「You me」と一致するもの

CUZ ME PAIN Compilation #2 Release Party - ele-king

 ジェシー・ルインズの音は、『ガーディアン』に言わせると「噴火する火山のサウンドトラックとしてのある種のドゥーム・レイデン・ポップ」だそうで(破滅に苛むポップ......とでも訳せばいいのか?)、まあ、何はともあれ、東京のレーベル〈コズ・ミー・ペイン〉のインパクトはじょじょにだが、確実に伝わっている。ジェシー・ルインズはUKの〈ダブル・デニム〉からインターナショナル・デビューを果たし、もうすぐUSの〈キャプチャード・トラックス〉からデビュー・アルバムが発表される。ビューティは〈クルーエル〉から12インチを出して、5月には同レーベルよりデビュー・アルバムが出る。いよいよ〈コズ・ミー・ペイン〉の時代か!
 レーベルは3月、2年ぶりのコンピレーション・アルバム『Compilation #2』をリリースする。チルウェイヴ、ダークウェイヴ、ウィッチ・ハウス......そしてその次を狙った内容で、ファーストにくらべてずっと躍動感のある、ダンサブルな内容になっている。ちょっと〈100%シルク〉あたりとも共振しているというか。ちなみにコンピにはロスの〈ノット・ノット・ファン〉からデビューしたSapphire Slowsも参加。
 3月9日にはそのリリース・パーティがある! ジェシー・ルインズはライヴ演奏する。ドゥーム・ポップな夜かどうかはわかりませんが(笑)、インディ・キッズならずとも、超注目なのは間違いない!

2012年3月9日(金)
―CUZ ME PAIN Compilation #2 Release Party―
at 三宿Web
OPEN/START 23:00-
DOOR 1,500円(1ドリンク付き)

■Live :
JESSE RUINS

■Dj : (A to Z)
APU (After Dark)
IWATA(Anarushin)
NITES (Jesse Ruins)
ODA (The Beauty / FaronSquare)
SCUM BOYS
TSKKA (Masculin)
YYOKKE (FaronSquare / :visited)

info:
[三宿Web] https://www.m-web.tv/index2.html


V.A.
CUZ ME PAIN Compilation #2
CUZ ME PAIN
発売日予定日:2012年3月14日

CUZ ME PAIN Compilation #2 特設サイト
https://cuzmepain.com/cmp2/

CUZ ME PAIN WEB
https://cuzmepain.com/


Tracklist
- Aside
1. Masculin - Ecstasy
2. Faron Square - Sugar Shake
3. Atlas Young - Multiply The Prairie
4. Jesse Ruins - Hera
5. Naliza Moo - Jealous Hearts
6. Nites - While Your Were Sleeping
(Hotel Mexico Remix)

- B side
1. :visited - Touch Your Heat
2. Sapphire Slows - Break Control
3. The Beauty - The Sorrow Of Parting
4. Scum Boys - Lava Lava
5. Nites - Moments Like This Fruit
6. :visited - Sunset Article (Magical Gang Remix)

東京発のインディ・レーベル〈CUZ ME PAIN〉のコンピレーション第2弾! USインディを中心にグローバルな広がりをみせるインディ・ダンス・アクトがここ日本にも! 〈CUZ ME PAIN〉お馴染みのメンバーに、話題のSapphire Slow (Big Love、Not Not Fun)、Jesse Ruins (Captured Tracks、Double Denim)、The Beauty (Clue-L)を収録、そして親交も深いインディ・レーベル〈Second Royal〉一押しのHotel MexicoとMagical Gangがリミックスで参加! 300枚限定ヴァイナル・オンリー!!

Chart by JET SET 2012.02.28 - ele-king

Shop Chart


1

KEN ISHII PRESENTS METROPOLITAN HARMONIC FORMULAS

KEN ISHII PRESENTS METROPOLITAN HARMONIC FORMULAS MUSIC FOR DAYDREAMS EP »COMMENT GET MUSIC
DJユースな"Can You Feel It

2

MAMA GUITAR

MAMA GUITAR MAMA GUITAR SINGS MAMA GUITAR »COMMENT GET MUSIC
坂本慎太郎が全曲ベースで参加!2006年のライブを最後にシーンから遠ざかり、長い間沈黙していた彼女たちが、1年以上のレコーディングの末「Mama Guitar Sings Mama Guitar」を完成させました!!

3

ONUR ENGIN

ONUR ENGIN MUSIC UNDER NEW YORK »COMMENT GET MUSIC
セルフ・レーベルやG.A.M.M.、Plimsollから傑作リエディットを量産してきたイスタンブールの才人リエディターOnur Enginによるキャリア初のアルバム作品が到着。

4

LINDSTROM

LINDSTROM QUIET PLACE TO LIVE »COMMENT GET MUSIC
先日リリースされたばかりのLindstrom最新アルバム『Six Cups Of Rebel』のCD盤にボーナス・トラックとして収録され大きな話題となっていた、Todd Rundgren (Utopia)によるキャリア初と思われるリミックス・ワークを12"化!!

5

ROXY MUSIC

ROXY MUSIC LOVE IS THE DRUG (TODD TERJE DISCO DUB) / AVALON (LINDSTROM & PRINS THOMAS VERSION) »COMMENT GET MUSIC
Todd Terje & Quiet Villageの2組によるリミックスEPも即日完売となったBryann Ferry率いるUKロックバンド、Roxy Musicによるクラシック2タイトルの限定リミキシーズ!!

6

POGUES

POGUES CELTIC SKA EP »COMMENT GET MUSIC
Joe Strummer~Ian Duryと続いてアイリッシュ・トラッド・パンクスPoguesが登場です!!勿論、全編スカ・アレンジによる超最高の4曲を収録。

7

V.A.

V.A. BLACK GOLD »COMMENT GET MUSIC
世界500枚限定プレス。ダンスホールDJにも大推薦のUKベース超強力コンピです!!

