「You me」と一致するもの

 日本ではKダブ・シャインによるブラック・ライヴズ・マター批判が話題になったけれど、アメリカでBLM批判の急先鋒といえばキャンディス・オーウェンズである。最初は若い黒人の思想家がドナルド・トランプを称揚していると話題になり、TVでも事あるごとに取り上げられるようになった。2年前にカニエ・ウエストがツイッターで彼女の思想を持ち上げたことで一気に注目の的となり、その直後に2人は急接近したようで、黒人が奴隷になったのは自らにもそう望んだ面があったからだとか、カニエ・ウエストの言動が以前よりもオルタナ右翼に近づいたのは彼女の影響によるところ大だったと考えられる。この秋の大統領選では「Brexit」の「R」を「L」に変えると「民主党からの離脱」を意味する「Blexit」という単語になり、民主党批判のキャンペーンにこのスローガンを使っていたオーウェンズが「ロゴをデザインしてくれたのはカニエ・ウエスト」だと吹聴していたところ、自分はデザイナーを紹介しただけだとカニエ・ウエストが抗議し、オーウェンズがブログで謝罪するという展開もあった。ちなみに選挙以前からオーウェンズが攻撃し続けたのは早くからバイデン支持を表明していたカーディ・Bで、オーウェンズは「あなたはバイデンやサンダースに利用されているだけだ」と執拗にカーディ・Bをバカ扱いし、SNS上で口汚く罵り合うこともしばしとなる。なお、カーディ・Bはトランプ支持者に自宅の住所を公開されて火をつけると脅されたため、犯人を特定したところ10代の若者が容疑者として浮かび上がったため、やるせない気持ちになったと述懐している。

 キャンディス・オーウェンズは最初からオルタナ右翼だったわけではないという。25歳で立ち上げたマーケティングの会社ではむしろ「共和党の狂気」とかドナルド・トランプのペニスのサイズがどうとかいったような記事まで書いていたとも。これがゲーマーとフェミニズムが対立して殺害予告や爆破予告の嵐となった「ゲーマーゲート論争」に巻き込まれて、個人情報をネットに晒され、窮地に陥った時にオルタナ右翼に救われ「一夜にして保守派になった」のだという。「リべラルは実際にはレイシストなんだと悟った。リベラルはネットを荒らしてドヤ顔をしたいだけ(=trolls)なんだと」。オーウェンズだけでなく、ゲーマーゲートの多くがこの論争を境にオルタナ右翼になったと言われている。女性のゲームプログラマーによる枕営業の有無が発端となって14年から16年にかけて大きな社会問題となった「ゲーマーゲート論争」はプログラマーの回想録を元に現在、映画化も検討されているそうで、業界の癒着やフェミニズムなど多くの議論が交わされたなか、やはり焦点のひとつとして浮かび上がるのがポリティカル・コレクトネスである。ネット・リンチに発展してしまうこともあるPCに対して、オーウェンズはここで強く否定的な感情を抱き、「攻撃対象を探しては潰しにかかるリベラル」という図式を固定させたのである。

 どちらに向かうかはともかく、オーウェンズが若くして才能を発揮した人物だということは疑いがない。それが黒人で女性だとなると、おそらくは黒人だから優遇されたんだろうとか(オーウェンズは「ブラック・カード」を使うという言い方をする)、女性だからチャンスをもらえたんだろうというやっかみに遭遇したことも多々あったに違いない。PCに対して息苦しい思いをしている人はたくさんいるだろうけれど、PCによって守られている人にも同じことはいえるということである。オーウェンズにとっては個人の才能に帰結することなのに、アファマーティヴ・アクションと呼ばれる優遇政策のおかげで現在の地位があると捉えられることは自分の才能を否定されるに等しく、アファマーティヴ・アクションをいとましく思うこともあったに違いない。そして、その優遇政策が何に由来するかというと、黒人は不当に扱われているという「考え方」であり、構造的な人種差別があるという「思い込み」だとオーウェンズは主張する。「そんなものはない。黒人は差別されていないし、私はやろうと思えば白人男性と同じことができる」とオーウェンズは繰り返し強調する。いわば民主党によって黒人たちは自虐史観に染められてしまい、何もできない人種だという考え方から抜け出られないだけだと。それがアイデンティティ・ポリティクスの正体だとオーウェンズは「見破った」。黒人のステロタイプな表現から逸脱したカニエ・ウエストが個人の能力を評価するという思想に共鳴したことも、だから、不思議ではないし、多少とでも社会性を持っていればマイケル・ジャクスンだって共鳴した可能性はある。プリンスやビヨンセはそうではなかった(『ブラック・パワー別冊』参照)。

 黒人は不当に差別されているという「間違った考え方」に基づくBLMは、だから、ただのテロ行為であり、「BLMは西欧社会を破壊する行為だ」とオーウェンズは続ける。BLMは初めから民主党が仕掛けた詐欺で、ジョージ・フロイドは黒人の悪しきカルチャーを象徴する人物だと彼女は断じて止まない。実は前述したカーディ・Bとは最初から言い争いになったわけではなく、保守系メディアで彼女が持つ番組に2500万円という破格のギャラで出演をオファーしたところ、「ジョージ・フロイドの死は当然だったとする人間とは口をききたくない」と一蹴され、先の論争がはじまったという流れだった。30代になると、オーウェンズの議論は結論ありきのものでしかなくなり、新たに起きている事象や事件から何かを読み解こうとするものではなくなっていく。最近ではアナ・ウィンターによって最高の男性モデルだと持ち上げられたハリー・スタイルズがデヴィッド・ボウイばりに中性的なファッションでヴォーグ誌に登場すると「男は男らしくしろ」とオーウェンズがツイートし、スタイルズはこれを無視、さらに過激なファッションで登場するなど、頭のいい人からは相手にもされなくなってきた。カニエ・ウエストがオーウェンズに共感の意をツイートした翌月、ドナルド・トランプも「キャンディス・オーウェンズはとても賢い思想家だ」とツイートし、大いに持ち上げていたのだけれど、「バイデンやサンダースに利用されているだけ」という彼女の言葉が固有名詞を入れ替えればブーメランとなって彼女の元に戻ってくるような気がするのは僕だけだろうか。


LOG - ele-king

 スペシャル・ゲストDJ (ウオン)主宰〈Experiences Ltd.〉がリリースする2020年最後の新作がログの『LOG ET3RNAL』である。ミニマムかつ優美なサウンドを聴かせるこのアルバムは、2020年の最後を飾るアンビエント・ミュージックに相応しい作品だ。
 ログとは何か。その正体は、アメリカはフィラデルフィアを拠点とするアンビエント・アーティストのウラ・ストラウスことウラとロシア出身でベルリンを拠点とするペリラ(Sasha Zakharenko)のユニットだ。ちなみにペリラは元 Berlin Community Radio のデザイナー/プログラマーで、ロシアのオンライン・プラットフォーム「Radio.syg.ma」を共同主宰も務めているという。

