「You me」と一致するもの

MASANORI MORITA (STUDIO APARTMENT) - ele-king

2010 BEST TRACK LIST


1
DJ T - Dis (Kink Remix) - Get Physical

2
DJ Gregory & Gregor Salto featuring Dama Pancha & DJ Mankila - Vem Rebola (Main Acid Mix) - Faya Combo

3
Florian Kruse, Nils Nuernberg - The Extra Breath Of Life - GalaktiKa Records

4
Harry Choo Choo Romero - Phuture (Original Mix) - Ovum Recordings

5
Riva Starr, Starr Traxx - More (KINK Remix) - Snatch! Records

6
Luca M - Grumpli (Original Mix) - Starlight Unlimited

7
Martin Dawson - Double Six (Ramon Tapia Remix) - King Klong

8
Franky Rizardo - Afrika (Original Mix) - Rizardo Records

9
Fritz Zander - For Your Love (Original Mix) - Suol

10
Tong & Spoon - Muchness (KiNK Mix) - Size Records

Best Coast - ele-king

 半年くらい前のリリースをいまさら......ですが、インディ・キッズのためのベスト・コーストとウェイヴスによるクリスマス・ソング"ガット・サムシング・フォー・ユー"がいま話題ということで......。

 また、先日の三田格のLAヴァンパイアズのレヴューを呼んで、ベスト・コースで歌っている女性がポカホーンティッドのもうひとりのメンバー、ベサニ・コセンティーノだったということを知って本当に驚いた。それって、喩えるならボアダムスがサーフ・ロックをやるようなもの? ベスト・コーストも最近流行のザ・ドラムスモーニング・ベンダーみたいなレトロ趣味のバンドかと思っていた自分の浅はかさを反省して、ちゃんと聴いてみようかと思ったのだ。アマンダ・ブラウンがリーダーシップを取っていたのだろうけれど、それまでドロドロのサイケデリック/ダブ/ドローンをやっていた女性が"あなたに夢中"というタイトルの爽やかな50年代サーフ・ロックをやるのだから興味深い話ではある。
 だいたいこういうケースは、サーフ・ロックを演じているのだ。深いリヴァーブの効き方が怪しい。これはダビーなポカホーンティッドを思わせるものだし、不自然なほどキャッチーな曲調はこの音楽が単純明快な青春モノではないことを暗に匂わせている。ちなみに1曲目の"ボーイフレンド"はこんな歌詞だ。「彼が私のボーイフレンドだったら良かった/私は他の女の子と違っている/彼女は可愛いし、やせている/彼女は女子大生/なのに私ときたら17才でドロップアウト......」

 『ガーディアン』の記者はアメリカのインディ・ロックにおけるバンド名(ベスト・コース、ウェイヴス、ビーチ・ハウスなどなど)を「いつから地球は美しくなったのか」と皮肉っていたけれど、ここでベスト・コーストに関して言えば、それは表層的な解釈だった。彼女らのメロウな歌には複雑な虚無がある。一時的な性愛に振り回される"ジ・エンド"はこんな歌詞だ。「昨晩彼と出かけた/彼は素敵でキュート/だけど彼はあなたじゃない/私たちはただの友だちだと言うけれど、私はこれが欲しい/終わるまで」
 つまりベスト・コースの音楽は誰からも好かれるものだけれど、毒があるのだ。2010年の7月にリリースされたこれは、夏の虚無を実によく表しているとも言える。ちなみにこのレコードのアートワークをアメリカ人が見ると、水の上を歩いたというキリストの奇跡をパロディった"猫の奇跡"になるという。

 それでは最後に、ベスト・コーストとはまったく関係のない、僕の好きなクリスマス・ソングをみなさんにお送りするとしよう。

Big Boi - ele-king

 これぞファンクの芸術である。ビッグ・ボーイの、騒々しくいかがわしいソロ・デビュー・アルバム『サー・ルシャス・レフト・フット:ザ・サン・オブ・チコ・ダスティ(Sir Lucious Left Foot: The Son of Chico Dusty)』は、ヒップホップ世代による未来派ゲットー・ファンクの最高峰である。Pファンク、ソウル、ジャズ、サルサ、レゲエ、ゴスペル、R&B、ブルース、サイケデリックによる狂乱の宴である。最初に断っておくが、この原稿ではファンクという単語を連発するが、それは仕方ない。なぜなら、そういう音楽だから! この最高に快楽的でイカれたヒップホップを聴いていると、無性に胸がわくわくしてきて、ひとり部屋のなかで踊り出してしまう。そして、「ああ、黒人音楽が好きで良かった」と性懲りもなく反芻する。あのジョージ・クリントンも参加している。ビッグ・ボーイの陽気な高笑いが、マザー・シップの操縦席から聴こえてくるようだ。ワッハッハッハッハッハ!

 冗談はさておいて、ビッグ・ボーイことアントワン・パットンとアウトキャストのこれまでの歩みをざっと振り返っておこう。75年に生まれたビッグ・ボーイは、90年代初頭、ジョージア州アトランタで高校の同級生だったアンドレ3000ことアンドレ・ベンジャミンとアウトキャストを結成する。プロデューサー・チーム、オーガナイズド・ノイズのリコ・ウェイドから才能を見出された彼らは、94年に『Southernplayalisticadillacmuzik(邦題:ストリートの掟)』でデビューする。続く2作目『ATLiens(邦題:反逆のアトランタ)』(96年)は、ブッシュが唱えた新世界秩序のパラノイア、高度なテクノロジーによる監視社会の進行、右派愛国運動家の陰謀論の流行、『Xファイル』が描く悲観主義の拡がりといった時代的背景のなかで制作され、一転してダークなアルバムに仕上がっている。僕は、アウトキャストのこういったシリアスな態度も嫌いじゃない。ヒップホップが急激に商業化し、パフ・ダディのような商売人がアメリカの資本主義社会で成り上がろうとしていたのとは対照的である。"反逆のアトランタ"という邦題が付けられたのはそういう背景もあったのだろう。