8

SOFTWAR

SOFTWAR THIS TIME AROUND »COMMENT GET MUSIC
当レーベルからリリースされたMitziやMario & Vidis作品にてリミックスを披露していた、Myles du Chateau & Jeremy Lloydからなるシドニーの新星ユニットSoftwarによる最新EPが登場。

9

EARTH WIND&FIRE / SPLENDER

EARTH WIND&FIRE / SPLENDER HAPPY FEELIN / CARNIVAL »COMMENT GET MUSIC
【LTD300】前二作が即完売となった、Danny Krivitによる完全日本独占エディットシリーズ第三弾。本作は、Earth Wind & Fire / Happy Feelingと1979年リリースSplender / Carnivalをリエディット。

10

RON TRENT FEAT. ROBERT OWENS

RON TRENT FEAT. ROBERT OWENS DEEP DOWN »COMMENT GET MUSIC
ジャーマン・ディープハウス・レーベル"Foliage Records"から、Robert Owensをフィーチャーした2008年名作のニュー・ミックスが登場。Mr. FingersことLarry Heardによるリミックスで再帰した珠玉作です。

Perfume Genius - ele-king

いまも暗闇に生きるひとりひとりへ
文:木津 毅


Perfume Genius
Put Your Back N 2 It

Matador/ホステス E王

Amazon iTunes

 たしかガス・ヴァン・サントの『ミルク』が公開された前後の時期だったと思うが、アメリカでも有数のゲイ・コミュニティ・タウンであるサンフランシスコを有するカリフォルニア州において、いったん認められていた同性結婚を禁止する「提案8号」が住民投票によって可決された。以来カリフォルニアでは同性結婚が認められていなかったはずだが、ついこの間、連邦高裁によってその同性婚禁止こそが違憲であるという判決が下りたという。ニューヨークでの同性結婚の合法化によって勢いがついたのは間違いないだろう。ワシントン州でも成立、ニュージャージー州の上院も通過、アメリカで暮らすゲイとレズビアンはいま追い風を感じているかもしれない(いっぽうでノースカロライナやミネソタなどの州では結婚を男女間のみのものと規定した「結婚保護法」が制定されているらしいので、そう単純な問題でもないのも事実だが)。
 そんななか、シアトルのひとりのゲイ青年は街中で恋人の手を握ることすら躊躇ってしまう自分への苛立ちを歌っている。「混んだ道端できみの手を取り/躊躇なく近くに抱き寄せられたなら」"オール・ウォーターズ"――青年の名はマイク・ハッドレアスといって、ドラッグのオーヴァードーズで死にかけた経験もあるそうだ......が、彼はいまも生きて、震えるような声でゲイとしての生についてひっそりと語りかけてくる。

 パフューム・ジーニアスの歌はあるとき突然発掘された。デビュー作『ラーニング』において、くぐもった音の向こうでノイズとともにようやく聞こえるボロボロの録音で無名のシンガーが歌っていたのはドラッグや自殺や虐待、そして疎外感や息苦しさ、だった。その危うい音質とも相まってそこには簡単に聞き流すことのできない迫力と切実さがあり、しかし同時にその苦しみをどうにか押し止めようとする不思議な穏やかさもあって、母親のベッドルームで録音されたというそれらの歌はまるで身体のなかに染みこんでくるような親密な関係をリスナーと結んだ。優れたベッドルーム・ポップはある種の生々しさを伴いながら、時空を超えて孤独な部屋と部屋を接続してしまう。

 『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』はベッドルーム・ポップではなく、スタジオにプロデューサーを迎えて制作されたミュージシャンとしてのマイク・ハッドレアスの初めての作品である。たしかに音質はクリアになり、ピアノとシンセの長音のなかをメロディがひたすら浮遊するようだった前作に比べれば、より歌としての起伏が感じられる内容になったと言えるだろう。苦悩に満ちた半生を送った母親に捧げられたという"ダーク・パーツ"、毛むくじゃらのマッチョなポルノ俳優と出演したヴィデオが素晴らしい"フード"、これらの曲でピアノの演奏とマイクの歌はそれぞれ明確に役割を自覚し、ピアノ・バラッドとしての美しさに磨きをかけている。"ノー・ティアー"や"テイク・ミー・ホーム"のように明るいトーンの開放感が広がるナンバーもまた、このアルバムのムードを柔らかくしている。
 しかしながら、ここでもパフューム・ジーニアスの歌はひとが好んで見ようとしない暗闇こそを見つめている。それも、マイノリティとして......ゲイとして生れ落ちた宿命のようなものを聴き手の耳元で晒そうとする。オープニングのドリーミーにすら聞こえる"エイウォル・マリーン"でモチーフになっているのは、妻にドラッグを買うためにゲイ・ポルノに出演するオッサンについてだという。"17"は自分の外見的な醜さを恥じる10代のゲイの「遺書」、先述した「明るいトーン」の"テイク・ミー・ホーム"は売春をテーマにしたポップ・ソング......。迷うことのない徹底ぶりで、マイクは社会から転落した人間たち、あるいはあらかじめアウトサイダーとして生を受けた人間たちの呟きを代弁する。いや、ここではほんとうに彼自身の感情としてそれらは発声されていて、だからこそその歌は呼吸が耳を撫でるような親密さでもって迫ってくるのだ。「いらないんだ/このゴツゴツした手も、このおかしな顔も/熟れきって、むくんだ体型も」"17"......パフューム・ジーニアスの痛みに満ちたその告白は、はっきりとその感情を知っているベッドルームの誰かにこそ向けられている。アルバムはそして、とても穏やかで慈愛に満ちた聖歌のような"シスター・ソング"で終わる。そう、ブラザーではなく、シスターだ。「行け、行け/ぼくの特別な人/止まらずに/自分が消えたとわかるまで」

 マイク自身によるアートワークは、60年代の水泳チームの写真から取ったものだそうだ。中央の青年ふたりの口元が覆われている......あらかじめ自分たちの正直な想いが封じ込められたことを表象するように。時代がどれだけ前に進んでも、変わらない苦悩というものがあると言うように。
 その消えない痛みを穏やかなバラッドに変換するパフューム・ジーニアスは、そして愛を求めている。アルバムが"フード"を通過するたびに、僕はその切実さに両の拳を握らずにはいられない。「本当の僕を知ったなら/二度とベイビーなんて呼んでくれないだろうね/ああでもぼくは待ちくたびれたよ/きみの愛が欲しくて」。アントニーのようにハイ・アートの拠りどころもなければ、当然ルーファス・ウェインライトのように絢爛な舞台装置もない。あるのは痛ましいまでのあけすけさと、震える声と呼吸だけ。「僕は闘うよベイビー/きみに間違いを起こさないように」......そう宣言するとおり、マイク・ハッドレアスは闘っている。かつての自分と、いまも口元を覆われて暗闇に生きるひとりひとりのために。