 この数年(つまり10年代末期から20年代初頭にかけて、だが)、新しいアンビエント音楽の動きが世界中で小規模ながらも目立ってきている。それらはヴェイパーウェイヴやニューエイジ・リヴァイヴァル以降の音でありながらも音響の空間性や緻密さについては、00年代の電子音響、ミニマル・ダブ、10年代のアンビエント/ドローンなどを継承し、それらをモダン化したようなサウンドを展開している点が特徴的である。サウンド・アート的な音響とASMR的な音の快楽性と瞑想的なサウンドがミックスされているとでもいうべきか。
 その中にあってウラとペリラの活動は注目すべきものがある。ウラは現代のカルト・アンビエント・アーティストとしてマニアから注目を浴びている人物だ。2017年あたりからリリース活動をはじめたウラは、フエアコ・エスが主宰する〈West Mineral〉からポンティアック・ストリーター(Pontiac Streator)との共作『Chat』(2018)と『11 Items』(2019)をリリースしてアンビエント・マニアの注目を集めた。くわえて2019年にはニューヨークのアンビエント・レーベル〈Quiet Time Tapes〉からソロ・アルバム『Big Room』を送り出した。これはニューエイジとアンビエントの中間で煌くような秀逸なアンビエント作品だった。
 そして2020年初頭には 〈Experiences Ltd.〉からウラ名義で『Tumbling Towards A Wall』をリリースした。やわらかさと緻密さがまるで微生物のように生成していくような見事なアンビエント作品で、個人的にも今年愛聴したアルバムだ。アンビエント的なトラックだけではなく、ミニマル・ダブ的なトラックも収録されており、形式ではなくサウンド全体としてのアンビエンスを追及している点にも好感を持った。ニューエイジを経由しつつも、エレクトロニカ、ミニマル・ダブ、アンビエント・ドローンの豊穣な音響を継承するアルバムであったのだ。私見ではウラのコラボレーションやソロ作品含めて、いちばんの出来栄えの作品と思っている。
 対してペリラはマンチェスターの新鋭アンビエント・レーベル〈Sferic〉から2019年にポエトリーリーディングとASMR的な細やかで親密な音響空間が折り重なるアルバム『Irer Dent』をリリースしている。ちなみに〈Sferic〉は新しいアンビエント音楽を考えるうえで非常に重要なレーベルで、2020年はロメオ・ポワティエ『Hotel Nota』やジェイク・ミュアー『The Hum Of Your Veiled Voice』などの傑作アンビエント・アルバムをリリースしている注目すべきアンビエント・レーベルである。 
 2020年のペリラはスペインはバルセロナのミニマル音響レーベル〈Paralaxe Editions〉から『META DOOR L』、 〈Boomkat Editions〉から『Everything Is Already There』などをリリースした。どれもミニマムな音響と細やかな音響の粒が交錯する見事な作品ばかりだ。

 『LOG ET3RNAL』はまさにそんな2020年的な新しいアンビエント・アーティストであるふたりによる待望かつ決定的な共作アルバムである(とはいえ LOG 名義を名乗る以前に2020年6月にはペリラ・アンド・ウラ名義で『Silence Box 1』もリリースしていることも付けくわえておきたい。この共作からユニットという流れのなかで二人のサウンドが熟成されていったのだろうから)。
 じっさい本作『LOG ET3RNAL』のサウンドはとても洗練されたものだ。ふたりの個性が溶け合い、ひとつのアンビエント・サウンドを生み出している。アルバムには “LOG 1” から “LOG 11” までミニマルなタイトルが名付けられた全11曲が収録されている。サウンドにはほのかにタブな響きがあり、聴き込んでいくと深く沈み込んでいくような感覚すら得ることができる。
 だが単に心地良い音だけを追求しているわけではない。“LOG 1” と “LOG 2” ではやや耳に痛い硬めの音が鳴る。最初はアンビエント的な心地良さとは違うこの音に驚くはずだ。しかし続く “LOG 3” と “LOG 4” では一転して深く沈み込んでいくような濃厚な安息を感じさせるアンビエンスを展開する。ミニマルにして残響的な音響交錯は微かにダブのムードも感じさせる。ウラのダビーな感覚とペリラのサウンド・アート的なサウンドが混然一体となり聴き手を音響の深海へと誘うようなトラックだ。
 アルバムは、“LOG 6” のささやかれる声の絶妙なASMR的効果、“LOG 8” の硬質な音とノイズの静かなアンサンブル、“LOG 9” の断片的なピアノの音とベースなどをアクセントとしつつ、“LOG 11” のレコード針のたてるようなノイズとドローンが交錯する光のカーテンのような美しいサウンドで幕を閉じることになる。
 全11曲、 聴き進めていくにつれ、硬質な音と霧のようなアンビエンスの音と細やかな電子音が見事に共存していく。そしてふたりがいかに音に対して鋭敏な感覚を持っているのかも分かってくる。つまり過去のアンビエント作品とは違う色彩=音色を用いながらも、聴き手をいつしか音の海へと耽溺させるような聴取体験へと誘う音響になっているのだ。
 顕微鏡で拡大したようなミニマルな音響をコラージュしつつ、アンビエント・ミュージックに落とし込んでいく手腕はただ見事というほかない。近年の映画音楽的といえるどこかドラマチックなドローン作品とは違い、アルバムを通してミニマルアートのようにサウンドが生まれて変化をしていくわけだ。

 これはログだけの特徴ではない。先にあげたロメオ・ポワティエ、ジェイク・ミュアーらのアルバムと並び、ミニマル+コラージュ+レイヤーによる新しいアンビエント音楽を象徴するサウンドに共通した傾向でもある。
 これらのアンビエント音楽は明るくもなく、暗くもないという独特の質感が共通しているように思える。まるで時代の空気の中を浮遊するような感覚があるとでもいうべきか。このような新しいアンビエント音楽の流れが2021年以降、どのように広がっていくのだろうか。そう、アンビエントのサウンドスケープはいまだ変化を続けているのだ。

Burialが新曲を発表 - ele-king

 レイヴ・カルチャーとは、実際そこに行ったことがない人にも、音楽という文化には飼い慣らされない領域があることを知らしめた意味でも重要です。かつて「レイヴ・カルチャーへのレクイエム」と言われたBurialが新曲“Chemz”を発表した。ブレイクビーツ、ハイピッチの声ネタ、ピアノリフという、初期ハードコア/レイヴ・ミュージックのお約束ごとを使いながら、それはいま亡きものの悲鳴なのか、それともいま現在おきていることなのか、いろんな思いを誘発する、12分にもおよぶ大作だ。

