワフルな作品で、しかもより強いメッセージがあるアルバムになりましたね。アルバムの最後が叫び声で終わっているのはなぜですか? やりたいことをやった後に自然と出てしまった叫びなのかと受け止めましたが。

メリル:いや、あれはじつはわたしの妹(ルース・ガーバス)の声。彼女は素晴らしいシンガーでね。とにかく彼女のやったことを気に入ったんだ、音程を合わせる云々を気にせずに生(き)のまま、少しリヴァーブをかけた程度の彼女のヴォイスが。すごくクールな響きだと思ったし──あっ、あれにリヴァーブはかけていないっけ。純粋に彼女の声だけだ。で、あれが自分にはとても強烈に響いたし、素晴らしいと思った。あっ!(子犬が急にクッション相手に猛烈にじゃれはじめたのをあきれて眺めつつ)あー、この子、ちょっと興奮気味。クックックックックックッ!

ネイト・ブレナー(以下ネイト):(苦笑)

メリル:(ひとしきり笑いこける)……えーと、うん。とにかくあの声をちょっとフィーチャーしたいと思ったし、これといった意味/概念を持たせるつもりは自分にはなかった。それよりもっと、あの叫びの音響としての要素のほうが重要だったし、ばっちりだと思えた。(ネイトに向かって)彼も使うのがいいと確信させてくれたし。

ネイト:フフフッ!

アルバムの歌詞には直球なアジテーションが多いように思います。それというのも、やはりいまの時代状況という背景があると思います。社会的にも動乱の多い時期ですし。

メリル:うん。

アルバム・タイトルの『sketchy』は時代をスケッチする、そんな時代状況を描くということですよね?

メリル:フム。物事にひとつに限らず違った意味がいろいろある、というのはいいなと思うんだよね。で、「sketchy」という言葉だけど、いまというのはわたしからすれば、しっかり揺るぎないものとは思えないことが多い、不安定な時期であって。だから、物事は鉛筆で輪郭をざっと描いたスケッチ(素描)程度に思えるし、それだけにいまのわたしたちは未来をあまり遠くまで見通すことができずにいる、というのが背景にあるアイディア。
それもあるし、「sketchy」という言葉の使い方には「あんまり信用できない」というのもあって(sketchy=不完全な、不十分な、漠然とした等の意味もあり)。だから、「things are kinda sketchy(なんか胡散臭いなあ)」なんてたまに言うでしょ?

ああ、はい。

メリル:あんまり真剣に捉えるべきじゃないとか、眉唾ななにか、怪しいから疑ってかかれ、という。その意味合いも、このアルバムでわたしたちが取り上げた様々な事柄の多くにとてもぴったりだと思う──付け加えると、あの言葉はわたし自身にも当てはまるんだろうな!(笑)

(笑)へえ、それはなぜ?

メリル:いやだから、聴き手も疑問を抱くべきだろう、みたいな発想から来てる。歌詞はわたしの書いたものだけれども、じゃあそれを書いている主体、このわたしはどんな人間なんだ? と。その面も考慮に入れて欲しいってこと。

covid-19のパニックがはじまって1年が経ちますが、この1年は本当にいろんなことが起きました。BLMもあったし、アメリカではトランプにQアノンなどいろいろ。日本ではこの1年政府の汚職や不祥事が続き、オリンピック問題や女性差別問題もいま持ち上がっています。ほかにも香港やミュンマーの民主化を求めるデモとか、世界の北半球だけでもいろんなことが起きていますよね。全地球で言えば気候変動問題もあります。

メリル&ネイト:(うなずきながら聞いている)

こうした諸問題は、じつはひとつに繫がっているという見方もあるわけですが、いろいろあるなかで、今作がこの激動の時代とどのように絡んでいるのかを教えて下さい。

メリル:そうだな、多くの意味で願っているのは……このアルバムを書いたのはパンデミックが起きる以前のことで。アルバムを仕上げ、ミキシング・エンジニアに音源を送ろうとしていた、まさにその矢先にこっちでパンデミックがはじまった。というわけで楽曲のテーマの多く、たとえば“hold yourself”(※本作のクライマックスであるこの曲の解説は後述されています)などは、わたしにとってあれは間違いなく──もう42歳になりつつある、れっきとした大人である自分が過去を振り返るのはどういうことか、という曲で。
わたしは1979年生まれだけど、ということはあの時点でわたしたちは温室効果ガスの存在を知っていて、それが気象変動に影響する可能性も知っていた。ところが当時の権力側はそれに対してなにもしなかったわけ。それにもちろん、現在のわたしたちが未来のために進んで払うべき犠牲や変化のために下せる様々な決断、それらが起きていない点にも目を向けている。いくつかの歌はよりはっきりとジェントリフィケーション(都市の再開発)について、あるいは心の準備について歌っているし、収録曲の多くが……たとえばいま言った“hold yourself”は明確に「これ」と言う事柄について歌っている曲とはいえ、それでもなお、音楽そのものも含めて、いま現在と繫がっていて意義のあるものであって欲しいな、と。

いろんな問題やトラブルのうちのなにかひとつにフォーカスしたというよりも、あなたに興味のあるいくつかの問題やテーマ、それに対するあなたの反応が組合わさったアルバム?

メリル:(うなずきつつ)うん、それもあるし、たとえ人びとが「この問題」、「あの問題」なんて具合に箇条書きにするとしても──この国(アメリカ)では、「気象変動問題」、「人種差別による不平等」といった具合に、物事を分けて考える傾向があるんだよね。けれども、それらのじつに多くは、完全に相関関係にあって。

ですよね、こんな風に(と、両手の指を絡ませ合うジェスチャー)。

メリル:(笑)そう。

ネイト:(笑顔でうなずく)

メリル:だから気象変動ひとつを取り上げるとしても、と同時にそれは有色人(people of color)や貧しい人びとにそれがもたらすインパクトについて話すということであって。あるいは避難民、暮らしてきた土地から移動させられた人びとについて、気象変動によっていろんな社会にのしかかる重圧について考えることでもある。正直言って、そこまで含めて問題が語られるのを耳にすることはあまりない。だけどこの、「パンデミックが起きている」ということ自体、気象変動ととても密接に関わっているわけで。なのにわたしたちは、どうして我々はこうなってしまったのか、なぜここに行き着いてしまったのか? すら語り合っていないという(苦笑)。もちろん、いずれそれについて語り合わざるを得なくなると思う。でも、言い換えればそれは……好むと好まざるとに関わらず、こうした状況は何年も、というかもう数ディケイドにもわたって準備され、互いに関わり合ってきたものだ、と。で、それはこれからも続くだろう、そう思ってる。

誰だって、臭いものにはフタをして、現状や自分たちのライフスタイルを維持する方が楽ですしね。でも、変化のときなんだと思います。

メリル&ネイト:そう。

1曲目の“nowhere, man”、2曲目の“make it right.”は男性社会への怒りと女性への激励のような展開ですが、いきなりどうしてこのような出だしになったのでしょうか?

