「You me」と一致するもの

Huerco S. - ele-king

 ゲーム・チェンジ的な傑作が、といった印象の作品です。USカンザス出身~ニューヨーク拠点のアーティスト、ブライアン・リーズのプロジェクト、フーエアコ・エス名義の3作目となるフル・アルバム(間にカセット・リリースのアルバム大の作品『Quiet Times』もあり)。リリースはアンソニー・ネイプルズと写真家でもあるジェニー・スラッテリー(Jenny Slattery)によるニューヨークのレーベル〈Incienso〉から。

 2010年代初等、キャリア初期のハウス・トラックで朋友アンソニー・ネイプルズとともに注目を集め、なんといいますか、そのセオ・パリッシュをベーシック・チャンネルがクアドラント名義でミックスしたような、そんなビートダウン・ハウスをガス状のダブ・ヴァージョンにした2013年のファースト『Colonial Patterns』を OPN のレーベル〈ソフトウェア〉からリリース。続く、2016年の本名義のセカンド『For Those Of You Who Have Never (And Also Those Who Have)』(アンソニーの〈Proibito〉よりリリース)では、さらにダブ・アンビエント・テクノ色を強め、その表現においてひとつの転機とも言える作品になりました。そして続く2018年のペンダント名義『Make Me Know You Sweet』や、昨年の同名義『To All Sides They Will Stretch Out Their Hands』などでは、さらにアブストラクト、かつダークなアンビエント・テクノをリリースしています。

 ここ数年は上記のようにアンビエント・タッチの作品が多かったのですが、まず本作の大きな変化は本名義でひさびさとなるリズムを主体とした作品(といってもハウスではない)となりました。1曲目 “Plonk I” では、それまでどこか避けていたように思えるクリアなニューエイジ的なサウンド感覚も援用しつつ、リズムの躍動感を主眼にした展開に。まさにイントロとして本作品の新機軸感を醸し出しています。この曲が象徴するように、これまでの作品のトレードマークでもあったエコー/リヴァーブ感、ガス状のダブ感が晴れて、全体的にクリアな質感が増幅された点も、同名義の作品としてはわかりやすい変化と言えるでしょう(ラスト・トラックなどにはダブの残り香はあり)。そして2曲目~4曲目 “Plonk II~IV” と、アルバムが進むうちに否応なしに本作の主眼が「リズム」にあることが明白になっていきます。インタールード的に、過去のダブ・アンビエント路線を彷彿とさせる “Plonk V” を挟んで、キラキラとしたシンセ音と後半はスロウなブロークンビーツがグルーヴをノッソリと刻む、アルバム・ハイライトとも言える “Plonk VI”。ノンビート的な “Plonk VII” にしても、エコーの重奏的な絡み合いにしてもベースラインとともにリズムの幻惑をさせるような感覚。どこか90年代後半のエイフェックス・ツインを彷彿とさせるエレクトロ “Plonk VIII”、そして次いで繰り出されるのは初となるヴォーカル(ラップ)トラック。〈Future Times〉からの Tooth Choir による濃いアシッディーなトラックでのラップが印象深い、気だるい SIR E.U のラップのバックには、まるでスピーカー・ミュージックの強烈なドラム連打を煙に巻いたような、もしくはドリルンベース的とも言えるドラム・サウンドが亡霊のように揺れ動いています。最後の曲こそ、同名義の前作を豊富とさせるダブ・アンビエント(とはいえこれも圧巻のクオリティ)ですが、本作の中心は、やはりリズムのアプローチというのが大方のリスナーの印象ではないでしょうか。

 小刻みなリズムが絡みつくストレンジなシンセが有機的に融合した感覚は、ある意味で90年代中頃までのまだリズムの冒険に意欲的だったテクノ──「ハウス」、もっと大きく言えばダンス・グルーヴのループ・リズムからの脱却と、それに伴うリズムの打ち込みの細分化は、1990年代前半のデトロイト・リヴァイヴァルやリスニング・テクノの先鋭化にも通じる感覚ではないでしょうか。また肝としては、IDMというほどエレクトロニカ的なグリッチ感覚が薄いというのも重要ではないかと。それこそパリスのところで書いたような〈リフレックス〉が標榜していた “ブレインダンス” 的とも言えそうな感覚でもあります。

 アンビエントものから、こうしたリズム主体の動きということで言えば、なんとなく思いつくのが彼のここ最近の周辺の動きです。ペンダント名義の作品をリリースしている、自身のレーベル〈West Mineral〉から、Ben Bondy、Ulla Straus、uon といったアーティストの作品や自身とのコラボ作品をリリース。言い換えると、ほぼ同様の人脈が交差する(はじめは傘下のレーベルかと思ってました)、Special Guest DJ(という名義のアーティスト)主宰の〈3XL〉(傘下に〈Experiences Ltd. / bblisss / xpq?〉あり)周辺人脈と、ここ数年は関係を深めているように見えます。ブライアン参加のプロジェクト(Ghostride The Drift など)も含めて、これらの動きには、ダブ・アンビエントやエコーの残響音の中に、アブストラクトに亡霊化したジャングル、ダンスホール、IDM、などなどさまざまな要素を含んだまさにレフトフィールドなテクノの最前線的な作品が目白押しといったところでとても刺激的です。NYとベルリン・スクールを結ぶ地下水脈としてここ数年おもしろい動きを見せています。最近では〈West Mineral〉からは、〈3XL〉のオールスターとも言える、virtualdemonlaxative というプロジェクトがブルータルなノイズ~ブレイクコア的な作品をリリースし話題にもなりました。前述の Ghostride The Drift や Critical Amnesia のような〈3XL〉周辺人脈とのコラボは、本作につながりそうなブレインダンス的なリズムの援用がなされており、そのあたりに本作のリズムへのアプローチの出自があるのではという見方もできます。

 生楽器を取り入れながらも、なんというかポスト・ロックやフュージョンの呪縛にハマらない、エレクトロニック・ミュージックとしてのいい塩梅を提示した、アンソニー・ネイプルズの『Chameleon』とともに、リスニング・テクノの、新たな可能性を示したそんな感覚の作品でもあって、これまたその周辺の動きも含めて、まだまだ注目させるに相当しい作品を世に問うてしまったという、そんな作品ではないでしょうか。

Thundercat - ele-king

 待ち望んでいた皆さんに朗報です。パンデミックの影響で何度も延期になっていたサンダーキャットの来日公演、ついに振替の日程が決まりました。アーティストの強い意志もあり、今回発表するに至ったとのこと。
 なお依然として会場のキャパシティ制限があるため、各日2部制へと形態が変更されています。詳細は下記をご確認ください。

再振替公演日程決定!
来日公演形態変更[各日2部制へ]のお知らせ

先日政府より発表された水際対策の緩和を受け、大変長らくお待たせしておりましたサンダーキャット振替公演の日程が確定いたしました。ご協力いただいた関係各位、とりわけ前売チケットをご購入いただき、長期間お待ちいただきましたお客様には厚く御礼申し上げます。
指定の検査、ワクチン接種など入国に際し求められる要件をクリアすることで5月に開催する目処が立ち、またアーティストの強い意志もあり、急遽新日程を発表する運びとなりました。

ただし、コロナ禍でのイベント開催に係る規制、キャパシティ制限を踏まえて本公演の開催を実現するため、各日2回公演制(1st Show/2nd Show)への変更しなければならないことをご了承ください。安全面を最大限考慮しながら、皆様にお楽しみいただくための判断となりますので、何卒ご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

THUNDERCAT 振替公演 新日程
2022/5/16 (MON) TOKYO GARDEN HALL
2022/5/17 (TUE) OSAKA BIGCAT
2022/5/18 (WED) NAGOYA CLUB QUATTRO

東京公演
2022/5/16 (月)THE GARDEN HALL
1st Show - OPEN 17:30 / START 18:15
2nd Show - OPEN 20:30 / START 21:15

大阪公演
2022/5/17 (火) BIGCAT
1st Show - OPEN 17:30 / START 18:15
2nd Show - OPEN 20:30 / START 21:15

名古屋公演
2022/5/18 (水) 名古屋 CLUB QUATTRO
1st Show - OPEN 17:00 / START 18:00
2nd Show - OPEN 20:00 / START 20:45

大変お手数をお掛けしますが、既にチケットをご購入いただいた皆様には、必ず [1st Show] [2nd Show] [どちらでも良い] のいずれかご希望のご申請いただきます。本イベントを主催するビートインクが、お客様の情報を取得・集計し、追って確定したご来場回をメールにてお知らせいたします。なお、こちらの手続きは、新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに定められたお客様の情報登録も兼ねております。当日のスムーズな入場の為ご協力をお願い申し上げます。詳細は各プレイガイドからのご案内メールをご確認ください。

【希望公演申請受付期間】
2022年3月23日(水)~2022年4月3日(日)

本公演は、政府、自治体および業界団体より示された新型コロナウイルス感染予防のガイドラインに基づいた対策を講じた上で開催いたします。こちらのガイドライン及び注意事項をご確認いただき、ご理解の上、ご来場いただけますようお願いいたします。

新しい公演時間の都合がつかないお客様には、下記期間、要項にてお買い求めになられたプレイガイドより払い戻しいたします。

【払戻し期間】
2022年3月24日(木)~2022年4月11日(月)

