「You me」と一致するもの

“また、おまえの中では、立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを吹き鳴らす者の楽の音は全く聞かれず、あらゆる仕事の職人たちも全く姿を消し、また、ひきうすの音も、全く聞かれない” - ヨハネの黙示録18章22節

 雨が降っている。
 屋根を叩く雨の音がスピーカーから流れる Throbbing Gristle の乾いたサウンドに潤いを与えている。飯島直樹Genesis P-OrridgeGabi Delgado が立て続けにこの世を去り、私の精神からは渇きも潤いも少しだが確実に失われた。巨人たちの喪失に加え出演予定だったイベントは立て続けにキャンセルになり、先の見通しが全く立たたない中で私は日々精神をすり減らしていた。そんな中、ele-king編集部から連絡をもらい、このコラムを始めることにした。タイトルは宇川さんの言葉を借りて「Post-Pandemic Memories」に。月に一度ぐらいのペースで書くことを目指そうと思う。このコラムはパンデミック後の世界を生きる一人のミュージシャンの手記となるだろう。

 今日は2020年の4月1日。自主隔離に入ってからおおよそひと月が経過した。もともと自主隔離のような時間を好む性格だった私は日々の過ごし方について大して心配はしていなかったが、いまは友人の存在や、大音量の音楽に包まれるという事、そしてそれらが完備されたパーティーという場のことを思い出しては、それが日常から失われたことに憂鬱になる日々を送っている。なぜかウエルベックの『ある島の可能性』の世界が頭をよぎってそんな気分に拍車をかける。ダニエル並みに寝起きは悪い。ベッド脇に情調オルガンがあるリックが羨ましい。毎朝とりあえず NTS をつけて、ロンドンから届いた音楽が身体にベッドから離れるための推進力を与えるのを待っている。(Sade が流れてきた! 最高だ。起きよう!)そして巨大サウンドシステムでステッパーをかけてオーディエンスの体毛や眼球を震わせる白昼夢を見ながら周りに転がる雑多な仕事を片付けている。

 その白昼夢を再び現実のものとするべく、私は有志数名と共に #SaveOurSpace という運動を始めた。COVID-19 の感染拡大を防いでなるべく早く収束させるために全ての人が集まる場所を閉鎖し、クラスタとなるのを防ぐために助成金を求めるアクションだ。助成金がなければ閉鎖の先には経済的な死が待っていて、閉鎖しなければバッシングと感染リスクが待っている。助成金が出れば経済的な死も、感染リスクになることも防ぐことができ、多くの命が救われる。先週末にこれを始めてから5日。本当にめまぐるしい日々だった。結果的に30万人を超える署名が集まり、現在の文化施設が置かれている状態に危機感を感じている人が多数いることが可視化された。しかし、情報は伝播すればするほど子細な部分が失われ意図が伝わらなくなってしまう。メディアが切り取るという声をよく聞くが、それ以上に人は文章を読まない。案の定、広がりに比例して誹謗中傷の数も増えていった。
 安倍のことを呼び捨てにするような人がやってるからダメだ。というようなコメントも送られてきた。キリストもニーチェも呼び捨てにしている私が安倍を呼び捨てにしない理由はない。まあ私の地元では芋に敬称をつけるが。ここで Slowthai の “Nothing Great About Britain” の歌詞から次の一節を送ろうと思う。

“I'd tell you how it is, I will treat you with the utmost respect. Only if you respect me a little bit, Elizabeth, you cunt.”

 Elizabeth のところを適当な名前に変えて読んでもらいたい。私のこういうアグレッシブな性格が褒められたものではない事はわかっているし、#SaveOurSpace で動いている他の人たちの中にこんなクソ野郎はいないハズだから安心してほしい。

 そういえば今日はエイプリルフールだった。
 今日に限った話じゃないが世間に目を向ければ悪い冗談としか思えないようなことで溢れている。思わず頭脳警察の “ふざけるんじゃねえよ” を再生したが、再生後に流れる広告がこの虚無感をより一層深いものにしてしまった。ふざけるんじゃねえよ。この奪われた余韻とブラウンの電動シェーバーのCMは全く釣り合わない。

 アカウントの性別や年齢と紐づいたターゲティング広告だろうが、私はこのターゲティング広告というものが反吐が出るほど嫌いだ。ターゲティング広告によって人々は選択の自由を奪われ、放棄し、肥え太った巨大資本に餌をやり続けている。無意識のうちに選択の幅を限定され誘導されてゆく事はとても恐ろしい。しかし、思考し選択する行為そのものを放棄する事で楽になれるのもまた確かだ。その安楽死を求める人は多いだろう。
 そしていまこのウイルスの恐怖に包まれた世界で、その安楽死を選択する人々は確実に増えている。権力が恐怖を利用し、人々が思考することを放棄した時、そこに広がるのがどういう世界なのか、私たちは歴史から学んで警戒し続けなければならない。

 ラップトップに向かってこのコラムを書いているうちに随分と体温が下がってきてしまった。体が冷えている。これは窓を打つ雨のせいだけではないだろう。そしてこの精神的に隔離された日々を凍えながら過ごしているのは私だけではないだろう。大音量でお気に入りの音楽をかけろ。鍋いっぱいに湯を沸かせ。パスタを茹でてソースを温めろ。食後にはお茶かコーヒーをつけろ。心と身体を養え。君/私という存在をかけた戦いのフロントラインに君/私は立っている。


Nnamdï* - ele-king

 2面性のある人は紹介の仕方が難しい。悲しいのか、おかしいのか。どちらでもあるし、どちらかが強調されていれば、どちらもとは思えないだろうし。たとえばンナムディ・オグボンナヤ(Nnamdi Ogbonnaya)の“Wasted”は「どんな音楽を聴きたいの?」「時間を無駄にはできないよ」「君の話が聞きたいな」「すべての耳はダンボのように閉じている」といった歌詞ながら、そこから想像できる雰囲気をヴィデオから感じ取ることはできない。

 どうだろう? エイフェックス・ツイン”Windowlicker”は曲だけ聴いていれば悲しいムードなのに、ヴィデオを観ると笑ってしまうのに似ていませんか? シカゴ(生まれはLA)のンナムディ・オグボンナヤはそれに加えてロックなのか、ヒップ・ホップなのかという難しさも加わってくる。どちらでもあるし、どちらかが突出していれば、どちらにも思えないだろうし。彼のキャリアはマス・ロックから始まっている。2006年にバトルズを思わせるマス・ロックのパラ・メディクス(The Para-medics)としてデビューしたオグボンナはインディ・ロックのアルバトロスやパンクのナーヴァス・パッセンジャー、ハードコアのリチャード・デフ&ザ・モス・プライオーズなど10以上のバンドを掛け持ち、現在のところメインのように見えるモノボディやイットー(Itto)ではドラムス、ナーヴァス・パッセンジャーやティーン・カルトではベースを担当しつつ、ンナムディズ・スーパー・ドゥーパー・シークレット・サイド・プロジェクトとスーパー・スワッグ・プロジェクトではラップをメインに活動してきた。さらにンナムディ・オグボンナヤ名義では音楽性にまったく囚われず、気ままにミクスチャー・サウンドを展開している。これがこのほど名義をンナムディと短くし、『BRAT(ガキ)』と題されたアルバムでは独特のポップを創出したといっていい境地を見せる。オープニングはしれっとアコギの弾き語り。「Flowers To My Demons(我が悪魔に花束を)」と題され、ゲイの立場から「僕はリル・Bを尊敬するバラ色のプリティ・ビッチ」「でも、この街が僕を必要としていないことは理解してる」「お前らのことが嫌いだ」「花を贈るよ」とチーフ・キーフやドリルではないかと思える勢力に対して違和感を吐き出し、「君が必要だ」「新しいものが必要だ」と何度も繰り返す。リル・Bというのは2010年にリリースした『Rain In England』でクラインやマイサに受け継がれたドローン・ラップを創始したMCで、最近のラップ・アルバムには1曲ぐらいはドローンをバックにラップする曲が収録されているほどいまだに影響力を持った存在。ちなみに『BRAT』にもドリルやトラップを断片的に感じさせる“Semantics(意味論)”のような曲も散見できる。

