「You me」と一致するもの

vol.1:2009年のニューヨーク - ele-king

 ニューヨークはブルックリンの〈スーパーコア・カフェ〉〈ハートファスト〉よりお届けです。最初なので、少し自己紹介をします。

 〈スーパーコア〉は、ブルックリンのウィリアムスバーグにあるカフェ、レストラン。〈ハートファスト〉は、〈スーパーコア〉が運営するレコード・レーベルで、イヴェントを企画したり、ピクチャー7"w/DVDシリーズ(ライアーズ、アップルズ・イン・ステレオ、オブ・モントリオール、フェイク・メール・ヴォイス(TV・オン・ザ・レィディオのTundeのソロ)等をリリースしています。

 〈スーパーコア〉には、ナダ・サーフ、フリー・ブラッド、TV・オン・ザ・レィディオ、レ・サヴィ・ファヴ、イエーセイヤー等々、近所に住んでいるバンド連中が集まってはお喋りしたり、仕事をしたりする、いわば憩いの場所になっています。面白いことに、みんな仕事は家でもできるのに、わざわざカフェにやって来てはラップトップを開き、たまに通りかかる友だちに挨拶したり、コーヒーを飲んでいます。


USA is a monster last show @ market hotel

 カフェのまわりには、彼らもよく演奏しているライヴ・スペースがたくさんあります。大きい会場から〈ミュージック・ホール・オブ・ウィリアムスバーグ〉、〈ブルックリン・ボウル〉、〈パブリック・アセンブリー〉、インディ系では、〈グラスランズ〉、〈ディス・バイ・オーディオ〉、〈ブルアー・フォールズ〉等々。ウィリアムスバーグと言うエリアには、カフェ、レストラン、本屋、洋服屋などもたくさんあります。

 まわりのバンドの人たちはフレンドリーで社交的な人が多く(無口かと思えば、しゃべってみると止まらなかったり)、自分たちの家でショーをオーガナイズしたり、空き地を陣取ってパーティを開催したりもします。バンドをやりながら、自分でバーやレストランを経営したり、グラフィック系の会社、アート・ギャラリー、コミック・ショップなどを経営していたりしている人たちです。音楽を軸としながら、いろんな分野で活躍する多才な人が多く、DIY精神が大きいのが特徴と言えるでしょう。

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Williamsburg water front park

Williamsburg fashion week @ glasslands

 また、例えばフリーのショーでもやりっ放しではなく、バンドの人たちにはドネーションとしてお金が入るようになっているし(多くの場合は)、同じようにニューヨークでは地下鉄ミュージシャンがたくさんいるのだけれど、良いと思ったらみんなきちんとドネーションをします。エンターテイメントには"お金"と言う物差しによる評価がある、この辺がとてもニューヨーク的というか、チップ社会のアメリカを良く表しているように思います。ショーに行っても自分が好きでなかったら途中で帰ったり、直接「何がだめだったか」など具体的なコメントをもらうし、反対に良かったら、すぐに「何々が良かった!」などの反応もある。そんな感じで、何回でもショーに足を運びます。いろんな意味でシビアだけれど、良いことをしていたらきちんと評価される、それゆえどんな時代でも何かが起こっている町なのでしょう。

 2009年もまた、ニューヨークのバンドが大活躍した年でした。思いつくだけでも、たくさんの名が挙がります。ダーティ・プロジェクターズ、アニマル・コレクティブ、グリズリー・ベアー、MGMTなどの活躍は目覚ましかったし、個人的にはサンティ・ゴールド、ホワン・マクリーン、ソニック・ユース、TV・オン・ザ・レィディオが印象に残っています。ニューヨーク以外のバンドでは、オブ・モントリオール、ライアーズ、リッキー・リーを良く聴いた。

 新しい所では、ALのアトラス・サウンド、LAのガールズ、ウエーブス、ダムダム・ガールズ、ヘルス、ギャングリアンズ、ニューヨークのトーク・ノーマル、ティース・マウンテン、リーズ・ア・パワーズ、リアル・エステイト、ベア・イン・ヘヴン、ドラゴンズ・オブ・ジンズ、ハード・ニップス......等々、キリがありません。


Fake Male Voice @ glasslands

 とにかく現在のシーンは、マイスペース、フェイスブック、ツイッターからiphoneなどのテクノロジーの登場も含め、確実に新しい局面を迎えて、新しい盛り上がりをみせていると言えます。なにしろ......いままでレコード屋に行って購入しないと聴けなかった音楽がいまではMP3で簡単に聴ける。試聴するのもクリックひとつ、それが好きだったら1曲単位で購入できる(1曲でそのバンドを評価するのもどうかと思うが)。家から一歩もでなくて良い。いままでレコード屋に行ってフライヤーをチェックしたり張り紙を見たりしてライヴ情報を得ていたのが、emailはもちろん、テキストメッセージやフェイスブックなど、どんな所からでも流れるように情報が手に入るようになりました。情報がありすぎて、どれを取るか、どれを捨てるか迷っているうちに、結局どれにも行けなかったりとか、自己管理が大切になってきます。だから逆に言えば、意思がなく、情報に流され、友だちに流され、本当に見たいモノや聴きたいモノをいとも簡単に逃してしまうこともあります。好む好まざるに関わらず、これがいま私が生きている世界です。そしてだからこそ、みんながカフェに何となく集まってくる、そんな状況に繋がっているのかもしれません。

 こちらでたったいま生まれた音楽が、遠く離れた日本でもすぐに聴くことができて、ライヴ映像も見ることができるのはすごいことです。ただし、やはりどうしても、実際その場所に行って生で体験することは特別な感動があります。それがひょっとしたら、ニューヨークと日本の音楽シーンの活気の温度差にも表れているのかもしれません。それでもできるだけ、その温度差を埋めていけるように、ここニューヨークからダイレクトに情報をお伝えしていきたいと思います。