文:木津 毅

»Next 野田 努

[[SplitPage]]

はからずとも彼はその美しさでネット社会の偏狭さを暴く文:野田 努


Perfume Genius
Put Your Back N 2 It

Matador/ホステス E王

Amazon iTunes

 パフューム・ジーニアスの"フッド"は、本人が意図しなかったにせよ、セックス・ピストルズの"ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン"......、そしてフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの"リラックス"と同系列で語ることのできる作品かもしれない。ゲイを強調して売りにすること自体は、欧米のポップ文化において珍しいことではない。ボーイ・ジョージは礼儀正しくやって、フランキーは大胆にやって放送禁止となった。しかしそれとて1984年の話。だいたい性的衝動を武器としながら奇襲を仕掛けたフランキーにとって、ある意味放送禁止こそ望むところでもあった。
 そこへいくとパフューム・ジーニアスの"フッド"のPVがGoogleとYouTubeから削除されたことは、木津毅の次号紙エレキングにおける取材でも明らかにされていることだが、はからずともインターネット社会の限界と偏狭さ、電子空間にさえも権力が目を光らせていることを証した。すでに抗議をうけ、現在では復帰しているものの、リアーナの例の自慰行為のPVは削除されずに、しかしパフューム・ジーニアスを名乗る美少年とポルノ男優とのセクシャルな絡みは当初GoogleとYouTubeという21世紀の自由から見事リジェクトされたのだった。
 パフューム・ジーニアスの"フッド"は、しかし曲を聴けばわかるように、"リラックス"のように敢えて勇敢にタブーに立ち向かったような曲ではない。彼のセカンド・アルバム『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』は、好戦的ではないし、その手の受け狙いの作品でもない。ケレンミのない、誠実で美しいバラード集だ。骨格にあるのはピアノの弾き語りで、それはジェームズ・ブレイクから人工着色を剥いだ姿のようで、アントニー・ヘガティのフォーク・ヴァージョンのようでもある。が、しかし彼の楽曲はブレイクやヘガティよりも滑らかで、音的に言えば、より親しみやすさがある。
 
 言うまでもなく、ゲイ文化とポップ音楽との絡みに関して日本は欧米より遅れをとっている。その民主主義的な観点において、そもそもカミングアウトを(そして動物愛護もドラッグ・カルチャーも)受け入れていない。ポップ音楽もスタイルだけは欧米の模倣だが、その中身、文化的成熟にはまだ遠いと言えよう。が、海の向こうのジョン・マウス、リル・B、マリア・ミネルヴァ......こうした若い21世紀のUSインディ・ミュージック世代は、もうひとつの性の解放に向かっているようにさえ思える。日本においても決して少なくないであろうゲイがこの若く勇敢な動きに刺激されないはずがない。
 世のなかにはいろんな絶望がある。放射能汚染、貧困、病気......あるいは性の問題。もっとも彼の音楽は美しい男たちのためだけにあるのではない。より普遍性を帯びたエモーショナルな歌として我々の心にも進入する。これはルー・リードの"ウォーク・オン・ザ・ワイルドサイド"の系譜上に生まれた魂が揺さぶられるアルバムだ。「本当のぼくを知ったなら/二度とベイビーなんて呼んでくれないだろうね」とはじまる"フッド"は、このような言葉で結ばれる。「ぼくは闘うよベイビー/きみに間違いを起こさないように」

文:野田 努


Chart by UNION 2012.2.24 - ele-king

Shop Chart


1

EDDIE PALMIERI

EDDIE PALMIERI Mi Congo Te Llama FANIA / US / »COMMENT GET MUSIC
HAMMOCK HOUSE AFRICA CARIBEでもピックアップされたサルサ・ピアノの巨人EDDIE PALMIERI"Mi Congo Te Llama "JOE CLAUSSELLミックス。元ネタからのパートは部分的に活かしているもののボトム・トラックはJOE自身によるもので、ほぼオリジナルに近い構成。傑作"With More Love"にサルサの要素を盛り込んだかのようなドラマティックな仕上がりで、ピークタイムを意識したダイナミックさとブレイクはロングプレイする程にこの楽曲の良さを引き出してくれます。

2

FLIGHTS OF FANCY

FLIGHTS OF FANCY Volume One INTERNATIONAL FEEL / URG / »COMMENT GET MUSIC
INTERNATIONAL FEEL2012年最初のリリースはニュー・プロジェクト、FLIGHTS OF FANCYの第1弾!コズミック・シンセを大胆にフィーチャーした80'sフィールなA-1、ギターの旋律が心地よく響くレイドバック感に満ちたB-1をフリップサイドに収録した2トラック。すでにTODD TERJE、SOFT ROCKS、MAX ESSAに、GOLF CHANNELクルー等が絶賛する1枚!!

3

GEOFFREY ORYEMA

GEOFFREY ORYEMA Kei Kweyo (Joaquin Joe Claussell Remixes) WHITE / US / »COMMENT GET MUSIC
かつてBRIAN ENOがプロデュースしたことでも知られるウガンダ出身のアーチスト・GEOFFREY ORYEMAの作品をJOE CLAUSSELLがリミックスした1枚。オリジナルヴォーカルを活かしたA-1は太いベースラインにリムやドラムといった一つ一つのパートがしっかりした輪郭を伴い絶妙なバランスで組まれた、力強いグルーヴを伴うアフロハウス。無数のドラム/打楽器が多方面から交差し独特なトリップを醸しだすB-1も秀逸!