 ンナムディ・オグボンナヤが様々なサウンドをミックスするようになったのは高校生の頃にジャズ・バンドに入ったはいいけれど、練習するのが嫌いで、楽器は他人の演奏を「観る」ことで覚え、とくにゴスペルのドラムはなんでもアリなんだなと思えたからだという。モノボディでは時にスティーヴ・ライヒを思わせるような曲もあり、イットーではスラッシュにも邁進するなど、沢山のバンドを掛け持っているのはそもそもひとつのことばかりやりたくないからで、要するに音楽を始めてから『BRAT』までまっすぐ進んできたわけである。幸せな男である。白状すると僕はンナムディ・オグボンナヤの多面的なスタイルではなく、まずは笑いに耳が行ってしまった。『BRAT』というのは、しかし、恐ろしいアルバムで、最初は笑いを誘ったはずなのに、同じ曲を何度も聴いているうちに、だんだん悲しくしか聞こえなくなってしまう(と、この文章を読んでしまった人には先入観が芽生えて同じ体験は不可能かもしれないけれど)。ある時期からは、だから、ンナムディ・オグボンナヤの悲しみを反芻するような聴き方しかできなくなり、気がつくと彼の感情の波に飲み込まれていることがわかる(ここでもう一度、冒頭の“Wasted”を聴いてみてほしい)。以前の作品はそうではなかった。『West Coast Burger Voyage』(13)や『FECKIN WEIRDO』(14)は笑いは笑いでしかなかった。もしくは悲しい曲と楽しい曲は同じアルバムに同居はしていても役割は分かれていた。『BRAT』はそして、“Glass Cracker“のように悲しい曲は本当に悲しく染み渡る。そして、そうした曲から今度は予期せぬ優しさが滲み出してくる。なんということはない、様々な音楽をミックスした果てにあったものは非常にオーソドックスな「ポップ・ミュージック」だったのである。彼はおそらくゴスペルのドラムを「観ていた」時に音楽が伝える非常に本質的な魅力も理解していたのだろう。おそらくは彼が初めからオーソドックスなポップ・ミュージックを実践していたら、このような重層性はつくり出せなかった。「放蕩息子の帰還」とはよくいったものである。

AJATE - ele-king

 いま、日本国内で一番「アツい」バンドと言ったら? と聞かれたら僕は迷いなく AJATE と答えるだろう。埼玉県の東秩父村を震源地にジャンルはお囃子からアフロビートまでもまたぐ、まさに「奇想天外」な彼らを紹介したい。
 僕が AJATE の存在を知ったのは2017年リリースの『Abrada (アブラダ)』が Bandcamp でフィーチャーされていたときだ。聴けば聴く程陶酔感が増していくリズムと音から伝わる熱量にやられてしまったのをいまでも覚えている。そんな AJATE が今年のお正月にめでたく3枚目のアルバム『ALO (アロ)』をリリース。3月にはフランスの〈180G〉からアナログも発売されたばかり。金色のバックがなんとも印象的なアートワークと共に、新しいメンバーを加え本拠地である東秩父村での制作合宿を経て完成した今作も、他のアーティストやバンドとは比較のできない圧倒的な「アジャテ感」がギッシリと詰まっている。

 「ピーチク」と呼ばれる竹で作られたギターをかき鳴らし歌うリーダーのジョンいまえだ氏が、西アフリカを訪れた際に見た村のお祭りに影響を受け始動したプロジェクトだけあって、ただの「和モノ」とは違う圧倒的な「グルーヴ」が全面に出ている。(日本っぽいと言ってしまうと語弊があるかもしれないが)何かとメロディーやソングライティングを軸に曲が展開することが多い日本の楽曲よりも、和太鼓やドラムといったリズムが軸にトラックが構成されているし、ベースやギターも「奏でる」というよりは「鳴らす/打つ」といった表現が正しいのかもしれない。そのひとつひとつの音が幾層にも重なり合い繰り返されるループがやがてグルーヴへと昇華していく。

 それぞれの楽曲で歌われている歌詞に注目すると、度々大地や山草、海や空と言ったように自然をテーマにした表現が並んでいる(気になる人は是非歌詞カードの付いているCDを手に取って欲しい!!)。例えば T2. の “GALAR (ガラール)” は大地を耕す農家の歌であったり。「皮を剥ぎ、骨を砕き割る~」と山の猟師をテーマにした T3. “SOWAH (ソワー)” といったように、大自然の中で暮らす人達のストーリーを歌っている。竹で作られたオリジナルのギターや太鼓、木琴のような打楽器をこれでもか! というくらいふんだんに取り入れ、それぞれが自由に独特なスタイルで演奏しているのも圧倒的な AJATE のオリジナリティーを後押ししている。

 このレヴューを見て少しでも気になった方は是非彼らの音楽を一度聴いてほしい。おそらく彼らの名前を全国各地、いや世界各国で見かけることもそう遠い先の話ではないと思う。すごく端的かもしれないが、彼らの楽曲を聴くと単純にとても元気になる。アナログ、CD、デジタル。どんなフォーマットでも、是非。

※ 2020年1月19日の TSUBAKI FM で AJATE の特集をしています。(AJATE の登場は30分頃から)
https://www.mixcloud.com/tsubakifm/weekly-show-19th-january/

AJATE HP: https://ajate.info

interview with Thundercat - ele-king

 ロサンゼルスのジャズ・シーンで活躍し、それだけでなくヒップホップやビート・シーン、R&Bからロックと幅広い舞台でセッションしてきたサンダーキャットことステファン(スティーヴ)・ブルーナー。2017年にリリースされたアルバム『ドランク』は、それまで見せてきたベースやギターの超絶プレイを披露するだけではなく、シンガー・ソングライターとしての魅力にも大きく踏み込んでおり、それによってAOR調の “ショウ・ユー・ザ・ウェイ” をはじめ、ポップな側面を見せる場面もあった。ケンドリック・ラマー、ファレル、ウィズ・カリファらから、ケニー・ロギンス、マイケル・マクドナルドに至る多彩なゲストも話題を呼んで、世界中のさまざまなメディアから絶賛される大ヒット・アルバムとなった。

 しかしサンダーキャット自身はそれに浮かれたりすることなく、何よりも自分は常に前に進んでいる存在でありたいと、2018年8月末に〈ブレインフィーダー〉のイベントで来日した際におこなったインタヴューで語っていた(『別冊ele-king フライング・ロータスとLAビートの革命』に掲載)。そんな変化と前進を好むサンダーキャットが、ニュー・アルバム『イット・イズ・ワット・イット・イズ』を携えて帰ってきた。今回のアルバムはスペイシーなフュージョン/ジャズあり、AOR系の歌ものあり、『ドランク』を引き継いでいるところは見られるが、後半に見られる内省的でアコースティックな世界が特に印象深い。2018年におこなったインタヴューからほんの数日後、盟友でいろいろ共演してきたラッパーのマック・ミラーの突然の死があった。それ以前にもピアニストで友人のオースティン・ペラルタが亡くなり、2013年の『アポカリプス』では彼を追悼した曲を捧げたことがあったサンダーキャットだが、『イット・イズ・ワット・イット・イズ』にはそうした友をなくした悲しみや、それに伴うさまざまな感情、いま共に生きる家族や友だち、そして生と死をはじめとした人生観が織り込まれている。そうしたものが、特にアルバムの後半には表れているようだ。