 2作目の閉塞感を打ち破り、Pファンク、サイケデリック・ロック、ソウル、ジャズ、ゴスペル、ブルースといったいくつもの黒人音楽をぶちこんだ3作目『アクエミナイ』(98年)は、アメリカのヒップホップ専門誌『ザ・ソース』のレヴューにおいてマイク5本という最高の評価を与えられる。そして、その路線でさらにご機嫌なエナジーを爆発させ、混交的なゲットー・ファンクの美学を完成させた『スタンコニーヤ』(00年)は非の打ちどころがないほど格好良く、当時流行していたギャングスタ・ラップの暴力性から距離を置いた点も批評家から評価された。そして、このいかがわしい乱痴気騒ぎのなかに、反米的なメッセージを忍ばせているのもさすがである。このアルバムは第44回グラミー賞のベスト・ラップ・アルバムにも輝いているが、マイアミ・ベースとサイケデリック・ロックとゴスベルの出会いとでも言うべき「B.O.B.」のテンションは凄まじく、アウトキャストが愉快な音の革新主義者であることを明快に証明したと言える。

 それから3年、レイヴ・サウンドを大胆に取り入れた、ビッグ・ボーイとアンドレ3000によるダブル・アルバム『スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ』でアウトキャストは同時代のBボーイのみならず、多くの革新派のアーティストでさえ手に負えない領域まで到達し、ついにグラミー賞でアルバム・オブ・ザ・イヤーまで獲得する。ここでは、ポップとアヴァンギャルドの幸福な融合が実現しているわけだ。USのチャート・アクションで大成功を収めた"ヘイ・ヤ!""ザ・ウェイ・ユー・ムーヴ"といった軽快なブラック・ポップも素晴らしいが、アンドレ3000がプロデュースした、マイアミ・ベースとスウィート・ソウルをレイヴィーに加速させた"ゲットー・ミュージック"の変態性と言ったら、興奮のあまり笑ってしまう。L?K?Oのようなアヴァン・ポップなDJにクラブのピークタイムにプレイしてもらいたい曲だ。

 ビッグ・ボーイは、『スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ』において、ラッパーとしてだけではなく、プロデューサーとしてもその音楽的才能を十二分に発揮している。実際のところ、『サー・ルシャス・レフト・フット』は『スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ』の延長線上にある。アウトキャストは、06年に彼らが出演した同名映画のサウンドトラック『アイドルワイルド』をリリースしているが、ここで紹介した作品のどれもがいまだ古びていない。時間とお金と関心があれば、ぜひ聴いて欲しい。そして、『サー・ルシャス・レフト・フット』のできは、これまでアウトキャストを追ってきたファンの予測とここでビッグ・ボーイにはじめて関心を持ったリスナーの期待をきっと裏切らないだろう。

 アルバムは物悲しい口笛とPファンク風のおどけたピアノとワウ・ギター、そしてザップ流のトーク・ボックスが絡み合う不気味なイントロ"フィール・ミー(Feel Me)"から幕を開ける。続く2曲目"ダディ・ファット・サックス(Daddy Fat Sax)"はGファンクの未来系だが、ビッグ・ボーイがドクター・ドレを敬愛しているのは有名な話である。"シャッターバッグ(Shutterbugg)"は極彩色のサイバー・エレクトロ・ファンクで、ここでもトーク・ボークスが絶妙なスパイスを加え、唐突に男女のヴォーカルのユニゾンによるソウル・・・ソウル"バック・トゥ・ライフ"のフレーズが挿入される瞬間がある。これだけはちゃめちゃなことをやって、生楽器を含むさまざまなサウンドが有機的に絡み合い、楽曲の構成として破綻していないことに驚かされる。『ピッチフォーク』は「THE TOP OF 100 TRACKS OF 2010」の5位にこの曲を選んでいるが、しかし、まだまだこれは序の口なのだ。"ジェネラル・パットン(General Patton)"ではオペラ『アイーダ』で演奏される厳かな凱旋行進曲"Vieni,o guerriero vindice"(サッカー番組でもときどき使われるあの曲です!)をサンプリングし、ダーティ・サウスの不良たちを祝福するクワイアへ変換してしまっている。ハハハハハ、これはある人たちからしたらある意味冒涜でしょうね。さらに、アンドレ3000がプロデュースした"ユー・エイント・ノー・DJ(You Ain't No DJ)"は、ミッシー・エリオットがサイボトロンを引用した"ルーズ・コントロール"のBPMを落としたかのようなスロー・ファンクである。ジェイミー・フォックスとの"ハッスル・ブラッド(Hustle Blood)"やジャネル・モネイとの"ビー・スティル(Be Still)"といったセクシーなR&Bテイストの曲には背筋がゾクゾクする。

 オーガナイズド・ノイズやリル・ジョン、ロイヤル・フラッシュからサラーム・レミまで、多彩な面子がプロデューサーとして起用されている。しかし、エクゼクティヴ・プロデューサーをビッグ・ボーイ自身が務めているからだろう、この狂乱のファンクの宴は見事な統一感を保っている。また、ビッグ・ボーイはラッパーとしてもキレまくっている。キャデラックとマリファナとセックスと高級ストリップ・クラブとハスリング、あるいはアクセントとしての社会的発言について、伸縮自在のフロウとライムを駆使して、ときに滑稽に、ときに挑発的に強烈なラップをくり出す。英詞から憶測するにそういうことをラップしているが、仮に間違っていたら謝るしかない。ハハハ......。同じくアトランタを拠点とするT.I.やグッチ・メイン、B.o.Bやベテランの元祖ピンプ・ラッパー、トゥー・ショートといった灰汁の強いゲストたちがずらりと並んでいるが、それでもこの匂い立つブラック・ゲットー・スタイルの世界の主役はあくまでもビッグ・ボーイである。まったく隙がないという意味においては、ドレイクの『サンクス・ミー・レイター』と同じである。

 セールス的には『スピーカーボックス/ザ・ラヴ・ビロウ』に遠く及ばないだろう。日本盤も出ていない。僕は別にそこに関して悲観も楽観もしていない。そういう時代であるとしか言いようがない。まあ、野暮な上に杜撰な条例で性表現や生き方を規制しようとするこの国のお偉方には、こういう淫らな表現の奥底にある生を肯定するエネルギーをたまには体感して欲しいと思いますけどね。いずれにせよ、『サー・ルシャス・レフト・フット:ザ・サン・オブ・チコ・ダスティ』を聴けて、オレは幸せだ!

