「You me」と一致するもの

interview with James Blake - ele-king


James Blake
James Blake

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 これはシンガー・ソングライターのアルバムである。歌は、ジョニ・ミッチェルの『ブルー』、もしくはアントニー&ザ・ジョンソンズのように悲しく美しいソウル、トラックはブリアルとマウント・キンビーがタッグを組んだように暗く透明で、ダブステップ以降のビートを有している。が、これはいま喩えに挙げたどの名前の音楽とも違っている。ジェームス・ブレイクはここ最近では、もっとも実験的なアーティストとして知られているのだ。

 2010年の夏前、僕たちの耳を惹きつけたのは"CMYK"だった。ケリスの"コート・アウト・ゼア"という大ネタを、それとわからないように巧妙にサンプリングしたそのポスト・ダブステップのダンス・ミュージックは、アントールドやラマダンマンと同じようにアンダーグラウンドの最前線に躍り出た。それどころか、無名の青年が作った1枚の12インチ・シングルがシーンを大きく揺さぶった。
 クラブ・カルチャーのこの新しい夢に僕たちは素早く反応した。慌てて、ラマダンマンのレーベル〈ヘッスル・オーディオ〉から出ている「ザ・ベルズ・スケッチ」、そしてマウント・キンビーのリミックス盤を探した。
 それから数か月後にリリースされた「クラヴィアヴェルクEP」で、彼は重厚なベースの上でピアノを弾いた。そして同時期にYoutubeにアップされたファイストのカヴァー曲"リミット・トゥ・ユア・ラヴ(あなたの愛への限度)"で彼は歌った。彼の声帯は、サンプリング著作権をめぐる訴訟を回避するためだけだったとは思えない。いま思えばそれはたしかに、22歳の英国人青年のデビュー・アルバムのイントロダクションないしは予告として申し分のない曲だったのだから。

 待望のデビュー・アルバム『ジェームス・ブレイク』には、21世紀のポップの重要課題が含まれている。それは昨今のオートチューン・ブームに象徴されるように、ヴォーカル・トラックにおけるデジタル処理というテーマだ。Tペインをきっかけにオートチューンが流行はじめたとき、わが国でも何人かの識者がそれを批判の対象としたそうだが、しかしそうした「けしからん」という言葉とは裏腹に、ほとんど世界的に、オーヴァーグラウンドでもアンダーグラウンドでもそのブームは途絶えていない。ドレイクのアルバムでもグイードのアルバムでも、ザ・ストリーツの新作でも、あるいはクレヴァの武道館のライヴでも、それはほとんど時代の暗号のように使われまくっている。(それは......その昔ドラムマシンやサンプラーが流行ったときに「これは音楽ではない」という批判があるいっぽうで、機材は容赦なく氾濫したことを思い出させる)
 ブリアルの"アーチェンジェル"はそうしたデジタル処理による歌を、オートチューン的なお決まりのポップな音色にするのではなく、深夜の都会のまるで幽霊の声のように仕上げてみせた。ブレイクの"CMYK"は、そして、電子的に加工した歌にさらなるヴァリエーションを与えた。しかもブレイクの手さばきは、ずいぶんと細かかった。彼はまるで、そう、歌のデジタル処理そのものを演奏しているようだった。彼の"芸"は「クラヴィアヴェルクEP」でも披露された。ベースを聴けばわかることだが、そのシングルは"CMYK"と同じようにクラブ・カルチャーを背景に持つ音楽だった。
 が、"リミット・トゥ・ユア・ラヴ"は違った。いわゆる"歌モノ"のそれは彼自身が歌う歌で、歌はときにエフェクトがかけられ、あるいは一瞬揺らいでいた。そうした微妙な不安定さと簡素なピアノ、長いブレイク、ダブステップ以降の閉所恐怖症的なビートないしは震えるベース、そして"あなたの愛への限度"という決して楽天的ではない曲の主題がぴたりとハマった。
 アルバム『ジェームス・ブレイク』はそのヴァリエーションである。つまり、はなっから"CMYK"を期待している人は間違いなく混乱をきたすものと思われる......(そういう意味でブレイクは、多くの期待を裏切っているかもしれないが、同時にそのことは彼の非凡さを際だたせている)。
 1曲目"アンラック(不運)"は、その素晴らしい入口として申し分のない出来の曲だ。変調された歌声と分裂症的なビートの組み合わせの上を、中世の修道院に響き渡るように、オルガンの音が重なっていく。"ザ・ウィヘルム・スクリーム(ウィルヘルムの悲鳴)"もまた、言うなれば映画『薔薇の名前』のようだ。マッシヴ・アタックのダークサイドをさらに実験的に展開しているようだが、反響する音はキングストンのダブというよりも洞窟のそれで、悲しみに沈む"アイ・ネヴァー・リーント・トゥ・シェア(私は分けることを知らない)"はゴシックそのものである。
 アルバムは、そして、極北のR&B"リンデスファーネ"から"リミット・トゥ・ユア・ラヴ"へと繋がっている。続いてピアノ・バラードの"ギヴ・ミー・マイ・マンス(私に私のひと月を下さい)"、それから歌を電子的に弄ぶ"トゥ・ケア"でブレイクはさらに愛を懇願する。歌は電子的に加工され、支離滅裂な展開をするが、本質的にはハウス・ミュージックにおけるトーチソング(求愛の歌)のような濃厚なエモーションがある。
 そして、ふたたびピアノ・バラードの"ホワイ・ドント・ユー・コール・ミー(何故僕を呼ばないの)"。続く"アイ・マインド"はアルバム中もっともビートが前面に出ている曲で、もっとも怪しく、もっとも混沌とした曲でもある。こうした彼の独創的なリズム感をもうちょっと聴きたかったというのは正直な話......ある。クローザー・トラックの"メジャーメント(測量)"はゴスペルだ。震えるベースが震える歌声の合唱とともに演奏され、曲はあっけないほどピタっと終わる。
 ジェームス・ブレイクは、もっと手っ取り早く、簡単にみんなを喜ばせる作品を作ることができたはずである。彼にとって「CMYK EP」や、あるいは「ザ・ベルズ・スケッチ」や「クラヴィアヴェルクEP」のヴァリエーションを考えることは容易なはずだ。が、しかし彼は、まったく別の、ある意味では反商業的とも言える創造的な道を選んだ。そして『ジェームス・ブレイク』は、アートワークの彼のポートレイトがそうであるように、なかば匿名的にぼやけながらも僕たちに強烈なインパクトを与えている。そのインパクトは、これから先のエレクトロニック・ミュージックもしくはポップ・カルチャーに向けられているのである。

作業はきわめて孤独のうちにおこなわれるものだし、もともと愁いを帯びた曲が好きだった。ジョニ・ミッチェルの『ブルー』ばかり聴いてたときもあった。感情に訴えかけるようなものを作りたいという思いはつねにある。

本当に素晴らしいアルバムができましたね。アルバムの最初の曲、"アンラック"を聴いた瞬間に傑作だと思いました。日本でもあなたのシングルが出るとすぐに売り切れるほどの人気なんですよ。

ブレイク:ありがとう。僕のレコードを買ってくれる人が日本にもたくさんいるというのは、あまり知らなかったな。そうだといいなとは思ってたけど。嬉しいね。

あなたのファースト・アルバムを楽しみにしているリスナーがとても多いので、よろしくお願いします。

ブレイク:こちらこそ。

いま住んでいるのはロンドンの......

ブレイク:ブリクストンだね。

ちなみに生まれはロンドン?

ブレイク:いや、生まれたのはもう少し郊外の北のほうで、エンフィールドってところなんだ。ロンドンの市内からだと車で3~40分くらいの場所だね。

まず、アルバムの話の前にあなたの音楽的な背景について質問します。あなたが音楽にのめり込んだ経緯について話してもらえますか? 小さい頃から楽器には親しんでいたのですか?

小学校のころから歌っていたね。サム・クックとかオーティス・レディングとかスティーヴィー・ワンダーなんかの古いソウルが好きで、そういうレコードにあわせて歌ったりしてた。

ブレイク:正直あまり、明確なきっかけみたいなものは覚えていないんだけど6歳のころからピアノを弾いていたんだ。というか父親も音楽をやっていた関係で、最初から自然と音楽がまわりにあって、誰に言われるでもなく、という感じだったかな。ギターも持ったことがあったけど、ピアノのほうがしっくりきて、結局ずっとピアノをやることになった。

「クラヴィアヴェルクEP」、10インチ・シングル「リミット・トゥ・ユア・ラヴ」、そして今回のアルバムはとくにピアノを強調されていますが、ピアノの音色はあなたにとってどんな特別な響きを持っているんでしょうか?

ブレイク:そもそも6歳のころからピアノを習っていたからね。ダブステップに接したのは学生になってからだけど、それよりずいぶんと長い時間を、ピアノと一緒に過ごしてきたので、むしろこちらが自分にとっての自然な姿なんだと思う。

いつぐらいから自分で歌っていたのですか?

ブレイク:小学校のころから歌っていたね。サム・クックとかオーティス・レディングとかスティーヴィー・ワンダーなんかの古いソウルが好きで、そういうレコードにあわせて歌ったりしてた。

アルバムを聴くと、あなたはトラックメイカーというよりもソングライターと呼んだほうが適切なんじゃないかと思うのですが、ご自身ではどう思いますか?

ブレイク:うーん......(しばらく沈黙)。他の人が自分にどのうようなラベルをつけても、僕は自分のことをやり続けるだけだと思う。正直どっちでもかまわないかな。トラックメイカーと言われればそうだと思うし、ソングライターと呼ばれても問題ないし、別の何かでもかまわない。

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R&Bそれ自体というよりも、R&Bのヴォーカルをサンプリングするやり方、とくにブリアルやマウント・キンビーのやり方に触発されて......というところが大きい。彼らの出音を聴いて面白いなぁと思って、でも同じことをやるのはどうかと思い、自分なりのやり方をできないかといろいろとトライして、ていう。


James Blake
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"CMYK"ではケリスの"コート・アウト・ゼア"をサンプリングしていましたが、あなたにとってのR&Bからの影響について話してもらえますか?

