「You me」と一致するもの

Flying Lotus - ele-king

 みなさん覚えているでしょうか、昨年8月のあの衝撃を……。5年ぶりにリリースされた新作『Flamagra』が絶好調のフライング・ロータスですが、そのヒットを記念しなんと、彼の初長編監督作品となる映画『KUSO』が再上映されます。会場は渋谷・シネクイントで、6月14日(金)から20日(木)までの期間限定公開。昨年見逃した方はこの機会を逃すなかれ!
 ちなみに『別冊ele-king フライング・ロータスとLAビートの革命』にはフライロー本人の貴重なインタヴューをはじめ、映画の文脈から『KUSO』を論じた三田格のコラム、『Flamagra』収録曲“More”のMVを手がけた渡辺信一郎およびストーリーライダーズの佐藤大、『KUSO』に楽曲を提供したゲーム音楽家の山岡晃による濃厚な鼎談なども収録されていますので、未読の方はぜひそちらもチェックをば。

最新作『フラマグラ』が好調のフライング・ロータス
アルバムの世界的ヒットを記念し、初長編監督作品『KUSO』
まさかの再上映決定!!

底なしの創造力でシーンの大ボスとして君臨するフライング・ロータスが、マグマのごとく燃えたぎるイマジネーションを詰め込んだ超大作『Flamagra』。アンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン、サンダーキャット、トロ・イ・モワ、ソランジュら、錚々たるゲスト・ヴォーカルに加え、デヴィッド・リンチまでもがナレーションで参加するなど、豪華客演も話題沸騰中の本作の世界的ヒットを記念して、フライング・ロータスが初映画監督を務めた作品『KUSO』が渋谷・シネクイントにてまさかの再上映決定!

『Flamagra』には、もともと『KUSO』のサウンドトラックとして起用された音源が多く収録されるなど、非常に関連の深い二作品。2017 年のサンダンス映画祭での公式上映の際には多数の観客が上映途中に席を立ち、“史上最もグロテスクな映画”とも称された本作品は、昨年8月に渋谷・シネクイントで公開され、再び6/14(金)より一週間限定で上映される。

『KUSO』上映情報
上映期間:6月14日(金)~6月20日(木)レイトショー
会場:渋谷・シネクイント(渋谷区宇田川町20-11 渋谷三葉ビル7階)
料金:通常料金(R18指定)
*チケットは6/7(金)21:30よりシネクイントHPにて発売。
残席のある場合は6/8(土)劇場オープン時より劇場窓口でも販売開始。
*内容はすべて予定です。いかなる事情が生じましても、ご購入後の鑑賞券の変更や払い戻しはできません。
*場内でのカメラ(携帯電話を含む)・ビデオによる撮影・録画・録音等は、固くお断りいたします。

[STORY]
ロサンゼルスでの大地震後、人々は奇病におかされながらの生活を送っていた。首に喋る“こぶ”ができた女、ある“とんでもない虫”で人を治療する医者、常にお腹を下している男の子、コンクリートを食べる女性……様々な人々が織りなす、それぞれの狂気のストーリーが描かれた94分間。もはや最後には感動すら覚えるこの作品、あなたは耐え抜くことが出来るだろうか……!

監督:スティーヴ
音楽:フライング・ロータス、ジョージ・クリントン、エイフェックス・ツイン、山岡晃
出演:ハンニバル・バーエス、ジョージ・クリントン、デヴィッド・ファース
2017年/94分/アメリカ/英語/カラー/DCP
原題:KUSO R18+
配給:パルコ
宣伝協力:ビートインク

フライング・ロータス最新作『Flamagra』は現在好評発売中。国内盤にはボーナストラック“Quarantine”を含む計28曲が収録され、歌詞対訳と吉田雅史による解説に加え、若林恵と柳樂光隆による対談が封入される。初回生産盤CDは豪華パッケージ仕様。またTシャツ付セット(BEATINK.COM限定でXXLサイズ取扱あり)も限定数発売中。2枚組となる輸入盤LPには、通常のブラック・ヴァイナルに加え、限定のホワイト・ヴァイナル仕様盤、さらに特殊ポップアップ・スリーヴを採用したスペシャル・エディションも発売。

なお国内盤CDを購入すると、タワーレコードではオリジナル・クリアファイル、BEATINK.COM / HMV / diskunion、その他の対象店舗では、GUCCIMAZEによるロゴ・ステッカー、amazonではオリジナル肖像画マグネットを先着でプレゼント。また、タワーレコード新宿店でアナログ盤を予約するとオリジナルB1ポスターが先着でプレゼントされる。

また、6/8より2日間開催される〈WARP〉30周年記念ポップアップストアでは、最新作『Flamagra』の発売を記念したTシャツ、ロングスリーブTシャツ、パーカーが発売される。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: FLYING LOTUS
title: FLAMAGRA
日本先行リリース!
release: 2019.05.22 wed ON SALE

国内盤CD:BRC-595 ¥2,400+tax
初回盤紙ジャケット仕様
ボーナストラック追加収録/歌詞対訳・解説書付
(解説:吉田雅史/対談:若林恵×柳樂光隆)

国内盤CD+Tシャツセット:BRC-595T ¥5,500+tax
XXLサイズはBEATINK.COM限定

Skepta - ele-king

 グライム・シーンの立役者であるスケプタの5作目となるアルバム『Ignorance is a Bliss』がリリースされた。このアルバムは彼のシーンの「キング」としての地位を誇示するとともに、グライムの感覚を一歩前に進める意欲作だ。

 2016年にリリースされた前作『Konnichiwa』でロンドン発祥の「グライム」を世界に知らしめ、メインストリームに押し上げたスケプタは、ここ3年でも多くの話題を呼んだ。エイサップ・ロッキーとのコラボレーション曲“Praise the Lord”でプラチナの獲得、ナイジェリアへのカムバックツアーの成功、ウィズキッド(Wizkid)とのコラボレーション“Energy (Stay Far Way)”とのヒット、Nike とのコラボレーションの「Sk Air」シューズの発売、Louis Vuitton メンズのアーティスティック・ディレクターとなったバージル・アブローとの交友、など話題には事欠かない。

Wizkid - Energy (Stay Far Away)

 華々しい表舞台での活躍の一方で、スケプタはUKの次世代のラッパー、ミュージシャン、デザイナーもサポートしてきた。例えば、Levi's と協働し Levi's Music Project で若手のミュージシャンと新たな場作りをおこなったり、自身のブランド「MAINS」で若手デザイナーやアーティストを起用したりしている。音楽だけでなく、ファッションやデザインの領域でも様々な形でシーンをリードする存在となった。

Skepta | Levi’s® Music Project

 音楽面で言えば、新旧グライム・シーンのショーケース的なパーティである《Grime Originals》にサプライズ出演したり、自身のヨーロッパ・ツアーのサポートアクトにランシー・フォックス(Lancey Foux)、67、スロータイ(Slowthai)といったグライムの枠にとらわれない若手アーティストをラインナップしたりと、サポートを継続してきた。
 そしてリリースされた本作は、オーセンティックなグライムの感覚を一歩前に進めた意欲的な作品となっている。