Chart by JETSET 2010.12.20 - ele-king

Shop Chart


1

DJ NOBU

DJ NOBU ON &COMMENT GET MUSIC
『自分的にはかっこいい、かっこわるい以前に[凄い]を意識して作りました!(DJ Nobu)』前記の言葉に一切の偽りなし。オフィシャルのミックス作品としては「Creep Into Shadows -The Midnight D Edits」以来となる2年ぶりの作品。

2

KZA

KZA LE TROUBLANT ACID &COMMENT GET MUSIC
好調なリリース続けるEndless FlightからForce Of NatureのKZA新曲が登場!

3

COFFEE&CIGARETTS BAND

COFFEE&CIGARETTS BAND ELECTRIC ROOTS EP2 &COMMENT GET MUSIC
『Electric Roots』から待望の第2弾!今回は二人のポテンシャルが遺憾なく発揮されたアフリカ、アフロ色濃厚な全6曲を収録。前作に引き続き、売り切れ必至のアイテムです!

4

G.MITCHELL & JEBSKI FEAT. KENGO ONO

G.MITCHELL & JEBSKI FEAT. KENGO ONO NATSU EP1 &COMMENT GET MUSIC
2011年に待望のフル・アルバムをリリースするJebskiのG.MITCHELL共作ナンバーが到着!2011年にソロ・アルバムをリリース予定のJebskiが間一髪空けずに12インチ・シングルをリリース!当店のノベルティーに収録されていたあの楽曲がついに12インチでリリース!

5

KRYSTAL KLEAR

KRYSTAL KLEAR TRIED FOR YOUR LOVE &COMMENT GET MUSIC
深海かはたまた宇宙か!? 脳に浸透する芸術的ファンキー・シンセ・ビーツの要注目作!ハイクオリティー過ぎるオリジナル3曲に加えて、ご存知Hudson Mohawkeによるリミックスまで収録! クロスオーヴァーしてオススメしたい一枚です。

6

MIKE GAO / TOKIMONSTA

MIKE GAO / TOKIMONSTA LOS ANGELES 8/10 &COMMENT GET MUSIC
せめぎ合う二つの才能! この組み合わせはシリーズ随一!シリーズ第8弾に登場するのは来日公演も記憶に新しい、TokimonstaとGalapagos4の諸作で知られる天才アジア系ビートメイカー、Mike Gao。

7

COTTAM

COTTAM COTTAM 4 &COMMENT GET MUSIC

8

TIMMY REGISFORD

TIMMY REGISFORD AT THE CLUB &COMMENT GET MUSIC
御大、Timmy Regisfordによる待望の4thアルバムが到着!ヴォーカリストをフィーチャーした楽曲を中心にTimmyのブラックネスが溢れる一作です。

9

SOCIAL DISCO CLUB

SOCIAL DISCO CLUB PEACEFUL WARRIOR &COMMENT GET MUSIC
Soft Rocks & Lovefingers、Pacific Horizonsリミクシーズ!!主宰レーベルHands Of Timeも絶好調、Tiagoと並ぶポルトガル・ニュー・ディスコ・シーンの顔役Social Disco Clubが当店大人気のIs It Balearic?に初参戦。

10

BRIEF ENCOUNTER

BRIEF ENCOUNTER S.T. &COMMENT GET MUSIC
Jazzmanからも再発!!フリーソウル~レアグルーヴ~甘茶ソウル・ファン買い逃し厳禁の究極メガレア盤!!先日出たP-Vineからの再発盤は即日完売。オリジナルは今や市場価格25万円超え。極太漆黒ファンクから溶解昇天甘茶ソウルまで、世界中のソウル・ファンが探し求めてきた超人気盤が1500枚限定再発!!

DJ Wataru Takano - ele-king

Disco Hits (順不同)


1
Fern Kinney - Baby Let Me Kiss You - Wonkmusic

2
Tullio De Piscopo - Stop Bajon - ZYX Records

3
Bob James - Sing Of The Time - Columbia

4
Jason Lev & Dr.J - Give It To Me - Truth Is Light

5
Atlantic Conveyor - African Disco Power - Sofrito Specials

6
Rosebud - Money - White

7
Denpun - The Message Is - Dplab

8
Holger Czukay - Let's Get Cool - Claremont 56

9
Kolm K + Freestylemellowship - Dancing Skulls - Bastard Boots

10
Dr.Dunks A.K.A Eric D - Tight - Keep It Cheap

[Drum & Bass/Dubstep] #8 by Tetsuji Tanaka - ele-king

1. Commix / Re: Call To Mind | Metalheadz

-Drum n Bass, Dub, Techno, Dubstep, House-


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E王この概要を知ったとき、ドラムンベース界隈ではいままでになくまったく新しいコンセプトでリミックス・アルバムが発売される......と、その斬新なアイデア、これに関わっているメンツを見て嬉しく思う反面、ドラムンベースを代表するレーベル〈メタルヘッズ〉から初めてと言っていい、ドラムンベースがほとんど入っていない4つ打ちやダブステップがメインのコンピレーション・アルバムを発表したことで内心複雑な心境に陥った。良い意味でも悪い意味でも。多種多様なエレクトリック・ミュージックのなかにあって90年代、類稀な貪欲性を孕み、全ての音楽性を飲み込んで誕生したUK産のアンダーグラウンド・ミュージック・カルチャー、ドラムンベースが、この20年で下降線を辿り岐路に立たされているのは間違いない事実。とは言え、浮き沈みが激しく、また消えては生まれるクラブ・カルチャーにとって、ある一定のアンダーグラウンドな音楽的価値観を下げずによくここまでシーンを受け継いできたと賞賛すべきだろう。新たな10年代に向けて、共存するのもまたUK特有の雑食性ならではの必然的事変なのだから......。

