「You me」と一致するもの

DJ HI-GO (Dip Aura/1968) - ele-king

My Funk Train Best 10


1
Magnum - Evolution - Jamie

2
Lyn Collins - Think (about it) - Polydor

3
Uptown Funk Empire - Walkin Like the Ginger - Soulab

4
James Blood Ulmer - Pleasure Contol - CBS

5
Mandrill - Can you Get It (Suzie Caesar) - Arista

6
Patrice Rushen - The Hump - Prestige

7
Defunkt - I Tried To Live Alone - Hunnibal

8
Lee Dorsey - Yes We Can (part 1.) - Polydor

9
Bill Summers - Straight To The Bank - Prestige

10
Wally Badarou - Chief Inspector - Island

Chart by JET SET 2012.1.16 - ele-king

Shop Chart


1

BJORN TORSKE

BJORN TORSKE OPPKOK REMIXES »COMMENT GET MUSIC
Bjorn Torskeが2010年リリースのフル・アルバム『Kokning』からのリミックス・カットは、Mungolian Jet Set / Moon Jocks N Prog Rocksのヒット記録を塗り替える事間違いなしの1枚!

2

TODD TERJE

TODD TERJE IT'S THE ARPS »COMMENT GET MUSIC
2011年発、Running Backからのオリジナル楽曲「Ragysh」がロングヒット中のTodd Terjeによる高揚感満載のスペース・ディスコ大推薦盤です。

3

CANYONS

CANYONS KEEP YOUR DREAMS »COMMENT GET MUSIC
12インチが即完売したサイケ・ディスコ・ロック・アンセム"My Rescue"、Nite Jewelのスクリュー・ヴォーカル炸裂A-3など、センスが光り輝くファースト・アルバム!!

4

PLUG

PLUG BACK ON TIME »COMMENT GET MUSIC
Planet Mu主宰μ-ZiqやAphex Twinらとともにコーンウォール一派の一員としてもお馴染みのLuke Vibert。ラウンジxドリルンベースに挑んだ伝説のユニットが奇跡の復活です...!!

5

WALLS

WALLS INTO OUR MIDST »COMMENT GET MUSIC
身体中の筋肉をジワジワと弛緩させる甘美な毒がたっぷりと詰まった魔の傑作が誕生!!

6

I:CUBE

I:CUBE CUBO EDITS »COMMENT GET MUSIC
Esp Institute参戦も話題となったAlexis Le Tanによる2008年カタログ6番以来の新作リリースとなったVersatile傘下レーベル"Les Edits Du Golem"から、本家"Versatille"からのリリースで御馴染みのフレンチ・プロデューサーI:Cubeによるグレイテスト・エディットが新着です!!

7

V.A.

V.A. ANNIVERSARY SERIES: PART 1 »COMMENT GET MUSIC
レーベルの中軸ユニットJuju & Jordashはバレアリック調の鍵盤メロディやストリングスを転がしたビートダウン・ハウスを展開。Morphine Records X Delsin X M>O>Sの共同リリースとなった1stアルバムも最高だったMorphosisは、スリリングなドラム・プログラムにダークネスな鍵盤リフを絡めた圧巻のテクノ・ナンバーを披露したDekmantleレーベルらしいディープなカップリングとなっています。

8

SOUL SYSTEM

SOUL SYSTEM LOST TAPES 1 »COMMENT GET MUSIC
Jason Groveによるレーベル第一弾に続く新作は、No More HitsやClone周辺で目覚しい躍進を遂げている伊プロデューサーNicholasによる新名義作!!

9

FRANK BOOKER

FRANK BOOKER HOPE »COMMENT GET MUSIC
Mark E & Kez YM Remixを収録した国産Wonderful Noiseからの12"作品もヒットした才人Frank Bookerによる新作10"。両面お勧めです!!

10

NEW WORLD GENERATION

NEW WORLD GENERATION S.T. »COMMENT GET MUSIC
謎多きソウル・グループN.W.G.の発掘音源がNow Againより登場。フリーソウル・ファンも虜の絶品モダン・ソウルからRoy Ayers直系ミスティック・ブギーまで、どれもこれも素晴らしすぎます!!

Chart by UNION 2012.01.09 - ele-king

Shop Chart


1

GLENN UNDERGROUND

GLENN UNDERGROUND Forgotten Art MUSIC 4 YOUR LEGS / JPN »COMMENT GET MUSIC
近年のセオ・パリッシュのプレイチャート、またデリック・メイの最新ミックスCDにトラックがピックアップされるなど常に現役であり続け、素晴らしい楽曲をシカゴから放つディープハウス界の重鎮グレン・アンダーグラウンド待望のNEWアルバム。前作『Legacy Of The know』かわずか1年、その前作の流れを踏襲しつつも本作ではフロアから少し距離を空け、リスニングアルバムとしての要素を強めた楽曲製の高い内容に。『Forgotten Art』というアルバムが示す通り、ジャズ~ジャズファンク、ディスコ、ブラジリアンといったクラシックスの素晴らしさをハウスというフォーマットで再提示するかのようにそれらの要素を巧みに取り入れ、GU節ともいえる黒いフュージョン色が圧倒的な完成度と共にリスナーを魅了する1枚。

2

SCOTT K. VS. STEVIE WONDER

SCOTT K. VS. STEVIE WONDER As (Box Edit) BOX MUSIC / UK »COMMENT GET MUSIC
DJ COLE MEDINAとのタッグで注目を浴びたJAMES BROWNやTHE O'JAYS"I Love Music"のエディットがFRANKIE KNUCKLESやDERRICK MAYのヘヴィープレイもありヒットしたSCOTT K.が、今盤ではSTEVIE WONDERの名曲"As"をエディット!!ブラックネス溢れるKDJマナーなハウストラックへと昇華したA-サイド、エフェクティヴにダビーに組たてたセミ・インストB-サイドもヤバい!!お早めに!

3

BRONX DOGS

BRONX DOGS Tribute To Jazzy Jay WHITE / JPN »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEYリミックス!!!! PERRY BOTKIN & BARRY"Riot"などのオオネタを引用したオールスクール感満載のファンキー・コラージュトラック"Tribute To Jazzy Jay"。最近ではENDLESS FLIGHT、AUTODISCOTEQUE等で活躍するRICHARD SENによるユニットBRONX DOGSの"Tribute To Jazzy Jay"をDJ HARVEYがリミックスしたクラシックを片面収録したホワイト盤!!

4

MARCEL DETTMANN

MARCEL DETTMANN Deluge 50 WEAPONS / GER »COMMENT GET MUSIC
DETTMANNの2011年最後のシングルはベルリン・テクノ・シーンの裏番・MODESELEKTOR主宰の50 WEAPONSから到着。 ヒプノティックなベースライン上をトビ系のウワモノが跳ね回る危険極まりないバッドトリップ・ミニマル"Deluge"と重量級のキックが容赦なく打ち込まれるインダストリアル・テクノ"Duel"共に鉄壁のフロアキラー、特にB-1"Duel"のバウンスして打ちまくる捩れキックのソリッドさ加減はその一音だけでもシビれてしまいます。

5

EQD

EQD Equalized 111 EQUALIZED / GER »COMMENT GET MUSIC
MARCEL DETTMANNと並ぶOSTGUT TON一派の代表格・SHEDの変名・EQDが放つ待望のファースト・アルバム。ベルリン・テクノを席巻するレーベル・OSTGUT TONから2枚のアルバムを発表、名実共にモダン・テクノの最高峰へと登り詰めたSHEDことRENE PAWLOWITZが、2007年より始動させた別プロジェクト・EQDのファースト・アルバムをドロップ!! 本作「EQUALIZED 111」は、これまでリリースされた12"x 5枚をコンパイルした全10曲の構成で、アナログ・ユーザー以外にはまさに待望と言える内容。徐々にビルドアップしていくヒプノティックなビートに震えるM-1、国内外のTOP DJがヘビー・プレイしたソリッド・ミニマルM-5等等、どこを取ってもキラー・チューンの嵐!MARCEL DETTMANNをはじめとするOSTGUT TON一派、SANDWELL DISTRICT、PETEER VAN HOESENなど現在進行形のテクノがストライクなリスナーはマストな最強盤。

6

LINKWOOD

LINKWOOD Secret Value SHEVCHENKO / UK »COMMENT GET MUSIC
FIRECRACKER傘下の要注目レーベルSHEVCHENKOの4番、VAKULAの3部作に続いてはLINKWOODの新作がリリース!ジワジワと空間を埋めていくシンセ・フレーズに鋭角なハット、Bassの抜き差しでテンションを変化させ展開されるA-1、有機的に変化するスペーシーなSEが重なりアンビエンスに上昇、ロング・ミックスに重宝しそうなA-2に、息をのむ美麗なシンセが舞う壮大なディープハウスB-1はぜひ野外で。再プレス無しの180gのクリアヴァイナル重量盤!

7

MILTON BRADLEY

MILTON BRADLEY Dark Of The Psychic Unknown DO NOT RESIST THE BEAT / GER »COMMENT GET MUSIC
MILTON BRADLEY主宰、ベルリン・アンダーグラウンド・シーンで熱い注目を集めるDO NOT RESIST THE BEATレーベルから最新第7弾の到着。このDO NOT RESIST THE BEATは勿論、PROLOGUEやZOOLOFT等からのリリースやPERCやCIO D'OR、ABSTRACT DIVISION等へのリミックス提供、更にMARCEL DETTMANNの最新ミックスCD「Conducted」やDJ NOBU「On」等にもその楽曲が収録されるなど、この数年で瞬く間に頭角を現したMILTON BRADLEY、本作でも音数少ないダビーなボトムをベースにジリジリとノイジーな音響系ウワモノが捩れる、一貫して凄まじくドープなアンダーグラウンド・サウンドを唸りを上げて鳴らしており、全く目が離せない好内容となっています。

8

HARMONIOUS THELONIOUS

HARMONIOUS THELONIOUS Drums Of Steel ASAFA / GER »COMMENT GET MUSIC
2011年最後の最後にHARMONIOUS THELONIOUS新作が到着!!A ROCKET IN DUB, ANTONELLI ELECTR., REPEAT ORCHESTRA etc..と幾多の名義を使い分けるSTEFAN SCHWANDERニュー・プロジェクトとして昨年リリースしたアルバム「Talking」及びそのシングル・カットで聞かせたミニマル + アフリカン・リズム・パターンで展開する激プリミティブ・サウンドが大反響となったHARMONIOUS THELONIOUS、来年早々にリリース予定のセカンド・アルバム「Listen」からのシングル・カットとなる待望の新作12"。 幻術的なエレクトロニック・サウンドとめくるめくリズムの洪水!

9

A.P.

A.P. Garden Therapy GHOST SOUNDS / SWE »COMMENT GET MUSIC
北欧スウェーデンからミニマル・ダブ/アンビエントの新潮流を巻き起こしているレーベル・GHOST SOUNDS主宰者・A.P.の新作が登場!!マニア心をくすぐる数々の限定盤をリリースし、本物を求めるリスナーから高い支持を得ているスウェーデンのレーベル・GHOST SOUNDS。本作は20分にも及びロング・トラックを片面1曲ずつ収めたA.P.渾身の作品! A面のオリジナルでは、彼にしては珍しくトライバルなリズムを導入しビートの立った躍動感溢れるトラックを披露、そしてB面には盟友ATHEUS(STYLAX/SILENT SEASON)による冷厳なドローン・シンセが空間全体を覆ういつものGHOST SOUNDS路線に近いアンビエント・リミックスを収録。

10

HAIR

HAIR Going Adore Alley MENTAL GROOVE / GER »COMMENT GET MUSIC
LTD 100!LUCIANOやMISS KITTINらをいち早くピックアップしたことで知られるMENTAL GROOVEとDISK UNIONのコラボレーション・シリーズが始動、本作はHOPEN名義やNATHAN JOHNSON(WAGON REPAIR)とのユニット・STARTING TEETHで活動するCHILDE GRANGIERの新たなプロジェクト・HAIRのファースト・アルバム。シネマティックな音像がアルバム全体のムードを決定付けている冒頭の佳曲"Where The Palms Grow"、都市の雑踏を拾ったかのようなフィールド・レコーディングスと物悲しいピアノ、散文的なヴォイス・サンプルが乾いた叙情を感じさせるM-3"Indian"等、ノイズとアンビエント、エレクトロニカが自由に混ざり合った非常に興味深い仕上がり。MENTAL GROOVEのオンラインショップとDISK UNIONのみでの販売となります。

interview with Goth-Trad - ele-king


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

 ......ようやく、ゴス・トラッドとサシで話せました、ようやく、この国のダブステップのキーパーソンと(キーちゃん、ありがとう)。

 さて、以下に紹介する大量の文字は、世界を股にかけて活動するゴス・トラッドとのおよそ1時間半ほどの対話の一部始終である。
 彼は2012年1月11日、ゴス・トラッドとして4枚目となるアルバム『ニュー・エポック』をリリースする。20年前のケン・イシイやDJクラッシュのように、これは国境よりも音楽そのものが優先している作品で、日本人が作っているから......というものではない。国籍にはとくに意味を見出さない音楽だと言えよう。が、『ニュー・エポック』にはゴス・トラッドのこの5年間の国際的な活動、その成果と日本を結びつけるもの、そして3.11、それらがぜんぶ含まれているという点において、過去の3枚とは違った視点を持つアルバムである。
 あるいはまた、いまでは、たとえばDJノブがゴス・トラッドを絶賛するように、その存在はダブステップというカテゴリーを超えて支持者を増やしている。が、興味深いことに『ニュー・エポック』は、実はゴス・トラッドが初めて"ダブステップ"を強く意識して作ったアルバムでもある。
 
 12月の上旬、アジア・ツアー出発の当日、空港に行く数時間前の午後に取材を受けてくれた。作品を特徴づけるディストピック・ヴィジョンとは裏腹に、本人は実に前向きな人柄で、これまでの歴史について丁寧に語ってくれた。

「ゴッドフレッシュがカッコいい」とか〈ワードサウンド〉だとか、「メルツバウやべえじゃん!」とか、そういうところに向かってたんですよね。当時から自分はいろんなパーティ観に行ったりもしてたんですけど......、まあ、「みんな似たような音作るんだな」って思ったりしてたのもあるんですよね。

俺ね、実はゴス・トラッドのデビュー・アルバムの推薦文を書いてるんですよ。

GT:覚えてます(笑)

あれは2003年だよね。「GOTH-TRAD」って名前もそのとき初めて聞いたのかな。秋本武士くんとレベル・ファミリアでいっしょにやってるっていうのが最初は結びつかなくてね。音がレゲエやダブではないでしょう。当時レーベルの人から、「新人だから音聴いて気に入ったら書いてくれ」って言われたんですよ。それで聴いて、けっこう衝撃でしたよ。

GT:自分も覚えてます。

どういうこと書いていたか覚えてる?

GT:あの......「ハイプを信じるな」って書いてましたね。

それは『remix』で書いた小さいレヴューじゃないかな(笑)。

GT:その言葉はすごく覚えてますね(笑)

恥ずかしいんだけど、あの当時の自分の文章をここに載せると、「身の毛もよだつようなノイズとカオスを創造し、1枚のアルバムにまとめている。これはすごいアルバムだ。デトロイトのアーバン・トライブとアレック・エンパイアのファーストを足して割ったようなメランコリーがノイズの砂嵐からできたかのようなビートとともにある。ヒップホップとテクノを切り刻み撹乱させ、怒りを持って吐き出したような音楽だ」ってすごいことを書いているんですけど(笑)。アルバムの前半はちょっとクラウデッドみたいな感じもあったけど、あのアルバムの後半とかね、よく当時あんなの出したなっていうのもあったし、まだ9.11のショックが生々しかった時代だったしね、イラク戦争があって、反戦デモもあって、そういう時代にゴス・トラッドは登場したんだよね。で、その当時、9.11以降のイラク戦争に関するコメントもDJバクといっしょに書いてもらってもいるんだよね。だいたいゴス・トラッドという名前自体にトゲがあるというか、当時のクラブ・ミュージックのピースな流れとはちょっと異質な響きがあった。それでようやく今回、インタヴューすることができるわけだけど、とにかくまず訊きたいのは、そもそも「GOTH-TRAD」がどこから来たのか? ということなんです。

GT:音楽的なルーツってことでですか?

それをふくめてゴス・トラッドがどういう音楽体験をして、どういう思いでここまで来ているのかを知りたくて。

GT:えっと、まずいちば番初めに音楽を好きになったのは、うちの親とか兄が80年代にマドンナとかポーラ・アブドゥルとか、そういう洋楽を聴いていたんですね。まあカッコいいのかなっていう感じじゃないですか。

生まれは東京なんですか?

GT:生まれは岡山で、すぐ山口県に引っ越して。で、アニキはけっこうそういうのに敏感で、カセットテープ買ってきては車のなかで聴いてたから、そういうのをカッコいいなあと思って「僕もダビングして」みたいな。それからテクノトロニックを聴いてたんですよ。で、これはカッコいい、ヒップハウスで----当時はハウスって言葉も知らないんですけど----ラップ乗ってて。

わりとポップなものを聴いてたんだね。

GT:そうですね、それは10歳とか。

小学生の頃だ。

GT:はい。で、テクノトロニックの「テクノ」って何なんだろうな、って思いながら小学6年生ぐらいのときに雑誌を読んでいたら、テクノのルーツが書いてあるものがあって。『スタジオ・ボイス』だったかなー? で、クラフトワークとか書いてあったから「買いに行こう」と思って近くのCDショップに行ったら置いてなくて、取り寄せてもらって。「ショールーム・ダミー」のEPとか何枚か買って、「面白いな」と思ったのが小学生6年生ぐらいのときですね。それからテクノって音楽をもっと聴きたいと思っていろいろ探りはじめて。で、家で衛星放送が入ってたんですけど、そのときたまたまUKチャートが流れてて、ナイトメアズ・オン・ワックスの"アフターマス"が1位だったんですよね。「これはカッコいいな、何か異様な雰囲気だし」って思って、ナイトメアズ・オン・ワックスのファーストを91年に買って。

それは小6で?

GT:それは中1ですね。

それはすごいねー。

GT:その流れでLFOも出てるから、それも買って。そのときKLFとかもヴィデオ・クリップで観てたんですよね。

そうなんだ。

GT:そこからUKの音楽に入っていって。当時タワレコなんかに行くと、T-99とかプロディジーのファーストとかが流れていて。プロディジーのファーストなんかめちゃカッコいいと思ってね。その辺のレイヴ・ミュージックっていうのをいろいろ漁って聴いてましたね。

それはすごく意外な過去だね。

GT:そうですか(笑)? それから中2になったときに広島に引っ越したんですね。そしたらレコード屋がちょくちょくあったので、だんだん通うようになって。そのときの広島のレコード屋は、「テクノ」っていうセクションに全部入ってたんですよね。〈ワープ〉、〈R&S〉、〈ライジング・ハイ〉、〈キッキン・レコーズ〉、ジャングル初期とか、ガバも入ってたしハウスも入ってたし、とりあえず気になったものを聴かせてもらって、「あ、これカッコいいな」ってガバ買ったりとか。『イントゥ・ザ・ジャングル』っていうジャングルのコンピレーションがあって、BPMがまだ150とか160ぐらいのときの(笑)。そういうの聴いて「これジャングルって言うんだ、カッコいいな」と思ってて、そしたらゴールディーが出て。で、そのなかにマッシヴ・アタックも入ってたんで、それも聴いたりとか、ビョークも聴いたりとか......中2から中3にかけてすごく聴いてましたね。テクノっていうセクションにいろんなものが入ってたから、そういう意味ではラッキーだったというか、いろんな音楽を聴くことができたんですよね。

あれはもう、黄金時代だったからね。

GT:で、高校生にになるとブリストル系、それから〈モ・ワックス〉だったり、もちろんポーティスヘッド......、〈ワープ〉は全部押さえてましたね。〈R&S〉とか〈ライジング・ハイ〉とか、あんまり情報はないから、レーベル買いして。コンピレーションに入ってたら、そのアーティストが違うレーベルから出してるものを買ったりとか。そういうのはほんと趣味でやってましたね。レコードもたくさん買ってたんですけど、でもDJをやるつもりもなくて......って感じですね。

そんなたくさん聴いてたんだね(笑)。

GT:本当に単純にレコードが好きで聴いてましたね。レコード屋のおっちゃんも知らないし、まわりの友だちも知らないし。高校生ぐらいのときに大学でDJやってる人と知り合って、その人がちょっと音楽に詳しかったからボアダムスだったり、マーク・スチュワートだったりも聴かせてもらってですね。DJやるつもりも音楽やるつもりもまったくなかったです。ただ趣味で、レコード買って、CD買って、楽しい、カッコいいなーって思ってただけです。
 18になって大学に入って上京したんです。最初はまったく音楽やるつもりはなかったですけどね。で、DJぐらい趣味でやろうかなーと思ってて。ちょうど大学に入るか入らないかぐらいで広島にいたときに、その先輩が〈ワードサウンド〉のコンピレーションを持ってて、「これやべーなー」みたいな感じで聴いてて(笑)。俺はそのとき「ほんとやべーな、この曲!」って感じで。すっごくディープなダブだったりとか、ローテンポでダークなヒップホップだったりとか。

その辺からじょじょにゴス・トラッドに近づくんだね(笑)

GT:そうですね(笑)。で、「わ、これほんとやべーな。これどこで売ってたんですか?」って、「どこどこのレコード屋で売ってたよ」って教えてもらったり。その先輩と朝まで遊んだ帰りにそのままレコード屋開くのを待って買って帰りましたね(笑)。それを聴きこむうちに、「DJやるよりも曲作りたいな」と思うようになった。で、その先輩はサンプラーだけで趣味的な感じでループを作ったりとかしてて。それを3時間ぐらい聴いたりしてて、「やべーループができたのー」みたいな感じで言ったりしてましたね(笑)。毎月ぐらい遊びに行って、そういうのを聴いて、「面白いなー」って。

へー、そこでヒップホップとの出会いがあるんだ。

GT:その人はルーツはヒップホップだから、昔のヒップホップを聴かせてもらったりしてました。でも音楽をやりたいと思ったきっかけはそのコンピレーションでしたね。ダークで、だけど音楽的だなと思って。こういうものを自分で作りたいなと思いはじめて、で、その先輩に何から手を付けたといいか訊いたら、「DJからはじめるとテンポ感覚もつくしいいんじゃないの」って教えられて。で、「作るには何が必要か?」って訊いたら「まずサンプラー。あとはシーケンサーとミキサーがあれば何でもできるよ」と教えてもらって。で、アカイのサンプラーS3000を買って、シーケンサーを買って、ターンテーブルをサンプリング用に1台だけ買って、で、トラック作りをはじめたんですよ。

なるほどねー。すごいですね(笑) なんかね、最初聴いたときに、ほんと正体がわからない音だと思ったんですよね。どこから来たのか背景がわからなかった。レーベルのひとにも訊いたんだけれども、「じゃあとにかく思ったこと書いてくれればいいから」みたいなことを言われて。テクノからの影響も感じるけど、アルバムの後半はもうノイズだし、クラッシュさん系のアブストラクト・ヒップホップのような匂いも感じたんだけど、もっとささくれ立っているし。以前、神波京平さんに「ゴス・トラッドはDJやってるけど、どういうのかけるの?」って訊いたら、「彼はスーサイドをかけてたよ」って言われて(笑)。〈ドラムンベース・セッション〉でスーサイドというのはすごいよ。

GT:はははは! かけましたね(笑)

それが2001年だから、だからアルバム出す前なんだよね。

GT:そうですね。

[[SplitPage]]

秋葉原まで行って、で、自分でネットで回路図を探して、全部書き出して----ぜんぜん知識はないんですけど(笑)----そういうエフェクター工作本みたいなものをオークションで5000円とか出して買ったりとか(笑)。ネットで海外のサイトでのリングモジュレイターのまったく同じ回路を見つけたり。

そもそもどうやってシーンとの接点っていうものができていったんですか?