【払戻し方法】
※チケットをお買い求めいただいた各プレイガイドにて払い戻しの対応をいたします。
※上記期間外の払い戻しは出来ませんのでご注意ください。
※公演当日に会場での払い戻しの対応は行いませんので予めご了承ください。
※チケットを紛失した場合は一切対応出来ませんので予めご了承ください。
※半券が切り離されたチケットは払い戻しの対象外となります。ご注意ください。

■e+にてご購入のお客様:https://eplus.jp/refund2/
■チケットぴあにてご購入のお客様:https://t.pia.jp/guide/refund.jsp
■ローソンチケットにてご購入のお客様:https://l-tike.com/oc/lt/haraimodoshi/
■ビートインク / Zaikoにてご購入のお客様:https://zaiko.io/contactus
※上記Zaiko問い合わせフォームより、チケット払い戻し希望の旨ご連絡ください。
■SMASH friends 会員のお客さま:https://eplus.jp/refund2/

詳細はこちら
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10824

イベントに関するお問合せはビートインクまで:info@beatink.com
払い戻しについては各プレイガイドまでお問い合わせください。

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THUNDERCAT – JAPAN TOUR
New Schedule for the Postponed Performances
Notice of change in performance format

Following the relaxation of the entry restrictions recently announced by the Government, we are delighted to be able to finally announce the new schedule for The THUNDERCAT Japan tour. THUNDERCAT and his band are very big fans of Japan, and have agreed to undertake all necessary government requirements in order to make the shows happen. We greatly appreciate your understanding and cooperation in bringing THUNDERCAT to Japan and once again apologize for any inconvenience government or industry guidelines may cause.

The shows will go ahead at the announced venues on new dates below, however in light of COVID-19 considerations, we must modify the format to comply with safety regulations including venue capacity limits. In order to accommodate these restrictions and ensure that no-one that has bought a ticket misses out, Thundercat has agreed to perform two complete shows on each day of the tour. We ask for your cooperation with this and trust that all understand it is necessary for the safety of public, staff and the artist.

The new schedule is as follows:

Tokyo performance
2022/5/16 (Monday) THE GARDEN HALL
1st Show: OPEN 17:30 / START 18:15
2nd Show: OPEN 20:30 / START 21:15

Osaka performance
2022/5/17 (Tuesday) BIGCAT
1st Show: OPEN 17:30 / START 18:15
2nd Show: OPEN 20:30 / START 21:15

Nagoya performance
2022/5/18 (Wednesday) Nagoya CLUB QUATTRO
1st Show: OPEN 17:00 / START 18:00
2nd Show: OPEN 20:00 / START 20:45

We apologise for any inconvenience this may cause, but we would like to ask all those who have already purchased a ticket to follow the following preferred show selection procedures. Beatink, the organizer of these events, will collate the requests and notify you by e-mail of the result (either 1st show or 2nd show).

Following this procedure also serves as attendee recognition of the guidelines for measures against COVID-19. We will appreciate your cooperation in ensuring smooth admission on the day.

For further details, please check the guidance email from your respective ticket agency.

[Desired Show Application Validity Period]
23 March 2022 (Wednesday) - 3 April 2022 (Sunday)

All performances will take place under consideration of safety measures based on the guidelines for prevention of COVID-19, as determined by the national and local governments and relevant industry groups. Please be sure to check the “Guidelines for Countermeasures against New Coronavirus Infectious Diseases” and the precautions for purchasing tickets before making a decision regarding attendance.

For customers who cannot accommodate the new performance times, refunds will be made by your issuing agency under the following guidelines.

Refund period:
24 March 2020 (Thursday) - 11 April, 2022 (Mon)

Refund method:
Refunds will be provided from the ticket agency where you purchased your ticket.

* Please note that refunds are not possible outside the above period.
* Please note that refunds will not be provided at the venue on the day of the performance.
* Tickets with separated stubs are not eligible for a refund.
* Please note that we will not be able to reissue any lost tickets.

■ Customers purchasing via e+: https://eplus.jp/refund2/
■ Customers purchasing at Ticket Pia: https://t.pia.jp/guide/refund.jsp
■ Customers purchasing Lawson tickets: https://l-tike.com/oc/lt/haraimodoshi/
■ Customers who purchased at Beatink/Zaiko: https://zaiko.io/contactus?cid=26&type=customer
*Please use the Zaiko inquiry form above to let us know that you would like a ticket refund.
■ SMASH friends member customers: https://eplus.jp/refund2/

Click here for details
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10824
If you have any questions, please contact Beatink: info@beatink.com

The Weather Station - ele-king

 まず、アルバム・タイトルが美しい。「なぜわたしは星を見上げるのか?」。そんな呟きからはじまる音量の小さなピアノ・バラッド “Stars” で、歌い手の彼女、タマラ・リンデマンは幼い頃に母親と見上げた暗い夜空を思い出す。そして今夜、何かに打ちひしがれている「わたし」は、どうして宇宙の美に圧倒されねばならないのか自分に問いかけるのだ。曲中ではそれが2020年になる直前の夜の出来事だったことが明かされるが、この曲を聴いてその豊かな静けさに魅了されるわたしたちは、パンデミックが訪れる以前の世界がどのような姿をしていたか思い出せないままに、暗い空に光る星を探すことになるだろう。

 昨年リリースされたアルバム『Ignorance』をエレキングで紹介しそびれたことを残念に思っていたので、本作を機会にザ・ウェザー・ステーションの存在を取り上げたい。ザ・ウェザー・ステーションはカナダはトロント出身のタマラ・リンデマンを中心とするフォーク・バンドで、実質彼女のソロ・プロジェクトを拡大してきたものだと言っていいだろう。ジョニ・ミッチェルの子どもたちのひとりとしてリンデマンは2000年代終わりごろから抑制の効いたオーセンティックなフォーク・ソングを発表してきたが、2017年のセルフ・タイトル作『The Weather Station』の頃から如実に音楽性を拡張することになる。その実が結ばれたのが室内管弦楽とジャズの要素を大きく導入した『Ignorance』だ。
 僕はまずリード・シングルの “Robber”(https://youtu.be/OJ9SYLVaIUI)に圧倒された。ツイン・ドラムとストリングスがダイナミックに呼応すると、それが躍動し、リンデマンはハスキーで落ち着いた歌声を聴かせる──「わたしは泥棒をけっして信じない」。これはカナダの植民の歴史を背景にした言葉で、同時に現代の強欲な資本主義も射程に入れている。ここに怒りと苛立ちはあるのだが、それらはあくまで優美に、穏やかに、最終的には気分が高揚するジャジーなフォーク・ロックとして表現される。PJハーヴェイの『Let England Shake』ほどコンセプチュアルではないにせよ、自国の歴史に対する疑問をあらわにしながら、そのエモーショナルなエネルギーを抑えられなかったフォーク・ソング集という点では共通している。環境破壊に混乱する歌、グローバルな格差のなかで生きることを仄めかす歌、殺伐とした都市で生活することの疲れを鳥への憧れに託す歌……リンデマンは、現代の社会で起きていることに心を痛めている自分を晒しながら、しかし、アップリフティングなバンド・アンサンブルを一身に背負ってメロウなメロディを温かくパワフルなものへと、ものの見事に昇華する。

『How Is It That I Should Look At The Stars』は『Ignorance』と同時期に作曲された楽曲が収められたアルバムで、終始デリケートできれいなピアノ・バラッドが並べられている。この2作は相互補完的な位置づけにあるという。躍動感に満ちた『Ignorance』を思うと『How Is It That~』はずいぶんスロウで控えめな作品だが、リンデマンの囁きながらも音程をしっかりと取る歌声の魅力と聴き手を陶酔させる叙情的な演奏は変わらない。掠れる声の余韻まで聞かせる “Marsh” にはじまり、木管楽器がそこに淡い色を添えると、“Endless Time” ではよくコントロールされたピアノの演奏がそれ自体で時間の感覚を忘れさせる。本作ではジャズと室内楽が持つ静謐なムードばかりが丁寧に扱われ、メゾピアノのバラッドがあまり主張せずに現れては消えていく。気に留めていなければ聴き逃してしまいそうな小さな歌たち、しかしよく耳を澄ませば身体の深いところまで降りていく歌たちだ。
 ここではリンデマンはオンラインで繋がったコミュニケーションをオフにして、時間の流れについて考えたり、カササギを見つめながら人生の不可解さにたじろいだり、そして子どもの頃に星を見上げた記憶を反芻したりしている。男声とのデュエットとなる “To Talk About” で彼女は、そんな自分は「怠惰だ」という。「わたしは怠惰だ、わたしは愛について話したいだけだから」と。僕がこの歌に思わず息を呑んでしまうのは、自分にも身に覚えのあることだからだ。すべてのタスクを無視し、世界で起きている恐ろしいことも忘れ、愛についてだけ考えたいときがあることを。この歌たちは、そんな怠惰さを肯定も否定もせずに、ただゆっくりと浸るものとして立ち上げてみせる。

 社会の不平等に異議を唱えることも、社会から少し離れて内省的な詩を綴ることも、長くフォーク音楽が果たしてきたことで、リンデマンはまさに現代のフォーク・シンガーとしてその両方をエレガントに実践する。“To Talk About” でリンデマンは最後に「この世界にあるのは愛だけではない」と囁くのだが、だからこそわたしたちは、ときには小さな音に耳を傾け、ニュースを消して夜空に浮かぶ星の輝きを探さねばならない。