 さて、コミックスは、ボーズ・オブ・カナダやオウテカなどエレクトロニカなバックボーンを持ち、陶酔性と流麗テクノ・ポップを下地とするディープ・ミニマルなインダストリアル感覚を空間的に落としこんだ、言うなれば新感覚ドラムンベースだ。LTJブケムのコズミック志向をさらにテクノよりのミニマリズムへと変え、ディープ・フロー旋風を巻き起こした功労者だ。
 肝心の内容も、まったく素晴らしく良い! このメンツにリミックスを依頼すれば当然だが、しかしよくもまあ、これだけの多士済々なメンツにリミックス・オファーを出したと脱帽する。ある意味この戦略は、ドラムンベースに触れていないリスナーにも広くアピールできる可能性を多分に擁している。
 その戦略は功を奏し、現在大ヒット中、アナログのEP1では、唯一のドラムンベースを担当したDブリッジのディープ・テックな"Belleview"リミックスからはじまり、ミニマル・ダブステップの雄、2562の別名義、ア・メイド・アップ・サウンドによる"Change"、さらにパンゲアやインストラ:メンタルがポスト・ダブステップ・リミックスを秀逸にリワークしている。
 EP2では、旬なテクノ/ミニマル・プロデューサーのリミックスで固められている。まずはベルリン・ミニマル・シーンを代表するマルセル・デットマン、カセム・モッセや〈ホット・フラッシュ〉のシーガなど、各プロデューサーの個性が十二分に発揮されている。
 先行リリースされた限定片面プレスの「Be True」のブリアル・リミックスはやはり一押しである。崇高なノイズ・スケープをダブステップと同化させ、緊迫感とインダストリアルな荒廃がリズムを主体としたダンス・ミュージックの概念に一石を投じている。分散化するダブステップにあって、一貫した核を変わらず有し、重苦しいサウンドスケープが幾重にも連なって続いていく......。当時革新的であったこの手法は、いまでもまったく色褪せず異彩を放っている。
 ちなみにCD盤にはデトロイトのURがリミックスに参加している。

 ......とにかく、エレクトリックな『Call To Mind』はこのリミックス盤でまったくの変貌を遂げている。もしお気に召したならオリジナル・トラックと聴きくらべることを推奨する。コミックスがいかに優れたプロデューサーなのかがわかるからだ。

2. Hatcha & Lost / Work Out | One Gun Salute - Dark Dubstep -


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 ハッチャと言えばダブステップのオリジネーターであり、ゴッドファザー・オブ・ダブステップ、生みの親的な存在として広く知られている。ドラムンベースで言うゴールディーのような存在で、テクノで言えばジェフ・ミルズのような存在かもしれない。この度、12月18日のカブキ&ジェナGとともに初来日がDBSで決まった。スクリーム、ベンガを見出したというそのレジェンダリーな貫禄のあるプレイは必見だ。
 彼のキャリアは、クロイドンの伝説的レコードショップ、〈ビック・アップル〉でバイヤーを務めたところからはじまる。第一次ジャングル/ドラムンベース・ブームが落ち着いた90年代後半からUKガラージのDJとして海賊ラジオ局で活動、ダブステップのルーツともなったダーク・ガラージをいち早く取り入れている。ホースパワー・プロダクション(野田さんが第一回目のダブステップ会議で紹介したレコード)やエルビーなど、クロイドン・プロデューサーを次々と紹介した。まだ10代のキッズだったスクリームやベンガを見出し、そしてサウンドはダブステップへと変異したのだ。
 2001年にはじまったパーティ〈FWD>>〉でハッチャはレジデントDJを務める。また、プロデューサーとしても活躍し、「ダブ・エクスプレス」など後の後世に多大な影響をおよぼす作品を送り出す。2004年には〈テンパ〉から初のミックスCDシリーズ『ダブステップ・オールスターズ vol.1』をリリース、その後の2006年の同シリーズの『vol.4』などのリリースを重ね、シーンの核として君臨している。2009年には自分のレーベル〈シン・シティ・レコーディングス〉を立ち上げ、目が離せない人物として活動を続けている。
 「ウォーク・アウト」は、新興レーベル〈ワン・ガン・サリュート〉から発表した「ヘンチ」のリリースで名を馳せたロストとの共作。テッキーでダークに仕立てたプロダクションで、オールドスクール・レイブ・サウンドだ。硬質なビートにダークな浮遊的シンセ、ダビーなベースライン、これこそオリジナル・ダブステップの基本姿勢だろう。この辺が彼を「ドン」と呼ばせる所以かもしれない。

DRUM&BASS SESSIONS 2010
DRUM&BASS x DUBSTEP WARZ X'mas Special !!!
Feat. DJ HATCHA / KABUKI & JENNA G
2010.12.18(sat) @ UNIT
open/start 23:30 adv.3,500yen door.4,000yen