4

DELANO SMITH

DELANO SMITH Odyssey (LP) SUSHITECH / GER / »COMMENT GET MUSIC
DERRICK MAY自らが「最も影響を受けたDJ」として名を挙げ、JUAN ATKINSの憧れの存在でもあったデトロイト・アンダーグラウンド・シーン最後の大物、DELANO SMITHによるキャリア初(!)となる待望の1stアルバムがCDに先駆け3枚組LPで到着。彼のDJスタイルを象徴するかのような、ロウでありながらしなやかにハメる心地よいグルーヴ、体へ染み渡るミニマルなリズムを抜群の構成力でディープ/ハウシーに聴かせる数あるデトロイト・ハウスの中でも圧倒的に抜きん出た仕上がり。

5

FUMIYA TANAKA

FUMIYA TANAKA I Can Tell You Of Course I Know It Was PERLON / GER / »COMMENT GET MUSIC
ベルリンに移住したFUMIYA TANAKAが、旧知の関係であるご存知ドイツの名門PERLONから遂にアナログ・デビュー! ヴォイス・サンプルを散らしたクールなトラックA-1、『Wire 11 Compilation』に収録されていたB-1"I Can Tell You Of Course I Know It Was"を収める1枚。中毒性のかなり高いミニマル・ハウス作品。

6

PUBLIC LOVER

PUBLIC LOVER Broken Shape Of You THESONGSAYS / JPN / »COMMENT GET MUSIC
BRUNO PRONSATOとそのパートナーNINCA LEECEによるユニット・PUBLIC LOVERのデビュー・アルバム。これまでのシングルで垣間見られた軽やかで気負いのないミニマル・ハウス+シンセポップと形容できる独自のサウンドが、柔軟なリズム・プロダクションにアンニュイでどこかセンチメンタルなヴォーカルを加えるというスタイルを基本にアルバムフォーマットを取ることで更に豊かな音楽性を獲得。何度でも聞き込みたくなる味わい深い作品へと結実しています。

7

OMAR S PRESENTS AARON

OMAR S PRESENTS AARON "FIT" SIEGEL FEAT L'RENEE Tonite FXHE RECORDS / US / »COMMENT GET MUSIC
デトロイト地下でFIT DISTRIBUTIONを主催する一方、レーベル、DJとしても活躍するAMERICAN APPARELがOMAR Sとの共同プロデュースという形でリリースするFXHE最新作。全編にしっとりとしたヴォーカルがフィーチャーされた、ミシガンのミッドナイトが似合う、アーバンでウェッティなディープハウス。90's回帰なサックスとキーボードを押し出しパーティの終盤が似合う哀愁漂うクラシカルな仕上がりのB-1もGOODです!

8

DJ SURGELES

DJ SURGELES Something In The Sky Mix SOMETHING IN THE SKY / US / »COMMENT GET MUSIC
JEFF MILLSによるコンセプト・シリーズ最新作の新章「TAKEN (拉致)」のリリースに合わせ、一連の"Something In The Sky"作品群のMix CD(R)が入荷。JEFFが認めた謎のオランダ人アーティスト、DJ SURGELESによる全編60分、Something In The Skyコンセプトの回想録。AXISから、JEFF以外の、しかもJEFFが認めたDJによる、オフィシャル・Mix CD(R)のリリースは異例中の異例。好奇心と期待が増幅される1枚。LTD300プレス!

9

ROXY MUSIC

ROXY MUSIC Love Is The Drug (Todd Terje Remix) / Avalon (Lindstrom Remix) VINYL FACTORY / UK / »COMMENT GET MUSIC
ROXY MUSICのクラシック・タイトルをTODD TERJEとLINDSTROMがリミックスした超限定プレスの1枚がUKのVINYL FACTORYから登場!1975年の"Love Is The Drug"をまるでTHE CLASH"Rock The Casbah"に仕上げたディスコダビーなTODD TERJEサイド、裏でかすかに響くコーラスも怪しげな、クラウトロックを消化しスロートラック化したLINDSTROMサイドと見逃せない限定盤です。

10

PORTER RICKS

PORTER RICKS Biokinetics (LP) TYPE / UK / »COMMENT GET MUSIC
BASIC CHANNEL傘下CHAIN REACTIONの記念すべきアルバム第1作、THOMAS KONERとANDY MELLWIGによるプロジェクト・PORTER RICKSによる、ダブテクノ/ミニマルダブの歴史にその名を刻むファースト・アルバムが5年の時を超え遂に再発! 深く深く沈みこむリヴァーヴ&ディレイ・シンセがもたらす瞑想的なアンビエンス/ミニマリズム、CHAIN REACTIONのレーベル・イメージを決定付けたマスターピースといえる1枚。

Chart by JET SET 2012.02.20 - ele-king

Shop Chart


1

LINDSTROM

LINDSTROM SIX CUPS OF REBEL »COMMENT GET MUSIC
Mungolian Jetsetによる傑作シングル/アルバムやDJ Harvey Remixを収録したDiskjokke新作12"など人気作のリリースが相次いでいる"Smalltown Supersound"から、天才Lindstromによる話題の最新アルバム「Six Cups Of Rebel」がアナログ2枚組で登場。

2

PITCHBEN

PITCHBEN STAND UP »COMMENT GET MUSIC
昨年"Compost"からデビューしたドイツの新鋭Ben Pitchによるデビュー・アルバム『Pitchslap』から、シーン屈指の人気を誇るRunawayとTiger & Woodsの2トップによる強力リミックスを収録した話題の12"カットが待望の入荷!!

3

EDDIE C

EDDIE C ALL I WANT »COMMENT GET MUSIC
昨年リリースされた待望の1stアルバム『Parts Unknown』をはじめ、"7 Inches Of Love"シリーズも大好評頂いた、カナディアン人気アクトEddie Cによる新録4楽曲。

4

RAY MANG

RAY MANG LOCK & POP / VIVA LAS VEGAS »COMMENT GET MUSIC
Dr. Dunksによる前作22番がビッグ・ヒットとなった"Disco Deviance"最新作に、UKディスコ・シーンの才能Ray MangによるダブルサイダーEPが登場。

5

GANG COLOURS

GANG COLOURS FANCY RESTAURANT »COMMENT GET MUSIC
Gilles Petersonが絶賛する逸材、Gang Coloursの会心の1曲。柔らかいピアノに切なく響く歌声、優しく刻まれる裏打ちから滲み出る最新モード。文句なしのスウィート・メロウ・キラー!!

6

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO LOOK AROUND THE CORNER »COMMENT GET MUSIC
Rotary Connection「Les Fleur」直系の鮮やかなストリングスとソウルフルなコーラスが、キューバのリズムに乗って感動的な歌声を盛り立てる特大名曲!!

7

LAPALUX

LAPALUX WHEN YOU'RE GONE »COMMENT GET MUSIC
大人気KorelessやSeamsらのリリースでお馴染みPictures Musicからのカセット・リリースでデビューを飾った美麗ウォンキー新星Lapaluxが満を持してのヴァイナル・デビュー!!