Ann Eysermans - ele-king

 このアルバムはベルギーを拠点とするサウンド・アーティスト/ハープ奏者/コントラバス奏者アン・アイザーマンズによる音響作品である。2022年1月末にリリースされた作品だが、はやくも今年のエクスペリメンタル・ミュージックのなかでも重要な作品だと私は思っている。リリースはベルナルド・ソジャーン『Some Deaths Take Forever』や Jean Hoyoux『III Hymne』などの再発でも知られるベルギーのレーベル〈cortizona〉からで、これも注目すべき事実だろう。
 では、このアルバムはどのような作品なのか。簡単に言えばディーゼル機関車のエンジン音にアン・アイザーマンズによる電子変調されたハープやコントラバスの音が重ねられている音響作品である。現実と非現実の境界線が溶け合い、幻想的ともいえるサウンドスケープが生成されている。この音には不思議な没入感覚があり、聴き込むほどに意識を飛ばしてくれる。

 アン・アイザーマンズはブリュッセル王立音楽院で古典的な作曲とジャズを学んだ音楽家である。どうやら即興演奏での活動も展開しているようだが、本アルバムではアン・アイザーマンズの電子音楽家としての側面、エクスペリメンタル・サウンド・アーティストとしての面が展開されている。
 『For Trainspotters Only』のベースとなっているのは、アン・アイザーマンズが5歳のときにアントワープから海辺のリゾート地オーステンデに向かう列車に乗り込んだときの「音の記憶」だ。列車音の環境録音といえば近年ではクリス・ワトソンの『El Tren Fantasma』(2011)を思いだすが、クリス・ワトソンほど環境音のみに特化しているわけではない。演奏などのより「音楽」的な要素が、環境音と交錯しているのである。ハープという伝統的な楽器を用いていることからもコンテンポラリー・クラシカルとしての面も指摘できるかもしれない。
 しかしここが重要なのだが、アン・アイザーマンズによる演奏が入ることによって、「音楽」へと安易に回帰するわけではないのだ。いわば音楽と音の領域を溶かすような「耳の領域」を探求している点が濃厚にある。ふつう「音楽」の要素が入ると、こういった実験作品はいくぶんか先鋭性が後退していくように感じられるが、本作では前進/後退の問題はむしろ前景化せず、音と音楽の「境界線」の問題を探求しているように思える。私はこの点にこそ深く驚愕した。音楽、音響、記憶の融解。

 本作には “4台のディーゼル機関車とハープのための前奏曲/フーガ(Prelude For Four Diesel Locomotives And Harp)” など、全8曲が収録されている。曲ごとに音楽・環境音・ノイズの位置が変化し、聴くものの音の記憶といまここで聴いている世界の音の境界線を溶かすようなサウンドを構成していく。
 録音されている機関車音は「ベルギー国鉄の世界遺産に登録されているディーゼル機関車のHD51、54、55、60」のエンジン音という。そこから発せられる「ノイズ、クランク音、無調性など」のさまざまな音のタペストリーをアン・アイザーマンズは注意深く聴きとり、録音し、編集し、自身のハープ演奏と折り重ねている。すると次第にアン・アイザーマンズが演奏するハープの音などが、機関車の音に溶けてくような感覚が浸透してくる。
 おそらくアン・アイザーマンズは「金属」の硬質で冷たい音に惹かれているのかもしれない。ハープの弦の音もディーゼル機関車のエンジン音も、「金属の音」という点で、このアルバムにおいては同列なのだろう。
 その結果、何が起きるのか。そう、音の境界線が溶けるのだ。いやこういうべきかもしれない。「音が溶ける」のだ。
 リスナーである自分たちの周りにある音たちも、このレコードの音に溶けていってしまう感覚の生成。現実の音が溶けていくような感覚が横溢しているのである。本作は現実の隙間にある幻想を聴かせてくれる。
 
 このアルバムにおいてアン・アイザーマンズは新しいミュジーク・コンクレート、もしくは新しいサウンド・コラージュのかたちを実践している。具体音の接続と構築に、自身の演奏を電子変調させることで、より金属的な音への深い耽溺と没入感覚を生み出しているのだ。この感覚は新しいと思う。
 アン・アイザーマンズは確かに音楽教育を受けた音楽家だが、そのサウンドには自由さがあり、アイデアがあり、音へのフェティッシュともいえる耽溺がある。その意味で伝統的な音楽史の中に組み込むよりは、現代のエクスペリメンタル・アーティストたちとの楽曲・サウンド共に聴いた方が良い。
 たとえばこのアルバムの傍らに、ピエール・シェフェール、リュック・フェラーリなどのミュジーク・コンクレートのレジェンドたちの作品、クリス・ワトソンやフランシスコ・ロペスといったフィールド・レコーディングの巨匠・ヴェテランたちの録音を置くことは可能だろう。しかし一方で、クレア・ラウジーなど現在進行形の新世代音響アーティストたちの作品と共に聴くこともできる。いや、そうすることで「同時代・新世代のエクスペリメンタル・ミュージック」がより鮮明に浮かび上がってくる気がするのだ。
 このアルバムの音は、伝統的な音楽の領域と実験的かつ先進的なエクスペリメンタルな音響音楽が交錯している。「聴くこと」をめぐってリスナーを未知の音響空間へと誘ってくれる名品といえよう。

Floating Points - ele-king

 ロンドン拠点のプロデューサ、DJであるフローティング・ポインツが、新曲 “Vocoder” を〈Ninja Tune〉よりドロップ。昨年の2021年、彼とファラオ・サンダース&ロンドン交響楽団による『Promises』が数多の高評価を得たことは記憶に新しい。新曲はビートにしっかりと下支えされたダンサブルな一曲で、2019年作『Crush』の続きを思わせます。暗い時代だからこそ踊ろう、きっとそういうことだ。

現代最重要プロデューサー、フローティング・ポインツが
新曲『Vocoder』をリリース!

最新オリジナル・アルバム『Crush』は
期間限定スペシャル・プライスで発売中

マンチェスターに生まれ、現在は作曲家/プロデューサー/DJとしてロンドンを拠点に活動するフローティング・ポインツ。昨年はファラオ・サンダース&ロンドン交響楽団とのコラボ作品『Promises』でThe Guardian (Contemporary)、TIME Magazine、The New York Times (Jazz)、Mojo、The Vinyl Factory他多数のメディアで年間ベストの1位を獲得、そして今年に入ってからは宇多田ヒカルの最新アルバム『BADモード』へプロデューサーとして参加し大きな話題を呼んだ彼が、新曲 “Vocoder” をリリース!

Floating Points - 'Vocoder' (Official Audio)
https://youtu.be/Mnq53ZR9v-w

また、初期衝動への原点回帰と音楽的な進化を同時に果たしたセカンド・アルバムとして2019年にリリースされた『Crush』の日本盤CDが期間限定スペシャル・プライスで発売中!国内盤CDはヴィンテージ・ハードウェアで制作された至高の音像をより堪能できる高音質UHQCD紙ジャケ仕様で、ボーナス・トラック「LesAlpx Dub - (JAPANESE SPECIAL EDITION)」を追加収録している。

label: NINJA TUNE
artist: FLOATING POINTS
title: VOCODER

https://floatingpoints.lnk.to/vocoderPR

label: NINJA TUNE / BEAT RECORDS
artist: FLOATING POINTS
title: CRUSH
release date: NOW ON SALE
国内盤CD BRC-615X (期間限定廉価盤〜2022.08.31): \ 2,000 +tax
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10474

deathcrash - ele-king

 リターン、曲を聞きながらこのアルバムのタイトルについてずっと考えていた。
 ロンドンのバンド、デスクラッシュのデビュー・アルバム、どうして最初のアルバムなのに『Return』なんてタイトルをつけたんだろう? スロウコアのような曲が流れるなかで最初に頭に浮かぶのはやっぱりモグワイ(そのなかでも特に『Come on Die Young』)だけど、デスクラッシュはいわゆる轟音に足を踏み入れることはない。音が太くなり、ヴォリュームが上がっていく、でもその手前でデスクラッシュは立ち止まる。突き抜けないで同じ場所をいったり来たり、それが刺激になって脳の柔らかい場所をくすぐり続ける。それは痛みを伴った緩やかな快感で、大きな波ではなくて小さな快感がずっと続く。
 “American Metal” というタイトルのアメリカン・メタルっぽくない曲(それは彼らの “Punk Rock” なのかもしれない)が架空の思い出を思い起こさせるように優しく頭を揺らす。そうして僕は理解する、あぁだから『Return』なのかと。つまりこれは記憶の音楽なのだ。

 デスクラッシュはケンブリッジ大学で出会ったギター/ヴォーカルのティエナン・バンクスとベーシストのパトリック・フィッツジェラルドが2016年にベッドルームで一緒に録音しようと試みたところからはじまったバンドだ。2018年にデスクラッシュという名前がつけられギターのマット・ワインバーガー、ドラムのノア・ベネットが後に加入した。パトリック・フィッツジェラルドはソーリーがフィッシュを名乗っていたころのベーシストでもあり、ティエナン・バンクスはフェイマスの元メンバーでもある。シーンのバンドという感じはあまりしないけど、デスクラッシュは興隆を誇っていたサウスロンドンのシーンと無関係というわけでもない(フェイマスにはブラック・カントリー・ニュー・ロードのアイザック・ウッドがお手本だったと語るジャースキン・フェンドリックスもいた)。なかでも2020年に一緒にツアーを回ったブラック・カントリー・ニュー・ロードはデスクラッシュから影響を受けたことを公言しており、メンバーのタイラー・ハイドは昨年の『the Quietus』のインタヴューで「当たり前かもしれないけど、極端に静かな部分と大きな部分を使い分けることで、曲の中で物語的な構造を生み出して進行できるってこと、非常にソフト、もしくは静かに演奏することで違った楽器を横断することを(デスクラッシュから)学んだんだ」と語っていて、その言葉の通りそれはブラック・カントリー・ニュー・ロードの2ndアルバム『Ants From Up There』に生かされている。だからなのかデスクラッシュの『Return』とブラック・カントリー・ニュ・ーロードの『Ants From Up There』の根底に同じ空気が流れているような感じがするのだ。同じようにそこに漂う記憶や思い出を呼び覚まし、ブラック・カントリー・ニュー・ロードはそれを現在と対比させ、デスクラッシュはその中をずっと彷徨っているようなそんな印象を受ける。