ブレイク:R&Bそれ自体というよりも、R&Bのヴォーカルをサンプリングするやり方、とくにブリアルやマウント・キンビーのやり方に触発されて......というところが大きい。彼らの出音を聴いて面白いなぁと思って、でも同じことをやるのはどうかと思い、自分なりのやり方をできないかといろいろとトライして、ていう。それまで他の人がやることに影響を受けて、ということはほとんどなかったんだけど、これに関しては、彼らのことを追いかけながら自分の流儀を編み出していった。

"CMYK"のように、大ネタをわからないように借用するという手法は、あなたにとってある種の"悪戯"のような感覚だったのでしょうか?

ブレイク:悪戯というよりも、ヴォーカルのサンプリングという手法自体を、もう少し高い次元に持っていきたいというか、それ自体はもう当たり前の手法なんだけど、ひと手間加えてユニークなこと、オリジナルなことをしてみたいという意識があった。

デスチャの"ビルズ・ビルズ・ビルズ"やリル・ウェインの"ア・ミリー"の非公式のリミックスもしていますよね。ああいうのはあなたにとってどんな面白さがありますか?

ブレイク:実はあれにはテーマがあってね。その名の通りハーモニーを加えているんだ。リル・ウェインとかオリジナルはほとんどビートとヴォーカルだけだけど、いろいろとハーモニーさせてのリワークになってるんだよ。ただのアンオフィシャル、というわけではないんだ。

アルバムを聴くとあなたがとてもクラバーとは思えないのですが、しかしベースとビートからは確実にアンダーグラウンドのクラブ・シーンとの共振を感じます。あなたとダブステップ・シーンとの関係について話してもらえますか?

ブレイク:はじめて〈FWD〉に行ったときは衝撃だった。それまでダンス・ミュージックのことなんかまったく考えたこともなかったけど、あの日を境にすべてが変わった。それからロジックとかいじるようになって、少しずつトラック制作の技術を身に付けていったんだ。クラブで体験したような音楽をアウトプットしようといろいろと試行錯誤を重ねた。幸運にも〈ヘムロック〉や〈ヘッスル・オーディオ〉と知り合うことができて、ダブステップというシーンの一員に加わることができた。他方でマウント・キンビーを通じてザ・XXなんかと交流を持つようになったり、いま自分が置かれている環境を考えると、自分がどこにいるのかっていうのを言い表すのは簡単ではないよね。もともとロンドンという場所自体が、そういうところだと思うし。

ダブステップのクラブの何が好きかって、とても内省的な空気が流れているんだけど、そこにはとても強い繋がりというか連帯感を感じることがあるんだ。そういう雰囲気にそぐうものができるのではないかと思って、やった。

あなたのアルバムを聴いていると、音楽はそれぞれ違えど、ブリアルの世界観ととても近いものを感じます。真夜中の街角で、孤独で、そして雨が降っているような情景が浮かびます。あなたにとってブリアルはどんな存在ですか?

ブレイク:ハハハハ。そうだね、ブリアルのすごいところは、ダブステップのアイコンというか、そういう立場でありながら、なおかつそこからかなり逸脱しているというか。彼のファンって、必ずしもダンス・ミュージック・リスナーだけじゃないよね。ダブステップとかクラブとかを超えたところにまでその音が届いている。アンビエント的なファンも多いと思うし。本当に尊敬すべきアーティストだと思うよ。ダブステップ・シーンにとってだけじゃなくて、いまのイギリスの音楽全体にとっての大きな財産なんじゃないかな。あと彼もR&Bなんかのサンプリングをいろいろと駆使しているけど、その使い方や処理の仕方が他の誰よりもズバ抜けてうまいと思う。最近だとマウント・キンビーもそうだけど、それかブリアルか、という感じがするね。

2009年に「エア&ラック・ゼアオフ」で〈ヘムロック〉からデビューするにいたった経緯を教えてください。その後、どうして〈ヘッスル・オーディオ〉と〈R&S〉からリリースしたのかも。

ブレイク:"エア&ラック・ゼアオフ"は、プロデュースをするようになってから初めて完成させた曲だったんだけど、ある日、リンスかどこかで曲を聴いてくれたジャック(アントールド=〈ヘムロック〉主宰)のほうからアプローチしてきてくれたんだ。ジャックと〈ヘッスル・オーディオ〉の連中はもともと知り合いだったし、よく一緒につるんでいたりもしてたので、その〈ヘムロック〉を通じて〈ヘッスル・オーディオ〉とも仲良くなって......という感じ。〈R&S〉は、マネージャーがもともとそこで働いていた関係で繋がったんだよね。正直このレーベルにドップリな感じのテクノ・キッズではなかったけど、歴史のあるレーベルで、それでいてとても先進的な考え方を持ったレーベルだと思うし、ここでリリースすることができて本当に光栄だった。

"リミット・トゥ・ユア・ラヴ"が今回のアルバムのはじまりなんでしょうけど、あの曲をカヴァーした理由を教えてください。多くの曲があるなかで、あの曲を選んだ理由はなんでしょうか?

ブレイク:単純に、クラブでかかったらいいんじゃないかと思ったんだ。間違ってもポップ・ソングを作ってヒットを飛ばしたいとか、そういう理由ではないね。ダブステップのクラブの何が好きかって、とても内省的な空気が流れているんだけど、そこにはとても強い繋がりというか連帯感を感じることがあるんだ。そういう雰囲気にそぐうものができるのではないかと思って、やった。

"CMYK"のようなヒット曲、あるいは「クラヴィアヴェルクEP」に収録された曲を再録しなかったのは、レーベルの契約的な問題ですか? サンプリングの著作権的な問題ですか? それともアルバムのコンセプト的な問題ですか?

ブレイク:アルバムがどういうものになるか、という自分のイメージもあったけど、たとえば"CMYK"はケリスとか使ってるし、物理的に無理、というのもあったよね。

アルバム全体がメランコリックな雰囲気を持っているのは何故でしょう? あなたの世界の見方がそうなのか? あるいは、あなたの音楽的な好みの問題なのでしょうか?

ブレイク:必ずしも統一したひとつのテーマのもとに制作を進めたわけではなかったけど、ギグやDJの行き帰りに電車のなかでリリックを考えたり、深夜にひとりでコツコツとパソコンに向かいながら曲を作ったり、たいがいの作業はきわめて孤独のうちにおこなわれるものなんだ。それがある程度は影響していると思う。ただもとから愁いを帯びた曲が好きだったりもするけど。いっときジョニ・ミッチェルの『ブルー』ばかり聴いてたときなんかもあった......。

ああ、なるほど。ジョニ・ミッチェルの『ブルー』の感覚はたしかにアルバムから感じますが、これは間違いなく2011年の音楽です。

ブレイク:感情に訴えかけるようなものを作りたいという思いはつねにあるからね。歌詞に関しては、半分は哀しみや孤独について、あと半分は、もう少し皮肉がきいているようなものなんだよ。ぜひ意味を汲み取ってもらえたらいいな。

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Haiiro De Rossi
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 ハイイロ・デ・ロッシとタクマ・ザ・グレイトという若き勇敢なふたりのラッパーによる「WE'RE THE SAME ASIAN」はいわばヒップホップ・アゲインスト・レイシズムである。ラップ・ミュージックによる人種差別や排外主義への強烈かつ的確なカウンター・パンチであり、今日の日本において非常に重要な問題を提起している。

 彼らが昨年の11月28日にYouTubeにアップした「WE'RE THE SAME ASIAN」はすぐさまYAHOO! ニュースへ飛び火し、YouTubeには彼らにたいするアンサー・ソングがアップされる。「日本のラッパーが中国、韓国との差別解消を訴える」と題されたYAHOO!の記事には200件あまりのコメントがポストされ、炎上する。"活発な議論"というよりも誹謗中傷の嵐と言ったほうが正しいだろう。コメント欄は差別意識や悪意をむき出しにした罵詈雑言で溢れた。

 私たちはこのあいだ、領土問題や在日参政権をめぐる問題などで同じような光景に何度も直面している。アジア・カップの日韓戦の奇誠庸(キ・ソンヨン)の猿まねが日本人に対する侮辱だということで日韓のメディア、ネットで賛否両論の議論が展開されている。

 問題なのは、ここぞとばかりに便乗して差別意識や狂信的なナショナリズムを煽ろうとする人びとである。こういうときにこそ私たちは冷静になるべきだ。憎悪や不信や偏見を煽り、争いの火を焚きつけようとする同じ国の人びとよりも、平和と相互理解を求める隣国の人びとのほうが自分たちに近いのではないかと疑ってみることも必要ではないだろうか。ごくごく当たり前の話である。

 そう、ふたりは"当たり前のこと"を静かにラップしている。彼らはがなり立てない。メランコリックなジャジー・ヒップホップの上で叙情と情緒をコントロールしながら、静かな声明を差し出している。
 明確な政治的主張はないが、開かれた社会性があり、多文化主義と平和主義のコンセプトがある。表現が素直過ぎると感じる人がいるかもしれないが、それゆえの力強さがある。
 ヒップホップのアーティストがリスクを背負って、政治的に際どいテーマ(人種差別、排外主義)についての議論の場を作ろうとしたことにたいして私たちは応えるべきだろう。ハイイロ・デ・ロッシとタクマ・ザ・グレイトの勇気ある行動を僕はいまどこまでも肯定しよう。ハイイロ・デ・ロッシに話を訊いた。

オレらは右でも左でもないし、そういう思想は持ってない。ただ、普通に普通のことを言っただけなんですよ。普通にヒップホップだと思うことをやった。そしたら、普通じゃない反応が返ってきたから、ここ(日本)は普通じゃないんだって認知できた。

「WE'RE THE SAME ASIAN」の問題提起はいまの日本でもっともラディカルなもののひとつだと思いました。

ハイイロ・デ・ロッシ:勇気があったのはタクマだけじゃないですか。あいつはハーフで横浜の黄金町っていう町に住んでいる。昔、赤線があった場所です。家族もそうだし、いわゆる日本人以外のエイジアンのコミュニティが近くにある状態で生活している。だから、渋谷であった反中国のデモや朝鮮学校に石が投げられた事件もダイレクトに入ってくる。もし、彼がやってくれるって言わなかったらあの曲は実現しなかった。ハーフだから、リスクもあるじゃないですか。偏見の目で見られるかもしれないし。

YouTubeのコメントや反応は見てますか? 

