「You me」と一致するもの

Hardfloor - ele-king

 相変わらずぶりぶりびきょびきょ言っております。たまりません。こういう音に対するフェティシズムをこそ「萌え」と呼ぶのでしょう。ドイツ最強のアシッドハウス・デュオ、ハードフロアがニュー・アルバムを9月27日にリリースします。アートワークはデザイナーズ・リパブリック。そしてなんと日本盤には、9月16日に公開される映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』のために書き下ろされた新曲がボーナス・トラックとして追加収録されます。この秋はアシッド漬け確定ですね。ここはひとつ、みんなでぶりぶりびきょびきょしちゃいましょう。

結成25周年!!
アシッドハウスの雄“HARDFLOOR(ハードフロア)”
最新作『The Business Of Basslines』リリース決定!!
2017年秋公開『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』挿入曲
「アクペリエンス 7」も収録!!

アシッドハウス・サウンドを追求し続け、彼らが手掛けたニュー・オーダー、デペッシュ・モード、電気グルーヴらのリミックス作品が今でもダンスフロアのアンセムとして輝く、クラブ・シーンで最も尊敬されるユニットのひと組、ハードフロアの新作『The Business Of Basslines』が9月27日にリリースされることが決定した。

ドイツ、デュッセルドルフ出身のオリバー・ボンツィオとラモン・ツェンカーのふたりによるハードフロアは、ドイツでまだアシッドハウスやテクノが産声を上げたばかりの1991年に結成。翌年1992年に発表した9分に及ぶ「アクペリエンス 1」はクラブ・シーンに衝撃を与え、彼らの名を世界中のクラブ・シーンに知らしめるきっかけともなった作品だ。また、TVアニメ・シリーズ『交響詩篇エウレカセブン』第12話のサブタイトルとしてもこのタイトルが用いられていたのでご存じのアニメ・ファンの方も多いことだろう。

本作の日本盤(のみ)には、9月16日(土)より全国107館でロードショーを開始する『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』(総監督・京田知己、脚本・佐藤大、キャラクターデザイン・吉田健一)の為に書き下ろされた「アクペリエンス 7」を収録。また、ジャケット・デザインは、〈WARP〉レコードのレーベル・ロゴや、エイフェックス・ツイン、オウテカをはじめとするアーティストたちのジャケット、ロゴ、マーチャンダイズでも数々の革新的デザインを生み出し、世界中に多くのフォロワーを輩出した、世界で最も影響力のあるデザイナー集団のひとつThe Designers Republic™が手がけるなど、ヴィジュアル面においても注目の作品だ。

前作より3年ぶり、通算10作目のアルバムとなるハードフロアの新作『The Business Of Basslines』は結成25周年となるハードフロアの記念すべき作品として9月27日にU/M/A/Aよりリリースされる。

【作品情報】
発売日:2017年9月27日
タイトル:The Business Of Basslines
価格:税抜2,500円
品番:UMA-1097

【トラックリスト】
01. 25th Acidversary
02. The Business Of Basslines
03. Ode To Mondrian
04. Gypsi Rose
05. Computer Controlled Soul
06. NNAMFOH
07. Can´t Stop - Won´t Stop
08. Married To The Knob(s)
09. Neurobot Tango
10. Bazzid
[bonus track]
11. Acperience 7 (※『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』挿入曲)

HARDFLOOR: https://shop.hardfloor.de/
UMAA: https://www.umaa.net/

『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』
©2017 BONES/Project EUREKA MOVIE
https://eurekaseven.jp/

Tricky × Kahn - ele-king

 ブリストルの王者、トリッキーが9月27日にニュー・アルバムを発売する。それに先駆けて、配信オンリーにてリミックスEPがリリースされたのだけれども、そこになんとカーンが参加しております。どこまでもダークなムードにどこまでもヘヴィなベース……この組み合わせが失敗するはずがない! というわけで要チェックです。なお同EPにはヒートウェイヴとフォルティDLも参加。ちなみにアルバムの方は、ロシアのトップ・アーティストとのコラボが多く含まれており、またホールのカヴァーも収録されているとのこと。

トリッキー、9/27発売の13枚目のアルバム『Ununiform』より、
リミックスEP&先行シングルをリリース。

NOW ON SALE
トリッキーの13枚目のアルバム『Ununiform』より、リミックスEPをリリース。
“The Only Way”、”When We Die feat. Martina Topley-Bird”の2曲を
Kahn、FaltyDL、The Heatwaveがそれぞれリミックス。

アーティスト:TRICKY
タイトル:MIXED BY...VOLUME 1
発売元:!K7 RECORDS / FALSE IDOLS / ウルトラ・ヴァイヴ
品番:デジタルのみ
価格:デジタルのみ
収録曲目:
01. The Only Way (Kahn Remix)
02. When We Die feat. Martina Topley-Bird (The Heatwave Remix)
03. When We Die feat. Martina Topley-Bird (FaltyDL Remix)
購入先:https://k7.lnk.to/MixedbyVolume1

「何年も前にレストランで皿洗いの仕事をしてた時に古いジューク・ボックスがあって、『Maxinquaye』のCDが入ってたんだ。僕はキッチンから抜け出してそのアルバムをプレイして仕事に戻るっていうのがしばらくの間の日課だったんだよ。擦り切れるほど聞いたね。トリッキーの音楽を聴いて以来、音楽にのめり込んで行ったよ。彼の声のトーンとプロダクションのコンビネーションはいつも僕のとても深いところに刺さるんだ。素晴らしいよ」(フォルティDL)

「トリッキーの音楽が俺の人生や音楽家として、どんな影響を与えてきたを言葉にするのは難しいな。彼のアルバムをCDウォークマンで何回も繰り返し聴いて、リリックを覚えて彼の作品の独特な雰囲気に浸っていたガキの頃からずっと音楽と一緒だったんだ。それはブリストルで音楽を学ぶ上で一番大事な部分だったし、今でも俺の音楽や詩の大事な部分であり続けている。彼のいくつかの曲は俺の人生の大事な記憶に結びついているし、自分のアイデンティティの一部でもあるんだ。だから彼の新作のリミックスを頼まれたのはとても光栄だよ。実を言うと最初は自分の最も影響を受けたアーティストと仕事するのに少しビビったんだけど、この仕事は素晴らしい経験になったよ。また近いうちに一緒にやりたいね」(カーン)

「トリッキーのリミックスを手がけるなんてすごいことだよね。10代の頃からとても影響を受けてるし、彼はジャンルをまたいでブレイクしたジャマイカン・ブリティッシュの代表的な存在でもある。グライムやUKガラージ、UKヒップホップが出てくる前にマッシヴ・アタックとかトリッキーがリリックを紡ぎだし、ベースをブチかまして時代を作ってきたんだ。ヒートウェイヴがどんなUKのサウンド・システムになるかのインスピレーションはワイルド・バンチから得たものなんだよ」(ザ・ヒートウェイヴ)

NOW ON SALE
BBC6ミュージックのローレン・ラヴァーンの番組で世界初公開となったトリッキーのニューシングル“Running Wild”は、若い頃の焦りや焦燥をテーマにしたリリックを南ロンドン出身の新人女性シンガー、ミナ・ローザが歌うレイドバックしたダークなフューチャー・ソウルだ。

ミナ・ローザは今秋行われるヨーロッパでのツアーにもヴォーカリストとして参加することが決まっている。

アーティスト:TRICKY
タイトル:RUNNING WILD FEAT. MINA ROSE
発売元:!K7 RECORDS / FALSE IDOLS / ウルトラ・ヴァイヴ
品番:デジタルのみ
価格:デジタルのみ
収録曲目:
01. Running Wild (feat. Mina Rose)
購入先:https://k7.lnk.to/RunningWild

【TRICKY "ununiform"】
2017.9.27 ON SALE

アーティスト:TRICKY(トリッキー)
タイトル:ununiform(アンユニフォーム)
発売元:!K7 RECORDS / FALSE IDOLS / ウルトラ・ヴァイヴ
品番:K7SCDJ350[国内流通仕様]
価格:¥2,300+税
その他:解説付
収録曲目:
01. Obia Intro
02. Same As It Ever Was (feat. Scriptonite)
03. New Stole (feat. Francesca Belmonte)
04. Wait For Signal (feat. Asia Argento)
05. It’s Your Day (feat. Scriptonite)
06. Blood Of My Blood (feat. Scriptonite)
07. Dark Days (feat. Mina Rose)
08. The Only Way
09. Armor (feat. Terra Lopez)
10. Doll (feat. Avalon Lurks)
11. Bang Boogie (feat. Smoky Mo)
12. Running Wild (feat. Mina Rose)
13. When We Die (feat. Martina Topley-Bird)