 ドラムの静かなカウントからはじまるオープンニング・トラックの “Sundown”、ギターの音は優しくゆっくりと記憶を呼び覚ますように進み、響き渡るスネアの音が空気を引き締めノスタルジックなだけで終わらせない緊張感をもたらす。ペダルの踏まれたギターは心地よさを感じる痛みを与え、ベースが記憶に質量を加える。ゆっくりとささやくようなティエナン・バンクスのヴォーカルは自分自身に語りかけ、問題を理解しようとしているかのように響き、なおさらに内面世界への歩みを進ませる。8分近いスローテンポの曲にまったく長さを感じないのは、曲が展開する中で頭の中にいくつかのイメージが浮かんでは消えてということを繰り返しているせいなのかもしれない。
 “Matt's Song” のつま弾かれるギターの向こう側でかすかに会話が聞こえてくる。それはベッドでまどろんでいるときに聞こえてくる声のように心地よい不明瞭さをもたらして、“Metro 1” においてのラジオDJのような声、“What To Do” に挿入されるインタヴューの音声(これはスパークルホースのインタヴューだ。彼らはマーク・リンカスが亡くなった後にスパークルホースを知ったのだという)が湧き上がって来るイメージの方向を定める。こうした手法はそれこそモグワイの『Come on Die Young』でも印象的に用いられていたような手法だが、過去との対話を試みているようなデスクラッシュの音楽においてのそれはより一層の郷愁を誘う。それはいつか起こったことなのだ、だから誰かの記憶を覗いているようなそんな気分になる。

 “American Metal” は失われてしまったものに対する虚無や悲しみが時間を経て変化し柔らかなメランコリーとして語られた後、中盤で展開する。「もしあなたが自らの死を選んだのだとしても/マイ・ブルー・ヘブン/僕にただ精一杯やったと言ってくれたことに感謝したい」。そんな言葉の後にヴォーカルが消え、感情がインストゥルメンタルにゆだねられる。それはキャラクターの心理描写を音楽を通しておこなう映画のようで、心の痛みがギターによって表現される。この曲はもしかしたらティエナン・バンクスの21歳で自殺したというおじの存在がモチーフになっているのかもしれない。自身のメンタルヘルスについて語った『ラウダー・ザン・ウォー』のインタヴューのなかでバンクスはこのアルバム『return』とep「people thought my windows were stars」が書かれた時期のことを振り返り、亡くなったミュージシャンや悲しい曲を書くミュージシャンに過剰に同調し、おじや母、友人の苦しんでいる部分に強いシンパシーを感じているようなところがあったと話している。曲の中心に自分を据えることをさけ、インスピレーションを得るために自分の大切な人たちに目を向ける。「いま思うと、自分自身を見るために彼らを覗いていたんだと思います」。そう語るバンクスの言葉通りに、心の内面を覗くようなデスクラッシュの楽曲は聞いているものにある種のイメージを与える。もしかしたらイメージとはその隙間に入りこむものなのかもしれない。穏やかな部分と激しくなる部分の、音のその隙間に、うまく処理の出来ない感情が入り込みそれがぼんやりと形になって現れるのだ。

 「世界が僕たちの音楽に合うように変化した」。ギタリストのマット・ワインバーガーは2020年の『ラウド・アンド・クワイエット』のインタヴューでそんな言葉を残したが、それは確かにそうなのだろう。パンデミックが起こり、外界から強制的に切り離された時代のなかで人びとは立ち止まり自分自身や社会と向き合い考えることを求められた。そんななかでしっくり来るのは攻撃的で性急なポストパンクの音よりも、もっとスピードを落とした自身の内面に深く潜れるような音楽だったのかもしれない。事実、ブラック・カントリー・ニュー・ロードはスリリングなポストパンクの1stアルバムとはまったく違うサウンドの穏やかで優しく慈しむような2ndアルバムを作り上げた。先日素晴らしいデビュー・アルバムを発表したキャロラインにしても広く受け入れられるようになったのはこの影響があったはずだ(実際僕はそうだった。その存在を知ってはいたがキャロラインの良さに気がついたのはロックダウンのときに作られた内省的な音楽を日常的に聞くようになった後だった)。ソーリーのベーシストでブラック・キャット・ホワイト・キャットの主宰であるキャンベル・バウム(つまりパトリック・フィッツジェラルドの後にソーリーに加入したベーシストだ)がロックダウン時に立ち上げたトラッド・フォークのプロジェクト、ブロードサイド・ハックスにしてもこの影響下にあったのかもしれない。アウトプットとして表面に出てくる音は違ってもロンドンのこれらのバンドはそこに流れる空気を共有している、それがなんとも面白い。
 実際にインタヴューのなかでデスクラッシュのティエナン・バンクスはブラック・カントリー・ニュー・ロードの2ndアルバムが出た二日後にベーシストであるタイラー・ハイドと共演したこと、キャロラインのレコードが出ることを楽しみにしていることを語っている。「今年(2022年)はいろんなものが出てきて本当にいい感じだよ。キャロラインのレコードがもうすぐ出るしね。ロンドンのシーンのこの繰り返しが本当に好きなんだ」。そうしてインタヴュアーのどんなところが好きか? という質問に「競争心がないところ」と答える。負けないというライバル心ではなくて、ただ純粋にこれらのバンドが何をやっているかに興味がある、それはきっとブラック・ミディスクイッドにしてもそうで、だからきっと彼らは変化を恐れずに変わっていけるのだろう。お互いがお互いに影響を与えて、そうして変化し進んでいく、ロンドンのシーンのこの反復のサイクルはとても魅力でそういう部分に僕は強く心を惹かれる。
 だから2022年の近い時期に続けて、ブラック・カントリー・ニュー・ロードの2ndアルバム、キャロラインのデビュー・アルバム、そしてこのデスクラッシュのアルバムが出たということは新しい流れを象徴するような出来事なのではと思えるのだ。表面上のジャンルを越えて共鳴するバンドの、このデスクラッシュのアルバムもまた振り返ったときに2022年を表すようなそんなアルバムにきっとなるはずだ。
 『Return』、過去にあった出来事が反映された、記憶のなかから希望を見いだしたこのアルバムから、再び何かがはじまりそうなそんな気配がする。

BudaMunk & Jansport J - ele-king

 ISSUGI5lack とのタッグでも知られる日本の鬼才ビートメイカー、BudaMunk と、ナズ作品への参加などでも注目を集めるLAのプロデューサー、Jansport J が手を組んだ。日米それぞれの現行シーンを盛り上げるビートメイカー同士による新作ジョイント・アルバムには、日本からは ISSUGI や仙人掌、Mr.PUG、Daichi YamamotoKOJOE らが、USからはブルーやデヴィン・モリソン、イラ・J らが参加、じつに強力な1枚に仕上がっている。タイトルは『BudaSport』、発売は8月3日。チェックしておきましょう。

日本をベースに活動し、世界にその名が知られているDJ/ビートメイカー、BudaMunkとNasやHit-Boyらの作品への参加で注目を集めているLAのビートメイカー、Jansport Jによるジョイント・プロジェクト『BudaSport』がリリース! 日本からISSUGIや5lack、仙人掌、Mr.PUG、Daichi Yamamoto、KOJOEら、USからBluやDevin Morrison、Illa J、Like(Pac Div)、Thurzらが参加!