 前回のインタヴューのときに比べてだいぶスリムになった印象だが、『北斗の拳』のTシャツを着て、ピカチュウのキーホルダーをリュックに付けてという、いつもの彼らしい出で立ちで表われたサンダーキャット。早速ニュー・アルバムについて話を訊いた。


苦痛ってのはときにいままで味わったことのない新しい感覚を呼び覚ますことがあって、受け入れがたい、耐えられないって思うこともあるけれど、でも人生ってそんなものなんだ。苦痛を乗り越えて進んでいくこと、それは誰しもが経験せざるを得ないことなのさ。

前回のインタヴューで、「今後の作品ではどんなことにチャレンジしたいと思っていますか?」と質問したところ、「ファスター・アンド・ベターさ。より速く、より進化したいと思っている。いつもそうだけど、ひとつのところに固まっていようとは思わないんだ」と回答していました。それを踏まえたうえで新作『イット・イズ・ワット・イット・イズ』はどんなアルバムになっていますか?

サンダーキャット(Thundercat、以下TC):実際にはスロウワー・アンド・サッダー(よりゆっくりでより悲しいもの)になってしまったね(笑)。何だろう、わかんないけど前とは違ったものになったのは確かだ。

レコーディングはいつ頃おこなったのでしょうか? 前回のインタヴューではまだ具体的に制作の話はしていなかったので、その後になるかと思いますが。

TC:ここ2年くらいかけてだね。

アルバム・タイトルの『イット・イズ・ワット・イット・イズ』に込めた意味は何でしょうか? アメリカのスラングでは人生の諦観を意味するフレーズにも用いられるのですが。

TC:そうだね、苦痛ってのはときにいままで味わったことのない新しい感覚を呼び覚ますことがあって、自分では受け入れがたい、耐えられないって思うこともあるけれど、でも人生ってそんなものなんだ。そして苦痛を乗り越えてまた進んでいくこと、それは誰しもが経験せざるを得ないことなのさ。だから人生の喜びも悲しみも受け入れよう、それが俺の言いたかったことだよ。

そこには何か個人的な体験も込められているのでしょうか?

TC:うん、常にそうだよ。

『ドランク』から約3年ぶりのアルバムとなりますが、そのとき同様にフライング・ロータスカマシ・ワシントンブランドン・コールマン、テイラー・グレイヴズ、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、ルイス・コール、チャールズ・ディッカーソン(モノ/ポリー)、マーク・スピアーズ(サウンウェイヴ)などあなたの仲間のミュージシャンやプロデューサーが参加しています。デニス・ハムも前作同様に参加していますが、今回のアルバムでは彼の役割が高まっているように感じます。ルイス・コールとも共演する彼ですが、あなたから見て彼はどんなキーボーディストですか?

TC:デニスは本当に重要な存在だよ。レコーディングとか音楽に限らず、自分にとって彼は大切な存在なんだ。以前オースティン・ペラルタが亡くなって落ち込んでたとき(2012年11月没)、デニスは俺のそばにいていろいろと助けてくれたんだ。人間としてもそうした優しさがある人物であることを知って、そうした人から音楽へもたらされるものの素晴らしさも俺はすごく理解しているから、彼が重要だと言えるんだ。デニスの場合は音を作り出すときに生まれるスピリチュアルな雰囲気がとても刺激的で、そんな彼と一緒にやりながら感じるフィーリング、チャレンジングな気持ちは俺にとって本当の楽しみなんだよね。

オープニングの “ロスト・イン・スペース/グレート・スコット/22-26” はスコット・キンゼイとの共作です。彼はウェザー・リポートのジョー・ザヴィヌルに捧げた作品も作っていますが、今回もジョー・ザヴィヌルとかウェザー・リポートからの影響が感じられる演奏となっていますか?

TC:もちろんスコットがどんな人かは知っているけれど、今回は特に彼のそうした部分を求めてのコラボというわけではなかった。インストゥルメンタリスト同士で何かやりたいなと思っていて、そうしたときにスコットが浮かんできたんだ。以前も彼とはいろいろコラボをやったことがあるけれど、今回のコラボのスペシャルな点は楽曲への想いがとても強いものだったこと。ふたりが心を込めて書いた曲があまりに素晴らしいもので、はじめはインストのつもりだったけれど、ついついその素晴らしさにつられて歌詞も書いてしまったんだ。俺たちの演奏の中から、おのずと宇宙がテーマになった歌詞が生まれてきた。

ルイス・コールについては今回 “アイ・ラヴ・ルイス・コール” という曲を作って彼をフィーチャーしていますが、この曲はどんないきさつから生まれたのですか?

TC:これはルイスが作った曲なんだ。基本は彼がやっていて、それに俺がベースを乗っけて歌ってる感じさ。本当のところ、ルイスはひとりで何でもできるから、ほかのミュージシャンが入る必要はないんだけどね(笑)。一緒にやって気持ちのよさを共有できる奴だから、アルバムの制作に入る前から何か共演できればと話をしていて、それでこの曲を提供してくれたんだよ。俺から見たルイスはいつも頭がグルグル回転していて、何か新しいやり方はないか、変わった方法はないかと考えている感じなんだ。そうした人と一緒にやるにあたって向こうから曲を委ねてくれたということ、とってもスペシャルな曲を作ってアルバムで使わせてくれて、さらに歌まで歌わせてくれたということはとても感謝している。決して単純な小曲というわけではなくて、コード・チェンジをみても複雑で、しかもこれだけ大掛かりなストリングスを使っていて、そんな曲をルイスが任せてくれたのは本当にすごいことなんだ。

そのストリングスですが、どのようなイメージで使ったんですかね?

TC:ルイスがフェイスタイムでレコーディングしている様子を見せてくれて、ストリングスをやってるミュージシャンたちが皆で俺に「ハロー」って言ってたりしたけどね(笑)……俺の想像するにこうした大掛かりなストリングスのスコアを書いてアレンジして、大人数のミュージシャンを指揮してレコーディングするっていうことが、ルイスにとってのひとつのチャレンジだったんじゃないかな。もちろん彼にとってこうしたことは初めての経験ではないだろうけど、この曲はルイスがそうやってひとりで作ってお膳立てて、俺に渡してくれたんだ。

“ミゲルズ・ハッピー・ダンス” はミゲル・アトウッド・ファーガソンのことを歌った曲と思いますが、今回のアルバムは共演者がモチーフとなった曲が多いですね?

TC:ああ、確かにそうかもね。これは偶然かどうかわからないけど、マック・ミラーが亡くなった後(2018年9月没)に友だちのありがたみをすごく感じるようになって、音楽を通して友だちに語りかけるようなことが増えていったんじゃないかなと思うよ。

この曲ではフライング・ロータスはドラムを担当していますね。彼は今回のアルバムも共同プロデュースしていますが、彼とはどんなアルバムにしようとかミーティングしましたか?

TC:ドラムは演奏ではなくてプログラミングなんだけど、フライローとはいつも話はしていて、今回のアルバムのために特別に、ということではないんだ。彼と出会ったときからずっとそうだけど、日常の会話の中でどんなことがしたいとかいつも話をしているからね。

“ブラック・クォールズ” では元スレイヴのスティーヴ・アーリントン、ジ・インターネットスティーヴ・レイシー、チャイルディッシュ・ガンビーノと共演しています。スティーヴ・アーリントンは以前デイム・ファンクとの共演も話題となった伝説的なシンガーですが、今回はどのような経緯で共演したのでしょうか?