Top 10 Albums of 2009 by Yuko Sawai
1. Sonic Youth/ The Eternal (Matador)
2. Dirty projectors/ Bitte Orca (Domino)
3. N.A.S.A./ The Sprit of Apollo (Anti-)
4. Juan Maclean/ The Future Will Come (DFA)
5. Lightning Bolt/Earthly Delights (Load)
6. Pylon/ Chomp More (DFA)
7. Health/ Get Color (Lovepump United)
8. Simian Mobile Disco/ Temporary Pleasure (Wichita)
9. Talk Normal/ Sugarland (Rare book room)
10. Fuck Buttons/ Tarot Sport (ATP)

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1

MOODYMANC

MOODYMANC Omlette DESSOUS / GER / 2009/12/8 »COMMENT GET MUSIC
2009年はこの"DESSOUS"や"TSUBA"から、上質のDJ用HOUSE TRACKをリリースしたMOODYMANC。師走になって届けられたこちらは、初期の土臭いGROOVEからは距離を取ったDEEP TECH HOUSE。"FREERANGE"、"DRUMPOET COMMUNITY"といった次世代HOUSEレーベルで活動するDPLAYによる、ソリッドさを加味したREMIXも収録。

2

SEBO K

SEBO K Spirits MOBILEE / GER / 2009/12/8 »COMMENT GET MUSIC
MIX CD「WATERGATE」でDJとしての実力もアピールしたベルリンの実力者、SEBO K。依然高い質と豊富なリリース量に支えられている老舗レーベル「MOBILEE」から。A面は、ヌケのいいTECH HOUSEにアフロ・パーカッションが転がる、密林生い茂るMIX。B面は最近あまりなかったピアノとストリングス使いのエレガントでアップテンポなMIX。おしゃれピアノ好きは必聴!!!

3

GUISEPPE CENNAMO

GUISEPPE CENNAMO El Gitano Part.2 MONIQUE SPECIALE / CAN / 2009/12/8 »COMMENT GET MUSIC
2000 AND ONE REMIX!!! カナダ発配信系のレーベル"MONIQUE MUSIQUE"が、気合を入れてプレスしてきた一枚。モチのロンで、2000 AND ONE REMIXがイチオシ!!! ドンシャリとしたHARDなHOUSEビートと、ミニマルなフレーズで押し込みまくるピークタイム仕様のREMIX。DJ WILDのREMIXも、独特のBEATと縦笛ネタのMIXで盛り上がりスタイル。

4

WHITEMAN

WHITEMAN Stop Crying Bruno U.D. / ITA / 2009/12/8 »COMMENT GET MUSIC
意外に侮れない、南ヨーロッパのダンス・ミュージック・ポイント、イタリアから届いたミステリアス10inch。詳細不明で片面プレスのアンダーグラウンド・スタイルですが、内容も良好です。初期CHICAGOライクなトラックと黒いベースラインの上で、ファンキーでアッパーな男性VOCALが歌うパーカッション・ディスコ!!! 80'S頭のNY系アングラディスコのような香り。CHECK IT!!!

5

V.A.(MARTIN BUTTRICH,TINI,GUTI...)

V.A.(MARTIN BUTTRICH,TINI,GUTI...) Desolat X-Sampler DESOLAT / GER / 2009/12/8 »COMMENT GET MUSIC
LOCO DICE主催「DESOLAT」が送る極上コンピ!!! LOCO DICEや、MARTIN BUTTRICH、先日WパックをドロップしたGUTI、ルーマニアの若手LIVIO & ROBYなどが参加。全曲使えるのは勿論、PLANET EからもリリースするMARTIN BUTTRICHによる独特な音色使いが光るトラックと、LOCO DICEのトラックが頭抜けてます。

6

JEFF MILLS

JEFF MILLS Defender AXIS / US / 2009/12/2 »COMMENT GET MUSIC
WIRE09で眼にすることができた、宇宙からの衛星生中継パフォーマンス。約3年ぶりに確認された"宇宙人"の姿は紛れもないJEFF MILLSそのものでした。この"THE DEFENDER"には、その来日時にプレイされた楽曲も収録。フロア全体が見渡せるほどの明るさのなかで鳴り響いた"宇宙からの交信音"は、現在のシーンでも異端にして異質、完璧なオリジナリティです。

7

RISING SUN

RISING SUN Sun Dance REAL SOON / UK / 2009/12/1 »COMMENT GET MUSIC
REMIXED BY SVEN WEISEMANN!!!! ご存知"HARDWAX"が送るWORKSHOPの5番に参加したRISING SUNのデビュー12inch。質の高いBEATDOWNスタイルのハウスを披露していますが、絶好調SVEN WEISEMANNによるREMIXが良すぎ!!! 自身によるピアノとパーカッションをささやかに取り込んだ、「モダーン・ディープ・ダブ」MIX。

8

REVENGE

REVENGE Leave Your Mind MULE MUSIQ / JPN / 2009/12/1 »COMMENT GET MUSIC
MARK EとREVENGE。この二人だけは、押さえておかないといけません。CRAIG SMITHとのユニット"6TH BROUGH PROJECT"でも、独自のディスコ再解釈で絶好調ですが、ソロ名義でもハズレがありません。「MULE MUSIQ」からの本作は、まるでPRYDAのようなメロディー展開をNU DISCOでやってしまったようなDISCO BOOGIE!!!

9

BRENDON MOELLER

BRENDON MOELLER Juice MULE ELECTRONIC / JPN / 2009/11/25 »COMMENT GET MUSIC
特上メランコリック・ダブ・トラック!!! BEAT PHARMACYこと、BRENDON MOELLERがMULE ELECTRONICからリリースした一枚。リリース量は減らずに、クオリティは一定をキープしている彼の中でも、特に素晴らしいのがA-1"JUICE"。メロウなコード展開と彼らしいDUBの妙味を利かせたエレクトリック・サウンド。ビートメイキング術もハイパー・クオリティー!!!