メリル:必ずしも、曲のテーマゆえにああいう出だしにしたとは思わないな。わたしたちがアルバムの曲順を決めるときに決め手になるのは、大抵はとにかく……

ネイト:……歌詞の内容よりむしろ、その曲のテンポや曲の持つエネルギーを重視する。

メリル:ある意味、理にかなっているのかも……

ネイト:そうだよ。音楽的に強烈なフィーリングのある曲は歌詞の面でもパンチがあるわけで。だから“nowhere, man”みたいな曲が最初に来る、と。

メリル:なるほど。(ネイトと分析し合うノリになっていたので、取材者に説明する姿勢に切り替えて)さて、うん、あの2曲のどちらにも、たしかにエネルギーが宿ってる。リズム面でのエネルギーがね。だから、たぶんあの2曲をオープニングに持ってきたのは、歌詞の内容云々よりも音楽的な選択だった、わたしたちはそう思ってる。

冒頭から聴き手のアテンションをがっちりつかもうとした?

メリル:そういうこと。

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言い換えれば、内在化した女性蔑視を抱えているのは、なにも男性ばかりとは限らない、ということ。
自分のなかのミソジニーの正体を見極め、それを変えていくのは難しい。

質問者(=野田)もよく妻を怒らせているので偉そうなことを言える立場ではないのですが──

ネイト:ハハハッ!

日本が男女同権に関して後進国なのは知ってますか?

メリル&ネイト:(首を横に振って)いいや。

たとえばつい最近も、オリンピック会長の女性蔑視発言が問題になりました。彼によれば「女性は喋り過ぎる」んだそうで。

メリル:ひぇーっ??(目を丸くする)

ネイト:あいたた!(驚いた表情でメリルと顔を見合わせる)

ほかにも育児休暇もほとんどの企業で認められず夫婦別姓も実現しそうにない等々、いろいろあります。

メリル:なるほど。

日本での女性に対する姿勢等については、あまりご存知ないようですね。

メリル:いいえ、知らない。知らなかったな、それは。っていうか、あなたみたいな人に教えてもらうまで、わたしたちには知りようがないし。ノー、知らなかった。

BLMにおける民衆の蜂起には並々ならぬ思いがあったと思います。というのも、あなたは、2011年の『WHOKILL』の時点で、オークランドの地下鉄で丸腰の黒人が警官に射殺された事件を問題視していましたから(※“Doorstep”でオスカー・グラント射殺事件を取り上げた)。また、今作の“silence”という曲ではGrace Lee Boggsという、ブラック・パワーとフェミニズムにも関与していた女性活動家の言葉も絡んでいるようですね。

メリル:ええ。

まずはあなたがBLMをどう捉えているのかを教えて下さい。ポジティヴな変化が起きている?

メリル:イエス! そう。猛烈にポジティヴなことだし、だからこそ、この国でじつに多くの白人がBLMに反撃し激しい巻き返しも起きているんだと思う。というのも、BLMは本当に、ものすごくパワフルで、義心から起きている運動だから。希望に満ちあふれたムーヴメントだし、真の意味での前進を達成させる方法や実際に物事を前に進めるための知恵を備えた国内のオーガナイザーや活動家たちがたくさん参加している。

なぜGrace Lee Boggsの言葉を歌詞に引用したかについてもお聞かせ下さい。残念ながら彼女のことを当方はあまり知らないので、ぜひ。

メリル:グレイス・リー・ボグスは、中国系アメリカ人の活動家。デトロイト出身、というか生涯の大半をデトロイトで過ごした人だった(※グレイス・リー・ボグス/1915−2015。中国移民二世の社会活動家/哲学者/フェミニストで、C.L.R.ジェームズやラーヤ・ドゥエナフスカヤといった社会主義理論家と活動と共にした後、同じく活動家である夫ジェイムス・ボグスと1953年にデトロイトに転居し社会運動や執筆活動をおこなった)。
 少し前に亡くなったはずで、それで彼女の作品や活動に興味を抱く人がいま増えている。でも、注目されているのは、彼女は人びとに対して相手を強く非難・糾弾する姿勢をとらないように、わたしたちの思考回路や「物事はこう変化すべきだ」という考え方に関してあまり強硬にならないようにと諭したからであって。むしろ、わたしたちが自分自身に向かって「自分がこの世界に求める変化を実現するために、自分はどう変化する必要があるだろう?」と問う行為を彼女は求めた。
 で、それはきっと、その手の「相手をやりこめる」型の非難調の政治をわたしたちは長いこと、これまでの人生ずっと目にしてきたからなんだと思う。この国では民主党と共和党がいがみ合い、二党間で意見がえんえん行ったり来たりするばかりで、実際はなんにも前に進んでいない気がする。
 で、少なくともわたしにとっては、彼女の哲学がとても魅力的なものと映るのは、「自分はどう変わればいいのか」という考え方なら、それはわたし自身の手に負える範疇だし、自分自身の変容であれば自分にもコントロールできるし、変容に自主的に集中できる。そうやって、この決して楽ではない自己改革の過程のなかにあっても、強さ、パワー、クリエイティヴィティを見つけ出していこう、と。
 それもあるし、「信じる」ってことだと思う──これは実際にわたし自身感じていることだけど、信じることがわたしたちみんなを繋げているというのかな──だから、誰もがなにかを信じて常にそれを実践していれば、もしかしてたぶん、世界も実際に変化するんじゃないか? と。そのパワーを、たとえば権力者や政党の手に委ねるのではなくて。

変化はわたしたちのなかにある。対立する意見を持つ人びとを非難するのではなく、わたしたち自身のなかから変化を作り出していこう、と。

メリル:(うなずきながら)それは“nowhere, man”みたいな曲にも当てはまる。たしかにあの曲は、誰かを非難しているように聞こえるかもしれない。でも、と同時にわたしはあの曲で自問してもいる。要するに、「女とはなんであるか」という問いに答えきれない、そんな自分のなかにあるのはなんなんだろう? という疑問(苦笑)。

(苦笑)

メリル:(笑)言い換えれば、内在化した女性蔑視を抱えているのは、なにも男性ばかりとは限らない、ということ。

そこはいまだに自分(=通訳)も葛藤します。れっきとしたフェミニストではありませんが、そんな自分でも「なんでこうなるの?」という疑問に出くわしてきました。ただ、よく考えると、女性である自分のなかにもたしかに女性蔑視は巣食っていて。

メリル:うん。

自分の考え方は生まれ育った文化や社会に形作られたものでもあるし、家族他を見て「これが当たり前だ」と思って育った面もあって、難しいです。

メリル:うん。自分のなかのミソジニーの正体を見極め、それを変えていくのは難しい。それは、わたしも同じ。

誰もがなにかを信じてそれを実践していれば、もしかして世界も変化するんじゃないか? と。
そのパワーを、権力者や政党の手に委ねるのではなくて。

E王
Tune-Yards
sketchy

4AD/ビート
※日本盤には歌詞対訳あり。

Indie RockElectronicFunkSoul

“silence”という曲、これはパート1は“when we say <we>”の副題があり、パート2は“who is <we>”ですが、歌詞にある主体のweとは、誰のことでしょう?

メリル:あの曲で発したかった疑問は……わたしたちがよく使う「we(我々)」という言葉、そこに込められた意味は何なのかを問いたかった。別の言い方をすれば……自分にもよく分からなくて(苦笑)。だから、自分の速度をゆるめてじっくり考えない限り、「自分が言う<we>は、実際は誰を指しているんだろう?」というのは曖昧で。自分の想像力のなかで、自分の考えている主体とは誰なのか。あるいは、そこに自分が含めていないのは誰だろう、という点に関してね。たとえばこっちでラジオを聞いていたとして──ラジオの提供するニュースに関してわたしたちも満足しているし、報道ももっと先進的で、「少なくとも、自分たちはフォックス・ニュースを聞いてはいないし」と。

ハハハ!