3. Helixir / Undivided | 7even Recordings - Minimal Dubstep -


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 先月ラマダンマンを迎え、〈モジュール〉で〈Basement LTD〉が開かれた。これは〈セヴン〉レーベルのオーナー、グレッグ・Gが母国フランスではじめた自身のパーティを日本でリスタートさせたもの。筆者はラマダンマンの後に出演させて頂いた。ポスト・ダブステップを十二分に体感できた素晴らしいパーティで、大盛況に幕を閉じた。予想通りラマダンマンは、無機質なミニマル・ビーツをこれでもかと繋ぎ合わせた。次回開催は、12/10(fri))。〈テクトニック〉からネクスト・ダブステップを予感させるジャック・スパロー(以前のサウンド・パトロールでも紹介)を招いて開催される。アルバム『Circadian』が話題だし、必見だ!
 黴€
 これは、Fの『エナジー・ディストーション』に続いて、レーベルとしては2枚目となるアルバムを控えたヘリクサーの先行シングル。ヘリクサーことケビン・マーティン(ザ・バグの同姓同名ケビン・マーティンとは別人なのでお間違いなく)は、フランス出身で2008年、〈セヴン〉からの「ナルコティック・ダブ/スプリングズ&ワイヤーズ」でデビューしている。2009年にはレーベルを代表する作品「XPダブ」や「コンヴァリューション」を発表、Fと同じく硬質なミニマル・ビートで話題を集めている。そして、ダークでヒプノティックな無機質なトラックに傾倒している。
 「アトランティス」は聴けば聴くほど深みにハマッていく。細切れのスペーシーなシンセが揺れている。リズム自体はさほど存在感はない。キックが軽く鳴り響く程度。規則的にリヴァーブをかけたパーカッションがこだまする。
 スキューバやラマダンマン、Fなどのミニマル・ダブステップとは感覚が異なる。どちらかと言えば、この空間処理はブリアルに近い。新しくはないが、シャックルトンが彼の音楽性を賞賛しているように、シンプルなのだが奥深い。

4. V.A. / Tempa Allstars Vol.6 | Tempa- Dubstep, Minimal -


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 「スクリームは、もう過度期なのか?」と、セカンド・アルバムが発表されてそう感じる向きがあったのは、日本でのダブステップ熱がイマイチ乗り切っていないせいもあるだろう。本国UKではいまだ最高級の人気をほこっているし、マグネティック・マンのトラックがかかるや否や大合唱!!! となっている。筆者はドラムンベースの全盛期を知っているが、たしかにその当時の熱気をいまの日本のダブテップ・シーンに当てはめると物足りない感は否めない。インターネットで国際的に蔓延したダブステップだが、日本ではまだまだ感染しきっていない(だから2011年は大いに期待しよう)。
黴€
 さて、「テンパ・オールスターズ6」だが、ダブステップ界では馴染み深いメンツのなかにドラムンベースの気鋭プロデューサーがふたり参加している。ディープ・ファンクを支柱としているアリックス・ペレズとアイシクルだ。ディープ系を極めた彼らが新たなる視点を定めたダブステップ/ベースラインの矛先は、やはり波長が合うのだろう。違和感なくハマっている。アリックスに至っては、いい意味で期待を裏切るベースライン・ハウス的な4つ打ちを発表しているし。
 インストラ:メンタル、Dブリッジ、カリバーなどのドラムンベースのプロデューサーがダブステップのシーンで顔を見せているのは、音楽的な相性が良いからだろう。〈テンパ〉のサウンドは年々進化している......というか、少なからずトレンドを意識した内容に変わりつつあるのは、シーンの活性化が示す良い現われだろう。
 このなかでもやはりスクリームは別格だ。『アウト・サイド・ボックス』のようなポップ・フィールド志向を試みたと思えば、今回ではシンプルなポスト・ダブステップの。テンパは今、古き良きオリジネーター・サウンドの原点に立ち返っているのかもしれない。その証拠に....フォースカミング・リリースが、あのホースパワー・プロダクション久々の復活によるサード・アルバムなのだから。

5. SCB / Hard Boiled VIP / 28_5 | SCB- Minimal, Techno -


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 ポール・ローズ(スキューバ)のミニマルが止まらない。リリースを増すごとにベルリン・ミニマル色が増している。しかも、ここのところのリミックスがどれも秀逸とくる。原曲が良いからどう加工してもかっこいい。「ハード・ボイルドVIP」もグルーヴィーな切れがあり、ある展開を施す曲中からのシンセ使いが金属的なスネアと調和してリフレインする。最終的には彼自身の音楽性として上手く纏まっている。とにかくプログラミング・センスが良い。
黴€
最近リリースしたスキューバ・リミックス・シリーズも紹介しておこう。「Scuba Remixes Pt.1」は、"Tracers"をスコット・モンテイスことデッドビートによるミニマル・ダブ・リミックスからはじまり、"On Deck"をファルティーDLがエレクトロ・ポップに仕上げている。「Scuba Remixes Pt.2」では、オウン・ミックスによる続編だ。尺が続いていれば先がこうなっていたという具合。"You Got Me(I Got You)"がよりダンサブルなアップテンポになって、"Before(After)"はスローテンポが"その後"の解釈を表している、美しいエレクトロニカなダウンテンポだ。
「Scuba Remixes Pt.3」は〈アップル・ピップス〉からの「Untitled/Digest」で一躍ポスト・ダブステップの新星として躍り出たジョーによるミニマル・ラインをピアノの旋律で妖しくも刺激的に奏でる"So You Think You're Special"、そして叙情的なオリジナルにエレクトリックなシンセを走らせるデッドボーイの"Before (Deadboy Remix)"が収録されている。これらリミックスをディスク2にした2枚組の『トライアングレーション』がリリースされるので、これも要チェックだ!