Burial - Chemz

 なお、2021年4月2日には本楽曲をA面に収録した12インチがリリースされ、B面には新曲「Dolphinz」が収録される予定となっている。

label: Hyperdub
artist: BURIAL
title: CHEMZ / DOLPHINZ
release date: 2021.04.02 Fri On Sale

12inch輸入盤
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11654
tracklist:
A. Chemz
B. Dolphinz

Busta Rhymes - ele-king

 90年代前半のUSヒップホップ・シーンを代表するグループ、Leaders Of The New School のメンバーとしての活動を経て、その後、ソロ・アーティストとして20年以上に亘って活動を続けてきた Busta Rhymes が通算10作目として8年ぶりにリリースしたアルバム『Extinction Level Event 2: The Wrath of God』。タイトルにある「2」という数字が示す通り、このアルバムは「世界の終焉」をコンセプトに掲げて1998年にリリースされた3rdアルバム『E.L.E. (Extinction Level Event): The Final World Front』の続編的な作品でもある。本来であれば、このタイトルで2013年頃にはアルバムをリリースする予定であったそうであるが、改めてレコーディングを重ねた上でこのタイミングに本作をリリースしたのは新型コロナウイルスによって世の中が大きく変化したことが影響しているのは言うまでもなく、骸骨にマスクというアルバム・カヴァーも見事に2020年という年をヴィジュアルで表現している。

 オールタイムで言えばヒップホップ・シーンの中で最もテクニカルなラッパーのひとりにも挙げられる Busta Rhymes であるが、少なくともアルバム前作、前々作あたりの頃はアーティストとしてのピークはとっくに過ぎていて、悪い意味でのベテラン感さえ漂っているようにも感じられた。しかし、2014年にリリースされた Q-Tip とのコラボレーションによるミックステープ『The Abstract Dragon』はそんな空気を一変させ、Busta Rhymes のラップの本質的な部分であるテクニカルかつエンターテイメント性の高さを強くアピールすることに成功し、その流れは本作にもダイレクトに反映されている。

 その象徴とも言える一曲が、Kendrick Lamar をゲストに迎えた “Look Over Your Shoulder” だ。Nottz がプロデュースを手がけた、Jacksons 5 の代表曲 “I'll Be There” を大胆にサンプリングしたトラックも素晴らしすぎるこの曲だが、Michael Jackson のヴォーカル・パートを絡めながら展開する Kendrick Lamar と Busta Rhymes とのマイクリレーが実にスリリング。この曲でふたりはヒップホップ/ラップをテーマにリリックを展開していくのだが、実に巧みな比喩を織り込みながら、ラッパーとしての自らの優位性とヒップホップに対する絶対的な愛情を説き、凄まじいフロウとライミングによって聞く者を圧倒する。ラッパーとして間違いなく現時点最高ランクに位置する Kendrick Lamar に対して、Busta Rhymes は互角に勝負を繰り広げており、キャリアを重ねたことによる説得力の高さでは上回っているようにも感じる。

 ゲスト参加曲で言うと、ネイション・オブ・イスラムの創始者の名前をタイトルに掲げた “Master Fard Muhammad” での Rick Ross との貫禄あり過ぎるマイクリレーも圧巻で、他にも Anderson .Paak(“YUUUU”)、Q-Tip(“Don't Go”)、Mary J. Blige(“You Will Never Find Another Me”)、Mariah Carey(“Where I Belong”)、Rapsody (“Best I Can”)と実にバラエティに富んだ豪華なゲスト・アーティストたちとの共演も大きな聞きどころ。「世界の終焉」というアルバム・コンセプトやカヴァー・ヴィジュアルのダークさとは裏腹に、エンターテイメントとしての部分の完成度も非常に高く、Bell Biv DeVoe “Poison” をモロ使いした “Outta My Mind” での最高な弾けっぷりには、Busta Rhymes のキャラクターの良さが充分過ぎるほど反映されている。

 往年の Busta Rhymes ファンはもちろんのこと、彼の全盛期を知らない人にもぜひ聞いてほしいアルバムだ。

Byron The Aquarius - ele-king

 ハウス・ミュージックが好きで、かつデトロイトやシカゴのサウンドが大好物という人であれば、「バイロン・ジ・アクエリアス」という名前を知らない人はそろそろいないだろう。それを裏付けるだけの豊富なリリース量が彼には備わっており、ここ4~5年のプロダクションで彼の実力や才能は随分と浸透したように感じられる。J・ディラやATQCを敬愛し、自身もヒップホップやビートメイカー界隈からキャリアをスタート。オンラーやフライング・ロータスとのコラボレーションを経て、バイロン自身が師と仰ぐ NDATL のボス、カイ・アルセのスタジオでキーボーディスト兼プロデューサーとして活躍。セオ・パリッシュの〈Sound Signature〉からリリースした彼の出世作「High Life EP」を皮切りに、現在までほぼ休むことなくリリースが続いている。上記の偉大な先人に加えて、デトロイト新世代枠のカイル・ホールや〈Apron Records〉のスティーヴ・ジュリアン(aka ファンキンイーヴン)ら同世代のアーティストとも積極的に活動し、いわゆるディープハウス界隈でのリリースはほぼ制覇しているように見えていただけに、ジェフ・ミルズとの邂逅はサプライズというよりも、ある種バイロン自身が実直にリリースを積み上げたキャリアへの「ご褒美」的なリリースに近い気がする。

 これは推測でしかないが、おそらくバイロンの存在は以前からジェフの目にも止まっていたのだろう。ただし、ジェフ本人の理想としているプロダクションに彼の音楽性やスキル、その他アーティストやミュージシャンとの関係性など含め全てが出揃うのを虎視眈々と待っていたようにも感じるし、ゆえに今回のアルバム『Ambrosia』はまさに「機が熟した」と言えるような内容に仕上がっている。それを裏付けるようにドラムマシーンやコンピューターでの「打ち込み」がメインの過去作とはうって変わって、ジャズやフュージョン、ラテンの要素を取り入れ、楽曲の方向性や角度が広く、高くなっている点が大きい。収録曲の大半がアトランタの Patchwerk Studios にて収録されたセッション・アルバムになっており、参加ミュージシャンも豪華。ジョージ・デュークやロバート・グラスパーなどともセッションの経験があるドラマーのリル・ジョン・ロバーツを筆頭に、今後様々なジャンルのリリースで名前を見かけそうな予感のする気鋭のミュージシャンが揃っている。レーベルのネーム・ヴァリューを気にせずに集めたような等身大のバンド編成も長くローカルで活動している彼らしいやり方に思える。