ハイイロ・デ・ロッシ:あれこそオレらが狙ってたことなんです。あれを起こそうと思ってた。YouTubeのコメント欄だけじゃなくて、『bmr』のウェブ版のニュースに「WE'RE THE SAME ASIAN」のことが掲載されて、YAHOO!にも飛び火しました。そこに中傷コメントが200件ぐらい来て炎上したんです。あの曲を録っている過程もUSTREAMで配信していたんですけど、2時間ぐらいのあいだに300人ぐらいが見ていた。ツイッターでもRTされまくった。そして、次の日にYouTubeにアップしたんです。最初は、USTREAMを見ている人たちとオレたちの曲だった。でも、オレらがYouTubeにアップした時点で、曲が議論の場所に変わる。それがオレらの理想だったんです。最初は悪いコメントが集中したけど、「これがいまの日本なんだよ」っていうのがオレらが言いたかったことなんです。

なるほど。確信犯としてやったんですね。

ハイイロ・デ・ロッシ:でも、最近のコメントでちょっとずつ擁護のコメントが増えているんです。擁護が増えて来ていて、反対派と賛成派のやり取りがはじまっている。これでコミュニケーションが活字でもできるじゃないですか。

いわゆる"ネット・ウヨク"の冷静さを欠いたコメントは酷かったね。

ハイイロ・デ・ロッシ:あれが彼らのベスト・パフォーマンスなんですよ。オレらは音楽でベスト・パフォーマンスをしている。彼らも彼らで、あれがベスト・パフォーマンスだから、オレらもそれを受け入れるべきだと思う。一生懸命考えて、彼らはアレですからね。

相手を傷つけたい一心で書いている感じがするよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:そうです。でも、あれで傷つくんだったら、オレはああいうことは表現していない。それなら表現するのを止めたほうがいい。

素晴らしいね。

ハイイロ・デ・ロッシ:日本人のコンプレックスがすごく問題だと思うんですよ。アジアでいちばんになりたいというのがあからさまに見えるじゃないですか。でも、正直言って、サッカーも韓国のほうが強いし、パク・チソンがなんでスターにならないの? って思う。日本を除外したすべての国から彼はトップ・プレーヤーとして認められていますよ。でも、日本だったら、いいところ中村俊輔と並べられて報道されるぐらいでしょ。それでも日本からすれば妥協じゃないですか。あれほどの選手がアジアから出たことに誇りを持てない。

show-kというラッパーのアンサー・ソングにもちゃんと返していましたね。

ハイイロ・デ・ロッシ:あそこで逃げたら文系ラッパーって舐められたまんまじゃないですか。右翼だろうが、ギャングスタだろうが、オレはラップだったらやりますよ。

僕が、中国人や韓国人にたいする排外主義が嫌なのは単純な話で、その考え方が憎悪や不信や偏見を煽っているからなんですよ。

ハイイロ・デ・ロッシ:話していることが国だったり、自分の手のなかにないものですからね。オレらは普通に人に言っている。オレらは右でも左でもないし、そういう思想は持ってない。ただ、普通に普通のことを言っただけなんですよ。普通にヒップホップだと思うことをやった。そしたら、普通じゃない反応が返ってきたから、ここ(日本)は普通じゃないんだって認知できた。それをずっとshow-kさんへのアンサー・ソングでも言っていたんです。けっきょくは人びとじゃないですか。目の前の人が中国人や韓国人だから態度が変わるわけではない。それを変えようとしてきたのが日本じゃないですか。それがオレらにも染み付いているのはわかるから、ぶっちゃけ自衛でやったのもある。「WE'RE THE SAME ASIAN」はオレらがやらなきゃいけないことでもあった。タクマもいて、いまはLAのヤツらもどんどん絡んできているんです。プロジェクト・ブロウド(LAを拠点とするヒップホップ・コレクティヴ)のヤツらにも日系のアメリカ人やいろんなヤツらがいるんですよ。

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テレビやYouTubeを観て危険だって感じることもあるけど、オレたちの場合は横浜が近いし、中華街があるじゃないですか。タクマの家はモロその辺りなんですよ。オレはヤツのお母さんとも普通に仲良いし。やっぱり危険は感じていましたよ。だから、オレらに何かできることはねーかって考えた。


Haiiro De Rossi
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これまで僕は、ハイイロくんのラップはどちらかと言えば文学性に重きがあると思っていたから、「WE'RE THE SAME ASIAN」のような曲をああいう形で出したことに驚いたんです。タクマくんたちとの出会いが大きかったんですか?

ハイイロ・デ・ロッシ:もともとそういう考えはありましたね。うちの母親が養護学校の先生なんですよ。そういうことを小学校の先生とかは知っているじゃないですか。だから、特別学級の子が運動会で走る横でいっしょに走る役をお願いされたりとかしていた。オレは良いことをしている気も、悪いことしている気もなかった。だから、友だちの親とかに「すごいね」って言われることに違和感があった。その時点で差別的じゃないですか。家庭内で「差別はまじで止めろ」って言われていた。最初は人種とかじゃなくて、障害に関して親から言われたことが大きかったのかもしれない。

右翼のデモの熱量も凄いじゃないですか。そういう時代の風向きも肌で感じていました?

ハイイロ・デ・ロッシ:やっぱり危険っすもんね。

テレビを観ると、戦争を煽るような報道が平気であるわけじゃないですか。

ハイイロ・デ・ロッシ:テレビやYouTubeを観て危険だって感じることもあるけど、オレたちの場合は横浜が近いし、中華街があるじゃないですか。タクマの家はモロその辺りなんですよ。オレはヤツのお母さんとも普通に仲良いし。やっぱり危険は感じていましたよ。だから、オレらに何かできることはねーかって考えた。なんだかんだ批判のコメントが目立つけど、評価も注目もされているし、議論もされているから、狙い通りじゃないですか。モス・デフがブラックスターの歌詞で、「なんでオレがハスリングもしてないし、ストリート・ファイトもできないのにストリートからプロップスを得ているかわかるか? それはお前らよりラップができるからだよ」というようなことをラップしているんです。オレが音楽やヒップホップに求めているのはそういうことです。たとえば、右翼が絡んできたとしても、オレはラップが上手いからラップで返す。show-kさんとのビーフに関しても、あれはタクマが出るべきじゃない。ふたりで返すのが筋だけど、あれ以上はあいつ以外も傷つける可能性があるじゃないですか。だから、オレがひとりで出たんです。あそこでダサいラップをしたらおじゃんだったし、リスクがあったぶん、返って来たものも大きかった。

あそこでタクマくんを出さなかったことを考えると、今回の曲についてかなり慎重に考えていたってことだよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:そうですね。そこを考えないで行ったら、ただの喧嘩ですからね。

なるほど。ハイイロくんのこれまでのキャリアについて少し教えてもらえますか。

ハイイロ・デ・ロッシ:17歳のときにラップをはじめたんですけど、最初は芽が出る雰囲気がゼロでしたね。20歳のときに活動の場所を地元の湘南から都内に移したんです。ノルマを払うしかない状況を一回作ってみた。そこでエクシーと知り合って、エクシー周りのイヴェントに出はじめました。で、1年ぐらいして〈スライ・レコーズ〉に入った。そこからはとんとんと進みました。去年、セカンドを出して、メンタル的にも身体的にも一度湘南に戻っていますね。湘南でやっていた人も上がってきているし、わりとオレの状態も湘南にフィットしています。

最初に影響を受けた音楽は?

ハイイロ・デ・ロッシ:いちばん最初はコーンやリンプ・ビズキットを聴いていて、そこからエミネムに行きました。で、コモンの『レザレクション』を聴いて、「これもエミネムと同じジャンルの音楽なんだ!」ってことに驚いた。それからいわゆるネイティヴ・タンやソウルクエリアンズ周りを聴くようになった。いわゆる向こうでナードって捉えられているラッパーもアルバムのなかに一曲はバトル・ライムが入っているじゃないですか。そういうところには忠実でいたいですね。

ハイイロくんのアルバムを聴き直して、〈ロウカス〉にもかなり影響を受けているのかなって感じました。どうですか?

ハイイロ・デ・ロッシ:そこはほんとにありますね。僕自身がモス・デフにむちゃくちゃ影響されている。モス・デフとQ・ティップが大きいですね。モス・デフはブルックリンだけど、ボヘミアニズムがあるじゃないですか。ああいう風にありたいと思います。Q・ティップのJ・ディラを発掘したりする、人を見つける力、プロデューサーの力をすごく尊敬してますね。タクマはタリブ・クウェリの超信者なんですよ。

ブラックスターじゃん!(笑)

ハイイロ・デ・ロッシ:そうそう(笑)。あいつと出会って、曲を作るミーティングをしようってなったときに、けっきょく車のなかでタリブのアルバムについて10時間ぐらい話したんです。オレらはタリブのラップに関して超研究していますね。とくにラップの拍の取り方ですね。

タクマ・ザ・グレイトと知り合ったのは去年?

ハイイロ・デ・ロッシ:17歳ぐらいからお互いクラブで見たりして知っていたけど、その頃はみんな尖っているから、タメとは絡みたくないという気持ちがあるじゃないですか。負けたくないというのもあるし。

湘南はどんな町ですか?

ハイイロ・デ・ロッシ:アレステッド・ディベロップメントとか合いますね(笑)。

ゆったりとしている?

ハイイロ・デ・ロッシ:そうですね。良いことかはわからないけど、夢を見て育てる場所ですね。

以前、インタヴューしたときに話していたけど、ギャングスタ系のラップをしようとしていた時期もあったんだよね?

ハイイロ・デ・ロッシ:それがちょうどエミネムを聴いている時期ですね。スリップノットとかも聴いていたから。破壊したかったんですよね。でも、やっぱり違うということに気づいた。

破壊というのはどういうこと?

ハイイロ・デ・ロッシ:すべてをぶっ壊す音楽をやりたかったんです。そういう時期だったんでしょうね。でも、コモンや〈ロウカス〉を聴くようになって変わりました。バイオレンスやイリーガルさを出しても、けっきょくラップが下手だったら、意味がないと思った。クラックだらけのジャケットにしても、そいつからその匂いがしなかったらおかしいじゃないですか。匂いがいちばん大事だと思います。その時期にジャズもスゲェ聴くようになった。オレにとってジャズは匂いがすごく強かった。

どんなジャズを聴いていたの?