 先行シングルでリリースされた“Bullet from A Gun”は、生まれ育ちや身の回りの刹那的な人間関係について突き放した目線で歌い出す。そこで彼自身に大きな力を与えていると語るのは、彼の両親のルーツであるナイジェリアであり、最近のスケプタ自身の家族である。MVでは最近赤ちゃんが生まれた彼が、地下鉄のプラットホームで乳母車を横置きしながらラップしている(アルバム・ジャケットの真ん中にも、赤ちゃんを抱えた男性が写っている)。

Skepta - Bullet from A Gun

 2. “Greaze Mode”からの3曲でセルフボーストが続く。彼のフロウはストレートに言葉をはめていくスタイルだが、アメリカ人にも聴き取れるクリアなデリヴァリーを意識していることに気づいた。『Konnichiwa』ではそのラップのフロウが不自然に感じられるほど意識的だったが、今回は肩の力が抜けているというか、自然なフロウになっているのが良い。

 ジェー・ハス(J Hus)を迎えた5. “What Do You Mean?”では得意のアフロビートではなく、ヒップホップで歌い上げる。6. “Going Through It”では一転してオーセンティックなグライム・ビートで、ワンラインで歌い続けるスケプタの本領を発揮し、オールドスクールなトラックの7. “Same Old Story”につながる。女性との関係を歌った1曲ではあるものの、以前ビーフがあったワイリーのビート・サンプルを使っていることで、ファンにとってはワイリーとの関係を(勝手に)深読みさせるラインとなっている。

 このアルバムの核心は次の3曲で、8. “Love Me Not”、ランシー・フォックスが客演の9. “Animal Instinct”、Wizkid 参加の10. “Glow in the Dark”でエモーショナルなメロディで畳み掛けるラップと歌い上げるフックのメロディが新しく、またUKらしさ、グライムらしさも感じさせ、リリカルな表現も多彩さが光る。最後の3曲は再びクラシックなグライムとなり、クルーの BBK を迎えたグライムレペゼンの12. “Gangsta”、そしてナイジェリアで袋詰めで売られている氷水パックにインスパイアされたという13. “Pure Water”で幕を閉じる。

Skepta - Pure Water

 このアルバムのステートメントは、まさにタイトルである「Ignorance is Bliss (無知はこの上のない至福だ)」に込められている。ここでは、むしろ「ignorance」と同じ語源を持つ「ignore」、つまり無視という能動的な言葉に寄って解釈できないだろうか。長年存在してきた“しきたり”や、自分が作り上げてきたこれまでの遺産を“無視”して、「やりたいようにやる」こと。または、他人が期待することや思考の枠組みを意図的に“無視”すること。新たなチャレンジに必要な無視によって、“無知”を肯定する哲学こそが、このアルバムを貫いている。

 サウンド面では前作『Konnichiwa』よりもグライム色がより強くなっているものの、懐古主義的なサウンドではなく新たなサウンドを模索している。また、ワンライン繰り返しのサビ、ハスラーの定型表現といった“お決まり”には縛られておらず、音、詩の両面で様々な挑戦をしている。コンパクトながらアルバムというフォーマットにふさわしい重層的な作品だ。

The National - ele-king

 ザ・ナショナルが自分たちのことを自嘲気味に「ダッド・ロック」と呼んでいたのは、しかし、半分以上くらいは冗談ではなかったのではないか。彼らがアメリカで高い人気を誇ってきたのは(そして日本で本国ほどの人気が出ないのは)、マット・バーニンガーによるバリトン・ヴォイスとハードボイルドを思わせるリリック、そうした文学性を武骨に支えるダンディなロック・サウンドがアメリカの伝統的な良き父性を匂わせるからだと僕は考えている。「daddy」がスラングで「イケてる」を意味することもあるカルチャーで、強く頼れる父であることはつねに求められてきたし、揺るぎない魅力だとされてきた。00年代中盤頃から急浮上したザ・ナショナルの、スーツを着こなし赤ワインを呑みながら歌う髭を生やした中年のフロントマンであるバーニンガーは、ある種のセックス・アイコン性すら有していたと思う。
 だが10年代、フェミニズムの再燃とLGBTQの台頭、それらと対抗するかのように浮上したトランプ政権による男権力の横暴とジェンダー保守派の過激な言動を経て、アメリカ的男性性あるいは「父性」は大いに混乱している。社会問題化したインセル(不本意な禁欲主義者。自分の容貌を醜いと考え、それを動機として女性を憎悪するヘテロ男性)のこともある。フェミニズムを支持することは男性だってもちろんできる、が、白人でヘテロでよく教育された(中年)男性による「リベラル」が、どこかで説得力を持たなくなっているのも事実だ。多くの白人男性によるインディ・ロックが近年訴求力を失っているのは、それが原因のひとつでもあるだろう。自身のマジョリティ属性とどう向き合うかは、少なからず誠意を持ち合わせた側の男性にとって、いま抜き差しならない問題だ。もうトキシック・マスキュリニティ(有害な男性性)を捨て去ることは決意した、が、では、たんなる「男性性」の行き場所はどこか?

 ザ・ナショナルは過去にもコンピレーション『ダーク・ワズ・ザ・ナイト』やグレイトフル・デッドのトリビュート・アルバムなどを編纂しUSインディ・ロックのリベラル勢のまとめ役を買って出ていたが、本作でまず実行しているのも現在における民主主義的なアプローチだ。ボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンとザ・ナショナルのメンバーであるアーロン・デスナーが様々な立場のアーティストを繋ぐコレクティヴ〈PEOPLE〉を主宰していることの延長にあると思うが、じつに70人以上のゲスト・ミュージシャンが参加している。多様なアイデンティティや出自を持つ「人びと」によるアンサンブル。そして、なかでも目立つポジションが与えられたのが女性シンガーたちである。シャロン・ヴァン・エッテン、リサ・ハニガン、ミナ・ティルドン、ケイト・ステイブルズ、ゲイル・アン・ドロシーという多彩なメンバーによる歌声は女性の表現の多様さを強調する。
 思い出すのは、昨年のデヴィッド・バーンの『アメリカン・ユートピア』――やはりリベラルな白人男性によるアート・ロック作品――が大勢のゲストを招きながら、ひとりも女性が含んでいなかった点を批判されたことだ。バーンは過去に何度も才能ある女性とコラボレーションしてきたし、しかも彼女らを飛び道具のように扱っていなかったことを思えば、いささかアンフェアな批判のようにも感じるが、しかしそれだけジェンダー・イシューがマジョリティ側にも強く求められる時代だということの証明でもあった。その点、立場的に近い場所にいるザ・ナショナルが女性たちをステージの中央に立たせているのは、ある種いまもっとも「政治的に正しい」振る舞いのようにも見える。……が、これがPC対応型のたんなる「ダイヴァーシティ」作品だとは、僕は思わない。