6. Prototypes / The - Cascade / Need The Love | Infrared- Drum n Bass -


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 Jマジック率いる〈インフラレッド〉、久しぶりのシングルがスマッシュ・ヒットとなった。プロトタイプス――ブライトン出身のニックとガービーによるユニットで、彼らの作品は軒並みフロアで爆発的ヒットを飛ばしている。エナジーが迸るトランシー・レイヴ、エピック・サウンドを完璧に操るエレクトリックなフロア志向のビッグ・アーティスト久々の誕生! と嬉しく思いながら、筆者もヘビープレイ中だ。とにかく毎回使っているほど、フロアでのレスポンスも良く、突き抜けた爽快感やドライヴ感がある。そしてエクスタシーに辿り着く、マス・ヒプノシス感もある。筆者はこれを「切なく走る」と表現している。
 A面の"カスケイド"はカットラインにリミックスを依頼するなど、ドラムンベースやダブステップ、エレクトロ、ベースラインをまたいで支持されている。〈インフラレッド〉の他に〈ショーグン・オーディオ〉や〈ヴァイパー〉などシーンのトップ・レーベルからもサポートされている。

 彼らの良いところは、何と言っても遠慮なく疾走感があるところ。"カスケイド"は親しみやすく、レイヴ・トランシーな、開放感あるヴォーカル・チューンだ。"ニード・ザ・ラヴ"は切ないヴォーカルとエレピが全面的に導入された幻想的なJマジックのヒット曲"クレイジー・ワールド"のアンサー・バック。
 ディープ・フローな作品がトレンド化しているいまのシーンにとって、メジャー志向のヒット路線に走るプロデューサーを揶揄する風潮があるのも事実だ。今年、2002年に〈グット・ルッキング〉からのファースト・アルバムでフューチャリスティック・ドラムンベースを打ち出し、2006年自身のレーベル〈720ディグリー〉からのアルバムリリース以来、4年ぶりに発表したブレイムの『ザ・ミュージック』がメジャー路線に偏ったために各メディアから酷評されている。メジャーよりでR&B調のダブステップに走ったのがその原因かもしれない。が、フランジャイルな時期だからこそ、レイヴとともに発展したドラムンベースの変化が面白いように変わっていく。2010年はドラムンベースにとってアンステイブルな年......このことはまた年間評論フラッシュバック2010-ドラムンベースで触れるとして......プロトタイプスは、その壁を打ち崩せる新世代のレイヴ継承者だ!

7. Black Sun Empire / Lights And Wires | Black Sun Empire- Drum n Bass -


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 オランダのドラムンベース・シーンをダークでドラッギーで、危険極まりない荒廃サウンドで包み込むトリオ、それがブラック・サン・エンパイア。2000年に「ボルテージ」でデビュー以来、オランダのドラムンベースのシーンを暗黒ノイズスケープへと変革させ、現在エレクトロ・シーンでも活躍しているノイジアと共に代表格として数々の作品を世に送り出している。『アンデンジャード・スピーシーズ・パート2』以来、レーベルとしては3年ぶりとなるアルバムがこの『ライツ&ワイヤー』だ。

 これでもかと言わんばかりの影響力を秘めた暗黒電子音が狂気乱舞するサイバー・サウンドは、まったく変わっていない。......地を這うようなベースライン、彼らのダーク・サウンドの中心には現代のエクスキューショナーじみた残酷性、ブラック・マジックのような危険な陶酔性......もある。マス・クリエーションを必要としてきたドラムンベースの方向性を相反する不適合な感覚が面白い。一貫したサウンド・シンフォニーは、いまだに人気を博している。
 今回の共演者も実にシンプルなラインナップで、グリッドロック、ジェイド、SPL、ナイムフォとサウンド、指針をぶらさないよう計られてるようだ。近年の彼らはダブステップにも接近している。サブ・レーベル〈シャドウス・オブ・ザ・エンパイヤー〉を作るほど力を入れている。そして、陰をチラつかせる不穏なマッシブ・ビートを展開するプログラミングは『ライツ&ワイヤー』でも聴くことができる。UKの陽に対する陰とでも言えばいいのか......。

Chart by JETSET 2010.12.13 - ele-king

Shop Chart


1

GALA DROP

GALA DROP OVERCOAT HEAT »COMMENT GET MUSIC
'10年大躍進プロデューサーTiagoのディープ・サイドが堪能出来るGolf Channel新作!!Chida氏主宰ene、DFAと引く手数多のリリース・ラッシュを掛けるポルトガルはリスボンのTiagoが、Prins Thomas主宰Internasjonal Spesial発"Night of the Bath"でもタッグを組んだ相棒Pedro AlcadaとのユニットGala DropでGolf Channelに参戦。サイケデリック!!

2

KIMONOS

KIMONOS S.T. »COMMENT GET MUSIC
180g重量盤ゲートフォールド・UVコーティング・ジャケット、インナー・スリーブに歌詞・対訳記載。Zazen Boysの向井秀徳と若き異形SSW、LEO今井による衝撃のニュー・ユニット、Kimonosがフル・アルバムを完成!!新曲8曲に加え、LEO今井のインディ時の名曲"Tokyo Lights"と、さらに細野晴臣の"Sports Men"のカバーまでを収録!!

3

FLOATING POINTS ENSEMBLE

FLOATING POINTS ENSEMBLE POST SUITE / ALMOST IN PROFILE »COMMENT GET MUSIC
Floating PointsバンドによるダブルサイダーがNinja Tuneから登場!彼がルーツとする伝統的な音楽をダンスミュージックにではなく、生楽器を用いてそのまま作品に落とし込んだ、彼の音楽IQの高さを証明した衝撃作!

4

NATHAN FAKE / DJ KOZE

NATHAN FAKE / DJ KOZE XMAS RUSH / MI CYAAN BELIEVE IT »COMMENT GET MUSIC
やっぱりPampaは最高です。エレクトロニカ通過後のイイ感じのポップ・センス。当店ではレーベル史上最高の売り上げを記録中の前作Axel Boman"Holy Love"に続く本作は、Border Communityが世に送り出した天才Nathan Fakeと主宰Kozeによるスプリット。

5

THE MACHINE

THE MACHINE REDHEAD »COMMENT GET MUSIC
Redio Slave変名プロジェクト、The Machineによる3枚組み12インチ!呪術的なアフロイズムを背景に持つようなアングラな民族音楽をベースに繰り広げるドープなパーカッシヴ・DJツール!!