メリル:(苦笑)うん。ところが、それでもやっぱり含みはあるわけで。だから、自分たちの聞いているラジオ局で誰かが「我々(we)」という主語を発すると、いまの自分はつい耳をそばだてて「フム。ここでラジオの言っているこの<we>って、誰を指すのかな?」と考えてしまう。「we」という言葉/主体を使っているけど、それを使っているのはそれにふさわしい人だろうか? ここで彼らの言っていることは誰もを含めたインクルーシヴな意見? それとも仮定としての「we」なんだろうか? と考える。たぶん仮定の「we」のほうが多いと思うし、ということは、その「我々(we)」に含まれない人びととの間にある壁を叩き壊すことにはならない。だから、この曲の疑問を発するのは自分には重要なことに思える。とりわけいまのように、わたしたちが地球の未来を決めつつある段階ではね。誰について、そして誰のために発言しているのか、それを常に自覚する必要がわたしたちにはあるんじゃないか、と。

“hold yourself”の歌詞の根底にあるのは、白人文化の過去に対する批判、もしくはあなたの親の世代による一種の裏切りに対する眼差しですよね? この曲で言いたかったことを説明してもらえますか。

メリル:そうした思いは、間違いなくあの曲に含まれてる(苦笑)。ただ、話しにくいテーマなんだよね、わたしは両親を心から愛しているし、べつに親に「裏切られた」と思ってはいないから。でも……たぶん、自分たち自身も──わたしたちに子供はいないけど、なろうと思えば親になっていてもおかしくない、そういう年代に自分たちも達した。で、おそらく人生のそういう一時期に入ったことで、「親だって子供」という概念を理解できるようになったんじゃないかと。この歳になっても、この世界について知らないことがまだ山ほどあると感じる自分がいるんだし(苦笑)、それを思えば自分の親だってわかっていなくて当然。自分に子供がいたとしたら、子供はわたしを見て「親だから、わかってやっているんだろう」とお手本にするだろうけど、じつはそんなわたしにもまだ理解しきれちゃいない、という。

(苦笑)ですよね。

メリル:フッフッフッフッフッ! というわけで……その意味では正直、少し悲しみも混じる。だから、あの曲で歌っているフィーリングの大半、わたしからすればそれは、悲嘆ってことになる。それくらい、「もう取り返しがつかない、手遅れだ」と感じるものがたくさんあるってことだから。そう感じるくらい、わたしたちはいろんなものを壊滅してきてしまったんだ、という。(苦笑)ぶっちゃけ、そうでしょ。それに、無力感もあると思う。自分たちに子供はいないけど、普段からキッズとたくさん接しているし、子持ちの友人も多い。だから、感覚としてはこう……なにかが起きつつある場面をスローモーションで眺めている感じ。大災害が起こりつつあるのを低速で見ている。

ネイト:うんうん。

メリル:夢のなかで悲劇がゆったり展開していくのをただ眺めている、みたいな。でも、夢だから自分には手の出しようがない、悲劇が起こるのを食い止めることはできない。そういう感覚があの曲にはある。

ほんと悲しいですね、それは。

メリル:うん、ほんとそう。

でも、これまでもそうした無力さを感じて悩んだひとはいたと思います。それに、たとえばBLMを見ていると、若い世代に限っていえば、そうした社会的な意識はそうとう更新されているように思いました。報道を見ていると、若い白人のキッズが多くBLMに参加していて、旧世代よりも団結心がありそうで。そこに希望が持てます。

メリル&ネイト::うん(うなずく)。

去年の10月のアメリカ人ライターのラリー・フィッツモーリスとの取材で、あなたの政治意識が若い頃から芽生えたことや、ブレヒトの人生に関する本を読んでいること、マルクス主義や共産主義について話している記事を読みました。

メリル:うん。

では、音楽の分野において、あなたが政治的に信頼を寄せているミュージシャンに誰がいますか?

メリル:ああ……その質問は楽じゃないな(と考えつつ)。たくさんい過ぎて「このひと」と特定しにくいから。わたしたちの音楽仲間のじつに多くが同じような思いを共有しているし、この世界で正義と平等とが実現するのを求めていて、気象変動問題にも対応している。うん、だから……(苦笑)たぶん、アメリカってこうなんだろうな。要するに、自分の生活する狭い範囲、その範疇ではほとんどの人間が自分と同じように考えている、と。となるとそこで生じる問題は、では、自分と同じ考え方をもたない人びとと会話を交わし、彼らと相互交流するにはどうすればいいのか?ということで。そうは言っても、もちろん、オークランド(※メリルとネイトが暮らす米西海岸の都市)もすごく多様だけどね。たとえば、そのなかでも非常に「進んでいる」とされるエリアですら、やっぱりトランプ支持者はいるし、彼らはいまどう感じているのやら、想像もつかない(苦笑)

(笑)

メリル:(笑)でも、いわゆる「先進的なムーヴメント」のなかですら──それはそうよね、異なるアプローチや視点があるんだし。ただ、そんなわたしたちは白人的過ぎる。大卒の学歴があり、アート系のキャリアを築いている、そういう人が多いし……だから、わたしたち(=高学歴の白人)こそ多くの人びとにとって問題だ、という(苦笑)。

いや、必ずしも問題ばかりだとは思いませんが。

メリル:うん、もちろん。ただ、わたしたち自身、自分たちのいま暮らしているこの地域のジェントリフィケーション(都市の再開発)の一端を担っているわけで。その責任を、わたしたちは問われるべきだと思う。

ロンドンからこのZOOM通話に参加していますが──

メリル:えっ、そうなんだ?!

はい。たとえばわたしの暮らす南ロンドンも、以前は荒っぽいとされていましたが、ジェントリフィケーションが進んで小じゃれたコーヒー店やクラフト・ビールのお店等々が増えて中流階級の住民が流入しています。

メリル:なるほど。

おかげで、治安はよくなったかもしれません。ただ、主に貧しい人びとが住んでいたエリアとそのコミュニティが乗っ取られたという感覚はありますし、そんなことを言っている自分もジェントリフィケーションの一因かもしれませんし。

メリル:日本でも起きている?

日本でもジェントリフィケーションは起きているでしょうね。というか、世界的な現象なんじゃないでしょうか?

メリル:ああ、そうよね。

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チューン・ヤーズをはじめた当時、わたしはアフリカ音楽ばっかり聴いていたのが大きい。
自分が内面化していたのはアフリカ音楽とそのリズムだった。
たとえば“Bizness”は明らかにフェラ・クティとトニー・アレンに多くを負っている。

ちなみに、パンク・ロックからの影響は? あなたたちのバックグラウンドはパンクやインディペンデントなDIYカルチャーにあると思っています。パンクやその周辺のDIYコミュニティは先進的な思想を掲げ、人びとを啓蒙しようとし、社会における不平等とも闘ってきました。あなたたちも強く影響されましたか?