10

STL

STL Silent State SMALLVILLE / GER / 2009/5/15 »COMMENT GET MUSIC
2009年アンダーグラウンド・ヒット!!! 「SOMETHING」レーベルで、独自路線を歩むSTLがMOVE Dの「SMALLVILLE」からリリースした12inch。A-1"SILENT STATE"です。シンプルな四つ打ちと浮遊感のあるシンセは各所で使われまくりました。STEVE BUG「LAB 02」やCASSY「IN THE MIX」にも収録。間違いないです。

CHART by TECHNIQUE 2009.12 - ele-king

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1

ALTZ

ALTZ GET IT DOWN EP Altzmusica/JAPAN / »COMMENT GET MUSIC
Bear Funk、DFA等世界各国のレーベルからのリリースや、「Roland P Young / Isophonic Boogie Woogie」のリコンストラクト・アルバムの制作、「Cro-Magnon / 逆襲のテーマ」のリミックス等、見逃せない活動を続ける、日本が世界に誇るアンダーグラウンド・ヒーローAltzが自身のレーベルAltzmusicaをスタート。記念すべき第1弾は、Altz自身による新曲3トラックを収録!!

2

HOUSE OF HOUSE

HOUSE OF HOUSE RUSHING TO PARADISE (WALKIN' THESE STREETS) House Of House/US / »COMMENT GET MUSIC
DJ Harveyリミーックス!Still Goingの片割れOlivier SpencerとSaheer UmarによるユニットHouse Of Houseが、Quiet Villageのリリースでも知られるカルト・レーベルWhatever We Want Recordsに残した名曲「Rushing To Paradise (Walkin' These Streets)」が、ニュー・リミックスを加えて再登場。

3

THE COUNT & SINDEN

THE COUNT & SINDEN STRANGE THINGS Domino/UK / »COMMENT GET MUSIC
「Beeper」の爆発的ヒットでもお馴染みの、Herveの変名プロジェクトThe Countと、Sindenの最強コンビによる待望の新作がホーム・レーベルのDominoより遂に到着。今回は、な、な、なんとJohn Holtによるレゲエの名曲「Strange Things」がネタとして使用された激ヤバな1枚です。

4

MANOLO

MANOLO LOSE MYSELF Delusions Of Grandeur/UK / »COMMENT GET MUSIC
UKの新鋭ハウス・レーベルDelusions Of Grandeurからの待望の第6弾シングルが到着!!今回はFuture Beat Investigatorsのメンバーとしても知られるヘルシンキのプロデューサーRoberto RodriguezによるプロジェクトManoloによる1枚。LucanoのCadenzaなどでも活躍の三人組Wareikaによるリミックスを収録。

5

CARLO LIO

CARLO LIO BREAKFAST IN BAG Quartz Music/France / 2009/12/7 »COMMENT GET MUSIC
躍進する鬼才Paul RitchがスタートしたレーベルQuartz Musicの最新作は、Rawthenticや4Kenzo、PBR Recordingsなどで活躍のカナダの新鋭Carlo Lioによるニュー・シングルがリリース。100% PureやIntacto Recordsなどで大人気のAnton Pieeteによるリミックス収録。

6

LOSOUL

LOSOUL CARE REMIXE PT. 1 Playhouse/Germany / 2009/12/7 »COMMENT GET MUSIC
ここ最近積極的な活動を再開しているジャーマン・テックハウス・シーンの草分けLOSOULが、古巣のPlayhouseレーベルからりりーすしたヒットアルバム「CARE」のリミックス・シングル。リミキサーにはデトロイト・テクノ・シーンのMike Huckabyと、あのMusic For FreaksのLuke Solomonをフィーチャー。

7

MOEBIUS-PLANK-NEUMEIER

MOEBIUS-PLANK-NEUMEIER ZERO SET Sky/Germany / »COMMENT GET MUSIC
大名盤!あのジャーマン・テクノ、クラウト・ロック、最近はディスコ・ダブ方面にまで再評価高まる歴史的大傑作MOEBIUS-PLANK-NEUMEIERによる「ZERO SET」が再入荷。Ricardo VillalobosからKen Ishiiまでもが愛すドイツのエレクトロニック・ミュージックの最高傑作の一枚。

8

JEFF MILLS

JEFF MILLS THE DEFENDER Axis/US / 2009/12/2 »COMMENT GET MUSIC
限定プレスもの!おなじみJEFF MILLSが、超限定シリーズ「The Drummer」が話題を呼ぶ中、自身のレーベルAXISから新作のリリース。『ロボットと人類』、失われがちな 『伝統や長年培われてきた価値感』と言った、発展するテクノロジーと、共存する人間の進化の在り方を問う、「The Good Robot」シリーズの続編となる、そのタイトルは「 The Defender 」。

9

BARBARA & JOHN THOMAS

BARBARA & JOHN THOMAS THE UNLIMITED EXPERIENCE REMIXED Ethique/France / 2009/12/13 »COMMENT GET MUSIC
あのTechnasiaのレーベルEthique Recordingsから、中心アーティストのJohn ThomasとBarbara Goesによるニュー・コラボレーション・シングルが登場。今年リリースされたヒット・アルバム「THE UNLIMITED EXPERIENCE」からのリミックス・シングル・カット。奇才Jens Zimmermann、Tom Ellis、Arkリミックス収録。

10

MODESTE

MODESTE A MOUNTAIN OF CONVENIENCE Sthlmaudio/Switzerland / 2009/12/4 »COMMENT GET MUSIC
スイスのAgnesによる先鋭ディープ・ハウス・レーベルとしてDJに高い人気を誇るSthlmaudio Recordingsから、レーベルのボスAgnesの変名Modesteによる全編アンビエントで構成されたデビュー・アルバムがリリース!!!