GT:『士魂』っていう渋谷FMのコンピレーションに1曲だけ参加してたんですよ。ケンセイさんがちょうどアブストラクトのアプローチをはじめたときに、彼にデモテープを渡してたんですよね。一発目渡して、二発目渡すときにケンセイさんが「すごく前の良かったから楽しみにしてた」って言ってくれて、「じゃあ聴いてください!」って渡したら、連絡あって、「いま企画してるから参加してほしい」って言われて。もうその時に10数曲できてたんです。それが2000年ぐらいです。だからトラック作りはじめて1年半ぐらいで、家にずっと籠もってサンプルいじりまくって10数曲作ったんですよ。それをケンセイさんに渡したら、「1曲コンピレーションに参加してほしい」って誘われて、それが12インチで出たんです。それがきっかけで「GOTH-TRAD」という名前ではじめたんですよね。

なんで「GOTH-TRAD」ってつけたの?

GT:いや、「ゴスだね」ってよく言われてたんですよ、なぜか(笑)。作るトラックが。

それはでも、そう言ってるひとの感性が正しいよね(笑)

GT:(笑)それは、自分が好きでよく使うサンプルが----中古レコード屋とかでクラシックのレコードをすごくよく買ってて----。

へえー。クラシックをネタにしてたんだ?

GT:そうですね。だからストリングスの使えるネタをカットして、それをキーボードで弾き直すっていう作業が自分にすごくハマって。で、なんかこう、ストリングスの音というのが自分のなかでフィットするというか、メロディ浮かびやすかったりフレーズが作りやすかったりで。そういうのをやっていると、「ゴスな音だね」ってよく言われるようになりましたね。「あー、そうかゴシックか」と思って辞書なんかでいろいろ調べると、元々のゴシックのカルチャーっていうのはヨーロッパにセンセーショナルな風を吹かせたっていうのがあって、それはすごくいい意味だなっと。それでその言葉を選んだんですよね。

広い意味だからね。

GT:そうですね。

トラッドは?

GT:トラッドは、トラディショナルっていう部分は大事にしたいっていうか、それはどっちかって言うとルーツっていう部分なんですけど。

なるほどね(笑)。紙『エレキング』に年間チャートをくれたじゃないですか。で、あのなかにキャスパのリミックスとか、あとオプティモっていう名詞があるのがすごく意外だったんだけど、実を言うとね。なんかいまのゴス・トラッドのイメージからするとね、やっぱデジタル・ミスティックズとか、ああいうごりごりに硬派なものかなと思ってたんだけれども。いまの話を聞いて、僕が思っていたよりもずっと幅広いんだなと思いました。まあ、でもその、「トラディショナルを大切にしたい」っていうのはいまひとつわかってないですけどね(笑)。まあ、いつかわかるかもしれないけど。

GT:はははは。

10年前のケンセイくんなんかはクラッシュさんフォロワーの第一人者みたいな感じで当時やってたから、やっぱりその辺の流れとかも合流してるってことなんだね。

GT:そうですね。でその後、バクくんとのコラボっていうか。

バクくんにもクラッシュさんの流れがあったよね。

GT:バクのDJ用に"Kaikoo TracK"という曲を作ってあげて、で、そこでリリースもあって。※2001年にリリースされた「DJ Baku 対 Goth-Trad」に収録。

じゃあ、〈ドラムンベース・セッション〉にDJデビューしたり、秋本(武士)くんに出会うっていうのは?

GT:"Kaikoo TracK"のリリースとかがあって、神波さんから声がかかったのかと。だからバクくんと俺と、同じステージでDJやったんですよ。

新宿リキッドルームね、バーの横の。

GT:はい、そうです。まあ、DJ全然できなかったんですけどね(笑)。家にはまだターンテーブル1台しかなかったんで(笑)。

スーサイドはどこから来てたの?

GT:スーサイドは......。

当時はバクくんなんかも、ノイズとか、いわゆるヒップホップの文脈から逸脱したようなサウンドを積極的にアプローチしていた時期だったよね。

GT:そうですね。その当時は逆に俺はバンドを聴いてなかったんですよ。生楽器の音楽を。それが好きじゃなかったんですよね。でもそのことに対してすごく悔しかったんです、なぜか。バンドの音楽って打ち込みの音楽よりも大きいシーンがあるし。ハードコアだったり。19縲鰀20歳のときに「その辺も聴いてみよう」と思って音を聴きはじめたんですよ。そのきっかけはまずテクノ・アニマルの片割れ、ケヴィン・マーティンの片割れのジャスティン・ブロードリックがハードコア・バンドのゴッドフレッシュっていうのをやってたんですよね。打ち込みと、キター、ベース、ヴォーカルなので、そこから聴きはじめて。
 で、それをどんどん辿っていったところで〈イヤーエイク〉っていうレーベルから出してたんで、そこからナパーム・デスとか、ピッチシフターとか、そういうハードコアものを聴きはじめたんですよ。それプラス、打ち込みのドラムをやってるって部分で、生のドラムも研究するんですよね、バンドと対バンするときとか観に行ったときに。生のドラマーってどういう打ち方してるんだろうな、とか。ハットがどうあってシンバルはどういう風に使ってて、オープン・ハイハットはこういう風に使ってて、とか、キックの打ち方とか、そういうのを目で見て研究するようになって。で、バンドとかも聴くようになったんですよね。そういう感じでいろいろ聴いてて、スーサイドなんかに出会った。

......でもあれだね、ここまで話を聞いただけでも、ずーっと音楽なんだね。

GT:そうですね、ほんとに好きだったんです。でもまだ自己満足でしたね。
 上京した頃にちょうどインターネットも普及しはじめて、自分も大学入ってからインターネットはじめたんで、知りたいことをたくさん知れるっていうか、英語で難しいけど何とかわかるから「こういう音源あんだ!」とか、「このひとソロでやってんだ」とか「このドラムのひとこっちでもやってんだ」とか、「どうやって買えばいいんだろう」とか、そういう、「誰もこんなこと知らねーだろ」っていうようなことを調べるのにものめりこんでいって。面白いことを探して、そしてまた探してっていう。で、「自分もこういう音作りたいな」とか、「でもこれと同じものは作れないから、これ1枚に何かレイヤーさせたものを作ろうかな」とか、そういうアイディアを考えてましたね、当時は(笑)。

ホントに音楽ばっかというか......今日は本物の音楽キチガイに会ったって気がする(笑)。

GT:はははは! でもそれがほんとに楽しかったですね、当時は。

四六時中作ってたって感じなんですか?

GT:そうですね。家から出なかったですね(笑)。いまとつい10数年前ってほんと大違いじゃないですか。音の作り方が。アカイの3200XLっていうのを中古で買ったんですけど。それ30万ぐらいしたんですよ。バイトして。

わかりますわかります。

GT:32メガなんですよね。で----。

俺なんてエンソニックですよ(笑)。

GT:エンソニックもありましたね。音がちょっとね(笑)。

フロッピーが2DDですよ、しかも。

GT:フロッピー・ディスクをこうね、1.4メガの。だから〈レベル・ファミリア〉の初期のライヴで、フロッピー・ディスク20枚全部ロードしたんです(笑)。

はははは! じゃあロードしながら?

GT:いや、はじまる30分前ぐらいにロードして「絶対電源落とさないでください!」って言って(笑)

なるほど(笑)。

GT:それでいいキックを探すために八王子のレコ屋で100円とか50円とかのをとりあえず買ってみて、聴いて、「これ使えるな」とか。そこでみんなが「あのソウルのブレイクいいよ」って言うようなやつは絶対使いたくなくて(笑)。

なるほどね。それであの特殊な音色なんだね。

GT:そういうのを繰り返して。当時の曲の作り方っていうか、展開のつけ方っていう感覚はあんまり変わってないですね。

[[SplitPage]]

いちばん衝撃だったのはワイリーのトラックで"モーグ"っていうのがあるんですけど。いま聴くとまさにダブステップだ。ハーフで打ってるトラックで、俺からするとアブストラクト・ヒップホップに近い音色で、ベースラインも「ドドド、ド、ド、ドドド、ド、ド、」みたいな感じでずーっとミニマルで。

秋本くんとはどうやって出会うんですか? 彼は僕と会うたびにゴス・トラッドのことを心底評価していたよ。

GT:その当時、バクくんとコラボしたときにライヴやってたんですよ。そのときにドライ&へビーのセッションでバクくんがスクラッチ入れて......っていう企画もあって。そのイヴェントに出て、ひとりでライヴやってたんですけど、サンプラーとミキサーでね。ほぼいまと同じスタイルです。ダブ・ミックス。フードかぶってお面とかしてライヴやってたんですよね。
 で、秋本くんもたぶんそのときにいたんですよね。「超ダブ・ミックスやってるやつがいる」みたいになって(笑)。それで観に来たみたいで。それからイベントやってたひとづてに話が来て、「1回会って話したい」みたいな感じで。「ちょっとセッションしようよ」みたいな話になったんです。

そのときもまだ大学生だったんでしょ?

GT:そうですね。

いきなりじゃあ、東京でもっとも熱い男と会ってしまったっていう。

GT:はははは、そうですね(笑)。でも俺もその頃はすごく生意気だったんで......別にどうでもいいってわけではないけど、「俺は俺の音でやるから」みたいな感じだった。ぶっちゃけて言うと、ドライ&ヘビーに関しても特別興味があったわけじゃなかったんですよ。クオリティはとても高いのは理解できるんですけどね。でも、「自分のやりたい音ではないな」っていうのは正直あったんです。

〈ワードサウンド〉だもんね。

GT:初め会ったときに俺は秋本くんにひたすら「〈ワードサウンド〉ってやばいレーベルがあって」みたいなそういう話をしてました、全然わかんないのに(笑)。で、「ビル・ラズウェルも参加してるんですよね」っていうところで、「えっそうなんだ!?」って感じでちょっと盛り上がりつつ(笑)、で、「やろうよ」みたいな感じでスタジオ入って。

それで〈レベル・ファミリア〉のファースト・アルバムが生まれてくるんですねー。そういう風に自分で打ち込みはじめて、2003年に『Goth-Trad 1』を出すじゃないですか。で、さっきも言ったように、サウンド・プロダクションもさることながら作品全体から出ている雰囲気みたいなものっていうのに関して言うと、けっこう強いものを感じたんですよね。反抗心みたいなものっていうか、だからああいうことを書いたんだけれども。で、もし僕がそのとき感じた反抗心みたいなものが当たってるんだとしたならば、どういうところからあの感情は来てたの?

GT:自分のダイレクションが、たとえば「ゴッドフレッシュがカッコいい」とか〈ワードサウンド〉だとか、「メルツバウやべえじゃん!」とか、そういうところに向かってたんですよね。当時から自分はいろんなパーティ観に行ったりもしてたんですけど......、まあ、「みんな似たような音作るんだな」って思ったりしてたのもあるんですよね。もっと自由になれんじゃないかな、みたいな反抗心というか。
 あの、〈リバース〉って盛り上がってたじゃないですか。いま思うと、すごくカッコいい日本を代表するレーベルだと思うんですけど、俺当時はたぶんそうじゃなかったんですよ。「似てんな、みんな音!」みたいな、そういう感覚だったんですよね。いま思うとすごくカッコいいシーンだし、すごくカッコいいレーベルだし、アーティストもそれぞれいいアーティストだと思うし。いまもまだまだ活動しているアーティストもいるし。だけどその当時はひねくれてたので、「もっと俺は違うものを作ってやろう」とか「もっと面白い打ち出しをしたいな」と思ってました。

じゃあ最初から他と違うものを目指すんだっていうのがあったんだね。でも、ただたんに違う音を作るんだっていう以上の気持ちみたいなものを感じたけどね。「なにくそ」というようなものというか。まさに「GOTH-TRAD」っていう名前にふさわしい、パンク的なものを。

GT:それはもしかしたら育ち方なのかもしれないですけど。あの、全然音楽に関係ないのかもしれないですけど、うちは......親はすごく教育熱心だったんです。少し居心地悪かった部分もあったし。高校卒業のギリギリまでずっとサッカーやってたんですけど、親は「勉強しなさい」とか「公務員になりなさい」とかそういうのを望んでいましたね。アニキは高校卒業してイギリスのアートの大学に行って、自分はひとり残ってそういうなかでいて。でもそれが日本の社会だし、そうじゃないと生活できないっていうのはわかってるし、親からも聞かされてるし。当時だけかも知れないですけど、そういう世界じゃないですか。そういうのはすごく感じてたし。東京行くんだったら条件としてこの大学、国公立行きなさいって言われて、俺は「わかったよ、じゃあここ受かったらあとの人生俺の好きなようにさせてくれ」って言って(笑)。でもこれって実はすごく恵まれている環境なんですけどね。
 だから俺は親はすごく尊敬してるんです。ただ、親っていうのは世間に対する見栄があったりとか、とくに日本はそういう世のなかじゃないですか。で、そういうのがすごく居心地が悪かったのがあって。そのときはすごく勉強して受かって(笑)。で、それから大学がはじまってからはほんと好きなことをやらせてもらって。大学の卒業研究は、音と脳波との関連を題材にして、ちゃんと卒業しましたし。そのおかげで、サッカーにしても、受験にしても、大学の卒業研究にしても、自分の立てた目標や、いちどはじめたことを達成するまでの根性は身に付いたと思います。これは自分がたとえ音楽をやっていなかったとしても、大切なピリオドだったと思いますよ。

偉いなー。

GT:その反動でやっぱり音楽へののめりこみ方っていうのは強かったんですよね。そこまでして入った大学で、普通にいけば就職できてたかもしれないっていうのを、そうじゃない方向に行くっていうぐらいだからそれぐらいのエネルギーがたぶん自分にはあって。でも食おうっていうイメージはなかったです(笑)。

それはじゃあ、もっとがむしゃらにやってる感じだったんだろうね。

GT:実はファースト以前にもっとアブストラクト・ヒップホップとかブレイクビーツ的なトラックが10曲以上あったんですよ。ファーストには入れなかったんですけど。それを出すっていう話もあったんです。2001年とかに出したいって話だったんですよね。でも俺は頭のなかでは妄想がデカくなって、海外のここから出したいとか、頭ばっかでかくなっちゃってて。

でも......何でそこまで〈ワードサウンド〉に惹かれたの?

GT:いや、〈ワードサウンド〉もそうだし、あとUKの〈アバランチ〉だったかな、テクノ・アニマル周辺にも、ケヴィン・マーティンにもガンガンメール送ってたんです。カセット・テープのデモですね。

ああ、テクノ・アニマルっていうのはわかるなー。なるほど、いまようやくあのアルバムの秘密がちょっとわかった。

GT:だからそういうレーベルから出したいっていうのはすごくあったんです。自分のなかではそこがすごく浅はかっていうか。まあそこが良かったのかもしれないし。それだけ思いが強くて。ただいま思うと、近道をしようとしてすごく遠回りしているっていう。海外に行きたい、海外でDJしたらカッコいいなってそういうイメージばっか大きくなっちゃって、足下見えてないというか、日本を見れてないなということに後ですごく気づいたんですよね。
 いま思えば、最初にアブストラクト時代の作品を出していたら、早い段階で違う積み重ね方ができてたのかもしれないし。だけどそんな意識が強すぎて2年も3年も出さないで結局お蔵入りになっちゃって。で、〈イーストワークス〉で出すっていう、まあその道のりがあったからこそ、あのファーストが完成した訳だし、いまがあるのは間違いないんですけどね。

〈イーストワーク〉も当時よく出したと思うよ、決してわかりやすい音じゃないでしょう。前半は〈ワードサウンド〉っぽい感じがあるけど、後半とか「なんだこりゃ」みたいな挑発的な展開だったし。それに当然まだ「ダブステップのゴストラッド」という評価もないし、本人が意識的に作ったように他にないものだったからね。じゃあ、今度はゴス・トラッドがどうしてUKのダブステップのシーンと結びついていったのかっていうのを教えてください。

GT:さっき話したみたいに90年代初期からUKの音楽っていうのにすごくハマってたんです。ただ好きだったんですよね。ブリストルの〈Vレコーズ〉、ジャングル、ドラムンベース。で、それ以降飽き飽きしてたんです、ドラムンベースに関して。当時はUKのアンダーグラウンド・ミュージックっていうとドラムンベースのことだったし、自分もチェックしてたんですけど、ちょうど90年代末はつまんなくなってて。

みんな大人びてきたし、4ヒーローなんかも洗練の方向に進んでいたしね。

GT:2ステップなんかも聴いてはいたんですけど、「ただのポップ・ミュージックじゃん」って思ってて、とくに日本の取り上げられ方は。だからつまんないな、と思ってたんですよね。自分の音楽性はアブストラクトからインダストリアルの方向にどんどん行って。

じゃあ三田(格)さんが言ってたように、ほんとにノイズに行ってたんだね。※2005年、渋谷〈マイクロオフィス〉で、三田格、バク、筆者の3人でトークショーをやったときに出た話。

GT:そうですね。で、そこから「他に作れない音イコール、自分で音作ればいいじゃないか」っていくところまで行ったんです。てことは、自分で楽器作って自分でエフェクター作ってそれを鳴らしてループさせたら、超オリジナルじゃんとか思って、秋葉原まで行って、で、自分でネットで回路図を探して、全部書き出して----全然知識はないんですけど(笑)----そういうエフェクター工作本みたいなものをオークションで5000円とか出して買ったりとか(笑)。

はははは。

GT:そういうの何冊も持ってて。そういうの見たり、ネットで海外のサイトでのリングモジュレイターのまったく同じ回路を見つけたり、それをコピーしてパーツを秋葉原で買って、ドリルも買って。

すごいねー(笑)

GT:鉄ギリのニッパーとかも買って、それで自分で作って。で、ハンズとか行って金属を合わせて楽器を作って。テルミンの回路をどっかから探して見つけて、それをオブジェっぽくもっとカッコよく作ろうって思って組み立ててみて、「それを使ってライヴやったら超オリジナルじゃん」とか思って(笑)。でもそのときはやっぱり、ビート、ベース、上ものっていうのを残したかったんですよね。
 たとえば、ファーストの後半のノイズっぽい展開、あれってやっぱノイズだけどループになってて、キック、スネアっぽい音になってると思うんですよね、まあ自分のなかではそういう構成で作ってるんです。で、上ものはこのシンセを通して作ってっていうのは頭のなかで回路を組み立ててライヴ・セットを組んでたんですよね。で、現場でダンス・ミュージックというかオリジナルの音を作りたいっていうのがあって、だんだん進化して「もうループじゃなくていいじゃないか」ってなって。表現できれば。そこでセカンド・アルバムまでいったんですよ。

[[SplitPage]]

アルバムの音源を----当時はグライムとかダブステップで知り合いもいないから----アンダーグラウンドのヒップホップとかのいままでで知ってるやつに渡したら、そこから「グライムとかいま来てる音楽だから」みたいな感じのDJにさらに渡してくれて。そしたらけっこう広まったみたいで。

セカンドって、『ジ・インヴァーティッド・パースペクティヴ』(2005年初頭)のことだよね。

GT:そのときもちろん〈レベル・ファミリア〉もやってたじゃないですか。ごくたまにBBCのラジオとか聴いてたんですよ。2003縲鰀4年にネット・ラジオで聴けたんですよね。そのときにたまたまUKガラージのショウか何かで。またすごく面白いんですけど、MCが「pump up the jam」ってテクノトロニックのリリックをガラージに乗せて歌ってた んですよね。

へえー(笑)。

GT:「これすげーカッコいいー!」と思って(笑)。「何だ、ここ繋がんのか!」って。で、ガラージを聴くようになったんですよね。それでちょうど2004年ぐらいからグライムがかかって。まあディジー・ラスカルとかも出たじゃないですか。「おもしれえなー」と思ってよく聴くようになった。2003年には〈リフレックス〉が『グライム』ってコンピ出すじゃないですか。それも持ってたし。「あ、これグライムなんだ。でもBBCで聴くのとちょっと違うしなー」と思いながら、でもたまにそういうのを聴いて、ビートも作ってたんですよね。ノイズも作ってたんですけど。

あの頃のグライム・サウンドは図らずともゴス・トラッドの世界と似てるところがあるんですよね。荒々しい質感とかね。それこそグライムって、ワイリーにしてもそうだけど、パンクなところがあるでしょ。〈リフレックス〉のグライムのコンピレーションも2枚ともまったく愛想がないし(笑)。ただ、『2』のほうのメンツをいま考えるとすごいけどね。コード9、デジタル・ミズティックズにローファでしょ。

GT:やっぱいままでにないビートの打ち方だったし、「変なビートだな、前つんのめってるし」っていう。まあベース・ミュージックという感覚はあんまなかったんですけどね、そのときは。やっぱりいちばん衝撃だったのはワイリーのトラックで"モーグ(The Morgue)"っていうのがあるんですけど。いま聴くと「まさにダブステップだな」って思うんですよ。ハーフで打ってるトラックで、俺からするとアブストラクト・ヒップホップに近い音色で、ベースラインも「ドドド、ド、ド、ドドド、ド、ド、」みたいな感じでずーっとミニマルで。

へー、それって、ワイリーのいつぐらいの作品? アルバムに入ってる?