メリル:……たぶん、ネイトはこう答えるんじゃないかな──

ネイト:(苦笑)

メリル:(笑)──パンクから、音楽的にはべつに影響されてない、って。ただ、精神性という意味ではイエス、影響された。パンク・ロックはそれほどがっつり聴いているわけじゃないんだ。ふたりとも、正直そんなに聴かないし……いや、そうは言ってもラモーンズの曲は聴いたことがあるし、ザ・クラッシュの音楽はよく聴く。ただ、それだって自分にとっては、クラッシュを聴くのは彼らがレゲエを取り入れていたからであって。

ネイト:そうだね。

メリル:彼らはそうやって、ほかの音楽伝統の数々を自らの音楽に含めていたし。だから、パンク・ロックおよびそのDIYな精神については、たしかに自分も影響を受けたと思う。そうは言っても、アメリカのパンク・シーンの多くは白人が圧倒的に大多数を占めることが多く、ゆえにそれぞれ問題を抱えていた、そこは承知しているんだけどね。ただ、あの「パワーは自分たちの側にある」というパンクの気風とか、巨大な力を持つ大企業に支配されずにリリースされた唯一の音楽だったこと、そして金銭目当てではなくたってポピュラーな音楽を作ることはできると教えてくれた、そういった意味では、うん、パンクは確実に、わたしの信条システムのなかに大きな位置を占めている。

なるほど。はじめてチューン・ヤーズを聴いたときはザ・スリッツを重ねてしまったので、ポスト・パンクに影響されたのかな? と思ったんです。

メリル:うんうん。わたしの耳を通過してきた音楽はたくさんあるし、きっとそのなかにスリッツも混ざっているんだろうな。それもあるし、単に「美しい」だとか、「天使のような歌声」と形容される以外の女性の声を耳にするのって……それが誰であれ、「女性の声はこういうもの」と普通思われているものとは違う歌い方をする女性シンガー、大声で張りさけぶひとたちは(笑)、わたしにはとても大切な存在。

アフリカのリズムを取り入れるきっかけはなんだったんでしょうか? またどうして自分の音楽にパーカッシヴな律動を取り入れたいと思ったのですか? 

メリル:べつに「そうしよう」と決めてやったことではなくて……いまあれをやろうと思ったら、たぶん二の足を踏むだろうな。それくらい、(アフリカン・リズムを白人が取り入れるのは)問題をたくさん引っ張り出す行為だから(苦笑)。
でも、それよりむしろ──チューン・ヤーズをはじめた当時、わたしはアフリカ音楽ばっかり聴いていたのが大きい。自分が消化し内面化していたのはアフリカ音楽とそのリズムだった。たとえば“Bizness”(『whokill』収録)は明らかにフェラ・クティとトニー・アレンに多くを負っているし、ほかにもいろいろある。ああ、もちろん『Nikki Nack』(2014)も。あのアルバムはとくにそうだな、実際にハイチに行ってハイチ音楽とダンスを習った上で、現地の音楽を学んだことで生まれたレコードだから。でも、意図して取り入れたのではなく、良くも悪くも、わたし自身が心から反応した音楽がアフリカ音楽だった。
それもあるし、アフリカ音楽へのアクセス路もあったから。要は、大学を卒業した頃にインターネットが存在するようになった、と(笑)。子供の頃からアフリカ音楽をいくつか聴いて育った面もあるとはいえ、目覚めたきっかけの多くはやっぱり、インターネットの登場以来もっと多くの音楽に触れることができるようになった、そこだろうな。でも──うん、さらに付け加えれば、わたしたちのどちらも、主にアフリカン・ディアスポラによる音楽を聴きながら育ったわけで。それはニューオーリンズ産の音楽かもしれないし、ジャズかもしれない。マリやナイジェリアの音楽、ジャマイカの音楽等々にハマっていったし……。うん、そういった音楽にわたしはとにかく、常に惹き付けられてきた。本当に、ごく若い頃からね。

それはもしかして、あなたはダンスが好きだからでは?

メリル:ああ、たぶんそう! アッハッハッハッハッ! たしかに、踊るのはずっと好きだから(笑)。

アメリカのことで、今回あなたに訊きたかったことがひとつあります。1月のトランプ騒動(議会乱入事件)の際にアリエル・ピンクもワシントンに出向き、トランプ応援を表明しましたよね。

メリル&ネイト:ああ……(顔をしかめる)。

音楽コミュニティ、とくにインディ音楽シーンの住人はまず反トランプ派だろうと思っていたのであれはかなりショッキングだったんですが、なぜ彼のような人がトランピストになるのか、あなたの意見を聞かせて下さい。

メリル:……(フ〜〜〜ッと大きく息をついて考え込み、ネイトと顔を見合わせる)

ネイト:……ぼくにもさっぱりわからない。不思議に思う、っていうか、同じ質問を自分自身に「なんで?」と尋ねているくらいで。

メリル:(苦笑)

ネイト:(苦笑)

メリル:答えるのは難しいな。ほかの誰かさんの頭のなかがどうなっているかを勝手に憶測したくはないし。ただ、ひとつ思うのは、わたしたちは……フム、これはどう言ったらちゃんと伝わるかな?(と軽く考え込んで)……うん、だから、わたしたちは「自分の近辺にトランプ支持者はいない、彼らからはかけ離れている」、そう思っているわけだけど、じつはトランプは多くの意味で真実を語っているんじゃないかと。彼は形式張らずに言いたい放題で、この、一種の──いや、もちろん、ここで言うのは注意書きつきの「真実」だけどね、彼は嘘八百だし。けれども彼は……

ネイト:……彼はそれこそ、もうひとつのリアリティを作り出してしまったって感じがする。だから、彼の支持者になると、その人間は彼の言う何もかもを鵜吞みにするようになり、メディアの報道は一切信じなくなる。大統領選で彼は破れたわけだけど、そのオルタナティヴなリアリティのなかでは勝ったことになっている、と。深くハマっていけばハマっていくほど、人びとは彼の言葉に心酔しのめり込み、完全に彼を支持するようになる、みたいなことだと思う。彼らの見方だと、実際のリアリティ/現実がちゃんとあるのに、彼らにとってそれはぜんぶ嘘だ、ということになって……(首を横に振りながら)いや、ぼくにもさっぱりわからないんだけどさ!

メリル:(吹き出す)クハハハハハッ!

ネイト:ただまあ、そんな風にいったんワームホールにものすごく深く、深く落ち込んでしまうと、突如として別の場所に抜ける、みたいなことじゃないかと。そこでは真実は何なのか、リアリティは何なのかがもはやわからなくなる。上昇が下降になり、下降しているつもりが上昇していたり、いわばあべこべの世界という。

メリル:(話し出そうとして)ごめん、発言を中断させた?

ネイト:いいよ、気にしないで。

メリル:いや、わたしにもひとつ言わせて。考えるんだけど……というか、つい思ってしまうんだよね……真実やなにかを想像し責任を負うことって、とりわけ白人男性にとっては、難し過ぎてやれないことなのかな? って──(「白人男性」に含まれるネイトに向かって)いや、あなたは除くから安心して。

(笑)

メリル:ただ、白人男性はいまや様々な批判にさらされているわけで。たとえば“nowhere, man”でわたしが取っ組み合っている疑問は、あなたはどんな風に──というか、自分を例にとって言うと、白人としてのこのわたしは、自分の生きるこの社会、そのすべてが自分(=白人)のために築かれたものであるという現実、それをどう受け止めるか? ということで。で、トランプが白人男性に対して──もちろん白人男性以外にもたくさんいるけど、彼がとくに白人男性層に向けて言っているのは「現実は悲惨過ぎる。事態がこんなにひどいなんてあり得ない、嘘に違いない。だからわたしの言うことを信じなさい」みたいなことで。
で、そういうひとたちが考えるのは……自分の環境を支配すること、そこなんだと思う。いまは生きているのがおっかない、本当におそろしい時代だし、だからこそ自分自身の引き起こしてきたいろんな破滅・破壊や苦痛の数々を自覚し脅威を感じるよりも、むしろ自分なりのこの世界の理解・把握にしがみつくことを選ぶ、そういう人びとが一部に出て来るんだろうな。

E王
Tune-Yards
sketchy

4AD/ビート
※日本盤には歌詞対訳あり。

Indie RockElectronicFunkSoul

最後の質問というかお願いですが、“be not afraid.”に込めたあなたの思いについて話してもらえますか?