 スタジオ・アルバムといえどやはりバイロンらしさは十二分に表現されており、1曲目の “New Beginning” から得意のピアノ・ソロとラシーダ・アリのフルートが絶妙に混ざった疾走感のあるトラックで始まる。アルバム・リード曲になっている “Edgewood Ave” はエレクトロニックなシンセをアクセントにしながら現行のUKジャズにも橋渡しできるような見事なフュージョン/ジャズに仕上がっており、ラテン・フレーヴァーを取り入れた “Space & Time (Jam Session)” はヒップホップやハウスを守備範囲にしていたバイロンの新たな境地を垣間見れることができる。僕自身、ハウス/クロスオーヴァー界隈の視点からこの作品を見ているだけに、よりエレクトロニックなサウンドがメインになっている〈AXIS〉のファンからすればこの作品がどう映っているのか気になるところではあるが、いままでのバイロンのプロダクションとミュージシャンシップがジェフ・ミルズの太鼓判を経てさらなる高いレベルへと押し上げられたのは間違いない。

 とはいえ、まだまだ山の五合目といった感じで、連日連夜止まることなく作品作りに明け暮れている姿を彼の Instagram から垣間見ることができる。今後テクノなり、ジャズなり、彼の音楽がどのように旅をしていくのか非常に興味深いし、古代ギリシャ語で「不死」を意味するタイトルを持ったアルバムは彼自身にとってのキャリアのマイルストーンに選ばれる1枚になったに違いない。


Dyl - ele-king

 ここ数年、ドラムンベースのフォーマットが崩れ過ぎてダブ・テクノや広義のアンビエントとして受け止められるものが増えてきた。しかし、それらはアンビエントに収まろうとして変化しているわけではなく、あくまでもドラムンベースの可能性を広げようとして結果的にアンビエントだったり、ミュジーク・コンクレートに聞こえるだけであって、そのような既視感の範囲を超えてしまえば途端に分類不可とされてしまう。そう、「アンビエントで片づけよう」とする発想自体が間違っているのであって、やはり「ドラムンベースがどこに向かっているのか」という耳で聴かないと見失ってしまうものがあるだろうと僕は思う。そして、そのようなものとしてエデュアルド・コステアによる3作目『Acvatic』をここではクローズ・アップしてみたい。ルーマニア語で「アクアティック」を意味する『Acvatic』はアンビエントの定番概念といえる「アクアティック」という言葉の響きも見事に裏切っていて、その意味でも興味深いアルバムであった。

 ドラムンベースを現在のような姿に変えたのはやはりASCや直接的にはフェリックス・Kだろう。Enaやペシミストがこれに続き、ビート主体だったドラムンベースはテックステップやドリルン・ベースが内在させていたサイファイ感覚を可能な限り増大させ、そのためにビートは必ずしも前面に押し出されるものではなくなっていく。古くはアレックス・リース、最近ではエイミットが流行らせたハーフタイムが広く手法としてシーンに浸透することでフリースタイル化は一気に進み、同時に観念肥大も起きていく(ハーフタイム=本来は音楽用語でビートを半分にするという意味ながら実際には6だったり10だったりで8で刻むとは限らない)。ソフィア・ロイズの3作目『Untold』も曲の冒頭で2小節から4小節ほどカチャカチャッとビートが鳴ったあとはノン・ビートで完結するというスタイルを貫いていたり。

 『Acvatic』の前作にあたる『Sonder』はまだ試行錯誤の段階にあり、雑然として捉えどころのない内容だった。ASCやフェリックス・Kのものまねとは言わないけれど、ドタバタとしたビートに不気味なメロディを組み合わせ、どの曲も聞いたような展開にしかならない。それがたったの1年で飛躍的なイメージの跳躍と驚きの完成度を示したのが『Acvatic』である。同作は洪水のような激しい水の音から始まる。水は時に人に襲いかかるもの。アンビエント・ミュージックの発想にはない水の描写であり、ノイズ・ドローンの背景にはモダン・クラシカルが折りたたまれるように詰め込まれている。続いてハーフタイムが導入され、ダブ・テクノの変形へと雪崩れ込む。曲名は“1.1”“1.2”……と素っ気ない。どの曲でも水は常に早く流れている印象で、これまでに海中を描写した作品で知られるミシェル・レドルフィや2・ローン・スウォーズメン『Stay Down』とも似たところはない。淀んだ水や溜まっている水ではなく、勢いをつけて動いている水がここではすべてなのである。曲が変わっても緊迫感は途切れることなく続き、不協和音の連打は水流が荒れ狂っている様を表しているということか。“1.5”などはむしろ金属的な響きが全体を覆い尽くしていてポリゴン・ウインドウ“Quoth”を思い出してしまった。完全にバッド・トリップである。気分を変えることもなく、徹底的に同じイメージが何度も追求され、エンディングを迎える頃には南極の氷がすべて溶けて大陸の多くが海に没した気分。ルーマニアといえばミニマルのペトレ・インスピレスクが代表格だけれど、陰鬱とした世界観はここでも共通していて、ローリン・フロスト同様、チャウセスク政権の後遺症がまだ尾を引いているという感じなのかなと。そして、それらがずべて吐き出されないと次には行かれないということなのだろう(クリスティアン・ムンジウ監督『4ヶ月、3週と2日』』なども同じ理由でつくられたに違いない。少子化対策として堕胎が違法と定められた時期を描いた同作は07年にカンヌでパルムドールを受賞した)。

 ブラジルとスペインに拠点を置く〈ディフューズ・リアリティ〉は基本的にはテクノのレーベルで、それがこのところは『Acvatic』に続いて、チェコのOFKや、この11月には日本のイッチ(Itti)ことトモユキ・イチカワも実験的なドラムンベースのアルバムをリリースしている。ハーフタイムでほとんど全編を埋め尽くした後者の『Get Into』は前半はリズムが少しもたつくものの後半の出来はかなりよく、Enaに続く人材が日本にもいるという期待を抱かせる内容だった。同レーベルはまたサワ・カツノリやユウキ・サカイといった日本人のリリースも多く、マサヒロ・メグミを逆から綴ったImugem Orihasamが『Acvatic』では“1.7”と“1.8”のリミックスを手掛け、ボーナス・トラックとして収録されている。

Sleaford Mods/スリーフォード・モッズ - ele-king

 ♪ウィ・アー・モッズ、ウィ・アー・モッズ、ウィアー、ウィアー、ウィ・アー・モッズ♪ではありません。時代は、♪スリーフォード・モッズ、スリーフォード・モッズ、スリーフォー、スリーフォー、スリーフォード・モッズ♪です(嘘だと思うなら、彼らのライヴ映像を検索すべし)。
 来春早々、新しいアルバム『スペア・リブス』をリリースするそのスリーフォード・モッズが、ビリーちゃんをフィーチャーした気怠く魅力的な“Mork n Mindy”に続いての新曲およびそのMVを先日公開した。曲名は“Shortcummings(ショートカミングス)”。
 「ショートカミングス」とは、まあ、「早漏」のことだが、この場合は、ロックダウン中にぬくぬくと家族旅行した政治家ドミニク・カミングスにかけられている。日本にもいます──緊急事態宣言下でちゃっかり会食した議員、性風俗に行った議員、現在でもこうした政治スキャンダルは後を絶たない(元首相がまさにその渦中でもある)。スリーフォード・モッズは、ふざけた政治家たちを巧妙な言葉遣いと煉獄ループをもって、容赦なく虐殺しているわけだが、これぞパンクってもんでしょう。自分がイギリス人だったら合唱してる。「ショート、ショート、ショート、カミングス〜」って。(訳せないよね、これは)

interview with Isayahh Wuddha - ele-king

シティ・ポップ特有の一部のハイソな出来事や愛を聞いたり歌うのは、どこか虚しさでもあるし、満たされない欲求でもある。でもそれがエンターテイメントでもあるのだけど、決定的にあれはリアルではないし共感なんかできないと思っていました。