CHART by TRASMUNDO 2009.12 - ele-king

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1

SFP CUT YOUR THROAT »COMMENT
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2

MEDULLA SOUNDPOLICE VS TECNOPOLIS.ep »COMMENT
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3

STICKY WHERE'S MY MONEY »COMMENT
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4

S.L.A.C.K. WHALABOUT »COMMENT
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5

KILLA TURNER/B.D.&ROBERTA CRACK/NIPPS BLACK RAIN »COMMENT
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6

michioshka ORIGINOO MOTION PICTURE BWOY 2 »COMMENT
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7

TONO SAPIENS TONO FROM CIAZOO »COMMENT
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8

STARRBURST/DJ BOKADOS STARRBOKADOST DAY AND DAY MIX »COMMENT
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9

H.FUTAMI ROCK STEADY »COMMENT
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10

HI-LIBERATE FANZINE 2009 »COMMENT
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CHART by JAPONICA 2009.12 - ele-king

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1

KINGDOM☆AFROCKS

KINGDOM☆AFROCKS イチカバチカーノ JAPONICA / JPN / 2009.12.15 »COMMENT GET MUSIC
ライブハウス/クラブ?野外フェスまで数多くのイベントに出演、その熱いライブパフォーマンスが全国のダンスミュージック・フリークスの間で注目を集め、あのアフロ界の重鎮トニー・アレンも太鼓判を押す日本最強アフロバンド、キングダム☆アフロックス待望のファースト・シングル!京都発BASED ON KYOTOのプロデューサーDAICHIによるリミックスも収録!

2

aMadoo

aMadoo Abstract Ital Rhythm - / JPN / 2009.12.2 »COMMENT GET MUSIC
関西を中心に活動する京阪神混血オーガニック・インストゥルメンタル・ユニットaMadooによる新たなライブ音源が到着。以前リリースされ話題を集めたライブ盤"Tayu-Tau"と同じく、aMadooにとってホームとも言える京都の奥座敷的アートスペース"Battering Ram"でのライブをCD化!今年6月、自身らで主催したパーティー『Abstract Ital Rhythm (A.I.R)』での演奏を収録。

3

KND

KND LIVE OUTPUT JAPONICA / JPN / 2009.12.2 »COMMENT GET MUSIC
DJ KENSEI、井上薫、GoRoとのユニットFinal Drop、結成16年目に突入した京都のカリスマ・バンドSOFT、そして京阪神混血オーガニック・インストゥルメンタル・ユニットaMadooのメンバーとして活躍する関西アンダーグランド・シーンの大本命、KND(SOFT/aMadoo)による初のソロ・ライブ音源!

4

YOLANDA

YOLANDA AFRO RAT/AFRO SALAD SEX TAGS AMFIBIA / GER / 2009.11.29 »COMMENT GET MUSIC
北欧のド変態レーベルSex Tags Amfibiaより、ノルウェー発オブスキュア・ファンクバンドYOLANDAによる激ヤバ・サイケ・アフロ・トラックが到着!パーカッションの軽やかな鳴りとサイケデリックなギターの音色を軸に展開させた脱力アフロ・サイケ"Afro Rat"、ダビーなギターの音色とコズミック・スペイシーなSEを響かせた"Afro Sakad"と、ともに70年代のプログレッシブ・サウンドを彷彿とさせるような仕上がり!

5

V.A.

V.A. ORIGINALS VOL.4 CLAREMONT 56 / UK / 2009.11.17 »COMMENT GET MUSIC
PAUL MURPHYことMUDDが主宰するバレアリック・ディスコ人気レーベルCLAREMONT56より、同レーベルの大人気コンピレーション・シリーズ第4弾が到着!ロンドンのクラブ・シーンで長きに渡りDJとして活躍するMatthew Burgess & JolyonGreenによる本作は、バレアリック、オブスキュア・ロック、ディスコ、ハウス・クラシック等々時代を越えた名作の数々が幅広くコンパイルされた傑作コンピ!

6

SAVAS PASCALIDIS

SAVAS PASCALIDIS THE FINAL PHASE SWEATSHOP / GER / 2009.12.6 »COMMENT GET MUSIC
LEN FAKI主宰のFIGUREや、GIGOLO、LASERGUNといった人気レーベルよりリリースするべテラン、SAVAS PASCALIDISのスマッシュ・ヒット作を最凶アシッド・ハウサーABE DUQUEがリミックスした注目作!鳴り響くサイレンシンセにアシッディなエレクトロ・シンセ、パンピン・トラック、ダークネスなポエトリーを絡めたインパクト絶大の高濃度アシッド・ハウスを展開!

7

COTTAM

COTTAM COTTAM 3 COTTAM / UK / 2009.11.17 »COMMENT GET MUSIC
相変わらずのボトムへヴィなビートにヴォイス・サンプルとウワネタのエフェクト処理具合が高揚感抜群のビートダウン・トラックのA面、軽快なギターリフとアフロ・テイストな尖ったビートにヴォーカル・サンプルをダブ処理で巧みにトばしながらビルドアップしていくB面、共に HIPHOP?CROSSOVER?HOUSEファンまでをも射止める絶品2トラック収録!今作もやっぱりハズシなしで最高!内容抜群&極少量限定プレス!

8

SE62

SE62 WALL RIDE HOMETAPING IS KILLING MUSIC / UK / 2009.12.3 »COMMENT GET MUSIC
ファットなビートが淡いウワネタ・サンプルに包まれながらビルドアップしていくレアグルーヴ感溢れるブギー・ディスコ・トラック"WALL  RIDE(EDDIE CREMIX)"は後半にかけてのAQUARIAN DREAM/YOU'RE A STAR"ネタの温かいジャジーなリフで高揚感をグっと際立てる好ナンバー!B面"THE TAPE"はKDJ、THEOPARRISHにも通じる透明感のあるローズ・コードと共にグルーヴィなビートの打ち込みが進行する絶品ビートダウン・グルーヴ!

9

SAN SODA / RAOUL LAMBERT

SAN SODA / RAOUL LAMBERT BLUE EP WE PLAY HOUSE / BEL / 2009.12.8 »COMMENT GET MUSIC
ヒップホップをルーツに持ちKDJ、THEO PARRISHに多大な影響を受けたというSANSODAによる"KAIZEN"はREVEVGE、MARK Eらにも引けを取らない絶妙なウワネタ・ループとボトムへヴィなビートで迫る絶品ビートダウン!そしてRAOUL LAMBERTによる" 3 SECONDS"は高揚感抜群のビート構築に激スモーキーなループ・サンプルがハマり過ぎた、こちらもハンパ無く格好良いビートダウン・トラック!