ハイイロ・デ・ロッシ:マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』をいちばん聴きました。あと、『サムシング・エルス』ですね。いわゆる有名盤を聴いていました。マイルスは白人のビル・エヴァンスをバンド・メンバーに入れたことで叩かれたじゃないですか。マイルスの自伝も読みましたけど、「いいプレイをする奴なら、肌の色が緑色の奴でも雇うぜ」って言っている。その気持ちはオレらも持っていますね。ファーストを作っている頃は、ジャズのネタでラップをすれば、オレが思うジャズ・ラップになると思っていたけど、それは違うんじゃないかなって。トラックがどういうトラックでもオレがジャズなラップをしとけばいいと思った。だから、いまはジャズにそこまで固執しなくなりましたね。

たとえば、ジェイ・Zのラップを音符にすればジャズに置き換えられるという説もあるけど、そういうのも意識している?

ハイイロ・デ・ロッシ:そうですね。レコーディングのとき、歌詞を読みながらラップするじゃないですか。いくつものヴァージョンを録ってみて、どれがいちばんいいのか、その瞬間生まれるものがある。エンジニアとちゃんと話したほうがいいのか、ひとりで高めてブースに入りっぱなしがいいのか。そのモチヴェーションの作り方はいま現在も研究しています。

ジャズ・バンドを従えてライヴしたいという気持ちなんかもある?

ハイイロ・デ・ロッシ:いずれはやりたいですね。オレが最終的に目指しているのは、日本人がワンマンで〈ブルーノート〉や〈ビルボード〉でやることなんです。武道館とかじゃないんですよ。

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 ハイイロ・デ・ロッシはこれまでに『TRUE BLUES』『SAME SAME BUT DIFFERENT』という2枚のアルバムを出している。音楽的に言えば、流麗なジャジー・ヒップホップを基調としている。タクマ・ザ・グレイトは先日、デビュー・アルバム『TAKUMA THE GREAT』をハイイロ・デ・ロッシ主宰のインディペンデント・レーベル〈forte〉から発表したばかりだ。彼は台湾系ジャパニーズとして横浜の黄金町で育ち、LAで活動していた時期もある。日本語、北京語、英語を巧みに織り交ぜながらスムースにフロウするスタイルには特筆すべきオリジナリティがある。タクマ・ザ・グレイトが黄金町についてラップする"Sumeba Miyako"は、私たちを"もうひとつの日本"へと案内してくれる。町の匂いが伝わってくる素晴らしい曲だ。これを聴けば、彼らが「WE'RE THE SAME ASIAN」へと至った背景もわかるだろう。

メッセージ云々を言っているヤツらがなんでやらないのって思いますよ。オレはあの曲を聴いて欲しかったから、何人かのアーティストにオレのフォロワーにも見えるようにツイッターでリプライを飛ばしているんです。でも、なんの返信もない。オレらがこういうことをやっているのを評価して欲しいんじゃなくて、知って欲しいだけなんですよ。


Haiiro De Rossi
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ハイイロくんのような音楽主義の人が危機感を持って、ああいう曲を作ったことがまた興味深いね。

ハイイロ・デ・ロッシ:逆に言えば、メッセージ云々を言っているヤツらがなんでやらないのって思いますよ。オレはあの曲を聴いて欲しかったから、何人かのアーティストにオレのフォロワーにも見えるようにツイッターでリプライを飛ばしているんです。でも、なんの返信もない。オレらがこういうことをやっているのを評価して欲しいんじゃなくて、知って欲しいだけなんですよ。

でも、それだけ中国や韓国をはじめとしたアジアの人種問題は多くの人が積極的に触れたくないことだと思う。ある意味タブー視されていることでもあるから。

ハイイロ・デ・ロッシ:でも、それが臭い物に蓋をしていることじゃないですか。反対意見でもいいから反応が欲しかったですね。シカトはないでしょって。

それだけハイイロくんとタクマくんが勇敢だったということですよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:でも、みんなそういうことを言っていませんか? アメリカでもジャマイカでもアーティストは危険と言われるメッセージを伝えようとしているじゃないですか。だから、レベル・ミュージックじゃないですか。一般の人からしたらリスクがあることをやるから、ウォーリアーと言われたり、アーティストと言われるんでしょ。それをやらないでポップス批判していても何にもならないと思うんですよ。

ほんとにハイイロくんの言うとおりだと思いますよ。たとえば、ハイイロくんが日本のアーティストやラッパーでメッセージの部分で共感できる人はいますか?

ハイイロ・デ・ロッシ:(長い沈黙)......みんな自分のことを言いたいことを言っているとは思いますけど、主張という意味ではオレよりちょい若いぐらいのビートメイカーが主張していますね。ラッパーだったら、気になるのはL-VOKALですね。

それはどうして?

ハイイロ・デ・ロッシ:PVを観ると、けっこう際どいですよ。狙いでやっているのかは知らないけど。ほんとに面白いです。

シミラボは知っていますか?

ハイイロ・デ・ロッシ:音源は聴いています。

日本であれだけ多様な人種的背景のある人たちが登場してきたことに僕は希望を感じますね。平気で人種差別的なことを言う人たちがいるけど、彼らのような人たちが出てくる複雑な現実がある世のなかで、オレはそんな短絡的に物事を考えられない。

ハイイロ・デ・ロッシ:中国批判しているラッパーがいてもいいと思うし、いなくなれとは思わない。ただ、ラフ・ライダーズのジンっていうチャイニーズ・アメリカンのラッパーがいたじゃないですか。あいつとかラップが超上手いんですよ。あのラップを聴いて、あまりの格の違いを感じないのかなと思う。さっきのマイルスの話じゃないですけど、いっしょに音楽をやる仲間は言葉が通じなくても、ラップが上手ければ上手いほうがいいし、トラックがヤバければヤバイほうがいいじゃないですか。音楽において優れているヤツを探すのは、日本のなかだけより、世界で探したほうがいいと思う。日本人だけでいちばんを決めたところで、海外にはそいつよりヤバいヤツらがゴロゴロいるから。シンゴ02が"400"のなかで、「同じ文化の違う世代よりも違う文化の同じ世代、そういう時代」って言っていたけど、まさにそうだと思う。ずいぶん前にそう言っていたけど、いまはそういう時代だと思う。

いずれにせよ、ここまで議論になったんだから成功ですよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:これで危ないことがなければいちばんいですね。

それはほんとにそうだね。

ハイイロ・デ・ロッシ:成功したってスゲェ言える出来事があったんです。この前、横浜のクラブに遊びに行ったら話しかけて来てくれた子がいて、彼は中国人のハーフで、お母さんが中国人学校で働いているらしいんです。お母さんにあの曲を聴かせたら、「こういうことを日本人の若い子が言ってくれるのはありがたい」ってことでお礼を伝えに来ましたって言われて。ああ、これだなって。

いい話だね。

ハイイロ・デ・ロッシ:ビーフ云々はほんとにオプションですね。

一方で、show-kのような考え方の人もたくさんいるよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:多いと思いますよ。しかも、それをスゲェ支持する人もいるわけじゃないですか。

もちろんそうだね。

ハイイロ・デ・ロッシ:オレは最後のアンサー・ソングで「クリックはプロップスじゃねーからな」ってラップしていますけど、難しいところですよね。彼らみたいなラップが評価される場所もあって、オレらがボロクソになる場所もある。

そうだね。

ハイイロ・デ・ロッシ:でも、オレは音楽からすべてが出ると思う。匂いとか活動とか発言とかタイミングとか、全部含めて音楽でしか良い悪いは決めさせられない。

うん。それはハイイロくんがアーティストとして地に足をつけているからですよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:そいつらがオレよりラップが上手かったら完全否定はできないですね。そいつらよりヤバいトラックを作って、上手いラップをする自信がいま現在もありますね。でも、クリーンなほうだと思いますよ。右に寄っていたとしても、バイオレンスを持ち込んでいない時点でショーマンシップに則っていると思う。

愛国心や排外主義を歌うようなラッパーも世のなかに危機を感じて本人たちはレベル・ミュージックをやっているつもりだと思うんですよ。そこが難しいところだと思う。たとえば、政治的な集会なんかでもライヴしているAreiRaise (英霊来世)っていうヒップホップ・グループがいるんだけど、彼らの「8 30」という曲のYouTubeのコメントを見ると、彼らとパブリック・エネミーやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを比較しているようなコメントがあって、実際そう考えている人たちは多いと思う。でも、AreiRaiseがやっているつもりの"反抗"は圧倒的にマジョリティの論理なんですよ。彼らの音楽は、イメージとしては"反抗的"だけど、主張は生粋の保守の政治家が言う内容をデフォルメしている。それは、少数派の、これまで抑圧されてきた意見でもなんでもない。だから、少なくともカウンター・カルチャーではない。僕はshow-kのラップにも同じものを感じた。過激に見えるけど、よく歌詞を聴くとすごく凡庸な意見なんだよね。

ハイイロ・デ・ロッシ:でも、オレらがやっているのは反抗じゃないですよ。

反抗じゃない?

ハイイロ・デ・ロッシ:ただ振り回しているだけじゃないから。狙ってカウンターを撃っているから。そうじゃないと当たらないし。

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「アシッド、MDMA、コケイン、オプションがなきゃ語れないペイン」って言ってるんです。やるのはいいけど、オプションのためにドラッグをやるんだったら、意味ないですね。オレは精神安定剤で内臓ボロボロになって、いま病院に行っている状態なんです。そこにイリーガルもリーガルも関係ない。ドラッグは武器でもなんでもないし、マイナスにしかならないから、オレは思いっきり切り離したいです。


Haiiro De Rossi
Same Same But Different

Slye Records

Amazon iTunes

「WE'RE THE SAME ASIAN」は歌詞の内容をめぐって議論できるリアリズムがあるのが素晴らしいと思いましたね。

ハイイロ・デ・ロッシ:抉り方は注意しましたね。わかりやすくするためにラップ的には下手に書いたと思いますよ。音楽的な拍のところなんかを詰めずに当たり前のことを当たり前に言うことだけを考えてやりました。そのぶん、歌詞がシンプルになった。だから、show-kさんから誤解を招いた。「渋谷のデモがテロ」なんて言っていないのに、そういう誤解を招いた。それはオレらの表現の仕方が悪かった。オレらがあの曲を発売しない理由もわかって欲しいですね。あれを500円で売ったら多少の金にはなるじゃないですか。でも、オレはあれを発売する気はない。

それはなぜ?

ハイイロ・デ・ロッシ:あれは曲じゃないから。あれは議論する場ですから。図書館や会議場を作って、そこで金を取るわけにはいかないじゃないですか。

でも、自分たちの曲という意識はあるでしょ?