ワイルド・バンチのDJマイロなどを迎えた2016年リリースの『Skilled Mechanics』に続く本作は、自らのファミリーを含んだルーツに回帰する内容に仕上がっており、そのほとんどをベルリンで、そして内4曲をロシアはモスクワでレコーディング。ベルリンに移住して以来、11時に寝て9時に起きるという朝方にシフト、酒も飲まずヘルシーな生活の中で自らを見つめ直し、ベルリンのクリスマスの喧騒を避け3週間モスクワに滞在し、その時に現地のラッパーとコラボレイト曲を作り上げた。彼曰く20年ほどロシアのヒップホップ・シーンはチェックしているらしく、ロシア訛りのアクセントが気に入っているそうだ。コラボレイターはロシアのトップ・アーティストばかりで、カザフスタン生まれのスクリプトナイト(Scriptonite)は“Same As It Ever Was”、“Blood Of My Blood”、“It's Your Day”にフィーチャーされ、ロシアで最も人気があるヒップホップ・レーベルを運営するプロデューサーであるギャズゴールダー(Gazgolder)が手がける“Bang Boogie”には90年代からロシアのシーンを牽引するスモーキー・モー(Smokey Mo)をフィーチャーしている。さらに本作では今や伝説となったファースト・アルバム『Maxinquaye』収録の大クラシック“Aftermath”にフィーチャーして以来、公私に渡り彼の重要なコラボレーター/ミューズであったマルティナ・トップリーバード(2003年リリースの彼女のアルバム『Quixotic』以来のコラボレート)と久々に共演しているほか、LAでパパラッチされた女優のアーシア・アルジェント、さらに自らのレーベル、〈ファルス・アイドルス〉から2015年にアルバム『Anima』をリリースした女性シンガー、フランチェスカ・ベルモンテを迎え、共演曲である“New Stole”は、そのアルバムに収録された“Stole”のリテイク・ヴァージョン。そしてニューカマーも多くフィーチャーしており、〈ワーナー〉から『Devoted』というアルバムをリリースしているリチュアルズ・オブ・マインのヴォーカリスト、テラ・ロペス、“Running Wild”で美声を聞かせているミナ・ローズ、さらにアヴァロン・ラークスは、コートニー・ラヴのバンド、ホールの1994年の代表曲“Doll Parts”のカヴァーである“Doll”にフィーチャー。彼のファースト・アルバムにも冠されている自らの母の死を目の当たりにしたのが生まれてから最初の記憶という彼の凄惨な生い立ちは、これまで繰り返しテーマとして通底していて、サウンドと共にダークな彩りが彼の持ち味になってきたが、本作は生と死を双方の側から眺める視点と共にピースな雰囲気を湛えた作品に仕上がった。それは今回のアルバムで完全に自らのレーベルで全てを取り仕切ることで初めてレコード会社との軋轢やあらゆる財政的なプレッシャーから解放されたことと、ベルリンでの3年間を通じて自らのルーツ(彼の祖父はブリストルで伝説となっているサウンド・システムを作り上げたレゲエDJ、ターザン・ザ・ハイプリースト)を振り返ることでより一層自ら表現したい音楽に向き合えたというこの2つの要素が色濃く反映した結果だろう。まさにトリッキー節が全編に漲ったサウンドは美しく壮麗で以前にも増してパーソナルな本作『ununiform』はトリッキーが新たなステージに到達したことを知らせる充実作。

MORE INFO:https://bignothing.net/k7.html

RIP Holger Czukay - ele-king

野田努

 昨日ネットのニュースを散見したところ、どうやら9月5日、ホルガー・シューカイがケルンの自宅で死んでいるのをアパートの隣人によって発見されたそうだ。79歳だった。
 シューカイは、クラウトロックにおけるもっとも重要なバンドのひとつ、カンの主要メンバーであり、パンク以降のロック・ミュージックおよびエレクトロニック・ミュージックに多大な影響を与えた人物である。
 ぼくに限らず、カンをいまでも好きな人は世界中にいるし、サルバドール・ダリに似たホルガー・シューカイを心から尊敬している人もたくさんいる。彼は前衛であり、同時にポップだった。戦争を記憶している世代であり、それがゆえの国境の無さ/アイデンティティの刷新力が、非西欧音楽への好奇心にも繋がり、1960年代末の時点ですでに作品にも残している。できないこと(can't)をやってのけ(can)、実験的でありながら商業的にもヒットしたし、知的であり、ダリのようにユーモアも忘れなかった。

 1938年ポーランドのダンツィヒ生まれのシューカイは幼い頃からピアノを習っていた。ほどなくして第二次大戦の戦場となったその地から疎開し、西ドイツに移住しても、彼の音楽への好奇心と探求心は変わらず、それはラジオの受信機の修理にまで及んだという話は有名である。
 シューカイは、1963年からおよそ3年、カールハインツ・シュトックハウゼンのもとで学んでいる(カンの拠点となったケルンは、50年代に、それこそ“少年の歌”や“コンタクテ”が演奏されることになるケルン電子音楽スタジオが建てられている)。
 2005年の『remix』の取材において、彼はこう言っている。
 「私はいつもラジオでシュトックハウゼンを耳にしていたんだが、ある日ライヴを見に行った。そこで彼が聴衆に向かって自分の作曲した作品について説明していると、突然ひとりの客が立ち上がり、『シュトックハウゼンさん、あなたのやっていることはすべて衝撃的すぎます。あなたはこうやって人びとにショックを与えることで金儲けをしようとしているのではないのですか?』と言った。すると彼は『これだけははっきりと申し上げておきましょう。私がお金のために音楽をやることは絶対にありません。なぜなら、私には金持ちの妻がいるからです』と答えた。それを聞いて私は『素晴らしい! この人についていこう!』と心に決め、さらに金持ちの妻をさがすことにしたのだ」
 慣れ親しんだ音楽にばかり惑溺するリスナーを許さなかったアドルノとも似たシュトックハウゼンには堅苦しい印象を持っていたぼくは、シューカイのこうした余裕あるユーモラスな発言に笑った。だいたい同じことの繰り返しを否定したシュトックハウゼンに逆らうかのように、1968年に結成されたカンは、繰り返しを強調したのだった。

 バンドを組んだときのシューカイは、スイスのジュネーヴ周辺で音楽の教師をしていた。クラシック、現代音楽(そしてミュジーク・コンクレートや電子音楽)、あるいはいくらかジャズを知っていたシューカイだったが、ロックに関しては、もはや若者とは呼べない30を前にして初めて知った。イルミンはクラシックの指揮者で、ヤキはプロのジャズ・ドラマーだったわけだが、ビートルズよりも年上の良い大人たちが、いままで学んできたことをまっさらにしてロック・バンドをやる。ただし、音楽を作るのではなく、音楽の作り方から作ること──それがカンだった。
 また、こうも言えるだろう。クラフトワークがエレクトロやミニマルの原型を作ったと言えるなら、カンはジャングルの原型を作っている。

 シューカイはカンのメンバーのなかではもっとも精力的なソロ作品を発表している。数々のアルバムのなかで1枚選べと言われたら最初のソロ・アルバム『Movies』だろう。(『On The Way To The Peak Of Normal 』や『Rome Remains Rome』も捨てがたいが)『Movies』に収録された4曲は必聴である。

 さらにシューカイは、ジャー・ウォーブルやデイヴィッド・シルヴィアンとの共作、Phewの最初のアルバムへの参加でも知られている。2015年にはカンの『The Lost Tapes』とも似た、まったく聴き応えのある未発表音源集『Eleven Years Innerspace』も発表している。

 ふたたび2005年の『remix』からの引用になるが、シュトックハウゼンは生前こんなことを発言したという。「私の教え子は誰も成功しなかったが、ひとりだけ例外がいた。ホルガー・シューカイだ。彼だけが私の真似をしなかった」
 シューカイは、自分の音楽のなかにいろいろなものを取り込んだ。それこそ68年のパリの暴動から短波放送から流れるベトナムの民謡、旧ソ連の音楽……、あるいは、ラジオ、カセットテープ、電話までもが彼の楽器だった。彼は自らを「ミューシャンではない」と言い切った。そうではなく、「ユニザーサルなディレッタントなのだ」と。ぼくもこういうことが言えるようになりたいものだ。
 TVのCMで使われたことで日本でもヒットした“ペルシアン・ラヴ”を聴いていると、いったいこれはどこの国のいったいなんという音楽だろうかと思った。そしてなんて美しいのだろうと思う。昨晩はこの曲を聴いた人が多かったことだろう。ぼくも家に帰って、ビール500mlを空けて、まっさきにこれを聴いた。

 「私たちが音楽を演奏させたのではない。音楽が私たちを演奏させたのだ」──ホルガー・シューカイ

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松村正人

 90年代はじめ、当時住んでいた仙台の夏のあまりの夏らしくなさ――私は夏はアスファルトに陽炎がたつくらいじゃないと夏じゃないと思っている、島の人間なので――にいてもたってもおられず、メールスのジャズ祭に行ったきり向こうに住みついてしまった叔母をたよって渡独したのは二十歳になったばかりのころ。ドイツといってもチューリッヒ近郊の叔母の家にいつまでも厄介になっているわけにもいかず、ドイツの東のほうから東欧に向かい、西におりかえし英国に向かう途中ケルンにたちよったのはここがホルガー・シューカイの町だからである。ところが駅前で数名にシューカイの自宅の場所をたずねたがラチがあかない。だれだそれ、というのがたいがいで、ひとのよさそうなオバさんはもうしわけなさそうにしているし、私よりすこし年嵩の青年はドイツならおまえ、スコーピオンズだろと「ロック・ライク・ハリケーン」を眼前で歌われる始末。スコーピオンズはファーストはコニー・プランクのプロデュースだから嫌いじゃないですが、そのコニー・プランクの仲間のカンというバンドのひとなのです、といっても伝わらない。当時の私はダモさんくらい髪が長かったのであるいは向こうが気づいてくれるかとも思ったが甘かった。宿なしらしき老婆には、どこから来たと問われ、ヤーパンだと答えたら、日本のせいで戦争に敗けたと狂ったようになじられ、駅から離れた人気のない路地の坊主頭の若者の集団にも訪ねてみたが要領をえない。いま考えるとあいつらネオナチだったろうね。