◆ Sick Team、Green
Butterとしての活動や自身のソロなど数々のプロジェクトのリリースに留まらず企業CMの音楽を担当する傍ら、さらに深いアンダーグラウンドな動きも活発化させ活動の幅を広げ、Delicious VinylやFat Beatsから作品をリリースするなど日本だけではなく海外のシーンへも多大な影響を与えているDJ/ビートメイカー、BudaMunk。LAを拠点にソウルフルなビートを軸に自らのプロダクションスタイルを確立し、NasやHit-Boy、Benny The Butcher、Freddie Gibbs、Bluなどメジャーからアンダーグラウンドまで様々なラッパーへビートを提供するだけでなく自らの名義でも作品をリリースしているプロデューサー、Jansport J。このふたりによるTYO to LAなジョイント・プロジェクト『BudaSport』がリリース。
◆ 本作はJansport Jが来日した際にBudaMunkと行なったセッションを中心に全てが両者のコラボレーションによるものであり、BudaMunkとJansport Jに所縁あるアーティストが日米から集結。日本サイドからはSick TeamのISSUGI、5lackを筆頭に仙人掌、Mr.PUG、Daichi Yamamoto、KOJOE、GAPPER、OYG、Ume、LafLife、USサイドからはKendrick Lamar作品への参加で知られるLike(Pac Div)やDr. Dreの最新作への参加も話題なThurzを始め、BluやDevin Morrison、Illa J、Slim Jeff、Quadryが参加している。

[商品情報]
アーティスト: BudaMunk & Jansport J
タイトル:  BudaSport
レーベル: King Tone Records / All Attraction, No Chasin’/ Jazzy Sport / P-VINE, Inc.
仕様: CD / LP(完全限定生産) / デジタル
発売日: CD・デジタル / 2022年4月20日(水)
LP / 2022年8月3日(水)
品番: CD / PCD-94110
LP / PLP-7846
定価: CD / 2.640円(税抜2.400円)
LP / 3.850円(税抜3.500円)

[TRACKLIST]
01. Intro (tonite!)
02. Old School, New Design ft. Blu & ISSUGI
03. Make it Happen ft. 仙人掌 & Mr.PUG
04. Callin’
05. Spice ft. Illa J, Devin Morrison & Daichi Yamamoto
06. Can’t Hide It
07. Susy ft. Slim Jeff & Ume
08. Pretty Eyes
09. All Praise Due ft. Like & 5lack
10. Jungles
11. 21’til ft. Kojoe & Thurz
12. PipeLine ft. LafLife
13. Whereva You At ft. Quadry & Ume
14. Tell The World
15. 未来への希望 ft. OYG & GAPPER

[BudaMunk / Profile]
新宿生まれ。96年にLos Angelesに渡り、在住中にビートを作り始める。2006年に帰国後Sick Team、Green Butterとしての活動や、自身のソロなど数々のプロジェクトをJazzy Sport、Dogearからリリース。企業CMの音楽を担当する傍ら、さらに深いアンダーグラウンドな動きも活発化させ活動の幅を広げてきた。現在も国内、海外のアーティストとのセッション、ビートメイクを繰り返し、USのDelicious VinylやFat Beatsからリリースするなど日本だけではなく海外のシーンへも多大な影響を与えている。

[Jansport J / Profile]
LAを拠点にソウルフルなビートを軸に自らのプロダクションスタイルを確立するJansport J。Nas、Hit-Boy、Benny The Butcher、Dom Kennedy、Freddie Gibbs、Bluなど、メジャーからアンダーグラウンドまで様々なラッパーへビートを提供するプロデューサーであり、自らの名義でも2008年のデビュー以降、多数のソロアルバムやビートテープを発表している。2008年にはデビュー作となるミックステープアルバム『The Carry-On Experience』をリリース。その後もビートテープやミックテープを数々発表しながら、様々なアーティストの作品へプロデューサーとして参加し、2014年にはLAの名門レーベル・Delicious Vinylからアルバム『The Soul Provider LP』をリリース。その後作品は毎年のように更新され、2018年末から12ヶ月連続で計12本のビートテープをデジタルリリースするという偉業も成し遂げる。2020年以降もその勢いは止まることなくソロアルバムやコラボレーション作品のリリースを重ね、今年発表されたNAS『King’s Disease II』ではHit-Boyと共に2曲をプロデュースするなど、Jansport Jの溢れ出るクリエイティビティの熱は止まること知らない。

Superorganism - ele-king

 それはおよそ5年前。けだるいヴォーカルとロウファイなサウンドが印象的なポップ・チューン “Something For Your M.I.N.D.” で浮上してきた多国籍グループ、スーパーオーガニズム。制作はオンライン越しというネット時代の申し子とも呼ぶべき彼らは、2018年の〈ドミノ〉からのファースト『Superorganism』でさらなる注目を集め、ゴリラズホット・チップのリミキサーに抜擢されたりもしたわけだが、ここへ来て突如ニュー・アルバムのリリースがアナウンスされた。『World Wide Pop』と題されたセカンドにはスティーヴン・マルクマスはじめ、ディラン・カートリッジ、ピ・ジャ・マ、CHAI、星野源といった面々が参加している。リリースは7月15日。この夏話題の1枚になりそうだ。

スーパーオーガニズムの最新アルバム
『World Wide Pop』が7月15日にリリース決定!
星野源、CHAI、スティーヴン・マルクマス、ピ・ジャ・マ、ディラン・カートリッジら世界中から超豪華ゲストが参加!
NEWシングル「Teenager」のミュージックビデオが公開!

2017年にスーパーオーガニズムがシーンに登場すると、サイケデリックなインディー・ポップからファンキーな弾けるようなエレクトロニカをごちゃ混ぜにする “ポスト・エヴリシング” とでも形容すべき大胆不敵な美学が、フランク・オーシャンやヴァンパイア・ウィークエンド、サヴェージズのジェニー・べス、ゴリラズといったアーティストから支持を集め、あっという間に世界中の音楽ファンを魅了した。ここ日本でも5都市をめぐるツアーをソールドアウトさせ、フジロックとサマーソニックに出演するなど絶大な人気を獲得しているスーパーオーガニズムが、2018年のデビューアルバム以来となる待望の2ndアルバム『World Wide Pop』を7月15日にリリースすることを発表した。また、今回のアルバム発表とあわせて新曲「Teenager」も解禁されている。

Superorganism - Teenager (feat. CHAI & Pi Ja Ma)
https://superorganism.ffm.to/teenager-yt

CHAIとピ・ジャ・マが参加した本楽曲は、思春期の情熱と感情を持ち続けることを称え、シニシズムを否定する。マドンナやデュア・リパ、フランツ・フェルディナンドも手がけるトップ・プロデューサー、スチュアート・プライスをプロデューサーに迎え、ベッドルームから生まれた楽曲がIMAXスケールのインパクトを与えるというバンドの狙いが見事に表現されている。「Teenager」をはじめ、アルバム全体を通して、ミレニアム時代のエモーショナルなシンセサイザーと、不器用かつワイルドな奇妙さが融合され、スーパーオーガニズム特有の遊び心を損なうことなく、表現の質感が見事にアップグレードしている。

公開された「Teenager」のミュージックビデオには、コメディアンや俳優として活躍し、最近ではYouTubeで公開しているダンス動画が注目を集めているブライアン・ジョーダン・アルバレスが出演。このコラボレーションは、ダンス動画のファンだったバンドが、アルバレスに声をかけて実現した。没入感が高く、超カラフルかつワイルドなスーパーオーガニズムの世界に、アルバレスの開放的なダンスをフィーチャーした映像は必見! 楽曲に参加したCHAIからは以下のコメントが届いている。

Superorganismとはイギリスツアーをオープニングアクトで一緒にヨーロッパを回った以来、
いろんなフェスで会うことも多くて、ライブで歌で参加したりダンスで参加したり、いろんな形でセッションをしてきた愛おしい仲間⭐⭐
私たちが心から尊敬する自由なアーティストです⭐
"自由な音楽" ってゆうのがちょー似合うアーティストで
普段から音で遊ぶこと、仲間との時間を
何より大切にしとるな~って遊んでみるとより感じる。
そんなSuperorganismと一緒に遊びながら歌ったのがこのTeenager〓〓
完成にちかい音源をきかせてもらって適当に遊びながら歌ってたのを撮ってくれてた♡
いつもみんなと遊ぶと
『歌ってみて!』の合図と共にナチュラルレコーディングがはじまる!すごく楽しい♡
──CHAI

現在はオロノ (Orono)、ハリー (Harry)、トゥーカン (Tucan)、ビー (B)、ソウル (Soul) を中心に活動している彼らだが、今作には彼らにしか成し得ない超豪華かつ国際的なコラボレーターが多数参加。バンドの親しい友人であり、以前ツアーも共にしたCHAIとフランスのシンガーソングライター、ピ・ジャ・マ(Pi Ja Ma)、オロノにとって長年のアイドルだというペイヴメントのスティーヴン・マルクマス、UKのオルタナティヴ・ヒップホップ・アーティストでラッパーのディラン・カートリッジ、そして日本からはもう一人、以前から親交の深い星野源が参加。星野源とスーパーオーガニズムは、星野源が2019年にリリースしたEP作品『Same Thing』の表題曲でもコラボレートしている。

巧妙さと真摯さ、SF的なバカバカしさと現実の強烈さの両面性を兼ね備えた13曲の本編から構成される『World Wide Pop』。メンバー全員が同じ時間に同じ場所で過ごすようになる前の段階からすでに完成していたという前作とは異なり、実際に顔を合わせて制作したことによって、メンバー同士が互いの関心と衝動をあらためて深く理解したことを示すショーケースとなっている。

スーパーオーガニズム待望の2ndアルバム『World Wide Pop』は、CD、LP、カセットテープ、デジタル/ストリーミング配信で7月15日(金)に世界同時リリース! 国内盤CDにはボーナストラックが追加収録(後日詳細発表)され、歌詞対訳と解説書が封入される。LPフォーマットは、ブラック・ヴァイナル仕様の通常盤とゴールド・ヴァイナル仕様の限定盤、そして日本語帯・解説書付の限定盤(ゴールド・ヴァイナル仕様)で発売され、国内盤CDと日本語帯付限定盤LPには、オリジナルTシャツ付セットも発売される。

label: Domino / Beat Records
artist: Superorganism
title: World Wide Pop
release: 2022.07.15 FRI ON SALE
国内盤CD BRC699 ¥2,200+税
解説+歌詞対訳冊子 / ボーナストラック追加収録
国内盤CD+Tシャツセット BRC699T ¥6,200+税

帯付限定輸入盤1LP (ゴールド・ヴァイナル)
WIGLP448XBR
帯付限定輸入盤1LP (ゴールド・ヴァイナル)+Tシャツセット
WIGLP448XBRT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12674