8

NEW AGE STEPPERS

NEW AGE STEPPERS MY NERVERS (PUNK) »COMMENT GET MUSIC
まさかの最新作『Love Forever』に収録のテイクとは別ヴァージョンの7インチ。アルバムver.よりも危ない雰囲気が増していて、相当ヤバイです!!

9

GEORGIA ANNE MULDROW & MADLIB

GEORGIA ANNE MULDROW & MADLIB SEEDS »COMMENT GET MUSIC
更に制作力を増し続ける鬼才MadlibとGeorgia Anne Muldrowがコラボした話題の楽曲が、ニューレーベルSomeOthaShip Connectより限定500枚でリリース! クリア・バイナル仕様。

10

VEDOMIR

VEDOMIR VEDOMIR EP »COMMENT GET MUSIC
Eddie C、Luke Vibertのリリースが大好評を博したブギー・ディスコ・シリーズ"Kerrier District"に続く、Jazzy SportとSound Of Speedによるコラボレート企画最新作。

Chart by JAPONICA music store&cafe bar 2012.02.20 - ele-king

Shop Chart


1

LORD ECHO

LORD ECHO MELODIES WONDERFUL NOISE / JPN / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
SISTER SLEDGE"THINKING OF YOU"のレゲエ/ソウル・カヴァーを収録した先行12"EPが各所で大好評即完売に至った話題のレゲエ/ラヴァーズ・ソウル・プロジェクトLORD ECHO、お待たせの2LPフル・アルバム!

2

ANDRES

ANDRES NEW FOR U LA VIDA / US / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
<KDJ>や<MAHOGANI>を中心としたリリース作品はいずれも即ソールドアウト、内容も言わずもがなのフューチャー・クラシックな傑作を 数多く残してきたデトロイトの至宝=ANDRESが遂にセルフレーベルを立ち上げ、その第1弾をリリース。

3

EL NEGRO & ROBBY / ALAYAVIJANA

EL NEGRO & ROBBY / ALAYAVIJANA SPLIT EP CROSSPOINT / JPN / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
ワールド~ラテン/ジャズを包括する至高のNYアンダーグラウンド・ミュージック!鬼才KIP HANRAHANプロデュースによる03年作をライセンス・アナログ・リリース!from <CROSSPOINT>

4

EP-4

EP-4 BRUTAL 500 SERIES PART 3 BRUTAL MUSIC / UK / 2012/2/8 »COMMENT GET MUSIC
京都の伝説的プロト・テクノ・バンド=EP-4レア・トラック編集盤がまさかのクレイツ・ディガーDOM THOMAS主宰<BRUTAL MUSIC>よりリリース!この骨太肉厚サイケ・ファンク・サウンドは今の感覚にドンピシャです・・!

5

BURNT FRIEDMAN

BURNT FRIEDMAN BOKOBOKO NONPLACE / GER / 2012/2/14 »COMMENT GET MUSIC
生音と打ち込みのバランスが絶妙すぎるエクスペリメンタル・トラック満載!鬼才BURNT FRIEDMAN通算5枚目となるフル・アルバム「BOKOBOKO」!オウン・レーベル<NONPLACE>より。

6

FLIGHTS OF FANCY

FLIGHTS OF FANCY VOLUME ONE INTERNATIONAL FEEL / URY / 2012/2/14 »COMMENT GET MUSIC
<INTERNATIONAL FEEL>2012年ファースト・リリースは詳細不明のニュー・プロジェクト=FLIGHTS OF FANCYによるウォーミーなスローモー・バレアリック/コズミック・チューン×2!

7

MR. K ALEXI SHELBY

MR. K ALEXI SHELBY FINEST CUTS LEGENDS AMOUR / FRA / 2012/2/7 »COMMENT GET MUSIC
今回も反則級のネタ使い&粋なエディット・ワーク披露してます!シカゴ・ハウス重鎮MR. K ALEXI SHELBYが仕掛けるフランス発の注目エディット・レーベル<AMOUR>第2弾。

8

THE UNITY SEXTET

THE UNITY SEXTET THE UNITY SEXTET LEGERE / UK / 2012/1/28 »COMMENT GET MUSIC
極上の漆黒スピリチュアル/コズミック・ジャズ・ファンク・アルバム!昨年末にCDリリースされていた本作がこの度アナログ・リリース!あの MADLIBの仮想ジャズ・バンド・プロジェクト=YESTERDAYS NEW QUINTETを彷彿とさせるとびきり黒い艶やかなジャズの世界を偏差値高めなヒップホップ感覚をも取り込み描き上げた濃厚スピリチュアル/ファンクネ ス・ナンバー全13曲収録。

9

J.M.F.G.

J.M.F.G. #1 J.M.F.G. / FRA / 2012/1/18 »COMMENT GET MUSIC
詳細不明"謎"のクリエイターJ.M.F.G.によるかなり怪しい体裁でのMOODYMANN音源リワーク集が緊急リリース!全4トラック共にオ リジナルのそれに勝るとも劣らない絶品にリメイクされた極々上盤。インフォには「Kenny Dixon Jr. Real work ! Limited」と記載あり。

10

SLUGABED

SLUGABED ROCKIN U UNKNOWN / UK / 2012/2/11 »COMMENT GET MUSIC
<PLANET MU>や<RAMP>、そして<NINJA TUNE>と名だたるレーベルより確かな作品を残してきたビート・シーンきっての注目株=SLUGABEDがブート仕様で以前よりSOUNDCLOUD上 にアップされていたプライベート・ワークスを限定アナログ・リリース!

Chart by STRADA RECORDS 2012.02.14 - ele-king

Shop Chart


1

ROCCO & C.ROBERT WALKER

ROCCO & C.ROBERT WALKER I LOVE THE NIGHT-LOUIE VEGA REMIXES FOLIAGE(FR) »COMMENT GET MUSIC
スマッシュ・ヒットしたディープで大人っぽいこの男性ヴォーカル・ハウスにナントLOUIE VEGAによるリミックスが登場!

2

FUDGE FINGAS

FUDGE FINGAS MASS X REMIXES FIRECRACKER(UK) »COMMENT GET MUSIC
Prime NumbersからもリリースしていたFudge FingasがFirecracker Recordingsからまたまた限定盤をドロップ!しかもVakulaとJuju & Jordashが片面ずつリミックスを手掛けた豪華な内容!メロディアスなヴァイブやスペイシーなシンセが絡み合う洗練されたディープ・ハウスのVakulaサイド、やはり遅めなBPMでダビーに展開してきたJuju & Jordashサイド共にさすがの出来!オーダー数がショートしての入荷なのでお見逃しなく!