 私は大聖堂もみずに失意のうちにケルンを去り、四半世紀(!)前のこととて記憶は遠いが、たしかベルギーのどっかから黒人の乗船率が異様に高いフェリーで、野田さんがほめていたマッシヴ・アタックの町ブリストルに渡ったはずだが、ことほどさようにカンは当時の私にとってなにがしかのものだったのである。
 それはいまでも変わっていない。おそらく死ぬまで変わらないどころか、前々々世や来々々世とかいう戯言を私は信じないが、そのようなものがあったとしてもそうだろう。

 カンのなかの音楽の鮮度は保たれている。流動的だが凝結し個人のものであれ歴史に属するものであれ、あらゆる時間を横切り大気をくぐりぬけ耳朶を打つ。ときにプログレッシヴ・ロックやサイケデリック・ロック、のちにユーロ・ロック、いまはクラウト・ロックにひとは彼らを分類するが、ポピュラー・ミュージックと民族(民俗)音楽と即興音楽と電子音楽をカットアップしモンタージュするカンはつまるところカンなのだ。その先頭に立っていたのはホルガー・シューカイそのひとにほかならない。たわわな口髭といくらか生え際が後退したホルガー・シューカイのイメージは近影でこそ痩せ細っていたものの、68年の結成時からほとんど変わらない。シュトックハウゼンの元に学んだこの男はデビュー当時すでに三十路だった。分別のある大人だったが音楽は野蛮だった。同門のイルミン・シュミット(Key)とドラムのヤキ・リーベツァイトはシューカイと同年配でギターのミヒャエル・カローリは10歳下、そこにヴォーカルとして黒人のマルコム・ムーニーが加わり、だれもが知る最初のカンができあがる。69年のファースト『モンスター・ムーヴィー』の白眉は「Yoo Doo Right」だが、空間に燎火のように延焼するカンのスタイルはすでに完成している。ヤキの非西欧的な律動とミヒャエルの音色とフレージング、イルミンのサウンドは波のようである、おのおのが特異なパーツをシューカイの反復するベースが粘っこく接着する。このトラックはセッションの抜粋を編集したもので、ホルガー・シューカイといったとき、世評ではのちにヤキやミヒャエルなどに較べ、ソロ作につながる編集(プロデューサー)的観点を功績として強調するきらいがあるが、演奏家としての比類なさにも目を向けなければならない。八分音符を弾きつづける、オクターブをくりかえす――ただそれだけのフレーズがサイケデリックな空間をつくりディスコの暗喩となり、ループするフレーズの一部を欠落させダブ化させる、単純な法則だがきわめて呪術的でありそれがなければ、『タゴマゴ』や『フューチャー・デイズ』といった傑作もなりたたなかっただろう。私はくりかえすが、カンとはつまるところその総体である磁場の謂いなのだ。ダモ鈴木在籍時(私は『タゴマゴ』が初カンだが、いまでも「Oh Yeah」が日本語歌詞なるパートを聴くと、そのヴィジョンが幻出する)はむろん、後期のジャンル音楽の擬態と変調はそれまでの求心力が希薄なぶん異質さが浮遊している。その後のシューカイのソロはバンドの集団性を離れ、いかに方法をポップに純化するかを試みた階梯であり、ワールド・ミュージックとクラブ・ミュージックの折衷があたりまえな現在の若い耳により親しみやすいだろう。

 カンに失敗は存在しない。以前取材したさいイルミン・シュミットはそのようなことをいっていたが(『アウト・オブ・リーチ』はどうなんだという意見もあるでしょうが)、カンがカンであるかぎりそれは真実であり、おそらくそのような姿勢だけが都市のなかに未開の地を拓く。
 幾多の作品をのこしホルガー・シューカイは世を去った。ヤキ・リーベツァイトを喪った年にシューカイも逝った。享年79歳。地元紙によれば、ケルン近郊のヴァイラースヴィストにある以前は映画館だったカンのオリジナルのスタジオで亡くなっているところを発見されたという。25年前、私がたどりつけなかった場所だった。(了)

Throbbing Gristle - ele-king

 問答無用のインダストリアル帝王、コンセプチュアルなエクスペリメンタル集団……そうか、もうそんなに経つんですね。スロッビング・グリッスルがファースト・アルバム『The Second Annual Report』をリリースしてから40年。それを記念し、〈Mute〉からかれらの全カタログがリイシューされることが発表されました。まずは11月3日にそのファースト・アルバムと、かれらの代表作である『20 Jazz Funk Greats』(“Hot on the Heels of Love”は必聴です)、そしてベスト盤の『The Taste of TG』の3タイトルが発売されます。ボーナス・ディスクには当時の貴重なライヴ音源が付属、さらに日本盤はHQCD仕様となっております。これを機にスロッビング・グリッスルの偉大なる遺産に触れておきましょう。


スロッビング・グリッスル、デビュー作発売40周年を記念し全カタログをリリース!
リイシュー・シリーズ第1弾として、デビュー作と、歴史に燦然と輝く金字塔
『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』、そしてベスト盤の計3作を11/3にリリース!
日本盤はHQCD(高音質CD)仕様。収録曲音源公開。

インダストリアル・ミュージックのオリジネーターであり、今なお現在の音楽シーンのみならず、カルチャー /アート・シーンにまで絶大な影響を与え続けているスロッビング・グリッスル。彼らのデビュー・アルバム『ザ・セカンド・アニュアル・レポート』の発売40周年を記念して、〈MUTE〉より全カタログがリリースされることとなった。

そのリイシュー・シリーズ第1弾として、新たなる音楽の可能性を切り開いた衝撃のデビュー・アルバム『ザ・セカンド・アニュアル・レポート』、彼らの代表作としてだけでなく『ピッチフォーク』で10点満点を獲得するなど歴史的名盤『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』、そしてベスト盤『ザ・テイスト・オヴ・TG』の計3タイトルが11月3日(金)にリリースされる。なお日本盤のみHQCD(高音質CD)仕様でのリリースとなる。また、彼らの代表曲“United”が公開された。この曲は1978年に7インチ・シングルとしてリリースされ、今回リイシューされる『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』と『ザ・テイスト・オヴ・TG』に収録される。


■“United”試聴リンク
https://youtu.be/5XpqCxJZdGs

全カタログは以下のスケジュールでリリースされ、また未発表曲などが収録されるボックス・セットも来年中にはリリースの予定となっている。

[2018年1月26日]
『D.o.A. The Third And Final Report』
『Heathen Earth』
『Part Two: Endless Not』

[2018年4月27日]
『Mission Of Dead Souls』
『Greatest Hits』
『Journey Through A Body』
『In The Shadow Of The Sun』


■商品概要(11月3日発売/3タイトル)

『ザ・セカンド・アニュアル・レポート』(2CD)

「産業社会に生きる人々の為の産業音楽」という風刺を効かせたキャッチコピーと共に、インダストリアル・ミュージックというジャンルを作り出し、新たなる音楽の可能性を切り開いた衝撃のデビュー・アルバム。1977年11月発売。アルバム発売40周年。
CD-1は、スタジオ&ライヴ音源、そして前身のパフォーマンス・アート集団クーム・トランスミッション時代の映像作品のサウンドトラックの全9曲を収録。
CD-2は、当時のライヴ音源6曲、シングル「United」とそのカップリング曲の全8曲を収録。

・アーティスト:スロッビング・グリッスル / Throbbing Gristle
・タイトル: ザ・セカンド・アニュアル・レポート / The Second Annual Report (2CD)
・発売日:2017年11月3日(金) *オリジナル発売:1977年
・価格:2,650円(税抜)
・品番:TRCP-218~219
・JAN:4571260587199
・紙ジャケット仕様
・HQCD(高音質CD)仕様(日本盤のみ)
・解説付
・Tracklist:https://bit.ly/2wJhDfO
[amazon] https://amzn.asia/1jXuNhD
[Spotify] https://spoti.fi/2vnmZZH


『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』(2CD)

1979年発売の3rdアルバム。燦然と輝く歴史的名盤。
インダストリアルの代表作としてのみならず、その後のエレクトロニック・ミュージックへ与えた影響は計り知れない。ジャケット写真の撮影場所は、自殺名所で有名なイギリスのビーチー・ヘッド。
CD-1は全曲スタジオ録音。CD-2は当時の貴重なライヴ音源9曲を収録。

・アーティスト:スロッビング・グリッスル / Throbbing Gristle
・タイトル: 20 ジャズ・ファンク・グレーツ / 20 Jazz Funk Greats (2CD)
・発売日:2017年11月3日(金) *オリジナル発売:1979年
・価格: 2,650円(税抜)
・品番:TRCP-220~221
・JAN:4571260587205
・紙ジャケット仕様
・HQCD(高音質CD)仕様(日本盤のみ)
・解説付
・Tracklist:https://bit.ly/2x5qw38
[amazon] https://amzn.asia/1A1zYlw
[Spotify] https://spoti.fi/2vnmZZH


『ザ・テイスト・オヴ・TG』(1CD)

ビギナーからマニアまで納得のベスト盤。全15曲収録。2004年作品。
リイシューにあたり、“Almost Kiss”(アルバム『Part Two: Endless Not』収録曲/2007年)を追加収録。