メリル:あれは……(ネイトに向かって)音楽的なフィーリングでなにを表現したかったか、覚えてる?

ネイト:(おどけた表情で「思い出せない」という仕草)

メリル:フッフッフッ!……あの曲のヘヴィなドラム・ループが本当に気に入ったんだ。どこかしらこう、地に足の着いた感覚を抱くし、たくさんの人間があのループに合わせて行進できそうな、そんな気がした(笑)。歌詞の面で言えば、あれはわたしからのお願い、でしょうね。あの曲で、わたしは自分をもっと責任を問われるポジションに置いていて、進んで責任を問われたがっている。自分の周囲にいる愛する人たち、彼らに、これまでわたしがどんな風に彼らを傷つけてきたか、それをわたしに教えてもらいたいと思ってる。
それにあの曲の多くには、いままさに大きくなっている子供たちに向けたもの、というフィーリングもあって。彼らに対して「いいよ、はっきり言ってくれて大丈夫。わたしは批判を受け止められるから」と呼びかけている、みたいな。これまで自分が数多くの害と破壊を引き起こしてきたことは自覚しているし、あなたたちの未来をより困難にしているもの、自分がその一端を担ってきたのはわたしも承知しているから、と。
だからあの曲は、そういう決して楽ではないことをやろうという誘いだし、耳に痛い言葉を聞かせてちょうだい、と招いている。どうかあなたの言葉を聞かせて、我慢して内にため込んだりしないで欲しいし、わたしに直球でぶつけてくれていいんだよ、と。

質問は以上です。今日はお時間いただき、どうもありがとうございます!

メリル&ネイト:こちらこそ、ありがとう!

新作をわたしもとても気に入っていますし──

メリル:ありがとう。

──あなたたちが再びツアーできる日が来るのを祈っています。

メリル:同感〜〜〜っ! ほんとそう! ともあれ、起きて取材に付き合ってくれて本当にありがとう。ロンドンでしょ? そっちはいま何時?

えーと、午前1時45分です。

メリル&ネイト:(仰天した表情で口々に叫ぶ)えええぇーっ!? まさか!

(苦笑)

メリル:そうなんだ? なんてこと……(とひたすら申し訳ない表情)

いや、よくあることなんで。あんまり気にしないでください。

メリル:本当に、本当にありがとう。
(子犬がまたもふたりの膝に飛び乗って画面に割り込み、大あくびする)

(笑)遊んでもらいたいみたいですね。じゃあこのへんで。

メリル:(子犬を愛おしげに眺めて笑顔)クックックックッ!

さようなら、お元気で!

メリル&ネイト:ありがとう! おやすみなさーい!

interview with Gilles Peterson (STR4TA) - ele-king

いろんなDJセットを聴いていると、ブリティッシュ・ファンクがたくさん使われていることに気づいて、「ファッション」になりはじめている気がした。だから、その流れにのったレコードを作ろうということになったんだ。

 1970年代後半から1980年代前半にかけ、イギリスから多くのファンクやジャズ・ファンク、フュージョン・バンドが生まれた。シャカタクやレヴェル42を筆頭に、モリシー=ミューレン、セントラル・ライン、ハイ・テンション、ライト・オブ・ザ・ワールド、アトモスフィア、フリーズなどで、彼らの多くは俗にブリット・ファンクやブリット・ジャズ・ファンクと呼ばれていた。当時はポストパンクからニューウェイヴを経て、カルチャー・クラブやデュラン・デュランに代表されるニュー・ロマンティックがムーヴメントとなっていた時期で、イギリス音楽界の世界的進出(第二次ブリティッシュ・インヴェイジョン)の一角も担っていたのがブリット・ファンクだった。
 ライト・オブ・ザ・ワールドから派生したインコグニートもそうしたアーティストのひとつで、そのリーダーでギタリストがブルーイことジャン・ポール・マウニックである。インコグニートはその後1991年、DJのジャイルス・ピーターソンが主宰する〈トーキン・ラウド〉から再始動し、アシッド・ジャズの人気アーティストへと登りつめた。ブリット・ファンクの時代からアシッド・ジャズ期、そして現在までトップ・ミュージシャンとして走り続けるブルーイだが、久しぶりにジャイルスと手を組んで新たなプロジェクトを立ち上げた。

 STR4TA(ストラータ)というこのバンドは、ブリット・ファンクやアシッド・ジャズの世界で活躍してきた辣腕ミュージシャンたちが参加し、ブルーイの指揮のもとでジャイルス・ピーターソンのアイデアを具現化していくものである。先行シングルの「アスペクツ」が話題を呼び、いよいよアルバム『アスペクツ』で全貌を明らかにするストラータだが、ジャイルスのアイデアとはズバリ、ブリット・ファンクである。
 ブリット・ファンクはかれこれ40年ほど昔の音楽ムーヴメントで、いまとなってはジョーイ・ネグロ(2020年のジョージ・フロイド事件以降はデイヴ・リー名義で活動)のコンピ『バックストリート・ブリット・ファンク』などで耳にする程度しかできないが、過去から現在に至る音楽シーンに与えた影響は多大であり、そうした影響を口にするアーティストも出はじめている。ここ数年、そんなブリット・ファンク・リヴァイヴァルの予兆を感じてきたジャイルスだが、彼にとってブリット・ファンクは若き日に夢中になった音楽でもある。ストラータのアルバム・リリースを控えたジャイルスに、かつての思い出なども振り返りつつ、どのようにストラータは生まれ、そしていまの時代にあってどこを目指していくのかなどを尋ねた。

金よりも最高の音楽を生み出すことを考えているアーティストがブルーイ。だから彼のことは心から尊敬しているし、そんな彼と再び作業ができて本当に光栄だったよ。

ストラータはどのようにしてスタートしたのですか? ブルーイとの会話などから生まれたのでしょうか?

ジャイルス・ピーターソン(以下、GP):レコードを作りはじめたのは大体一年前、そうロック・ダウンがはじまるちょうど前だね。そのとき持っていたアイデアは、40年来の友人、ブルーイと一緒に何か作品を作ることだった。僕たちは一緒にレコードを作ろうとずっと話していたんだが、2~3年前にやっと本格的に話をはじめたんだ。最初は日本でレコードを作ろうという話をしていた。僕らは二人とも頻繁に日本に行くし、日本の1970年代のジャズ・ファンクやフュージョンに影響を受けているからね。だから、その時代の日本のレジェンドたちをフィーチャーしたレコードを日本で作ったら最高だろうな、と話していたんだ。それが数年前に思いついたアイデアだった。で、その話が少し後回しになってしまっていたんだが、ブリティッシュ・ファンクがリヴァイヴァルしてきているなと感じたことをきっかけに、1年前にまたブルーイと話しはじめたんだ。いろんなDJセットを聴いていると、ブリティッシュ・ファンクがたくさん使われていることに気づいて、「ファッション」になりはじめている気がした。だから、その流れにのったレコードを作ろうということになったんだ。でも、僕がちゃんとプロデュースをして、サウンドがクリーンになりすぎることを避けることは絶対だった。DIYっぽいレコードを作りたくてね。結果として、それっぽい作品を作ることができた。レコーディングの期間は短くて、多分2週間くらいだったと思う。そのあとロック・ダウンに入り、ミックス作業をはじめたんだ。ブルーイは彼のスタジオ、僕は自分のスタジオに入って、毎日リモートで作業したんだよ。

あなたが〈トーキン・ラウド〉を興したアシッド・ジャズの頃からブルーイとは長い付き合いですが、実は一緒に仕事をするのは10年以上ぶりとのことです。久しぶりにジョイントしてみていかがでしたか?