 本作と同時にリリースされたマイク・ミルズによる同名の短編映画を観ると、そのことがよくわかる。というのは、同作もまた白人ヘテロ男性が彼なりの誠意を持って女性と向き合った作品だからだ。ザ・ナショナルの楽曲とスコアがずっと流れるなか、アリシア・ヴィキャンデル演じるひとりの「女性」の生から死までを26分ほどの詩的なモノクロ映像で綴ったもので、カメラしか知りえない彼女の細やかな感情を切り取っていく。それはまるきりミルズの前作『20センチュリー・ウーマン』の続きにあるもので、自分はラディカル・フェミニズムとアート・ロックを教えてくれた女性によって育てられたとあらためて語ったあの作品と同様の、一筋縄ではいかない女性に対する敬意と感謝で満ちている。彼女らを殊更に美化するわけでもない。ミルズは妻のミランダ・ジュライの作品群に影響されている部分も多いと思われるが、女性の多面性や感情の機微をできる限り丁寧に救い取ろうとする作家だ。それは事実としてあくまで「男の」まなざしなのかもしれない、が、彼女(たち)と向き合うことを諦めていない。

 ザ・ナショナルのほうの『I Am Easy To Find』でも似たことが起きていて、バーニンガーが女性たちと声を重ねれば、彼の低い声の色気はいや増していく。彼としては比較的ハイ・トーンとなる“Quiet Light”のようなドラマティックなユニゾンもあるが、“Oblivions”や“I Am Easy To Find”ではほとんど音程が聴き取れないほどの低音でゲストのフィメール・ヴォーカルを下方で支える。結果として、本作はこれまででもっとも官能的な作品となっている。10年後に振り返れば、2015年~18年辺りのことは男女間の対立が激化した時代と記憶されるかもしれない。が、そのときを経て、ここにはたくさんの人間たちが集い、そして、女と男が出会い直している。やはり白人男性としての立場から「結婚」をモチーフとして印象的な男女デュエットを取り入れたヴァンパイア・ウィークエンド『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』にも通じる感覚だと思う。
 サウンド的にはこれまでのザ・ナショナルの良さをきちんと発展させており、英国ニューウェーヴとチェンバー・ポップの融合をデスナー兄弟による緻密なオーケストラ・アレンジとエレクトロニクスで洗練させている。その点は前作『Sleep Well Beast』(17)と同様なのだが、明らかにトランプ直後の空気を吸ってダークな作風だったそれと比べ、クワイアの参加や多人数のアンサンブルのせいもあってはるかに開放的な空気が感じられる。ロック的なカタルシスに満ちた“The Pull Of You”もハイライトのひとつだし、ほとんどブロークン・ソーシャル・シーンのような爽快感で駆け抜ける“Where Is Her Head”も新機軸だ。僕が一曲挙げるとすれば、清潔なピアノと弦の音が、ふくよかなデュエットと温かく響き合う“Rylan”だ。「誰だって心に少しは地獄を抱えているもの/ライアン、少しは太陽を浴びなよ」――日差しの下を走り出したくなる。

 ザ・ナショナルはかつて、保守的な故郷オハイオでの記憶とニューヨークでの都会のリベラルな暮らしに引き裂かる心情をこんな風に歌っていた――「ミツバチの群れが俺をオハイオに運んでいく/だけどオハイオは俺を覚えていない」。そして本作の“Not In Kansas”では同じ土地のことをこう綴る。「オハイオは悪循環に陥っている/もうあそこには戻れない/オルタナ右翼という麻薬が蔓延しているから」。
 彼らはどこかで、保守性を残した自分たちのことを自覚しているのだろう。だがだからこそそれを消し去るのではなくて、少しでも真摯なやり方で更新しようとする。マジョリティであることを痛いほどに自覚しながら、異なる立場への理解を諦めないこと。僕がザ・ナショナルを聴いていてアメリカ的父性を感じるとき、あるいはその男性性に色気を嗅ぎ取るとき、それが「政治的に正しい」のか倫理的に許されるのかはよくわからない。少なくとも時代遅れではあるだろう。それでも、『I Am Easy To Find』はザ・ナショナルの魅力が――文学性とロックの官能性が詰まった作品だと思う。それに……タイトル・トラック“I Am Easy To Find”で男女の声が「わたしを見つけるのは簡単なこと」と重なり合うとき、「I」にジェンダーの別はない。

ハテナ・フランセ 第20回 - ele-king

 みなさんボンジュール。5月25日に終了したカンヌ映画祭について。私自身が参加していたわけでも、インサイダー情報があるわけでもないが、カンヌの映像を見ていてぼんやり思ったことを。

 審査員賞を『Bacurau』と共に受賞した『Les Misérables』は、2008年のパリ郊外で起きた暴動事件を下敷きにしたLadj Ly(ラジ・リー)の初監督作品。5月15日に正式上映されたこの作品のレッド・カーペットと授賞式が個人的に非常に印象に残った。そこにはKourtrajmé(クートラジュメ。クー・メトラージュ=短編の逆さ言葉)の面々が顔を揃えていたからだ。Kourtrajméは、映画監督キム・シャピロン、同じく映画監督ロマン・ガヴラス、ラジ・リー、そして映像作家トゥマニ・サンガレによって96年に立ち上げられたアーティスト集団。所属するのは当時は駆け出しの映像作家、ラッパー、グラフィティ・アーティスト、ダンサーなど。それぞれの表現手段はさまざまながら、ヒップホップ色が強めだった。彼らは名前の通り短編映画をとにかく量産しまくっていた。内容は、内輪受けギャグ的なしょうもない&意味不明なものも多かった。だがとにかく衝動的に仲間とクリエイトする、ということを標榜していたのだと思う。当時のKourtrajméのなかでは、ラッパーたちが比較的知名度のある方だった。Kourtrajmé正式メンバーのモロッコ系兄弟2人によるLa Caution(ラ・コーション)はインディながら大きめでカッコいい〈ワーグラム〉レーベルと契約していた。また、当時〈ニンジャ・チューン〉傘下の〈ビッグ・ダダ〉と契約して話題となっていたTTCなどもゆるく繋がっていた(TTCのMVをキム・シャピロンが撮っている)。TTCのテキ・ラテックスは、彼らをフックアップするべく、キム・シャピロンやロマン・ガヴラスの名前を要チェックの映像作家としてインタヴューで当時よく挙げていた。2000年前後のパリでは、Kourtrajméは大変イケていたのだ。その後キム・シャピロンは2006年にいち早く初監督作品『変態村』を、ロマン・ガヴラスはジャスティスの超暴力的MV「Stress」で物議を醸した後、2008年に初監督作品『Notre jour viendra(日本未公開)』を発表する。さらに2012年にはジェイ・Zとカニエの「No Church in the Wild」も手がけている。そしてキムの初監督発表と同時期に、それぞれが個別のキャリアを築き始めたことで「Kourtrajméとしてできることは、やりつくした」として解散した。