ハイイロ・デ・ロッシ:オレらが蒔いた種ではあるけど、そこから育てるも枯らすも人びと次第ですね。唯一国が潰しに来ない場所ができたんだから。

主張というより問題提起という気持ちが強い?

ハイイロ・デ・ロッシ:主張できるほどオレらは頭良くないですから。オレらより政治的に理解があるヤツらはいっぱいいるから。

オレはあの曲には十分主張があると思うけどね。

ハイイロ・デ・ロッシ:オレは人としてラップしたし、タクマはそれにたいして勇気を持って協力してくれた。エンジニアやトラックを作ってくれたヤツもそうだし。

政治的な曲をお金にするのはうしろめたいという気持ちがある?

ハイイロ・デ・ロッシ:いや、そういうことではないです。形が変わってしまったからです。曲ではなくなってしまったからです。音楽を売るなら売るけど、音楽ではなくなってしまった。

なるほど。ところで、今年は3枚目のアルバムを出すんですよね?

ハイイロ・デ・ロッシ:12インチを先行で切ります。「グッバイ・キッズ・ヒップホップ」という曲です。いわゆる暴力やドラッグにたいして決別する曲です。

ドラッグを否定するのはどうして?

ハイイロ・デ・ロッシ:オレは歌詞で、「アシッド、MDMA、コケイン、オプションがなきゃ語れないペイン」って言ってるんです。ドラッグを好きにやるのはいいけど、オプションのためにドラッグをやるんだったら、意味ないですね。オレは精神安定剤で内臓ボロボロになって、いま病院に行っている状態なんです。そこまで行っても「ドラッグやってるぜ」なんて言わない。そこにイリーガルもリーガルも関係ない。ドラッグは武器でもなんでもないし、マイナスにしかならないから、オレは思いっきり切り離したいです。「グッバイ・キッズ・ヒップホップ」といっしょに収録するのが、「ドラッグ・バラード」って曲なんです。それがそのチェーンを切ってくれって曲です。

これまでとはまた違う、切迫感のあるアルバムになりそうだね。

ハイイロ・デ・ロッシ:3枚目は自分のレーベルですべてやります。追い込まれて、擦り切れそうな状態で作ったから、聴きづらいかもしれません。でも、満員電車に耐えられないとか、そういうヤツらって意外といっぱいいると思うんですよ。電車を降りないとヤバイ状態だけど、終電だよ、どうしようって。次のアルバムはそういうヤツらがあと10分乗って頑張れるようなアルバムにしたい。エミネムの『リカヴァリー』の6曲目から7曲目の流れがあるじゃないですか。いち度ぐちゃぐちゃになってからもオレはやるんだって。オレ、あそこで超泣いたんですよ。オレがどうやって乗り越えたのかっていうことを見せたいですね、次のアルバムでは。


MAQ - ele-king

ウーハーを震わせる12インチ


1
Mark imperial - Are you house - HouseNation

2
Dj brockie & Ed solo - System check - Undiluted

3
Dawn Penn -You Don't Love Me(dub)

4
David Green - Space Cowboy -FreeStyleListen

5
Alex Reece - PulpFiction - MetalHheads

6
Flynn&Flora - Breakbeat - IndependentDealersRecords

7
Calito & Addiction -Make It Real - CreativeSource

8
Tone pusher - Flyin to rio ( David Alvarade Mix) -Slusher Records

9
Dj Perre's AfroAcidProject - The Darkness - DJP Records

10
Gypsymen -Camarera - LoudHouse

James Ferraro - ele-king

 2010年のインディはだいたいチルウェイヴの年だったかどうか、ウォッシュト・アウトトロ・イ・モアスモール・ブラックも結局聴き逃したが、レインジャーズの『サバーバン・ツアーズ』をよく聴いた私にはなんともわからない。
 あげくのはてに、昨年末『サバーバン~』をリリースした〈Olde English Spelling Bee〉の出したジェイムズ・フェラーロの新作を今年に入って買った。これまでもフェラーロの作品を出してきた〈OESB〉は2008年のテープ・アルバム『ラスト・アメリカン・ヒーロー』を去年LP化している。そこで聴ける塊になった糸がほどけるようなギターのアルペジオとシンセサイザーの音の膜は『E2-E4』の後裔というよりライヒばりのフェイズ・ミュージックをサイケデリックに移すにあたりわざわざボタンを掛けちがえた節がある。私がいま傍点をふった、この「わざわざ」がクセモノであり、フェラーロの芯の部分にあるのは、このアルバムでも明らかである。シリアス・ミュージックとデフォルメあるいはパロディとの線引きを曖昧にしたまま全部を引き連れて行くフェラーロのコラージュ・センスはここでは1曲1曲に向けてはおらず、アルバムのコンセプトを作動させるコンセプト、物理の分野でいう「場」の概念にちかいやり方になっている。

 大袈裟に書いてしまったが、ジャケットをよくよくご覧いただければおわりかりの通り、ようはこれ、MTVがモチーフなんです。砂嵐を前にオカッパ頭の男が映ったテレビ画面の左下にはMTVを思わせる「HTV(Hは"Hell"のH)」のロゴがあり、画面の前にはサーモン・ピンクのストラトキャスターが漂い、手前にはリモコンを手に髪にカーラーを巻きペディキュアを乾かす女のうしろ姿をコラージュしている。ご丁寧に一周まわってオシャレといえなくもないスタッズ(鋲打ち)・ベルト風の縁取りまであるそれらの視覚記号はこのアルバムのテーマは「MTVとその時代」だと示しているが、『ナイトドールズ・ウィズ・ヘアスプレイ』の書き割りは80年代消費文化の戯画としての『アメリカン・サイコ』のスノビズムではなく、それを頂点としたヒエラルキーの下部に位置した、オーウェルが『1984年』で予見したディストピアの全体主義をレーガン時代の反共/保守に置き換えた社会風俗としてのポップ・カルチャーであり、作中では81年にバグルスの"ラジオ・スターの悲劇"とともに開局したMTVが好んだニューウェイヴ、エレ・ポップ、ニューロマ、ヘア・メタルをシミュレートした曲を、テレビをザッピングするように執着なく並べていく。「アリエル・ピンク的な」ポップさはたしかにウリだが、それ以上に、90210の同僚であり、マトリックス・メタルズ名義でLAヴァンパイアにジョイントし、アウター・リミッツ・レコーディングス名義では"アイ・ニード・マイ・T.V."と題したシングルを出したサム・メーランことサム・メレンゲの偏愛に感化されたとみるべきかもしれない。「マイTV」を「ユーチューブ」といい換えられる世界にあって、私たちはその気になれば世界の終わりまでPVを見つづけることさえできる。最新のものだけでなく過去のものも。しかし本作はアーカイヴ消費に与してはいない。〈OESB〉の諸作に特徴的なテープ・マスター風の劣化した音色は、このアルバムではアーカイヴ自体の経年変化を印象づける。『サバーバン~』ではそれが、チルアウトと一体になっていた。『ナイトドールズ~』の場合、それはたぶん、動画共有サイトにアップした倍速録画したVHSテープの映像とリンクしている。このふたつにはレトロな音楽への既聴感と、何かがリヴァイヴァルすること対する既視感が二重写しになっている。低予算のスタジオ・セット、DCブランドの逆三角形のシルエット、スプレイでオッ立ったヘアスタイル、マイケルの"スリラー"、シンディ・ローパーの"グーニーズ"、『悪魔のいけにえ』の撮影監督ダニエル・パールが撮ったビーフハートの"アイス・クリーム・フォー・クロウ"、それらのイメージが退色したネオンカラーの洪水のように押し寄せてくる。

Chart by JET SET 2011.02.07 - ele-king

Shop Chart


1

KENJI TAKIMI

KENJI TAKIMI LUGER E-GO KEEP »COMMENT GET MUSIC
04年5月、今は無き西麻布Yellowでのプレイを収録したCrue-L主宰Kenji Takimi氏による鬼強烈マッド・ミックス。混沌としたノイズ・サウンドに始まり、ニュー・ウェーブ~ロック~ディープ・ハウス~ディスコ・ダブへと縦横無尽に駆け抜けるまさにオリジナル・サイケデリア。ヤバ過ぎます!!

2

ULYSSES

ULYSSES ACID REFLUX »COMMENT GET MUSIC
ファンキー・アシッド・ハウス推薦盤、Prins Thomasリミックス収録!!2010年はPrins Thomas主宰Internasjonalからのリリースが光っていたNYのヴェテランElliot TaubによるThe Rapture主宰レーベルからの新作は捩れまくり、しかしすこぶるファンキーなアシッド・ハウス!!

3

DIMLITE

DIMLITE MY HUMAN WEARS ACEDIA SHREDS »COMMENT GET MUSIC
アイルランドのウォンキー/ニュービーツ名門All Cityからの7"も当店定番化しているスイスの天才が、USのソウル/ファンク系レーベルから再登場!!

4

ILYA SANTANA

ILYA SANTANA TRANSBORDER »COMMENT GET MUSIC
スペイン・カナリア諸島出身の逸材Ilya Santan。Eskimoからは3作目となる新作ニュー・ディスコ・トラック"Transborder"をMinilogueによるドープ・ミニマル・リミックスを収録した大注目の一枚。

5

CLINIC

CLINIC BUBBLEGUM »COMMENT GET MUSIC
最新アルバム"Bubblegum"からのカット。優しく泣かせるグレイト・ポップ・チューン!!孤高の英国アート・サイケ・バンド、Clinic。前シングル"I'm Aware"も傑作でしたが、これまた超良い!!Radioheadが60'sサイケ・ポップ化したような甘酸っぱく切ない名曲です!!

6

KINK / ADAM PORT

KINK / ADAM PORT DETUNATOR / STALKER »COMMENT GET MUSIC
現代的なアシッド感覚を武器に数々のレーベルから傑作をリリース中のブルガリアの星KiNKと、Rockets & PoniesからのSanteとのコラボ"Own EP"も大ヒットのAdam Portという旬の面子によるスプリット。

7

THE TORTOISE

THE TORTOISE GONNA BE »COMMENT GET MUSIC
メルボルンの新鋭The Tortoiseによる3rd Strike第五弾。ポスト・ビートダウン一押し盤です!!Jisco Music/Under The Shadeクルーが手掛けるビート・ダウン・アプローチの新レーベル3rd Strikeから、前2作を手掛けたドイツの新鋭Erdbeerschnitzelに続く素晴しい逸材を発掘。気鋭Huneeによるリミックスもお見逃し無く!!