・アーティスト:スロッビング・グリッスル / Throbbing Gristle
・タイトル:ザ・テイスト・オヴ・TG / The Taste of TG: A Beginner's Guide To The Music Of Throbbing Gristle (1CD)
・発売日:2017年11月3日(金) *オリジナル発売:2004年
・価格:2,300円(税抜)
・品番:TRCP-222
・JAN:4571260587212
・紙ジャケット仕様
・HQCD(高音質CD)仕様(日本盤のみ)
・解説付
・Tracklist:https://bit.ly/2vrXQSd
[amazon] https://amzn.asia/2uwdQZH
[Apple Music / iTunes] https://apple.co/2g3paPU
[Spotify] https://spoti.fi/2vnmZZH


■スロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle)

クリス・カーター(Chris Carter)
ピーター・クリストファーソン(Peter 'Sleazy' Christopherson / 2010年11月逝去)
コージー・ファニ・トゥッティ(Cosey Fanni Tutti)
ジェネシス・P・オリッジ(Genesis Breyer P-Orridge)

インダストリアル・ミュージックのオリジネーターであり、今なお現在の音楽シーンに絶大な影響を与え続けている伝説のバンド。バンド名は直訳すると「脈打つ軟骨」、男性器の隠語。1969年から1970年代のロンドンのアンダーグラウンドにおいて伝説となったパフォーミング・アート集団、クーム・トランスミッション(Coum Transmission)を母体とし、1975年にバンドを結成。彼らのライヴは、クーム・トランスミッションから発展したパフォーミング・アートが特徴で、イギリスのタブロイド紙でも取り上げられるほど過激なパフォーマンスを繰り広げた。1977年、衝撃のデビュー作『ザ・セカンド・アニュアル・レポート』を発売。その後彼らの代表作『20 ジャズ・ファンク・グレーツ』(3rdアルバム/1979年)を発売するなど精力的に活動をしていたが1981年に一度解散。その後、各メンバーはサイキックTVやクリス&コージーとして活動するも、2004年に再結成し2010年10月まで活動を続けた。同年11月、ピーター・クリストファーソン逝去。彼はアート集団ヒプノシスのデザイナーとしても活動し、ピンク・フロイド『炎~あなたがここにいてほしい』、ピーター・ガブリエルの初期3作など歴史に残る作品を手がけた。またセックス・ピストルズ初の宣伝用アーティスト写真の撮影、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなど数多くのプロモーション・ビデオを制作し、自身の音楽制作のみならず革新的な作品を数多く生み出した。

www.throbbing-gristle.com
www.mute.com

DJ KRUSH - ele-king

 『軌跡』というアルバムに対峙して考えさせられたこと。それは、DJ KRUSHの音楽がダンス・ミュージックではない可能性、より正確に言うなら、ダンス・ミュージックでない可能性に潜んでいる、もっと別の可能性についてだった。

 iOS用の「hibiku」というアプリがある。文字通り、現実の音に「響き」を加えるアプリで、仕組みはシンプルだ。イヤフォンを装着してこのアプリを立ち上げると、イヤフォン付属のマイクを通した現実の身の回りの環境音に、残響音が付加されてイヤフォンに帰ってくる。この残響音により、ユーザは大聖堂や、洞窟にいるかのような聴覚体験をする。例えば電車の中でこのアプリを立ち上げれば、走行音や周囲の話し声、車内アナウンスなどが、全て遥か遠くから響いてくる。いわば、残響音が加えられることで自身が映画の登場人物になったかのように演出され、世界の捉え方が完全に一変する。異化効果を司るアプリ。

 そして、KRUSHのビートも、まさにこのような効果を齎すところがある。イヤフォンで彼のビートを聞きながら街を闊歩するとき、MCたちが描こうとする風景に、異化効果を齎すのだ。そしてこのような世界の眺め方は、何もMCたちに限定されるわけではない。リスナーたちが漫然と眺める風景にも、同様に適用される。

 だから冒頭の問いに戻るならば、DJ KRUSHのビートは、ダンスのためというよりも、街を彷徨い歩く、つまり彷徨のためのサウンド・トラックとでも言うべき側面を持ち合わせているのではないか。

 というのが「ダンス・ミュージックではない可能性」についてのスケッチなのだが、少し結論を急ぎ過ぎたかもしれない。まずは改めて、このアルバムを再生してみよう。

 冒頭、その煙の中から立ち上がるようなアブストラクトなSE。続いてディレイに彩られた「2017」「DJ KRUSH」というコールが、このアルバムの立ち位置を表明する。重いキックがウーファーを揺らし、スピーカーは自分の本来の役割を思い出したようにリスナーの腹へ低音を届ける。このイントロがわずか43秒間しかないこと、そしてインスト曲が中盤の「夢境」のみであるのは、今回のラップ・アルバムとしてのコンセプト通り「ラップの言葉」に語らせようという明確な意志が感じられる。

 イントロに導かれたラップ曲のオープナーは、OMSBによる“ロムロムの滝”。琴を思わせる弦楽器的な音色によるフレーズのループがくぐもった呟きを洩らす。小節単位でカウントされるループ。1、2、3、4、、、そして満を持して200Hz中心に叩きつけられる重心が低く粒子の粗いスネア。そして3拍目の3連のタメが効いているブーミンでファットなキック。キック、スネア、ハットと一緒に録音されている空気感(=アンビエントなホワイトノイズ)もロービットで汚され、コンプでブーストされ、そのざらついた存在感を主張している。

 ビート・ミュージックのリスナーたちは、たった1発のスネア、キックに身を捧げるため、スピーカーの前に集結する。曲の開始と共に、イントロでリスナーは焦らされる。そして自分が焦らされていることも分かっている。やがて満を持して叩きつけられる、1音のスネア、あるいは1音のキックがもたらすカタルシスを、息を止めて待ち焦がれる。それは、ビート・ミュージックの持つ最も幸福な瞬間のひとつだ。そんな瞬間のために、DJ KRUSHは最高のスネアとキックの一撃を追求してきた。彼はビートによって、動物の本能がつかさどる領域に踏み込み、欲望を露わにし、さらなる衝動を突き動かす。彼が長年キックとスネアとの対話を通して探究してきたのは、ある問いの答えだ。人は、なぜビート・ミュージックを、求めるのか。

 DJ KRUSHのようなビートメイカーと共演するということは、ビートの側から自己を見つめ直すことに等しい経験だ。自身のスキルの限界はどこか。太いビートに埋没しないフロウをどのように発揮するのか。その曲がワンアンドオンリーのクラシックとして残るようなリリックとは、等々。そのような試行錯誤を経て、彼のキックとスネアに対し、ときに正面からぶつかり合い、ときにその間を縫うように流れていく8つのヴォイスたち。OMSBがまき散らすのは、ビートを棍棒で叩くような即物的なフロウと、ビートの太さに挑み掛かる強靭なヴォイス。チプルソは“バック to ザ フューチャー”において、ビートボックスを拡大解釈し、打楽器と金管楽器双方を兼ねる楽器としてのヴォイスを駆使する。そのスキャット的なフロウは、子音でスタッカートを乱打し、母音を引き伸ばして音階を上下する。5lackは粘つくモタりをクールな表情で処理し、これまでのKRUSHのラップ曲史上類をみない粘度の高い“誰も知らない”グルーヴを生み出している。そして、かつて重力を無視して遥か上空から東京の街を見下ろすように言葉を泳がせたRINO LATINA II(“東京地下道”)は、地に足を着けた今もなお揚力を失わないフロウで、20年以上前の記憶の軌跡を“Dust Stream”で辿る。

 一方、リリック面はどうか。R-指定によるメタ視点が効いたリリックで、これまで散々語られてきたMCのステイト・オブ・マインドについて、“若輩”の視点から新たなページを加える。そして前半のラストを飾る“裕福ナ國”では、アルバム随一の抒情的な旋律を感じされるビートの上、Meisoの絶妙な角度から社会の陰部にメスを入れる視線がここでも健在だ。MCとしての自意識よりも、監視社会の構成員の一員として世界を俯瞰する視座から、2017年現在のディストピア的な日本に生きる肌感を伝える。一方、呂布カルマの“MONOLITH”を貫通するのは、MCバトルで鍛え上げられたメタファーとユーモアに彩られたバトルライムだ。ボディブローのようにじわじわと効いてくる、無自覚な同業者たちへの痛烈な警鐘。それが、KRUSHも一目置く独特な抑えられたトーンでデリヴァーされるのだが、ビートの前景と後景の間に貼り付くような良い意味で籠り気味の声質は、逆にリスナーにリリックの一言一句に聞き耳を立てさせる効果をもたらしている。

 そしてこれらのフロウとリリックの双方を綜合するかのように、10曲目に鎮座する志人の“結 –YUI–”。志人はここでも彼にしか示せない世界との関わり方を提示している。そのフロウもリリックも、古典芸能からの連続性のうちに捉えられるような「和」の表現を展開しており、特に同曲の後半においては、自然に満ち溢れたほとんど人外境を舞台にする様は白眉だ。これは従来のヒップホップにおいては支配的なステレオタイプである、「アメリカ産」「都会の音楽」といった属性とは見事に真逆だ。にもかかわらず、彼の表現はヒップホップ的にも「ドープ」としか言いようのないものとなっている。そして、このような異形のヒップホップが存在し得る土壌を開拓したのも、他でもないDJ KRUSHだと考える。どういうことだろうか。