 そもそも、70年代の伝説的グラフィック・アーティスト集団バズーカのメンバー、キキ・ピカソことクリスチャン・シャピロンとマチュー・カソヴィッツがお隣さんだったことから、Kourtrajméは始まったと言っていいだろう。クリスチャンの息子キムは子供の頃からカソヴィッツの撮影現場などに出入りし、その友人でもあり、監督2作目『憎しみ』の主演俳優でもあるヴァンサン・カッセルとも自然に親しくなったという(カッセルは『変態村』の主演も務めた)。95年にカンヌ映画祭で監督賞を受賞した『憎しみ』は、パリ郊外の移民系青年達の絶望的な状況を見事に描き切った傑作だ。だが、この作品の監督マチュー・カソヴィッツは、映画監督の父を持つ決して貧しいとはいえない家庭出身、主演のヴァンサン・カッセルは大物プロデューサーの息子。公開当初から作品そのものは非常に高い批評を得たが、なかにはブルジョワ出身であるカソヴィッツが、郊外のゲットー文化を我が物顔で語ることに疑問を呈する批評家もいた。

 そしてその疑問は『Les Misérables』のレッド・カーペットを見ながら私が抱いた「どうやったらラジ・リーとキム・シャピロンが繋がるんだろう」という素朴な疑問にも繋がるのかもしれない。パリ郊外モンフェルメイユのシテ(フランスのゲットー)でマリ人の両親の元、13人兄弟の中育ったラジ・リーと、当時のパリで相当イケていたであろう先鋭的グラフィック・アーティストの息子キム・シャピロンの行動範囲がどう重なったのかわからないのだ。だが、5月27日付の新聞『Le Parisien』のなかにその答えが見つかった。ラジ・リーの住むモンフェルメイユにあるエルジェのContre de Loisirs(ソントル・ドゥ・ロワジール=学校のバカンス中に子供を預けられる施設)で10代前半の2人は出会ったのだそう。この託児施設は、ラジ・リーの学区とは若干ずれていたが「親父がちょっと高くてもブルジョワの子供の行く施設の方が規律がしっかりしてるだろう」との判断で行くことになったそう。そして、キム・シャピロンは祖父母の瀟洒な家が近所だったということでバカンスの間、エルジェに行くことになったのだ。このように普段の生活の文脈から離れた場所で出会った、ブルジョワの子供と移民の子供が仲良くなったのだと想像する。

 今回のレッドカーペットでは当事者のラジ・リーはもちろん、Kourtrajmé創立メンバーに加え、今や売れっ子テレビ司会者(日本でいうと有吉弘行みたいな感じ)となっている、ムールード・アシュール、いつの間にかKourtrajméの一員になっていたストリート・アーティストで写真家のJR、Kourtrajméの一員というイメージではないポエティックで真面目系ラッパー、オキシモ・プッチーノ、そして創立当時からKourtrajméのゴッドファーザーであったマチュー・カソヴィッツやヴァンサン・カッセルまで、関わった作品がない限り簡単にスケジュールを押さえられないような超豪華なメンバーが総揃いした。おそらくそれほど彼らの繋がりは強いものなのだろう。主題的にも資金集めが簡単ではなかったはずのラジ・リーの初監督作品が、カンヌ映画祭の、しかも正式上映に選ばれたということは、Kourtrajméにとっては祭り以外の何物でもなかったのでは。受賞の際にもちろんラジ・リーは授賞式まで参加したKourtrajméの面々の名前を挙げ感謝を捧げた。

「ジレ・ジョーヌへの機動隊の暴行で注目が集まったけれど、彼らの暴力は今に始まったことじゃない。この作品は僕なりの警笛なんだ」という『Les Misérables(原題、邦題未定)』は日本でも公開予定だそう。

La Caution Thé à la menthe
Kourtrajméのメンバーも多数出演しているMV。ヴァンサン・カッセルが出演している『オーシャンズ12』の劇中で使用された。

TTC Je n'arrive pas à danser
キム・シャピロンによるTTCのMV。不条理なユーモアとKourtrajméのメンバーが満載。

Justice Stress
ロマン・ガヴラスによるジャスティスのMV。あまりの暴力描写にメディアで叩かれまくった。

『Les Misérables』のフランス公開予告

!!! (Chk Chk Chk) - ele-king

 たしかに、もうみんなわかっている。「こんな暗い時代に……なんてもう聞き飽きたよな。そんなことはみんなわかってる」。ディスコ愛に溢れた前作『Shake The Shudder』から早2年。NYの最高にファンキーなバンド=チック・チック・チックが本日、リスナーへのメッセージとともに唐突にデジタルでシングルをリリースした。しかもダブルAサイドである。“UR Paranoid”も“Off The Grid”も相変わらずダンサブルでかっこいいが、細部に耳を澄ますと……ちょっと作風変えてきてる? いや、そんなことない? まあなんにせよ、もしかしたら新しいアルバムへの布石かもしれないし、とりあえずいまは公開された2曲を爆音で流しながら続報を待つとしよう。

[6月4日追記]
 先日、上述の2曲を突如リリースし話題をさらったチック・チック・チックですが、本日“UR Paranoid”のMVが公開されました。新たにコメントも届いております。

曲を完成させた瞬間、誰にミュージックビデオを監督してもらいたいかが、はっきりとイメージできることは稀なんだ。だけど“UR Paranoid”で、それが起こったんだよ。そして友人であるアマンダ・ラブジョイ・ストリートに監督してもらえて幸運だった。このビデオについて彼女は「実験的映画の劇場や、低予算のホラー映画、ソール・スタインバーグ、カール・ユングへの賛辞を込めた」って言ってた。

てことで……ビデオをチェックしてもらって、曲を爆音で聴いてもらいながら、次の展開も楽しみにしててくれよな。
──!!!

チック・チック・チックが帰ってきた!!!
両A面シングル『UR PARANOID / OFF THE GRID』を突如ドロップ!

唯一無二のディスコ・パンク・サウンドで人気を誇る!!!(チック・チック・チック)が、ファンへのメッセージとともに“UR PARANOID”と“OFF THE GRID”の2曲を収録した両A面シングルを突如リリース! 今後の展開にも注目!

UR PARANOID
https://youtu.be/e0WCYVICNkE

OFF THE GRID
https://youtu.be/ld77rqNL1rw

こんな暗い時代に……なんてもう聞き飽きたよな。そんなことはみんなわかってる。でもマジな話、こんな最悪な中で、疑心暗鬼にならなかったり、自立したくないなんて思うやついるか?
これからだっていいことも辛いこともやってくる。約束するよ。だけど、そんな暗くて、嵐のような夜に書いた最高の2曲でみんなに新しいスタートを切ってもらいたい。
てことで……爆音で聴いてもらいながら、次の展開も楽しみにしててくれよな。 ──!!!

label: WARP RECORDS
artist: !!!
title: UR Paranoid / Off The Grid

Apple Music:
https://apple.co/2MiZH4G
Spotify:
https://spoti.fi/2EMiak1

〈WARP〉30周年記念ポップアップストア開催大決定!