TC:スティーヴ・アーリントンと初めて出会ったきっかけは、まさにそのデイム・ファンクを介してなんだ。前からいろいろと紹介されてはいたけれど、実際に会ってきちんと話をしたのは初めてで、彼が俺のことを知っていてくれたことだけでも十分嬉しかったことを覚えてるよ。それで誰と会ってもそうなんだけど、何か一緒にやろうよという話になってね。でも、そのときはまさかそれが数年後に実現するとは思ってなかったよ。で、この曲は最初にスティーヴ・レイシーと一緒にやっていたんだけど、もうひとり加えて3人のスティーヴでやったら面白いねということになって、それでアーリントンに声をかけたんだ。スティーヴ・アーリントンがこの申し出に賛同してくれたのは、曲だけじゃなくそうした絵柄にも理解を示してくれたからじゃないかな。そうして彼が俺たちの世界に入ってきてくれて、でき上がったものはまさに俺が聴きたかったアーリントンの世界そのもので、本当に素晴らし過ぎて言葉にならないくらいだよ。


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一度やっつけたのに生き返らせて、ただ戦いたいがためにまた戦かったりしてね(笑)。大体惑星ひとつ潰して戦いが終わるよね。「いい戦いだった」と言って終わるけど、周りは皆死んでてっていうパターン(笑)。どこがいい戦いなんだろう(笑)。

“ハウ・スウェイ” ではあなたらしいベースの早弾きもフィーチャーされています。こうした曲を聴くと、最近ニュー・アルバムの『ビー・アップ・ア・ハロー』を出したスクエアプッシャーのことも想起するのですが、彼のことを意識したことはありますか?

TC:もちろんさ、彼も俺と同じベース・プレイヤーだしね。すごいミュージシャンだと思うし、彼の音楽も好きだよ。

じゃあ、いつか共演してみたいとか?

TC:うん、俺はやりたいね。

いつかそんなチャンスがあるといいですね。一方で “ファニー・シング” や “オーヴァーシーズ” に代表されるように、『ドランク』からさらにあなたのヴォーカルにスポットが当たっている曲もあります。シンガーとしては『イット・イズ・ワット・イット・イズ』についてどのように取り組みましたか?

TC:シンガーとしてはまだ成長の途中かな(笑)。すごく苦労するときもあるし。ファルセットで歌うときがそうかな、もともとの地声は低いほうだからね。まさに「イット・イズ・ワット・イット・イズ」で、それは仕方ないと自分では諦めているよ。でも、やるに従ってだんだん慣れてはきているね。

何か新しい歌い方にも挑戦したりしているのですか?

TC:うん、“ブラック・クォールズ” がそうかな。いつもとは違う声域を使って声を出してるよ。“オーヴァーシーズ” でも裏声というか、変わった声の出し方をしている。

“ドラゴンボール・ドゥーラグ” はあなたの好きな『ドラゴンボール』がモチーフとなった曲です。具体的にどのキャラクターをイメージしたとかありますか?

TC:ベジータだね! 『ドラゴンボール』に限らず、日本の漫画やアニメには好きなキャラが一杯さ。今日着ているTシャツの『北斗の拳』のケンシロウもそうだよ(笑)。『ドラゴンボール』だとブロリーも好きなキャラだね。

ベジータはどんなところが好きなんですか?

TC:悟空よりうまく人間であることを学んでるからかな。悟空は何ていうか、もっとクレイジーな奴だね。子供の頃の悟空はとってもクールなんだけど。まあ、あの主要キャラの5人は馬鹿な奴らではあるね。彼らは十分強いけれど、さらに強い奴を探して戦いを挑んで、一度やっつけたのに生き返らせて、ただ戦いたいがためにまた戦かったりしてね(笑)。『ドラゴンボール』ってその繰り返しで、「え、何で?」って思うことがあるよ(笑)。みんな思ってるんじゃないかな、「ホワイ、ベジータ」「ホワイ、ブロリー」「ホワイ、ゴクウ」って(笑)。キャラたちは「もっと、もっと強くならなきゃ」って戦って、で大体惑星ひとつ潰して戦いが終わるよね。「いい戦いだった」と言って終わるけど、周りは皆死んでてっていうパターン(笑)。どこがいい戦いなんだろう、まるでいまの戦争と同じだよね(笑)。

何だか漫画の話をしているときがいちばん生き生きしてますね(笑)。話は変わりますが、“キング・オブ・ザ・ヒル” は〈ブレインフィーダー〉の10周年記念コンピ『ブレインフィーダー・X』(2018年)にも収録された曲で、バッドバッドナットグッドと共演しています。彼らとの共演はいかがでしたか?

TC:すごく楽しかったね。彼らはミュージシャンズ・ミュージシャンというか、ミュージシャン好みの音楽を作ってる人たちなんだ。彼らの演奏を聴くと、ソフト・マシーンとかアジムスを思い出すよ。豊かな音楽の土壌があって、可能性に満ち溢れているんだ。一緒にやることができて、本当に嬉しかったね。コラボっていうのは相手を信頼して、任せるってことだから、今回のように相手がいいとよ言ってくれて、一緒にできることにはとても感謝しているんだ。

“フェア・チャンス” にはタイ・ダラー・サインやリル・Bがフィーチャーされています。さまざまなラッパーと共演するあなたですが、あまり彼ら自身がやらないタイプの曲に起用することが多くて、それが彼らの新たな魅力を引き出すことにもなっているのではないかと思いますが、いかがでしょう?

TC:うん、確かにそうかもね。でも、ああいうラッパーの連中の中にも、こういった変わったことをやっている奴がいたりするんだよね。一般的な人気が出る曲ではないから、普通の曲の中に埋もれちゃって、あまり知られていないんだけど。

この曲や “イグジステンシャル・ドレッド” など、アルバムの後半はメロウで内省的な曲が続きます。この流れには『ドランク』とはまた違ったあなたの魅力が詰まっていると思いますが、いかがですか?

TC:それはありがたい意見だし、そう思ってくれて素直に嬉しいよ。

“イット・イズ・ワット・イット・イズ” では弟のロナルド・ブルーナーのほか、ブラジルのギタリストのペドロ・マルチンスが演奏しています。彼はカート・ローゼンウィンケルなどとも共演する才能溢れるプレイヤーですが、一緒に演奏していかがでしたか?

TC:うん、カートと一緒にやってるのは『カイピ』(カート・ローゼンウィンケル作、2017年)のことだね。俺も大好きなアルバムさ。今回はペドロと一緒に曲を書いて、一緒にスタジオに入って演奏したんだ。彼がスタジオに残っている間に歌入れもして、彼としてはもっとこうしたら、ああしたらとアイデアがあったみたいだけど、ひとまずこれで完成したんだ。でも、ほかにも何曲か一緒に書いたから、いつかまた共演できたらと思う。彼も一緒にやることができて嬉しかったミュージシャンだし、今回の共演は光栄に思っているよ。

日本盤のボーナス・トラックにはマイケル・マクドナルドと再共演した “バイ・フォー・ナウ” が収録されます。『ドランク』の “ショウ・ユー・ザ・ウェイ” で共演して以降、彼との交流がいろいろと続いているんですか?