 1990年代中盤以降、彼のビートはそれまでになかった表現として欧米を中心に世界に受容されたが、その音楽性は、同時代的に活躍したポーティスヘッドやマッシヴ・アタック、そして何よりも盟友と言ってもよいDJシャドウらと共に「トリップホップ」や「アブストラクト・ヒップホップ」としてカテゴライズされた。「トリップホップ」は頭に働きかけるダンス・ミュージックとも言われ、アメリカが独占状態のヒップホップに対する、ブリストルのシーンを中心とするUKからの新たなる可能性の提示でもあった。「トリップホップ」という命名はアーティストからの不評も買ったが、ここで注目しておきたいのは、その代替として使用されることも多かった「アブストラクト(ヒップホップ)」という呼称である。なぜDJ KRUSHやシャドウのサウンドは、「アブストラクト」と形容されたのか。

 ここでは、大きくふたつの理由を考えたい。ひとつめは、彼らは、ラップとビートのセットではなく、ラップ抜きのインストだけでそれが成立することを示したことだ。MCたちの直面するリアリティを「具体的」に示す言葉を持たないインストのヒップホップは、「アブストラクト」ヒップホップと呼ばれた。簡単に言えば「ラップという〈言葉〉による表現=具象」と「〈音のみ〉の表現=抽象」というわけだ。つまりこの場合の「アブストラクト」は、ビート自身が音で語りかけるインストゥルメンタル・ミュージックの別名である。

 そしてふたつめの理由は、ビートのサウンド自体の特性にある。「抽象的」なサウンドとは何かを考えることは、反対に「具象」とは何かという問いにつながる。例えば1950年代にフランスで勃興したミュジーク・コンクレートにおいて、「コンクレート=具体」としてのサウンドは、自然音、人や動物の声、インダストリアルな環境音、電子音などを指していた。では、ヒップホップのサウンド面における「具象」の条件とは何か。ひとつには、ビートを構成している音を「具体的」に指し示すことができること。その音は、何の楽器で奏でられているのか。どのような音階やリズム、つまりフレーズとして奏でられているのか。そしてもうひとつ、サンプリング・ミュージックとしてのヒップホップにおける「具象」とは、参照先を「具体的」に特定できることも指すだろう。このブレイクビーツは、このレコードのこのフレーズからのサンプリング。この上ネタのエレピとストリングスは、あのレコードのサンプリング、というように。

 であるならば、逆に「抽象的」な音とは、例えばピッチを下げることで音程もリズムも失ったサウンドだ。かつてエドガー・ヴァレーズは、テープレコーダーの誕生に伴い再生スピードを変化させることや音の順序を組み替えることが可能になったことで、レコードの時代には困難だった様々な音響実験を加速させた。同様に、ビート・ミュージックによる抽象表現も、まさにサンプラーやデジタル・エフェクターというテクノロジーの発明によって実用化されたと言える。元は何の楽器から発された音なのかも判然としない。同様に、短く断片化されたり、ディレイやリヴァーブが深くかけられたり、ロービットでサンプリングされたりと、様々な理由でソースを特定できないサウンドの断片たち。あるいは、一部のフリー・ジャズやドローンにおいて聞かれるような、元々リズムやフレーズ感の希薄なサウンドたち。それを鳴らしている楽器も、リズムも音階も具体的に指し示すことが困難であり、さらにどのレコードからサンプリングしているのかも不明なサウンドの断片たち。

 こうして考えてみれば、アブストラクトの定義のうち前者、インストとしての「アブストラクト・ヒップホップ」の展開を背負ったのはDJシャドウであろう。そこにはMCの言葉はなく、ビートが物語を代弁する。1996年リリースのファースト・アルバム『Endtroducing.....』は、物語性をまとったビートが描く一大絵巻物だった。

 一方、後者の「〈アブストラクトなサウンド〉のヒップホップ」を体現したのが、他でもないDJ KRUSHではなかったか。このことは、例えば〈Mo' Wax〉から1994年にリリースされたDJシャドウとDJ KRUSHのスプリット盤の収録曲“Lost And Found (S.F.L.)”と“Kemuri”を聞き比べてみればよく分かる。シャドウの“Lost And Found”は実に彼らしいスクラッチと「You said to me, I'm out of my mind」というナレーションからスタートし、ブレイクビーツとエレピのループをベースに、次々とギター、トランペット、人の声といった「具体音」が入れ替わり立ち替わり現れる。いわゆる各パートの「抜き差し」によってダイナミズムを伴う楽曲展開を見せてくれる、約10分にわたる従来の物語構造を持つ「短編映画」のような作品だ(対するKRUSHのビートも決して映画的/映像的でないということではなく、映画に喩えるならヌーヴェル・ヴァーグ的ということになるだろうか)。ここには「ラップの言葉」は一切表れないが、聞き手が物語を読み込んでしまうようなサウンドスケープが展開されるのだ。

 対するDJ KRUSHによる“Kemuri”はどうか。紛うことなき彼の代表曲であるこの曲は冒頭から、ブレイクビーツの上に乗る不穏なノート、ディレイで左右に飛ばされるノイズ、ターンテーブルから発せられるスクラッチ混じりのサウンド、そして管楽器風のサウンドのメインフレーズ、その背後のサイレンなど、全ての音が、どのようなジャンルの音楽の、どのような楽器の、どのような演奏からサンプリングしたのか計りかねるような、出自不詳のサウンドたち。それらが、まさに「煙」のように輪郭が曖昧で互いに混ざり合いながら、粛々と驀進するブレイクビーツに寄り添い漂う。DJ KRUSHのトレードマークである、ディレイで左右に飛ばされる音は「煙」なのだ。これらの「抽象的」なサウンドで描かれたビート群は、KRUSH自身の出自も相まって、当時の聴衆に非常に新規性のある音楽として映ったのは想像に難くない。DJ KRUSHは、ヒップホップから派生したビート・ミュージックに、ブラック・ミュージックとは異なる系譜の「煙たさ」を持ち込んだのだ。

 そのような抽象的なインストのみで成立する、あるいはインストが語りかけるようなビートに、改めてラップの言葉を乗せてみようというのもまた、DJ KRUSHやシャドウ(U.N.K.L.E)の試みのひとつだった。そのようなアブストラクトなビートの上に、MCたちはどのようなライムを乗せようとするだろう。例えば1995年にリリースされた『迷走』からのタイトル・トラックで、初期のKRUSHラップ曲を代表する1曲でもある、ブラック・ソートとマリク・Bをフィーチャーした“Meiso”。冒頭のハービー・ハンコック(ジョー・ファレルのカルテットに参加)によるエレピのフレーズは、KRUSH愛用のAKAI S1000によって低いビットレートでサンプリングされ、その輪郭を失った「抽象音」と化している(同じハービー・ネタで言えば、「具象」という意味で対極にあるのがUS3の「Cantaloop (Flip Fantasia)」だろうか)。そしてクオンタイズの呪縛から脱出するように僅かにつんのめるブレイクビーツ。両者のヴァース間、1分32秒以降KRUSHが擦るのは、ジャズのライヴでプレイヤーたちのインタープレイの一瞬の間隙を抜き取ったような「キメ=空白」のサウンドや、あるいはこれもジャズのレコードからと思しき、輪郭が曖昧なベースラインだ。通常のDJ的な感性に倣えばスクラッチ映えするアタックとハイが強調されたサウンドを選ぶのだろうが、彼の独創性が、敢えてビートに滲み、埋没するサウンドを選ばせた。しかしこれらの曖昧で歪なパーツたちが織り成したのは、途轍もないグルーヴだった。JBネタのビートたちとは全く異なるアプローチで現前せしめられるファンクネス。聴衆たちは、この衝撃への興奮を包み隠さずぶちまけ、狂乱のフロアに沈み込んだ。

 だから当然ブラック・ソートことタリークも、最高のライムをぶちまけた。しかしKRUSHのアブストラクトなグルーヴに誘引されたのは、いつもとは異なるボキャブラリーのライムだった。例えば「俺はイラデルフ(フィラデルフィアとイルの合成語)出身、そこじゃお前の健康は保障できない/この惑星を一周するサイファーの中、赤道ほどの熱を持つ場所/あるいは普通じゃない、王宮の正門から現れた奴らがお前の魂を要求する/八仙の七番目をコントロールする者/この終わりのない迷宮の中で、夜が昼に戦いを挑む場所で」という中盤のライン。注目すべきは、1行目から2行目、そして2行目から3行目への跳躍。このような路線のリリックは後にザ・ルーツの“Concerto of The Desperado”のような曲に引き継がれることとなるが、このとき既にリリースされていたザ・ルーツのファースト・アルバムの彼のライムとは明らかなギャップがある。ザ・ルーツのファースト・アルバムの独自性とは、ジャズ的なインプロヴィゼーションを重視するバンドがビートを演奏することであり、ブラック・ソートもそれに合わせるように、即興性の高い、フリースタイルの延長のようなライムを披露していたが、その内容は良くも悪くもラップのゴールデンエイジのテンプレートを脱するものではなかった。であるならば、タリークからこのようなエキゾチックで抽象的なライムを引き出したのは、KRUSHのビートが生みだした異形のグルーヴだったのだ。

 アブストラクト。音楽以外の抽象芸術に目を向ければ、例えばカンディンスキーの抽象絵画は、音楽の視覚化の試みでもあったことが知られている。共感覚を持っていたがゆえの発想かもしれないが、そもそもこのような音楽の視覚芸術による翻訳=置き換え(あるいはその逆)は多くのアーティストたちの表現の核心を担ってきた。さらには、音楽や視覚イメージの「言語化」の試みが、多くの作家や詩人、あるいは批評家たちによって、時には通常の言語で説明的に、時には「詩的言語」を駆使して為されてきた。