8

DANIEL DRUMZ

DANIEL DRUMZ EP »COMMENT GET MUSIC
ポーランドの職人が放つ新作が限定10"ホワイト・ヴァイナルにて登場!まさに匠なビート・シーケンスに流麗なシンセ・ワークが乗るハイ・センスなダウンビート&ディスコ・リエディット全3曲を収録。

9

LAUER

LAUER H.R. BOSS / BANNED »COMMENT GET MUSIC
Brontsaurus中核Phillip Lauerによる傑作ソロ新作、お待たせしました!!Live At Robert Johnson主宰のAta(Playhouse)も相当にお気に入りなのは明白な、Arto Mwambe名義でのミックス・コンピ、シングル・リリースに続くBrontosaurusシリーズ第3弾。

10

GLASSER

GLASSER MIRRORAGE »COMMENT GET MUSIC
Lindstrom主宰Feedelity、約2年振りのニュー・リリースです。Tru Panther、Young Turksからのリリースで注目を集めるUSインディ・シンセ・トリオGlasserの1st.アルバム『Ring』収録曲がLindstromのリミックスを加えてライセンス・シングル・カット。素晴らしすぎます...。

HAIIRO DE ROSSI / Goodbye Kidz HipHop - ele-king

 2011年、音楽における"プロテスト"は何処にいった? 何処にもいかない。ここにある。シミ・ラボに引き続き、ele-kingが注目する若手ラッパー、ハイイロ・デ・ロッシの新曲。昨年末話題となったポリティカル・ラップ「WE'RE THE SAME ASIAN」以来の新曲で、彼は今日の日本のドラッグ・カルチャーのネガティヴな側面を容赦なく浮き彫りにしている。
 今週末に、二木信による彼のインタヴュー記事がupされます。乞うご期待!

Chart by JET SET 2011.01.31 - ele-king

Shop Chart


1

MOODY AKA MOODYMANN

MOODY AKA MOODYMANN FREEKI MUTHA F CKER »COMMENT GET MUSIC
エレクトロ大御所2組によるリミックスを収録したKDJ最新作が到着!!KDJ37番"Det.riot '67"収録の大人気トラック"Freeki Mutha F cker"の未発表エクステンデッドVer、さらにModel 500 & Egyptian Lover(!)による2リミックス、'07年にデトロイトにてライブ・レコーディングされた"California"の計4トラックスを収録。ファン待望のKDJ最新作です。お見逃し無く!!

2

TIN MAN

TIN MAN NONNEO »COMMENT GET MUSIC
Donato Dozzyによるウルトラ・ディープ・リミックスは必聴!!L.Aの注目レーベルAbsurd Recordingsが新シリーズ"Acid Test"をラウンチ。第1弾はGlobal A、Keys of Lifeといったレーベルからの作品がカルト人気のマニアック・アシッド・メーカーTin Man。

3

SLOW MOTION REPLAY PRESENTS DUNK SHOT BROTHERS

SLOW MOTION REPLAY PRESENTS DUNK SHOT BROTHERS HOLIDAYS / PROPS »COMMENT GET MUSIC
Slow Motion Replayによるマッシュアップ専科プロジェクト第1弾!注目のシリーズ第1弾は、"Holiday Rap"ミーツ・サルサ的ラテン・ヒップホップと、"Props Over Here"のウェストコースト・ファンク・ミックス!

4

SKYMARK

SKYMARK DEEP SOUL REVISITED VOL.2 »COMMENT GET MUSIC
バルセロナのビートメイカー/鍵盤演者=Skymark待望のサードアルバムが登場。J Dilla『Donuts』を彷彿とさせるソウルフル・ショートトラック集は、良質なサンプリングソースを独自に料理した職人技が垣間見ることができます。

5

CUT COPY

CUT COPY TAKE ME OVER »COMMENT GET MUSIC
待望のニュー・アルバムからの先行シングル・カット、UK流通盤12インチ!!アルバム"Zonoscope"は2月初頭のリリース予定。こちらは約1ヶ月早く発売のリード・シングルです!!オリジナルに加え、Azari & III、Thee Loving Hand(Tim Goldsworth)によるリミックスを収録!!

6

ALTZ

ALTZ SLOWCRAPZ »COMMENT GET MUSIC
Black Smokerミックス・シリーズの2011年1発目は奇才、Altzが担当!2010年にHoncho Soundからリリースされたミックスとは対極に位置するかのうような、エレガントで大人な一時を演出するユル~い1枚です。

7

CHROMEO

CHROMEO HOT MESS »COMMENT GET MUSIC
最新アルバム"Business Casual"からのカットとなる、La RouxのElly Jacksonの甘いヴォーカルをフィーチャー!!UK/Backyard盤12インチです。

8

CRIMEA X

CRIMEA X RE:PROSPECTIVE »COMMENT GET MUSIC
Bjorn Torske Remix収録の前作に続く、鬼豪華陣営によるグレイト・リミキシーズ!!Ajelloの片割れDJ RoccaとJukka Reverberiによるレフト・フィールド/コズミック・ディスコ・デュオ"Crimea X"の過去作リミキシーズ。Luke Abbott(Border Community), Daniele Baldelli, Alex Smoke,Tempelhofの大御所~新鋭四方が手掛けた、コズミック~テック・ハウスまで即戦力必至かと思われるクロスオーヴァーな楽曲ズラリ!!

9

SOFT MEETS PAN

SOFT MEETS PAN ICHIGOICHIE / LUNAR REMIX »COMMENT GET MUSIC
久々GrooveboyのEP第2弾は何と"Is It Good to You"のリワーク!そしてさらに、Side-BにはSade"Love is Stronger Than Pride"をスムーズなビートダウンに仕立てた技ありリワークも収録。

10

THOMAS FEHLMANN

THOMAS FEHLMANN TITAN ONE / DFM »COMMENT GET MUSIC
マーラー"交響曲第1番ニ長調-巨人"リメイク!!昨年10月にカナダはモントリオールにて行われた地元の交響楽団とのジョイント・ライヴ音源をベースとした荘厳なオーケストラル・アンビエント"Titan One"。おずおずと4/4ビートが現れる瞬間には鳥肌が立ちます。

WE DON'T CARE
ABOUT MUSIC ANYWAY...
- ele-king

 現在、渋谷のユーロスペースで公開されている映画を紹介したい。『WE DON'T CARE ABOUT MUSIC ANYWAY...』という日本の実験音楽/即興音楽のアーティストたちを追ったドキュメンタリー・フィルムだ。坂本弘道、大友良英、山川冬樹、L?K?O、Numb&Saidrum、Kirihito、Umi no Yeah!!(竹久圏、嶋崎朋子)、Goth-Trad、Hikoといったさまざまなジャンルのアーティストが出演している。
 『WE DON'T CARE ABOUT MUSIC ANYWAY...』は音楽主義を貫いていると言える。フランス人を中心とした制作クルーは、アーティストの歴史や背景を追うことよりも、彼らの一度きりの即興を捉えることに情熱を傾けている。画面は音の立ち上がる過程と瞬間をリアルに映し出し、4年という歳月をかけてパフォーマンスの現場に拘りつづけた努力は素晴らしい結果を生み出している。
 この映画はすでに、スイス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ポーランド、カナダ、アメリカ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、シンガポールといった世界各地の映画祭などで上映され、国内では昨年、吉祥寺バウスシアターで開催された爆音映画祭で先行上映された。
 とにかく面白い音を出して、未知の領域を開拓したいというアーティストたちの無邪気で原始的な動機に痺れる作品だ。実験音楽/即興音楽に普段は親しみのない音楽ファンも必ずや振り向かせることだろう。それだけ魅力のある"音楽映画"だ。DVD化するかは未定なので、いま映画館で体感しておいたほうがいい。(二木信)

WE DON'T CARE ABOUT MUSIC ANYWAY
https://www.wedontcareaboutmusicanyway.com/ja/

劇場情報
2011年1月15日(土)より、3週間レイトショー!!
21:00(連日)
渋谷ユーロスペース www.eurospace.co.jp
渋谷・文化村前交差点左折
03-3461-0211
特別鑑賞券 1,400円(税込) 発売中!
○劇場窓口・プレイガイドにて
○劇場窓口、各プレイガイドにてお求めください。
○ご鑑賞当日、劇場受付にて入場整理番号とお引き換え下さい。
当日:一般1,700円/大学・専門学校生1,400円/会員・シニア1,200円/高校生800円/中学生以下500円

出演者

●坂本弘道
1962年、広島生まれ。チェロ奏者、他にボイス、ノコギリを奏する。様々なエフェクター類を駆使し、叩く、こする、回す、果ては電動ドリルやグラインダーでチェロから火花を散らすパフォーマンスまで、イメージの氾濫ともいうべき演奏は常に刺激に満ちている。
「midori」(88年~92年)、少年マルタとの「echo-U-nite」(90年~01年)、石塚俊明(ex頭脳警察)の「シノラマ」を経て、ロケット・マツ主宰「パスカルズ」、チェロのみ3人のユニット「COTU COTU」、Lars Hollmer(from Sweden)と日本人音楽家とのユニット「SOLA」、大熊ワタル主宰「シカラムータ」等数々のバンドに名を連ねる。滝本晃司(from たま)、Mika PUSSE(from Paris)、十時由紀子、あかね、大谷氏・とっちゃん(from 富山)、高橋CAZ、火取ゆき、遠藤ミチロウ、等ボーカリストとの共演も多く、02年11月?03年1月にかけてUAの全国ツアー「空の小屋」に参加した。03年にはHacoとの共同プロジェクト「Ash in the Rainbow」を発表。
また、インプロヴァイザーとしての活動を中心に、様々な音楽家とのセッションを精力的に行っている。過去の共演者?さがゆき、風巻隆、おおたか静流、横川タダヒコ、鬼怒無月、ライオン・メリー、林栄一、向島ゆり子、沢井原兒、小山彰太、とうじ魔とうじ、梅津和時、サム・ベネット、HONZI、不破大輔、中尾勘二、大友良英、内橋和久、黒田京子、千野秀一、安藤明(from Berlin)、故・井上敬三、ARFIの「32 JANVIER」(from Lyon)、Jonathan Segel(from California)、等々。ジョン・ゾーンの「コブラ」「ベジーク」(プロンプター:巻上公一)等の集団即興にも度々参加している。
近年は精力的にソロライヴを行っており、99年にソロアルバム「零式」を発表している。
https://home.catv.ne.jp/dd/piromiti