GP:ブルーイは僕が出会ったなかでももっともマジカルな存在のひとりだね。イギリスのなかでもっとも音楽的に影響を受けたアーティストのひとりなんだ。黒人のイギリス人ミュージシャンとして先頭を歩き、彼以降の若い黒人のイギリス人たちの世代にメンタル的にも大きな影響を与えてきた。だから、彼はイギリスの音楽の発展において大きな役割を果たしてきたんだ。彼はまたハードワーカーとしても知られていて、彼が演奏してきた全てのグループに全身全霊を捧げて貢献してきた。金よりも最高の音楽を生み出すことを考えているアーティストがブルーイ。だから彼のことは心から尊敬しているし、そんな彼と再び作業ができて本当に光栄だったよ。

ストラータは1970年代後半から1980年代初頭におけるブリット・ファンクにインスパイアされているそうですね。ブルーイのインコグニート及びその前身であるライト・オブ・ザ・ワールドもそうしたブリット・ファンクの代表格だったわけですが、やはりそんなブルーイがあってこそのストラータとうわけでしょうか?

GP:そうだね、そういった音楽を作りたいとはずっと思っていた。僕が実現したいサウンドを彼がプレイできることはわかっていたし、彼と一緒にそれを実現させることは前からずっとやりたいと思っていた。そしてストラータで最初に12インチを出して、レコードへの良いリアクションにふたりとも驚いているんだ。ここまでの良い評価が得られるとは思っていなかったからね。すごく嬉しく思っているよ。

ジョーイ・ネグロ(現デイヴ・リー)は『バックストリート・ブリット・ファンク』というコンピ・シリーズを出していて、まさにブリット・ファンクのDJを聴いて育った世代だと思うのですが、あなたもそんなひとりですよね?

GP:もちろん。僕は当時16~17歳だった。その時期に聴いていた音楽、見にいっていたDJのほとんどがブリット・ファンクのDJたちだったね。バンドとDJの両方が盛り上がっていた時期だったから、僕はラッキーだったと思う。あれが僕にとってリスナーやファンとしての音楽の世界への入り口だったとも言える。ギグを見にいったり、バンドをフォローしたり、プロモ盤をプレイしているDJを追っかけたり、音楽にそこまでハマりはじめたのはその頃。ジョーイ・ネグロは多分僕よりも深くそういった音楽にもっとハマっていたと思う(笑)。今回のアルバムのなかに “アフター・ザ・レイン” というトラックがあるんだが、あのトラックのリエディットを彼がやってくれたんだ。それももうじきリリースされる予定だ。

当時のあなたはDJをする前夜でしたが、こうしたブリット・ファンクで好きだったバンド、影響を受けたアーティストがいたら教えてください。

GP:レヴェル42はつねに観にいってたな。僕は彼らの大ファンだったんだ。レコードにサインをもらうために出待ちまでしていたくらいさ(笑)。それくらいスーパー・ファンだったんだ。18歳になるまでに多分10回はライヴを見たと思う。彼らを見るために南ロンドンを回ってた。3、4年前にBBCでラジオ番組をやっていたんだが、僕の番組の前のショウがリズ・カーショウの番組で、ある日そのゲストがレヴェル 42のマーク・キングだったんだ。それで「僕の長年音信不通だった兄弟がここにいる!」と思って、彼がスタジオを出てくるのを待ってハグしたんだ(笑)。彼は僕のラジオ番組を気に入っていると言ってくれて、あれはすごく嬉しかった。レヴェル42の他はハイ・テンション、ライト・オブ・ザ・ワールド、アトモスフィアが僕のお気に入りのグループだったね。

当時のブリット・ファンクをプレイしていたDJではどんな人から影響を受けましたか? たとえばボブ・ジョーンズ、クリス・ヒル、コリン・カーティスとか。当時のクラブやラジオではどんな感じでブリット・ファンクはプレイされていたのでしょうか?

GP:ラジオからは海賊放送も含めたくさん影響を受けた。ボブ・ジョーンズやクリス・ヒルもそうだし、ラジオ・インヴィクタのスティーヴ・デヴォン、BBCのロビー・ヴィンセント、キャピタル・ラジオのグレッグ・エドワーズも好きだったよ。当時は女性DJはゼロで、見事に全員が男性だった(笑)。その頃ラジオでブリット・ファンクが流れていたのはほとんどが夜だったね。昼間に流れることはあまりなかったな。スペシャリストたちのラジオ番組でだけ流れてた。あとは、パブでもクラブでも流れてたし、僕は16とか17歳だったけど聴きにいっていたよ(笑)。角に座って隠れながら、皆がそれに合わせて踊っているのをずっと見てた。僕は童顔で、一際幼く見えて未成年ということがバレバレだったからね(笑)。ノートを持ってクラブやパブに言って、DJに曲名を聞いたりしていた。当時はシャザムなんてなかったから(笑)。

2014年に発表したブラジリアン・プロジェクトのソンゼイラの『ブラジル・バン・バン・バン』というアルバムでは、フリーズの代表曲 “サザン・フリーズ” をカヴァーしていましたね。フリーズもブリット・ファンクのアーティストのひとつで、“サザン・フリーズ” はほかのコンピやDJミックスでも取り上げたりするなどあなたにとっても重要な曲のひとつかと思いますが、そうしたインスピレイションもストラータに繋がってきているのですか?

GP:もちろん。まず、フリーズは『サザン・フリーズ』というベスト・レコードを作った。あれ僕のお気に入り。あのレコードはパンクっぽい姿勢をもっていて、アートワークもパンクっぽくて、イギリスのDIY感がすごく出ているところが好きなんだ。あとブルーイはあのバンドの初期メンバーのひとりだから、そこでも繋がっている。“サザン・フリーズ” という曲は、あのムーヴメントのなかでも特に重要な作品だと思っているんだ。ソンゼイラのアルバムをブラジルでレコーディングしているとき、あの曲のソフトなサンバ・ヴァージョンみたいなカヴァーを作ったら面白いと思った。それであの作品をカヴァーすることにしたのさ。

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このレコードでのカギは、僕がいかに自分の頭のなかにあるサウンドをブルーイに演奏させるかだった。だから、ニューウェイヴやパンクも関わっていて、僕はそれを全てとりあげた音楽を作りたかったんだ。同時にDJがプレイしたいと思うような音楽を作りたくもあった。

ストラータは具体的にブリット・ファンクのどのような音楽性を参照していて、そうした中からどのような部分で現代性を表現していると言えるでしょうか?