10

TRUS'ME feat. DAM-FUNK

TRUS'ME feat. DAM-FUNK BAIL ME OUT FAT CITY / UK / 2009.12.3 »COMMENT GET MUSIC
TRUS'MEの2ndアルバムからの先行7inchは今最も旬と言えるこの組み合わせで贈る爽快ブギー・ディスコ!分厚いベースとドラムが交錯するデトロイティッシュ・グルーヴにDAM-FUNK自身のヴォコーダープレイも冴え渡るUKとLAの鬼才同士による化学反応によって生み出されたハイブリッド・ブギー・ナンバー!気合の片面プレス、超限定仕様レッド・カラーヴァイナル!

Lighthouse Records - ele-king

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1

House Of House

House Of House Rushing To Paradise (inc. DJ Harvey Remix) House Of House /UK? / 12月中旬予定 »COMMENT GET MUSIC
[Whatever We Want]から今年超限定でリリースされ、探している人も多かった最高にドラマティックでエモーショナルに沁みる傑作がなんと新たにDJ Harveyリミックスを加えて再発されることに。さすがにこの曲はこの先も名曲として残っていくのではないでしょうか?こういう曲はちゃんと市場に出回るべきですよね。

2

Yolanda

Yolanda Afro Rat / Afro Salad Sex Tags Amfibia / Norway / 2009/12/1 »COMMENT GET MUSIC
ストレンジなディスコやテクノを出しカルトな人気を集めているノルウェーの[Sex Tags Mania]に秘かに存在していたサブレーベルから、黒くてドープでサイケな変態アフロ・ナンバーが登場。こういうトビの入ったアフロ物いつでも大歓迎ですが、ここまでのはなかなか無いような気がします。

3

COS/MES

COS/MES Gozmez Land - Chaosexotica SWC / Slowhand Relation / JP / 2009/11/10 »COMMENT GET MUSIC
昨今世界中のコアなリスナーから注目を集める東京地下シーンの気鋭ユニットがついにやってくれました!ゆるめコズミック/バレアリック系?ディープハウス/アシッド/ミニマル系の四つ打ちまで、副題通りエキゾチックでいてカオスや変態性も秘めた世界観を絶妙なバランス感覚と抜群の音鳴りで構築。今年一番飛ばされたアルバムです。

4

Four Tet

Four Tet Love Cry / Our Bells Domino (UK) / 2009/11/17 »COMMENT GET MUSIC
ポスト・ロック系の音好きからクラブ・サイドまで広く支持されるFour Tetが、[Domino]から限定で新作をリリース。ディープでサイケ、それでいてウォーミーでエレガントなミニマル・エレクトロニック・ナンバーとなった"Love Cry"、ベルの音が美しく幻想的に鳴り響くノンビートの"Our Bells"。Kieran Hebdenの世界観はやはり最高ですね。

5

Tal M. Klein

Tal M. Klein Magical Horses EP Aniligital Music (UK) / 2009/11/3 »COMMENT GET MUSIC
あのDJ Strangefruitのレーベル[Luna Flicks]からもリリースしている注目株、Hardway Brothersが絡んだB面が一押し。キレのあるドラムと太くうねるベース、そしてサイケな上モノが軸となったドープでスリリングなエレクトロ・ブギーです。

6

LCD Soundsystem

LCD Soundsystem Bye Bye Bayou DFA (UK) / 2009/11/10 »COMMENT GET MUSIC
Alan Vegaの'81年リリース作品のカバーとなる本作は、シンプルで派手さも控えめなエレクトロ・ブギーなのですが、トビ音類やダビーなエフェクトをちりばめたなんともドープでドラッギーな仕上がり。このソリッドでトリッピーな音は箱で聴いたら相当ヤバそうですね。

7

Recomposed by Carl Craig & Moritz von Oswald

Recomposed by Carl Craig & Moritz von Oswald New Mixes by Francois Kevorkian Deutsche Grammophon (Germany) / 2009/12/1 »COMMENT GET MUSIC
Carl CraigとMoritz von Oswaldがクラシック音楽の名曲を再構築し名門[Deutsche Grammophon]からリリースした昨年の衝撃的なアルバム『Recomposed』からのニュー・リミックス。今回は'Berlin meets NY'と冠してFrancois K.が重厚でキレのあるミニマル・ダビー・テックへと仕上げています。

8

Dan Electro

Dan Electro Bite The Hand That Feeds You Album Sampler Soulab (France) / 2009/11/3 »COMMENT GET MUSIC
'00年のデビュー作"Down Is The Power"がカルト・ヒットとなったフランスのDan Electroが、国内先行でCDリリースしていたアルバムからサンプラーEPをリリース。ジャズ、ソウル、ファンク、ゴスペルなどブラック・ミュージックの要素を多分に含みながら、デトロイトなどのUSハウスに通じる漆黒のビートダウン・ハウスを展開しています。

9

Marcel Knopf feat. Camera

Marcel Knopf feat. Camera Crazy About Skinny Bitches Mo's Ferry (Germany) / 2009/11/25 »COMMENT GET MUSIC
ソウルフルな男性ボーカルを効果的に用いた、耳に残るオールドでモダンなハウス・トラック。裏打ちで刻まれるハットの質感もツボを押さえていて相当イイですね。昨今ヨーロッパを中心に90'sハウスな音がたくさん出てますが、そんな中でもこれはここ最近の中でなんだか妙に印象に残りました。

10

Mathias Mesteno

Mathias Mesteno Sway Me Upon You (Germany) / 2009/11/25 »COMMENT GET MUSIC
何気に良質なリリースでミニマル方面の音好きに定評のある[Upon You]から、ブリーピーな音色やホーン・フレーズ、ピアノ・リフやヴォイス・フレーズなどを絶妙に重ねながら展開していくグルーヴィーなトライバル・ミニマルが登場。適度なトビや緊張感も備えていて鳴り具合もイイ感じ、現場で活躍してくれそうです。

CHART by STRADA RECORDS 2009.12 - ele-king

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1

ACOUSTIC HIGH-END RESEARCH

ACOUSTIC HIGH-END RESEARCH STRADA PROFESSIONAL SOUND EFFECTS RUNNING BACK(GER) / 11/6 »COMMENT GET MUSIC
2005年に当店制作にてリリースしたサウンド・エフェクトの決定版「STRADA PROFESSIONAL SE VOL.1」がなんとRADIO SLAVEやMARK Eのリリースで知られるRUNNING BACKからライセンス・リリース!