6

LUVRAW & BTB

LUVRAW & BTB ヨコハマ・シティ・ブリーズ »COMMENT GET MUSIC
2010年の記録的な熱帯夜を席巻した金字塔的作品が遂に限定アナログ化!ご存知ハマのクルーPan Pacific Playaのトークボクサー・デュオ、Luvraw & BTBのアルバムが遂にジャケ付2LP化! 先日のシングル"On the Way Down"を買い逃したアナタにも朗報です!

7

TETE

TETE ROTOR EP »COMMENT GET MUSIC
I:Cube & Frank Wiedemann a.k.a. Ameによる新ユニット、第1弾!!ロングセラー中のEmmanuel Jal、Culoe De Songに続きInnervisionsからウルトラ・ディープなピュア・エレクトロニック・ハウスが登場!!

8

NOTTZ

NOTTZ YOU NEED THIS MUSIC »COMMENT GET MUSIC
誰もが認める実力派プロデューサー、Nottzの待望過ぎる1stソロ・アルバムが登場!!メジャー、アングラ、そしてジャンルをも越えた超豪華なゲスト陣を迎え、彼らしいソウルフルなネタ使いとレンジの広いバラエティに富んだプロダクションが堪能できる傑作!

9

JESSE BOYKINS III

JESSE BOYKINS III B4 THE NIGHT IS THRU / AMOROUS »COMMENT GET MUSIC
孤高のネオ・ソウル・シンガー、Jesseの新曲はあのMachinedrumとの一曲!さらに前作『Beauty Created』から"Amorous"をB面にカップリング収録しています。ハズレなしのAlalaレーベルらしい強力な一枚!

10

AMBER OJEDA

AMBER OJEDA HERE I AM »COMMENT GET MUSIC
要注目! ジャズ・ポップ・ボーカリストの要素を全て持ち合わせたニュー・ディーヴァ!Giovanca、Norah Jones、Nina Vidalの要素を持つUSで今最も注目されるダイヤの原石、ニュー・ディーヴァAmber Ojedaによる珠玉の全9曲。

[soul & dubstep] - ele-king

 2010年の2月にアルバム『アイム・ニュー・ヒア(I'm New Here)』で素晴らしい復活を果たした詩人、ギル・スコット・ヘロンだが、来年早々そのリミックス・アルバムのリリースが予定されている。しかも......アルバムをすべてをザ・XXのジェイミー・XXがリミックスするという企画だ。

 たしかに『アイム・ニュー・ヒア』は、ブリアルをはじめとするダブステップからの影響を取り入れていた作品だったけれど、それを丸ごとジェイミーが手を加えるとなると話はまた別だ。彼が2010年の来日時にDOMMUNEでプレイしたDJは、現在のUKのダンス・サウンド(ダブステップ、ファンキー、グライム、ウォンキー)を親切に手際よくパッケージしたもので、僕にとっては忘れがたいものだった。

 まずは手はじめに"NY・イズ・キリング・ミー"のリミックスが届いている。さあ、聴いてくれ。UKファンキー以降のビートを取り入れたこの音を聴いてしまったら......君はジェイミーのビートとスコット・ヘロンの声から逃れられなくなるだろう。

 

Chart by BEAMS 2010.12.08 - ele-king

Shop Chart


1

Kuniyuki Takahashi

Kuniyuki Takahashi Dancing In The Naked City Mule Musiq »COMMENT GET MUSIC
BEAMS RECORDSではもはや説明不要の存在、クニユキ・タカハシ4枚目のアルバムが遂にリリース!今作はデビュー作以来初となるダンス・フロアにフォーカスしたアルバムとのことで、収録曲のほとんどがフロア即戦力なディープかつプリミティブなハウス・トラック。アフロ、ミニマル、パーカッシブ、ダビーと、スタイルは多用なれど、その全てにクニユキ氏ならではの美学が凝縮された、アップリフティングでグルーヴィーな楽曲揃い!クニユキ氏自身が撮り下ろした写真を収録した16ページの豪華ブックレットも見ドコロです!もちろん大推薦盤!

2

黒木千波留

黒木千波留 過ぎ去りし日の... Rambling »COMMENT GET MUSIC
実力派ピアニスト、黒木千波留による瑞々しいシネマティック・ピアノ・サウンド。カフェオーナー兼ブラジル音楽愛好家として知られる堀内隆志氏が彼のピアノに惚れ込んだ事から実現した本作は、堀内氏が若き日に心酔していたヨーロッパ映画の音楽を中心に構成されたコンセプチュアル・ピアノ・アルバム。トリュフォーの「大人は判ってくれない」のテーマ曲(2)やアルバムタイトルにもなったフランス映画「すぎ去りし日の...」の挿入歌に吉田慶子のサウダージなヴォーカルを乗せた(7)、そして映画「DIVA」から何時の時代も愛される名曲(9)等を清らかなトーンで聴かせてくれます。いつ何時でも心を浄化してくれる様な、そんな魅力を秘めた1枚です。

3

Nick Rosen

Nick Rosen Into The Sky Poter »COMMENT GET MUSIC
Build An Arkファン必聴のスピリチュアル・ジャズ作品!Build An Arkのベーシストを務めるニック・ローセンが、Build An ArkはもちろんJ Dillaトリビュート作品などでもカルロス・ニーニョと共に素晴らしい作品を残すMiguel Atwood-Fergusonプロデュースの元にアルバムをリリース!これが、Build An Ark同様にピアノ、ハープ、ストリングスを交えた大所帯にてピースフル&ハートウォーミングなスピリチュアル・ジャズを奏でた素晴らしい内容!心安らぐ1枚です!