音楽史に計り知れない功績を刻み続け、今年30周年を迎えた偉大なる音楽レーベル〈WARP〉。その輝かしい歴史と功績を称え、6月8日と9日の2日間に渡り東京・原宿にて、30周年を記念したポップアップストアが開催!

目玉アイテムとして、現代美術家:大竹伸朗によるデザインTシャツが販売。Tシャツやキャップなどの30周年記念公式グッズ、さらに昨年発売され話題となったエイフェックス・ツインの輸入オフィシャル・グッズの再販(2日目のみ)、フライング・ロータス最新作『FLAMAGRA』グッズ、プラッド最新作『POLYMER』グッズといった最新アーティスト・グッズやレアな輸入グッズなど、ここでしか手に入らないアイテム満載!(アイテムにより購入制限あり)

イベント詳細ページ
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10275

WxAxRxP POP-UP STORE
開催日程:6/8 (土) ~ 6/9 (日)
6/8 (土) 11:00~20:00 / 整理券発行数 350
6/9 (日) 11:00~18:00 / 整理券発行数 250
※それぞれ整理券優先での入場

場所:JOINT HARAJUKU 2nd.(東京都渋谷区神宮前3-25-18 THE SHARE 104)

Kevin Richard Martin - ele-king

 現在、「世界」は極寒の只中にある。真夏に冬? いきなり大きな主語で恐縮だが、例えば2030年に到来すると言われている「ミニ氷河期」は世界を冬の時代に変化させてしまう可能性があるし、なにより21世紀以降、巨大化の一途を辿るグローバル資本主義の本質は人間の外部にある巨大なデータの集積(金銭の層)ともいえるのだから、そこにあるのは「雪」のような冷たい結晶の層と運動ではないかとも思ってしまう。ともあれ雪とお金は似ている。貯まるときは貯まるが、少し熱量が上ると溶けて消えてしまう。

 氷河期へと回帰する地球と真夜中に降り続ける雪のようにデータ化された金銭が結晶化する世界。私たちはそんなJ・G・バラード的な「冷たい」結晶世界/時代を生きている。
 では、そのような時代、われわれが「ヒト」ではなく「人間」であることの意味はどこに見いだすべきか。資本主義に骨の髄まで染まったわれわれはエコノミック・アニマルのなれの果てか。巣を失った雪男のように虚無に吠えるしかできないのか。それとも言語の真の意味を捉え直し、改めて「怒り」を表出する必要があるのか。
 ひとつ言えることは、そのような時代、イメージに恐怖が侵食する。そしてレコードはそんな世界の無意識を表象する「商品/芸術」でもある。2010年代の音楽の一角にダークなアートワーク(もちろん音も)が現れたのは偶然ではない。セカイが不穏だから音楽も暗くなる(反動で空虚なバカ騒ぎも起きる)。そしてその不穏さによって音楽は一種の心理的セラピー効果を高めもする。つまり真の「癒し」は逆説によって生れる。ダーク・セラピー・サウンド?

 現代写真家・横田大輔による印象的な作品を用いたアートワークでリリースされたキング・ミダス・サウンドの新譜『Solitude』(https://kingmidassoundmusic.bandcamp.com/album/solitude)も、そんな「真冬・極寒の時代」のムードを象徴するようなアルバムだった。キング・ミダス・サウンドは、UKレフトフィールド・サウンドにおいてその名を知らしめているザ・バグのケヴィン・リチャード・マーティンらによるプロジェクトである。
 その新作『Solitude』は、ダークなエクスペリメンタル・サウンドとRoger Robinsonのポエトリー・リーディングが濃厚なメランコリアを醸し出し、なんとも不穏なムードを生成していたが、ある種の救済の感覚が息づいてもいた(リリース・レーベルは、ミカ・ヴァイニオ関連のリリースでも知られる〈Cosmo Rhythmatic〉)。闇夜の果てにある微かな光。

 今回取り上げる『Sirens』は、キング・ミダス・サウンド、ザ・バグなど複数のユニット・名義を使い分けてきたケヴィン・リチャード・マーティンが初めて本人名義を冠したアルバムである。リリースはローレンス・イングリッシュが主宰するエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈Room40〉。
 その内容たるや圧倒的であった。キング・ミダス・サウンド『Solitude』における音響空間をさらにパーソナルにムードで研ぎ澄ましたような現代的なアンビエント/ドローンを存分に展開し、凄まじい音響空間を生成していたのだ。『Solitude』からポエトリー・リーディングをミュートしたようなトラックともいえるが、よりパーソナルなサウンドにも感じられた(どこか『Solitude』と『Sirens』は兄弟のようなアルバムではないかと想像する)。

 本作の元となっている音源は、2015年にベルグハインで開催された「CTM Festival」におけるライヴ・パフォーマンスで披露されたものだ。そもそも「Sirens」は、ケヴィン・リチャード・マーティンによる新しいアンビエント・プロジェクトの名としてスタートした。2014年頃、彼の友人でもあるベルリンのアーティストNick Nowakの展示とショーにつける音楽を依頼されたことがプロジェクトの始まりなのだ。その「Sirens」のショーは、スモークとストロボによって会場全体を覆う一種のインスタレーションに近いパフォーマンス/空間だったらしい。
 以降、「Sirens」は、ドイツのハイデルベルク、ロサンゼルス、ハンガリーのブダペスト、東ロンドンなどで継続的にパフォーマンスされ、その音響は完成の域に近づいていった。以前から彼のファンであったローレンス・イングリッシュは、「CTM Festival」のライヴの直後に音源リリースの話を直談判し、ケヴィン・リチャード・マーティンから快諾を得たという。
 とはいえ、すべてが順風満帆のプロジェクトだったわけではない。「Sirens」制作中、ケヴィン・リチャード・マーティンは、その人生において最もハードな時期を迎えていたのだ。というのも彼の妻は、息子を生んだあとすぐに、集中治療室に入り、その命を失いかけていた(このインタヴューに詳しい)。
 そんなケヴィン・リチャード・マーティンの人生の局面に訪れた極めてハードな事態に呼応・象徴するかのように、『Sirens』の音響は、極寒地帯における豪雪のように厳しく、しかし生命の誕生そのものを象徴するように「崇高さ」へと生成変化を遂げていく。