TRACK LIST
01. Black Hole Baby
02. World Wide Pop
03. On & On
04. Teenager (feat. CHAI & Pi Ja Ma)
05. It's Raining (feat. Stephen Malkmus & Dylan Cartlidge)
06. Flying
07. Solar System (feat. CHAI & Boa Constrictors)
08. Into The Sun (feat. Gen Hoshino, Stephen Malkmus & Pi Ja Ma)
09. Put Down Your Phone
10. crushed.zip
11. Oh Come On
12. Don't Let The Colony Collapse
13. Everything Falls Apart
+Bonus Track (BRC699)

Horace Andy - ele-king

 ジャマイカの希代のシンガー、その宇宙クラスの甘い声によって、アーリー・レゲエの時代から“Skylarking” や “Money Money” といったクラシックを持つホレス・アンディ。その魅力たっぷりのヴォーカルはかれこれ半世紀近く、世界中の音楽ファンを魅了しつづけてきた。1991年、マッシヴ・アタック『Blue Lines』への参加によりレゲエ・ファン以外にもその存在を知られるようになったホレスだが、その後のベーシック・チャンネルによる一連の〈Wackies〉リイシューで彼の音楽に触れた世代もいるだろう。4月8日、このレジェンドの新作が〈On-U〉からリリースされる。
 現在、ジェブ・ロイ・ニコルズ、エイドリアン・シャーウッドとアスワドの故ジョージ・オーバンとのコラボによる “Try Love” が公開中だ。アルバムにはメッセージの込められた新曲から代表曲の再演までを収録、『Blue Lines』の “Safe From Harm” の新ヴァージョンも収められているようだ。かの名曲がどのように蘇ったのか──必聴の1枚です。

HORACE ANDY
美しいファルセットと卓越したメロディー・センスを持つ至高のシンガー
そしてマッシヴ・アタックが敬愛するレジェンド、ホレス・アンディ。

4/8 発売の最新作『Midnight Rocker』より、
ニュー・シングル「Try Love」を公開!

ジェブ・ロイ・ニコルズ、プロデューサーのエイドリアン・シャーウッド、そして亡きジョージ・オーバン(Aswad)が共同作曲!

〈On-U Sound〉は、ジャマイカ音楽の豊かな歴史において時代を超越する偉大なシンガーソングライターのひとり、ホレス・アンディによる真の傑作アルバムを紹介できることを非常に光栄に感じている。こ のパフォーマンスはまさに金色の星のごとく燦然と輝くものであり、私にとって大きな誇りである。 ──エイドリアン・シャーウッド

70年代、80年代に〈Studio One〉や〈Wackies〉などのレーベルで制作した「Skylarking」、「Money Money」他、数々の名作によって、世界中のレゲエファンから愛される存在となった伝説的シンガー、ホレス・アンディ。90年代以降はマッシヴ・アタックの作品に参加したことでレゲエ以外のシーンに衝撃を与え、彼らの全てのスタジオ・アルバムに参加、更に常に彼らのツアーを支える主要メンバーとして活躍しており、より幅広い音楽ファンを虜にし続けている。そんな彼が、エイドリアン・シャーウッドをプロデューサーにむかえて〈On-U Sound〉よりリリースする最新作『Midnight Rocker』(4/8発売)より、ニュー・シングル「Try Love」を公開!

Horace Andy - Try Love
https://youtu.be/6mDLSr4l1_c

「Try Love」ではジェブ・ロイ・ニコルズ、プロデューサーのエイドリアン・シャーウッド、そして亡きジョージ・オーバン(Aswad)が共同作曲を行った。楽曲には富と名声という虚飾を捨て、周囲の人々への愛を受け入れるという、普遍的な意識のメッセージが込められている。

『Midnight Roker』の制作に際し、プロデューサーを務めたエイドリアン・シャーウッドは、自身がリー・スクラッチ・ペリーのアルバム『Rainford』や『Heavy Rain』に携わって学んだ、円熟期を迎えたミュージシャンの作品にとってふさわしい取り組み方を踏襲した。一流のミュージシャンを集めたチームを編成し、何ヶ月もかけてパフォーマンスやアレンジやミキシングを仕上げていった。その結果完成した11曲は、優れたテクニックに裏打ちされ、丹念に作り上げられた楽曲となり、ホレス・アンディの唯一無二の歌声の魅力をより一層際立たせる結果となった。

曲目の中には、「Mr. Bassie」のように、ホレス・アンディの既存の名曲をセルフ・カバーしたものもあるが、「Watch Over Them」や「Materialist」のように、多くの楽曲は現代ならではのメッセージを込めて新たに作曲したものである。さらに、アンディにとって最も深い交流のあるグループ、マッシヴ・アタックの作品の中から、初期の大人気曲「Safe From Harm」の新バージョンまでを収録している。原曲の「Safe From Harm」ではシャラ・ネルソンがボーカルを務めていたが、ここではホレスがマイクを握っている。

今回のアルバムでバックを支えるバンドには、〈On-U Sound〉を代表する精鋭ミュージシャンが揃っており、参加メンバーには、ガウディ、スキップ・マクドナルド、クルーシャル・トニー、アイタル・ホーンズ、そして亡きスタイル・スコット、ジョージ・オーバンが名を連ねている。

リー・スクラッチ・ペリーの『Rainford』と同様に、『Midnight Roker』に関しても全曲のダブミックスバージョンを収めたアルバムの制作が予定され、2022年後半のリリースが期待されている。

待望の最新作『Midnight Rocker』は4月8日にCD、数量限定のCD/LP+Tシャツセット、LP、デジタルでリリース! 国内盤CDには解説が封入され、ボーナストラック「My Guiding Star」が収録される。LPは日本語帯付き仕様の限定盤(レッド・ヴァイナル)に加え、通常盤(ブラック・ヴァイナル)でのリリースが予定されている。



label: On-U Sound / Beat Records
artist: Horace Andy
title: Midnight Rocker
release date: 2022.04.08 FRI ON SALE

国内盤CD BRC695 ¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳封入

国内盤CD+Tシャツ BRC695T ¥6,600+税
帯付き限定盤(レッドヴァイナル)+Tシャツ ONULP152BRT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12365
Tower Records: https://tower.jp/artist/discography/174938

TRACKLISTING:
01. This Must Be Hell
02. Easy Money
03. Safe From Harm
04. Watch Over Them
05. Materialist
06. Today Is Right Here
07. Try Love
08. Rock To Sleep
09. Careful
10. Mr Bassie
11. My Guiding Star (Bonus Track)

interview with Fieh (Sofie Tollefsbøl) - ele-king

日本のメディアでインタヴューができるなんてとても嬉しい!

 2017年にノルウェーから登場してきた7人組バンドの FIEH(フィア)。リード・シンガーのソフィー・トレフスビョルの柔らかなヴォーカルをフロントに立て、都会的でジャジーな肌触りの演奏やドリーミーな雰囲気を醸し出すコーラスをまとい、2019年にリリースしたデビュー・アルバムの『コールド・ウォーター・バーニング・スキン』は、ハイエイタス・カイヨーテムーンチャイルドに続く新世代のネオ・ソウル・バンドと評価された。その後、このアルバムのUKでの発売元が〈デッカ〉だった関係で、〈ブルーノート〉のカヴァー・プロジェクトの『ブルーノート・リ:イマジンド・2020』に参加してウェイン・ショーターの “アルマゲドン” をカヴァーするなど、注目を集める存在へ着々と進んでいく。そうして発表したセカンド・アルバムが『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』である。

 『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』には前作にあったネオ・ソウルやヒップホップ/R&B的な路線も存在するが、ほかにもインディ・ポップやポップ・ロック、シンセ・ポップ的な要素もあり、全体としてとてもヴァラエティに富んだカラフルなアルバムとなっている。タイプとしてはハイエイタス・カイヨーテのアルバムに近い印象なのだが、バンドとしての進化や音楽性の拡大を感じさせる作品である。そして、そこにはプロデューサーとして参加したジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットや、エンジニアとして参加したラッセル・エルヴァド(ディアンジェロの『ヴードゥー』はじめザ・ルーツの作品などを手掛けてきた)の存在も見え隠れする。今回のインタヴューはそんなフィアの誕生から現在に至る道程、そして『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』についてなどを、グループの中心人物であるソフィー・トレフスビョルに訊いた。

シーンの全員が全員を知っている感じね。ジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットは私たちのアルバムをプロデュースしてくれたし、もちろん繋がりを感じる。

フィアは日本ではほぼ初めて紹介されるバンドですので、まずはバンドの結成から伺います。いつ頃、どのようなメンバーがどのように集まり、フィアは結成されていったのですか?

ソフィー・トレフスビョル(以下ソフィー):そうね、日本のメディアでインタヴューができるなんてとても嬉しい! 最初フィアがスタートしたときは私ひとりだったんだよね。もともとガレージバンドやロジックなどの音楽ソフトを使ってひとりで曲を作っていたんだけど、それらの曲をほかのバンドをやってる友だちとかに聴いてもらって。そのなかにいまフィアでベースとドラムを担当しているアンドレアス(・ルーカン)とオラ(・エーヴェルビィ)もいたんだよね。それで彼らが組んでた別のバンドで出演したライヴで私が作った曲を数曲演奏して。そのライヴがとっても良い感じだったから、これはもうバンドにするしかないでしょ! って感じではじまった。

フィア(Fieh)という名前はどこからきているのですか?