 京都の秘宝……いや、もしかするとこれは世界に誇る秘宝かもしれない。去年偶然に、本当に偶然に手にとった1本のカセットテープを繰り返し聴く中で、ふとそんな予感がした。そしてあれから約1年半、その予感は次第に確証になりつつある。

 Isayahh Wuddha(イサヤー・ウッダ)。台湾と日本にルーツを持ち、現在は京都に暮らすインナートリップ・シンガー・ソングライター。昨年、カセットテープのみでひっそりとリリースされたファースト・アルバム『アーバン・ブリュー』が口コミでじわじわと広がり、気がつくとジャイルス・ピーターソンがアルバム収録の “something in blue” をオンエアし、イギリスのディープ・ガラージ系レーベルの〈Wot Not〉からアナログ・レコードでもリリースされるに至った。BTS や BLACKPINK から、Yaeji や CHAI まで、メジャー/インディー問わず若き東アジア産のポップ・ミュージックが世界規模で注目を集め、細野晴臣や山下達郎の旧作もまた欧米の若い世代に聴かれている2020年。年齢も素性も謎に包まれた Isayahh Wuddha が飄々と国境を超えている様子は痛快極まりない。

 もちろん、DJやクラブ・ミュージックのフィールドでは古くから日本のクリエイターたちが海外で評価されていたし、YMO やサディスティック・ミカ・バンドのような例外もあるにはある。だが、竹内まりやの “Plastic Love” が近年、ネットミームで拡散されているような状況を目の当たりにするにつけ、この曲がリリースされた80年代にタイムラグなく海外でも聴かれていたらどうなっていただろう……と思う。そういう意味では、YouTube はもとより、SoundCloud や Bandcamp を通じ、全ての国の音楽にリスナーがどこからでも自在にアクセスできるようになった現代は幸せな時代だとも言えるだろう。実際、Isayahh Wuddha の『アーバン・ブリュー』が海外リリースされることになったのも、Bandcamp を通じてレーベルから直接連絡があったからなのだという。派手なプロモーションもない、ライヴも滅多にやらない、そんな彼が京都の自室でカセットテープのMTRでひっそりと作った曲が、世界中でじわじわと面白がられている状況は、そもそもが「海外リリース」という古くからの戦略概念をニヒリスティックに嘲笑しているかのようだ。

 公表されている Isayahh Wuddha の経歴は、「第二次世界大戦中に日本統治下の台湾にて徴兵され、衛生兵として日本へ従軍した台湾人の祖父と、日本人の祖母の孫にあたるということと、自身は日本に生まれ、現在は京都に暮らしていて、今も時々台湾におもむく……」ということくらい。2019年にトラックメイカーとして活動を開始し、自ら歌も歌いながら曲を作るようになった彼は、しかしながら、かなり確信犯的にポップ・ミュージック制作を視野に入れている。アーサー・ラッセル、プリンス、エイドリアン・シャーウッド、スリッツ、カエターノ・ヴェローゾ、デヴェンドラ・バンハート、クルアンビン、あるいはフランク・オーシャンやジェイムス・ブレイクあたりまでもチラつかせる豊かな音楽体験を武器としつつも、どこか人を食ったようなシニシズムとユーモアを掲げ、同時にロマンティシズムと妄想を抱えたまま、それでもポップな存在であろうとする開かれた感覚が魅力だ。

 そんな Isayahh Wuddha がセカンド・アルバム『Inner city pop』を12月16日にリリースする。ファーストはカセットテープでの販売だったが、今回はCDでの発売。ファンク、ダブ、トロピカリズモ、アシッド・サイケ、ディスコなど様々な音楽性を横断させながらも、深く語られることからスルリと抜け出してしまうような自嘲的軽やかさがさらに際立っているのがいい。曲そのものもキャッチーだし、呟くようにリフやフレーズに寄り添わせながらラップするメロウなヴォーカルも健在だ。

僕が目指しているのはマイケル・ジャクソンのようなキング・オブ・ポップ。より多く消費されて楽しんでもらえたら嬉しい限り。諸行無常

 タイトルにあるインナーシティについて、Isayahh 本人はこう話してくれた。
「日本の事、貧困、スラム化している現状です。通常インナーシティとくればマーヴィン・ゲイの “Inner City Blues” になりますが、ここはシティ・ポップにかけてポップを付けました。音楽家・プロデューサーの冥丁さんが言っていたことなんですが、架空の東京の音楽が溢れて、日本の地方どこでもそんな架空の東京の音楽ばかり鳴らしているという話がありまして。まさに2010年代のシティ・ポップ・ブーム、ヴェイパーウェイヴと重なるように思います」

 アルバムは11曲入り。ライヴでも使用するカセットテープMTRのチープな音像を生かしているからか、音自体は極めて不安定に揺らいでいる。ファースト以上にジャストなリズム、ジャストなメロディとは最も遠い位置で鳴らされ、アウトラインのハッキリした音処理を嫌って仕上げられたとんでもないアルバムだ。それは1970年代のタイやベトナムで制作されていた無国籍ファンクやソウルの持っていた妖しい歌謡性をも連想させ、ひいては Isayahh のルーツが台湾にあることを再認識させられる。実際、近年の台湾から登場している 9m88、落日飛車など新しい世代のシティ・ポップ系、AOR系アーティストとのシンクロもここにはあると言っていい。もっとも、Isayahh の作品は全くハイファイではないが。

「シティ・ポップ特有の一部のハイソ(上流社会)な出来事や愛を聞いたり歌うのは、どこか虚しさでもあるし、満たされない欲求でもある。でもそれがエンターテイメントでもあるのだけど、決定的にあれはリアルではないし共感なんかできないと思っていました。それは多様化ではなくてソフトに形骸化した音楽の様に感じます。アク抜きされたホウレンソウみたいな、一斉に栽培された味の薄い野菜みたいなものです。自分にとってそれらは美味しく感じませんでした。そもそも自分の音楽は歪で、世間一般からみて不完全だと思われるでしょうが、音像の歪さ、不完全さ未完成さが逆説的にリアルを体現していると思うのです。それは有名アーティストのデモ・テイクやライヴ盤に魅力を感じるのと同じかと思います。目に見えない息遣いがそこにあるような感覚なんです。自分はひねくれているから、誰かができる事を自分がやる必要はないと思いますし、自分が出せる音があるからそれをやると、音質もカセットテープMTRだから下手くそに音が割れたりする、そこも含めて誰も僕の音を鳴らす事はできないだろうって勝手な自信があります」