3

A SAGITTARIUN

A SAGITTARIUN CARINA EP ELASTIC DREAMS(UK) »COMMENT GET MUSIC
第1弾の前作もクオリティーが高かったこのレーベルからの第2弾!ファンキーなブレイクビーツ・ハウス的なビートで始まり、デトロイト・テクノ風なディープなシンセが加わるA1が鳥肌モノのカッコ良さ!ディープ&スペイシーなテック・ハウスのA2もグッド!

4

5 KING'S

5 KING'S GIRL YOU NEED A CHANGE OF MIND AMOUR(FR) »COMMENT GET MUSIC
Marvin Gayeのハウス・リミックスが大ヒットした第1弾も記憶に新しいこのレーベルからの第2弾が入荷!Eddie Kendricksによる名クラシック「Girl You Need A Change Of Mind」を筆頭に、ナントKenny Dixon Jr. のレア曲「Lt 1」やJames Brownネタのエディットまで収録!

5

DISTANT PEOPLE

DISTANT PEOPLE UNCONDITIONAL LOVE(feat.NICKSON) SEASONS LIMITED(FR) »COMMENT GET MUSIC
Sole ChannelやLargeといったレーベルから数多くの作品をリリースしているUKのクリエイターJoey SilveroによるプロジェクトDistant Peopleが男性ヴォーカルものをリリース!グルーヴィーなオリジナル・ミックス、A2のディープめのリミックスあたりがオススメ!

6

TENDERNESS

TENDERNESS GOTTA KEEP ON TRYING-DJ HARVEY EDIT RCA (US) »COMMENT GET MUSIC
オリジナルはレアなこの曲が、オリジナル・ヴァージョンに加えナントIdjut BoysのレーベルNoid RecordingsからリリースされていたDJ Harveyによるリエディットも収録してのミラクル復刻!ソウルフルでパワフルな極上女性ヴォーカルものです!オリジナルの中古もですがHarveyのエディットの方も相当レアだっただけにこれはビックリです!

7

OOFT!

OOFT! MEMORIES FOTO(UK) »COMMENT GET MUSIC
Instruments Of Rapture等からもリリースしているUKはグラスゴーの2人組OOFT!が自身のレーベルから登場!まったりウォーミーなビートダウン・ハウスと、硬質でカッコいいテック・ハウスをカップリング!

8

MAM

MAM MODERN HEAT EP FINA(UK) »COMMENT GET MUSIC
20:20 Vision傘下の注目レーベルFina Recordsからの注目盤!Wolf + Lamb主宰のW+L Blackレーベルからの「Mam Edits」が当店でも売れたMamによる、80'sダンス・クラシックスをネタに使用したグルーヴィーで上質なブギー・トラックス!

9

CHUBBY DUBZ

CHUBBY DUBZ DIRECT EXPERIENCE LOUNGIN (UK) »COMMENT GET MUSIC
Moodymannネタの「DOIN' YA THANG」で大注目されたOliver $絡みのユニット!ディープ&スペイシーなB1、ウッド・ベースがジャジー且つ濃厚な雰囲気を演出しているB2が◎!

10

BUCIE

BUCIE GET OVER IT FOLIAGE(FR) »COMMENT GET MUSIC
Black Coffeeの大ヒット曲「Superman」でヴォーカルを務めていたBucieのソロ作が人気レーベルFolliageから登場!リミキサーにはEzelが参加しており、メロディアスで洗練されたトラックにあの可憐な歌声が乗った極上な仕上がりとなっています!

Lana Del Rey - ele-king

私を悲しませないで 私を泣かせたりしないで
ときに愛は不十分で 道のりは険しいの
それがなぜかはわからないけれど
私を笑わせ続けて ハイになろうよ
あなたも私も みな死ぬために生まれてきたんだから
"Born to Die"(筆者訳)

 本誌の紙媒体版『vol.4』における「マイ・プライヴェート・チャート2011」で、(アルバム、シングル等はごちゃ混ぜでよい、ということだったので)私はラナ・デル・レイを名乗るエリザベス・グラントの"Video Games"を、7位にリスト・アップした。1986生まれの25歳(筆者とタメ)にして、彼女のその悩ましい歌は、美しい季節はもうすべて過ぎ去ったのだ、甘い時間はもう記憶のなかにしかないのだと言わんばかりの、突っぱねた厭世観に満ちていた。表面的に言えば、西山茉希あたりの『CanCam』モデルが、「ベルベット・イースター」(荒井由実、1973)のカヴァーでレコード・デビューしたようなものだ。そのコントラストは、世界中のミュージック・ブロガーをはじめ、『NME』から『ピッチフォーク』までをも巻き込むバズを呼び込み(本稿執筆時点で、You Tubeにおける再生回数は26,135,450回)、当然、デビュー・フルレンスである本作『Born to Die』は、あらかじめビッグな成功が確約された作品であると同時に、悪意の群衆に撃たれるために舞台に上がった哀れな作品でもある。

 話題の作品なので、態度を明確にしておこう。『Born to Die』は、私が期待していたような作品ではない。第一に、私が彼女のハスキー・ヴォイスから当初一方的に連想し、また期待もしていた作品が、例えば『Let It Die』(Feist、2004)の、あるいは『Martha Wainwright』(マーサ・ウェインライト、2005)の最新ヴァリエーションであったためである。第二に、しかし、打ちのめされたシンガー・ソングライター・スタイルの代わりに彼女が選んだのが、 R&B寄りのエレクトロニック・プロダクションであり、重厚なストリングス・アレンジメントであり、結果的にはゴージャスな、グラミー・ビルボード・ポップであったせいである。もちろん、ここはおのずと感想がもっともわかれる点であり、『ピッチフォーク』などが書いているように、「本作はイマイル・ハイニー、つまり、エミネムやリル・ウェイン、キッド・カディの諸作にクレジットされている人間によってプロデュースされており、その豪華絢爛なアトモスフィアが、批判者と理解者のあいだを取り持つ要素となっている」との声もある。(もっとも、彼女の気持ちがわからないでもない。彼女が思春期を迎えた90年代後期は、ブリトニー・スピアーズがデビューするなど、ティーン・ポップが何度目かの最盛期を迎えていた時期なわけだし......)