 ここでサウンド面の考察に戻ろう。ザ・バグ、テクノ・アニマルなどの複数の名義を使い分ける彼のエクスペリメンタル方面といえば、キング・ミダス・サウンドのほかにも、ソニック・ブームとケヴィン・シールズらによるはエクスペリメンタル・オーディオ・リサーチの活動を思い浮かべてしまう方もいるだろう。
 本作の特徴は極めて10年代な音響空間を生成している点にある。多層的な電子音響のレイヤー/持続が繊細かつダイナミックに変化を遂げつつ、まるで嵐の中に身を浸すかのような音の壮大な蠢きを生成していくのだ。このミクロとマクロを往復するようなサウンドは10年代以降の音だ。キング・ミダス・サウンドでフェネスとコラボレーションした『Edition 1』(2015)の追求・実験・実践が、本作に強い影響を与えているのではないかとも想像してしまった。
 アルバムには全14曲が収録されているが、どのトラックも統一的なムードを保持しながらも、それぞれが微細にサウンドのトーンを変えており、まるで映画のサウンドトラックのように進行する。特に2曲めから5曲めまでの変化は強烈な聴取体験をもたらすだろう。その変化は繊細であり、しかしダイナミックでもあり、メランコリックですらあり、ドラマチックでもある。
 使われている音は「フォグホーン、ダブ・サイレン、ドローン・ベース、ホワイト・ノイズ、エフェクト」というが、音の層が重なりつつ、音響空間が拡張してくようなサウンドは、アンビエント/ドローンによる受難曲のように響く瞬間があった。聴き手の心理状態をトレースしていくかのように音響は進み、変化する。
 本作『Sirens』には「受難」と「祈り」、そして「救い」への希求が、静謐な電子音響の表面に、内奥に、その向こうに、確かに、微かに、強く、弱く、しかし意志を持って息づいているように感じられた。加えて8曲めなど、ドローンであっても低音部分の強調が見事であり、その鈍い響きはまるで心臓の鼓動のように聴こえもした。
 つまり本作はドローン化したベース・ミュージックという側面も少なからずあると思うのだが、いかがだろうか(キーは低音=心臓の鼓動だ)。となればできうる限り爆音で聴取をする必要があるだろう。小さな音で「流しては」だめなのだ。もともとサウンド・パフォーマンスとして発表されたこともそれと無縁ではあるまい。音に深く没入する必要がある。

 特に9曲め以降、ノイズのトーンに微かな明るさが宿ってきている点に注目してほしい。12曲めからラストの14曲めまでは本作の音響が絶頂を迎える瞬間が記録されており、文字どおりクライマックスだ。音の繊細さ、過剰さ、ミニマル、ダイナミック、持続、拡張は、ケヴィン・リチャード・マーティン個人の受難を浄化し、聴き手の心も昇華する。徹底的な没入的聴取の結果、サウンドが一種のセラピーのように心身に「効く」とでもいうべきか。音による救済の感覚。
 そんな誇大妄想的な感想すら持ってしまいそうなほどのアルバムである。「雪」のように冷たい結晶によって世界が構成されているこの現代において、人の心の奥底に蠢く光のようなノイズ・ドローン・アンビエントを聴くこと、聴覚と感覚の新たな可能性を示してもいる。このアルバムの暗い音を聴くことは「希望の聴取」なのだ。

Smany - ele-king

 これまで world's end girlfriend と Vampillia‬ のスプリット盤に参加したり、ネット・レーベル〈分解系レコーズ〉からアルバムを発表してきたエレクトロニカ・アーティストの Smany(エスメニー)が、初のフィジカル盤となる4作目『to lie latent』を〈PROGRESSIVE FOrM〉より発売する。同作はこれまで〈分解系レコーズ〉からリリースしてきた3作『komoriuta』『polyphenic』『kotoba』のなかからセレクトされた曲に、未発表曲などを加えた構成となっているとのこと(タブラ奏者の U-zhaanをフィーチャーした曲も)。繊細なヴォーカルと電子音の交錯に耳をそばだてよう。

Smany
to lie latent

2013年にオンライン・レーベルの雄である〈分解系レコーズ〉よりリリースした1stアルバム『komoriuta』以降、2014年の2ndアルバム『polyphenic』、2017年の3rdアルバム『kotoba』とコンスタントにリリースを重ねながら国内外問わず数多くのアーティストともコラボレーションを続け非常に高い評価を得てきたアーティスト Smany、本作は〈分解系レコーズ〉よりリリースした3枚のアルバムよりセレクトされたベストテイクをベースに、名曲の誉れ高い“2113”の2019ヴァージョンや未発表曲“夜間飛行”、タブラ奏者の‪ U-zhaan ‬をフィーチャンリングした“・A・”といった魅力たっぷりの楽曲から構成された4枚目のアルバムとなる待望の初フィジカル作品!

潜在的なという意味のアルバム・タイトル「to lie latent」と冠された本作を聴くにつれ、改めてコンポーザーとしての Smany というアーティストの魅力、また音域が広く素晴らしい声質や表現力の多彩さかつ繊細さといったヴォーカリストとしての才能を感じざるをえない。
それは冒頭でも触れた名曲“2113”、壮大な情景を描いた“静かな嵐は過ぎ去って”、深い精神性を感じさせる“・A・ feat.U-zhaan”のみならず、オープニングを飾り ‪Sigur Rós ‬を彷彿とさせるインストゥルメンタル“The Cycles Of Life”、軽快なリズムがポップなダンスチューン“Music”、感傷と風景が交差するエンディングの“あれから”をはじめ、様々な世界観を表現できうる幅広いバックグランドを感じさせながら、アルバムが一重の糸によって紡がれそっと包み込まれる感覚は、Smany という人物の深く豊かなアーティスト性を色濃く写し出している。

本作は、これまでにエレクトロニックとアコースティックが芳醇な潤いを繋いできたサウンドにおけるヴォーカル作品として、2010年代を総括するアルバム、また先を見据える2020年代という未来をも明示する可能性を存分に秘めたアルバムと言えよう。
それはこれまで Smany に触れてきた人々にとっても、そうではない人々にとっても、優しい光が差し込むがごとく人々を心を照らすだろう。

アートワークは、シュールレアリズムの手法、デペイズマンの影響を強く受け、ユーモアのあるデザイン、根拠のあるデザイン、ターゲティングされたデザインを制作する事を信念とし評価の高いグラフィックデザイナー兼写真家 ISAMYU / YUKI MOTEGI が担当。
マスタリングはミュージシャン/アレンジャー/レコーディング・エンジニア/作曲家/ライターとしても定評の中村公輔が担当。

発売日:2019年6月12日(水)
アーティスト:Smany(エスメニー)
タイトル:to lie latent(トゥー・ライ・レイタントゥ)
発売元:PROGRESSIVE FOrM
販売元:ULTRA-VYBE, INC.
規格番号:PFCD89
価格(CD):税抜本体価格¥2,200
収録曲数:11曲
JAN:4526180482376

Amazon / Tower

Tracklisting

01. The Cycles Of Life
02. Music (Hypo77 Arrange Ver)
03. 2113 (2019 Ver)
04. Maboroshi
05. 砂の城
06. 静かな嵐は過ぎ去って
07. Utakata
08. Himeshi-Lucy feat. Smany (yuichi NAGAO remix)
09. ・A・ feat. U-zhaan
10. 夜間飛行
11. あれから