GP:現代性が今風という意味なら、それはほとんどといっていいほどない(笑)。僕はこのプロジェクトをライヴ・プロジェクトにして、短い期間でレコーディングしたかったんだ。スリリングで緊張感をもった作品にしたかった。たとえミスが起こっても、それを全て受け入れたかったんだ。だから、もしベース・プレイヤーの演奏がいけてないパートができたとしても、僕はそれをそのままにした。それは熟練のミュージシャンたちにとっては慣れないことだったけどね。誰でも自分が失敗した箇所なんて使いたくないだろうから(笑)。でも僕はその失敗がむしろ好きなんだ。このレコードのアイデアはミスを受け入れることだった。それが僕の役割だったんだよ。プロデューサーとして、僕はこのレコードを滑らかでクリーンなものにはしたくなかった。派手に着飾るのでなく、できるだけありのままの生の状態で保つことが僕にとっては大切だったんだ。

ブリット・ファンクと言ってもいろいろなタイプのアーティストがいたわけですが、たとえば先行シングル・カットされた “アスペクツ” はアトモスフィアあたりを連想させる曲です。アトモスフィアはニューウェイヴやディスコ、ダブなどとも結びついていたグループですが、ストラータは全体的にそうしたポストパンク~ニューウェイヴ的なベクトルも内包しているのではと感じます。そのあたりの方向性についていかがでしょうか?

GP:そういったジャンルの音楽を参照にはしているよ。とても興味深いムーヴメントだったし、あのムーヴメントにはパンク、ニューウェイヴ、ニュー・ロマンティックス全てが存在していた。このレコードでのカギは、僕がいかに自分の頭のなかにあるサウンドをブルーイに演奏させるかだった。だから、ニューウェイヴやパンクも関わっていて、僕はそれを全てとりあげた音楽を作りたかったんだ。同時にDJがプレイしたいと思うような音楽を作りたくもあった。“アスペクツ” のような曲はもちろんライヴ演奏だけれども、DJたちがミックスしたりクラブでかけられる曲でもある。だからストラータも、ディスコやハウス、ジャズ・ファンクが織り混ざっているんだよ。

いまおっしゃったように、レコーディングについて、あまり洗練され過ぎたサウンドにならないように、できるだけラフにということを心がけたと聞きます。これは1980年代であればシャカタクのようなメジャーなサウンド、そしてある意味で現在のインコグニートのスムースなプロダクションとは真逆のアプローチであり、アトモスフィアやフリーズのようなアンダーグラウンドなバンドが持っていた初期衝動やニューウェイヴ的感覚に近いものではないかと思いますが、いかがでしょう?

GP:そうだね。僕が目指していたサウンドの方向は同じだからね。それがちゃんと実現できたかどうかは実際のところわからない(笑)。うまくはできたと思うけど(笑)。次のレコードも作る予定だから、それまでにはよりよくなるんじゃないかな(笑)。どう進化するか僕自身楽しみだし、ショウでも音は変わっていくと思う。多分最初のショウはロンドンで8月に開催される音楽フェスティヴァルになると思うんだが、そのときまでにバンド・メンバーを集めて、彼らの演奏を僕がステージ上でミックスして少しエフェクトを加える、という形のショウにしたいと思っているんだ。だから、そこでモダンな質感が入ってくることになるかもしれない。アレンジだったり、エフェクトやギミックを入れる程度によって、いろいろ変化が加わることになると思うから。でも基本はライヴ・バンドの演奏。ヴォーカルはもちろんブルーイ。

“ギヴ・イン・トゥ・ワット・イズ・リアル” や “リズム・イン・ユア・マインド” は比較的ストレートなブギー・ファンクで、ライト・オブ・ザ・ワールドやそこから枝分かれしたベガー・アンド・カンパニーあたりのラインのナンバーと言えます。彼らのようなサウンドは現在のブギーやディスコ・リヴァイヴァルにも繋がるところがあるわけですが、いかがでしょうか?

GP:僕にとってはブラン・ニュー・ヘヴィーズも思い起こさせる。つまりはアシッド・ジャズ。ブリット・ファンクとアシッド・ジャズ、ブギーやディスコの間には線があるけど、繋がってもいる。それらの音楽の間にはコンビネイションが見えてくるんだ。あの時代に活躍していたブルーイはそれらを繋げるのが得意で、そこにイギリスの質感を落とし込むんだ。

“ヴィジョン・ナイン” はアルバムのなかでは異色のブラジリアン・フュージョン調のナンバーで、アイアート、エルメート・パスコアル、ルイス・エサなどに通じるところもあります。さきほど話をしたソンゼイラにも繋がりますが、この曲を収録した意図は何ですか?

GP:僕が聴いていたころのブリット・ファンクは、アフリカ音楽の要素やラテン音楽の要素、ブラジル音楽の要素なんかが入っていた。僕にとっては、それがブリット・ファンクだったんだ。そういった要素の音楽を初めて聴いたのは、全てブリット・ファンクを通してだったんだよね。“ヴィジョン・ナイン” にはそのヴァイブがあり、終盤にかけて少しラテンっぽくなっていく。それを表現したもうひとつのトラックが “キンシャサ・FC”。あれはもっとアフリカ音楽っぽくて、マヌ・ディバンゴやそういったアーティストたちの音楽、1970年代のアフロ・ファンクやアフロ・ディスコに影響を受けている。このレコードには、僕が昔ブリット・ファンクのなかで聴いていたアフリカやラテン音楽の要素も取り入れたかったんだ。

セックス・ピストルズ、ゲイリー・ニューマン、ザ・フォール、ジョイ・ディヴィジョンについての記事はそこら中にあるし、彼らがレジェンドたちであることもわかっているけれど、ライト・オブ・ザ・ワールドやインコグニートについて書かれた記事はほとんどない。僕にとってそれは行方不明の歴史なんだ。

“キンシャサ・FC” はコンゴのフットボール・チームを指しているかと思いますが、これは実在のチームですか? どうしてこのタイトルを付けたのでしょうか?

GP:いや、あれは想像のチーム。ははは(笑)。とにかくアフリカっぽいタイトルにしたくて(笑)。サッカー・チームの名前っぽくしたら面白いと思ったし、全く深い意味はないんだよ(笑)。

先に名を挙げたアトモスフィアでいくと、当時のキーボード奏者だったピーター・ハインズがストラータでも演奏しています。彼はほかにもライト・オブ・ザ・ワールドやそこから枝分かれしたインコグニート、ブルーイが一時結成していたザ・ウォリアーズでも演奏していました。ブルーイと非常に近いところにいたミュージシャンですが、今回は彼のアイデアで参加したのですか?

GP:あれは僕のアイデアだったけど、彼の電話番号を持っていたのはブルーイだった(笑)。このプロジェクトには数名のレジェンドに参加してほしいと思ったんだ。レジェンドというのは、僕自身が大好きで何度も曲を聴いていたアーティストたちのこと。ピーターのローズ・ピアノのうまさは知っていたし、彼に参加してもらうことになったんだ。スタジオに来てもらって、アルバムに収録されている2曲をレコーディングした。あともうひとり紹介したいのは、ベースのランディ・ホープ・テイラー。彼も昔コングレスという素晴らしいブリット・ファンク・バンドにいたんだ。そのふたりは僕にとってレジェンドだね。あとは若いミュージシャンたちに参加してもらった。音楽やリズムにはエネルギーも必要だからね。

ピーター・ハインズは最近も〈エクスパンション〉によるザ・ブリット・ファンク・アソシエイションというリヴァイヴァル的なプロジェクトに参加していますが、あちらとストラータを比べた場合、ストラータの方がよりカッティング・エッジで、インスト演奏などジャズ的インプロヴィゼイションにも重きを置いているなと思います。ピーター自身はそうしたプロジェクトの違いなど意識はしているのでしょうか?