 例えば『迷走』のUK版のアナログのジャケットのアートワークは、抽象的なグラフィティで知られているFutura 2000によるものだが、アメリカの詩人のロバート・クリーリーが、「Wheels」と題された次のような詩をFutura 2000に捧げている。「ひとつ その周りに ひとつ/あるいは内側、限界/そして飛散/外側、その空虚/縁のない、丸く/空のように/あるいは見つめる眼/過ぎゆく全て/沈黙のにじみの中で」と、言葉少なげに探るような一篇。ここにはFutura 2000の抽象的な作風に呼応するように、抽象的な「詩的言語」との格闘の痕跡を認めることができるが、同様に、DJ KRUSHのアブストラクトなビートにMCたちがライムを乗せようとする場合も、彼のビートの「抽象性」が「詩的言語」に類するワードプレイを誘引する。そこでは、少なからずそのビート自体の「言語化=言葉による描写」がリリックに混入する。MCたちが一人称で自己の姿とリアルな日常を描くとしても、描かれる自己とは、そのビートを聞いている自己であるからだ。KRUSHの抽象的なビートを聞きながら街を彷徨い、見えるものを描く。異化される街並み。異化される日常。

 そう考えてみれば、KRUSHのビートこそが、MCたちの言語世界の新しい扉を開いたと言える。そして結果的に、アブストラクトと呼ばれる類のビート・ミュージックにライムを乗せることで立ち上がる、原風景を示すことになったのだ。

 そしてこの原風景は、一方ではカンパニー・フロウやアンチコンらの世界観(従来「黒い」と形容されるヒップホップに精神的にも音楽的にもカウンターとして成立した)に、他方ではTHA BLUE HERB(そして流の“ILL ~BEATNIK”でBOSS THE MCが到達した極北)や、降神やMSCらの世界観の通奏低音として、常にその影を落としていた(そう考えてみれば、KRUSHと彼らとの共演も必然だったのだろう)。グローバル規模で展開するアンダーグラウンドな「異形」のヒップホップが共有するライムとビートの関係性における「ドープ」という概念は、KRUSHが持ち込んだ「抽象性」と、それが誘発する「抽象」と「具象」のギャップ(抽象的なビートにストリートを描くライムが乗る、MSCやキャニバル・オックスの世界観)にこそ、宿るのだ。その通奏低音が、再び前景化するこのアルバム。DJ KRUSHの25年の営み。僕たちが目撃しているのは、アンダーグラウンド・ヒップホップの生成と隆盛であり、もっと言えばその生き死にの「軌跡」なのだ。

 では、MCたちのライムに表れるKRUSHのビートの「抽象性」の影響とは何だろうか。『軌跡』において、それらは具体的にどのような形を取っているのか。それを確かめるために、近年のKRUSHのビートの抽象性を確認しておこう。

 『覚醒』(1998年)までと『漸』(2001年)以降、2000年を境にサンプラーによるサンプリングから、PCとDAW上の打ち込みのサウンドに上ネタが変化しても、KRUSHの一貫性が保たれているのは、あくまでも重心がかけられている太いビートと、上ネタが保持する「抽象性」によるものだ。『軌跡』のビート群においても、この「抽象性」を担保しているのは、残響音だ。深いリヴァーブ。ロービットで太くドライなブレイクビーツと、比較的高解像度の残響音を湛えるシンセ・サウンドがメインの上ネタは、強いコントラストを成している。

 残響音は、サウンドとリスナーの距離感も示している。ビートは、ダンスフロアで、いつでもリスナーの側で、寄り添うことで、ダンスを誘引する。ビートは、心臓の鼓動のように、身体の中心で、鳴り続ける。その意味で、ドライな音場を持つ音は、非常に身体的だ。一方の深い残響を有するサウンドは、その残響を生み出す空間的な広がりを意識させ、それがある種の想像力へ接続されるだろう。世界の広がりへ向けて、無機物の沈黙へ向けて、あるいは宇宙の静謐さへ向けて、駆動される想像力。幼少期にトンネルで声が響くことを発見し、何度も声を上げた経験があるなら、その響きのために、見知っているはずの世界の表情が少し違って見えたのではないだろうか。

 残響音が示し得るものは多様だ。深い残響音を得るためには、室内の場合は残響音を生みだす空間や壁といった環境が必要だ。1970年代のデジタル・リヴァーブの誕生以降、DAWを用いるビート制作に至るまで、これは実際にはデジタル処理で再現された人工的な響きなのだが、プラグインソフトのリヴァーブのプリセット設定に「ルーム」「ホール」「トンネル」等の名称が一般的に付与されているように、それは一定の「広さ」の音が響く空間が存在し、そのように「遠く」まで「深く」響くことを示している。だから自然とこの深い残響音が聞き手に想起させるのは、「広さ」「遠さ」「深さ」などと結びつくようなイメージだろう。

 であるならば、MCたちのリリックにも「広さ」「遠さ」「深さ」を翻訳したイメージが忍び込むに違いない。例えば、自身の目の前のリアルから「遠く」離れ、どこか別の場所の出来事を描くこと。狭い現実世界とは異なる「広がり」を持った視点で「遠い」風景を物語化すること。MCとしての自分自身から抜け出す、三人称の視点で、それらを寓話化すること。あるいは演出された残響音を擁する舞台装置であるビートの上で、自身をその物語を生きる映画の主人公のように描くこと。

 このことを踏まえれば、このアルバムにおいてまず目に付くのは、物語性を押し出した、寓話的なリリックたちだ。チプルソの“バック to ザ フューチャー”は、歌詞カードの最初に「-Storytelling-」と記されていることでも明らかなように、タイトル通り映画的物語が展開される。そのスペイシーな残響音をまとった上モノのシンセは、リリックにもある通り「部屋の煙」の中で「迷宮の出口」を探している自身の過去、2006年という11年前の記憶を物語化する距離感=「遠さ」の象徴のようだ。RINOもまた、「BACK IN DA DAY」と歌う90年代の日本のヒップホップの現場の記憶を「遠い」物語としてライムしている。また、Meisoが「土砂降りの時代」と歌う現代の日本の状況は、その寓話的な描き方もあり、どこか別の時代の「遠い」場所の物語とも響き合うような、普遍性を獲得しているようにも聞こえる。例えば「外じゃ戦争 中じゃ崩壊/ここじゃジョーカーが王様となる/やるかやられるか環境の産物/天使に生まれて化け物に変わる」というフックに顕著なように。抒情的な旋律を包み込むような残響音が詳らかにするのは、日本の陰部の広大さ、そしてその深淵だ。

 そして志人による“結”においては、「我」とその片割れである人類の「遠さ」がまさに主題となっている。志人は超越的な「我」という「遠い」視点に憑依し、地球規模での人類の蛮行を俯瞰する。ここでKRUSHが提出しているビートは、志人のリリックの深さをも収納できる、深い器であり、彼のフロウが演舞する舞台装置だ。削ぎ落とされた音数の少なさと、その分耳に入ってくる打楽器の残響音の深さ。志人のフロウの音程に場を譲るように、ビートは旋律を規定することもなく、そこに器として全身を差し出している。

 一方で、「駅前」「神奈川座間」「平常運転な日常」といった言葉が頻出するOMSBの“ロムロムの滝”や、MCが日々直面しているスキルやスタイルへのマインドが表明される5lackによる“誰も知らない”は、大雑把にいえば、日常の現実を相手取っている。そしてそのような「具体」性を持つ現実が、「抽象」的なビートに重ね合わせられたときのギャップ=異化効果が両者の組み合わせの醍醐味だ。あるいは「遠さ」の象徴としての残響が深いビートと、「近さ」の象徴として日常を描くリリックのギャップ。かつてブラック・ソートが「迷宮」と言い表した地元フィラデルフィアの街並みと同様、OMSBがそこに棲息する人々を描写しながら闊歩する地元の街並みは、どこまで行っても果てのないラビリンスと化す。そしてそのリリックの傍に現れる、例えば34秒からのシンセ音や、46秒に響くヴォイス・サンプルの残響音の深さは、街の雑踏の深さや、闊歩するOMSBに視線の前を通過する時間の経過を示しているようだ。残響音の深さは、何よりもリリックの光景を映像化する装置として、効果的に機能している。

 これらの残響音が、OMSBのリリック自体に与えている影響。その証左は、ヴァースでは地元の街の極めて具体的な日常の姿を描写しながらも、フックで「現実かどうかはどうでもいい」「見慣れたデジャヴを、常に行き来」と歌っている点にある。なぜならこれは、残響音という演出の施されたビート越しに眺める日常の景色が、非現実的なもの、あるいはデジャヴに映ってしまうという、まさに異化効果への言及だと理解できるからだ。このことに呼応するかのように、KRUSH自身が中盤のインストに「夢境」と名付けているのは、それがアルバムの前半と後半を区切る境でありつつ、個々の楽曲が「現」と、それを異化するような「夢」を行き来する本作において、同曲がその境でもあることを示してはいないか。