TC:うん、ずっと連絡を取り合っていて、ショウにゲストで呼んで出てもらったりしているよ。たまに会うと音楽のこと、人生のこと、いろいろ話をしているんだ。俺にとってマイケルは本当に偉大な存在で、ただ挨拶できるだけでも嬉しいというのに。マイケルの音楽に対する精神性というのか、取り組み方や愛情は本当に素晴らしいもので、いつまでも音楽に関わっていたいという人なんだ。そんなマイケルと共演できるのはとても嬉しいことだよ。この曲はマイケルを想定して書いた曲なんだけど、仮の歌入れで俺がヴォーカルをやったんだ。マイケルを真似して歌ったんだけど、彼にそのテープを聴かせたら「からかってるのか、お前」と言われて、それで素直に「そうです」って謝ってね(笑)。遊び半分だけど、俺はマイケルみたいにずっとなりたいって思ってたから、その思いも込めて歌ったんだけどね。まあ、その気持ちが伝わったのか、マイケルがあの声でああいう歌を歌ってくれて。俺もスタジオで立ち会って、本当に嬉しかったよ。いまのところ日本盤にしか入らないみたいだけど、俺としてはもっと世界中のたくさんの人に聴いてもらいたいところだね。歌詞の内容も理解してくれたのか、たぶんマイケルも俺と同じようなことを体験してきたんだろうなっていうのが歌から伝わってくる。

その歌詞の内容はどんなものなんですか?

TC:愛する人を失うことについてさ。

それは例えばマック・ミラーのことだったりするんですか?

TC:そうだよ。

そうしたことを踏まえて聴くと、またさらに味わいが深くなると思います。最後に『イット・イズ・ワット・イット・イズ』について、日本のファンへメッセージをいただけますか?

TC:まず、このアルバムを楽しんでもらえたらいいなと思うよ。そして、このアルバムがどんなところから生まれたのか、そうしたものが伝わったらいいなと思う。

どんなところというのは?

TC:俺の内面の傷心と、それによって一歩引いたところから物事を見るようになったことだね。

今回のアルバムは割とセンチメンタルなところから生まれているわけですね。

TC:うん、でもそれだけじゃない。センチメンタルな感情がダウンだとすれば、その反対のアップなところもある。人生は浮き沈みがあるもので、そうしたアップ・アンド・ダウンが『イット・イズ・ワット・イット・イズ』ってことだよね。


PANICSMILE - ele-king

 私はパニックスマイルの中心人物というよりバンドそのものというべき吉田肇が拠点を地元福岡に移すと耳にはさんだとき、東京のオルタナティヴ・ミュージック界の損失の大きさに嘆息を禁じえなかったが、よく考えると(考えんでも)、んなもんは東京偏重の感傷主義にすぎないのであって、現に吉田が地元に戻ってからもパニックスマイルは活動を継続し、こうして7年ぶり9作目のアルバムをとどけてくれた、そのタイトルを『Real Life』という、11曲入りのコンパクトディスクは1990年代後半以降の日本のアンダーグラウンド・シーンがいかなる変遷を経て2020年代初頭にかくあるかの証言である。なんとなれば私にはパニックスマイルの音はつねに現在を意味する、いまこの場を指さしている。
 昨年刊行した『ele-king』24号の特集「オルタナティヴ日本!」のランキングには選出されたものの、ウェブ媒体には初登場だろうから簡単に来歴をご紹介すると、パニックスマイルは90年代初頭に福岡で活動を開始し、向井秀徳、ミスカズアキと共同で運営にあたったレーベル〈HeadacheSounds〉などでの自主活動を経て、98年同レーベルよりファースト『E.F.Y.L』を世に問うとともにメンバー全員で上京。翌年の2作目『We Cannot Tell You Truth, Again.』はホッピー神山の個人レーベル〈God Mountain〉がリリース元だった。余談になるが、〈ゴッド・マウンテン〉はホッピー神山と大友良英、フリクションのレックとデッドエンドの湊雅史によるオプティカル8を筆頭に、今堀恒雄と外山明、菊地成孔らのティポグラフィカ、内橋和久とナスノミツルと芳垣安洋のアルタード・ステイツや竹久圏と早川俊介のキリヒトなど、ジャンル無用で強度重視な展開をみせ、管見によれば、勝井祐二と鬼怒無月のまぼろしの世界とともに90年代オルタナティヴを代表する名個人レーベルであり、そのラインナップに念願叶って名を連ねた当のパニックスマイルは、しかしリズム隊のふたりがあいついで脱退するという憂き目をみていた。メンバー4人のうちふたりがあいついでバンドを去ったのである。のこった吉田はギターの保田憲一をベースにコンバートし、所属していたバンドを辞めた直後の石橋英子をドラムに誘い、ほどなくジェイソン・シャルトンがギターで加入し、それにより現時点でパニックスマイル史上最長となる陣容が整った。2001年の3作目『10songs, 10cities』こそ過渡期の記録の面持ちだったが、次作『Grasshoppers Sun』(2002年)で格段の飛躍を遂げた彼らはパニックスマイルのスタイルというべきものを確立する。その内実を簡便に要約するのは至難の業だが、ポストパンクのサウンドテクスチャとオルタナのリズムコンストラクションの複合的曲解からくる不協和音や変拍子が材料なのにそれでつくった建物は存外しっかりしているというか、とくに4作目は保田と石橋のリズム陣がたがいちがいの方向にすすもうとする2本のギターを接着し、さらに石橋英子のヴォーカルが全体を衣のように包みこむ新たな語法への確信がサウンドに宿っていた。
 やがてパニックスマイルは水を得た魚になった。5作目の『Miniatures』は前作で彼らの表現を知悉したBOAT~NATSUMENのAxSxEの音づくりも奏功し、前作よりハードな質感で凝縮した音の塊が飛び交う快作となった。私が彼らのライヴに接するようになったのもこのあたりだったか。当時は『Miniatures』1曲目の “101 Be Twisted” がしばしば幕開けを飾っており、イントロのカッティングから一気呵成に雪崩れこむパニックスマイルの合奏風景はいまも瞼の裏に焼きついて離れない。おりしも2000年代なかごろ、インターネット前後の聴取環境の変化で音楽状況も地殻変動をきたしており、バンドという活動形態はむろんのこと、ロックなる形式もその中身もひとしく問い直しに迫られていた。オルタナティヴとは「もう一方」を意味する対向概念だが、それが形容する文言を完全に否定するのでなく、形式の潜在性を炙り出し次の道筋を提案する。すなわちオルタナティヴのあとにロックとつづけば、ここでいうロックとはロックのかたちをした新しいなにかであり、なにが飛び出すかわからなくてわくわくするシロモノを意味していた、すくなくとも1990年代なかばくらいまではそうだった(はずだ)が、いかに堅牢な概念やコミュニティといえども季節とともに移ろうのは世の理(ことわり)であるとみなすのは、しかし時代の趨勢になびかなかったものの存在をみえにくくする。
 シーンの牽引車にして孤塁の守り手──などといわれてもありがた迷惑にちがいないが、2000年代後半のパニックスマイルにはそのことばがあたらずとも遠からずのたたずまいがあった。アンサンブルは成熟し曲の書き方もこなれていった。石橋英子の歌と多彩さは新しい武器だったが、それが生み出した可能性の余白が吉田肇のソングライティングセンスをひきだしてもいた。保田とジェイソンは異能の両輪であり、それらのパートが噛み合ったのが6作目の『Best Education』である。本作を『ele-king』24号が選出したことはすでに述べたが、執筆者のイアン・マーティンは選評で本作の魅力をバランス感覚にもとめている。つづめると「聴きやすいポストパンク版のキャプテン・ビーフハート」となる評言はおそらくこのアルバムの吉田とジェイソンのギターのからみに1969年のマジック・バンドの面影をみるからだろうが、本作の魅力は細部の記号性のみならず、聴きやすさ、親しみやすさ、ぶっきらぼうなポップさとでもいいたくなるものを総体で全力であらわす点にもあった。4曲目の “Pop Song (We Can Write)” はそのような姿勢への韜晦とも諧謔ともつかない内容だが、作中でくりかえす「ポップソング」の「ング」の歌いまわしに吉田肇の歌い手としてのクセになる魅力を再発見したのも本作だった。その点で『Best Education』の名は体をもあらわしており、ライヴもひきつづき充実していたが、3年後の『A Girl Supernova』でこのラインナップは幕引きを迎えることになるのである。メンバーの個人的な事情もからんだ決断だったと記憶しているが、コンセプトを練り編曲に凝った『A Girl Supernova』(2009年)を聴き直すと4人でできることはやり尽くしたのが実情だったのではないか。
 おりしも2000年代も終わりにさしかかったあたり。同時多発テロ、イラク戦争、リーマンショックとつづいたあの10年のあいだ世界は翻弄されっぱなしだった。では音楽はどうだったのか。ことにオルタナティヴな音楽は。インターネットで聴き方は変わったが、アーカイヴへのショートカットは懐古趣味を亢進させはしても、オルタナティヴな音楽を志向するものにはヒントの糸口になるどころか、還流する無限とも有限ともつかない情報をもてあますばかり。バンドという形態の機動性よりロックなるフォーマットの受動性に焦点があたったのもこの時期だったか。つまるところオルタナティヴ・ロックもオルタナという型に嵌まった、と。
 吉田肇にそのような反問や煩悶ともつかないものがあったかは知らない。とまれ2010年が転機だったのはまちがいない。彼らはその年の早春、渋谷 O-Nest、秋葉原グッドマンにつづく3月28日の下北沢シェルターの自主企画をもって2000年代をしめくくった。さらに3年後、パニックスマイルは吉田とともにバンドにのこったベースの保田がギターにまわり、松石ゲルとDJミステイクをリズム隊に加えた新ラインナップで8作目『Informed Consent』を世に問うた。お家芸といえる変拍子と複合リズムはプリミティヴさを増し、とらえようではバンド史上もっともビーフハート度の高いこのアルバムで心機一転、反転攻勢に出るかと思われたパニックスマイルだったが、ここから彼らは短くない期間口を噤んでしまう。初期には1~2年のスパンだったアルバムのリリースはこの時点で3~4年と間遠になっていたものの、『Informed Consent』から本作までは7年かかっている。むろん手をこまねいていたのではない。吉田とドラムの松石がのこり、新たにギターで中西伸暢が、ベースには元イースタンユースの二宮友和が加わりラインナップは一新、それにより体質も刷新した。具体的には幾多のリフレインでモザイク模様を組み上げる従来の手法から個々メンバーの資質を活かす方向性に舵をきったというか。特筆すべきはベースの存在感で、奏法や音色の多彩さは音楽性の幅を生み、作品の厚みにつながっている。他方、吉田の手になる楽曲のオブセッシヴな歌詞や緊張感の高さは据え置きで、彼ら一流のぶっきらぼうなポップセンスはいくぶんかまろやかに仕上がっている。収録曲に目を転じると、トシちゃんのヒット曲をもじった “Hattoshite Bad” にはじまり、ポエトリーリーディング風の “Hands Free”、ギターのフレーズも印象的な “Best Hit Kiyokawa” ときて、全員が明後日の方向に走り出すかのごとき “I Wanna Be Strong” などは自家薬籠中のものの趣だが、幕引きの “Living In Wonderland” では4管を客演に迎え新領域に踏みこんでいる。パニックスマイルはかつて石橋英子の在籍時に彼女の演奏するフルートをとりいれたこともあったが、今回の管の間欠的なフレーズに耳を傾けると、その執拗な反復は装飾的効果よりむしろ構造を志向しているのがわかる。基本形をふまえながら新機軸を打ち出すこのやり方は結成当初からほとんどゆらがないが、表層的な飛躍より歩幅を確認できる前進を好む彼らのスタンスは煽情的なジャーナリズムの見出しよりむしろ、ことばの真の意味でのオルタナティヴに奉仕しつづける。すなわち音楽のありうべき場所(オルタナティヴ)をさししめすのである。