GT:2003年とかですね。アルバムに入ってないですね。12インチでリミテッドで出てたとか。

それをよく聴いてたねー。

GT:どっかのネット・ラジオか何かをダウンロードしたらそれが入ってたんですよね。「これ超やっべー」って。

ワイリーの影響受けてる人って多いよね。ゾンビーやラスティーみたいな人も最初はワイリーだったみたいだし。向こうの人はワイリーのビートを「エスキー・ビート」って言うけど。

GT:そうですね。それがほんと初期のグライムで、そのドープな部分プラス、もうちょっとがちゃがちゃした変なリズム感、(BPM)70で打ってるんだけど140で乗れる感覚って自分のなかに近いものがあるなと思ったんですよね。ファーストにもそういう曲を入れてます。ハーフで打ってるけど倍で乗る感じとか。「自分が表現したかったことをやってんな、こいつら」とか思って。

リズム的に、ビート的にシンパシーを抱いたんだね。それでは、あのダークさっていうのは?

GT:ダークさはもちろんですね。それありきで、あの空気感。あとあのMCのテンパった感じ、切迫感。で、「レイヴ」と言ってる部分とか。あの音で「レイヴ」って言うのが超カッコいい、新しいと思ったんですよ。そうあるべきだと思ったんですよね。自分が初期で聴いてたレイヴ・ミュージックっていうのは全部バラバラだったし、全部新鮮だったし。ジャングルにしても、プロディジーが出たときも、KLFも、ナイトメアズ・オン・ワックスも。あの辺の音ってスゴクバラバラだけど、全部カッコよかった。そういうものが自分のなかで「レイヴ」だと思っていたんですね。「これがほんとのレイヴ・ミュージックだ」って思ったんです。

そういう考えだったんだね。

GT:でも、日本だとレイヴ・パーティっていうとトランスっていうのが基本ですよね。

そうなんだよね。

GT:「レイヴ・パーティあるから行こうよ」って誘われて行っても、だいたい4つ打ちで、人も似たような格好してて、みたいな。「カッコわりーなー」と俺は思ってた(笑)。そういうのが強くあって、『マッド・レイヴァーズ・ダンス・フロア』(2005年末)を作ろうと思ったんですよね。あとは自分の楽器とエフェクターを使いつつ、ノイズっていうダイレクションで表現する音楽はセカンド・アルバムである程度やり切ったっていうのはありましたね。

なるほど。それでどうやって現地に行くことになるの?

GT:サードはアイディアがたくさん詰まってたんで、半年ぐらいで終わったんです。ストックしてた曲もあるし。で、それを持ってイギリスに行って、友だちのアンダーグラウンドでヒップホップやってるやつとかに渡したんですよ。

それは初の海外?

GT:その前に、ノイズ・ミュージックとしては年に1回まわってたんですよ。

パリかなんかで?

GT:そうですね。バトファーは2002年に行って、そのときたまたま日本の女の子がノイズのミュージシャンをプロモートする仕事してて、そこで知り合って、で、その翌年から毎年無理して行ってたんですよね。そういうノイズの世界ってちょっと閉鎖的じゃないですか。

だからまさに三田さんが言っていたように俺はそんなにノイズ聴いてないからさ(笑)。

GT:ちょっと閉鎖的なんですよね。でも俺はすごく面白い音楽だと思ったから、ヒップホップのパーティでもノイズやったりしたし。俺は音楽をフラットに見たいので。だけどやっぱりすごく閉鎖的な部分もあるし、すごくDIYだから。そういうところに新参者で入るのはすごく難しかったりするんですよね。
 でまあ、ちょっとはライヴとかやらせてもらってすごくいい経験にはなったし、すごく面白いシーンも見れたし。で、2003年から4年まで毎年チャレンジして、けっこうギグはやってて。
 とくにフランスはそういうエクスペリメンタルとかインプロヴィゼーションにすごく寛容だから、市がすごく投資したりだとか、市主催の大きいパーティとかがあるとそういうところにうまく組んでくれたりとか。で、そういうのでやったのと同じテンションで、全然違うアプローチでやったら、ショウをちょっと何個かやりたいっていうのでフランスとかで何本かやらせてもらって。で、「この音楽はやっぱりイギリスでしょ」と思ってイギリスにも行って、そこで自分のアルバムの音源を----当時はグライムとかダブステップで知り合いもいないから----アンダーグラウンドのヒップホップとかのいままでで知ってるやつに渡したら、そこから「グライムとかいま来てる音楽だから」みたいな感じのDJにさらに渡してくれて。そしたらけっこう広まったみたいで。

2005年だっけ?

GT:2005年の終わりですね、アルバム出た頃だから。そしたら2006年の頭に、誰かが「ダブステップ・フォーラムにGOTH-TRADのスレッドが立ってるよ」って言ってきて、「何それ?」っていう(笑)。それをリンク貼ってあって見たら、誰かが「GOTH-TRADってやつが日本でダブステップを作ってるんだよね」って書いてて。そのときちょうどマイスペースを立ち上げたときぐらいだったんですよね。そしたらけっこうメールが来るようになって。『マッド・レイヴァーズ縲怐xに入ってた"バック・トゥ・チル"って曲なんですけど。『マッド・レイヴァーズ縲怐xはどっちかって言うとインストでグライムを作ろうっていうアプローチだったので、ダブステップって言葉もよくわかってなかったし。

じゃあ、『マッド・レイヴァーズ・ダンス・フロア』がほんとグライムの影響を受けてるんだよね。

GT:そうですね。で、イギリスのラジオのDJとかレーベルとかから、ちょうどダブステップが活性化し始めたときだったんで「新しくレーベルはじめるからリリースしたい」って話がどんどん来て。ラジオのDJには渡したり。ダブ・プレート切ったよとか。ラジオでかけたよ、とかそういうのもらって。「これダブステップっていうんだな、ダブステップのシーンがいますごいんだな」って思って。すでにBBCでは「ダブステップ・ウォーズ」もあって、シーンもどんどん大きくなってきてて。

まさかこんなに大きいシーンになるとは夢にも思わなかったなー。

GT:そうですね、だからそのときはまた新しくトラックを作りつつあって、「今年も行くしかねえな」と思ってて。まあそのときはイギリスでも何本かギグがあって。で、イギリス行く前にマーラともマイスペースで話をしてたんですよ。「曲を聴いたけど、あれカッコいいね」みたいな。で、「じゃあ会おうよ、ロンドン行ったら」って、そして〈フォワード〉で会って喋って。「いつか日本にも呼びたいんだよね」って話をすると翌日マーラが「俺がプレイするから遊びに来なよ」って。それで遊びに行ったら〈DMZ〉のカタログとかホワイトとか持ってきてくれて。「これあげるから、かけてね」って言って、全部くれたんですよ。で、「ありがとう」って俺は言って帰るんですけど。
 そのときはリリースするとかいう話も別になかった。別のレーベルとはリリースの話もあったんですよ。それは〈スカッド〉っていうレーベルですよ、"バック・トゥ・チル"をリリースしたレーベルなんですけど。その後もマイスペースに曲をアップしてたら、あるときマーラからコンタクトがあって、「何曲かサインしたい」って言ってくれて。「他の曲もすごく好きだからアルバムいつか出したいな」ってそのときから話してくれて。

それは良い出会いだったね。

GT:そうですね。

いまではダブステップの最高のキーパーソンのひとりだからね、マーラは。

GT:すごく嬉しかったのは、はじめに〈ディープ・メディ〉からリリースしたのが"カット・エンド"って曲なんですけど、マーラが「この曲は絶対に誰にも渡さないで!」って(笑)。「世界で俺とゴス・トラッドだけが持ちたいから、リリースするまで他に絶対渡さないでほしい」って言ってくれた(笑)。で、俺も「わかった」ってね。するとマーラが各地でDJやるときの1曲目にプレイして、みんなが知るようになったんです。そうしたらスクリームとかまわりのやつがみんなコンタクト取ってきて、「あの曲くれ」って言われて、そのたびに「ダメ」って返してましたね(笑)。

[[SplitPage]]

2006年の頭に、誰かが「ダブステップ・フォーラムにGOTH-TRADのスレッドが立ってるよ」って言ってきて、「何それ?」っていう(笑)。それをリンク貼ってあって見たら、誰かが「GOTH-TRADってやつが日本でダブステップを作ってるんだよね」って書いてて。

マーラとの出会いもありつつも、2005年縲鰀2006年っていうのはダブステップのシーンの発展期というか、オリジネイターたちが下地を作っていた時代だったと思うんだけれども、そのときのイギリスのシーンっていうのはゴス・トラッドから見てどうでしたか?

GT:当時自分がイギリス行ったときは、〈フォワード〉ぐらいしか行ってないんですよ。それはすごく盛り上がってましたね。ただ地方はわかんなかったですね、まだ。
 2005年の暮れに行ったときには『マッド・レイヴァーズ縲怐xの音でライヴもやったんです。それはヒップホップのパーティで、そのときはグライムのMCがどんどん入ってきて、「やっぱグライムなんだ」みたいなノリだった。2006年行ったときに〈フォワード〉行くと、グライムのMCがマイクを握りながら、DJはダブステップをかけるって形だったんですよね。で、当時の現場は自分はあまりよくわかってなかったです、ぶっちゃけて言うと。
 2006年から自分も東京でパーティはじめて、どういうノリでやってたのか......ひたすら「こういう感じかな」っていう(手探りな)感じだったと思いますよ、その頃は。初めはMCもつけてたし。ただ......でも、俺、最初にDJやったときはパソコンでやったんですよね(笑)。1回か2回か。CDJも使えないし、トラクターかなんかでやったんですよね。だからわかってなかったんですよね、何て言うかこう......。
 まずどうして自分がパーティはじめてDJはじめたかと言うと、ダブステップのカルチャーで面白いところはダブプレートだったり、未発表の曲をDJがかけるところ。日本だとDJイコールDJで終わることがたくさんあるじゃないですか。でも向こうだとDJイコールプロデューサーっていうのが、まあ基本じゃないけど----。

とくにダブステップの世代はほとんどみんな作ってるからね。

GT:そうじゃないですか。それがないと成り上がれないというか、名前も広げられない。で、「日本もそうあるべきだ」と思って。でも自分はもともとDJやってなくて、自分の音を使ってライヴで勝負するのが当たり前だと思っていたから、そのときまで若干DJっていうのを軽視してたんですよね。

ははは。

GT:ぶっちゃけて言うと。当時から多くのDJが「新譜か何か珍しいレコード買って、エフェクトをごちゃごちゃ駆使して、すごく上手い」みたいな。バトルのスクラッチとか、そういうひとはテクニックだからまた違うと思うんですけど。まあこれはクリエーター視点なんですけど、大元の音源の部分にオリジナルを追求してないですよね。そういう意味でつまんねえな、っていうのはあって。でもデジタル・ミスティックズを見ると、レコード・バッグ半分以上がダブプレートで、ダブプレート1枚切るのに1万円かかって、半分くらい自分のトラックで半分は自分のレーベルとか仲間のやつで、っていう。「ほぼライヴじゃねえか」と思って、その1曲1曲にかける熱意っていうか。そういう部分って絶対オーディエンスにも伝わると信じてますから。

しかもダブプレート重たいしね、運ぶの。

GT:そうですよね。ただね、3万円で30枚集めてるDJと、30枚30万かけて自分のオリジナルで1曲入魂で作ってやってるアーティストって重みが全然違うな、っていうかすげーなっていうのはあって。俺もライヴぐらいの価値があるDJでありプロデューサーでありたいと思って。やっぱそういうことを日本でも当たり前にしたいなと思いましたね。それまで俺は自分でプロデュースしてライヴやってっていうのが当たり前だったから、それをDJにしてもっとわかりやすくやったらまわりのやつもそういう風にしやすいかなと。〈バック・トゥ・チル〉はこうやって、それを外に打ち出していこうよ、っていうコンセプトもあってパーティをはじめたんですよね。そうすればリスナー側ももっと現場にフォーカスするんじゃないかって。

ダブステップのシーンになって、それがますます顕著だよね。ハウス世代だと、まだエディットですよね。テクノ世代はけっこう作っているけど、でもダブステップになるとほんとにみんな作ってるよね。

GT:1曲入魂なんですよね。1曲にすごく愛情があるからダブプレートで切って、自分で絶対プレイするってことじゃないですか。だって自分のためにしか切らないわけだから。その思いっていうのがすごく音楽的だと思ったし、あの、「ネタを買いに行く」って言葉がすごくイヤだなって俺思ってて。

ははははは。

GT:「ネタじゃねえだろ!」みたいな。そこの感覚を俺はやっぱり打ち出したいなと思ったんですよ。もうちょっと日本でも浸透できたらいいなと。でももちろん、日本でもライヴ・カルチャーってあるじゃないですか、打ち込みでも。そこはいい部分だと思うんですけど。もうちょっとDJの単位からやると、面白くなるんじゃないか、もうちょっと触りやすいんじゃないかと。
 あとはやっぱり、自分の曲をリワインドして、とかいう面白さも感じたし、バック・トゥ・バックで面白い結果が生まれるっていうか。そういう部分もダブステップを紹介する上ではやっぱり必要だなと思って。

ただ日本の場合はイギリスみたいにプレス工場がないし、ダブプレートを作ること自体が身近じゃないし。

GT:そうなんですね、うん。

あれは羨ましいと思うけどね。

GT:だからダブプレートじゃなくてもいいと思うんですよ。CD-Rでもいいと思うし。俺が〈バック・トゥ・チル〉はじめた1年ぐらいは喋ってましたからね。「リワインドしたこの曲は、このあいだ作ってできた曲で」とか。誰かの曲をかけたときに「この曲はあいつが最近できた曲で」とか。「これは来年どこどこから出る」とか、そういうのを紹介してすごくわかりやすくやってたときもありましたね。

それがゴス・トラッドが見たダブステップ・シーンの......。

GT:面白い部分でしたね。

じゃあ自分がひとりのダンサーとして、その場でダブステップ・シーンの強烈な何かを感じたっていうことはあった?

GT:やっぱ音圧ですよね。〈プラスティック・ピープル〉ってそんな大きくないんですけど、それに対するシステムの大きさは全部デカかったですね、すごく。そこの音圧の感じはやっぱいままで体感したことがないものでしたね。あとお客さんのノリ。ハーフで打ってるんだけどみんな倍で乗っちゃって、ベースで乗っちゃうっていう。「あ、このノリだ!」っていう。いままで日本では見たことないっていうか。

2005年末から2010年にかけてっていうのはダブステップ・シーンもいっきに多様化して国際化して、で、ポピュラーなものになっていくんだけど、「自分がダブステップのシーンの一員である」という意識がついたのはいつぐらい?

GT:えっと、2007年に12インチ2枚出したあとの9月にがっちりとツアーはじめてもらったんですよね。1ヶ月で10数本。

それはイギリスだけ?

GT:ヨーロッパ全体でですね。そのときにはもう、パリでも人いっぱいだったし。で、グレッグ・Gって、いま日本に住んでる彼がやってくれたんですよ。彼とはそこで俺を呼んでくれて知り合ったんですよ。

あ、そうなんだ。

GT:で、彼が言うには、5月の時点でスクリーム呼んだら80人だったと。その次に誰かが呼んだら150人だった。俺を呼んだときに、9月の時点で250人入ったんです。だから、急に2007年入ってからばーんとパリとかは来たって言ってて。

2007年ってじゃあやっぱ大きかったんだ。

GT:たぶんそうだと思いますね。2006年の終わりから2007年にかけて、こう。

ブリアルとかが出してるし、あとスクリームとかも当時ちょうどヒットして。シーンがデカくなりはじめた実感ってそのときから感じはじめたってこと?

GT:そうですね、やっぱこう(右肩上がりに)来てんな......っていうのは2007年からですね。自分はタイミングがすごく良かった。ロンドンでも〈DMZ〉っていうすごく良いパーティでライヴ・セットをやらせてもらえてたし。しかも、当時はまだライヴ・セットっていうのをやってる人がいなかったから。自分は逆にすごくDJに興味を持ってたんだけど、UK側では「ダブステップのライヴやるんだ?」っていうので、逆に面白がられた(笑)。

〈DMZ〉のパーティっていうのもいまやなかば伝説になってるんだけど、ブリクストンでやってたんでしょ。どういう感じだったんですか?

GT:何かこう......教会があるんですよ。えー......暴動みたいですね、何かもう(笑)

暴動(笑)。

GT:客が「わー! わー!」みたいな。2007年の9月以降もう何回もやってるんですけど、DJでやったときもあるんですよ。そのときなんか、いまはブースの位置も変わったんですけど、当時は客が頭この辺ぐらいのところで。DJやってると手触ってきて、「リワインド、リワインド」っつって(笑)。

はははははは!

GT:で、「イヤだ、イヤだ、いましない、いましない」と言って、そうすると「おい、ゴス・トラッド! リワインド、リワインド!」ってこの辺のやつらがうるさい(笑)。で「しょうがねーなー」ってやったら、「ありがとう、ありがとう」みたいな感じで(笑)。そういうノリですよ、もう。

それはもう、最高だね。

GT:ガキどもが群がって、みたいな。

ああ、なんかその話聞いてると、光景が浮かんでくるんだよね。

GT:1曲にフォーカスするエネルギーがすごいですね、客がね。で、DJ側も「どのダブ・プレートかけてんの?」とか、かけたときに「誰の曲これ?」とか。「俺の曲」って言ったら「くれ! くれ! 次くれ!」って(笑)。やってる側も1曲1曲にフォーカスしてるし。ていうか、お互い一体感がすごいというか、みんなエキサイトしてるっていうか。

イギリスってダンス・ミュージックの文化のあり方っていうのがやっぱすごいんですよね。いまの話聞いてて、1993年にブリクストンで、ジェフ・ミルズとロバート・フッドとスティーヴ・ビックネルが出た〈ロスト〉っていうパーティに行ったときのことを思い出した。汗が天井から落ちるどころか、ホントに天井や壁によじ登ってるやつとかいたんで。

GT:そういうノリですよね。いい意味でちょっと危険を感じるっていうか、圧倒されるっていうか。プレイしてる本人もイッちゃってるというか、みんなそうだと思いますよ。5回とかリワインドしますからね。しかも俺がやってるときに誰かがリワインドしますからね、こっちで(笑)。「まだミックスしてんだけど」みたいな。またはじめてこっちミックスしようとしたら、後ろのDJがまたリワインドしてるとか(笑)。さらにいいMCもいるから。

[[SplitPage]]

俺はもっとエクスペリメンタルな、プログレッシヴな音楽としてダブステップを捉えてたので、そういうものはむしろぜんぜん気に しなかったですね。つまんねーなっていう(笑)。まあ俺がやる音楽じゃねーなと。それもダブステップなんだろうけど、俺は俺のダブステップをやるっていう。


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

そういうシーンのなかで体験したことがゴス・トラッドにどのように影響を与えていったの? たぶん今回のアルバムにもそれがすごく繋がっていくと思うんだけども。

GT:自分のなかではやっぱり〈ワードサウンド〉とか、そういう面白い音楽、新しい音楽を作るっていう意味では同じスタンスだと思うんですよ。さらにダブステップ・シーンが----たとえばディスタンスがメタルやってたとか、マーラはテクノも聴いてたしレゲエも聴いてるしヒップホップもやってたとか、ローファはヒップホップをやってたとか、みんないろんなところから集まってる。BPM140周辺、ベースがすごいあって......っていう共通点でひとつのステージに集まってるっていうところが、お互いが新鮮っていうか。お互いがかける曲も新鮮だし。テンションは同じなんですよ。そういうやつらが集結してるから、興奮するしかないっていうね。で、共通する部分はみんな持ってるから。「こんなん作ってんだ、お前!」みたいな。それのやり合いみたいな、それが止まんないみたいな。その当時はほんとに。

なるほどね。

GT:で、それに対して、すげーディープな音でも客からそういう(熱い)レスポンスが来るから、こっちもそういうレスポンスでいっちゃって、みたいな。どんどんテンションがいい具合で上がり合うっていうか。そういうのはつねにパーティでは感じましたね。

たぶん、最初のピークだったんだろうね。2007年以降っていうのはさらにどんどん大きくなっていくって感じだったかな?