2

THE GROOVERS

THE GROOVERS CAUSE I KNOW PACK UP AND DANCE(UK) / 12/1 »COMMENT GET MUSIC
ちょっと遅めのディープ・ハウス・チューンで、DUBTRIBE SOUND SYSTEMの片割れでNITE GROOVESなどからのリリースでも知られるSUNSHINE JONESによるミックスが特にオススメ!漂うようなユッタリとした感触にヤラれます!

3

CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD

CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD RECOMPOSED-FRANCOIS KEVORKIAN & MORITZ VON OSWALD MIXES(10inch) DEUTSCHE GRAMMOPHON(GER) / 12/1 »COMMENT GET MUSIC
CARL CRAIGとMORITZ VON OSWALDによるクラシック再構築作をさらにFRANCOIS KとMORITZ VON OSWALDがリミックス!グルーヴィーで洗練されたテック・ダブ・ハウスに仕上がっています!

4

MARC POPPCKE

MARC POPPCKE FAR AWAY FROM YOU FREERANGE (UK) / 11/17 »COMMENT GET MUSIC
珍しくFREERANGEからディスコ・ハウスが登場!Rahni Harris & F.L.O.「Six Million Steps」をモロ使ったA面がオススメ!

5

JAY SINISTER SEALEE & LOUIE VEGA

JAY SINISTER SEALEE & LOUIE VEGA BITTERSWEET(feat.JULIE MCKNIGHT) ATAL(FR) / 11/19 »COMMENT GET MUSIC
Louie Vega本人によるプレイ等でリリース前から話題となっていたヴォーカルもの!数々のハウス系作品に参加しているベテラン女性ヴォーカリストJulie McKnightをフィーチャーしたメロディアスで盛り上 がる極上作品!

6

CABIN FEVER

CABIN FEVER I FEEL RAW(W-PACK) REKIDS (UK) / 12/1 »COMMENT GET MUSIC
Radio Slaveの変名による限定シリーズ第10弾!今回は2枚組で、パーカッション主体の使いまくれるエスノ・トライバル・ハウスを片面1曲ずつ収録!

7

DYNAMODYSE

DYNAMODYSE SHELTER E.P. WE PLAY HOUSE(EU) / 11/9 »COMMENT GET MUSIC
注目レーベルWE PLAY HOUSEからの新人!カッチリとしたビートにUSハウスっぽいシンセや女性ヴォーカルがキマッたA1を筆頭に、クオリティーの高いディープ・ハウス・トラックを全4曲収録!

8

ABOVE SMOKE

ABOVE SMOKE THE FIX EP YORE (GER) / 11/12 »COMMENT GET MUSIC
DUBBYMANの兄弟ABOVE SMOKEによる作品が人気レーベルYOREから登場!クオリティーの高いディープなインスト・ハウスを3曲と、ジャジーなミッド・テンポのトラックを1曲収録!深夜に聴き浸りたい味わい深い作品です!

9

ARGY

ARGY WHAT TIME IS IT? THESE DAYS(GER) / 11/12 »COMMENT GET MUSIC
ナント今回のARGYはヴォーカルもの!しかもほとんどUSハウスのようなサウンドで、起用されている男性ヴォーカルもソウルフルでかなり渋い!シカゴ・ハウスみたいなカップリング曲もぶっ飛んでいます!

10

RICK WILHITE

RICK WILHITE THE GODSON E.P. RUSH HOUR (EU) / 11/9 »COMMENT GET MUSIC
Moodymann、Theo Parrishと共に3 Chairsとしての活動でも知られるRick Wilhiteが1997年にMoodymannのレーベルKDJに残したこの名作が遂にRUSH HOURが正規で再発!しかも今回、Moodymannによる未発表ミック スも追加収録しているので、オリジナル盤を持っている人も要チェックです!

センコロール - ele-king

 音楽の世界ではもう80年代末くらいから自分ひとりの手でベッドルームの自宅スタジオにこもって作品を完成させることは夢ではなくなったし、そのころに比べてもコンピュータや録音用のソフト、機材が格段に安くなった現在では、もはやかつてのように豪華なスタジオでミュージシャンを呼んで何ヶ月もかけて録音することのほうがレアで贅沢な手法になってしまった感もある。映像の世界だって、昨今のハリウッド映画を観たらもはや"実写"と呼ぶのさえ憚られるようにデジタル合成やCGのオンパレード、かつては表現できなかったことがほぼ何でも実現可能になってポストプロダクションと制作者の創造力にかかる重要性が増している。

 しかし映像の制作は音楽とは比べものにならないくらい金がかかるから、普通は労働集約産業化する。日本のお家芸、セルアニメなどは一枚一枚絵を描いて(フルアニメだと1秒で24枚)動かさなければならないわけで、膨大な人手が必要だ。本作、『センコロール』は、新海誠『ほしのこえ』(02年)など、近年少しずつ増えてきたインディー・アニメの最先端に位置する作品で、マンガでの受賞歴もある宇木敦哉が監督・脚本・作画と制作の主要部分をすべてひとりで行っている。

 正直に言うと、新海誠が彗星のごとく世に出て、高性能のPCと才能、根気さえあれば、アニメだってひとりで作れる時代になったと騒がれても違和感が拭えなかった。たしかに、『ほしのこえ』や『雲のむこう、約束の場所』(04年)は美しい美術(背景)や光の表現、それに作り手の目が行き届くゆえの一貫性が素晴らしい。しかし、セカイ系を地でいくストーリーや設定、もしくはフォークやニューミュージックかという古くさい感覚は、「革命的」というタームが似合わないと感じていた。一方、07年にパイロット版公開と制作発表があり、その後2年半をかけてできあがった約30分のフィルムが09年8月に劇場公開となった本作は、その長い制作期間中に古びることもなく、斬新な感覚でインディー・アニメの基準を大幅に更新した。