Aphex Twin - ele-king

 最近父を亡くしたというエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスが、どうやら昨今の状況に危機感を覚えたようで、めずらしく警告を発している。RA の報じるところによれば、当初 SoundCloud の user18081971 のプロフィール欄にメッセージがポストされ、一度削除された後、現在は Reddit に再掲載されている。とても良いことを言っているので、以下に試訳を掲げておきます。

現在悲しみに暮れている方々には心からお悔やみ申し上げます。ぼくは最近父を亡くしました。本当につらかったけど、COVID-19 とは無関係でした。

もし COVID-19 の統計を目にすることがあったら、その数値が COVID-19 “が原因で” 亡くなった人たちを反映しているのかどうか、ちゃんと確認しなきゃいけないよ。どうか忘れないでほしい。

もし警察が、きちんとした法もないような状態で政府の要望を遂行しているなら、ぼくたちは警察国家に生きていることになる。もはや民主主義なんてない。
あるいは、もしぼくたちが罪など犯していないにもかかわらず、自宅監禁状態に置かれているなら、やっぱりぼくらは警察国家に生きているんだ。民主主義なんてないんだよ。
こんなことが起こるなんて思わなかったよね。次にぼくらはどんな権利を失うか、わかってる? 想像できる?

注意してね。

Huge heartfelt condolences to anyone grieving right now, I lost my father recently and it’s been really tough, it was not related to C19.

When you are presented with C19 statistics, you must demand whether the figures reflect people who have died WITH C19 or FROM C19
Please do not forget this.

When police carry out wishes from government, without any law being in place, you are living in a police state and it is no longer a democracy.
When you are held under house arrest, when no crime has been committed, you are living in a police state and it is no longer a democracy.
You didn’t think this could happen did you? Do you know what rights you could lose next, can you guess?

You have been warned.

COM.A - ele-king

 絶妙なタイミングというべきか、あるいはこれこそが素晴らしき未来への道筋なのかもしれない。1999年にジョセフ・ナッシングとの ROM=PARI の1人として登場、00年代を通じて〈Fat Cat〉や〈ROMZ〉などから精力的にソロ名義でのリリースを重ね、キッド606 の〈Tigerbeat6〉ともリンク、エイフェックス・ツイン不在の時代に強烈なブレイクビーツで世界を震撼させたIDMの異端児、パンクの精神でこよなくメタルを愛する COM.A が、じつに13年ぶりの新作を発表する。
 夢なんかくそくらえ、希望を殺せ──もちろん2001年の『Dream and Hope』を踏まえているわけだが、昨今の世の状況を考えるとなんともタイムリーな(??)タイトルだ。あの痙攣したビートがさらなる進化を遂げているだろうことは想像にかたくない。とあるシュルレアリストによれば、美とは痙攣である。すなわち COM.A こそ美である。発売は6月3日。打ち震えよ。

パンク・ミーツ・IDM! 日本におけるオウテカやエイフェックス・ツインへの反応として一世を風靡した “COM.A (コーマ)” 13年振りの最新作リリース決定!

2000年、UKの名門〈FAT CAT〉からデビューしてブレイクコア・ブームを先導、その後のデ・デ・マウスらの登場をうながした奇才、“COM.A (コーマ)”。前作『Coming of Age』から13年、1st アルバム『Dream and Hope』から早20年、長らく昏睡状態に陥っていたコーマが導き出したのが、アンビエントやジャジーなセンスも注入しながらも、しかし、あの痙攣したビートと遊び心はさらに進化、そして混迷する現代への痛烈なメッセージも含んだ怪作『Fuck Dream and Kill Hope』だ!