■ Smany(えすめにー)

東京在住の作曲家、ヴォーカリスト、パフォーマー。
幼少期より家族の影響でクラシック、洋楽、邦楽と音楽の溢れる環境で育つ。
5才から12才までクラシックバレエを習う。
中学時代は合唱部、高校時代は軽音楽部とダンス部に所属。
2003年、テクノロックバンドのフロントマン S-many としてパフォーマンス、電子楽器、VJ等を担当。
2005年、バンドの活動休止と同時にソロでの楽曲制作を始める。
2013年、〈分解系レコーズ〉より1stアルバム『komoriuta』をリリース、OUT OF DOTS、Red Bull Music Academy Weekender EMAF TOKYO 2013 等のイベントに出演。
2014年、〈分解系レコーズ〉より2ndアルバム『polyphenic』をリリース
2015年、world's end girlfriend、‪Vampillia‬、中原中也のスプリット・アルバム『在りし日の声』に朗読者として参加。
2017年、3rdアルバム『kotoba』をリリース。
2017年9月 バンド "えすめにーと愉快なにゃんにゃんオーケストラ" を結成。
その他、ベルリン在住の Yu Miyashita、タブラ奏者の ‪U-zhaan‬、yuichi NAGAO、LLLL、アメリカのエレクトロポップバンド、ビリンダブッチャーズ、フランス〈kitsuné〉所属の Manast LL' 等、国内外問わず数多くのアーティストとコラボレーションしている。
そして2019年6月、初のフィジカル盤となる4thアルバム『to lie latent』を〈PROGRESSIVE FOrM〉よりリリースする。

Ryan Porter - ele-king

 昨年発表した大作『The Optimist』で注目を集めたトロンボーン奏者のライアン・ポーター。カマシ・ワシントンのバンド=ザ・ネクスト・ステップの一員でもある彼が6月19日にニュー・アルバムをリリースする。新作『Force For Good』には前作に引き続きカマシやサンダーキャットらウエスト・コースト・ゲッド・ダウンの面々が参加しているとのこと。きっとLAのいまを伝えてくれる、洗練された1枚に仕上がっていることだろう。現在、先行シングルとして“Heaven Only Knows”が公開中。

RYAN PORTER
Force For Good

カマシ・ワシントン&サンダーキャット参加!!
信頼高いトロンボーン奏者、ライアン・ポーター。
自身の実力を確かに示した、83分を超える待望の新作アルバムが完成!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/ryanporterffg

トロンボーン奏者/作曲家ライアン・ポーターの待望の新作は、カマシ・ワシントンらウエスト・コースト・ゲッド・ダウンのメンバーがまたも全面サポートした力作です。前作『The Optimist』からさらに作曲面にも磨きをかけて、もはやモダン・クラシックな風格さえ漂わせています。1920年代から50年代初頭までジャズのメッカだったLAは、いま確実にジャズの都市として復活を遂げたことをこのアルバムが象徴してもいます。(原 雅明 / rings プロデューサー)

アーティスト : RYAN PORTER (ライアン・ポーター)
タイトル : Force For Good (フォース・フォー・グッド)
発売日 : 2019/6/19
価格 : 2,400円+税
レーベル/品番 : rings (RINC51)
フォーマット : CD

Vampire Weekend - ele-king

 前作『Modern Vampires of the City』から6年もの時を経て届けられたヴァンパイア・ウィークエンドの新作『Father of the Bride』を繰り返し聞きながら、ぼくは複雑な気持ちになっていた。なんだかノれない。いや、正確にいうと、今年1月にリリースされた最初のシングル、“Harmony Hall”と“2021”を聴いたときからそうだった。次のシングルである“Sunflower”と“Big Blue”、そして“This Life”と“Unbearably White”を聞き、ますますその思いは深まっていった。これらの楽曲からは、ある種の音楽的な保守性を感じていた。鮮烈な2008年の『Vampire Weekend』とそれに続く2010年の『Contra』、そして悩ましげな2013年の『Modern Vampires』をそれぞれ初めて聴いたときの驚き、“A-Punk”や“White Sky”、“Step”や“Ya Hey”の力強さは、そこにはなかったと言っていい。6年前に沈鬱な面持ちでニューヨーク・シティを眺めていた吸血鬼たちの姿は消え、代わりに見えてきたのは、陽光が降り注ぐLAでにっこりと笑ってわが子を抱えたエズラ・クーニグの姿だった。そう、クーニグ自身が語るように、「人生は進む」。後ろに進んだら大変だからだ。

 “Harmony Hall”のシンコペーションするピアノやクワイア、コンガの響きからはローリング・ストーンズの“無情の世界(You Can't Always Get What You Want)”を、あるいはそれを意識的になぞったプライマル・スクリームの“Loaded”や“Come Together”を思い出した。そして、スティーヴ・レイシーとの“Sunflower”や“This Life”のギターの音色(『Father of the Bride』はギターのアルバムでもある)からは、一貫してバンドの音楽にインスピレーションを与え続けきたアフリカのポップ・ミュージックにおけるそれを想起した。つまりそこから聞こえてくるのは、驚きや鮮やかさというよりは、ある種の安心感をともなった既視感、既聴感。ぼくは『Father of the Bride』を聞いて、西アフリカのザイールを代表するギター・ヒーロー、フランコのCDを引っ張り出してみたり、持っていなかった彼の作品をいくつか買い足したりした。それから、大陸南部にあたるジンバブエの、トーマス・マプフーモのミニマルで陶酔的だが同時に戦闘的なチムレンガに思いを馳せたり、キューバ音楽からの影響が色濃いギニアのベンベヤ・ジャズ・ナシオナルをランダムに聞いてみたりもした。そんなことをしながら、〈シラール・レコーズ〉のファウンダーであるイブラヒマ・シラの娘、ファンタ・シラが書いた記事「ヴァンパイア・ウィークエンドに父の遺産を聞いて」を興味深く読んだ。

 〈シラール・レコーズ(Syllart Records)〉は1981年に設立されたパリのアフリカ音楽レーベルで、セネガルのユッスー・ンドゥールやマリのサリフ・ケイタを西欧世界に送り出し、1980年代から1990年代の、いわゆるワールド・ミュージックという市場の確立、その興隆に一役買った(忘れられがちなことだが、北・西・中央アフリカに多くの領地を持っていたフランスは、ワールド・ミュージック市場の要地だった)。その設立者の娘、ファンタは姉から手渡されたヴァンパイア・ウィークエンドのファースト・アルバムを聞いたとき、そこに父が紹介した音楽からの影響を見て取って、誇らしい気持ちになったという。セネガルのンバラ、コンゴレーズ・ルンバやスークース、ズーク・マンディング、コール・アンド・レスポンス……。コロンビア大学の学生たちによる無邪気で知的なアフロポップ風のインディ・サウンドは、「文化の盗用」という以上に植民地主義的だったが、そこにもっとも自覚的になれるはずのシラ自身にとっても問題は複雑だった。彼女はヴァンパイア・ウィークエンドの音楽が好きだったし、大切なものにも感じていたからだ。だが同時に、批判をまぬがれえないともシラは考える。彼ら自身がつけたバンドの見事なコピー「アッパー・ウェスト・サイド・ソウェト」も、スークースやルンバから影響を受けている彼らの音楽にはふさわしいものでなく、ナイーヴだとすら彼女は感じる。どうしてコンゴのキンシャサじゃなくて、南アフリカのソウェトなのか? シラはそう問いかける。