 また、平均的なリスナーであればなんとなくそうしてしまうように、レディー・ガガが掲げた"Born This Way"と、本作のぶら下げる"Born to Die"とを比較する傾向が、国内外のブロガー(ツイッター・ユーザー)のあいだでも散見される。「抱えるもの」がある者のほうがむしろ自身を強い衝動で肯定しながら生き、上質な容姿を持って生まれて思い出に恵まれた者がなぜ沈鬱として生きるのか、わけがわからない、といったところだろうか。たしかに、成功者にも憂鬱はあるのだろう。しかし、どれだけ富とスポットライトを得ても、人生はどこかの地点でなお満たされない、というのは、ポスト・モダニティ・ライフにおける不可避の、典型の、言いようによってはごく平凡な虚無を、彼女は消化しきれていないだけ、という言い方もできるのではないだろうか。彼女の歌のなかで、男は常に彼女を強く抱き、口づけし、そして不可避に去っていく存在としてのみ、ある。たくさんの男と出会い、ときに関係を持って、ひたすら別れ続けてきた、遊び盛りのブロンドの美女が綴るのは、良くも悪くも、平均的な女子大生がアメブロに開設した失恋ブログのよう。

 しかし、『Born to Die』は飛ぶように売れている。アメリカン・ユーチューブ・ドリームのもっともポピュラーな前例として、本作はこのディケイドにおいて長く語り継がれるのだろう。ただ、はっきり言って、『ローリング・ストーン』誌の大御所、ロブ・シェフィールドが言うように、アルバムを"Video Games"の期待に応えさせるという意味では、まだまだ準備不足だったと思う。そう、下世話な言い方をすれば、まだまだ男文化である音楽ジャーナルが、ひとりの計算高い美女にまんまと利用された感が否めない。いまごろ、一方的に失恋気分を味わっている評論家も多いのではないだろうか。とはいえ、『FACT』誌が、そうしたポップ・ミュージックの偶像文化の楽しみを擁護するように、こう書いている。「ラナと、彼女のバック・スタッフでさえ、彼女が"本物"かどうか、完全にはわかっていないのだ」。そう、歴史的に言っても、これは遅かれ早かれ、いつかは醒める、だがまだはじまったばかりの夢だ。ならば、しばらくはまだ、彼女の思わせぶりに振り回されることとしよう。歴史的に言って、決して報われることのない夢ではあるが......。

SND, NHK JAPAN TOUR 2012 - ele-king

 エレクトロニック・ミュージックのさまざまな局面で、IDM/アブストラクトの波がふたたび訪れている今日、1990年代末に高校生で〈ミル・プラトー〉からデビューしたコーヘイ・マツナガ......自らをNHKyxと名乗るこの青年こそ、UKの〈スカム〉、ベルリンの〈ラスターノートン〉などから素っ頓狂な作品を発表し、つい先日は英『ワイアー』誌にも記事が掲載され(その翻訳は次号の紙エレキングに掲載されます)、そして〈ラフトレード〉の新しいコンピに参加したり、センセーショナル(元ジャンブラ、ラッパー界におけるリー・ペリー)との共演を出したり、故コンラッド・シュニッツラーと共作したり......と、つい先頃はSNDとの共作を〈PAN〉から発表したりとか、大阪とベルリンを往復しながら作家活動をしている、いまもっとも勢いのあるエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーです!
 コーヘイ・マツナガが3月初旬、シェフィールドのミニマル/IDMの大御所、SND(名作『Stdio』などで知られる)といっしょに日本ツアーをやります! コーヘイは......いまもっともユニークなIDMの作家であり、自由奔放な活動を展開する、ミステリアスな青年です。
 ツアーは3月2日の名古屋から出発。大阪ではアルツのレーベルから素晴らしいアルバムを出したaSymMedley、東京公演には〈ラスターノートン〉のレーベル・メイトでもあるAOKI Takamasaも出演する。

SND, NHK JAPAN TOUR 2012

■名古屋
3月2日 @ Club Mago
Open-22:00/End-05:00
ADV-2500 / Door3000
Live:SND、Mark Fell、 NHK、Araki
Dj:Tomoho (IWY)、Vokoi (ARch)
VJ:Vokoi
https://arch-project.com
https://i-want-you.jp

■福岡
3月3日 @ Blackout
Open-21:00 (50人限定)
Live:SND、Mark Fell、NHK、Kouhei Matsunaga、sho nakao
https://popmuzik.jp

■広島
3月5日 @ Club Quattro
Open-18:00/Start-19:00
ADV-2500 / Door3000
Live:SND、NHK、Stabilo (speaker gain teardrop)、Skip club orchestra、Hideride (pausemo)
DJ:AVOAVOA (aka kenji yamanaka)

■京都
3月7日 @ Club Metro
Open-19:00/ End-25:00
ADV/Door-TBA
Live:SND、NHK、SPsysEx
Dj:Tsukasa、Tatsuya
https://www.metro.ne.jp

■大阪
3月9日 @ Nuooh
Open-19:00 End-25:00
DOOR/3000
Live:Mark Fell、Kouhei Matsunaga
SOUND ACT:aSymMedley (ALTZMUSICA/Childisc/REPHLEX)、 NUEARZ (Skam Records)、Yuki Aoe (-:concep:-)、hypotic inc
VISUAL ACT: Ken Furudate (ekran/The SINE WAVE ORCHESTRA)、Kezzardrix (Bias Records)、Kazuhisa Kishimoto、イケグチ タカヨシ (haconiwa)
https://officials.tank.jp/concep

■東京
3月10日 @ WWW
Open-23:00
ADV-3000/Door-4000
Live:SND、NHK、Aoki takamasa + More more
https://bridge.tokyomax.jp/

3月11日 @ Soup
OPEN/START ???
Door-2500
(Reservation Required. Send your details to: ochiaisoup@gmail.com)
Live:Mark Fell、Kouhei Matsunaga、Miclodiet、Jemapur、Vegpher (Keiichi Sugimoto)
DJ:Nobuki nishiyama
www.sludge-tapes.com