気がつけば、自分の脳内も把握できず、コントロールすることすら怪しいこの時代、相も変わらず出口の見えない状態が続いている。コーマも多分に漏れず、自分を制御できずに混乱と迷走を繰り返している、そうした日々の集大成が今回のアルバムとなった。あなたはこの楽曲をどう受け取るか、判断するか。2020年、新しいディケイドのはじまりに、夢と希望を壊された頭で、是非ご確認いただきたい。

COM.A『Fuck Dream and Kill Hope』Teaser
https://youtu.be/UXCLqG1Iv28

COM.Aが復活した!
なんとも言い難い復活タイミングですね。
普段は人がゴミのような街でもゴミないと寂しいもんだから、
イヤホンでこれ爆音で歩くとかつて見た未来のようで楽しくなる。
夢の国も休業中。だったら頭に中に夢の国作っちゃおう。

あの頃からお互い変わらない部分と進化した部分、歳食った部分あるよね。
と50年後も同じこと言ってロボットスーツでハグし合い酒を酌み交わし、
酔っ払ってステージから飛び、また骨折りたいね。
まあ、お互い生き残ってたらね。 ──world’s end girlfriend (Virgin Babylon Records)

新型コロナウィルスに東京オリンピック延期、日々更新され加速してゆくディストピアな状況。COM.A くんからもらったニューアルバムを聴きながら夜の首都高を走る。街はいつも通り動いている。2000年代に『dream and hope』を初めて聴いた時に感じたチープな終末感とそれを笑い飛ばすジョークのようなクライマックスな気分。そしてこんな混沌とした2020年にこのアルバムが聴けるなんてね、めちゃくちゃ最高。 ──Have a Nice Day! 浅見北斗

沈んだ日本。暗い世界。先のない地球。こんな時に COM.A が昏睡状態から覚めるとは。玉手箱を開けると次から次へとパワフルな音楽が。ぜんぜん空気、読めてません草。 ──三田格

みごとなパラドックス。夢と希望の電子音楽のオンパレード。 ──野田努(ele-king)

十年どころか三年前がひと昔前のさっこん、干支がひとまわりしておつりがくる十三年ぶりの新作とは、開いた口も耳もふさがらないが、そこに流れこむ音響はかつての異形の美から美の異形へ、軽やかに翻っている。タイトルからは想像もつかない楽想のポップさと印象深いメロディ、それらが重なる縦の線の動かし方がとても秀逸。二〇二〇年のサウンドトラックとでももうしましょうか。 ──松村正人(『前衛音楽入門』の著者)

[アルバム情報]
タイトル: Fuck Dream and Kill Hope / ファック・ドリーム・アンド・キル・ホープ
アーティスト: COM.A / コーマ
レーベル: P-VINE
品番: PCD-24941
定価: ¥2,400+税
発売日: 2020年6月3日(水)

[収録曲]
01. Unintelligent Life Forms
02. Another D
03. Signs
04. Fortuitous Blood
05. Rife
06. Liar’s hand
07. Let us be thankful and be happy
08. You know who you are
09. False Repentance
10. Vanished Sprout
11. Centillionaire

COM.A (コーマ)
イギリス生まれ、香港、アメリカ、日本育ち。メタル、テクノ、エレクトロニカ、ブレイクコア等の要素をタイトで強烈なダンス・トラックに仕立て上げるスキルとセンスは、国内外問わず大きな評価を獲得し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、ベルギー、中国などからアルバム、シングル、リミックスをリリース。00年に〈fatcat〉からのスプリットシリーズを皮切りに、Shiro The Goodman とともに主催の〈ROMZ〉から4枚のアルバムをリリース。同アルバムは kid606 主催の〈tigerbeat6〉、ブレイクコアレーベルの〈zod〉、中国の〈Shanshui〉からライセンスされた。00~10年まで国内外のライブ、フェスに参加後、10年間ライブ活動を休止し、CM音楽や映画、アニメ音楽等、作家業をメインに活動。2020年、新しいディケイドの始まりに 5th album 『Fuck Dream and Kill Hope』をリリース。

-Official Website-
https://geeky2200.wixsite.com/com-a

Marihiko Hara - ele-king

 インスタレーションから映画音楽まで、さまざまな領域で活躍する作曲家/ピアニストの原摩利彦がニュー・アルバムをリリースする。「情熱」とともに「受難」を意味することば、『PASSION』と題された同作は、深く心に沁み入るような叙情と、他方で力強さも兼ね備えた作品に仕上がっている模様。発売は6月5日。この苦難の時代だからこそ、その感性豊かな響きに耳を傾けたい。

原 摩利彦
坂本龍一、野田秀樹、森山未來……国内外のアーティスト達から愛され
ピアノ、フィールドレコーディング、電子音響、サウンド・スケープなど
幅広い表現で活躍する音楽家、原 摩利彦の最新作
『PASSION』6月5日リリース決定!

京都を拠点に国内外問わず現代アートや舞台芸術、インスタレーションから映画音楽まで幅広く活躍する音楽家、原 摩利彦。
ヨハン・ヨハンソンにも通じる音響派的側面を持ちながら、久石譲やチリー・ゴンザレスらが奏でるような、親しみやすいピアノのメロディがそこに重なり、一聴しただけで原の音とわかるような独自のサウンドを持つ。寄せては返す波の泡や草木を踏みしめる音などの自然音や、街の喧騒、ちょっとした生活音なども楽曲に組み込むフィールドレコーディングの手法も取り入れた作風には、日々の生活の中の微かな音の聴こえ方まで変えてしまう不思議な力があり、実験性と叙情性を持ち合わせた希有な才能を証明している。

そんな原 摩利彦の3年ぶりとなる待望のソロ作品『PASSION』が6月5日にリリース決定!! 心に沁みる叙情的な響きの中に地下水脈のように流れる「強さ」を感じさせる原の音世界がぎゅっと詰まった全15曲収録。マスタリングエンジニアに原も敬愛する故ヨハン・ヨハンソンが残した名盤『オルフェ』を手がけた名手フランチェスコ・ドナデッロを迎え、作品の音にさらなる深みを与えている。

アルバム表題曲であり、原自身がこの作品の方向性の決め手となったと語る楽曲 “Passion” が解禁。一つの主題が音域や和音を変えながら繰り返され展開していくこの楽曲からは、心の底に静かに眠る「情熱」や、あらゆる事象を粛々と「受け入れる」ような静かなる強さが感じられ、最新アルバムへの期待を高める。

‘Passion (Official Audio)’
https://youtu.be/myRfeSYHFkg

最近では松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳ら豪華俳優陣が出演、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞し話題となった野田秀樹演出の舞台作『Q:A Night At The Kabuki』でサウンドデザインを担当し、日本を代表するアートコレクティブ『ダムタイプ』のメンバーとしても活動。世界ツアーも大盛況となり森山未來もダンサーとして参加している世界的振付師ダミアン・ジャレと彫刻家名和晃平によるプロジェクト『Vessel』では坂本龍一と共に劇伴を手がけるなど、次から次へと活動の場を広げている。