GT:その部分もあるし、やっぱりシーンの流れはちょっと変わりましたよね。2008年後半か、まあ2009年ぐらいから、ちょっとつまんなくなりましたね。リリースされるものが、すごく。まあダブステップってキーワードも大きくなったし、ダブステップっていうルールができちゃったし。新しいアーティストでダブステップを聴いてダブステップを作ってるのがたくさん出てきたし。ドラムの音色も似ててベースの音色も似てて、そういうものが2008年、09年......まあ09年10年特にいっぱい出て、ほんとつまんないリリースが続いて。

じゃあ、初めて「つまんない」っていうのを感じはじめたのがその頃なんだ。

GT:うーん、まあでも、リリースはつまんないと思ってたんですけど、結局自分が聴いたりかけたりするものっていうのはダブプレートで、自分の信頼してるアーティストだったり、そういうとこはそういうとこで回ってるんで、関係ないですよね。ダブステップ・ファンが、まあメディアもそうだけど、「ダブステップ」って言ってるものが「これダブステップじゃねーよ」って思っちゃったりするぐらいの、まさにハイプになってるっていうか(笑)。そういう意味で。それはひとつのダブステップだから、そのなかの何個かは俺も好きだけど、形式ができちゃったっていうのは絶対あると思うんですよ。

音楽の約束事みたいな?

GT:そう、約束事が。とくにアメリカのシーンでは顕著に現れてると思うし。ほんと全部同じだし。

アメリカはまあすごいって言うよね、レイヴ・ミュージックとして。

GT:俺はもっとエクスペリメンタルな、プログレッシヴな音楽としてダブステップを捉えてたので、そういうものはむしろぜんぜん気にしなかったですね。つまんねーなっていう(笑)。まあ俺がやる音楽じゃねーなと。それもダブステップなんだろうけど、俺は俺のダブステップをやるっていう。だから一時期「ダブステップって言うのも何かなー」と思ったりしてたときもあったけど、だけどいまは敢えてこれが俺の打ち出すダブステップっていうことを言いたいとは思ってるんですけど。

ゴス・トラッドがいまそれを言うのは大事だよね。

GT:ダブステップという言葉であるとかそのイメージが、この2縲怩R年ですごく大きくなったと思うんですよ。で、4年縲怩T年経つといち巡してきて、ファンも少しずつ入れ替わってるじゃないですか。この2年でダブステップ好きになったひともたくさんいると思うし。

日本は2011年がいちばん売れたっていうけどね。

GT:あ、そうですか。俺は日本の流れはすごくいいと思うんですよね。

ほんとにー!?(笑) 

GT:いや、ハイプになりきらないじゃないですか。

ああ、そういう意味でね。

GT:たとえばアメリカ的になって、アメリカのああいうダブステップって呼ばれるものが、ガーンと来てたらガーンと下がって終わっちゃうと思うんですよ。

いやいや、でも、ああいうのがどんどん入ってきて、どんどんハイプになったほうがいいとも思うけどね。軟派なものもふくめて、どんどんこっちに入って来て欲しい。

GT:あー。

たしかにさ、現場で当事者として作ってる側だから、あんなのといっしょにされちゃたまらないよ、って気持ちはわかるんだけど。でもそれだけダブステップって音楽にポテンシャルがあったってことだよ。

GT:まあそうですね、そう思います。

オリジネイターたちに話を訊くと最初は20人ぐらいからはじまったわけでしょ。20人でやってた実験が、何百万とかいう人たちの耳を楽しませるぐらいのポテンシャルがあったってことは、すごいことだからさ。

GT:そうですね。まあダブステップっていうすごく大きな括りのひとつのダイレクションだと思うんですよね。

もちろん作品性とは別の問題だけどね。

GT:そうですね。だから自分的には別に全部ヘイトしてるわけではないし。好きなものもあるし。ただ、アーティストとしてそういうのを見たときに、つまんないものが多いなっていうのがあって(笑)。まあ......でもそういう意味で自分の方向性もすごく見えやすくなるっていうか。俺はこういうアプローチで音を出していきたいっていう。

なるほどなるほど。

GT:だから〈ディープ・メディ〉っていうレーベルはそこに関して自分に合ってるレーベルだと思うし。〈ディープ・メディ〉自体は俺のノイズの音源とかも気に入ってるっていう、そのぐらいプログレッシヴな感じだから。

何て言うか、拡張されてるんだね。

GT:そこを理解してもらわないと、俺はちょっと納得いかないんで。

ゴス・トラッドの音源がノイズのレーベルから出るよりは、〈ディープ・メディ〉から出るほうが面白いのはたしかだよね。マーラとも音楽性が違うからね。

GT:そうですね。

今回の『ニュー・エポック』が出るまでは4年ぐらいのブランクがあるじゃないですか。これはどういう理由なんですか?

GT:それはたぶん、自分のなかにアルバムっていうひとつのものにまとめるっていうイメージが沸いてなかったんですよね。トラックの量はあったんですけどね、それをひとつにまとめたからといってアルバムとして出したいかっていうとそうじゃなかったので。やっぱりアルバムに必要な曲っていうのが集まったから出したいっていうことですね。

ダブステップがどんどん盛り上がっていったから、もうちょっと早く出したいって気持ちはなかった?

GT:焦りは全然なかったですね。

シングルを出してるっていうのもあったから?

GT:シングルも出してるし、焦って出すつもりもなかったので。もちろんヨーロッパを回っててもブッキングに影響する部分もあったりとかもあるんですけど、自分にはそこまで影響はなかったんですよ。4年間で1枚しか出してないですけど、それは引き続き現場でプレイをしてプロモーションをしてやってこれた部分はあるので。

年々DJの本数は増えてったって感じ?

GT:DJの本数は増えましたね、はい。

しょっちゅう海外ばっかり行ってるっていうのは聞いてたんだけれども、それこそドミューンで頼もうと俺がいろいろ連絡してた頃も「いまいないんで」とかって言われたりしたからね。相当海外に行ってるんだろうなとは思ってたんだけれども。1年のうちほとんど海外?

GT:いやいやそんなことないですよ。今年とかは4ヶ月ぐらいだと思います。でもヨーロッパ4回行ってるんですよね。フェスが夏、6月と9月に入ったので、それ2週間ずつとか。春と秋は1ヶ月ずつ行って、今日から2週間ぐらいアジア・ツアー行って。でもその前の年は3ヶ月ぐらいだったから。そういう感じですね。ツアーやりながらも制作するんですけど、やっぱり家やスタジオでやんなきゃっていうのもあるんで。

[[SplitPage]]

初期のダブステップの面白かった部分や新しさ、「何でも自由がきくんだよ」っていうような音----まあだからこそファンキーとかポスト・ダブステップが生まれたものかもしれないけど、でも俺からすると、それは違うんですよね。いわゆるダブステップ、でもそのなかから進化させたいっていう気持ちはずっと持ってやってるので。


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

なるほどね。じゃあ今回のアルバムっていうのはDJツアーしながら曲を作り溜めていって、それで揃ったから出たって感じ? それとも、もうちょっと全体のコンセプトっていうか、----僕はすごく今回のアルバムを聴いて、いままでのゴス・トラッドとは別の、グルーヴィーというか、ある種の開放感みたいなものを感じたんだけど----自分の新しいステップというか方向性というものがはっきりしたから出そうっていうことになったの?

GT:それもあると思います。実は俺はこの2年ぐらいですね、さっき言ったダブプレート文化っていうのがダブステップ・シーンの良い部分ではあるには違いないですけども、それをやりすぎちゃうと怖いなっていう風に思いはじめたんですよ。2年ちょい前ぐらいから。だから、そういう(いかにもダブステップ流の)ことから距離を置きはじめたんですよね。

え、なんでですか?

GT:もっと自分の音楽にフォーカスしようと思ったんですよ。たとえばさっき言ったような「DJのネタがない」って思うのがイヤだったので。「じゃあ自分で作ろうよ」って感覚になったんですよね。DJにしてもライヴ・セットにしても、自分に足りないものは自分で作っていこうっていう。もっとそっちにフォーカスしようと思って。ひとの音楽とちょっと距離を置こうかなっていうのがあって。そういう感覚でこの2年間ぐらいやってたと思うんですよね。もちろんひとの音楽も聴くんですけどね。何曲かはダブプレートであげたりもしてるんですけど。流行りとか、そういうところからちょっと距離を置くというか。

なるほど。

GT:とくにこの3縲怩S年、スタイルというかテクニカルな部分がすごくフォーカスされたと思うんですよ。ブリアル的な音だったりとか、フライング・ロータス的な音だったりとか、そこが逆にトゥー・マッチで。俺、デモとかもらっても、「真似ばっかじゃん」みたいな。そういうのをすごく感じたときもあったし。若い子たちにもそういうの感じるし。逆にそういうのを完全無視でやってもいいんじゃねえかって思うし、それでいい曲作ったほうが10年経っても良い曲なんじゃないかなって思ったり(笑)

ゴス・トラッドも最初はどこのシーンにも属してなかったと思うからね。

GT:テクニカルな部分って、たしかに知らなきゃいけないと思うんですよね。上手く使いたいし。そういうのも勉強するんですけど、でもトゥー・マッチになるのはイヤだと思ったりしたし。

ジェームズ・ブレイクは2011年に日本でヒットしたけど、どう思った?

GT:俺は曲によってはすごくカッコいいと思いますよ。俺は何回かいっしょにプレイしたこともあって、向こうで。で、DJプレイもすごくいいんですよ。去年ドイツのベルリンでいっしょになって、DJプレイを観たらノリいいんですよ、すごく。トラックを聴くとディープなイメージで----まあアルバムの前の〈R&S〉から出てるのはもうちょっとグルーヴィーな感じで、DJはけっこうあの路線ですよね。

へー、DJもやるんだね。

GT:だから俺は今回日本来たとき、どうしてDJやんないのかなと思ったりしましたけどね。

彼はそれこそアンコールの1曲目にマーラの曲を歌って。

GT:あー、"アンチ・ウォー・ダブ"ですよね。あれ微妙ですよねー......(笑) はははは!

もちろんオリジナルのほうがいいからね(笑)。

GT:俺はあれは何かなー。「カヴァーばっかやってんなー」と思いますけどね。

それはでもリスペクトなんじゃない? 彼自身に全然罪はないんだけど、彼個人だけが悪い感じでハイプになっちゃったから。一般紙に書いてるジャーナリストが「クラブ・ミュージックもやってるらしい」って書いたり、文化人から「ダブの影響を受けているらしい」とか書かれたり、おいおい少しぐらいは調べてくれよって、そんなレヴェルのものだからさ。だから日本ではゴス・トラッドにかかる期待は大きなものになっていくと思うんだけどね(笑)。

GT:そうですか(笑)?

ジェームズ・ブレイクがきっかけでダブステップを聴きはじめた若い世代も少なくないわけだから。ただ、ゴス・トラッドのインターナショナルな活動歴を考えれば、2009年ぐらいに出しといたほうが良かったんじゃないかぐらいの感じもするんだけどね。

GT:そうかもしれないですね。でも、2009年縲鰀10年ってポップなダブステップがフィーチャーされてた時期だったと思うんですよね。

ポップってブリトニー・スピアーズみたいな......あ、ディプロみたいなの?

GT:そうですね。そういうのもそうだし、マグネティック・マンだったり、スクリレックスだったりとか、ああいう。

ああ、ブローステップっていうやつね。※紙『エレキングvol.4』参照。

GT:はい。そういうのがゴーンと来た時期で。俺はシーン見てきて、まあ場所によるんですけど、ああいうのに飽き飽きしてたひとって多いんですよね。

そりゃそうだよ。

GT:で、戻ってきてるんですよ。

だって空しくなるもん、ああいうのでいくら踊っても(笑)。

GT:何も残らないっていう(笑)。

その瞬間は楽しいけど、そう、残らないからね(笑)。

GT:でも、「バビロン・フォールEP」をこのあいだ10月に出して、それでアルバムが来年に出てっていうタイミングはすごく良かったと思いますね。

"バビロン・フォール"は昔出してる曲じゃないの?

GT:〈レベル・ファミリア〉で出してる曲のダブステップ・リミックスで、それは2008年ぐらいにもう作ってるんです。それはリリースするとか考えずに、自分のプレイのためにダブプレート切ってたんですよ。そしたらファンも「いつ出るの?」とか、レーベル側も「出そう」って話になって。2年前ぐらいからコンタクト取ってて、マックス・ロメオに(笑)。まだ彼が曲の権利持ってたんですよね。そしたらやっと取れたんです。

あの曲は間違いなくアルバムのなかでもクライマックスになっているよね。

GT:あと、EPには"フォーリング・リーフ"って曲があるんですけど、あれも評判も良いですよね。UKの20歳の若くていいプロデューサーがいるんですけど、そいつと喋ったら「僕はあのEPのなかで"フォーリング・リーフ"って曲が大好きなんだよね! あれはやばいよ! あれいつ作ったの?」って言われて、「2006年だ」って言ったら「ええー!?」みたいな。それってやっぱ、ああいうものがいま、逆に新鮮だったりすんのかなって。他の曲のほうが新しいんですけど、2006年のもっとも古いあの曲を、そういう意味で入れたんですよ。

ああ、なるほどね。バック・トゥ・ベーシックな感じなんだろうね。

GT:だからシーンの流れ的には----まあいち部の国とかシーンだけかもしれないですけど----そういうのに飽き飽きして、昔のいわゆるダブステップっていうか、オールドスクールが新鮮なんじゃないかなっていうのを最近ちょっと感じますね。

そういうぶり返しというかね。アメリカに関して言うと、ブローステップみたいに肥大化したレイヴ・シーンみたいなものがあるんでね、そういう話がリアリティあると思うんだけど、日本はまあたぶん、これからだなという気がするんです。それとは別の話で、『ニュー・エポック』は以前の作品に比べるとずいぶんダンス・ミュージックということに意識的なアルバムかなという気がしたんだけど。寄ってくる者を拒まないっていうかね。2曲目の"ディパーチャー"縲怩R曲目の"コスモス"の流れなんかはとても滑らかだし、暗闇のなかの艶っていうかね、録音はすごく繊細だけど音は太いし。"エアブレイカー"みたいなそれまでのゴス・トラッド色を引き継いでいる曲もあるし。"ウォーキング・トゥゲザー"や"アンチ・グリッド"もビート・ミュージックなんだけどグッと来るようなメロディがあるでしょ。"ストレンジャー"なんかはアンビエント・テイストだし、ある意味いままででいちばん聴きやすいんじゃないかなとも思うんですけど、自分自身のなかではどういう方向性があったんですか?

GT:やっぱりこの4年縲怩T年はダブステップ・シーンでやってきたんで、ヨーロッパ行ったときもやっぱりダブステップDJ/プロデューサーのゴス・トラッドっていう認識なんですよね。
 日本、オーストラリア、中国、アジアでもやって。で、たくさんのパイオニアもファンキーに行ったり、ポスト・ダブステップって言われるようなテクノっぽいものになったり。たぶん、現在はパイオニアがパイオニアのやるべきことをやってないっていう状況ではあると思うんですよね。それは進化ではあると思うし。でも何て言うかな、俺は初期のダブステップの面白かった部分や新しさ、「何でも自由がきくんだよ」っていうような音----まあだからこそファンキーとかポスト・ダブステップが生まれたものかもしれないけど、でも俺からすると、それは違うんですよね。いわゆるダブステップ、でもそのなかから進化させたいっていう気持ちはずっと持ってやってるので。

ダークじゃなくなったしね(笑)。

GT:そうですか(笑)?

そういうポスト・ダブステップになってくるとね。

GT:あ、そうですね。そうだから、敢えてここに留まってるから、5年縲怩U年経って、「日本から来たダブステップのパイオニア」ってやっと言ってもらえる部分もあるし。そういう意味で、ダブステップとしての新しいアプローチを見せたいなというか。

[[SplitPage]]

ぶっちゃけ言うと「俺はこんなとこ住めねえな」と思うぐらい、ほんとやばいんじゃないかと疑うんですよ。だけど、同時に、そういう日本人の姿を見るとすごく勇気づけられる部分もあるんですよね。原発のことに関してもそうだけど、新しい世界を創り上げていけるんじゃないか、っていう


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

じゃあ変な話、初めてダブステップを意識したアルバムを作ったという言い方もできるんだね。

GT:そうですね。

それは面白い話だね。

GT:もしかしたらこれ、アメリカ人100人集めて「これジャンル何?」って言ったらダブステップっていうやつは10パーセントかもしれないですけど(笑)。

まあそうかもね(笑)

GT:でもこれは、俺なりにダブステップを進化させた形ですっていうことで、敢えて違うテンポのものも入れなかったというか。

ダブステップのオリジネイターのいち部の、それこそコード9とかローファみたいなひとなんかは、逆にブローステップ的なものから距離を置きたくて、新しい刺激としてジュークとかさ、ああいうのを取り入れてるじゃない? ああいうのはどう?

GT:面白いと思いますね。

ああいうアグレッシヴな点っていう意味では、まさに初期のダブステップが持っていたものとちょっとやっぱり近いかなと。

GT:うーん、そうですね。あの感じは、自分が『マッド・レイヴァーズ縲怐xの後半で作ってたようなハーフステップのドラムンベースの感じにすっげー近いなと思う部分があって、面白いと思いますね。YouTubeに"アシッド・ステップス"って曲が上がってるんですけど、それのヒット数がめちゃくちゃ上がってるんですよね。それってやっぱりジュークだったりフットワークだったり、ああいう流れもあんのかなーと思ったり。
 俺は好きですけどね。だけどテンポ感っていうのが俺のなかではダブステップにすごくマッチしてて。ベースで作れるっていうか遊べるっていうか。ジュークはリズムの感じですごく遊べるんですけど。俺はダブステップのBPM140のあの感じっていうのに可能性はまだあると思ってて。もっと何か面白いことできるっていうか。もっと崩していけるんじゃないかっていうのがあって。

それで『ニュー・エポック』っていうデカい言葉をアルバムのタイトルにしたんだ?

GT:まあそうですね。『ニュー・エポック』っていうのは、そういう音的な部分も含めつつ、日本の今年いろいろあったことっていうのも含めて。

3.11のね。そのときは日本にいたの?

GT:いなかったんですよね。

じゃあもう......。

GT:びっくりして。そのときはロンドンにいて。東京には家族がいたんで、すごくショックでした。パソコンで日本のテレビ見てたんですけど、もう動けなかったですね、テレビの前から、ずーっと。ほんとショックで。

その後またさ、自然災害だけならまだしも、原発事故っていうのが重くのしかかってくるから。

GT:そうですね。それでやっぱり、デカい権力の恐ろしさっていうか。何パーセントかわからないですけど、そこの怖さを日本人は知れたんじゃないかっていうか、人のよい日本人が、そういうものを疑う知識を持ったんじゃないかっていうのはありますね。

そうなってくれるとすごくいいなと思うんですけどね。でもなかなか......。自分はサッカーがすごく好きだからね、スカパーに入ってるんで、BBCにも入ってるんですよ。震災直後にBBCのニュースをよく見ててさ、海外メディアがどういう風に日本を扱ってるのかすごく気になってたから。で、早い話、「日本人はお人好しすぎる」ってことをイギリスのメディアのほうが言っていたでしょ。「なんでもっと怒らないんだ」っていう。

GT:いや、ほんとその通りだと思います。もしかして俺ひとりで生きてたら別に気にしてなかったのかもしんないですけど、子どもが1歳でとか、そういうことを考えるともっとそういうところに神経質になるから。食べ物とか。「がんばろう東北」じゃねえだろっていうね(笑)。もちろん国は東北の農家だったり漁師とかを保障しなきゃいけないし。そこ誤魔化して、金使わずにやるっていうのは。テレビもそうだし。どうすんだ? っていう。「テレビが大丈夫って言ってるから」ってなりますよね。だって20歳の若者ですら、俺の〈バック・トゥ・チル〉でやってる子たちに「食べ物とか気にしてんの?」って聞いたら「何が?」みたいな、そんなノリだし。これはまずいなとほんと思ったんですよね。

ほんとに欧米との認識の温度差がすごいよね。

GT:ひとを見たら疑え、じゃないですか、けっこう海外って。でも日本のひとはほんとお人好しだから(笑)

ほんとよくも悪くもっていうか、でも今回は悪いほうのお人好しだかもね(笑)。

GT:だから、けっこうたくさんの日本人がそういう部分に気づいたんじゃないかなと思うんですよね。

それは今回のアルバムのなかでどういうような関係があるんですか?