「僕が目指しているのはマイケル・ジャクソンのようなキング・オブ・ポップ。より多く消費されて楽しんでもらえたら嬉しい限り。諸行無常」と自虐的に話す Isayahh Wuddha。超絶にウィアードで超絶にミステリアスで超絶にフリーキーで、超絶にポップでチャーミング。新型ウイルスで人間ありきの社会が転覆した今、人間様の鼻っ柱を排除したところから始まる資本主義葬送行進曲のためのこのアンチ・ポップが、最後の消費文化の一つとして世界中でユラユラと鳴らされることを待ち望んでいたい。


プロフィール

■台湾と日本にルーツを持つ蠱惑(こわく)のインナートリップ・シンガーソングライター、Isayahh Wuddha(イサヤー・ウッダ)による 2nd Full Album『Inner city pop』が完成。
どこにも属さずサイケデリックに揺らぎながら鳴らされる、愛と狂気の密室ドラムマシーン歌曲集。

カセットテープとアナログレコードで発表された前作『urban brew』(2019)に引き続き、ヴィンテージのカセットテープMTRを用いて制作された Isayahh Wuddha(イサヤー・ウッダ)の2ndアルバム『Inner city pop』。演奏、録音はすべて本人が行った密室ドラムマシーン歌曲集がここに完成。本作にも収録の先行 7inch シングル「I shit ill」でもみられるサイケデリックなリズムに揺らぐ LO-FI サウンドは、音楽の深層に触れる喜びを想起させる。ミュージック・マガジン誌2020年9月号特集「日本音楽の新世代 2020」では注目の10組に選出され注目を集めながらも、未だ所在不明の彼から焙りだされる陰りを帯びた天然色の煙は社会と対峙するサウンドトラックになるだろう。

2nd album 『Inner city pop』
2020年12月16日リリース
形態:CD maquis-008
価格:2000円+TAX

01. In to r
02. for ever
03. agricultural road
04. i shit ill
05. celebretions
06. need
07. spacey
08. guitar
09. sexy healing beats
10. together
11. wait

Brandee Younger & Dezron Douglas - ele-king

 ハープ、来てる。近年メアリー・ラティモアアーニェ・オドワイアーなど、ハーピストたちが良質な音楽を生み出しているが、ジャズの分野におけるその筆頭はブランディ・ヤンガーだろう(昨秋コットンクラブで観た来日公演でもすばらしい演奏を披露してくれた)。
 マカヤ・マクレイヴン『Universal Beings』や、2020年の特筆すべきジャズ・アルバムの1枚、カッサ・オーヴァーオール『I Think I'm Good』にも参加している彼女だが、来年1月21日、ベーシストのデズロン・ダグラスとともに録音したライヴ盤がリリースされる。
 今年3月のロックダウン中に配信されたセッションのハイライトを集めた内容で、アリス・コルトレーン “Gospel Trane” やファラオ・サンダース “The Creator Has A Master Plan”、ジョン・コルトレーン “Wise One” などのカヴァーも収録。ハープで再演される名曲たちの美しき息吹に耳を傾けたい。

Dezron Douglas & Brandee Younger
Force Majeure

ラヴィ・コルトレーンからマカヤ・マクレイヴンまで支持されてきた実力派ベーシスト、デズロン・ダグラスとジャズ、ヒップホップ~R&Bのフィールドを中心に華やかな共演歴を誇る話題の女性ハープ奏者、ブランディ・ヤンガーによる伝説的なロックダウン・ライブストリーム・ブランチ・セッションアルバム。ボーナストラックを加え、日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!!

Official HP : https://www.ringstokyo.com/dezrondouglasbrandeeyoungerfm

マカヤ・マクレイヴンの力作『Universal Beings』のNYセッションにも共に参加した旧知の仲であるベーシストのデズロン・ダグラスとハープ奏者のブランディ・ヤンガーが、2020年3月、リビングルームでライブストリームを開催した。彼らがリビングルームで奏でる美しく自然な音は、多くの友人や家族を励まし、勇気づけた。このアルバム『フォース・マジュール』に収録されているのは、二人による伝説的なロックダウン・ライブストリーム・ブランチ・セッションのハイライトを集めた作品で、日本盤はボーナストラックを加え、ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース。アリス&ジョン・コルトレーン、スタイリスティックス、ジャクソン5、ファラオ・サンダース、ケイト・ブッシュ、スティング、カーペンターズなどの名曲のカバーも含まれている。ニューヨーク、ハーレムの聖域の暖かさを醸し出している、精神的な癒しの音楽である。

ブランディ・ヤンガーのハープとデズロン・ダグラスのダブルベースとのデュオ演奏は、毎週金曜日の朝にリビングルームから配信された。コロナ禍での、このロックダウン・ライヴストリーム・ブランチ・セッションは、ソーシャルメディアで絶大な支持を得た。彼らは人々に親しみのある楽曲を選び、静かな高揚感と歓びを与える演奏をおこなってみせたからだ。このアルバムでその素晴らしいハイライトを楽しむことができる。(原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : Dezron Douglas & Brandee Younger (デズロン・ダグラス&ブランディ・ヤンガー)
タイトル : Force Majeure (フォース・マジュール)
発売日 : 2021/1/20
価格 : 2,800円+税
レーベル/品番 : rings (RINC72)
フォーマット : MQA-CD (日本企画限定盤)

* MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

All music arranged by Brandee Younger & Dezron Douglas;
except "Inshallah" arranged by Dezron Douglas.
Dezron Douglas - double bass, bass guitar, voice
Brandee Younger - harp, voice
Recorded between March and June, 2020, at Dezron & Brandee's apartment in Harlem, New York.
Engineered by Brandee Younger.
Remote Recording Assistance by David Allen.
Edited & Sequenced by Scott McNiece.
Mixed & Mastered by Dave Vettraino.
Cover Art by Esther Sibiude.
Design & Layout by Craig Hansen.

Tracklist :
01. Coffee (intro)
02. Gospel Trane
03. Equinox
04. The Creator Has A Master Plan
05. Sing
06. You Make Me Feel Brand New
07. We'll Be Right Black
08. Never Can Say Goodbye
09. This Woman's Work
10. Nothing Stupid
11. Inshallah
12. Wise One
13. Force Majeure
14. Toilet Paper Romance
15. Flatten The Curve (outro)
16. Body and Soul (Japan Bonus Track)

好評の書評集第二弾!
「科学する心」があなたと世界を変えるかもしれない

本当に読者の役に立つ書評――良い本はしっかりと評価し、ダメな本はしっかりと批判する。そんな「まっとうな書評」が高く評価された山形浩生の書評集、第2弾は「サイエンス・テクノロジー」編。

「科学する心」の尊さ、テクノロジーの楽しさと未来に託す夢。そしてデマやあおりに惑わされない冷静な思考を解く、古びることのない、今の時代に必要な本の数々が紹介されています。その数およそ120冊!