 サイエンス・ライターのマーク・チャンギージーが指摘したのは、音楽を特徴付けるのは、音の高さの変化ではなく、「拍=ビート」であることだった。そしてそれは、人間の動作に起源を持っており、具体的には「足音」の似姿であると。この指摘は、ヒップホップというビート・ミュージックには殊更当てはまるように思える。90年代に西海岸という車社会でヒップホップが興隆する以前、ニューヨークのヒップホップのビートとBPMは、颯爽とストリートを歩行する速度とシンクロするBGMだった。“Walk This Way”という例を引くまでもなく、ウォークマンと共に街を闊歩しながら、あるいは彷徨いながら受容されるビート・ミュージックという側面が確かにあったのだ(今やウォークマンなど遠い昔の話に聞こえるかもしれない、ストリーミング・サービスの普及でスマホとイヤフォンで音楽を聞くのが日常となった今こそ、アクチュアリティを取り戻してきているのもまた事実だ)。ラン・DMCのニューヨークから、ブラック・ソートのフィラデルフィア、そしてOMSBの座間へと続く彷徨の「軌跡」を追うこと。そしてそれらのラン・DMCのニューヨークに比べ、KRUSHのフィラデルフィアと座間が、どのような景色をMCたちとリスナーたちに見せてしまうのか。KRUSHのビートは、そのギャップを伴う景色を、残響音を媒介にして示しているのだ。

 しかし本作の解釈はそれだけでは終わらない。都市での彷徨と対置されるべき、“結 –YUI–”における、志人による森林を歩行するBPMは、遅い。それは「追われたてた物の怪や除け者の獣達」の歩みだ。「未来こそ懐かしいものに」することを目指す彷徨だ。「お前だけが良しとされる」都市に対置される自然の歩みにシンクロするBPMをも射程にするのが、KRUSHが提示した異形のヒップホップのドープさであり、その器となるビートであった。同曲は、90年代から加速し続けるヒップホップの商業主義化の中で、2017年現在最もエッジイな異形さを顕現させている楽曲のひとつだ。『軌跡』という作品が到達した地平のラストを締める1曲。この25年という年月でKRUSHの抽象的なビートという器が、どれだけの具象性=言葉を熟成させて来たのか。このアルバムに象られているのは、その「軌跡」でもあった。

 DJ KRUSHにとって、ビート・メイキングとは、スネアの1音、キックの1音の追求とは、何よりも日々の歩行であり、彷徨に準えられる営みだ。KRUSHが次々に踏み出す右足、そして左足としてのキックとスネアの響き。そのことはこれまでの彼のアルバムのタイトル群にも表れていた。それは「迷走」であり、その状態からの「覚醒」であり、継続して少しずつ「未来」へ、そして「深層」へ進む「漸」進であり、この25周年という月日の蓄積が示すものこそが、その「軌跡」だった。

Iglooghost - ele-king

 まだ20歳だという気鋭のプロデューサー、イグルーゴースト。すでに〈Brainfeeder〉から「Chinese Nu Yr」(2015年)と「Little Grids」(2016年)の2枚のEPをリリースしている彼が、9月29日に待望のデビュー・アルバムを発売する。先行公開されたシングル曲“Bug Theif”の雑食性はさすが〈Brainfeeder〉と言うべきか、次々といろんな要素がぶち込まれていく展開は飽きがこない。これはジェイムスズーに続く期待の星である。要チェック。


IGLOOGHOST

フライング・ロータス主宰〈Brainfeeder〉から
待望のデビュー・アルバム『Neō Wax Bloom』を9月29日にリリースする
弱冠20歳のUK発気鋭プロデューサーのイグルーゴーストが
先行シングル「Bug Theif」を公開!


弱冠20歳のUK発気鋭プロデューサーのイグルーゴーストが、フライング・ロータス主宰〈Brainfeeder〉から待望のデビュー・アルバム『Neō Wax Bloom』を、9月29日にリリースする。2015年の4曲収録デビューEP「Chinese Nü Year」の続編とも言える本作は、ミステリアスなマムーの世界に遭遇した巨大なふたつの目玉にまつわる話をもとにしており、強烈で狂った世界観を演出している。また京都を拠点に活動するドリーム・ポップ・プロデューサーCuusheやMr. Yoteらが参加している。LPには12ページのリソプリント・ブックレットと『Neō Wax Bloom』のキャラクター・ステッカー・シートが封入される。
アルバム・アナウンスに併せて先行シングル「Bug Thief」が公開された。

Iglooghost - Bug Thief
https://youtu.be/2Y1rWasqPMA

『Neō Wax Bloom』アルバム・プリオーダー (iTunes)
https://apple.co/2wlpUGj

Label: Brainfeeder
Artist: Iglooghost
Title: Neō Wax Bloom

Release Date: Sep.29th, 2017

Format: CD/2LP/Digital

Bicep - ele-king

 アンドリュー・ファーガソンとマシュー・マクブライアからなるハウス・デュオ、バイセップ。すでに多くの12インチを発表しており、“You”(2012年)や“Just”(2015年)などで高い評価を得ている彼らだが、遂にそのデビュー・アルバムが9月1日に〈Ninja Tune〉からリリースされる。これは注目。


Bicep待望のデビュー・アルバム『Bicep』が
〈Ninja Tune〉より9月1日に遂にリリース!
そして先行シングル 「Aura」が公開!
また10月7日にContact Tokyoにて来日公演が決定!

先行シングル:Bicep - Aura [Official Audio]
https://youtu.be/Xvlym4g9SQQ

Coachella、Glastonbury、Primavera、Melt、Dekmantel、 Lovebox、Parklifeへの出演、また2016年『Resident Advisor』年間DJランキングにて第8位に選出され、現行エレクトロニック・ミュージック・シーンにおいて最も信頼のおけるキュレーターして知られるロンドンを拠点に活動するマット・マクブライアーとアンディ・ファーガソンのデュオ、バイセップが、セルフ・タイトルのデビュー・アルバムを〈Ninja Tune〉より2017年9月1日に発売する。
この10年、ふたりはFeelmybicepというブログを通じて、インスパイアの源となる音楽を紹介してきた。最初はレコード収集の趣味を披露する場として始めたが、結果的にはさまざまな活動のきっかけへとなっていった。2008年に開設したこのブログには月に10万人が訪れるようになり、ここから同じ名前のレコード・レーベルやクラブ・イベントが誕生することになる。そしてふたりはUKのみならず、ディープダグ・ハウスとディスコ(再発見され、再び機会を与えられた)をミックスしたエディットとアップフロント・トラックのブレンドなど、ブログで人気のDJセットを携えて、国際的なステージに立つようになった。その結果、今日のエレクトロニック・ミュージック界で、大きな信頼と高い評価を得るキュレーターとして尊敬を集めるようになった。バイセップは、〈Throne Of Blood〉〈Traveller Records〉〈Mystery Meat〉〈Love Fever〉といったレーベルと手を組んだ後、ウィル・ソウルの勧めで彼の〈Aus Music〉から作品をリリースしたが、その中にはすでにクラシックと化した「Just EP」も含まれている。あちこちで耳にするタイトル・トラックは、誰もが認める2015年のクラブ・トラックで、『Mixmag』と『DJ Mag』双方の「Track of the Year」を獲得した。また、もうひとつの先駆的なUKデュオ、シミアン・モバイル・ディスコとコラボし、ディスクロージャーやブラッド・オレンジ、808ステイトのリミックスもおこなっている。

「ぼくらにとって大切なのは、大きな眼で音楽を見つめているレーベルの一員になることだ」
「〈Ninja Tune〉には固定概念を持たれるような制限を感じなかった」

またアルバム・リリース・ツアーの一環として、Contact(東京)にて10月7日に来日公演が決定している。

[来日公演]
10月7日@Contact Tokyo
https://www.contacttokyo.com/

label: Beat Records / Ninja Tune
artist: BICEP
title: Bicep

release date: 2017/09/01 FRI ON SALE
cat no.: BRZN244
price: ¥1,929+tax
国内盤仕様: 帯/解説・歌詞対訳付き

[ご予約はこちら]
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002175

Klein - ele-king

 リー・ギャンブルの次はクラインときましたか。〈Hyperdub〉、やりますね。先日ローレル・ヘイローのアルバムへの参加が話題となったブラック・エレクトロニカの俊才=クラインが、〈Hyperdub〉とサインを交わしました。いや、これはビッグ・ニュースですよ。同時に、8曲入りEP「Tommy」のリリースも発表されています。リリースは9月29日。じつに楽しみです。



Artist: Klein
Title: Tommy
Label: Hyperdub
Release date: 29 September 2017

https://klein1997.bandcamp.com/album/tommy-hdb112

Tracklist:
01. Prologue feat. atl, Jacob Samuel, thisisDA, Pure Water & Eric Sings
02. Act One feat. Embaci & Jacob Samuel
03. Cry Theme
04. Tommy
05. Runs Reprise
06. Everlong
07. B2k
08. Farewell Sorry


アーティスト:Klein / クライン
タイトル:Only / オンリー
発売日:2017/07/19
品番:PCD-24644
定価:¥2,400+税
解説:大石始
※ボーナス・トラック2曲収録 ※世界初CD化

https://p-vine.jp/music/pcd-24644

Kelela - ele-king

 ずっと待っていた。彼女の存在が知られるようになってから、いったい何年のときが流れただろう。ミックステープ『Cut 4 Me』(2013年)やボク・ボクとの“Melba's Call”(2014年)、アルカの参加も話題となったEP「Hallucinogen」(2015年)、あるいは様々なアーティストの作品への客演(ここ1年ではクラムス・カシーノソランジュダニー・ブラウン、ゴリラズなど)でその実力を見せつけてきたケレラがようやく、本当にようやくファースト・アルバムをリリースする。この混沌とした時代に彼女はいったいどんなR&Bを鳴らすのだろうか。タイトルは『Take Me Apart』。10月6日発売。

[10/4追記:まもなく発売されるアルバムから、収録曲“Waitin”が先行配信されました。試聴・購入はこちらから。ちなみに『FADER』最新号ではケレラが表紙を飾っています]

K E L E L A
ゴリラズ、ビョーク、ソランジュらも絶賛!
新進気鋭プロデューサーから大物アーティストまでもが待ち望んだ
新世代R&Bシンガー、ケレラ
デビュー・アルバム『TAKE ME APART』のリリースを発表&
新曲“LMK”をミュージック・ビデオとともに公開!