●大友良英
1959年生まれ。ターンテーブル奏者 / ギタリスト / 作曲家として、日本はもとより世界各地でのコンサートやレコーディング等、常にインディペンデントなスタンスで活動し、多くのアーティストとコラボレーションを行っている。
また、映画音楽家としても、中国 / 香港映画を中心に数多くのサウンドトラックを手がけ、ベルリンをはじめとした多くの映画祭で受賞、高い評価を得ている。
近年はポスト・サンプリング指向を強め、「Ground-Zero」のプロジェクトに代表されるようなノイズやカット・アップ等を多用した大音量の作品から、音響の発生そのものに焦点をあてたスポンティニアスな作品へと、ドラスティックに作風を変化させている。
Sachiko Mと結成した電子音響系プロジェクト「Filament」で徹底した脱メモリー音楽を指向する一方で、伝統楽器とエレクトロニクスによるアンサンブル「Cathode」や、60年代のジャズを今日的な視点でよみがえらせる「大友良英 New Jazz Quintet」等をスタート。他にも邦楽器の為の作品の作曲、多方面でのリミックス、プロデュース・ワーク等、多忙を極める。
https://www.japanimprov.com/yotomo/yotomoj

●山川冬樹
ホーメイ歌手、あるいは『全身美術家/全身音楽家』。 1973年、ロンドンに生まれ。横浜市在住。音楽、美術、舞台芸術の分野で活動。
身体内部で起きている微細な活動や物理的現象をテクノロジーによって拡張、表出したパフォーマンスを得意とする。電子聴診器で心音を重低音で増幅し、さらに心臓の鼓動の速度や強さを意図的に制御し、時に停止させながら、それを光の明滅として視覚化。己を音と光として空間に満たすことで、観客との間の境界線を消滅させることを試みる。また、骨伝導マイクを使った頭蓋骨とハミングによるパーカッシブなパフォーマンスは、ソニーウォークマンのコマーシャルで取り上げられ話題を呼んだ。
活動の範囲は国内にとどまらず国際的に展開。2007年、ヴェネツィア・ビエンナーレ・コンテンポラリーダンスフェスティバルから前年に引き続き二回連続で招聘を受け、同年秋に行った米国ツアーは各地で公演がソールドアウト。ヨーロッパ、アメリカ、アジアのライブハウス、劇場、美術館でライブ・パフォーマンスを行う。
こうしたパフォーマンス活動の一方で展示形式の作品を制作。遺された声と記憶をテーマにした、映像・サウンド・インスタレーション「The Voice-over」を、釜山ビエンナーレ(2008)、東京都写真美術館(2008)、ヨコハマ国際映像祭(2009)、などで発表する。同作品は東京都現代美術館のコレクションに収蔵され、現在常設展示室で公開されている。
歌い手としては、日本における「ホーメイ」の名手として知られ、2003年ロシア連邦トゥバ共和国で開催された「ユネスコ主催 第4回国際ホーメイフェスティバル」に参加。コンテストでは「アヴァンギャルド賞」を受賞。その独自のスタイルは、現地の人々に「авангардное хоомей(アヴァンガルド・ホーメイ)」と称される。同年東京で開催された「第2回日本ホーメイコンテスト」では、第1回大会(2001年)に引き続きグランプリと観客賞をダブル受賞。「ホーメイ」の伝統と、現代の等身大の感覚からなるハイブリッドなスタンスで、独自の境地を切り開く。2004年よりシタール奏者ヨシダダイキチが結成したバンド「AlayaVijana」に参加。バンドのフロントマンをつとめ、フジロックフェスティバルをはじめ多くのフェスティバルに出演、2枚のアルバムを発表。
また、声ついての連載エッセイを、「未来(未來社)」誌上で2007年より2年間執筆。複数の大学入試において国語科目の長文問題に採用されている。
現在、東京藝術大学先端芸術表現科、多摩美術大学情報芸術コース非常勤講師。
https://fuyuki.org/

●L?K?O
1974年、東京生まれ。
ターンテ-ブリストとして早くから様々な音楽フォーマットをスクラッチにより解体、再構築するスタイルをベースに活動。Moodman、Original Love、ooioo、灰野敬二氏などあらゆる分野のアーティストとのセッションを経て、近年では、海外でのイベントにも度々招聘されるまでに至る。スクラッチとリアルタイムのDSP処理によって常に変化を生み出す唯一無二のDJスタイルは多数の音楽家から評価を受け、各種コンピレーションアルバムに自身の楽曲を提供、数々のRemixを手掛けるなど、多岐に渡る活動を続けている。
https://m-hz.com/lko/index.html

●Numb
1992年、ニューヨークのINSTITUTE OF AUDIO RESEARCHでエンジニアリングを学び、帰国後の1995年、CALMと共にレーベルKARMA MUSICを立ち上げ、シングル「FILE#2 /深脳」をリリース。
1997年にはレーベル、リヴァースの立ち上げに携わり「BEGINNING OF THE END」「ILLFUSION」「89」といった12インチシングルをリリースする。そして、2002年にリリースしたファースト・アルバム『NUMB』は、鋭さと荒々しさの裏に静寂さを合わせもつ奥深いサウンドで、聴く者のすべての感覚を振動させた。
NUMBはサウンド・パフォーマンスにおいて、ラップトップを用い、MIDIコントローラーでビートやヴォリューム、エフェクトや曲の構成をリアルタイムに操り、フィジカルに演奏する。そして、その音が身体に吸収されると、退化していた器官は開き、細胞が音を聴き始める。その霊妙な演奏は、パリで行われたBATOFARやアムステルダムのSONIC LIGHT、日本のFUJI ROCK FESTIVAL、そしてデンマークのROSKILDE FESTIVAL、同じくデンマークのFUTURE SOUND OF JAZZ FESTIVAL等、国内外で高い評価を得ている。
2003年5月、それらのサウンド・パフォーマンスをパッケージしたライヴ・アルバム『東京』をリリースし、凄まじい勢いで変貌する東京の街に疑問を投げかけた。そして、消費やスピードと引き換えにしてきたものを取り戻したいという彼の強い念が、ラップトップに魂を宿らせた。 2004年、そのサウンドはエレクトロニカ、テクノ、ブレイクビーツ、トランス、ヒップ・ホップと総てを網羅しながら、新たなグルーヴの創造を続けている。
https://www.ekoune.org/

●Saidrum
NOIZEから削り出される緻密な音響工作、そしてミニマルに展開されてゆくダブ・ワイズなスタイルで、ラディカルかつ、ディープなリズム・サウンドを演出するSound Innovationist。
96年にNUMBと出会い、サンプリング・マシーンを軸に、ジャングル、ダブ、D&B、ハードコアブレイクビーツを中心としたトラック制作を開始。その後、1999年にファーストシングル「MATADOR」をリリース。
以来、情報過多な社会の中で発生するカオティックなリズム、自然の中で脈々と流れ続ける普遍的なリズム、それら対極的な要素を音に混在させ、独自のバランス感覚でトラックを構築する。又、2004年には待望のファースト・アルバム『deadpan rhythm』(RECD-010)をリリース。圧倒的なまでの密度と緊張感が支配するデジタル・オーディオの急先鋒とも謳われたそのサウンドメイキングは、聴けば聴くほどに引きずりこまれてゆく孤高のインダストリアル・サウンドを演出した。そして、音の洪水で満たされるライブ・パフォーマンスは、その空間を時に不規則に、時に規則的に、徐々に変化をつけ、サブリミナル・催眠的とも言える魔性のグルーヴを紡ぎだす。
https://www.ekoune.org/

●Kirihito
1994年結成。GROUPのメンバーでもあり、UAのライヴ・バンドや、一十三十一やFLYING RHYTHMSの作品に参加している竹久圏(g, vo, key, etc)と、GAKIDEKA、高品格でも活動する、THE BACILLUS BRAINSのサポートも務める早川俊介(ds, vo, etc)のデュオ。ライトニング・ボルトよりも、ヘラよりも、あふりらんぽよりも早かったデュオ、である。ギターをかき鳴らしながら足でカシオ・トーンを弾き、歌う竹久、スタンディング・スタイルでドラムを叩く早川という、見世物的というか、アクロバティックなライヴ・パフォーマンスの楽しさも然ることながら、ポップでダンサブルでありながらもキテレツかつ凶暴なその音楽はまさにワン&オンリー。これまでにホッピー神山のGOD MOUNTAINレーベルより2枚、DMBQの増子真二のナノフォニカ・レーベルより1枚のアルバムをリリースしている。1996年から98年にかけて4 回、アメリカ・ツアーを敢行し、ダブ・ナルコティック・サウンド・システム、アンワウンド、モデスト・マウス等と共演している。日本国内においても全国各地で精力的なライヴ活動を展開している。ミュージシャンのシンパも多い。
https://www.kirihito.com/

●Umi no Yeah!!
神奈川県、油壺マリンパークで出会った2人が 意気投合し結成。 商売繁盛トロピカルサウンドをモットーとする 常夏の伊豆(ノイズ)ユニット。 マズくてもウマく感じるカレーライス。 摩訶不思議、海の家。 貸ボートはありません。 竹久圏(KIRIHITO/Group/younGSounds)と女優の嶋崎朋子による常夏トロピカル・ノイズユニット! 最近ではバイト(メンバー)にシロップさん(aka コンピューマ)藻JAH先生(aka KUJUN)加わり、年中無休開店中!
https://umi-no-yeah.com/

●Goth-Trad
ミキシングを自在に操り、アブストラクトなアプローチでダンス・ミュージックを 生み出すサウンド・オリジネイター。
2001年12月にフランスの船上パーティ"Batofar(バトファー)"で海外イベントに初登場。独自のサウンド・コラージュで話題を集めた。2001年、秋本"Heavy"武士とともにREBEL FAMILIAを結成。
ソロ、GOTH-TRAD(ゴス・トラッド)として、2003年4月に 1stソロ・アルバム「GOTH-TRAD I」を発表。国内でソロ活動を本格的にスタートする。同年秋にフランス・ツアーを敢行。
翌2004年1月、THE MARS VOLTA東名阪ツアーの オー プニングアクトを務めた。5月~6月にもヨーロッパ・ツアーを敢行。11月にはアート・リンゼイの東京公演にオープニングアクトとして出演。
2005年1月、2枚目のソロ・ アル バム「The Inverted Perspective」をリリース。同年3月、韓国ソウルで開催された日韓友情年イベントの"KOREA-JAPAN Road Club Festival 2005"に出演。マッド・レイヴと称した新たな音楽性を打ち出し、3枚目のソロ・アルバム「Mad Raver's Dance Floor」を発表後、ベルリン,パリ,メッツ,ロンドンそして国内8都市でリリース・ツアーを行なった。
2006年1月、限定アナログ盤12"シングル「Paranoia/Acid Steps」のリリースをかわきりに、現在
進行形Mad Raverに送る、新たなフロアチューンを製作中。
https://www.gothtrad.com/index_j.html