■SND

SND

SNDはUK シェフィールド出身のMARK FELLと MAT STEELによるデュオ。 1998年に結成。"click&cuts現象"とまで呼ばれたシーンの中心となるアーティスト。 Mille Plateauxからアルバムを3枚, raster-notonからの2009年4thアルバムをリリース。 プログラマーでもある彼らの音楽は、ミクロに練り込まれたグリッチ音をミニマルかつ緻密に構成しながらも、常に躍動感を保持し続ける独自のミニマル・エクスペリメンタル・サウンドを展開している。
無機質でいて脈打つ自然のような、計算されている一方でバグと戯れるような、不思議なグルーヴ感とリズム、そして絶妙の間。今回、2008年以来4年ぶりの日本でのLIVEとなる。
www.makesnd.com

■Mark Fell
近年 "Edition Mego""raster-noton"から立て続けにアルバムをリリースし注目を集めているMark Fell。2008年にはバルセロナで開催されている世界最大級の音楽フェス"Sonar"へも出演。実験性と複雑さとシンプルが共存し、ユーモラスかつエンターテイメント性を持たせた絶妙なバランス感覚の上に成り立ったその音楽は、美しくマイクロスコピックなミニマルサウンドで空間性、歪なリズム、時間感覚を表現している。
また、アーティストエンジニアとして巨匠と呼ばれる人達の作品を影で支えている人物でもある。意外にもソロでの演奏は日本初披露となる。
www.markfell.com

■NHK
2006年, マツナガ・コウヘイとムネヒロ・トシオにより大阪で結成。 
2008年、ドイツraster-notonからデビュー作"Unununium"を発表の後、国際的に作品発表を続け、ヨーロッパを中心に活動している電子音楽ユニット。即興性の高いリズムアプローチにより型に嵌らない歪なダブ・テクノビートを展開している。
www.nhkweb.info

■Kouhei Matsunaga

Kouhei Matsunaga

フランクフルトの音響派レーベル Mille Plateauxから1998年に1st を発表後、ヨーロッパ・アメリカを中心とした前衛的なシーンにおいてジャンルの枠を超えた音楽活動を続ける中、Conrad Schnitzler, Merzbow, Sensational, AutechreのSean Booth, Mika Vainio, Anti Pop Consortium等をはじめとするアーティスト達とのコラボレーションを行なう傍ら近年はNHK名義でダブ・テクノ・ブレイクビーツを展開している。
www.koyxen.blogspot.com

Kurt Vile - ele-king

別に「クソゲー」なんてクリアしなくてもいい。
クリアをあきらめて、友だちとそれなりの楽しみを見つければ、
この社会はそれほど悪くはない。
古市憲寿『希望難民ご一行様』(2010)

 まずは、なんと言ってもその声だ。ルー・リード、ボブ・ディラン、あるいは、彼らに憧れたサーストン・ムーア以降のインディ・ロッカーたち......。ロックンロールの史学からすれば、まず間違いなくヴェルヴェッツ・スタイルを踏襲したトランス・ロッカーのそれだと推定されるであろう、けだるく、ナルシスティックな声を、カート・ヴァイル(31歳、ペンシルベニア州)は持っている。生まれた時代が違えば、アート・パンクの最前線で同時代の暗黒を歌っていたかもしれない。例えば、ノイジーなギター・ウォールに、時折、甘いメロディを載せて......。しかし、というか、実際のところ『Smoke Ring For My Halo』は、アコースティック・ギターの流暢なピッキングによって鮮やかに彩られた、丁寧なフォーキィ・ロック(欧米の批評では、"ストーナー・フォーク"ないしは単に"ヒッピー・フォーク")である。

 とはいえ、ヴァイル自身がかつて創設メンバーでもあった、The War On Drugsの『スレイヴ・アンビエント』と同期するように、ここにもスペイシーな、エレクトロニック・ミュージックを通過した感性がある。古典的なフォークやブルースを背景に持ちつつも、プロダクションには浮遊感、さらには清涼感までもが漂う。しかし、同時代のフォーク同業者に比していえば、例えばボン・イヴェールのスピリチュアリズム、あるいは、フリート・フォクシーズのナチュラリズムからすれば、ヴァイルにはどこか堕落したような人間臭い雰囲気があり、実際、「変わりたくはないけれど ずっと同じままではいたくない/どこにも行きたくないけれど 僕は走っている/働きたくはないけれど 渋い顔で1日中座っているのも嫌だな」と、素朴な二律背反を、"Peeping Tomboy"で歌っている。

 また、『SPIN』誌は、"偉大なる「No」の1年"と銘打った「The Best Of 2011」号にこう書いている。「カート・ヴァイル(とインディ・シンガー・ソングライターのひなたち)にとって、2011年は急浮上の1年となった。それも、混乱の季節にスポットを当てるのではなく、そこから距離を置くことによって、だ」。いわば、抑圧からも抵抗からも離れ、単なるフェードアウターとして生きること。低高度に降りて、俯瞰や巨視を徹底的にシャットアウトすること。夢から醒めることが、ある意味ではもっとも簡単な時代に、それでも音楽という時代遅れの夢をだらしなく見続けること。そう、現代ほど、反抗する理由に溢れ、かつ、反抗する虚しさに満ちた時代もない。例えば、『The Year Of Hibernation』(Youth Lagoon)が克服できずにいるような幼い虚無を、ヴァイルは自覚的に消化したうえで、自身の凡庸さや、世の不条理や、日々の平穏を憎まない。

 さらにまた、前掲同誌に、ヴァイルはこんなことも語っている。「この世界に、どうにもならないくそったれなことや、あらゆる種類の、ギリギリの不安があるのは、知っているよ。人々は闘っているけど、クレイジーで恐ろしいことだよね。僕は家族とか、友だちとか、身の回りの小さな世界のことを考えているだけさ」――それは、ヴァイルが選んだある種の生存戦略なのだろう(『Rolling Stone』誌曰く、「彼流の楽観主義」)。したがって、ヴァイルがノイジーなアート・パンクを必要としないのは、当然だともいえる。選ばれた天性のサイケ声を持つ、長髪の青年が小さな世界で紡ぐ歌は、ベッドルーム・ライオットでさえ、ない。賛否あるだろうが、それはなんとなく不安の尽きない時代に、それほど悪くはなさそうに鳴っている。これもひとつの達観なのだろうか。

「僕たちがいつ老いるかを 僕は知っている/僕は死に向かっている/だけど必要なものはすべて手に入れた/今はそれで満足なんだ」 "In My Time"

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316