ソフィー:最初の曲を配信しようと考えたときに、アーティスト名が必要だと気づいたんだ。この名前についてはラッパーのナズに影響を受けたと思う。彼の本名は「Nasir」って言うんだけど、私も彼のように自分の名前からもじろうと思って。私の名前は「Sofie」だから「Fie」はそこから取って、残りの “h” がエリカ・バドゥを真似たんだ。彼女の本名は「Erica」だけど、アーティスト・ネームでは “h” が「Erykah」の最後についてるでしょ。だから私も “h” を付け加えて、「Fieh」にしたってわけ(笑)。

ソフィーさんはバンドのリード・シンガーですが、あなた自身の音楽キャリアはどのようにはじまりましたか? 幼少のころに好きだった音楽や影響を受けたアーティストなどについても教えてください。

ソフィー:私がピアノをはじめたのは10歳のときだった。私には兄がいるんだけど、当時その兄はギタリストでブルースをよく弾いていたのね。ブルースのコンサートやフェスティヴァルにも連れてってもらった。彼はほかにもソウルを教えてくれた。アレサ・フランクリンとかレイ・チャールズとかをね。だから私は子供の頃はブルースやソウルが好きだった。それから小学校を通してカニエ・ウェスト、ファレル、スヌープ・ドッグ、アウトキャストとかのヒップホップにも夢中になった。その後高校生のときにレッド・ツェッペリンとかザ・ドアーズとかのロックにハマった時期があったし、ほかにも高校時代はレッド・ホット・チリ・ペッパーズの大ファンになった。いまでも大好きなんだけどね。私が歌いはじめたのはバンドと出会った頃だから17歳くらいかな。その頃は同時にディアンジェロ、J・ディラ、エリカ・バドゥ、ザ・ルーツのようなR&Bやネオ・ソウル、ヒップホップのアーティストにもとても興味があったんだけど、それからオスロ音楽アカデミーに通いはじめてジャズの沼にハマりはじめたのよね。特にジョン・コルトレーン、アリス・コルトレーン、セロニアス・モンク、ジャッキー・バイアードとかがお気に入りかな。いままであげてきたアーティストはいまでも大好きだし、ほかにも最近だとビョーク、ケイト・ブッシュ、シュギー・オーティスやソランジュとかにハマってる!

フィアはノルウェーのオスロを拠点に活動していますが、オスロ及びノルウェーの音楽シーンの状況はいまどんな感じですか? 日本にはリンドストロームプリンス・トーマスといったニュー・ディスコ系のDJ/プロデューサーの情報などは断片的に入ってきますが、全体としては情報量が多くはないので、あなたたち周辺の音楽シーンの状況を教えていただければと思います。

ソフィー:リンドストロームとプリンス・トーマスは最高! ノルウェーには世界的に活躍しているポップ・アーティストとしてオーロラとシグリッド、ガール・イン・レッドがいて、有名なエレクトロニック・アーティストとしてはいま言ったリンドストロームとプリンス・トーマスのほかにロイクソップがいる感じかな。オスロのジャズ・シーンは世界でも私が知る限りでベストだと思う。とにかく多様性があって、いろんなバンドがジャンルの垣根を超えた音楽を作ってて。例えばジャズと伝統的なノルウェーの音楽をミックスしたりして、ジャズとポップ、ジャズとロック、ジャズとエレクトロニカとかいろいろなジャンルが混じってるのがオスロのジャズ・シーンの特徴だと思う。マサヴァ(Masåva)とホワイ・カイ(Why Kai)は特にお気に入りだからチェックしてみてね。フィアのメンバーもそれぞれクールなバンドをほかにもやっていたりする。ソルウァイ(・ワン)はナッシング・パーソナル(Nothing Personal)というエレクトロ・トリオ、アンドレアス(・ルーカン)はタイガーステイト(Tigerstate)というインディー・バンド、さっきも紹介したホワイ・カイは(『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』のレコーディング後にフィアに参加した新メンバーの)カイ(・フォン・ダー・リッペ)のジャズ/エレクトロニカのソロ・プロジェクトだし、オラ(・エーヴェルビィ)はダマタ(Damata)というジャズ・トリオでもプレイしていて、リーデ(・エーヴェレオス・ロード)は彼のソロ・ジャズ・アルバムを2019年にリリースしてる。

フランク・オーシャンの “ピラミッズ” とかかな。あの曲の変調の仕方と完全にふたつの別のパートが一曲のなかで混合している感じがめちゃくちゃ最高で。リリースされたときバンドのみんなと一緒に聴いたのを覚えているんだけど、めちゃくちゃ衝撃的だった。全然予想もしていなかった、見知らぬ場所で突然に旅がはじまる感じね。

周りに仲のいいアーティストやバンドなどはいますか?

ソフィー:もちろん! オスロを拠点にしている友達だとポン・ポコ(Pom Poko)、モール・ガール(Mall Girl)、テア・ウォン(Thea Wang)、ベハーリ(Beharie)、ホワイ・カイ、ナッシング・パーソナル、タイガーステイト、ダマタとかいて、みんなクールなアーティストだよ!

トランペットのリーデ(・エーヴェレオス・ロード)さんはほかにもいろいろなバンドやプロジェクトで活動していますね。モザンビークというジャズ・バンドで演奏していたり、〈ジャズランド・レコーディングス〉から先ほど話されたソロ・アルバムを出すなど、メンバーのなかでは比較的ジャズのバックグラウンドが強い人のようですが、彼はどんなプレーヤーですか?

ソフィー:その通り! リーデとはオスロ音楽アカデミーでジャズを学んでいたときに出会った。リーデは最高なジャズ・トランペッターね。とにかく名人って感じだし、彼が出すアイデアもいつも最高で。私たちの曲にも間違いなく彼のテイストが色濃く出ていると思うし、ロイ・ハーグローヴ的なジャズのエッセンスは彼のお陰。ちなみに彼はステージ上では素晴らしいダンサーでもあり、パーカッションもできる。一緒にいて楽しいし、彼と一緒に音楽をプレイしているときは最高な気分になれる。

そうしたジャズの話では、ブッゲ・ウェッセルトフトなどを擁する〈ジャズランド・レコーディングス〉は、いまから20年ほど前に「フューチャー・ジャズ」という新しいジャズのムーヴメントを担うレーベルでした。ほかにもジャガ・ジャジストやニルス・ペッター・モルヴェルが世界的に活躍するなど、ジャズの世界におけるノルウェーは非常に興味深い存在です。リーデさんもそうしたノルウェーのジャズ・シーンの影響を受け、それはフィアにもフィードバックされていたりしますか?

ソフィー:リーデ自身のプレイも、彼のソロ・プロジェクトも、そしてフィアもノルウェーのジャズ・シーンの一部だと思っている。さっきも言ったけどノルウェーのジャズ・シーンが大好きだし、つねにクールなことが起こっている刺激的なシーンだから、その一部になれるのは嬉しいし、クールだけど小さなシーンでもあるから、シーンの全員が全員を知っている感じね。ジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットは私たちのアルバムをプロデュースしてくれたし、もちろん繋がりを感じる。

フィアの歩みに戻りますが、2019年にファースト・アルバムの『コールド・ウォーター・バーニング・スキン』を発表します。ジャズ・ファンクやファンク、ソウルなどがブレンドされたクロスオーヴァーな作風で、ソフィーさんの歌を中心としたグルーヴィーな演奏を聴かせてくれます。全体的にはネオ・ソウルの要素が強いアルバムですが、どのようなイメージでこのアルバムは作られましたか? 個人的にはオーストラリアのハイエイタス・カイヨーテとかアメリカのムーンチャイルドあたりに近い印象を持ったのですが。

ソフィー:デビュー・アルバムは何年もプレイしてきた楽曲をまとめたコンピレーションのようなアルバムだったんだけど、ディアンジェロとエリカ・バドゥにかなり影響も受けたアルバムだと思う。言ってくれた通り、ハイエイタス・カイヨーテにも影響は受けていると思うね。このアルバムはなんていうか私たちの最初の子供って感じかな。“25” とかは本当にバンドがはじまった頃からずっと演奏し続けている曲なんだよね。

“サムライ(Samurai)” という曲が収録されていますが、これは日本の侍が出てくる映画とかアニメにインスパイアされているのですか?

ソフィー:このタイトルはクエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』に出てくるザ・ブライドとオーレン石井の剣を使った戦闘シーンにインスパイアされてつけた。日本の映画からじゃなくてちょっとガッカリさせちゃったかな(笑)。ごめん(笑)。でも、この映画は確実に日本から影響を受けているはず(注:千葉真一はじめ日本の俳優が数名出演するほか、梶芽衣子主演の『修羅雪姫』など日本映画やブルース・リーの『死亡遊戯』など香港映画、台湾映画のオマージュが散りばめられている)。コロナの影響で家にいる時間が多くなったからいくつか日本のアニメを見たりもしたんだけど、私は『食戟のソーマ』が大好き。次のアルバムには『食戟のソーマ』に影響された曲が収録されるかも(笑)。

その後、2020年に〈ブルーノート〉のカヴァー・プロジェクトの『ブルーノート・リ:イマジンド・2020』に参加しますね。基本的にサウス・ロンドンのミュージシャンが中心となったこのプロジェクトに、どうしてオスロのあなたがたたちが参加するようになったのですか?