GT:でも、日本人の良い部分なのかもしれないけど、勤勉で、「ここからスタートしていこう」っていう部分はあるじゃないですか。俺はぶっちゃけ言うと「俺はこんなとこ住めねえな」と思うぐらい、ほんとやばいんじゃないかと疑うんですよ。だけど、同時に、そういう日本人の姿を見ると勇気づけられる部分もあるんですよね。原発のことに関してもそうだけど、新しい世界を創り上げていけるんじゃないか、っていう希望をこめたタイトルというか。新しい世代というか。だからトラックの名前もそういうものがつけてあって。
 1曲目はとくに途方に暮れてる、自分もそうだし。うわべはみんなすごく頑張ってるけど、ほんとはそういう人間がいまの日本にたくさんいるはずなんだっていう思いもあって。それはほんとに震災後にできた曲で。断片のメロディとかだけは作ってたんですけど。そこから完成できてなかったんですけど、あれ以降にタイトルとアイディアができて完成した曲なんですね。

[[SplitPage]]

「俺たち日本だから。ヨーロッパとかUKだったらもっと盛り上がるんだろうな」とかじゃなくて。そう思う時点で負けてると思うから。だってイギリスなんていまなんか6万縲怩V万で行けるじゃないですか。誰でも行けるわけじゃないですか。DJだってプロモーションでちょっと行くってこともできると思うし。

なるほどね。なるほど。ちなみに〈バック・トゥ・チル〉に集まる子たちっていうのは何歳ぐらい? やっぱ若い?

GT:あ、お客さんですか? お客さんはけっこう幅広くて、まあ22縲鰀3歳ぐらいから30ぐらいまでですね。

イギリスはみんな若いんでしょ?

GT:若いですねー。ヨーロッパは若いです。

ここ数年、ロンドンに住んでいるイギリス人の同世代の友だちと話してると「テクノやハウスはoyaji musicだ」って言われるからね(笑)

GT:ははははは。えー。

イギリス人らしい口の悪さというか、イギリスでは、それだけダブステップっていうのは若者の音楽なんだぞって言いたいんだよ。

GT:自分は比較的ディープでダビーで......っていうライヴもプレイするんですけど、ハンガリーとか行くと女の子がすごい前で踊ってて。「いくつなの?」って訊いたら18歳とか。「ダブステップすごく好き」って言ってて。

いいですねえー。日本からも18歳でゴス・トラッドのライヴを最前列で観るような子がどんどん出てきてほしい(笑)。

GT:そうですね(笑)。ブリュッセルでやったときは、自分の前のDJダブステップから流れた4/4っぽいライヴをやってたら前の若い男の子と女の子が「ちょっと来てちょっと来て!」って俺が誰かもたぶんわかってなくて呼ばれて、「あなたダブステップやるの?」って(笑)

ははははは。

GT:「やるやる」って言ったら「よし!」みたいな(笑)。

はははは! 「おまえはわかってる」って(笑)。

GT:そういうこともあるし(笑)。

わかりました。時間もなくなってきたので、もっとたくさん訊きたいことがあるんですけど、続きは2012年に取材させてください。

GT:はい、ぜひ。

あと俺は、日本人アーティストが海外に、ゴス・トラッドみたいにどんどん出てったほうがいいと思ってる人間だから、その辺ももうちょっと訊きたかったんだけどね。

GT:俺はほんとそれやれる思うし、はっきり言って、いまならネットもあるし音楽なんかデジタルで買えるわけだし。どんな田舎だろうが同じじゃないですか、メディアの量なんて。ほとんどの人がいまインターネットで情報を取り入れてるわけじゃないですか。雑誌だってどこでも買えるわけだし。そこを初めから負けてる気持ちの子って多くないですか、地方の子とかって。「僕は地方だから」とかって。
 「俺たち日本だから。ヨーロッパとかUKだったらもっと盛り上がるんだろうな」とかじゃなくて。そう思う時点で負けてると思うから。だってイギリスなんていまなんか6万縲怩V万で行けるじゃないですか。誰でも行けるわけじゃないですか。DJだってプロモーションでちょっと行くってこともできると思うし。だって俺実家広島で、往復すんのに4万かかるんですよ。そんな変わんないじゃないかみたいな(笑)

あとダンス・ミュージックのアンダーグラウンドのカルチャーに関して言うと、マイスペースとかソーシャル・ネットワークがすごく良い形で働いてるとは思うよね。

GT:ほんとそうですよね。サウンド・クラウドだったりフェイスブックだったり。で、たぶんレーベルとかは日本から面白いアーティストが出てきたら「やった!」と思うと思うんですよね。だからチャンスはほんとあるし。俺は最初は自分のことプロモーションするために、ブッキングさえあって、条件さえ合えば、いつでも行きますってノリだったんです。広島行くのと九州行くのと沖縄行くのと、ロンドン行くのと同じ感覚で行くよ、ぐらいの気持ちでやりたかったんですよ。「日本人、日本人だすごい!」っていうのも思ってほしくなかったんですよ。

あー、国境で判断されたくないよね。

GT:DJとも普通に交流したくて。英語は初め全然ダメだったんですけど、1年縲怩Q年やり取りして、喋ってできるようになったし。それは努力なのかもしれないですけど、ほんと誰でもできるし。俺なんか27縲鰀8ぐらいからそれができるようになったわけだから。それは誰でもできるし、誰でも可能性持ってて。負ける気持ちを持たなければ勝てるというか(笑)。

ははははは。やっぱこんな熱い人だったんだ(笑)。

GT:どれを勝ち負けっていうのかわかんないですけど、でも「向こうのほうが自分のやってる音楽はうけるな」とか、それも違うと思うし。日本も同じだし。俺は日本でやることもすごくいいと思うんですよ。逆に敢えて向こうに距離置けるっていうのも。

ダブステップがテクノやハウスのときとちょっと違うのが、まさに21世紀のダンス・ミュージックだからこそこれだけ短時間のあいだにすごく世界的に広がったのかなって思うんだよね。

GT:あの当時のマイスペースだったりとか、横の繋がりはすごかったですね。

あれは、ある種の連帯感のような感じでしょ。

GT:「みんなで盛り上げようぜ!」みたいな。サーポーターもすごく集まったし。パーティやって、それをお手伝いするやつらもすごく集まってたし。そういう意味では絶対誰にでもチャンスはあると思うんですよね。いまはむしろダブステップだけじゃなくて、さっき言ってたみたいなジュークだったりフットワークだったりヒップホップだったりとか、もはやインターナショナルなものだから。

ジュークやフットワークがインターナショナルなものになるかはわからないけどね(笑)。ロンドンはすごいだろうけど、きっとね。イギリス人はそういうの好きだから。エレクトロも、シカゴ・ハウスも大好きだったし。

GT:いや、でも俺はあり得ると思いますよ......って信じたいですよね。

リスニング・ミュージックとして楽しむっていうのはあるよね。僕はそうだから。ただ、あそこまで俊敏に足を動かすのは、自分には絶対に無理だと思った(笑)。あれはもう、ストリート・ミュージックだからねー。

GT:そうなんですよね。オタクっぽくなっちゃうのはちょっとね。もうちょっとストリートな感じで。

フットワークは昔デトロイトで現場を見たことがあって、コンクリートの路上でみんな輪になって、ダンスを順番にしていくわけだけど。

GT:ちょっとクランプとかに似た感じですよね。

ほんとにダンス・バトル。男の子も女の子もいるし白人もいるし黒人もいるし東欧系やラテン系 もっていう......ていうか、話が終わらないね。このままだとゴス・トラッドがアジア・ツアーの飛行機乗り遅れちゃうから今回はここまでにしましょう(笑)。 『ニュー・エポック』が1月11日にリリースされるわけだけど、その反応も楽しみだし、2012年、また会えるのを楽しみにしていますので。今日は出発日 だというのに、こうして時間を作ってくれて、とても貴重な話をありがとうございました。


 ゴス・トラッドは、自分のこれまでの経験を、いま日本で音を作っている多くの若者に伝えたくてうずうずしているようでもあった。それは自力でここまでできるんだという、今日的なDIYミュージックとしてのダブステップとその文化についての話だが、それまた別の機会に。

B-Lines Delight - ele-king

B-Lines Delight Profile
北の片田舎からリアルなBass Musicの現場を作り出すべく2011年発進。Dubstep,Jungle,UK House,Reggae,Dub...これらBassをキーワードに持つジャンルをB-Line数珠繋ぎ。Bassの鳴りを、Bassのグルーヴを、Bassのバイブスを体感するBass Music Party、それがB-Lines Delight。 Dj's&Mc's DD Black/DJ END/Sivarider/Ryoichi Ueno/Negatins/Rebel Aoyama/Tat'scha/Medopink/MC J-Gold
https://b-linesdelight.blogspot.com/

2011 Best 20 Selection
B-Lines Delightクルーが2011年魂を込めてプレイした、又はお気に入りのトラックをセレクト


Sivarider - Soundkilla - Dubplate

Tayo Meets Acid Rockers ft Pupajim - Vampayaa(RSD remix) - SCRUB A DUB

Zinc - Sprung - Rinse

Jack Beats - End of Love(kutz Remix) - Deconstruction

Kutz - G742 - Biscuit Fuctory Records

DUBKASM feat. Christine Miller - There's A Love(RSD remix) - SUFFERAH'S CHOICE

RSD - Jubilation Dub - ZATTAI-MU

TRC - Oo Aa Ee (Royal -T <3 Garage Remix)- Butters

Splurt - The Return VIP (Mega Refix ) - Oil Gang

Pampidoo - Synthesizer Voice (Goth-Trad Remix) - Greensleeves

V.I.V.E.K - Spread Love - deep medi musik

Pinch - Swish - deep medi musik

LURKA - Return : Stabiliser - Box Clever

COMMODO - Uprising : Saracen - DEEP MEDI MUSIK

Pangaea - Hex - Hemlock Recordings

Mosca - Bax - Numbers

Altered Natives - Earthlings - EYE4EYE RECORDINGS

Lee'Scratch'Perry vs Digital Mystikz - The Way You Should(Mala Remix) - ON U Sound

Jo - R Type(T.Williams Refix) - Free mp3

Boddika - Elektron - Swamp81

Chart by JET SET 2011.12.28 - ele-king

Shop Chart


1

MUNGOLIAN JETSET

MUNGOLIAN JETSET SCHLUNGS »COMMENT GET MUSIC
大反響に終わった"Smalltown Supersound Japan Tour 2011"では、フロアに渦巻く宇宙を構築した圧巻のライブ・セットも最高だったノルウェー・ディスコ・シーンの重鎮、Mungolian Jetsetによる1stオリジナル・アルバム。待望のアナログ盤が到着です!

2

WELCOME BACK TO THE UNDERGROUND

WELCOME BACK TO THE UNDERGROUND WBTTU ANTHEMS »COMMENT GET MUSIC
デトロイト・ハウス調のスモーキーかつエッジーなミニマルハウス・ツールのA面2作品に加え、St. Echo Mixの爆発的ヒットでも御馴染みとなったAfrican Head Charge "Stebeni's Theme"ネタのミニマルハウス・エディットB-1、大名盤「Perfect Angel」の翌年'75年にリリースされたMinnie Riperton傑作アルバム表題作"Adventures In Paradise"をスローモー・ディスコ化したB-2と、4作品いずれもDJ/フロア・ライクに仕立てられたブラックネス・トラックス。見逃せない一枚です。

3

LINKWOOD

LINKWOOD SECRET VALUE »COMMENT GET MUSIC
Vakulaによる3作連続のリリースに続く"Shevchenko"新作4番は、本家"Firecracker"オーナーによる珠玉のディープ・ナンバー3作品。クリアヴァイナル/重量盤にて限定リリース!!

4

DJ JUS-ED

DJ JUS-ED VISION DANCE »COMMENT GET MUSIC
USアンダーグラウンドシーンの重役、DJ Jus-EdによるMule Electronicからの2011年発世界デビュー・アルバム"Vision Dance"。自身が運営する"Underground Quality"から8楽曲を抜粋したファン待望となるアナログ2枚組(クリア・ブルーヴァイナル仕様)がリリース。

5

OLIVIER DAY SOUL & KRYSTAL KLEAR

OLIVIER DAY SOUL & KRYSTAL KLEAR NEVER THOUGHT YOU WOULD GO »COMMENT GET MUSIC
『Tried For You Love』が各所で絶賛のアイルランド新鋭Krystal Klearと、ワシントンDCのソウル・スターことOlivier Day Soulがまさかのタッグ! 美麗な音色とボーカルに骨抜きにされます!

6

MURO

MURO DIGGIN' HEAT WINTER FLAVOR 2011 »COMMENT GET MUSIC
過去の名作タイトルが続々とリマスター化されコンパイルされたかと思いきや、何と! ファン念願のシリーズ新録ミックスが登場です!

7

CMT

CMT OMA »COMMENT GET MUSIC
チル・アウト色強めの前作『ZONAZONA』から相反する本作はDJ、CMTの真骨頂ともいえるエグいくらい強力なグルーヴを携えた60分強のミックスを収録。

8

5LACK

5LACK BLACKSMOKECAR »COMMENT GET MUSIC
スムースでメロウな選曲はナイト・クルーズを促進させ、夜霧のような煙を纏いながらアスファルトの上を流れる。都市生活者のためのサウンドトラック。

9

STUPID HUMAN

STUPID HUMAN STAR IN THE GHETTO / SOMETHING SPECIAL »COMMENT GET MUSIC
Bill Brewster(DJ History.com)、DJ Cosmo等が絶賛した前3作もカルト・ヒット。大好評を博したUKからの新たなるリエディット達人、Stupid Humanによる待望の新作4番が到着。

10

ONUR ENGIN

ONUR ENGIN EDITS VOL.6 »COMMENT GET MUSIC
好感のネタ捌きとフロア・ライクなエディットで毎リリースが爆発的ヒットを記録している、イスタンブールのOnur Enginによるセルフ・レーベル第6弾。山下○郎ネタの前作5番、"Summer Madness"ネタのG.A.M.M.新作に続くグレイテスト・リエディット3楽曲収録!!

vol.25:リー・ラナルドは青春ロック! - ele-king

リー・ラナルド(ソニック・ユース)、レ・ボン・オム(ディアフーフ、元レイナーマリア)、コ・ラ(エクスタティック・サンシャイン)@グラスランズ 12/16(金)
Lee ranaldo(sonic youth), les bonhommes(mem of deer hoof, Rainer Maria), co la (ex. Ecstatic sunshine) @ Glasslands dec.16 (fri)

 〈グラスランズ〉はアートスペースかつ音楽会場。ポップ・ガン(ブッキング・エージェント)のホリディ・パーティが前日にあり、次の日、ジョナサン・トウビィンのベネフィット・ショー(ポートランドのホテルで信じられない事故が起こった=詳しくは→https://www.brooklynvegan.com/)。
 とにかくこの時期の〈グラスランズ〉はイヴェントが目白押しだ。この2日に挟まれた金曜日12月16日にはソニック・ユースのギタリストとして知られるリー・ラナルドのショーがあった()。同日、やや北の広い敷地内で開催される〈ブルックリン・バザー〉にてLCDサウンドシステムやクリスタル・アークのショーがあったり、隣の〈285 kent〉でダンス・パーティがあったり、人は分かれたようだが、〈グラスランズ〉は人でいっぱいだった。
 Co -aを見逃してしまい(残念!)、次は、グレッグ(ディア・フーフ)とビル(元レイナー・マリア、プロサイクス)の新しいバンド、Les Bonhommes(=人間という意味。以前はOut Fighting。www.outfighting.com)だった。グレッグがギター/ヴォーカル、ビルがドラム、そしてベースのトリオ。ローファイでパンクで、ちょいスカスカ系。グレッグがやると全部スカスカなんだけど。
 曲の半分ぐらいには歌詞がない。「アー」とか、「I will meet you」とか。メンバーのノリもまだぎこちないけど、それぞれの個性が合わさって、パンチあるケミストリーが生まれている。個人個人がしっかりしていると,何をやっても形になる。グレッグは緑のTシャツ、緑のスニーカー、スカイブルーのパンツ、ストライプの靴下とカラフルな出で立ち。対するビルは全身真っ黒。前のバンドでもそうだったので、これが彼の普段着なんだろうけど、髪型も以前とまったく一緒。ベース・プレイヤーは、何処かのバンドで見たことがある、デロン・プーレィ。何だか運動会を応援している気分になった。
 それからしばらくして、リー・ラナルドが登場。サーストンのソロ・ライヴは良く見ているが、リーははじめて。サーストンのソロもそうだが、エクスペリメンタル、ノイズなイメージがあったのだが、この日はチープ・トリックやソニック・ユースなど、少年的なギターリフが特徴的な、少し青春、甘くノイジーなロックンロールな演奏を披露した。メンバーはソニック・ユースのドラマーのスティーヴ・シェリー、ギターにトニックなどでプレイしていたアラン・リーチ、ベースは名前は知らないが、ベーシストな感じの男性、そしてリーがギター/ヴォーカル。みんなおじさんだが、プレイするのは甘い青春ロックンロールで、なんだか微笑ましかった。ハング・アップスをもっとロックにした感じ。演奏は凄腕。
 歌っているリーを見ていて誰かに似ているな......と思っていたら、ナダ・サーフのボーカル! 歌の雰囲気といい、格好といい(チェックのシャツ)、髪型といい、彼(マシュー)が少し年をとったらこうなるのだろう。曲ごとに、6本のエレキ・ギターを持ち替えていた。プラス、ギターと同じ色のペダルなど意外にこだわり屋なのかしら。
 観客はドレッドのお兄さんやハイヒールにドレスのお姉さん、アランがプレイしているからか、ノイズ・エクスペリメンタル系の人たちなど、普段のインディ・ショーにいなさげな人たち(年齢層高め)が目立った。バンドに共感できる幅広い年齢層が多く集まり、バンドが期待していることを与えてくれる。だから、これだけ人が集まったのだろう。
 
※サーストン・ムーアとキム・ゴードンの離婚で解散が言われているソニック・ユースだが、まだ公式の解散宣言はしていない。が、解散を思ってきているオーディエンスも少なくなかった。ただ、リー自身は今後のソニック・ユースを楽観的に見ていると言っている。

interview with Ben Klock - ele-king

「うわぁ...... 完全に"テクノ・マシン"だね、これは。」〈Berghain〉でベン・クロックがプレイするさまをダンスフロアから見上げながら、DJ NOBUが打ちのめされたようにこう言ったのをよく覚えている。かのクラブのレジデントのなかでも一、二を争う人気を誇るベンのプレイは、本物のテクノ体験と言えるだろう。ハードなイメージが強い彼だが、その正確なミックスをずっと辿っていけば、そのなかにさまざまな彩りやテクスチャーがあり、柔らかさや奥深さが感じられるはずだ。そんなベンのDJ姿は実に優美で、ハードゲイからギャルまで、ダンスフロアを虜にして放さない。三度目の来日を前に、本邦初となる本インタヴューでは、あまり知られていない〈Berghain〉以前のキャリアと、DJの醍醐味について聞いた。〈Berghain〉7周年パーティでプレイした翌日、「聞き苦しい声でごめんね、そんなに長居はしなかったんだけどね」と苦笑いしながら、いつもより少しかすれた声で取材に応じてくれた。

「テクノがいったい何なのか知りたければ、〈Berghain〉のダンスフロアの真ん中にしばらく立ってみればいい。たぶん、少し理解できるだろう」ということ。音も雰囲気もイマイチなクラブで同じ音楽がかかっても、何も伝わらないだろうと思うよ。テクノは、とくに「体験」してみないと理解できない類いの音楽。

私自身もそうでしたが、日本のほとんどのファンはあなたが〈Berghain〉のレジデントになって以降のことしか知らないので、それ以前のことを教えてもらえますか? DJ歴自体はかなり長いと聞きましたが?

ベン:実際、〈Berghain〉をきっかけにすべてが変わったんだよね。それ以前は、最初は〈Cookies〉のレジデントをやっていた。毎週火曜日回していたんだ(※Cookiesは火曜日と木曜日に営業しているクラブ)。〈Cookies〉というクラブと僕は、一緒にに成長したようなものなんだ。火曜日は「Cookies Night」で僕が一晩中プレイしていた。それを、かなり長いあいだ続けていたよ。

それはいつ頃のことですか?