GP:それは僕にはわからない。ピーターがスタジオに来たとき、曲はタイトルさえ決まっていなかったし、自分たちも明確なアイデアは持っていなかった。でも、彼は何をすべきかわかっていたんじゃないかな。ザ・ブリット・ファンク・アソシエイションは昔の曲を演奏するプロジェクトだけど、ストラータは全て新しく作られた曲のプロジェクト。だから、新しいフィーリングをもたらすということは意識していたかもしれないね。

ほかのメンバーもマット・クーパー、スキ・オークンフル、フランセスコ・メンドリア、リチャード・ブルなどインコグニートに関わってきた人が集まっています。特にアウトサイドのマット、Kクリエイティヴのスキが集まっているのは、アシッド・ジャズ時代からのファンとしても相当嬉しいのではないかと思います。今回のミュージシャンの人選はどのようにおこないましたか?

GP:とにかく演奏がうまいアーティストたちを集めた。去年、ブルーイを祝福するために僕の家の地下室でインコグニートとセッションをやったんだが、そのためにブルーイがミュージシャンたちを連れて僕の家にきたんだ。そのなかにはマット・クーパーやフランシス・ハイルトンといったミュージシャンたちがいた。彼らのことは僕もよく知っていたし、彼らも僕が何を求めているかをしっかりと理解していた。彼ら、僕の美意識を普段から理解してくれているからね。だから彼らとセッションをしたら心地よくて楽しいに違いないと思って、それが自然とバンドになったんだ。

“アスペクツ” の12インチはモーゼス・ボイドやフランソワ・Kなど様々なDJやアーティストの間でも話題となりました。フランソワはリアル・タイムでブリット・ファンクを体験してプレイしてきたDJですが、そうした人から認められるのはストラータがより本物のブリット・ファンクを表わしていると言えませんか?

GP:そう呼ばれるよう努力はしている(笑)。僕はあの時代、1970年代後半から1980年代前半のまだきちんと取り上げられていないUKのムーヴメントを祝福したいんだ。僕にとってあの時代は多様性に満ちて、当時のUKの全ての世代のミュージシャンたちに勇気を与えたという面ですごく重要だ。ところがメディア、新聞、ラジオはこのムーヴメントに対してすごく否定的だったと思う。セックス・ピストルズ、ゲイリー・ニューマン、ザ・フォール、ジョイ・ディヴィジョンについての記事はそこら中にあるし、彼らがレジェンドたちであることもわかっているけれど、ライト・オブ・ザ・ワールドやインコグニートについて書かれた記事はほとんどない。僕にとってそれは行方不明の歴史なんだ。だからこのプロジェクトを通して、多様性を備えた、素晴らしく重要な音楽が存在していたこと、軽視されていたことを伝えたい。彼らの音楽を祝福するのは、僕にとって非常に大切なことなんだ。

以前サンダーキャットにインタヴューした際に、レヴェル42のマイク・リンダップからの影響を述べていましたし、タイラー・ザ・クリエイターは2020年のブリット・アワードの受賞式で、1980年代のブリティッシュ・ファンクから影響を受けたとスピーチしました。このようにイギリス人ではないアメリカ人、しかもリアル・タイムではブリット・ファンク全盛期を知らないアーティストがこうした発言をしているのをどう思いますか? それを踏まえてストラータがこうしたアルバムを作った意味について教えてください。

GP:最初に言い忘れたけど、このプロジェクトをはじめようと思ったもうひとつの理由は、そしてそれをいまやろうと思った理由は、タイラー・ザ・クリエイターのそのスピーチを見たからなんだ。彼はミュージシャンとしてもっとも影響を受けているのはブリット・ファンクだと言っていた。そのとき、ついにイギリス国外の重要なミュージシャンのひとりがブリット・ファンクの魅力に気づいてくれた! と思って、「レコードを作ろうぜ!」とブルーイに言ったんだ。実はタイラーにもコンタクトをとっていて、次のレコードで歌ってもらいたいと思っている。サンダーキャットは僕の友人だから、彼も参加してくれることを願っている。あともちろん、日本のミュージシャンにもね! 普段だったら年に二度は日本に行くんだけど、いまはこんな状況だからね。前回は京都の伊根という街にいったんだけど、すごくよかった。日本が恋しいよ。早く来日したい。ではまた!

VIVA x Television Personalities - ele-king

 昨年はザ・ドゥルッティ・コラムやカンなどをモチーフにした服が話題になった奥沢のViva Strange Boutique、いま現在はなんとテレヴィジョン・パーソナリティーズとのコラボを展開している。
 テレヴィジョン・パーソナリティーズのダン・トレイシーは、ザ・フォールにおけるマーク・E・スミスのような、ポスト・パンク時代の圧倒的な個として知られている。とはいえ、その疑いようのない才能と魅惑的な作品、大きな影響力(アラン・マッギーをはじめ、ペイヴメントやMGMTにまで広範囲に及ぶ)を思えば、ダン・トレイシーは決して幸運な人生を歩んできたとは言えない。
 70年代末にロンドンで結成されたテレヴィジョン・パーソナリティーズの音楽には、インディー・ギター・サウンドと括られるもののほとんどすべてがある。ウィットに富んだポップ・センス、ヴェルヴェッツ、モッズ、ローファイ、ペデンチックな言葉やアート、そして何よりも自分の痛みから生まれるメロディ、甘さ、弱さ、誠実さ、神聖なる若さ、そうしたものが詰まっている。もしあなたがギター・ポップと括られる音楽が好きであるなら、テレヴィジョン・パーソナリティーズの最初の4枚のアルバムは必聴盤だ。
 しかし、そうした彼の華麗な音楽とは裏腹に、ダン・トレイシーは長いあいだドラッグ中毒や貧困に苦しみ、盗みを働き監獄で暮らしてもいる。数年前は大病を煩い手術をし、いま現在も治療と療養を兼ねて施設にいるそうだ。今回のVIVAとのミーティングやデザインのチェックなどはzoomでおこなったそうだが、「久しぶりの明るいニュースだ」と本人は喜んでいたとのこと。
 それで生まれた5つのアイテム、初期テレヴィジョン・パーソナリティーズのスリーヴ・デザインを彷彿させるコラージュ感が良い感じで、当然のことながらモッズ・コートがいちばん最初にデザインされたようです。しかし……まさか“Mummy, Your Not Watching Me”がスウェット・シャツになるとは!

VIVA x Television Personalities


・"...And Don't The Kids Just Love It" Fishtail Parka (Mod's Coat) -
27,000円(税抜)/29,700円(税込)


・"Mummy, Your Not Watching Me" Sweatshirt
10,000円(税抜)/11,000円(税込)


・"Three Wishes" Long-Sleeve Shirt
9,000円(税抜)/9,900円(税込)


・"14th Floor" Long-Sleeve Shirt
7,800円(税抜)/8,580円(税込)


・"Where's Bill Grundy Now?" Tote Bag + Big Orange Badge
3,500円(税抜)/3,850円(税込)

Porter Ricks - ele-king

 紙エレ最新号をお持ちの方は88ページを、『TECHNO definitive 増補改造版』をお持ちの方は126ページを開いてみよう。1996年に〈Chain Reaction〉からリリースされたダブ・テクノの古典、ポーター・リックスの『Biokinetics』が装いも新たに25周年記念盤となって蘇る!
 じつは同作、2012年にも一度〈Type〉から再発されているのだけれど、今回のレーベルはなんと〈Mille Plateaux〉。彼らのセカンドのリリース元でもあります。発売は6月21日、アナログ2枚組。今回初めて知る方も、缶を持っている方も要チェックです。

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