●Hiko
国内外で活躍中のパンクバンド「GAUZE」のドラマー。その活動と平行して、「あらゆる芸術、芸能、表現活動」の、「最も攻撃的な、破れかぶれな」部分と自己のドラミングスタイルとの融合をもって「在りそうで無かった"ハードコア的パフォーマンス、音楽」の実現を標榜し、各種表現者らと共闘中。過去の共闘者は、舞踏家、格闘家(立ち技打撃系)、バリガムラン奏者及びダンサー、俳優による朗読、薩摩琵琶奏者、ホーメィ歌手、コンテンポラリーダンサー、フェンシング競技者、暴走族のバイクのアクセルミュージック等。

Chart by JET SET 2011.01.24 - ele-king

Shop Chart


1

JEBSKI

JEBSKI PAD »COMMENT GET MUSIC
全曲シングル・カット級の強力ナンバーがズラリと並んだ、Jebski待望のソロ・アルバム!楽曲は全てインストながらも大胆な展開や、圧倒的なメロディーセンスでエモーショナルなエレクトリック・ミュージックを創り出す音Jebskiの世界観を堪能できる傑作1st!

2

INNER SCIENCE

INNER SCIENCE ELEGANT CONFECTIONS »COMMENT GET MUSIC
唯一無二のエレクトロニック・ミュージックを追求する、Inner Scienceの4年ぶりとなるニュー・アルバムがついに登場!繊細かつ緻密なメロディー・センスとフロア・ライクで骨太なビート・メイクに定評のあるinner Science。その世界感を存分に楽しめる、2枚組でリリース。

3

EFEEL

EFEEL DO WHAT YOU DO »COMMENT GET MUSIC
International Feelのリエディット・ライン"EFEEL"第4弾!!10cc"I'm Not In Love"リエディットを皮切りに、こちらもヒット連発のInternational Feelリエディット部門"EFEEL"。本作もまたリリースと同時に廃盤、ショート入荷につきお早めの確保をお願いします!!

4

ZO!

ZO! SUNSTORM »COMMENT GET MUSIC
美しく艶やかに、豪華客演陣と共に奏でられる極上ニュー・ソウル!実力派キーボーディスト、Zo!待望の新作。Lady Alma、Yahzarah、Jesse BoykinsIII、Sy Smithなど、豪華ゲスト陣が参加。

5

MAKAM

MAKAM YOU MIGHT LOSE IT »COMMENT GET MUSIC
Kerri Chandlerの新リミックス!!シカゴ重鎮Chez Damierリミックスの前作Soulmate"Set Fire to My Feet"と同様に『Tessera』リミクシーズには未収録のミックスを収めた限定片面プレス盤。Kerri Chandlerだけに間違いはありません!!

6

ILLMATIC BUDDHA MC'S AKA BUDDHA BRAND

ILLMATIC BUDDHA MC'S AKA BUDDHA BRAND D.L PRESENTS : OFFICIAL BOOTLEG MIX-CD "ILLDWELLERS" G.K.A ILLMATIC BUDDHA MC'S MIXED BY MUTA »COMMENT GET MUSIC
Illの概念と共に日本を襲った、あの黒船の衝撃をもう一度! Buddha関連公式ミックス登場!偽ベスト盤に業を煮やしたD.L.氏が自ら完全監修、彼が信頼を寄せる注目株DJ Muta(Juswanna / Groundwork DJs)をミックスに迎えた、無敵の3本マイク公式ミックスCDが登場!

7

POP & EYE

POP & EYE OUT TO PUNCH EP »COMMENT GET MUSIC
Tiger & Woodsでお馴染みの人気レーベル"Editainment"第5弾!!今回も間違いの無いクォリティで送る最上級リエディットです!!

8

DOP

DOP NO MORE DADDY (AME REMIX) »COMMENT GET MUSIC
AMEリミックス収録!ユーモアのセンスを兼ね備えた独特なスタイルで2010年には"ベスト・アーティスト"の名を欲しいままにした、フレンチ・トリオ、dOPによるニュー・シングル!!

9

V.A.

V.A. WALTZ EDIT VOL. 4 »COMMENT GET MUSIC
奇才、Altzのリエディット専科『Waltz Edit』の第四弾が辺境の地から到着!今回はアフロでサイケデリックな強力3トラックを収録。Waltz / Blendmixで放った第三弾も大好評だった信頼の高いエディット・シリーズ。本作はAltzが奇才といわれる所以が垣間見えるリエディットを披露したシリーズ史上極めて異彩を放つエキゾチックな1枚!

10

KENNETH BAGER EXPERIENCE

KENNETH BAGER EXPERIENCE FRAGMENT 2 »COMMENT GET MUSIC
極上のダウンテンポ・ナンバーがズラリ!!Kenneth Bager Experience率いるデンマーク発チルアウト/ダウンテンポ・レーベルMusic For Dreamsからの新作EP。LTJ Experienceによるミドル・テンポに繰り広げられたブギー・リミックスがお勧めです!!!

Hi-Def - ele-king

 フリーライターなんていうヤクザな稼業を選んでしまったばかりに日々の生活は不安定極まりない。精神的にも経済的にも正直厳しい。去年、カネのことで彼女とどれだけ揉めたことか......、はははは。根は楽天的な人間のつもりだが、鬱屈した感情といかに上手く付き合っていくかというのは、日々の生活において重要なテーマである。
 実際に、1万や2万程度のカネで頭を悩ませ、社会への不信や猜疑心をつのらせ、被害者意識に囚われる人びとがいる。フリーターだろうが、派遣労働者だろうが、ニートだろうが、正社員だろうが、どんなならず者だろうが、そのことについては変わらない。

 ハイ・デフのファースト・ソロ・アルバム『DISKNOIR』を大きく特徴付けているのは鬱屈した感情だ。暗さを全面に出すことは、ヒップホップのスタイルのひとつとも言えるが、それだけでは片付けられない何か切実な雰囲気がここには漂っている。タイトルが暗示しているとおり、『DISKNOIR』はフィルムノワールチックな、犯罪映画を思わせるハードボイルド・ヒップホップに仕上がっている。
 クライム・ストーリーを描き出すという点では、『ピッチフォーク』やこの国の音楽評論家のあいだでも高く評価されたレイクウォン『オンリー・ビルト・4・キューバン・リンクス...PT.II』(09年)を連想させる。サウンドもウータン・クランをはじめとする90年代の東海岸ヒップホップ――ブート・キャンプ・クリック、ブラック・ムーン――を彼らなりにアップデイトしているように思える。ソウルフルなトラックがあり、スペース・ファンクがあり、甘くジャジーなアブストラクト・ヒップホップがある。重心の低いビートとベースの不吉なループが『DISKNOIR』の出口のなさを象徴しているかのようだ。

 旭川出身のラッパー/トラックメイカーであるハイ・デフは現在、都内のアンダーグラウンドなヒップホップ・シーンを中心に活動している。彼と同郷の相方、トノ・サピエンスがオリジナル・メンバーのヒップホップ・ポッセ、CIA ZOOはこれまでに未発表音源集を集めた『LOST TAPES VOL.1』(07年)と『THE LOGIC WORK ORANGE』(09年)といった素晴らしくファンキーでマッドなアルバムを世に送り出している。とくに後者の雑食性と都市を猛スピードで疾走するような勢いは凄まじい。これは2009年のベストの1枚だ。
 CIA ZOOにはブッシュマインドも所属している。彼らの仲間には、昨年、個人的にはこの国のヒップホップのなかで2010年のトップ5に入る出来だった『WELCOME TO HOME』を発表したロッカセンもいる。
 ヒップホップやハードコアやレゲエ、テクノやハウスといったダンス・ミュージックが彼らのバックグラウンドにあり、それらを燃料に彼らは町中をねずみのように徘徊し遊び、逞しく生きているのだろう。そんな息遣いとタフな生き様が彼らのケオティックなサウンドから伝わってくる。ブッシュマインドらが主宰者を務めるインディペンデント・レーベル〈セミニシュケイ〉のコンピレーション『WISDOM OF LIFE』もそんな彼らの成果のひとつと言える。

 ファンキーなCIA ZOOを知っている人はこれを聴いて戸惑うかもしれない。音楽業界への憤りを歯に衣着せぬリリックで放ち、ときに悪態をつき、サディスティックな欲望を吐き出したかと思えば、「ちっぽけなチンピラ」だと自分のことを卑下する倒錯した感覚がある。「安定したいけど国が不安定」というのは率直な気持ちだろう。"ペイント・イット・グレー"を聴けば、ハードコア・ヒップホップはマッチョでワルというイメージしか持てない人も少しは考え方を変えて、この文化の複雑さに目を向けると信じたい。神聖かまってちゃんがこんがらがった現実のなかから絶望を音楽化したように......、いや、喩えが安易だったかもしれないが、ここにある怒りや不満にも耳を傾けて欲しいと思う。
 ハードコア・バンド、ペイ・バック・ボーイズのリル・マーシー、ケムイ、DJ PK、メデュラ、トノ・サピエンス、スターバースト、ノース・スモーク・ING、ジプジーといった面子が参加している。大半のトラックはDJ COP(ハイ・デフ)が制作している。なんともアイロニカルなネーミングじゃないか。じっくりと付き合えば、黒い笑いが滲み出てくるアルバムでもある。
 ハイ・デフは闇に寄り添うことに情熱を傾けている。陰謀論めいた社会風刺には危うさを感じなくもないが、無視できない怒りや不満が充満している。これがもしフランスなら暴動に結びつくかもしれないなんてことを考える。いずれにせよ、僕は闇のなかで武装するこういう態度が嫌いじゃない。これはひとつの覚悟のある生き方だ。そして徹底的に暗さと対峙したあと、最後の2曲で人生を祝福しているのが素晴らしい。


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