ベン:はじめたのは94年だったと思う。その後、〈Tresor〉や〈WMF〉といったクラブでもプレイするようになった。でも......僕はずっと自分の居場所を探し続けていたというか、自分にピッタリくる場所はあるんだろうか? と常に違和感を持っていたんだ。実は2000年代に入った頃、DJを辞めることすら考えていた。エレクトロ・クラッシュなどが流行っていて......僕にとってはセルアウトした音楽にしか聴こえなかった。何も面白味を感じられなかったんだ。それに伴って、DJをする回数もどんどん減っていった。そんななかで唯一、僕が音楽的スリルを感じられる場所が〈Ostgut〉(〈Berghain〉の前身となったゲイ・クラブ)だった。「僕がプレイしたい場所はここだけだ」と思っていた。だから〈Berghain〉がオープンしたときは、「ここだ!」って思ったね。つまり、僕にとってすべてのはじまりとなったのは、まさに僕がDJを辞めようかと思っていた時期だったんだ。でもその時点から、それまでよりもずっと面白い体験がはじまったというわけ。

へぇ、それは驚きですね!〈Ostgut〉でDJをしたことはあったんですか?

ベン:いや、なかった。〈Berghain〉になってからだよ。〈Panorama Bar〉の方を先にオープンして、数ヶ月してから〈Berghain〉のフロアがオープンしたんだけど、それから2ヶ月後くらいじゃなかったかな。初めてプレイしたのは。

では〈Ostgut〉にはお客さんとして行った経験があっただけだったんですね?

ベン:その通り。その頃、自分がかけたいものをかけられるクラブは〈Tresor〉くらいだったな。他のクラブはエレクトロ・クラッシュみたいなものが主流になってしまって、僕のかけたい音楽とはかけ離れていた。だから〈Ostgut〉に遊びにいくようになったんだよ。あそこでは「リアル・シット」がかかっていたからね(笑)。

〈Berghain〉のレジデントになった経緯は? 〈Ostgut〉に通っているうちに関係者と知り合ったんですか?

ベン:きっかけはエレン・エイリアンが与えてくれたんだよね、実は。その頃僕は彼女のレーベル(〈BPitch Control〉)からリリースしたりしていたから、ある日DJの話をしていて、その流れで新しいレジデンシーをはじめたいという話題になって。「じゃあ、彼らに連絡してみましょう」といって彼女が紹介してくれた。そしたら、いちどプレイする機会をもらえて。この最初の出演で、僕は「これだ」と確信した。人生が変わる瞬間を実感したよ(笑)。あのサウンドシステムでプレイしたことで、僕自身もトバされたし、その場にいたお客さんもトバされたようだった。プレイした直後に、クラブ側に「毎月やって欲しい」と言われたんだ。

最初にプレイしたときは緊張したんじゃないですか?

ベン:そうだね、緊張もしたけど、楽しみという気持ちも強かった。

それまでとは違うクラブということで、違うスタイルでプレイしたんですか?それとも自分が他のクラブでやってきたことを見せたという感じだったんでしょうか?

ベン:先に触れた通り、僕がかけたいようなものを自由にかけられるクラブは他に〈Tresor〉くらいしかなかった。それ以外のクラブのお客さんは、それほどテクノに反応しなかったんだよ、当時。だから、店の雰囲気やお客さんに合わせて自分にブレーキをかける必要があった。思いっきりやれなかった。あまり激しいトラックをかけると、みんな逃げちゃって(笑)。

ははは。お客さんを怖がらせちゃったんですね(笑)。

ベン:そう(笑)。でも、〈Berghain〉では思いっきりやっても大丈夫だとわかっていた。どんなに力強く、ハードに、あるいはディープにプレイしてもいいと分かっていたんだ。だから、そうした。プレイし始めたらすぐに心地よくなったというか、とても自然にやれた。

[[SplitPage]]

テクノの歴史を知らない若い子たちが僕らを通してこの音楽を知ってくれるのは嬉しいね。(パリの)〈Rex Club〉でプレイ中に、18歳か19歳くらいの若い男の子が携帯電話のスクリーンにメッセージを打って僕に見せて来た。「僕の世代にテクノを呼び戻してくれてありがとう」と書かれていた。僕がかけていた曲なんて、彼らが生まれる前のものだったりするわけだよ(笑)。

あなたはつねに、いまプレイしているようなハードめなテクノが好きだったんですか? 〈Cookies〉などでやっている頃から?

ベン:もちろん僕もいろいろなフェーズを経験してきているよ。〈Cookies〉でやりはじめた頃はいまよりずっとハウシーだった。DJを最初にはじめた頃はドラムンベースやジャングルをかけていたしね。その後ハウスやテクノもかけるようになったけど、いまよりも、そうだな、メロウだったと言えばいいかな。その後、もう少し激しい音楽に発展していった。

ほう。それはなかなか興味深いですね。ベルリンのクラブ・ミュージックの変移を考えると、ほとんど逆行しているように聞こえます。大多数の人は、90年代にハード・テクノにはまり、その後他のスタイルに移行していったんじゃないでしょうか? ハードなテクノは2000年代に入ってむしろ廃れていったものだと思っていました。

ベン:そうだね。なぜそうだったのかは自分でもわからない。おそらく、周りの友人や環境の影響じゃないかな。僕はドラムンベースやジャングルと、入り口からして違ったわけで。90年代前半に僕自身はそれほど(テクノ・)レイヴ体験をしたわけじゃなかなった。

つまり、あなたは他の大多数の人よりもテクノと出会ったのが遅かったということになりますか?

ベン:ああ、そうなんだ。僕はテクノと出会ったのが他の人より遅かったと思う。だからよく、当時僕が知らなかった90年代のレコードをいまかけると、その頃からDJをやっている人は「うわ、そんな曲もう恥ずかしくてかけられないよ!」なんて言う。僕には僕がいまかけている曲ととてもよく合うように思えても、その頃に聴いていた人には古くさく聴こえるんだろうね。

それはとても意外ですけど、よく分かります! 私も同じようなケースだからです。〈Berghain〉で体験するまでハード・テクノの良さが全然わからなかったんですが、あそこで意味がわかったんです。

ベン:うん、よくわかるよ。そのシーンにいる人には、それが世界そのもののように感じるけれど、実はその世界はごく小さなもので、ほとんどの人はその外の世界に生きている。世界中がテクノを聴いているように思えても、実際聴いている人はものすごく少なくて、それ以外の人たちはまったくそれが何かわかっていないし、何がいいのかさっぱり理解できない。それを考えたときによく思うのが、「テクノがいったい何なのか知りたければ、〈Berghain〉のダンスフロアの真ん中にしばらく立ってみればいい。たぶん、少し理解できるだろう」ということ(笑)。音も雰囲気もイマイチなクラブで同じ音楽がかかっても、何も伝わらないだろうと思うよ。テクノは、とくに「体験」してみないと理解できない類いの音楽。きちんと体験できれば、すべての意味がわかるようになるはずだよ。僕もそうだった。僕も「こういうブンブンいってるハードな音楽はちょっとよくわからないな」と思っていたから(笑)。

私はてっきり、あなたはずっとテクノ一辺倒でやってきた人かと思っていたので、すごく意外です!

ベン:僕は常に幅広い音楽に興味があったから、ハードなものにも関心はあったよ。例えば、僕はつねにグリーン・ヴェルヴェットの大ファンだった。もっとメロウな音楽をかけていた時期でも、グリーン・ヴェルヴェットやシカゴものはいつも混ぜてかけていた。でもテクノのより深い部分、ディープな音にも惹かれるようになったのはだいぶ後になってからだったね。

いま現在は、自分のことをテクノDJだと思いますか? それともそういう定義づけはせずオープンにしておきたいですか?

ベン:もちろん他のさまざまな音楽に対してオープンではあり続けるけど、間違いなく自分はテクノDJだと思っているよ。いまは「ハウスからテクノ、ダブステップまでかけます」というDJも多いけど、僕はテクノDJだと自分で思う(笑)。

そこまでテクノが好きな理由はなんだと思いますか?

ベン:当初ドラムンベースなどをプレイしていた経験から、テクノのほうが音楽体験としてより強烈(intense)だということを実感したんだ。言葉で説明するのは難しいけれど、ダンスフロアの真んなかに立って、温かくもパンチのあるベース・ドラムが腹に響くあの感覚... あれが全てだと思うんだよね。その感覚が好きでしょうがない、としか言えないな。

いまも大好きなんですね。

ベン:もちろん。

これだけ毎週、長時間プレイし続けていても大好きだと言えるのは凄いですね......私だったら絶対飽きると思うんですが(笑)。

ベン:でも、それは単純に音楽だけではないんだ。DJとしての音楽体験全体だから、お客さんからのフィードバック、その会場にいる人を全て引き込むような雰囲気を作ることが僕にとってはとても重要なことなんだ。日常生活から解き放たれて、音楽のヴァイブに身を任せる、その体験全体をクリエイトすることが好きなんだ。もしかしたら、僕にとってはそれが音楽そのもの以上に重要なことかもしれない。

〈Berghain〉以外でもそういった体験を頻繁に作り出すことが出来ますか?

ベン:場所によって異なるね。〈Berghain〉は間違いなくとても特別な場所だけれど。前回、僕のなかでも最長記録になった13時間セットなどは...... 〈Berghain〉でしか実現しないことだと思う。少なくともいまのところはね、他にそれができそうな場所は知らない。なぜかそれができてしまう特別なヴァイブがあるんだ、あそこには。他のクラブでは、2~3時間やったところで飽きてしまって続けられないところもある。だけど、長ければいいというものではないから、短くてもとても内容の濃い、濃縮されたセットをプレイできることもあるし。時間が限られているからこそ〈Berghain〉よりもよりもずっとお客さんがクレイジーになるところもあるし。それはそれで特別な体験だよ。

そんななかで3回訪れた日本に対してはどんな印象を持っていますか?

ベン:とてもいい体験をさせてもらっているよ。とくに昨年〈WAREHOUSE702〉でクリスマスにやったパーティ(『MARIANA LIMITED 001』)はとても素晴らしかったな。雰囲気もとても良かったし、山のなかでやった〈Taico Club〉フェスティヴァルも良かった。あの年にやったフェスティヴァルのなかではベストのひとつだったよ。多くのフェスティヴァルでは盛り上げなきゃいけないというプレッシャーを感じるものだけど、〈Taico Club〉はそんなことなくてリラックスした気持ちのいい雰囲気だった。よりクラブっぽいというのかな。とても良かったよ。日本のお客さんはよく音楽を知っているなという印象を受けるね。まだリリースしていないトラックまで知っているような気がすることがあるよ(笑)。でも、これは多くのDJが言うことだろう? 日本はDJにとってプレイしたい場所だって。

そうですね、多くの人がそう言いますね。ところで、先日発表されたばかりの〈Resident Advisor〉の人気DJ投票で、10位に選ばれましたね。そのご感想は?

ベン:もちろん嬉しいよ。去年(5位)よりは落ちたけどさ......(笑)。20位以内に選ばれた人たちを見ると、他にあまりテクノDJがいないから、そこに選ばれるのはとても喜ぶべきことだと思う。僕に投票してくれた人にはお礼を言いたいよ。

それは気づきませんでしたね、たしかにテクノDJが少なめです。でも全体的に、個人的には何だかよくわからない投票結果だったんですけど、自分が歳とっただけですかね(笑)?

ベン:ははは(笑)。でも僕のまわりでもそう言ってる人が多いよ。今年の結果を見て、「もう無理、ついていけない」ってさ。次の世代に交代したというのか、何かががらっと変わったよね。

世代交代はいいことだと思うんですけどね、実力が伴っているのかどうかは疑問です。スキルよりもハイプ、って感じがします。

ベン:さっきの話に戻るんだけど、2000年の初頭に僕がDJを辞めようとしたって言っただろう?あの頃のことを少し思い出すんだよね、アンダーグラウンドやクラブというよりも、ポップ・アピールのある、「僕を見て!」って感じの音楽。

まったく違うシーンという感じがします。

ベン:そうだね。僕がまったく知らないシーンのことだからコメントもできない。誰かがかけてている曲のことを「この曲は本当にヒットしているよね、みんながかけてる」と言われても、僕はいち度も聴いたことがない、なんてことがよくある(笑)。

私もよくあります、それ(笑)。しかもそういうことが増えてる気がします。もしかしたら、思っている以上にクラブ・シーンが細分化されているということかもしれないですね。

ベン:でもRAの投票結果などを見ると、例えばジェイミー・ジョーンズと僕が一緒に上位に入っていることとか、これだけ違うスタイルの人たちが混ぜ混ぜに投票されているのは面白いことでもあるよね。

[[SplitPage]]

「〈Berghain〉は前ほどクールじゃなくなった」とか、「最近コマーシャルになった」といったことが言われた時期もあったけど、いまはまたそういうことを言う人は減ったように思う。ここ数ヶ月を振り返っても、僕自身素晴らしいパーティやマジカルな瞬間をあそこで体験しているし、文句を言っていたお客さんもまたクラブに戻って来たような印象を受けているよ。

あなたの話に戻します。あなたはベルリンにテクノを復権させた、あるいは2000年代のベルリン・テクノを再定義した立役者のひとりだと思うんです。あなた自身はそう自覚していますか?

ベン:そうだね、客観的に状況を見ると、そう言えると思う。僕やマルセル(・デットマン)のようなテクノをかけていた人はそれほどまわりにいなかった。でも、意識的にそうしていたわけではなくて、僕らは単に僕らが好きなもの信じていたものをかけていただけだったんだ。まわりで起こっていることや、流行などをまったく気にしていなかった。エレクトロクラッシュだなんだって騒がれていたときも、僕らは僕らのテクノをかけていた。だから〈Berghain〉ができたときは、孤立したひとつの島ができ上がったような感じだった。そしてこの島はどんどん大きく成長するだろうという予感がしたし、きっとより多くの人がそのクオリティを認識することになるだろうと思った。当初思った以上に大きなものとなったけれどね。とにかくユニークなところで、僕らもユニークな音楽をかけていたら、その影響が広がっていった。でも僕ら自身はそれまでのテクノの歴史、90年代のベルリンやデトロイトに影響を受けて来たわけで、決して僕らが作り出したものではない。何か新しいものを発明したとは思っていない。サウンドシステムや、僕らが使っていたベースのサウンドなど、部分的に新しいものを導入しただけだ。
 でも、そういうテクノの歴史を知らない若い子たちが僕らを通してこの音楽を知ってくれるのは嬉しいね。この前面白い体験をしたんだ。(パリの)〈Rex Club〉でプレイ中に、18歳か19歳くらいのすごく若い男の子が携帯電話のスクリーンにメッセージを打って僕に見せて来た。「Thank you for bringing back Techno to my generation.(僕の世代にテクノを呼び戻してくれてありがとう)」と書かれていた。僕がかけていた曲なんて、彼らが生まれる前のものだったりするわけだよ(笑)。そういうことがあると、やっぱり嬉しいし光栄だと思うね。

私も90年代はそれほどテクノを聴いていませんでしたが、それでも初期のデトロイト・テクノは少し興味があって知っていました。いまあなたたちの活躍によって、その頃の人たちが再び脚光を浴びているようにも見えます。例えばロバート・フッドやクロード・ヤングのようなアーティストたちがまた前線に戻って来た、そして新しいオーディエンスを獲得しているのは〈Berghain〉やあなたたちの功績だと思うんですが。

ベン:そういう部分はあると思うし、僕もとても光栄に感じていることだよ。僕たちが影響を受けた人たちがまた活発にプレイしはじめているのは嬉しいし、例えばルーク・スレーターがいまやっていることは本当にカッコいいと思える。そういうシーンがまたできたこと、そういう人たちが評価される場所が出来てテクノが勢いを取り戻していることはとても嬉しいし、自分がそこに少しでも貢献出来ているんだったらものすごく光栄だよ。

なんかその状況を見ていると、もとは同じ部族だったのに世界中に散らばってしまった仲間たちが、やっと再会する機会が出来たようにも映ります(笑)。

ベン:そうだね、それがいちばんいいかたちで体験できるようになったんじゃないかな。これぞテクノ、テクノとはこうあるべき、という環境が整っている。

逆に、テクノがここまで大きくなったことについてはどう感じていますか? 私はコマーシャルになったとは全然思いませんけど、トレンディーなクラブ音楽にはなったように思うんです。〈Berghain〉はとくにアンダーグラウンドであることも重要な要素です。昨年イビサのどこか大箱で「Ostgut-Tonナイト」が開催されたときも批判の声が多く聞こえましたし。

ベン:そうだな、いまは「Berghain night」みたいなイヴァントは数を減らしているよ。僕らもセルアウトしたくないからね。クラブとしてもレーベルとしても、そういう方向性をまったく求めていないし、今後どのようにレーベルを運営していくかといったことにはつねに協議していて、今後は数を出すことよりも、少しペースを落としてやっていこうと考えている。〈Berghain〉はつねに自分たちの物差しで物事を決めてやって来たし、業界の常識だとかスタンダードに合わせたり振り回されるようなことはしていないと思う。それでも、「〈Berghain〉は前ほどクールじゃなくなった」とか、「最近コマーシャルになった」といったことが言われた時期もあったけど、いまはまたそういうことを言う人は減ったように思う。ここ数ヶ月を振り返っても、僕自身素晴らしいパーティやマジカルな瞬間をあそこで体験しているし、文句を言っていたお客さんもまたクラブに戻って来たような印象を受けているよ。もちろん何だって変化はするものだし、変わっていくのは自然なことだからまったく同じではないけど、悪い方向にいっているとは思わない。僕はああいう場所がまだあることに、むしろ感謝すべきだと思うけどね。

そうですね、私もそう思います。

ベン:いまでも魔法のような瞬間を何度も体験しているよ。つまらなくなったなんてまったく思わない。

それにしても、あなたはあそこでプレイする際に平均7~8時間といった長いセットをやりますよね? どうしてそんなことが可能なんでしょう? 私の友人はみんな、実はあなたが機械なんじゃないかって思ってますよ(笑)。それだけ長いあいだ、集中力を切らさずに正確なプレイが出来る秘訣は何ですか?