 「街に巨大な怪獣が突如現れた」という事件をきっかけに、好奇心旺盛な女子高生ユキのもとにまるでペットのように同様の謎の生物を操る少年たちがあらわれて......と、制服姿のまま話が展開していく『センコロール』。ヘリや戦車、軍人のシルエットは出てくるが、主要キャラ以外の人物は登場せず、かつての怪獣映画ほどには街も破壊されるのに、生活や社会は一切描かれない。短い尺の中で何を描写するのか取捨選択するなか、宇木監督のフォーカスは少女と謎の生物"センコ"との交流、そしてアニメ的な動きの気持ちよさに集約された。その潔い割り切りは鑑賞後の充足感はもたらさないかもしれないが、逆に繰り返し見ても胃もたれせず、テンポやリズムにおいて功を奏している。非常にナラティヴなものや120%伏線も何も説明しきるものばかり見ている一般のアニメファンからは内容に関する不満もあるようだが、ポンっと放り出されるように終わる作りはショートフィルムとしてはむしろセオリー通り。それをいかにもアートな志向でなく、商業作品並の絵柄や動きで実現させたのが、この作品の肝なのだ。トレーラーを見てもらえればわかるように、その独特のセンスのモンスター・デザインと、ひとりで描いたとは思えないすごい動きのアニメーションは、天才の登場を予感させるに十分なものだろう。

 もうひとつ付け加えると、パイロット版のときからテクノっぽい打ち込みの音楽が使われていた『センコロール』は、最終的にニコニコ動画や初音ミクの界隈では超有名な音楽ユニットsupercellのryoが担当している。一般的にはほとんど馴染みがないアーティストだろうが、彼も完全にインディーの出自であり、無理矢理たとえるならギーク/ハッカーの集まりだったブラック・ドッグがプラッドになっていつのまにかビョークと共演したり映画音楽を書いていたみたいなものだろうか。最初は、この音楽がずっと鳴ってPV的な仕上がりかもと心配したが、4つ打ちのダンストラックは重要な一箇所でしか使われず、エンディングのヴォーカル曲も最近の邦画のとにかくタイアップで内容とはイメージあわなくても売れ線歌手を使わせるみたいなものにはない自然なマッチングだ。サラウンド環境のあるひとには、ふつうの映画よりかなり自由に音楽も効果音も配置した5.1chサウンドも楽しみのひとつだ。アニメは所詮全部虚構なのだから、このくらい思い切ったサウンドデザインをしてもいいと思う。

 シナリオ監修で本作に参加した作家の山下卓は、コメントで宇木監督と細田守を比較しているが、斬新なフィールや卓越した作画力を擁しながらも極めてオーソドックスな世界を描こうとしている『時をかける少女』(06年)や『サマーウォーズ』(09年)と本作は、たしかに類似点があるかもしれない。しかし、細田監督のフィルムが貞本義行という強力な絵描きの力で結実しているのと違い、宇木は自らキャラやメカを描き、動かしてしまうという点で別次元の可能性を秘めているとも言える。ベッドルームのクリエイターが大資本や大プロダクションと組んで急にスポイルされてしまうという事例もたくさんあるが、『センコロール』はさらなる革命の第一歩にすぎないと、そんな予感がするのだ。

パイロット版

トレーラー

RUMI - ele-king

 『Hell Me Tight』『Hell Me Why?』に続く、Hell Me三部作の最終章だという。ポップになった前作は踏襲され、詩の内容は、周囲から社会全体への批評性に富んだ前作をさらに深化させている。テーマはそうした批評性に加え、表題のNATONを冠した「RUMINATION」というタイトルがほのめかすとおり、MC、RUMIのアイデンティティ宣言が印象深い。
 はじめに急いで言っておきたいのだけれど、"RUM"Iだのヒップホップというカテゴリーやイメージを越えるようなものすごい名曲も複数含まれている!(詳しくはまたあとで)

 トラックはKaoru Miura、YOUICHI、DJ MARTIN、SKYFISHらが作り、SHINGO☆西成、MACDDY、漢をフィーチャーしたものもあり、スタンダードなヒップホップが中心だがバラエティに富んでいる。が、どの曲も、とくに歌詞がすばらしい。高校時代に音楽キャリアをスタートさせ、"OL生活"をしながら音楽活動をしてきたRUMIも三十路を越え(というフレーズもちゃんと出てくる)た。というわけでいま一度、音楽で生きて行くことを選びなおし、そういう自分はどんな人間であるのかを、シリアスさと茶目っ気の絶妙なバランスで告白している。