4

San Soda

San Soda Immers & Daarentegen Wph »COMMENT GET MUSIC
ラリー・ハード~ビートダウン系を匂わせる良質ダンス・アルバム!ここ最近にわかに世界各地のDJ達のチャートを賑わせているクリエイター、San Sodaのデビューアルバムが、ベルギーのアンダーグラウンド・レーベル、We Play Houseから登場。セオ・パリッシュやムーディーマン、はたまたハービー・ハンコックやスティービーらに影響を受けたと言うそのスタイルは、シンセのコードワークとシンプルなビートが見事な調和で鳴り響く、極上の渋知ハウス!We Play House主宰のRed DによるミックスCD付!

5

Zoot Sims

Zoot Sims Zoot Sims On Ducretet Thomson Atelier Sawano »COMMENT GET MUSIC
オリジナルのレコードは極稀少プレスな為、マニア達が血眼になって探し求めたという、アメリカ出身のテナー・サックス名手、ズート・シムズの最高傑作!ビッグ・バンド~ビバップ期のJazzシーンで活躍した彼が、相棒であるトランペット奏者ジョン・アーレイと共に56年の訪仏の際に現地のミュージシャンと録音した異色のコラボレート作。コール・ポーターのスタンダード曲(3)やクインシー・ジョーンズのバラード(4)といった楽曲をはじめ、全編通じてまろやかなテナーをムーディーに聴かせてくれる、珠玉の1枚!音質も最高です。

6

Jeb Loy Nichols

Jeb Loy Nichols Strange Faith & Practice Modesty Music »COMMENT GET MUSIC
ゆっくりと聴きたい極上のアコースティック・ジャズアルバム!エイドリアン・シャーウッドのプロデュースでOn-Uよりリリースされたアルバムでもオーガニックな楽曲を披露していたシンガー・ソングライター、ジェブ・ロイ・ニコルス。クラブジャズ以降のジャズ界にて高クオリティの作品を連発しているノスタルジア77のベン・ラムディンがプロデュースした本作は、元来の温かい作風に、チェロ、ヴィオラなどのストリングスが加わり、ソウルとジャズ、フォークが美しく交じり合って一層味わい深い作品に。末永く聴ける名盤の誕生です。

7

V.A.

V.A. Next Stop... Soweto Volumes 1-3 Limited Edition Box Set Strut »COMMENT GET MUSIC
アフリカン・レア・グルーヴの決定版!60~80年代の南アフリカ産の貴重な音源を発掘してきた本シリーズ、なんとこれまでリリースされた3作品を1パッケージに纏めたボックス・セットがリミテッドでリリース!一際リズミカルなアフリカン・ミュージック~ジャイブを収めたVol.1、R&B、FUNK&PSYCHにフォーカスしたVol.2、そして南アフリカ産の驚くほどモダンなジャズを選りすぐったVol.3(2枚組)と、いずれも永久保存版と言える素晴らしい内容。全4枚でこのグッド・プライス、お見逃しなく!

8

中島ノブユキ

中島ノブユキ Melancolia Spiral Records »COMMENT GET MUSIC
中島ノブユキ氏渾身の3rdアルバム、遂にリリースです!BEAMS RECORDSでは1stアルバムから全作永久定番入りなピアニスト、中島ノブユキの新作は、これまで同様クラシックとジャズの狭間をたゆたいながらも、音楽の世界を巡る旅へと誘うような幽玄な雰囲気を宿した、その名のとおりメランコリーな作品。いつまでも、そしてどこまでも、こんな音楽を聴き続けたいと想わせる、素晴らしい1枚です。

9

Teebs

Teebs Ardour Brainfeeder »COMMENT GET MUSIC
フライング・ロータスのレーベルからリリースの逸材!ライフワークだったスケートを怪我で断念した後、アート、音楽の世界に足を踏み入れたというティーブス渾身のデビュー・アルバムは、ボーズ・オブ・カナダのフォロワーとも言うべきエレクトロニカ×ブレイクビーツ!フライング・ロータス直系のエッジーなビートと音空間を舞うキラキラとした電子音は、まるで雪山に舞う粉雪、あるいは爽やかな春風の様に有機的な美しさを感じられる事でしょう!

10

Boris Gardiner

Boris Gardiner Every Nigger Is A Star P-Vine »COMMENT GET MUSIC
JAZZMANからジャマイカン・ファンクのお宝音源がリリース!アップセッターズのベーシストとしても知られるシンガーソングライター、ボリス・ガーディナーが74年に残した幻のサウンドトラックが奇跡のCD化。同タイトルの映画が興行的に大失敗に終ってしまった為、全く注目される事のなかった作品ですが(笑)、内容は実にハイクオリティ。皮肉にもBig Youthのカヴァーがヒットしてしまったものの、それに劣らないソウルフルな主題歌(1)、ジャマイカ流の緩いファンク(6)等、レアグルーヴ・ファンの心も鷲づかみにしそうなお宝音源集です!

高宮永徹 - ele-king

Cal Tjader 10


1
Soul Sauce III (Live at The Funky Quarters) - Fantasy(9409)

2
Funqiado - Crystarl Clear Records(CCS 8003)

3
Manteca - Verve(V-8637)

4
Picadillo (with Eddie Palmieri) - Verve(V-8651)

5
Don't You Worry 'bout A Thing (with Carmen Mcrae) - Concord Jazz(CJ-189)

6
Mambo Show - Fantasy(9422)

7
The Tokyo Blues - Verve(V3HB-8843)

8
Aleluia - Picante(CJP-113)

9
Mambero - Fantasy(8406)

10
Tambu (Tombo in 7/4 with Charlie Byrd) - Fantasy(F-9453)
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