 ここにあるのは、大陸のそこここで独自の文化と様式を持ち、発展している多様なアフリカ音楽の一面化やステレオタイプ化の問題だ。ビザの問題で自国外へのツアーが困難になっているアフリカの音楽家たちを思いながら、シラは「アフロポップ」、「アフロビーツ」、「トロピカル」、そして「ワールド・ミュージック」という曖昧なタームに疑問を投げかけている。彼女のテキストを意訳するならば、アフリカの音楽やミュージシャンたちには(自国でそうされているように)尊敬とともに適切な名が与えられることが必要だということだろう。「アフロポップ」や「ワールド・ミュージック」といった定義の定まらない、ふわっとした言葉をあてがうのではなく、ましてや西アフリカの音楽から影響を受けたニューヨークのバンドを「アッパー・ウェスト・サイド・ソウェト」と呼んでしまうのではなく。

 コンゴ民主共和国の複雑な歴史性とアイデンティティを反映したルンバ/スークースの影響下から離れたとき、バンドは新しい道筋を描き出すだろうとシラは結論づけている。しかしヴァンパイア・ウィークエンド=エズラ・クーニグは、『Modern Vampires』で一度手放したかのように思えた西アフリカの音楽の要素を『Father of the Bride』で自覚的に、再び呼び戻したかのように思える。もちろん、このアルバムを構成しているものはそれだけではないとはいえ、“Rich Man”ではシエラレオネのギタリスト、S.E.・ロジーの“Please Go Easy With Me”がサンプリングされており、先の“This Life”や“Flower Moon”はフランコのギターの音色や音楽を連想させる。クーニグはこのアルバムをインスパイアしたものとして、セガのテレビゲームや三宅一生、ガンダムのポスター、ノースフェイスのテント……といったものを挙げているが、そういったものを並べあげる前に、『Father of the Bride』を音楽的にインスパイアしたものをあきらかにするべきなのではないかと、ぼくは正直にいってそう思った。

 アメリカを憂いながらもクーニグが自身の人生と新たな生命、そして伴侶を祝福するこのアルバムを、だからといって聞く価値がないものだと切り捨てるつもりはない。特にクーニグの言葉には、これまで以上の鋭さや詩的な熱を感じさせるものがたしかにある。たとえば、「怒りは声を求め、声は歌を求める/やがて何も聞こえなくなるまで、歌い手たちはハーモニーを響かせる」(“Harmony Hall”)という詞はエコー・チェンバーの描写として見事だと思ったし、「ベイビー、憎しみは常に門の前で待ち構えている/朝出かけるときには鍵をかけたはずだったけれど」(“This Life”)というラインからは、ヘイトを外部にあるものとして一面的に遠ざけるのではなく、内在し、逃れえない感情として向き合う姿を感じさせる。

 吸血鬼たちのビルドゥングスロマンとしても聞くことができる三部作を経て、ひとつのフェーズを終え、役割をまっとうしたヴァンパイア・ウィークエンドというバンドは、『Father of the Bride』で新しい展開を見せている。クーニグがカニエ・ウェストのレコーディングに参加した経験を念頭に、一曲ごとに複数のミュージシャンを関わらせた制作手法やソングライティングは、これまでにない試みだろう。きっと、ここがバンドの新たな始点になる。ピッチフォークのマイク・パウエルはこのアルバムをボブ・ディランの『セルフ・ポートレイト』や『新しい夜明け』にたとえているけれど、そのアナロジーをじぶんなりに言い換えれば、『血の轍』や、あの苛烈な『欲望』とローリング・サンダー・レヴューはこのあとにやってくるということ。ぼくはヴァンパイア・ウィークエンドの音楽にもう一度驚かせてもらえると、そう信じている。

Black Midi - ele-king

 マス・ロックの新星、結成1年にしてすでに圧倒的なサウンドを打ち鳴らすこの4人組、彼らはいったい何者なのか。6月21日にデビュー・アルバム『Schlagenheim』を〈ラフ・トレード〉からリリースする彼らが、同作をひっさげ来日ツアーをおこなう。要注目です。

噂のブラック・ミディ
デビュー・アルバム『Schlagenheim』を引っさげての、
初来日ツアーのチケット先行販売開始!
レコード店にてフリーサンプルCDの配布もスタート!

6月21日にデビュー・アルバム『Schlagenheim』をリリースする、大注目のブラック・ミディ(black midi)。
ロンドンを拠点に活動を開始し、みるみる大注目バンドとなったブラック・ミディが、遂にデビュー・アルバム『Schlagenheim』を6月21日にリリースすることを発表した。ブラック・ミディは、ジョーディ・グリープ(vo、g)、キャメロン・ピクトン(b、vo)、マット・ケルヴィン(vo、g)とモーガン・シンプソン(ds)の4人で構成され、メンバー全員が19歳か20歳で、アデルやエイミー・ワインハウス、キング・クルールらを輩出した英名門校ブリット・スクールで出会ったという。ゲリラ・ライブを敢行するなど精力的にライブ活動を行い、常に変化するセットリストやその演奏力とオリジナリティ溢れる楽曲から、噂が噂を呼び早くも完売ライブを連発。結成からわずか1年であることから未だに謎が多いが、今最もアツい新生バンドという評判を早々に確立した。海外のバズを受け、ここ日本でもコアな音楽ファン達の注目を集める中、デビュー作を引っさげた初来日ツアーが決定し、明日よりチケット先行販売がスタート!

また、レコード店ではフリーサンプルCDの配布も開始!

9/5 (THU) 東京:UNIT
OPEN 18:00 START 19:00 前売¥5,500(税込)
※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可
INFO: BEATINK 03 5768 1277 [www.beatink.com]

9/6 (FRI) 大阪:CONPASS
OPEN 19:00 START 19:30 前売¥5,500(税込)
※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可
INFO: CONPASS 06 6243 1666 [https://www.conpass.jp]

9/7 (SAT) 京都:METRO
OPEN 17:30 START 18:00 前売¥5,500(税込)
※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可
INFO: METRO 075-752-2787 [info@metro.ne.jp]

label: ROUGH TRADE RECORDS / BEAT RECORDS
artist: black midi
title: Schlagenheim
release date: 2019/6/21 (金) ON SALE

国内盤CD RT0073CDJP ¥2,400(+税)
ボーナストラック2曲追加収録 / 解説・歌詞対訳冊子封入

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