ソフィー:そのときはイギリスの〈デッカ〉からファースト・アルバムをリリースしていたから、彼らが〈ブルーノート〉のアルバムに参加できるようにしてくれたのよね(注:現在〈デッカ〉と〈ブルーノート〉は同じ〈ユニバーサル〉グループに属する)。本当にクールなことだったし、〈ブルーノート〉と関連する仕事ができたのは本当に光栄に思っている!

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この曲ではかなりファンカデリックからの影響を受けているよ。この曲を作るとき私はドラマーのオラにファンカデリックのグルーヴがほしいよ! って注文したら彼がやってくれた。というかあなたがこの曲を聴いて感じてくれたみたいだけど、実際に私たちはこの曲の後半の部分を「フライロー」(フライング・ロータスの愛称)って呼んでた(笑)。かなり的確ね(笑)。

新作の『In The Sun In The Rain』について話を伺います。先ほど話に出たようにジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットがプロデュースを務めていますが、彼はどのようないきさつで参加することになったのですか?

ソフィー:このアルバムにはプロデューサーが必要だと感じていて、みんなラーシュは素晴らしいアイデアを幾つも持った凄腕プロデューサーだと知っていた。私たちのなかにラーシュと知り合いだったメンバーはいなかったけど、それでも思い切ってお願いしたんだ。

エンジニアにはディアンジェロやザ・ルーツを手掛けたラッセル・エルヴァドを迎えています。それでネオ・ソウル色が強まるのかと思いきや、逆にそうしたテイストは後退し、“ルーフトップ” や “ファスト・フード” あたりに顕著なインディ・ポップやシンセ・ポップといった要素が出てきたり、音楽的には前作と比べて非常にカラフルでヴァラエティに富む内容になっていると思います。前作からバンドの中で何か変化があったのでしょうか?

ソフィー:そうね、このアルバムはデビュー・アルバムとは全然違う方法で制作した。デビュー・アルバムではもともとの持ち曲がライヴやセッションをしているうちにどんどんと進化していったって感じだけど、今回はちょっと違っていて、アルバム全体としてのサウンドを作ることがとても重要だった。だから「カラフル」って言ってもらえてとても嬉しい。カラフルにするってことは私たちが今作で狙ったポイントだからね。私のライティングにおいても、いままでとはちょっと違ってインディ・ポップからも影響を受けたと思う。たとえばビョークやケイト・ブッシュとかね。後はラーシュがストリングス・アレンジでいままでの作品よりもオーケストラっぽさを表現してくれたと思う。彼はほかにも少しプログレっぽい要素だったり、ジャガ・ジャジストっぽいフレイヴァーをアルバムに付け加えてくれたと思う。

ひとつの楽曲のなかでも急激なテンポの変化があったり、曲の前半と後半ではまったく印象が変わったりとか、自由で先の読めない展開は先も比較したハイエイタス・カイヨーテを思い起こさせます。ジャガ・ジャジストもそうですが、彼らのパフォーマンスはオペラのようにシアトリカルでイマジネーションを掻き立てます。『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』の方向性も彼らに通じるものを感じさせますが、いかがでしょうか?

ソフィー:気づいてくれてありがとう! いま言及してくれた自由で先が読めない展開は私も曲を作る上でとても意識したことだし、バンドでもたくさん話し合ったことで。楽曲を分割したときに、後半のパートに進むと完全に違う新世界に突入できるような感覚にしたかったのよね。代表的な例をあげるとフランク・オーシャンの “ピラミッズ” とかかな。あの曲の変調の仕方と完全にふたつの別のパートが一曲のなかで混合している感じがめちゃくちゃ最高で。この曲がリリースされたとき(2012年)にバンドのみんなと一緒に聴いたのを覚えているんだけど、めちゃくちゃ衝撃的だった。全然予想もしていなかった、見知らぬ場所で突然に旅がはじまる感じね。だからあなたが私たちの音楽を聴いて、同じことを感じてくれたのが嬉しい!

“グレンデヒューズ・ファンカデリック(Grendehus Funkadelic)” は何かファンカデリックと関係あるのでしょうか? 楽曲自体はディスコ・テイストのポップ・ロックでパーティー・キッズたちを歌った曲なのですが、中盤以降のスペース・オペラ調の展開はPファンク的かなとも思います。Pファンクもそうですし、フライング・ロータスサンダーキャット、〈ブレインフィーダー〉とも契約したハイエイタス・カイヨーテの感性に非常に近いものを感じました。

ソフィー:うん、この曲ではかなりファンカデリックからの影響を受けているよ。この曲を作るとき私はドラマーのオラにファンカデリックのグルーヴがほしいよ! って注文したら彼がやってくれた。というかあなたがこの曲を聴いて感じてくれたみたいだけど、実際に私たちはこの曲の後半の部分を「フライロー」(フライング・ロータスの愛称)って呼んでた(笑)。かなり的確ね(笑)。もともとこの曲の前半と後半はそれぞれ別の曲として制作していたんだけど、プロデューサーのラーシュがこのふたつのパートを繋げてひとつの楽曲にしたら? って提案してくれて。

『ヴードゥー』は私が最初にネオ・ソウルにハマったアルバムで。フィアは『ヴードゥー』を私たちなりの解釈で表現するためにスタートしたって部分もある。サウンド、ベース・ライン、ドラム、ヴォーカル、とにかくすべての部分で影響を受けていることは間違いない。本当に私にとって世界一好きなアルバム。

“オール・ザ・タイム・イヴン・ホエン(Allthetimeevenwhen)” はドリーミーでサイケ・ポップ的な雰囲気を持つ曲です。そして “ヒーロー” でもそうですが、ストリングスやオーケストレーションの使い方などアルトゥール・ヴェロカイのテイストを感じさせます。彼から影響はあったりするのでしょうか?

ソフィー:正直に言うと私はアルトゥール・ヴェロカイのことは、ハイエイタス・カイヨーテが昨年のアルバム『ムード・ヴァリアント』で彼とコラボするまで知らなかった。でも、ストリングスのアレンジをしているラーシュはずっと前からヴェロカイの音楽を聴いてたみたいね。

“イングリッシュマン” はラテン・フレーヴァーの曲でディアンジェロの『ヴードゥー』っぽいムードを持つのですが、サビのフレーズでは素晴らしいハーモニーやコーラスを聴かせてくれます。ネオ・ソウルからザ・ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズなど幅広い影響を感じさせる曲だと思うのですが、いかがでしょう?

ソフィー:ありがとう! 『ヴードゥー』は私が最初にネオ・ソウルにハマったアルバムで。実際にフィアは『ヴードゥー』を私たちなりの解釈で表現するためにスタートしたって部分もある。だからサウンド、ベース・ライン、ドラム、ヴォーカル、とにかくすべての部分で影響を受けていることは間違いない。本当に私にとって世界一好きなアルバムだから。後はデヴィッド・ボウイをよく聴いていたときに思いついたコードも “ルーフトップ” に入っている。オリジナルはもっとシンセが使われているけどね。確かに私たちの音楽は少しビートルズを感じさせる部分もあるかもしれないし、サイケ的な要素も少し感じるよね。あなたが言っている通り、このアルバムはソウルやヒップホップからビートルズやビーチ・ボーイズのようなロックやポップスまでを参照して作られたアルバムで、全部がミックスされていると思う。

“ハウカム?” は1960年代、1970年代のムードを感じさせる曲ですが、この曲に見られるようにリズム・プロダクションはとても生々しくて力強いのが『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』の特徴かなと思います。その点はラッセル・エルヴァドの手腕でしょうか?

ソフィー:理由はいくつかあると思う。ひとつはアレンジの部分ね。この作品はあまりシンセやドラムにトリガーを使ってないから、それが60~70年代のサウンドに近づける要素になったんだと思う。後はやっぱりラッセルのミックスは本当にサウンドにとっては重要だった。彼はアナログ・ミックスをしてくれたんだけど、彼にしか出せないフレイヴァーやムードをまるでサウンドに命を吹き込むように与えてくれる。あと私たちは彼にたくさんの参考音源を送ったのもあるかもね。その中の多くの曲が60年代、70年代の楽曲だったしね。スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンとか。

『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』はさまざまな楽曲がありながら、全体的にはバランスの取れたムードで統一されたアルバムだと思います。アルバム全体で何かコンセプトやストーリーはあったりするのですか?

ソフィー:今回のアルバムでは制作する前からアルバム全体としてどんなサウンドにしたいのかっていうのがあったし、何よりもこのアルバムにしか出せない音っていうのを目指したかった。それが私のなかだとディアンジェロの『ヴードゥー』、ケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』、フランク・オーシャンの『チャンネル・オレンジ』のようなアルバムなんだけど。作りはじめてしばらくしてからアルバムをA面の『イン・ザ・サン』、B面の『イン・ザ・レイン』に分けるコンセプトのアイデアが出たんだ。『イン・ザ・サン』はアップテンポな曲を多く入れたパーティー感のあるもの、『イン・ザ・レイン』はスロー・テンポでメロウでオーケストラ要素が強い楽曲を入れて、アフター・パーティーをイメージした感じかな。

今後の活動予定や新たな取り組みがあれば教えてください。

ソフィー:今冬ちょうどサード・アルバムの制作に取り掛かっているところ。クールなアルバムになると思う! あとは、テキサスのSXSWとニューヨークの「ニュー・コロッサス・フェス」にも出演することが決まってて。今年はもう待ちに待ったツアーをたくさんできることを祈ってる!

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