2013年に発表されたミックステープ『Cut 4 Me』が話題を呼び、世界中のメディアで「ポスト・アリーヤ」として一躍大きな注目を集めたケレラ(Kelela)が、ついに待望のデビュー・アルバム『Take Me Apart』のリリースを発表! 先週Beat 1の看板DJ、ゼーン・ロウの番組で解禁された新曲“LMK”のミュージック・ビデオを公開した。監督を務めたのは、ビョークの長年のコラボレーターとしても知られるアンドリュー・トーマス・ホワン。

Kelela - LMK (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=ePi5BLJogyA

『Cut 4 Me』リリース後、誰もがアルバムを待ち望む中、オリジナル作品としてはシングルとEP作品「Hallucinogen」をリリースしただけだったが、「Hallucinogen」に収録された“Rewind”が、『ニューヨーク・タイムズ』紙の「これからの音楽の方向性を感じさせる25曲」に選出されるなど、再び話題に火がつき、ザ・エックス・エックスとのワールド・ツアー、ソランジュ『A Seat At The Table』や、ダニー・ブラウン『Atrocity Exhibition』、そしてゴリラズ『Humanz』への客演などつねに注目を集めてきたケレラ。さらにかねてよりビョークがその才能に惚れ込んでいることも知られており、自身のSNSで度々ケレラを賞賛している。

なお、国内盤CDには、賞賛を集めた「Hallucinogen」から、先日のフジロックでジェシー・カンダを従えた自身のオーディオ・ヴィジュアル・セットのみならず、ビョークのステージにも登場したアルカがプロデュースした「A Message」と、キングダム、ガール・ユニット、オベイ・シティら新鋭プロデューサーがプロデュースした「Rewind」がボーナス・トラックとして追加収録される。これら2曲がCDに収録されるのは初となる。

このアルバムは個人的な記録だけど、わたしのアイデンティティの政治的な背景が、どんな音にするとか、わたしの脆さや強さをどう表現するのかということを特徴づけているの。わたしは黒人女性で、エチオピア系アメリカ人の移民2世で、R&Bやジャズやビョークを聴いて郊外で育った。そういったすべてが、いろいろなところに表れているわ。
- Kelela

全世界待望のデビュー・アルバム『Take Me Apart』は10月6日(金)に世界同時リリース! 国内盤には、ボーナス・トラックが追加収録され、解説書と歌詞対訳が封入される。またiTunesでアルバムを予約すると、公開された新曲“LMK”がいちはやくダウンロードできる。


label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: KELELA
title: Take Me Apart

release date: 2017/10/06 FRI ON SALE

国内盤特典
ボーナス・トラック2曲収録
歌詞対訳/解説書封入
BRC-560 ¥2,200+税

beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002185
amazon: https://amzn.asia/dpODgJy
iTunes Store: https://apple.co/2vrIP2G
Apple Music: https://apple.co/2w4MiRS

Tracklisting
01. Frontline
02. Waitin
03. Take Me Apart
04. Enough
05. Jupiter
06. Better
07. LMK
08. Truth Or Dare
09. S.O.S.
10. Blue Light
11. Onanon
12. Turn To Dust
13. Bluff
14. Altadena
15. A Message (Bonus Track for Japan)
16. Rewind (Bonus Track for Japan)


DJ Paypal × Makoto Taniguchi - ele-king

 8月19日から開催されるアートと音楽の新たな国際フェスティヴァル「インフラ INFRA 2017 」。食品まつりや竹村延和らが参加するそのフェスのメイン・イベント(8月23日)に、〈LuckyMe〉や〈Brainfeeder〉からのリリースで知られるジューク/フットワークの奇才、DJペイパルが出演する。タッグを組むのは映像アーティストの谷口真人。当日は両者がこのフェスのために制作したサウンド・パフォーマンス作品「リアニメーション」が発表され、またふたりによるトーク・セッションも予定されている。一夜限りのスペシャルなセットをぜひ。

https://www.infra-festival.com/ja/event/dj-paypal-x-makoto-taniguchi/

インフラ INFRA 2017 プレゼンツ
コンサート
at 山本現代
「リアニメーション」 by DJペイパル × 谷口真人
トーク
「アニマ」 by DJペイパル、谷口真人

「インフラ INFRA 2017」音楽とアートの国際フェスティバル関連プログラムでは、アーティスト、谷口真人によるアニメーションとDJペイパルによる、サウンド・アニメ・パフォーマンス、「リアニメーション」を開催します。
シカゴ発祥の音楽ジューク/フットワークを元に、ディスコ・ミュージックやJポップなどのポップ・ミュージックをサンプリングした独自のスタイルで、クラブ・シーンや実験電子音楽シーンから世界的評価を集めているミュージシャン、DJペイパル。そして、アニメーションというメディウムを元に画像、ナラティブの関係性を探るアーティスト、谷口真人。
本フェスティバルのために発表されるサウンド・パフォーマンス作品「リアニメーション」ではDJペイパルによるアッパーかつポップな音響の中で、谷口の作るアノニマスな雰囲気の漂うキャラクター「SOI」のアニメーションが巨大スクリーンに投影されます。谷口とペイパルがともに作り上げたストーリーのもと、主人公「SOI」がイメージの世界をめくるめく疾走し、アニメーション・キャラクターである自身のアイデンティティをリアニメーション=再生していきます。

また、コンサート後にはアニメーションの語源である「アニマ(霊魂)」を手がかりに、彼らが見てきたアニメーションや聴いてきた音楽のルーツ、そこから得た精神性まで掘り下げたトーク・セッションを行います。

記念すべきアートと音楽の祭典、第1弾「インフラ INFRA 2017」。
様々な情報が交わるインターネット時代以降における、新たな表現の可能性を音楽、パ
フォーマンス、リチュアルなどを横断し観客とともに探求する特別な機会を是非お楽しみください。

2017年8月23日(水)
インフラ INFRA Presents
コンサート「リアニメーション」by DJペイパル × 谷口真人
トーク「アニマ」DJペイパル、谷口真人

18:00 会場オープン
19:00−19:30 コンサート DJペイパル × 谷口真人「リアニメーション」
20:00−21:00 トーク DJペイパル、谷口真人「アニマ」

[チケット予約] 全席自由 一般2,000円
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01a5d9yzw84v.html#detail

会場: 山本現代
〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
Tel: 03-6433-2988
Email: i@yamamotogendai.org
https://www.yamamotogendai.org

[アクセス]
電車をご利用の場合:
京急本線「新馬場駅」北口から徒歩7分
東京臨海高速鉄道りんかい線「天王洲アイル駅」B出口から徒歩8分
東京モノレール「天王洲アイル駅」南口から徒歩10分
JR「品川駅」港南口から徒歩20分

バスをご利用の場合:
品川駅港南口から品91,93,98(都営バス)で「天王洲橋」下車 徒歩3分
目黒駅から品93(都営バス)で「天王洲橋」下車 徒歩3分
新宿駅西口から品97(都営バス)で「北品川二丁目」下車 徒歩3分
渋谷駅から渋41(東急バス)で「新馬場駅」下車 徒歩8分

お車をご利用の場合:
渋谷方面より山手通を品川埠頭方面へ新東海橋信号を右折海岸通沿い右手
(品川駅港南口からタクシーでワンメーター)

[PROFILE]
■DJペイパル

シカゴ発祥の音楽ジューク/フットワークのジャンルにおいて最も注目すべきアーティストである。つかまえどころのないプロデューサーとして、ペイパルはこれまでにシカゴのTeklifeCrew、自身のMall Musicコレクティブ、グラスゴーのアングラリーダー〈LuckyMe〉やFlying Lotusの〈Brainfeeder〉などに属す中、オンライン・フットワーク・フォーラムやSoulseekでのデータ発掘を通し、国際的にいくつものトラックを共有してきた。フットワークを新しい方向へとまわし、ジャンルの目立たない遊び心にフォーカスをあてる。

■谷口真人
映像、ミクストメディア・オブジェクト、絵、インタラクティブ・インスタレーションなど複数の表現形態で現代の人間の存在感を探究する。主な個展に、2015「you」(AISHONANZUKA、香港)、2014「Untitled」(NANZUKA、東京)、2012「あのこのいる場所をさがして(2005)」(SUNDAY、東京)、2011「アニメ」(SUNDAY ISSUE、東京)、主なグループ展に、2014「美少女の美術史」(青森県立美術館 / 静岡県立美術館 / 島根県立石見美術館 (巡回))、2011-2012「Daughters of the Lonesome Isle Marlene MARINO / Makoto TANIGUCHI」(SPROUT Curation、東京)、2009「neoneo 展part1 [男子]」(高橋コレクション日比谷、東京)など。

企画:インフラ INFRA
共催:山本現代
協力:パークホテル東京、パイオニア
助成:アーツカウンシル東京

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