原 摩利彦 『PASSION』についてのコメント

「Passion」という言葉は「情熱」や「熱情」翻訳されているが、元々は「受け入れること」、キリスト教では「受難」とされている。
中世で「情熱」という意味が加わったようだが、「受け入れる」強い気持ちと考えると、二つの意味は繋がる。
十代の頃に音楽家になることを決意したとき、音楽が好きという気持ちとともに、これから自分の人生で起こることに対する苦難──当時はまだ悩み、苦しむ音楽家に憧れがあっただけにすぎないかもしれないが──を受け入れることを覚悟したのを覚えている。
本アルバムには十六歳のときに作曲したピアノ曲もほぼそのまま収録している(Tr7 “Inscape”)。
二十年経って、今一度音楽家としての覚悟を決める。これから訪れるであろう幸せも苦難も、すべてを受け入れる強い気持ち(=PASSION)を込めてこのタイトルをアルバムにつけた。
また何年か前に、マドリード在住の写真家イザベル・ムニョス(Isabel Munôs)が別れ際に「A lot of Happiness. Good Luck and Passion!」と言った。
そのとき彼女の口から出た「Passion」という言葉が強く胸に響いた。
音楽的な挑戦としては、前作『Landscape in Portrait』よりもピアノの音域を広げること、他者が録音したフィールドレコーディングを使ってみること、非西洋楽器を電子音とともに「音響的に」共存させることである。
音楽的な西洋と東洋、中東の融合や統合を目指しているのではない。
それぞれの地域に住む人々が同じく朝を迎え、太陽の恩恵を受け、食事をし、夜になると月や星を見ること。
人間としての共通の出来事を経験しながらも、それぞれの文化(=音)が現れ、それが同じ地球上で鳴っているように、限られた時間の中で音響的に配置、共存させてみたいと思った。
原 摩利彦

label: Beat Records
artist: 原 摩利彦
title: PASSION
国内盤CD BRC-619 ¥2,400+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10963

TRACKLISTING:
01. Passion
02. Fontana
03. Midi
04. Desierto
05. Nocturne
06. After Rain
07. Inscape
08. Desire
09. 65290
10. Vibe
11. Landkarte
12. Stella
13. Meridian
14. Confession
15. Via Muzio Clementi

Michinori Toyota - ele-king

 00年代における日本のフォーク・リヴァイヴァルの先駆者、パラダイス・ガラージ名義でも知られるシンガーソングライターの豊田道倫が、去る3月26日、急遽路上ライヴの映像を公開している。96年に上京した豊田は50歳という区切りを迎え、同日地元・大阪へと帰郷したそうで、その区切りとなるパフォーマンスを収めたものだ。演奏されているのは新曲の “tokyo” で、撮影・編集はカンパニー松尾が、音調整は宇波拓が担当している。「ようやく歌をちゃんとやろうという気になった」とのことなので、今後の豊田の活躍に期待しよう。

地元大阪に帰ることを決めた、変幻自在のシンガーソングライター豊田道倫の珍しい路上ライブを緊急公開!

新宿のとある公園、別れ際、サプライズで歌い出す豊田道倫。
グッバイ東京。
多くの思い出と共に。
行ってらっしゃい大阪へ。
けど、歌があるかぎり、また会える。

豊田道倫 「tokyo」2020年3月 公園にて
https://www.youtube.com/watch?v=NH--YnpMeP8

撮影・編集:カンパニー松尾
音調整:宇波拓

1995年、パラダイス・ガラージと名乗り、地元大阪でCDデビューし、96年に上京して以降、
変幻自在の音楽活動を続けて来たシンガーソングライター豊田道倫が、
約25年に渡る東京での生活に区切りを付け、2020年3月26日、大阪に帰る。
18時台の新幹線に乗って東京を発つという豊田道倫へのはなむけとして、
過日、サプライズで披露された路上での弾き語りライブを公開します。
「これからのことはまだ何も決まってない」と豊田道倫は言うが、
「ようやく歌をちゃんとやろうという気になった」とも言う。
今まで残したたくさんの歌やライブを破り捨てるような、こてこてのおっさんになるのかな。
いってらっしゃい、気をつけて。
そしてまた、新しい歌を聴かせてください。
そんな気持ちを込めて作りました。

2020年3月 ハマジムレコーズ カンパニー松尾

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「tokyo」

幻のようなパン屋
妖精のようなおじいさん
しけた都会の片隅
夜中に開いて朝しめる

クリームパンは美味しかった
もう食べることは出来ない
君に昔 話したっけ
勘違いだったらごめんね

どっちに行こう あっちに行こう
こっちに行こう どこにも行かない
たった一つの道 見つけるまで
 
雪のようなビルディング
虹のようなスーサイド
しけた弁当かきこんで
男は今日も働いてる

恋とか愛は嫌いだった
映画や本も見なかった
ただ 信じていたかった
女と子どもと 友達

どっちに行こう あっちに行こう
こっちに行こう ゆっくり歩いて
たった一つの道 見つけたから

幻のようなパン屋
妖精のようなおじいさん
しけた都会の片隅
夜中に開いて朝しめる

長い話しは終わり
お茶がさめたから帰ろう
君住む街を想う
ずっとずっと想う

KANDYTOWN - ele-king

 昨秋セカンド『ADVISORY』を発表し、クルーとして大きな成長を遂げたキャンディタウンが、2020年初となる新曲 “PROGRESS” をリリースしている。ナイキの AIR MAX 2090 から着想を得た楽曲とのことで、Gottz、MUD、KEIJU、Dony Joint の4MC が参加。ティザー映像は各方面でひっぱりだこの山田健人が手がけている。彼らの次なる一歩を見逃すな!

KANDYTOWN
NIKE AIRMAX2090 にインスパイアされた新曲 “PROGRESS” をリリース。

昨年2ndアルバム『ADVISORY』をリリースし東阪での Zepp TOUR を成功させるなど、様々な話題を振りまいた国内屈指の HIP HOP CREW:KANDYTOWN が2020年第一弾となる新曲 “PROGRESS” を3月26日にリリースすることが発表された。

この楽曲は同日に発売となる AIR MAX 2090 の制作コンセプトにインスパイアされた楽曲で、Neetz が手掛けたトラックに Gottz, MUD, KEIJU, Dony Joint の4MCが参加している。また、リリース情報とともに同作品のアートワークと MUSIC VIDEO のティザー映像が公開となっている。

ティザー映像では AIR MAX 2090 DUCK CAMO をはじめとする様々なモデルを着用したメンバーの姿が映し出されており、こちらの映像作品は山田健人がディレクションを担当している。

なお、早くも2020年第一弾となるリリースを迎えた KANDYTOWN は5月24日(日)に横浜赤レンガ倉庫野外特設会場にて行われる「GREENROOM FESTIVAL’20」への出演も決まっているのでそちらもお見逃しなく。

【KANDYTOWN「PROGRESS」】
Rap:Gottz, MUD, KEIJU, Dony Joint
Music:Neetz
DL/ST URL: https://kandytown.lnk.to/prog
Teaser URL: https://youtu.be/uVTAaGO2Njs
MUSIC VIDEO Director: 山田健人

【KANDYTOWN PROFILE】
東京出身の総勢16名のヒップホップ・クルー。
2014年 free mixtape 『KOLD TAPE』
2015年 street album 『BLAKK MOTEL』『Kruise』
2016年 major 1st full album 『KANDYTOWN』
2017年 digital single 『Few Colors』
2018年 digital single 『1TIME4EVER』
2019年 e.p. 『LOCAL SERVICE』, major 2nd full album『ADVISORY』

【開催概要】
名称:GREENROOM FESTIVAL’20
場所:横浜赤レンガ倉庫野外特設会場
出演日:2020年5月24日(日)
オフィシャルサイト: https://greenroom.jp

【事務局一般先行チケット】
事務局一般先行チケット販売中!
[1日券] 価格 ¥12,000
[2日通し券] 価格 ¥19,000
https://greenroom.jp/tickets/

【NIKE AIR MAX 2090 “進化を恐れない姿勢” SHORT MOVIE MUD(KANDYTOWN) Direction by atmos】
https://www.atmos-tokyo.com/lp/air-max-day-2020-duck-camo

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