目次

はじめに

第1章 サイエンス
 科学と文明と好奇心――『鏡の中の物理学』
 「わからなさ」を展示する博物館――The Museum of Lost Wonder
 星に願いを:天文台に人々が託した想い――No One will Ever have the Same knowledge again
 「別の宇宙」は本当に「ある」のか? 最先端物理理論の不思議――『隠れていた宇宙』
 若き非主流物理学者の理論と青春――『光速より速い光』
 物理学のたどりついた変な世界――『ワープする宇宙』
 「ありえたかもしれない世界」にぼくは存在するか? 確率的世界観をめぐるあれこれ――『確率的発想法』
 スモールワールド構造の不思議――『複雑な世界、単純な法則』
 分野としてはおもしろそうなのに:特異な人脈の著者が書いた変な本――『人脈づくりの科学』
 トンデモと真の科学のちがいとは――『トンデモ科学の見破りかた』
 真の科学理論検討プロセス!――『怪しい科学の見抜きかた』
 あらゆる勉強に通じるコツ――『ファインマン流物理がわかるコツ』
 あれこれたとえ話を読むより、自分で導出して相対性理論を理解しよう!――『相対性理論の式を導いてみよう、そして、人に話そう』

第2章 科学と歴史
 人々の格差は、しょせんすべては初期条件のせいなのかしら――Guns, Germs and Steel『銃・病原菌・鉄』
 参考文献もちゃんと収録されるようになり、単行本よりずっとよくなった!――『銃・病原菌・鉄』
 『銃・病原菌・鉄』のネタ本のひとつ『疫病と世界史』を山形浩生は実に刺戟的な本だと思う――『疫病と世界史』
 マグル科学の魔術的起源と魔術界の衰退に関する一考察――『磁力と重力の発見』
 魔術と近代物理学との接点とは――『磁力と重力の発見』
 文化を創るのは下々のぼくたちだ――『十六世紀文化革命』
 社会すべてが生み出した近代科学の夜明け――『世界の見方の転換』
 コペルニクスが永遠に奪い去ったもの:地動説がもたらした人間の地位の変化を悼む――Uncentering the Earth: Copernicus And the Revolutions of the Heavenly Spheres
 「星界の報告」新訳。神をも畏れぬ邪説を唱えたトンデモ本。発禁にすべき――『望遠鏡で見た星空の大発見』
 イスラムの現状批判とともに、もっと広い科学と宗教や規範の関係を考えさせられる――『イスラームと科学』
 アメリカとはまったく別の技術の系譜――『ロシア宇宙開発史:気球からヴォストークまで』
 有機化学がイノベーションとハイテクの最前線だった時代――『アニリン―科学小説』

第3章 環境
 脱・恫喝型エコロジストのすすめ:これぞ真の「地球白書」なり――The Skeptical Environmentalist『環境危機をあおってはいけない』
 地球の人々にとってホントに重要な問題とは? 新たな社会的合意形成の試み――Global Crisis, Global Solutions
 温暖化対策は排出削減以外にもあるし、そのほうがずっと効果も高い!――Smart Solutions to Climate Change: Comparing Costs and Benefits
 環境対策は、完璧主義ではなくリスクを考えた現実性を!――『環境リスク学』
 マスコミのあおりにだまされず、科学的な環境対応を!――『環境ホルモン』
 温暖化議論に必要な透明性とは?――『地球温暖化スキャンダル』
 壮大な地球環境制御の可能性――『気候工学入門』
 真剣なエコロジストがたどりついた巨大科学への期待――『地球の論点:現実的な環境主義者のマニフェスト』
 いろいろ事例は豊富ながら、結局なんなのかというのが弱くて総花的――『自然と権力――環境の世界史』
 誇張してあおるだけの温暖化議論でよいのか?――『地球温暖化問題の探究』

第4章 震災復興・原発・エネルギー
 震災復興の歩みから日本産業の将来像を見通す――『東日本大震災と地域産業復興 II』『地域を豊かにする働き方』
 原発反対のために文明否定の必要はあるのか?――『福島の原発事故をめぐって』
 正しく怖がるための放射線リテラシー――『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』
 主張は非常にまっとうながら、哲学はどうなったの?――『放射能問題に立ち向かう哲学』
 頭でしか感じられない怖さの恐怖――『廃墟チェルノブイリ』

第5章 建築
 いろんな表現の向きと具体性のこと――『住宅巡礼』『日本のすまい―内と外』
 真に自然の中に位置づく建築のあり方などについて――『時間の中の建築』
 人間くさく有機的な廃墟の本――『廃墟探訪』
 失われゆく現代建築の見直し――『昭和モダン建築巡礼 西日本編』
 楽しい探訪記ながら明らかにしたかったものは何?――『今和次郎「日本の民家」再訪』
 家の持つ合理性を見抜いた名著――『日本の民家』
 「構想力」の具体的な中身を分析したおもしろい本――『群像としての丹下研究室』
 長すぎるため、どうでもいい些事のてんこ盛りに堕し、徒労感が多い一冊――Le Corbusier: A Life
 言説分析が明らかにしたのはむしろ分析者の勝手な思い込みだった――『未像の大国』
 記憶術が生み出した建築による世界記述と創造――『叡智の建築家』

第6章 都市計画
 街と地域の失われた総合性を求めて――『廃棄の文化誌』
 都市に生きる人たちと、都市を読む人――『恋する惑星』&『檻獄都市』のこと――『檻獄都市』
 土建政治家の構想力とは――『田中角栄と国土建設』
 都市開発とぼくたちの未来像など――『最新東京・首都圏未来地図―超拡大版』
 次世代に遺すインフラ再生問題――『朽ちるインフラ』
 数十年にわたって継続する都市開発を養うには――『ヒルサイドテラスウェストの世界』
 槇文彦も村上龍も、ハウステンボスの怪にはまだかなわない――『記憶の形象』
 電気街からメイド喫茶へ:おたく的空間のあり方とは――『趣都の誕生』
 古代中世の話で9割が終わる都市空間デザイン論というものの現代的意義は?――『都市空間のデザイン』
 日本のバブル永続を想定した古い本。すでに理論は完全に破綻、今更翻訳する意義はあったのか?――『グローバルシティ』
 うーん、いろいろやったのはわかるが、それで?――『モダン東京の歴史社会学』
 その金科玉条の「オーセンチック」って何ですの?――『都市はなぜ魂を失ったか』
 建築と都市が重なる奇妙な空間へ――『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』