 前作がリリースされた04年というのは、終わったといわれた戦争が泥沼への一歩を踏み出し、国内では集団ヒステリーのような小泉フィーヴァー収まりやまず、戦場で誘拐された若者たちの"非国民ぶり"を政府もマスコミもあげて攻撃していたころだ。合言葉は「空気を呼んで勝ち馬に乗ろうぜ!」で、それが「熱意と能力」の必須条件だった。しかし時は過ぎ。
 当時のすべてが否定的評価を受けていよいよ政権交代が起きた"チェンジの秋"に新作をリリースする(制作はそれ以前である)ということはある種のリスクが伴うかもしれない。この数年、30代を中心に批判してきた日本社会のある面と、40代後半以降の逃げ切り世代が懐古し始めた社会像とのギャップが切なくも微妙な瞬間的共闘を結んだ結果にも見えるこの政権交代は、中期的にはともかく短期的には、昨年までの常套的な批判的言説を陳腐に感じさせるだろうから。
 けれども、RUMIの社会批評はその陳腐化をまったく免れた。
 「成果には報酬を」を一つ覚えにした小泉政権が確信犯的に推進した政策に疲弊した社会では、「真面目に働く人に人間らしい生活を!」という"要求"が最大の項目に成り果てている。ずいぶん謙虚な願いだ。「真面目に働かない人間にも人間らしい生活を! 真面目に働いたらそれ以上を!」と、それが20世紀の"先進国"がようやく到達したシュプレヒコールだったというのに。
 RUMIの宣言は、ある意味で00年代の"要求"を超えている。ハローワークの窓口で啖呵切ってるような「公共職業安定所」という曲では、「年齢制限越えてるけど心は19」だのと求人条件不適合の自分を売り込みながら、「ツアーに出るから長期休暇が必要」などとこっちから条件を突きつけはじめ、ついには「職安にないわ、私の職業」という結論にたどり着く。安定も儲けもない、未来なんて何も見えないけど、「限りない自由」だけを求めて、あたしはマイクを選ぶんだと宣言する。
 自己責任? そうじゃない。RUMIは社会にたくさんのことを要求する。社会が、自分のやり方、生き方で生き易いところになるようにたくさんのことを提案して、社会(の人たち)に変われば?、とアジってる。自由と引き換えに不安は引き受けるけど、それ以上のこと――たとえば空気を読んではみ出さないようにすることや他人の価値観を素直に受け入れることなんか――を強要されるのははっきりと拒絶する。それどころか、そんな生き方つまんないよと、「生きづらい」と縮こまる人たちを鼓舞して、巻き込んでいく。
 けれども彼女の煽りが素朴な「励ましソング」にはならないのは、彼女の自意識のクールさゆえだろう。「RUMINATION」というアルバム・テーマでもある自己認識、自意識への距離感がとても成熟している。

 子どもは生まれる場所、生きる場所を選ぶことは出来ない。どんな子どもも与えられた場所から生来的に生まれる苦痛を訴える。おとなになるということは、自分の立ち位置を自分で選びなおすことができるようになるということだ。経済的階層のことではなく、価値観というものを自分の意思で選んだという意識が人を大人にしていくのだと思う。自意識との対峙はその過程で試行錯誤され、自分にとっても周囲にとっても適正な距離感をとることができていくのではないか。その意味でRUMIの成熟はその可愛らしさにもかかわらず大人びている。分別ぶったり正論に屈したりするわけではなく、ポップと茶目っ気と他者への思いやりあるまなざしを発揮することで、結果的に自身を最大限に主張するといった巧妙さといえばいいのか。
 どの曲も捨てがたくリピートしたいが、「傑作!」と唸らされたのは"ゆけむり風呂ダクション"。妙齢の女が、妙齢ならではの疲れを癒しに行った風呂屋の大きな鏡の前でお腹をへこませたり、体重計に乗ったり、癒されたり文句言ったりしているんだが、スチャダラパーもかくやの多層なイマジネーションを喚起させる。
 もう字数制限を越えてるぞ、もう一つだけ、といわれたら"迷子"を挙げようと思う。自分で選んだ道でだって人は迷子になることがある。むしろ自分で選んだ道だからこそ迷うんだ。弱気にもなるし、引き受けたはずの不安や孤独だって放り出したくなることもある。そんな覚えのある女の子なら泣いちゃうよね。

Yo La Tengo - ele-king

 ele-kingにヨ・ラ・テンゴ。どうなんだという声がしそうだけど、まあ聴いてみてくれ。とくに10曲目から12曲目(オリジナル・アルバムのラスト3曲。日本盤にはそのあとにキャロル・キングのカヴァーを1曲収録)。

 ヨ・ラ・テンゴは1984年にアメリカはニュージャージーのホーボーケンで、現在は夫婦となったアイラ・カプラン(ギター、ヴォーカル)とジョージア・ハブレイ(ドラムス、ヴォーカル)によって結成されたバンド。途中でジェイムズ・マクニュー(ベース、ヴォーカル)が参加して現在に至る。不思議なバンド名はスペイン語で、英語だと「I got it」。

 1986年に『Ride The Tiger』でデビュー以来、本作で12作目となるオリジナル・アルバムは、まずはそのストレートなアルバム・タイトルが印象的だが――。

 ホーボーケンといえばdB'sを嚆矢とするパワーポップ・バンドの聖地として知られているが、ヨ・ラ・テンゴもその系統から大きく外れることはない。事実そういう曲がメインとなっている。が、しかしそれよりもむしろ当初からギター・ロック的な曲のフォーミュラを意識的に崩していこうとする意思を感じさせていたことのほうが僕には気になっていた。1993年に米インディの名門マタドールに移籍して発表した6枚目『Painful』からはその感覚はより露になり、ギターを中心としながらも、エレクトロを加味したことによる幻視的なサウンドを聴かせるようになる。そして1997年の『I Can Hear the Heart Beating as One』からはとくにその傾向が強くなり、以降のアルバムには必ず10分以上におよぶ幻想的な実験的トラックを収録してきた。前作である『I Am Not Afraid of You and I Will Beat Your Ass』(2006)では、長尺の「Pass The Hatchet...」は、なんとアルバムの冒頭に置かれているのだから恐れ入る。

 しかし、である。この新作『ポピュラー・ソングス』における後半3曲のトビぐあいは、これまでの彼らの試みと比べても、想像を絶するほどの展開を遂げている。この3年間に彼らに何があったのか?と訝ってしまうほど、この3曲(トータルで40分近い!!)の存在は奇跡としかいいようがない。この壮大なトリップ・アンビエント・シンフォニーは、彼らの集大成であると同時に、いきなりハイジャンプを決めてしまったようにも思える。エレクトロニクスかギターかという論議すらここでは無用だし、なによりここで鳴っているサウンドは、聴き手のココロに揺さぶりをかける。それは常に微笑みと等価だ。なんて幸福な音楽なんだろう。この素敵な音楽には、意外にもこんな普遍的なタイトルがふさわしいのかもね。もちろんこの3曲以外もいいです。ストリングスが入った曲とか特に。でもやっぱり最後の3曲が素晴らしすぎて......。

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