ベン:ははは。何も特別なトリックはないよ。その場からエネルギーをもらっているんだと思う。僕がプレイする際は、自分のフィーリングを伝えようと努めているし、魔法の瞬間を作り出すのはやはり機械ではなくて人間的な資質が必要だ。でも、言わんとしていることはわかる。技術的に正確であること、曲から曲への完璧な移行も魔法の瞬間を作る上では重要なことだ。僕がDJの醍醐味だと思っているのはそういう部分で、ただトラックを流すだけではなく、曲を使って新しい何かを造り上げること。その曲のパーツを足しただけではなく、さらにそれを増幅させること。それが僕の大好きなDJというものの面白さだ。だから自分が「ゾーン」に入ったときは、それがほぼ自動的に起こり、何時間でもやり続けることが出来るんだ。
 唯一秘訣があるとすれば......お酒は少しだけにして、飲み過ぎないことかな(笑)。

Ben Klock 来日情報
12/22(木)OTONOKO @ Club Mago
12/24(土)Liquidroom & Metamorphose presents Ben Klock @ Liquidroom

My Favorite Christmas Songs - ele-king

 2011年も残すところ数週間。先日も街を歩いていたら、レディ・ガガとビヨンセの歌う"クリスマス・ツリー"が流れてました。中古レコード店に入るとこんどはソロモン・バークの渋い"プレゼンツ・フォー・クリスマス"です。コンビニに入れば、ワム!の"ラスト・クリスマス"、セリーヌ・ディオンの"ブルー・クリスマス"、山下達郎の"クリスマス・イブ"......世のなか、ほとんどクリスマスだらけになります。
 独り身の方には、ザ・フォールの"ノー・クリスマス"のような曲もありますし、喧嘩中の方にはラモーンズの有名な"メリー・クリスマ"があります。
 僕はフィル・スペクターの『ア・クリスマス・ギフト・フォー・ユー』がいちばん好きです。あのアルバムは世界でもっとも夢見がちなプロデューサーが作った最高に素敵なファンタジーではないでしょうか(周知のように彼は、ジョン・レノンと小野洋子の"ハッピー・クリスマス"のプロデューサーでもあります)。
 コクトー・ツインズの"フロスティ・ザ・スノーマン"も名曲です。いまどきのチルウェイヴやネオゴシックを追っている若いリスナーにはオススメです。スレイドの"メリー・クリスマス、エヴリボディ"はちょっと上級者向けかもしれません。ジョン・フェイヒィのクリスマス・アルバムはそれと反対の意味で上級者向けですが、クリスマスの曲は来る者を拒まないのが良いところです。フェイヒィの狂ったような技術によるクリスマス・ソングの演奏は、その日がクリスマスであることをも忘れさせるでしょう。
 僕は若い頃は、ザ・ポーグスの"ファーリー・テール・オブ・ニューヨーク"をよく聴いていました。この曲は僕のような賢くない人間にとっては本当に最高のクリスマスのファンタジーです。ぜひ歌詞を読んでみてください。もしもザ・ストリーツがクリスマス・ソングを作っていたら、こんな曲を書いていたでしょう。
 以下、ele-kingによる「30 classic songs」を思いつく限り、ざっと選んでみました。あ、レゲエのクリスマス・カヴァーを忘れてました。たくさんあり過ぎるのですが、僕は〈トロージャン〉から出ているボックスをいつも聴いています。
 高名な音楽評論家の湯浅学さんがクリスマス・ソングの蒐集家で、それだけで2000枚もあるそうです。現在、ライターの方々をはじめ、レーベルの方々、いろんな方々に「My Favourite Christmas Song」についてアンケートしています。お返事が来れば、発表します。お楽しみに!
 なお、読者の方のなかにも、以下のチャート見て、自分の「Favourite Christmas Song」が入ってないじゃないかという方は、ぜひこちらにメールください(ele-king@dommune.com)。お名前(匿名)、アーティスト名/曲名+コメントでお願いします。火曜日(20日)に締め切らせていただきます。



■30 classic songs by ele-king
1. The Ronettes - Sleigh Ride
2. The Pogues - Fairytale of New York
3. The Ramones - Merry Christmas (I Don't Want To Fight Tonight)
4. John & Yoko And The Plastic Ono Band - Happy Xmas (War Is Over)
5. John Fahey - Silent Night, Holy Night
6. Cocteau Twins - Frosty the Snowman
7. Slade - Merry Christmas, Everybody
8. Jackson 5 -Santa Claus is Coming to Town
9. Booker T & the MG's Jingle Bells
10. Yello - Jingle Bells
11. St Etienne feat. Tim Burgess - I Was Born On Christmas Day
12. Manic Street Preachers - Ghost of Christmas
13. James Brown - Go Power At Chirstmas Time
14. Ray Charles - That Spirit of Christmas
15. Wedding Present - No Christmas
16. Donny Hathaway - This Christmas
17. Bright Eyes - Blue Christmas
18. Miles Davis - Blue Christmas
19. The Kinks - Father Christmas
20. The Yeah Yeah Yeahs - All I want for Christmas
21. The Fall - No Xmas for John Quays
22. Johnny Cash - I Heard The Bells On Christmas Day
23. Stevie Wonder - -Christmas Time
24. The Supremes - My Christmas Tree
25. The Beach Boys - Little Saint Nick
26. Duke Ellington - Jingle Bells
27. XTC-Thanks For Christmas
28. Tom Waits & Peter Murphy - Christmas Sucks
29. The Only Ones - Silent Night
30. The Ventures - Christmas Album

●鴨田潤(イルリメ)

Paul McCartney - Wonderful Christmas Time
4年前、MXテレビの「5時に夢中」を見てたらエンディングテーマとしてこの曲が流れ初めて知り、好きになりました。シンセの音色が何というか、家庭的で良いです。

●大久保潤(大甲子園/Filth/メディア総合研究所)

Wizzard - I Wish It Could Be Christmas Everyday
Slade - Merry Christmas, Everybody
Gary Glitter - Another Rock 'n' Roll Christmas
T.Rex - Christmas Bop


一番好きなクリスマスソングは断然少年ナイフの「Space Christmas」だし、先日のライヴ・レポートにも書いたように「Sweet Christmas」も大好きなのだけれど、ちょっと違うのを挙げて見ます。シャッフルと相性がいいのか、グラム・ロックにはいいクリスマスソングが多いのでその中から4曲。ウィザードは定番中の定番ですね。すかんちがやってたカヴァーもよかった(まあコピーですが)。スレイドはサビのシンガロングがライヴだとさぞ大合唱であろうこれまた定番曲。ゲイリー・グリッターはシャッフルではなくロカビリー調なのだけど、軽快にスウィングせずにドタバタしたノリになるのがこの人の味。そしてT.Rexはたしかマーク・ボランの生前にはリリースされなかった曲。「T.Rex'mas」というフレーズも決まった楽しい曲です。

●タバタミツル(ZENI GEVA, ACID MOTHERS TEMPLE, LENINGRAD BLUES MACHINE、e.t.c...)

Caetano Veloso - In The Hot Sun Of A Christmas Day
実は今週の17日〆切りで「きよしこの夜」をソロで録音し、とあるポルトガルのネット・レーベルに送らなアカンのですが、まだ一音も録音していません! パニックなう! ホンマやったらそれを推したいところですが、まだ存在していないものを推す訳にはいきません(笑)。というワケで、「私の好きなクリスマス・ソング」はこれです。ブラジルは南半球で季節が逆ですから、こういうタイトルになったのでしょうね。ロンドン亡命中のアルバムの曲なので、望郷の念もあるのかもしれません。嗚呼、一度でいいから真夏のクリスマスを体験してみたい。サンタの格好でサーフィンしてやる。

●五十嵐慎太郎

James Brown - Funky Christmas(Album)
ワムや山下達郎等は今でも聞きますが、偉大なSOUL of GODの命日でもあるので上記のアルバムを選ばせてもらいました!

●鎌倉慎治

スチャダラパー - Santaful World
クリスマスと聞いて思い出すのはこの曲くらいです。この時期にちょっと聞きたくなって家の棚を探すけど、なかなか見つからないのが恒例で、持ってなかったということに毎年気づかされるのです。

●ひろぽん(某レーベル)

Mariah Carey - All I want for Christmas is You
「Last Christmas」と迷いました。直観的には大嫌いな類の音楽のはずなのに、実際にこの曲を聴くと年の瀬の実感が湧き、師走の中にも幼少のクリスマスの良き思い出と共に平穏と幸福感がナゼか訪れる。

●三田 格

レジデンツ - ダンボ、ザ・クラウン(フー・ラヴド・クリスマス)
これは初めて聴いた時から耳に入り込んで心臓に達してしまいました。レジデンツは「サンタ・ドッグ」を何回もレコーディングし直してるし、何かこだわりがあるとしか思えませんなー。「戦場のメリークリスマス」やシュガーキューブス「バースデイ(クリスマス・リミックス)」も好きですけど。

●西岡由美子(Americo)

飯島愛 - あの娘はハデ好き
聴くたびに泣いてしまう曲です。歌詞はご本人のペンによるもの。この曲が収録されたアルバム『なんてったって飯島愛』はクリスマスをテーマにしたファーストにしてラストアルバム。モータウン歌謡、ボッサ歌謡、モノローグ...愛さんの臆病さと果敢さが入り混じったヴォーカルがかっこいいです。

[[SplitPage]]

●world's end girlfriend (Virgin Babylon Records)

Bing Crosby & David Bowie - Peace on Earth / Little Drummer Boy
1977年、テレビのクリスマス特番でBing Crosby とDavid Bowieが共演し、あまりの評判の良さにシングル化されたもの。唯一無二の声を持つ二人の唄が絡み合う瞬間、互いの個性が打ち消し合うことなく奇跡的に共鳴し神聖な空気に充ちる。

●DJ YOGURT(UPSET REC)

Keith Richards - Run Rudolph Run
Chuck Berryのオリジナルよりキースのカバーの方が好き。PoguesのFairytale Of New Yorkとどちらを挙げるか迷ったけど、Poguesの方は誰かが挙げると思ったし、2011年はキースの読み応えたっぷりの自伝「LIFE」も出たことだし、でキースの78年リリースシングル曲をチョイス。マライアキャリー等が歌っているような典型的なXmas Songに漂う華やかさは嫌いじゃないけど、自宅でPoguesとKeith以外のXmas Songのレコードを聴くことはほとんど無いかも......

●太田真司(Hostess)

R.E.M. - Christmas Griping
今年、惜しまれつつも解散してしまったR.E.M.。僕の青春のバンドです......。実は毎年ファン・クラブ会員向けにクリスマスに彼らのお気に入りのクリスマス・ソングをプレゼントしていたのですが、1991年に初めてオリジナルのクリスマス・ソングを発表したのがこれ。ファンになった当初は、聴く術も無かったのですが、今では進みまくったNET文化のおかげで、過去の貴重な音源を聴くことも簡単に。『Out Of Time』と『Automatic For The People』のリリースの間の、超人気絶頂期だった当時のR.E.M.。そんな彼らが、メンバーの家族やマネージャーも参加させて、かなりリラックスして作りつつも、歌詞は彼ららしい皮肉の効いた楽曲です。
曲はこれ↓ 

●三船宏志(恵比寿リキッドルーム)

TICA - WONDERFUL CHRISTMAS TIME
JINTANA & EMERALDS - Last Christmas

ともに良いカヴァーです。

●シュンタロウ

Big Star - Jesus Christ
ギターフレーズが降らせる雪の中で、アレックス・チルトンが消え入りそうな声で「Jesus Christ was born today.」と歌う。たまんねーっす。アメリカの田舎でひっそりと過ごすクリスマスって感じです。

戸張大輔 - 無題6(ドラム)
日本の感受性豊かなニートのクリスマスです。大学生受けが良さそうです。

The Flaming Lips - Christmas at the Zoo
頭のおかしい奴の最高にハッピーなクリスマスっす。

●WHY SHEEP
「以下、ホワイ・シープの"クリスマス・ソング講座"」

David Sylvian & Ryuichi Sakamoto - Forbidden Colours

つまり「戦メリ」なんだけど、原曲もいいがやっぱりこっちのほうがいい。David Sylvianと教授は本当に良い組み合わせだと思う。この曲は真の意味でのコラボで上に乗せた歌の旋律は全部David Sylvianが作ってるわけで、この単純なコード進行の上にこれだけ豊穣な旋律を乗せていることを聴き取って。

The Three Wise Men (Aka XTC) - Thanks For Christmas

XTCってアンディー・パートリッジのことばっかり語られるけど言ってみれば彼はbeatlesにおけるジョン・レノンであって、旋律を作る才能はコリン・モールディングのほうが格段に上。つまりマッカートニー。

Band Aid - Do They Know Its Christmas
これによって「音楽って本当に世界を変えられるかも?」と思わせてくれた。今となっては音楽やってるどうかもわからない人も参加してるけど。ハイライトはBonoとStingのかけあいでしょうやっぱり。まだ覚えてるけど高校生のときに発売日に茅ヶ崎のレコード屋に開店前かけつけて買った。ちなみに12 inchにのみ収録されたいたExtend Mixは参加アーティストのインタヴューが収録されていて、参加してもいないのにDavid BowieとPaul McCartneyのコメントが入っていた。あいつら大御所すぎて当時は斜陽だったBob Geldofなんか相手にしてなかったんだろうな。後で後悔したことだろう。Bowieは天才に間違いないが偽善者だと思う。参加してないくせにあのコメントはない。

David Bowie - When The Wind Bolws
原爆アニメ映画「風が吹くとき」のタイトルトラック。どうしてクリスマス・ソングとして扱われているかというと、映画の原爆が爆発した日がクリスマスだから。プロデュースはピンク・フロイトのロジャー・ウォーターズ。クラシカルな曲調に声帯ブルブルのBowieのテノールがよく合ってる。311以降1ヵ月はずっとこの曲を聴いてました。映画もお勧め。自分と同じ庶民というのはどれだけ情報統制下にあるのかということを思い知らされる。

David Bowie and Bing Crosby - Little Drummer Boy - Peace On Earth
当時イケイケだったBowieが大御所Bingに対等に挑んでるところはすごいと思う。もともとテレビの企画でやったもので、寸劇の中でやったものが素晴らしい出来なのでレコードになったもの。フル・ヴァージョンはそのドラマセリフもついてます。近所に住んでるBowieがピアノの音が聞こえたというのでBingの家をいきなり訪問したという設定。会話も洒落てます。

John Lennon - Happy Christmas
たぶんこれが20世紀に作られたクリスマス・ソングではナンバーワンなんだろうな。早くこの詩が歌ってるような世界になりますように。それ以上は、この曲については語ることがないというより語りたくない。

Chris Rea - Driving Home For Christmas
名曲とまでは言えないけど、いいよねこういうホームランを狙わない謙虚さ。クリスマス休暇に合わせて家に車を飛ばす中年男の気持ちを歌ってる曲。PVもそれに合わせて作ってた。彼の中ではOn The Beachの次にヒットした曲じゃないかな。

Billy Joel - Nobody Knows But Me
彼の作ったたぶん唯一のクリスマス・ソング。クリスマスに関することは曲中一切言ってないけど。後もう1曲、「She's Right On Time」ってのがあるんだけどこっちはそこそこ。、『n Harmony 2』Iというクリスマス企画盤にのみ収録された曲です。レコードでしか出てないはず。持ってることが自慢。なぜいいかって? billyだから。

The Pogues - Fairytale Of New York
これもタイトルにはクリスマスはないけど詩の内容でクリスマスの情景とわかります。男声女声のかけあいがいい。Irishな感じもいい。

Paul McCartney - Wonderful Christmas Time
ジョン入れたらこれ入れないわけにはいかないよ。名曲であることは間違いない。ジョンと対照的に何の思想もないところがPaulらしくてかえっていいのかも。

Paul McCartney - All Stand Together
これもPaulらしさ全開。名曲とまでは言えないが、全編、オーケストラと動物の鳴き声だけというのはすごい!

The Beatles - Christmas Record (1963-1969)
Beatlesって公式のクリスマス・ソングはないと思うのだけど、これはBeatlesがファンクラブの為に毎年出していた限定レコード。曲というよりコント劇なんだけど、1968のヴァージョンの冒頭は「Christmas Time Is Here Again」という、「All Together Now」に似た曲を披露してます。どの年のか忘れたが皆でべろべろに酔っぱらって「Yesterday」のパロディーやってるのがハイライト!!!

佐野元春 - 聖なる夜に口笛吹いて-Christmas Time in Blue
佐野さん入れないわけにいかないでしょう。やはり元代理店だけあって、マーケッティングを考えすぎてるところは今考えると残念だけど曲は良い曲です。ジョン・レノンへのオマージュです。

山下達郎 - Christmas Eve
なんだかんだ言って、日本人の作った最高のクリスマス・ソングはこれだと思う。途中のコーラルのパートがなかったら違うかもだけど。そういう意味では日本人版のボヘミアン・ラプソディーだ。つまり誰にもカバーできないってこと。

ぷっちモニ - ぴったりしたいX'mas
つんく♂を侮ることなかれ。冒頭の「素敵な人出会いますように!」が「サンタが街にやってくる」の引用であることにどれだけの人が気づいただろう?そしてキャンディーズへのオマージュ。感動はしないが良くできた曲。モー娘はAKB48よりずっとおもしろかった。

ここからはスタンダード・トラック
Wynton Marsalis - O Come All Ye Faithful 神の御子は今宵しも
Wyntonはトランぺッターですが、これはピアノだけ。スタンダードだけど、この曲の一番好きなヴァージョン。一人でイヴを過ごす人はこれを聴いてください。

Little Drummer Boy - Silent Night
Auld Lang Syne /Jimi Hendrix-Silent Night
腐っても鯛。ラリっててもジミヘン!素面で弾いてるわきゃない!!!

Lauryn Hill - Little Drummer Boy
スタンダードのクリスマスソングを自己流に解釈しているという点においてこの曲はいままでで最高でした。時代は過ぎても色あせないアレンジ。そして歌唱法。

Stevie Wonder - Ave Maria (Someday At Christmas)
これは自己流の解釈というよりアフロ・アメリカンにどうしてもなってしまうんだろうけど、シューベルトが聴いたらどう思うんだろうか。僕は子供の頃から聞かされすぎて意味はまったくわからないのにラテン語でソラで歌えますが、スティーヴィーのこれを聴いたときはぶっ飛んだ。素直に負けを認めるしかない?

Eagles - Please Come Home For Christmas
これも名曲。ずっとEaglesのオリジナルと思ってたら違うらしいんだけど、ほとんどオリジナルみたいになっていて、再結成コンサートでイントロが流れた途端オーディエンスが狂喜していた。アメリカ大陸に渡ったクリスマス。切ない曲です。

Why Sheep? / Somewhere At Chrismas
最後に持説を。クリスマス・ソングというのは一人のアーティストが一生に一回だけ作っていいものなんだ。本当に優れたアーティストは2回ぐらいまではやっていいけど。つまりそれだけ満を持して、渾身の一作を作らないといけない。手前味噌でなんですが...自分がいままで作ったメロディーの中でもっとも美しいメロディーだったのでクリスマスソングにしました。Why Sheep?ならではのWorld Musicの果てにあるクリスマス・ソング。レヴィ=ストロースに捧ぐ。次のアルバムの収録予定だけど、クリスマスだけこれを読んでくれた人に限定公開します。
https://soundcloud.com/why-sheep/somewhere-at-christmas/s-r8jFf

(補足)
大切なことを言うのを忘れてました。
いいかい。君がもし敬虔なクリスチャンじゃなくて、恋人もいなくて、家族からも離れてて、クリスマスもイヴも一人っきりですごさなきゃいけないと しても、だからってファック・オフ・クリスマス! なんて思わないでほしいんだ。たとえば日本のバレンタイン・デーが製菓メーカーが都合よくでっちあげた イベントだって話がある。なるほどそうかもしれない。だけどそれがどうだっていうのさ? 便乗して金儲けしたいやつらには今のところはさせておけばいい。
日本のバレンタイン・デーは日本人みたいなシャイな連中がきっかけつけて愛を告白できる日じゃない。クリスマスも同じことなんだ。しかもクリスマ スは恋人限定じゃない! クリスチャンかどうかなんてことは関係ない。ジョンだって誰にも当てはまるように歌ってるじゃない。人間だから、どんなにがん ばっても許せない人がいてもおかしくない。それが人間ってもんだ。
だけど、1年のうち1日だけは全部許す日があってもいいじゃない。次の日からまた憎らしくなるとしてもきっと以前よりなにかが少し変わってるはずなんだ。

●Anchorsong

モグワイ - クリスマス・ステップス" (from "Come On Die Young")
クリスマスの華やかさと一切無縁の男臭さがいいかなと。

●YODA (HORIZON / SLYE RECORDS)

The Kinks - Father Christmas
クリスマスソングといえばパンクの嵐が吹き荒れてた1977年リリースのこの曲、もうすっかり大人になってしまったレイ・デイヴィスが若者にむけたクリスマス・ソング。でもちょっとひねってあるところがキンクスです。この曲はシングルのみの発売でB面のタイトルは『Prince Of The Punks』。

Furyo - Kayashi
そして1998年以降からずーっと12月1日から12月24日までの間でDJがある時にかけているのがこの曲。今はなきAdditiveというレーベルから、多分ドイツの人による戦メリのカバーです。Furyoというアーティスト名もKayashiという曲名もまったく意味不明だったのですが、調べたら映画『戦場のメリークリスマス』の英語タイトルがFuryoでした、これは俘虜ってことですね。なるほど。

●鷲巣功(静岡ロックンロール組合/首都圏河内音頭推進協議会議長/高校の先輩)

 お前、なに今頃こんなことやってんだ。こういうのは10月校了、11月中の発売だぞ。その昔、バッドニューズから「ベスト100クリスマス・レコード」というのを出した事があった。内容はかなり自信があったけど、出来上がったのが12月20日頃で、当然売れなかった。売る期間がなかったのである。FMディレクター時代にも「わたしのトップ・テン」という番組でクリスマス盤の特集を企画した。パイド・パイパー・ハウスの紹介で杉本ユキコという人に来てもらって、奇盤、珍盤ほかを紹介した。確か一位が大瀧詠一の「クリスマス音頭」だったはず。この時、彼女に一緒についてきたのがまだ世に出る前の湯浅学だったと記憶している。
 さて、わたしのはチップマンクス クリスマス・チップマンクス(東芝EMI TOCP-67281)だ。クリスマス物はノヴェルティ・レコード収集の第一段階だ。いろいろと思い出深い物がたくさんあるが、今日はこれにしておこう。この時期になると、シャイ・ライツの「ハヴ・ユーン・シーン・ハー」と「北風の中で」を聞きたくなる、という現象もなぜか起こる。さあ、もう2012年だ。

●二木 信

井上陽水 - お願いはひとつ
「ジキル、ハイドまでがクリスマスプレゼントを買う/野外音楽場の外で/子供達の歌う賛美歌にも賛美されない」 こんなシュールな歌詞を意味もわからず歌いまくってた小学生の頃から、クリスマスになると、この曲が頭の中をループしてウキウキします。この曲が入ってる『LION&PELICAN』は音も歌詞もかなりユニーク。宮沢賢治を皮肉る「ワカンナイ」も面白いし、沢田研二のために作った「背中まで45分」のセルフ・カヴァーなんて極上のアンビエント。カラオケ行きたくなってきた~。

[[SplitPage]]

●ママケーキ(静岡県)

K Foundation - K Cera Cera (War Is Over If You Want It)
エレキングと言えばKLFでしょう!イスラエルのレーベルからシングルが出てて中身はマッシュアップの合唱という謎盤。youtubeでしか聞いたことない

Captain Sensible - One Christmas Catalogue
ニューウェーブの可愛らしいクリスマスソングだけどビデオ見たら意味深だった。ポーグスももちろん好きですが。一昨年くらいにバンプオブ某というバンドが丸パクリしててその元曲とかけ離れたキレイ事っぷりに心底腹が立ちました。

●Photodisco

Darlene Love - All Alone On Christmas
映画『ホーム・アローン2』挿入曲。子供の頃、映画『ホーム・アローン2』を観て知り、毎年この季節になると聴いているクリスマス・ソングです。バブルが愛おしいです。

●田鹿 健太( リトルテンポ、GOMA & The Jungle Rhythm Section )

Omara Portuondo & Chucho Valdes"OMARA & CHUCHO"
今年10月、僕が18年間お供しているラテン歌手、よしろう広石の歌手生活55周年記念コンサートがあった。その時のスペシャルゲストが、ブエナビスタソシアルクラブのディーバ、オマーラポルトゥオンド。この日のためにキューバから駆けつけてくれた。
僕は幸運にも、彼女とは三度目の共演。いつも自由かつグルーヴィ。とてつもなくおおらかでありながら、オチャメで乙女な彼女にいつも感動させられる。この日も、ステージを観たみんなを虜にしたに違いない。
そんな彼女の歌が堪能できる、僕が一番好きなアルバムがこれ。イラケレのリーダー、チューチョのピアノと二人きりで録音されたこの作品。喜び、怒り、哀しみ、出逢い、別れ......。彼女の生きざまがのりうつったかの様な歌を、ぜひ聴いてください!