第7章 医療・生命
 肥満二段階仮説、あるいはデブの免疫療法に関する一考察――『免疫の意味論』
 死体になったらどうなるの? 決定版:ぼくらの死体完全マニュアル本!――Death to Dust: What Happens to Dead Bodies?
 死体関連のネタ満載。この分野のおもしろさを何とか知らせて認知度をあげようとする著者の熱意が結実――『死体入門』
 医学生がジョークで撮った解剖記念写真集。医学と死体解剖のあり方を考えさせる、二度と作れないだろう傑作――Dissection: Photographs of a Rite of Passage in American Medicine 1880-1930
 現実のドリトル先生にして現代外科医学の開祖――The Knife Man: The Extraordinary Life And Times Of John Hunter, Father Of Modern Surgery
 おおお、エミリー・オスターきたーっっっっ!!――『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』

第8章 遺伝・進化
 歪んだ標的にされた、遺伝とは無関係な知能偏重社会批判の書――『ベルカーブ:アメリカ生活における知能と階級構造』
 人種とスポーツと差別について――Taboo: Why Black Athletes Dominate Sports and Why We Are Afraid to Talk About It
 遺伝子分析とITが交差する新分野の魅力書――『実践バイオインフォマティクス』
 きみは進化のために何ができるか? バカやブスの存在理由について――『喪失と獲得』
 ラスコー展とニコラス・ハンフリー
 進化論の楽しさと威力、そして宗教との共存――Evolution for Everyone: How Darwin's Theory Can Change the Way We Think About Our Lives
 生得能力と最適な社会制度について考えさせられる本――『心の仕組み』
 人間での遺伝の役割をドグマから救う勇気の書――『人間の本性を考える』
 初歩から最先端の成果までを実に平易に説明、日本の研究水準紹介としても有益。あとは値段さえ……――『自己変革するDNA』
 日本人は昔からあれこれ混血を進めてきました、という本――『ハイブリッド日本』
 日本人の起源を総合的に見直すと?――『日本人はどこから来たのか?』
 すばらしい。創発批判本!――『生命起源論の科学哲学』
 人間の遺伝子分布についての立派な百科事典。ネトウヨどもは本書についてのインチキなデマをやめるように――The History and Geography of Human Genes
 人類進化と分布のとても優秀な一般向け解説書。インチキに使わずきちんと読もう!――The Great Human Diasporas: The History Of Diversity And Evolution
 クローン生物の可能性と現実――『第二の創造:クローン羊ドリーと生命操作の時代』
 ネアンデルタール人の精神世界にまで踏み込む――『ネアンデルタール人の正体』
 すべての人工物の理論と進化について――『システムの科学』『進化と人間行動』

第9章 脳と心
 異分野を浸食する脳科学の魅力がつまった一冊――『脳のなかの幽霊、ふたたび』
 脳科学から倫理と道徳を考える――『脳のなかの倫理』
 心や意識の問題でも、もはや哲学はジリ貧らしいことについて――『MiND』
 Do Your Homework! 思いつきの仮説だけでは、脳も心もわからない――『脳とクオリア:なぜ脳に心が生まれるか』
 意識とは何か? 「人間である」とは?――Conversations on Consciousness: What the Best Minds Think About the Brain, Free Will, And What It Means to Be Human
 妄想全開:フロイトの過大評価をはっきりわからせてくれる見事な新訳――『新訳 夢判断』
 インチキだと知って読むと、読むにたえないシロモノではある――『失われた私』
 原資料をもとに、多重人格シビルのウソを徹底的に暴いた本。でも批判的ながら同情的でフェアな視点のため、非常に感動的で悲しい本になっている――Sybil Exposed: The Extraordinary Story Behind the Famous Multiple Personality Case
 え、プラナリアの実験もちがうの?!!――『オオカミ少女はいなかった』
 人を丸め込む手口解説します――悪用厳禁!――『影響力の武器』
 意識の話はむずかしいわ――『ソウルダスト』
 うーん、ヤル気の科学よりいいなあ――『WILLPOWER 意志力の科学』
 文明を築いた「読書脳」――『プルーストとイカ』

第10章 IT
 マイケル・レーマンの偉大……それと藤幡正樹――『FORBIDDEN FRUITS』
 さよなら「ワイアード」――「ワイアード 日本版」
 がんばれ!! 微かに軟らかい症候群――『マイクロソフト・シンドローム――コンピュータはこれでいいのか!?』
 コンピュータはあなたの知性を反映する!――『あなたはコンピュータを理解していますか?』
 プログラミングの傲慢なる美学と世界観――『ハッカーと画家――コンピュータ時代の創造者たち』
 気分(だけ)はジャック・バウアー!――『世界の機密基地―Google Earthで偵察!』
 意味を求める人間と、自走する情報のちょっと悲しい別れ――『インフォメーション―情報技術の人類史』
 バーチャル世界だけで人類は発展できるのだろうか――『ポスト・ヒューマンの誕生』
自分でできる深層学習――『Excelでわかるディープラーニング超入門』

第11章 ものづくり・Maker・テクノロジー
 技術的な感覚のおはなし――『root から/へのメッセージ』が教えてくれるもの
 夢のロボットたち:「ロボコンマガジン」は楽しいぞ――「ロボコンマガジン」
 狂気の自作プラネタリウムの教訓と可能性など。――『プラネタリウムを作りました。』 出来の悪い後輩たちの空き缶衛星物語と、草の根科学支援の方向性について――『上がれ! 空き缶衛星』
 本気で夢を実現しようとする驚異狂喜の積算プロジェクト――『前田建設ファンタジー営業部』
 施工見積から見えてくる空想と現実の接点――『前田建設ファンタジー営業部Part 3「機動戦士ガンダム」の巨大基地を作る!』
 トンネルの先の光明――『重大事故の舞台裏』
 ピタゴラ装置の教育効果――『ピタゴラ装置DVDブック1』
 世界に広がる、ミステリーサークルの輪!――The Field Guide: The art, History and Philosphy of Crop Circle Making
 自分で何でも作ってみよう! 農作物からITまで――『Made By Hand』
 よい子は真似しないように……いやしたほうがいいかな?――『ゼロからトースターを作ってみた』
 アンダーソンは嫌いだが、Makersビジネス重視の視点はおもしろく、実践も伴っていてえらい――『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』
 ものづくりとしての科学的お料理解説書――『Cooking for Geeks: 料理の科学』
 ジブリ『風立ちぬ』に感動したあなたに!――『名作・迷作エンジン図鑑』
 新ジャンルに取り組むアマチュアたちの挑戦とその障害をまとめた、わくわくする本――『バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!』
 量産からバイオまですべてに貫徹するものづくり思想とは――『ハードウェアハッカー』

あとがき

著者
山形浩生(やまがた・ひろお)
1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。
大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。
著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。

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