●松村正人

Roland Kirk - Christmas Song
 このメル・トーメのカヴァー曲は晩年期だけあって、往年のこってりした感じと較べると精彩を欠くが、カークらしい茶目っ気は健在である。二歳で 盲目になって、この二年前に脳溢血よる半身不随から復活した。私はこの時期どうしてもローランド・カークを聴きたくなるのは、その生命力に鼓舞され、たん に黒人音楽としかいいようのない昂揚感が南国うまれには寒すぎる冬をあたたかくするからかも。カークはどれもクリスマスにぴったりだと思うんですけど ねー。

●加藤綾一

GOING STEADY - 銀河鉄道の夜
彼らにとってのクリスマス・ソングと言えば、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』的な敗者のロマンティシズムがむせ返るほど充満している「惑星基地ベオ ウルフ」がそれに当たりますが、でも今回はこちらをセレクト。銀杏BOYZのスロウなヴァージョンも、続編となる「第二章~ジョバンニに伝えよここにいる よと」もすごくいいんですけれども、GOING STEADY時代のこちらのヴァージョンは、コーラス部分で松任谷由実の「守ってあげたい」のメロディをモロになぞっていて、ぐっときます。特にクリスマ スについて歌っているわけではありませんが、間奏のギター・ソロはかのバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」からの引用だったりしますし、(僕はクリスチャ ンという訳ではないですけれども)便乗して、この曲を聴きながら誰かに想いを馳せるというのも悪くないんじゃないかなと思います。あとは仕事帰りに売れ残 りのケーキとビールでも買えれば御の字です。

●沢井陽子

The Music Tapes Covered Louis Armstrong - Is Zat You Santa Claus」
Natalia paruz - HARK! An angel sings
John zorn -ツ黴€ Dreamers Christmas

クリスマスソングは、このあいだのミュージック・テープスのキャロリングで、最後にプレイしていた、面白いサンタ・ソングがあり、それが好きだっ たので、曲名を聞くと、「Is Zat You Santa Claus?」。ルイ・アームストロングのバージョンに影響を受けたらしい。
アメリカにいると、日本ではあまり知らない、本場(?)のクリスマス・ソングがたくさん聞けて楽しい。先日、アザーミュージックというレコード店 に行って、店員に「クリスマス・ソングでオススメある?」と訊いたら、うーん、としばらく考えた後、「シンギングソウでクリスマス・ソングをプレイしてい る素敵なアルバムがあるよ」と言われたので、「もしかしてこのあいだ見た、ミュージック・テープス?」と期待したら、ナタリア・パルズという女の人だっ た。「このクリスマスアルバムは、ほとんどが誰でも知ってるクリスマス・ソングをカバーしている、僕が好きなのは1、2、3番目と......彼女はすごいよ」と 熱っぽく説明してくれた。
今年出たクリスマス関連リリースは、アザーミュージックではジョン・ゾーンの7インチしか見つからなかった。定番だしもうネタがないのかな......。クリスマスだからって、クリスマス・アルバムを出す時代が終わったのかな。

●YYOKKE / ODA / NITES / TSKKA (CUZ ME PAIN)

Nite Jewel - All I Want For Christmas Is You
NITE JEWEL、まさかのマライアをカバー。2010年の暮れには誰もが予想してなかったと思われるこのギャップ感は心踊ります。7インチのみ収録というところが特別感があって更に良いですね。

●NHK'KOYXEN (SKAM/RASTER-NOTON/PAN)

Martin Neukom - Studie 18.9 - (Domizil 2007/2008)
好きなクリスマスソングとか、わからなかったですが......。

●木津 毅

The Flaming Lips - White Christmas
以前年下の女の子に「何歳までサンタクロースを信じてました?」と聞かれたとき、「いまでも信じてるよ!」と元気良く答えたら「ああー」と気の毒そうな顔をされたことがありますが、恰幅のいいヒゲのおじさんが愛を届けにやって来る......と信じたいのは本当です。
そういうわけでクリスマスに(サンタに)オブセッションがある僕は大抵のクリスマス・ソングは好きなのですが、それはザ・フレーミング・リップスの影響かもしれません。彼らほどクリスマスを繰り返しモチーフにしているバンドもいないと思うのですが、それは「サンタクロースを信じる心」と彼らのサイケデリアの哲学がよく似ているからでしょう。彼らならではの頭のネジが数本吹っ飛んだような"ホワイト・クリスマス"はライヴでよく披露されますが、ヘロヘロで感傷的で優しく、あまりにドリーミーで泣きたくなります。フロントマンのウェイン・コインが中心に作った自主制作映画『クリスマス・オン・マーズ』もすごくて、前半はほとんど悪夢のようなバッド・トリップのイメージの連続。でも、そこにこそサンタクロースはやって来るんです! エイリアンですが。
今年も僕はサンタクロースを待つことにします。良いクリスマスを!

●宍戸麻美(Qetic)

戸川純 - 降誕節(84年Yenレーベルコンピ「We Wish You A Merry Christmas」より)
クリスマス・ソングというテーマに意外と苦戦......ということでカバーーソングで考えてみました。正直、John Zorn クリスマスコンピにあるマイク・パットンが唄う"The Christmas Song"と迷ったのですが、やはりここは女性脳で考えて戸川純さんの"降誕節"かなと! クリスマス賛美歌の"荒野の果てに"をカバーしているのですが、イノセントワールド全開な戸川さんの少女声(ボーカル)と途中にはいってくる打ち込みのリズムが単なる賛美歌カバーとは思えない。病みつきになる1曲です!

●金沢俊吾

Vaughn Monroe - Let it snow
ロマンチックで甘く切ないクリスマスのイメージが築かれるのに、クリスマスソングは大きな役割を果たして来た。その中でも、元祖のひとつであり数多くのヴァージョンが存在する"Let it snow"だが、リリックに直接「クリスマス」といったワードは出てくることはない。描かれているのは、雪の降る夜に暖炉を挟んだ男女の甘い駆け引き、それのみだ。
だが、これは僕に取ってクリスマスソング以外の何ものでもない。なぜなら、そのメロディとブラス、そして軽やかと物鬱げの境界線に立ったボーカルが、「ロマンチックで、甘く切ない」クリスマスのイメージを、そっくりそのまま映しているからだ。映画『ダイ・ハード』でパーティーのシーンにこの曲が使われるのも、季節がクリスマスなのだと誰もが一瞬で感じ取ることが出来るからに他ならない。「クリスマス」というリリックや、ベルサウンドなんか無くても、この曲はどんなクリスマスソングよりも強く、僕の脳内にクリスマスのイメージを流し込んでくる。

●野中モモ(Lilmag)

Sparks - Thank God It's Not Christmas
Pet Shop Boys - It doesn't often snow at Christmas


「ポピュラーな日、ポピュラーなやりかた
それは選ばれし者のためのもの
僕や君のためじゃない あきらかにね」(Thank God It's Not Christmas)
35年以上前の曲ですが現在も古びずロマンティックですね!

「クリスマスのメッセージなんてとっくの昔に消え去った
いまじゃショッピングと何がいくらするかの話ばかり
善意もあるけど作り物のお楽しみ、
クリスマス・ナンバーワンがどの曲か
クリスマスに雪なんて滅多に降りゃしない
本来そうあるべきなのに
でも僕はクリスマスに胸が熱くなるのさ
だって君といっしょだから」(It doesn't often snow at Christmas)
イギリスではクリスマスの週のヒット・チャートが、言ってみれば日本における紅白歌合戦のように大きな注目を集めます。賭けの対象になったりして。2000年代半ばからテレビのオーディション番組の優勝者がクリスマス・ナンバーワンを攫う年が続きました。これを阻止すべくレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがSNSを利用したキャンペーンを張り、2009年に見事"Killing in the Name"をナンバーワンに送り込んだのを記憶しているかたもいらっしゃるのでは。あの年、ペット・ショップ・ボーイズもクリスマスEPをリリースしていたのでした。失われたクリスマスの意義、失われたブリティッシュ・ポップの輝き、でもほらこうして生きているじゃない。残念ながら40位という結果に終わってしまいましたが、俗で安っぽくて貴くて私は大好きです。

●橋元優歩

ベンジャミン・ブリテン作曲『キャロルの祭典』より"ゼア・イズ・ノー・ローズ(There is no rose)"

名演をユーチューブで見つけることができませんでしたが、この曲については少年少女による演奏が好ましいというのが私見です。声変わりする前に歌いたかったクリスマス・ソング。けれどTranseamus/Alleluia/Resmiranda/Pares forma/Gaudeamus/Transeamusというラストのくだりなどは、もし今やるならジェイムス・ブレイク以上に似つかわしいアーティストはいないでしょう! ぜひこの曲にビートを入れてほしいです。

●渡辺健吾

鈴木さえ子 - I Wish It Could Be Christmas Everyday
キリストより1日早く生まれたけど、まぁガキの頃からそのおかげでクリスマスなんてめんどくせぇ! とかしか思えなかった。だから、クリスマス・ソングなんてものも、煩いだけであった。唯一好きで繰り返し聴いたのは、鈴木さえ子のデビュー盤『毎日がクリスマスだったら...』(83)のタイトル曲、「I Wish It Could Be Christmas Everyday」。デビュー当時の鈴木さえ子は素人っぽいキュートな声と宝石箱のなかで遊んでるようなキラキラしたサウンド(当時の夫、鈴木慶一との共作)の融合がとってもフレッシュでファンタスティックだった。アルバム全体を通して偏執的な凝った音作りとポップさのバランスがすばらしいんだけど、少し強迫的なリズムで次々表情変えながらもリリカルさを失わないこの曲は、特にサイコーなんである。去年のクリスマスに、ご本人が「クリスマスの日には世界の戦争も休止するのです。私なりの反戦歌なのです」とツイッターでつぶやいていて、かつて子供なりにこの不思議な歌詞の世界には何が隠されてるんだろうなんて思ってたわけだけど、そういう背景だったのかとかなりびっくり。同時に、リリースからこんなに時間がたってるのに、アーティスト本人からこんな裏話を聞けるなんてインターネットすげぇ! なんて無邪気に喜んでしまいました。

●SUMMIT

山下達郎 - クリスマス・イブ
メロディが好きですね。
色々考えましたがこれが一番です。

●Lil MERCY (PAYBACK BOYS / Los Primos)

CRACKS BROTHERS - BAD SANTA (cracks christmas)
今年の冬はこの曲をもらってから、ずっと聴いてました。あとは知らないってこと。CRACKS "MF" メリークリスマス SHIT。

●安孫子真哉(銀杏BOYZ)
 
浜田雅功と槇原敬之 - チキンライス
しんしんと雪が降り積もる東北のクリスマス。古い木造の一軒家。
不似合いなクリスマスケーキに照り焼きチキン。ブラウン管からドリフ大爆笑。
家族と静かに過ごす。サンタさんに欲しいおもちゃなんか書いた手紙に十円玉をのせて布団に入る。
翌朝、目が覚めるとそこにはおもちゃは無く、赤と白の靴下の形をした箱にお菓子が入ってる。
子供の頃のクリスマスは大体いつもそんな感じ。
相変わらず大人になってもクリスマスは出来るだけ街の喧騒には入らず家で静かに過ごしたい。
そんな時頭の中でふと再生されるBGM。

●チン中村(銀杏BOYZ)
 
the ピーズ - クリスマス
最初に浮かんだのがこの曲でした。
「終電 線路にヒトが落ちる」からはじまるこの曲が僕にとっては
東京のクリスマスにしっくりきます。
なんかギリギリで、やさしいです。

●ハヤカワ(KIRIHITO、高品格、Jajouka)

ARB - ブラッククリスマス
高円寺のレンタルビデオ屋で"さらば相棒"借りて観ようかな...。

●DJ END(B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz)
 
RSD - SNOWMAN
クリスマス・ソングを意識する粋な習慣は全くなく悩んだあげく、Bass的にコレを(ソングじゃなくてすいません)。昨年冬にRSD師がおすそ分けしてくれたクリスマス・スペシャル・ダブ! 今年はプレイ出来そうにないですが、いつかこんなトラックをカッコよくプレイしてみたいもんです。

●山田蓉子
 
Zooey Deschanel and Leon Redbone - Baby It's Cold Outside
大好きなおバカ・クリスマス・ムービー「エルフ-サンタの国からやってきた」の中でズーイー・デシャネルがシャワー・ルームで歌っているところに、歌につられて侵入してきたウィル・フェレルが歌をかぶせてきてズーイーちゃんに「出て行けスケベ!」と怒られるシーンで使われてました。ウィル・フェレル作品にしては心温まるヌルいラストは別にして、なかなか笑えるし、ズーイーはかわいいし、「サウンド・オブ・ミュージック」と対極をなす私のお気に入りのクリスマス・ムービーです。サントラではレオン・レッドボーンとの渋さ倍増デュエットで収録されてます。

●Alex from Tokyo (Tokyo Black Star, NYC)
 
Coati Mundi - No more X'mas blues (Rong music)
NYCの伝説バンドKid Creole and the CoconutsのCoati Mundiによる「今年こそはサンタを捕まえていいX'masを迎えるぞう!」的なお笑いクリスマス・ディスコ・ソングです!  2009年のX'masにリリースされてから毎年プレイしている大好きなヒューモラスなパーティX'mas ディスコです。

●Eccy(Slye Records / Milk It)

Jun Kawabata - Equinox
友達が5年前くらいにユニオンでなんとなく買ったこのCD、アーティストの情報も全く分からないし、音も激悪いんですが、個人的な思い出がつまってる曲です。

●YOHEY

Mark Mothersbaugh - Joyeux Mutato
毎年必ず聴いている1枚です。大好きなクリスマス・ソングは他にもたくさんありますが、音色に関してはこのアルバムが一番理想のクリスマス!

New Years Eve Party - ele-king

 年末年始といえばパーティ。都内のいろんな会場では気合いのはいりまくったイヴェントがあるようです。みなさんは2012年をどこで迎えますか? ハシゴする強者もいますよね。リキッドルーム→恵比寿ガーデンホール→明治神宮で初詣というタフな年末年始は若さの特権ですよ。ぜひ、挑戦しましょう。
 以下、恵比寿リキッドルーム、リキッドロフト、そして恵比寿ガーデンホールの年末年始パーティを紹介します。ほかにも渋谷のヴィジョンではデリック・メイ+ジェフ・ミルズなんていう贅沢なパーティもあります。
 迷う必要はありません。自分がいまもっとも好きな音楽が聴けそうな場所に行くべきです。それが最高の年明けです。


■liquidroom presents 2012LIQUID

 東京のカウントダウン・パーティは数あれど、ここまで徹底的に日常から遠く離れたところまで続いて行くパーティはない。そう断言してしまおう。これはカウントダウンにかこつけて開催される"ショーケース・コンサート"ではない。100%混じりっけなしの、1年で特別な日を遊び尽くすための"パーティ"だ。
 大晦日の夜から、その年の初めての太陽が完全にその姿を消す頃までテクノの重いキックがリキッドルームのメインフロアには降り下ろされ続ける。巨大モニターには、宇川直宏をはじめとするVJたちによる映像がスパイスのように明滅する。カウントダウンは前後はもちろん、その年はじめての太陽がしっかりと顔を出す時間になっても、他のダンスフロアを閉め出された遊び足らない人々、もしくはこれから参戦する人々が、初詣へ行く人々をすり抜けてゾンビのように集まってくる。気合いの入ったパーティ・ピープルたちは自分の限界を試すかのように終着地として遊び続ける。試しに通常のパーティが終わるぐらいの明け方に家に帰り、少々の睡眠を取って午後にもう一度来てみるとイイ。おそらく、まだまだパーティは終わることなど微塵も感じさせずに続いているはずだ。もう、新年を祝うのか、どこでなにをしているのかよくわからない、そこまでくると、年をまたいだ狂乱のカウントダウンもはるか昔のことのように思える。もはやそこに日常はない。フロアには、どん欲にその場を楽しもうとする膨大なエネルギーが渦巻いている。それを作り出すテクノのビート。そして2FのLIQUID LOFTでは、今年も宇川直宏のdommuneが仕切る、東京のクラブ・シーンのオールスターたちのプレイも聴くことできるはずだ。もう、どうしようもない。クレイジーにも程がある。
 ほぼまる1日にわたる祝祭のメインフロアを司るのは、石野卓球、田中フミヤ、DJ NOBUのたった3人。さまざまな豪華ゲストが1時間前後で入れ替わり出演するカウントダウン・パーティが主流のなかで、ロングプレイを中心とするこのスタイルは、昨年からDJ NOBUが加わった以外は、新宿歌舞伎町時代の後半から10年以上も続けられている。彼らのプレイは1ヶ月か2ヶ月、東京で過ごせばいつでも聴けるDJたちだ。しかし、ひとびとその場所で鳴らされる彼らのDJを求めて集まってくる。それだけこのパーティは特別で、ある意味で儀式めいた魅力を放っているとも言える。そこに行けば、毎年のように、なぜここまで人を吸い寄せる、ここまでの狂った宴が繰り返されるのかわかるはずだ。(河村祐介)

featuring Artists
Takkyu Ishino
Fumiya Tanaka
DJ NOBU (FUTURE TERROR)

VJ:
DOMMUNE VIDEO SYNDICATE
[宇川直宏+KRAK+DVIDEGIRLS+AKIYOSHI MISHIMA+HEART BOMB]

■LIQUID LOFT x DOMMUNE presents
「HOUSE OF LIQUIDOMMUNE 2012!!!!!!!20HOURS!!!!!!!」
C:O:U:N:T:D:O:W:N & C:O:U:N:T:U:P Special !!!!!!!!!!!!
(※配信はありません)

featuring Artists:
MOODMAN (GODFATHER)
砂原良徳
DJ WADA (Co-Fusion)
NORI (GALLERY)
川辺ヒロシ (TOKYO No.1 SOUL SET)
DJ TASAKA
A.Mochi (Figure)
瀧見憲司 (CRUE-L)
KURUSU (FUTURE TERROR)
HARUKA (FUTURE TERROR)
DJ YAZI (THINKTANK)
TWIN PEAKS
KURI (BLACKFOREST)
RYOSUKE
KABUTO
Shhhhh (NRBKJ / SUNHOUSE)
KEIHIN (ALMADELLA)
COS/MES
根本敬
agraph[※LIVE]
LUVRAW & BTB[※LIVE]
サイプレス上野とロベルト吉野[※LIVE]

SOUND SYSTEM:
DOMMUNE天変地異ZOUNDSYSTEM!!!!!

HOST:
宇川直宏 & DOMMUNE Crew

2011.12.31 - 2012.1.1
at LIQUIDROOM
access→https://www.liquidroom.net/access/
open/start 21:00 *2F LIQUID LOFT start 23:00
door only 4,000yen *2012.1.1 AM5:00~→2,000yen!!

LIQUIDROOM 03-5464-0800
https://www.liquidroom.net/
https://www.liquidroom.net/schedule/liquidloft/
Twitter @LIQUIDROOM
DOMMUNE
https://www.dommune.com/
twitter @DOMMUNE


■ELECTRONIC TRIBE YEBISU NEW YEAR'S PARTY 2012
supported by MONSTER

fearuring
FRANCOIS K. (WAVE MUSIC/DEEP SPACE/USA)
DJ KENTARO (Ninja Tune/JPN)
Y.SUNAHARA (JPN)
RSD a.k.a. ROB SMITH (Smith & Mighty/UK)
ATAK Dance Hall (Keiichiro Shibuya + evala/JPN)
NICK THE RECORD (Life Force/UK)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill/JPN)
RIGHTEOUS (Yabe Tadashi & DJ Quietstorm/JPN)
aus (flau/JPN)
TOWA TEI (JPN)
VJ: SO IN THE CLOUD (JPN)、100LDK (JPN)、LIKI (JPN,HKG)

2011.12.31(Sat) - 2012.01.01(Sun) ALL NIGHT
OPEN 20:30 / START 21:00

YEBISU THE GARDEN HALL/ROOM
東京都目黒区三田1-13-2

¥5,800 (前売券)
¥7,000 (当日券)
¥26,500 (グループ券5枚組セット/枚数限定)※
¥48,000 (グループ券10枚組セット/枚数限定)※
※グループ券はclubberia Online Store限定取扱

https://www.electronic-tribe.com

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316